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特許7185593標準コンピュータインタフェースを備えたインクジェットプリントヘッド
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  • 特許-標準コンピュータインタフェースを備えたインクジェットプリントヘッド 図1
  • 特許-標準コンピュータインタフェースを備えたインクジェットプリントヘッド 図2
  • 特許-標準コンピュータインタフェースを備えたインクジェットプリントヘッド 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】標準コンピュータインタフェースを備えたインクジェットプリントヘッド
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20221130BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/01 301
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019100008
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020001384
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-05-30
(31)【優先権主張番号】16/018,414
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エル・クニエリム
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-357063(JP,A)
【文献】特開2009-279767(JP,A)
【文献】特表2008-542084(JP,A)
【文献】特開2014-177054(JP,A)
【文献】特開平09-300604(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0242094(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0284915(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントヘッドであって、
プリントヘッドがコンピュータに直接接続されることを可能にする標準コンピュータインタフェースと、
記コンピュータからの画像データに従って、基板にインクを付着させるジェットアレイと、
バッファを有する処理要素であって、前記バッファは前記処理要素に含まれて前記処理要素に制御され、前記処理要素は、
前記標準コンピュータインタフェースを介して画像データをそれぞれのジェットに対応するデータのワードとして受信し、
前記バッファにおいて前記標準コンピュータインタフェースを介して受信した前記画像データの前記ワードを記憶し、
前記バッファから前記画像データを前記画像データが書き込まれた順序と異なる順序で画像データのそれぞれのワードの部分セットとして前記バッファから前記画像データを読み出し、
ドットクロックに駆動されるとき、画像データの前記ワードの前記部分セットを前記ジェットアレイに送信し、前記バッファは様々な量の画像データを記憶するための柔軟な記憶深度を有し、前記バッファは前記コンピュータからクロックに従って画像データを受信し、前記ドットクロックに従ってデータを出力する、ようにプログラムされた、処理要素と、
画像データの前記ワードの前記部分セットに従って前記ジェットアレイのそれぞれを駆動するドライバと、を含み、前記標準コンピュータインタフェース、前記ジェットアレイ、前記処理要素、前記バッファ、および前記ドライバは、すべて前記プリントヘッド内にあ
位置エンコーダへの少なくとも一つの接続をさらに含み、
前記ドットクロックは、プリント基板の動きが変化しない場合に固定周波数の内部レート発生器によって内部で生成され、前記プリント基板の速度が変化すると前記位置エンコーダによって位相ロックされて前記プリント基板の位置を追跡する、前記プリントヘッド。
【請求項2】
前記ドライバにDC電力を提供するための外部直流電源への接続をさらに含む請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項3】
前記標準コンピュータインタフェースは、ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェースを含む請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項4】
前記USBインタフェースは、USB2、USBパワーデリバリー、またはUSBタイプCインタフェースのうちの一つを含む請求項に記載のプリントヘッド。
【請求項5】
前記処理要素はフィールドプログラマブルゲートアレイを含む請求項1に記載のプリントヘッド。
【請求項6】
DC電源は、前記ドライバへの前記標準コンピュータインタフェースを介して供給される請求項1に記載のプリントヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はプリントヘッドに関し、具体的にはプリントヘッドおよびプリントヘッド用制御電子機器に関する。
【0002】
インクジェットプリンタは、一般に、画像データをプリントシステム内のプリントコントローラに送信する、ある種のコンピュータなどの画像データのソースに依存する。プリントコントローラは、通常、プリントシステム内またはプリントヘッド外部のプリンタ内にある。そして、プリントコントローラは、画像データに基づく制御信号をプリントヘッドに送信する。プリントヘッドは、マニホルドおよび他のインク経路構造、並びに液滴発生器及びそれらのそれぞれのアクチュエータを含む。
