(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】可変容量圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 27/18 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
F04B27/18 B
F04B27/18 A
(21)【出願番号】P 2019052134
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2021-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100087505
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】田口 幸彦
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/123633(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/186034(WO,A1)
【文献】特開2010-106677(JP,A)
【文献】国際公開第2019/139132(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出室内の冷媒が供給通路を介して制御圧室に供給されると共に前記制御圧室内の冷媒が排出通路を介して吸入室に排出されることによって前記制御圧室の圧力が調整されて吐出容量が変化する可変容量圧縮機であって、
前記供給通路の開度を調整する第1制御弁と、
前記供給通路における前記第1制御弁よりも前記制御圧室側に設けられ、前記制御圧室から前記第1制御弁側へと向かう冷媒の流れを阻止する逆止弁と、
前記供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の領域の冷媒を前記吸入室に排出するための絞り通路と、
前記排出通路の開度を調整する第2制御弁と、
を含み、
前記第2制御弁は、
第1端壁面、前記第1端壁面に対向する第2端壁面、前記第1端壁面と前記第2端壁面との間に延在する周壁面及び前記周壁面の延在方向中間部から径方向内側に張り出した張り出し面を有する弁室であって、前記領域に連通する第1ポートが前記第2端壁面に又は前記周壁面における前記張り出し面よりも前記第2端壁面側の部位に開口し、前記制御圧室に連通すると共に前記排出通路の一部を形成する第2ポート及び前記吸入室に連通すると共に前記排出通路の一部を形成する第3ポートが前記第1端壁面に開口している、前記弁室と、
第1端面及び前記第1端面とは反対側の第2端面を有し、前記弁室に収容されて前記領域と前記制御圧室との差圧によって前記弁室内を移動する弁体と、
を有し、
前記第1制御弁が前記供給通路を開いて前記領域の圧力が前記制御圧室の圧力よりも高くなると、前記弁体の前記第1端面が前記弁室の前記第1端壁面に当接して前記第2ポート及び前記第3ポートを閉じ、これによって前記排出通路の開度を最小にする一方、
前記第1制御弁が前記供給通路を閉じて前記領域の圧力が前記制御圧室の圧力よりも低くなると、前記弁体の前記第1端面が前記弁室の前記第1端壁面から離隔して前記第2ポート及び前記第3ポートを開き、これによって前記排出通路の開度を最大にすると共に、前記弁体の前記第2端面が前記弁室の前記張り出し面に当接して前記弁室内を前記第1ポートが開口する第1空間と前記第2ポート及び前記第3ポートが開口する第2空間とに区画し又は前記弁体の前記第2端面が前記弁室の前記第2端壁面に当接して前記張り出し面と前記張り出し面に対向する前記弁体の対向面との隙間を最小にする、
ように構成され、
前記弁室には、前記弁体が前記周壁面に接触せずに且つ前記第1端壁面に直交する方向に移動可能なように前記弁体の径方向中央部を支持する弁体支持部が設けられている、
可変容量圧縮機。
【請求項2】
前記弁体支持部は、前記第1端壁面及び前記第2端壁面のいずれか一方から他方に向かって突出するガイド軸部であり、
前記弁体は、その径方向中央部に形成された被挿通部に前記ガイド軸部が摺動可能に挿通されることによって、前記弁室の前記周壁面に接触せずに且つ前記第1端壁面に直交する方向に移動可能なように支持されている、
請求項1に記載の可変容量圧縮機。
【請求項3】
前記被挿通部は、前記弁体の前記第1端面又は前記第2端面の中央に開口すると共に前記弁体の中心線に沿って延びる有底のガイド穴として形成されている、請求項2に記載の可変容量圧縮機。
【請求項4】
前記弁体支持部は、前記第1端壁面から前記第2端壁面に向かって突出するガイド軸部であり、
前記被挿通部は、前記弁体の前記第1端面の中央に開口すると共に前記弁体の中心線に沿って延びる有底のガイド穴として形成されており、
前記弁体支持部としての前記ガイド軸部には、前記制御圧室の圧力を前記被挿通部としての前記ガイド穴の底部に導く導圧部が設けられている、
請求項3に記載の可変容量圧縮機。
【請求項5】
前記弁体支持部は、前記第2端壁面から前記第1端壁面に向かって突出するガイド軸部であり、
前記被挿通部は、前記弁体の前記第2端面の中央に開口すると共に前記弁体の中心線に沿って延びる有底のガイド穴として形成されており、
前記弁体支持部としての前記ガイド軸部及び前記被挿通部としての前記ガイド穴の少なくとも一方には、前記被挿通部としての前記ガイド穴の底部と前記弁室とを連通する連通部が設けられている、
請求項3に記載の可変容量圧縮機。
【請求項6】
前記可変容量圧縮機は、
前記吸入室及び前記吐出室が形成されたシリンダヘッドと、
ピストンを収容するシリンダボアが形成されたシリンダブロックと、
前記シリンダブロックと前記シリンダヘッドの間に介在されると共に、前記シリンダボアと前記吸入室とを連通する第1貫通孔及び前記シリンダボアと前記吐出室とを連通する第2貫通孔を有する介在部材と、
を有し、
前記ピストンが往復動することによって前記吸入室から前記シリンダボアに冷媒を吸入し、圧縮して前記吐出室に吐出するように構成されており、
前記弁室は前記シリンダヘッドに設けられ且つ前記介在部材によって閉塞された収容穴によって形成され、前記介在部材における前記収容穴を閉塞する部位が前記弁室の前記第1端壁面を形成し、前記弁体支持部は前記介在部材における前記収容穴を閉塞する前記部位に固定されている、
請求項2~4のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。
【請求項7】
前記弁体は、前記第1端面の中央から突出する第1軸部及び前記第2端面の中央から突出する第2軸部を有し、
前記弁体支持部は、前記第1端壁面に形成されて前記第1軸部を軸線方向に摺動可能に支持する第1支持部及び前記第2端壁面に形成されて前記第2軸部を軸線方向に摺動可能に支持する第2支持部である、
請求項1に記載の可変容量圧縮機。
【請求項8】
前記第2軸部及び前記第2支持部の少なくとも一方には、前記第2支持部の内部と前記弁室とを連通する連通部が設けられている、請求項7に記載の可変容量圧縮機。
【請求項9】
前記第2制御弁は前記供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間に設けられており、前記弁室において、前記第1ポートが前記領域のうちの前記第1制御弁と前記第2制御弁との間の領域に連通すると共に、前記領域のうちの前記第2制御弁と前記逆止弁との間の領域に連通する第4ポートが前記周壁面における前記張り出し面よりも前記第1端壁面側の部位に開口しており、
前記第2制御弁は、前記弁体の前記第1端面が前記弁室の前記第1端壁面に当接して前記第2ポート及び前記第3ポートを閉じたときに前記第1ポートと前記第4ポートとが連通するように構成されている、
請求項1~8のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。
【請求項10】
前記弁体の前記第1端面には、前記弁体の前記第1端面が前記弁室の前記第1端壁面に当接したときに前記第2ポートと前記第3ポートとを連通させる第2連通部が形成されており、前記第2ポートと前記第3ポートとが前記第2連通部を介して連通したときに前記排出通路の開度が最小になる、請求項1~9に記載の可変容量圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出室内の冷媒が制御圧室に供給されると共に前記制御圧室内の冷媒が吸入室に排出されることで前記制御圧室の圧力が調整されて吐出容量が変化する可変容量圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の可変容量圧縮機として、特許文献1には、吐出室内の冷媒をクランク室に供給する供給通路の開度を調整する第1制御弁と、前記クランク室内の冷媒を吸入室に排出する排出通路の開度を調整する第2制御弁と、を備えた可変容量圧縮機が開示されている。前記第2制御弁は、前記供給通路における前記第1制御弁よりも下流側の領域と連通する背圧室と、区画部材によって前記背圧室と区画されて前記排出通路の一部を構成すると共に前記背圧室と反対側の壁面に前記クランク室に連通する弁孔が形成された弁室と、前記背圧室内に配置された受圧部と前記弁室内に配置された弁部と前記区画部材に形成された貫通孔に挿通される軸部とを有するスプールと、を有する。
【0003】
前記第2制御弁は、前記第1制御弁が前記供給通路を開いて前記受圧部に作用する圧力が大きくなると、前記スプールが前記弁孔に向かって移動して前記弁部が前記弁孔を閉じることによって前記排出通路も開度を最小にし、前記第1制御弁が前記供給通路を閉じて前記受圧部に作用する圧力が小さくなると、前記スプールが前記弁孔から離れる方向に移動して前記弁部が前記弁孔を開くことによって前記排出通路の開度を最大にするように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の第2制御弁においては、前記区画部材と、前記スプールの前記弁部と前記軸部との一体構成物と、前記スプールの前記受圧部とがそれぞれ別々に形成されている。そして、これらは前記弁部が前記弁孔を閉じたときに同時に前記受圧部が前記区画部材に当接するように組み立てられている。このため、前記第2制御弁の構成が比較的複雑であり、前記第2制御弁の組立工数や管理項目が多くならざるを得ず、コスト面及び生産性の面で課題を有していた。
