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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】カッティングヘッド付きプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20221130BHJP
   B26D 5/00 20060101ALI20221130BHJP
   B26D 5/34 20060101ALN20221130BHJP
【FI】
B41J11/70
B26D5/00 F
B26D5/34 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018218038
(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公開番号】P2020082446
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】松七五三 健士
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 昌和
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-335149(JP,A)
【文献】特開2015-020399(JP,A)
【文献】特開2013-159079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00- 11/70
B26D 5/00- 5/42
B41J 29/00- 29/70
B41J 5/00- 5/52
B41J 21/00- 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドと、
カッティングヘッドと、
媒体を支持する支持台と、
前記印刷ヘッドを前記媒体に対して移動させる第1移動装置と、
前記カッティングヘッドを前記媒体に対して移動させる第2移動装置と、
前記印刷ヘッド、前記カッティングヘッド、前記第1移動装置、および前記第2移動装置を制御する制御装置と、
前記制御装置に接続された操作端末と、
を備え、
前記操作端末は、
印刷データとカッティングデータのうちの少なくとも一方が含まれた作業データが記憶されるデータ記憶部と、
作業データに印刷データとカッティングデータとが含まれている場合に、印刷の後にカッティングを行う第1モードで作業データを実行するのか、カッティングの後に印刷を行う第2モードで作業データを実行するのかを決定するモード設定部と、
作業データを前記データ記憶部から前記制御装置に送信するデータ送信部と、
を備え、
作業データは、前記第1モードで実行するのか前記第2モードで実行するのかを指示するコマンドを含み、
前記モード設定部は、作業データを実行するモードを前記コマンドによって指示されたモードに決定する設定部を備え、
前記制御装置は、
前記データ送信部によって送信された作業データを一時的に保管するバッファメモリと、
前記バッファメモリに保管された印刷データに基づき、前記印刷ヘッドと前記第1移動装置とを制御して前記媒体に印刷を行う印刷制御部と、
前記バッファメモリに保管されたカッティングデータに基づき、前記カッティングヘッドと前記第2移動装置とを制御して前記媒体を切断するカッティング制御部と、
を備え、
前記データ送信部は、前記モード設定部によってモードが前記第1モードと決定された場合には印刷データを前記制御装置に送信した後にカッティングデータを前記制御装置に送信し、前記モード設定部によってモードが前記第2モードと決定された場合にはカッティングデータを前記制御装置に送信した後に印刷データを前記制御装置に送信するように設定されている、
カッティングヘッド付きプリンタ。
【請求項2】
前記操作端末は、作業データを前記第1モードで実行するのか前記第2モードで実行するのかを入力可能に構成されたモード選択部を備え、
前記モード設定部は、作業データを実行するモードを前記モード選択部で選択されたモードに決定する他の設定部を備えている、
請求項1に記載のカッティングヘッド付きプリンタ。
【請求項3】
作業データは、印刷データとカッティングデータとを含む場合には、カッティングの位置の基準となる基準マークの印刷データを含み、
前記操作端末は、作業データが前記第2モードで実行される場合には前記データ送信部が前記制御装置に送信する作業データから前記基準マークの印刷データを削除する基準マーク設定部を備えている、
請求項1または2に記載のカッティングヘッド付きプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッティングヘッド付きプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、媒体に画像を印刷するとともに、媒体を切断するカッティングヘッド付きプリンタが知られている。例えば、特許文献1には、印刷ヘッドと、カッティングヘッドとを備えたカッティングヘッド付きプリンタが開示されている。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、印刷よりもカッティングを先に行うカッティングヘッド付きプリンタが開示されている。特許文献2に記載のカッティングヘッド付きプリンタは、インクの乾燥待ちによる待ち時間の低減を1つの目的としている。特許文献2に開示されたカッティングヘッド付きプリンタでは、印刷がカッティングの後に行われるため、インクの乾燥待ちが不要である。このように、カッティングヘッド付きプリンタにおいては、カッティングを印刷よりも先に行いたいというニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-12163号公報
