(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】免疫細胞機能を促進するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 35/17 20150101AFI20221130BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20221130BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20221130BHJP
A61K 38/19 20060101ALI20221130BHJP
A61K 38/20 20060101ALI20221130BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20221130BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20221130BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20221130BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20221130BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20221130BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20221130BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20221130BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20221130BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20221130BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221130BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20221130BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20221130BHJP
【FI】
A61K35/17 Z ZNA
A61K35/28
A61K38/16
A61K38/19
A61K38/20
A61K38/21
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/42
A61K47/60
A61K47/64
A61K47/65
A61K47/68
A61P37/04
A61P43/00 107
C12N5/078
C12N5/0783
(21)【出願番号】P 2018566437
(86)(22)【出願日】2017-06-13
(86)【国際出願番号】 US2017037249
(87)【国際公開番号】W WO2017218533
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-06-09
(32)【優先日】2016-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518443373
【氏名又は名称】トルク セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】プッチ, フェルディナンド
(72)【発明者】
【氏名】アンドレセン, トマス ラルス
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, ダグラス スコット
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン, ウルリック
(72)【発明者】
【氏名】ラケストロウ, ジェイムズ アンドリュー
【審査官】原口 美和
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-523710(JP,A)
【文献】国際公開第2015/048498(WO,A2)
【文献】特表2013-541335(JP,A)
【文献】特表2016-533344(JP,A)
【文献】Journla of Immunotherapy,2016年,Vol. 39, No. 2,pp. 90-100
【文献】JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,米国,2016年04月22日,VOL:291, NR:17,PAGE(S):8931 - 8950,http://dx.doi.org/10.1074/jbc.M115.695304
【文献】ONCOTARGET,2016年03月29日,VOL:7, NR:13,PAGE(S):16130 - 16145,http://dx.doi.org/10.18632/oncotarget.7470
【文献】CYTOKINE,2011年09月28日,VOL:56, NR:3,PAGE(S):804 - 810,http://dx.doi.org/10.1016/j.cyto.2011.09.028
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/17
A61K 35/28
A61K 38/16
A61K 38/19
A61K 38/20
A61K 38/21
A61K 47/26
A61K 47/36
A61K 47/42
A61K 47/60
A61K 47/64
A61K 47/65
A61K 47/68
A61P 37/04
A61P 43/00
C12N 5/078
C12N 5/0783
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫細胞と、
タンパク質ナノ
ゲルとを含む凍結組成物であって、
前記タンパク質ナノゲルは、前記免疫細胞に対する静電引力によって細胞表面と会合しており、かつ、可逆的リンカーによって互いに架橋した複数の保存剤を含み、
前記保存剤
の少なくとも1つは、
(i
)IL-15
とIL-15RアルファのSushiドメインを含む受容体ポリペプチドの複合体、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、IL-4、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFアルファ、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSFもしくはGCSFを含む
サイトカイン分子;または
(ii
)OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、
およびCD137
から選択される共刺激分子のアゴニスト
を含
み、
前記凍結組成物が融解されると、前記保存剤の少なくとも1つが、前記タンパク質ナノゲルの非存在下における免疫細胞と比較して、前記免疫細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性および活性化の1つまたはそれよりも多くを改善する、組成物。
【請求項2】
前記凍結組成物が融解されると、前記保存剤が前記
タンパク質ナノ
ゲルから放出される、請求項1に記載の凍結組成物。
【請求項3】
前記
タンパク質ナノ
ゲルからの前記保存剤の放出が、融解後、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる、請求項2に記載の凍結組成物。
【請求項4】
融解されると、前記
免疫細胞がインターフェロンガンマを分泌する能力を前記保存剤が促進する、請求項
1~3のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項5】
前記
免疫細胞が、リンパ球、T細胞、B細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞からなる群より選択される免疫エフェクター細胞、または造血幹細胞である、請求項1~
4のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の凍結組成物であって、
前記
Sushiドメインは
、配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、かつIL-15結合活性を有す
る、凍結組成物。
【請求項7】
前記IL-15分子が前記受容体ポリペプチドと非共有結合的に会合する、請求項
6に記載の凍結組成物。
【請求項8】
前記IL-15分子が、配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、かつIL-15Rアルファ結合活性を有する、請求項
6または
7に記載の凍結組成物。
【請求項9】
前記IL-15分子が、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項
8に記載の凍結組成物。
【請求項10】
前記IL-15分子が変異体IL-15ポリペプチドを含む、請求項
6~
8のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項11】
前記変異体IL-15ポリペプチドが72位のアミノ酸置換を含むヒトIL-15ポリペプチドを含む、請求項1
0に記載の凍結組成物。
【請求項12】
72位の前記置換が、NからDへの置換である、請求項1
1に記載の凍結組成物。
【請求項13】
前記IL-15分子が、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項1
2に記載の凍結組成物。
【請求項14】
前記受容体ポリペプチドが、Fcドメイ
ンをさらに含む、請求項
6~1
3のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項15】
前記Fcドメインが配列番号14と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む、請求項1
4に記載の凍結組成物。
【請求項16】
前記受容体ポリペプチドの前記
Sushiドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含み、前記受容体ポリペプチドのFcドメイ
ンが配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求項1
4または1
5に記載の凍結組成物。
【請求項17】
前記
可逆的リンカーが、レドックス、pHまたは酵素に対して感受性
である、請求項
1~16のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項18】
前記
可逆的リンカーがpHに対して感受性であり、かつ加水分解性基を含む、請求項
17に記載の凍結組成物。
【請求項19】
前記
可逆的リンカーがレドックスに対して感受性であり、かつジスルフィド基を含む、請求項
17に記載の凍結組成物。
【請求項20】
前記
可逆的リンカーがプロテアーゼに対して感受性である、請求項
17に記載の凍結組成物。
【請求項21】
前記
タンパク質ナノゲルが80重量%超のタンパク質である、請求項
1~2
0のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項22】
前記
タンパク質ナノ
ゲルが、
その表面上に少なくとも1つ
のカチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む、請求項1~2
1のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項23】
前記
タンパク質ナノ
ゲルが、PEGとポリリジンとを含むカチオン性ブロックコポリマーを含む、請求項2
2に記載の凍結組成物。
【請求項24】
前記PEGが、約1~10、2~8、4~6または約5kDの分子量を有する、請求項2
3に記載の凍結組成物。
【請求項25】
前記ポリリジンが、10~50、20~40または約30アミノ酸の平均長を有する、請求項2
3または2
4に記載の凍結組成物。
【請求項26】
溶液中もしくは細胞表面上で前記
タンパク質ナノ
ゲルを安定化し、かつ/または前記
タンパク質ナノ
ゲルと前記
免疫細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物を含む、請求項1~2
5のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項27】
前記化合物が、プロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンを含む、請求項2
6に記載の凍結組成物。
【請求項28】
前記
タンパク質ナノ
ゲルが少なくとも1つのリガンドを含み、前記リガンドが、前記
免疫細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する、請求項
1~27のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項29】
前記
タンパク質ナノ
ゲルが、CD45
、インテグリンアルファ-L
(CD11a)
、インテグリンベータ-2
(CD18)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む、請求項1~
28のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項30】
前記複数の保存剤が第2のサイトカイン分子を含
む、請求項1~
29のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項31】
前記
第2のサイトカイン分子が、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、IL-4、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFアルファ、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、またはGCSF、またはそれらのバリアントを含む、請求項3
0に記載の凍結組成物。
【請求項32】
前記バリアントが
前記サイトカインのスーパーアゴニスト
形態である、請求項3
1に記載の凍結組成物。
【請求項33】
(a)前記IL-15分子が、配列番号1と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、かつIL-15Rアルファ結合活性を有する;
(b)前記受容体ポリペプチドが、
(i)配列番号8と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、かつIL-15結合活性を有する、
Sushiドメイン;および
(ii)配列番号14と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含むFcドメイ
ン
を含む;かつ
(c)前記
タンパク質ナノ
ゲルが、約1~10kDの分子量を有するPEG、および10~50アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマーをさらにを含む、
請求項1~3
2のいずれか一項に記載の凍結組成物。
【請求項34】
(a)前記IL-15分子が、配列番号1のアミノ酸配列を含み、かつIL-15Rアルファ結合活性を有する;
(b)前記受容体ポリペプチドが、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含み、かつIL-15結合活性を有する、
Sushiドメイン;および
(ii)配列番号14のアミノ酸配列を含むFcドメイ
ン
を含む;かつ
(c)前記
タンパク質ナノ
ゲルが、約5kDの分子量を有するPEG、および約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマーをさらにを含む、
請求項3
3に記載の凍結組成物。
【請求項35】
融解組成物を作製する方法であって、
請求項1~3
4のいずれか一項に記載の凍結組成物を、前記凍結組成物を融解するのに十分に加温する工程
を含む、方法。
【請求項36】
前記凍結組成物を加温する前に、前記凍結組成物が少なくとも1時間凍結したままに維持される、請求項
35に記載の方法。
【請求項37】
凍結組成物を作製する方法であって、
免疫細胞と、
タンパク質ナノ
ゲルとを含む非凍結組成物を提供する工程と、
前記組成物が凍結するのに十分に前記組成物の温度を低下させ、それにより、凍結組成物を得る工程と
を含み、
前記タンパク質ナノゲルは、前記免疫細胞に対する静電引力によって細胞表面と会合しており、かつ、可逆的リンカーによって互いに架橋した複数の保存剤を含み、
前記保存剤
の少なくとも1つは、
(i
)IL-15
とIL-15RアルファのSushiドメインを含む受容体ポリペプチドの複合体、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、IL-4、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFアルファ、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSFもしくはGCSFを含む
サイトカイン分子;または
(ii
)OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、
およびCD137
から選択される共刺激分子のアゴニスト
を含
み、
前記凍結組成物が融解されると、前記保存剤の少なくとも1つが、前記タンパク質ナノゲルの非存在下における免疫細胞と比較して、前記免疫細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性および活性化の1つまたはそれよりも多くを改善する、方法。
【請求項38】
前記非凍結組成物が、前記
免疫細胞を前記
タンパク質ナノ
ゲルと接触させることにより調製される、請求項
37に記載の方法。
【請求項39】
前記温度を0℃未満または-10℃未満に低下させる、請求項
38に記載の方法。
【請求項40】
前記凍結組成物が融解されると、前記保存剤が前記
タンパク質ナノ
ゲルから放出される、請求項
37~
39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記
タンパク質ナノ
ゲルからの前記保存剤の放出が、融解後、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる、請求項4
0に記載の方法。
【請求項42】
融解されると、前記
免疫細胞がインターフェロンガンマを分泌する能力を前記保存剤が促進する、請求項
37~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記
免疫細胞が、リンパ球、T細胞、B細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞からなる群より選択される免疫エフェクター細胞、または造血幹細胞である、請求項
37~4
2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記
Sushiドメインが
、配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、かつIL-15結合活性を有す
る、請求項
37~4
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記IL-15分子が前記受容体ポリペプチドと非共有結合的に会合する、請求項
44に記載の方法。
【請求項46】
前記IL-15分子が、配列番号1と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含み、かつIL-15Rアルファ結合活性を有する、請求項
44または
45に記載の
方法。
【請求項47】
前記IL-15分子が、配列番号1のアミノ酸配列を含む、請求項
46に記載の
方法。
【請求項48】
前記IL-15分子が変異体IL-15ポリペプチドを含む、請求項
44~
46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記変異体IL-15ポリペプチドが72位のアミノ酸置換を含むヒトIL-15ポリペプチドを含む、請求項
48に記載の方法。
【請求項50】
72位の前記置換が、NからDへの置換である、請求項
49に記載の方法。
【請求項51】
前記IL-15分子が、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項5
0に記載の方法。
【請求項52】
前記受容体ポリペプチドが、Fcドメイ
ンをさらにを含む、請求項
44~5
1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記Fcドメインが配列番号14と少なくとも90%同一なアミノ酸配列を含む、請求項5
2に記載の方法。
【請求項54】
前記受容体ポリペプチドの前記
Sushiドメインが配列番号8のアミノ酸配列を含み、前記受容体ポリペプチドのFcドメイ
ンが配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求項5
2または5
3に記載の方法。
【請求項55】
前記
可逆的リンカーが、レドックス、pHまたは酵素に対して感受性
である、請求項
37~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記
可逆的リンカーがpHに対して感受性であり、かつ加水分解性基を含む、請求項
55に記載の方法。
【請求項57】
前記
可逆的リンカーがレドックスに対して感受性であり、かつジスルフィド基を含む、請求項
55に記載の方法。
【請求項58】
前記
可逆的リンカーがプロテアーゼに対して感受性である、請求項
55に記載の方法。
【請求項59】
前記
タンパク質ナノゲルが80重量%超のタンパク質である、請求項
37~
58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記
タンパク質ナノ
ゲルが、
その表面上に少なくとも1つ
のカチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む、請求項
37~
59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記
タンパク質ナノ
ゲルが、PEGとポリリジンとを含むカチオン性ブロックコポリマーを含む、請求項6
0に記載の方法。
【請求項62】
前記PEGが、約1~10、2~8、4~6または約5kDの分子量を有する、請求項6
1に記載の方法。
【請求項63】
前記ポリリジンが、10~50、20~40または約30アミノ酸の平均長を有する、請求項6
1または
62に記載の方法。
【請求項64】
前記
非凍結組成物が、溶液中もしくは細胞表面上で前記
タンパク質ナノ
ゲルを安定化し、かつ/または前記
タンパク質ナノ
ゲルと前記
免疫細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物を含む、請求項
37~
63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記化合物が、プロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンを含む、請求項
64に記載の方法。
【請求項66】
前記
タンパク質ナノ
ゲルが少なくとも1つのリガンドを含み、前記リガンドが、前記
免疫細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する、請求項
37~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記
タンパク質ナノ
ゲルが、CD45
、インテグリンアルファ-L
(CD11a)
、インテグリンベータ-2
(CD18)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む、請求項
37~
66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記
複数の保存剤が、
第2のサイトカイン分子を含
む、請求項
37~
67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記
第2のサイトカイン分子が、IL-2、IL-6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-21、IL-23、IL-4、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFアルファ、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、またはGCSF、またはそれらのバリアントを含む、請求項
68に記載の方法。
【請求項70】
前記バリアントが
前記サイトカインのスーパーアゴニスト
形態である、請求項
69に記載の方法。
【請求項71】
(a)前記IL-15分子が、配列番号1と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、かつIL-15Rアルファ結合活性を有する;
(b)前記受容体ポリペプチドが、
(i)配列番号8と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含み、かつIL-15結合活性を有する、
Sushiドメイン;および
(ii)配列番号14と少なくとも95%同一なアミノ酸配列を含むFcドメイ
ン
を含む;かつ
(c)前記
タンパク質ナノ
ゲルが、約1~10kDの分子量を有するPEG、および10~50アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマーをさらにを含む、
請求項
37~
70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
(a)前記IL-15分子が、配列番号1のアミノ酸配列を含み、かつIL-15Rアルファ結合活性を有する;
(b)前記受容体ポリペプチドが、
(i)配列番号8のアミノ酸配列を含み、かつIL-15結合活性を有する、
Sushiドメイン;および
(ii)配列番号14のアミノ酸配列を含むFcドメイ
ン
を含む;かつ
(c)前記
タンパク質ナノ
ゲルが、約5kDの分子量を有するPEG、および約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマーをさらにを含む、
請求項
71に記載の方法。
【請求項73】
免疫細胞の前記凍結組成物を融解する工程をさらに含む、請求項
37~
72のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2016年6月13日に出願された米国出願第62/349,473号に対する優先権を主張し、その内容全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
免疫細胞療法、例えば養子細胞療法(ACT)は、被験体から免疫細胞を収集する工程、細胞を拡大する(expand)工程、および細胞を同じ被験体または異なる被験体に再導入する工程を含む。例えば、ドナー由来のエクスビボで拡大したヒト細胞傷害性Tリンパ球(CTL)のACTは、がんを処置するための有望なアプローチとして登場した。ACTの例としては、培養された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、単離および拡大されたT細胞クローン、ならびに従来のT細胞受容体またはキメラ抗原受容体を発現する遺伝子操作リンパ球(例えば、T細胞)が挙げられる。遺伝子操作リンパ球は、特定の抗原を発現するがん細胞を排除するように設計されており、拡大されて患者に送達される。ACTは、患者における腫瘍細胞の減少をもたらす腫瘍特異的リンパ球(例えば、T細胞)を提供し得る。
【0003】
免疫細胞ベースの治療の重要な制限は、特に凍結融解処理後、エクスビボにおける免疫細胞の生存能力(viability)および機能の急速な低下である。免疫細胞の単離、保存、凍結、融解および/または拡大のための既存のプロトコールの制限は依然として残っている。したがって、例えば同じまたは異なる被験体への再導入前に、被験体由来の免疫細胞の機能を保存する、例えば最適化する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、少なくとも部分的には、少なくとも1つの保存された機能を有する(例えば、保存された生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを有する)有核細胞、例えば、免疫細胞を(例えば、エクスビボで)生産するための最適化された方法および組成物を特徴とする。いくつかの実施形態では、例えば、有核細胞の凍結および/または融解の1回またはそれより多くのサイクル後に、細胞機能、例えば免疫細胞機能を保存するための方法が本明細書に開示される。実施形態では、有核細胞、例えば免疫細胞と、保存剤を含む粒子、例えばナノ粒子、例えばタンパク質(例えば、本明細書に記載されるタンパク質ナノゲル)を含むナノ粒子とを接触させることによって、有核細胞の凍結組成物を調製および/または融解する方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、接触工程は、エクスビボで行われる。特定の実施形態では、免疫細胞は、被験体から得られた免疫細胞の集団である。実施形態では、ナノ粒子中の前記タンパク質は、1つまたはそれより多くの(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれより多くの)治療用タンパク質、例えばサイトカイン分子(例えば、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、IL-4、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFアルファ(TNFa)、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSFまたはGCSF)(そのバリアント形態、例えば変異体を含む);ポリペプチドと共にサイトカイン分子を含む複合体、例えばサイトカイン受容体複合体;その融合形態またはアゴニスト形態);成長因子;および他の分子、例えば共刺激分子に対する抗体分子またはアゴニストリガンドから選択され得、例えば、共刺激分子は、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される。
【0005】
実施形態では、保存剤、例えば治療用タンパク質は、例えば、分解性リンカー(例えば、ジスルフィドリンカー)によって、ナノ粒子に共有結合的にカップリングされる、例えば架橋される。いくつかの実施形態では、保存剤は、依然として生物学的に活性であり、例えば、少なくとも1回の凍結融解サイクルおよびナノ粒子からの放出後に、保存剤としてのその機能を維持する。ナノ粒子処置有核細胞は、未処置有核細胞と比較して、凍結融解サイクル後に、有意に増加した機能、例えば生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを示し得る。したがって、本明細書に開示される方法および組成物は、細胞療法、例えば免疫療法のための優位な利益を提供し得る。
【0006】
したがって、一態様では、本発明は、有核細胞と、少なくとも1つの保存剤、例えば本明細書に記載される保存剤を含むナノ粒子とを含む組成物(本明細書では「有核細胞-ナノ粒子複合体」とも称される)を特徴とする。いくつかの態様では、本開示は、有核細胞と、少なくとも1つの保存剤、例えば本明細書に記載される保存剤とを含む組成物を提供する。一実施形態では、組成物の少なくとも一部は、凍結されている。
【0007】
他の態様では、本開示は、有核細胞の凍結組成物を作製する方法を提供する。前記方法は、a)本明細書に記載される有核細胞の非凍結組成物、例えば、有核細胞と、少なくとも1つの保存剤、例えば本明細書に記載される保存剤を含むナノ粒子とを含む有核細胞の組成物を提供する工程、およびb)前記組成物が凍結するのに十分に前記組成物の温度を低下させ、それにより、有核細胞の前記組成物を凍結する工程を含む。
【0008】
いくつかの態様では、本開示は、有核細胞の融解組成物を作製する方法であって、
a)有核細胞と、少なくとも1つの保存剤、例えば本明細書に記載の保存剤を含むナノ粒子とを含む有核細胞の凍結組成物を提供する工程;およびb)有核細胞の凍結組成物を融解するのに十分に有核細胞の凍結組成物を加温し、それにより、有核細胞の融解組成物を作製する工程を含む方法を提供とする。
【0009】
他の態様では、本開示は、a)保存剤、例えば本明細書に記載されるIL-15複合体と、b)10~150、20~100、20~80、20~60、20~40または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンとを含み、c)場合により、PEG分子、例えば約1~10、2~8、4~6または約5kDの分子量を有するPEG分子をさらに含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、ポリリジンおよびPEGは、ブロックコポリマーを形成する。いくつかの実施形態では、ポリリジンは、保存剤にカップリングされる、例えば(例えば、静電気力によって)共有結合的または非共有結合的にカップリングされる。いくつかの実施形態では、保存剤は、タンパク質ナノゲルを形成する。
【0010】
いくつかの態様では、本開示は、有核細胞と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む組成物であって、
(a)組成物の少なくとも一部は凍結されており、
(b)保存剤はサイトカイン分子または共刺激分子を含み、
(c)
(i)サイトカイン分子は、IL15、IL2、IL6、IL7、IL12、IL17、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSFもしくはGCSFから選択されるか;または
(ii)共刺激分子は、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される、組成物を提供する。
【0011】
いくつかの態様では、本開示は、有核細胞と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む組成物であって、
(a)組成物の少なくとも一部は凍結されており;
(b)保存剤は、
配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、抗体分子またはFcドメインを含む第2の異種ドメイン
を含むポリペプチドと複合体化されたIL-15分子複合体を含む、組成物を提供する。
【0012】
実施形態では、組成物が融解されると、保存剤は、ナノ粒子の非存在下における有核細胞と比較して、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを改善する。
【0013】
ある実施形態では、Fcドメインは、野生型であるか、または変異されている。ある実施形態では、Fcドメインは、配列番号11または配列番号12のアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの態様では、本開示は、sushiドメイン(例えば、配列番号7または配列番号8のもの)を含むIL-15受容体もしくはその断片およびエフェクター弱体化Fcドメイン、例えば、ヒトIgG2 Fcドメイン、例えば、配列番号11のヒトIgG2ドメイン、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の異種ドメインを含むポリペプチドを含むナノ粒子を提供する。
【0015】
以下の態様および実施形態は、上記方法および組成物を含む本明細書の任意の態様および実施形態と組み合わされ得る。
【0016】
実施形態では、保存剤は、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を持続するための刺激分子である。実施形態では、保存剤は、免疫刺激性サイトカイン、例えば、一般的なγ鎖または4つのα-ヘリックスバンドルファミリーに属するサイトカインである。
【0017】
実施形態では、組成物、例えばナノ粒子および/または保存剤は、ポリペプチド、例えばIL-15受容体またはそのIL-15結合断片と例えば共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含むIL-15複合体を含む。
【0018】
一実施形態では、ポリペプチドは、IL-15受容体アルファまたはIL-15結合断片、例えば、そのIL-15結合ドメインを含む。一実施形態では、ポリペプチドは、IL-15受容体アルファの細胞外ドメインを含む。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列(全長野生型IL-15受容体アルファ)、またはそのIL-15結合断片;あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列(野生型IL-15受容体アルファの細胞外ドメイン(ECD))、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列(IL-15受容体アルファアイソフォームCRA_dのECD)、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む。
【0019】
別の実施形態では、ポリペプチドは、
配列番号2、配列番号3のアミノ酸配列、または配列番号4、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、免疫グロブリンFcドメインもしくは抗体分子、例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片、またはアフィボディ断片または誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、単一ドメイン抗体、二重特異性もしくは多重特異性抗体を含む。一実施形態では、第2の異種ドメインは、FcドメインもしくはFabである。
【0020】
別の実施形態では、ポリペプチドは、
配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、免疫グロブリンFcドメインもしくは抗体分子、例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片、またはアフィボディ断片または誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、単一ドメイン抗体、二重特異性もしくは多重特異性抗体を含む。一実施形態では、第2の異種ドメインは、FcドメインもしくはFabである。
【0021】
ある実施形態では、組成物、例えば、ナノ粒子および/または保存剤、IL-15複合体を含み、前記IL-15複合体は、IL-15受容体もしくはそのIL-15結合断片を含むポリペプチドと、例えば、共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含む。ある実施形態では、IL-15分子は、IL-15変異体、例えば、1つもしくはそれより多くのアミノ酸置換を有するヒトIL-15ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、IL-15分子は、72位における置換、例えば、NからDへの置換を含む。一実施形態では、IL-15分子は、配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列である。ある実施形態では、IL-15受容体またはその断片を含むポリペプチドは、配列番号5のsushi-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、IL-15受容体またはその断片を含むポリペプチドは、sushiドメイン(例えば、配列番号7または配列番号8のもの)およびエフェクター弱体化Fcドメイン、例えば、ヒトIgG2 Fcドメイン、例えば、配列番号11のヒトIgG2ドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の異種ドメインを含む。
【0022】
実施形態では、組成物は、緩衝液をさらに含む。実施形態では、組成物は、水性媒体をさらに含む。
【0023】
実施形態では、凍結組成物が融解されると、保存剤、例えばIL-15複合体は、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する。実施形態では、生存能力の促進は、例えばアクリジンオレンジおよびヨウ化プロピジウムで染色することによって、例えば実施例32のアッセイによって測定した場合に、ナノ粒子を含まない以外は同様の有核細胞と比較して、生存能力を少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、4倍または5倍増加させることを含む。実施形態では、増殖の促進は、例えば第1および第2の時点で生細胞をカウントすることによって、例えば実施例33のアッセイによって測定した場合に、ナノ粒子を含まない以外は同様の有核細胞と比較して、増殖を少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、4倍または5倍増加させることを含む。実施形態では、細胞傷害活性の促進は、例えばがん細胞株、例えばDaudi細胞に対する細胞傷害活性のアッセイ、例えば実施例28のアッセイにおいて、ナノ粒子を含まない以外は同様の有核細胞と比較して、細胞傷害活性を少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、4倍または5倍増加させることを含む。実施形態では、活性化の促進は、例えばCD45RAに対する抗体を使用したフローサイトメトリーアッセイ、例えば実施例26のアッセイにおいて、ナノ粒子を含まない以外は同様の有核細胞と比較して、活性化を少なくとも1%、2%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、4倍または5倍増加させることを含む。
【0024】
実施形態では、保存剤、例えばIL-15複合体は、ナノ粒子から放出される。実施形態では、融解されると、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化は、参照、例えば有核細胞を含むナノ粒子を欠く以外は同様の組成物と比較して促進される、例えば保存または増強される。実施形態では、凍結組成物が融解されると、保存剤は、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する。実施形態では、インターフェロンガンマ産生が促進される。実施形態では、活性化は、インターフェロンガンマ産生によって測定される。いくつかの実施形態では、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性、活性化またはインターフェロンガンマ産生の1つ、2つ、3つ、4つまたはそれよりも多くが促進される。
【0025】
実施形態では、組成物は、細胞の生存能力および増殖を刺激および持続する化合物を含む。実施形態では、組成物は、凍結および融解中に細胞を保護する化合物を含む。実施形態では、組成物は、第2の保存剤、例えば本明細書に記載される保存剤を含む。実施形態では、ナノ粒子からの保存剤の放出は、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる。
【0026】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面と会合して、有核細胞-ナノ粒子複合体を形成する。
【0027】
実施形態では、有核細胞は、免疫細胞、例えば免疫エフェクター細胞(例えば、リンパ球、T細胞、B細胞またはナチュラルキラー細胞から選択される免疫細胞)または造血幹細胞を含む。実施形態では、有核細胞は、リンパ球を含む。実施形態では、有核細胞は、T細胞を含む。実施形態では、有核細胞は、B細胞を含む。実施形態では、有核細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞を含む。実施形態では、有核細胞は、造血幹細胞を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)、例えばがん抗原に結合するCARを含む、例えば発現する免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)である。他の実施形態では、有核細胞は、外因性高親和性Fc受容体を発現する。
【0028】
実施形態では、有核細胞は、患者から取得された免疫細胞、例えばNK細胞、例えば患者の血液である。他の実施形態では、有核細胞は、健常ドナーから取得された免疫細胞、例えばNK細胞である。例えば、それは、同種T細胞が枯渇したNK細胞集団である。実施形態では、有核細胞は、胚性幹細胞および/またはiPSC細胞由来の免疫細胞、例えばNK細胞である。いくつかの実施形態では、有核細胞は、細胞株、例えば安定細胞株または不死化細胞株(例えば、NK細胞不死化細胞株)である。いくつかの実施形態では、有核細胞は、患者、例えば血液がん、例えば白血病またはリンパ腫を有する患者から取得される。実施形態では、有核細胞は、NK細胞株、例えばKlingemann,Hら、(2016)Frontiers in Immunology Vol.7(Art.91):1-7(これは、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、例えばNK-92(例えば、ATCC cat.No.CRL-2407)、NK-YS、KHYG-1、NKL、NKG、SNK-6、IMC-1から選択されるNK細胞株である。一実施形態では、有核細胞は、NK92細胞株、例えば高親和性Fc受容体を発現するバリアントNK92細胞、例えばFcガンマRIIIa発現細胞(例えば、158V)である。他の実施形態では、NK92細胞株は、例えばKlingemannら(前掲)にも記載されているように、がん抗原に結合するCARを含む。
【0029】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞に対する静電引力によって細胞表面と会合している。実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも1つのリガンドを含み、リガンドは、有核細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する。
【0030】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の例えば表面に共有結合的にコンジュゲートしている。実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞に共有結合的にコンジュゲートしていない。
【0031】