【0006】
そこで、本発明は、可変容量圧縮機において制御圧室の冷媒を吸入室に排出するための排出通路の開度を調整する第2制御弁のコストの低減や生産性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によると、吐出室内の冷媒が供給通路を介して制御圧室に供給されると共に前記制御圧室内の冷媒が排出通路を介して吸入室に排出されることによって前記制御圧室の圧力が調整されて吐出容量が変化する可変容量圧縮機が提供される。前記可変容量圧縮機は、前記供給通路の開度を調整する第1制御弁と、前記供給通路における前記第1制御弁よりも前記制御圧室側に設けられ、前記制御圧室から前記第1制御弁側へと向かう冷媒の流れを阻止する逆止弁と、前記供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の領域の冷媒を前記吸入室に排出するための絞り通路と、前記排出通路の開度を調整する第2制御弁と、を含む。前記第2制御弁は、第1端壁面、前記第1端壁面に対向する第2端壁面、前記第1端壁面と前記第2端壁面との間に延在する周壁面及び前記周壁面の延在方向中間部から径方向内側に張り出した張り出し面を有する弁室と、第1端面及び前記第1端面とは反対側の第2端面を有し、前記弁室に収容されて前記領域と前記制御圧室との差圧によって前記弁室内を移動する弁体と、を有する。前記弁室において、前記領域に連通する第1ポートが前記第2端壁面に又は前記周壁面における前記張り出し面よりも前記第2端壁面側の部位に開口し、前記制御圧室に連通すると共に前記排出通路の一部を形成する第2ポート及び前記吸入室に連通すると共に前記排出通路の一部を形成する第3ポートが前記第1端壁面に開口している。そして、前記第2制御弁は、前記第1制御弁が前記供給通路を開いて前記領域の圧力が前記制御圧室の圧力よりも高くなると、前記弁体の前記第1端面が前記弁室の前記第1端壁面に当接して前記第2ポート及び前記第3ポートを閉じ、これによって前記排出通路の開度を最小にする一方、前記第1制御弁が前記供給通路を閉じて前記領域の圧力が前記制御圧室の圧力よりも低くなると、前記弁体の前記第1端面が前記弁室の前記第1端壁面から離隔して前記第2ポート及び前記第3ポートを開き、これによって前記排出通路の開度を最大にすると共に、前記弁体の前記第2端面が前記張り出し面に当接して前記弁室内を前記第1ポートが開口する第1空間と前記第2ポート及び前記第3ポートが開口する第2空間とに区画し又は前記弁体の前記第2端面が前記弁室の前記第2端壁面に当接して前記張り出し面と前記張り出し面に対向する前記弁体の対向面との隙間を最小にするように構成されている。また、前記弁室には、前記弁体が前記周壁面に接触せずに且つ前記第1端壁面に直交する方向に移動可能なように前記弁体の径方向中央部を支持する弁体支持部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
前記可変容量圧縮機の前記第2制御弁の構成は、上記従来の第2制御弁に比べて大幅に簡素化されている。このため、前記第2制御弁のコストが低減されると共に前記第2制御弁の生産性が向上する。また、前記第2制御弁の前記弁体は、前記弁室の前記周壁面に接触せずに且つ前記弁室の前記第1端壁面に直交する方向に移動可能なようにその径方向中央部が支持されている。このため、前記弁室における前記弁体の安定且つ滑らかな移動が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る可変容量圧縮機の断面図である。
【
図2】前記可変容量圧縮機における供給通路及び排出通路(第1排出通路、第2排出通路)等を模式的に示す図である。
【
図4】前記可変容量圧縮機の第1制御弁の断面図である。
【
図5】前記可変容量圧縮機の第2制御弁の断面図であり、(A)は、前記第1制御弁が開弁しているときの第2制御弁の状態を示し、(B)は、前記第1制御弁が閉弁しているときの第2制御弁の状態を示している。
【
図6】前記第2制御弁を構成する弁室の断面図である。
【
図8】前記可変容量圧縮機の逆止弁の断面図であり、(A)は、前記第1制御弁が開弁しているときの逆止弁の状態を示し、(B)は、前記第1制御弁が閉弁しているときの逆止弁の状態を示している。
【
図9】前記第1制御弁におけるコイル通電量と設定圧力(吸入室)との関係の一例を示す図である。
【
図11】前記第2制御弁の第1変形例を示す図である。
【
図12】前記第2制御弁の第2変形例を示す図である。
【
図13】前記第2制御弁の第3変形例を示す図である。
【
図14】前記第2制御弁の第4変形例を示す図である。
【
図15】前記第1排出通路の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る可変容量圧縮機の断面図である。実施形態に係る可変容量圧縮機は、主に車両用のエアコンシステム(エア・コンディショナー・システム)に適用されるクラッチレス圧縮機として構成されている。なお、
図1における上側が重力方向の上側であり、
図1における下側が重力方向の下側である。
【0011】
図1に示されるように、可変容量圧縮機100は、環状に配列された複数のシリンダボア101aを有するシリンダブロック101と、シリンダブロック101の一端に設けられたフロントハウジング102と、シリンダブロック101の他端にバルブプレート103を介して設けられたシリンダヘッド104と、を含む。
【0012】
そして、フロントハウジング102、センターガスケット(図示省略)、シリンダブロック101、シリンダガスケット152、吸入弁形成板150、バルブプレート103、吐出弁形成板151、ヘッドガスケット153、及び、シリンダヘッド104がこの順に配置され、複数の通しボルト105によって締結されて圧縮機ハウジングが形成されている。また、シリンダブロック101とフロントハウジング102とによってクランク室140が形成されており、水平方向に延びる駆動軸110がクランク室140を貫通して設けられている。
【0013】
駆動軸110の軸方向の中間部には斜板111が配設されている。斜板111は、駆動軸110に固定されたロータ112にリンク機構120を介して連結されており、駆動軸110と共に回転する。また、斜板111は、駆動軸110の軸線(中心線)Oに直交する平面に対する角度(斜板111の傾角)が変更可能に構成されている。
【0014】
リンク機構120は、ロータ112から突設された第1アーム112aと、斜板111から突設された第2アーム111aと、一端側が第1連結ピン122を介して第1アーム112aに対して回動自在に連結され、他端側が第2連結ピン123を介して第2アーム111aに対して回動自在に連結されたリンクアーム121と、を含む。
【0015】
斜板111には駆動軸110が挿通される貫通孔111bが形成されている。貫通孔111bは斜板111が最大傾角と最小傾角の範囲で傾動可能な形状に形成されている。貫通孔111bには最小傾角規制部が形成されている。斜板111が駆動軸110に直交するときの斜板111の傾角を最小傾角(=0°)とした場合、貫通孔111bの前記最小傾角規制部は、斜板111の傾角がほぼ0°となると駆動軸110に当接して斜板111のそれ以上の傾動を規制する。また、斜板111は、その傾角が最大傾角となるとロータ112に当接してそれ以上の傾動が規制される。
【0016】
駆動軸110には、斜板111の傾角を減少させる方向に斜板111を付勢する傾角減少バネ114と、斜板111の傾角を増大させる方向に斜板111を付勢する傾角増大バネ115とが装着されている。傾角減少バネ114は、斜板111とロータ112との間に配置され、傾角増大バネ115は、斜板111と駆動軸110に固定されたバネ支持部材116との間に装着されている。
【0017】
ここで、斜板111の傾角が最小傾角であるとき、傾角増大バネ115の付勢力の方が傾角減少バネ114の付勢力よりも大きくなるように設定されており、駆動軸110が回転していないとき、斜板111は、傾角減少バネ114の付勢力と傾角増大バネ115の付勢力とがバランスする傾角に位置決めされる。
【0018】
駆動軸110の一端側(
図1における左端側)は、外側に部分的に突出したフロントハウジング102の突出部102a内を貫通してフロントハウジング102の外側まで延在している。駆動軸110の前記一端側には、図示省略の動力伝達装置が連結される。クランク室140の内部は、突出部102aに設けられた軸封装置130によって外部空間から遮断されている。
【0019】
駆動軸110の他端側(
図1における右端側)は、シリンダブロック101に形成されたセンターボア101bに挿通されている。センターボア101bは、複数のシリンダボア101aの略中央においてシリンダブロック101を貫通しており、シリンダヘッド104側からクランク室140側に向かって、シリンダブロック101のシリンダヘッド104側の端面に開口する大径ボア部101b1と、大径ボア部101b1よりも小径の中径ボア部101b2と、中径ボア部101b2よりも小径の小径ボア部101b3と、を有している。
【0020】
駆動軸110と駆動軸110に固定されたロータ112とからなる連結体は、ラジアル方向においては第1軸受131及び第2軸受132で支持され、スラスト方向においては第3軸受133及びスラスト受け部材134で支持されている。駆動軸110は、外部駆動源からの動力が前記動力伝達装置に伝達されることにより、前記動力伝達装置の回転と同期して回転するように構成されている。
【0021】
本実施形態において、第1軸受131は、フロントハウジング102の突出部102aにおける軸封装置130の内側に装着され、第2軸受132は、シリンダブロック101のセンターボア101bの小径ボア部101b3に装着されている。また、第3軸受133は、フロントハウジング102の内面とロータ112との間に配設され、スラスト受け部材134は、シリンダブロック101のセンターボア101bの中径ボア部101b2に装着されている。