【文献】特開2013-159079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カッティングヘッド付きプリンタでは、一般的に、印刷データとカッティングデータとを含む作業データは本体に接続されたコンピュータ等に保管され、本体は実行中の作業データの一部だけをバッファメモリに一時保管している。印刷およびカッティングは、バッファメモリに一時保管された作業データに基づいて行われる。作業データは、作業データの保管場所からバッファメモリに送信される。
【0006】
このバッファメモリへの作業データの送信では、作業データはデータの先頭から順にバッファメモリに送信される。よって、例えば、作業データが印刷データから始まっていると、印刷データの送信が終了するまでカッティングデータの送信が開始されない。そこで、印刷よりカッティングを先に行う場合であっても、印刷データをバッファメモリに送信し終わるまでカッティングを開始することができない。同様に、作業データがカッティングデータから始まっていると、カッティングデータをバッファメモリに送信し終わるまで印刷を開始することができない。印刷データは通常、カッティングデータよりも容量が大きいので、特に前者の場合に、バッファメモリへのデータ送信の待ち時間が多く発生する。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、印刷とカッティングの実行の順番によって発生するデータ送信の待ち時間を短縮できるカッティングヘッド付きプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここに開示するカッティングヘッド付きプリンタは、印刷ヘッドと、カッティングヘッドと、媒体を支持する支持台と、前記印刷ヘッドを前記媒体に対して移動させる第1移動装置と、前記カッティングヘッドを前記媒体に対して移動させる第2移動装置と、制御装置と、前記制御装置に接続された操作端末とを備える。前記制御装置は、前記印刷ヘッド、前記カッティングヘッド、前記第1移動装置、および前記第2移動装置を制御する。
前記操作端末は、データ記憶部と、モード設定部と、データ送信部とを備えている。
前記データ記憶部には、印刷データとカッティングデータのうちの少なくとも一方が含まれた作業データが記憶される。前記モード設定部は、作業データに印刷データとカッティングデータとが含まれている場合に、印刷の後にカッティングを行う第1モードで作業データを実行するのか、カッティングの後に印刷を行う第2モードで作業データを実行するのかを決定する。前記データ送信部は、作業データを前記データ記憶部から前記制御装置に送信する。
前記制御装置は、バッファメモリと、印刷制御部と、カッティング制御部とを備えている。
前記バッファメモリは、前記データ送信部によって送信された作業データを一時的に保管する。前記印刷制御部は、前記バッファメモリに保管された印刷データに基づき、前記印刷ヘッドと前記第1移動装置とを制御して前記媒体に印刷を行う。前記カッティング制御部は、前記バッファメモリに保管されたカッティングデータに基づき、前記カッティングヘッドと前記第2移動装置とを制御して前記媒体を切断する。
前記データ送信部は、前記モード設定部によってモードが前記第1モードと決定された場合には印刷データを前記制御装置に送信した後にカッティングデータを前記制御装置に送信し、前記モード設定部によってモードが前記第2モードと決定された場合にはカッティングデータを前記制御装置に送信した後に印刷データを前記制御装置に送信するように設定されている。
【0009】
上記カッティングヘッド付きプリンタによれば、印刷よりもカッティングが先に実行される第2モードの場合には、制御装置にカッティングデータが先に送信される。そこで、印刷データの送信を待つ時間が発生しない。また、カッティングよりも印刷が先に実行される第1モードの場合には、制御装置には印刷データが先に送信され、データの送信を待つ時間が発生しない。よって、かかるカッティングヘッド付きプリンタによれば、印刷とカッティングの実行の順番によって発生するデータ送信の待ち時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るカッティングヘッド付きプリンタの斜視図である。
図2A】第1キャリッジおよび第2キャリッジが連結された状態の印刷ヘッドおよびカッティングヘッドの正面図である。
図2B】第1キャリッジおよび第2キャリッジが分離された状態の印刷ヘッドおよびカッティングヘッドの正面図である。
図3】第1実施形態に係るカッティングヘッド付きプリンタのブロック図である。
図4】従来の方法による印刷およびカッティングのステップを示すフローチャートである。
図5】印刷およびカッティングのステップを示すフローチャートである。
図6】第2実施形態に係るカッティングヘッド付きプリンタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、一実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るカッティングヘッド付きインクジェットプリンタ10(以下、プリンタ10)の斜視図である。図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ10は、媒体5に対して印刷およびカッティングを行う装置である。図示は省略するが、本実施形態に係る媒体5は、台紙と、台紙上に積層されかつ粘着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材である。ただし、媒体5は印刷およびカッティングが可能な媒体であれば足り、特に限定されない。媒体5は、記録紙、樹脂製のシート等であってもよい。なお、本明細書において「カッティング」、「切断」とは、媒体5の厚み方向の全体を切断する場合(例えば、シール材の台紙および剥離紙の両方を切断する場合)と、媒体5の厚み方向の一部を切断する場合(例えば、シール材の台紙は切断せず、剥離紙のみを切断する場合)とを含む。
