(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】カルバペネマーゼ阻害剤としての2-または3-イミダゾリン
(51)【国際特許分類】
C07D 233/22 20060101AFI20221130BHJP
C07D 233/20 20060101ALI20221130BHJP
C07D 233/24 20060101ALI20221130BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20221130BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221130BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20221130BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20221130BHJP
【FI】
C07D233/22 CSP
C07D233/20
C07D233/24
A61K45/00
A61P43/00 123
A61P43/00 121
A61P31/04
A61K47/54
(21)【出願番号】P 2019548714
(86)(22)【出願日】2018-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2018055820
(87)【国際公開番号】W WO2018162670
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-02-08
(32)【優先日】2017-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
(73)【特許権者】
【識別番号】520018392
【氏名又は名称】ユニベルシテ パリ-サクレー
(73)【特許権者】
【識別番号】505138886
【氏名又は名称】アシスタンス パブリク-オピトー ドゥ パリ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ケビン カリウ
(72)【発明者】
【氏名】ロベール アシュ.ドッド
(72)【発明者】
【氏名】ウジェニー ロメロ
(72)【発明者】
【氏名】モハメド ベンチェクルン
(72)【発明者】
【氏名】ボグダン イオルガ
(72)【発明者】
【氏名】ティエリー ナース
(72)【発明者】
【氏名】サウッセン ウスラーティ
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-537533(JP,A)
【文献】特表2014-504279(JP,A)
【文献】特開平05-255330(JP,A)
【文献】国際公開第2008/010048(WO,A2)
【文献】Chen, Hui; Sanjaya, Stephen; Wang, Yi-Feng; Chiba, Shunsuke,Copper-catalyzed aliphatic C-H amination with an amidine moiety,Organic Letters ,2013年,15(1),212-215
【文献】Venkatesan, A. M. et al.,Novel imidazole substituted 6-methylidene-penems as broad-spectrum beta-lactamase inhibitors,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2004年,12(22),5807-5817
【文献】Zhao, D et al.,Discovery of biphenyl imidazole derivatives as potent antifungal agents : Design, synthesis, and structure-activity relationship studies,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2017年,25,750-758
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 233/
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)の化合物、またはその溶媒和物もしくは塩:
【化1】
{式中、
Ar
1およびAr
2は、同一であるかまたは異なり、かつ、独立に、単環もしくは多環C
5-C
12アリール、または単環もしくは多環C
3-C
12ヘテロアリール基であって、以下のもので任意選択で置換され:
- 以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基:ハロゲン原子、OH、C
1-C
6アルキル、C
3-C
7シクロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
3-C
7シクロアルコキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アミノ-C
1-C
10アルコキシ、(カルボン酸)-C
1-C
10アルコキシ、(カルボン酸(C
1-C
6)アルキルエステル)-C
1-C
10アルコキシ、(1,2ジオール)-C
2-C
10アルコキシ、-O-(C
1-C
6)アルキル-O-(C
1-C
6)アルキル-OH、(C
1-C
6)-アルコキシ-(C
1-C
6)-アルキル、C
2-C
6アルキルカルボニル、C
1-C
6アルキルチオ、C
1-C
6チオアルキル、(C
1-C
6)-アルキルチオ-(C
1-C
6)-アルキル、C
1-C
6アルキルスルフィニル、C
1-C
6アルキルスルホニル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ハロアルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシアルキル、C
2-C
6ハロアルキルカルボニル、C
1-C
6ハロアルキルチオ、C
1-C
6ハロアルキルスルフィニル、C
1-C
6ハロアルキルスルホニル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
2-C
6ハロアルキニル、C
2-C
6ハロアルケニル、C
2-C
6ハロアルケニルオキシ、C
2-C
6ハロアルキニルオキシ、C
2-C
6アルケニルオキシ、C
2-C
6アルキニルオキシ、C
2-C
6アルケニルチオ、C
2-C
6アルキニルチオ、C
2-C
6ハロアルケニルチオ、C
2-C
6ハロアルキニルチオおよび/または単環もしくは多環C
5-C
12アリール基で任意選択で置換されるC
1-C
6アルコキシ;
- 任意選択で、ハロゲン原子、OH、C
1-C
6アルキル、またはC
1-C
6アルコキシで置換される、単環もしくは多環C
5-C
12アリールまたは単環もしくは多環C
3-C
12ヘテロアリール基;および/または
- 式-O-CH
2-O-または-O-CH
2CH
2-O-の架橋基;
Ar
3は、以下から成る群から独立に選択される置換基で任意選択で置換される、単環もしくは多環C
5-C
12アリール基、または単環もしくは多環C
3-C
12ヘテロアリール基であり:
- ハロゲン原子、OH、C
1-C
6アルキル、C
3-C
7シクロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
3-C
7シクロアルコキシ、シアノ、ホルミル、ニトロ、C
1-C
6アルキル、C
3-C
7シクロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、(C
1-C
6)-アルコキシ-(C
1-C
6)-アルキル、C
2-C
6アルキルカルボニル、C
1-C
6アルキルチオ、C
1-C
6チオアルキル、(C
1-C
6)-アルキルチオ-(C
1-C
6)-アルキル、C
1-C
6アルキルスルフィニル、C
1-C
6アルキルスルホニル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ハロアルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシアルキル、C
2-C
6ハロアルキルカルボニル、C
1-C
6ハロアルキルチオ、C
1-C
6ハロアルキルスルフィニル、C
1-C
6ハロアルキルスルホニル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
2-C
6ハロアルキニル、C
2-C
6ハロアルケニル、C
2-C
6ハロアルケニルオキシ、C
2-C
6ハロアルキニルオキシ、C
2-C
6アルケニルオキシ、C
2-C
6アルキニルオキシ、C
2-C
6アルケニルチオ、C
2-C
6アルキニルチオ、C
2-C
6ハロアルケニルチオ、C
2-C
6ハロアルキニルチオ基、および/またはC
1-C
6アルキルオキシ基で任意選択で置換される単環C
5-C
6アリール基;
- 任意選択で、ハロゲン原子、OH、C
1-C
6アルキル、またはC
1-C
6アルコキシで置換される、単環もしくは多環C
5-C
12アリール、または単環もしくは多環C
3-C
12ヘテロアリール基;および/または
- 式-O-CH
2-O-または-O-CH
2CH
2-O-の架橋基;
R
4は、水素原子であり;
R
6は、水素原子
である}。
【請求項2】
Ar
1およびAr
2が、独立に、単環もしくは多環C
5-C
12アリールであって、OH、C
1-C
6アルキル、C
3-C
7シクロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
3-C
7シクロアルコキシ、(1,2ジオール)-C
2-C
10アルコキシ、-O-(C
1-C
6)アルキル-O-(C
1-C
6)アルキル-OH、(C
1-C
6)-アルコキシ-(C
1-C
6)-アルキル、C
1-C
6ハロアルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシアルキル、単環もしくは多環C
5-C
12アリール基で任意選択で置換されるC
1-C
6アルコキシ、あるいは、式-O-CH
2-O-または-O-CH
2CH
2-O-の架橋基、から成る群から選択される1~3つの置換基で任意選択で置換されるものである、請求項
1に記載の化合物。
【請求項3】
Ar
3が、ハロゲン原子、OH、C
1-C
6アルキル、C
3-C
7シクロアルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
3-C
7シクロアルコキシ、(C
1-C
6)-アルコキシ-(C
1-C
6)-アルキル、C
2-C
6アルキルカルボニル、C
1-C
6アルキルチオ、C
1-C
6チオアルキル、(C
1-C
6)-アルキルチオ-(C
1-C
6)-アルキル、C
1-C
6アルキルスルフィニル、C
1-C
6アルキルスルホニル、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ハロアルコキシ、C
1-C
6ハロアルコキシアルキル、C
2-C
6ハロアルキルカルボニル、C
1-C
6ハロアルキルチオ、C
1-C
6ハロアルキルスルフィニル、C
1-C
6ハロアルキルスルホニル、C
2-C
6アルケニル、C
2-C
6アルキニル、C
2-C
6ハロアルキニル、C
2-C
6ハロアルケニル、C
2-C
6ハロアルケニルオキシ、C
2-C
6ハロアルキニルオキシ、C
2-C
6アルケニルオキシ、C
2-C
6アルキニルオキシ、C
2-C
6アルケニルチオ、C
2-C
6アルキニルチオ、C
2-C
6ハロアルケニルチオ、C
2-C
6ハロアルキニルチオ基、および/またはC
1-C
6アルキルオキシ基で任意選択で置換される単環C
5-C
6アリール基、から成る群から選択される1~3つの置換基で置換される、請求項1
または2に記載の化合物。
【請求項4】
Ar
1、Ar
2およびAr
3が、独立に、単環もしくは多環C
5-C
12アリールであって、ハロゲン原子、OH、C
1-C
6アルキル、C
1-C
6アルコキシ、C
1-C
6ハロアルキル、C
1-C
6ハロアルコキシ、および式-O-CH
2-O-または-O-CH
2CH
2-O-の架橋基から成る群から選択される、1~3つの置換基で任意選択で置換されるものである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
以下の化合物、またはその溶媒和物もしくは塩であることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の化合物:
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
。
【請求項6】
以下の化合物、ならびにその溶媒和物および塩から選択されることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の化合物:
【表1-1】
【表1-2】
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の化合物を調製する方法であって、以下の連続ステップ:
a)Ar
3およびR
6が、請求項1~
6のいずれか一項に記載したとおりのものであり、かつ、LGが、脱離基を表す、式(II)の化合物:
【化6】
を、塩基B1の存在下で、Ar
1、Ar
2およびR
4が、請求項1~
6のいずれか一項に記載したとおりのものであり、かつ、R
4aが、水素である式(III)の化合物に付加し:
【化7】
b)請求項1~
6のいずれか一項に記載の式(Ia)の化合物を単離すること、
を含む方法。
【請求項8】
カルバペネマーゼ酵素の阻害剤としての使用のための請求項1~
6のいずれか一項に記載の式(Ia)の化合物を含む組成物。
【請求項9】
抗生物質と組み合わせた、請求項
8に記載の使用のための式(Ia)の化合物を含む組成物。
【請求項10】
少なくとも1つの請求項1~
6のいずれか一項に記載の式(Ia)の化合物および医薬的に許容し得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項11】
抗生物質をさらに含む、請求項1
0に記載の医薬組成物。
【請求項12】
薬物としての使用のための、請求項1~
6のいずれか一項に記載の式(Ia)の化合物を含む組成物、または請求項1
0または1
1に記載の組成物。
【請求項13】
前記薬物が抗生物質である、請求項1
2に記載の使用のための組成物。
【請求項14】
前記抗生物質が、グラム陰性菌から選択される細菌に対して有効である、請求項
9または1
1に記載の使用のための組成物。
【請求項15】
同時、連続および別々の使用のための組み合わせ製品としての、以下:
- 第一の治療的に活性な、請求項1~
6のいずれか一項に記載の式(Ia)の化合物を含有する少なくとも1つの第一のコンテナ、および
- 抗生物質である第二の治療的活性物質を含有する少なくとも1つの第二のコンテナ、
を含むキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗生物質療法に有用である3-イミダゾリン誘導体、およびそれを調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界保健機構による最近の報告では、多剤耐性(すなわち、いくつかの薬物および/または薬物クラスに対して耐性)細菌-または汎薬物耐性(すなわち、これまでに知られているすべての薬物および/または薬物クラスに対して耐性)細菌さえ-の数に関して関心が高まっており、そしてそれは、世界中で指数関数的に増加している。特に、かなりの期間、あらゆる感染症との闘いのために有効であったβ-ラクタムは、現在、細菌が新しい酵素的耐性経路を発達させたので、効果がなくなってきている。
【0003】
ペニシリン、セファロスポリン、モノバクタムおよびカルバペネムなどのβ-ラクタムは、β-ラクタム部分を含有しており、そしてそれが、β-ラクタマーゼと呼ばれる細菌酵素の標的である。現在、β-ラクタマーゼ媒介耐性は、最も新しく、かつ、最も強力なβ-ラクタム(カルバペネム)でさえ容認しない(not spare)。
【0004】
β-ラクタマーゼは、ラクタム環のC(O)-N結合を開環することによって作用し、そしてそれが、カルボニルに隣接する窒素の非結合電子の非局在化によって弱められる。酵素機構については、以下のスキームで示されるように説明され得る:
【化1】
【0005】
β-ラクタマーゼは、4つのクラス、すなわち、クラスA~Dに分類される。
カルバペネマーゼは、カルバペネムを加水分解する能力を有する、特異的β-ラクタマーゼである。カルバペネマーゼは、2つの異なったタイプのもの:セリン-β-ラクタマーゼ(SBL、クラスAおよびDのβ-ラクタマーゼに属する)およびメタロ-β-ラクタマーゼ(MBL、クラスBのβ-ラクタマーゼに属する)が存在する。クラスAカルバペネマーゼとしては、SME、IMI、NMC、GESおよびKPCファミリーから成るメンバーが挙げられる。クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)カルバペネマーゼ(KPC)が最も一般的であり、(クレブシエラ・ニューモニアの)ほとんどプラスミドに見られる。クラスDカルバペネマーゼは、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumannii)において頻繁に検出されるOXA-タイプβ-ラクタマーゼから成る。活性部位に亜鉛を含有するメタロβ-ラクタマーゼであるクラスBカルバペネマーゼは、NDM、IMP、VIM、SPM、GIM、およびSIMファミリーに属し、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)において主に検出され、そして、エンテロバクテリア科において報告されることが増えてきた。特に、広範囲の細菌、例えばK.ニューモニエ(K.pneumoniae)、E.コリ(E.coli)およびE.クロアカ(E.cloacae)などの抗生物質耐性は、数タイプのカルバペネマーゼ:クラスBのメタロ-酵素NDM-1(12%)、クラスDのオキサシリナーゼOXA-48(67%)、およびクラスAのKPC-2(14%)、に関与している。
【0006】
最近まで、3種類の市販のクラスAβ-ラクタマーゼ阻害剤:クラブラン酸、スルバクタムおよびタゾバクタム、しか存在しなかった。しかしながら、それらのうちで、カルバペネマーゼに対して活性であるものは存在しなかった。
【0007】
