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特許7185525マイクロ流体カートリッジのためのシステムおよびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】マイクロ流体カートリッジのためのシステムおよびデバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20221130BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2018527861
(86)(22)【出願日】2016-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-01-10
(86)【国際出願番号】 US2016063421
(87)【国際公開番号】W WO2017091625
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-07-01
(31)【優先権主張番号】62/260,052
(32)【優先日】2015-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518182955
【氏名又は名称】スペクトラダイン リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】クレランド アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】フライキン ジャン‐リュック
(72)【発明者】
【氏名】メインホールド ピーター
(72)【発明者】
【氏名】モンゾン フランクリン
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/078115(WO,A1)
【文献】特開2009-128057(JP,A)
【文献】特開2011-252768(JP,A)
【文献】国際公開第2015/038767(WO,A1)
【文献】特開平05-240872(JP,A)
【文献】特表2010-506136(JP,A)
【文献】国際公開第2012/124449(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00- 1/44
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体容積部への接続のための1つまたは複数の開口部、および、
成形ポリマーの異なる領域において異なる高さを有するパターン
を含む、該成形ポリマーと、
平坦面と
を含む、流体試料における粒子の存在を検出するためのマイクロ流体カートリッジであって、
該成形ポリマーの該異なる領域において異なる高さを有するパターンにより、マイクロ流体回路における異なる流体容積部のための異なる領域において異なる高さを有する該マイクロ流体カートリッジにおける該マイクロ流体回路が得られるように、該成形ポリマーは該平坦面に結合され、
該異なる領域において異なる高さを有するパターンは、該マイクロ流体回路における流れインピーダンスを大きく低減させるために、1つまたは複数の大きい高さのパターンを有するように構成され
流体試料が、他の流体に接触する前に分析領域を通過する、
前記マイクロ流体カートリッジ。
【請求項2】
前記平坦面が1つまたは複数の電極を更に含む、請求項1記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項3】
前記1つまたは複数の開口部が、気体接続および/または流体接続を提供する、請求項1記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項4】
前記成形ポリマーが成形有機ポリマーである、請求項1記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項5】
前記平坦面がガラス面を含む、請求項1記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項6】
前記1つまたは複数の開口部が、接続された機器中にカートリッジを装填する前にカートリッジに流体を導入するように適合される、請求項1記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項7】
流体のための異なる開放容積部に適したマイクロ流体カートリッジ領域を更に含む、請求項1記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項8】
同じまたは異なる試料を用いた前記カートリッジの複数の使用を可能にするように適合される、請求項1記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項9】
流体容積部が、マイクロ流体容積部を含む、請求項1記載のマイクロ流体カートリッジ。
【請求項10】
ターン形成された微細加工チップをモールドに入れる工程であって、該微細加工チップは、異なる領域において異なる高さを有するパターンを含む、該工程;ならびに
異なる領域において異なる高さを有するパターンを有する成形ポリマーを形成するために、液体形態および/または形状に従う他の形態の材料をモールドに充填する工程
により、成形ポリマーを作製することと、
該異なる領域において異なる高さを有するパターンにより、マイクロ流体回路における異なる流体容積部のための異なる領域において異なる高さを有するマイクロ流体カートリッジにおける該マイクロ流体回路が得られるように、該成形ポリマーを平坦面に結合することと、
を含む、マイクロ流体カートリッジを調製する方法であって、
異なる領域において異なる高さを有するパターンは、該マイクロ流体回路において流れインピーダンスを大きく低減させるために、1つまたは複数の大きい高さのパターンを有するように構成される、
