(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】放電ランプ
(51)【国際特許分類】
H01J 65/00 20060101AFI20221130BHJP
H01J 61/35 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H01J65/00 E
H01J65/00 A
H01J61/35 F
(21)【出願番号】P 2018243103
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(72)【発明者】
【氏名】福田 剛士
(72)【発明者】
【氏名】両角 洋二
(72)【発明者】
【氏名】藤森 昭芳
(72)【発明者】
【氏名】金井 信夫
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-055965(JP,A)
【文献】特開平02-090452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 65/00
H01J 61/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電用ガスが封入された放電容器と、前記放電容器の一部を溶着により覆う被覆管と、前記放電容器の径方向で対向する一対の電極とを有し、少なくとも一方の電極が前記放電容器の外周面と前記被覆管の内周面との間に埋設されている放電ランプにおいて、
前記放電容器の放電空間を囲む軸方向範囲の一部には、前記放電容器と前記被覆管とを溶着したことにより軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚く形成された異径部を有
し、
前記放電容器の軸方向範囲の一部には、前記被覆管に覆われずに径方向に対して露出している露出部を有し、前記被覆管と前記異径部と前記露出部とによって連続する曲面を形成し、
前記被覆管の端部は、前記露出部に向かって径方向に薄くなるように形成し、前記被覆管の端部の内径は、前記被覆管の軸方向範囲の他の部分の内径と比較して大きく形成したことを特徴とする放電ランプ。
【請求項2】
前記異径部の最大外径は、前記被覆管の軸方向範囲の他の部分の外径と比較して大きく形成したことを特徴とする請求項
1に記載の放電ランプ。
【請求項3】
前記異径部の最小内径は、前記放電容器の放電空間を囲む軸方向範囲の部分の外径と比較して小さく形成したことを特徴とする請求項1
または2に記載の放電ランプ。
【請求項4】
前記異径部は、前記放電容器の軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚くした部分に、前記被覆管の端部を溶着することにより形成したことを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載の放電ランプ。
【請求項5】
前記被覆管と前記異径部と前記露出部は、紫外線を含む光に対して非透過性の被覆により覆われていることを特徴とする請求項
1乃至4のいずれかに記載の放電ランプ。
【請求項6】
前記被覆管の軸方向範囲の少なくとも一部は、導電性の被覆により覆われていることを特徴とする請求項
5に記載の放電ランプ。
【請求項7】
前記被覆管の軸方向範囲の少なくとも一部は、前記放電容器の外周面と前記被覆管の内周面との間に埋設されている電極に電気的に接続された給電線が接続された側において、絶縁性の被覆により覆われていることを特徴とする請求項
6に記載の放電ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体バリア放電、あるいは容量結合型高周波放電によって放電発光するエキシマランプ、外部電極型蛍光ランプなどの無電極型放電ランプに関し、特に、放電容器の信頼性を向上した細径のエキシマランプに関する。
【背景技術】
【0002】
放電容器の中心軸と同軸状に内側管を有し、放電空間で生じた紫外線を内側管の内側に照射する二重管構造のエキシマランプであり、放電容器の対向する両側面に一対の電極を配置し、一方の電極を外側管の管壁内部に埋設し、他方の電極を外側管外表面に配設した構造を有するエキシマランプがある(特許文献1)。
【0003】
