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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
A63F7/02 332Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019067514
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020162943
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】谷口 俊介
(72)【発明者】
【氏名】纐纈 睦
(72)【発明者】
【氏名】宮本 彰
【審査官】辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-110332(JP,A)
【文献】特開2015-144735(JP,A)
【文献】特開2018-164569(JP,A)
【文献】特開2006-223584(JP,A)
【文献】特開2013-121443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
始動入賞に応じて特別状態に移行するための単位遊技を実行可能な遊技機を管理対象とし、遊技機側から出力される遊技信号により特定可能な遊技情報であって、始動入賞の入賞状況、或いは単位遊技の実行状況を示す始動情報と、遊技機の稼動状況を示す稼動情報と、遊技機を稼動させることにより生じた損益を示す損益情報と、を含む遊技情報を特定する遊技情報特定手段と、
始動情報を区分するための範囲であるS範囲を予め複数設定し、いずれのS範囲に属するかにより始動情報を区分することで、当該始動情報に対応する稼動情報と損益情報とをS範囲単位で区分して管理するS範囲管理手段と、
他のS範囲との間での対応する稼動情報の比較結果、及び対応する前記損益情報と基準下限損益情報との比較結果が、予め設定される下限条件を満足する前記S範囲を、始動情報の基準となる下限範囲である下限S範囲として特定する下限S範囲特定手段と、
を備えた遊技場用システム。
【請求項2】
前記稼動情報に基づいて前記S範囲に付与された順位と基準順位との比較結果と、前記損益情報と基準上限損益情報との比較結果とが、予め設定される上限条件を満足する前記S範囲を、始動情報の基準となる上限範囲である上限S範囲として特定する上限S範囲特定手段を備えた請求項1に記載の遊技場用システム。
【請求項3】
前記上限S範囲特定手段は、前記下限S範囲よりも属する始動情報により示される頻度が高いS範囲であることを条件に前記上限S範囲を特定する請求項2に記載の遊技場用システム。
【請求項4】
前記下限S範囲特定手段は、前記下限条件を満足する前記S範囲が複数ある場合は、属する始動情報により示される頻度がより低いS範囲を前記下限S範囲として特定する請求項1から3のいずれか一項に記載の遊技場用システム。
【請求項5】
異常を通知する異常通知手段を備え、
前記単位遊技は、役物が動作した動作状態と、役物が停止した停止状態とを呈するように実行され、
前記遊技情報特定手段は、前記遊技情報として、遊技機が稼動状態にある期間において役物が停止状態にある期間に関する停止期間情報を特定可能であり、
前記S範囲管理手段は、前記停止期間情報を前記S範囲により区分して管理し、
前記異常通知手段は、前記下限S範囲に対応する前記停止期間情報と基準停止期間情報との比較に基づいて異常を通知する請求項1から4のいずれか一項に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場において遊技機を管理する場合、例えば特許文献1の図12のように基準値から+側、或いは-側に対して一定の範囲を基準情報として定め、その基準情報と遊技情報とを比較することで異常を特定する遊技場用システムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-110332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように一定の範囲を基準情報として定めた場合、不正のような異常を特定することは比較的容易だが、例えば遊技者が不快に思う程に数値が低い、或いは稼動に影響が出ないにも関わらず必要以上に数値が高いといった異常は、遊技者の不快度や満足度等が機種単位、或いは遊技場単位等で異なることから特定し難く、このような観点で基準情報を特定できないものかといったニーズも少なくない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技者の不快度、或いは満足度等を考慮した上で適切な基準情報を特定し得る遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明によれば、始動情報を複数に区分して対応する稼動情報と損益情報とを管理し、他のS範囲との間で対応する稼動情報の比較結果、及び対応する損益情報と基準下限損益情報との比較結果により始動情報の基準となる下限範囲である下限S範囲を特定するため、遊技者の不快度、或いは満足度等を考慮した上で適切な基準情報を特定し得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態における遊技場用システムの全体構成を示す概略図
図2】モード別スペック値を示す図
図3】各遊技機の素データの一覧を示す図
図4】各遊技機の遊技情報の集計を示す図
図5】スペック情報を示す図
図6】理論情報を示す図
図7】TOPメニューから配置パターンを選択する手順を示す図
図8】汎用帳票から関連帳票を表示する手順を示す図
図9】サブウィンドウを示す図
図10】玉粗利要素分析ウィンドウを示す図
図11】通知サブウィンドウを示す図
図12】通知ポップウィンドウを示す図
図13】S入賞に対応した各遊技情報を示す図
図14】サブウィンドウを示す図
図15】通知サブウィンドウを示す図
図16】通知ポップウィンドウを示す図
図17】汎用帳票と通知サブウィンドウと通知ポップアップを示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場A内には複数機種の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技装置2が設置されている。これら遊技機1及び遊技装置2は2台ずつ中継装置3に接続されており、中継装置3はLAN4を介して管理装置5(遊技情報特定手段、S範囲管理手段、下限S範囲特定手段、上限S範囲特定手段、異常通知手段、自店管理手段、第1基準特定手段、第2基準特定手段、異常報知手段、抑制手段、管理手段、記憶手段、異常特定手段、表示手段)と接続されている。
【0009】
遊技場A内には、図示しないPOSや残高精算機も設置されており、これらPOSや残高精算機もLAN4を介して管理装置5と接続されている。尚、図1では図示を省略したが、実際には多数(例えば数百台)の遊技機1が管理装置5の管理対象となっている。
【0010】
管理装置5は、遊技場A内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード6、モニタ7(表示手段)、プリンタ(図示略)等が接続されている。管理装置5は、遊技機側(遊技機1、遊技装置2等)から出力される遊技信号を入力することで、遊技機1毎の遊技情報、会員登録された会員毎の個人情報、遊技機1や遊技装置2等の稼動状態等を管理する。
【0011】
遊技場用システムでは、別の遊技場(図1の例示では遊技場B、遊技場C)においても、上記した遊技機1、遊技装置2、中継装置3、LAN4、管理装置5等を設置した遊技場Aと同様の構成が採用されている。各遊技場A~Cに設置されている各管理装置5は、夫々インターネットやVPN接続等の公衆回線8を介して、各遊技場A~Cとは別に設置されているサーバ9と接続されており、各種信号や各種情報を公衆回線8等を介してサーバ9と通信可能に構成されている。
【0012】
遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ機であり、盤面10に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル11、上部受皿12、下部受皿13を有すると共に、盤面10に、液晶表示部14、普図入賞口15、第1始動口16、第2始動口17、大入賞口18等を有する。
遊技機1は以下に示すように動作する。
【0013】
(1)第1始動口16は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口17は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口16、17への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を液晶表示部14にて行う図柄変動(役物が動作した動作状態)にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなり図柄変動が停止(役物が停止した停止状態)する。
【0014】
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0015】
(3)図2は、大当り抽選の当選確率(大当り確率)に係るスペック値を例示している。同図に示すように、「大当り確率」は、確変状態(確変)でも大当りでもない通常遊技状態(通常状態)と確変とを対象として規定され、「継続回数」は、大当りがその後に確変となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率等の大当りの継続回数に関わる値を規定している。
【0016】
(4)大当りが発生すると対応するラウンド(R)分だけ大入賞口18を開放する。尚、1Rの上限入賞数は10個、上限開放期間は30秒であり、上限入賞数または上限開放期間のいずれかが満たされた場合に1Rを終了する。対応するラウンドも大当り抽選と同様に抽選され、その振分率は第1始動口16に入賞した場合は2Rが10%で4Rが51%で15Rが39%であるが、第2始動口17の場合は4Rが10%で15Rが90%となり、入賞に応じた図柄変動の保留消化優先順位は第1始動口16よりも第2始動口17の方が高く設定される。
【0017】
(5)確変中は大当り確率が向上すると共に、第2始動口17の入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。尚、確変は次回大当りまで継続するため、通常状態となる大当り(通常大当り)が発生するまで継続し、その後は所定の時短回数(例えば100回)の図柄変動を行うまで時短状態となる。
【0018】
(6)第2始動口17は普図入賞口15への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動期間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。また、開放期間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動期間が短くなる一方、開放期間は長くなることで第2始動口17の入賞率が高くなる。以上は機種Aを例にして説明したが、例示した値は例えば機種Bであればラウンドの振分が異なる等、機種に応じて様々な値となる。
【0019】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口16、17への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
・アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト(遊技機の稼動状況を示す稼動情報))を特定可能な信号(稼動信号)。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定。尚、遊技機側から出力される信号でもよい。
【0020】
・セーフ信号=遊技機側から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号。入賞に応じた払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。尚、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としてもよい。また、玉を実際に払出した際に出力される実セーフ信号と、入賞に応じて払出が予約された場合に出力される入賞セーフ信号とがあるが、入賞から出力までのタイムラグを極力省くため後者を採用することが望ましい。
【0021】
・スタート信号=遊技機側から出力される始動入賞(S入賞)により変動(作動)する液晶表示部14(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)、及びスタート(スタート処理数)を特定可能な信号。図柄変動確定時に出力されるので信号入力に応じてスタート処理を特定する。
【0022】
・S入賞信号=遊技機側から出力されるS入賞を特定可能な信号。始動入賞時に出力されるので信号入力に応じて始動入賞を特定する。尚、スタートとS入賞とのいずれか一方のみを管理する等、兼用して管理対象としてもよい。
・大当り信号=遊技機側から出力される大当り期間を特定可能な信号。大当り中にレベル出力される状態信号なので大当り信号入力中を大当り中として特定する。
【0023】
・特別状態信号=遊技機側から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号。第2始動口17の入賞率が向上する特別状態中(時短中(確変時を含む))にレベル出力される状態信号なので、特別状態信号入力中を特別状態中として特定する。尚、大当り確率が向上する確変中にレベル出力される状態信号(確変信号)であってもよい。また、大当り信号と特別状態信号のいずれも入力していない期間を通常状態として特定する。
【0024】
遊技装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、当該遊技装置や遊技機等の状態を示す状態表示灯19、貨幣(貨幣価値、有価価値)が投入される貨幣投入口20、遊技者からの入力操作を受け付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当り確率等の遊技情報を表示するタッチパネル式の液晶表示部21、持玉(会員であれば貯玉も含む、獲得価値、有価価値)を払い出すための払出釦22、払い出された玉が通過する払出ノズル23、一般カードや会員カードが挿入されるカード挿入口24、遊技機1の下部受皿13の下方に位置する着脱可能な計数受皿25等を有する。
【0025】
遊技装置2は、以下に示す機能を備えている。
(1)貨幣を受け付けると(貨幣受付処理)と、遊技機1と遊技装置2の双方に入金額を表示すると共に貸出1単位(例えば500円)分の貸出玉(対価付与価値)を遊技機1から払い出させ(対価付与処理)、その対価付与処理に応じて入金額の表示を貸出玉の対価を除いた残高の表示とする。貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0026】
(2)残高がある状態で遊技機1の貸出釦が押下(貸出操作、付与操作)されると、貸出1単位分の貸出玉を遊技機1から払い出させ、その対価分を残高から引き落とす。また、所謂各台計数機能も備えており、遊技者が獲得した獲得玉を計数し、その計数した獲得玉を対価として再度玉を払い戻すことも可能であり、その払い戻し分の対価を除いた玉数を持玉として特定することも可能である。
【0027】
(3)残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦が押下(発行操作)されると、残玉や持玉を特定可能な一般カードを発行する。尚、残高や持玉の一部を発行対象とする分割発行は説明の簡略化のため不可としたが可能としてもよい。
【0028】