【0022】
各シリンダボア101a内にはピストン136が収容されている。各ピストン136はクランク室140内に突出する突出部136aを有している。突出部136aには収容空間が形成されており、この収容空間に斜板111の外縁部及びその近傍が一対のシュー137を介して収容されている。これにより、駆動軸110の回転に伴って斜板111が回転することによって各ピストン136が対応するシリンダボア101a内を往復動するようになっている。
【0023】
シリンダヘッド104には、吸入室141と吐出室142とが形成されている。吸入室141はシリンダヘッド104のほぼ中央に配置されており、吐出室142は、吸入室141を環状に取り囲むように形成されている。吸入室141と各シリンダボア101aとは、バルブプレート103等を貫通する第1貫通孔103a及び吸入弁形成板150に形成された吸入弁(図示省略)を介して連通している。吐出室142と各シリンダボア101aとは、バルブプレート103等を貫通する第2貫通孔103b及び吐出弁形成板151に形成された吐出弁(図示省略)を介して連通している。
【0024】
シリンダブロック101の上部にはマフラが設けられている。マフラは、吐出ポート106aが形成された蓋部材106と、シリンダブロック101の上部に形成されたマフラ形成壁101cとがシール部材(図示省略)を介してボルト(図示省略)により締結されることによって形成されている。
【0025】
蓋部材106とマフラ形成壁101cで囲まれたマフラ空間143は、連通路144を介して吐出室142に連通しており、マフラ空間143内には、吐出逆止弁200が配置されている。吐出逆止弁200は、連通路144とマフラ空間143との接続部に配置されている。吐出逆止弁200は、連通路144(上流側)とマフラ空間143(下流側)との圧力差に応答して動作する。吐出逆止弁200は、前記圧力差が所定値より小さい場合は連通路144を閉じ、前記圧力差が所定値より大きい場合は連通路144を開くように構成されている。
【0026】
連通路144、吐出逆止弁200、マフラ空間143及び吐出ポート106aは、可変容量圧縮機100の吐出通路を形成しており、吐出室142は前記吐出通路を介して前記エアコンシステムの冷媒回路(の高圧側)に接続されている。
【0027】
シリンダヘッド104には、吸入ポート107と、吸入ポート107と吸入室141とを連通する連通路108と、が形成されている。吸入ポート107及び連通路108は、可変容量圧縮機100の吸入通路を形成しており、吸入室141は前記吸入通路を介して前記エアコンシステムの冷媒回路(の低圧側)に接続されている。
【0028】
吸入室141には、前記吸入通路を介して前記エアコンシステムの冷媒回路の低圧側の冷媒(低圧冷媒)が導かれる(吸入される)。吸入室141内の冷媒は、各ピストン136の往復動によって対応するシリンダボア101a内に吸入され、圧縮されて吐出室142に吐出される。そして、吐出室142に吐出された冷媒(すなわち、高圧冷媒)が前記吐出通路を介して前記エアコンシステムの前記冷媒回路の高圧側へと導かれる(吐出される)。また、吐出逆止弁200によって前記エアコンシステムの前記冷媒回路の高圧側から吐出室142に向かう冷媒(冷媒ガス)の逆流が阻止される。
【0029】
可変容量圧縮機100は、吐出室142内の冷媒をクランク室140に供給するための供給通路145と、クランク室140内の冷媒を吸入室141に排出するための排出通路146と、を有している。
図2は、可変容量圧縮機100における供給通路145及び排出通路146等を模式的に示す図である。
【0030】
供給通路145は、吐出室142とクランク室140とを接続しており、その途中には第1制御弁300が設けられている。第1制御弁300は、供給通路145の開度(通路断面積)を調整し、これにより、吐出室142内の冷媒(高圧冷媒)のクランク室140への供給量を制御するように構成されている。
【0031】
供給通路145における第1制御弁300よりもクランク室140側(下流側)には逆止弁500が設けられている。逆止弁500は、第1制御弁300からクランク室140に向かう冷媒の流れを許容する一方、クランク室140から第1制御弁300側へと向かう冷媒の流れ(冷媒の逆流)を阻止するように構成されている。本実施形態において、逆止弁500は第1制御弁300の開閉に連動して供給通路145を開閉するように構成されている。具体的には、逆止弁500は、第1制御弁300が供給通路145を開くと供給通路145を開いて第1制御弁300からクランク室140に向かう冷媒の流れを許容し、第1制御弁300が供給通路145を閉じると供給通路145を閉じてクランク室140から第1制御弁300側へと向かう冷媒の流れを阻止するように構成されている。
【0032】
本実施形態において、排出通路146は二つの通路によって構成されている。前記二つの通路のうちの一方は、クランク室140と吸入室141とを常時連通する通路(以下「第1排出通路146a」という)である。第1排出通路146aの途中には絞り部が設けられている。前記二つの通路のうちの他方は、クランク室140と吸入室141とを接続すると共にその途中に第2制御弁400が設けられた通路(以下「第2排出通路146b」という)である。第2排出通路146bは第2制御弁400によって開閉される。ここで、第2排出通路146bの各部の通路断面積は、第1排出通路146aの前記絞り部の通路断面積より大きく設定されている。
【0033】
本実施形態において、供給通路145は第2制御弁400を経由するように形成されている。具体的には、第2制御弁400の一部は供給通路145における第1制御弁300と逆止弁500との間の領域の一部を形成している。また、第2制御弁400は、第1制御弁300の開閉に連動して第2排出通路146bを開閉するように構成されている。具体的には、第2制御弁400は、第1制御弁300が供給通路145を開くと第2排出通路146bを閉じ、第1制御弁300が供給通路145を閉じると第2排出通路146bを開くように構成されている。第2排出通路146bが閉じられると排出通路146は第1排出通路146aのみで構成される。この場合、排出通路146の開度(通路断面積)は最小となる。一方、第2制御弁400が第2排出通路146bを開くと排出通路146は第1排出通路146a及び第2排出通路146bで構成される。この場合、排出通路146の開度(通路断面積)は最大となる。
【0034】
上記のように、本実施形態においては、第1制御弁300が供給通路145を閉じると吐出室142内の冷媒(高圧冷媒)のクランク室140への供給が停止され、第2制御弁400が第2排出通路146bを開く。第2制御弁400が第2排出通路146bを開くとクランク室140内の冷媒が第1排出通路146a及び第2排出通路146bを介して吸入室141に排出される。このため、クランク室140の圧力が低下する(吸入室141の圧力と同等になる)。クランク室140の圧力が低下すると斜板111の傾角が増加し、ピストン136のストローク(すなわち、可変容量圧縮機100の吐出容量)も増加する。
【0035】
一方、第1制御弁300が供給通路145を開くと吐出室142内の冷媒(高圧冷媒)がクランク室140に供給され、第2制御弁400が第2排出通路146bを閉じる。第2制御弁400が第2排出通路146bを閉じるとクランク室140内の冷媒が前記絞りを有する第1排出通路146aのみを介して吸入室141に排出される。すなわち、クランク室140内の冷媒の吸入室141への排出が制限される。このため、クランク室140の圧力が上昇する。クランク室140の圧力が上昇すると斜板111の傾角が減少し、ピストン136のストローク(可変容量圧縮機100の吐出容量)も減少する。ここで、吐出室142内の冷媒のクランク室140への供給量が多いほどクランク室140の圧力が高くなる。したがって、第1制御弁300による供給通路145の開度(通路断面積)に応じてピストン136のストローク(可変容量圧縮機100の吐出容量)が可変に制御され得る。
【0036】
このように、本実施形態に係る可変容量圧縮機100は、吐出室142内の冷媒が供給通路145を介してクランク室140に供給されると共にクランク室140内の冷媒が排出通路(第1排出通路146a、第2排出通路146b)を介して吸入室141に排出されることでクランク室140の圧力が調整され、これによって吐出容量が変化するように構成されている。したがって、本実施形態においては、クランク室140が本発明の「制御圧室」に相当する。
【0037】
なお、可変容量圧縮機100は、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁500との間の前記領域の冷媒を吸入室141に排出するための絞り通路147をさらに有している。本実施形態において、絞り通路147は、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁500との間の前記領域の前記一部を形成する第2制御弁400の前記一部と吸入室141とを連通するように形成されている。
【0038】
また、可変容量圧縮機100の内部(主にクランク室140)には潤滑用のオイルが封入されており、駆動軸110の回転に伴い斜板111等よって攪拌されたオイルや冷媒(ガス)と共に移動するオイルによって可変容量圧縮機100内部が潤滑される。
【0039】
次に、本実施形態に係る可変容量圧縮機100の第1排出通路146a、第1制御弁300、第2制御弁400、逆止弁500、供給通路145、第2排出通路146b及び絞り通路147について詳細に説明する。
【0040】
「第1排出通路146a」
図3は、