【0012】
プリンタ10は、本体11と、本体11に設けられ媒体5を支持するプラテン12と、媒体5を搬送する搬送装置30と、媒体5を加熱するヒータ13(図2Aおよび図2B参照)と、媒体5に対し印刷を行う印刷ヘッド60と、媒体5を切断するカッティングヘッド70と、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70を移動させるヘッド移動装置40と、クロップマークを検知するセンサ55(図2Aおよび図2B参照)と、制御装置100とを備えている。また、プリンタ10は、制御装置100に接続された操作端末120を備えている。詳細は後述するが、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70は、図示Y方向に移動可能に構成されている。また、媒体5は、図示X方向に搬送されるように構成されている。以下では、Y方向を主走査方向ともいい、X方向を副走査方向ともいう。主走査方向Yは、ここでは、左右方向である。副走査方向Xは、ここでは、前後方向である。ここでは、前方は、プリンタ10の前方である。後方は、プリンタ10の後方である。なお、主走査方向Yは媒体5の幅方向に対応し、副走査方向Xは媒体5の長手方向に対応する。図1の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表している。
【0013】
搬送装置30は、媒体5を副走査方向Xに移動させるように構成されている。図1に示すように、搬送装置30は、グリットローラ31と、ピンチローラ32と、フィードモータ33(図3参照)とを備えている。グリットローラ31は、プラテン12に設けられている。グリットローラ31は、フィードモータ33に駆動されることによって回転する。ピンチローラ32は、グリットローラ31の上方に配置されている。ピンチローラ32は、グリットローラ31と対向するように設けられている。ピンチローラ32は、グリットローラ31に対し接近および離反が可能なように、上下に揺動自在に構成されている。媒体5がピンチローラ32とグリットローラ31との間に挟み込まれた状態でグリットローラ31が回転すると、媒体5は前方または後方に搬送される。なお、図1では、3つのグリットローラ31および2つのピンチローラ32しか図示されていないが、実際にはより多くのグリットローラ31およびピンチローラ32がそれぞれ主走査方向Yに配列されていてもよい。フィードモータ33は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。
【0014】
ヘッド移動装置40は、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70を主走査方向Yに移動させるように構成されている。図2Aおよび図2Bは、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70の正面図である。そのうち、図2Aは、印刷ヘッド60が搭載された第1キャリッジ51と、カッティングヘッド70が搭載された第2キャリッジ52とが連結された状態を示している。図2Bは、第1キャリッジ51と第2キャリッジ52とが分離された状態を示している。ヘッド移動装置40は、第1キャリッジ51と第2キャリッジ52とが連結された状態では、両者を一体で移動させる。また、ヘッド移動装置40は、第1キャリッジ51と第2キャリッジ52とが分離された状態では、第2キャリッジ52だけを単独で移動させる。なお、第2キャリッジ52には、クロップマークを検知するセンサ55も搭載されている。
【0015】
図2Aおよび図2Bに示すように、ヘッド移動装置40は、ガイドレール41と、ベルト42と、スキャンモータ43(図3参照)とを備えている。ガイドレール41は、プラテン12の上方に設けられている。ガイドレール41は主走査方向Yに延びている。ガイドレール41には、第1キャリッジ51と第2キャリッジ52とが摺動自在に係合している。第1キャリッジ51は、印刷ヘッド60を搭載している。第2キャリッジ52は、カッティングヘッド70を搭載している。印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70は、それぞれ、第1キャリッジ51および第2キャリッジ52を介して、ガイドレール41に係合されている。第2キャリッジ52は、第1キャリッジ51よりも左方でガイドレール41に係合されている。
【0016】
第2キャリッジ52の背面上部には、主走査方向Yに延びるベルト42が固定されている。ベルト42は、スキャンモータ43に接続されている。スキャンモータ43が回転すると、ベルト42が主走査方向Yに走行する。これにより、第2キャリッジ52は主走査方向Yに移動する。スキャンモータ43は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。
【0017】