(4)中継装置3とのシリアル通信(売上信号の受信)により貨幣受付処理や対価付与処理、残高や貸出玉数、入金額や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、計数玉、持玉、払戻玉、及び一般カードの受付や発行処理を特定可能であるが、これらはパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)でも特定可能である。
【0029】
管理装置5の制御部(単に「管理装置5」と称す)は、マイクロコンピュータを主体に構成され、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部、I/O等を備えており、その不揮発性の記憶部に記憶された制御プログラムに従い動作する。管理装置5は、遊技機側から出力される遊技信号により特定可能な遊技情報を管理する管理手段として各遊技機1の遊技情報を集計している。
【0030】
図3は管理装置5が営業日単位で集計した例えば機種Aに属する各遊技機1の基データ(実績値)の一覧を示しており、以下の各項目が設定されている。
・アウト=アウト信号により特定される遊技機1にて消費された遊技価値
・セーフ=セーフ信号により特定される遊技機1への入賞に応じて付与された遊技価値
・スタート=スタート信号により特定される遊技機1における役物の作動回数(図柄変動数)
・S入賞=S入賞信号により特定される始動入賞回数
・売上玉=売上信号により特定される対応する貸出機にて貨幣価値を対価として付与された遊技価値(貸出玉数、対価付与価値)
【0031】
・大当り数=大当り信号により特定される大当り数で、「通常」は通常時に発生した大当り数で所謂「初当り」数、「特定」は特定の条件を満たす(例えばT1Yに対して設定される基準範囲(例えば1000~2000)内のT1Yとなった)大当りである特定大当りの発生回数
・Tアウト<Tセーフ>=T中(大当り中、及び甘中)のアウト<セーフ>
・T1アウト<T1セーフ>=T1中(大当り中)のアウト<セーフ>
・特T1アウト<特T1セーフ>=特定大当りのみを対象としたT1中のアウト<セーフ>
【0032】
尚、図3の「平均」は機種Aを対象とした遊技機平均であり、「甘中」は時短などの特別状態期間に対応した遊技情報を示す。また、本実施形態では、所謂貯玉に基づく再プレイシステムのない遊技場を前提としているが、再プレイシステムのある遊技場であれば、売上玉に再プレイ玉を含めて演算することが望ましい。但し、図1に示す払出ノズル23は遊技者が当日に獲得した獲得玉を払戻すための再プレイ用であり、この再プレイ玉は売上玉に含める必要はない。
【0033】
また、管理装置5は、遊技情報を所定期間単位で管理可能であり、図3の基データに基づいて当該所定期間(例えば一週間、一カ月といった複数日からなる参照期間)における各遊技機1の遊技情報を集計する。ここで、図4は例えば機種Aに属する各遊技機1の遊技情報の集計(実績情報)であり、以下の各項目が設定されている。尚、実績情報とは実績値のみだけではなく、実績値に基づく理論値も含む概念である。
【0034】
・ベース=状態(通常時、甘中)別の出率で、「通常」はBセーフ÷BO、「甘中」はBセーフA÷BOAの演算値を示す遊技情報(遊技価値の付与状況)
【0035】
尚、以下も含め通常中のアウトであるBOはアウト-Tアウト、通常中のセーフであるBセーフはセーフ-Tセーフ、甘中のアウトであるBOAはTアウト-T1アウト、甘中のセーフであるBセーフAはTセーフ-T1セーフにて特定しているが、BO、Bセーフ、BOA、BセーフAを素データとして求めてもよい。以下、通常中のベースを単にベース、甘中のベースをBAとも言うことがある。
【0036】
・平均S=状態別のアウトに対する図柄変動数の割合で、通常(甘中)スタート÷BO(BOA)の演算値を示す遊技情報(始動情報、単位遊技の実行状況、以下、「S」や「有効S」と言うことがある)
・平均S入賞=状態別の始動入賞数の割合で、通常(甘中)S入賞÷BO(BOA)の演算値を示す遊技情報(始動情報、始動入賞の入賞状況、以下、「入賞S」と言うことがある)
【0037】
尚、以下では通常中の平均SをS、甘中の平均SをSAと言うことがある。
・有効率=始動入賞数に対する図柄変動数の割合で、通常スタート÷通常S入賞の演算値を示す遊技情報
また、通常だけでなく甘中の有効率を管理してもよい。
【0038】
・BY=図柄変動分を除いたベースで、通常(甘中)ベース-通常(甘中)平均S×始動賞球の演算値を示す遊技情報
・BYmin=始動入賞分を除いたベースで、通常(甘中)ベース-通常(甘中)平均S入賞×始動賞球の演算値を示す遊技情報
尚、始動賞球は始動入賞1回当りのセーフで、3にて演算する。
【0039】
・T1Y=平均大当り中出玉数で、(T1セーフ-T1アウト)÷合計大当り数の演算値を示す遊技情報
T1O=平均大当り中アウトで、T1アウト÷合計大当り数の演算値を示す遊技情報
尚、合計大当り数=通常大当り数+甘中大当り数である。
【0040】
・特T1Y=特定大当りを対象としたT1Yで、(特T1セーフ-特T1アウト)÷特定大当り数の演算値を示す遊技情報(遊技価値の付与状況)
・特T1O=特定大当りを対象としたT1Oで、特T1アウト÷特定大当り数の演算値を示す遊技情報
・出率=アウトに対するセーフの割合(払出率、付与率)で、セーフ÷アウトの演算値を示す遊技情報
【0041】
・Bサ=通常時の差玉数で、BO-Bセーフの演算値を示す遊技情報
・客滞率=売上玉に対するBサの割合で、Bサ÷売上玉の演算値を示す遊技情報(特定情報)
・粗利=遊技に応じた遊技場側の営業利益で、売上額-獲得玉×貸単価×原価率の演算値を示す遊技情報
尚、獲得玉(獲得価値)=売上玉+セーフ-アウトである。また、貸単価等は遊技場単位で設定すればよい。
【0042】
・売上額=売上玉×貸単価の演算値を示す遊技情報
尚、貸単価=4円、原価率=75%にて演算する。
・玉単価=アウト1当りの売上額で、売上額÷アウトの演算値を示す遊技情報
・玉粗利=アウト1当りの粗利で、粗利÷アウトの演算値を示す遊技情報
・営業割数=実際の売上額(売上玉)に対する遊技場側の損益額(損失玉)の割合で、獲得玉÷売上玉の演算値を示す遊技情報
尚、図4の「平均」は、機種Aを対象とした遊技機平均(図3の「合計」の対応値)である。
【0043】
図5は、機種Aを対象としたスペック情報を示している。
スペック情報としては、図2で例示したTS、TSA及び継続回数(平均継続数)の他、ラウンド係数、アタッカ係数、始動賞球、貸単価、原価率が規定され、夫々のスペック値が設定されている。ここで、TS~始動賞球は機種別に設定する必要がある。また、貸単価と原価率とは遊技場における各機種に対応したレート情報として設定されるが、遊技場や機種が同一でも異なる場合もあるので、そのようなレート情報があれば機種別等で適宜設定される。
【0044】
尚、スペック情報は、管理装置5に予め設定されているものとする。また、スペック情報については、遊技者の遊技傾向により遊技機1のスペック情報から特定される期待値とは異なる期待値となる場合もあるので、後述するようにサーバ9にて統合して集計した基準情報により特定してもよく、図5の少なくとも一部をサーバ9から配信される基準情報により設定可能としてもよい。
【0045】
さて、管理装置5は、ユーザの要求に応じて上述した各種遊技情報を集計した帳票を作成して表示するので、帳票を確認することで現在の運用が適切かを把握することができる。現在の運用とは、日々の帳票確認業務や計画作成業務のことである。
【0046】
ところが、通常運用時は帳票に表示された数字やグラフ表示により確認することから、帳票確認や計画作成業務の直接の目的となる遊技情報は意識するものの、それ以外の遊技情報に注意を払うことはほとんどない。例えばアウトや粗利などの目標達成に直接的に関連する項目は日々確認するが、遊技情報の異常等による間接的影響に気づかない場合が多い。
【0047】
このような間接的影響は、例えば遊技機がどの営業パワーポジションに位置するかを分析するPPM(プロダクト・ポートフォリオマネジメント)分析や、大当りを抽選するための始動入賞が適切かを判定するスタート分析などで分析することはできるが、業務負担の増加となりなかなか難しい。
【0048】