言及すべきは、新規阻害剤アビバクタムであり、そしてそれは、クラスAのカルバペネマーゼ(KPC)と一部のクラスDのカルバペネマーゼ(OXA-48)を阻害し、かつ、それは、最近、米国および仏国で商品化され、さらに、別のクラスAのカルバペネマーゼ(KPC)阻害剤であるリレバクタムは、現在、第III相臨床試験中である。また、ナクバクタム(Nacubactam)、ザイデバクタム(Zidebactam)、ETX-2514もまた、現在、第一相臨床試験中であり、およびバボルバクタム(Vaborbactam)は、第III相臨床試験を受けている。しかしながら、これまで、規制当局に承認されたMBL(メタロ-β-ラクタマーゼ)阻害剤も、カルバペネマーゼ汎阻害剤(すなわち、すべてのクラスのカルバペネマーゼ、すなわち、クラスA、BおよびDのカルバペネマーゼを阻害する)も存在しなかった。
【0008】
【0009】
PCT出願番号EP2016/071115(WO2017/042233)では、特にクラスB、DおよびAのβ-ラクタマーゼに対する、具体的には、それぞれ、メタロ-酵素NDM-1、オキサシリナーゼOXA-48およびペニシリナーゼKPC-2に対するカルバペネマーゼ阻害剤としてのアゼチジンイミンを開示する。
しかしながら、新しいカルバペネマーゼ阻害剤、および特に、異なった選択性プロファイルを有するカルバペネマーゼ汎阻害剤(すなわち、すべてのクラスのカルバペネマーゼ、すなわち、クラスA、BおよびDのカルバペネマーゼを阻害する)、例えばクラスA/B/Dのカルバペネマーゼ阻害剤など、の必要性が今もなお存在している。
【発明の概要】
【0010】
出願人は、驚いたことに、3-イミダゾリン部分を含有する化合物が、特にクラスAおよびBのカルバペネマーゼに対して活性である、カルバペネマーゼポリ阻害剤(polyinhibitors)として効果的であることを見出した。
【0011】
第一の態様において、本発明は、式(I)の化合物、例えば、式(Ia)の化合物など、またはその溶媒和物もしくは塩に関する:
【化3】
【0012】
{式中、
【化4】
は、単結合または二重結合を表し、但し、2つの結合
【化5】
のうち一方が単結合であり、そしてもう片方が二重結合であり;
【0013】
Ar1およびAr2は、同一であるかまたは異なり、かつ、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール、単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基であり、
(ここで、アリールまたはヘテロアリール基が、以下のもので任意選択で置換され:
- 以下から成る群から独立に選択される1~3の置換基:ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アミノ-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸)-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸(C1-C6)アルキルエステル)-C1-C10アルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6ハロアルキルスルフィニル、C1-C6ハロアルキルスルホニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6ハロアルケニルチオ、C2-C6ハロアルキニルチオおよび/または単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ;
【0014】
- ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、またはC1-C6アルコキシで任意選択で置換される、単環もしくは多環C5-C12アリールまたは単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基;および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基);
【0015】
Ar3は、以下から成る群から独立に選択される置換基で任意選択で置換される、単環もしくは多環C5-C12アリール基、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基であり:
【0016】
- ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、ホルミル、ニトロ、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6ハロアルキルスルフィニル、C1-C6ハロアルキルスルホニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6ハロアルケニルチオ、C2-C6ハロアルキニルチオ基、および/またはC1-C6アルキルオキシ基で任意選択で置換される単環C5-C6アリール基;
- ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、またはC1-C6アルコキシで任意選択で置換される、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基;および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基;
【0017】
R
4は、炭素1と窒素原子との間の結合
【化6】
が単結合である場合に存在し、そして、炭素1と窒素原子との間の結合
【化7】
が二重結合である場合に不存在であり;
【0018】
R
4aは、炭素2と窒素原子との間の結合
【化8】
が単結合である場合に存在し、そして、炭素2と窒素原子との間の結合
【化9】
が二重結合である場合に不存在であり;
【0019】
R4は、水素原子または以下から成る群から独立に選択される置換基で任意選択で置換されるC1-C6アルキル基であり:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(C1-C6)アルキル、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、単環もしくは多環C5-C12アリール基;
R4aは、水素原子または以下から成る群から独立に選択される置換基で任意選択で置換されるC1-C6アルキル基であり:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、オキソ(=O)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、任意選択で置換されるアリールイミド、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(C1-C6)アルキル、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、単環もしくは多環C5-C12アリール基;
【0020】
R6は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C1-C10アルコキシ、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、ホルミル、C2-C10アルキルカルボニル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルキニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C2-C10アルキニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルキニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、C2-C10ハロアルキニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、あるいは、単環もしくは多環C5-C12アリールまたは単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基であり、各基は、以下から成る群から独立に選択される置換基で任意選択で置換される:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(C1-C6)アルキル、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、単環もしくは多環C5-C12アリール基}。
【0021】
特定の態様において、式(I)の化合物は、式(Ia)または(Ib)の化合物である:
【化10】
【0022】
別の態様において、本発明は、先に規定した式(I)の化合物を調製する方法であって、以下の連続的ステップ:
a)先に規定したAr
3およびR
6、ならびにLG脱離基を有する式(II)の化合物:
【化11】
を、塩基の存在下で、先に規定したAr
1、Ar
2およびR
4を有する式(III)の化合物に付加し:
【化12】
b)先に規定したように、式(I)の化合物を単離すること、
を含む方法に関する。
【0023】
特定の態様において、式(III)の化合物は、式(Ia)の化合物を調製するための式(IIIa)の化合物であるか、または式(Ib)の化合物を調製するための式(IIIb)の化合物である:
【化13】
。
【0024】
別の態様において、カルバペネマーゼ酵素、特にクラスA、Bおよび/またはD、好ましくはNDM-1タイプ、OXA-48タイプまたはKPC-タイプ酵素のカルバペネマーゼの阻害剤としての使用のための、本発明は、式(I’)の化合物、例えば、式(I’a)の化合物など、あるいは先に規定した式(I)の化合物に関する:
【化14】
【0025】
{式中、
【化15】
は、単結合または二重結合を表し、但し、2つの結合
【化16】
のうちの一方が単結合であり、そしてもう片方が二重結合であり;
【0026】
R1、R2およびR3は、同一であるかまたは異なり、かつ、互いに独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、3~8員複素環化合物、C1-C10アルコキシ、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルキニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C2-C10アルキニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルキニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、C2-C10ハロアルキニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール断片であり、
【0027】
ここで、該C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、3~8員複素環化合物、C1-C10アルコキシ、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルキニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C2-C10アルキニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルキニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、C2-C10ハロアルキニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール断片は、以下のもので任意選択で置換される:
【0028】
- 1もしくは複数(1~3)のハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、3~8員複素環化合物、アミノ-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸)-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸(C1-C6)アルキルエステル)-C1-C10アルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6ハロアルキルスルフィニル、C1-C6ハロアルキルスルホニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6ハロアルケニルチオ、C2-C6ハロアルキニルチオおよび/または単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ、
【0029】
- ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、またはC1-C6アルコキシで任意選択で置換される、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基、および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基(該断片がアリールまたはヘテロアリール部分を含有する場合、すなわち、それが、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、C5-C12アリールスルホニル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール断片である場合、該架橋基が、特に企図される);
【0030】
R
4は、炭素1と窒素原子との間の結合
【化17】
が単結合である場合に存在し、そして、炭素1と窒素原子との間の結合
【化18】
が二重結合である場合に不存在であり;
【0031】
R
4aは、炭素2と窒素原子との間の結合
【化19】
が単結合である場合に存在し、そして、炭素2と窒素原子との間の結合
【化20】
が二重結合である場合に不存在であり;
【0032】
R4は、水素原子または以下から成る群から独立に選択される置換基で任意選択で置換されるC1-C6アルキル基であり:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C3-C7シクロアルキル、3~8員複素環化合物、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(C1-C6)アルキル、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、単環もしくは多環C5-C12アリール基;
【0033】
R4aは、水素原子または以下から成る群から独立に選択される置換基で任意選択で置換されるC1-C6アルキル基であり:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、オキソ(=O)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、任意選択で置換されるアリールイミド、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(C1-C6)アルキル、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、単環もしくは多環C5-C12アリール基;
【0034】
R5は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、3~8員複素環化合物、C1-C10アルコキシ、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、ホルミル、C2-C10アルキルカルボニル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C
2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルキニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C2-C10アルキニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルキニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、C2-C10ハロアルキニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、C5-C12アリールまたはC3-C12ヘテロアリール基であり、各基は、以下から成る群から独立に選択される置換基で任意選択で置換される:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(C1-C6)アルキル、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、単環もしくは多環C5-C12アリール基}。
【0035】
特定の態様において、式(I’)の化合物は、式(I’a)または(I’b)の化合物である:
【化21】
【0036】
別の態様において、本発明は、特に、ペニシリン結合タンパク質(すなわち、抗生物質として)、およびカルバペネマーゼ酵素、特にクラスA、Bおよび/またはDの、好ましくは、NDM-1タイプ、OXA-48タイプまたはKPC-タイプ酵素のカルバペネマーゼの同時阻害剤としての使用のための、抗生物質と式(I)または(I’)の化合物との複合体に関する。
別の態様において、本発明は、抗生物質、典型的には、β-ラクタム部分を含有する抗生物質と式(I)または(I’)の化合物との複合体に関する。
別の態様において、本発明は、薬物としての使用のための、先に規定した式(I)もしくは(I’)の化合物、または抗生物質とのその複合体に関する。
【0037】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの先に規定した式(I)もしくは(I’)の化合物、または抗生物質とのその複合体、および医薬的に許容し得る担体を含む、特に、薬物としての使用のための医薬組成物に関する。
別の態様において、本発明は、特に、抗生物質療法における同時、連続または別々の使用のための、組み合わせ製品としてのキットであって、以下の:
- 第一の治療的に活性な、先に規定した式(I)もしくは(I’)の化合物、または抗生物質とのその複合体、およびその混合物を含有する少なくとも1つの第一のコンテナ、ならびに、
- 抗生物質である第二の治療的活性物質を含有する少なくとも1つの第二のコンテナ、
を含むキットに関する。
【0038】
定義
本明細書中に使用する場合、「鏡像異性体の混合物」とは、鏡像異性体の任意の混合物を意味する。上記混合物は、ラセミ体、すなわち50/50重量(w/w)%の各鏡像異性体、または非ラセミ体、すなわち鏡像異性体の一方またはもう一方が豊富であって、重量比w/wが一方の鏡像異性体がもう一方と比較して50/50%と75/25%の間、75/25%と90/10%の間または95%より多いものであることができる。典型的には、本発明の化合物は、ラセミ体であるか、または95%超、好ましくは96%超、好ましくは97%超、好ましくは98%超、より一層好ましくは99%超のいずれかである。