実施形態では、ナノ粒子は、リポソーム、タンパク質ナノゲル、ヌクレオチドナノゲル、ポリマーナノ粒子または固体ナノ粒子を含む。実施形態では、ナノ粒子は、リポソームを含む。実施形態では、ナノ粒子は、タンパク質ナノゲルを含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、互いに共有結合的に連結された複数の保存剤によって形成されたタンパク質ナノゲルである。実施形態では、ナノ粒子は、ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマーは、ポリリジン、例えば、polyK30またはpolyK200を含む。いくつかの実施形態では、ポリリジンは、ポリ-L-リジンである。ある実施形態では、ポリリジンは、20~30、30~40、40~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~400、または400~500アミノ酸の平均長を有する。ある実施形態では、ポリリジンは、10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有する。ある実施形態では、ポリリジンは、100~300、150~250、または約200アミノ酸の平均長を有する。いくつかの実施形態では、ポリリジンは、10~150、20~100、20~80、20~60、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有する。
【0033】
ある実施形態では、ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。ある実施形態では、PEGは、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、または9~10kDの分子量を有する。実施形態では、PEGは、約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、PEG(例えば、本明細書に記載されるPEG、例えば約1~10、2~8、4~6または約5kDの分子量を有するPEG)と、ポリリジン(例えば、本明細書に記載されるポリリジン、例えば10~50、20~40もしくは約30アミノ酸の平均長を有するポリリジン;または100~300、150~250もしくは約200アミノ酸の平均長を有するポリリジン)とを含むカチオン性ブロックコポリマーを含む。実施形態では、カチオン性ブロックコポリマーは、PEG5k-polyK30またはPEG5k-polyK200を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号5のsushi-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号1のIL-15ポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号7または配列番号8のsushiドメインあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号11のFcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むsushi-Fcポリペプチド;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号15のsushi-Fc2DaポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号1のIL-15ポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号15のsushi-Fc2DaポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0039】
実施形態では、組成物は、(例えば、溶液中に、または例えば保存剤の一部としてナノ粒子と会合して、例えばナノ粒子に共有結合的にコンジュゲートして)溶液中もしくは細胞表面上のナノ粒子を安定化し、および/またはナノ粒子と有核細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物を含む。実施形態では、化合物は、プロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンから選択される。実施形態では、組成物は、(例えば、溶液中に、または例えば保存剤の一部としてナノ粒子と会合して、例えばナノ粒子に共有結合的にコンジュゲートして)サイトカイン分子、成長因子分子、共刺激分子を含む。実施形態では、組成物は、(例えば、溶液中に、または例えば保存剤の一部としてナノ粒子と会合して、例えばナノ粒子に共有結合的にコンジュゲートして)サイトカイン分子、例えばIL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFアルファ、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSFまたはGCSF、そのバリアント、またはサイトカイン複合体、例えばIL-15複合体(例えば、本明細書に記載されるIL-15スーパーアゴニスト)を含む。実施形態では、組成物は、(例えば、溶液中に、または例えば保存剤の一部としてナノ粒子と会合して、例えばナノ粒子に共有結合的にコンジュゲートして)分子、例えば共刺激分子に対する抗体分子またはアゴニストリガンドを含み、例えば、共刺激分子は、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される。
【0040】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞によるナノ粒子の取り入れを減少させる、例えば阻害、減退または低減するエンティティを含む。ある実施形態では、ナノ粒子は、CD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、NK細胞上に存在するタンパク質、例えば受容体に結合するエンティティを含む。例えば、ナノ粒子は、NK細胞上の刺激性受容体または阻害性受容体に結合するエンティティを含み得る。
【0042】
実施形態では、エンティティは、NK細胞上の刺激性受容体のアゴニストであり、例えば、エンティティは、アゴニストリガンドまたはアゴニスト抗体分子であり得る。実施形態では、刺激性受容体は、TRAIL、CD16、NKp30a,b、DNAM-1、CD137、OX40、CD27、DAP12、FcεRI-γ、CD3-ζ、NKG2D、DAP10またはCD225(2B4)である。実施形態では、刺激性受容体は、ITAMモチーフ、例えば(D/E)XXYXX(L/I)X6-8YXX(L/I)を含む。実施形態では、刺激性受容体は、天然細胞傷害性受容体またはMHC結合活性化受容体ある。
【0043】
実施形態では、エンティティは、NK細胞上の阻害性受容体の阻害剤であり、例えば、エンティティは、阻害剤リガンドまたは阻害剤抗体分子であり得る。実施形態では、阻害性受容体は、KIR、LILR、Ly49またはNKG2Aである。実施形態では、阻害性受容体は、ITIMモチーフ、例えば(I/L/V/S)XYXX(L/V)を含む。実施形態では、阻害性受容体は、MHCクラスI阻害性受容体または非MHC結合阻害性受容体である。
【0044】
実施形態では、NK細胞受容体は、Lanier“Up on the tightrope:natural killer cell activation and inhibition”Nat Immunol.2008 May;9(5):495-502、Sentmanら、“NK Cell Receptors as Tools in Cancer Immunotherapy”Advances in Cancer Research 2006 249-292またはPardoll“The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy”Nat Rev Cancer.2012 Mar 22;12(4):252-64に記載されている受容体である。
【0045】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、高密度タンパク質構造(80重量%超のタンパク質)であり、タンパク質は、分解されると機能的形態、例えばネイティブ形態の前記タンパク質を放出する架橋分子によって架橋されている。
【0046】
実施形態では、ナノ粒子は、レドックス(例えば、リンカーはジスルフィド結合を含む)またはpH(例えば、リンカーは加水分解性基を含む)または酵素(例えば、リンカーはプロテアーゼ切断部位を含む)に対して感受性の可逆的リンカーによって架橋されたナノゲルを含む。
【0047】
実施形態では、本明細書の組成物は、粒子、例えばナノ粒子またはマイクロ粒子またはナノ粒子およびマイクロ粒子の両方を含む。実施形態では、粒子、例えばナノ粒子は、30nm~1200nm、40nm~1,100nm、50nm~1,000ナノメートル、例えば50~500nm、より典型的には70~400nmの(例えば、動的光散乱によって測定された)平均流体力学直径を有する。実施形態では、粒子、例えばナノ粒子は、100nm~400nm、150nm~350nmまたは200nm~300nmの(例えば、動的光散乱によって測定された)平均強度に基づくサイズを有する。実施形態では、粒子、例えばナノ粒子は、60nm~100nmまたは70nm~90nmの(例えば、動的光散乱によって測定された)平均数に基づくサイズを有する。
【0048】
実施形態では、組成物は、凍結されている。実施形態では、組成物は、凍結部分および液体部分を含む。
【0049】
実施形態では、組成物の温度は、0℃未満に低下される。
【0050】
実施形態では、組成物の温度は、-10℃未満に低下される。実施形態では、組成物の温度は、-10℃未満、-20℃、-30℃、-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、-100℃、-120℃、-140℃、-160℃、-180℃または-200℃に低下される。実施形態では、前記方法は、有核細胞の凍結組成物を少なくとも1時間凍結したままに維持する工程を含む。実施形態では、前記方法は、有核細胞の凍結組成物を少なくとも2、4、6、12もしくは24時間、または1、2、3、4、5もしくは6日間、または1、2、3もしくは4週間、または1、2、3もしくは6カ月間、または1、2、3、4もしくは5年間凍結したままに維持する工程を含む。
【0051】
実施形態では、提供する工程は、有核細胞と、保存剤を含むナノ粒子とを組み合わせることを含む。実施形態では、提供する工程は、別のエンティティからナノ粒子を受け取ること、およびナノ粒子と有核細胞とを組み合わせることを含む。実施形態では、提供する工程は、別のエンティティから有核細胞の非凍結組成物を受け取ることを含む。
【0052】
実施形態では、前記方法は、有核細胞の凍結組成物を別のエンティティ、例えばヘルスケアプロバイダ、例えば病院、診療所または医院に提供または放出する工程を含む。実施形態では、前記方法は、有核細胞の凍結組成物を融解して、有核細胞の融解組成物を提供する工程を含む。実施形態では、前記方法は、有核細胞の凍結組成物を加温する前に、有核細胞の凍結組成物を少なくとも1時間凍結したままに維持する工程を含む。実施形態では、組成物の凍結調製物が融解されると、保存剤は、ナノ粒子から放出され、ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞と比較して、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する。実施形態では、前記方法は、有核細胞の融解組成物を被験体に投与する工程を含む。
【0053】
実施形態では、提供する工程は、別のエンティティ、例えば有核細胞の組成物を作製および/または凍結するエンティティから凍結組成物を受け取ることを含む。実施形態では、提供する工程は、有核細胞を、緩衝化水性媒体溶液と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを組み合わせることを含む。実施形態では、提供する工程は、別のエンティティからナノ粒子を受け取ること、およびナノ粒子と有核細胞とを組み合わせることを含む。
【0054】
実施形態では、前記方法は、例えば融解後に細胞を拡大する工程を含む。実施形態では、細胞は、(例えば、2日間で)少なくとも2倍拡大される。実施形態では、細胞は、少なくとも2、3、4、5、10、20、50または100倍拡大される。
【0055】
実施形態では、前記方法は、例えば融解後に細胞を活性化する工程をさらに含む。実施形態では、(例えば、CD45RAに対する抗体を使用したフローサイトメトリーアッセイ、例えば実施例26のアッセイにおいてCD45RA+の比率として測定される)活性化細胞、例えば活性化CD8+細胞のパーセントは、少なくとも40%、50%、60%、70%、80%または90%である。
【0056】
実施形態では、本明細書の組成物で処置された細胞(例えば、融解細胞)は、例えば実施例27に記載されているアッセイを使用して決定される細胞傷害活性を有する。実施形態では、細胞傷害活性は、実施例27のアッセイにおいて、少なくとも10%、20%、30%、40%または50%の死滅率を含む。実施形態では、細胞傷害活性は、がん細胞株、例えばDaudi細胞に対する細胞傷害活性のアッセイ、例えば実施例28のアッセイにおいて、少なくとも10%、20%、30%、40%または50%の死滅率を含む。実施形態では、細胞傷害活性は、実施例29のアッセイにおいて、少なくとも10%、20%、30%、40%または50%の死滅率を含む。実施形態では、細胞傷害活性は、実施例30のアッセイにおいて、少なくとも10%、20%、30%、40%または50%の死滅率を含む。
【0057】
実施形態では、本明細書の組成物で処置された細胞(例えば、融解細胞)は、例えば細胞を被験体に注射し、その後の時点で血液を採取し、フローサイトメトリーによって拡大したドナー細胞をカウントするアッセイ、例えば実施例35のアッセイにおいて、インビボ拡大活性を有する。実施形態では、本明細書の組成物で処置された融解細胞はインビボで拡大して、組成物で処置されない以外は同様の細胞と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%超の細胞を生じさせる。
【0058】
実施形態では、本明細書の組成物で処置された細胞(例えば、融解細胞)は、例えば腫瘍を切除し、フローサイトメトリーによって拡大したドナー細胞をカウントした場合に、例えば実施例36のアッセイにおいて、腫瘍浸潤活性を有する。実施形態では、本明細書の組成物で処置された細胞は、腫瘍1mg当たり少なくとも200、400、600または800個の細胞をもたらす。実施形態では、本明細書の組成物で処置された細胞は、組成物で処置されない以外は同様の細胞と比較して例えば少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍または5倍大きい腫瘍浸潤レベルをもたらす。
【0059】
実施形態では、被験体は、有核細胞を提供したドナー被験体である。実施形態では、ドナー被験体は、がん、糖尿病、自己免疫疾患もしくは心血管疾患を有するか、または移植を必要とする。実施形態では、被験体は、ドナー被験体以外の被験体である。実施形態では、ドナー被験体以外の被験体は、健常被験体である。
【0060】
いくつかの態様では、本開示は、有核細胞と、緩衝化水性媒体溶液と、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む組成物であって、組成物の凍結調製物が融解されると、保存剤が、場合によりナノ粒子から放出され、ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞と比較して、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進し、例えば保存または増強し、保存剤が、例えばIL-15受容体またはそのIL-15結合断片を含むポリペプチドと例えば共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含む、組成物を提供する。一実施形態では、ポリペプチドは、IL-15受容体アルファもしくはそのIL-15結合断片を含む。一実施形態では、ポリペプチドは、IL-15受容体アルファの細胞外ドメインを含む。
【0061】
一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸配列(全長野生型IL-15受容体アルファ)、またはそのIL-15結合断片;あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列(野生型IL-15受容体アルファのECD)、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列(IL-15受容体アルファアイソフォームCRA_dのECD)、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む。
【0062】
別の実施形態では、ポリペプチドは、
配列番号2、配列番号3、または配列番号4のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、免疫グロブリンFcドメインもしくは抗体分子、例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片、またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、単一ドメイン抗体、二重特異性もしくは多重特異性抗体を含む。一実施形態では、第2の異種ドメインは、FcドメインもしくはFabである。
【0063】
ある実施形態では、組成物、例えば、ナノ粒子および/または保存剤、は、IL-15複合体を含み、前記IL-15複合体は、IL-15受容体もしくはそのIL-15結合断片を含むポリペプチドと、例えば、共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含む。ある実施形態では、IL-15分子は、配列番号6のヒトIL-15 N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、IL-15受容体またはその断片を含むポリペプチドは、配列番号5のIL15RaSu-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、IL-15受容体またはその断片を含むポリペプチドは、sushiドメイン(例えば、配列番号7または配列番号8のもの)およびエフェクター弱体化Fcドメイン、例えば、ヒトIgG2 Fcドメイン、例えば、配列番号11のヒトIgG2ドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の異種ドメインを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号5のsushi-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号1のIL-15ポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号7または配列番号8のsushiドメインあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号11のFcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むsushi-Fcポリペプチド;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号15のsushi-Fc2DaポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号1のIL-15ポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号15のsushi-Fc2DaポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0068】
実施形態では、保存剤は、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を持続するための刺激分子である。
【0069】
実施形態では、インターフェロンガンマ産生が促進される。実施形態では、活性化は、インターフェロンガンマ産生によって測定される。
【0070】
実施形態では、媒体は、細胞の生存能力および増殖を刺激および持続する化合物を含有する。実施形態では、媒体は、凍結および融解中に細胞を保護する化合物を含む。
【0071】
実施形態では、ナノ粒子からの保存剤の放出は、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる。
【0072】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面と会合している。
【0073】
実施形態では、有核細胞は、免疫細胞、例えば免疫エフェクター細胞(例えば、リンパ球、T細胞、B細胞またはナチュラルキラー細胞)または造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、有核細胞は、免疫細胞または本明細書に記載の細胞株である。
【0074】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞に対する静電引力によって細胞表面と会合している。実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも1つのリガンドを含み、リガンドは、有核細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する。実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面に共有結合的にコンジュゲートする。実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面に共有結合的にコンジュゲートしない。実施形態では、ナノ粒子は、リポソーム、タンパク質ナノゲル、ヌクレオチドナノゲル、ポリマーナノ粒子または固体ナノ粒子を含む。実施形態では、ナノ粒子は、リポソームを含む。実施形態では、ナノ粒子は、タンパク質ナノゲルを含む。実施形態では、ナノ粒子は、ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む。
【0075】
実施形態では、ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。実施形態では、組成物は、溶液中もしくは細胞表面上のナノ粒子を安定化し、かつ/またはナノ粒子と有核細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、プロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンから選択される。
【0076】
ある実施形態では、保存剤は、サイトカイン分子、成長因子分子、共刺激分子を含む。ある実施形態では、組成物は、サイトカイン分子を含む第1および/または第2の保存剤を含む。いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL-1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、またはGCSF、それらのバリアント、またはサイトカイン複合体、あるいは前記の任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、IL-15複合体、例えば、本明細書に記載のIL-15スーパーアゴニストを含む。ある実施形態では、組成物は、共刺激分子に対する抗体分子またはアゴニストリガンドを含み、例えば、共刺激分子は、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、またはCD137のアゴニストから選択される。
【0077】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞によるナノ粒子の取り入れを減少させる、例えば阻害、減退または低減するエンティティを含む。ある実施形態では、ナノ粒子は、CD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む。
【0078】
実施形態では、ナノ粒子は、レドックス(例えば、ジスルフィド)またはpH(例えば、加水分解性基)または酵素(例えば、プロテアーゼ)に対して感受性の可逆的リンカーによって架橋されたナノゲルを含む。
【0079】
実施形態では、組成物は、凍結されている。実施形態では、組成物は、凍結部分および液体部分を含む。
【0080】
別の態様では、本発明は、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば増強するための方法を特徴とする。実施形態では、有核細胞は、患者から単離されているかまたは単離される。前記方法は、有核細胞と、緩衝化水溶液と、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を保存または増強する少なくとも1つの薬剤、例えば本明細書に記載される保存剤を含むナノ粒子とを組み合わせることによって、有核細胞を改変する工程を含む。
【0081】
別の態様では、本発明は、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば増強するための方法を特徴とする。実施形態では、有核細胞は、患者から単離されているかまたは単離され、緩衝化水溶液と、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を保存または増強する少なくとも1つの薬剤、例えば本明細書に記載される保存剤を含むナノ粒子と組み合わせることによって改変される。前記方法は、有核細胞を少なくとも1回の凍結融解サイクルに供する工程を含む。
【0082】
ある特定の態様では、本発明は、有核細胞の凍結組成物を作製する方法であって、
a)有核細胞と、緩衝化水性媒体溶液と、少なくとも1つの保存剤、例えば有核細胞の凍結調製物が融解されると、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する薬剤を含むナノ粒子とを含む非凍結組成物を提供する工程(例えば、非凍結有核細胞ーナノ粒子複合体を提供する工程)、
b)場合により、組成物が凍結するのに十分に組成物の温度を低下させ、それにより、有核細胞の組成物を凍結する工程
を含む、方法を特徴とする。
【0083】
実施形態では、組成物の温度は、0℃未満に低下される。実施形態では、組成物の温度は、-10℃未満に低下される。実施形態では、前記方法は、有核細胞の凍結組成物を少なくとも1時間凍結したままに維持する工程を含む。
【0084】
実施形態では、提供する工程は、有核細胞と、緩衝化水性媒体溶液と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを組み合わせて、有核細胞-ナノ粒子複合体を形成することを含む。実施形態では、提供する工程は、別のエンティティからナノ粒子を受け取ること、およびナノ粒子を有核細胞および緩衝化水性媒体溶液と組み合わせることを含む。実施形態では、提供する工程は、別のエンティティから有核細胞の非凍結組成物を受け取ることを含む。
【0085】
実施形態では、前記方法は、有核細胞の凍結組成物を別のエンティティ、例えばヘルスケアプロバイダ、例えば病院、診療所または医院に提供または放出する工程を含む。実施形態では、前記方法は、有核細胞の凍結組成物を融解して、有核細胞の融解組成物を提供する工程を含む。
【0086】
実施形態では、組成物の凍結調製物が融解されると、保存剤は、ナノ粒子から放出され、ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞と比較して、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する。
【0087】
実施形態では、前記方法は、有核細胞の融解組成物を被験体に投与する工程を含む。実施形態では、被験体は、ドナー被験体である。実施形態では、ドナー被験体は、がん、糖尿病、自己免疫障害を有するか、または移植を必要とする。実施形態では、被験体は、ドナー被験体以外の被験体である。実施形態では、ドナー被験体以外の被験体は、健常被験体である。
【0088】
前記組成物および方法のいくつかの実施形態では、保存剤は、IL-15スーパーアゴニスト、例えば、野生型IL-15よりも高い活性を有するIL-15分子を含む。ある実施形態では、保存剤は、IL-15分子およびポリペプチド、例えば、IL-15ポリペプチド受容体アルファ断片(例えば、IL-15受容体アルファの細胞外ドメイン)を含む。
【0089】
一実施形態では、ポリペプチドは、
配列番号2のアミノ酸配列(野生型IL-15受容体アルファ)、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、免疫グロブリンFcドメインもしくは抗体分子、例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片、またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、単一ドメイン抗体、二重特異性もしくは多重特異性抗体を含む。一実施形態では、第2の異種ドメインは、FcドメインもしくはFabである。
【0090】
別の実施形態では、ポリペプチドは、
配列番号3のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、免疫グロブリンFcドメインもしくは抗体分子、例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片、またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、単一ドメイン抗体、二重特異性もしくは多重特異性抗体を含む。一実施形態では、第2の異種ドメインは、FcドメインもしくはFabである。
【0091】
一実施形態では、ポリペプチドは、
配列番号4のアミノ酸配列(IL-15受容体アルファアイソフォームCRA_dのECD)、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、免疫グロブリンFcドメインもしくは抗体分子、例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、Fab2断片、またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、単一ドメイン抗体、二重特異性もしくは多重特異性抗体を含む。一実施形態では、第2の異種ドメインは、FcドメインもしくはFabである。
【0092】
ある実施形態では、組成物、例えば、ナノ粒子および/または保存剤、は、IL-15複合体を含み、前記IL-15複合体は、IL-15受容体もしくはそのIL-15結合断片を含むポリペプチドと、例えば、共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含む。ある実施形態では、IL-15分子は、配列番号6のヒトIL-15 N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、IL-15受容体またはその断片を含むポリペプチドは、配列番号5のIL15RaSu-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、IL-15受容体またはその断片を含むポリペプチドは、sushiドメイン(例えば、配列番号7または配列番号8のもの)およびエフェクター弱体化Fcドメイン、例えば、ヒトIgG2 Fcドメイン、例えば、配列番号11のヒトIgG2ドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の異種ドメインを含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号5のsushi-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号1のIL-15ポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号7または配列番号8のsushiドメインあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号11のFcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むsushi-Fcポリペプチド;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号15のsushi-Fc2DaポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号1のIL-15ポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号15のsushi-Fc2DaポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0097】
実施形態では、保存剤は、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を持続するための刺激分子である。
【0098】
実施形態では、インターフェロンガンマ産生が促進される。実施形態では、活性化は、インターフェロンガンマ産生によって測定され得る。
【0099】
実施形態では、媒体は、細胞の生存能力および増殖を刺激および持続する化合物を含有する。実施形態では、媒体は、凍結および融解中に細胞を保護する化合物を含む。
【0100】
実施形態では、ナノ粒子からの保存剤の放出は、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる。
【0101】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞、例えば有核細胞の表面と例えば共有結合的または非共有結合的に会合し、そうすることで有核細胞-ナノ粒子複合体を形成する。
【0102】
実施形態では、有核細胞は、免疫エフェクター細胞(例えば、リンパ球、T細胞、B細胞またはナチュラルキラー細胞)または造血幹細胞である。いくつかの実施形態では、有核細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)、例えばがん抗原に結合するCARを含む、例えば発現する免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)である。他の実施形態では、有核細胞は、外因性高親和性Fc受容体を発現する。実施形態では、有核細胞は、患者または健常ドナーから取得されたNK細胞である。他の実施形態では、有核細胞は、NK細胞株、例えば本明細書に記載される安定細胞株または不死化細胞株である。一実施形態では、NK細胞は、NK-92細胞株である。
【0103】
実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも1つのリガンドを含み、リガンドは、有核細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する。
【0104】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面に共有結合的にコンジュゲートする。実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面に共有結合的にコンジュゲートしない。
【0105】
実施形態では、ナノ粒子は、リポソーム、タンパク質ナノゲル、ヌクレオチドナノゲル、ポリマーナノ粒子または固体ナノ粒子を含む。実施形態では、ナノ粒子は、リポソームを含む。実施形態では、ナノ粒子は、タンパク質ナノゲルを含む。実施形態では、ナノ粒子は、ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを場合により含む。実施形態では、ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0106】
実施形態では、組成物は、溶液中もしくは細胞表面上のナノ粒子を安定化し、かつ/またはナノ粒子と有核細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物を含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、プロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンから選択される。
【0107】
ある実施形態では、保存剤は、サイトカイン分子、成長因子分子、または共刺激分子を含む。ある実施形態では、保存剤は、サイトカイン分子、例えば、IL-2、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18、IL-21、IL-23、IL-4、IL-1アルファ、IL-1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、またはGCSF、それらのバリアント、またはサイトカイン複合体、例えば、IL-15複合体(例えば、本明細書に記載のIL-15スーパーアゴニスト)を含む。いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、抗体分子、(例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片、またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、例えば、免疫グロブリンFc、単一ドメイン抗体、二重特異性もしくは多重特異性抗体をさらに含む、例えば、これらにカップリング(例えば、融合)されている。
【0108】
ある実施形態では、組成物は、共刺激分子、例えば、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、またはCD137のアゴニストのアゴニスト(例えば、抗体分子またはアゴニストリガンド)を含む。
【0109】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞によるナノ粒子の取り入れを減少させる、例えば阻害、減退または低減するエンティティを含む。ある実施形態では、ナノ粒子は、CD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む。実施形態では、ナノ粒子は、ナノ粒子の表面にコンジュゲートされた抗CD45親和性または結合リガンドを含む。実施形態では、ナノ粒子は、レドックスに対して感受性(例えば、ジスルフィド)またはpHに対して感受性(例えば、加水分解性基)または酵素に対して感受性(例えば、プロテアーゼ)である可逆的リンカーによって架橋されたナノゲルを含む。
【0110】
いくつかの態様では、本発明は、有核細胞の融解組成物を作製する方法であって、
a)有核細胞と、緩衝化水性媒体溶液と、例えば、有核細胞の凍結調製物が融解されると、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む有核細胞の凍結組成物を提供する工程(例えば、本明細書に開示される有核細胞-ナノ粒子複合体を提供する工程);および
b)有核細胞の凍結組成物を融解するのに十分に有核細胞の凍結組成物を加温し、それにより、有核細胞の融解組成物を作製する工程
を含む方法を特徴とする。
【0111】
いくつかの実施形態では、提供する工程は、別のエンティティ、例えば有核細胞の組成物を作製および/または凍結するエンティティから凍結組成物を受け取ることを含む。いくつかの実施形態では、提供する工程は、有核細胞を、緩衝化水性媒体溶液と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを組み合わせ、そうすることで有核細胞ーナノ粒子複合体を形成することを含む。いくつかの実施形態では、提供する工程は、別のエンティティからナノ粒子を受け取ること、およびナノ粒子を、有核細胞および緩衝化水性媒体溶液と組み合わせることを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、方法は、有核細胞の凍結組成物を加温する前に、有核細胞の凍結組成物を少なくとも1時間凍結したままに維持する工程を含む。
【0113】
実施形態では、被験体は、有核細胞を提供したドナー被験体である。実施形態では、ドナー被験体、例えば患者は、がん、糖尿病、自己免疫疾患もしくは心血管疾患を有するか、または移植を必要とする。実施形態では、被験体は、ドナー被験体以外の被験体である。実施形態では、ドナー被験体以外の被験体は、健常被験体である。
【0114】
いくつかの実施形態では、保存剤は、以下:
i)配列番号2のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列;
ii)配列番号3のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列;
iii)配列番号4のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列;
から選択されるIL-15ポリペプチド受容体アルファ断片、および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、免疫グロブリンFcドメインもしくは抗体分子、例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片、またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、単一ドメイン抗体、二重特異性もしくは多重特異性抗体、を含む。一実施形態では、第2の異種ドメインは、FcドメインもしくはFabである。
【0115】
いくつかの実施形態では、保存剤は、IL-15分子およびIL-15ポリペプチド受容体アルファ断片の複合体を含む。
【0116】
ある実施形態では、組成物、例えば、ナノ粒子および/または保存剤、は、IL-15複合体を含み、前記IL-15複合体は、IL-15受容体もしくはそのIL-15結合断片を含むポリペプチドと、例えば、共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含む。ある実施形態では、IL-15分子は、配列番号6のヒトIL-15 N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、IL-15受容体またはその断片を含むポリペプチドは、配列番号5のIL15RaSu-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、IL-15受容体またはその断片を含むポリペプチドは、sushiドメイン(例えば、配列番号7または配列番号8のもの)およびエフェクター弱体化Fcドメイン、例えば、ヒトIgG2 Fcドメイン、例えば、配列番号11のヒトIgG2ドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の異種ドメインを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号5のsushi-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号1のIL-15ポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号7または配列番号8のsushiドメインあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号11のFcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むsushi-Fcポリペプチド;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号15のsushi-Fc2DaポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、ナノ粒子)は、
配列番号1のIL-15ポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号15のsushi-Fc2DaポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む。
【0121】
実施形態では、保存剤は、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を持続するための刺激分子である。
【0122】
実施形態では、インターフェロンガンマ産生が促進される。実施形態では、活性化は、インターフェロンガンマ産生によって測定され得る。
【0123】
実施形態では、媒体は、細胞の生存能力および増殖を刺激および持続する化合物を含有する。実施形態では、媒体は、凍結および融解中に細胞を保護する化合物を含む。
【0124】
実施形態では、ナノ粒子からの保存剤の放出は、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる。
【0125】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面と会合している。
【0126】
実施形態では、有核細胞は、免疫エフェクター細胞(例えば、リンパ球、T細胞、B細胞またはナチュラルキラー細胞)または造血幹細胞である。
【0127】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞に対する静電引力によって細胞表面と会合している。実施形態では、ナノ粒子は、少なくとも1つのリガンドを含み、リガンドは、有核細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する。
【0128】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面に共有結合的にコンジュゲートする。実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面に共有結合的にコンジュゲートしない。
【0129】
実施形態では、ナノ粒子は、リポソーム、タンパク質ナノゲル、ヌクレオチドナノゲル、ポリマーナノ粒子または固体ナノ粒子を含む。実施形態では、ナノ粒子は、リポソームを含む。実施形態では、ナノ粒子は、タンパク質ナノゲルを含む。
【0130】
実施形態では、ナノ粒子は、ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む。実施形態では、ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0131】
実施形態では、組成物は、溶液中もしくは細胞表面上のナノ粒子を安定化し、かつ/またはナノ粒子と有核細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物、例えば、プロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンを含む。