このような事情から、本実施形態では、管理装置5にオートコンサルタント機能を搭載した。このオートコンサルタント機能によれば、管理装置5が遊技情報の異常を特定して自動的に通知するので、ユーザの業務負担を増加することなく業績を向上させることが可能となる。
【0049】
オートコンサルタント機能では、誰もが簡単に注意点の存在や内容を容易に把握できるようにすることを主眼としている。容易に把握可能とするために、営業上の注意点や業績向上につながるポイントなどをグラフとメッセージの組合せによって簡潔に提示し、例えば新米の店長でも提示された情報に基づいて適切な判断できるようにサポートする。
【0050】
まず、画面構成について説明する。画面構成はマルチウィンドウ形式を採用し、モニタの画面に複数のウィンドウを配置可能とした。即ち、普段利用する汎用帳票を表示することを基本とし、その汎用帳票の傍らに各種サブウィンドウを配置する。このサブウィンドウでは、汎用帳票からは読み取れない注意点や全体の状況などをグラフ等によって端的に理解可能に表示する。これにより、ユーザは、汎用帳票を確認する日常業務の一環で注意点や全体の状況などをサブウィンドウで確認できるようになる。つまり、汎用帳票を確認する際に汎用帳票の周囲に配置したサブウィンドウによる情報を同時に確認することを日常業務化することにより、手間を増やすことなく重要な情報にたどり着くことが可能となる。
【0051】
このようなマルチウィンドウ形式で表示可能とするために、管理装置5は、ユーザによりウィンドウの配置パターンが設定された場合は、設定されたウィンドウの配置パターンを記憶し、図7に示すようにTOPメニューに表示した配置パターンが選択された場合は、選択された配置パターンでウィンドウを配置する。
【0052】
ウィンドウは以下のパターンで配置することができる。
(1)汎用帳票(例えば機種単位で遊技情報を集計した「種別集計」や図4等で示した遊技機単位の集計帳票である「全台」や遊技場全体の集計帳票である「集計」)とサブウィンドウとを併せて表示(図7の左側)
(2)全画面で汎用帳票を一覧表示
(3)各帳票を連動表示(図7の右側)
(4)同一種類の帳票を並べて比較可能に表示
(5)ポップアップで一時的に参照可能に表示
(6)最小化してタスクに格納
(7)非連動の複数のサブウィンドウを表示(図7の中央)
【0053】
[サブウィンドウ]
サブウィンドウのサイズは変更可能であり、変更することで表示可能な行数や列数が変化する。サブウィンドウには、帳票連動型と帳票非連動型の2種類が存在する。帳票連動型とは、親となる汎用帳票(以下、連動元帳票という場合がある)上での操作によって表示する情報の内容が変動するサブウィンドウのことである。例えば、種別集計上である機種を指定すると、サブウィンドウでも当該機種の情報を表示する。
【0054】
帳票非連動型とは、親となる汎用帳票は存在せず、独立した情報を表示するサブウィンドウのことである。親となる汎用帳票で気になる対象(種別や機種など)を見つけた場合に、その対象の情報を掘り下げて多角的に情報を提示する。例えば、一方のサブウィンドウでは期間推移を提示し、他方のサブウィンドウではスタート分析を提示することが想定される。帳票非連動型は全体俯瞰を目的とし、店舗や種別全体の状況などの情報を表示するもので、同じ種類のサブウィンドウを複数同時に表示可能とする。例えば、種別の売上情報を示すサブウィンドウを画面上に2つ配置し、一方のサブウィンドウで4円パチンコの情報を、他方のサブウィンドウで20円パチスロの情報を表示するなどが想定される。
【0055】
サブウィンドウではローテーションで情報を切り替え表示する。例えば種別Aの情報→種別Bの情報→種別Cの情報→・・・→種別Aの情報→・・・を繰り返す。但し、帳票連動型サブウィンドウでは、連動元帳票で対象が指定された場合にローテーションを停止して固定表示に切り替える。
【0056】
連動元帳票は、基本的には種別集計や全店集計などの汎用帳票である。連動元帳票とサブウィンドウは設定によって紐付けておく。サブウィンドウだけでなく通常の帳票用ウィンドウも連動対象となる。サブウィンドウ毎にどの種別(機種・タイプ)の情報を表示するのかを設定可能である。サブウィンドウへの表示対象となる該当機種が複数設定されている場合は、ローテーションで表示する。
【0057】
以上のような帳票連動型と帳票非連動型の二種類のサブウィンドウにより全体と詳細を示す情報を提供可能となり、更にサブウィンドウでビジュアルな表現で情報を提示することでユーザは負担を感じることなく必要な情報を把握することができる。
【0058】
ところで、上述した汎用帳票を参照する場合、ユーザ単位で参照したい項目が異なり、ユーザ単位に対応してカスタマイズした汎用帳票を表示するのが望ましい。そこで、管理装置5にはユーザ単位で設定可能なユーザ別設定項目(図示せず)が設けられており、ユーザはユーザ別設定項目により任意の項目(項目自体だけでなくその出力順等も含む)を設定することができる。
【0059】
管理装置5は、ユーザ別設定項目が設定された場合は、設定された項目をログイン時のユーザ情報に対応して記憶し、汎用帳票にて遊技情報を表示する場合はユーザ情報に対応してカスタマイズされたユーザ別設定項目により表示する。これにより、ユーザ単位に対応してカスタマイズした汎用帳票が表示されるので、ユーザは、カスタマイズした汎用帳票で遊技情報を確認することができる。
【0060】
管理装置5は、オートコンサルタント機能により自己が管理する遊技情報とサーバ9から取得した基準情報とを比較することで、当該遊技情報の異常を特定して通知する。このように遊技情報について何らかの異常を特定した場合、異常に関連した汎用帳票を表示するのが望ましいが、異常特定時に表示される汎用帳票が上述したユーザ別設定項目によりカスタマイズされている場合は、異常に対応した項目がカスタマイズされた帳票から除外されて確認できない虞がある。
【0061】
このような事情から、管理装置5は、異常特定時に汎用帳票を表示する場合は、ユーザがカスタマイズした汎用帳票ではなく、共通の通知専用の表示パターンで起動する関連帳票を表示するようになっている。通知専用の表示パターンは、出力条件や項目の並びなどが通知の内容に応じて予め規定されている。尚、この関連帳票に対する操作を行った場合にカスタマイズした汎用帳票を表示しても良い。つまり、管理装置5は、通常起動する汎用帳票(通常帳票)にて遊技情報を表示する場合はユーザ情報に対応してカスタマイズされたユーザ別設定項目により表示する一方、異常の特定結果に応じて起動する関連帳票(通知帳票)にて遊技情報を表示する場合は予め設定された複数のユーザに共通の通知項目により表示すると共に関連帳票に表示されている通知アイコンが操作された場合はカスタマイズされた汎用帳票を表示するように構成されている。
【0062】
[通知サブウィンドウ]
上述したように通常のサブウィンドウはユーザが指定した機種や種別の情報を表示するものであるのに対し、オートコンサルタント機能による通知内容を表示する通知サブウィンドウは内部のロジックに基づいてデータを分析し、通知が必要と判断された情報のみを表示する。
【0063】
通知サブウィンドウは、通常のサブウィンドウ同様、日常の帳票確認業務(計画業務)中に、注意点の存在の察知および注意点の具体的内容の確認を実施可能に表示する。通知サブウィンドウは、長方形タイプと正方形タイプのものを設定可能である。長方形タイプは例えばグラフとデータとを組み合わせた表示形態であり、正方形タイプはグラフのみを表示する簡略化した表示形態である(図17の右下)。
【0064】
通知サブウィンドウを表示する場合は、図8に示すように汎用帳票とサブウィンドウと通知サブウィンドウとを同時に表示する。通知サブウィンドウでは、オートコンサルタント機能により通知が必要となった通知情報が複数ある場合は、現在「有効」となっている通知のみをローテーションで表示する。「有効」とは、以下の全ての条件を満たすことを意味する。
(1)未読の通知または当日に既読にした通知
(2)有効期限が切れていない
(3)通知の閲覧権限がある
即ち、未読であっても有効期限が切れた通知は過去のものとして扱いローテーションに含めない。また、当日に未読から既読にした通知は、その当日中は表示し続ける。