図1の要部拡大図である。本実施形態において、クランク室140と吸入室141とを常時連通する第1排出通路146aは、シリンダブロック101に形成された第1連通路101dと、前記絞り部として機能する絞り孔161とで形成されている。第1連通路101dの一端はクランク室140に開口しており、第1連通路101dの他端はシリンダブロック101のシリンダヘッド104側の端面に開口している。絞り孔161は、シリンダブロック101とシリンダヘッド104との間に介在する介在部材IMを貫通しており、第1連通路101dの前記他端と吸入室141とを接続している。ここで、介在部材IMとは、基本的には、シリンダガスケット152、吸入弁形成板150、バルブプレート103、吐出弁形成板151及びヘッドガスケット153のことをいうが、シリンダガスケット152及び/又はヘッドガスケット153が含まれない場合もある。また、第1連通路101dは、シリンダブロック101に形成された第2連通路101eを介してセンターボア101bの大径ボア部101b1に連通している。
【0041】
「第1制御弁300」
図4は、第1制御弁300の断面図である。
図3及び
図4に示されるように、第1制御弁300は、シリンダヘッド104に形成された収容穴104aに収容されている。第1制御弁300の外周面には、3つのOリング300a~300cが取り付けられている。そして、これら3つのOリング300a~300cによって、収容穴104a内における第1制御弁300の外側空間が第1~第3領域SR1~SR3に区画されている。
【0042】
第1領域SR1は、シリンダヘッド104に形成された第3連通路104bを介して吸入室141に連通している。第2領域SR2は、シリンダヘッド104に形成された第4連通路104cを介して吐出室142に連通している。第3領域SR3は、シリンダヘッド104に形成された第5連通路104d、第2制御弁400、シリンダヘッド104に形成された第6連通路104e、逆止弁500及びシリンダブロック101に形成された第7連通路101fを介してクランク室140に接続されている。
【0043】
第1制御弁300は、弁ユニットと、弁ユニットを開閉作動させる駆動ユニット(ソレノイド)と、を含み、第3連通路104b及び第1領域SR1を介して導入される吸入室141の圧力と、外部信号に応じてソレノイドに流れる電流によって発生する電磁力と、に応答して供給通路145の開度を制御するように構成されている。
【0044】
第1制御弁300の弁ユニットは、円筒状の弁ハウジング301を有している。弁ハウジング301の内部には、その一端側(収容穴104aの底部側)から第1感圧室302、弁室303及び第2感圧室307が軸線方向に順番に並んで形成されている。
【0045】
第1感圧室302は、弁ハウジング301の外周面に形成された第1連通孔301aを介して収容穴104a内の第3領域SR3に連通している。
【0046】
弁室303は、弁ハウジング301の外周面に形成された第2連通孔301bを介して収容穴104a内の第2領域SR2に連通している。
【0047】
第2感圧室307は、弁ハウジング301の外周面に形成された第3連通孔301eを介して収容穴104a内の第1領域SR1に連通している。
【0048】
第1感圧室302と弁室303とは弁孔301cを介して互いに連通しており、弁室303と第2感圧室307との間には支持孔301dが形成されている。
【0049】
第1感圧室302内にはベローズ305が配設されている。ベローズ305の内部は真空であり、ベローズ305の内部にはバネが設けられている。ベローズ305は、弁ハウジング301の軸方向に変位可能に配置され、第1感圧室302内の圧力、すなわち、主にクランク室140の圧力を受ける感圧手段としての機能を有する。
【0050】
弁室303には円柱状の弁体304の一方の端部が収容されている。弁体304は、その外周面が支持孔301dに摺動支持されており、弁ハウジング301の軸線方向に移動可能である。弁体304の前記一方の端部は、弁孔301cを開閉する弁部を構成している。弁体304の他方の端部は、第2感圧室307内に突出しており、第2感圧室307内の圧力、すなわち、吸入室141の圧力を受ける受圧部を構成している。そして、弁体304の前記一方の端部(弁部)によって弁孔301cが開かれると、第2領域SR2と第3領域SR3とが、第2連通孔301b、弁室303、弁孔301c、第1感圧室302及び第1連通孔301aを介して連通する。
【0051】
弁体304の前記一方の端部の中央部には軸状に突出した連結部306が設けられている。連結部306は、その先端がベローズ305に離接可能に連結されており、ベローズ305の変位を弁体304に伝達する伝達部としての機能を有する。
【0052】
駆動ユニットは円筒状のソレノイドハウジング312を有している。ソレノイドハウジング312は弁ハウジング301の他端(収容穴104aの底部側とは反対側)に連結されている。ソレノイドハウジング312内には電磁コイルを樹脂で覆った略円筒状のモールドコイル314が収容されており、モールドコイル314の内側には有底筒状の収容部材313に収容された固定コア310及び可動コア308が配置されている。
【0053】
収容部材313はその開口端が弁ハウジング301を向くように配置されている。固定コア310は収容部材313の前記開口端から突出した突出部310aを有している。固定コア310の突出部310aは弁ハウジング301に形成された嵌合穴301fに嵌合されており、突出部310aの先端面は第2感圧室307の壁面を構成している。
【0054】
また、固定コア310は挿通孔310bを有している。挿通孔310bは、固定コア310を長さ方向(軸線方向)に貫通している。すなわち、挿通孔310bの一端は突出部310aの端面に開口しており、挿通孔310bの他端は突出部310aとは反対側の固定コア310の端面に開口している。
【0055】
挿通孔310bにはソレノイドロッド309が隙間を有して挿通されている。ソレノイドロッド309の一端は弁体304の前記他方の端部に固定され、ソレノイドロッド309の他端は可動コア308に形成された貫通孔に嵌合(圧入)されている。つまり、弁体304、可動コア308及びソレノイドロッド309は一体化されている。
【0056】
また、固定コア310と可動コア308との間には、可動コア308を固定コア310から離れる方向、すなわち、弁体304の前記一方の端部(弁部)が弁孔301cを開く方向(開弁方向)に付勢する強制開放バネ311が設けられている。
【0057】
可動コア308、固定コア310及びソレノイドハウジング312は磁性材料で形成されて磁気回路を構成する。一方、収容部材313はステンレス系材料などの非磁性材料で形成されている。
【0058】
モールドコイル314は、信号線等を介して、可変容量圧縮機100の外部に設けられた制御装置(図示せず)に接続されている。前記駆動ユニットは、前記制御装置からモールドコイル314に制御電流Iが供給されると電磁力F(I)を発生する。前記駆動ユニットが電磁力F(I)を発生すると、可動コア308が固定コア310に向かって吸引され、これによって、弁体304が弁孔301cを閉じる方向(閉弁方向)に移動する。
【0059】
「第2制御弁400の構成」
図1及び
図3に示されるように、本実施形態において、第2制御弁400は、駆動軸110の軸線Oの延長線上に位置するようにシリンダヘッド104に配置されている。
図5は、第2制御弁400の断面図である。
図5(A)は、第1制御弁300が弁孔301cを開いているとき(すなわち、開弁しているとき)の第2制御弁400の状態を示し、
図5(B)は、第1制御弁300が弁孔301cを閉じているとき(すなわち、閉弁しているとき)の第2制御弁400の状態を示している。
【0060】
第2制御弁400は、弁室410と弁体420とを含む。
【0061】
図6は、弁室410の断面図である。弁室410は、主にシリンダヘッド104に設けられた収容穴104fによって形成されている。収容穴104fは、シリンダヘッド104のシリンダブロック101側の端面に開口する段付き円柱状の有底穴として形成されている。すなわち、収容穴104fは、シリンダヘッド104のシリンダブロック101側の前記端面に開口する大径穴部104f1と、大径穴部104f1よりも小径であり且つ大径穴部104f1の底面に開口する小径穴部104f2と、を有している。
【0062】
収容穴104fは、吸入室141に隣接すると共に介在部材IMを挟んでシリンダブロック101に形成されたセンターボア101bの大径ボア部101b1に対向している。
【0063】
収容穴104fの開口(すなわち、大径穴部104f1の開口)は介在部材IMによって閉塞されている。本実施形態においては、シリンダヘッド104における収容穴104fの前記開口の周囲の部位がヘッドガスケット153に当接しており、収容穴104fの前記開口は吐出弁形成板151によって閉塞されている。但し、これに限られるものではなく、収容穴104fの前記開口はヘッドガスケット153によって閉塞されてもよい。
【0064】
そして、介在部材IM(ここでは吐出弁形成板151)における収容穴104fの前記開口を閉塞する部位が弁室410の一方の端壁面(以下「第1端壁面」という)411を構成し、収容穴104fの底面(すなわち、小径穴部104f2の底面)が第1端壁面411に対向する弁室410の他方の端壁面(以下「第2端壁面」という)412を構成し、収容穴104fの内周面が第1端壁面411と第2端壁面412との間に延在する弁室410の周壁面413を構成している。また、収容穴104fにおける大径穴部104f1の前記底面(換言すれば、大径穴部104f1と小径穴部104f2との段差面)が、周壁面413の延在方向中間部から径方向内側に張り出した張り出し面414を構成している。張り出し面414は第1端壁面411に平行な環状面として形成されている。
【0065】
介在部材IMにおける収容穴104fの前記開口を閉塞する部位には、円柱状の軸部材415が固定されている。本実施形態において、軸部材415は駆動軸110の軸線Oの延長線上に配置されている。すなわち、軸部材415の軸線は駆動軸110の軸線Oの延長線と一致している。軸部材415は、その長さ方向(軸線方向)の中間部が介在部材IM(ここでは主にバルブプレート103)に形成された嵌合孔に嵌合されて固定されており、弁室410内において第1端壁面411から第2端壁面412に向かって突出するガイド軸部415aと、センターボア101bの大径ボア部101b1内に突出する突出部415bと、を有している。また、本実施形態において、軸部材415には、軸部材415を軸線方向に貫通する(すなわち、ガイド軸部415aの先端面から突出部415bの先端面までを貫通する)軸貫通孔415cが形成されている。