放電容器の外周面に被覆管を溶着により一体として形成され、一対の電極の少なくとも一方の電極が放電容器の外周面と被覆管の内周面との間に埋設されている放電ランプにおいて、放電容器の外側面の一部は外側被覆管に覆われずに露出している構造を有するエキシマランプがある(特許文献2)。
【0004】
このようなエキシマランプにおいては、被覆管を溶着により一体として形成するときに、被覆管の端部まで一体として溶着することは困難であった。そのため、特許文献1に記載のように、被覆管の端部を溶着しない構成とすると、被覆管の端部と放電容器との間にクサビ状空隙が形成される。
【0005】
このクサビ状空隙を起点としたランプ破損の原因となるおそれがあり、エキシマランプの信頼性が損なわれるという問題があった。また、このクサビ状空隙に対しては、コーティングによる膜が形成されず、この部分から放射された紫外線により不要なオゾンが生成されるという問題があった。
【0006】
このようなクサビ状空隙を無くすために、特許文献2に記載のように、被覆管の端部を放電容器の最大径部よりも小さく成るように溶着して放電容器と一体としていた。しかしながら、このように加工するときに被覆管の端部を加熱縮径させると、併せて放電容器が加熱変形することで所望なランプ性能が得られなく、エキシマランプの信頼性が損なわれるという問題があった。ここで、放電容器の変形をおそれて十分に加熱溶着させないと、微小なクサビ状空隙が残ってしまい、被覆管の端部付近を起点としたランプ破損や絶縁破壊(異常放電)の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-146295号公報
【文献】特開2018-055965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記問題点に鑑みて、この発明が解決しようとする課題は、外周面が被覆管に覆われている二重管構造を有するエキシマランプの放電容器の変形を防ぎながらも、ランプ破損や絶縁破壊の起点となる微小なクサビ状空隙を無くすために、十分に加熱して溶着できる放電容器としたエキシマランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による放電ランプは、放電用ガスが封入された放電容器と、放電容器の一部を溶着により覆う被覆管と、放電容器の径方向で対向する一対の電極とを有し、少なくとも一方の電極が放電容器の外周面と被覆管の内周面との間に埋設されている放電ランプであって、放電容器の放電空間を囲む軸方向範囲の一部には、放電容器と被覆管とを一体とを溶着したことにより軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚く形成された異径部を有することにより、放電容器の変形を防ぎながらも、ランプ破損や絶縁破壊の起点となる微小なクサビ状空隙を無くすために、十分に加熱して溶着できる放電容器を有する放電ランプとすることができる。
【0010】
放電容器の軸方向範囲の一部には、被覆管に覆われずに径方向に対して露出している露出部を有し、被覆管と異径部と露出部とによって連続する曲面を形成したことにより、被覆管と異径部と露出部との間において、ランプ破損や絶縁破壊の起点となる微小なクサビ状空隙を無くした放電容器を有する放電ランプとすることができる。
【0011】
異径部の最大外径は、被覆管の軸方向範囲の他の部分の外径と比較して大きく形成したことで、放電容器の変形を防ぎながらも、十分に加熱溶着できる放電容器を有する放電ランプとすることができる。
【0012】
異径部の最小内径は、放電容器の放電空間を囲む軸方向範囲の部分の外径と比較して小さく形成したことで、放電容器の変形を防ぎながらも、十分に加熱溶着できる放電容器を有する放電ランプとすることができる。
【0013】
異径部は、放電容器の軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚くした部分に、被覆管の端部を溶着することにより形成したことにより、放電容器の変形を防ぎながらも、十分に加熱溶着できる放電容器を有する放電ランプとすることができる。
【0014】
被覆管の端部は、露出部に向かって径方向に薄くなるように形成し、被覆管の端部の内径は、被覆管の軸方向範囲の他の部分の内径と比較して大きく形成したことにより、ランプ破損や絶縁破壊の起点となる微小なクサビ状空隙を無くした放電容器を有する放電ランプとすることができる。
【0015】