前記方法。
【請求項11】
前記材料が有機ポリマーである、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記材料が、熱硬化および/または時間硬化される、請求項10記載の方法。
【請求項13】
パターン形成された微細加工チップが、シリコンベースから作製される、請求項10記載の方法。
【請求項14】
流体容積部への接続のための1つまたは複数の開口部、および、
成形ポリマーの異なる領域において異なる高さを有するパターン
を含む、該成形ポリマーと、
平坦面
を含むマイクロ流体カートリッジ提供する工程
む、流体試料における粒子の存在を検出する方法であって、
該成形ポリマーの該異なる領域において異なる高さを有するパターンにより、マイクロ流体回路における異なる流体容積部のための異なる領域において異なる高さを有する該マイクロ流体カートリッジにおける該マイクロ流体回路が得られるように、該成形ポリマーは該平坦面に結合され、
該異なる領域において異なる高さを有するパターンは、該マイクロ流体回路における流れインピーダンスを大きく低減させるために、1つまたは複数の大きい高さのパターンを有するように構成され
該流体試料が、他の流体に接触する前に分析領域を通過する、
前記法。
【請求項15】
前記試料が、マイクロ粒子および/またはナノ粒子を含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記試料が生物学的試料である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記マイクロ流体カートリッジが、パターン形成された金属電極を更に含む、請求項14記載の方法。
【請求項18】
パターン形成された金属電極が、カートリッジのいくつかの部分においてマイクロ流体容積部と接触し、かつパターン形成された金属電極が、カートリッジの残りの部分においてマイクロ流体容積部と接触しない、請求項17記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一般に、ナノ技術に関し、より詳細には、マイクロ流体機器および分析のためのシステムおよびデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
本明細書におけるすべての刊行物は、各々個別の刊行物または特許出願が参照により組み込まれるよう、特に個別に指示されるのと同程度に参照により組み込まれる。以下の説明は、本発明の理解の際に有用であり得る情報を含む。本明細書において提供される情報のいずれかが先行技術であるかもしくは請求項にかかる本発明に関係があること、または特にもしくは黙示的に言及された任意の刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0003】
合成ナノ粒子の用途としては、化粧品、太陽光発電、およびナノ医療が挙げられる。天然に存在するマイクロ粒子およびナノ粒子は重要な生理学的プロセスを仲介し、約50~150nmの直径を有する致死ウイルスは毎年数百万の人々を殺生する。しかしながら、このサイズ範囲の粒子を検出して特徴づけることが可能な実践的なツールを欠くため、ナノ粒子の実践的な開発および使用は著しく制限される。したがって、ナノ粒子分析のための新規で効果的な方法および関連した機器の当技術分野における必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
開示の概要
本開示の態様は、平坦面に結合された成形ポリマーを含むマイクロ流体カートリッジを含み、この成形ポリマーは、流体容積部への接続のための1つまたは複数の開口部を含む。一態様では、マイクロ流体カートリッジは、微細加工チップを更に含む。一態様では、平坦面は1つまたは複数の電極を更に含む。一態様では、1つまたは複数の接続は、気体接続および/または流体接続を提供する。一態様では、成形ポリマーは成形有機ポリマーである。一態様では、平坦面はガラス面を含む。一態様では、1つまたは複数の開口部は、接続された機器への接触無しにカートリッジに流体を導入するように適合される。一態様では、マイクロ流体カートリッジは、流体のための異なる開放容積部を有するマイクロ流体カートリッジ領域を更に含む。一態様では、カートリッジは、同じまたは異なる試料を用いた複数の使用を可能にする。一態様では、流体容積部は、マイクロ流体容積部を含む。一態様では、マイクロ流体カートリッジは、本明細書において図1~5によって説明される。
【0005】
本開示の態様はまた、パターン形成された微細加工チップをモールドに入れる工程;および液体形態または形状に従う他の形態の材料をモールドに充填する工程を含む、マイクロ流体カートリッジを調製する方法を含む。一態様では、パターン形成された微細加工チップは、高度リソグラフィ技術を使用してパターン形成される。一態様では、材料は有機ポリマーである。一態様では、材料は、熱硬化および/または時間硬化される。一態様では、パターン形成された微細加工チップはシリコンベースから作製される。一態様では、モールドは、本明細書において図6によって説明される。
【0006】
本開示の態様は、平坦面に結合された成形ポリマーを含むマイクロ流体カートリッジを提供する工程;およびマイクロ流体カートリッジを使用して試料を分析する工程を含む、粒子を含む試料を分析する方法を更に含み、該成形ポリマーは、流体容積部への接続のための1つまたは複数の開口部を含む。一態様では、試料は、マイクロ粒子および/またはナノ粒子である。一態様では、試料は生物学的試料である。一態様では、マイクロ流体カートリッジは、パターン形成された金属電極を更に含む。一態様では、パターン形成された金属電極は、カートリッジのいくつかの部分においてマイクロ流体容積部と接触し、かつパターン形成された金属電極は、カートリッジの残りの部分においてマイクロ流体容積部と接触しない。
[本発明1001]
平坦面に結合された成形ポリマー