【0066】
弁室410の周壁面413における張り出し面414よりも第2端壁面412側の部位には第5連通路104dの一端が第1ポート431として開口している。第5連通路104dの他端は第1制御弁300を収容する収容穴104a内の第3領域SR3に開口している。つまり、第1ポート431は、第1制御弁300と第2制御弁400との間にある第5連通路104dに連通している。さらに言えば、第1ポート431は、第5連通路104dを介して第3領域SR3に連通している。なお、弁室410の周壁面413の張り出し面414よりも第2端壁面412側の前記部位に代えて弁室410の第2端壁面412に第5連通路104dの前記一端が第1ポート431として開口してもよい。
【0067】
弁室410の第1端壁面411には少なくとも一つの第2ポート432と少なくとも一つの第3ポート433とが開口している。第2ポート432は、介在部材IMを貫通している。第2ポート432はセンターボア101bの大径ボア部101b1、第2連通路101e及び第1連通路101dを介してクランク室140に連通している(
図3参照)。第3ポート433は、吐出弁形成板151を貫通している。第3ポート433は、バルブプレート103に形成されて第3ポート433に対応する位置から吸入室141に対応する位置まで延びる連通溝103cと、吐出弁形成板151及びヘッドガスケット153を貫通して連通溝103cと吸入室141とを接続する接続孔162と、を介して吸入室141に連通している。
【0068】
弁室410の周壁面413における張り出し面414よりも第1端壁面411側の部位には第6連通路104eの一端が第4ポート434として開口している。第6連通路104eは介在部材IMに沿って延びており、第6連通路104eの他端は逆止弁500に接続されている(
図3参照)。つまり、第4ポートは、第2制御弁400と逆止弁500との間にある第6連通路104eに連通している。
【0069】
図7は、
図6のA-A断面拡大図である。
図7に示されるように、ガイド軸部415a(軸部材415)は弁室410の第1端壁面411の中央に位置している。また、本実施形態において、弁室410の第1端壁面411には、二つの第2ポート432と一つの第3ポート433とが開口している。二つの第2ポート432及び一つの第3ポート433は、それぞれガイド軸部415a(軸部材415)の軸線を中心とする円弧状の孔として形成されており、ガイド軸部415aを囲繞するように配置されている。但し、これに限られるものではなく、第2ポート432及び第3ポート433の形状や個数は任意に設定され得る。ここで、第2ポート432の開口面積(総開口面積)は第3ポート433の開口面積(総開口面積)よりも大きく設定される。
【0070】
バルブプレート103に形成された連通溝103cは、第3ポート433に対応する溝幅を有しており、接続孔162は、その長手方向の寸法が連通溝103cよりも僅かに小さい矩形状の孔として形成されている。
【0071】
また、弁室410の第1端壁面411には、第3ポート433の径方向外側の部位が部分的に切り欠かれた切り欠き部435が形成されている。切り欠き部435は、第3ポート433と同様に、吐出弁形成板151を貫通しており、バルブプレート103に形成された連通溝103cと吐出弁形成板151及びヘッドガスケット153を貫通する接続孔162とを介して吸入室141に連通している。
【0072】
ここで、本実施形態では、
図7に示されるように、連通溝103cは2つの経路で構成されている。また、切り欠き部435は、後述する弁体420の大径部421の一方の端面421aの第1端壁面411への当接部より径方向外側に延在するように形成され、弁体420の大径部421の一方の端面421aが第1端壁面411に当接したとき、切り欠き部435の第3ポート433側の端部が弁体420の大径部421の一方の端面421aで覆われる。そして、このとき、弁室410は、切り欠き部435における弁体420の大径部421の一方の端面421aとバルブプレート103の端面との間の領域、第3ポート433、連通溝103c及び接続孔162を介して吸入室141に連通するようになっている。なお、
図7中の二点鎖線は、後述する弁体420の大径部421の一方の端面421aが第1端壁面411に当接したときに弁体420の大径部421によって覆われる領域を示している。
【0073】
図5(A)、(B)に戻り、弁体420は、段付き円柱状に形成されており、大径部421と大径部421よりも小径の小径部422とを有する。弁体420の大径部421は弁室410を形成する収容穴104fの大径穴部104f1よりも小径かつ小径穴部104f2よりも大径に形成されており、弁体420の小径部422は小径穴部104f2よりも小径に形成されている。
【0074】
弁体420には、ガイド軸部415aが摺動可能に挿通される被挿通部423が形成されている。本実施形態において、被挿通部423は、大径部421の一方の端面421aの中央に開口すると共に弁体420の中心線に沿って延びる円柱状の有底のガイド穴として形成されている。前記ガイド穴としての被挿通部423はガイド軸部415aの長さより大きい深さを有している。なお、弁体420の前記中心線はガイド軸部415a(軸部材415)の軸線に一致している。また、大径部421の他方の端面421bには周縁部から径方向内側に延びる切り欠き溝424が形成されている。
【0075】
弁体420は、被挿通部423にガイド軸部415aが挿通された状態で弁室410に収容されている。すなわち、弁体420は、大径部421が弁室410内の第1端壁面411側に位置すると共に小径部422が弁室410内の第2端壁面412側に位置するように弁室410に収容されている。そして、弁体420は、被挿通部423にガイド軸部415aが摺動可能に挿通されることにより、弁室410の周壁面413に接触せず且つ弁室410内をガイド軸部415a(軸部材415)の軸線方向に、すなわち、第1端壁面411に直交する方向に移動可能なように支持されている。弁体420の被挿通部(有底穴)423の底部(閉塞空間)は、ガイド軸部415a(軸部材415)に形成された軸貫通孔415c、センターボア101bの大径ボア部101b1、第2連通路101e及び第1連通路101dを介してクランク室140に連通しており、クランク室140の圧力が導かれるようになっている(
図3参照)。
【0076】
ここで、特に制限されないが、ガイド軸部415a(の外周面)と被挿通部423(の内周面)との隙間は0.1~0.4mmに設定されるのが好ましい。前記隙間が小さすぎると前記隙間への微小異物の侵入によって弁体420の移動が阻害されるおそれがあり、前記隙間が大きすぎると弁体420の安定した移動を確保できなくなるおそれがあるからである。また、弁体420は、第1端壁面411から最も離れた位置まで移動したときにおいてもその重心がガイド軸部415a上に位置するように形成されるのが好ましい。
【0077】
弁体420は、大径部421の一方の端面421aが弁室410の第1端壁面411に当接することによって一方への移動が規制され、大径部421の他方の端面421bが弁室410の張り出し面414に当接することによって他方への移動が規制される。すなわち、弁体420は、大径部421の一方の端面421aが弁室410の第1端壁面411に当接すると大径部421の他方の端面421bが弁室410の張り出し面414から離隔し、大径部421の他方の端面421bが弁室410の張り出し面414に当接すると大径部421の一方の端面421aが弁室410の第1端壁面411から離隔するように構成されている。なお、大径部421の他方の端面421bが張り出し面414に当接したとき、小径部422の先端面422aと第2端壁面412(収容穴104fの底面)との間には十分な隙間が形成されるようになっている(
図5(B)参照)。
【0078】
そして、
図5(A)に示されるように、弁体420の大径部421の一方の端面421aが弁室410の第1端壁面411に当接すると、第2ポート432及び第3ポート433が閉じられる。また、弁体420の大径部421の他方の端面421bが張り出し面414から離隔するため、第1ポート431と第4ポート434とが弁室410を介して連通する。但し、弁体420の大径部421の一方の端面421aが第1端壁面411に当接した場合であっても第1端壁面411に形成された切り欠き部435は閉じられない(
図7参照)。
【0079】
一方、
図5(B)に示されるように、弁体420の大径部421の他方の端面421bが張り出し面414に当接すると、弁室410内は第1ポート431が開口する第1空間(第2端壁面412側の空間)441と第2ポート432、第3ポート433及び第4ポート434が開口する第2空間(第1端壁面411側の空間)442とに区画される。但し、第1空間441と第2空間442とは弁体420の大径部421の他方の端面421bに形成された切り欠き溝424を介して連通している。また、弁体420の大径部421の一方の端面421aが弁室410の第1端壁面411から離隔するため、第2ポート432及び第3ポート433が開かれて第2ポート432と第3ポート433とが第2空間442を介して連通する。
【0080】
弁体420は、例えば金属や樹脂材料で形成され得るが、軽量化のために樹脂材料で形成されるのが好ましい。弁体420が樹脂材料で形成される場合、樹脂材料としてはポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やナイロン(ポリアミド)系樹脂などが好適に選択され得る。また、弁室410の第1端壁面411又は弁体420の大径部421の一方の端面421aに非粘着性のコート層などが形成されてもよい。この場合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂が前記コート層などに使用され得る。このようにすると、弁体420の大径部421の一方の端面421aが第1端壁面411に貼り付くことが抑制され、第1端壁面411からの弁体420のスムーズな離隔が確保され得る。