搬送装置30とヘッド移動装置40とは、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70を移動させる移動装置20の一例である。ここでは、搬送装置30は、媒体5を副走査方向Xに移動させ、ヘッド移動装置40は、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70を主走査方向Yに移動させる。しかし、移動装置20の構成は、そのような構成に限定されない。移動装置20は、印刷ヘッド60を媒体5に対して主走査方向Yおよび副走査方向Xに移動させる第1の機能と、カッティングヘッド70を媒体5に対して主走査方向Yおよび副走査方向Xに移動させる第2の機能とを備えていればよく、それを実現する構成は限定されない。移動装置は、上記第1の機能を果たす第1移動装置と第2の機能を果たす第2移動装置とに分離されていてもよい。例えば、印刷ヘッド60とカッティングヘッド70とは別のガイドレールに係合され、別の駆動装置によって移動されてもよい。また、媒体5と、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70とのうちのいずれが主走査方向Yに移動され、いずれが副走査方向Yに移動されるのかも限定されない。
【0018】
第1キャリッジ51と第2キャリッジ52とは、連結部材80によって連結され、または分離される。図2Aおよび図2Bに示すように、連結部材80は、第1キャリッジ51に設けられた第1連結部材81と、第2キャリッジ52に設けられた第2連結部材82とを有している。第1連結部材81は、第1キャリッジ51の左側部分に設けられている。第2連結部材82は、第2キャリッジ52の右側部分に設けられている。本実施形態では、連結部材80は、磁力を利用して第1キャリッジ51と第2キャリッジ52とを連結する。第1連結部材81と第2連結部材82のうちの一方は磁石を備え、他方は磁石に吸着する磁性体を備えている。ただし、連結部材80は磁力を利用するものに限られず、係合部材等の他の構成を備えたものであってもよい。第1キャリッジ51と第2キャリッジ52とは、第1連結部材81と第2連結部材82とが接触することにより連結される。
【0019】
第1キャリッジ51の右側には、L字状に形成された受け金具53が設けられている。また、ガイドレール41の右端付近には、第1キャリッジ51を固定するためのロック装置90が設けられている。以下、第1キャリッジ51が固定されるガイドレール41の右端の位置を待機位置と称する。ロック装置90は、受け金具53に引っ掛けられるフック91と、フック91をロック位置(図2B参照)と非ロック位置(図2A参照)との間で移動させるロック用ソレノイド92(図3参照)とを備えている。ロック用ソレノイド92は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。
【0020】
図2Aに示すように、印刷ヘッド60による印刷を行う際には、フック91が非ロック位置に設定される。第2キャリッジ52が右方に移動し、第1連結部材81と第2連結部材82とが接触すると、第2キャリッジ52と第1キャリッジ51とが連結される。その結果、第1キャリッジ51は、第2キャリッジ52と共に主走査方向Yに移動可能となる。ヘッド移動装置40は、第1キャリッジ51と第2キャリッジ52が連結された状態において、印刷ヘッド60およびカッティングヘッド70を主走査方向Yに移動させる。
【0021】
カッティングヘッド70によるカッティングの際には、図2Bに示すように、第1キャリッジ51が待機位置に位置付けられ、ロック装置90のフック91がロック位置に設定される。これにより、第1キャリッジ51の移動が阻止される。第2キャリッジ52が左方へ移動すると、第1連結部材81と第2連結部材82とが離反し、第2キャリッジ52と第1キャリッジ51との連結が解除される。その結果、第1キャリッジ51が待機位置に待機した状態で、第2キャリッジ52が主走査方向Yに移動可能となる。
【0022】
印刷ヘッド60は、媒体5に印刷を行う。印刷ヘッド60は、第1キャリッジ51に搭載されている。印刷ヘッド60は、複数のインクヘッド61を備えている。ここでは、印刷ヘッド60は、5つのインクヘッド61を備えている。複数のインクヘッド61は、主走査方向Yに並んで配置されている。複数のインクヘッド61の下面には、それぞれ、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)が形成されている。複数のノズルは、副走査方向Xに並んで配置されている。5つのインクヘッド61は、互いに異なる5つの色、例えば、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク、ホワイトインクを吐出するように構成されている。ただし、インクヘッド61の個数は5個に限定されず、インクヘッド61が吐出するインクの色も何ら限定されない。
【0023】
本実施形態では、熱硬化性のインクが使用されている。熱硬化性のインクは、例えば、溶剤インクなどであり、熱により乾燥して硬化する。印刷ヘッド60は、熱硬化性のインクを吐出することによって媒体5に対して印刷を行う。ただし、インクは熱硬化性のものでなくてもよく、例えば、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型のインクであってもよい。
【0024】
インクヘッド61は、例えば、インクジェットヘッドによって構成されている。しかし、印刷ヘッド60の印刷方式はインクジェット方式に限らず、印刷ヘッド60はインクジェットヘッドを備えたものに限定されない。印刷ヘッド60は、例えばドットインパクト方式の印刷を行うプリントヘッドを備えていてもよい。
【0025】
カッティングヘッド70は、第2キャリッジ52に搭載されている。カッティングヘッド70は、カッター71と、ソレノイド72とを備えている。カッター71は、ソレノイド72によって上下方向に移動されるように構成されている。ソレノイド72がON/OFFされると、カッター71は上下方向に移動して媒体5に接触し、あるいは媒体5から離反する。カッター71は、媒体5に接触することにより、媒体5を切断可能である。ソレノイド72は、制御装置100に電気的に接続され、制御装置100によって制御されている。