を含み、該成形ポリマーが、流体容積部への接続のための1つまたは複数の開口部を含む、
マイクロ流体カートリッジ。
[本発明1002]
微細加工チップを更に含む、本発明1001のマイクロ流体カートリッジ。
[本発明1003]
平坦面が1つまたは複数の電極を更に含む、本発明1001のマイクロ流体カートリッジ。
[本発明1004]
前記1つまたは複数の接続が、気体接続および/または流体接続を提供する、本発明1001のマイクロ流体カートリッジ。
[本発明1005]
前記成形ポリマーが成形有機ポリマーである、本発明1001のマイクロ流体カートリッジ。
[本発明1006]
平坦面がガラス面を含む、本発明1001のマイクロ流体カートリッジ。
[本発明1007]
前記1つまたは複数の開口部が、接続された機器への接触無しにカートリッジに流体を導入するように適合される、本発明1001のマイクロ流体カートリッジ。
[本発明1008]
流体のための異なる開放容積部を有するマイクロ流体カートリッジ領域を更に含む、本発明1001のマイクロ流体カートリッジ。
[本発明1009]
同じまたは異なる試料を用いた複数の使用を可能にするように適合される、本発明1001のマイクロ流体カートリッジ。
[本発明1010]
流体容積部が、マイクロ流体容積部を含む、本発明1001のマイクロ流体カートリッジ。
[本発明1011]
本明細書において図1~5によって説明される、本発明1001のマイクロ流体カートリッジ。
[本発明1012]
パターン形成された微細加工チップをモールドに入れる工程;ならびに
液体形態および/または形状に従う他の形態の材料をモールドに充填する工程
を含む、マイクロ流体カートリッジを調製する方法。
[本発明1013]
パターン形成された微細加工チップが、高度リソグラフィ技術を使用してパターン形成される、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記材料が有機ポリマーである、本発明1012の方法。
[本発明1015]
前記材料が、熱硬化および/または時間硬化される、本発明1012の方法。
[本発明1016]
パターン形成された微細加工チップが、シリコンベースから作製される、本発明1012の方法。
[本発明1017]
前記モールドが、本明細書において図6によって説明される、本発明1012の方法。
[本発明1018]
粒子を含む試料を分析する方法であって、
平坦面に結合された成形ポリマーを含むマイクロ流体カートリッジを提供する工程;および
該マイクロ流体カートリッジを使用して該試料を分析する工程
を含み、
該成形ポリマーが、流体容積部への接続のための1つまたは複数の開口部を含む、
前記粒子を含む試料を分析する方法。
[本発明1019]
前記試料が、マイクロ粒子および/またはナノ粒子を含む、本発明1018の方法。
[本発明1020]
前記試料が生物学的試料である、本発明1018の方法。
[本発明1021]
前記マイクロ流体カートリッジが、パターン形成された金属電極を更に含む、本発明1018の方法。
[本発明1022]
パターン形成された金属電極が、カートリッジのいくつかの部分においてマイクロ流体容積部と接触し、かつパターン形成された金属電極が、カートリッジの残りの部分においてマイクロ流体容積部と接触しない、本発明1021の方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
例示的な態様が、参照図に示される。本明細書において開示される態様および図は、制限的ではなく、例示的とみなされるべきであることが意図される。
【0008】
図1】本明細書における態様に従った、電極構成の一例を図示する。モールドポリマー102およびチップ104の概略が示される。一態様では、チップ104はガラス製である。
図2】本明細書における態様に従った、移行部クロスオーバーの詳細を図示する。一態様では、接触電極110、およびマイクロ流体カートリッジにおける電極移行部クロスオーバーの詳細108が示される。上に重ねた成形ポリマー102の端部が、破線で示される。
図3】本明細書における態様に従った、可融リンクの詳細を図示し、可融リンク112に対する電極110の接触を示す。
図4】本明細書における態様に従った、カートリッジの一例を図示する。(A)カートリッジの上面透視図;および(B)カートリッジの側面透視図。図4(a)は、シールリング116、貯蔵容器118、ポート120、および電極110の位置を示す。図4(b)は、シールリング116および貯蔵容器118の位置を示す。
図5】本明細書における態様に従った、カートリッジの一例を図示する。図は、可能なカートリッジ厚寸法のさまざまな例および実施例を実証する。この態様では、流体抵抗器側のバッファ124、ナノ狭窄側のバッファ126、流体出入ポート120、分析物流入ポート134、分析物排出ポート136、流体の一次流132、粒子検出流138、ナノ狭窄122、および流体抵抗器130が示される。
図6】本明細書における態様に従った、モールド140の一例を図示し、機械加工インサート142、微細加工インサート144、インサート支持体146、インサート支持バネ148、注入管150、および柱152を例示する。一態様では、モールドは、本明細書において説明されるさまざまなマイクロ流体デバイスおよび機器と連動して使用され得る。
【0009】
本発明の他の特徴および利点は、本発明のさまざまな態様を例として示す添付の図面と関連して説明される、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の説明