【0132】
ある実施形態では、保存剤は、サイトカイン分子、ポリペプチド、例えば、その受容体またはその受容体の断片もしくは部分、成長因子分子、または共刺激分子に複合体化されたサイトカインを含む。ある実施形態では、保存剤は、サイトカイン分子、例えば、IL2、IL7、IL12、IL15、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、またはGCSF、それらのバリアント、またはサイトカイン複合体、例えば、本明細書に記載のIL-15複合体(例えば、IL-15スーパーアゴニスト)を含む。ある実施形態では、保存剤は、IL-15受容体α鎖の断片、例えば、本明細書に記載の断片に会合されたサイトカイン分子、例えば、IL-15を含む。いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、抗体分子、(例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片、またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、例えば、免疫グロブリンFc、単一ドメイン抗体、二重特異性もしくは多重特異性抗体をさらに含む、例えば、これらにカップリング(例えば、融合)されている。ある実施形態では、組成物は、アゴニスト、例えば、共刺激分子に対する抗体分子またはアゴニストリガンドを含み、例えば、共刺激分子は、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、またはCD137のアゴニストから選択される。
【0133】
実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞によるナノ粒子の取り入れを減少させる、例えば阻害、減退または低減するエンティティを含む。ある実施形態では、ナノ粒子は、CD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む。実施形態では、ナノ粒子は、レドックスに対して感受性(例えば、ジスルフィド)またはpHに対して感受性(例えば、加水分解性基)または酵素に対して感受性(例えば、プロテアーゼ)である可逆的リンカーによって架橋されたナノゲルを含む。
【0134】
いくつかの態様では、本発明は、有核細胞およびナノ粒子(例えば、有核細胞-ナノ粒子複合体)を凍結するための方法であって、前記有核細胞を-10℃未満で凍結して少なくとも1時間後に融解し、前記ナノ粒子が、融解後に前記ナノ粒子から場合により放出される少なくとも1つの薬剤であって、ナノ粒子なしで凍結された有核細胞の組成物と比較して前記細胞の機能を維持する、例えば前記細胞の生存能力を保存する薬剤を含む方法を特徴とする。
【0135】
いくつかの実施形態では、薬剤は、有核細胞の生存能力を持続するための刺激分子である。実施形態では、有核担体細胞は、リンパ球である。実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面と会合している。実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞の表面に共有結合的にコンジュゲートしている。
【0136】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載される組成物、例えば有核細胞と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む組成物(例えば、有核細胞-ナノ粒子複合体)と、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物を特徴とする。
【0137】
実施形態では、本明細書の被験体は、細胞ベースの治療、例えば免疫細胞療法を必要とする。例えば、被験体は、養子細胞療法を必要とする。いくつかの実施形態では、被験体は、患者、例えばヒト患者である。いくつかの実施形態では、被験体は、がん、糖尿病、自己免疫疾患、アレルギーもしくはアレルギー症状、喘息または心血管疾患から選択される疾患を有する。実施形態では、被験体は、移植を必要とする。
【0138】
実施形態では、本明細書の方法は、複合体中の有核細胞の機能を評価する工程、例えば、例えば融解後に有核細胞の増殖、サイトカイン放出または細胞傷害効果の1つまたはそれよりも多くを評価する工程をさらに含む。
【0139】
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される:
(項目1)
有核細胞と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む組成物であって、
(a)前記組成物の少なくとも一部は凍結されており、
(b)前記保存剤はサイトカイン分子または共刺激分子を含み、
(c)
(i)前記サイトカイン分子は、IL15、IL2、IL6、IL7、IL12、IL17、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSFもしくはGCSFから選択される;かつ/または
(ii)前記共刺激分子は、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される、組成物。
(項目2)
前記組成物が融解されると、前記保存剤が、前記ナノ粒子の非存在下における有核細胞と比較して、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを改善する、項目1に記載の組成物。
(項目3)
複数の保存剤が互いに共有結合的に連結されており、前記ナノ粒子が、その表面にカチオン性ポリマーを場合によりさらに含む、項目1または2に記載の組成物。
(項目4)
前記有核細胞がNK細胞またはT細胞である、項目1または2に記載の組成物。
(項目5)
有核細胞と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む組成物であって、
(a)前記組成物の少なくとも一部は凍結されており;
(b)前記保存剤は、
配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、抗体分子またはFcドメインを含む第2の異種ドメイン
を含むポリペプチドと複合体化されたIL-15分子複合体を含む、組成物。
(項目6)
前記組成物が融解されると、前記保存剤が、前記ナノ粒子の非存在下における有核細胞と比較して、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを改善する、項目5に記載の組成物。
(項目7)
前記Fcドメインが野生型であるかもしくは変異されているか、または前記Fcドメインが配列番号11または配列番号12のアミノ酸配列を含む、項目5または6に記載の組成物。
(項目8)
有核細胞と、緩衝化水性媒体溶液と、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを保存または増強する少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む組成物であって、前記組成物は凍結されており、前記組成物が融解されると、前記ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞と比較して、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを改善し、前記保存剤はサイトカイン分子または共刺激分子を含み、
(i)前記サイトカイン分子は、IL15、IL2、IL6、IL7、IL12、IL17、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSFもしくはGCSFから選択されるか;または
(ii)前記共刺激分子は、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される、組成物。
(項目9)
有核細胞と、緩衝化水性媒体溶液と、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを保存または増強する少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む組成物であって、前記組成物の凍結調製物が融解されると、前記保存剤は、前記ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞と比較して、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを保存または増強し、前記保存剤は、
配列番号7もしくは配列番号8のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;ならびに
場合により、抗体分子およびFcドメインを含む第2の異種ドメイン
を含むポリペプチドと複合体化したIL-15分子を含み;
場合により、前記組成物の少なくとも一部は凍結されている、組成物。
(項目10)
複合体した前記IL-15分子が、前記ポリペプチドと共有結合的または非共有結合的に会合している、項目9に記載の組成物。
(項目11)
前記抗体分子が、Fab断片、Fab2断片、scFv、重鎖抗体断片、アフィボディ断片もしくは誘導体またはsdAb(ナノボディ)断片を含む、項目9に記載の組成物。
(項目12)
融解されると、前記保存剤が前記ナノ粒子から放出される、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目13)
IL-15受容体またはそのIL-15結合断片を含むポリペプチドと複合体化したIL-15分子を含むIL-15複合体を含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目14)
前記IL-15分子が変異体IL-15ポリペプチドを含む、項目5、9または13に記載の組成物。
(項目15)
前記変異体IL-15ポリペプチドが、1つまたはそれより多くのアミノ酸置換を有するヒトIL-15ポリペプチドを含む、項目14に記載の組成物。
(項目16)
前記ヒトIL-15ポリペプチドが72位の置換を有する、項目15に記載の組成物。
(項目17)
72位の前記置換が、NからDへの置換である、項目16に記載の組成物。
(項目18)
前記IL-15分子が、配列番号6のポリペプチド、あるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列である、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目19)
IL-15受容体またはその断片を含む前記ポリペプチドが、配列番号5のポリペプチド、あるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目20)
前記IL-15受容体またはその断片を含む前記ポリペプチドが、配列番号7または配列番号8のポリペプチドと、エフェクター弱体化Fcドメインを含む第2の異種ドメインとを含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目21)
前記エフェクター弱体化FcドメインがヒトIgG2 Fcドメインを含む、項目20に記載の組成物。
(項目22)
前記ヒトIgG2 Fcドメインが、配列番号11のポリペプチドあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、項目21に記載の組成物。
(項目23)
融解されると、インターフェロンガンマの産生増加をもたらす、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目24)
前記ナノ粒子からの保存剤の放出が、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる、項目12~23のいずれかに記載の組成物。
(項目25)
前記有核細胞が免疫エフェクター細胞または造血幹細胞である、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目26)
前記有核細胞がリンパ球、T細胞、B細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、項目25に記載の組成物。
(項目27)
前記ナノ粒子が、前記有核細胞に対する静電引力によって細胞表面と会合している、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目28)
前記ナノ粒子が少なくとも1つのリガンドを含み、前記リガンドが、前記有核細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目29)
前記ナノ粒子が、前記有核細胞の表面と共有結合的にコンジュゲートしているか、または共有結合的にコンジュゲートしていない、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目30)
前記ナノ粒子が、リポソーム、タンパク質ナノゲル、ヌクレオチドナノゲル、ポリマーナノ粒子または固体ナノ粒子を含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目31)
前記ナノ粒子がタンパク質ナノゲルを含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目32)
前記ナノ粒子が、前記ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目33)
前記ナノ粒子が、PEGとポリリジンとを含むカチオン性ブロックコポリマーを含む、項目32に記載の組成物。
(項目34)
前記PEGが、約1~10、2~8、4~6または約5kDの分子量を有するPEGである、項目33に記載の組成物。
(項目35)
前記ポリリジンが、10~50、20~40または約30アミノ酸の平均長を有する、項目33または34に記載の組成物。
(項目36)
溶液中もしくは細胞表面上で前記ナノ粒子を安定化し、かつ/または前記ナノ粒子と前記有核細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物を含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目37)
前記化合物が、プロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンを含む、項目36に記載の組成物。
(項目38)
サイトカイン分子を含む第2の保存剤を含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目39)
前記サイトカイン分子が、IL2、IL6、IL7、IL12、IL15、IL17、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、またはGCSF、またはそれらのバリアントを含む、項目38に記載の組成物。
(項目40)
前記バリアントがスーパーアゴニストである、項目39に記載の組成物。
(項目41)
前記ナノ粒子が、CD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目42)
配列番号6のポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号5のポリペプチド、あるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子
を含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目43)
前記ナノ粒子が、レドックス、pHまたは酵素に対して感受性の可逆的リンカーによって架橋されたナノゲルを含む、上記項目のいずれかに記載の組成物。
(項目44)
レドックスに対して感受性の前記リンカーがジスルフィド基を含む、項目43に記載の組成物。
(項目45)
pHに対して感受性の前記リンカーが加水分解性基を含む、項目43に記載の組成物。
(項目46)
前記酵素がプロテアーゼである、項目43に記載の組成物。
(項目47)
有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを増強するための方法であって、
前記有核細胞と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを接触させる工程;
前記接触させた有核細胞を少なくとも1回の凍結融解サイクルに供する工程
を含み、
前記保存剤はサイトカイン分子または共刺激分子を含み、
(i)前記サイトカイン分子は、IL15、IL2、IL6、IL7、IL12、IL17、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSFもしくはGCSFから選択されるか;または
(ii)前記共刺激分子は、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される、方法。
(項目48)
有核細胞の凍結組成物を作製する方法であって、
有核細胞と、少なくとも1つの保存剤を含む複数のナノ粒子とを含む非凍結組成物を提供する工程、および
前記組成物が凍結するのに十分に前記組成物の温度を低下させ、それにより、有核細胞の組成物を凍結する工程
を含み、
前記保存剤はサイトカイン分子または共刺激分子を含み、
(i)前記サイトカイン分子は、IL15、IL2、IL6、IL7、IL12、IL17、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSFもしくはGCSFから選択されるか;または
(ii)前記共刺激分子は、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される、方法。
(項目49)
前記組成物の温度を0℃未満または-10℃未満に低下させる、項目48に記載の方法。
(項目50)
提供する工程が、別のエンティティから前記ナノ粒子を受け取ること、および前記ナノ粒子と前記有核細胞とを組み合わせることを含む、項目47~49のいずれかに記載の方法。
(項目51)
提供する工程が、別のエンティティから有核細胞の前記非凍結組成物を受け取ることを含む、項目47~50のいずれかに記載の方法。
(項目52)
有核細胞の前記凍結組成物を別のエンティティに提供または放出する工程を含む、項目47~51のいずれかに記載の方法。
(項目53)
前記エンティティがヘルスケアプロバイダである、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記ヘルスケアプロバイダが病院、診療所または医院である、項目53に記載の方法。
(項目55)
有核細胞の前記凍結組成物を融解して、有核細胞の融解組成物を提供する工程を含む、項目47~54のいずれかに記載の方法。
(項目56)
前記保存剤が、
IL-15ポリペプチド受容体アルファ断片、および
場合により、抗体分子またはFcドメインを含む第2の異種ドメイン
を含む、項目47~55のいずれかに記載の方法。
(項目57)
前記抗体分子が、Fab断片、Fab2断片、scFv、重鎖抗体断片、アフィボディ断片もしくは誘導体またはsdAb(ナノボディ)断片を含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
インターフェロンガンマ産生を促進する、項目47~57のいずれかに記載の方法。
(項目59)
インターフェロンガンマ産生によって活性化を測定する、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記ナノ粒子からの保存剤の放出が、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる、項目47~59のいずれかに記載の方法。
(項目61)
ナノ粒子が、前記有核細胞の表面と会合または共有結合的にコンジュゲートしている、項目47~60のいずれかに記載の方法。
(項目62)
前記有核細胞が免疫エフェクター細胞または造血幹細胞である、項目47~61のいずれかに記載の方法。
(項目63)
前記有核細胞がリンパ球、T細胞、B細胞またはNK細胞である、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記有核細胞がT細胞またはNK細胞である、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記ナノ粒子が、前記有核細胞に対する静電引力によって細胞表面と会合している、項目47~64のいずれかに記載の方法。
(項目66)
前記ナノ粒子が少なくとも1つのリガンドを含み、前記リガンドが、前記有核細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する、項目47~65のいずれかに記載の方法。
(項目67)
前記ナノ粒子が、リポソーム、タンパク質ナノゲル、ヌクレオチドナノゲル、ポリマーナノ粒子または固体ナノ粒子を含む、項目47~66のいずれかに記載の方法。
(項目68)
前記ナノ粒子が、前記ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む、項目47~67のいずれかに記載の方法。
(項目69)
前記ナノ粒子が、PEGとポリリジンとを含むカチオン性ブロックコポリマーを含む、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記PEGが、約1~10、2~8、4~6または約5kDの分子量を有するPEGである、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記ポリリジンが、10~50、20~40または約30アミノ酸の平均長を有する、項目69または70に記載の方法。
(項目72)
前記組成物が、溶液中もしくは細胞表面上で前記ナノ粒子を安定化し、かつ/または前記ナノ粒子と前記有核細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物を含む、項目47~71のいずれかに記載の方法。
(項目73)
前記化合物が、プロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンを含む、項目72に記載の方法。
(項目74)
前記保存剤が、
配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、抗体分子またはFcドメインを含む第2の異種ドメイン
を含むポリペプチドと、例えば、共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含む、項目47~73のいずれかに記載の方法。
(項目75)
前記組成物が、CD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む、項目47~74のいずれかに記載の方法。
(項目76)
前記ナノゲルが80重量%超のタンパク質であり、かつ/または前記タンパク質が、分解されるとネイティブ形態の前記タンパク質を放出する架橋分子によって架橋されている、項目47~75のいずれかに記載の方法。
(項目77)
前記ナノ粒子が、レドックス、pHまたは酵素に対して感受性の可逆的リンカーによって架橋されたナノゲルを含む、項目47~77のいずれかに記載の方法。
(項目78)
前記ナノ粒子が、
配列番号6のポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号5のポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子
を含む、項目47~77のいずれかに記載の方法。
(項目79)
有核細胞の融解組成物を作製する方法であって、
有核細胞と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む凍結組成物を提供する工程;および
有核細胞の前記凍結組成物を融解するのに十分に有核細胞の前記凍結組成物を加温し、それにより、有核細胞の融解組成物を作製する工程
を含み、
前記保存剤はサイトカイン分子または共刺激分子を含み、
(i)前記サイトカイン分子は、IL15、IL2、IL6、IL7、IL12、IL17、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSFもしくはGCSFから選択されるか;または
(ii)前記共刺激分子は、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される、方法。
(項目80)
提供する工程が、別のエンティティから前記凍結組成物を受け取ることを含む、項目79に記載の方法。
(項目81)
前記エンティティが、有核細胞の前記組成物を作製および/または凍結するエンティティである、項目80に記載の方法。
(項目82)
提供する工程が、
前記有核細胞と、緩衝化水性媒体溶液と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを組み合わせることを含む、項目79に記載の方法。
(項目83)
提供する工程が、別のエンティティから前記ナノ粒子を受け取ること、および前記ナノ粒子を前記有核細胞および前記緩衝化水性媒体溶液と組み合わせることを含む、項目82に記載の方法。
(項目84)
有核細胞の前記凍結組成物を加温する前に、有核細胞の前記凍結組成物を少なくとも1時間凍結したままに維持することを含む、項目79~83のいずれかに記載の方法。
(項目85)
前記保存剤が、
配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、抗体分子またはFcドメインを含む第2の異種ドメイン
を含むポリペプチドと複合体化されたIL-15分子を含む、項目79~84のいずれかに記載の方法。
(項目86)
前記抗体分子が、Fab断片、Fab2断片、scFv、重鎖抗体断片、アフィボディ断片または誘導体、またはsdAb(ナノボディ)断片を含む、項目85に記載の方法。
(項目87)
前記ナノ粒子が、
配列番号6のポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号5のポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子
を含む、項目79~86のいずれかに記載の方法。
(項目88)
前記ナノ粒子からの保存剤の放出が、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる、項目79~87のいずれかに記載の方法。
(項目89)
前記有核細胞が免疫エフェクター細胞または造血幹細胞である、項目79~88のいずれかに記載の方法。
(項目90)
前記有核細胞がリンパ球、T細胞、B細胞またはNK細胞である、項目89に記載の方法。
(項目91)
前記有核細胞がT細胞またはNK細胞である、項目90に記載の方法。
(項目92)
前記ナノ粒子が、前記有核細胞に対する静電引力によって細胞表面と会合している、項目79~91のいずれかに記載の方法。
(項目93)
前記ナノ粒子が少なくとも1つのリガンドを含み、前記リガンドが、前記有核細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する、項目79~92のいずれかに記載の方法。
(項目94)
前記ナノ粒子が、前記有核細胞の表面と共有結合的にコンジュゲートしているか、または共有結合的にコンジュゲートしていない、項目79~93のいずれかに記載の方法。
(項目95)
前記ナノ粒子が、リポソーム、タンパク質ナノゲル、ヌクレオチドナノゲル、ポリマーナノ粒子または固体ナノ粒子を含む、項目79~94のいずれかに記載の方法。
(項目96)
前記ナノ粒子が、場合により、前記ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む、項目79~95のいずれかに記載の方法。
(項目97)
前記ナノ粒子が、PEGとポリリジンとを含むカチオン性ブロックコポリマーを含む、項目96に記載の方法。
(項目98)
前記PEGが、約1~10、2~8、4~6または約5kDの分子量を有するPEGである、項目97に記載の方法。
(項目99)
前記ポリリジンが、10~50、20~40または約30アミノ酸の平均長を有する、項目97または98に記載の方法。
(項目100)
前記保存剤が、
配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、抗体分子またはFc断片を含む第2の異種ドメイン
を含むポリペプチドと複合体化されたIL-15分子を含む、項目79~99のいずれかに記載の方法。
(項目101)
前記抗体分子が、Fab断片、Fab2断片、scFv、重鎖抗体断片、アフィボディ断片または誘導体、またはsdAb(ナノボディ)断片を含む、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記組成物が、CD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む、項目79~101のいずれかに記載の方法。
(項目103)
前記ナノゲルが80重量%超のタンパク質であり、かつ/または前記タンパク質が、分解されるとネイティブ形態の前記タンパク質を放出する架橋分子によって架橋されている、項目79~102のいずれかに記載の方法。
(項目104)
前記ナノ粒子が、レドックス、pHまたは酵素に対して感受性の可逆的リンカーによって架橋されたナノゲルを含む、項目79~103のいずれかに記載の方法。
本発明の他の特徴、目的および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかであろう。
【0140】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本発明の実施または試験では、本明細書に記載されるものに類似またはそれと同等の方法および材料が使用され得るが、適切な方法および材料が以下に記載される。本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体が参照により組み込まれる。加えて、材料、方法および実施例は例示に過ぎず、限定的なものであることを意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【
図1】
図1A~1Bは、IL-15/sushi-Fc融合構築物の概略図を示す。
図1Aは、ヒトIgG1 Fc領域のN末端に融合したヒトIL-15Rαのsushiドメインと非共有結合的に会合したIL-15
WT/sushi-Fc:WTヒトIL-15の概略図である。
図1Bは、ヒトIgG1 Fc領域のN末端に融合したヒトIL-15Rαのsushiドメインと非共有結合的に会合した、N72D変異を含有するIL-15
N72D/sushi-Fc:ヒトIL-15の概略図である。
【0142】
【
図2】
図2は、タンパク質ナノゲル(バックパック)形成に使用したIL15/sushi-IgG1-Fc構築物のSDS-PAGE分析を示す。可逆的架橋剤による架橋後のIL-15
WT/sushi-Fc(黒色)およびIL-15
N72D/sushi-Fc(青色)タンパク質ナノゲルの分析(レーン1および2)。得られたタンパク質ナノゲルは高度に架橋されており、ポリアクリルアミドゲルに効率的に侵入しない。還元(レーン3および4)および非還元(レーン5および6)IL-15バリアントを示す対照も含まれる。同じSDS-PAGE上の無関係なデータは、図から省略されている。
【0143】
【
図3】
図3は、BioSep4000サイズ排除クロマトグラフィーカラムのHPLCによって分析した架橋IL-15
N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲル(11分のピークは、組み込まれていないリンカーである)を示す;5分のピークは、架橋IL-15
N72D/sushi-Fcである。
【0144】
【
図4】
図4は、BioSep4000サイズ排除クロマトグラフィーカラムのHPLCによって分析した非架橋IL-15
N72D/sushi-Fcを示す。
【0145】
【
図5】
図5は、BioSep4000サイズ排除クロマトグラフィーカラムによる、polyK30で官能化した架橋IL-15
N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲルのHPLCを示す。
【0146】
【
図6】
図6は、BioSep4000サイズ排除クロマトグラフィーカラムのHPLCによって分析した非架橋抗CD45 IgGを示す。
【0147】
【
図7】BioSep4000サイズ排除クロマトグラフィーカラムのHPLCによって分析した、抗CD45 IgG(上記と同じ初期濃度の抗CD45 IgG)で官能化した架橋IL-15
N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲル。
【0148】
【
図8】BioSep4000サイズ排除クロマトグラフィーカラムのHPLCによって分析した、抗CD45 IgGおよびpolyK30で官能化した架橋IL-15
N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲル。
【0149】
【
図9】
図9は、CD8 T細胞とのタンパク質ナノゲル会合を示す。CD8 T細胞を、3重量%のAlexa-647コンジュゲートIL-15
N72D/sushi-Fcを含有するIL-15
N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲル(バックパック)と会合させた。FBS+5%DMSO中で、CD8 T細胞を一晩凍結した。融解して、IL-2含有培地(20ng/ml)中でCD8 T細胞を培養し、示されている時点において、フローサイトメトリーによってそれらのAlexa-647蛍光を測定した。
【0150】
【
図10】
図10は、T細胞拡大分析を示す。CD8 T細胞をIL-15
N72D/sushi-Fcバックパックとコンジュゲートしてから(右の群)、またはコンジュゲートせずに(左の群)、FBS+5%DMSO中で一晩凍結した。融解して、IL-2含有培地(20ng/ml)中で両群を培養し、4時間後(灰色のバー)および2日目(黒色のバー)に、フローサイトメトリーによって生細胞の数を測定した。この実験のための完全培地は、IMDM(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、20%FBS(Life Tech)、2.5ug/mlヒトアルブミン(Octapharma)、0.5ug/mlイノシトール(Sigma)であった。
【0151】
【
図11】
図11A~11Bは、T細胞拡大分析を示す。
図11Aでは、無血清培地(Bambanker)中で2週間凍結する前に、CD3 T細胞をIL-15
N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲル(バックパック)と会合させたか(右端の群)、または会合させなかった(左端の3つの群)。融解して、完全培地中で第1の群を培養し(培地のみ)、IL-2含有(20ng/ml)完全培地中で第2の群を培養し(IL-2(可溶性))、IL-15
N72D/sushi-Fc含有(0.6ug/ml)完全培地中で第3の群を培養し(IL-15
N72D/sushi-Fc(0.6ug/ml))、完全培地中で第4の群を培養した(IL-15
N72D/sushi-Fcバックパック)。16時間後(灰色のバー)および9日目(黒色のバー)に、フローサイトメトリーによって生細胞の数を測定した。
図11Bでは、無血清培地(Bambanker)中で一晩凍結する前に、CD3 T細胞をIL-15
WT/sushi-Fc(バックパック)とコンジュゲートさせたか(右端の群)、またはコンジュゲートさせなかった(左端の3つの群)。融解して、完全培地中で第1の群を培養し(培地のみ)、IL-2含有(20ng/ml)完全培地中で第2の群を培養し(IL-2(可溶性))、IL-15
WT/sushi-Fc含有(12ug/ml)完全培地中で第3の群を培養し(IL-15
WT/sushi-Fc(12ug/ml))、完全培地中で第4の群を培養した(IL-15
WT/sushi-Fcバックパック)。2日目(薄灰色のバー)、6日目(濃灰色のバー)および7日目(黒色のバー)に、顕微鏡検査によって生細胞の数を測定した。この実験のための完全培地は、IMDM(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、20%FBS(Life Tech)、2.5ug/mlヒトアルブミン(Octapharma)、0.5ug/mlイノシトール(Sigma)であった。
【0152】
【
図12】
図12A~12Bは、NK-92細胞株および初代NK細胞の拡大分析を示す。
図12Aでは、NK-92細胞をIL-15
WT/sushi-Fcタンパク質ゲル(バックパック)と会合させたか(右端の2つの群)、または会合させなかった(左端の3つの群)。最初の4群は、無血清培地(Bambanker)中で2時間凍結させ、5群は、洗浄し、完全培地中で培養した(IL-15
WT/sushi-Fcバックパック(非凍結))。左端の4つの群を融解して、完全培地中で第1の群を培養し(培地のみ)、IL-2含有(20ng/ml)完全培地中で第2の群を培養し(IL-2(可溶性))、IL-15
WT/sushi-Fc含有(12ug/ml)完全培地中で第3の群を培養し(IL-15
WT/sushi-Fc(12ug/ml))、完全培地中で第4の群を培養した(IL-15
WT/sushi-Fcバックパック)。1日目(薄灰色のバー)、5日目(濃灰色のバー)および6日目(黒色のバー)に、顕微鏡検査によって生細胞の数を測定した。この実験のための完全培地は、組換えトランスフェリン(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、5%ヒト血清AB(Corning)を含有するXvivo10であった。
図12Bでは、無血清培地(Bambanker)中で2週間凍結する前に、初代NK細胞をIL-15
N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲル(バックパック)と会合させたか(右端の群)、または会合させなかった(左端の3つの群)。融解して、完全培地中で第1の群を培養し(培地のみ)、IL-2含有(20ng/ml)完全培地中で第2の群を培養し(IL-2(可溶性))、IL-15
N72D/sushi-Fc含有(0.6ug/ml)完全培地中で第3の群を培養し(IL-15
N72D/sushi-Fc(0.6ug/ml))、完全培地中で第4の群を培養した(IL-15
N72D/sushi-Fcバックパック)。16時間後(灰色のバー)および9日目(黒色のバー)に、フローサイトメトリーによって生細胞の数を測定した。この実験のための完全培地は、組換えトランスフェリン(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、5%ヒト血清AB(Corning)を含有するXvivo10であった。
【0153】
【
図13】
図13A~13Bは、T細胞サブセット分析を示す。
図13Aでは、CD3 T細胞をIL-15N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲル(バックパック)と会合させてから(右端の群)、または会合させずに(左端の3つの群)、無血清培地(Bambanker)中で2週間凍結した。融解して、完全培地中で第1の群を培養し(培地のみ)、IL-2含有(20ng/ml)完全培地中で第2の群を培養し(IL-2(可溶性)、IL-15N72D/sushi-Fc含有(0.6ug/ml)完全培地中で第3の群を培養し(IL-15N72D/sushi-Fc(0.6ug/ml))、完全培地中で第4の群を培養した(IL-15N72D/sushi-Fcバックパック)。9日間培養した後、サブセット(
図13A)および活性化(
図13B)マーカーの発現について、フローサイトメトリーによってCD3 T細胞を分析した。
【0154】
【
図14】
図14A~14Bは、T細胞効力分析を示す。
図14Aでは、無血清培地(Bambanker)中で2週間凍結させる前に、CD3 T細胞をIL-15
N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲル(バックパック)と会合させたか(右端の群)、または会合させなかった(左端の3つの群)。融解して、完全培地中で第1の群を培養し(培地のみ)、IL-2含有(20ng/ml)完全培地中で第2の群を培養し(IL-2(可溶性)、IL-15
N72D/sushi-Fc含有(0.6ug/ml)完全培地中で第3の群を培養し(IL-15
N72D/sushi-Fc(0.6ug/ml))、完全培地中で第4の群を培養した(IL-15
N72D/sushi-Fcバックパック)。1日間培養した後、異なるエフェクター対標的(E:T)比でCD3 T細胞を標的細胞(Daudi)と共に共培養した。16時間後に、フローサイトメトリーによって標的細胞の死滅を測定した。Tukeyの多重比較検定による2元配置ANOVAによって、統計的有意性を計算した。*:p<0.05;**:p<0.01。
図14Bは、
図14Aと同じ細胞からのIFNg放出の測定を示す。この実験のための完全培地は、IMDM(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、20%FBS(Life Tech)、2.5ug/mlヒトアルブミン(Octapharma)、0.5ug/mlイノシトール(Sigma)であった。
【0155】
【
図15】
図15A~
図15Bは、T細胞効力分析を示す。
図15Aでは、CD8 T細胞をIL-15
N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲル(バックパック)と会合させ、洗浄および完全培地で培養したか、または無血清培地(Bambanker)中で凍結した(2日間)。融解して、完全培地中で、CD8 T細胞を培養した。18日間培養した後(「非凍結」の群については20日間)、異なるエフェクター対標的(E:T)比でCD8 T細胞を標的細胞(Daudi)と共に共培養した。16時間後に、フローサイトメトリーによって標的細胞の死滅を測定した。Sidakの多重比較検定による2元配置ANOVAによって、統計的有意性を計算した。n.s.:有意でない。
図15Bは、
図15Aと同じ細胞からのIFNg放出の測定を示す。この実験のための完全培地は、IMDM(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、20%FBS(Life Tech)、2.5ug/mlヒトアルブミン(Octapharma)、0.5ug/mlイノシトール(Sigma)であった。
【0156】
【
図16】
図16A~
図16Bは、T細胞効力分析を示す。
図16Aでは、CD8 T細胞を、IL-15
N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲル(バックパック)と会合させたか(右端の群)、または会合させず(左端の2つの群)、洗浄およびIL-2(20ng/ml)含有培地で培養したか(左端の群)、またはFBS+5%DMSO中で凍結した(右端の2つの群)(一晩)。融解して、IL-2含有培地(20ng/ml)中で、両群を培養した。3日間培養した後、異なるエフェクター対標的(E:T)比でCD8 T細胞を標的細胞(Daudi)と共に共培養した。16時間後に、フローサイトメトリーによって標的細胞の死滅を測定した。Sidakの多重比較検定による2元配置ANOVAによって、統計的有意性を計算した。****:p<0.0001。
図16Bは、
図16Aと同じ細胞からのIFNg放出の測定を示す。この実験のための完全培地は、IMDM(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、20%FBS(Life Tech)、2.5ug/mlヒトアルブミン(Octapharma)、0.5ug/mlイノシトール(Sigma)であった。
【0157】
【
図17】
図17A~17Bは、初代NK細胞効力分析を示す。
図17Aでは、無血清培地(Bambanker)中で2週間凍結させる前に、NK細胞をIL-15
N72D/sushi-Fcバックパックとコンジュゲートさせたか(右端の群)、またはコンジュゲートさせなかった(左端の3つの群)。融解して、完全培地中で第1の群を培養し(培地のみ)、IL-2含有(20ng/ml)完全培地中で第2の群を培養し(IL-2(可溶性)、IL-15
N72D/sushi-Fc含有(0.6ug/ml)完全培地中で第3の群を培養し(IL-15
N72D/sushi-Fc(0.6ug/ml))、完全培地中で第4の群を培養した(IL-15
N72D/sushi-Fcバックパック)。1日間培養した後、異なるエフェクター対標的(E:T)比でNK細胞を標的細胞(Daudi)と共に共培養した。16時間後に、フローサイトメトリーによって標的細胞の死滅を測定した。
図17Bは、
図17Aと同じ細胞からのIFNg放出の測定を示す。この実験のための完全培地は、組換えトランスフェリン(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、5%ヒト血清AB(Corning)を含有するXvivo10であった。
【0158】
【
図18】
図18A~18Bは、初代マウスT細胞生存能力分析を示す。
図18Aでは、インビトロ活性化T細胞(実施例14を参照のこと)を、ハンクス平衡塩溶液(HBSS;黒色のバー)と共にインキュベートしたか(0日目)、またはIL-15
MUT/sushi-Fc2Daバックパック(灰色のバー)もしくはIL-15
WT/sushi-Fc2Daバックパック(灰色の斜線バー)とコンジュゲートした。IL-15
MUT/sushi-Fc2Daバックパックは、IL15タンパク質内にD8N変異(これは、IL15タンパク質を不活性にする)を有する。洗浄後(実施例21を参照のこと)、T細胞を半分に分割し、CM-mT中で培養したか(実施例31を参照のこと)、または無血清培地(Bambanker)中で凍結した(5日間)。融解後、ならびに2日間培養した後、二重蛍光顕微鏡検査(アクリジンオレンジ/ヨウ化プロピジウム、Cat.CS2-0106;Cellometer,Nexcelom Biosciences LLC)によって、T細胞生存能力を測定した。NA:該当なし。F/T:凍結/融解。BP:バックパック。
図18Bでは、IL-15
MUT/sushi-Fc2Daバックパックを用いず、培養液中でT細胞を2日間ではなく3日間保持する以外は同じ実験を、独立した操作者が反復した。
【0159】
【
図19】
図19は、培養中の初代マウスT細胞拡大を示す。インビトロ活性化T細胞(実施例31を参照のこと)を、ハンクス平衡塩溶液(HBSS;黒色のバー)と共にインキュベートしたか(0日目)、またはIL-15
WT/sushi-Fc2Daバックパック(灰色の斜線バー)とコンジュゲートした。洗浄後(実施例21を参照のこと)、T細胞を半分に分割し、CM-mT中で培養したか(実施例31を参照のこと)、または無血清培地(Bambanker)中で凍結した(5日間)。融解後、ならびに3日間および6日間培養した後、二重蛍光顕微鏡検査(アクリジンオレンジ/ヨウ化プロピジウム、Cat.CS2-0106;Cellometer,Nexcelom)によって、T細胞をカウントした。結果を、0日目に対する変化倍率として報告する。F/T:凍結/融解。BP:バックパック。
【0160】
【
図20】