【0081】
「逆止弁500の構成」
図1及び
図3に示されるように、本実施形態において、逆止弁500は、駆動軸110よりも下方に配置されている。
図8は、逆止弁500の断面図である。
図8(A)は、第1制御弁300が開弁しているとき(弁孔301cが開放されているとき)の逆止弁500の状態を示し、
図8(B)は、第1制御弁300が閉弁しているとき(弁孔301cが閉鎖されているとき)の逆止弁500の状態を示している。
【0082】
逆止弁500は、弁室(以下「逆止弁室」という)510と弁体(以下「逆止弁体」という)520とを含む。
【0083】
逆止弁室510は、主にシリンダブロック101に設けられた収容穴101gによって形成されている。収容穴101gは、シリンダブロック101のシリンダヘッド104側の端面に開口する段付き円柱状の有底穴として形成されている。すなわち、収容穴101gはシリンダブロック101のシリンダヘッド104側の前記端面に開口する大径穴部101g1と、大径穴部101g1よりも小径であり且つ大径穴部101g1の底面に開口する小径穴部101g2と、を有している。
【0084】
収容穴101gの開口(すなわち、大径穴部101g1の開口)は介在部材IMによって閉塞されている。具体的には、本実施形態において、シリンダブロック101における収容穴101gの前記開口の周囲の部位はシリンダガスケット152に当接しており、収容穴101gの前記開口は吸入弁形成板150によって閉塞されている。なお、収容穴101gの前記開口はシリンダガスケット152によって閉塞されてもよい。
【0085】
そして、
図8(A)、(B)に示されるように、介在部材IM(ここでは吸入弁形成板150)における収容穴101gの前記開口を閉塞する部位が逆止弁室510の一方の端壁面511を構成し、収容穴101gの底面(すなわち、小径穴部101g2の底面)が逆止弁室510の他方の端壁面512を構成し、収容穴101gの内周面が一方の端壁面511と他方の端壁面512との間に延在する逆止弁室510の周壁面513を構成している。
【0086】
逆止弁室510の一方の端壁面511には、第5ポート531が開口している。第5ポート531は、介在部材IMを貫通しており、第6連通路104eの前記他端側に接続されている。
【0087】
逆止弁室510の他方の端壁面512には、第7連通路101fの一端が第6ポート532として開口している。第6ポート532の他端はクランク室140に開口している。つまり、第6ポート532は、第7連通路101fを介してクランク室140に連通している。
【0088】
逆止弁体520は、段付き円柱状に形成され、大径部521と、大径部521よりも小径であり且つ大径部521の一方の端面から突出した第1小径部522と、大径部521よりも小径であり且つ大径部521の他方の端面から突出した第2小径部523と、を有する。
【0089】
逆止弁体520の大径部521は逆止弁室510を形成する収容穴101gの大径穴部101g1よりも小径であり且つ小径穴部101g2よりも大径に形成され、弁体の第2小径部523は小径穴部101g2よりも小径に形成されている。なお、逆止弁体520の外周面と逆止弁室510の周壁面513との間には所定の隙間が形成されている。
【0090】
また、逆止弁体520には内部通路524が形成されている。内部通路524は、一端が第2小径部523の端面523aに開口すると共に第1小径部522の端面522aに向かって延びて他端が閉じられた第1通路524aと、一端が第1小径部522の側面(周面)に開口すると共に他端が第1通路524aに開口する少なくとも一つの第2通路524bと、を含む。好ましくは、複数(例えば4つ)の第2通路524bが周方向に等間隔で形成されている。
【0091】
逆止弁体520は、第1小径部522が逆止弁室510の一方の端壁面511側に位置すると共に第2小径部523が逆止弁室510の他方の端壁面512側に位置するように逆止弁室510に収容されている。また、逆止弁体520は、逆止弁室510内を一方の端壁面511に向かって移動すること及び他方の端壁面512に向かって移動することが可能である。
【0092】
逆止弁体520は、第1小径部522の端面522aが逆止弁室510の一方の端壁面511に当接することによって一方への移動が規制され、第2小径部523の端面523aが逆止弁室510の他方の端壁面512に当接することによって他方への移動が規制される。
【0093】
そして、
図8(A)に示されるように、逆止弁体520の第1小径部522の端面522aが逆止弁室510の一方の端壁面511から離隔すると、第5ポート531が開かれて第5ポート531と第6ポート532とが逆止弁室510及び内部通路524を介して連通する。
【0094】
一方、
図8(B)に示されるように、逆止弁体520の第1小径部522の端面522aが逆止弁室510の一方の端壁面511に当接すると、第5ポート531が閉じられて第5ポート531と第6ポート532との連通が遮断される。
【0095】
第2制御弁400の弁体420と同様に、逆止弁体520も例えば金属や樹脂材料で形成され得るが、軽量化のために樹脂材料で形成されるのが好ましい。また、逆止弁室510の一方の端壁面511及び/又は逆止弁体520の第1小径部522の端面522aとに非粘着性のコート層などが形成されてもよい。
【0096】
「供給通路145」
上述のように、第1制御弁300が開弁しているとき、第4連通路104cを介して吐出室142に連通する第2領域SR2と第3領域SR3とが、第1制御弁300の第2連通孔301b、弁室303、弁孔301c、第1感圧室302及び第1連通孔301aを介して連通する。第2制御弁400においては、第5連通路104dを介して第3領域SR3に連通する第1ポート431と第6連通路104eの一端である第4ポート434とが弁室410を介して連通する(
図5(A)参照)。逆止弁500においては、第6連通路104eに接続された第5ポート531と第7連通路101fを介してクランク室140に連通する第6ポート532とが逆止弁室510及び逆止弁体520の内部通路524を介して連通する(
図8(A)参照)。
【0097】
したがって、吐出室142とクランク室140とは、第4連通路104c、第2領域SR2、第1制御弁300(第2連通孔301b、弁室303、弁孔301c、第1感圧室302及び第1連通孔301a)、第3領域SR3、第5連通路104d、第2制御弁400(第1ポート431、弁室410及び第4ポート434)、第6連通路104e、逆止弁500(第5ポート531、逆止弁室510及び内部通路524、第6ポート532)及び第7連通路101fからなる第1通路によって連通し、当該第1通路を介して吐出室142内の冷媒(高圧冷媒)がクランク室140に供給される。つまり、本実施形態においては前記第1通路によって供給通路145が形成される。そして、第1制御弁300が弁孔301cの開度を調整すると(弁孔301cを開閉すると)供給通路145の開度が調整される(開閉される)ことになり、第1制御弁300の開閉に連動して逆止弁500が第5ポート531を開閉する。
【0098】
「第2排出通路146b」
第1制御弁300が閉弁しているときは弁孔301c(すなわち、供給通路145)が閉じられているので、吐出室142内の冷媒がクランク室140に供給されない。また、上述のように、第1制御弁300が閉弁しているとき、逆止弁500においては第5ポート531が閉じられている(
図8(B)参照)。また、第2制御弁400において、弁室410内は第1ポート431が開口する第1空間441と第2ポート432、第3ポート433及び第4ポート434が開口する第2空間442とに区画されると共に、第2ポート432と第3ポート433(及び切り欠き部435)とが第2空間442を介して連通する(
図5(B)参照)。ここで、第2ポート432は、センターボア101bの大径ボア部101b1、第2連通路101e及び第1連通路101dを介してクランク室140に連通しており、第3ポート433(及び切り欠き部435)は、バルブプレート103に形成された連通溝103c及び介在部材IMを貫通する接続孔162を介して吸入室141に連通している。
【0099】
したがって、クランク室140と吸入室141とは、第1排出通路146aだけではなく、第1連通路101d、第2連通路101e、センターボア101bの大径ボア部101b1、第2制御弁400(第2ポート432、第2空間442、第3ポート433、切り欠き部435)、連通溝103c及び接続孔162からなる第2通路によっても連通することになり、第1排出通路146a及び前記第2通路を介してクランク室140内の冷媒が吸入室141に排出される。つまり、本実施形態においては前記第2通路によって第2排出通路146bが形成される。そして、第2制御弁400において第2ポート432及び第3ポート433が閉じられると第2排出通路146bが閉じられることになる。
【0100】
「絞り通路147」
上述のように、第2制御弁400の弁室410は、供給通路145の一部を形成しており且つ供給通路145における第1制御弁300と逆止弁500との間に位置している。また、第2制御弁400の弁室410は、切り欠き部435、第3ポート433、連通溝103c及び接続孔162からなる第3通路によって吸入室141に連通しており(
図5(A)、
図7参照)、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁500との間の領域の冷媒は前記第3通路を介して吸入室141に排出される。ここで、上述のように、第2制御弁の弁室410は、切り欠き部435における弁体420の大径部421の一方の端面421aとバルブプレート103の端面との間の前記領域、第3ポート433、連通溝103c及び接続孔162を介して吸入室141に連通するようになっており、切り欠き部435における弁体420の大径部421の一方の端面421aとバルブプレート103の端面との間の前記領域が「絞り」として機能する。したがって、本実施形態においては前記第3通路によって絞り通路147が形成される。
