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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20221130BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B65H1/04 320Z
B65H7/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019053357
(22)【出願日】2019-03-20
(65)【公開番号】P2020152536
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】下坂 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】堺 雅晃
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-001053(JP,A)
【文献】特開平09-300756(JP,A)
【文献】特開平09-194080(JP,A)
【文献】特開2008-132613(JP,A)
【文献】特開2008-211321(JP,A)
【文献】特開2018-122950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/04
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体搬送方向と直交する方向に沿って溝部が形成された載置台と、
前記載置台の媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、媒体の幅方向を規制するサイドガイドと、
前記溝部の第1位置に向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1信号を生成する第1受光部を含む第1センサと、
前記溝部の前記第1位置と異なる第2位置に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2信号を生成する第2受光部を含む第2センサと、
前記第1信号に基づいて、前記第1位置に媒体が存在するか否かを判定するとともに、前記第2信号に基づいて、前記第2位置に媒体又は前記サイドガイドが存在するか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記サイドガイドが適切にセットされていないことを示す警告を利用者に通知する通知部と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記通知部は、前記第1位置に媒体が存在し、且つ、前記第2位置に媒体及びサイドガイドが存在しない場合、前記警告を利用者に通知する、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記第1位置に媒体が存在しない場合、前記載置台に載置された媒体のサイズが所定サイズ未満であるとみなし、前記警告を利用者に通知しない、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記第1センサ及び前記第2センサは、前記媒体搬送装置の筐体の上部に配置される、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
前記サイドガイドには、突起部が設けられ、
前記溝部は、前記突起部をガイドする、請求項1~4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記通知部が前記警告を利用者に通知した後に、前記サイドガイドが移動されることなく、利用者による媒体の搬送指示を受け付けた場合、前記第1信号又は前記第2信号の少なくとも一方に基づいて、媒体の撓みが発生しているか否かを判定する撓み判定部をさらに有する、請求項1~5の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記通知部が前記警告を利用者に通知した後に、前記サイドガイドが移動されることなく、利用者による媒体の搬送指示を受け付けた場合、媒体の搬送速度を変更する、又は、媒体を搬送しない制御部をさらに有する、請求項1~5の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
媒体搬送方向と直交する方向に沿って溝部が形成された載置台と、前記載置台の媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、媒体の幅方向を規制するサイドガイドと、前記溝部の第1位置に向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1信号を生成する第1受光部を含む第1センサと、前記溝部の前記第1位置と異なる第2位置に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2信号を生成する第2受光部を含む第2センサと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、
前記第1信号に基づいて、前記第1位置に媒体が存在するか否かを判定するとともに、前記第2信号に基づいて、前記第2位置に媒体又は前記サイドガイドが存在するか否かを判定し、
前記判定による判定結果に基づいて、前記サイドガイドが適切にセットされていないことを示す警告を利用者に通知する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
媒体搬送方向と直交する方向に沿って溝部が形成された載置台と、前記載置台の媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、媒体の幅方向を規制するサイドガイドと、前記溝部の第1位置に向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1信号を生成する第1受光部を含む第1センサと、前記溝部の前記第1位置と異なる第2位置に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2信号を生成する第2受光部を含む第2センサと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
前記第1信号に基づいて、前記第1位置に媒体が存在するか否かを判定するとともに、前記第2信号に基づいて、前記第2位置に媒体又は前記サイドガイドが存在するか否かを判定し、
前記判定による判定結果に基づいて、前記サイドガイドが適切にセットされていないことを示す警告を利用者に通知する、
ことを前記媒体搬送装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、媒体の幅方向を規制するサイドガイドを有する媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、媒体を搬送するスキャナ装置等の媒体搬送装置は、媒体が良好に搬送されるように、載置台に載置された媒体の幅方向を規制するサイドガイドを有する。このようなサイドガイドは、様々なサイズの媒体が良好に搬送されるように、媒体の幅方向に移動可能に設けられている。しかしながら、利用者が、載置台に載置された媒体にあわせるようにサイドガイドをセットすることを忘れてしまい、サイドガイドがセットされずに媒体が搬送される場合がある。その場合、媒体が傾いて搬送され、媒体全体が撮像されないこと、又は、媒体が搬送路の側壁に衝突して媒体のジャム(紙詰まり)が発生することがある。
【0003】
用紙束を積載可能な給紙トレイ装置と、給紙トレイ装置に積載した用紙に対し接離する方向に移動可能に設けられ、用紙の載置位置を規制するサイドガイドと、を有し、給紙トレイ装置から給紙された用紙に複写する複写装置が開示されている(特許文献1を参照)。この複写装置は、給紙トレイ装置の内部にサイドガイドセンサを設けて、給紙トレイ装置の外側に載置された用紙を検知し、用紙に対してサイドガイドが正しくセットされているかを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平03-041726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