本明細書中に使用する場合、「ジアステレオ異性体の混合物」とは、任意の割合でのジアステレオ異性体の混合物を意味する。
【0039】
当該技術における慣例として、本発明においては、「Me」はメチル(-CH3)を表し、Bnはベンジル(-CH2-C6H5)を表し、Phはフェニル(-C6H5)を表す。
【0040】
本発明において「C1-C10アルキル」/「アルキル」(すなわち「アルキル」における炭素数は明確に示されていない)なる表現は、特に指定されない限り、1~10個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族基を意味する。本発明の範囲によって包含されるアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチル、イソブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどから選択される基である。
【0041】
本発明において「C3-C10シクロアルキル」/「シクロアルキル」(すなわち「シクロアルキル」における炭素数は、明確に示されていない)なる表現は、特に指定されない限り、3~10個の炭素原子を有する環状アルキル基を意味する。本発明の範囲によって包含されるシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルなどから選択される基である。
【0042】
本明細書中に使用される場合、「3~8員複素環化合物」とは、O、N(または必要に応じてNH)、S、S(O)、およびS(O)2から成る群から選択される、環原子のうちの1または2つのヘテロ原子、炭素原子である他の環原子を含む、飽和または部分的不飽和の3~8員環と理解される。3~8員複素環化合物の例としては、エポキシド、アジリジン、オキセタン、アゼチジン、チエタン、チエタンオキシド、チエタンジオキシド、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオフェン、ピペリジン、モルホリン、チオキサン、ピペラジンなどが挙げられる。好ましくは、3~8員複素環化合物は、3~6-複素環化合物である。
【0043】
本発明において「C1-C10チオアルキル」なる表現は、チオール基、すなわちSHまたはその塩によって置換された、本明細書に定義したとおりのC1-C10アルキル部分を意味する。
【0044】
本発明において「C1-C6アルキルチオ」なる表現は、「(C1-C6アルキル)-S-」基、すなわちイオウ原子によってその残りの分子に結合された上記で定義したとおりの、特に指定されない限り、1~6個の炭素原子を有するアルキル部分を表す。
【0045】
本発明において「(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル」なる表現は、本明細書に定義したとおりの「C1-C6アルキル」の任意の炭素原子にそのイオウ原子によって結合された本明細書に定義したとおりの「(C1-C6)-アルキルチオ」を表す。
【0046】
「C1-C10アルコキシ」/「C1-C10アルキルオキシ」なる表現は、「(C1-C6アルキル)-O-」基、すなわち、酸素原子によってその残りの分子に結合された、特に指定されない限り、上記で定義したとおりの1~10個の炭素原子を有するアルキル部分を表す。本発明の範囲によって包含されるアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ基などである。
【0047】
本発明において「(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ」なる表現は、上記で定義したとおりのアルコキシ基を表し、2つの隣接する炭素原子は各々ヒドロキシル基に結合されている。上記「1,2」は、その残りの分子に結合した第1および第2の炭素原子に対する位置を制限しない。実際に、本発明の一般的な関連において、上記ヒドロキシル基が2つの隣接する炭素、例えば位置2,3;3,4;4,5…、すなわち「n、n+1」(nはアルキル部分上の位置であり、従って、n+1は全炭素原子数より多いことはできない)に結合されていることを意味する。
【0048】
本発明において「(カルボン酸)-C1-C10アルコキシ」なる表現は、上記で定義したとおりのアルコキシ基を表し、少なくとも1個の炭素原子は、フラグメント「COOH」、「COO-」またはその塩に結合されている。好ましくは、上記「COOH」または「COO-」基またはその塩は、前記C1-C10アルコキシ基の主な直鎖の最後の炭素に結合されている。
【0049】
本発明において「(カルボン酸(C1-C6)アルキルエステル)-C1-C10アルコキシ」なる表現は、上記で定義したとおりアルコキシ基を表し、少なくとも1つの炭素原子が、カルボン酸基によって式-COO-(C1-C6)アルキルのカルボン酸エステル基に結合されている。好ましくは、上記カルボン酸エステル基は、前記C1-C10アルコキシ基の主な直鎖の最後の炭素に結合されている。
【0050】
本発明において「C1-C6 NH2置換アルキル」なる表現は、上記で定義したとおりのアルキル基を表し、少なくとも1つの炭素原子がアミノ(NH2)基によって置換されている。好ましくは、N3基は、前記C1-C6アルキル基の主な直鎖の最後の炭素に連結されている。
【0051】
本発明において「C1-C10アルキルスルフィニル」なる表現は、「(C1-C10アルキル)-S(=O)-」、すなわち一酸化されているイオウ原子によってその残りの分子に結合された、特に指定されない限り、上記で定義したとおりの1~10個の炭素原子のアルキル部分を表す。
【0052】
本発明において「C1-C10アルキルスルホニル」なる表現は、「(C1-C10アルキル)-S(=O)2-」、すなわち二酸化されているイオウ原子によってその残りの分子に結合された、特に指定されない限り、上記で定義したとおりの1~10個の炭素原子のアルキル部分を表す。
【0053】
本発明において「(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル」なる表現は、上記で定義したとおりの「C1-C6アルキル」基の任意の炭素原子にその酸素原子によって結合された上記で定義したとおりの「(C1-C6)-アルコキシ」を表し、後ろのアルキル部分はその残りの分子に結合されている。
【0054】
本発明において「ホルミル」なる用語は、H-C(=O)-基を表す。
【0055】
本発明において「C2-C10アルキルカルボニル」なる表現は、カルボニルに結合された本明細書に定義したとおりのアルキル基を意味し、上記カルボニルはそれ自体その残りの分子(例えば式(I)の)に結合されている。
【0056】
本発明において「C5-C12アリール」/「アリール」(すなわち「アリール」における炭素の数は、明確に示されていない)なる表現は、特に指定されない限り、5~12個の炭素原子を含む環式(単環あるいは多環)芳香族基を意味する。本発明の範囲によって包含されるアリール基の例は、フェニル、ナフチルなどである。
【0057】
本発明において「単環C5-C12アリール」なる表現は、1個だけの炭化水素環を有する上記で定義したとおりのアリールフラグメント(例えばフェニルフラグメント)を表す。
【0058】
本発明において「多環C5-C12アリール」なる表現は、1個を超える炭化水素環を有する上記で定義したとおりのアリールフラグメント(例えばナフタレン、アントラセンまたはフェナントレンフラグメント)を表す。
【0059】
本発明において「ヘテロアリール」なる表現は、炭素原子および/またはヘテロ原子(例えば窒素、酸素またはイオウ)であることができる5個と12個の間の原子を含む環式(単環または多環)芳香族基を意味する(例えば上記ヘテロアリールは3~9個の炭素原子と1個と5個の間のヘテロ原子を含むことができる)。本発明の範囲によって包含されるヘテロアリール基の例は、ピリジン、チオフェン、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、ピロール、キノリン、インドール、ピリダジン、キノキサリン、ジヒドロベンゾフランなどである。
【0060】
本発明において「単環C5-C12ヘテロアリール」なる表現は、1個だけの複数原子の環を有する上記で定義したとおりのヘテロアリールフラグメント(例えばピリジル、チアゾール、イミダゾールなどのフラグメント)を表す。
【0061】
本発明において「多環C5-C12ヘテロアリール」なる表現は、1個を超える複数原子の環を有する上記で定義したとおりのヘテロアリールフラグメント(例えばキノリン、インドール、キノキサリンなどのフラグメント)を表す。
【0062】
本明細書に使用しているように、「架橋基によって置換されたアリールまたはヘテロアリール」は、上記架橋基が上記アリールまたはヘテロアリールの2つの炭素、好ましくは2つの隣接している炭素を置換し、前記アリールまたはヘテロアリールと一緒に縮合多環基を形成するアリールまたはヘテロアリールと理解されている。例えば、上記アリールまたはヘテロアリールが単環である場合には、架橋基によって置換された前記単環アリールまたはヘテロアリールは縮合二環基である。一般に、上記架橋基は、上記アリール(またはヘテロアリール)基について2つの隣接する原子を置換する。架橋基によって置換された斯かるアリールまたはヘテロアリールの例としては、1,3-ベンゾジオキソールおよび1,4-ベンゾジオキサンが挙げられる。
【0063】
本発明において「(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル」なる表現は、上記で定義したとおりの「C1-C6アルキル」基の任意の炭素原子に結合された上記で定義したとおりの「(C5-C12)-アリール」を表し、上記アルキル部分はその残りの分子に結合されている。
【0064】
本発明において「C5-C12アリールスルホニル」なる表現は、「(C5-C12アリール)-S(=O)2-」、すなわち二酸化されているイオウ原子に結合された上記で定義したとおりの5~12個の炭素原子のアリール部分を表す。
【0065】
本発明において「アリールイミド」なる発現は、先に規定したようにArがアリール基を表す、式=N-Arの基を表す。
【0066】
本発明において「C2-C10アルケニル」/「アルケニル」(すなわち「アルケニル」における炭素数は明確に示されていない)なる表現は、少なくとも1つの不飽和、すなわち少なくとも1つの二重結合を含む、特に指定されない限り、2~10個の炭素原子を有する環状、直鎖または分枝鎖の脂肪族基を意味する。本発明の範囲によって包含されるアルケニル基は、例えば、エチレン、プロピル-1-エン、プロピル-2-エン、ブチル-1-エン、ブチル-2-エンなどから選択される基である。
【0067】
本発明において「C2-C10アルケニルチオ」なる表現は、「(C2-C10アルケニル)-S-」、すなわちイオウ原子によってその残りの分子に結合された、特に指定されない限り、上記で定義したとおりの2~10個の炭素原子を表す。
【0068】
本発明において「C2-C10アルケニルオキシ」なる表現は、「(C1-C6アルケニル)-O-」、すなわち酸素原子によってその残りの分子に結合された、特に指定されない限り、上記で定義したとおりの2~10個の炭素原子のアルケニル部分を表す。本発明の範囲によって包含されるアルケニルオキシ基の例は、エチレンオキシ、プロピル-1-エンオキシ基などである。
【0069】
本発明において「C2-C10アルキニル」/「アルキニル」(すなわち「アルキニル」における炭素数は、明確に指定されていない)なる表現は、少なくとも1つの二重の不飽和、すなわち少なくとも1つの三重結合を含む、特に指定されない限り、2~10個の炭素原子を有する環状、直鎖または分枝鎖の脂肪族基を意味する。本発明の範囲によって包含されるアルケニル基の例は、アセチレン、プロピル-1-イン、プロピル-2-イン、ブチル-1-イン、ブチル-2-インなどである。
【0070】
本発明において「C2-C10アルキニルオキシ」なる表現は、酸素原子に結合した上記で定義したアルキニル基を意味する。本発明の範囲によって包含されるアルキニルオキシ基の例は、アセチレンオキシ、プロピン-1-イルオキシ基などである。
【0071】
本発明において「C2-C10アルキニルチオ」なる表現は、「(C2-C610アルキニル)-S-」、すなわちイオウ原子によってその残りの分子に結合された上記で定義したとおりの、特に指定されない限り、2~10個の炭素原子のアルキニル部分表す。
【0072】
本明細書中に使用される場合、「フェノキシ基」とは、式C6H5O-の基を指し、および「チオフェノキシ基」とは、式C6H5S-の基を指す。また、本明細書中に使用される場合、「フェノール」とは、C6H5OHを指し、および「チオフェノール」とは、C6H5SHを指す。
【0073】
本発明において「ハロゲン原子」(使用される場合「ハロ」と同義)なる表現は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の少なくとも1つの原子を意味する。
【0074】
本明細書中に使用される場合、「C1-C10ハロアルキル」とは、同じ炭素原子数の、本明細書に規定したC1-C10アルキル基と理解され、ここで、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子によって置換されている。C1-C10ハロアルキルの例は、-CH2F1、-CHF2-、-CF3、-CH2Cl1、-CHCl2-、-CCl3、-CH2Br1、-CHBr2-、-CBr3、-CH2I1、-CHI2-、-CI3、-CH2-CH2F1、-CH2-CHF2-、-CH2-CF3、-CFH-CH3-CF2-CH3などである。
【0075】
アルキルを含む、先に規定したC1-C10アルキルおよびその誘導体のすべてにおいて、別の方法で指定されない限り、好ましい実施形態は、C1-C6アルキル基であり、そして、より好ましい実施形態は、先に規定したとおりC1-C4アルキルである。
【0076】
アルケニルを含む、先に規定したC1-C10アルケニルおよびその誘導体のすべてにおいて、別の方法で指定されない限り、好ましい実施形態は、C1-C6アルケニル基であり、そして、より好ましい実施形態は、先に規定したとおりC1-C4アルケニルである。
【0077】
アルキニルを含む、先に規定したC1-C10アルキニルおよびその誘導体のすべてにおいて、別の方法で指定されない限り、好ましい実施形態は、C1-C6アルキニル基であり、そして、より好ましい実施形態は、先に規定したとおりC1-C4アルキニルである。
【0078】
本発明において「ニトロ」なる表現は、NO2基を意味する。
本明細書中に使用される場合、C1-C10アルキレン基は、1~10個の炭素原子を有する、二価の直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族基である。本発明の範囲によって網羅されるアルキレン基は、例えばメチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2-CH2)、プロピレン(-CH2-CH2-CH2-)、イソプロピレン(-CH2-CH(CH3)-)などから選択される群である。
【0079】
本発明に関連して「脱離基」(または「LG」)なる表現は、分子フラグメントまたは脱離基が最初に属した分子から離れる原子を表し、典型的には電子対が前記分子から引き離されている。本発明による斯かる「脱離基」は、アミド(例えばアセトアミド)、スルホニル(例えばトシレート、メシレート)、オキシ-カルボニル(すなわちカルボキシレート)、カルバメート(例えばBoc)、二窒素(N2
+)、ペルフルオロアルキルスルホネート(トリフレート)、ハロゲン(すなわちF、Cl、Br、I)、アミン、チオレート、ホスフェート、フェノキシドから成る群から選ぶことができる。好ましくは、本発明の「脱離基」は、アミド(例えばアセトアミド)、スルホニル(例えばトシレート、メシレート)、オキシ-カルボニル(すなわちカルボキシレート)、カルバメート(例えばBoc)から成る群から選択される。
【0080】
「電子求引性基」(「EWG」)は、本発明に関連して、上記フラグメントが電子誘引フラグメント、例えばパラハロゲノフェニル、CF3、フェニル、カルボニル、シアノ、3-ピリジル、4-メトキシフェニル、アミド、スルホンアミド、カルバメート、3,4,5-トリメトキシフェニル、4-メチルチオ-フェニル、4-エトキシ-フェニル、4-ヨード-フェニル、4-ニトロフェニルまたは4-[(2,3ジオール)-プロポキシ]-フェニルフラグメントを含むフラグメント、好ましくは誘導性誘引フラグメント(例えばパラハロゲノフェニル、CF3、フェニル、3-ピリジル、4-メトキシフェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、4-メチルチオ-フェニル、4-エトキシ-フェニル、4-ヨード-フェニル、4-ニトロフェニルまたは4-[(2,3ジオール)-プロポキシ]-フェニルフラグメント)であることを意味する。
【0081】
本発明による「マイクロ波」(「MW」)なる用語は、300MHzと300GHz間の周波数において、メートルほどの長いものからミリメートルまでの短いものの範囲にある波長を有する任意の電磁放射線を含む。実際的な観点で、上記マイクロ波の周波数と他の特徴は、使用する溶媒に適している。例えば、水のような極性溶媒の場合、2.46GHzの周波数を使用する。従って、本発明に関連して、上記MWの周波数は、好ましくは1GHzと10GHzの間、より詳しくは2~3GHzを含み、例えば2.46Ghzが使用される。
【0082】
本発明に関連して「周囲温度」(「AT」)なる表現は、20℃と25℃の間に含まれる温度を意味する。
【0083】
本発明による「抗生物質活性」は、当業者によって理解されるように一般的な定義、すなわち「抗生物質製剤」の効果である。斯かる「抗生物質製剤」は、1種以上の細菌の発育を死滅、阻止または抑制する物質である。「発育」とは、本発明の範囲において細胞の体積増加(すなわち細菌の)、細胞分裂(細菌の)または細胞再生(細菌の)につながる任意の細胞操作が含まれる。
【0084】
本発明において「医薬組成物」なる表現は、本発明の化合物の治療的に効果的な投与量および少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤を含む任意の組成物を意味する。前記賦形剤は、その医薬形態および望ましい投与方法に応じて、当業者に知られている通常の賦形剤から選択される。
【0085】
「医薬的に許容し得る塩」なる用語は、本発明の枠内での、医薬的に許容し得る化合物の塩(すなわち、それは、医薬組成物の調製に有用であるもの、および医薬用途のために概して安全かつ無毒性であるもの)、さらに、対応する化合物の薬理活性を有することを意味するように意図されている。斯かる塩には、以下のものが含まれる:
(1)水和物および溶媒和物、