【0065】
連動元帳票で通知対象機種(種別)が指定されている場合は、当該対象の通知情報を通知サブウィンドウに表示し、通知非対象機種(種別)が指定されている場合は、通常のローテーション表示のままである。「指定」とは、図17に示す種別集計の機種名欄の左側のチェックボックスをONした状態のことである。
【0066】
[帳票マーキング]
汎用帳票上で、通知対象機種(種別)、およびその対象データに対してマーキング処理を行う。例えばセルの配色を変更したり、通知アイコン(図17の!マーク、通知表示)を付与したりする等、通知対象であることを視覚的に把握可能である(異常が特定された場合に、その旨を示す)。
【0067】
また、遷移先の帳票で、通知対象機種(種別)、およびその対象データセルに対してもマーキング処理を行ったり、通知対象機種(種別)に対して通知アイコン(図8に示すメールアイコン)を表示したりする。遷移先帳票で通知アイコンが操作された場合は、該当の通知ポップウィンドウを表示する(図17の図面中央)。
【0068】
一方、当日データに対する通知においては、通知アイコンを付与せず対象データセルへの配色によるマーキングのみを行う。つまり、通知対象機種(種別)の通知対象項目のデータセルを配色するもので、帳票のマーキング機能による配色とは異なる色でセルを塗り潰す。この場合、通知サブウィンドウで当日データに対する通知を表示している間のみ帳票上にマーキングを施す。また、通知サブウィンドウの非表示時はマーキングを行わない。
【0069】
[通知ポップウィンドウ]
通知サブウィンドウが操作された場合は、特定のロジックに基づく通知が必要となった機種の情報を通知ポップウィンドウによりダイジェストで表示(ユーザによる操作を受付可能な通知表示)し、当該通知ポップウィンドウが操作された場合は、関連帳票である連動元帳票を表示(通知表示に対する操作が受付けられた場合に通知帳票を表示)する。連動元帳票は、図8に示すようにTOPメニューから通知確認用の表示パターンを起動し、通知確認を指定することでも表示することができる。
【0070】
通知対象となる機種が複数ある場合には、予め設定される代表条件(例えば最も台数)の多い機種を満足する代表機種の情報を通知ポップウィンドウによりダイジェストで表示する。この通知ポップウィンドウが操作された場合は、連動元帳票が表示される。連動元帳票では遊技情報を機種単位で示すので、機種を選択する操作が受付けられた場合は、他の機種を対象とした情報を表示する。
【0071】
[通知アイコン]
管理装置5は、通知アイコンが操作された場合は関連帳票を表示し、当該関連帳票に対応して表示しているサブウィンドウがあれば当該サブウィンドウの情報表示を対象機種に切替える。また、通知アイコンが操作されたときに関連帳票が非表示や他の汎用帳票の場合もあり、そのような場合は、関連帳票が1つあれば当該関連帳票をポップアップ表示する。関連帳票が複数ある場合は、いずれかの関連帳票を表示するための情報をポップアップ表示する。
【0072】
管理装置5は、通知サブウィンドウが対象となる情報をローテーション表示している状態で、特定の機種を対象として情報表示する場合に、例えば図15における機種Aのような代表機種を特定の機種として当該代表機種の情報(通知対象となる機種が複数ある場合には予め設定される代表条件を満足する代表機種の情報)を表示(代表機種以外の他の機種の情報に優先して示す通知情報表示)し、その通知サブウィンドウを操作すると図16のような他の機種の情報を含む通知ポップアップ(通知情報表示に対する操作が受付けられた場合に他の機種を対象とした異常特定手段による特定結果に応じた情報)を表示する。
【0073】
ここで、連動元帳票等で機種が選択されていなければ通知サブウィンドウでは代表機種を特定の機種として当該代表機種の情報を表示(予め設定される代表条件を満足する代表機種の情報)するが、連動元帳票等で機種が選択されている場合には他の帳票連動型のサブウィンドウ同様に、通知サブウィンドウでも選択された機種を特定の機種として当該機種の情報を表示(代表機種以外の他の機種の情報に優先して示す通知情報表示)する。
以上のようにして、オートコンサルタント機能による関連帳票や通知サブウィンドウや通知ポップウィンドウを確認することで遊技情報の異常内容を容易に確認することができる。
【0074】
以下、オートコンサルタント機能の具体例としてSP玉粗利要素分析とスタート分析とについて説明する。
[SP玉粗利要素分析]
SP玉粗利要素分析は、自店と市場(他店を含めた一般的な運用状況)との機種毎の出率のギャップを把握し、今後の営業戦略の参考にするものである。例えば運用計画を見直しするのか、もう少し様子見を行うのか、或いは市場動向を把握した上での戦略なのか、意図しない結果なのかを判断基準とする。市場比較台数設定による設定以下の台数の機種については、検知対象外とする。
【0075】
自店と市場との機種毎の出率のギャップを把握するには、機種毎に自店の実績値から求めた出率と市場の実績値から求めた出率とを比較すればよいが、実績値には変動要素が含まれていることから、実績値に基づく出率同士を単純に比較することはできない。変動要素としては、パチンコ機の場合、始動口への入賞による払出し、大当りの抽選結果、大当り状態における大入賞口への入賞による払出し等で、これらの変動要素により出率が大きく影響される。変動要素による影響を排除するには、実績値に代えてスペック値またはスペックに基づく図6に示すような理論情報を採用することで基準情報を求め、この基準情報に基づいて出率を求めることが考えられる。
【0076】
しかしながら、このような基準情報は異なる粗利や異なる出率による実績情報に基づくものであることから、粗利や出率を一定値として基準情報を補正することで求めた基準値を採用する。この基準値は、粗利を例えば0として基準情報を補正したり、出率を例えば100%として基準情報を補正したりすることで求めることができる。市場基準値はサーバ9において求められる。
【0077】
さて、S(有効Sだけでなく入賞Sとしても良い)、BYmin、特T1Y、BA、その他(客滞率、SA、特T1O等)等の各実績情報から市場や自店の機種毎の出率を求めることができるが、いずれの実績情報が出率に大きな影響を与えているかを特定することはできない。
そこで、特定の実績情報のみはそのまま採用し、他の実績情報を上記基準値に置き換えることで特定の実績情報による出率への影響を分析する。
【0078】
具体的には、Sを実績情報、S以外を基準値として出率を求めることでSによる出率への影響を分析するS分析を特定する。例えば出率を100%とした基準情報に対してSだけを実績情報として粗利について演算し理論値が98%だった場合、100%との差し引きである2%がSによる出率の影響度となる。同様に、BYminを実績情報、BYmin以外を基準値として出率を求めることでBYminによる出率への影響を分析するBYmin分析を特定する。特T1Yを実績情報、特T1Y以外を基準値として出率を求めることで特T1Yによる出率への影響を分析する特T1Y分析を特定する。BAを実績情報、BA以外を基準値として出率を求めることでBAによる出率への影響を分析するBA分析を特定する。その他を実績情報、その他以外を基準値として出率を求めることでその他による出率への影響を分析するその他分析を特定する。
【0079】
上述したようにして特定した自店と市場とのS分析、BYmin分析、特T1Y分析、BA分析、その他分析をそれぞれ比較し、所定の閾値以上大きく乖離した項目があれば通知対象とし、関連帳票の上部に通知アイコンを表示すると共に通知サブウィンドウの表示対象とする。
【0080】
[サブウィンドウ]