媒体搬送装置では、サイドガイドが適切にセットされていない場合に利用者に警告を精度良く通知することが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、サイドガイドが適切にセットされていない場合に利用者に警告を精度良く通知することが可能な媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体搬送方向と直交する方向に沿って溝部が形成された載置台と、載置台の媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、媒体の幅方向を規制するサイドガイドと、溝部の第1位置に向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1信号を生成する第1受光部を含む第1センサと、溝部の第1位置と異なる第2位置に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2信号を生成する第2受光部を含む第2センサと、第1信号に基づいて、第1位置に媒体が存在するか否かを判定するとともに、第2信号に基づいて、第2位置に媒体又はサイドガイドが存在するか否かを判定する判定部と、判定部による判定結果に基づいて、サイドガイドが適切にセットされていないことを示す警告を利用者に通知する通知部と、を有する。
【0008】
また、本発明の一側面に係る制御方法は、媒体搬送方向と直交する方向に沿って溝部が形成された載置台と、載置台の媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、媒体の幅方向を規制するサイドガイドと、溝部の第1位置に向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1信号を生成する第1受光部を含む第1センサと、溝部の第1位置と異なる第2位置に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2信号を生成する第2受光部を含む第2センサと、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、第1信号に基づいて、第1位置に媒体が存在するか否かを判定するとともに、第2信号に基づいて、第2位置に媒体又はサイドガイドが存在するか否かを判定し、判定部による判定結果に基づいて、サイドガイドが適切にセットされていないことを示す警告を利用者に通知する。
【0009】
また、本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体搬送方向と直交する方向に沿って溝部が形成された載置台と、載置台の媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、媒体の幅方向を規制するサイドガイドと、溝部の第1位置に向けて光を照射する第1発光部、及び、受光した光に応じた第1信号を生成する第1受光部を含む第1センサと、溝部の第1位置と異なる第2位置に向けて光を照射する第2発光部、及び、受光した光に応じた第2信号を生成する第2受光部を含む第2センサと、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、第1信号に基づいて、第1位置に媒体が存在するか否かを判定するとともに、第2信号に基づいて、第2位置に媒体又はサイドガイドが存在するか否かを判定し、判定部による判定結果に基づいて、サイドガイドが適切にセットされていないことを示す警告を利用者に通知することを媒体搬送装置に実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムは、サイドガイドが適切にセットされていない場合に利用者に警告を精度良く通知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】各光センサについて説明するための模式図である。
図4】各光センサについて説明するための模式図である。
図5】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
図6】記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
図7】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図9】判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
図10】第1光信号の特性について説明するための模式図である。
図11】検出結果と、利用者への警告の有無とを示す表である。
図12】他の処理回路260の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0014】
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
【0015】
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。即ち、上側筐体102は、下側筐体101の上側に配置され、下側筐体101を覆う筐体カバーとして機能する。
【0016】
載置台103は、搬送される媒体を載置面103a上に載置可能に下側筐体101に係合している。載置台103は、媒体の載置面103aが媒体搬送装置100の設置面に対して傾くように設けられている。載置台103には、媒体搬送方向A1と直交する、媒体の幅方向A2に沿って溝部103b、103cが形成されている。
【0017】
載置台103は、サイドガイド107a、107bを有する。各サイドガイド107a、107bは、それぞれ溝部103b、103cに沿って、載置台103の媒体搬送方向と直交する、媒体の幅方向A2に移動可能に設けられ、且つ、載置台103に載置された媒体の幅方向を規制する。媒体搬送装置100では、利用者により、媒体が載置台103の幅方向A2の中央位置に載置され、サイドガイド107a、107bが、載置された媒体の両端に当接するようにセットされる。そのために、サイドガイド107a、107bは、幅方向A2において載置台103の中央位置に対して常に線対称に配置されるように、連動して移動する。また、各サイドガイド107a、107bは、各サイドガイド107a、107bの載置面103aと直交する方向A3の高さが、媒体搬送装置100がサポートする、載置台103における媒体の最大積載量より大きくなるように設けられている。以下では、サイドガイド107a、107bを総じてサイドガイド107と称する場合がある。
【0018】
排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
【0019】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0020】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0021】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、第1光センサ111、第2光センサ112、第3光センサ113、第1媒体検出センサ114、給送ローラ115、ブレーキローラ116、第1搬送ローラ117、第2搬送ローラ118、第2媒体検出センサ119、第1撮像装置120a、第2撮像装置120b、第3搬送ローラ121及び第4搬送ローラ122等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。以下では、第1撮像装置120a及び第2撮像装置120bを総じて撮像装置120と称する場合がある。
【0022】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド108aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド108bを形成する。図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0023】
各サイドガイド107a、107bには、それぞれ溝部103b、103cと対向する位置に、載置台103側に向かって突起する突起部107c、107dが設けられる。各溝部103b、103cは、各突起部107c、107dをガイドし、各サイドガイド107a、107bは、突起部107c、107dを溝部103b、103cに沿って移動させることにより、幅方向A2に移動する。
【0024】
第1媒体検出センサ114は、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113より媒体搬送方向A1の下流側に配置される。なお、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113は、載置台103の状態を検出可能であれば、第1媒体検出センサ114より下流側に配置されてもよい。第1媒体検出センサ114は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体検出センサ114は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体検出信号を生成して出力する。
【0025】