【0026】
第2キャリッジ52には、クロップマークを検出するセンサ55が設けられている。センサ55の種類は特に限定されず、光学式センサ等の従来から用いられている各種のセンサを好適に利用することができる。クロップマークは、カッティングの位置の基準となる基準マークであり、媒体5に印刷される。プリンタ10は、所定の場合にセンサ55でクロップマークを検出し、クロップマークの位置を基準にカッティングデータを補正する。
【0027】
図2Aおよび図2Bに示すように、プラテン12の下方には、ヒータ13が設けられている。ヒータ13は、プラテン12の下面に接触するように設けられている。ヒータ13は、例えば、電熱線などを備えている。ヒータ13は、プラテン12を加熱することによって媒体5を間接的に加熱する。ただし、ヒータ13は、例えば、媒体5に熱風を吹き付けることによって媒体5を加熱するような加熱装置であってもよい。ヒータ13の方式は、特に限定されない。
【0028】
図示は省略するが、プリンタ10は、印刷前の媒体5が巻かれた供給ローラを備えている。供給ローラはプラテン12の後斜め下方に配置されている。印刷時またはカッティング時には、供給ローラに巻かれた媒体5は、プラテン12上を経由して前後方向に移動される。
【0029】
図1に示すように、プリンタ10の右側のサイドカバーの前面には、ボタンおよびディスプレイを有する操作パネル110が配置されている。操作パネル110は、制御装置100に接続されている。制御装置100の構成は特に限定されないが、例えば、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリ等の記憶装置とを備えている。
【0030】
図3は、プリンタ10のブロック図である。図3に示すように、制御装置100は、ヒータ13と、フィードモータ33と、スキャンモータ43と、センサ55と、インクヘッド61と、ソレノイド72と、ロック用ソレノイド92と、操作パネル110とに接続され、それらの動作を制御している。操作端末120は、本体11の外部に設けられ、制御装置100に接続されている。操作端末120は、ここでは、コンピュータである。操作端末120は、作業データを作成または改変するとともに、複数の作業データを記憶することが可能に構成されている。個々の作業データには、印刷データとカッティングデータのうちの少なくとも一方が含まれている。
【0031】
図3に示すように、操作端末120は、データ記憶部121と、モード選択部122と、モード設定部123と、データ送信部124と、クロップマーク設定部125とを備えている。また、制御装置100は、バッファメモリ101と、印刷制御部102と、カッティング制御部103と、位置補正部104とを備えている。制御装置100および操作端末120は、その他の処理部を備えていてもよいが、ここでは図示および説明を省略する。
【0032】
データ記憶部121は、作業データを記憶している。作業データには、印刷データとカッティングデータのうちの少なくとも一方が含まれている。つまり、作業データには、印刷データのみで構成されたものと、カッティングデータのみで構成されたものと、印刷データおよびカッティングデータの両方から構成されたものとが存在する。印刷データのみで構成された作業データを実行する場合、プリンタ10は、印刷データ内の画像の印刷だけを行う。カッティングデータのみで構成された作業データを実行する場合、プリンタ10は、カッティングデータ内のカット線の加工だけを行う。印刷データとカッティングデータが両方とも含まれた作業データを実行する場合には、プリンタ10は、画像の印刷およびカット線の加工、さらに必要に応じてクロップマークの印刷を行う。印刷データとカッティングデータが両方とも含まれた作業データには、クロップマークの印刷データが含まれている。しかし、場合により、クロップマークの印刷は割愛される。これについては後述する。
【0033】
モード選択部122には、作業データを実行するモードが入力される。モード選択部122は、作業データに印刷データとカッティングデータの両方が含まれている場合に、第1モードおよび第2モードのうちから1つのモードを選択可能に構成されている。第1モードは、印刷の後にカッティングを行うモードである。第2モードは、カッティングの後に印刷を行うモードである。モード選択部122は、作業データを第1モードで実行するのか、第2モードで実行するのかを入力可能に構成されている。モード選択部122は、例えば操作端末120のディスプレイなどに、ユーザーが操作を行う操作画面を表示させる。
【0034】
モード設定部123は、作業データに印刷データとカッティングデータとが含まれている場合に、第1モードで作業データを実行するのか、第2モードで作業データを実行するのかを決定する。モード設定部123は、第1設定部123aを備えている。本実施形態では、第1設定部123aは、作業データを実行するモードをモード選択部122で選択されたモードに決定する。言い換えれば、第1設定部123aは、作業データを実行するモードを、ユーザーがモード選択部122を介して選択したモードに設定する。
【0035】