【0101】
「第1制御弁300の動作」
第1制御弁300の弁体304には、前記駆動ユニットの発生する電磁力F(I)の他に、強制開放バネ311による付勢力f、弁室303の圧力(吐出室142の圧力Pd)による力、第1感圧室302の圧力(クランク室140の圧力Pc)による力、第2感圧室307の圧力(吸入室141の圧力Ps)による力及びベローズ305に内蔵するバネによる付勢力Fが作用する。
【0102】
ここで、ベローズ305の有効受圧面積Sb、弁体304により遮蔽する弁孔301cの面積であるシール面積Sv、弁体304の前記一方の端部(弁部)の受圧面積Srが等しくなるように設定されているので(Sb=Sv=Sr)、吐出室142の圧力Pdによる力及びクランク室140の圧力Pcによる力が排除されて、弁体304に作用する力のつりあいは、下式(1)で示され、下式(1)を変形すると下式(2)となる。なお、式(1)、(2)において、「+」は弁体304が弁孔301cを閉じる方向(弁体304の閉弁方向)を示し、「-」は弁体304が弁孔301cを開く方向(弁体304の開弁方向)を示す。
【0103】
F(I)-f+Ps・Sb-F=0・・・(1)
Ps=(F+f-F(I))/Sb・・・(2)
【0104】
ベローズ305、連結部306及び弁体304の連結体は、吸入室141の圧力が制御電流Iにより設定された設定圧力より高くなると、吐出容量を増大させるために、弁孔301c(すなわち、供給通路145)の開度(通路断面積)を小さくしてクランク室140の圧力を低下させ、吸入室141の圧力が前記設定圧力を下回ると、吐出容量を減少させるために、弁孔301c(すなわち、供給通路145)の開度を大きくしてクランク室140の圧力を上昇させる。つまり、第1制御弁300は、吸入室141の圧力が前記設定圧力に近づくように供給通路145の開度を自律制御する。
【0105】
弁体304には、ソレノイドロッド309を介して前記駆動ユニットの電磁力が閉弁方向に作用するので、モールドコイル314の通電量が増加すると供給通路145の開度を小さくする方向(すなわち、閉弁方向)の力が増大し、
図9に示されるように設定圧力が低下する方向に変化する。前記制御装置は、例えば400Hz~500Hzの範囲の所定の周波数でパルス幅変調(PWM制御)によりモールドコイル314への通電を制御し、モールドコイル314を流れる電流値が所望の値となるようにパルス幅(デューティ比)を変更する。
【0106】
前記エアコンシステムの作動時、つまり可変容量圧縮機100の作動状態では、前記制御装置は、前記エアコンシステムにおける空調設定(設定温度等)や外部環境に基づいてモールドコイル314への通電量を調整する。これにより、吸入室141の圧力が前記通電量に対応する設定圧力になるように可変容量圧縮機100の吐出容量が制御される。一方、前記エアコンシステムの非作動時、つまり可変容量圧縮機100の非作動状態では、前記制御装置は、モールドコイル314への通電をOFFする。これにより、供給通路145が強制開放バネ311によって開放され、可変容量圧縮機100の吐出容量は最小の状態に制御される。
【0107】
「第2制御弁400及び逆止弁500の動作」
第2制御弁400において、弁体420を弁室410の第2端壁面412に向けて押圧する力をF1とし、弁体420を弁室410の第1端壁面411に向けて押圧する力をF2とすると、F1及びF2は下式のように表せる。
F1=Ps×S1+Pc×S2
F2=Pm×(S1+S2)
Psは吸入室141の圧力であり、Pcはクランク室140の圧力であり、Pmは弁室410の圧力であり、S1は吸入室141の圧力が作用する面積であり、S2はクランク室140の圧力が作用する面積(被挿通部423の底面積を含む)である。なお、S2>S1である。
【0108】
ここで、可変容量圧縮機100が非作動状態のとき、第2制御弁400は、
図5(A)に示される状態にあるものとし、逆止弁500は、
図8(A)に示される状態にあるものとする。なお、上述のように、可変容量圧縮機100が非作動状態のとき、第1制御弁300は供給通路145を開いている。
【0109】
上記状態では、排出通路146は第1排出通路146aのみで構成され、また、吐出逆止弁200は連通路144を閉じている。このため、可変容量圧縮機100の駆動軸110が駆動されると、ピストン136の往復動によって圧縮されて吐出室142に吐出された冷媒(高圧冷媒)は供給通路145を介してクランク室140に導入される。これにより、クランク室140の圧力が上昇し、ピストン136のストローク(吐出容量)が最小に維持される。
【0110】
その後、第1制御弁300のモールドコイル314が通電されると、第1制御弁300は供給通路145を閉じる。すると、吐出室142内の冷媒が第2制御弁400の弁室410に供給されなくなる。また、第2制御弁400の弁室410内の冷媒は絞り通路147を介して吸入室141に排出される。このため、第2制御弁400の弁室410の圧力が低下する。第2制御弁400の弁室410は、第6連通路104e、逆止弁500及び第7連通路101fを介してクランク室140に連通しているので、クランク室140内の冷媒が第7連通路101fに流出する。すなわち、クランク室140から第2制御弁400の弁室410に向かう冷媒の逆流が発生する。逆止弁500の逆止弁体520は、逆流する冷媒によって押圧されて第5ポート531を閉じる(逆止弁500は、
図8(B)に示される状態となる)。これにより、クランク室140から第1制御弁300側に向かう冷媒の流れが阻止される。
【0111】
逆止弁500の逆止弁体520が第5ポート531を閉じると、第2制御弁400の弁室410の圧力は吸入室141の圧力と同等になる。すなわち、Pm=Psとなり、F1-F2=(Pc-Ps)×S2(Pc>Ps)となる。
【0112】
したがって、第2制御弁400において、「(Pc-Ps)×S2」が、弁体420の大径部421の一方の端面421aが第1端壁面411から離れるのに必要な抵抗力f1を上回ると、弁体420の大径部421の一方の端面421aが第1端壁面411から離隔して弁体420の大径部421の他方の端面421bが張り出し面414に当接する。すなわち、第2制御弁400は、
図5(B)に示された状態となる。これにより、第2ポート432と第3ポート433(及び切り欠き部435)とが第2空間442を介して連通し、第2排出通路146bが開かれる。
【0113】
つまり、第1制御弁300が供給通路145を閉じると、逆止弁500も供給通路145を閉じ、これによって、第2排出通路146bが開かれて排出通路146が第1排出通路146a及び第2排出通路146bで構成される。すなわち、排出通路146の開度が最大になる。したがって、クランク室140内の冷媒が速やかに吸入室141に排出されてクランク室140の圧力が吸入室141の圧力と同等となってピストン136のストローク(吐出容量)が最大になる。そして、ピストン136の往復動によって圧縮されて吐出室142の吐出された冷媒の圧力が上昇して吐出逆止弁200が連通路144を開き、冷媒が前記エアコンシステムの前記冷媒回路を循環する。
【0114】
なお、第2制御弁400において、弁体420の大径部421の他方の端面421bが張り出し面414に当接したとき、第1空間441と第2空間442とは弁体420の大径部421の他方の端面421bに形成された切り欠き溝424を介して連通しており、第1空間441の圧力と第2空間442の圧力とはほぼ等しくなっている。このため、弁体420は、第2ポート432から第2空間442に流入する冷媒流によって押圧され、大径部421の他方の端面421bが張り出し面414に当接した状態が保持される。
【0115】
ピストン136のストローク(吐出容量)が最大の状態で可変容量圧縮機100が運転され、吸入室141の圧力がモールドコイル314への通電量に対応する設定圧力まで低下すると、第1制御弁300が供給通路145を開き、第1空間441に吐出室142内の冷媒が流入する。第1空間441は第2空間442と切り欠き溝424のみで連通し、ほぼ閉塞された空間であるので、第1空間441の圧力(すなわち、弁室410の圧力)Pmが瞬時に上昇する。第1空間441の圧力Pmが作用する面積S3とするとF2=Pm×S3となり、クランク室140の圧力Pc=吸入室141の圧力PsであるからF1=Ps×S3となる。すなわち、F2-F1=(Pm-Ps)×S3となる。
【0116】
したがって、第2制御弁400において、「(Pm-Ps)×S3」が、弁体420の大径部421の他方の端面421bが張り出し面414から離れるのに必要な抵抗力f2を上回ると、弁体420の大径部421の他方の端面421bが張り出し面414から離隔して弁体420の大径部421の一方の端面421aが第1端壁面411に当接する。すなわち、第2制御弁400は、
図5(A)に示された状態となる。これにより、第2ポート432及び第3ポート433が閉じられ、第2排出通路146bが閉じられる。
【0117】
つまり、第1制御弁300が供給通路145を開くと、第2排出通路146bが閉じられて排出通路146が第1排出通路146aのみで構成される。同時に、吐出室142内の冷媒が第1制御弁300及び第2制御弁400を通過し、この冷媒流が逆止弁500の逆止弁体520を押圧して第5ポート531が開かれる。これにより、吐出室142内の冷媒がクランク室140に供給され、クランク室140の圧力が上昇してピストン136のストローク(吐出容量)が最大から減少する。そして、吸入室141の圧力がモールドコイル314への通電量に対応する設定圧力を維持するようにピストン136のストロークが調整される。
【0118】
本実施形態において、弁体420の大径部421の一方の端面421aが本発明の「弁体の第1端面」に相当し、弁体420の大径部421の他方の端面421bが「弁体の第2端面」に相当し、ガイド軸部415aが本発明の「弁体支持部」に相当し、軸部材415に形成された軸貫通孔415cが本発明の「導圧部」に相当する。
【0119】