第2媒体検出センサ119は、媒体搬送方向A1において第1搬送ローラ117及び第2搬送ローラ118より下流側且つ撮像装置120より上流側に配置される。第2媒体検出センサ119は、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第2媒体検出センサ119は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第2媒体検出信号を生成して出力する。第2媒体検出センサ119の位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、第2媒体検出センサ119の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第2媒体検出信号の信号値は変化する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
【0026】
第1撮像装置120aは、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサを有する。また、第1撮像装置120aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置120aは、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0027】
同様に、第2撮像装置120bは、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。また、第2撮像装置120bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置120bは、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
【0028】
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置120a及び第2撮像装置120bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。
【0029】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ115が図2の矢印A4の方向に回転することによって、下側ガイド108aと上側ガイド108bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ116は、媒体搬送時、矢印A5の方向に回転する。給送ローラ115及びブレーキローラ116の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ115と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0030】
媒体は、下側ガイド108aと上側ガイド108bによりガイドされながら、第1搬送ローラ117と第2搬送ローラ118の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ117及び第2搬送ローラ118がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって、第1撮像装置120aと第2撮像装置120bの間に送り込まれる。撮像装置120により読み取られた媒体は、第3搬送ローラ121及び第4搬送ローラ122がそれぞれ矢印A8及び矢印A9の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0031】
図3及び図4は、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113について説明するための模式図である。図3は、媒体搬送装置100の上流側を、サイドガイド107を取り外した状態で側方から見た模式図である。図4は、媒体搬送装置100の上流側を上方から見た模式図である。
【0032】
図3に示すように、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113は、上側筐体102の上部に、即ち媒体の搬送路に対して上側に、且つ、媒体搬送方向A1において給送ローラ115及びブレーキローラ116より上流側に配置される。また、図4に示すように、幅方向A2において、第1光センサ111は、中央側に配置され、第2光センサ112は、第1光センサ111より外側(サイドガイド107a側)に配置され、第3光センサ113は、第2光センサ112よりさらに外側に配置される。
【0033】
以下、媒体搬送装置100がサポートする媒体の幅方向A2のサイズの上限値がA4判の短辺の長さである場合を例として説明する。この場合、幅方向A2において、サイドガイド107aが載置台103の中央位置P0から最も離れる位置P4は、中央位置P0からA4判の短辺の長さの1/2の距離(105mm)だけ離れた位置である。以下では、位置P4を初期位置と称する場合がある。
【0034】
第1光センサ111は、幅方向A2において、中央位置P0からB6判の短辺の長さの1/2の距離(64mm)の範囲外且つA5判の短辺の長さの1/2の距離(74mm)の範囲内の位置P1(例えば中央位置P0から69mm離れた位置)に配置される。特に、第1光センサ111は、幅方向A2において、B6判の用紙が載置台103の中央位置に載置された場合に、その用紙の端部に当接しているサイドガイド107aと重なる位置に配置されることが好ましい。これにより、第1光センサ111は、載置台103の中央位置に載置されたB6判の用紙に当接しているサイドガイド107aを良好に検出することができる。
【0035】
また、第1光センサ111は、幅方向A2において、所定サイズの媒体が載置台103の中央位置に載置されたときに、その媒体の端部が存在する位置に配置されることが好ましい。所定サイズは、その媒体が傾いて搬送されても、媒体が搬送路の側壁に衝突せず、且つ、媒体全体が撮像装置120に撮像されると推定されるサイズである。
【0036】
例えば、媒体搬送装置100がサポートする媒体の幅方向A2のサイズの上限値がA4判の短辺の長さである場合、所定サイズはB6判の短辺の長さとA5判の短辺の長さの間のサイズに設定される。幅方向A2において、媒体搬送路の側壁間の距離がA4判の短辺の長さより大きい場合、B6判の短辺の長さ以下の媒体が傾いて搬送されても搬送路の側壁に衝突する可能性は低い。また、幅方向A2において、撮像装置120のラインセンサの長さがA4判の短辺の長さより長い場合、B6判の短辺の長さ以下の媒体が傾いて搬送されても、媒体全体が撮像装置120に撮像される可能性は高い。
【0037】
第2光センサ112は、幅方向A2において、中央位置P0からA5判の短辺の長さの1/2の距離(74mm)の範囲外且つB5判の短辺の長さの1/2の距離(91mm)の範囲内の位置P2(例えば中央位置P0から83mm離れた位置)に配置される。特に、第2光センサ112は、幅方向A2において、A5判の用紙が載置台103の中央位置に載置された場合に、その用紙の端部に当接しているサイドガイド107aと重なる位置に配置されることが好ましい。これにより、第2光センサ112は、載置台103の中央位置に載置されたA5判の用紙に当接しているサイドガイド107aを良好に検出することができる。
【0038】
第3光センサ113は、幅方向A2において、中央位置P0からB5判の短辺の長さの1/2の距離(91mm)の範囲外且つA4判の短辺の長さの1/2の距離(105mm)の範囲内の位置P3(例えば中央位置P0から97mm離れた位置)に配置される。特に、第3光センサ113は、幅方向A2において、B5判の用紙が載置台103の中央位置に載置された場合に、その用紙の端部に当接しているサイドガイド107aと重なる位置に配置されることが好ましい。これにより、第3光センサ113は、載置台103の中央位置に載置されたB5判の用紙に当接しているサイドガイド107aを良好に検出することができる。
【0039】
また、第2光センサ112は、幅方向A2において、第1光センサ111から、サイドガイド107aの幅方向A2の長さと略同一距離だけ離れた位置に配置されることが好ましい。さらに、第3光センサ113は、幅方向A2において、第2光センサ112から、サイドガイド107aの幅方向A2の長さと略同一距離だけ離れた位置に配置されることが好ましい。これにより、幅方向A2において、サイドガイド107aが第1光センサ111の配置位置から第3光センサ113の配置位置までの範囲内に載置されている場合に、何れかの光センサがサイドガイド107aを検出することができる。
【0040】
第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113は、赤外線近接距離センサであり、赤外線の照射から反射までの時間差から、対向する位置に存在する物体までの距離を測定する。第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113として、例えば、0~100mmの範囲で、1mmの分解能で距離を測定できる公知の赤外線近接距離センサを利用できる。
【0041】