(2)例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸などの無機酸を用いて形成された酸付加塩;または、例えば、酢酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2-ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、コハク酸、ジベンゾイル-L-酒石酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸、およびトリフルオロ酢酸などの有機酸を用いて形成された酸付加塩、ならびに
(3)化合物中に存在している酸プロトンが、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンもしくはアルミニウムイオンなどの金属イオンで置換されると形成される塩;または有機もしくは無機塩基と配位結合すると形成される塩。許容される有機塩基には、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミンなどが含まれる。許容される無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムが含まれる。
【0086】
「薬物」または「医薬品」なる用語は、本発明との関連において同義である。
【0087】
「治療」なる表現は、すべての種類の動物、好ましくは哺乳類、より好ましくは、ヒトに関することを意味する。ヒトではない種類の動物の治療の場合には、獣医学的治療と呼ばれる。
【発明を実施するための形態】
【0088】
1.式(I)の化合物
本発明の化合物(単数もしくは複数)は、2つの立体中心を含んでいる。これにより、それらは、鏡像異性体および/またはジアステレオマーの混合物の形態で存在し得る。式(I)の化合物は、cis-またはtransジアステレオマーとして存在し得る。典型的には、式(I)の化合物は、cis-ジアステレオマーである。
【0089】
Ar1およびAr2
特定の実施形態において、Ar1およびAr2は、同一である。別の特定の実施形態において、Ar1およびAr2は、異なっている。
【0090】
特定の実施形態において、Ar1およびAr2は、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリールであり、ここで、該アリールまたはヘテロアリール基は、以下のもので任意選択で置換される:
- 以下から成る群から独立に選択される1~3、好ましくは1または2の置換基:ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アミノ-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸)-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸(C1-C6)アルキルエステル)-C1-C10アルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6ハロアルキルスルフィニル、C1-C6ハロアルキルスルホニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6ハロアルケニルチオ、C2-C6ハロアルキニルチオおよび/または単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ;
- C1-C6アルコキシで任意選択で置換されるモノC5-C6アリール基;および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基。
【0091】
特定の実施形態において、Ar1およびAr2は、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリールであり、ここで、該アリールまたはヘテロアリール基は、以下のもので任意選択で置換される:
- 以下から成る群から独立に選択される1~3、好ましくは1または2の置換基:ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アミノ-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸)-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸(C1-C6)アルキルエステル)-C1-C10アルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6ハロアルキルスルフィニル、C1-C6ハロアルキルスルホニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6ハロアルケニルチオ、C2-C6ハロアルキニルチオおよび/または単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ;および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基。
【0092】
特定の実施形態において、Ar1およびAr2は、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリールであり、ここで、該アリールまたはヘテロアリール基は、任意選択で、1~3つの電子供与基(EDG)、例えば、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ、あるいは、式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基、で置換される。
【0093】
好ましくは、電子供与基(EDG)は、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ、あるいは、式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基である。より好ましくは、それは、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシである。例えば、それは、OHまたは直鎖C1-C6アルコキシ、例えば、メトキシ基などである。
【0094】
特定の実施形態において、Ar1およびAr2は、独立に、1~3つの先に列挙した置換基、具体的には、先に列挙したものなどの電子供与基で任意選択で置換される、例えば、フェニル基またはナフチル基などの単環もしくは多環C5-C12アリール(好ましくはフェニル基)である。例えば、Ar1およびAr2は、独立に、フェニル基であって、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ、あるいは、式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基、から成る群から選択される1~3つの置換基で、任意選択で置換されるものである。より好ましくは、それは、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシである。例えば、Ar1およびAr2は、独立に、フェニル基であり、1~3つのOHまたは直鎖C1-C6アルコキシ、例えば、メトキシ基などで任意選択で置換される。
【0095】
特定の実施形態において、Ar1およびAr2は独立に、任意選択で、ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、および式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基、から成る群から選択される、1~3つの置換基、特に、1つの置換基で置換される、例えばフェニル基などの単環もしくは多環C5-C12アリールである。有利なことには、置換基は、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルおよびC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される。より好ましくは、置換基は、ハロゲン原子およびC1-C6アルコキシから成る群から選択される。ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素であり、特に塩素、臭素またはヨウ素である。
特定の実施形態において、Ar1は、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル(特に、2,4-ジクロロフェニル)、フルオロフェニル、(パラ-)メトキシビフェニルまたはメトキシフェニル、例えば、フェニル、クロロフェニル、フルオロフェニルまたはメトキシフェニルなどであり、そして、好ましくは、それは、フェニルまたはメトキシフェニルである。別の特定の実施形態において、Ar2は、フェニル、クロロフェニル、フルオロフェニルまたはメトキシフェニルであり、好ましくは、それは、メトキシフェニルである。よって、Ar1およびAr2は独立に、フェニル、クロロフェニル、フルオロフェニルまたはメトキシフェニルであり得る。典型的には、Ar1は、フェニルまたはメトキシフェニルであり、かつ、Ar2は、メトキシフェニルである。
【0096】
Ar3
有利なことには、Ar3は、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基であり、好ましくは、例えばフェニル基などの単環もしくは多環C5-C12アリールであり、ここで、該アリールまたはヘテロアリール基は、以下のもので任意選択で置換される:
- ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、ホルミル、ニトロ、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6ハロアルキルスルフィニル、C1-C6ハロアルキルスルホニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6ハロアルケニルチオ、C2-C6ハロアルキニルチオ基、および/またはC1-C6アルキルオキシ基で任意選択で置換される単環C5-C6アリール基;
- C1-C6アルコキシで任意選択で置換される、モノC5-C
6
アリール基;および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基。
【0097】
さらに有利なことには、Ar3は、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基であり、好ましくは、例えばフェニル基などの単環もしくは多環C5-C12アリールであり、ここで、該アリールまたはヘテロアリール基は、以下のもので任意選択で置換される:
- ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、シアノ、ホルミル、ニトロ、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6ハロアルキルスルフィニル、C1-C6ハロアルキルスルホニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6ハロアルケニルチオ、C2-C6ハロアルキニルチオ基、および/またはC1-C6アルキルオキシ基で任意選択で置換される単環C5-C6アリール基;および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基。
【0098】
好ましくは、Ar3は、ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6ハロアルキルスルフィニル、C1-C6ハロアルキルスルホニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6ハロアルケニルチオ、C2-C6ハロアルキニルチオ基、および/またはC1-C6アルキルオキシ基で任意選択で置換される単環C5-C6アリール基;C1-C6アルコキシで任意選択で置換されるモノC5-C
6
アリール基から成る群から選択される1~3つの置換基で置換され;および/またはAr3は、式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基で置換される。
【0099】
有利なことには、Ar3は、ハロゲン原子(例えば、ヨウ素、臭素または塩素原子など)、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシ、OH、およびメトキシまたはエトキシ基などのC1-C6アルコキシで任意選択で置換されるフェニル基から成る群から選択される、1、2または3つ、好ましくは、1または2つの置換基で任意選択で置換される。より好ましくは、Ar3は、任意選択で、ハロゲン原子(例えば、ヨウ素、臭素または塩素原子など)、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシおよびOHから成る群から選択される、1、2または3つ、好ましくは、1または2つの置換基で置換される。より一層好ましくは、Ar3は、任意選択で、ハロゲン原子(例えば、ヨウ素、臭素または塩素原子など)、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシおよびOHから成る群から選択される、1、2または3つ(好ましくは、1または2つ)の置換基で置換される。最も好ましくは、Ar3は、任意選択で、ヨウ素、臭素、塩素、CF3、OCH3、およびOHから成る群から選択される、1または2つ(好ましくは、1つ)の置換基で置換される。
【0100】
特定の実施形態において、Ar3は、単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニルまたはナフチル基であり、任意選択で、先に規定した群から独立に選択される1~3つの置換基で置換される。
【0101】
より好ましくは、Ar3は、単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニルまたはナフチル基であり、任意選択で、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6アルコキシ、C3-C7シクロアルコキシ、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシおよびOH、好ましくは、ハロゲン原子(例えば、ヨウ素、臭素または塩素原子など)、C1-C6ハロアルキル、C1-C6アルコキシおよびOHから成る群から選択される1または2つの置換基で置換される。より好ましくは、Ar3は、任意選択で、ヨウ素、臭素、塩素、CF3、OCH3、OCH2CH3およびOHから成る群から選択される、1または2つ(好ましくは、1つ)の置換基で置換される。例えば、Ar3は、ヨウ素、臭素、塩素、CF3、OCH3(およびOH)から成る群から選択される1つの置換基で任意選択で置換されるフェニル基である。
【0102】
特定の実施形態において、Ar3は、ハロゲン原子、OH、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、および式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基、から成る群から選択される1、2または3、好ましくは1つの置換基で任意選択で置換される単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニル基である。有利なことには、置換基は、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルおよびC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される。より好ましくは、置換基は、ハロゲン原子、C1-C6ハロアルキルおよびC1-C6アルコキシから成る群から選択される。ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、より特に、塩素、臭素またはヨウ素である。
【0103】
特定の実施形態において、Ar3は、フェニル、ブロモフェニル、クロロフェニル、フルオロフェニル、ヨードフェニル、メトキシフェニルまたはトリフルオロメチルフェニルである。
【0104】
R4
特定の実施形態において、R4は、水素原子または以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される直鎖C1-C6アルキル基である:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、およびモノC5-C
6
アリール基。
【0105】
特定の実施形態において、R4は、水素原子または以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される直鎖C1-C4アルキル基である:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、直鎖C1-C6-アルコキシ、アミノ、直鎖C1-C6アルキルアミノ、ジ(直鎖C1-C6)アルキルアミノ、C1-C6チオアルキル、SH、直鎖S(O)(C1-C6)アルキル、直鎖S(O2)(C1-C6)アルキル。
【0106】
好ましい実施形態において、R4は、メチル基またはHである。最も好ましくは、R4はHである。
【0107】
R4a
特定の実施形態において、R4aは、水素原子または以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される直鎖C1-C6アルキル基である:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、オキソ(=O)、C1-C6-アルコキシ、アミノ、任意選択で置換されるアリールイミド、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、およびモノC5-C
6
アリール基。有利なことには、アリールイミド、好ましくはフェニルイミドは、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルおよびC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される1~3つ、好ましくは1つの置換基で任意選択で置換される。
【0108】
特定の実施形態において、R4aは、水素原子または以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される直鎖C1-C4アルキル基である:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、オキソ(=O)、直鎖C1-C6-アルコキシ、アミノ、任意選択で置換されるアリールイミド、直鎖C1-C6アルキルアミノ、ジ(直鎖C1-C6)アルキルアミノ、直鎖C1-C6チオアルキル、SH、直鎖S(O)(C1-C6)アルキル、直鎖S(O2)(C1-C6)アルキル。有利なことには、アリールイミド、好ましくはフェニルイミドは、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルおよびC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される1~3つ、好ましくは1つの置換基で任意選択で置換される。