【0003】
プリントコントローラは、通常、「ドットクロック」と呼ばれることもあるクロックを生成するか又は受信して、プリントヘッドによる液滴吐出をトリガする。プリントコントローラは、各液滴発生器のデータワードとしてコンピュータから画像データを受信することができ、各ワードはそれに関連する液滴発生器の連続した液滴吐出の回数を制御する。その後、プリントコントローラは、各ドットクロックの直後に液滴発生器に電圧波形群を生成し、これらの波形をプリントヘッドに送信する。波形群は、電圧極性とタイミングを規定するアナログ電圧とコントロールラインの両方を含むことができる。各ドットクロックはまた、次のドットクロックに続く次の波形群に対してどのジェットが選択されるかを規定するために、データをプリントヘッドに送信するようにコントローラをトリガする。波形群およびデータの両方は、液滴吐出と正確にタイミングを合わせてプリントヘッドに送信され、ドットクロックによってトリガされる。
【0004】
通常、各プリンタは、必要な波形、コントロールライン及びデータをプリントヘッドに提供するように設計されたそれら自体の制御電子機器アーキテクチャを有する。しかしながら、プリントヘッドの外部にあるようなプリントコントローラを除去し、プリントシステムを簡略化し合理化することが可能である。
【0005】
一実施形態は、プリントヘッドが標準コンピュータに直接接続されることを可能にする標準コンピュータインタフェースと、標準コンピュータからの画像データに従って、基板にインクを付着させるジェットアレイと、標準コンピュータインタフェースを介して画像データを受信する処理要素と、標準コンピュータインタフェースを介して受信した画像データを記憶し、かつドットクロックにトリガされるとき、画像データをジェットアレイに送信する、処理要素によって制御され、柔軟な記憶深度を有するバッファと、画像データに従ってジェットアレイのそれぞれをトリガするドライバを有するプリントヘッドを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、従来のプリントシステムの実施形態を示す。
図2図2は、独立型プリントヘッドの一実施形態を示す。
図3図3は、独立型プリントヘッド用の処理回路の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
現在利用できるプリントシステムは、外部制御電子機器を必要とする。通常、制御電子機器は、プリンタ内にあるがプリントヘッドの外側にある。図1に示すように、コンピュータシステム10は、プリントシステム12に有線または無線で接続されている。コンピュータシステムは、専用の画像プロセッサ、またはコンピュータシステムの中央処理装置を含む汎用プロセッサであり得る画像プロセッサ14を有する。
【0008】
コンピュータ10は、画像データをプリントシステム12内のプリントヘッドコントローラ16に伝送する。プリントヘッドコントローラ16は、コンピュータ10およびプリントヘッド18とインタフェースする。そして、プリントヘッド18は、ジェットスタック20を制御する。ジェットスタックは、通常、積み重ねられて、インクジェットのアレイまたはプリント基板24にインクを滴下できるノズル22にインクを送る一連のチャネルおよびチャンバを形成する1組のプレートで構成される。
【0009】
ここで開示された実施形態には、分離型プリントコントローラはない。その代わりに、図2に示すように、プリントヘッド18は、その内部にすべての電子機器を有する。それらは、処理要素26と、ジェットスタック20およびその個々のジェット22を駆動するドライバ28とを含み得る。
【0010】
プリントヘッド18は、ユニバーサルシリアルバス(USB)のような標準コンピュータインタフェース30を介して画像データを受信する。以下でより詳細に説明するように、これは、実施形態を全周波数アプリケーションに拡張することを可能にするUSBタイプCで構成されてよい。通常のUSB2で接続される高周波アプリケーションに対して、外部DC電源をプリントヘッドに印加することができる。
【0011】
プリントヘッドは、内部で生成された「ドットクロック」または発射信号を含み得る。ドットクロックは、22のようなジェットを作動させ、ジェットからプリント基板24にインクを吐出させる波形群をトリガする。ドットクロックは、プリントヘッドの内部または外部で生成されてよい。内部ソースは外部エンコーダに位相ロックすることができる。図3は、本明細書で「独立型」プリントヘッドとも呼ばれる、内部処理電子機器を有するプリントヘッドの一実施形態のプリントヘッドアーキテクチャを示す。「独立型」という用語は、外部コンポーネントの使用を排除するものではなく、オプションであるため独立型であることに留意すべきである。
【0012】
図3では、コンピュータ40は、プリントヘッド18に対する標準コンピュータインタフェース30を有する。インタフェース30は、USB2.0からコンピュータ40およびULPIからULPIまで対応するUSBとして、ULPI物理的インタフェースチップに実装されてもよい。ULPIは、低ピンインタフェースのUTMI(ユニバーサルトランシーバマクロセルインタフェース)である。これは標準コンピュータインタフェースの一例にすぎないことに留意すべきである。公開された標準に準拠している任意のコンピュータインタフェース。
【0013】
画像データは、標準コンピュータインタフェースのケーブルを介して、画像列順序であるジェット番号順序でジェット当たり1ワードの32ビットワードの形式のコンピュータ40に由来する。プリントヘッドは、外部または内部でドットクロックが供給されると、データを消費する。コンピュータインタフェースは、処理要素26に接続される。処理要素は、画像データをバッファし処理して、ドライバにジェットを発射させるのに必要な波形を生成することができる任意の装置である。いくつかの実施形態では、それは、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または特定用途向け集積回路(ASIC)、あるいはドットクロックに応答してデータをバッファリングし噴射波形を生成することができる他の装置であってよく、それはプリントヘッドの制御を提供するように製造されプログラムされた集積回路を意味する。