図3に示すように、第1光センサ111は、発光器111a及び受光器111bを含む。発光器111aは、媒体搬送方向A1に沿って上流側に向けて、特に載置台103に形成された溝部103bに向けて光(赤外光)を照射する。即ち、発光器111aは、溝部103bの位置P11に向けて光を照射する。位置P11は、幅方向A2において第1光センサ111の配置位置と略同一の位置である。一方、受光器111bは、発光器111aにより照射され、溝部103b、載置台103に載置された媒体、又は、サイドガイド107aにより反射された光を受光し、受光した光に応じた電気信号である第1光信号を生成して出力する。第1光信号の信号値は、第1光センサ111から、発光器111aが照射した光の反射位置までの距離を示す。例えば、第1光信号の信号値は、発光器111aが光を照射してから受光器111bが光を受光するまでの時間に比例した値を示す。なお、第1光信号の信号値は、受光器111bが受光した光の強度が小さい程大きい値を示してもよい。
【0042】
第2光センサ112は、発光器112a及び受光器112bを含む。発光器112aは、媒体搬送方向A1に沿って上流側に向けて、特に載置台103に形成された溝部103bに向けて光を照射する。即ち、発光器112aは、溝部103bの位置P12に向けて光を照射する。位置P12は、幅方向A2において第2光センサ112の配置位置と略同一の位置であり、位置P11と異なる。一方、受光器112bは、発光器112aにより照射され、溝部103b、載置台103に載置された媒体、又は、サイドガイド107aにより反射された光を受光し、受光した光に応じた電気信号である第2光信号を生成して出力する。第2光信号は、第1光信号と同様に生成される信号である。
【0043】
第3光センサ113は、発光器113a及び受光器113bを含む。発光器113aは、媒体搬送方向A1に沿って上流側に向けて、特に載置台103に形成された溝部103bに向けて光を照射する。即ち、発光器113aは、溝部103bの位置P13に向けて光を照射する。位置P13は、幅方向A2において第3光センサ113の配置位置と略同一の位置であり、位置P11及び位置P12と異なる。一方、受光器113bは、発光器113aにより照射され、溝部103b、載置台103に載置された媒体、又は、サイドガイド107aにより反射された光を受光し、受光した光に応じた電気信号である第3光信号を生成して出力する。第3光信号は、第1光信号及び第2光信号と同様にして生成される信号である。
【0044】
第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113は、載置台103側からの光を受光するように設けられる。一方、太陽光等の略上方からの光は上側筐体102の上面102aに遮られて、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113に直接入射しない。
【0045】
図5は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0046】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及びCPU(Central Processing Unit)150、処理回路160等をさらに有する。
【0047】
駆動装置131は、1つ又は複数のモータを含み、CPU150からの制御信号によって、給送ローラ115、ブレーキローラ116、第1搬送ローラ117、第2搬送ローラ118、第3搬送ローラ121及び第4搬送ローラ122を回転させて媒体を搬送させる。
【0048】
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0049】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0050】
また、記憶装置140は、データとして、媒体の搬送速度の設定値、及び、撓み検出フラグを記憶する。撓み検出フラグは、載置台103に載置された媒体の撓みの検出処理を実行する場合、ONに設定され、媒体の撓みの検出処理を実行しない場合、OFFに設定される。撓み検出フラグの初期値はOFFに設定される。
【0051】
CPU150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてもよい。また、CPU150に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0052】
CPU150は、操作装置105、表示装置106、第1光センサ111、第2光センサ112、第3光センサ113、第1媒体検出センサ114、第2媒体検出センサ119、撮像装置120、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路160等と接続され、これらの各部を制御する。CPU150は、駆動装置131の駆動制御、撮像装置120の撮像制御等を行い、画像を取得し、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置に送信する。また、CPU150は、第1光センサ111、第2光センサ112又は第3光センサ113により生成される各光信号に基づいて、サイドガイド107aが適切にセットされていない場合に利用者に警告を通知する。
【0053】
処理回路160は、撮像装置120により撮像された画像に所定の画像処理を実行し、画像処理が実行された画像を記憶装置140に格納する。なお、処理回路160の代わりに、DSP、LSI,ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
【0054】
図6は、記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
【0055】
図6に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、判定プログラム142、通知プログラム143、撓み検出プログラム144及び画像取得プログラム145等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、CPU150は、制御部151、判定部152、通知部153、撓み検出部154及び画像取得部155として機能する。
【0056】
図7は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0057】
以下、図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図7に示す動作のフローは、定期的に実行される。
【0058】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読取指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0059】
次に、制御部151は、第1媒体検出センサ114から第1媒体検出信号を取得し、取得した第1媒体検出信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0060】
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0061】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、判定部152は、判定処理を実行する(ステップS103)。判定処理において、判定部152は、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113から第1光信号、第2光信号及び第3光信号を取得し、取得した各光信号に基づいて、サイドガイド107aが適切にセットされているか否かを判定する。判定処理の詳細については後述する。
【0062】
次に、通知部153は、判定処理において、判定部152によりサイドガイド107aの位置が適切であると判定されたか適切でないと判定されたかを特定する(ステップS104)。サイドガイド107aの位置が適切であると判定された場合、通知部153は、処理をステップS111へ移行する。
【0063】
一方、サイドガイド107aの位置が適切でないと判定された場合、通知部153は、サイドガイドが適切にセットされていないことを示す警告を利用者に通知する(ステップS105)。通知部153は、警告を表示装置106に表示することにより、利用者に警告を通知する。なお、通知部153は、警告を示す情報を、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置に送信し、警告を情報処理装置に表示させることにより利用者に警告を通知してもよい。このように、通知部153は、判定部152による判定結果に基づいて、利用者に警告を通知する。
【0064】
次に、判定部152は、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113から第1光信号、第2光信号及び第3光信号を取得する(ステップS106)。
【0065】