被覆管と異径部と露出部は、紫外線を含む光に対して非透過性の被膜により覆われていることにより、クサビ状空隙を無くした放電容器に紫外線非透過性の被膜を形成することで、オゾン生成を防いだ放電ランプとすることができる。
【0016】
被覆管の軸方向範囲の少なくとも一部は、導電性の被覆により覆われていることにより、外部電極を兼ねた紫外線非透過性の被膜を形成した放電ランプとすることができる。
【0017】
被覆管の軸方向範囲の少なくとも一部は、放電容器の外周面と被覆管の内周面との間に埋設されている電極に電気的に接続された給電線が接続された側において、絶縁性の被覆により覆われていることにより、埋設されている電極(内側電極)に電気的に接続された給電線と、導電性被覆(外側電極)との間での絶縁破壊(異常放電)を防止した放電ランプとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
二重管構造を有するエキシマランプにおいて、被覆管の端部付近を起点としたランプ破損を防止することにより、信頼性が改善されたエキシマランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態であるエキシマランプの概略的外観図である。
【
図2】第1の実施形態であるエキシマランプの軸方向の概略的断面図である。
【
図3】第1の実施形態であるエキシマランプの径方向の概略的断面図である。
【
図4】第2の実施形態であるエキシマランプの軸方向の概略的断面図である。
【
図5】第2の実施形態であるエキシマランプの径方向の概略的断面図である。
【
図6】第3の実施形態であるエキシマランプの軸方向の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、
図1~
図3を参照して第1の実施形態であるエキシマランプについて説明する。
図1は、エキシマランプの概略的外観図である。
図2は、エキシマランプの軸方向の概略的断面図であり、
図3は、エキシマランプの径方向の概略的断面図である。
【0021】
図1~3において、放電ランプであるエキシマランプ1の放電容器10は、石英ガラスなどの誘電材料からなる外側管12の両端を溶融封止することにより、放電空間Sを形成する。
【0022】
放電容器10の放電空間Sを囲む軸方向範囲の一部には、下記にて記載する被覆管20と溶着する軸方向端部(露出部13側の端部)側に溶着端部12Bを設ける。溶着端部12Bは、放電容器の軸方向範囲の他の部分と比較して内径を小さくすることで、放電容器の径方向に厚い部分であって、放電容器の内周面と連続する曲面を形成する。
【0023】
放電容器10の外部と放電空間Sとを空間的に接続する導入管15を設けて、放電容器10(放電空間S)内を真空引きして不純物を除去する。その後、放電容器10の内部に放電用ガスを封入して、導入管15を加熱溶融することで放電容器10内を気密封止する。
【0024】
放電空間Sには、Xeなどの希ガス、もしくは希ガスとハロゲンガスとの混合ガスが放電用ガスとして封入される。放電用ガスの封入圧は、例えば5kPa~150kPaに定められる。本実施形態においては、放電用ガスとしてXeガスを封入した。
【0025】
被覆管20は、放電容器10の外径に導入管15の高さを加えた最大外径のよりも大きい内径の石英ガラスからなる管状部材を同軸状に加熱縮径させることで、放電容器10の一部である外側管12の外周面と一体として溶着している。放電容器10の他の軸方向範囲の一部は被覆管20に覆われず、径方向に対して露出した露出部13を形成している。
【0026】
ここで、被覆管20と溶着する放電容器の軸方向端部である溶着端部12Bと、被覆管の端部20Bとを溶着させることにより異径部16が形成される。放電容器の溶着端部12Bは、放電容器10(外側管12)の軸方向範囲の他の部分と比較して内径が小さい(径方向に厚い)部分であるので、被覆管の端部20Bを加熱縮径させるときに、放電容器10(外側管12)が加熱変形することを防止することができる。
【0027】
更に、異径部16は、放電容器の溶着端部12Bと被覆管の端部20Bの形状に応じて、その内径や外径の径方向厚さが軸方向に沿って連続的に変化している部分である。その結果、被覆管20と異径部16と露出部13とによって連続する曲面が形成される。このような連続する曲面を形成することで、被覆管の端部と放電容器との間にクサビ状空隙が形成されることを防止できる。
【0028】