図9に示す長方形タイプのサブウィンドウは、連動元帳票に紐付けられたサブウィンドウの一つである。このサブウィンドウには、種別集計で選択した機種について、機種名欄26、市場及び自店のSP玉粗利を示す情報表示欄27と、レーダーチャート28とが表示される。レーダーチャートでは、S分析、BYmin分析、特T1Y分析、BA分析、その他分析の比較結果を表示し、各分析に対応して、「有効S」、「BYmin」、「特T1Y」、「BA」、「その他」の項目をそれぞれ表示すると共に、異常特定した項目にはマークを付す。図9に示す例では、市場及び自店のS分析が大きく乖離した「有効S」にマーク29が付されている。レーダーチャートでは、各項目上に上述した基準値も同時に表示される。正方形タイプのサブウィンドウではレーダーチャートのみを表示する。尚、このような要素分析に関しては特開2015-144735号公報で開示されているので、詳細な説明は省略する。
【0081】
SP玉粗利(理論玉粗利)とは上述した理論情報の一つで、パチンコ機において大当り状態等の有利状態の抽選が偏らずに有利状態が発生した場合における遊技状態である理論値の玉粗利のことである。つまり、大当り状態等は抽選により発生の有無が特定されるため、その抽選に偏りが生ずる図4で説明した実績情報と必ずしも近似する値とならない(図6参照)。
【0082】
図6は、図4で説明した機種Aのパチンコ機について、図5の「スペック情報」を設定し、「基データ」を特定した上で、それらにより特定される当該遊技機のデータに基づき抽選等の偏りが生じずに大当り等の有利状態が発生した場合における出率等の理論値の一例を示しており、その定義や演算式を示している。図6の「基データ」は、図3図4のような集計に対して指定した参照期間における平均値を示しており、参照期間を複数日とすることで安定した遊技情報が得られることで基データとして特定されるが、勿論営業日単位の遊技情報を基データとして営業日単位で理論値を特定しても良い。図6の「理論値」は、スペック情報と基データとにより理論値として特定される。「SP玉粗利」とは同図に示されるような「理論値」における「玉粗利」を称するものであり、大当りの発生の偏りに影響を受けない玉粗利(粗利÷アウト)である。
【0083】
サブウィンドウが操作された場合は、図10に示す玉粗利要素分析ウィンドウが表示される。この玉粗利要素分析ウィンドウには、設定欄30と、データ表示部31とが表示される。データ表示部31には、種別集計で選択された機種について、上段に自店と市場のレーダーチャート28、下段にSP玉粗利やレーダーチャート28の各項目に対応した数値等を示す情報欄32を表示する。表示数値は、自店の先週(前日を含む1週間)の実績値の平均値、または当日データ(第1所定期間単位)と市場の先週(第2所定期間単位)の平均値である。
尚、図10に示すレーダーチャートは、図9に示したレーダーチャートと異なっているが、実際には同一のレーダーチャートである。
【0084】
サブウィンドウと同様に、自店と市場との各項目での比較結果が許容範囲外の場合、異常を通知する。異常を通知する場合は、該当する項目にマークを付す。ユーザは、玉粗利要素分析のレーダーチャートにより自店と市場とで項目毎に比較することで現状を容易に把握することができる。
【0085】
さて、サーバ9から受信する市場データは複数の遊技場に共通する言わば市場動向を示す情報とも言えるが、遊技場の中には自店データと併せて異常検知したいといったニーズもある。このニーズに応えるためには、自店データが自店の計画通りに推移している場合は異常検知することは抑制するのが望ましい。
そこで、自店と市場との一方により異常を特定できる場合は上述したように異常報知し、自店と市場との双方により異常を特定できた場合であっても自店データまたは市場データにより正常と特定できる場合には異常報知を抑制する。
【0086】
例えば先週における市場のSP玉粗利が0.33(第1基準)、自店のSP玉粗利が0.22(自店管理手段により管理される遊技情報)の場合、両者の差は0.11となりNGとなるが、先々週の自店のSP玉粗利が0.21(第2基準)の場合、自店において先週と先々週との差は0.01であり計画通りに推移しており最終判断はOK(第1基準と第2基準とのいずれか一方の基準に基づいて正常であることが特定)となることから、異常報知を抑制するが、例えば先々週の自店のSP玉粗利が0.35の場合、自店において先週と先々週との差は0.13となり、最終判断もNG(第1基準と第2基準との双方により自店管理手段により管理される遊技情報が異常であることを特定)となり異常報知される。
【0087】
[通知サブウィンドウ]
上述のように異常報知を検知した場合は、例えば当日のログイン時に、図11に示す通知サブウィンドウをテロップ表示する。この通知サブウィンドウには、表示条件項目33と、通知欄35とが表示される。通知欄35には、上段に異常な機種と異常内容を通知するメッセージが表示され、下段に自店と市場の平均スタート回数とレーダーチャート28とが表示される。この場合、サーバ9で新台として登録された機種については、新規登録から14日(所定期間)まで前日データで自店と市場とを比較し、閾値外の場合に通知する。つまり、自店への新機種の導入から14日までは上述した異常報知の通知を抑制しないようになっている。14日以降は、前日データではなく、先週(前日を含む1週間)データで異常を検知する。
【0088】
[通知ポップウィンドウ]
通知サブウィンドウが操作された場合は、図12に示す通知ポップウィンドウを表示する。この通知ポップウィンドウには、コメント欄36、対象機種一覧37が表示される。コメント欄で該当機種に対応して予め設定されたコメント(例えば「Sが市場平均より〇〇低くなっています。狙い通りでしょうか?」)が表示される。対象機種一覧の機種に対応したチェック欄で機種を選択すると、選択された機種の玉粗利要素分析欄38が表示される。この玉粗利要素分析欄38には、設定範囲外の項目が赤字で表示され、レーダーチャートの項目において設定範囲外の項目にマーク29が付される。
【0089】
[計画値入力]
一方、実績値のみだけでなく、翌日以降の遊技情報を計画する際の計画値の入力に対して異常を検知した場合も通知するようになっている。つまり、計画入力に対しては、市場データと比較し、閾値外の場合に通知する。
通知ポップウィンドウは、実績値の場合と同様であるが、基準となる自店や市場の遊技情報が変動するため、数日前に入力した計画値が営業日前日には異常と報知される場合も想定される。
【0090】
異常特定条件としては、
(1)SP玉粗利が許容値を超える等異常であるかを優先的に特定(損益情報を最優先の報知対象として異常を特定)。
(2)(1)を特定できない場合は、SP玉粗利が正常であることを条件として、有効S、BA、特T1Yに異常があるかを特定。
但し、複数項目が該当する場合は、S→BA→補正T1Y→SP玉粗利の優先順とする(損益情報により異常特定できない場合に始動情報を報知対象として異常を特定)。
【0091】
[S分析]
入賞S(始動入賞の入賞状況)、或いは有効S(単位遊技の実行状況を示す始動情報は、低すぎると稼動が確保できない一方、高すぎると粗利が確保できず稼動を確保する意味合いが薄れるといったように基準範囲を特定することが難しい。
そこで、自店のSの範囲(以下、S範囲(始動情報を区分するための範囲))の上限値(以下、上限S範囲)と下限値(以下、下限S範囲)とを導き出し、計画に効率よく活用できるようにする。また、自店のS停止秒数がサーバ9管理の停止秒数以上の機種があれば活用提案を行う。
【0092】
下記の下限条件1~3(予め設定される下限条件)の全てを満足するS範囲を下限S範囲として特定する。下限S範囲はS範囲のアウトが機種平均アウト以上もしくは機種平均値の所定値以上とする。
(下限条件1)
S前区分とのアウト比(稼動情報の比較結果)が設定値(初期値は30)以上で、設定値は変更可能である。
(下限条件2)
SP玉粗利(遊技機を稼動させることにより生じた損益を示す損益情報)が設定値(初期値は0(基準下限損益情報))以上(損益情報との比較結果)で、設定値の入力範囲は-9.99~9.99である。
(下限条件3)
件数が設定値(初期値は5)以上で、設定値の入力範囲は1~9である。下限条件3を変更しても該当するものが無い場合は、下限S範囲は無しとする。
但し、上記下限条件を満足するS範囲が複数ある場合は、当該S範囲に属するS(始動情報により示される頻度)がより低いS範囲を下限S範囲として特定する。
【0093】
下記の上限条件1~3(予め設定される上限条件)の全てを満足するS範囲を上限S範囲とする。
(上限条件1)