次に、判定部152は、利用者によりサイドガイド107aが移動されたか否かを判定する(ステップS107)。判定部152は、ステップS106で取得した第1光信号、第2光信号及び第3光信号の何れの信号値も、ステップS103の判定処理で取得していた信号値から変化していない場合、利用者によりサイドガイド107aが移動されていないと判定する。一方、判定部152は、ステップS106で取得した第1光信号、第2光信号及び第3光信号の内の何れかの信号値が、ステップS103の判定処理で取得していた信号値から変化した場合、利用者によりサイドガイド107aが移動されたと判定する。利用者によりサイドガイド107aが移動された場合、判定部152は、処理をステップS103へ戻し、判定処理を再実行する。
【0066】
利用者によりサイドガイド107aが移動されていない場合、制御部151は、利用者による媒体の搬送指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS108)。利用者により操作装置105を用いて媒体の搬送指示が入力されて、媒体の搬送を指示する操作信号を操作装置105から受信した場合、制御部151は、利用者による媒体の搬送指示を受け付ける。利用者による媒体の搬送指示を受け付けていない場合、判定部152は、処理をステップS106へ戻し、再度、利用者によりサイドガイド107aが移動されたか否かを判定する。
【0067】
一方、利用者による媒体の搬送指示を受け付けた場合、制御部151は、記憶装置140に記憶された媒体の搬送速度の設定値を変更する(ステップS109)。制御部151は、媒体の搬送速度の設定値を、サイドガイド107aが適切にセットされている場合の設定値(基準値)より低い(遅い)値になるように変更する。
【0068】
このように、制御部151は、通知部153が警告を利用者に通知した後に、サイドガイド107aが移動されることなく、利用者による媒体の搬送指示を受け付けた場合、媒体の搬送速度を変更する。この場合、サイドガイド107aが適切にセットされないまま媒体が搬送されるため、媒体が傾いて搬送されるスキューが発生する可能性が高い。制御部151は、サイドガイド107aが適切にセットされていない場合の媒体の搬送速度を、サイドガイド107aが適切にセットされている場合の媒体の搬送速度より低くすることにより、媒体のスキューの発生を抑制できる。また、利用者は、媒体のスキューが発生している途中で媒体の搬送を停止させやすくなるため、制御部151は、媒体のジャムの発生を抑制できる。
【0069】
なお、制御部151は、通知部153が警告を利用者に通知した後に、サイドガイド107aが移動されることなく、利用者による媒体の搬送指示を受け付けた場合、媒体の搬送速度を変更するのでなく、一連のステップを終了し、媒体を搬送しなくしてもよい。これにより、制御部151は、媒体のスキュー又はジャムの発生を防止できる。
【0070】
次に、制御部151は、記憶装置140に記憶された撓み検出フラグをONに設定する(ステップS110)。
【0071】
次に、制御部151は、駆動装置131を駆動して、給送ローラ115、ブレーキローラ116、第1~第4搬送ローラ117、118、121及び122を回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS111)。制御部151は、記憶装置140に記憶された媒体の搬送速度の設定値に従って媒体が搬送されるように、駆動装置131を駆動する。また、画像取得部155は、撮像装置120に、搬送された媒体の撮像を開始させる。
【0072】
次に、制御部151は、撓み検出フラグがONに設定されているか否かを判定する(ステップS201)。上記したように、撓み検出フラグの初期値はOFFに設定され、通知部153が警告を利用者に通知した後に、サイドガイド107aが移動されることなく、利用者による媒体の搬送指示を受け付けた場合、ステップS110でONに設定される。撓み検出フラグがOFFに設定されている場合、制御部151は、処理をステップS204へ移行する。
【0073】
一方、撓み検出フラグがONに設定されている場合、撓み検出部154は、第1光信号、第2光信号及び第3光信号に基づいて、媒体の撓みが発生しているか否かを判定する(ステップS202)。
【0074】
撓み検出部154は、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113から第1光信号、第2光信号及び第3光信号を定期的に取得する。撓み検出部154は、取得した各光信号の信号値から、ステップS103の判定処理で取得されていた各光信号の信号値を減算した減算値を各光信号の変化量として算出し、記憶装置140に記憶しておく。撓み検出部154は、光信号毎に、変化量が連続して変化閾値以上であった期間を算出し、何れかの光信号について算出した期間が期間閾値以上である場合に、給送される媒体に撓みが発生したと判定する。変化閾値及び期間閾値は、それぞれ、例えば様々な種類の媒体を給送させる実験において、媒体の撓みが発生した場合に算出された変化量及び期間と、媒体の撓みが発生しなかった場合に算出された変化量及び期間との間の値に予め設定される。
【0075】
なお、撓み検出部154は、第1光信号、第2光信号及び第3光信号の全てを使用するのでなく、第1光信号、第2光信号及び第3光信号の内の少なくとも一つに基づいて、媒体の撓みが発生しているか否かを判定してもよい。
【0076】
媒体の撓みが発生している場合、制御部151は、駆動装置131を停止し(ステップS203)、一連のステップを終了する。
【0077】
このように、撓み検出部154は、通知部153が警告を利用者に通知した後に、サイドガイド107aが移動されることなく、利用者による媒体の搬送指示を受け付けた場合、媒体の撓みが発生しているか否かを判定する。この場合、サイドガイド107aが適切にセットされないまま媒体が搬送されるため、媒体の搬送中に媒体が浮いてしまい、媒体の撓みが発生し、その結果、媒体のジャムが発生する可能性がある。媒体搬送装置100は、媒体の撓みが発生している場合に媒体の搬送を停止させることにより、媒体のジャムの発生を防止できる。一方、サイドガイド107aの位置が適切である場合、撓み検出部154は、媒体の撓みが発生しているか否かを判定しない。これにより、媒体搬送装置100は、媒体読取処理の処理負荷が増大し、処理時間が増大することを抑制できる。
【0078】
媒体の撓みが発生していない場合、画像取得部155は、媒体の後端が撮像装置120を通過したか否かを判定する(ステップS204)。画像取得部155は、第2媒体検出センサ119から第2媒体検出信号を定期的に受信し、受信した第2媒体検出信号に基づいて、媒体の後端が第2媒体検出センサ119の位置を通過したか否かを判定する。画像取得部155は、第2媒体検出センサ119の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2媒体検出センサ119の位置を通過したと判定する。画像取得部155は、媒体の後端が第2媒体検出センサ119の位置を通過してから所定時間経過したときに、媒体の後端が撮像装置120を通過したと判定する。所定時間は、媒体が第2媒体検出センサ119の位置から撮像装置120まで移動する時間に予め設定される。媒体の後端が撮像装置120を通過していない場合、画像取得部155は、処理をステップS201へ戻す。
【0079】
一方、媒体の後端が撮像装置120を通過した場合、画像取得部155は、撮像装置120から入力画像を取得する(ステップS205)。
【0080】
次に、画像取得部155は、入力画像を、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS206)。なお、情報処理装置と接続されていない場合、画像取得部155は、入力画像を記憶装置140に記憶しておく。
【0081】
次に、制御部151は、第1媒体検出センサ114から取得する第1媒体検出信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS207)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS201へ処理を戻し、ステップS201~S207の処理を繰り返す。
【0082】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、駆動装置131を停止し(ステップS208)、一連のステップを終了する。
【0083】
なお、ステップS106~S107の処理は省略され、判定部152は、通知部153が利用者に警告を通知した後に、判定処理を再実行しなくてもよい。また、ステップS108の処理は省略され、制御部151は、通知部153が利用者に警告を通知した後に、利用者による媒体の搬送指示を受け付けず、サイドガイド107aが適切にセットされるまで媒体の搬送を開始しなくてもよい。また、ステップS109の処理は省略され、制御部151は、媒体の搬送速度を変更しなくてもよい。また、ステップS110の処理は省略され、撓み検出部154は、媒体の撓みを検出しなくてもよい。また、ステップS106~S110の処理は省略され、通知部153が利用者に警告を通知した場合、制御部151は、一連のステップを終了し、媒体を搬送しなくしてもよい。
【0084】