被覆管20と溶着する放電容器の溶着端部12Bは、放電容器10の軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚くした部分であるので、放電容器の溶着端部12Bと一体と成るように溶着することで、放電容器が加熱変形することを防いで、被覆管の端部と放電容器との間にクサビ状空隙が形成されることを防止できる。
【0029】
第1電極31と第2電極32は、モリブデン材からなる箔状の電極であり、被覆管20を加熱縮径させて外側管12と溶着して一体となることで、外側管12の外周面と被覆管20の内周面との間の管壁内部に埋設される。第1電極31と第2電極32の一方の端には、それぞれ第1給電線41と第2給電線42が電気的に接続され、被覆管20の外部に取り出されている。他方の端は、完全に管壁内部に埋め込まれて終端している。
【0030】
第1給電線41と第2給電線42は、交流高電圧電源(図示せず)に電気的に接続されており、エキシマランプ1に電力が供給される。第1電極31と第2電極32が管壁内部に埋め込まれていることで、放電容器10の外部であって、第1電極31と第2電極32との間で絶縁破壊することを防ぐ。
【0031】
ここで、放電容器の軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚く(内径を小さく)形成した溶着端部(12B)と被覆管の端部20Bとを溶着させることにより、微小なクサビ状空隙が残留することが無いので、絶縁破壊の防止に対する信頼性を向上することができる。
【0032】
第1電極31と第2電極32との間に高周波高電圧が印加されると、誘電体(外側管12)を介して、第1電極31と第2電極32とが対向しているランプ軸方向範囲(有効発光領域)の放電空間Sにて放電が発生する。放電によって生じた紫外線は、外側管12と被覆管20とを透過して、エキシマランプ1の外部に放出される。
【0033】
放電が発生すると、所定スペクトルのエキシマ光が放射される。例えば、放電用ガスがXeガスでは172nm、Arガスでは126nm、Krガスでは146nm、ArBrガスでは165nm、ArFガスでは193nm、KrClガスでは222nm、XeIガスでは253nm、XeClガスでは308nm、XeBrガスでは283nm、KrBrガスでは207nmの波長を含む紫外線が放射される。
【0034】
このように、放電容器の放電空間を囲む軸方向範囲の一部には、放電容器と被覆管とを一体と成るように溶着したことにより、軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚く形成された異径部を有することで、放電容器の変形を防ぎながらも、ランプ破損や絶縁破壊の起点となる微小なクサビ状空隙を無くすために、十分に加熱溶着できる放電容器とした放電ランプを提供することができる。
【0035】
以下、
図4と
図5を参照して第2の実施形態であるエキシマランプについて説明する。
図4は、エキシマランプの軸方向の概略的断面図であり、
図5は、エキシマランプの径方向の概略的断面図である。
【0036】
図4と
図5において、放電ランプであるエキシマランプ101の放電容器110は、石英ガラスなどの誘電材料からなる外側管112の両端を縮径して、石英ガラスなどの誘電材料からなる内側管111に対して封止部114A,114Bにおいて溶融封止することにより、放電空間Sを形成する。内側管111の内側(中空部分)には、被照射体である内側流体(図示せず)が配設される。放電容器110の一部である外側管112には、大径部113Aと小径部113Bを設ける。
【0037】
放電容器110(大径部113A)の放電空間Sを囲む軸方向範囲の一部には、下記にて記載する被覆管120と溶着する部分であって、その小径部113B(露出部)側の端部である溶着端部112Bを設ける。溶着端部112Bは、大径部113Aよりも更に外径を大きくすることで、放電容器の軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚い部分であって、大径部113Aと小径部113Bとで連続する曲面を形成する。
【0038】
小径部113Bには、放電容器の外部と放電空間Sとを空間的に接続する導入管115を設けて、放電容器110(放電空間S)内を真空引きして不純物を除去する。その後、放電容器110の内部に放電用ガスを封入して、導入管115を加熱溶融することで放電容器110内を気密封止する。