本明細書において引用されるすべての参照文献は、あたかもすべて記載されているかのようにその全体が参照により組み込まれる。別途定めのない限り、本明細書において使用される技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって共通に理解される意味と同じ意味を有する。Hornyak, et al., Introduction to Nanoscience and Nanotechnology, CRC Press (2008);Singleton et al., Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 3rd ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 2001);March, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 7th ed., J. Wiley & Sons (New York, NY 2013);およびSambrook and Russel, Molecular Cloning: A Laboratory Manual 4th ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (Cold Spring Harbor, NY 2012)は、本出願において使用される用語の多くに対する一般的な指針を当業者に提供する。当業者は、本発明の実施に使用もできる、本明細書において説明されるものと類似または同等の多くの方法および材料を認識するであろう。実際、本発明は、説明される方法および材料に決して限定されない。
【0011】
本明細書において開示されるように、発明者らは、平坦面に結合された成形ポリマーを含み、該成形ポリマーが、流体容積部への接続のための1つまたは複数の開口部を含む、マイクロ流体カートリッジを開発した。成形ポリマー102の概略は、図1に例示される。一態様では、マイクロ流体カートリッジは、微細加工チップ104を更に含む。一態様では、平坦面は1つまたは複数の電極110を更に含む。一態様では、前記1つまたは複数の接続は、気体接続および/または流体接続を提供する。一態様では、成形ポリマーは成形有機ポリマーである。一態様では、平坦面はガラスである。一態様では、1つまたは複数の開口部は、接続された機器への接触無しにカートリッジに流体を導入するように適合される。一態様では、マイクロ流体カートリッジは、流体のための異なる開放容積部を有するマイクロ流体カートリッジ領域を更に含む。一態様では、カートリッジは、同じまたは異なる試料を用いた複数の使用を可能にする。一態様では、流体容積部は、マイクロ流体容積部を含む。一態様では、マイクロ流体カートリッジは、本明細書において図1~5によって説明される。
【0012】
一態様では、パターン形成された微細加工チップ104をモールドに入れる工程;および液体形態または形状に従う他の形態の材料をモールドに充填する工程を含む、マイクロ流体カートリッジを調製する方法が、本明細書において開示される。一態様では、パターン形成された微細加工チップ104は、高度リソグラフィ技術を使用してパターン形成される。一態様では、材料は有機ポリマーである。一態様では、材料は、熱硬化および/または時間硬化される。一態様では、パターン形成された微細加工チップ104はシリコンベースから作製される。一態様では、モールドは、本明細書において図6によって説明される。
【0013】
一態様では、平坦面に結合された成形ポリマーを含むマイクロ流体カートリッジを提供する工程;およびマイクロ流体カートリッジを使用して試料を分析する工程を含み、該成形ポリマーが、流体容積部への接続のための1つまたは複数の開口部を含む、粒子を含む試料を分析する方法が、本明細書において開示される。一態様では、試料は、マイクロ粒子および/またはナノ粒子である。一態様では、試料は生物学的試料である。一態様では、マイクロ流体カートリッジは、パターン形成された金属電極110を更に含む。一態様では、パターン形成された金属電極110は、カートリッジのいくつかの部分においてマイクロ流体容積部と接触し、かつパターン形成された金属電極110は、カートリッジの残りの部分においてマイクロ流体容積部と接触しない。
【0014】
一態様では、図1は、モールドポリマー102およびチップ104の概略を例示する。一態様では、図2は、接触電極110、および本明細書において開示されるマイクロ流体カートリッジにおける電極移行部クロスオーバーの詳細108を例示する。上に重ねた成形ポリマー102の端部は、破線で例示される。一態様では、図3は、可融リンク112に対する電極110の接触を開示する。図4(a)は、本明細書において開示されるカートリッジの別の態様を例示する。この態様では、シールリング116、貯蔵容器118、ポート120および電極110の位置が開示される。図4(b)は、カートリッジの別の態様を例示し、シールリング116および貯蔵容器118の位置を開示する。図5は、可能なカートリッジの厚さの実例を提供する。この態様では、流体抵抗器側のバッファ124およびナノ狭窄側のバッファ126が示される。流体出入ポート120ならびに分析物流入ポート134および分析物排出ポート136もまた、例示される。この態様のための流体の一次流132、粒子検出流138、ナノ狭窄122、および流体抵抗器130が、図5に例示される。図5は、可能なカートリッジ厚寸法のさまざまな例および実施例を更に実証する。図6は、マイクロ流体カートリッジのモールド140、機械加工インサート142、微細加工インサート144、インサート支持体146、インサート支持バネ148、注入管150、および柱152を例示する。
【0015】