図9は、判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0085】
図9に示す動作のフローは、図7に示すフローチャートのステップS103において実行される。
【0086】
最初に、判定部152は、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113から第1光信号、第2光信号及び第3光信号を取得する(ステップS301)。
【0087】
次に、判定部152は、第1光信号に基づいて、溝部103bの位置P11(図4を参照)にサイドガイド107aが存在するか否かを判定する(ステップS302)。
【0088】
図10は、第1光信号の特性について説明するための模式図である。
【0089】
図10のグラフ1000において、横軸は時間を示し、縦軸は第1光信号の信号値、即ち第1光センサ111から、発光器111aが照射した光の反射位置までの距離を示す。実線1001は、位置P11にサイドガイド107a及び媒体が存在しない場合の第1光信号の特性を示す。実線1002は、位置P11に一枚の用紙が存在する場合の第1光信号の特性を示す。実線1003は、位置P11に、媒体搬送装置100がサポートする最大積載量の用紙が存在する場合の第1光信号の特性を示す。実線1004は、位置P11にサイドガイド107aが存在する場合の第1光信号の特性を示す。
【0090】
第1光センサ111は、上側筐体102の上部に設けられ、載置台103に向けて光を照射するため、第1光信号は、載置台103の載置面103aに対する、発光器111aが照射した光の反射位置の高さが高いほど小さくなる。
【0091】
位置P11にサイドガイド107a及び媒体が存在しない場合、第1光センサ111の発光器111aにより照射された光は溝部103bで反射する。一方、位置P11に一枚の用紙が存在する場合、発光器111aにより照射された光は溝部103bまで到達せずに用紙で反射する。そのため、位置P11に一枚の用紙が存在する場合の第1光信号1002の信号値は、位置P11にサイドガイド107a及び媒体が存在しない場合の第1光信号1001の信号値より小さくなる。
【0092】
また、位置P11に最大積載量の用紙が存在する場合、発光器111aにより照射された光は最も上側に載置された用紙で反射し、光が反射する位置は、位置P11に一枚の用紙が存在する場合に光が反射する位置より高くなる。そのため、位置P11に最大積載量の用紙が存在する場合の第1光信号1002の信号値は、位置P11に一枚の用紙が存在する場合の第1光信号1003の信号値より小さくなる。
【0093】
また、上記したように、サイドガイド107aの高さは、最大積載量の媒体の高さより高い。したがって、位置P11にサイドガイド107aが存在する場合、発光器111aにより照射された光はサイドガイド107aの上端部で反射し、光が反射する位置は、位置P11に最大積載量の用紙が存在する場合に光が反射する位置より高くなる。そのため、位置P11にサイドガイド107aが存在する場合の第1光信号1004の信号値は、位置P11に最大積載量の用紙が存在する場合の第1光信号1003の信号値より小さくなる。
【0094】
媒体搬送装置100では、位置P11にサイドガイド107a及び媒体が存在しない場合の第1光信号1001の信号値と、一枚の用紙が存在する場合の第1光信号1002の信号値との間に第1閾値が設定される。これにより、媒体搬送装置100は、位置P11にサイドガイド107a及び媒体が存在しない状態と、サイドガイド107a又は媒体の何れかが存在する状態とを判別できる。また、媒体搬送装置100では、位置P11に最大積載量の媒体が存在する場合の第1光信号1003の信号値と、サイドガイド107aが存在する場合の第1光信号1004の信号値との間に第2閾値が設定される。第2閾値は、第1閾値より小さい値に設定される。これにより、媒体搬送装置100は、サイドガイド107aが存在しない状態と存在する状態とを判別できる。
【0095】
判定部152は、第1光信号の信号値が第2閾値未満であるか否かを判定する。判定部152は、信号値が第2閾値未満である場合、位置P11にサイドガイド107aが存在すると判定し、信号値が第2閾値以上である場合、位置P11にサイドガイド107aが存在しないと判定する。
【0096】
位置P11にサイドガイド107aが存在する場合、判定部152は、載置台に載置された媒体のサイズが所定サイズ未満であるとみなす(ステップS303)。上記したように、所定サイズは、その媒体が傾いて搬送されても、媒体が搬送路の側壁に衝突せず、且つ、媒体全体が撮像装置120に撮像されると推定されるサイズである。
【0097】
例えば、第1光センサ111は、幅方向A2において、所定サイズの媒体が載置台103の中央位置に載置されたときに、その媒体の端部が存在する位置に配置される。また、媒体搬送装置100では、媒体は、利用者により載置台103の幅方向A2の中央位置に載置される。したがって、位置P11にサイドガイド107aが存在するときは、載置された媒体の幅方向A2のサイズは、所定サイズ未満であるとみなされる。
【0098】
次に、判定部152は、サイドガイド107aの位置が適切であると判定し(ステップS304)、一連のステップを終了する。この場合、通知部153は、利用者に警告を通知しない。
【0099】
一方、位置P11にサイドガイド107aが存在しない場合、判定部152は、第1光信号に基づいて、位置P11に媒体が存在するか否かを判定する(ステップS305)。判定部152は、第1光信号の信号値が第1閾値未満であるか否かを判定する。判定部152は、信号値が第1閾値未満である場合、位置P11に媒体が存在すると判定し、信号値が第1閾値以上である場合、位置P11に媒体が存在しないと判定する。
【0100】
位置P11に媒体が存在しない場合、即ち位置P11にサイドガイド107a及び媒体が存在しない場合、判定部152は、載置台に載置された媒体のサイズが所定サイズ未満であるとみなす(ステップS303)。
【0101】
例えば、第1光センサ111は、幅方向A2において、所定サイズの媒体が載置台103の中央位置に載置されたときに、その媒体の端部が存在する位置に配置される。また、媒体搬送装置100では、媒体は、利用者により載置台103の幅方向A2の中央位置に載置される。したがって、位置P11にサイドガイド107a及び媒体が存在しない場合、載置された媒体の幅方向A2のサイズは、所定サイズ未満であるとみなされる。
【0102】
次に、判定部152は、サイドガイド107aの位置が適切であると判定し(ステップS304)、一連のステップを終了する。この場合、通知部153は、利用者に警告を通知しない。
【0103】
一方、位置P11に媒体が存在する場合、判定部152は、第2光信号に基づいて、溝部103bの位置P12(図4を参照)にサイドガイド107aが存在するか否かを判定する(ステップS306)。第2光信号の特性は、図10に示した第1光信号の特性と同様である。判定部152は、第2光信号の信号値が第2閾値未満であるか否かを判定する。判定部152は、信号値が第2閾値未満である場合、位置P12にサイドガイド107aが存在すると判定し、信号値が第2閾値以上である場合、位置P12にサイドガイド107aが存在しないと判定する。
【0104】
位置P12にサイドガイド107aが存在する場合、即ち位置P11に媒体が存在し且つ位置P12にサイドガイド107aが存在する場合、判定部152は、サイドガイド107aの位置が適切であると判定する(ステップS304)。そして、判定部152は、一連のステップを終了する。この場合、通知部153は、利用者に警告を通知しない。この場合は、幅方向A2において、媒体の端部は位置P11より外側に位置しており、媒体の端部とサイドガイド107aの間の距離は十分に小さいため、媒体のスキューが発生する可能性は低い。
【0105】
一方、位置P12にサイドガイド107aが存在しない場合、判定部152は、第1光信号に基づいて、位置P12に媒体が存在するか否かを判定する(ステップS307)。判定部152は、第2光信号の信号値が第1閾値未満であるか否かを判定する。判定部152は、信号値が第1閾値未満である場合、位置P12に媒体が存在すると判定し、信号値が第1閾値以上である場合、位置P12に媒体が存在しないと判定する。
【0106】
位置P12に媒体が存在しない場合、即ち位置P11に媒体が存在し且つ位置P12にサイドガイド107a及び媒体が存在しない場合、判定部152は、サイドガイド107aの位置が適切でないと判定する(ステップS308)。そして、判定部152は、一連のステップを終了する。この場合、通知部153は、図7のステップS105において利用者に警告を通知する。この場合は、幅方向A2において、媒体の端部は位置P12より内側に位置し、サイドガイド107aは、位置P12より外側に配置されて媒体の端部から離間しているため、媒体のスキューが発生する可能性が高い。
【0107】