【0039】
被覆管120は、放電容器110の外径よりも大きい内径の石英ガラスからなる管状部材を、外側管112と同軸状に加熱縮径させることで、大径部113Aの外周面の少なくとも一部に一体として溶着している。小径部113Bは被覆管120に覆われず、径方向に対して露出した露出部113を形成している。
【0040】
ここで、被覆管120と溶着する放電容器110の軸方向端部である溶着端部112Bと、被覆管の端部120Bとを溶着させることにより異径部116が形成される。放電容器の溶着端部112Bは、放電容器110(大径部113A)の軸方向範囲の他の部分と比較して外径が大きい(径方向に厚い)部分であるので、被覆管の端部120Bを加熱縮径させるときに、放電容器110(大径部113Aや小径部113B)が加熱変形することを防止することができる。
【0041】
異径部116は、放電容器の溶着端部112Bと被覆管の端部120Bの形状に応じて、その内径や外径や径方向厚さが軸方向に沿って連続的に変化している部分である。その結果、被覆管120と異径部116と小径部(露出部)113Bとによって連続する曲面が形成される。このような連続する曲面を形成することで、被覆管の端部と放電容器との間にクサビ状空隙が形成されることを防止できる。
【0042】
異径部116の外径は、外径が大きい部分である溶着端部112Bに対して、被覆管の端部120Bを溶着させるので、被覆管120の軸方向範囲の他の部分の外径と比較して大きく形成される。
【0043】
被覆管の端部120Bと溶着する放電容器の溶着端部112Bは、放電容器110(大径部113Aや小径部113B)の軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚くした部分であるので、放電容器の溶着端部112Bと一体と成るように溶着することで、放電容器が加熱変形することを防いで、被覆管の端部と放電容器との間にクサビ状空隙が形成されることを防止できる。
【0044】
更に、放電容器の溶着端部112Bと溶着した被覆管の端部120Bは、小径部113B(露出部)に向かって径方向に薄くなるように形成し、このときの被覆管の端部120Bの内径は被覆管の軸方向範囲の他の部分と比較して大きく形成することで、被覆管の端部と放電容器との溶着を強固にして、クサビ状空隙が形成されることを防止できる。
【0045】
内側電極131は、モリブデン材からなる箔状の電極である。内側電極131は、被覆管120を加熱縮径させて外側管112と一体となることで、外側管112の外周面と被覆管120の内周面との間の管壁内部に埋設される。内側電極131の一方の端には内側給電線141が電気的に接続され、被覆管120の外部に取り出されている。他方の端は、完全に被覆管120の管壁内部に埋め込まれて終端している。
【0046】
外側電極(図示せず)は、アルミニウム材からなる膜状の電極である。放電容器の小径部113Bにおいては、外側電極を設けない。放電容器の大径部113Aにおいては、外側電極が被覆管120の全周にわたって設けられている。
【0047】
ここで、放電空間Sにて発生した放電から放射される紫外線を内側管111の内側(中空部分)に照射し、放電容器の外側には照射したくないときには、外側電極は、内側管111と溶着した封止部114B、外側管の小径部113B、導入管115、異径部116、被覆管120の全周にわたって設けることで、漏れ出た紫外線による不要なオゾンの生成などを防ぐことができる。
【0048】
内側給電線141が取り出されている部分からは隔離して外側電極を設けることで、外側電極と内側給電線141(内側電極131)との絶縁破壊を防ぐ。ここで、被覆管120の内側給電線141が外部に取出されている側に対して、更に絶縁性の被覆(絶縁チューブ150)により覆うことで、絶縁破壊を防ぐ効果を高めることができる。
【0049】
外側電極には、円周方向に巻き付けられた円筒状の給電部材143を介して外側給電線142が電気的に接続されている。給電部材143は、被覆管の軸方向範囲の他の部分と比較して大きく形成された被覆管の端部120Bと絶縁チューブ150との間に挟まれて配設していることで、軸方向に対して抜け落ちることを防止できる。
【0050】
内側給電線141と外側給電線142は、交流高電圧電源(図示せず)に電気的に接続されており、エキシマランプ101に電力が供給される。内側電極131が被覆管120により管壁内部に埋め込まれていることで、放電容器110の外部であって、内側電極131と外側電極との間で絶縁破壊することを防ぐ。