データ送信部124は、作業データをデータ記憶部121から制御装置100に送信する。詳しくは、データ送信部124は、作業データをデータ記憶部121から制御装置100のバッファメモリ101に送信する。プリンタ10は、バッファメモリ101に一時的に記憶された作業データに基づいて印刷またはカッティングを実行する。データ送信部124は、例えば、ユーザーの操作に基づいて、作業データをデータ記憶部121から制御装置100に送信する。データ送信部124は、モード設定部123によってモードが第1モードと決定された場合には、印刷データを制御装置100に送信した後に、カッティングデータを制御装置100に送信するように設定されている。つまり、印刷データをカッティングデータよりも先に送信するように設定されている。また、データ送信部124は、モード設定部123によってモードが第2モードと決定された場合には、カッティングデータを制御装置100に送信した後に、印刷データを制御装置100に送信するように設定されている。つまり、カッティングデータを印刷データよりも先に送信するように設定されている。
【0036】
クロップマーク設定部125は、印刷とカッティングの両方を実行する場合に、クロップマークの印刷を行うかどうかを決定している。クロップマーク設定部125は、作業データが第2モードで実行される場合には、データ送信部124が制御装置100に送信する作業データからクロップマークの印刷データを削除するように設定されている。よって、第2モードの場合には、クロップマークは印刷されない。作業データが第1モードで実行される場合には、クロップマーク設定部125は、データ送信部124が制御装置100に送信する作業データからクロップマークの印刷データを削除しない。よって、第1モードが選択された場合には、データ記憶部121に記憶された作業データがそのまま制御装置100に送信される。第1モードの場合、クロップマークは印刷される。これらの作業の詳細については後述する。
【0037】
バッファメモリ101は、制御装置100に設けられている。バッファメモリ101は、データ送信部124によって送信された作業データを一時的に保管するように構成されている。制御装置100は、操作端末120のデータ記憶部121内の作業データから選択された1つの作業データをバッファメモリ101に一時保管し、バッファメモリ101に一時保管された作業データの内容を実行する。操作端末120のデータ送信部124は、バッファメモリ101に一時保管可能な容量に作業データを分割し、分割された作業データを逐次にバッファメモリ101に送信する。実行された作業データは、バッファメモリ101から順次消去される。
【0038】
印刷制御部102は、バッファメモリ101に保管された印刷データに基づき、印刷ヘッド60と移動装置20とを制御して、媒体5に印刷を行うように設定されている。印刷制御部102は、印刷とカッティングをともに行う場合であって、実行モードが第1モードの場合には、画像とともにクロップマークも媒体5に印刷する。実行モードが第2モードの場合には、クロップマークは印刷しない。印刷作業の詳細については後述する。
【0039】
カッティング制御部103は、バッファメモリ101に保管されたカッティングデータに基づき、カッティングヘッド70と移動装置20とを制御して媒体5を切断する。カッティング作業の詳細については後述する。
【0040】
位置補正部104は、クロップマークが印刷された場合(印刷とカッティングをともに行う場合であって、実行モードが第1モードの場合)に、クロップマークの位置を基準にカッティングデータを補正する。位置補正部104は、センサ55を制御して、クロップマークの画像を検出している。位置補正部104によるカッティングデータの補正については後述する。
【0041】
以下では、従来の印刷およびカッティングの方法と比較しながら、本実施形態に係るプリンタ10の印刷およびカッティングの方法について説明する。図4は、従来の方法による印刷およびカッティングのステップの一例を示すフローチャートである。図5は、本実施形態に係る印刷およびカッティングのステップの一例を示すフローチャートである。図4に示す場合、図5に示す場合のいずれも、印刷およびカッティングの実行モードは、「印刷よりもカッティングを先に実行する」モード(本実施形態の第2モード)であり、また、作業データには印刷データが先に書き込まれているものとする。
【0042】
図4に示すように、従来の印刷およびカッティングの方法では、ステップS11において、バッファメモリ101に印刷データが送信される。この印刷データには、画像の印刷データとクロップマークの印刷データとが含まれている。一般的に、印刷データはデータ容量が大きく、ステップS11にはある程度の時間が必要である。図4の場合の印刷およびカッティングの実行モードは「印刷よりもカッティングを先に実行する」モードであり、印刷データの送信中には、カッティングヘッド付きプリンタは、カッティングを開始することができない。よって、ここで作業データの送信に係る待ち時間が発生している。
【0043】
続くステップS12では、バッファメモリ101へのカッティングデータの送信が行われる。ステップS12は、ステップS11の終了後に開始される。カッティングデータは、一般的にデータ容量が小さく、ステップS12は短時間で終了する。
【0044】
ステップS13では、媒体5にクロップマークが印刷される。ステップS13では、まず、第1キャリッジ51と第2キャリッジ52とが連結される。これにより、ヘッド移動装置40によって印刷ヘッド60を移動させることができる。印刷においては、印刷ヘッド60は第1キャリッジ51とともに主走査方向Yに移動されるとともに、インクを吐出する。これにより、副走査方向Xの1つの位置における印刷が完成する。その後、媒体5は前方に搬送される。この移動後の副走査方向Xの位置において、次の印刷が行われる。この動作を反復することにより、クロップマークが媒体5に印刷される。
【0045】
ステップS14では、クロップマークの印刷位置に基づいて、カッティングデータが補正される。ステップS14では、例えば、センサ55によって検出された画像が制御装置100に取り込まれる。そして、制御装置100が把握しているクロップマークの位置と、実際にセンサ55によって検出されたクロップマークの位置との差異から補正値を算出する。制御装置100は、この補正値に基づいて、カッティングデータを補正する。補正の詳細な方法としては種々の技術が公知であり、特にその方法は限定されない。