一方、位置P12に媒体が存在する場合、判定部152は、第3光信号に基づいて、溝部103bの位置P13(図4を参照)にサイドガイド107aが存在するか否かを判定する(ステップS309)。第3光信号の特性は、図10に示した第1光信号の特性と同様である。判定部152は、第3光信号の信号値が第2閾値未満であるか否かを判定する。判定部152は、信号値が第2閾値未満である場合、位置P13にサイドガイド107aが存在すると判定し、信号値が第2閾値以上である場合、位置P13にサイドガイド107aが存在しないと判定する。
【0108】
位置P13にサイドガイド107aが存在する場合、即ち位置P12に媒体が存在し且つ位置P13にサイドガイド107aが存在する場合、判定部152は、サイドガイド107aの位置が適切であると判定する(ステップS304)。そして、判定部152は、一連のステップを終了する。この場合、通知部153は、利用者に警告を通知しない。この場合は、幅方向A2において、媒体の端部は位置P12より外側に位置しており、媒体の端部とサイドガイド107aの間の距離は十分に小さいため、媒体のスキューが発生する可能性は低い。
【0109】
一方、位置P13にサイドガイド107aが存在しない場合、判定部152は、第3光信号に基づいて、位置P13に媒体が存在するか否かを判定する(ステップS310)。判定部152は、第3光信号の信号値が第1閾値未満であるか否かを判定する。判定部152は、信号値が第1閾値未満である場合、位置P13に媒体が存在すると判定し、信号値が第1閾値以上である場合、位置P13に媒体が存在しないと判定する。
【0110】
位置P13に媒体が存在しない場合、即ち位置P12に媒体が存在し且つ位置P13にサイドガイド107a及び媒体が存在しない場合、判定部152は、サイドガイド107aの位置が適切でないと判定する(ステップS308)。そして、判定部152は、一連のステップを終了する。この場合、通知部153は、図7のステップS105において利用者に警告を通知する。この場合は、幅方向A2において、媒体の端部は位置P13より内側に位置し、サイドガイド107aは、位置P13より外側に配置されて媒体の端部から離間しているため、媒体のスキューが発生する可能性が高い。
【0111】
一方、位置P13に媒体が存在する場合、判定部152は、サイドガイド107aの位置が適切であると判定する(ステップS304)。そして、判定部152は、一連のステップを終了する。この場合、通知部153は、利用者に警告を通知しない。この場合は、幅方向A2において、媒体の端部は位置P13より外側に位置しており、サイドガイド107aが初期位置P4に存在していても、媒体の端部とサイドガイド107aの間の距離は十分に小さい。そのため、媒体のスキューが発生する可能性は低い。
【0112】
ステップS305~S307のように、判定部152は、第1光信号に基づいて、位置P11に媒体が存在するか否かを判定するとともに、第2光信号に基づいて、位置P12に媒体又はサイドガイド107aが存在するか否かを判定する。通知部153は、位置P11に媒体が存在し、且つ、位置P12に媒体及びサイドガイド107aが存在しない場合、利用者に警告を通知する。また、通知部153は、位置P11に媒体が存在しない場合、載置台103に載置された媒体のサイズが所定サイズ未満であるとみなし、利用者に警告を通知しない。即ち、第1光センサ111及び第2光センサ112の組合せは第1センサ及び第2センサの組合せの一例である。この場合、位置P11、第1光センサ111の発光器111a、受光器111b、第1光信号はそれぞれ第1位置、第1発光部、第1受光部、第1信号の一例である。また、位置P12、第2光センサ112の発光器112a、受光器112b、第2光信号はそれぞれ第2位置、第2発光部、第2受光部、第2信号の一例である。
【0113】
また、ステップS307、S309~S310のように、判定部152は、第2光信号に基づいて、位置P12に媒体が存在するか否かを判定するとともに、第3光信号に基づいて、位置P13に媒体又はサイドガイド107aが存在するか否かを判定する。通知部153は、位置P12に媒体が存在し、且つ、位置P13に媒体及びサイドガイド107aが存在しない場合、利用者に警告を通知する。即ち、第2光センサ112及び第3光センサ113の組合せは第1センサ及び第2センサの組合せの一例である。この場合、位置P12、第2光センサ112の発光器112a、受光器112b、第2光信号はそれぞれ第1位置、第1発光部、第1受光部、第1信号の一例である。また、位置P13、第3光センサ113の発光器113a、受光器113b、第3光信号はそれぞれ第2位置、第2発光部、第2受光部、第2信号の一例である。
【0114】
また、ステップS305、S309~S310のように、判定部152は、第1光信号に基づいて、位置P11に媒体が存在するか否かを判定するとともに、第3光信号に基づいて、位置P13に媒体又はサイドガイド107aが存在するか否かを判定する。通知部153は、位置P11に媒体が存在し、且つ、位置P13に媒体及びサイドガイド107aが存在しない場合、利用者に警告を通知する。即ち、第1光センサ111及び第3光センサ113の組合せは第1センサ及び第2センサの組合せの一例である。この場合、位置P11、第1光センサ111の発光器111a、受光器111b、第1光信号はそれぞれ第1位置、第1発光部、第1受光部、第1信号の一例である。また、位置P13、第3光センサ113の発光器113a、受光器113b、第3光信号はそれぞれ第2位置、第2発光部、第2受光部、第2信号の一例である。
【0115】
なお、本実施形態では、媒体が載置台103の幅方向A2の中央位置に載置されることを前提として、判定部152は、サイドガイド107aの位置が適切であるか否かを判定している。しかしながら、判定部152は、媒体が載置台103の幅方向A2の中央位置に載置されないことを想定して、サイドガイド107aの位置が適切であるか否かを判定してもよい。例えば、判定部152は、位置P11に媒体及びサイドガイド107aが存在せず、位置P12に媒体が存在し、且つ、位置P13に媒体及びサイドガイド107aが存在しない場合も、サイドガイド107aの位置が適切でないと判定してもよい。
【0116】
また、媒体搬送装置100において、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113の内の一つは省略されてもよい。第1光センサ111が省略された場合、ステップS302、S305の処理が省略される。第2光センサ112が省略された場合、ステップS306、S307の処理が省略される。第3光センサ113が省略された場合、ステップS309、S310の処理が省略される。その場合、位置P12に媒体が存在するときは、サイドガイド107aの位置が適切であると判定される。
【0117】
また、媒体搬送装置100は、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113に加えて、さらに一又は複数の光センサを有し、各光センサが生成した信号に基づいて、サイドガイド107aの位置が適切であるか否かを判定してもよい。これにより、媒体搬送装置100は、サイドガイド107aの位置が適切であるか否かの判定精度をさらに向上させることができる。
【0118】
また、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113は、載置台103の中央位置に対して線対称に、即ちサイドガイド107b側に配置されるように設けられてもよい。その場合、媒体搬送装置100は、サイドガイド107b側に配置された各光センサを用いて、サイドガイド107bの位置が適切であるか否かを判定する。
【0119】
また、媒体搬送装置100において、サイドガイド107a及びサイドガイド107bは、連動して移動するのでなく、独立して移動するように設けられてもよい。その場合、媒体搬送装置100には、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113と同様の光センサが、載置台103の中央位置に対して線対称に、即ちサイドガイド107b側に配置されるように設けられる。媒体搬送装置100は、サイドガイド107b側に配置された各光センサを用いて、サイドガイド107bの位置が適切であるか否かを判定する。これにより、媒体搬送装置100は、サイドガイド107a及びサイドガイド107bが独立して移動する場合でも、各サイドガイド107の位置が適切であるか否かを判定できる。
【0120】
また、媒体搬送装置100において、サイドガイド107bは固定され、サイドガイド107aのみが移動可能に設けられてもよい。その場合、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113の配置位置は、載置台103に、サイドガイド107bを基準として各サイズの用紙が載置された場合の各用紙の端部の位置に基づいて設定される。これにより、媒体搬送装置100は、サイドガイド107bに沿って片側基準で原稿が搬送される場合でも、サイドガイド107aの位置が適切であるか否かを判定できる。
【0121】