図20A~20Bは、培養中の初代ヒトT細胞拡大を示す。両パネルでは、CD8 T細胞をハンクス平衡塩溶液(HBSS;黒色のバー)と共に、もしくはIL-15
WT/sushi-Fc2Da(暗灰色のバー)と共にインキュベートし、またはPeg5kpolyK30を有しないIL-15
WT/sushi-Fc2Daバックパック(薄灰色のバー)と、もしくはPeg5kpolyK30を有するIL-15
WT/sushi-Fc2Da(白色のバー)とコンジュゲートした。
図20Aでは、T細胞を凍結せずに新鮮培養し、
図20Bでは、(90%FBS+10%DMSO中で)T細胞を7日間凍結し、融解し、さらに7日間培養した。両パネルでは、培養条件は、サイトカインを含んでいなかった。示されている時点において、フローサイトメトリーによって生細胞の数を測定した。結果は、0日目に対する変化倍率として報告されている。BP:バックパック。
【0161】
【
図21】
図21A~21Bは、レシピエントマウスの循環中の移入マウスPmel T細胞の濃度を示す。両パネルでは、Pmelトランスジェニックマウスの脾臓から初代マウスT細胞を単離し、インビトロで活性化した(実施例31)。
図21Aでは、活性化T細胞をIL-15
MUT/sushi-Fc2DaまたはIL-15
WT/sushi-Fc2Daバックパックとコンジュゲートし、凍結した(Bambanker)。
図21Bでは、活性化T細胞をハンクス平衡塩溶液(HBSS)と共にインキュベートし、またはIL-15
WT/sushi-Fc2Daバックパックとコンジュゲートし、凍結した(Bambanker)。融解して、T細胞を洗浄し、マウス1匹当たり10
7個を静脈内注射した。5日目(
図21A)または7日目(
図21B)に、フローサイトメトリーによって生細胞の数を測定した。独立した操作者が、2回の実験を実施した。結果は、血液1μl当たりのT細胞の数として報告されている。マンホイットニー検定による統計分析。BP:バックパック。
【0162】
【
図22】
図22は、レシピエントマウスの腫瘍微小環境中の移入マウスPmel T細胞の濃度を示す。Pmelトランスジェニックマウスの脾臓から初代マウスT細胞を単離し、インビトロで活性化した(実施例31)。活性化T細胞をハンクス平衡塩溶液(HBSS)と共にインキュベートし、IL-15
MUT/sushi-Fc2Daバックパックとコンジュゲートし、またはIL-15
WT/sushi-Fc2Daバックパックとコンジュゲートした。新鮮細胞または凍結細胞(マウス1匹当たり10
7個)を動物に注射した。26日目に、フローサイトメトリーによって、腫瘍に浸潤した生移入T細胞の数を測定した。結果は、腫瘍1mg当たりのT細胞の数として報告されている。マンホイットニー検定による統計分析。BP:バックパック。
【発明を実施するための形態】
【0163】
詳細な説明
少なくとも1つの保存された機能を有する(例えば、保存された生存能力、増殖および細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを有する)有核細胞、例えば、免疫細胞を(例えば、エクスビボで)生産するための最適化された方法および組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、免疫細胞機能を保存するための方法が本明細書に開示される。前記方法は、保存剤を含む粒子、例えばナノ粒子、例えばタンパク質(例えば、タンパク質ナノゲル)を含むナノ粒子と、有核細胞、例えば免疫細胞とを接触させる工程(例えば、被験体から得られた例えば免疫細胞の集団をエクスビボで接触させる工程)を含む。
【0164】
本明細書で使用される場合、「保存剤」は、有核細胞の生存能力、有核細胞の増殖能力、または有核細胞の別の生物学的活性、例えば細胞傷害活性、有核細胞の活性化(例えば、免疫細胞との関連では、活性化は、免疫細胞増殖、サイトカイン分泌または標的細胞死滅の1つまたはそれよりも多くの増加を含む)、因子、例えばサイトカイン、例えば炎症促進性サイトカインを分泌する能力の1つまたはそれよりも多くを促進する、例えば保存または増強する薬剤、例えばタンパク質を指す。実施形態では、保存剤は、インターフェロンガンマを分泌する能力を促進する。
【0165】
実施形態では、前記保存剤は、1つまたはそれより多くの(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれより多くの)治療用タンパク質または生物学的に活性なタンパク質、例えば1つまたはそれより多くのサイトカイン分子(例えば、IL-15、IL-2、IL-7およびIL-21(そのバリアント形態、例えば変異体を含む);ポリペプチドと共にサイトカイン分子を含む複合体、例えばサイトカイン受容体複合体;その融合形態またはアゴニスト形態);成長因子;および他の分子、例えばアゴニスト、例えば共刺激分子、例えばOX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストに対する抗体分子またはリガンドから選択される。いくつかの実施形態では、保存剤としては、融合物、例えばサイトカインと免疫グロブリンFc領域との融合物、または抗体分子(例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片、またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えばsdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、単一ドメイン抗体、二重特異性抗体もしくは多重特異性抗体)が挙げられる。
【0166】
あるいはまたは組み合わせて、バックパックピローは、抗体分子(例えば、本明細書に記載される抗体分子)、ヒト血清アルブミンまたは他の結合部分、例えばフィブロネクチン分子、ダーピン、受容体外部ドメイン、アプタマーまたは結合ペプチドの1つまたはそれよりも多くを含む。実施形態では、治療用タンパク質は、例えば分解性リンカー(例えば、ジスルフィドリンカー)によって、ナノ粒子に共有結合的にカップリングされる、例えば架橋される。したがって、本明細書に開示される方法および組成物は、細胞療法、例えば免疫療法のための有意な利益を提供し得る。
【0167】
定義
特定の用語を以下で定義する。さらなる定義は、本出願を通して提供される。
【0168】
本明細書で使用される場合、「a」および「an」という冠詞は、その冠詞の文法上の目的語の1つまたは1つより多く、例えば少なくとも1つを指す。「a」または「an」という語の使用は、「含む」という用語と併せて使用される場合、本明細書では「1つ」を意味し得るが、それはまた、「1つまたはそれより多く」、「少なくとも1つ」および「1つまたは1つより多く」の意味と一致する。
【0169】
本明細書で使用される場合、「約」および「およそ」は、一般に、測定の性質または精度を考慮して、測定された量に関する誤差の許容され得る程度を意味する。誤差の例示的な程度は、所定の範囲値の20パーセント(%)以内、典型的には10%以内、より典型的には5%以内である。
【0170】
「自己」という用語は、それがその後に再導入されるのと同じ個体に由来する任意の材料を指す。
【0171】
「同種」という用語は、材料が導入される個体と同じ種の異なる動物に由来する任意の材料を指す。
【0172】
本明細書で使用される場合、「取得する」または「取得」という用語は、物理的エンティティまたは値を「直接的に取得すること」または「間接的に取得すること」によって、物理的エンティティ(例えば、サンプル、細胞もしくは細胞集団、ポリペプチド、核酸または配列)または値、例えば数値を得ることを指す。一実施形態では、取得は、細胞または細胞集団(例えば、本明細書に記載される免疫エフェクター細胞または集団)を得ることまたは採取することを指す。「直接的な取得」は、物理的エンティティまたは値を得るためのプロセスを実施すること(例えば、合成方法または分析方法または精製方法を実施すること)を意味する。「間接的な取得」は、別の団体または供給源(例えば、物理的エンティティまたは値を直接的に取得した第3者研究室)から物理的エンティティまたは値を受け取ることを指す。
【0173】
「免疫細胞」は、その用語が本明細書で使用される場合、免疫応答に、例えば免疫応答の促進に関与する細胞を指す。いくつかの実施形態では、免疫細胞は、免疫エフェクター細胞である。免疫エフェクター細胞の例としては、限定されないが、T細胞、例えばCD4+およびCD8+T細胞、アルファ/ベータT細胞およびガンマ/デルタT細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞および肥満細胞が挙げられる。「免疫細胞」はまた、免疫応答に関与する細胞の改変型、例えば改変NK細胞、例えばKlingemannら(前掲)に記載されているように、例えばNK細胞株NK-92(ATCC cat.No.CRL-2407)、haNK(高親和性Fc受容体FcγRIIIaを発現するNK-92バリアント(158V))およびtaNK(遺伝子でトランスフェクトされた標的NK-92細胞であって、所定の腫瘍抗原に対するCARを発現する標的NK-92細胞)を指す。
【0174】
本明細書で使用される場合、「細胞傷害性Tリンパ球」(CTL)は、標的細胞を死滅する能力を有するT細胞を指す。2つの工程が起こると(1)標的細胞上の抗原結合MHC分子と、CTL上のT細胞受容体との間の相互作用がなされ;2)T細胞および標的細胞上への共刺激分子の嵌合によって共刺激シグナルが作られると)、CTL活性化が起こり得る。次いで、CTLは、標的細胞上の特定の抗原を認識し、例えば細胞溶解によるこれらの標的細胞の破壊を誘導する。
【0175】
本明細書で使用される場合、「腫瘍浸潤リンパ球」(TIL)は、腫瘍に遊走したリンパ球を指す。実施形態では、TILは、異なる成熟段階または分化段階の細胞であり得、例えば、TILは、他のタイプのリンパ球の中でも、CTL、Tregおよび/またはエフェクター記憶T細胞を含み得る。
【0176】
「相同」または「同一性」という用語は、2つのポリマー分子間、例えば、2つの核酸分子、例えば2つのDNA分子もしくは2つのRNA分子間または2つのポリペプチド分子間におけるサブユニットの配列同一性を指す。2つの分子の両方におけるサブユニット位置が同じモノマーサブユニットによって占められている場合;例えば、2つの各DNA分子における位置がアデニンによって占められている場合、それらは、その位置において相同または同一である。2つの配列間の相同性は、一致位置または相同位置の数の一次関数である;例えば、2つの配列における位置の半数(例えば、長さ10サブユニットのポリマーにおける5つの位置)が相同である場合、2つの配列は50%相同である;位置の90%(例えば、10個中9個)が一致または相同である場合、2つの配列は90%相同である。
【0177】
本明細書で使用される場合、「因子分子」は、天然に存在する全長野生型分子、および天然に存在する分子の活性の少なくとも10%を有するそのバリアント、例えば機能的バリアント(例えば、切断型、断片、変異型(例えば、実質的に類似の配列)またはその誘導体化形態)を指す。実施形態では、因子分子は、天然に存在する分子の活性の少なくとも30、50または80%の活性を有する。実施形態では、バリアントは、天然に存在する野生型分子の対応する部分と70、80、90または95%の相同性を有する。実施形態では、因子分子は、抗体分子、サイトカイン分子、受容体分子、共刺激分子である。
【0178】
ポリペプチドとの関連における「機能的バリアント」という用語は、天然に存在する配列の1つまたはそれより多くの活性の少なくとも10%を有することができるポリペプチドを指す。いくつかの実施形態では、機能的バリアントが、天然に存在する配列の1つまたはそれより多くの活性を有するように、機能的バリアントは、天然に存在する配列と実質的なアミノ酸配列同一性を有するか、または実質的に同一のヌクレオチド配列によってコードされる。
【0179】
本明細書で使用される場合、「抗体分子」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質、例えば免疫グロブリン鎖またはその断片を指す。抗体分子は、抗体(例えば、全長抗体)および抗体断片を包含する。例えば、全長抗体は、天然に存在するかまたは正常な免疫グロブリン遺伝子断片組換えプロセスによって形成される免疫グロブリン(Ig)分子(例えば、IgG抗体)である。実施形態では、抗体分子は、免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な抗原結合部分、例えば抗体断片を指す。抗体断片、例えば機能的断片は、抗体の一部、例えばFab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)2、可変断片(Fv)、ドメイン抗体(dAb)または単鎖可変断片(scFv)である。機能的抗体断片は、インタクトな(例えば、全長)抗体によって認識されるものと同じ抗原に結合する。「抗体断片」または「機能的断片」という用語はまた、可変領域からなる単離された断片、例えば、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、またはペプチドリンカーによって軽可変領域および重可変領域が接続された組換え単鎖ポリペプチド分子(「scFvタンパク質」)を含む。いくつかの実施形態では、抗体断片は、抗原結合活性を有しない抗体の一部、例えばFc断片または単一アミノ酸残基を含まない。例示的な抗体分子としては、全長抗体および抗体断片、例えばdAb(ドメイン抗体)、単鎖、Fab、Fab’およびF(ab’)2断片ならびに単鎖可変断片(scFv)が挙げられる。
【0180】
実施形態では、抗体分子は単一特異性であり、例えば、それは、単一のエピトープに対する結合特異性を含む。いくつかの実施形態では、抗体分子は多重特異性であり、例えば、それは、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第1のエピトープに対する結合特異性を有し、第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は、第2のエピトープに対する結合特異性を有する。いくつかの実施形態では、抗体分子は、二重特異性抗体分子である。本明細書で使用される場合、「二重特異性抗体分子」は、1つより多くの(例えば、2つ、3つ、4つまたはそれより多くの)エピトープおよび/または抗原に対する特異性を有する抗体分子を指す。
【0181】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン分子」は、天然に存在する野生型サイトカインの全長、断片またはバリアント(天然に存在するサイトカイン分子の活性の少なくとも10%の活性を有するその断片および機能的バリアントを含む)を指す。実施形態では、サイトカイン分子は、天然に存在する分子の活性、例えば免疫調節活性の少なくとも30、50または80%を有する。実施形態では、サイトカイン分子は、免疫グロブリンFc領域に場合によりカップリングされた受容体ドメイン、例えばサイトカイン受容体ドメインをさらに含む。他の実施形態では、サイトカイン分子は、免疫グロブリンFc領域にカップリングされる。他の実施形態では、サイトカイン分子は、抗体分子(例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えばsdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、単一ドメイン抗体、二重特異性抗体もしくは多重特異性抗体)にカップリングされる。
【0182】
本明細書で使用される場合、「サイトカインアゴニスト」は、天然に存在するサイトカインの少なくとも1つの活性を誘発するサイトカイン受容体のアゴニスト、例えばサイトカイン受容体に対する抗体分子(例えば、アゴニスト抗体)を含み得る。
【0183】
「サンプル」または「組織サンプル」は、被験体または患者の組織または体液から得られた生物学的サンプルを指す。組織サンプルの供給源は、新鮮器官、凍結器官および/もしくは保存器官、組織サンプル、生検または吸引物由来の固体組織;血液または任意の血液成分(例えば、血清、血漿);骨髄または任意の骨髄成分;体液、例えば尿、脳脊髄液、全血、血漿および血清であり得る。サンプルは、非細胞画分(例えば、尿、血漿、血清または他の非細胞体液)を含み得る。他の実施形態では、個体から得られるサンプルが由来する体液は、血液(例えば、全血)を含む。
【0184】
「被験体」という用語は、免疫応答が誘発され得る生物(例えば、哺乳動物、ヒト)を含む。一実施形態では、被験体は、患者、例えば免疫細胞療法を必要とする患者である。別の実施形態では、被験体は、ドナー、例えば同種移植用の免疫細胞の同種ドナーである。
【0185】
「実質的に精製された細胞」という用語は、他の細胞型を本質的に含まない細胞を指す。実質的に精製された細胞はまた、それがその天然に存在する状態で通常は結合している他の細胞型から分離されている細胞を指す。いくつかの場合では、実質的に精製された細胞の集団は、均一な細胞集団を指す。他の場合では、この用語は、それらがそれらの天然の状態で本来的に結合している細胞から分離されている細胞を単に指す。いくつかの態様では、細胞は、インビトロで培養される。他の態様では、細胞は、インビトロで培養されない。
【0186】
さらなる定義は、本明細書を通して提供される。
【0187】
保存剤
いくつかの実施形態では、保存剤は、有核細胞(例えば、免疫細胞)の生存能力、有核細胞の増殖能力、または有核細胞の別の生物学的活性、例えば細胞傷害活性、有核細胞の活性化、因子、例えばサイトカイン、例えば炎症促進性サイトカインを分泌する能力の1つまたはそれよりも多くを促進する、例えば保存または増強するタンパク質である。実施形態では、保存剤は、インターフェロンガンマを分泌する能力を促進する。
【0188】
実施形態では、前記保存剤は、1つまたはそれより多くの(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれより多くの)治療用タンパク質または生物学的に活性なタンパク質、例えば1つまたはそれより多くのサイトカイン分子(例えば、免疫刺激性サイトカイン、例えばIL-15、IL-2、IL-7およびIL-21(バリアント、例えばその変異体形態を含む)、またはサイトカイン複合体、例えば本明細書に記載されるIL-15複合体から選択される。いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、例えば免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞の増殖を促進する。
【0189】
他の実施形態では、保存剤は、成長因子である。
【0190】
他の実施形態では、保存剤は、分子、例えばアゴニスト、例えば共刺激分子、例えばOX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、またはCD137のアゴニストに対する抗体分子またはリガンドを含む。
【0191】
実施形態では、保存剤は、T細胞のアゴニスト、例えばアゴニスト抗体もしくはその断片、または共刺激分子のアクチベーター/アゴニストを含む。実施形態では、T細胞のアゴニストは、共刺激分子を含むか、または共刺激分子である。共刺激分子は細胞表面分子であり、必要に応じて、抗原に対するリンパ球、例えばT細胞の効率的な応答を増強する。実施形態では、共刺激分子は、抗原受容体またはそのリガンド以外の分子である。理論に縛られることを望むものではないが、共刺激は、T細胞の拡大、生存およびエフェクター機能を増強すると考えられる(例えば、T細胞の持続性および/または抗がん活性を増強する。例えば、Songら、BLOOD.2012;119(3):696-706を参照のこと)。例示的な共刺激分子として、CD28、ICOS(CD278)、BTLA、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、CD160(BY55)、OX40、CD27、CD2、CD7、CD40、CD30、4-1BB(CD137)、ICAM-1、B7-1、トール様受容体、LFA-1(CD11a/CD18)、GITR、BAFFR、B7-H3、シグナル伝達リンパ球活性化分子(SLAMタンパク質)、SLAMF7、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、SLAMF4(CD244、2B4)、インテグリン、IL2Rベータ、ITGA4、MHCクラスI分子、TNF受容体、CD49D、CD49f、LFA-1、CD29、CD18、TNFR2、CD84、RANKL、CD229、CD69、CD100(SEMA4D)、およびSLAMF6(NTB-A、Ly108)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0192】
いくつかの実施形態では、保存剤は、共刺激分子、例えばOX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、またはCD137のアゴニストに対するアゴニスト(例えば、抗体分子またはアゴニストリガンド)を含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、保存剤は、融合物、例えばサイトカイン分子、成長因子または共刺激分子と免疫グロブリンFc領域との融合物を含む。
【0194】
あるいはまたは組み合わせて、保存剤は、抗体分子(例えば、免疫グロブリンFabまたはscFv断片、単一ドメイン抗体、二重特異性抗体または多重特異性抗体)、ヒト血清アルブミンまたは他の結合部分、例えばフィブロネクチン分子、ダーピン、受容体外部ドメイン、アプタマーまたは結合ペプチドの1つまたはそれよりも多くを含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、保存剤は、プロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンの1つまたはそれよりも多くを含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、保存剤は、1つまたはそれより多くの(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれより多くの)治療用タンパク質、具体的には免疫刺激性サイトカインまたは抗体(例えば、IL-15、IL-2、IL-7、IL-21、CD3アゴニストまたはCD137アゴニスト)(これらのサイトカインの変異体またはスーパーアゴニスト、ならびにこのようなサイトカインと、免疫グロブリンFc領域、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、ヒト血清アルブミン、単一ドメイン抗体、さらなるサイトカイン、二重特異性物、フィブロネクチン、ダーピン、受容体外部ドメイン、アプタマーまたは結合ペプチドとの遺伝子融合物形態を含む)を含む。
【0197】
成長因子分子
本明細書に記載される方法および組成物、例えばナノ粒子は、1つまたはそれより多くの成長因子分子を含み得る。実施形態では、成長因子分子は、成長因子の完全長、断片またはバリアント、例えば1つまたはそれより多くの変異を含む成長因子である。実施形態では、成長因子は、骨形成タンパク質(BMP)、白血病抑制因子(LIF)、上皮成長因子(EGF)、エフリン(例えば、A1、A2、A3、A4、A5、B1、B2またはB3)、エリスロポエチン(EPO)、線維芽細胞成長因子(例えば、FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF15、FGF16、FGF17、FGF18、FGF19、FGF20、FGF21、FGF22またはFGF23)、GDNFファミリーのリガンド、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、成長分化因子-9(GDF9)、肝細胞成長因子(HGF)、肝細胞癌由来成長因子(HDGF)、インスリン、インスリン様成長因子(例えば、IGF-1またはIGF-2)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、遊走促進因子(MSF)、マクロファージ刺激タンパク質(MSP)、ミオスタチン(GDF-8)、ニューレグリン(例えば、NRG1、NRG2、NRG3、NRG4)、ニューロトロフィン脳由来神経栄養因子(BDNF)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン-3(例えば、NT-3またはNT-4)、胎盤成長因子(PGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、T細胞成長因子(TCGF)、トロンボポエチン(TPO、トランスフォーミング成長因子(例えば、TGF-アルファまたはTGF-ベータ)または血管内皮細胞成長因子(VEGF)またはそれらの断片もしくはバリアントを含む。
【0198】
サイトカイン分子
本明細書に記載される方法および組成物、例えばナノ粒子は、1つまたはそれより多くのサイトカイン分子を含み得る。実施形態では、サイトカイン分子は、サイトカインの全長、断片またはバリアント、例えば1つまたはそれより多くの変異を含むサイトカインである。いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、インターロイキン-1アルファ(IL-1アルファ)、インターロイキン-1ベータ(IL-1ベータ)、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-5(IL-5)、インターロイキン-6(IL-6)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-17(IL-17)、インターロイキン-18(IL-18)、インターロイキン-21(IL-21)、インターロイキン-23(IL-23)、インターフェロン(IFN)アルファ、IFNベータ、IFNガンマ、腫瘍壊死アルファ、GM-CSF、GCSF、またはそれらの断片もしくはバリアント、または前記サイトカインの任意の組み合わせから選択されるサイトカインを含む。別の実施形態では、サイトカイン分子は、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-12(IL-12)、インターロイキン-15(IL-15)、インターロイキン-18(IL-18)、インターロイキン-21(IL-21)、インターロイキン-23(IL-23)またはインターフェロンガンマ、またはそれらの断片もしくはバリアント、または前記サイトカインの任意の組み合わせから選択される。サイトカイン分子は、単量体であっても、二量体であってもよい。
【0199】
実施形態では、サイトカイン分子は、受容体ドメイン、例えばサイトカイン受容体ドメインをさらに含む。一実施形態では、サイトカイン分子は、本明細書に記載されるIL-15受容体またはその断片(例えば、IL-15受容体アルファの細胞外IL-15結合ドメイン)を含む。いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、IL-15分子、例えば本明細書に記載されるIL-15またはIL-15スーパーアゴニストである。本明細書で使用される場合、サイトカイン分子の「スーパーアゴニスト」形態は、天然に存在するサイトカインと比較して、例えば少なくとも10%、20%、30%増加した活性を示す。例示的なスーパーアゴニストは、IL-15SAである。いくつかの実施形態では、IL-15SAは、例えば本明細書に記載されるように、IL-15と、IL-15受容体のIL-15結合断片、例えばIL-15受容体アルファまたはそのIL-15結合断片との複合体を含む。
【0200】
別の実施形態では、サイトカイン分子は、抗体分子、例えば、免疫グロブリンFabもしくはscFv断片、Fab断片、FAB2断片、またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片、例えば、Fc領域、単一ドメイン抗体、二重特異性または多重特異性抗体)をさらに含む。一実施形態では、サイトカイン分子は、免疫グロブリンFcまたはFabをさらに含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、IL-2分子、例えばIL-2またはIL-2-Fcである。
【0202】
他の実施形態では、サイトカインアゴニストが、本明細書に開示される方法および組成物において使用され得る。実施形態では、サイトカインアゴニストは、天然に存在するサイトカインの少なくとも1つの活性を誘発するサイトカイン受容体のアゴニスト、例えばサイトカイン受容体に対する抗体分子(例えば、アゴニスト抗体)である。実施形態では、サイトカインアゴニストは、サイトカイン受容体のアゴニスト、例えばIL-15RaまたはIL-21Rから選択されるサイトカイン受容体に対する抗体分子(例えば、アゴニスト抗体)である。
【0203】
IL-15分子
いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、IL-15分子、例えば、IL-15の全長、断片またはバリアント、例えば、ヒトIL-15である。ある実施形態では、IL-15分子は、野生型、ヒトIL-5であり、例えば、配列番号1のアミノ酸配列を有する。別の実施形態では、IL-15分子は、ヒトIL-5のバリアントであり、例えば、1つもしくはそれより多くのアミノ酸改変を有する。
【0204】
いくつかの実施形態では、IL-15分子は、変異、例えば、本明細書の配列番号6に示されるN72D点変異を含む。いくつかの実施形態では、IL-15分子は、配列番号6との少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列を含み、配列は、野生型ヒトIL-15と比較してN72D変異を含み、IL-15Rα結合活性を有する。
【0205】
他の実施形態では、サイトカイン分子は、免疫グロブリンFcまたは抗体分子に場合によりカップリングされた受容体のドメイン、例えばIL-15Rアルファの細胞外ドメインをさらに含む。実施形態では、サイトカイン分子は、WO2010/059253に記載されているIL-15スーパーアゴニスト(IL-15SA)である。いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、例えばRubinsteinら、PNAS 103:24 p.9166-9171(2006)に記載されているように、IL-15と、Fcに融合された可溶性IL-15受容体アルファドメインとを含む(例えば、sIL-15Ra-Fc融合タンパク質)。
【0206】
IL-15分子は、ポリペプチド、例えば、サイトカイン受容体、例えば、サイトカイン受容体ドメイン、および第2の異種ドメインをさらに含み得る。一実施形態では、異種ドメインは、免疫グロブリンFc領域である。別の実施形態では、異種ドメインは、抗体分子、例えば、Fab断片、Fab2断片、scFv断片、またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片である。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、第3の異種ドメインも含む。いくつかの実施形態では、サイトカイン受容体ドメインは、第2のドメインのN末端であり、別の実施形態では、サイトカイン受容体ドメインは、第2のドメインのC末端である。
【0207】
野生型IL-15受容体アルファ配列ならびにこの配列の断片およびバリアントは、以下に記載されている。
【0208】
野生型IL-15受容体アルファ配列(Genbankアクセッション番号AAI21141.1)
【化1】
【0209】
野生型IL-15受容体アルファ細胞外ドメイン(アクセッション番号Q13261の一部):
【化2】
【0210】
アイソフォームCRA_dIL-15受容体アルファ細胞外ドメイン(アクセッション番号EAW86418の一部):
【化3】
【0211】
野生型IL-15受容体アルファ配列は、配列番号4として上記で提供されている。IL-15受容体アルファは、細胞外ドメインと、23アミノ酸の膜貫通セグメントと、39アミノ酸の細胞質尾部とを含有する。IL-15受容体アルファの細胞外ドメインは、配列番号3として提供されている。
【0212】
他の態様では、IL-15アゴニストが使用され得る。例えば、天然に存在するサイトカインの少なくとも1つの活性を誘発するIL-15受容体のアゴニスト、例えばIL-15受容体に対する抗体分子(例えば、アゴニスト抗体)。
【0213】
実施形態では、IL-15受容体またはその断片は、ヒトまたは非ヒト動物、例えば哺乳動物、例えば非ヒト霊長類に由来する。
【0214】
本明細書の組成物および方法は、IL-15Rαの部分、例えば、IL-15RαのSushiドメインを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、Sushiドメインおよび第2の異種ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、第3の異種ドメインも含む。いくつかの実施形態では、Sushiドメインは、第2のドメインのN末端であり、別の実施形態では、Sushiドメインは、第2のドメインのC末端である。ある実施形態では、第2のドメインは、Fcドメインを含む。
【0215】
IL-15受容体アルファ配列の断片およびバリアントは、以下に記載されている。
最小Sushiドメイン、野生型:
【化4】
拡張Sushiドメイン、野生型:
【化5】
最小Sushiドメイン、L77I:
【化6】
拡張Sushiドメイン、L77I:
【化7】
【0216】
sushiドメインの野生型およびL77I変異形態は、本明細書に記載されるアッセイの1つまたはそれよりも多くにおいて、同様の活性を示した。
【0217】
野生型IL-15受容体アルファ配列は、配列番号2として本明細書で提供されている。IL-15受容体アルファは、細胞外ドメインと、23アミノ酸の膜貫通セグメントと、39アミノ酸の細胞質尾部とを含有する。IL-15受容体アルファの細胞外ドメインは、配列番号3として提供されている。IL-15受容体アルファの細胞外ドメインは、IL-15に結合するドメイン(これは、Sushiドメインと称される)を含む。Sushiドメインは、62アミノ酸の最小ドメイン(配列番号7)、および最小ドメインを含む65アミノ酸の拡張ドメイン(配列番号8)として提供されている。
【0218】
本明細書に記載されるSushiドメインは、野生型Sushiドメインと比較して1つまたはそれより多くの変異を含み得る。例えば、IL-15Raの残基77は、野生型遺伝子ではロイシンであるが、イソロイシンに変異され得る(L77I)。したがって、L77Iを含む最小Sushiドメイン(ナンバリングは、配列番号2の野生型IL-15Raを参照のこと)は、配列番号9として提供されている。L77Iを含む拡張Sushiドメイン(ナンバリングは、配列番号4の野生型IL-15Raを参照のこと)は、配列番号10として提供されている。
【0219】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の62~171アミノ酸あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有する配列からなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の65~171アミノ酸あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有する配列からなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の最大171アミノ酸あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有する配列からなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の62~171、62~160、62~150、62~140、62~130、62~120、62~110、62~100、62~90、62~80、62~70、65~171、65~160、65~150、65~140、65~130、65~120、65~110、65~100、65~90、65~80、または65~70アミノ酸あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有する配列からなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の62~171、62~160、62~150、62~140、62~130、62~120、62~110、62~100、62~90、62~80、62~70、65~171、65~160、65~150、65~140、65~130、65~120、65~110、65~100、65~90、65~80、または65~70アミノ酸からなる。いくつかの実施形態では、Sushiドメインは、配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列からなる。
【0220】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の62~171アミノ酸あるいはそれと比較して最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、または40の改変(例えば、置換)を有し、IL-15結合活性を有する配列からなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の最大171アミノ酸あるいはそれと比較して最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、または40の改変(例えば、置換)を有し、IL-15結合活性を有する配列からなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の62~171、62~160、62~150、62~140、62~130、62~120、62~110、62~100、62~90、62~80、62~70、65~171、65~160、65~150、65~140、65~130、65~120、65~110、65~100、65~90、65~80、または65~70アミノ酸あるいはそれと比較して最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、または40の改変(例えば、置換)を有し、IL-15結合活性を有する配列からなる。
【0221】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の少なくとも62アミノ酸あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列を含み、配列は、野生型IL-15Raと比較してL77I変異を含み、IL-15結合活性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の少なくとも65アミノ酸あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列を含み、配列は、野生型IL-15Raと比較してL77I変異を含み、IL-15結合活性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の部分あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列を含み、配列は、野生型IL-15Raと比較してL77I変異を含み、IL-15結合活性を有する。いくつかの実施形態では、Sushiドメインは、配列番号9または配列番号10のアミノ酸配列を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の少なくとも62アミノ酸あるいはそれと比較して最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、または40の改変(例えば、置換)を有する配列を含み、配列は、野生型IL-15Raと比較してL77I変異を含み、IL-15結合活性を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の部分あるいはそれと比較して最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、または40の改変(例えば、置換)を有する配列を含み、配列は、野生型IL-15Raと比較してL77I変異を含み、IL-15結合活性を有する。
【0223】
ある実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の少なくとも10、20、30、40、50、60、62、65、70、80、90、100、110、120、130、140、150、または160の連続したアミノ酸、あるいはそれと比較してL77I変異を有する配列を含む。ある実施形態では、ポリペプチドのIL-15Rα部分は、配列番号3の10~20、20~30、30~40、40~50、50~60、60~70、70~80、80~90、90~100、100~110、110~120、120~130、130~140、140~150、150~160、または160~170の連続したアミノ酸、あるいはそれと比較してL77I変異を有する配列からなる。
【0224】
ある実施形態では、Sushiドメインは、ヒトまたは非ヒト動物、例えば、哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類由来のSushiドメインである。
【0225】
実施形態では、組成物は、例えばナノ粒子を含み、および/または保存剤は、IL-15複合体、ポリペプチドと例えば共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含むIL-15複合体を含み、ポリペプチドは、以下を含む第1のドメインを含む:
【0226】
i)配列番号3の野生型IL-15受容体アルファ細胞外ドメインの少なくとも62アミノ酸であって、ここでポリペプチドの最長の連続したIL-15受容体アルファ配列は、171以下のアミノ酸長であるか、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有する配列;
ii)配列番号3の少なくとも62アミノ酸であって、ここでポリペプチドの最長の連続したIL-15受容体アルファ配列は、171以下のアミノ酸長であるか、または配列番号3の対応する配列から1、2、3、4、または5アミノ酸以下だけ異なり、IL-15結合活性を有する配列;
iii)配列番号3の少なくとも62アミノ酸であって、ここでポリペプチドの最長の連続したIL-15受容体アルファ配列は、171以下のアミノ酸長であり、IL-15結合活性を有する;
iv)最小sushiドメインおよび配列番号3の171以下の連続したアミノ酸残基の活性断片、例えば、IL-15結合断片、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列;
v)最小sushiドメインおよび配列番号3の171以下の連続したアミノ酸残基の活性断片、例えば、IL-15結合断片、あるいは配列番号3の対応する配列から1、2、3、4、または5アミノ酸以下だけ異なる配列;
vi)最小sushiドメインおよび配列番号3の171以下の連続したアミノ酸残基の活性断片、例えば、IL-15結合断片;
vii)拡張sushiドメインおよび配列番号3の171以下の連続したアミノ酸残基の活性断片、例えば、IL-15結合断片、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列;
viii)拡張sushiドメインおよび配列番号3の171以下の連続したアミノ酸残基の活性断片、例えば、IL-15結合断片、あるいは配列番号3の対応する配列から1、2、3、4、または5アミノ酸以下だけ異なる配列;
ix)拡張sushiドメインおよび配列番号3の171以下の連続したアミノ酸残基の活性断片、例えば、IL-15結合断片;または
x)配列番号3の少なくとも62アミノ酸、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有する配列、ここで、アミノ酸77(ナンバリングは、配列番号4の野生型IL-15受容体アルファを参照のこと)はイソロイシンである;
xi)配列番号3の少なくとも62アミノ酸、あるいは配列番号3の対応する配列から1、2、3、4、または5アミノ酸以下だけ異なり、IL-15結合活性を有する配列、ここで、アミノ酸77はイソロイシンである;
xii)IL-15結合活性を有する配列番号3の少なくとも62アミノ酸、ここで、アミノ酸77はイソロイシンである;
xiii)最小もしくは拡張sushiドメインの活性断片、例えば、IL-15結合断片、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する配列、ここで、アミノ酸77はイソロイシンである;
xiv)最小もしくは拡張sushiドメインの活性断片、例えば、IL-15結合断片、あるいは配列番号3の対応する配列から1、2、3、4、または5アミノ酸以下だけ異なる配列、ここで、アミノ酸77はイソロイシンである;または
xv)最小もしくは拡張sushiドメインの活性断片、例えば、IL-15結合断片、ここで、アミノ酸77はイソロイシンである、
および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、FcドメインもしくはFabドメイン。
【0227】
いくつかの実施形態では、IL-15受容体またはその断片を含むポリペプチドは、Fcドメインを含む。ある実施形態では、Fcドメインは、エフェクター弱体化Fcドメイン、例えば、ヒトIgG2 Fcドメイン、例えば、配列番号11のヒトIgG2ドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列である。
【化8】
【0228】
実施形態では、エフェクター弱体化Fcドメインは、例えば野生型IgG1 Fcドメインと比較して、例えば配列番号12の野生型IgG1 Fcドメインと比較して減少したエフェクター活性を有する。いくつかの実施形態では、エフェクター活性は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を含む。実施形態では、エフェクター活性は、ADCCアッセイにおいて、例えば配列番号12の野生型IgG1 Fcドメインと比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%だけ減少している。いくつかの実施形態では、エフェクター活性は、補体依存性細胞傷害(CDC)を含む。実施形態では、エフェクター活性は、CDCアッセイ、例えばArmourら、“Recombinant human IgG molecules lacking Fc gamma receptor I binding and monocyte triggering activities”Eur J Immunol(1999)29:2613-24”に記載されているCDCアッセイにおいて、例えば配列番号12の野生型IgG1 Fcドメインと比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または99%だけ減少している。
【0229】
いくつかの実施形態では、Fcドメインは、配列番号12のIgG1 Fcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【化9】
【0230】