【0046】
ステップS15では、バッファメモリ101に一時保管されたカッティングデータに基づいてカッティングが実行される。ステップS15では、まず、第1キャリッジ51と第2キャリッジ52とが分離される。これにより、カッティングヘッド70を単独で移動させることができる。また、カッター71が下ろされ、媒体5に接触する。カッティングにおいては、カッティングヘッド70を主走査方向Yに移動させながら、媒体5を副走査方向Xに移動させる。それにより、カッター71の刃先は、媒体5上でカット線に沿って移動する。従来の方法による印刷およびカッティングは、ステップS15の後にステップS16の画像の印刷が実行されて終了する。
【0047】
このように、従来の方法によって「印刷よりもカッティングを先に実行する」モードの印刷およびカッティングを行おうとすると、ステップS11において印刷データの送信待ちの時間が発生する。この時間は一般に長く、カッティングヘッド付きプリンタのスループットを低下させる。また、この方法では、カッティングヘッド付きプリンタは、1つの作業データの全体を保管できるだけの容量を有するバッファメモリを備える必要がある。最悪の場合、バッファメモリの容量不足のため、カッティングを先に実行できないおそれもある。
【0048】
本実施形態に係るプリンタ10は、上記したような問題に鑑み、印刷とカッティングの実行の順番によって発生するデータ送信の待ち時間を短縮できるように構成されている。また、バッファメモリのデータ容量を大きくしなくてもよいように構成されている。本実施形態に係るプリンタ10は、実行モードが第2モードの場合には、カッティングデータを制御装置100に送信した後に、印刷データを制御装置100に送信するように設定されている。なお、プリンタ10は、実行モードが第1モードの場合には、印刷データを制御装置100に送信した後に、カッティングデータを制御装置100に送信する。
【0049】
以下、本実施形態に係る印刷およびカッティングのステップについて説明する。図5に示すように、本実施形態のステップS01では、作業データからクロップマークの印刷データを削除する。プリンタ10は、作業データが第2モードで実行される場合にはバッファメモリ101に送信する作業データからクロップマークの印刷データを削除するように設定されており、ここに説明する場合はそれに該当している。よって、この場合には、クロップマークは印刷されない。なお、作業データが第1モードで実行される場合には、プリンタ10は、バッファメモリ101に送信する作業データからクロップマークの印刷データを削除しない。よって、第1モードの場合、クロップマークは印刷される。
【0050】
ステップS02では、制御装置100のバッファメモリ101にカッティングデータを送信する。本実施形態では、実行モードが第2モードの場合には、印刷データよりも先にカッティングデータをバッファメモリ101に送信するように設定されており、ここに説明する場合はそれに該当する。カッティングデータは一般的にデータ容量が小さいため、ステップS02は、概ね短時間で終了する。
【0051】
ステップS02の後には、ステップS03が実行される。ステップS03では、バッファメモリ101に一時保管されたカッティングデータに基づいてカッティングが実行される。ステップS03の後には、印刷が分割して実行される。ステップS03に続くステップS04-1では、第1の印刷データがバッファメモリ101に送信される。上記第1の印刷データは、バッファメモリ101のデータ容量内に収まるように印刷データが複数に分割されたものの最初の1つである。続くステップS04-2では、第1の印刷データに基づいて印刷が行われる。次のステップS05-1では、第2の印刷データがバッファメモリ101に送信される。ステップS05-2では、第2の印刷データに基づいて印刷が行われる。以下同様に、分割された印刷データの最後の部分が送信され、当該最後の部分に基づいて印刷が実行されるまでステップが続く(ステップS05-2より後のステップの図示は省略)。ただし、上記した印刷データの送信および印刷の分割は、データ処理の方法の1つの例に過ぎず、例えば、バッファメモリ101の空き容量に応じて連続的、または不連続的にデータを送信してもよい。
【0052】
なお、図示は省略するが、印刷およびカッティングの実行モードとして第1モードが選択された場合には、プリンタ10は、印刷データを逐次バッファメモリ101に送信しながら画像およびクロップマークの印刷を行った後、クロップマークに基づくカッティング位置の補正を行い、その後、カッティングを行う。第1モードの場合にクロップマークに基づくカッティング位置の補正を行う主な理由は、印刷によって媒体5が伸縮し、プリンタ10が想定している媒体の位置からずれているおそれがあるからである。印刷による媒体5の伸縮とは、詳しくは、例えば、媒体5がインクを吸収することによるもの、あるいは、ヒータ13が媒体5を加熱することによるもの等である。
【0053】
このように、本実施形態に係るプリンタ10は、モード設定部123によってモードが第1モードと決定された場合には印刷データを制御装置100に送信した後にカッティングデータを制御装置100に送信し、モード設定部123によってモードが第2モードと決定された場合にはカッティングデータを制御装置100に送信した後に印刷データを制御装置100に送信するように設定されたデータ送信部124を備えている。かかる構成によれば、印刷よりもカッティングが先に実行される第2モードの場合には、制御装置100にはカッティングデータが先に送信される。そこで、印刷データの送信を待つ時間が発生しない。また、カッティングよりも印刷が先に実行される第1モードの場合には、制御装置100には印刷データが先に送信され、データの送信を待つ時間が発生しない。よって、印刷とカッティングの実行の順番によって発生するデータ送信の待ち時間を短縮することができる。また、本実施形態では、カッティングを先に行う場合にはカッティングデータが先に送信されてくるため、プリンタ10は、印刷データの全てを保管できる容量を有するバッファメモリを備える必要がなく、バッファメモリの大型化を防ぐことができる。