本明細書におけるさまざまな態様では、本開示は、モールド140を使用してマイクロ流体カートリッジを調製する方法を提供する。例えば、一態様では、本開示は、微細加工インサート144を使用してマイクロ流体デバイスを成形する方法を提供する。一態様では、本開示は、例えば、一部構成もしくは複部構成有機ポリマー、例えば、または熱硬化および/もしくは時間硬化する他の材料を使用して、マイクロ流体カートリッジを加工する方法を提供する。液体形態の材料が、モールド140を充填するために使用され、モールド140は、この実施態様では、例えば高度リソグラフィ技術を使用してそれ自体パターン形成される微細加工チップ104を含む。別の態様では、チップ104は、シリコンベース、またはこのリソグラフィ技術に適合する他の材料から作製することができる。別の態様では、チップ104は、金属モールド140とは別にパターン形成される。別の態様では、チップ104のパターン形成が完了した後、その特徴が硬化した有機ポリマーまたは他の材料において再現可能であるように、チップ104がモールド140に入れられシールされる。したがって、硬化した有機ポリマーまたは他の材料は、例えば、モールド140および挿入された微細加工チップ104におけるすべての特徴を正確に再現する。
【0016】
別の態様では、本開示は、マイクロ流体容積部に対する気体接続および/または流体接続のための成形開口部を提供する。例えば、一態様では、有機ポリマーを形成するために使用される機械加工されたモールド140は、硬化したポリマーにおける開口部またはポート120を形成するために使用される機械加工またはそうでなければパターン形成された1つまたは複数の柱を含み、機器から、ポリマーに同時にパターン形成されたマイクロ流体容積部への、流体または気体の導入を可能にする。別の実施態様では、これらの開口部またはポート120は、硬化したポリマーブロックの一つの面から反対側の面へ通っており、反対側の面は、例えば本明細書の実施例1において説明される微細加工チップ104によって、パターン形成される。別の態様では、これらの開口部またはポート120は、ポリマーを完全に貫通する滑らかな円筒である。別の実施態様では、これらの開口部またはポート120は、円筒とは異なる形状を有し得る。別の実施態様では、これらの開口部またはポート120は、有機ポリマーの他の面を通って別の方向に貫通し得る。
【0017】
別の態様では、本開示は、機器に接触させずに流体を導入するための成形開口部を提供する。一態様では、例えば、カートリッジは、機器中にカートリッジを装填する前に流体が入れられ得る1つまたは複数の容積部を含み、例えば、分析される流体が機器に接触しないような方法での該流体の導入を可能にして、該流体および機器の汚染を回避し、かつ分析が必要な流体の量を最小化する。
【0018】
別の態様では、本開示は、マイクロ流体チャネル設計を含む。例えば、図5に例示されるような、一態様では、マイクロ流体回路をパターン形成するために使用される微細加工チップ104は、この実施態様では、設計の異なる部分において異なる高さを有するパターンを含むことができ、その結果、流体のための異なる開放容積部を有するマイクロ流体カートリッジ領域が得られる。これは、例えば、流れインピーダンスを大きく低減させる働きをすることができ、マイクロ流体容積部の充填を容易にする働きをし、これらの容積部における圧力を正確に制御することを容易にする。別の態様では、同じ充填および圧力制御の容易さが必要な箇所でパターン形成領域を大きくすることができる。別の態様では、分析される流体が導入されるマイクロ流体回路の一部を、「排出流体」ポート136に対して低い流れインピーダンス接続で接続することができ、その結果、流体抵抗器130またはナノ狭窄122だけで接触する容積部と分けて、容積部の容易な圧力制御および充填を可能にする。流体抵抗器130またはナノ狭窄122で接触する容積部は、別の態様では、流れインピーダンスを低減させて充填をより容易にするために大きい領域および/または大きい高さのターンから作製することができる。
【0019】
別の態様では、比較的多量の流体が、本明細書において更に説明される態様と関連して作製された充填容易な容積部を介してカートリッジ内へ、カートリッジを通って、またはカートリッジから外へ移動し、その結果、高い流れインピーダンスを有するセクションを通して比較的多量の流体を移動させる必要がない。
【0020】
別の態様では、分析される流体が、任意の他の流体に接触する前に分析領域を通過するように流体ネットワークが設計されるので、流体が分析の前に希釈されることも汚染されることもない。
【0021】
別の態様では、本開示は、マイクロ流体カートリッジにおける電極設計を提供する。一態様では、マイクロ流体カートリッジは、ガラスまたは他の材料製の平坦面に、成形有機ポリマーまたは他の材料を結合させることによって作製される。別の態様では、平坦面は、図1に例示されるように、電圧または電流を適用または検知するための、1つまたは複数のパターン形成された金属電極110を含む。これらの電極110は、例えば、カートリッジのいくつかの部分においてマイクロ流体容積部に封入され、他の領域においては、これらの容積部と接触しない。別の態様では、マイクロ流体容積部とこれらの容積部の外側との間の移行部において、電極110は、平坦面に対する成形材料のシールを改善するために、より小さい幅の電極110に分割することができる。これは、例えば、成形材料と平坦面との間により信頼性の高いシールを提供する(電極が分割されない場合は、時として、金属電極110に対する十分なシールがなされず、したがってマイクロ流体容積部からの流体の漏出を許す)。別の態様では、これらのより小さい電極リードの幅および数は、この特徴と関連するいかなる有害な電気的問題も最小化しながら最善のシールを提供するように最適化することができる。別の態様では、マイクロ流体カートリッジは、本明細書において図1および図2によって説明される通りである。
【0022】