いくつかの実施形態では、Fcドメインは、配列番号13のIgG2定常領域もしくはその断片、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【化10】
【0231】
いくつかの実施形態では、Fcドメインは、配列番号14のIgG2Da Fcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。実施形態では、Fcドメインは、Kabatナンバリングシステムを使用してA330SおよびP331S変異の一方または両方を含む。実施形態では、Fcドメインは、Armourら、“Recombinant human IgG molecules lacking Fc gamma receptor I binding and monocyte triggering activities.”Eur J Immunol(1999)29:2613-24に記載されているものを含む。
【化11】
【0232】
いくつかの実施形態では、Fcドメインは、二量体化活性を有する。
【0233】
いくつかの実施形態では、Fcドメインは、IgGドメイン、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fcドメインである。いくつかの実施形態では、Fcドメインは、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。
【0234】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、配列番号15の配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。
【化12】
【0235】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、本明細書に記載のsushiドメイン(例えば、配列番号7における)および本明細書に記載のFcドメイン、例えば、IgG2 Fcドメイン(例えば、配列番号11あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列)を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、配列番号7のsushiドメインおよび本明細書に記載のFcドメイン、例えば、IgG1 Fcドメイン、例えば、配列番号12のFcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、配列番号8のsushiドメインおよびIgG2 Fcドメイン、例えば、配列番号11のFcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、配列番号8のsushiドメインおよびIgG1 Fcドメイン、例えば、配列番号12のFcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、配列番号7のsushiドメインおよび配列番号14のIgG2Da Fcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、配列番号8のsushiドメインおよび配列番号14のIgG2Da Fcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、配列番号15の配列あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を有するsushi-IgG2Da-Fcタンパク質を含む。
【0237】
実施形態では、IL-15分子は、国際出願WO2017/027843(これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている分子である。
【0238】
いくつかの実施形態では、保存剤は、IL-15SAを含む。ヒトIL-15と可溶性ヒトIL-15Raとの組み合わせは、ヒトIL-15単独よりも大きな生物学的活性を有するIL-15スーパーアゴニスト(IL-15SA)と称される複合体を生成する。
【0239】
可溶性ヒトIL-15Ra、ならびに、例えば、(Weiら、2001、J. of Immunol. 167:277-282)に記載されている、細胞外ドメインの短縮バージョン。ヒトIL-15Raのアミノ酸配列は、本明細書の配列番号2に記載される。したがって、本開示のいくつかの態様は、は、ヒトIL-15および可溶性ヒトIL-15R分子の複合体を含むIL-15SAに関する。本開示のいくつかの態様では、IL-15SAは、細胞外ドメインの全てまたは一部を含むヒトIL-15および可溶性ヒトIL-15Raの複合体を含み、膜貫通または細胞質ドメインを含まない。本開示のいくつかの態様では、IL-15SAは、IL-15結合活性IL-15結合活性を保持する完全細胞外ドメインを含むヒトIL-15および可溶性ヒトIL-I5Raの複合体を含む。本開示のいくつかの態様は、IL-15結合活性を保持する細胞外ドメインの短縮型、例えば、ヒトIL-15Raのアミノ酸1~60、1~61、1~62、1~63、1~64または1~65を含むヒトIL-15および可溶性ヒトIL-I5Raの複合体を含むIL-15SAに関する。本開示のいくつかの態様では、IL-15SAは、IL-15結合活性を保持する細胞外ドメインの短縮型、例えば、ヒトIL-15Raのアミノ酸1~80、1~81、1~82、1~83、1~84または1~85を含むヒトIL-15および可溶性ヒトIL-I5Raの複合体を含む。本開示のいくつかの態様では、1L-15SAは、IL-15結合活性を保持する細胞外ドメインの短縮型、例えば、ヒトIL-15Raのアミノ酸1~180、1~181、または1~182を含むヒトIL-15および可溶性ヒトIL-I5Raの複合体を含む。
【0240】
本開示のいくつかの態様は、ヒトIL-15と、IL-15結合活性を保持する短縮型細胞外ドメインであって、Sushiドメインを含む短縮型細胞外ドメインを含む可溶性ヒトIL-15Raとの複合体を含む1L-15SAに関する。IL-15活性を保持する短縮型可溶性ヒトIL-15Raであって、Sushiドメインを含む短縮型可溶性ヒトIL-15Raは、本開示のIL-15SAにおいて有用である。
【0241】
変異型ヒトIL-15は、例えば、Zhuら、2009 J of Immunol.183:3598に記載されている。したがって、本開示は、ヒトIL-15が野生型であるか、または1つもしくはそれより多くの変異(例えば、1つまたはそれより多くのアミノ酸置換、付加または欠失)を含む変異体IL-15である上記IL-15SA複合体のいずれかを提供する。本開示のIL-15SAにおいて使用するための例示的なIL-15変異体であって、野生型IL-15と比べて増加した生物学的活性を有する例示的なIL-15変異体は、アミノ酸72においてアスパラギンからアスパラギン酸への置換(N72D)を含む。
【0242】
前述の実施形態のいずれかでは、本開示は、IL-15と共に、融合タンパク質、例えば本明細書に記載されるFc融合物(例えば、ヒトIgG1 Fc)として発現される可溶性ヒトIL-15Raを含む複合体に関する。いくつかの実施形態では、IL-15SAは、2つのヒトIL-15分子と複合体化した二量体ヒトIL-15RaFc融合タンパク質(例えば、ヒトIgG1 Fc)を含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、IL-15SAサイトカイン複合体は、本明細書の配列番号1または配列番号6に示されるアミノ酸配列を含むIL-15分子を含む。いくつかの実施形態では、IL-15SAサイトカイン複合体は、国際出願WO2017/027843(本明細書に参考として援用される)の配列番号4または配列番号5に示されるアミノ酸配列を含むIL-15分子を含む。いくつかの実施形態では、IL-15SAサイトカイン複合体は、本明細書の配列番号7、配列番号8、配列番号9または配列番号10の配列を含む可溶性IL-15Ra分子を含む。いくつかの実施形態では、IL-15SAサイトカイン複合体は、国際出願WO2017/027843(本明細書に参考として援用される)の配列番号3、配列番号7または配列番号8の配列を含む可溶性IL-15Ra分子を含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、IL-15SAは、2つのIL-15分子と複合体化した二量体IL-15RaFc融合タンパク質を含むサイトカイン複合体である。いくつかの実施形態では、IL-15-SAは、二量体IL-15RaSu(Sushiドメイン)/Fc(配列番号5)と、2つのIL-15N72D(配列番号6)分子とを含む。実施形態では、米国特許出願公開第20140134128号(これは、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているように、IL-15SAは、ALT-803を含む。いくつかの実施形態では、IL-15SAは、二量体IL-15RaSu/Fc分子(配列番号5)と、2つのIL-15分子(配列番号1)とを含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、IL-15SAは、可溶性IL-15Ra分子(例えば、配列番号7または配列番号8)と、2つのIL-15分子(例えば、配列番号1または配列番号6)とを含む。
【0246】
粒子、例えばナノゲル
組成物、例えばナノ粒子(例えば、ナノゲル)は、1つまたはそれより多くの本明細書に開示されるタンパク質(例えば、生物学的に活性なタンパク質、例えば治療用タンパク質)を含み得る。例示的なナノ粒子(例えば、ナノゲル)およびその作製方法は、「Methods and Compositions for Localized Agent Delivery」という表題の国際公開第2010/059253号および「Carrier-Free Biologically-Active Protein Nanoparticles,」という表題の国際公開第2015/048498号(両出願の内容は、全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0247】
本明細書で使用される場合、「粒子」は、複数の(例えば、少なくとも2つの)タンパク質、例えば複数の本明細書に記載されるサイトカイン分子を含む。いくつかの実施形態では、粒子は、1~1000ナノメートル(nm)の範囲の直径を有するナノ粒子である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子の直径は、20~750nmまたは20~500nmまたは20~250nmのサイズ範囲である。いくつかの実施形態では、直径は、50~750nmまたは50~500nmまたは50~250nmまたは約100~300nmのサイズ範囲である。いくつかの実施形態では、ナノ粒子の直径は、約100、約150、約200nm、約250nmまたは約300nmである。実施形態では、ナノ粒子は、実質的に球形である。
【0248】
実施形態では、ナノ粒子は、30nm~1200nm、40nm~1,100nm、50nm~1,000ナノメートル、例えば50~500nm、より典型的には70~400nmの(例えば、動的光散乱によって測定された)平均流体力学直径を有する。
【0249】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、例えば本明細書に記載されるナノゲルを含むか、またはそれからなる。
【0250】
実施形態では、ナノ粒子中のタンパク質は、互いに、および/または粒子の第2の成分(例えば、分解性リンカーによって可逆的に連結されたタンパク質)にカップリングされる、例えば共有結合的にカップリングまたは架橋される。実施形態では、タンパク質は、ポリマーまたはシリカ中に、例えばポリマー系シェルまたはシリカシェル中に存在する。実施形態では、ナノ粒子は、本明細書に記載されるナノシェルを含む。
【0251】
実施形態では、タンパク質は、分解性リンカーによって官能基もしくはポリマーに可逆的に連結されるか、または「可逆的に改変される」。いくつかの実施形態では、ナノシェルは、触媒(例えば、NaF)存在下で、タンパク質コンジュゲートの官能基(例えば、シラン)を架橋剤(例えば、シラン-PEG-シラン)と重合することによって形成される。タンパク質ナノ粒子の例は、「タンパク質ナノゲル」(これは、分解性リンカーによって互いに架橋された(例えば、可逆的におよび共有結合的に架橋された)複数のタンパク質を指す)である(例えば、国際公開第2015/048498号の
図9Aを参照のこと)。いくつかの実施形態では、ナノゲルのタンパク質は、ポリマー(例えば、親水性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG);例えば、国際公開第2015/048498号の
図9Aを参照のこと)に架橋される(例えば、可逆的におよび共有結合的に架橋される)。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ナノゲルの表面に(例えば、ナノゲルの表面に露出したタンパク質に)架橋され得る。
【0252】
タンパク質ナノゲルのサイズは、少なくとも2つの方法(その「乾燥サイズ」に基づくおよびその「流体力学的サイズ」に基づく)で決定され得る。タンパク質ナノゲルの「乾燥サイズ」は、乾燥固体としてのナノゲルの直径を指す。タンパク質ナノゲルの「流体力学的サイズ」は、水和ゲルとしてのナノゲル(例えば、水性緩衝液中のナノゲル)の直径を指す。ナノゲルの乾燥サイズは、例えば、透過電子顕微鏡検査によって決定され得る一方、ナノゲルの流体力学的サイズは、例えば、動的光散乱によって決定され得る。
【0253】
いくつかの実施形態では、ナノゲルの乾燥サイズは、400nm未満である。いくつかの実施形態では、ナノゲルの乾燥サイズは、300nm未満、200nm未満、100nm未満、80nm未満、75nm未満、70nm未満、65nm未満、または60nm未満である。いくつかの実施形態では、ナノゲルの乾燥サイズは、40~90nm、40~80nm、40~70nm、40~60nm、50~90nm、60~80nm、50~70nm、または50~60nmである。いくつかの実施形態では、ナノゲルの乾燥サイズは、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nmまたは95nmである。
【0254】
いくつかの実施形態では、複数のナノ粒子内のナノ粒子(例えば、ナノゲル)の平均乾燥サイズは、400nm未満である。いくつかの実施形態では、このような複数内のナノ粒子の平均乾燥サイズは、5%または10%以下で変動する。いくつかの実施形態では、複数のナノ粒子内のナノ粒子(例えば、ナノゲル)の平均乾燥サイズは、300nm未満、200nm未満、100nm未満、80nm未満、75nm未満、70nm未満、65nm未満、または60nm未満である。いくつかの実施形態では、複数のナノ粒子内のナノ粒子(例えば、ナノゲル)の平均乾燥サイズは、40~90nm、40~80nm、40~70nm、40~60nm、50~90nm、60~80nm、50~70nm、または50~60nmである。いくつかの実施形態では、ナノゲルの乾燥サイズは、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、85nm、90nmまたは95nmである。
【0255】
いくつかの実施形態では、複数のナノ粒子内のナノ粒子(例えば、ナノゲル)の平均流体力学的サイズは、1000nm未満である。いくつかの実施形態では、このような複数内のナノ粒子の平均流体力学的サイズは、動的光散乱によって測定した場合に、0.35未満の多分散指数を有する。いくつかの実施形態では、複数のナノ粒子内のナノ粒子(例えば、ナノゲル)の平均流体力学的サイズは、500nm未満、400nm未満、300nm未満、200nm未満、または100nm未満である。いくつかの実施形態では、複数のナノ粒子内のナノ粒子(例えば、ナノゲル)の平均流体力学的サイズは、400~500nm、300~400nm、200~300nm、100~200nm、50~100nmである。
【0256】
いくつかの実施形態では、生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲルの乾燥サイズは、直径300nm未満である。例えば、生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲルの乾燥サイズは、直径50~200nmであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される複数のタンパク質ナノゲルは、同様の乾燥サイズのものである(例えば、ナノゲルの70%が互いの直径の10%、20%、30%、40%、50%または100%以内であり、動的光散乱によって測定した場合に0.35未満の多分散指数を有する場合)。
【0257】
いくつかの実施形態では、生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲルの流体力学的サイズは、直径150nm未満である。例えば、生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲルの流体力学的サイズは、直径50~100nmであり得る。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される複数のタンパク質ナノゲルは、同様の流体力学的サイズのものである(例えば、ナノゲルの70%が互いの直径の10%、20%、30%、40%、50%または100%以内であり、動的光散乱によって測定した場合に0.35未満の多分散指数を有する場合)。
【0258】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、乾燥固体形態、例えば凍結乾燥形態で提供される。他の実施形態では、ナノ粒子は、水和形態、例えば水溶液または他の液体溶液で提供される。他の実施形態では、ナノ粒子は、凍結形態で提供される。
【0259】
いくつかの実施形態では、生理学的条件下で、リンカーが分解し、インタクトな生物学的に活性なタンパク質を放出するように、ナノ粒子のタンパク質は、分解性リンカー(例えば、ジスルフィドリンカー)によって互いに可逆的に連結される。他の実施形態では、生理学的条件下で、リンカーが分解し、インタクトな生物学的に活性なタンパク質を放出するように、ナノ粒子のタンパク質は、分解性リンカーによって官能基に可逆的に連結される。各場合では、タンパク質は、下記のように可逆的に改変されると考えられる。
【0260】
「別のタンパク質に可逆的に連結された」タンパク質は、本明細書では、分解性リンカーによって別のタンパク質に付着された(例えば、共有結合的に付着された)タンパク質を指す。このようなタンパク質は、分解性リンカーによって互いに連結される(例えば、架橋される)と考えられる。いくつかの実施形態では、ナノ粒子(例えば、ナノゲル)は、単一の(例えば、単一タイプの)生物学的に活性なタンパク質(例えば、IL-15、IL-15-Fc、IL-15Fab断片、IL-2またはIL-2-Fc、Fab断片、FAB2断片、scFv断片またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えばsdAb(ナノボディ)断片、重鎖抗体断片など)を含有し、他の実施形態では、ナノ粒子は、1つより多くの(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれより多くの)生物学的に活性なタンパク質(例えば、異なるタンパク質の組み合わせ、例えばIL-2およびIL-15(またはIL-15SAまたはIL-15およびIL-21)を含有する。例えば、タンパク質ナノゲルは、タンパク質Aがタンパク質Aに連結された、タンパク質Aがタンパク質Bに連結された、および/またはタンパク質Bがタンパク質Bに連結されたタンパク質Aとタンパク質Bとの組み合わせを含有し得る。
【0261】
「官能基に可逆的に連結された」タンパク質または「可逆的に改変された」タンパク質は、本明細書では、分解性リンカーによって官能基に付着された(例えば、共有結合的に付着された)タンパク質を指す。このようなタンパク質は、本明細書では「タンパク質コンジュゲート」または「可逆的に改変されたタンパク質コンジュゲート」と称され得る-これらの用語は、本明細書で互換的に使用され得る。タンパク質およびポリマーはそれぞれ、可逆的リンカー(例えば、分解性リンカー、例えばジスルフィドリンカー)によってタンパク質が連結され得る官能基を含有すると理解すべきである。本明細書で提供されるタンパク質コンジュゲートおよび可逆的に改変されたタンパク質の例としては、限定されないが、別のタンパク質に(例えば、分解性リンカーによって)可逆的に連結されたタンパク質、ポリマーに可逆的に連結されたタンパク質、および別の官能基に可逆的に連結されたタンパク質が挙げられる。「タンパク質」という用語は、融合タンパク質を含むと理解すべきである。
【0262】
分解性リンカー
本明細書に記載されるナノ粒子のための適切な分解性リンカー、例えば架橋剤は、例えば、還元的生理学的環境に対して感受性のフレキシブルなジスルフィド含有リンカー、または酸性的生理学的環境(pH<7、例えば4~5、5~6または6~7未満、例えば6.9のpH)に対して感受性の加水分解性リンカー、または生物学的媒体中に存在する1つもしくはそれより多くの酵素、例えば腫瘍微小環境中のプロテアーゼ、例えば腫瘍微小環境中もしくは炎症組織中に存在するマトリックスメタロプロテアーゼ(例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ2(MMP2)またはマトリックスメタロプロテイナーゼ9(MMP9))に対して感受性のプロテアーゼ感受性リンカーによって互いに接続された2つのN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基を含有し得る。還元的生理学的環境に対して感受性の架橋剤は、例えば、タンパク質を高密度タンパク質ナノゲルに架橋するNHS基の存在によって、タンパク質上のアミン基と反応するジスルフィド含有リンカーを有する架橋剤である。本明細書の実施例で使用した架橋剤は、ビス[2-(N-スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシ)エチル]ジスルフィドを含む。
【0263】
いくつかの実施形態では、分解性リンカーは、少なくとも1つのN-ヒドロキシスクシンイミドエステルを含む。いくつかの実施形態では、分解性リンカーは、レドックス応答性リンカーである。いくつかの実施形態では、レドックス応答性リンカーは、ジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される分解性リンカーは、少なくとも1つのN-ヒドロキシスクシンイミドエステル(これは、タンパク質を実質的に変性させずに、中性pH(例えば、約6~約8または約7)でタンパク質と反応することができる)を含む。いくつかの実施形態では、分解性リンカーは、「レドックス応答性」リンカー(これは、それらが、還元剤(例えば、グルタチオン、GSH)の存在下、生理学的条件(例えば、20~40℃および/またはpH4~8)下で分解し、それにより、それが可逆的に連結された化合物からインタクトなタンパク質を放出することを意味する)である。本開示にしたがって使用するための分解性リンカーの例は、以下のものである:
【化13】
【0264】
式Iのリンカーは、還元剤の存在下で切断されるジスルフィドを含有する。例えば、生理学的条件下では、式Iのリンカーのジスルフィド結合は、グルタチオンによって切断される。
【0265】
タンパク質は、任意の末端または内部-NH
2官能基(例えば、リジンの側鎖)によって、分解性リンカーに連結され得る(例えば、共有結合的に連結され得る)。したがって、式Iの分解性リンカーによるタンパク質の可逆的改変中に形成される中間体種は、以下のとおりである:
【化14】
【0266】
式III:
【化15】
を含む可逆的に改変されたタンパク質コンジュゲートも本明細書で提供される。
【0267】
リンカーは、アミン基、例えば末端アミンまたは内部アミンにおいて、目的のタンパク質にコンジュゲートされ得る。内部アミンとしては、側鎖アミン、例えばリジンアミンが挙げられる。
【0268】
本開示はさらに、式III:
【化16】
を含むタンパク質コンジュゲートを提供し、タンパク質は、サイトカイン分子、例えばIL-2またはIL-15分子などである。
【0269】
高い取り込み効率(例えば、>約90%)および高いタンパク質薬物ローディング効率(例えば、>約80%)を有するシリカ系ナノ粒子は、シランで可逆的に改変されるタンパク質の重合によって形成される。したがって、式IIIのタンパク質コンジュゲートと架橋剤、例えばシラン-PEG-シランポリマーなどとの重合によって形成されたナノ粒子が本明細書で提供される。
【0270】
他の実施形態では、タンパク質は、酵素感受性リンカーによって連結され得る。実施形態では、リンカーは、酵素(例えば、プロテアーゼまたはエステラーゼ)の作用によって分解または加水分解される。いくつかの実施形態では、リンカーは、マトリクスメタロプロテアーゼであるMMP-1、MMP-2、MMP-3、MMP-8、MMP-9、MMP-14、プラスミン、PSA、PSMA、CATHEPSIN D、CATHEPSIN K、CATHEPSIN S、ADAM10、ADAM12、ADAMTS、カスパーゼ-1、カスパーゼ-2、カスパーゼ-3、カスパーゼ-4、カスパーゼ-5、カスパーゼ-6、カスパーゼ-7、カスパーゼ-8、カスパーゼ-9、カスパーゼ-10、カスパーゼ-11、カスパーゼ-12、カスパーゼ-13、カスパーゼ-14、またはTACEから選択される酵素によって切断、例えば、活性化される基質ペプチドを含む。ある実施形態では、リンカーとして、米国特許出願第2015/0087810号、米国特許第8,541,203号、米国特許第8,580,244号に開示される基質配列が挙げられる。いくつかの実施形態では、リンカーは、以下の文献:van Kempenら、Eur Cancer(2006)42:728-734;Desnoyers、L.R.ら、Sci Transl Med(2013)5:207;Rice、J.J. ら、Protein Sci(2006)15:825-836;Boulware,K.T.およびDaugherty、P.S. Proc Natl Acad Sci USA(2006)103:7583-7588;およびEckhard,Uら、Matrix Biol(2015)doi: 10.1016/j.matbio.2015.09.003(epub)の1つに開示される配列を含む。本明細書において参照される刊行物のいずれの内容も、本明細書によって明示的に参考として援用される。
【0271】
ナノ粒子の他の態様および実施形態は、本明細書でさらに提供される。
【0272】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される可逆的に改変されたタンパク質は、限定されないが、例えば国際公開第2015/048498号に記載されているように、タンパク質-親水性ポリマーコンジュゲート(例えば、PEGで可逆的に改変された)タンパク質-疎水性ポリマーコンジュゲート(例えば、可逆的に改変されたPLAまたはPLGA)、バルク架橋タンパク質ヒドロゲル、架橋タンパク質ナノゲル粒子、異なるシェル材料(例えば、シリカ)を有するタンパク質ナノカプセル、タンパク質コンジュゲートナノ粒子(例えば、リポソーム、ミセル、ポリマーナノ粒子、無機ナノ粒子)を含む様々なナノ粒子に形成され得るかまたは自己集合し得る。同様に、いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるように互いに架橋されたタンパク質は、タンパク質ナノ粒子に形成され得るかまたは自己集合し得る。
【0273】
いくつかの実施形態では、タンパク質ナノ粒子(例えば、タンパク質-ポリマーナノゲルを含むタンパク質ナノゲル)は、担体タンパク質または他の担体分子を含有する。担体タンパク質は、典型的には、異なる分子の拡散および/または輸送を促進し、ナノ粒子の安定性を増加させ得、および/または細胞表面上のナノ粒子の安定性を増加させ得、および/または細胞表面に対するナノ粒子の親和性を増加させる。本明細書で使用される場合、「担体タンパク質」という用語は、タンパク質ナノ粒子の生物学的に活性なタンパク質に悪影響を及ぼさないタンパク質を指すと理解すべきである。いくつかの実施形態では、担体タンパク質は、不活性タンパク質である。いくつかの実施形態では、担体タンパク質または担体分子は、アルブミン、プロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンから選択される。したがって、いくつかの実施形態では、担体タンパク質は、生物学的に活性ではない。
【0274】
いくつかの実施形態では、単分散した複数の生物学的に活性なタンパク質-ポリマー粒子、例えばナノ粒子、例えばナノゲルを含む組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、ナノゲルのタンパク質は、分解性リンカーによって互いに可逆的および共有結合的に架橋され、ナノゲルのタンパク質は、ポリマーに架橋される。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ナノゲルの表面に架橋される(したがって、表面にコンジュゲートされると考えられる)。
【0275】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子(例えば、ナノゲル)は、(a)分解性リンカー(例えば、ジスルフィドリンカー)によって互いに可逆的および共有結合的に架橋された1つまたはそれより多くの生物学的に活性なタンパク質と、(b)ナノゲルの表面露出タンパク質に架橋された(例えば、分解性リンカーによって可逆的および共有結合的に架橋された)ポリマーとを含むか、それらからなるか、またはそれらから本質的になる。いくつかの実施形態では、互いに架橋されたタンパク質の重量パーセントは、ナノゲルの75%w/w超(例えば、80%、85%または90%w/w超)である。
【0276】
ナノゲルが互いに同様のサイズ(例えば、直径)を有し、例えば、動的光散乱によって測定した場合の多分散指数が0.35未満、より好ましくは0.3未満、例えば0.25未満または0.2未満である場合、複数のナノゲルは、組成物(例えば、水性または他の液体組成物)中に「単分散」していると考えられる。複数のナノゲル間のサイズの変動が5%~10%以下である場合、複数のナノゲルは、互いに同じサイズを有すると考えられ得る。
【0277】
本開示の他の態様は、分解性リンカーによって互いに可逆的および共有結合的に架橋されたポリマーおよび少なくとも75%(例えば、約80%)w/wのタンパク質を含むナノゲルを提供する。いくつかの実施形態では、分解性リンカーは、例えば、レドックス応答性リンカー、例えばジスルフィドリンカー(例えば、式I)である。
【0278】
本開示のさらに他の態様は、複数の生物学的に活性なタンパク質ナノゲルを生産する方法であって、(a)分解性リンカーによってタンパク質を互いに可逆的共有結合的に架橋することを可能にする条件下で、タンパク質と分解性リンカー(例えば、ジスルフィドリンカー)とを接触させ、それにより、複数のタンパク質ナノゲルを生産する工程、および(b)前記タンパク質ナノゲルのタンパク質へのポリマーの架橋を可能にする条件下で、前記タンパク質ナノゲルとポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)とを接触させ、それにより、複数の生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲルを生産する工程を含む方法を提供する。
【0279】
いくつかの実施形態では、(a)の条件は、水性緩衝液中で、タンパク質と分解性リンカーとを4℃~25℃の温度で接触させることを含む。いくつかの実施形態では、(a)の条件は、水性緩衝液中で、タンパク質と分解性リンカーとを30分間~1時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、(b)の条件は、水性緩衝液中で、タンパク質ナノゲルとポリマーとを4℃~25℃の温度で接触させることを含む。いくつかの実施形態では、(b)の条件は、水性緩衝液中で、タンパク質ナノゲルとポリマーとを30分間~1時間接触させることを含む。いくつかの実施形態では、水性緩衝液は、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、(a)の条件は、タンパク質と分解性リンカーとを30℃超の温度で接触させることを含まない。いくつかの実施形態では、(b)の条件は、タンパク質ナノゲルとポリマーとを30℃超の温度で接触させることを含まない。
【0281】
いくつかの実施形態では、(a)の条件は、有機溶媒(例えば、アルコール)中で、タンパク質と分解性リンカーとを接触させることを含まない。いくつかの実施形態では、(b)の条件は、有機溶媒中で、タンパク質ナノゲルとポリマーとを接触させることを含まない。
【0282】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、サイトカイン、成長因子、抗体または抗原である。例えば、タンパク質は、本明細書に記載のサイトカイン分子であり得る。いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、IL-2分子、例えば、IL-2またはIL-2-Fcである。いくつかの実施形態では、サイトカイン分子は、IL-15分子、例えば、IL-15またはIL-15SAである。
【0283】
いくつかの実施形態では、分解性リンカーは、レドックス応答性リンカーである。いくつかの実施形態では、レドックス応答性リンカーは、ジスルフィド結合を含む。いくつかの実施形態では、分解性リンカーは、式Iを含むかまたは式Iからなる。
【0284】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、親水性ポリマーである。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。例えば、親水性ポリマーは、4アームPEG-NH2ポリマーであり得る。
【0285】
いくつかの実施形態では、水性緩衝液中のタンパク質の濃度は、10mg/mL~50mg/mL(例えば、10、15、20、25、30、35、40、45または50mg/mL)である。
【0286】
いくつかの実施形態では、複数の生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲルは、単分散した複数の生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲルである。
【0287】
いくつかの実施形態では、生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲルは、アルブミンを含まない。
【0288】
いくつかの実施形態では、生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲル中のタンパク質(例えば、生物学的に活性なタンパク質、架橋タンパク質)の重量パーセントは、少なくとも75%である。いくつかの実施形態では、生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲル中のタンパク質の重量パーセントは、少なくとも80%である。いくつかの実施形態では、生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲル中のタンパク質の重量パーセントは、少なくとも85%である。いくつかの実施形態では、生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲル中のタンパク質の重量パーセントは、少なくとも90%である。
【0289】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、生理学的条件下で、ナノゲルからそのネイティブなコンフォメーションで放出され、生物学的に活性である。いくつかの実施形態では、放出されたタンパク質の比活性は、分解性リンカーによってそれが別のタンパク質に架橋される前のタンパク質の比活性の少なくとも50%(例えば、少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%)である。
【0290】
本開示のいくつかの態様は、分解性リンカーによって重合性官能基に可逆的に連結されたタンパク質を提供する。このようなタンパク質は、本明細書では可逆的に改変されたタンパク質であると考えられる。
【0291】
いくつかの実施形態では、重合性官能基は、シランおよび/または架橋性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、架橋性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ乳酸および/またはポリ(乳酸-コ-グリコール酸)を含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、分解性リンカーによってシランに可逆的に連結される。
【0292】
本開示の他の態様は、本明細書に記載されるいずれかの複数の可逆的に改変されたタンパク質を提供する。
【0293】
いくつかの実施形態では、このような複数の可逆的に改変されたタンパク質は、架橋される。
【0294】
本開示のさらに他の実施形態は、ポリマーと、分解性リンカーによって重合性官能基に可逆的に連結された少なくとも50%w/wのタンパク質とを含むナノ粒子を提供する。「w/w」は、本明細書では、ナノ粒子(例えば、ナノゲル)の重量に対するタンパク質の重量を意味する。本明細書で使用される場合、「重合性官能基」は、化学反応してポリマー鎖またはネットワークを形成し得る原子および結合の基を指す。「ポリマー」は、反復単位または異なる反復単位の混合物の鎖またはネットワークを指す。本明細書で使用される場合、ポリマーはそれ自体が官能基である。本開示にしたがって使用するための重合性官能基の例としては、限定されないが、シラン、エチレンオキシド、乳酸、ラクチド、グリコール酸、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、シリカ、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ乳酸、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリグルタミン酸、ポリリジン、シクロデキストリンおよびデキストラン・キトサンが挙げられる。他の重合性官能基が企図され、本開示にしたがって使用し得る。しかしながら、本明細書で使用される場合、「ポリマー」は、タンパク質ではない(非タンパク質である)、ペプチドではない(非ペプチドである)またはアミノ酸ではない(非アミノ酸である)と理解すべきである。
【0295】
「ポリマー」という用語は、「コポリマー」を包含する。すなわち、ポリマーは、短いポリマーまたはコポリマーを含む異なる官能基の混合物(例えば、シラン-PEG-シラン)を含み得る。官能基は、典型的には、タンパク質適合性中性条件下で重合される。したがって、いくつかの実施形態では、官能基の重合は、約pH6~約pH8の少なくとも部分的に水性の溶液中で起こる。例えば、官能基の重合は、pH6、pH6.5、pH7、pH7.5またはpH8で起こり得る。いくつかの実施形態では、官能基の重合は、約pH7で起こる。
【0296】
いくつかの実施形態では、重合反応は、フッ化ナトリウム、フッ化カリウムまたは任意の他の可溶性フッ化物によって触媒される。
【0297】
タンパク質に可逆的に連結され得、および/またはナノ粒子(例えば、ナノカプセル、ナノゲル、ヒドロゲル)の形成に使用され得る例示的なポリマーとしては、限定されないが、脂肪族ポリエステル、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、乳酸とグリコール酸とのコポリマー(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ酸無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)およびポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)および天然ポリマー、例えばアルギネートおよび他のポリサッカライド(デキストランおよびセルロースを含む)、コラーゲン、その化学誘導体(化学基、例えばアルキル、アルキレンの置換、付加、ヒドロキシル化、酸化および当業者によってルーチンに行なわれる他の改変を含む)、アルブミンおよび他の親水性タンパク質、ゼインおよび他のプロラミンおよび疎水性タンパク質、それらのコポリマーおよび混合物が挙げられる。一般に、これらの物質は、インビボで酵素加水分解または水への曝露によって、表面浸食またはバルク浸食によって分解する。他のポリマーが企図され、本開示にしたがって使用され得る。
【0298】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、親水性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール-b-ポリリジン(PEG-PLL)および/またはポリエチレングリコール-b-ポリアルギニン(PEG-PArg)に可逆的に連結される。
【0299】
本開示のいくつかの実施形態は、それらの表面上にポリカチオンを含むナノ粒子(例えば、ナノゲル)を伴う。ポリカチオンは、いくつかの部位に正電荷を有する分子または化学錯体である。一般に、ポリカチオンは、全体的な正電荷を有する。本開示にしたがって使用するためのポリカチオンの例としては、限定されないが、ポリリジン(ポリ-L-リジンおよび/またはポリ-D-リジン)、ポリ(アルギニン酸グリセリルコハク酸)(PAGS、アルギニン系ポリマー)、ポリエチレンイミン、ポリヒスチジン、ポリアルギニン、硫酸プロタミン、ポリエチレングリコール-b-ポリリジン(PEG-PLL)またはポリエチレングリコール-g-ポリリジンが挙げられる。
【0300】
いくつかの実施形態では、ポリカチオンは、ナノゲルの表面に追加される。いくつかの実施形態では、ポリカチオン(例えば、ポリエチレングリコール-b-ポリリジンまたはPEG-PLL)は、ナノゲルの表面に追加される。いくつかの実施形態では、ポリカチオンは、ポリエチレングリコール-b-ポリリジンである。いくつかの実施形態では、ポリカチオンは、抗CD45抗体と共にまたは抗CD45抗体なしでナノゲルに追加される。
【0301】
実施形態では、ナノ粒子は、polyK30を含む。実施形態では、ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレングリコール-b-ポリリジン(PEG-PLL)またはポリエチレングリコール-b-ポリアルギニン(PEG-PArg)を含む。実施形態では、ナノ粒子は、polyK200を含む。
【0302】
実施形態では、ナノ粒子は、ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む。いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマーは、ポリリジン、例えば、polyK30またはpolyK200を含む。いくつかの実施形態では、ポリリジンは、ポリ-L-リジンである。ある実施形態では、ポリリジンは、20~30、30~40、40~50、50~100、100~150、150~200、200~250、250~300、300~400、または400~500アミノ酸の平均長を有する。
【0303】
ある実施形態では、ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)を含む。ある実施形態では、PEGは、1~2、2~3、3~4、4~5、5~6、6~7、7~8、8~9、または9~10kDの分子量を有する。
【0304】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、PEG(例えば、PEG5k)と、ポリリジン、例えばpolyK30またはpolyK200とを含むカチオン性ブロックコポリマーを含む。実施形態では、カチオン性ブロックコポリマーは、PEG5k-polyK30またはPEG5k-polyK200を含む。
【0305】
理論に縛られるものではないが、いくつかの実施形態では、(例えば、10~150、20~100、20~80、20~60、20~40または約30アミノ酸の平均長を有する)低分子量ポリリジンを含むナノ粒子は、(例えば、約200アミノ酸の平均長を有する)高分子量ポリリジンを含むナノ粒子よりも優れた特性を示す。優れた特性は、例えば、低い毒性、低い凝集または高い細胞ローディングまたはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0306】
実施形態では、低分子量ポリリジンを含むナノ粒子は、例えば、凍結および融解後に、例えば実施例23の方法を使用して生T細胞の数を定量することによってアッセイした場合に、T細胞に対する低い毒性を示す。実施形態では、低い毒性は、凍結および融解後に、少なくとも1.2倍、1.4倍、1.6倍、1.8倍、2倍、2.5倍、3倍、4倍または5倍拡大する細胞を含む。
【0307】
実施形態では、低分子量ポリリジンを含むナノ粒子は、例えば、実施例1に記載されているように、例えば動的光散乱によって測定した場合に、低い凝集を示す。実施形態では、低い凝集は、約80nm(例えば、70~90nm、60~100nmまたは50~150nm)のサイズを有するナノ粒子の集団を含む。
【0308】
実施形態では、低分子量ポリリジンを含むナノ粒子は、例えば、実施例18に記載されているように、活性化ナイーブT細胞上にロードされているナノ粒子の平均蛍光強度(MFU)によって測定した場合に、高い細胞ローディングを示す。実施形態では、高い細胞ローディングは、polyK200を有する以外は同様の対照ナノ粒子よりも少なくとも2、5、10、20、50、100、200または500倍大きいMFUを含む。
【0309】
他の実施形態では、タンパク質は、疎水性ポリマー、例えばポリ乳酸(PLA)および/またはポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)などに可逆的に連結される。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質-疎水性ポリマーコンジュゲートは、ナノ粒子に自己集合し得る。
【0310】
いくつかの実施形態では、本開示のタンパク質コンジュゲートは、例えば、国際公開第2015/048498号および国際公開第2017/027843号に記載されているように、ヒドロゲルネットワーク、ナノゲル粒子またはタンパク質ナノゲル(これらはすべて、本明細書では「ナノ粒子」とみなされる)を形成するように架橋され得る。
【0311】
いくつかの実施形態では、重合性官能基は、シランおよび/または架橋性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、架橋性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ乳酸および/またはポリ(乳酸-コ-グリコール酸)を含む。