【0054】
また、本実施形態に係るプリンタ10は、作業データを第1モードで実行するのか第2モードで実行するのかを入力可能に構成されたモード選択部122を備え、モード設定部123は、作業データを実行するモードをモード選択部122で選択されたモードに決定する第1設定部123aを備えている。かかる構成によれば、カッティングを先に行うのか、印刷を先に行うのかをユーザーが選択することができ、使い勝手が向上する。
【0055】
さらに、本実施形態に係るプリンタ10は、作業データが第2モードで実行される場合には、データ送信部124が制御装置100に送信する作業データからクロップマークの印刷データを削除するクロップマーク設定部125を備えている。かかる構成によれば、第2モードのときにはクロップマークの印刷およびクロップマークに基づくカッティング位置の補正が行われないため、印刷およびカッティングに要する時間をさらに短縮できる。
【0056】
なお、本願発明者は、第2モードの場合、クロップマークに基づくカッティング位置の補正をしなくとも品質上問題のない印刷およびカッティングを行い得ることを確認している。詳しくは、画像とカット線との間の位置のずれが問題ないレベルの印刷およびカッティングを行い得ることを確認している。カッティング位置のずれの原因の1つは、印刷による媒体5の伸縮であり、カッティングを印刷よりも先に行う場合には、そのような媒体5の伸縮がカッティングに影響を及ぼすことはない。よって、カッティングが印刷よりも先に行われる場合には、クロップマークに基づくカッティング位置の補正をしなくとも品質上問題のない印刷およびカッティングを行うことが可能である。
【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態は、作業データに実行モードの指示が含まれており、それに基づいて実行モードを設定することができる実施形態である。第2実施形態に係るカッティングヘッド付きプリンタは上記点を除いて第1実施形態と共通である。そこで、共通する部材には同じ符号を付すこととし、重複する説明は、省略または簡略化する。
【0058】
図6は、第2実施形態に係るプリンタ10のブロック図である。図6に示すように、本実施形態に係るモード設定部123は、第1設定部123aの他に、第2設定部123bを備えている。
【0059】
本実施形態では、作業データには、作業データを第1モードで実行するのか第2モードで実行するのかを指示するコマンドが含まれている。第2設定部123bは、作業データを実行するモードを上記コマンドによって指示されたモードに決定するように設定されている。このコマンドは、明示的に実行モードを指示するコマンドであってもよい。また、印刷データとカッティングデータのうち、作業データ内に先に記入された方を先に実行することにしてもよい。コマンドの方式は、特に限定されない。
【0060】
本実施形態では、プリンタ10は、ユーザーが特に操作を行わなければ、第2設定部123bが働くように構成されている。そこで、作業データに含まれているモードが自動で実行モードに設定される。ユーザーが実行モードを変更したい場合には、ユーザーの操作により、第1設定部123aを機能させる。それにより作業データの実行モードを変更可能な状態にできる。ただし、第1設定部123aと第2設定部123bの選択方法はこれに限定されない。例えば、プリンタ10は、実行モードを自動設定とするかマニュアル設定とするかを予め選択するように構成されていてもよい。
【0061】
このように、第2実施形態は、作業データに含まれるコマンドに従って実行モードを決定することが可能に構成されている。かかるプリンタ10によれば、印刷およびカッティングの実行モードが自動で選択されるため、ユーザーの作業を軽減できる。
【0062】
以上、いくつかの好適な実施形態について説明した。しかし、上記した実施形態は例示に過ぎず、ここに開示する技術は他の種々の形態で実施することができる。
【0063】
例えば、上記した実施形態に係るカッティングヘッド付きプリンタは、ロール状に捲回された媒体に対して印刷およびカッティングを行うものであったが、これには限定されない。また、上記したカッティングヘッド付きプリンタの印刷ヘッドやカッティングヘッドの構成、両者を連結する連結部の構成、印刷ヘッドおよびカッティングヘッドを移動させる移動装置の構成などは、一例に過ぎない。カッティングヘッド付きプリンタの他の機械的な構成も、好適な1つの例示に過ぎず、ここに開示する技術を特に限定しない。
【0064】
その他、ここに記載された実施形態は、特に断らない限り、本発明を限定しない。
【符号の説明】
【0065】
5 媒体
10 カッティングヘッド付きインクジェットプリンタ
20 移動装置(第1移動装置、第2移動装置)
60 印刷ヘッド
70 カッティングヘッド
100 制御装置
101 バッファメモリ
102 印刷制御部
103 カッティング制御部
120 操作端末
121 データ記憶部
122 モード選択部
123 モード設定部
123a 第1設定部
123b 第2設定部
124 データ送信部
125 クロップマーク設定部(基準マーク設定部)
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6