【0109】
特定の実施形態において、R4aは、水素原子または以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される直鎖C1-C4アルキル基である:オキソ(=O)および任意選択で置換されるアリールイミド。有利なことには、アリールイミド、好ましくはフェニルイミドは、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルおよびC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される1~3つ、好ましくは1つの置換基で任意選択で置換される。
【0110】
特定の実施形態において、R4aは、式-C(=X)R7{Xは、OまたはNR8、好ましくはNR8を表し、R7は、メチルなどのC1-C6アルキルを表し、およびR8は、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルおよびC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される、好ましくは、例えば塩素または臭素などのハロゲン原子から選択される、1~3つ、好ましくは1つの置換基で任意選択で置換される、フェニルなどのアリールを表す}の基である。
【0111】
好ましい実施形態において、R4aは、式-C(=X)Me{Xは、OまたはNR8、好ましくはNR8を表し、およびR8は、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルおよびC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される、好ましくは、例えば塩素または臭素などのハロゲン原子から選択される、1~3つ、好ましくは1つの置換基で任意選択で置換される、フェニルを表す}の基である。
【0112】
R6
R6において、各C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C1-C10アルコキシ、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、C2-C10アルキルカルボニル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルキニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C2-C10アルキニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルキニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、C2-C10ハロアルキニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、単環もしくは多環C5-C12アリール、および単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基は、以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(C1-C6)アルキル、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、および単環もしくは多環C5-C12アリール基。
【0113】
特定の実施形態において、R6は、水素原子、ハロゲン原子、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C1-C10アルコキシ、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、ホルミル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基であり、任意選択で置換される。好ましくは、各C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C1-C10アルコキシ、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、ホルミル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基は、以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、およびモノC5-C
6
アリール基。
【0114】
特定の実施形態において、R6は、水素原子または以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される直鎖C1-C6アルキル基である:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、およびモノC5-C6アリール基。
【0115】
特定の実施形態において、R6は、水素原子または以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される直鎖C1-C4アルキル基である:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、直鎖C1-C6-アルコキシ、アミノ、直鎖C1-C6アルキルアミノ、ジ(直鎖C1-C6)アルキルアミノ、直鎖C1-C6チオアルキル、SH、直鎖S(O)(C1-C6)アルキル、直鎖S(O2)(C1-C6)アルキル。好ましい実施形態において、R6は、メチル基またはHである。最も好ましくは、R6はHである。
【0116】
組み合わせ
Ar1、Ar2、Ar3、R4、R4aおよびR6の特定のおよび/または好ましい実施形態のあらゆる組み合わせが、本発明によって網羅される。
【0117】
第一の特定の実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物であり、そして、R4およびR6のうちの少なくとも1つがHである。例えば、R4がHであるか、もしくはR6がHであるか、またはR4およびR6の両方がHである。この特定の実施形態において、Ar1、Ar2、Ar3は、先に規定したとおりであり、そして、有利なことには、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニルまたはナフチル基、より好ましくはフェニルであり、それぞれ、Ar1、Ar2、Ar3に関して先に列挙した1、2または3つ(好ましくは1つ)の置換基で任意選択で置換される。好ましくは、Ar1、Ar2およびAr3は、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニル基であり、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルとC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される1、2または3つ(好ましくは1つ)の置換基で任意選択で置換される。
【0118】
第二の特定の実施形態において、式(I)の化合物は、式(Ib)の化合物であり、かつ、R6はHであり、および/またはR4aは、式-C(=X)R7、好ましくは-C(=X)Me{有利なことには、XはNR8である}の基である。好ましくは、R6はHであり、かつ、R4aは、式-C(=X)R7、好ましくは-C(=X)Me{有利なことには、XはNR8である}の群である。この特定の実施形態において、Ar1、Ar2、Ar3は、先に規定したとおりであり、そして、有利なことには、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニルまたはナフチル基、より好ましくはフェニルであり、それぞれ、Ar1、Ar2、Ar3に関して先に列挙した1、2または3つ(好ましくは1つ)の置換基で任意選択で置換される。好ましくは、Ar1、Ar2およびAr3は、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニル基であり、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルとC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される1、2または3つ(好ましくは1つ)の置換基で任意選択で置換される。
【0119】
例えば、本発明の化合物は、以下:
【化22】
またはその溶媒和物もしくは(医薬的に許容し得る)塩である。
【0120】
【0121】
【0122】
【化25】
またはその溶媒和物もしくは(医薬的に許容し得る)塩である。
【0123】
本発明の化合物はまた、化合物1~31(以下の実施例を参照)およびその溶媒和物または(医薬的に許容される)塩から選択されてもよい。
【0124】
2.式(I’)の化合物
本発明は、先に規定した式(I’)の化合物にさらに関する。
式(I’)の化合物は、いくつかの立体中心を含有している。これにより、それらは、鏡像異性体および/またはジアステレオマーの混合物の形態で存在し得る。
【0125】
R1、R2およびR3
特定の実施形態において、R1、R2およびR3は、同一であるかまたは異なり、かつ、互いに独立に、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、3~8員複素環化合物、C1-C10アルコキシ、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルキニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C2-C10アルキニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルキニルオキシ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール断片である。
【0126】
別の特定の実施形態において、R1、R2およびR3は、同一であるかまたは異なり、かつ、互いに独立に、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C1-C10アルコキシ、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、C2-C10アルキルカルボニル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール断片である。
【0127】
別の特定の実施形態において、R1、R2およびR3は、同一であるかまたは異なり、かつ、互いに独立に、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C1-C10アルコキシ、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、C2-C10アルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール断片である。
【0128】
別の特定の実施形態において、R1、R2およびR3は、同一であるかまたは異なり、かつ、互いに独立に、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C1-C10アルコキシ、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、C2-C10アルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール断片である。
【0129】
別の特定の実施形態において、R1、R2およびR3は、同一であるかまたは異なり、かつ、R1、R2およびR3のうちの少なくとも1が、C1-C10フルオロアルキルなどのC1-C10ハロアルキル、例えば、CF3である。特に、R1は、C1-C10ハロアルキルなどのC1-C10フルオロアルキル、例えば、CF3であってもよい。
別の実施形態において、R1は、先に規定したとおりのものであるが、CF3基を除く。別の実施形態において、R1は、先に規定したとおりのものであるが、C1-C10フルオロアルキルまたはC1-C10ハロアルキルを除く。
【0130】
別の特定の実施形態において、R1、R2およびR3は、同一であるかまたは異なり、かつ、R1、R2およびR3のうちの少なくとも1つが、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニルまたはC4-C13ヘテロアリールカルボニルである。特に、R3は、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニルまたはC4-C13ヘテロアリールカルボニルであってもよい。
【0131】
別の特定の実施形態において、R3は、先に規定したとおりのものであるが、CF3基を除く。別の実施形態において、R1は、先に規定したとおりのものであるが、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニルまたはC4-C13ヘテロアリールカルボニルを除く。
【0132】
すべての実施形態において、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、3~8員複素環化合物、C1-C10アルコキシ、C2-C10アルキルカルボニル、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルキニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C2-C10アルキニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルキニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、C2-C10ハロアルキニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール断片(まとめて「断片」と呼ばれる)は、以下のもので任意選択で置換される:
【0133】
- 1もしくは複数(1~3、好ましくは1または2)のハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、3~8員複素環化合物、アミノ-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸)-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸(C1-C6)アルキルエステル)-C1-C10アルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6ハロアルキルスルフィニル、C1-C6ハロアルキルスルホニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6ハロアルケニルチオ、C2-C6ハロアルキニルチオおよび/または単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ;
【0134】
- C1-C6アルコキシで任意選択で置換される、フェニル基などの単環C5-C6アリール基;および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基(該断片がアリールまたはヘテロアリール部分を含有する場合、すなわち、それが、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、C5-C12アリールスルホニル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール断片である場合、該架橋基が、特に企図される);
【0135】
そして、好ましくは、該断片は、以下のもので任意選択で置換される:
- 1もしくは複数(1~3、好ましくは1または2)のハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、3~8員複素環化合物、アミノ-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸)-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸(C1-C6)アルキルエステル)-C1-C10アルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6アルキルチオ、C1-C6チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C6アルキルスルフィニル、C1-C6アルキルスルホニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキルチオ、C1-C6ハロアルキルスルフィニル、C1-C6ハロアルキルスルホニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシ、C2-C6アルケニルチオ、C2-C6アルキニルチオ、C2-C6ハロアルケニルチオ、C2-C6ハロアルキニルチオおよび/または単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ;および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基。
【0136】
注意すべきは、断片がアリールまたはヘテロアリール部分を含有する場合、すなわち、それが、C6-C13アリールカルボニル、C4-C13ヘテロアリールカルボニル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、C5-C12アリールスルホニル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール断片である場合、架橋基が、特に企図される。
【0137】
すべての実施形態において、有利なことには、断片は、以下のもので任意選択で置換される:
- 1もしくは複数(1~3)のハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、アミノ-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸)-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸(C1-C6)アルキルエステル)-C1-C10アルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシおよび/または単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ;