【0014】
コンピュータ40からの画像データは、通常、ドットクロックと同期していないUSBパケットのようなバーストに到着する。処理要素26は、画像データを内部バッファに記憶し、バッファが一杯になったときに、USB否定応答(NAK)トークンなどの機構を使用して、画像データの送信を一時停止するようにコンピュータに信号を送信する。
【0015】
各ドットクロックに続き、処理要素26は、2つの並行処理を実行する。1つの処理は、内部バッファから画像データを読み取り、次のドットクロックに続く使用のためにドライバ28に送信することである。通常、この画像データは、1ジェット当たり1ビットであるが、複数の液滴サイズを噴射することができるプリントヘッドに対しては、1ビット以上であってよい。通常、ドライバ28への画像データは、また、ジェット番号(画像列)順序ではなく、ドライバ28およびジェットスタック20の物理的レイアウトによって決まる順序である。したがって、処理要素26は、書き込まれた順序と異なる順序でその内部バッファからデータを読み取り、各ジェットに対して、各32ビット画像ワードの特定のサブセットを選択する。画像ワードの32ビットをすべて使用するのに十分なドットクロックが生成されると、そのワードはバッファから除去され、コンピュータからより多くの画像データを受信するスペースを解放する。
【0016】
処理要素26の第2の並行処理は、22のようなジェットを発射させるために、ドライバ28に使用されるVPPおよびVSS波形を生成することである。処理要素の外部にあるアナログ回路は、VPPおよびVSS波形レール34、36の実行を終了する。これは、米国特許第5,677,647号に見られるようなアナログパルス増幅器を含み得る。それは、外部DC電源44、またはUSBインタフェースを介してコンピュータに由来する電源に接続されたDC電力変換器32をさらに含み得る。VPPおよびVSSの生成とともに、処理要素26は、有効にされたジェットをいつVPP又はVSSに接続するか、或いはどちらにも接続しないかを示す制御信号をドライバ28に送信する。前のドットクロックに続き、ドライバに送信された画像データに基づいてジェットを有効または無効にする。
【0017】
同様に、ドットクロックは、固定周波数で、またはENC AおよびBなどのエンコーダ信号を処理要素に提供する位置エンコーダ42に応答し、内部で生成されてよい。これらの信号は、ドットクロックを開始し停止し、かつドットクロックを位相ロックしてエンコーダ位置を追跡するように機能することができる。あるいは、エンコーダ入力は、外部ドットクロックと呼ばれるドットクロックとして直接使用されてよい。ドットクロックが内部または外部のどちらで生成されるかは、プリントアプリケーションに依存する。例えば、固定周波数の内部レート発生器は、プリント基板の動きが変化せず、既知の速度である状況で、うまく機能することができる。プリント基板の速度が変化すると、エンコーダは、ドットクロックを位相ロックしてプリント基板の位置を追跡することができる。これは、エンコーダの解像度の倍率でプリントの解像度を提供する処理要素26内の位相同期ループ(PLL)の使用を含み得る。PLLドットクロック発生器の一例は、その全体が明細書に組み込まれる米国特許第6,076,922号に見ることができる。
【0018】
位置エンコーダは、第1軸に沿ったプリントヘッドとプリント支持部材との相対的な動きに応じて、エンコーダパルス信号を生成する。デジタル位相同期ループ回路は、エンコーダパルス信号およびフィードバック信号を受信し、少なくとも第1および第2状態を有する位相差信号を生成する位相比較器で構成される。ドットクロック発生器は、位相差信号の時間に関する積分を表すデジタル信号を出力する積分器と、積分に応じた周期を有するパルス出力信号を生成するデジタル信号に応答するパルス発生器と、パルス発生器のパルス出力信号を受信し、第1の出力信号と第2の出力信号を提供する出力回路とを有する。第1出力信号はフィードバック信号であり、第2の出力信号はドットクロック信号であり、出力回路は、パルス出力信号の周波数を選択された定数で除算して第2の出力信号を生成する分周カウンタを含む。
【0019】
また、上述したように、通常のUSB2で接続されるより高周波のアプリケーションに対して、プリントヘッドは、DC電源44に由来するような外部DC電源への接続を有し得る。1インチ当たりのドット数で表される、より高い解像度でプリントする場合、ドットクロックは、プリント基板の移動に伴い、所定の間隔内でジェットをより速く発射させる。したがって、より高い解像度はより高い周波数の動作を必要とする。
【0020】
オンボード処理電子機器の一態様において、画像データを転送するために使用されるコンピュータクロックを起動する必要がなく、ドットクロックが生成されると、画像データはバッファされて消費される。処理要素は、ドットクロックを受信すると、ジェットの様々な量のデータを記憶することを可能にする柔軟深度バッファを含む。
【0021】
一実施形態では、プリントヘッドは、ジェットと、VPPおよびVSSパワーレール、そのうち内部にある制御信号およびデータ信号を含むすべての必要な噴射波形とを有する。内部処理はPLLを含み、プリントヘッドの外部にあるエンコーダからエンコーダ信号を受信することができる。これは、システム設計者がエンコーダからの入力を含むか否かを選択することを可能にする。さらに、プリントヘッドの外部にあるDC電源の供給に適用される。
図1
図2
図3