また、ステップS302の処理が省略され、判定部152は、第1光信号の信号値が第2閾値未満である場合も、位置P11に媒体が存在すると判定してもよい。また、ステップS306の処理が省略され、判定部152は、第2光信号の信号値が第2閾値未満である場合も、位置P12に媒体が存在すると判定してもよい。それらの場合、サイドガイド107aの位置が適切であるか否かの判定精度は低下するが、媒体搬送装置100は、判定処理の処理時間を短縮させることができる。
【0122】
図11は、載置台103に様々なサイズの用紙が載置され、サイドガイド107aが様々な位置に配置された場合の各位置P11、P12及びP13における検出結果と、利用者への警告の有無とを示す表である。
【0123】
この例では、第1光センサ111、第2光センサ112及び第3光センサ113は、それぞれ上記した位置P1、P2及びP3に配置されているものとする(図4を参照)。また、各サイズの用紙は、載置台103の幅方向A2の中央位置に、長辺が媒体搬送方向A1に向くように載置されるものとする。
【0124】
載置台103にA4判の用紙が載置され且つサイドガイド107aが初期位置P4に配置された場合、位置P11、P12及びP13の全てで媒体が検出される。この場合、図9のステップS305、S307及びS310で各位置P11、P12及びP13に媒体が存在すると判定され、警告は通知されない。
【0125】
載置台103にB5判の用紙が載置され且つサイドガイド107aが初期位置P4に配置された場合、位置P11及びP12で媒体が検出され、位置P13で溝部103bが検出される。この場合、図9のステップS305及びS307で各位置P11及びP12に媒体が存在すると判定され、ステップS309及びS310で位置P13に媒体及びサイドガイド107aが存在しないと判定され、警告が通知される。一方、載置台103にB5判の用紙が載置され且つサイドガイド107aがB5判の用紙の端部位置に配置された場合、位置P11及びP12で媒体が検出され、位置P13でサイドガイド107aが検出される。この場合、図9のステップS305及びS307で各位置P11及びP12に媒体が存在すると判定され、ステップS309で位置P13にサイドガイド107aが存在すると判定され、警告が通知されない。
【0126】
載置台103にA5判の用紙が載置され且つサイドガイド107aが初期位置P4又はB5判の用紙の端部位置に配置された場合、位置P11で媒体が検出され、位置P12で溝部103bが検出される。この場合、図9のステップS305で位置P11に媒体が存在すると判定され、ステップS306及びS307で位置P12に媒体及びサイドガイド107aが存在しないと判定され、警告が通知される。一方、載置台103にA5判の用紙が載置され且つサイドガイド107aがA5判の用紙の端部位置に配置された場合、位置P11で媒体が検出され、位置P12でサイドガイド107aが検出される。この場合、図9のステップS305で位置P11に媒体が存在すると判定され、ステップS306で位置P12にサイドガイド107aが存在すると判定され、警告は通知されない。
【0127】
載置台103にB6判の用紙が載置され且つサイドガイド107aが初期位置P4、B5判の用紙の端部位置又はA5判の用紙の端部位置に配置された場合、位置P11で溝部103bが検出される。この場合、図9のステップS302及びS305で位置P11に媒体及びサイドガイド107aが存在しないと判定され、警告は通知されない。一方、載置台103にB6判の用紙が載置され且つサイドガイド107aがA6判の用紙の端部位置に配置された場合、位置P11でサイドガイド107aが検出される。この場合、図9のステップS302で位置P11にサイドガイド107aが存在すると判定され、警告は通知されない。
【0128】
このように、載置台103に載置される用紙のサイズと、サイドガイド107aの配置位置とがどのような組合せでも、媒体搬送装置100は、用紙の端部位置と、サイドガイド107aの配置位置との関係が適切であるか否かを正しく判定できる。
【0129】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、載置台103に向けて光を照射するセンサを用いて、載置台103の複数の位置における媒体及びサイドガイド107aの有無を判定し、その判定結果に基づいて利用者に警告を通知する。これにより、媒体搬送装置100は、外乱の影響を低減させて、サイドガイド107aの位置が適切であるか否かを精度良く判定し、サイドガイド107が適切にセットされていない場合に利用者に警告を精度良く通知することが可能となった。その結果、媒体搬送装置100は、媒体がサイドガイド107によってガイドされずに傾いて搬送され、媒体全体が撮像されないこと、又は、媒体のジャムが発生することを抑制することが可能となった。
【0130】
特に、各光センサは、上側筐体102の上部に、載置台103側からの光を受光するように設けられ、太陽光等の略上方からの光は、上側筐体102の上面102aに遮られて、各光センサに直接入射しない。そのため、媒体搬送装置100は、太陽光等の外乱の影響を低減させて、サイドガイド107aの位置が適切であるか否かを判定することができる。また、各光センサは、載置台103に対して、載置面103aと直交する方向A3の上方に設けられるため、各光センサには、載置台103に載置された用紙の紙粉等が堆積することがなく、各光センサに汚れが発生することが抑制される。
【0131】
また、媒体搬送装置100は、複数のセンサを用いて、載置台103の複数の位置における媒体及びサイドガイド107aの有無を判定することにより、様々なサイズの媒体について、適切に警告を通知することが可能となる。
【0132】
図12は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路260の概略構成を示す図である。処理回路260は、媒体搬送装置100の処理回路160の代わりに使用され、CPU150の代わりに、媒体読取処理を実行する。処理回路260は、制御回路261、判定回路262、通知回路263、撓み検出回路264及び画像取得回路265等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0133】
制御回路261は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路261は、操作装置105から操作信号を、第1媒体検出センサ114から第1媒体検出信号を、判定回路262からサイドガイド107aの配置位置の判定結果を、撓み検出回路264から媒体の撓みの検出結果を受信する。制御回路261は、受信した各信号に応じて駆動装置131を駆動するとともに、媒体の搬送速度を変更し、又は、媒体を搬送しないように駆動装置131を制御する。
【0134】
判定回路262は、判定部の一例であり、判定部152と同様の機能を有する。判定回路262は、第1光センサ111から第1光信号を、第2光センサ112から第2光信号を、第3光センサ113から第3光信号を受信する。判定回路262は、受信した各信号に基づいてサイドガイド107aの配置位置を判定し、判定結果を制御回路261及び通知回路263に出力する。
【0135】
通知回路263は、通知部の一例であり、通知部153と同様の機能を有する。通知回路263は、判定回路262からサイドガイド107aの配置位置の判定結果を受信し、受信した情報に基づいて、警告を表示装置106に又はインタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置に表示することにより、利用者に通知する。
【0136】
撓み検出回路264は、撓み検出部の一例であり、撓み検出部154と同様の機能を有する。撓み検出回路264は、第1光センサ111から第1光信号を、第2光センサ112から第2光信号を、第3光センサ113から第3光信号を受信し、受信した各信号に基づいて、媒体の撓みを検出し、検出結果を制御回路261に出力する。
【0137】
画像取得回路265は、画像取得部の一例であり、画像取得部155と同様の機能を有する。画像取得回路265は、第2媒体検出センサ119から第2媒体検出信号を、撮像装置120から入力画像を受信し、入力画像を記憶装置140に記憶するとともにインタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する。
【0138】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路260を用いる場合においても、サイドガイド107aが適切にセットされていない場合に利用者に警告を精度良く通知することが可能となった。
【符号の説明】
【0139】
100 媒体搬送装置、103 載置台、103b、103c 溝部、107a、107b サイドガイド、107c、107d 突起部、111 第1光センサ、112 第2光センサ、113 第3光センサ、111a、112a、113a 発光器、111b、112b、113b 受光器、151 制御部、152 判定部、153 通知部、154 撓み検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12