別の態様では、本開示は、カートリッジの最初の使用を識別する方法を提供する。例えば、一態様では、カートリッジは、おそらくは同じまたは異なる分析物試料を用いる、単一のカートリッジの複数の使用を可能にするような方法で作製される。しかしながら、カートリッジの最初の使用が、例えば分析物間の相互汚染が起こり得ず、事前洗浄が不必要であり、カートリッジフィルタがまだ初期状態である等である、唯一の使用である。したがって、発明者らは、一態様では、カートリッジの最初の使用を検出する方法を実施した。例えば、この方法は、機器からの電気信号を使用して任意に破壊することができる可融リンク112(低い電気抵抗から非常に高い電気抵抗に変化するように作製される)をカートリッジのガラス部分上のパターン形成された金属に含むことを伴ってもよい。別の態様では、破壊された可融リンク112を特定のカートリッジが有するか否か、したがってこのカートリッジが以前に使用されたか否かを検証するために、可融リンク112を、機器からの電気信号を使用して試験することができる。別の態様では、機器のソフトウェアは、次いで、この試験の結果に基づいて、機器のユーザと各様に情報をやりとりすることができる。別の実施態様では、カートリッジ電極110上の追加的な可融リンク112、ならびに機器における対応する配線および回路構成が、カートリッジの2度目、3度目などの使用の類似した検出を可能にする。別の態様では、例えば、マイクロ流体カートリッジは、本明細書において図3によって説明される通りである。
【0023】
本明細書におけるさまざまな態様は、マイクロ流体カートリッジおよびデバイスを説明し、その調製および使用方法は、1つまたは複数のナノ粒子を含む試料をはじめとする生物学的試料を分析および/または変性するために使用され得る。当業者に直ちに明らかなように、ナノ粒子または生物学的試料の分析を伴う任意の数の方法が、本明細書において説明されるさまざまな態様と関連して使用されてもよく、本開示はまた、対象における疾患または状態の診断、予後、および/または処置の方法を伴ってもよい。例えば、一態様では、本開示は、対象から試料を得て、次いで、この生物学的試料を分析して癌の易罹患性と関連した1つまたは複数のバイオマーカーの有無を決定するために、平坦面に結合された成形ポリマーを含み、該成形ポリマーが、マイクロ流体容積部への接続のための1つまたは複数の開口部を含む、マイクロ流体カートリッジを使用して、1つまたは複数のバイオマーカーの存在に基づいて癌の易罹患性を診断することによって、対象の癌を診断する方法を提供する。
【0024】
上述のさまざまな方法および技術は、本発明を実行する多数の手法を提供する。当然、説明されたすべての目的または利点が、本明細書において説明された任意の特定の態様に従って必ずしも達成され得るわけではないことを理解すべきである。したがって、例えば、当業者は、本明細書において教示または示唆され得るような他の目的または利点を必ずしも達成せずに本明細書において教示されるような1つの利点または一群の利点を達成または最適化するように方法を行うことができることを認識するであろう。種々の有利および不利な代替態様が、本明細書において言及される。いくつかの好ましい態様は、特に、1つの、別の、またはいくらかの有利な特徴を含むが、他は、特に、1つ、別の、またはいくらかの不利な特徴を排除し、更に他は、特に、1つ、別の、またはいくらかの有利な特徴を含むことによって、存在する不利な特徴を緩和することを理解すべきである。
【0025】
更に、当業者は、異なる態様からさまざまな特徴の適用性を認識するであろう。同様に、上述のさまざまな要素、特徴、およびステップ、ならびにこのような各々の要素、特徴、またはステップのための他の公知の同等物は、本明細書において説明された原理に従って方法を行うために、当業者によって混合および適合されることができる。さまざまな要素、特徴、およびステップのうちのいくつかが、特に含まれ、他が、特に多種の態様において除外される。
【0026】
本発明が特定の態様および実施例の文脈において開示されたが、本発明の態様が、他の代替的な態様および/または使用法に対して特に開示された態様を越えて拡張されること、ならびにその修正態様および同等物を、当業者は理解するであろう。
【0027】
多くの変形物および代替要素が本発明の態様において開示されている。更なる変形物および代替要素が、当業者に明らかであろう。これらの変形物には、限定されるものではないが、本発明の組成物のための、ならびに診断、予見、またはその後処置され得る疾患および他の臨床状態のための、構成モジュールの選択がある。本発明のさまざまな態様は、特に、これらの変形物または要素のうちのいずれかを含むかまたは除外する。
【0028】
いくつかの態様では、本発明の一定の態様を説明し特許請求するために使用される、成分の量、濃度などの特性、反応条件などを表す数が、場合によって、用語「約」によって修飾されることを理解すべきである。したがって、いくつかの態様では、説明および添付の特許請求の範囲において記載される数値パラメータは、特定の態様によって得ることが求められる所望の特性に応じて変動する場合がある概数である。いくつかの態様では、数値パラメータは、報告された有効数字を考慮して、通常の丸め技術を適用することによって解釈すべきである。本発明のいくつかの態様のうちの広範を記載する数値範囲およびパラメータは概数であるが、特定の実施例において記載される数値は、実践可能な程度に正確に報告される。本発明のいくつかの態様において提示される数値は、それぞれの試験測定において見いだされる標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を包含し得る。
【0029】
いくつかの態様では、本発明の特定の態様を説明する文脈において(特に以下の特許請求の範囲のうちの一定の文脈において)使用される用語「ある(aおよびan)」、および「その(the)」ならびに類似の言及は、単数および複数の両方を網羅するものと解釈することができる。本明細書における値の範囲の列挙は、単に、範囲に入る各々の別の値を個別に言及する方法の省略表現として役立つことを意図する。本明細書において別途指示されない限り、各々の個別の値は、本明細書において個別に列挙されたかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書において説明されるすべての方法は、本明細書において別途指示されない限り、または文脈により別途明らかに否定されない限り、任意の好適な順序で行うことができる。本明細書における一定の態様に関して提供される任意のおよびすべての例または例示的な言葉(例えば「などの」)の使用は、単に本発明を詳しく説明することを意図し、別途特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるどの言葉も、本発明の実践に必須な任意の非請求要素を指示すると解釈するべきではない。