【0312】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、重合性官能基に可逆的に連結された少なくとも75%w/wのタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、重合性官能基に可逆的に連結された少なくとも80%w/wのタンパク質を含む。重合性官能基に可逆的に連結された約50%w/w~約90%w/wのタンパク質を含むナノ粒子も本明細書で企図される。例えば、いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、重合性官能基に可逆的に連結された約50%w/w、約55%w/w、約60%w/w、約65%w/w、約70%w/w、約75%w/w、約80%w/w、約85%w/wまたは約90%w/wのタンパク質を有し得る。
【0313】
本開示のさらに他の態様は、ナノ粒子を生産する方法であって、分解性リンカーおよび重合性官能基でタンパク質を改変する工程、ならびに前記重合性官能基を架橋剤および可溶性フッ化物と重合する工程を含む方法を提供する。
【0314】
いくつかの実施形態では、重合性官能基は、シランおよび/または架橋性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、架橋性ポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ乳酸および/またはポリ(乳酸-コ-グリコール酸)を含む。
【0315】
いくつかの実施形態では、可溶性フッ化物は、フッ化ナトリウムである。いくつかの実施形態では、可溶性フッ化物は、フッ化カリウムである。
【0316】
いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、それらの表面上に1つまたはそれより多くの反応基を含む。実施形態では、それらの外面上の1つまたはそれより多くの反応基は、有核細胞(例えば、T細胞)上の反応基と反応し得る。例示的なナノ粒子反応基としては、限定されないが、チオール反応性マレイミド頭部基、ハロアセチル(例えば、ヨードアセチル)基、イミドエステル基、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ピリジルジスルフィド基などが挙げられる。これらの反応基は、有核細胞表面上の基と反応して、ナノ粒子は、細胞表面に結合される。実施形態では、表面がこのように改変されると、ナノ粒子は、「相補的」反応基(すなわち、ナノ粒子のものと反応する反応基)を有する特定の担体細胞と共に使用するためのものである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、細胞表面を構成する脂質二重層に組み込まれないであろう。典型的には、ナノ粒子は、有核細胞によって有意に貪食(または、実質的に取り入れ)されないであろう。
【0317】
いくつかの実施形態では、反応基は、マレイミド、ローダミンまたはIR783反応基である。
【0318】
標的粒子
いくつかの実施形態では、粒子、例えばナノ粒子は、標的化部分、例えば親和性リガンドを含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、粒子の表面上にある。いくつかの実施形態では、標的化部分は、リガンドまたは抗体分子を含む。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、免疫細胞に特異的な抗体分子、例えばT細胞表面部分を含む。したがって、いくつかの実施形態では、ナノ粒子それ自体は、有核細胞に単に結合することによって、有核細胞の活性化を刺激しない。いくつかの実施形態では、標的化部分は、有核細胞の表面安定性を増加させる、例えば標的タンパク質の取り入れを減少させる。しかしながら、他の実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞に結合することによって、有核細胞の活性化を刺激する(例えば、ナノ粒子の結合は細胞表面部分の架橋をもたらし、これが有核細胞を活性化する)。例示的な標的化部分としては、限定されないが、親和性リガンド、例えばCD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、CD4またはCD2に対する抗体が挙げられる。いくつかの実施形態では、標的化部分(例えば、抗体分子)は、チェックポイント阻害剤、例えばPD-1、PD-L1、LAG-3、TIM-3またはCTLA-4.に結合する。実施形態では、チェックポイント阻害剤は、免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞上に存在する。
【0319】
ナノ粒子は、抗CD45抗体を含み得る。いくつかの実施形態では、抗CD45抗体は、ヒト抗CD45抗体またはヒト化抗CD45抗体である。いくつかの実施形態では、抗CD45抗体は、抗CD45モノクローナル抗体である。
【0320】
いくつかの実施形態では、モノクローナル抗CD45抗体は、BC8(ACCT:HB-10507)、4B2、9.4(ATTC:HB-10508)またはGAP8.3(ATTC:HB-12)である。したがって、いくつかの実施形態では、ナノ粒子(例えば、ナノゲル)は、抗CD45抗体に連結される。いくつかの実施形態では、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-15、IL-15-SAまたはそれらの組み合わせ)を含むタンパク質ナノゲルは、抗CD45抗体に連結される。いくつかの実施形態では、抗体は細胞表面受容体に結合し、抗体(例えば、抗CD45抗体)の少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも95%)は、細胞の表面上に少なくとも24時間(例えば、少なくとも36時間または少なくとも48時間)残る。いくつかの実施形態では、抗体(例えば、抗CD45抗体)は、例えば表面プラズモン共鳴によって測定した場合に、1uM、100nM、10nM、1nM、100pM、10pM、1pM、100fM、10fMまたは1fMまたはそれを超える親和性で、ヒトCD45に結合する。
【0321】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、PD-1に結合する。例えば、ピジリズマブおよび他の抗PD-1抗体は、Rosenblatt,Jら、(2011)J Immunotherapy 34(5):409-18、US7,695,715、US7,332,582およびUS8,686,119(これらは、その全体が参照により組み込まれる)に開示されている。MEDI0680および他の抗PD-1抗体は、US9,205,148およびWO2012/145493(これらは、その全体が参照により組み込まれる)に開示されている。さらなる抗PD-1抗体として、例えば、WO2010/027827 WO2011/066342、WO2015/112800、WO2016/092419、WO2015/085847、WO2014/179664、WO2014/194302、WO2014/209804、WO2015/200119、US8,735,553、US7,488,802、US8,927,697、US8,993,731、およびUS9,102,727に記載のものが挙げられ、それらの全体が参考として援用される。
【0322】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、PD-L1に結合する。例えば、アテゾリズマブおよび他の抗PD-L1抗体は、US8,217,149(これは、その全体が参照により組み込まれる)に開示されている。アベルマブおよび他の抗PD-L1抗体は、WO2013/079174(これは、その全体が参照により組み込まれる)に開示されている。デュルバルマブおよび他の抗PD-L1抗体は、US8,779,108(これは、その全体が参照により組み込まれる)に開示されている。BMS-936559および他の抗PD-L1抗体は、US7,943,743およびWO2015/081158(これらは、その全体が参照により組み込まれる)に開示されている。さらなる抗PD-L1抗体として、例えば、WO2015/181342、WO2014/100079、WO2016/000619、WO2014/022758、WO2014/055897、WO2015/061668、WO2013/079174、WO2012/145493、WO2015/112805、WO2015/109124、WO2015/195163、US8,168,179、US8,552,154、US8,460,927、およびUS9,175,082に記載のものが挙げられ、それらの全体が参考として援用される。
【0323】
いくつかの実施形態では、標的化部分はLAG-3に結合する。LAG-3抗体は、例えば、LAG525(Novartis)、BMS-986016(Bristol-MyersSquibb)、TSR-033(Tesaro)、MK-4280(Merck&Co)、またはREGN3767(Regeneron)から選択され得る。IMP731および他の抗LAG-3抗体は、WO2008/132601およびUS9,244,059に開示されており、それらの全体が参考として援用される。さらなる抗LAG-3抗体として、例えば、WO2008/132601、WO2010/019570、WO2014/140180、WO2015/116539、WO2015/200119、WO2016/028672、US9,244,059、US9,505,839に記載のものが挙げられ、それらの全体が参考として援用される。
【0324】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、TIM-3に結合する。いくつかの実施形態では、TIM-3標的化部分は、MGB453(Novartis)、TSR-022(Tesaro)またはLY3321367(Eli Lilly)から選択される。APE5137、APE5121および他の抗TIM-3抗体は、WO2016/161270(これは、その全体が参照により組み込まれる)に開示されている。さらなる抗TIM-3抗体として、例えば、WO2016/111947、WO2016/071448、WO2016/144803、US8,552,156、US8,841,418、およびUS9,163,087に記載のものが挙げられ、それらの全体が参考として援用される。
【0325】
いくつかの実施形態では、標的化部分は、CTLA-4に結合する。抗体イピリムマブおよび他の抗CTLA-4抗体は、米国特許第6,984,720号(これは、その全体が参照により組み込まれる)に開示されている。抗体トレメリムマブおよび他の抗CTLA-4抗体は、米国特許第7,411,057号(これは、その全体が参照により組み込まれる)に開示されている。
【0326】
ナノ粒子は、共有結合的にコンジュゲートされ得る(付着または結合され得る。これらは、本明細書で互換的に使用される用語である)か、またはそれらは、有核細胞に非共有結合的にコンジュゲートされ得る。共有結合的コンジュゲーションは、典型的には、ナノ粒子と有核細胞との間のより安定な(したがって、より長期の)会合を提供する。いくつかの実施形態では、共有結合的コンジュゲーションはまた、インビボにおける薬剤の安定性およびしたがってより持続的な局所送達を提供し得る。非共有結合的コンジュゲーションとしては、限定されないが、細胞表面および/または細胞膜の脂質二重層への吸収が挙げられる。
【0327】
いくつかの場合では、共有結合的付着は、最初に有核細胞をマレイミド担持ナノ粒子と共にインキュベートして細胞表面へのコンジュゲーションを可能にし、続いて、チオール末端ポリ(エチレングリコール)(PEG)によってインサイチューでペグ化して粒子の残存マレイミド基をキャッピングし、細胞の粒子媒介性架橋を回避する二段階プロセスで達成され得る。
【0328】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、生理学的条件下で、ナノ粒子からそのネイティブなコンフォメーションで放出され、生物学的に活性である。
【0329】
有核細胞
有核細胞は、ナノ粒子がカップリングされた、例えば共有結合的または非共有結合的にカップリングされた細胞であり、例えばそれにより有核細胞-ナノ粒子複合体が形成される。実施形態では、ナノ粒子は、タンパク質、例えば本明細書に記載されるサイトカイン分子を含む。いくつかの実施形態では、有核細胞(例えば、有核細胞の集団)は、本明細書に開示されるナノ粒子または複数のナノ粒子に共有結合的にカップリングされる。実施形態では、有核細胞(例えば、有核細胞の集団)は、例えば静電相互作用によって、本明細書に開示されるナノ粒子に非共有結合的にカップリングされる。
【0330】
いくつかの実施形態では、有核細胞は、被験体からの単離または精製後に、例えば細胞の保存(凍結保存を含む)または細胞の輸送前に、有核細胞と、本明細書に開示されるナノ粒子とを接触させることによって改変される。いくつかの実施形態では、接触工程は、細胞を凍結する前に行われる。他の実施形態では、接触工程は、細胞を融解した後に、例えば細胞の投与前に行われる。
【0331】
一実施形態では、有核細胞は、リンパ球を含む有核細胞を含む。本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、有核細胞は、免疫細胞、例えば免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)である。T細胞は、CD4+またはCD8+T細胞であり得る。T細胞は、CD3 T細胞であり得る。他の適切な細胞としては、B細胞、NK細胞、NKT細胞および造血前駆細胞(限定されないが、マウス系統陰性、Sca-1陽性およびc-kit陽性細胞ならびにそれらのヒトカウンターパートを含む)が挙げられる。相当レベルの遊離チオール(-SH)基が、T細胞、B細胞および造血前駆細胞の表面上に存在し、それにより、このような細胞へのナノカプセルナノ粒子のコンジュゲーションを容易にする。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、有核細胞に連結される。いくつかの実施形態では、有核細胞は、免疫細胞、例えばT細胞、B細胞、NK細胞またはNKT細胞である。
【0332】
本開示のいくつかの実施形態は、単離または精製された、例えば実質的に精製された有核細胞を指す。いくつかの実施形態では、単離された有核細胞は、それらが天然に存在する(すなわち、それらがインビボで存在しない)環境から分離された細胞である。インビトロのT細胞は、単離された細胞の例である。有核細胞は、それらのインビボ環境から単離され、本開示のナノ粒子にコンジュゲートされ、次いで、インビボで再導入され得ると理解すべきである。有核細胞は、それらのインビボ環境から単離され、本開示のナノ粒子と会合またはコンジュゲートされ、有核細胞-ナノ粒子複合体は、複合体の凍結を可能にするための成分と混合され、融解されて、例えばインビボで患者に再導入され得る。このような有核細胞は依然として、単離された細胞であるとみなされる。
【0333】
いくつかの実施形態では、有核細胞は、被験体、例えば免疫療法を必要とする患者から例えば直接的または間接的に取得される。有核細胞が免疫細胞である実施形態では、免疫細胞、例えばT細胞は、当業者に公知の多数の技術を使用して、血液、例えば被験体から収集された血液サンプルから得られ得る。一実施形態では、個体の循環血液由来の細胞は、アフェレーシスによって得られる。アフェレーシス産物は、典型的には、リンパ球、例えばT細胞、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球および血小板を含む。一実施形態では、アフェレーシスによって収集された細胞を洗浄して血漿画分を除去し、場合により、その後の処理工程のために、細胞を適切な緩衝液または培地に入れ得る。
【0334】
いくつかの実施形態では、有核細胞は、限定されないが、共刺激分子または受容体(キメラ受容体を含む)を含む1つまたはそれより多くの因子を発現するように遺伝子操作され得る。他の実施形態では、有核細胞は、遺伝子操作されない。いくつかの実施形態では、有核細胞は、単離されたものおよび天然に存在するもの(すなわち、それらは、遺伝子操作または他の方法で操作されていない)。
【0335】
いくつかの実施形態では、性質および機能に応じて、ナノ粒子とのコンジュゲーション前に、有核細胞(遺伝子操作有核細胞を含む)は操作される。しかしながら、ナノ粒子のコンジュゲーションを促進するために、有核細胞は表面改変されることを必要としない。実施形態のいくつかでは、代わりに、反応基または他の構成要素を細胞表面上に組み込まずに、有核細胞表面上に通常存在する反応基が使用される。その結果、ナノ粒子にコンジュゲートするために、このような有核細胞は、とりわけそれらの表面上に外因性エンティティ、例えば抗体または抗体断片の存在を必要としない。
【0336】
このような操作はまた、T細胞に対してルーチンに実施されるように、有核細胞の活性化を伴い得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子との混合前に、有核細胞は、インビトロで拡大および/または活性化され得る(または刺激され得る。これらは、本明細書では互換的に使用される用語である)。拡大および活性化プロトコールは、有核細胞型に応じて変動するが、1つまたはそれより多くのサイトカインとのインキュベーション、1つまたはそれより多くの細胞型とのインキュベーションおよび1つまたはそれより多くの抗原とのインキュベーションを含み得る。有核細胞がT細胞である場合、活性化は、細胞表面受容体に対する抗体を含む様々なT細胞表面分子に対する抗体、例えば抗CD3抗体、抗CD28によって刺激し、続いて、T細胞をIL-2、IL-15、IL-15スーパーアゴニストおよび場合により共刺激分子、例えばB7、B7.2、CD40などと共にインキュベートすることによって実施され得る。いくつかの実施形態では、有核細胞、より具体的にはT細胞は、それらの細胞表面上を外因性抗体でコーティングされない(すなわち、投与前に、細胞は、インビトロで抗体または抗体断片でコーティングされていない)。
【0337】
拡大(expansion)は、放射性標識ヌクレオチド、例えばトリチウム標識チミジンの取り込みを伴う増殖アッセイによって測定され得る。活性化は、とりわけ、サイトカイン、例えばIL-2、ガンマ-IFN、IL-1、IL-4、IL-6およびTNFの産生によって測定され得る。拡大および活性化を測定する他の方法は当技術分野で公知であり、フローサイトメトリーによってモニタリングされ得る細胞表面受容体に対する蛍光標識抗体、例えばCD25、CD71、CD28、CD30、CD154、CD69、CD134に対する抗体の使用が挙げられ、本開示にしたがって使用され得る。
【0338】
有核細胞は、より小量で多数のこのような細胞を富化し、および/または組成物から他の潜在的に望ましくない細胞を除去するために選択され得る。選択は、例えば、カラムまたはプレートベースの富化プロトコールを含む陽性選択または陰性選択を伴い得る。
【0339】
免疫細胞、例えばT細胞、B細胞およびNK細胞は、被験体の末梢血から採取され得る。
【0340】
造血前駆細胞は、限定されないが、臍帯血、骨髄、動員末梢血およびいくつかの場合では分化胚性幹細胞を含む多くの供給源から得られ得る。
【0341】
造血前駆細胞は、当技術分野で特性評価されている。ヒトにおけるこのような細胞は、一般に、最小限にCD34+表現型を有するが、それらはまた、CD59+、Thy1/CD90+、CD38lo/neg、CD33-および/またはc-kit/CD117+であり得る。それらはまた、系統特異的マーカーを発現しないと特性評価されている。それらは、アフィニティーカラム、磁気ビーズ、蛍光活性化細胞選別(FACS)、それらのいくつかの組み合わせなどを使用して、骨髄、臍帯血または末梢血から採取され得る。これらの細胞は、移植されると1つまたはそれより多くの造血系統を再配置する能力を有する。好ましくは、これらの細胞は、1つより多くの系統、さらにより好ましくはすべての系統を再配置する。本明細書で使用される場合、系統の再配置または配置は、幹細胞の子孫が被験体におけるその系統の構成に寄与するような、1つまたはそれより多くの系統への幹細胞の分化を指す。しかしながら、全系統区画が移植細胞に由来する必要はないが、しかしながらいくつかの場合では、これが起こり得る。
【0342】
単離された幹細胞は、限定されないが、細胞表面マーカーを含む1つまたはそれより多くのマーカーにしたがって、異種細胞集団を分画することによって得られ得る。
【0343】
有核細胞は、真核細胞、例えば哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)であり得る。あるいは、それらは、非哺乳動物細胞であり得る。さらに他の実施形態では、有核細胞は、原核細胞(例えば、細菌細胞)であり得る。いくつかの細菌細胞型が特に興味深い。例えば、弱毒化salmonella typhimuriumは、経口ワクチン送達用の候補ベクターとして研究中であり(Xiangら、Immunol Rev 222:117,2008;およびIwealaら、J Immunol 183(4):2252,2009)、操作された大腸菌は、酸素化不良の腫瘍に特異的にホーミングすることができることが示されている(Cheongら、Science 314(5803):1308,2006)。細菌は、新たな投与様式および組織部位標的化可能性、例えば経口投与および治療薬を腸管および腸管関連リンパ系組織に標的化する能力を提供する。このような微生物ベクターは、既製の即時使用細胞-ナノ粒子系を作り出す点で、自己宿主細胞と比較して利益を提供し得る。微生物への粒子コンジュゲーションは、哺乳動物細胞について記載されているのと同じ一連の化学戦略を使用して達成され得る。いくつかの場合では、微生物の鞭毛コートの一過性除去(例えば、Rosuら、J Bacteriol 188(14):5196,2006に記載されている単純な機械的剪断による)は、微生物細胞体への粒子の最適コンジュゲーションを達成するために使用され得る。
【0344】
ナノ粒子を作製する方法
ナノ粒子を生産する方法が本明細書で提供される。ナノ粒子の例は、タンパク質ナノゲル、例えば、インタクトな生物学的に活性なタンパク質を含有するが担体(例えば、アルブミン、BSA)を含有しないタンパク質ナノゲルである。
【0345】
いくつかの実施形態では、生物学的に活性なタンパク質ナノゲルを生産する方法は、分解性リンカーによってタンパク質を互いに可逆的共有結合的に架橋することを可能にする条件下で、タンパク質と分解性リンカーとを接触させ、それにより、生物学的に活性なタンパク質ナノゲルを生産する工程を含む。いくつかの実施形態では、方法は、タンパク質ナノゲルのタンパク質へのポリマーの架橋を可能にする条件下で、タンパク質ナノゲルとポリマーとを接触させ、それにより、生物学的に活性なタンパク質-ポリマーナノゲルを生産する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、複数のタンパク質ナノゲルまたは複数のタンパク質-ポリマーナノゲルが生産される。
【0346】
典型的には、分解性リンカーによってタンパク質を互いに可逆的共有結合的に架橋することを可能にする条件は、タンパク質と分解性リンカーとを4℃~25℃の温度(例えば、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃または25℃)で接触させることを含む。いくつかの実施形態では、水性緩衝液(例えば、PBS)中で、タンパク質を分解性リンカーと共に4℃~25℃の温度(例えば、室温)でインキュベートする。いくつかの実施形態では、水性緩衝液(例えば、PBS)中で、タンパク質を分解性リンカーと共に20℃、30℃もしくは40℃以下の温度または約35~45℃の温度でインキュベートする。いくつかの実施形態では、分解性リンカーによってタンパク質を互いに可逆的共有結合的に架橋することを可能にする条件は、タンパク質と分解性リンカーとを30分間~2時間または30分間~1時間(例えば、30、35、40、45、50、55または60分間)接触させることを含む。いくつかの実施形態では、水性緩衝液(例えば、PBS)中で、タンパク質を分解性リンカーと共に30分間~2時間または30分間~1時間インキュベートする。
【0347】
いくつかの実施形態では、水性緩衝液中のタンパク質の濃度は、10mg/mL~50mg/mLである。例えば、水性緩衝液中のタンパク質の濃度は、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mLまたは50mg/mL(タンパク質/水性緩衝液)であり得る。
【0348】
いくつかの実施形態では、生物学的に活性なタンパク質ナノゲルまたはタンパク質-ポリマーナノゲル中のタンパク質の重量パーセントは、少なくとも75%w/wである。例えば、生物学的に活性なタンパク質ナノゲルまたはタンパク質-ポリマーナノゲルにおけるタンパク質の重量パーセントは、少なくとも80%w/w、少なくとも85%w/w、少なくとも90%w/w、または少なくとも95%w/wである。いくつかの実施形態では、生物学的に活性なタンパク質ナノゲルまたはタンパク質-ポリマーナノゲルにおけるタンパク質の重量パーセントは、75%w/w~90%w/w、80%w/w~90%w/w、または85%w/w~90%w/wである。
【0349】
タンパク質ナノゲルのタンパク質へのポリマーの架橋を可能にする条件は、タンパク質ナノゲルとポリマーとを4℃~25℃の温度(例えば、4℃、5℃、6℃、7℃、8℃、9℃、10℃、11℃、12℃、13℃、14℃、15℃、16℃、17℃、18℃、19℃、20℃、21℃、22℃、23℃、24℃または25℃)で接触させることを含む。いくつかの実施形態では、水性緩衝液(例えば、PBS)中で、タンパク質ナノゲルをポリマーと共に4℃~25℃の温度(例えば、室温)でインキュベートする。いくつかの実施形態では、水性緩衝液(例えば、PBS)中で、タンパク質ナノゲルをポリマーと共に30℃以下の温度でインキュベートする。いくつかの実施形態では、タンパク質ナノゲルのタンパク質へのポリマーの架橋を可能にする条件は、タンパク質ナノゲルとポリマーとを30分間~2時間または30分間~1時間(例えば、30、35、40、45、50、55または60分間)接触させることを含む。いくつかの実施形態では、水性緩衝液(例えば、PBS)中で、タンパク質ナノゲルをポリマーと共に30分間~2時間または30分間~1時間インキュベートする。
【0350】
本開示のナノ粒子を生産する他の方法は、分解性リンカーおよび重合性官能基でタンパク質を改変する工程、および前記重合性官能基を架橋剤および可溶性フッ化物と重合する工程を含み得る。
【0351】
本開示のタンパク質は、例えば、分解性リンカー、例えばレドックス応答性リンカーで改変され得るか、またはそれにコンジュゲートされ得る。いくつかの実施形態では、改変は、共有結合的改変であり得る。国際公開第2015/048498号の
図3Aには、タンパク質改変スキームの一例が説明されている。この例では、タンパク質は、分解性リンカーによってシランに共有結合的にコンジュゲートされる。
【0352】
重合性官能基は、可溶性フッ化物触媒の存在下で、架橋剤と重合され得る。いくつかの実施形態では、架橋剤は、ポリマー(例えば、シラン-PEG-シラン)である。いくつかの実施形態では、可溶性フッ化物は、フッ化ナトリウムである。いくつかの実施形態では、可溶性フッ化物は、フッ化カリウムである。
【0353】
組成物
タンパク質ナノ粒子(例えば、有核細胞-ナノ粒子複合体)を含む医薬組成物を含む組成物が本明細書で提供される。組成物は、薬学的に許容され得る量および薬学的に許容され得る組成物で製剤化され得る。「薬学的に許容され得る」という用語は、活性成分(例えば、ナノ粒子の生物学的に活性なタンパク質)の生物学的活性の有効性を妨害しない非毒性物質を意味する。いくつかの実施形態では、このような組成物は、塩、緩衝剤、保存剤および場合により他の治療剤を含有し得る。
【0354】
いくつかの実施形態では、医薬組成物はまた、適切な保存剤を含有し得る。
【0355】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は単位用量形態で提供され、医薬分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。
【0356】
いくつかの実施形態では、非経口投与に適切な医薬組成物は、ナノ粒子の滅菌水性または非水性調製物を含み、いくつかの実施形態では、これは、レシピエント被験体の血液と等張である。この調製物は、公知の方法によって製剤化され得る。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液であり得る。
【0357】
いくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は滅菌のものであり得、有核細胞を含むまたは有核細胞を含まない有効量のナノ粒子(例えば、ナノゲル)を単独で、または重量単位もしくは体積単位で所望の応答をもたらすために別の薬剤と組み合わせて含有し得る。
【0358】
使用
本開示のさらなる態様は、有核細胞の最適化生産の方法を提供する。実施形態では、有核細胞、例えば免疫細胞の機能は、1サイクルまたはそれより多くの凍結および/または融解後に促進される、例えば保存される。生産された有核細胞(例えば、本明細書に開示されるナノ粒子、例えば有核細胞-ナノ粒子複合体を含む)は融解され、被験体に投与され得る、例えば直接投与され得る。したがって、別の態様では、本明細書に開示される有核細胞の集団を被験体、例えばヒト被験体に投与する方法が本明細書に開示される。
【0359】
いくつかの実施形態では、被験体は、ヒト被験体である。被験体としては、動物、例えば家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、フェレット)、家畜動物または飼育動物(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ニワトリおよび他の家禽)、ウマ、例えばサラブレッド、実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ)なども挙げられる。いくつかの実施形態では、被験体は疾患を有するか、または疾患を有するリスクがある。いくつかの実施形態では、被験体は、患者、例えばヒト患者である。他の実施形態では、疾患は、がん、糖尿病、自己免疫疾患、アレルギーもしくはアレルギー症状、喘息または心血管疾患である。実施形態では、被験体は、移植を必要とする。
【0360】
本明細書の組成物(例えば、有核細胞組成物)が送達される被験体は、正常被験体または健常被験体であり得る。あるいは、それらは、診断され得る症状、または1つもしくはそれより多くの細胞の送達から利益を受け得る症状を有し得るか、またはそれを発症するリスクがあり得る。
【0361】
このような症状としては、がん(例えば、固形腫瘍がん)、自己免疫障害、移植拒絶などが挙げられる。
【0362】
実施形態では、がんは、血液がんである。実施形態では、血液がんは、白血病またはリンパ腫である。例示的な血液がんとしては、限定されないが、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、有毛細胞白血病)、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫または急性リンパ性白血病が挙げられる。実施形態では、がんは、急性骨髄性白血病(AML)以外である。
【0363】
実施形態では、がんは、固形がんである。例示的な固形がんとしては、限定されないが、卵巣がん、直腸がん、胃がん、精巣がん、肛門部のがん、子宮がん、結腸がん、直腸がん、腎細胞癌腫、肝臓がん、肺の非小細胞癌腫、小腸のがん、食道のがん、黒色腫、カポジ肉腫、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、骨がん、膵臓がん、皮膚がん、頭頸部のがん、皮膚または眼内の悪性黒色腫、子宮がん、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、類表皮がん、頸部の癌腫、扁平上皮がん、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、膣の癌腫、軟組織の肉腫、尿道のがん、外陰の癌腫、陰茎のがん、膀胱のがん、腎臓もしくは尿管のがん、腎盂の癌腫、脊髄腫瘍、中枢神経系(CNS)の新生物、原発性CNSリンパ腫、腫瘍血管新生、前記がんの転移巣またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0364】
いくつかの実施形態では、処置すべき被験体は、有核細胞、例えば免疫細胞が単離された被験体と同じものである。他の実施形態では、処置すべき被験体は、有核細胞、例えば免疫細胞が単離された被験体と異なるものである。実施形態では、両被験体は、同じタイプのがんを有するかまたは有していた。
【0365】
実施形態では、有核細胞は、処置または予防すべき疾患に適切な方法で投与される。投与量および投与頻度は、患者の症状ならびに患者の疾患のタイプおよび重症度などの要因によって決定されるであろう。適切な投与量は、臨床試験によって決定され得る。例えば、「有効量」または「治療量」が示される場合、投与すべき医薬組成物(または有核細胞)の正確な量は、腫瘍のサイズ、感染または転移の程度、被験体の年齢、体重および症状の個人差を考慮して、医師によって決定され得る。実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、細胞104~109個/体重kg、例えば細胞105~106個/体重kg(これらの範囲内のすべての整数値を含む)の投与量で投与され得る。実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、これらの投与量で複数回投与され得る。実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、免疫療法に記載されている注入技術を使用して投与され得る(例えば、Rosenbergら、New Eng.J.of Med.319:1676,1988を参照のこと)。
【0366】
以下に列挙されている段落では、本出願のさらなる態様および実施形態が本明細書で提供される。
【0367】
1.有核細胞と、緩衝化水性媒体溶液と、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する少なくとも1つの薬剤を含むナノ粒子とを含む組成物であって、前記組成物は凍結されており、前記組成物が融解されると、前記薬剤は、場合により前記ナノ粒子から放出され、前記ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞と比較して、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を改善する、組成物。
【0368】
2.有核細胞と、緩衝化水性媒体溶液と、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む組成物であって、前記組成物の凍結調製物が融解されると、前記保存剤は、場合により前記ナノ粒子から放出され、前記ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞と比較して、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進し、例えば保存または増強し、前記保存剤は、
配列番号3もしくは配列番号4のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン、あるいは配列番号7もしくは配列番号8のアミノ酸配列、またはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%もしくは99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;ならびに
場合により、第2の異種ドメイン、例えば抗体分子、例えばFab断片、Fab2断片もしくはscFv;重鎖抗体断片;Fc断片;またはアフィボディ断片もしくは誘導体、例えばsdAb(ナノボディ)断片
を含むポリペプチドと例えば共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含み;
場合により、前記組成物の少なくとも一部は凍結されている、組成物。
【0369】
3.前記組成物、例えば前記ナノ粒子および/または前記保存剤が、IL-15受容体またはそのIL-15結合断片を含むポリペプチドと例えば共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含むIL-15複合体を含む、実施形態1に記載の組成物。
【0370】
4.前記IL-15分子が、IL-15変異体、例えば1つまたはそれより多くのアミノ酸置換、例えば72位の置換、例えばNからDへの置換を有するヒトIL-15ポリペプチドを含む、実施形態2または3に記載の組成物。
【0371】
5.前記IL-15分子が、配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列である、実施形態2~4のいずれかに記載の組成物。
【0372】
6.IL-15受容体またはその断片を含む前記ポリペプチドが、配列番号5のsushi-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態2~5のいずれかに記載の組成物。
【0373】
7.IL-15受容体またはその断片を含む前記ポリペプチドが、sushiドメイン(例えば、配列番号7または配列番号8のもの)およびエフェクター弱体化Fcドメイン、例えば、ヒトIgG2 Fcドメイン、例えば、配列番号11のヒトIgG2ドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む第2の異種ドメインを含む、実施形態2~5のいずれかに記載の組成物。
【0374】
8.前記保存剤が、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を持続するための刺激分子である、実施形態1~7のいずれかに記載の組成物。
【0375】
9.インターフェロンガンマ産生を促進する、実施形態1~8のいずれかに記載の組成物。
【0376】
10.インターフェロンガンマ産生によって、活性化を測定する、実施形態1~9のいずれかに記載の組成物。
【0377】
11.前記組成物が、細胞の生存能力および増殖を刺激および持続する化合物を含む(例えば、前記媒体が前記化合物を含有する)、実施形態1~10のいずれかに記載の組成物。
【0378】
12.前記組成物が、凍結および融解中に前記細胞を保護する化合物を含む(例えば、前記媒体が含む)、実施形態1~11のいずれかに記載の組成物。
【0379】
13.前記ナノ粒子からの前記保存剤の放出が、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる、実施形態1~12のいずれかに記載の組成物。
【0380】
14.前記ナノ粒子が前記有核細胞の表面と会合している、実施形態1~13のいずれかに記載の組成物。
【0381】
15.前記有核細胞が、免疫エフェクター細胞(例えば、リンパ球、T細胞、B細胞またはナチュラルキラー細胞)または造血幹細胞であるむ、実施形態1~14のいずれかに記載の組成物。
【0382】
16.前記ナノ粒子が、前記有核細胞に対する静電引力によって前記細胞表面と会合している、実施形態1~15のいずれかに記載の組成物。
【0383】
17.前記ナノ粒子が少なくとも1つのリガンドを含み、前記リガンドが、前記有核細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する、実施形態1~16のいずれかに記載の組成物。
【0384】
18.前記ナノ粒子が、前記有核細胞の例えば表面に共有結合的にコンジュゲートしている、実施形態1~17のいずれかに記載の組成物。
【0385】
19.前記ナノ粒子が、前記有核細胞に共有結合的にコンジュゲートしていない、実施形態1~17のいずれかに記載の組成物。
【0386】
20.前記ナノ粒子が、リポソーム、タンパク質ナノゲル、ヌクレオチドナノゲル、ポリマーナノ粒子または固体ナノ粒子を含む、実施形態1~19のいずれかに記載の組成物。
【0387】
21.前記ナノ粒子がリポソームを含む、実施形態1~20のいずれかに記載に記載の組成物。
【0388】
22.前記ナノ粒子がタンパク質ナノゲルを含む、実施形態1~21のいずれかに記載に記載の組成物。
【0389】
23.記ナノ粒子が、前記ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む、実施形態1~22のいずれかに記載の組成物。
【0390】
24.前記ナノ粒子が、PEG(例えば、約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG)およびポリリジン、(例えば、10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジン)を含むカチオン性ブロックコポリマーを含む、実施形態1~23のいずれかに記載の組成物。
【0391】
25.溶液中もしくは前記細胞表面上で前記ナノ粒子を安定化し、かつ/または前記ナノ粒子と前記有核細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物、例えばプロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンを含む、実施形態1~24のいずれかに記載の組成物。
【0392】
26.サイトカイン分子、成長因子分子または共刺激分子を含む、実施形態1~25のいずれかに記載の組成物。
【0393】
27.サイトカイン、例えば、IL2、IL6、IL7、IL12、IL15、IL17、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、またはGCSF、またはそれらのバリアント、例えば、それらのスーパーアゴニストを含む第2の保存剤を含む、実施形態1~26のいずれかに記載の組成物。
【0394】
28.共刺激分子に対する抗体分子またはアゴニストリガンドを含み、例えば、前記共刺激分子が、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される、実施形態1~27のいずれかに記載の組成物。
【0395】
29.前記ナノ粒子が、前記有核細胞による前記ナノ粒子の取り入れを減少させる、例えば阻害、減退または低減するエンティティを含む、実施形態1~28のいずれかに記載の組成物。
【0396】
30.前記ナノ粒子が、CD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む、実施形態1~29のいずれかに記載の組成物。
【0397】
31.配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号5のsushi-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む、実施形態1~30のいずれかに記載の組成物。
【0398】
32.配列番号1のIL-15ポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号7または配列番号8のsushiドメインあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列、および配列番号11のFcドメインあるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むsushi-Fcポリペプチド;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子
を含む、実施形態1~30のいずれかに記載の組成物。
【0399】
33.前記ナノゲルが高密度タンパク質構造(例えば、80重量%超のタンパク質)であり、かつ/または前記タンパク質が、分解されるとネイティブ形態の前記タンパク質を放出する架橋分子によって架橋されている、実施形態1~32のいずれかに記載の組成物。
【0400】
34.前記ナノ粒子が、レドックスに対して感受性(ジスルフィド)またはpHに対して感受性(加水分解性基)または酵素に対して感受性(プロテアーゼ)である可逆的リンカーによって架橋されたナノゲルを含む、実施形態1~33のいずれかに記載の組成物。
【0401】
35.患者から単離されて凍結融解処理にさらに供された有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強するための方法であって、緩衝化水溶液と、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを保存または増強する少なくとも1つの薬剤を含むナノ粒子との組み合わせによって、前記有核細胞は改変され、前記改変有核細胞は凍結されており、融解されると、前記保存剤は、場合により前記ナノ粒子から放出され、前記ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞と比較して、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を改善する、方法。
【0402】
36.例えば有核細胞を凍結する前に有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強するための方法であって、前記有核細胞は患者から単離されており、それを、緩衝化水溶液と、例えば前記ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化と比較して、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を保存または増強する少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子と組み合わせることによって、前記有核細胞を改変する工程を含む、方法。
【0403】
37.有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化の1つまたはそれよりも多くを促進する、例えば増強するための方法であって、前記有核細胞は、患者から単離されており、緩衝化水溶液と、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を保存または増強する少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子と組み合わせることによって改変されており、前記改変有核細胞を少なくとも1回の凍結融解サイクルに供する工程を含む、方法。
【0404】
38.有核細胞の凍結組成物を作製する方法であって、
有核細胞と、緩衝化水性媒体溶液と、例えば前記有核細胞の凍結調製物が融解されると、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する少なくとも1つの保存剤を含む複数のナノ粒子とを含む非凍結組成物を提供する工程、
場合により、前記組成物が凍結するのに十分に前記組成物の温度を低下させ、それにより、有核細胞の組成物を凍結する工程
を含む、方法。
【0405】
39.前記組成物の温度を0℃未満に低下させる、実施形態38に記載の方法。
【0406】
40.前記組成物の温度を-10℃未満に低下させる、実施形態38または39に記載の方法。
【0407】
41.有核細胞の前記凍結組成物を少なくとも1時間凍結したままに維持することを含む、実施形態37~40のいずれかに記載の方法。
【0408】
42.