【0051】
ここで、放電容器(外側管の大径部113A)の軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚く(外径を大きく)形成した溶着端部112Bと被覆管の端部120Bとを溶着させることにより、微小なクサビ状空隙が残留することが無いので、絶縁破壊の防止に対する信頼性を向上することができる。
【0052】
内側電極131と外側電極との間に高周波高電圧が印加されると、誘電体(外側管112と被覆管120)を介して、内側電極131と外側電極とが対向しているランプ軸方向範囲(有効発光領域)の放電空間Sにて放電が発生する。放電によって生じた紫外線は、内側管111の内側(中空部分)に配設した、内側流体(第1の被照射体)に照射される。
【0053】
ここで、エキシマランプ101の外側電極の周方向の一部にスリット状の開口部を設けたり、網目状の開口部を有する外側電極を用いたりすることで、放電によって生じた紫外線は、外側管112と外側電極の開口部と被覆管120を透過して、エキシマランプの径方向外側に配設した外側流体(第2の被照射体)や点灯検知装置に照射してもよい。
【0054】
以下、
図6を参照して第3の実施形態であるエキシマランプについて説明する。
図6は、エキシマランプの軸方向の概略的断面図である。なお、第2の実施形態と共通する構成については説明を省略する。
【0055】
図6において、放電ランプであるエキシマランプ201の放電容器210の一部である外側管212には、大径部213Aと小径部213Bを設ける。放電容器210(大径部213A)の放電空間Sを囲む軸方向範囲の一部には、下記にて記載する被覆管220と溶着する部分であって、その小径部213B(露出部)側の端部である溶着端部212Bを設ける。溶着端部212Bは、大径部213Aよりも内径を小さくし、小径部213Bよりも外径を大きくすることで、放電容器の軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚い部分であって、大径部213Aと小径部213Bとで連続する曲面を形成する。
【0056】
被覆管220と溶着する放電容器210の軸方向端部である溶着端部212Bと、被覆管の端部220Bとを溶着させることにより異径部216が形成される。放電容器の溶着端部212Bは、放電容器の小径部213Bと比較して外径が大きく、大径部213Aと比較して内径が小さい(径方向に厚い)部分であるので、被覆管の端部220Bを加熱縮径させるときに、放電容器210(大径部213Aや小径部213B)が加熱変形することを防止することができる。
【0057】
異径部216は、放電容器の溶着端部212Bと被覆管の端部220Bの形状に応じて、その内径や外径や径方向厚さが軸方向に沿って連続的に変化している部分である。その結果、被覆管220と異径部216と小径部(露出部)213Bとによって連続する曲面が形成される。このような連続する曲面を形成することで、被覆管の端部と放電容器との間にクサビ状空隙が形成されることを防止できる。
【0058】
被覆管の端部220Bと溶着する放電容器の溶着端部212Bは、放電容器210(大径部213Aや小径部213B)の軸方向範囲の他の部分と比較して径方向に厚くした部分であるので、放電容器の溶着端部212Bと一体と成るように溶着することで、放電容器が加熱変形することを防いで、被覆管の端部と放電容器との間にクサビ状空隙が形成されることを防止できる。
【0059】
その他で実施形態2と共通する構成は説明を省略するが、同様のエキシマランプを提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
1、101、201 エキシマランプ
10、110、210 放電容器
111、211 内側管
12、112、212 外側管
13、113、213 露出部
113A、213A 大径部
113B、213B 小径部
114A、114B、214A、214B 封止部
15、115、215 導入管
16、116、216 異径部
20、120、220 被覆管
31、131、231 電極(内側電極、第1電極)
41、141、241 給電線(内側給電線、第1給電線)
42、142 給電線(外側給電線、第2給電線)
150、250 絶縁チューブ