- C1-C6アルコキシで任意選択で置換される、フェニル基などの単環C5-C6アリール基;および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基。
【0138】
すべての実施形態において、好ましくは、断片は、以下のもので任意選択で置換される:
- 1もしくは複数(1~3)のハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、アミノ-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸)-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸(C1-C6)アルキルエステル)-C1-C10アルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、C2-C6ハロアルキニル、C2-C6ハロアルケニル、C2-C6ハロアルケニルオキシ、C2-C6ハロアルキニルオキシ、C2-C6アルケニルオキシ、C2-C6アルキニルオキシおよび/または単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシ;および/または
- 式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基。
【0139】
すべての実施形態において、好ましくは、断片は、1もしくは複数(1~3)のハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、C1-C6アルキル、C3-C7シクロアルキル、アミノ-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸)-C1-C10アルコキシ、(カルボン酸(C1-C6)アルキルエステル)-C1-C10アルコキシ、(1,2ジオール)-C2-C10アルコキシ、-O-(C1-C6)アルキル-O-(C1-C6)アルキル-OH、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C2-C6アルキルカルボニル、C1-C6ハロアルキル、C1-C6ハロアルコキシ、C1-C6ハロアルコキシアルキル、C2-C6ハロアルキルカルボニル、および/または単環もしくは多環C5-C12アリール基で任意選択で置換されるC1-C6アルコキシで任意選択で置換される。
【0140】
すべての実施形態において、断片がアリール部分を含有する場合、前記アリール部分は、式-O-CH2-O-または-O-CH2CH2-O-の架橋基で置換されてもよい。
特定の実施形態において、R1は、(式(I)の化合物に関して先に規定した)Ar1を表す。他の、特定の実施形態、R2は、(式(I)の化合物に関して先に規定した)Ar2を表す。他の、特定の実施形態、R3は、(式(I)の化合物に関して先に規定した)Ar3を表す。別の特定の実施形態において、R1はAr1を表り、かつ、R2はAr2を表す。別の特定の実施形態において、R1はAr1を表し、かつ、R3はAr3を表す。別の特定の実施形態において、R2はAr2を表し、かつ、R3はAr3を表す。別の特定の実施形態において、R1はAr1を表し、R2はAr2を表し、かつ、R3はAr3を表す。
【0141】
R4
好ましくは、R4は、式(I)の化合物に関して先に規定したとおりのものである。
R4a
好ましくは、R4aは、式(I)の化合物に関して先に規定したとおりのものである。
【0142】
R5
R5において、各C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、3~8員複素環化合物、C1-C10アルコキシ、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、C2-C10アルキルカルボニル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルキニル、C
2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルキニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C2-C10アルキニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C2-C10ハロアルキニル、C2-C10ハロアルキルカルボニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルキニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、C2-C10ハロアルキニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)アリール、(C1-C6)アルキル-(C5-C12)ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリールおよび単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基は、以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(C1-C6)アルキル、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、および単環もしくは多環C5-C12アリール基。
【0143】
特定の実施形態において、R5は、水素原子、ハロゲン原子、C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C1-C10アルコキシ、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、ホルミル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基であり、任意選択で置換される。好ましくは、各C1-C10アルキル、C3-C10シクロアルキル、C1-C10アルコキシ、C1-C10ハロアルコキシ、(C1-C6)-アルコキシ-(C1-C6)-アルキル、(C1-C6)-ハロアルコキシ-(C1-C6)-アルキル、C1-C10チオアルキル、(C1-C6)-アルキルチオ-(C1-C6)アルキル、C1-C10アルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルフィニル、C1-C10ハロアルキルスルホニル、C1-C10アルキルスルホニル、C5-C12アリールスルホニル、ホルミル、C2-C10アルケニル、C2-C10アルケニルオキシ、C2-C10アルケニルチオ、C1-C10ハロアルキル、C2-C10ハロアルケニル、C1-C10ハロアルキルチオ、C2-C10ハロアルケニルオキシ、C2-C10ハロアルケニルチオ、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキル、(C5-C12)-アリール-(C1-C6)-アルキルエステル、(C1-C6)-アルキル-(C5-C12)-アリール、(C1-C6)-アルキル-(C5-C12)-ヘテロアリール、単環もしくは多環C5-C12アリール、または単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基は、以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、およびモノC5-C
6
アリール基。
【0144】
特定の実施形態において、R5は、水素原子または以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される直鎖C1-C6アルキル基である:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、およびモノC5-C6アリール基。
【0145】
特定の実施形態において、R5は、水素原子または以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される直鎖C1-C4アルキル基である:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、直鎖C1-C6-アルコキシ、アミノ、直鎖C1-C6アルキルアミノ、ジ(直鎖C1-C6)アルキルアミノ、直鎖C1-C6チオアルキル、SH、直鎖S(O)(C1-C6)アルキル、直鎖S(O2)(C1-C6)アルキル。
【0146】
特定の実施形態において、R5は、-CH2R6{式中、R6は、式(I))の化合物に関して先に規定したとおりのものである}を表す。好ましくは、R5はCH3である。
好ましい実施形態において、R5は、メチル基またはHである。最も好ましくは、R5はHである。
【0147】
組み合わせ
R1、R2、R3、R4、R4aおよびR5の特定のおよび/または好ましい実施形態のあらゆる組み合わせが、本発明によって網羅される。
特定の実施形態において、R1、R2、R3は、同一であるかまたは異なり、かつ、R1、R2およびR3のうちの少なくとも1つが、単環もしくは多環C5-C12アリールおよび単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基であって、以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(C1-C6)アルキル、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、および単環もしくは多環C5-C12アリール基。
【0148】
別の特定の実施形態において、R1、R2、R3は、同一であるかまたは異なり、かつ、R1、R2およびR3のうちの少なくとも2つが、単環もしくは多環C5-C12アリールおよび単環もしくは多環C3-C12ヘテロアリール基であって、以下から成る群から独立に選択される1~3つの置換基で任意選択で置換される:ハロゲン原子、ヒドロキシル(OH)、ニトロ、シアノ、ホルミル、C3-C7シクロアルキル、C1-C6-アルコキシ、アミノ、C1-C6アルキルアミノ、ジ(C1-C6)アルキルアミノ、COOH、COO-(C1-C6)アルキル、CONH2、CONH(C1-C6)アルキル、C1-C6チオアルキル、SH、S(C1-C6)アルキル、S(O)(C1-C6)アルキル、S(O2)(C1-C6)アルキル、および単環もしくは多環C5-C12アリール基。
【0149】
別の特定の実施形態において、式(I’)の化合物は、式(I’a)の化合物であり、そして、R4のうちの少なくとも1つがHであり、かつ、R5はCH3である。例えば、R4はHであり、および/またはR5はCH3であり、同時に、R1、R2、R3は、同一であるかまたは異なり、先に規定したとおりのものである。この特定の実施形態において、R1、R2、R3は、先に規定したとおりであり、そして、有利なことには、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニルまたはナフチル基、より好ましくはフェニルであり、それぞれ、R1、R2、R3に関して先に列挙した1、2または3つ(好ましくは1つ)の置換基で任意選択で置換される。好ましくは、R1、R2、R3は、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニル基であり、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルとC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される1、2または3つ(好ましくは1つ)の置換基で任意選択で置換される。
【0150】
別の特定の実施形態において、式(I’)の化合物は、式(I’b)の化合物であり、そして、R5はCH3であり、および/またはR4aは、式-C(=X)R7、好ましくは、-C(=X)Me{有利なことには、XはNR8である}の群である。例えば、R5はCH3であり、R4aは、式-C(=X)R7、好ましくは、-C(=X)Me{有利なことには、XはNR8である}の群であり、同時に、R1、R2、R3は、同一であるかまたは異なり、先に規定したとおりのものである。この特定の実施形態において、R1、R2、R3は、有利なことには、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニルまたはナフチル基、より好ましくはフェニルであり、それぞれ、R1、R2、R3に関して先に列挙した1、2または3つ(好ましくは1つ)の置換基で任意選択で置換される。好ましくは、R1、R2、R3は、独立に、単環もしくは多環C5-C12アリール基、好ましくはフェニル基であり、ハロゲン原子、C1-C6アルキル、C1-C6アルコキシ、C1-C6ハロアルキルとC1-C6ハロアルコキシから成る群から選択される1、2または3つ(好ましくは1つ)の置換基で任意選択で置換される。
【0151】
3.式(I)および(I’)の化合物を調製する方法
式(I)および(I’)の化合物は、文献で知られている様々な方法、例えば、特許出願DE1 069 635に記載の方法、またはKirchnerら(Justus Liebigs Ann. Chem., 625, 98-103 (1959))もしくはSteglichら(Chem. Ber. 113, 770-786 (1980))によって説明されている方法など、を使用して調製され得る。
しかしながら、本発明は、特に式(I)の化合物を調製するための新しい手法を開発した。
【0152】
そのため、本発明は、先に規定した式(I)の化合物を調製する方法であって、以下の連続したステップを含む方法に関する:
a)式(II)の化合物:
【化26】
(先に規定したAr
3およびR
6およびLG 脱離基を有する)を、式(III)の化合物、例えば、式(IIIa)の化合物など:
【化27】
(先に規定したAr
1、Ar
2およびR
4を有する)に、塩基の存在下で加え;
b)先に規定したように、式(I)の化合物を単離する。
【0153】
好ましくは、R4およびR6は、必要であれば、その反応性官能基の保護基を伴って、式(II)において、式(I)の場合と同じ定義を有する。
好ましくは、LGは、電子求引性基、例えば、カルバマート、スルホンアミド、アミドおよび/またはスルホニルなどである。より好ましくは、LGは、Boc(すなわち、tert-ブチルオキシカルボニル)、アセトアミド、メシラートまたはトシラートから成る群において選択される。特に、LGは、カルバマート、例えばBoc基などである。
【0154】
好ましくは、式(II)の化合物/式(III)の化合物のモル比は、1より大きく、より好ましくは、それが1.5以上である。例えば、式(II)の化合物/式(III)の化合物のモル比は、2~10である。
【0155】
ステップ(a)の添加は、塩基の存在下で起こり、そしてそれは、B1と呼ばれる。好ましくは、B1は、典型的には、アルカリ金属イオン、例えば、Li+、Na+またはK+などを伴う、水酸化物塩、またはC1-C6アルコキシド塩もしくはフェノキシド塩、特に、水酸化物塩、またはtert-ブトキシド塩、メトキシド塩もしくはフェノキシド塩、である。好ましくは、B1は、t-BuONa、t-BuOLi、t-BuOKまたはt-BuONaなどのtert-ブトキシド塩である。最も好ましくは、B1は、t-BuOLiである。
【0156】
塩基B1は、典型的には、過剰である、すなわち、B1/式(III)の化合物(および/またはB1/式(II)の化合物)のモル比は、1より大きい。言い換えれば、B1は、(モル単位で)式(III)の化合物に対して、1.5当量超の量で添加される。より好ましくは、B1は、化合物(III)に対して、2当量~10当量の量で添加される。
特定の実施形態において、B1の当量は、化合物(II)の当量と同じである。
【0157】
ステップ(a)の添加は、典型的には、好ましくは水分含量が5モル%未満、より好ましくは水分含量が1モル%未満(すなわち「乾燥」)が、より好ましい実施態様においては実質的に水を含まない(すなわち「超乾燥」)極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド(「DMF」)の存在下で実施される。最も好ましい実施態様において、ステップ(a)は、乾燥または超乾燥DMF中で実施される。
好ましい実施形態において、ステップ(a)の添加は、マイクロ波加熱下で、好ましくは1分と24時間の間、より好ましくは5分と5時間の間、さらにより好ましくは10分と1時間の間に含まれる時間、例えば約(±5分)20分、30分、40分または50分間実施される。
【0158】
好ましい実施形態において、ステップ(a)は、シリカの存在下、好ましくは、式(III)の化合物に対して0.5~5当量のシリカの存在下で実施される。より好ましくは、ステップ(a)は、式(III)の化合物に対して0.8~2当量のシリカの存在下で実施される。より一層好ましい実施形態において、ステップ(a)は、約(±0.1当量)1当量のシリカの存在下で実施される。
【0159】
好ましくは、ステップ(a)の反応は、圧力下、および/または50℃より高い温度にて実施される。例えば、圧力は、1.5bar超、より好ましくは2bar超、より一層好ましくは3bar超である。この実施形態において、加熱は、マイクロ波の加熱によって提供されても、または従来型の加熱によって提供されてもよい。
【0160】
ステップ(a)の反応の温度は、好ましくは60℃超、より好ましくは75℃超、より一層好ましくは85℃超である。本発明の特に好ましい実施形態において、ステップ(a)の温度は、約100℃、すなわち、100℃±5℃である。マイクロ波下で実施される場合、温度は、1分間~24時間、より好ましくは5分間~5時間、より一層好ましくは10分間~1時間、例えば約(±5分間)20分間、30分間、40分間または50分間など、の一定期間にわたり、約100℃、すなわち、100℃±5℃の温度にて好ましくは維持される。
【0161】
典型的には、本発明の調製方法は、酸化型または還元型形の下で、金属または金属塩、例えば、銅、銅塩など、の存在下で実施される。
特定の実施形態において、ステップa)は、極性溶媒、例えば乾燥もしくは超乾燥DMFなど、の中で、水酸化物塩またはtert-ブトキシド塩、メトキシド塩もしくはフェノキシド塩から選択される塩基B1の存在下、先に規定したように、式(III)の化合物と共に式(II)の化合物の添加を含む。
【0162】
特定の実施形態において、ステップa)は、圧力下、および/または50℃より高い、好ましくは75℃超、例えば、85℃±5℃または100℃±5℃など、の温度にて、極性溶媒、例えば、乾燥または超乾燥DMFなど、の中、アルカリ金属イオン、例えば、Li+など、のtert-ブトキシド塩から選択される塩基B1の存在下、先に規定したように式(III)の化合物と共に式(II)の化合物の添加を含む。