本実施形態によれば、例えば、弁体420をガイド軸部415aに装着すると共に、ガイド軸部415aに装着された弁体420が収容穴104fに収容されるようにシリンダブロック101とシリンダヘッド104とを締結することによって、第2制御弁400が形成される。ここで、ガイド軸部415aの設置は容易であり、弁体420は一部品で形成され得る。このため、従来技術に比べて第2制御弁の構造が大幅に簡素化され、第2制御弁のコストの低減及び生産性の向上を図ることができる。
【0120】
また、弁体420は、被挿通部423にガイド軸部415aが挿通されることにより、弁室410の周壁面413に接触せず且つ弁室410の第1端壁面411に直交する方向に移動可能なように支持されている。このため、弁室410内における弁体420の安定且つ滑らかな移動が確保される。
【0121】
ここで、弁体420に形成された被挿通部423は有底穴(ガイド穴)として形成されている。このため、弁室410側からガイド軸部415aと被挿通部423との隙間に異物が侵入して弁体420の移動が阻害されてしまうことが防止される。また、被挿通部423の底部(閉塞空間)には、軸部材415(ガイド軸部415a)に形成された軸貫通孔415cを介してクランク室140の圧力が導かれている。このため、被挿通部423の底面にもクランク室140の圧力が確実に作用し、弁体420は、クランク室140の圧力Pcと弁室410の圧力(すなわち、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁500との間の領域の圧力)Pmとの差に敏感に応答して移動することが可能である。なお、軸貫通孔415cに代えて、軸部材415の外周面にガイド軸部415aの先端面から突出部415bの先端面まで延びる溝が形成されてもよい。
【0122】
以下、上述の実施形態の変形例について説明する。以下の各変形例によっても上述の実施形態と同様の効果が得られる。なお、以下では、主に上述の実施形態との相違する構成について説明し、上述の実施形態と共通する構成についての説明は適宜省略する。
【0123】
「供給通路145の変形例」
上述の実施形態において、供給通路145は第2制御弁400を経由しており、第2制御弁400の一部(第1ポート431、弁室410及び第4ポート434)が供給通路145の一部を形成している(
図5(A)参照)。しかし、これに限られるものではない。供給通路145が第2制御弁400を経由しなくてもよい。例えば、
図10に示されるように、第6連通路104eに代えて第8連通路104gが設けられてもよい(当然、第2制御弁400における第4ポート434もなくなる)。第8連通路104gの一端は逆止弁500の第5ポート531に接続され、第8連通路104gの他端は、第5連通路104dの前記他端と同様、第1制御弁300を収容する収容穴104a内の第3領域SR3に開口している。
【0124】
この場合、供給通路145は、第4連通路104c、第2領域SR2、第1制御弁300(第2連通孔301b、弁室303、弁孔301c、第1感圧室302及び第1連通孔301a)、第3領域SR3、第8連通路104g、逆止弁500(第5ポート531、逆止弁室510及び内部通路524、第6ポート532)及び第7連通路101fからなる通路によって形成される。また、第5連通路104dは、供給通路145における第1制御弁300と逆止弁500との間の領域の圧力を第2制御弁400の弁室410に導く導圧通路として機能する。
【0125】
「第2制御弁400の第1変形例」
上述の実施形態の第2制御弁400において、弁体420に形成された、ガイド軸部415aが摺動可能に挿通される被挿通部423は有底のガイド穴として形成されている。しかし、これに限られるものではない。
図11に示されるように、被挿通部423は、弁体420を大径部421の一方の端面421aから小径部422に先端面422aまでを貫通する貫通ガイド孔として形成されてもよい。なお、この場合においては軸部材415に軸貫通孔415cが形成されない。
【0126】
「第2制御弁400の第2変形例」
上述の実施形態においては、軸部材415が介在部材IMに固定され、ガイド軸部415aは弁室410内において第1端壁面411から第2端壁面412に向かって突出している。しかし、これに限られるものではない。
図12に示されるように、軸部材415が収容穴104fの前記底面に形成された嵌合孔に嵌合されて固定され、ガイド軸部415aが弁室410内において第2端壁面412から第1端壁面411に向かって突出してもよい。この場合、ガイド軸部415aが摺動可能に挿通される被挿通部423は、弁体420の小径部422の先端面422aの中央に開口すると共に弁体420の中心線に沿って延びる円柱状の有底穴として形成される。また、被挿通部423の内周面には、被挿通部423の底部(閉塞空間)と弁室410とを連通する少なくとも一つの連通溝423aが形成される。少なくも一つの連通溝423aに代えて又は加えてガイド軸部415aの外周面に少なくとも一つの連通溝(図示省略)が形成されてもよい。なお、第2制御弁400の第2変形例において、被挿通部423の内周面に形成された少なくとも一つの連通溝423a及び/又はガイド軸部415aの外周面に形成された少なくとも一つの連通溝が本発明の「連通部」に相当する。
【0127】
「第2制御弁400の第3変形例」
上述の実施形態において、弁体420は、大径部421の他方の端面421bが弁室410の張り出し面414に当接することによって前記他方への移動が規制されている。しかし、これに限られるものではない。
図13に示されるように、弁体420は、小径部422の先端面422aが弁室410の第2端壁面412に当接することによって前記他方への移動が規制されてもよい。この場合、弁体420の小径部422の先端面422aが第2端壁面412に当接したときに弁体420の大径部421の他方の端面421bと張り出し面414との間の隙間が最小(微小隙間)となる。また、弁体420の大径部421の他方の端面421bには切り欠き溝424が形成されない。なお、第2制御弁400の第3変形例においては、弁体420の小径部422の先端面422aが本発明の「弁体の第2端面」に相当し、弁体420の大径部421の他方の端面421bが本発明の「弁体の対向面」に相当する。
【0128】
ここで、上述の実施形態における軸部材415、第2制御弁400の変形例2における軸部材415及び第2制御弁400の変形例3における軸部材415としてスプリングピンが用いられてもよい。この場合、軸部材415に軸貫通孔415cや溝を形成したり、ガイド軸部415aの外周面に前記連通溝を形成したりする必要がないので便宜であり、コスト低減にも寄与し得る。
【0129】
「第2制御弁400の第4変形例」
図14に示されるように、弁体420が、小径部422及び被挿通部423に代えて、大径部421の一方の端面421aの中央から突出する第1軸部425及び大径部421の他方の端面421bの中央から突出する第2軸部426を有し、介在部材IM(弁室410の0の第1端壁面411)には軸部材415が固定されることに代えて第1軸部425を摺動可能に支持する第1支持部416が形成され、収容穴104fの前記底面(弁室410の第2端壁面412)に第2軸部426を摺動可能に支持する第2支持部417が形成されてもよい。この場合、第1支持部416は介在部材IMを貫通する貫通孔として形成され、第2支持部417は有底穴として形成される。また、第2軸部426の外周面には、有底穴として形成される第2支持部417の底面側(閉塞空間)と弁室410とを連通する少なくとも一つの連通溝426aが形成される。少なくも一つの連通溝426aに代えて又は加えて第2支持部417の内周面に少なくとも一つの連通溝(図示省略)が形成されてもよい。なお、本変形例において、第2軸部426の外周面に形成された少なくとも一つの連通溝426a及び/又は第2支持部417の内周面に形成された少なくとも一つの連通溝が本発明の「連通部」に相当する。
【0130】
「第1排出通路146aの変形例」
上述の実施形態において、第1排出通路146aは、シリンダブロック101に形成された第1連通路101dと介在部材IMを貫通する絞り孔161とで形成されている。しかし、これに限られるものではない。
図15に示されるように、絞り孔161に代えて弁体420の大径部421の一方の端面421aに環状溝428が形成されてもよい。環状溝428は、「絞り」として機能するようにその幅及び深さが設定されており、大径部421の一方の端面421aが弁室410の第1端壁面411に当接したときにその一部が第2ポート432及び第3ポート433に重なるように配置される。この場合、第1排出通路146aは、第1連通路101d、第2連通路101e、センターボア101bの大径ボア部101b1、第2制御弁400(第2ポート432、環状溝428、第3ポート433)、連通溝103c及び接続孔162によって形成される。なお、第2排出通路146bについては上述の実施形態と同様である。
【0131】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上述の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能である。
【符号の説明】
【0132】
100…可変容量圧縮機、101…シリンダブロック、101a…シリンダボア、101b…センターボア、140…クランク室(制御圧室)、141…吸入室、142…吐出室、145…供給通路、146…排出通路、146a…第1排出通路、146b…第2排出通路、147…絞り通路、300…第1制御弁、400…第2制御弁、410…弁室、411…第1端壁面、412…第2端壁面、413…周壁面、414…張り出し面、415…軸部材、415a…ガイド軸部(弁体支持部)、415c…軸貫通孔(導圧部)、416…第1支持部(弁体支持部)、417…第2支持部(弁体支持部)、420…弁体、421…大径部、421a…大径部の一方の端面(第1端面)、421b…大径部の他方の端面(第2端面,対向面)、422…小径部、422a…小径部の先端面(第2端面)、423…被挿通部、424…切り欠き溝、425…第1軸部、426…第2軸部、431…第1ポート、432…第2ポート、433…第3ポート、434…第4ポート、IM…介在部材