下限S範囲以降でアウトが最高値のS範囲
但し、上限条件1を満足する場合であっても以下の上限条件2,3を満足しない場合も生じることから、アウトの上位ランキング(例えば3(基準順位))を設定し、上位ランキングの1位から順に比較した比較結果(S範囲に付与された順位と基準順位との比較結果)で決定する。上位ランキングは設定値で変更でき、設定値の入力範囲は1~9である。
(上限条件2)
SP玉粗利が設定値(初期値は0(基準上限損益情報))以上(損益情報と基準上限損益情報との比較結果)で、設定値の入力範囲は0.00~9.99である。
(上限条件3)
件数が設定値(初期値は5)以上で、設定値の入力範囲は1~9である。件数が5件未満の場合は、データ抽出期間を3週間の平日とする。上限条件3を変更しても該当するものが無い場合は、上限S範囲は無しとする。
【0094】
尚、上記では基準下限損益情報と基準上限損益情報とを同値として兼用しているが、それぞれ異なる値を採用しても良い。また、上記上限条件1~3の全てを満足するS範囲があったとしても、当該S範囲が上記の様に特定される下限S範囲と異なる範囲とならない場合や、下限S範囲よりも始動情報により示される頻度が低い場合には始動情報により異常検知する傾向が低いとして上限S範囲だけでなく下限S範囲をも含めて基準範囲としては採用しない(上限S範囲特定手段は、下限S範囲よりも属する始動情報により示される頻度が高いS範囲であることを条件に上限S範囲を特定する)。
【0095】
図柄停止期間が長くなる場合は、遊技者が遊技に飽きて台移動したり、遊技を終了したりすることが想定されることから注意が必要となる。特に図柄停止期間が長くなる下限S範囲は特に注意する必要がある。
そこで、管理装置5は、遊技機側から稼動状態にある期間や図柄停止期間を特定可能な遊技信号を受信することで機種毎に下限S範囲に対応する遊技情報として、遊技機が稼動状態にある期間において図柄が停止状態にあるS停止秒数(例えば図柄停止状態となった場合の平均図柄停止秒数、役物が停止状態にある期間に関する停止期間情報)を特定すると共にサーバ9が管理する市場停止秒数を当該機種のS停止秒数基準値とし、下限S範囲に対応するS停止秒数がS停止秒数基準値以下の場合に異常を通知(停止期間情報と基準停止期間情報との比較に基づいて異常を通知)する。停止秒数は設定値(初期値は4)で変更でき、設定値の入力範囲は0.1~9.9である。
【0096】
図13は、上述のようにして区分けしたS入賞に対応した各遊技情報の一例を示している。S範囲は20単位の8区分とし、機種平均値が8区分の上から4番目のS入賞に区分されるように設定されている。図13に示す例では、機種平均値はS入賞が564-584、下限S範囲はS入賞が524-544、上限S範囲はS入賞が584-604に対応している。また、S停止秒数基準値はS入賞が544-564に対応しており、当該S入賞以前のS範囲がS停止秒数以下で異常報知対象となっている。
【0097】
以下、上記条件を特定する構成について補足する。上記の通りS範囲が複数設定されているが、管理装置5は例えば営業日単位等の所定期間における遊技情報を図4のように特定する。この特定した遊技情報の内、S範囲の対象となる遊技情報である平均S入賞(S入賞)がS範囲のいずれに属するのかを判定する。ここで、上記のS入賞にて例えば564とは図4における平均S入賞が56.4%であることを示している。
【0098】
そして、S入賞が属するS範囲を当該所定期間に対応付け、複数の所定期間、例えば1週間であれば7営業日分の遊技情報が各々いずれのS範囲に対応するかを判定し、対応するS範囲単位でアウトや粗利、或いはS停止秒数等の他の遊技情報を含めて振分けて集計する(S範囲管理手段)。このように集計することでS範囲単位で対応するアウトやSP玉粗利等を特定し、例えばアウトのランキングであればS範囲単位のアウトの平均値を比較することで順位付し、S範囲単位でランキングを特定する。
【0099】
また、前区分とは対象となるS範囲の前のS範囲を示している。例えば図13における584-604のS範囲の前区分は564-584であり、図13では584-604のアウトが2790、564-584のアウトが1995であることから、アウト差は2790-1995=795となり、アウト比は対象となるS区分(対象区分)のアウト差÷前区分のアウトなので795÷1995≒40%となる。なお、図13等ではアウトを実数とせず1/10にて示しており、例えば2790とは27900分のアウトを示している。
【0100】
[サブウィンドウ]
図14に示すサブウィンドウは、連動元帳票に紐付けられたサブウィンドウの一つである。このサブウィンドウには、種別集計で選択された機種について、平均アウト、平均SP玉粗利、SP台粗利の情報欄39と、S範囲別アウトの棒グラフ40とが表示される。上限S範囲を示す棒グラフを青色で表示し、下限S範囲を示す棒グラフを赤色で表示する。また、SP台粗利が1番多いS範囲に対応する棒グラフにマーク41を付す。
【0101】
集計したデータの件数を右上に表示する。但し、のべ台数設定値以下の場合は、件数を赤文字で表示する。集計期間は、最新日(前日)を含む1週間とする。
正方形タイプのサブウィンドウでは、棒グラフのみを表示する。
【0102】
[通知サブウィンドウ]
当日の下限S範囲が上述のように設定した下限S範囲を下回る場合は、図15に示す通知サブウィンドウをテロップ表示する。通知サブウィンドウには、表示条件項目33と、S範囲別アウトの棒グラフ40とが表示される。当日の実績S回数が少ない場合は前日の実績S回数を元に、上限値または下限値が許容範囲外の場合に通知する。
【0103】
当日データは「当日」とS範囲別アウトの棒グラフ40に対応して表示し、前日データは「前日」と表示する。「当日」と「前日」が同じS範囲の場合は、「当日」と表示し「前日」は表示しない。また、図柄停止期間が閾値以上の機種があれば通知する。
該当機種が複数ある場合は、予め設定される代表機種(例えば最も台数の多い機種)を表示する。また、代表機種以外のデータは、後述する通知ポップウィンドウで確認する。のべ台数設定以下の機種は、対象外とする。
【0104】
[通知ポップウィンドウ]
通知サブウィンドウが操作された場合は、図16に示す通知ポップウィンドウを表示する。この通知ポップウィンドウには、コメント欄36、対象機種一覧37が表示される。コメント欄36には、該当機種に対応して予め設定されたコメント(例えば「入賞Sが下限値を下回っています!」)が表示される。対象機種一覧37の機種に対応したチェック欄で機種を選択すると、選択された機種のS範囲別アウトの棒グラフ40が表示される。この棒グラフ40では自店の実績値を示し、当該実績値が上限値と下限値との間の許容範囲外の場合はマーク42を付す。
【0105】
[計画値入力]
計画値の入力時に、S回数が、上限値と下限値との間の許容範囲外の場合に通知する。該当機種が複数ある場合は、代表機種、例えば設置台数が1番多い機種を通知サブウィンドウの場合と同様に表示する。対象機種一覧から指定した機種について、S範囲別アウトのグラフを表示する。
【0106】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
管理装置5は、S範囲単位でアウトとSP玉粗利とを管理し、前区分とのアウト比がアウト比設定よりも高く、SP玉粗利がSP玉粗利設定よりも高いS範囲を始動情報の下限S範囲として特定するため、遊技者が不快に思い、稼動が大きく低下するような始動情報を得た場合に異常判定するような下限S範囲を特定可能となる。
【0107】
対応するアウトによりS範囲を順位付けし、基準順位以上であってSP玉粗利も基準値に達しているS範囲を上限S範囲とするため、遊技場の利益を考慮した上で数値を高めて稼動の向上が見込み難い始動情報を得た場合に異常判定するような上限S範囲を特定可能となる。
【0108】
上限S範囲は下限S範囲より高い区分を特定できる場合に特定するため、始動情報により稼動に影響を及ぼす傾向が少ない場合には、上限S範囲を特定しないようになり適切に対応可能となる。
複数のS範囲が条件を満たす場合、下限S範囲はより低いS範囲を該当区分とするため、始動情報がアウトに大きく影響を及ぼす場合であっても適切に対応可能となる。