【0030】
本明細書において開示される本発明の代替要素または態様の群化は、限定的なものと解釈するべきではない。各々の群の要素は、個別に、または群の他の要素もしくは本明細書において見いだされる他の要素との任意の組み合わせで、言及および特許請求することができる。群の1つまたは複数の要素は、簡便さおよび/または特許性の理由から群に包含するか、または群から削除することができる。任意のこのような包含または削除が生じるとき、修正され、したがって添付の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュ群の説明を満たす群を包含すると、本明細書はみなされる。
【0031】
本発明の好ましい態様は、発明者が知る本発明を実行するための最良の形態を含んで、本明細書において説明される。これらの好ましい態様の変形物は、上記の説明を読むことで当業者に明らかになるであろう。当業者がこのような変形物を適宜利用することができることが企図され、本発明は本明細書において特に説明された以外の方法で実践することができる。したがって、本発明の多くの態様は、適用可能な法律が認める、本明細書に添付の特許請求の範囲において列挙された主題のすべての修正態様および同等物を含む。更に、すべての可能な変形物における上述の要素の任意の組み合わせが、本明細書において別途指示されない限り、または文脈により別途明らかに否定されない限り、本発明に包含される。
【0032】
更に、本明細書全体にわたって、特許および印刷された刊行物に対する多数の参照がなされている。上で引用された参照文献および印刷された刊行物の各々は、その全体が参照により本明細書に個別に組み込まれる。
【0033】
最後に、本明細書において開示された本発明の態様は、本発明の原理の例示であることを理解すべきである。利用することができる他の修正態様は、本発明の範囲内であることができる。したがって、限定されるものではないが、一例として、本発明の代替構成を、本明細書における教示に従って利用することができる。したがって、本発明の態様は、示され説明された通りのものに限定されない。
【実施例
【0034】
以下の実施例は、特許請求された発明を詳しく例示するために提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。特定の材料が言及されるが、単に例示のためであり、本発明を限定することを意図していない。当業者は、独創的なの能力を発揮しなくても、本発明の範囲を逸脱せずに、同等の手段または反応体を開発し得る。
【0035】
実施例1:微細加工インサート144を使用したマイクロ流体デバイスの成形
一部構成もしくは複部構成有機ポリマーまたは熱硬化および/もしくは時間硬化する他の材料を使用して、マイクロ流体カートリッジを加工する。液体形態の材料をモールド140を充填するために使用し、この実施態様では、モールド140は、高度リソグラフィ技術を使用してそれ自体パターン形成された微細加工チップ104を含む。チップ104を、シリコンベース、またはこのリソグラフィ技術に適合する他の材料から作製することができ、かつこれは、金属モールドとは別にパターン形成される。チップ104のパターン形成が完了した後、その特徴が硬化した有機ポリマーまたは他の材料において再現可能であるように、チップ104が、この実施態様では、モールド140に入れられシールされる。したがって、硬化した有機ポリマーまたは他の材料は、モールドおよび挿入された微細加工チップ104におけるすべての特徴を正確に再現する。
【0036】
実施例2:マイクロ流体容積部に対する気体接続および流体接続のための成形開口部
有機ポリマーを形成するために使用される機械加工されたモールドは、この実施態様では、硬化したポリマーにおける開口部またはポート120を形成するために使用される機械加工またはそうでなければパターン形成された1つまたは複数の柱152を含み、機器から、ポリマーに同時にパターン形成されたマイクロ流体容積部への、流体または気体の導入を可能にする。一実施態様では、これらの開口部またはポート120は、硬化したポリマーブロックの一つの面から反対側の面へ通っており、反対側の面を、本明細書の実施例1において説明される微細加工チップ104によって、パターン形成される。一実施態様では、これらの開口部またはポート120は、ポリマーを完全に貫通する滑らかな円筒である。別の実施態様では、これらの開口部またはポート120は、円筒とは異なる形状を有し得る。別の実施態様では、これらの開口部またはポート120は、有機ポリマーの他の面を通って別の方向に貫通し得る。
【0037】
実施例3:機器に接触させずに流体を導入するための成形開口部
カートリッジは、機器中にカートリッジを装填する前に流体が入れられ得る1つまたは複数の容積部を含み、例えば、分析される流体が機器に接触しないような方法での該流体の導入を可能にして、該流体および機器の汚染を回避し、かつ分析が必要な流体の量を最小化する。
【0038】
実施例4:マイクロ流体チャネル設計
マイクロ流体回路をパターン形成するために使用される微細加工チップ104は、この実施態様では、設計の異なる部分において異なる高さを有するパターンを含むことができ、その結果、流体のための異なる開放容積部を有するマイクロ流体カートリッジ領域を得られる。これは、流れインピーダンスを大きく低減させる働きをすることができ、マイクロ流体容積部の充填を容易にする働きをし、これらの容積部における圧力を正確に制御することを容易にする。同じまたは別の実施態様では、同じ充填および圧力制御の容易さが必要な箇所でパターン形成領域を大きくすることができる。同じまたは別の実施態様では、分析される流体が導入されるマイクロ流体回路の一部を、「排出流体」ポート136に対して低い流れインピーダンス接続で接続することができ、その結果、流体抵抗器130またはナノ狭窄122だけで接触する容積部と分けて、容積部の容易な圧力制御および充填を可能にする。流体抵抗器130またはナノ狭窄122で接触する容積部は、本実施態様または別の実施態様では、流れインピーダンスを低減させて充填をより容易にするために大きい領域および/または大きい高さのターンから作製することができる。