【0163】
特定の実施形態において、ステップa)は、マイクロ波下、圧力下、および/または50℃より高い、好ましくは75℃超、例えば、85℃±5℃または100℃±5℃など、の温度にて、極性溶媒、例えば、乾燥または超乾燥DMFなど、の中、アルカリ金属イオン、例えば、Li+など、のtert-ブトキシド塩から選択される塩基B1の存在下、先に規定したように式(III)の化合物と共に式(II)の化合物の添加を含む。
【0164】
注目すべきは、式(II)のイナミド化合物は、式Ar3-NH2の対応するアニリンから3ステップ、すなわち、(i)式Ar3-NH2(好ましくは、Bocなどのカルバマート基を有する)のアニリンの窒素の保護、(ii)(式≡-R6の対応するアルキンの臭素化によって得られる)式Br≡-R6のブロモアルキンとカップリングし、それに続いて、当該技術分野で知られている方法を使用して、(例えば、Boc保護基の場合には、酸性条件下で)窒素保護基の脱保護、で容易に調製される。R6がHである場合、そのとき、対応するトリ(C1-C6)アルキルシリルアルキンは、臭素化トリ(C1-C6)アルキルシリルアルキン(Br≡Si(C1-C6アルキル)3)を製造するのに使用され(特に、トリイソプロピルシリルアセチレン TIPS-≡)、そして、対応するトリアルキルシリル(triakylsilyl)基が、臭素化ステップまたはカップリングステップの後に、後で脱保護される(総説に関して、Evano et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2010, 49, 2840 - 2859を参照)。当業者は、代表的な調製方法に関して、特に、PCT出願番号EP2016/071115(WO2017/042233)を参照する。
【0165】
また、式(III)のイミン化合物は、例えば、当該技術分野で知られている方法を使用して、対応するアルデヒド(aldehyle)Ar1CHOとアミンAr2CHR4NH2を縮合するか、または対応するケトンAr1R4aCHOとアミンAr2CH2NH2を縮合することによって、1ステップで容易に調製される。当業者は、代表的な調製方法に関して、特に、PCT出願番号EP2016/071115(WO2017/042233)を参照する。
【0166】
式(II)の化合物を式(IIIa)のアルジミン{R4=H}と反応させる場合、R4aが式-C(CH2R6)=NAr3の基である、式(Ib)の化合物を形成するために、2つの化合物(II)の分子を、1つの式(IIIa)の分子と反応させる。
【0167】
4.複合体
本発明は、リンカーによって、抗生物質、典型的には、β-ラクタム部分を含有する抗生物質と、式(I)または(I’)の化合物との複合体にさらに関する、すなわち、式(I)または(I’)の化合物と抗生物質は、一緒に共有結合され、そして、単一分子を形成する。
【0168】
斯かる複合体は、当該技術分野において一般的である。当業者は、特に、市販の化合物スルタミシリンを参照してもよく、そしてそれは、アンピシリン(抗生物質)とスルバクタム(エンハンサー)との複合体である。スルタミシリンの合成は、特に、del Pozoら(Tetrahedron, 2001, 57, 6209-6214)によって記載されている。類似体もまた、記載されている(US4,868,297)。
【0169】
これにより、本発明の複合体は、以下の式(IV)によって表され得る:
阻害剤-リンカー-Antibio (IV)
{式中、
阻害剤は、好ましくは、フェノキシまたはチオフェノキシ基を介してリンカーに連結された、先に規定される式(I)または(I’)の化合物であり、
リンカーは、共有結合による連結基であるか、または結合であり、
Antibioは、好ましくは、エステルまたはアミド結合を介してリンカーに連結された、抗生物質またはその誘導体である}。
【0170】
阻害剤
阻害剤は、OH、SH、NH2、エステル(-COO-または-OOC-)、チオエステル(-C(O)S-または-S(O)C-)、アミド(-CONH-または-NHCO-)、チオアミド(-CSNH-または-NHCS-)、カルボナート(-OC(O)O-)またはカルバマート(OC(O)NHまたはNHC(O)O)基を含む、式(I)または(I’)、好ましくは式(I)の化合物であり、そしてそれは、エーテル、チオエーテル、アミノ、エステル、チオエステル、アミド、チオアミド、カルボナートまたはカルバマート結合を介して阻害剤をリンカーに接続するのに使用される。
【0171】
有利なことには、阻害剤は、好ましくは、フェノール(C6H4OH)、チオフェノール(C6H4SH)、アニリン(C6H4NH2)、エステル、チオエステル、アミド、チオアミド、カルボナートまたはカルバマート基を含む、式(I)の化合物である。
【0172】
特定の実施形態において、阻害剤は、式(I)の化合物{式中、Ar1、Ar2およびAr3の少なくとも1つが、1つのOH、NH2、COOHまたはCONH2基、好ましくは1つのOH基で置換される}である。例えば、Ar1は、1つのOH基で置換され、Ar2は、1つのOH基で置換され、またはAr3は、1つのOH基で置換される。より好ましくは、Ar1が、1つのOH基で置換されたフェニル基であるか、またはAr2が、1つのOH基で置換されたフェニル基であるか、またはAr3が、1つのOH基で置換されたフェニル基である。
【0173】
リンカー
特定の実施形態において、リンカーは、エステラーゼによってインビボにおいて分解され得るあらゆるタイプのリンカーを表す。
別の実施形態において、リンカーは、阻害剤、特に、式(I)の化合物と、相互作用しないあらゆるタイプのリンカーを表す。
例えば、リンカーは、C1-C10アルキレン、より好ましくは、メチレン(-CH2-)などのC1-C4アルキレンである。いくつかの実施形態において、リンカーは直鎖であり、その一方で、ある他の実施形態において、リンカーは分枝鎖である。
【0174】
リンカーはまた、-A1-(C1-C10)アルキレン-A2-、さらには-A1-(C1-C4)アルキレン-A2-、例えば-A1-CH2-A2-基など{式中、A1およびA2は、同一であるかまたは異なり、かつ、独立に、O、NH、S、S(O)、S(O)2、C(O)O、OC(O)、C(O)NH、NHC(O)、OC(O)O、OC(O)NH、NHC(O)Oであり、および式中、メチレン単位(-CH2-)(1または複数、例えば、1、2または3)は、酸素原子によって置換されてもよい}であってもよい。
【0175】
Antibio
Antibioは、好ましくは、カルボキシラート基(-COO-または-OOC-)、チオカルボキシラート基(-C(O)S-または-S(O)C-)、アミド基(-CONH-または-NHCO-)、チオアミド基(-CSNH-または-NHCS-)、カルボナート基(-OC(O)O-)またはカルバマート基(OC(O)NHまたはNHC(O)O))を含む抗生物質またはその誘導体であり、共有結合エステル、チオエステル、アミド、チオアミド、カルボナートまたはカルバマート結合によって、好ましくは、共有結合エステル、アミド、カルボナートまたはカルバマート結合によって、Antibioをリンカーに接続する。
【0176】
本発明の組成物に使用され得る抗生物質の例は、β-ラクタム系(例えばアモキシシリンおよび/またはアンピシリン、および/またはセファロスポリン系(例えばセファゾリンなど)など)、テトラサイクリン系(例えばクロルテトラサイクリンなど)、リファマイシン系(例えばリファンピシンなど)、ペプチド系(例えばポリミキシンなど)、アミノシド系(例えばストレプトマイシンなど)、フェニコール系(例えばクロラムフェニコールなど)、マクロライド系(例えばエリスロマイシンなど)からなる系の少なくとも1種に属することができる。
【0177】
好ましくは、組み合わせは、少なくとも1種の既知のβ-ラクタム抗生物質を含む。本発明に従って使用されることが好ましいβ-ラクタムの例は、カルバペネム(例えばイミペネム、メロペネム、エルタペネム、「PZ-601」(Razupenemとしても知られている)として一般に知られている化合物を含む。セファロスポリンの例は、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファピリン;セファトリジン、カファザフルール、セファゼドン、セファゾリン、セファドリン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セファマンドール、セフロキシム、セホニシド、コフラニド、セフプロジル、ロラクラベフ、セホテタン、セホキシチン、セホチアムヘキセチル、セフトリアキソン、セフチゾキシム、セホペラゾン、セフスロジン、セフチブテン、セフィキシム、セファタメト、セフポドキシムプロキセチル、セフェピム、セフピロム、セフタジダイム、セホタキシム、セファロチンなどである。さらに別の実施態様において、既知の抗生物質は、β-ラクタム(例えば、アモキシシリン、アンピシリン、カルバペネム、および/またはセファロスポリン、例えば、先に列挙したものなど)、グリコペプチド、ポリミキシン、グラミシジン、チロシジン、アミノシド、マクロライド、リンコサミド、シネルギスチン、フェニコール、テトラサイクリン、フシジン酸、オキサゾリジノン、リファマイシン、キノロン、フルオロキノロン、スルファミド、トリメトプリムおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0178】
より好ましくは、既知の抗生物質は、ペニシリン、オキサシリン、クロキサシリン、アンピシリン、メロペネム、エルタペネム、PZ-601、アモキシシリン、バカンピシリン、メタンピシリン、ピバンピシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、チカルシリン、ピブメシリナム、スルバクタム、タゾバクタム、イミペネム、セファレキシン、セフィドロキシル、セファクロル、セファトリジン、セファロチン、セファピリン、セファゾリン、セホキシチン、セファマンドール、セホテタン、セフロキシム、セホタキシム、セフスロジン、セフェピム、セホペラゾン、セフォチアム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフィキシム、セフポドキシム、セフェピム、コリスチン、ラタモキセフ、アズトレオナム、バンコマイシン、バンコシン、テイコプラニン、ポリミキシンB、コリスチン、バシトラシン、チロトリシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、シソマイシン、ジベカシン、ネチルマイシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、セフタジジム、エリスロマイシン、ジョサマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、バージニアマイシン、プリスチナマイシン、ダルホプリスチン・キヌプリスチン、クロラムフェニコール、チアンフェニコール、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、フシジン酸、リネゾリド、リファマイシン、リファンピシン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ピペミド酸、フルメキン、ペフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、スパルフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ニトロキソリン、チルボキノール、ニトロフラントイン、ニフロキサジド、メトロニダゾール、オルニダゾール、スルファジアジン、スルファメチゾール、トリメトプリム、イソニアジドおよびその誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択される。前記抗生物質、より具体的にはアモキシシリンは、さらに少なくとも別のβ-ラクタマーゼ阻害剤、例えば、クラブラン酸など、別の3-イミダゾリン(本発明の式(I)もしくは(I’)の化合物)、またはPCT出願番号EP2016/071115(WO2017/042233)で規定したアゼチジンイミンに関連して使用されてもよい。
【0179】
特定の実施形態において、Antibioは、セファロスポリン(具体的には、先に列挙したようなもの)またはアンピシリン誘導体である。
【0180】
プロドラッグ
第一の実施形態において、リンカーは、エステラーゼによってインビボにおいて分解され、これにより、抗生物質(Antibio)および増強剤(阻害剤)の両方を放出する。この第一の実施形態において、複合体は、これにより、抗生物質(Antibio)および増強剤(阻害剤)の両方のプロドラッグと見なされ得る。
【0181】
これは、抗生物質(Antibio)および増強剤(阻害剤)の両方の溶解性および浸透性を増強することを可能にし得る。これは、抗生物質(Antibio)および増強剤(阻害剤)の両方が、同じ生体分布プロファイルで、同じ位置(身体の同じ部位)において放出され、これにより、それらの相乗活性を高めることを確実にする。
【0182】
この治療アプローチは、例えば、スルタミシリンに使用されるものである。Antibioが、例えば、-COO-基などのエステル結合を介してリンカーに連結される場合、斯かるアプローチが、特に使用される。
そのため、この実施形態において、antibioは、好ましくは、アンピシリンの誘導体またはセファロスポリン(具体的には、先に列挙したもの)、好ましくはセファロスポリンである。
【0183】
ベクター化
第二の実施形態において、Antibioは、事実上、ベクター化剤として作用する:それは、β-ラクタマーゼおよび/またはカルバペネマーゼの基質として使用され、そしてそれは、(β-ラクタム部分を含めた)複合体の「Antibio」部分を分解し、そして、その所望の作用部位にて、すなわち、阻害されるβ-ラクタマーゼ、および/またはカルバペネマーゼに隣で、直接的に増強剤(阻害剤)を同時放出する。
【0184】
斯かる治療戦略は、必ずしも抗生物質の分野ではないが、他の作用物質に関して記載された。セファロスポリン-タキソール複合体(Lee et al. Current Biology, 1995, vol2, n°4, 223-227)、マスクされたMK801(Yang et al. e.Life 2015, 4, e10206)、セフェム(セファロチン)-プリマキン複合体(Blau et al Molecules 2008, 13, 841-854)の言及がおこなわれ得る。
【0185】
この第二の実施形態において、Antibioは、β-ラクタムファミリーに属する抗生物質である。β-ラクタムファミリーに属する抗生物質の例は、先に列挙されている。より具体的には、この実施形態において、Antibioは、セファロスポリン誘導体である。
【0186】
好ましい実施形態
好ましい実施形態において、Antibioは、エステル、アミド、カルボナートまたはカルバマート結合を介して、好ましくは、エステルまたはアミド結合、好ましくはエステル結合を介して、LINKERに連結された、セファロスポリンまたはその誘導体、アンピシリンまたはその誘導体である。
【0187】
有利なことには、この実施形態において、阻害剤は、フェノキシ(C6H4OH)、アニリン(C6H4NH2)、エステルまたはアミド基を含む、式(I)の化合物である。好ましくは、阻害剤において、Ar1、Ar2およびAr3の少なくとも1つが、1つのOH、NH2、COOHまたはCONH2基、好ましくは1つのOH基で置換される。例えば、Ar1は、1つのOH基で置換され、Ar2は、1つのOH基で置換され、またはAr3は、1つのOH基で置換される。より好ましくは、Ar1が、1つのOH基で置換されたフェニル基であるか、またはAr2が、1つのOH基で置換されたフェニル基であるか、またはAr3が、1つのOH基で置換されたフェニル基である。
【0188】
リンカーは、好ましくは、メチレン(-CH2-)などのC1-C4アルキレン、または-A1-(C1-C4)アルキレン-A2-、例えば-A1-CH2-A2-基など{式中、A1およびA2は、同一であるかまたは異なり、かつ、独立に、O、NH、S、S(O)、S(O)2、C(O)O、OC(O)、C(O)NH、NHC(O)、OC(O)O、OC(O)NH、NHC(O)Oである}である。
【0189】
本発明の複合体の代表的な式(V)、(VI)および(VII)は、以下に示される:
【化28】
【0190】
式(V)、(VI)および(VII)では、Antibioは、好ましくはセファロスポリンであり、具体的には、先に列挙したものである。
【0191】
4.医薬組成物
本発明はまた、有効成分として(具体的には、式(I)、(I’)または(IV)の鏡像異性体および/またはジアステレオマーの混合物の形態で)、少なくとも1つの式(I)または(I’)の化合物、または現在開示している抗生物質およびその混合物を伴ったその複合体(特に、式(IV)の複合体)、ならびに医薬的に許容し得る担体、を含む医薬組成物にも関する。
【0192】
好ましくは、組成物は、別の治療的活性物質、有利なことには、抗生物質、例えば、そういうものとして既に知られており、かつ、この分野の特定の薬剤として既に使用されており、そして、その活性が、式(I)および/または(I’)の化合物、または抗生物質を伴ったその複合体(特に、式(IV)の複合体)によって促進される抗生物質を含む。しかしながら、抗生物質は、式(I)または(I’)の化合物(それらもまた抗生物質活性を発揮する場合)、または抗生物質を伴ったその複合体(特に、式(IV)の複合体)であってもよい。
【0193】
本発明の特定の実施形態において、医薬組成物は、現在開示した式(I)または(I’)のある化合物、または抗生物質を伴ったその複合体(特に、式(IV)の複合体)、および有効成分としての抗生物質または抗生物質の組み合わせ、ならびに医薬的に許容し得る担体を含む。
【0194】
好ましくは、本発明の医薬組成物は、少なくとも2つの治療的活性物質を含み、そのうちの1つが、別のもの(単数もしくは複数)に対して促進作用を発揮する。
【0195】
本発明の組成物に使用され得る抗生物質の例は、β-ラクタム系(例えばアモキシシリンおよび/またはアンピシリン、および/またはセファロスポリン、例えばセファゾリンなど)、テトラサイクリン系(例えばクロルテトラサイクリンなど)、リファマイシン系(例えばリファンピシンなど)、ペプチド系(例えばポリミキシンなど)、アミノシド系(例えばストレプトマイシンなど)、フェニコール系(例えばクロラムフェニコールなど)、マクロライド系(例えばエリスロマイシンなど)からなる系の少なくとも1種に属することができる。
【0196】