提供する工程が、
前記有核細胞と、保存剤を含むナノ粒子とを組み合わせること、および場合により、前記有核細胞と緩衝化水性媒体溶液とを組み合わせることを含む、実施形態37~41のいずれかに記載の方法。
【0409】
43.提供する工程が、別のエンティティから前記ナノ粒子を受け取ること、および前記ナノ粒子と前記有核細胞とを組み合わせることを含む、実施形態37~42のいずれかに記載の方法。
【0410】
44.提供する工程が、別のエンティティから有核細胞の非凍結組成物を受け取ることを含む、実施形態37~43のいずれかに記載の方法。
【0411】
45.有核細胞の前記凍結組成物を別のエンティティ、例えばヘルスケアプロバイダ、例えば病院、診療所または医院に提供または放出することを含む、実施形態37~44のいずれかに記載の方法。
【0412】
46.有核細胞の前記凍結組成物を融解して、有核細胞の融解組成物を提供することを含む、実施形態37~45のいずれかに記載の方法。
【0413】
47.前記組成物の凍結調製物が融解されると、前記保存剤が前記ナノ粒子から放出され、前記ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞と比較して、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する、実施形態37~46のいずれかに記載の方法。
【0414】
48.前記保存剤が、IL-15ポリペプチド受容体アルファ断片;および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、抗体分子、例えば、Fab断片、Fab2断片、またはscFv;重鎖抗体断片;Fc断片;またはアフィボディ断片または誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片を含む、実施形態37~47のいずれかに記載の方法。
【0415】
49.前記保存剤が、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を持続するための刺激分子である、実施形態37~48のいずれかに記載の方法。
【0416】
50.インターフェロンガンマ産生を促進する、実施形態37~49のいずれかに記載の方法。
【0417】
51.インターフェロンガンマ産生によって、活性化を測定する、実施形態50に記載の方法。
【0418】
52.前記組成物が、細胞の生存能力および増殖を刺激および持続する化合物を含む(例えば、前記媒体が前記化合物を含有する)、実施形態37~51のいずれかに記載の方法。
【0419】
53.前記媒体が、凍結および融解中に前記細胞を保護する化合物を含む、実施形態37~52のいずれかに記載の方法。
【0420】
54.前記ナノ粒子からの保存剤の放出が、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる、実施形態37~53のいずれかに記載の方法。
【0421】
55.ナノ粒子が前記有核細胞の表面と会合している、実施形態37~54のいずれかに記載の方法。
【0422】
56.前記有核細胞が、免疫エフェクター細胞(例えば、リンパ球、T細胞、B細胞またはナチュラルキラー細胞)または造血幹細胞を含む、実施形態37~55のいずれかに記載の方法。
【0423】
57.前記ナノ粒子が、前記有核細胞に対する静電引力によって前記細胞表面と会合している、実施形態37~56のいずれかに記載の方法。
【0424】
58.前記ナノ粒子がリガンドを含み、前記リガンドが、前記有核細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する、実施形態37~57のいずれかに記載の方法。
【0425】
59.前記ナノ粒子が、前記有核細胞の例えば表面に共有結合的にコンジュゲートしている、実施形態37~58のいずれかに記載の方法。
【0426】
60.前記ナノ粒子が、前記有核細胞に共有結合的にコンジュゲートしていない、実施形態37~58のいずれかに記載の方法。
【0427】
61.前記ナノ粒子が、リポソーム、タンパク質ナノゲル、ヌクレオチドナノゲル、ポリマーナノ粒子または固体ナノ粒子を含む、実施形態37~60のいずれかに記載の方法。
【0428】
62.前記ナノ粒子がリポソームを含む、実施形態61に記載の方法。
【0429】
63.前記ナノ粒子がタンパク質ナノゲルを含む、実施形態61に記載の方法。
【0430】
64.記ナノ粒子が、前記ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む、実施形態37~63のいずれかに記載の方法。
【0431】
65.前記ナノ粒子が、PEG(例えば、約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG)およびポリリジン、(例えば、10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジン)を含むカチオン性ブロックコポリマーを含む、実施形態37~64のいずれかに記載の方法。
【0432】
66.前記組成物が、溶液中もしくは前記細胞表面上で前記ナノ粒子を安定化し、かつ/または前記ナノ粒子と前記有核細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物、例えばプロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンを含む、実施形態37~65のいずれかに記載の方法。
【0433】
67.前記保存剤が、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を持続するための刺激分子である、実施形態37~66のいずれかに記載の方法。
【0434】
68.前記保存剤が、
配列番号3または配列番号4のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン、あるいは配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、抗体分子、例えば、Fab断片、Fab2断片、またはscFv;重鎖抗体断片;Fc断片;またはアフィボディ断片または誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片
を含むポリペプチドと、例えば、共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含む、実施形態37~67のいずれかに記載の方法。
【0435】
69.前記保存剤が、サイトカイン分子、成長因子分子または共刺激分子を含む、実施形態37~68のいずれかに記載の方法。
【0436】
70.前記保存剤が、サイトカイン分子、例えば、IL2、IL6、IL7、IL12、IL15、IL17、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、またはGCSF、またはバリアント、例えば、それらのスーパーアゴニストを含む、実施形態37~69のいずれかに記載の方法。
【0437】
71.前記組成物が、共刺激分子に対する抗体分子またはアゴニストリガンドを含み、例えば、前記共刺激分子が、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される、実施形態37~70のいずれかに記載の方法。
【0438】
72.前記組成物、例えば前記ナノ粒子が、前記有核細胞による前記ナノ粒子の取り入れを減少させる、例えば阻害、減退または低減するエンティティを含む、実施形態37~71のいずれかに記載の方法。
【0439】
73.前記組成物、例えば、前記ナノ粒子が、CD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む、実施形態37~72のいずれかに記載の方法。
【0440】
74.前記ナノゲルが高密度タンパク質構造(例えば、80重量%超のタンパク質)であり、かつ/または前記タンパク質が、分解されるとネイティブ形態の前記タンパク質を放出する架橋分子によって架橋されている、実施形態37~73のいずれかに記載の方法。
【0441】
75.前記ナノ粒子が、レドックスに対して感受性(例えば、ジスルフィド)またはpHに対して感受性(例えば、加水分解性基)または酵素に対して感受性(例えば、プロテアーゼ)である可逆的リンカーによって架橋されたナノゲルを含む、実施形態37~74のいずれかに記載の方法。
【0442】
76.前記ナノ粒子が、
配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号5のsushi-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む、実施形態37~75のいずれかに記載の方法。
【0443】
77.有核細胞の融解組成物を作製する方法であって、
有核細胞と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子とを含む有核細胞の凍結組成物を提供する工程;および
有核細胞の前記凍結組成物を融解するのに十分に有核細胞の前記凍結組成物を加温し、それにより、有核細胞の融解組成物を作製する工程を含む、方法。
【0444】
78.提供する工程が、別のエンティティ、例えば有核細胞の前記組成物を作製および/または凍結するエンティティから前記凍結組成物を受け取ることを含む、実施形態77に記載の方法。
【0445】
79.提供する工程が、
前記有核細胞を、緩衝化水性媒体溶液と、少なくとも1つの保存剤を含むナノ粒子と組み合わせることを含む、実施形態77に記載の方法。
【0446】
80.提供する工程が、別のエンティティから前記ナノ粒子を受け取ること、および前記ナノ粒子と前記有核細胞とを組み合わせることを含む、実施形態77に記載の方法。
【0447】
81.有核細胞の前記凍結組成物を加温する前に、有核細胞の前記凍結組成物を少なくとも1時間凍結したままに維持することを含む、実施形態77~80のいずれかに記載の方法。
【0448】
82.凍結組成物が融解されると、前記保存剤が前記ナノ粒子から放出され、前記ナノ粒子の非存在下で凍結および融解された緩衝化水性媒体溶液中の有核細胞と比較して、前記有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を促進する、例えば保存または増強する、実施形態77~81のいずれかに記載の方法。
【0449】
83.前記保存剤が、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を持続するための刺激分子である、実施形態77~82のいずれかに記載の方法。
【0450】
84.インターフェロンガンマ産生を促進する、実施形態77~83のいずれかに記載の方法。
【0451】
85.インターフェロンガンマ産生によって、活性化を測定する、実施形態84に記載の方法。
【0452】
86.前記組成物が、細胞の生存能力および増殖を刺激および持続する化合物を含む(例えば、前記媒体が前記化合物を含有する)、実施形態77~85のいずれかに記載の方法。
【0453】
87.前記組成物(例えば、前記媒体)が、凍結および融解中に前記細胞を保護する化合物を含む、実施形態77~86のいずれかに記載の方法。
【0454】
88.前記ナノ粒子からの保存剤の放出が、1時間~3週間、例えば1時間~24時間、1日間~3日間、4日間~6日間、1週間~2週間または2週間~3週間にわたって起こる、実施形態77~87のいずれかに記載の方法。
【0455】
89.ナノ粒子が前記有核細胞の表面と会合している、実施形態77~88のいずれかに記載の方法。
【0456】
90.前記有核細胞が、免疫エフェクター細胞(例えば、リンパ球、T細胞、B細胞またはナチュラルキラー細胞)または造血幹細胞である、実施形態77~89のいずれかに記載の方法。
【0457】
91.前記ナノ粒子が、前記有核細胞に対する静電引力によって前記細胞表面と会合している、実施形態77~90のいずれかに記載の方法。
【0458】
92.前記ナノ粒子がリガンドを含み、前記リガンドが、前記有核細胞の表面上のタンパク質、炭水化物または脂質に対する親和性を有する、実施形態77~91のいずれかに記載の方法。
【0459】
93.前記ナノ粒子が、前記有核細胞の例えば表面に共有結合的にコンジュゲートしている、実施形態77~92のいずれかに記載の方法。
【0460】
94.前記ナノ粒子が、前記有核細胞に共有結合的にコンジュゲートしていない、実施形態77~92のいずれかに記載の方法。
【0461】
95.前記ナノ粒子が、リポソーム、タンパク質ナノゲル、ヌクレオチドナノゲル、ポリマーナノ粒子または固体ナノ粒子を含む、実施形態77~94のいずれかに記載の方法。
【0462】
96.前記ナノ粒子がリポソームを含む、実施形態95に記載の方法。
【0463】
97.前記ナノ粒子がタンパク質ナノゲルを含む、実施形態95に記載の方法。
【0464】
98.記ナノ粒子が、前記ナノ粒子表面上に少なくとも1つのポリマー、カチオン性ポリマーまたはカチオン性ブロックコポリマーを含む、実施形態77~97のいずれかに記載の方法。
【0465】
99.前記ナノ粒子が、PEG(例えば、約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG)およびポリリジン、(例えば、10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジン)を含むカチオン性ブロックコポリマーを含む、実施形態77~98のいずれかに記載の方法。
【0466】
100.前記組成物が、溶液中もしくは前記細胞表面上で前記ナノ粒子を安定化し、かつ/または前記ナノ粒子と前記有核細胞の表面との間の相互作用を増加させる化合物、例えばプロタミン、キトサン、炭水化物、ヘパラン硫酸プロテオグリカン、天然ポリマー、ポリサッカライド、デキストラマー、セルロース、フィブロネクチン、コラーゲン、フィブリンまたはプロテオグリカンを含む、実施形態77~99のいずれかに記載の方法。
【0467】
101.前記保存剤が、有核細胞の生存能力、増殖、細胞傷害活性または活性化を持続するための刺激分子である、実施形態77~100のいずれかに記載の方法。
【0468】
102.前記保存剤が、
配列番号3または配列番号4のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン、あるいは配列番号7または配列番号8のアミノ酸配列、あるいはそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有し、IL-15結合活性を有するアミノ酸配列を含む第1のドメイン;および
場合により、第2の異種ドメイン、例えば、抗体分子、例えば、Fab断片、Fab2断片、またはscFv;重鎖抗体断片;Fc断片;またはアフィボディ断片または誘導体、例えば、sdAb(ナノボディ)断片
を含むポリペプチドと、例えば、共有結合的または非共有結合的に複合体化したIL-15分子を含む、実施形態77~101のいずれかに記載の方法。
【0469】
103.前記ナノ粒子が、
配列番号6のIL-15N72DポリペプチドあるいはIL-15Ra結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
配列番号5のsushi-FcポリペプチドあるいはIL-15結合活性を有するそれと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有するアミノ酸配列;
約1~10、2~8、4~6、または約5kDの分子量を有するPEG、および10~50、20~40、または約30アミノ酸の平均長を有するポリリジンを含むカチオン性ブロックコポリマー;および
場合により、CD45に対する抗体分子を含む、実施形態77~102のいずれかに記載の方法。
【0470】
104.前記保存剤が、サイトカイン分子、成長因子分子または共刺激分子を含む、実施形態77~103のいずれかに記載の方法。
【0471】
105.前記組成物が、サイトカイン、例えば、IL2、IL6、IL7、IL12、IL15、IL17、IL18、IL21、IL-23、IL-4、IL1アルファ、IL1ベータ、IL-5、IFNガンマ、TNFa、IFNアルファ、IFNベータ、GM-CSF、またはGCSF、またはバリアント、例えば、それらのスーパーアゴニストを含む第2の保存剤を含む、実施形態77~104のいずれかに記載の方法。
【0472】
106.前記組成物が、共刺激分子に対する抗体分子またはアゴニストリガンドを含み、例えば、前記共刺激分子が、OX40、CD28、GITR、VISTA、CD40、CD3、もしくはCD137のアゴニストから選択される、実施形態77~105のいずれかに記載の方法。
【0473】
107.前記組成物、例えば前記ナノ粒子が、前記有核細胞による前記ナノ粒子の取り入れを減少させる、例えば阻害、減退または低減するエンティティを含む、実施形態77~106のいずれかに記載の方法。
【0474】
108.前記組成物、例えば、前記ナノ粒子が、CD45、CD11a(インテグリンアルファ-L)、CD18(インテグリンベータ-2)、CD11b、CD11c、CD25、CD8、またはCD4に対する抗体分子を含む、実施形態77~107のいずれかに記載の方法。
【0475】
109.前記ナノゲルが高密度タンパク質構造(例えば、80重量%超のタンパク質)であり、かつ/または前記タンパク質が、分解されるとネイティブ形態の前記タンパク質を放出する架橋分子によって架橋されている、実施形態77~108のいずれかに記載の方法。
【0476】
110.前記ナノ粒子が、レドックスに対して感受性(例えば、ジスルフィド)またはpHに対して感受性(例えば、加水分解性基)または酵素に対して感受性(例えば、プロテアーゼ)である可逆的リンカーによって架橋されたナノゲルを含む、実施形態77~109のいずれかに記載の方法。
【0477】
111.有核細胞およびナノ粒子を凍結するための方法であって、前記細胞を-10℃未満で凍結して少なくとも1時間後に融解し、前記ナノ粒子が、融解後に前記ナノ粒子から放出される少なくとも1つの薬剤であって、ナノ粒子を含まない有核細胞の組成物よりも大幅に前記細胞を生存状態で保持する薬剤を含む、方法。
【0478】
112.前記薬剤が、有核細胞の生存能力を持続するための刺激分子である、実施形態111に記載の方法。
【0479】
113.前記有核細胞がリンパ球である、実施形態111~112のいずれかに記載の方法。
【0480】
114.ナノ粒子が前記有核細胞の表面と会合している、実施形態111~113のいずれかに記載の方法。
【0481】
115.前記ナノ粒子が、前記有核細胞の表面に共有結合的にコンジュゲートしている、実施形態111~114のいずれかに記載の方法。
【実施例】
【0482】
実施例1:タンパク質ナノゲルの形成
無血清培地中で懸濁液適合HEK293細胞からタンパク質を生産し、次いで、プロテインAアフィニティーによって精製し、ダルベッコリン酸緩衝化生理食塩水(DPBS)に緩衝液交換する。
【0483】
架橋タンパク質ナノゲル(バックパック)を含むバックパックタンパク質ナノゲルを以下のように形成する。過剰な分解性架橋剤を使用して、本明細書に記載されるタンパク質またはタンパク質複合体をタンパク質ナノ粒子に架橋する。適切なタンパク質複合体は、Rubinsteinら、PNAS 103:24 p.9166-9171(2006)に記載されているIL-15スーパーアゴニストである。
【0484】
いくつかの実施形態では、タンパク質複合体は、以下のような野生型ヒトIL-15タンパク質配列を含む:
NWVNVISDLKKIEDLIQSMHIDATLYTESDVHPSCKVTAMKCFLLELQVISLESGDASIHDTVENLIILANN SLSSNGNVTESGCKECEELEEKNIKEFLQSFVHIVQMFINTS(配列番号1)
【0485】
適切な架橋剤は、フレキシブルなジスルフィド含有リンカーによって互いに結合された2つのN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基を含有するビス[2-(N-スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシ)エチル]ジスルフィドである。
【0486】
室温でインキュベートした後、DPBSで反応物を所望の最終濃度に希釈する。次いで、Zebaカラムを使用してDPBSへの緩衝液交換によって、リンカー脱離基(これは、架橋反応の一環として除去されるリンカーの分子断片を含む)および未反応リンカーからタンパク質ナノゲルを精製する。場合により、タンパク質ナノゲルをポリマー、抗体分子またはポリマーおよび抗体分子の両方とさらにコンジュゲートする。適切な抗体分子は、抗CD45モノクローナル抗体(クローンBC8;ハイブリドーマ培養物から精製;ATCC cat.no.HB-10507)である。次いで、下流アッセイ、例えば活性化初代T細胞、初代NK細胞、NK細胞株NK-92(ATCC cat.No.CRL-2407)またはこれらのT細胞およびNK細胞の改変型との会合において使用するために、等量のハンクス平衡塩溶液(HBSS)で緩衝液交換タンパク質ナノゲルを所望の最終濃度に希釈する。
【0487】
SDS-PAGE、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)および動的光散乱(DLS)分析によって、タンパク質ナノゲルの形成を評価する。タンパク質ナノゲルが形成されると、遊離タンパク質またはタンパク質複合体は、分解性リンカーによって架橋タンパク質に変換される。この架橋は、より大きな流体力学的半径の粒子(これは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって効率的に移動しないタンパク質粒子として現れる)をもたらす。フォトダイオードアレイ(Shimadzu Corp.)を備えるProminence HPLCシステムにより、溶出液(流速0.5mL/分)としてPBS(pH7.2)を用いてBioSep(商標)SEC-s4000カラム(Phenomenex Inc.)を使用したSECによる分析では、タンパク質ナノゲルは、より大きな分子種と一致して、より速い溶出時間で移動する。NanoBrook Omni particle sizer(NanoBrook Instruments Corpによる90度の角度で動的光散乱(DLS)によって、ナノゲルのサイズおよび多分散性を分析する。
【0488】
実施例2:T細胞、B細胞およびNK細胞の単離
健常ドナーからT細胞およびNK細胞を単離する。DPBSで1日齢leukopack細胞(Biospecialties,Inc.)を1:1(体積)希釈し、50mlチューブ中で高密度クッション(Lymphoprep,Stemcell Tech.)上に積層する(35mlの希釈leukopackを、15mlのLymphoprep上に)。800gで30分間遠心分離した後、lymphoprepとDPBSとの間の界面で、単核細胞を採取する。50mlのDPBSで細胞を3回洗浄して、残存lymphoprepおよび細胞残屑を除去する。製造業者の説明書にしたがって、それぞれ抗CD3(または抗CD8)および抗CD56コンジュゲートビーズ(Miltenyi)を使用して連続磁気ビーズソーティングによって、T細胞およびNK細胞を単離する。簡潔にまとめると、抗体コンジュゲートビーズを単核細胞と共にインキュベート(+4℃で30分間)しながら、3mlの氷冷DPBSでLSカラムを平衡化する。細胞をカラムにロードした後、3mlの氷冷DPBSによる3回の洗浄を実施し、5mlの氷冷DPBSで細胞をカラムから洗い流す。
【0489】
単離後、完全培地(CM-T):IMDM(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、20%FBS(Life Tech)、2.5ug/mlヒトアルブミン(Octapharma)、0.5ug/mlイノシトール(Sigma)(20ng/mlインターロイキン-2(IL-2)を補充)中で、T細胞を少なくとも2時間静置する。単離後、NK完全培地(CM-NK):組換えトランスフェリン(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、5%ヒト血清AB(Corning)を含有するXvivo10(20ng/mlインターロイキン-2(IL-2)を補充)中で、NK細胞を少なくとも2時間静置する。
【0490】
実施例3:
標識前のT細胞の活性化
タンパク質ナノゲルとの会合の前に、プールされたCD4+およびCD8+T細胞(これは、実施例2に記載されている抗CD3選択から得られる主要な細胞型である)、または単離されたCD8+T細胞(これらはそれぞれ、実施例2に記載されているように得る)を、製造業者の説明書にしたがって、CD3/CD28 Dynabeads(ThermoFisher,Cat.No.1132D)を用いて最初に活性化する。20ng/mlインターロイキン-2(IL-2)を補充したCM-T中で、T細胞およびCD3/CD28 Dynabeadsを37℃および5%CO2で2日間インキュベートする。次いで、磁気分離によって、T細胞からCD3/CD28 Dynabeadsを除去する。
【0491】
実施例4:T細胞へのタンパク質ナノゲルの会合および凍結保存
タンパク質ナノゲル(バックパックピロー)を活性化ヒトT細胞と会合させ、凍結融解サイクルに供する。簡潔にまとめると、実施例1に記載されているように、バックパックピローを調製する。下流のフローサイトメトリー分析を支援するために、3質量%のAlexa-647標識タンパク質またはタンパク質複合体および97質量%の非標識タンパク質またはタンパク質複合体を使用して、バックパックピローを生成する。製造業者の説明書にしたがってAlexa-Fluor-647標識キット(ThermoFisher,cat.no.A20186,100ugスケールキット;またはcat.no.A20173,1mgスケールキット)を使用して、タンパク質またはタンパク質複合体を蛍光標識する。タンパク質ナノゲル合成のための他のすべての工程は、実施例1に記載されているように実施する。
【0492】
実施例3にしたがって調製した活性化T細胞をDPBSで洗浄し、細胞約108個/mLの最終細胞密度でタンパク質ナノゲルバックパックピローと共に37℃で1時間インキュベートする。反転または穏やかなボルテックスによって、溶液を10~15分ごとに混合する。次いで、細胞を、規定されているように、細胞107個/mLの密度で、5%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含むFBS含有細胞凍結培地または無血清凍結培地(Bambanker,Lymphotec,Inc.cat.no.BB02)に再懸濁し、低温バイアルに移して、製造業者によって記載されているようにMr.Frosty(商標)凍結容器(Nalgene)中で凍結する。Mr.Frosty(商標)容器中、-80℃で一晩インキュベートした後、水浴中、37℃でインキュベートすることによって細胞を融解し、DPBSで洗浄して、凍結培地および非結合バックパックを除去する。代替的な凍結長さは、下記の他の実施例に記載されている(例えば、2時間または2週間)。次いで、20ng/mL IL-2を含むCM-T中で、細胞を37℃および5%CO2で培養する。FACSDiva(商標)ソフトウェア(BD Biosciences)とともにFACSCelesta(商標)フローサイトメーターを使用して、フローサイトメトリーによって、バックパックピローとT細胞との会合をモニタリングして、凍結および融解後のバックパックピローとT細胞との持続的会合を定量する。
【0493】
実施例5:初代NK細胞およびNK-92細胞株へのタンパク質ナノゲルの会合
タンパク質ナノゲル(バックパックピロー)を初代ヒトNK細胞(実施例2に記載されているように単離したもの)およびNK-92細胞(ATCC cat.No.CRL-2407)と会合させ、凍結融解サイクルに供する。タンパク質ナノゲル合成は、実施例1に記載されているように実施する。
【0494】
NK細胞をDPBSで洗浄し、細胞約108個/mLの最終細胞密度でタンパク質ナノゲルバックパックピローと共に37℃で1時間インキュベートする。反転または穏やかなボルテックスによって、溶液を10~15分ごとに混合する。次いで、細胞を、細胞107個/mLの密度で、無血清凍結培地(Bambanker,Lymphotec,Inc.cat.no.BB02)に再懸濁し、低温バイアルに移して、製造業者によって記載されているようにMr.Frosty(商標)凍結容器(Nalgene)中で凍結する。Mr.Frosty(商標)容器中、-80℃で2時間インキュベートした後、水浴中、37℃でインキュベートすることによって細胞を融解し、DPBSで洗浄して、凍結培地および非結合バックパックを除去する。代替的な凍結長さは、他の実施例に記載されている(例えば、2時間または2週間)。次いで、20ng/mL IL-2を含むCM-NK中で、細胞を37℃および5%CO2で培養する。
【0495】
実施例6:IL-2含有CM-T中におけるCD8 T細胞の細胞拡大
CD8 T細胞をバックパックピローと共にインキュベートしてから、FBS+5%DMSO中で一晩凍結する。融解して、IL-2含有CM-T中で、バックパック会合T細胞を培養し、バックパックを用いない以外は同じ方法で処置した対照CD8 T細胞も同様。融解後の時点(例えば、4時間および48時間)において生細胞の数を測定して、バックパックピローありの場合およびバックパックピローなしの場合のCD8 T細胞の回復速度を定量する。
【0496】
実施例7:IL-2不含CM-T中におけるCD3 T細胞の細胞拡大
CD3 T細胞をバックパックピローと共にインキュベートしてから、無血清培地(Bambanker)中で凍結する。融解して、IL-2不含CM-T中で、バックパック会合CD3 T細胞を培養し、バックパックを用いない以外は同じ方法で処置した対照CD3 T細胞も同様。適切な対照としては、融解してIL-2不含CM-T中で培養したCD3 T細胞と、融解して可溶性IL-2含有(20ng/ml)CM-T中で培養したCD3 T細胞と、融解して、タンパク質ナノゲルにおいて使用した同じタンパク質の可溶性(非架橋)形態において培養したCD3 T細胞とが挙げられる。融解後の時点(例えば、16時間、2日、7日および9日)において、生細胞の数を測定する。
【0497】
実施例8:NK-92細胞株および初代NK細胞の細胞拡大
NK-92細胞および初代NK細胞をバックパックピローと共にインキュベートしてから、無血清培地(Bambanker)中で凍結する。融解して、IL-2不含CM-NK中で、バックパック会合細胞を培養する。適切な対照としては、融解してIL-2不含CM-NK中で培養した初代NK細胞およびNK-92細胞と、融解して可溶性IL-2含有(20ng/ml)CM-NK中で培養した初代NK細胞およびNK-92細胞と、融解して、タンパク質ナノゲルで使用した同じタンパク質の可溶性(非架橋)形態において培養した初代NK細胞およびNK-92細胞と、バックパックピローと会合させたが凍結保存せずにIL-2不含CM-NK中で培養したNK-92細胞とが挙げられる。融解後の時点(例えば、16時間、1日、5日、6日および9日)において、生細胞の数を測定する。
【0498】
実施例9:T細胞サブセットおよび活性化
以下の蛍光色素コンジュゲート抗体(BD Biosciences):CD4、CD8、CD45RAおよびCD45ROを使用してフローサイトメトリーによって、実施例7のように処置したCD3 T細胞をさらに特性評価する。CD8 T細胞の割合およびそれらの活性化状態を測定する。
【0499】
実施例10:標的細胞に対する活性化CD3 T細胞の短期効力
融解の1日後に、実施例7のように処置したCD3 T細胞の細胞傷害活性を特性評価する。異なるエフェクター対標的(E:T)比で、CD3 T細胞を、PKH67(Sigma)で予め標識した標的細胞(Daudi、ATCC)と共に共培養する。16時間後に、フローサイトメトリーによって、標的細胞の死滅を測定する。IL-2(20ng/ml)を含むCM-T中で、共培養を16時間実施する。ヨウ化プロピジウム(PI、BD Biosciences)で死細胞を染色し、フローサイトメトリーによって分析する。PI+PKH67+細胞の数をPKH67+細胞の総数で割って、標的細胞単独の培養から得られた比(バックグラウンド標的細胞生存能力)を差し引いた後に、死滅率を計算する。細胞の遠心分離後に、細胞傷害性アッセイからの細胞共培養上清を回収し、-20℃で保存する。製造業者の仕様書にしたがってELISA(R&D)によって、上清中のIFNg濃度を測定する。
【0500】
実施例11:標的細胞に対する活性化CD8 T細胞の長期効力
CD8 T細胞をバックパックピローと共にインキュベートし、凍結保存するか、またはIL-2不含CM-Tによる培養に戻す。IL-2不含CM-T中で18日間培養した後に、それらの細胞傷害活性を比較する。異なるエフェクター対標的(E:T)比で、CD8 T細胞を、PKH67(Sigma)で予め標識した標的細胞(Daudi、ATCC)と共に共培養する。16時間後に、フローサイトメトリーによって、標的細胞の死滅を測定する。IL-2(20ng/ml)を含むCM-T中で、共培養を16時間実施する。ヨウ化プロピジウム(BD Biosciences)で死細胞を染色し、フローサイトメトリーによって分析する。PI+PKH67+細胞の数をPKH67+細胞の総数で割って、標的細胞単独の培養から得られた比(バックグラウンド標的細胞生存能力)を差し引いた後に、死滅率を計算する。細胞の遠心分離後に、細胞傷害性アッセイからの細胞共培養上清を回収し、-20℃で保存する。製造業者の仕様書にしたがってELISA(R&D)によって、上清中のIFNg濃度を測定する。
【0501】
実施例12:IL-2の存在下における標的細胞に対する活性化CD8 T細胞の効力
実施例6のように処置したCD8 T細胞の細胞傷害活性を特性評価する。異なるエフェクター対標的(E:T)比で、CD8 T細胞を、PKH67(Sigma)で予め標識した標的細胞(Daudi、ATCC)と共に共培養する。16時間後に、フローサイトメトリーによって、標的細胞の死滅を測定する。IL-2(20ng/ml)を含むCM-T中で、共培養を16時間実施する。ヨウ化プロピジウム(BD Biosciences)で死細胞を染色し、フローサイトメトリーによって分析する。PI+PKH67+細胞の数をPKH67+細胞の総数で割って、標的細胞単独の培養から得られた比(バックグラウンド標的細胞生存能力)を差し引いた後に、死滅率を計算する。細胞の遠心分離後に、細胞傷害性アッセイからの細胞共培養上清を回収し、-20℃で保存する。製造業者の仕様書にしたがってELISA(R&D)によって、上清中のIFNg濃度を測定する。
【0502】
実施例13:標的細胞に対する初代NK細胞の効力
実施例8のように処置した初代NK細胞の細胞傷害活性を特性評価する。異なるエフェクター対標的(E:T)比で、初代NK細胞を、PKH67(Sigma)で予め標識した標的細胞(Daudi、ATCC)と共に共培養する。16時間後に、フローサイトメトリーによって、標的細胞の死滅を測定する。IL-2(20ng/ml)を含むCM-NK中で、共培養を16時間実施する。ヨウ化プロピジウム(BD Biosciences)で死細胞を染色し、フローサイトメトリーによって分析する。PI+PKH67+細胞の数をPKH67+細胞の総数で割って、標的細胞単独の培養から得られた比(バックグラウンド標的細胞生存能力)を差し引いた後に、死滅率を計算する。細胞の遠心分離後に、細胞傷害性アッセイからの細胞共培養上清を回収し、-20℃で保存する。製造業者の仕様書にしたがってELISA(R&D)によって、上清中のIFNg濃度を測定する。
【0503】