【0039】
一態様では、比較的多量の流体が、上述したような方法によって作製された充填容易な容積部を介して、カートリッジ内へ、カートリッジを通って、またはカートリッジから外へ移動し、その結果、高い流れインピーダンスを有するセクションを通して比較的多量の流体を移動させる必要がない。
【0040】
一態様では、分析される流体が、任意の他の流体に接触する前に分析領域を通過するように流体ネットワークは設計されるので、流体が分析の前に希釈されることも汚染されることもない。
【0041】
実施例5:マイクロ流体カートリッジにおける電極設計
一実施態様では、マイクロ流体カートリッジは、ガラスまたは他の材料製の平坦面に、成形有機ポリマーまたは他の材料を結合させることによって作製される。この実施態様では、平坦面は、電圧または電流を適用または検知するための、1つまたは複数のパターン形成された金属電極110を含む。これらの電極110は、カートリッジのいくつかの部分においてマイクロ流体容積部に封入され、他の領域においては、これらの容積部と接触しない。マイクロ流体容積部とこれらの容積部の外側との間の移行部において、電極110は、平坦面に対する成形材料のシールを改善するために、より小さい幅の電極に分割することができる。これは、成形材料と平坦面との間により信頼性の高いシールを提供する(電極が分割されない場合は、時として、金属電極110に対する十分なシールがなされず、したがってマイクロ流体容積部からの流体の漏出を許す)。これらのより小さい電極リードの幅および数は、この特徴と関連するいかなる有害な電気的問題も最小化しながら最善のシールを提供するように最適化することができる。例えば、本明細書において図1および図2によって説明される。
【0042】
実施例6:カートリッジの最初の使用を識別する方法
カートリッジを、おそらくは同じまたは異なる分析物試料を用いる、単一のカートリッジの複数の使用を可能にするような方法で作製する。しかしながら、カートリッジの最初の使用が、例えば分析物間の相互汚染が起こり得ず、事前洗浄が不必要であり、カートリッジフィルタがまだ初期状態である等である、唯一の使用である。したがって、発明者らは、一実施態様では、カートリッジの最初の使用を検出する方法を実施した。この方法は、機器からの電気信号を使用して任意に破壊することができる可融リンク112(低い電気抵抗から非常に高い電気抵抗に変化するように作製される)をカートリッジのガラス部分上のパターン形成された金属に含むことを伴う。破壊された可融リンク112を特定のカートリッジが有するか否か、したがってこのカートリッジが以前に使用されたか否かを検証するために、可融リンク112を、機器からの電気信号を使用して試験することができる。機器のソフトウェアは、次いで、この試験の結果に基づいて、機器のユーザと各様に情報をやりとりすることができる。別の実施態様では、カートリッジ電極110上の追加的な可融リンク112、ならびに機器における対応する配線および回路構成が、カートリッジの2度目、3度目などの使用の類似した検出を可能にする。このような可融リンク112の一例が、本明細書において図3によって説明される。
【0043】
本発明のさまざまな態様は、上記の「詳細な説明」に記載される。これらの説明は上記の態様を直接説明するが、当業者が本明細書において示され説明される特定の態様に対する修正態様および/または変形物を想到し得ることが理解される。この説明の範囲内に入る任意のこのような修正態様または変形物も、同様にその中に含まれることが意図される。特に留意しない限り、本明細書および特許請求の範囲における単語および語句には当業者にとって通常の慣習的な意味が与えられることが発明者の意図である。本出願時点で出願人が知る本発明のさまざまな態様の上記の説明が提示されたが、例示および説明を目的とする。本明細書の説明は、網羅的であることも開示された正確な形態に本発明を限定することも意図せず、上記の教示を考慮した多くの修正態様および変形物が可能である。説明された態様は、本発明の原理およびその実践的な適用を説明する働きをし、他の当業者が、さまざまな態様において、企図した特定の使用に適するようなさまざまな修正態様で、本発明を利用することを可能にする働きをする。したがって、本発明が、本発明を実行するために開示された特定の態様に限定されないことが意図される。
【0044】
本発明の特定の態様が示され説明されたが、本発明およびその広い局面から逸脱することなく、本明細書における教示に基づいて変更および修正がなされ得ることが当業者には明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨および範囲内にあるすべてのこのような変更および修正をその範囲内に包含することになる。一般に、本明細書において使用される用語が通常「非限定的な」用語であると意図されること(例えば、用語「含む(including)」は、「を含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「を少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は、「を含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであるなど)を当業者は理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6