好ましくは、組み合わせは、少なくとも1種の既知のβ-ラクタム抗生物質を含む。本発明に従って使用されることが好ましいβ-ラクタムの例は、カルバペネム(例えばイミペネム、メロペネム、エルタペネム、「PZ-601」として一般に知られている化合物を含み、具体的には、セファロスポリンは、セファセトリル、セファドロキシル、セファレキシン、セファログリシン、セファロニウム、セファロリジン、セファピリン;セファトリジン、カファザフルール、セファゼドン、セファゾリン、セファドリン、セフロキサジン、セフテゾール、セファクロル、セファマンドール、セフロキシム、セホニシド、コフラニド、セフプロジル、ロラクラベフ、セホテタン、セホキシチン、セホチアムヘキセチル、セフトリアキソン、セフチゾキシム、セホペラゾン、セフスロジン、セフチブテン、セフィキシム、セファタメト、セフポドキシムプロキセチル、セフェピム、セフピロム、セフタジダイム、セホタキシム、セファロチンなどである。
【0197】
さらに別の実施態様において、既知の抗生物質は、β-ラクタム(例えば、アモキシシリン、アンピシリン、カルバペネム、およびセファロスポリン)、グリコペプチド、ポリミキシン、グラミシジン、チロシジン、アミノシド、マクロライド、リンコサミド、シネルギスチン、フェニコール、テトラサイクリン、フシジン酸、オキサゾリジノン、リファマイシン、キノロン、フルオロキノロン、スルファミド、トリメトプリムおよびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0198】
より好ましくは、既知の抗生物質は、ペニシリン、オキサシリン、クロキサシリン、アンピシリン、メロペネム、エルタペネム、PZ-601、アモキシシリン、バカンピシリン、メタンピシリン、ピバンピシリン、アズロシリン、メズロシリン、ピペラシリン、チカルシリン、ピブメシリナム、スルバクタム、タゾバクタム、イミペネム、セファレキシン、セフィドロキシル、セファクロル、セファトリジン、セファロチン、セファピリン、セファゾリン、セホキシチン、セファマンドール、セホテタン、セフロキシム、セホタキシム、セフスロジン、セフェピム、セホペラゾン、セフォチアム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフィキシム、セフポドキシム、セフェピム、コリスチン、ラタモキセフ、アズトレオナム、バンコマイシン、バンコシン、テイコプラニン、ポリミキシンB、コリスチン、バシトラシン、チロトリシン、ストレプトマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、アミカシン、シソマイシン、ジベカシン、ネチルマイシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、セフタジジム、エリスロマイシン、ジョサマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、バージニアマイシン、プリスチナマイシン、ダルホプリスチン・キヌプリスチン、クロラムフェニコール、チアンフェニコール、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、フシジン酸、リネゾリド、リファマイシン、リファンピシン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ピペミド酸、フルメキン、ペフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、エノキサシン、スパルフロキサシン、レボフロキサシン、モキシフロキサシン、ニトロキソリン、チルボキノール、ニトロフラントイン、ニフロキサジド、メトロニダゾール、オルニダゾール、スルファジアジン、スルファメチゾール、トリメトプリム、イソニアジドおよびその誘導体およびこれらの混合物からなる群から選択される。前記抗生物質、より具体的にはアモキシシリンは、さらに少なくとも別のβ-ラクタマーゼ阻害剤、例えば、クラブラン酸など、別の3-イミダゾリン(本発明の式(I)もしくは(I’)の化合物)、またはPCT出願番号EP2016/071115(WO2017/042233)で規定したアゼチジンイミンに関連して使用されてもよい。
【0199】
もちろん、本発明による医薬組成物は、前述のその抗生物質の使用にのみ制限されない。実際に、は式(I)、(I’)または(IV)の化合物で規定された化合物によって発揮される増強作用を考慮して、他の既知のまたは将来の抗生物質もまた成功のうちに使用することができる。
【0200】
これらの医薬組成物は、経口的に、直腸に、非経口的に、筋肉内にまたは皮膚および粘膜上の局所適用による局所的に投与され得る。好ましくは、医薬組成物は、経口的にまたは非経口的に(具体的には、静脈内に)投与される。
全ての場合において、本発明の医薬組成物の医薬形態は、その使用に適している。例えば、上記医薬組成物は、経口投与のための溶液、懸濁液、錠剤…の形で使用することができる。一般に、非経口投与のための組成物は、使用の直前に調製されてもよい医薬的に許容し得る滅菌溶液または懸濁液である。その水溶液はそのpHが適切に調節される限り静脈内投与に適するものであり、例えば充分な量の塩化ナトリウムまたはグルコースを添加することによって、等張になる。
【0201】
本発明による組成物は、固体または液体であり、ヒト医薬での現在の使用または動物への使用において医薬形態で存在することができる(例えば、簡単な錠剤または被覆錠剤、カプセル剤、顆粒剤、坐剤、注射用製剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤;これらは、通常の方法に従って調製される)。1種または複数種の活性成分をこれらの医薬組成物に通常使用される賦形剤に混入することができる、例えば、セルロース誘導体(HPMC、HPC、ミクロクリスタリンセルロースなど)、タルク、アラビアゴム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、カカオ脂、水性または他の媒体、動物または植物由来の脂肪を含む本体、パラフィン誘導体、グリコール、異なる湿潤剤、分散剤をまたは乳化剤、防腐剤。これらの組成物は、特に、適切な溶媒、例えば発熱物質を含まない滅菌水に必要に応じて溶解されるように設計された凍結乾燥物の形を用いることができる。
【0202】
本発明による化合物(単数もしくは複数)および/または医薬組成物(単数もしくは複数)は、前記本発明による式(I)または(I’)の少なくとも1種の化合物および上記で定義したとおりの既知の抗生物質製剤(単数もしくは複数)の同時または逐次投与に適しているように製剤化することができる。
【0203】
従って、本発明の医薬組成物は、本発明の式(I)または(I’)の化合物または、任意選択で、上記で定義したとおりの既知の抗生物質製剤(単数もしくは複数)との組み合わせの投与量を使用して耐性微生物により引き起こされる局所あるいは全身感染症の治療を可能にする。
【0204】
斯かる組み合わせの場合には、組み合わせた活性物質の用量は、同上の本発明による式(I)の前記化合物および上記で定義したとおりの既知の抗生物質製剤単独のどちらか一方と感受性のある微生物に起因して同上の感染症の治療に必要とする投与量の単一添加(simple addition)より少ないことが好ましい。
【0205】
結果は、少なくとも下記の有利な点を有する治療を与えることである:
-耐性のない微生物に対して非常に低用量での有効性、
-少なくとも1種の治療薬に耐性のある微生物に対する有効性、
-再発現象の制御、および/または
-耐性のある微生物選択の現象の制御。
【0206】
有利なことには、非常に低用量の投与を可能にする相乗作用の結果、毒性および/または副作用のリスクが著しく減少する(既知の抗生物質については当業者によく知られている)。
【0207】
そのため、本発明は、特に、以下を含むキットに関する:
- 第一の治療的に活性な、先に規定した式(I)または(I’)の化合物およびその混合物を含有する、少なくとも1つの第一のコンテナ、および、
- 特に、抗生物質療法において、同時、連続および別々の使用のための組み合わせ製品としての、抗生物質である第二の治療的活性物質を含有する、少なくとも1つの第二のコンテナ。
【0208】
本発明のキットは、使用説明書を含有することが好ましい。前記キットは、医療従事者が要求に応じて、同時投与のための、望ましい第1の治療物質の適切な投与量と望ましい抗生物質の混合物、もしくは少なくとも1種の前記第1の治療的に活性な物質の適切な投与量、続いて少なくとも1種の前記第2の治療的に活性な物質、すなわち、適切な抗生物質の適切な投与量、またはその逆を逐次および別個に投与するために、調製することを可能にする。しかしながら、同時使用のための混合物が投与の容易さのために好ましい。
【0209】
これにより、本発明はまた、細菌感染症を治療するかまたは予防する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の抗生物質と組み合わせた、式(I)または(I’)の化合物を含む本発明の組成物の治療的に有効量、または本発明のキットを投与することを含む方法に関する。
【0210】
これにより、本発明の組成物およびキットは、薬物として、特に抗生物質療法において有用である。本発明の組成物は、抗生物質として特に有用である。
【0211】
5.治療的適用
本発明の化合物、複合体、医薬組成物は、主に治療薬に対する耐性および高用量の使用から生じる治療薬の毒性を含む、一般の微生物因子に関連した問題に取り組むための簡単で効率的な手段である。
【0212】
式(I)および(I’)の化合物、ならびにその複合体は、カルバペネマーゼ酵素、具体的には、クラスA、Bおよび/またはDのカルバペネマーゼの、好ましくはNDM-1タイプ、OXA-48タイプまたはKPC-タイプ酵素のの阻害剤として有効である。このように、それらは、好ましくは抗生物質の、増強剤として有用である。
【0213】
実際に、式(I)(および/または(I’))の少なくとも1種の化合物と少なくとも1種の抗生物質との組み合わせは、増強効果を与えることが有利である。すなわち「増強効果/作用」とは、本発明によれば、その活性化合物の少なくとも一方がもう一方の活性成分を活性であることを可能にする前述したような「自殺分子」としていずれかに作用しかつ/または生物学的(すなわち抗生物質)活性の観点で存在するもう一方の化合物の少なくとも1種の活性を、例えば相乗効果によって増加させることを意味する。
【0214】
これにより、式(I)および(I’)の化合物もまた、薬物として、特に、抗生物質療法で有用である。これにより、式(I)および(I’)の化合物は、本発明の組成物またはキットに関して以下に記載するように、抗生物質と組み合わせて特に使用される。斯かる場合では、抗生物質および/または組み合わせは、好ましくは、グラム陰性菌(例えばエンテロバクテリア科、シュードモナス・エルギノーサ、アシネトバクター・バウマニ)から選択される細菌、好ましくは、β-ラクタマーゼの産生によりβ-ラクタムを含む1もしくは複数のクラスの抗生物質に対して薬剤耐性形態のグラム陰性菌に対して有効である。
【0215】
式(I)および(I’)の化合物およびそれを含む組成物はまた、抗生物質として使用され得る。この場合では、それは、好ましくは、グラム陰性菌(例えばエンテロバクテリア科、シュードモナス・エルギノーサ、アシネトバクター・バウマニ)から選択される細菌、好ましくは、β-ラクタマーゼの産生によりβ-ラクタムを含む1もしくは複数のクラスの抗生物質に対して薬剤耐性形態のグラム陰性菌に対して有効である。
【0216】
そのため、本発明による式(I)の前記化合物は、単独で、または互いに、もしくは少なくとも1つの既知の他の抗生物質と組み合わせて使用され得る。その誘導体も、それらが抗生物質活性を有する場合、使用され得る。
【0217】
特定の実施形態において、式(I)または(I’)の化合物は、鏡像異性体および/またはジアステレオ異性体の混合物の形態で、薬物(抗生物質)として使用される。
本発明はさらに、薬剤、特に、抗生物質の増強剤または抗生物質、の製造のための式(I)または(I’)の化合物に関がある。
【0218】
本発明はまた、細菌感染症を治療または予防する方法であって、それを必要とする患者に、治療的有効用量の式(I)または(I’)の化合物を、任意選択で、有効量の抗生物質と組み合わせて、投与することを含む方法に関する。
【0219】
式(I)または(I’)の化合物(単数もしくは複数)の治療的に有効な用量は、治療される症状の重症度と種類、個々の対象、投与経路および必要とする他の抗菌製品に依存して変動し得る。上記投与量は、例えば、ヒトまたは動物への経口経路で、1日1kgにつき0.1mgと1gの間、またはヒトまたは動物への筋肉内または静脈内経路で、1日1kgにつき0.05mgと0.5gの間であることができる。また、上記既知の抗菌化合物の投与量は、治療される症状、個々の対象、投与経路および必要とする製品に依存して変動することができるが、一般に、開業医によって処方される、例えばフランスの医薬品集に記載されているようにヒト投与のための、典型的な投与量に従う。この投与量は、1患者につき1日10gまでの範囲またはそれ以上であることもできる。しかし、一般式(I)の化合物と既知の抗菌化合物によって示される相乗作用の結果として、組み合わせの一部としての抗菌化合物の投与量は、標準用量と比較して減少させることができる。また、本発明の組み合わせは、外科用器具のための消毒剤として使用することができる。
【実施例】
【0220】
本発明は、様々な実施態様を説明する下記の実施例においてより明白になるが、それは、具体的な説明のためにだけに示され、いかなる形であっても本発明を限定するものとして構成させるべきではない。
【0221】
実施例1:合成
1.材料と方法
融点は、Buechi B-540装置上の毛細管において測定し、補正されてない。赤外スペクトルは、Perkin Elmer Spectrum BX FTIRスペクトロメータに記録した。プロトン(1H)および炭素(13C)NMRスペクトルは、Brukerスペクトロメータ:Avance 300MHz(QNP-13C、31P、19F-プローブまたは13Cデュアルプローブ)およびAvance 500MHz(BB0-ATMプローブまたはBBI-ATMプローブ)に記録した。炭素NMR(13C)スペクトルは、125または75MHzにおいてJMODまたはDEPTシーケンスを使用して得られた多重度を有する広帯域デカップリングモードを使用して記録した。NMR実験は重水素化クロロホルム(CDCl3)において実施し、化学シフト(δ)はCDCl3によって百万分の1部(ppm)で報告される(1H:7.26;13C:77.00)。プロトンスペクトル多重度に対して下記の略語を使用する:s:一重線、bs:広い一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線、br:幅広い。カップリング定数(J)は、ヘルツ(Hz)で報告される。質量スペクトルは、電気スプレー電離(ES)を使用したLCT(Micromass)機器あるいは高分解能質量スペクトル(HRMS)のための飛行時間型質量分析計(ESI-MS)のいずれかから得た。元素分析は、カサロメータによる検出を備えたPerkin Elmer CHN 2400アナライザーで行った。薄層クロマトグラフィは、アルミニウムプレート上のシリカゲル60 F254(Merck)で行い、UVP Mineralight UVLS-28ランプ(254nm)の下でエタノール中ニンヒドリンと燐モリブデン酸によって視覚化した。フラッシュクロマトグラフィーは、中圧(300mbar)のMerckシリカゲル60(40~63μm)でまたは標準設定を使用したCombiFlash装置(Serlabo Technologies)で行った。キラル高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)は、Separations ModuleがダイオードアレイUV検出器(254nm)およびDaicel CHIRACEL IAカラム(4.6*250nm、5mm)を備えたWaters 2695 Separations Moduleで行った。データは、次のよう報告されている:カラム温度、溶離剤、流量、保持時間。マイクロ波照射実験は、内部光ファイバまたはIR温度制御付きのAnton Paar Monowave 300またはMonowave 50機器において実施した。
【0222】
すべての試薬は、特に明記しない限り商業的な供給業者から入手した。必要な場合、有機溶媒は、日常的に乾燥しかつ/または使用前に蒸留し、商業的なDMFを窒素下にモレキュラーシーブで保存した(無水DMFは、Sure/Seak(商標)ボトルでSigma-Aldrichから、またはAcroSeal(商標)ボトルでAcrosから購入した。有機抽出液は、硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥した。
【0223】
2.一般手順
一般手順A:イミンの形成
イミンが市販のものでない場合、以下のプロトコールを使用して、それを合成してもよい。アルデヒド(1.0当量)、アニリン(1.0当量)およびシリカ(1.0当量)を丸底フラスコに連続して添加し、続いてエタノール(0.7M)を添加する。次いでこの混合物を5~10分間(TLCによってモニタする)超音波ユニットに配置し、濾過してシリカを除去する。減圧下で濃縮した後、上記粗イミンを無水エタノール中で再結晶させる。
【0224】
一般手順:3-イミダゾリンの形成
イミン(0.2mmol、1.0当量)、イナミド(0.4mmol、2.0当量)、SiO2(20mg、0.2mmol、1.0当量)を、マイクロ波封管内に連続して添加し、そして、アルゴン下に配置した後、THF(182μL、0.4mmol、2.0当量)の溶液中の2.2Mのt-BuOLiを添加し、続くいて、超乾燥DMF(0.3M)を添加する。封管を、100℃にて1時間マイクロ波装置内に置く。その原料を、溶出液として石油エーテル中の酢酸エチルの混合物を使用した、シリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。
【0225】
以下のイミダゾリンを、上記の一般手順を用いることで得た(収率をパーセンテージとして大括弧内に示す)。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0226】
3.本発明による3-イミダゾリンの分析データ
化合物1(39%)
【化29】
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
【0245】
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
【0250】
【0251】
【0252】
【0253】
【0254】
【0255】
【0256】
【0257】
実施例2:生物学的試験
これらの試験を、酵素の存在下、イミペネム単独と、次に所定の濃度における関係する3-イミダゾリンを伴ったイミペナムのUV吸光度の傾斜の測定値を比較することによって実施した。これにより、イミペナムの加水分解を観察することが可能になった。傾斜値が低いほど、酵素阻害のパーセンテージはより高くなる。
本発明の化合物に対して得られたさまざまな生物学的試験結果を、表1にまとめる。
【0258】