実施例14:IL-15タンパク質バリアントの生成
2つのIL-15タンパク質バリアントを生成した。第1のIL-15バリアント(以下、IL-15
WT/sushi-Fcと称される;
図1Aを参照のこと)は、野生型ヒトIL-15(配列番号1)と、ヒトIL-15受容体アルファ(IL-15Rα;配列番号5)のsushiドメインのFc融合物との非共有結合複合体を含む。野生型IL-15およびIL-15Rαは、それぞれGenBankアクセッション番号CAA62616.1およびAAI21141.1(これらは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)によって示されている。第2のIL-15バリアント(以下、IL-15
N72D/sushi-Fcと称される;
図1Bを参照のこと)は、N72D点変異を含有するヒトIL-15(配列番号6)と、ヒトIL-15受容体アルファ(IL-15Rα;配列番号5)のsushiドメインのFc融合物との非共有結合複合体を含む。無血清培地中で懸濁液適合HEK293細胞からタンパク質を生産し、次いで、プロテインAアフィニティーによって精製し、ダルベッコリン酸緩衝化生理食塩水(DPBS)に緩衝液交換した。
【0504】
ヒトIL-15受容体アルファのsushiドメインのFc融合物:
【化17】
N72D点変異を含有するヒトIL-15:
【化18】
【0505】
実施例15:タンパク質ナノゲルの形成
架橋タンパク質ナノゲル(バックパック)を含むバックパックタンパク質ナノゲルを以下のように形成した。25倍モル過剰の分解性架橋剤を使用して、15mg/mLの濃度のIL-15WT/sushi-FcまたはIL-15N72D/sushi-Fcをタンパク質ナノ粒子に架橋した。
【0506】
この研究で使用した架橋剤(ビス[2-(N-スクシンイミジル-オキシカルボニルオキシ)エチル]ジスルフィド)は、式Iに示されているフレキシブルなジスルフィド含有リンカーによって互いに結合された2つのN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステル基を含有する。
式I:
【化19】
【0507】
室温で30分間インキュベートした後、DPBSで反応物を10倍希釈して、1.5mg/mLの最終サイトカイン濃度にした。次いで、Zebaカラム(7,000または40,000MWカットオフ、Thermo-Fisherから入手可能)を使用してDPBSへの緩衝液交換によって、リンカー脱離基(これは、架橋反応の一環として除去されるリンカーの分子断片を含む)および未反応リンカーから、タンパク質ナノゲルを精製した。製造業者の説明書にしたがって、Zebaカラムを使用した(DPBSによる3回連続洗浄によってDPBSでカラムを平衡化して緩衝液交換を促進し、続いて、反応生成物を適用したことを含む)。下流アッセイ、例えば活性化初代T細胞、初代NK細胞、NK細胞株NK-92(ATCC cat.No.CRL-2407)またはこれらのT細胞およびNK細胞の改変型との会合において使用するために、等体積のハンクス平衡塩溶液(HBSS)で、約1~1.5mg/mLのサイトカイン濃度の緩衝液交換タンパク質ナノゲルを約0.5~0.75mg/mLの最終濃度に希釈した。
【0508】
SDS-PAGE、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)および動的光散乱(DLS)分析によって、タンパク質ナノゲルの形成を評価した。タンパク質ナノゲルが形成されると、遊離IL-15/sushi-Fcは、分解性リンカーによって架橋タンパク質に変換される。この架橋は、より大きな流体力学的半径の粒子(これは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって効率的に移動しないタンパク質粒子として現れた)をもたらした。
図2を参照のこと。フォトダイオードアレイ(Shimadzu Corp.)を備えるProminence HPLCシステムにより、溶出液(流速0.5mL/分)としてPBS(pH7.2)を用いてBioSep(商標)SEC-s4000カラム(Phenomenex Inc.)を使用したSECによる分析により、タンパク質ナノゲルは、より大きな分子種と一致して、より速い溶出時間で移動したことが明らかになった(
図3)。タンパク質ナノゲル(
図3)と遊離(非架橋)タンパク質(
図4)とのHPLCトレースの比較により、架橋ナノゲル中に残存する遊離タンパク質が最小量であることが明らかになったが、これは、架橋ナノゲルへのタンパク質の変換がほぼ完全であることを示唆している。NanoBrook Omni particle sizer(NanoBrook Instruments Corpによる90度の角度で動的光散乱(DLS)によって、ナノゲルのサイズおよび多分散性を分析した。表1を参照のこと。非架橋IL-15
N72D/sushi-Fcの流体力学的直径は、同様のサイズの分子(IgG)の半径に基づいて約10nmであると推定された。
【表1】
【0509】
実施例16:表面にポリカチオン性ポリマーを有するタンパク質ナノゲルの形成
カチオン性ポリマー表面を有するタンパク質ナノゲルを含むタンパク質ナノゲル(バックパックピロー)を以下のように形成した。25倍モル過剰の式Iに規定されている分解性架橋剤を使用して、15mg/mLの濃度のIL-15
WT/sushi-FcまたはIL-15
N72D/sushi-Fcをタンパク質ナノ粒子に架橋した。室温で30分間インキュベートした後、DPBSで反応物を10倍希釈して、1.5mg/mLの最終サイトカイン濃度にした。次いで、Zebaカラム(7,000または40,000MWカットオフ、Thermo-Fisherから入手可能)を使用してDPBSへの緩衝液交換によって、リンカー脱離基(これは、架橋反応の一環として除去されるリンカーの分子断片を含む)および未反応リンカーから、タンパク質ナノゲルを精製した。製造業者の説明書にしたがって、Zebaカラムを使用した(DPBSによる3回連続洗浄によってDPBSでカラムを平衡化して緩衝液交換を促進し、続いて、反応生成物を適用したことを含む)。次いで、約1~1.5mg/mLのサイトカイン濃度の緩衝液交換タンパク質ナノゲルを、ポリエチレングリコール-ポリリジン(PEG-polyK)ブロックコポリマー:PEG5k-polyK30(Alamanda Polymers cat.no.050-KC030)(これは、5キロダルトン(kD)のポリエチレングリコール(PEG5k)と、30アミノ酸のポリリジンポリマー(ポリリジン30またはpolyK30)とを含むブロックコポリマーである)、またはPEG5k-polyK200(Alamanda Polymers ca.no.050-KC200)とコンジュゲートした。PEG5k-polyK30またはPEG5k-polyK200をDPBS中10mg/mLで再構成し、50μg/mLの最終ブロックコポリマー濃度でタンパク質ナノゲルに添加し、室温で30分間インキュベートした。NanoBrook Omni particle sizer(NanoBrook Instruments Corp.)による90度の角度における動的光散乱(DLS)によって、表面官能化ナノ粒子のサイズおよび多分散性を分析し(表1を参照のこと)、フォトダイオードアレイ(Shimadzu Corp.)を備えるProminence HPLCシステムにより、溶出液(流速0.5mL/分)としてPBS(pH7.2)を用いてBioSep(商標)SEC-s4000カラム(Phenomenex Inc.)を使用したサイズ排除クロマトグラフィーによって、ナノ粒子への相対的変換を評価した(
図5を参照のこと)。
【0510】
下流アッセイ、例えば活性化初代T細胞、初代NK細胞、NK細胞株NK-92(ATCC cat.No.CRL-2407)またはこれらのT細胞およびNK細胞の改変型との会合において使用するために、等体積のハンクス平衡塩溶液(HBSS)で、最終バックパックピロータンパク質ナノゲルを約0.5~0.75mg/mLの最終濃度に希釈した。
【0511】
実施例17:表面結合親和性リガンドを有するタンパク質ナノゲルの形成
表面結合親和性リガンドおよびカチオン性ポリマー表面を有するタンパク質ナノゲルを含むタンパク質ナノゲル(バックパックピロー)を以下のように形成した。25倍モル過剰の式Iに規定されている分解性架橋剤を使用して、15mg/mLの濃度のIL-15WT/sushi-FcまたはIL-15N72D/sushi-Fcをタンパク質ナノ粒子に架橋した。室温で30分間インキュベートした後、DPBSで反応物を10倍希釈して、1.5mg/mLの最終サイトカイン濃度にした。次いで、抗体を50μg/mLの最終濃度まで添加することによって、抗CD45モノクローナル抗体(クローンBC8;ハイブリドーマ培養物から精製;ATCC cat.no.HB-10507)を架橋タンパク質ナノ粒子にコンジュゲートし、室温で30~60分間インキュベートした。次いで、Zebaカラム(7,000または40,000MWカットオフ、Thermo-Fisherから入手可能)を使用してDPBSへの緩衝液交換によって、リンカー脱離基(これは、架橋反応の一環として除去されるリンカーの分子断片を含む)および未反応リンカーから、抗CD45抗体が表面にコンジュゲートしたタンパク質ナノゲルを精製した。製造業者の説明書にしたがって、Zebaカラムを使用した(DPBSによる3回連続洗浄によってDPBSでカラムを平衡化して緩衝液交換を促進し、続いて、反応生成物を適用したことを含む)。
【0512】
下流アッセイ、例えば活性化初代T細胞、初代NK細胞、NK細胞株NK-92(ATCC cat.No.CRL-2407)またはこれらのT細胞およびNK細胞の改変型との会合において使用するために、等体積のハンクス平衡塩溶液(HBSS)で、約1~1.5mg/mLのサイトカイン濃度の緩衝液交換タンパク質ナノゲルを約0.5~0.75mg/mLの最終濃度に希釈した。
【0513】
DLSによって、表面官能化ナノ粒子のサイズおよび多分散性を分析した(表1)。BioSep(商標)SEC-s4000カラム(Phenomenex Inc.)によるSECによって、抗CD45抗体の取り込み効率を評価した:遊離抗CD45抗体(
図6)と抗CD45表面官能化タンパク質ナノゲル(
図7)との比較により、ナノゲルサンプル中の遊離IgGが最小であることが明らかになったが、これは、ナノゲル表面への抗体のコンジュゲーションがほぼ完全であることを示している。
【0514】
実施例18:表面結合親和性リガンドおよび表面上のカチオン性ポリマーを有するタンパク質ナノゲルの形成
表面結合親和性リガンドおよびカチオン性ポリマー表面を有するタンパク質ナノゲルを含むタンパク質ナノゲル(バックパックピロー)を以下のように形成した。25倍モル過剰の式Iに規定されている分解性架橋剤を使用して、15mg/mLの濃度のIL-15
WT/sushi-FcまたはIL-15
N72D/sushi-Fcをタンパク質ナノ粒子に架橋した。室温で30分間インキュベートした後、DPBSで反応物を10倍希釈して、1.5mg/mLの最終サイトカイン濃度にした。次いで、抗体を50μg/mLの最終濃度まで添加することによって、抗CD45モノクローナル抗体(クローンBC8;ハイブリドーマ培養物から精製;ATCC cat.no.HB-10507)を架橋タンパク質ナノ粒子にコンジュゲートし、室温で30~60分間インキュベートした。次いで、Zebaカラム(7,000または40,000MWカットオフ、Thermo-Fisherから入手可能)を使用してDPBSへの緩衝液交換によって、リンカー脱離基(これは、架橋反応の一環として除去されるリンカーの分子断片を含む)および未反応リンカーから、抗CD45抗体が表面にコンジュゲートしたタンパク質ナノゲルを精製した。製造業者の説明書にしたがって、Zebaカラムを使用した(DPBSによる3回連続洗浄によってDPBSでカラムを平衡化して緩衝液交換を促進し、続いて、反応生成物を適用したことを含む)。次に、約1~1.5mg/mLの緩衝液交換タンパク質ナノゲルを、PEG5k-polyK30(Alamanda Polymers cat.no.050-KC030)またはPEG5k-polyK200(Alamanda Polymers ca.no.050-KC200)とコンジュゲートさせた。PEG5k-polyK30またはPEG5k-polyK200を、最初に、DPBS中に10mg/mLに再構成し、次に、50ug/mLの最終ブロックコポリマー濃度でタンパク質ナノゲルに添加し、室温で30分間インキュベートした。表面官能化ナノ粒子のサイズおよび多分散性を、NanoBrook Omni particle sizer(NanoBrook Instruments Corp.)によるDLSによって(表2)、およびフォトダイオードアレイ(Shimadzu Corp.)を備えるProminence HPLCシステムにより、溶出液(流速0.5mL/分)としてPBS(pH7.2)を用いてBioSep(商標)SEC-s4000カラム(Phenomenex Inc.)を使用したSECによって分析した(
図8)。
【0515】
【0516】
下流アッセイ、例えば活性化初代T細胞、初代NK細胞、NK細胞株NK-92(ATCC cat.No.CRL-2407)またはこれらのT細胞およびNK細胞の改変型との会合において使用するために、等量のハンクス平衡塩溶液(HBSS)で最終バックパック-ピロータンパク質ナノゲルを約0.5~0.75mg/mLの最終濃度に希釈した。
【0517】
以下の表3に示されているように、活性化ナイーブT細胞への蛍光標識ナノ粒子のローディングを定量した。
【表3】
【0518】
実施例19:T細胞、B細胞およびNK細胞の単離
健常ドナーからT細胞およびNK細胞を単離した。DPBSで1日齢leukopack細胞(Biospecialties,Inc.)を1:1(体積)希釈し、50mlチューブ中で高密度クッション(Lymphoprep,Stemcell Tech.)上に積層した(35mlの希釈leukopackを、15mlのLymphoprep上に)。800gで30分間遠心分離した後、lymphoprepとDPBSとの間の界面で、単核細胞を採取した。50mlのDPBSで細胞を3回洗浄して、残存lymphoprepおよび細胞残屑を除去した。製造業者の説明書にしたがって、それぞれ抗CD3(または抗CD8)および抗CD56コンジュゲートビーズ(Miltenyi)を使用して連続磁気ビーズソーティングによって、T細胞およびNK細胞を単離した。簡潔にまとめると、抗体コンジュゲートビーズを単核細胞と共にインキュベート(+4℃で30分間)しながら、3mlの氷冷DPBSでLSカラムを平衡化した。細胞をカラムにロードした後、3mlの氷冷DPBSによる3回の洗浄を実施し、5mlの氷冷DPBSで細胞をカラムから洗い流した。
【0519】
単離後、完全培地(CM-T):IMDM(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、20%FBS(Life Tech)、2.5ug/mlヒトアルブミン(Octapharma)、0.5ug/mlイノシトール(Sigma)(20ng/mlインターロイキン-2(IL-2)を補充)中で、T細胞を少なくとも2時間静置した。単離後、NK完全培地(CM-NK):組換えトランスフェリン(Lonza)、Glutamaxx(Life Tech)、5%ヒト血清AB(Corning)を含有するXvivo10(20ng/mlインターロイキン-2(IL-2)を補充)中で、NK細胞を少なくとも2時間静置した。
【0520】
実施例20:
標識前のT細胞の活性化
タンパク質ナノゲルとの会合の前に、プールされたCD4+およびCD8+T細胞(これは、実施例19に記載されている抗CD3選択から得られる主要な細胞型である)、または単離されたCD8+T細胞(これらはそれぞれ、実施例19に記載されているように得た)を、製造業者の説明書にしたがって、CD3/CD28 Dynabeads(ThermoFisher,cat.no.1132D)を用いて最初に活性化した。20ng/mlインターロイキン-2(IL-2)を補充したCM-T中で、T細胞およびCD3/CD28 Dynabeadsを37℃および5%CO2で2日間インキュベートした。次いで、磁気分離によって、T細胞からCD3/CD28 Dynabeadsを除去した。
【0521】
実施例21:T細胞へのタンパク質ナノゲルの会合および凍結保存
タンパク質ナノゲル(バックパックピロー)を活性化ヒトT細胞と会合させ、凍結融解サイクルに供した。簡潔にまとめると、実施例16に記載されるように、ポリカチオン性ポリマー(PEG5k-polyK30)で表面官能化したIL-15N72D/sushi-FcまたはIL-15WT/sushi-Fcタンパク質ナノゲルからなるバックパックピローを調製した。下流のフローサイトメトリー分析を支援するために、3質量%のAlexa-647標識IL-15N72D/sushi-Fcおよび97質量%の非標識IL-15N72D/sushi-Fcを使用して、バックパックピローを生成した。製造業者の説明書にしたがってAlexa-Fluor-647標識キット(ThermoFisher,cat.no.A20186,100ugスケールキット;またはcat.no.A20173,1mgスケールキット)を使用して、IL-15N72D/sushi-Fcを蛍光標識した。タンパク質ナノゲル合成のための他のすべての工程は、実施例16に記載されているように実施した。
【0522】
実施例20にしたがって調製した活性化T細胞をDPBSで洗浄し、約0.5~0.75mg/mLの同等のサイトカイン濃度で、細胞約10
8個/mLの最終細胞密度でタンパク質ナノゲルバックパックピローと共に37℃で1時間インキュベートした。反転または穏やかなボルテックスによって、溶液を10~15分ごとに混合した。次いで、細胞を、規定されているように、細胞10
7個/mLの密度で、5%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含むFBS含有細胞凍結培地または無血清凍結培地(Bambanker,Lymphotec,Inc.cat.no.BB02)に再懸濁し、低温バイアルに移して、製造業者によって記載されているようにMr.Frosty(商標)凍結容器(Nalgene)中で凍結した。Mr.Frosty(商標)容器中、-80℃で一晩インキュベートした後、水浴中、37℃でインキュベートすることによって細胞を融解し、DPBSで洗浄して、凍結培地および非結合バックパックを除去した。代替的な凍結長さは、下記の他の実施例に記載されている(例えば、2時間または2週間)。次いで、20ng/mL IL-2を含むCM-T中で、細胞を37℃および5%CO
2で培養した。FACSDiva(商標)ソフトウェア(BD Biosciences)とともにFACSCelesta(商標)フローサイトメーターを使用して、フローサイトメトリーによって、バックパックピローとT細胞との会合をモニタリングし、凍結および融解後のバックパックピローとT細胞との持続的会合を明らかにした(
図9)。
【0523】
実施例22:初代NK細胞およびNK-92細胞株へのタンパク質ナノゲルの会合
タンパク質ナノゲル(バックパックピロー)を初代ヒトNK細胞(実施例19に記載されているように単離したもの)およびNK-92細胞(ATCC cat.No.CRL-2407)と会合させ、凍結融解サイクルに供した。簡潔にまとめると、実施例16に記載されているように、ポリカチオン性ポリマー(PEG5k-polyK30)で表面官能化したIL-15N72D/sushi-Fcタンパク質ナノゲルのバックパックピローを調製した。タンパク質ナノゲル合成のための他の工程はすべて、実施例16に記載されているように実施した。
【0524】
NK細胞をDPBSで洗浄し、約0.5~0.75mg/mLの同等のサイトカイン濃度で、細胞約108個/mLの最終細胞密度でタンパク質ナノゲルバックパックピローと共に37℃で1時間インキュベートした。反転または穏やかなボルテックスによって、溶液を10~15分ごとに混合した。次いで、細胞を、細胞107個/mLの密度で、無血清凍結培地(Bambanker,Lymphotec,Inc.cat.no.BB02)に再懸濁し、低温バイアルに移して、製造業者によって記載されているようにMr.Frosty(商標)凍結容器(Nalgene)中で凍結した。Mr.Frosty(商標)容器中、-80℃で2時間インキュベートした後、水浴中、37℃でインキュベートすることによって細胞を融解し、DPBSで洗浄して、凍結培地および非結合バックパックを除去した。代替的な凍結長さは、他の実施例に記載されている(例えば、2時間または2週間)。次いで、20ng/mL IL-2を含むCM-NK中で、細胞を37℃および5%CO2で培養した。
【0525】
実施例23:IL-2含有CM-T中におけるCD8 T細胞の細胞拡大
CD8 T細胞をIL-15
N72D/sushi-Fcバックパックと共にインキュベートしてから、FBS+5%DMSO中で一晩凍結した。融解して、IL-2含有CM-T中で、バックパック会合T細胞を培養し、バックパックを用いない以外は同じ方法で処置した対照CD8 T細胞も同様であった。融解後の示されている時間において、生細胞の数を測定した。活性化CD8 T細胞の凍結保存前におけるバックパックの会合は、CD8 T細胞のより速い回復を促進した。実際、融解の2日後において既に、バックパック担持CD8 T細胞は、融解してIL-2含有培地中で培養したCD8 T細胞と比較して約2倍拡大した(
図10)。
【0526】
実施例24:IL-2不含CM-TにおけるCD3 T細胞の細胞拡大
CD3 T細胞をIL-15
N72D/sushi-FcまたはIL-15
WT/sushi-Fcバックパックと共にインキュベートしてから、無血清培地(Bambanker)中で示されている時間凍結した。融解して、IL-2不含CM-T中で、バックパック会合CD3 T細胞を、バックパックを用いない以外は同じ方法で処置した対照CD3 T細胞と一緒に培養した。試験した対照は、融解してIL-2不含CM-T中で培養したCD3 T細胞(「培地のみ」)と、融解して可溶性IL-2含有(20ng/ml)CM-T中で培養したCD3 T細胞(「IL-2(可溶性)」)と、融解して可溶性IL-15
N72D/sushi-Fc(「IL-15
N72D/sushi-Fc(0.6ug/ml)」)または可溶性IL-15
WT/sushi-Fc含有(「IL-15
WT/sushi-Fc(12ug/ml)」)CM-T中で培養したCD3 T細胞とであった。融解後の示されている時点において、生細胞の数を測定した。活性化CD3 T細胞の凍結保存前におけるバックパックの会合は、CD3 T細胞の拡大を増加させた。実際、1週間後または9日後に、CD3 T細胞拡大のゲインは、それぞれ約5倍~約10倍であった(
図11A~11B)。
【0527】
実施例25:NK-92細胞株および初代NK細胞の細胞拡大
NK-92細胞および初代NK細胞をIL-15
N72D/sushi-FcまたはIL-15
WT/sushi-Fcバックパックと共にインキュベートしてから、無血清培地(Bambanker)中で示されている時間凍結した。融解して、IL-2不含CM-NK中で、バックパック会合細胞を培養した。試験した対照は、融解してIL-2不含CM-NK中で培養した初代NK細胞およびNK-92細胞(「培地のみ」)と、融解して可溶性IL-2含有(20ng/ml)CM-NK中で培養した初代NK細胞およびNK-92細胞(「IL-2(可溶性)」)と、融解して可溶性IL-15
N72D/sushi-Fc(「IL-15
N72D/sushi-Fc(0.6ug/ml)」)で培養した初代NK細胞およびNK-92細胞と、融解して可溶性IL-15
WT/sushi-Fc含有(「IL-15
WT/sushi-Fc(12ug/ml)」)CM-NK中で培養したNK-92細胞と、IL-15
WT/sushi-Fcバックパックと会合させたが凍結保存せずにIL-2不含CM-NK中で培養したNK-92細胞(「IL-15
WT/sushi-Fcバックパック(非凍結)」)とであった。融解後の示されている時点において、生細胞の数を測定した。NK-92細胞および初代NK細胞の凍結保存前におけるバックパックの会合は、細胞の拡大を増加させた。実際、5日後に、NK-92細胞拡大のゲインは、同じ方法で処置したIL-2含有NK-92培養物と比較して約2.5倍であった。バックパック処置非凍結保存NK-92細胞では、最大拡大は約4倍であった。初代NK細胞拡大もまた、同じ方法で処置したIL-2含有初代NK培養物と比較して約5倍増加した(
図12A~12B)。
【0528】
実施例26:T細胞サブセットおよび活性化
以下の蛍光色素コンジュゲート抗体(BD Biosciences):CD4、CD8、CD45RAおよびCD45ROを使用してフローサイトメトリーによって、実施例24のように処置したCD3 T細胞をさらに特性評価した。溶液中またはバックパックとしてのIL-15
N72D/sushi-Fcによる処置は、活性化状態に影響を与えずに、CD45RA+の比率として測定した場合のCD8 T細胞の割合を増加させた(
図13A~13B)。
【0529】
実施例27:標的細胞に対する活性化CD3 T細胞の短期効力
融解の1日後に、実施例24のように処置したCD3 T細胞の細胞傷害活性を特性評価した。異なるエフェクター対標的(E:T)比で、CD3 T細胞を、PKH67(Sigma)で予め標識した標的細胞(Daudi、ATCC)と共に共培養した。16時間後に、フローサイトメトリーによって、標的細胞の死滅を測定した。IL-2(20ng/ml)を含むCM-T中で、共培養を16時間実施した。ヨウ化プロピジウム(PI、BD Biosciences)で死細胞を染色し、フローサイトメトリーによって分析する。PI+PKH67+細胞の数をPKH67+細胞の総数で割って、標的細胞単独の培養から得られた比(バックグラウンド標的細胞生存能力)を差し引いた後に、死滅率を計算した。細胞の遠心分離後に、細胞傷害性アッセイからの細胞共培養上清を回収し、-20℃で保存した。製造業者の仕様書にしたがってELISA(R&D)によって、上清中のIFNg濃度を測定した。バックパックの会合は、CD3 T細胞の細胞傷害活性の発揮を妨害しなかった。反対に、凍結保存前におけるIL-15
N72D/sushi-Fcバックパックの会合は、同じ方法で処置したIL-2含有CD3 T細胞培養物と比較して、CD3 T細胞の効力を改善した(
図14A~14B)。
【0530】
実施例28:標的細胞に対する活性化CD8 T細胞の長期効力
CD8 T細胞をIL-15
N72D/sushi-Fcバックパックと共にインキュベートし、凍結保存したか、またはIL-2不含CM-Tによる培養に戻した。IL-2不含CM-T中で18日間培養した後に、それらの細胞傷害活性を比較した。異なるエフェクター対標的(E:T)比で、CD8 T細胞を、PKH67(Sigma)で予め標識した標的細胞(Daudi、ATCC)と共に共培養した。16時間後に、フローサイトメトリーによって、標的細胞の死滅を測定した。IL-2(20ng/ml)を含むCM-T中で、共培養を16時間実施した。ヨウ化プロピジウム(BD Biosciences)で死細胞を染色し、フローサイトメトリーによって分析した。PI+PKH67+細胞の数をPKH67+細胞の総数で割って、標的細胞単独の培養から得られた比(バックグラウンド標的細胞生存能力)を差し引いた後に、死滅率を計算した。細胞の遠心分離後に、細胞傷害性アッセイからの細胞共培養上清を回収し、-20℃で保存した。製造業者の仕様書にしたがってELISA(R&D)によって、上清中のIFNg濃度を測定した。CD8 T細胞へのバックパックの会合は、それらが拡大してIL-2不含培養液中で18日間生存することを可能にし、T細胞に対する凍結保存のマイナス効果を完全に無効化した(
図15A~15B)。
【0531】
実施例29:IL-2の存在下における標的細胞に対する活性化CD8 T細胞の効力
実施例23のように処置したCD8 T細胞の細胞傷害活性を特性評価した。異なるエフェクター対標的(E:T)比で、CD8 T細胞を、PKH67(Sigma)で予め標識した標的細胞(Daudi、ATCC)と共に共培養した。16時間後に、フローサイトメトリーによって、標的細胞の死滅を測定した。IL-2(20ng/ml)を含むCM-T中で、共培養を16時間実施した。ヨウ化プロピジウム(BD Biosciences)で死細胞を染色し、フローサイトメトリーによって分析した。PI+PKH67+細胞の数をPKH67+細胞の総数で割って、標的細胞単独の培養から得られた比(バックグラウンド標的細胞生存能力)を差し引いた後に、死滅率を計算した。細胞の遠心分離後に、細胞傷害性アッセイからの細胞共培養上清を回収し、-20℃で保存した。製造業者の仕様書にしたがってELISA(R&D)によって、上清中のIFNg濃度を測定した。凍結保存前におけるCD8 T細胞へのバックパックの会合および融解後における培養中の可溶性IL-2の存在は、IL-2含有CM-T中で培養した融解CD8 T細胞と比較して、活性化CD8 T細胞の効力を改善した(
図16A~16B)。
【0532】
実施例30:標的細胞に対する初代NK細胞の効力
実施例25のように処置した初代NK細胞の細胞傷害活性を特性評価した。異なるエフェクター対標的(E:T)比で、初代NK細胞を、PKH67(Sigma)で予め標識した標的細胞(Daudi、ATCC)と共に共培養した。16時間後に、フローサイトメトリーによって、標的細胞の死滅を測定した。IL-2(20ng/ml)を含むCM-NK中で、共培養を16時間実施した。ヨウ化プロピジウム(BD Biosciences)で死細胞を染色し、フローサイトメトリーによって分析した。PI+PKH67+細胞の数をPKH67+細胞の総数で割って、標的細胞単独の培養から得られた比(バックグラウンド標的細胞生存能力)を差し引いた後に、死滅率を計算した。細胞の遠心分離後に、細胞傷害性アッセイからの細胞共培養上清を回収し、-20℃で保存した。製造業者の仕様書にしたがってELISA(R&D)によって、上清中のIFNg濃度を測定した。凍結保存前における初代NK細胞とのバックパックの会合は、IL-2含有CM-NK中で培養した凍結保存初代NK細胞と比較して、初代NK細胞の効力を明らかに改善した(
図17A~17B)。
【0533】
実施例31:初代マウスCD8 T細胞の単離および活性化
陰性選択によって、C57B/6マウスの脾臓からマウスCD8 T細胞を精製した。マウスT細胞完全培地(CM-mT:RPMI、10%FBS、1×Pen-Strep、1×L-Glut、50uMβ-メルカプトエタノール、Sigma;ITS 1%、Sigma;0日目)中、抗CD3および抗CD28抗体(それぞれBE0001-1およびBE0015-1、Bio-Xcell)でコーティングした6ウェルプレート上に106個/mLの密度でプレーティングすることによって、細胞を活性化した。1日間のインキュベーション後、マウスIL-2(20ng/mL;402-ML、R&D Systems)およびマウスIL-7(0.5ng/mL;407-ML、R&D Systems)を添加した(1日目)。さらに1日間のインキュベーション後、細胞を細胞0.2×105個/mLに再播種し(2日目)、次いで翌日、再び同じ密度に再播種した(3日目)。バックパック付着のために、4日目に細胞を回収した。
【0534】
実施例32:IL-2不含CM-mTにおける初代凍結マウスCD8 T細胞の生存能力
実施例31で生成した細胞を、IL15/sushi-Fc構築物について実施例4に記載されているように、ハンクス平衡塩溶液(HBSS、バックパック対照なし)、または非機能的IL15変異体(IL15
MUT/sushi-FcDa BP)もしくは機能的IL-15(IL15
WT/sushi-FcDa BP)を含むバックパックと共にインキュベートした。IL15
MUT/sushi-Fc2Daタンパク質はIL-15 D8N変異を含み、最小生物学的活性を有する;機能的に活性なIL-15の必要性を調査するための陰性対照として、IL15
MUT/sushi-Fc2Daからのバックパックを使用した。IL15/sushi-Fcについて実施例14に記載されているように、IL15
WT/sushi-FcDaおよびIL15
MUT/sushi-Fc2Daタンパク質を生産した。実施例4に記載されているように、細胞を-80℃で5日間凍結してから融解した。CM-mT中で融解細胞を2日間(
図18A)または3日間(
図18B)培養した。二重蛍光顕微鏡検査(アクリジンオレンジ/ヨウ化プロピジウム、Cat.CS2-0106;Cellometer,Nexcelom)によって、凍結前(「凍結前」)、融解直後(「融解後」)および培養後における細胞の生存能力を評価した。
【0535】
実施例33:IL-2不含CM-mTにおける初代凍結マウスCD8 T細胞の拡大
記載されているように、HBSS(「T細胞」)または機能的IL15を含むバックパック(「T細胞+IL15
WT/Sushi-Fc2Da BP」)中で、活性化マウスCD8 T細胞をインキュベートした。次いで、Mr.Frosty中で、細胞を-80℃で3時間凍結した(「F/T」)。融解後、CM-mT中で細胞を培養し、融解直後(「0」)ならびに培養3日目および6日目に、Cellometer K2(Nexcelom Bioscience LLC)による二重蛍光顕微鏡検査アクリジンオレンジ/ヨウ化プロピジウム(AO/PI)によって、生存能力を評価した。比較のために、凍結/融解に供しなかったT細胞およびバックパックT細胞(「新鮮」)を同様に培養した(
図19を参照のこと)。データは、0日目の生細胞数に対して正規化した生細胞数として報告されている(すなわち、0日目の生細胞数に対する生細胞の「変化倍率」)。
【0536】
実施例34:IL-2不含CM-Tにおける初代ヒトCD8 T細胞の拡大
実施例2および3に記載されているように、ヒトCD8 T細胞を単離および精製した。実施例4に記載されているように、HBSS、可溶性(非バックパック)IL15
WT/sushi-Fc2Da、PEG5kpolyK30を有しないIL15
WT/sushi-Fc2Daを含むバックパック、またはPEG5kpolyK30を有するIL15
WT/sushi-Fc2Daを含むバックパックで、細胞をインキュベートした。処置細胞を洗浄し、直接培養するか(
図20A)、または7日間凍結してから融解して培養した(
図20B)。プレーティング前(0日目)ならびに培養1日目、3日目、5日目および7日目に、フローサイトメトリーカウンティングビーズ(C36950 Thermofisher)によって細胞をカウントした。データは、0日目の細胞数に対する増加倍率として報告されている。
【0537】
実施例35:IL15バックパックと共に凍結したCD8 T細胞のインビボ拡大
B16F10マウスメラノーマ細胞を6週齢のC57BL/6雌性マウスの剃毛側腹部に皮内注射した(細胞10
5個/マウス)。7日後、HBSS、IL15
WT/sushi-Fc2Daバックパックまたは非機能的IL15
MUT/sushi-Fc2Daバックパックと共に予めインキュベートしてBambanker中で5日間凍結したPmelトランスジェニックCD8 T細胞を融解し、静脈内投与した(10
7個/マウス)。5日目(
図21A)または7日目(
図21B)に、フローサイトメトリーによって、血中の移入T細胞をカウントした。データは、血液1μl当たりのドナーCD8 T細胞の数として報告されている。
【0538】
実施例36:IL15バックパックと共に凍結したCD8 T細胞の腫瘍標的化
実施例35のマウスから腫瘍塊を切除し、フローサイトメトリーによって分析した。参照として、新鮮CD8 T細胞を投与したマウス(IL15
WT/sushi-Fc2Daバックパックありまたはなし)が示されている。データは、腫瘍1mg当たりのドナーCD8 T細胞の数として報告されている(
図22)。
【配列表】