【0109】
下限S範囲に対応する図柄変動の停止期間が停止秒数設定の値に達していない場合に異常報知するため、下限S範囲による異常検知だけでなく、例えば稼動にばらつきがないか等、他の遊技情報を参照する必要がある旨や、差当たって稼働に影響は出ないものの今後稼動が減少して下限S範囲に変動が生ずる虞があり、早めに対応する必要がある旨等を把握可能となる。
【0110】
市場基準と、自店基準との双方により異常を特定できる場合に異常報知し、いずれか一方により正常と特定できる場合には他方により異常を特定できたとしても異常報知を抑制するため、例えば甘辛の対象となる機種については市場基準から逸脱しない運用とすることで自店基準からも逸脱しても自店基準に合致すれば無用な報知を抑制できる一方、それ以外の機種については市場基準から逸脱しない運用とすることで自店基準からも逸脱しないようになり、設定操作を複雑化する虞を低減した上で適切な異常報知が可能となる。
【0111】
また、市場基準から逸脱していた甘辛の対象となる機種について市場動向に合わせるために自店基準から逸脱する活用に切替えるような戦略的な活用を行った場合であっても市場基準からは合致されるため無用な異常報知が抑制されるといった効果も見込める。
【0112】
新台期間内では市場基準だけで異常特定されても異常報知するため、上記の異常報知が抑制されるシステムであっても新台導入当初に市場動向に合わせた活用を行っていない旨を把握可能となる。
実績値だけでなく計画値も異常報知の対象とするため、営業計画を行っている段階で異常であることを把握可能となる。
【0113】
異常報知の対象となる遊技情報としてSP玉粗利と入賞Sとを管理し、SP玉粗利を最優先に通知対象としてSP玉粗利が異常でない場合に入賞Sを異常報知の対象とするため、遊技場が注目すべき優先順位に従い、重複する異常報知を抑制した適切な異常報知が可能となる。
【0114】
市場基準は営業日単位、自店の過去基準は週単位で特定するため、基準を特定するための母数の多い市場基準は比較的短い期間、母数の少ない自店の過去基準は母数を増やすため比較的長い期間にて基準を特定可能となり、より適切な検知が可能となる。
【0115】
汎用帳票はログインIDに応じてカスタマイズした項目にて表示する一方、関連帳票は汎用帳票とは異なる通知用の項目にて表示するため、帳票の項目をカスタマイズすることで、異常に対応する遊技情報項目が確認し難くなる虞を低減できる。
【0116】
通知ポップウィンドウを選択することで関連帳票を表示するため、異常が生じたことを通知ポップウィンドウにて確認し、当該通知ポップウィンドウにて帳票を確認する必要があると管理者が判断することで関連帳票を出力するといったような必要に応じて関連帳票を出力することが可能となる。
【0117】
通知対象機種が複数ある場合、通知サブウィンドウには代表機種の情報を表示する一方、通知サブウィンドウを選択した場合は対象機種一覧項目にて他の機種の情報も表示するため、通知サブウィンドウにより複数の異常報知を追って確認し、例えば異常の影響が大きいといった代表機種の情報を把握することで他の機種についても確認する必要性を判断し、確認する必要性がある場合には当該通知サブウィンドウを選択することで他の機種の情報も確認可能になるといったように異常報知に対して適切な対応を取り得る。
【0118】
通知対象機種が複数ある場合、通知サブウィンドウには代表機種の情報を表示する一方、連動元帳票にて機種を選択した場合、当該機種を代表機種に代えて通知サブウィンドウの通知対象とするため、連動元帳票を確認して注目すべき機種がある場合に、通知サブウィンドウに影響を及ぼした上で確認できるようになる。
【0119】
関連帳票を表示した状態で操作することでカスタマイズした汎用帳票を表示可能とするため、関連帳票により異常を確認した場合に、通常参照している汎用帳票により他の確認すべき項目を確認できるようになる。
【0120】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態及び変形例に限定されることなく、次のように変形または拡張したり、各変形例を上記実施形態と組み合わせたりしてもよい。
上記実施形態のユーザ別設定項目の一つとして異常を特定された遊技情報に関する項目が設けられている場合は、カスタマイズされた汎用帳票を関連帳票に優先して表示するようにしても良い。この場合、カスタマイズした汎用帳票に通知項目があれば汎用帳票を優先して表示するため、必要以上に汎用帳票に代えて関連帳票を確認する必要性を低減させられる。
【0121】
上記実施形態の下限条件1で示したアウト比としては、例えば前区分アウト÷対象区分アウトのように対象区分と前区分とのアウトの関係を示す情報であればどのような情報でも良い。前区分アウト÷対象区分アウトの場合は稼動基準情報は70%で、70%以下であることが条件となる。
上記実施形態では、上限S範囲と下限S範囲とが異なるS範囲とならない場合、下限S範囲も含めて基準S範囲を特定しないようにしたが、下限S範囲または上限S範囲の一方だけを特定しても良い。
【0122】
上記実施形態では、下限S範囲を特定する際の基準下限損益情報と上限S範囲を特定する際の基準上限損益情報とを同一値(=0)としたが、異なる値としても良い。
代表条件として最も台数が多いことを例示したが、例えば平均アウトやSP台粗利が最も高い機種や導入時期が最も新しい等、複数機種を代表して注目すべき条件であればどのような条件を採用しても良い。
【0123】
本実施形態では稼動情報としてアウト、損益情報としてSP玉粗利を例示したが、例えば所謂稼動タイマの作動期間を累計することで特定可能な稼動時間やアウトに連動する有効S等を稼動情報とし、台粗利のような理論値ではない実際の粗利情報や粗利や所謂再プレイ損益のようなアウトにて除さない粗利情報を損益情報として採用しても良い。
上記実施形態では、異常報知の抑制として異常報知自体を抑制したが、例えば「以前の活用とは異なりますが市場の活用には対応しています」と報知することでユーザの動作を抑制するようしても良い。
【0124】
基準情報(基準値)等の値については、自店(遊技場A)での遊技情報を管理装置5で集計する等して求めたが、全国の遊技場の遊技情報をサーバ9で集計する等して求めた値(サーバ9から配信される値)を、管理装置5で用いるようにしてもよい。
管理装置5が行う処理の一部を中継装置3、或いは遊技装置2等にて行ってもよい。また、サーバ9で行う処理を管理装置5で行ったり、管理装置5で行う処理をサーバ9にて行ったり、サーバ9を設けずに管理装置5のみで統計データ等を特定することにより基準値を特定する等、どのように構成してもよい。
【0125】
各種の設定値(設定情報)は、遊技場管理者が任意に入力操作により設定してもよいし、予め管理装置の製造メーカにて設定してもよい。又、例えばチェーン店本部等の外部のサーバから設定情報をダウンロードして設定してもよい。
例示した全ての遊技情報は、遊技機側から出力される信号により直接的に特定してもよいし、演算式を利用して間接的に特定してもよい。
【0126】
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用してもよい。また、以上と超過についてはどちらを採用してもよく、「達した」等の表現は以上となった或いは超過したのいずれにも対応する表現となる。以下と未満についても同様で、「達していない」等の表現は双方に対応する表現となる。また、グラフや帳票を出力する出力態様については、どのような出力態様としてもよく、印字出力や、表示出力を採用することができる。
対象となる遊技機としては遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式等の例示したパチンコ機やスロットマシン以外の遊技機も採用できる。
【符号の説明】
【0127】
図面中、1は遊技機、5は管理装置(遊技情報特定手段、S範囲管理手段、下限S範囲特定手段、上限S範囲特定手段、異常通知手段)である。
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