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特許7185644フロントガラス用ワイパーブレード加熱回路を制御および調整するための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】フロントガラス用ワイパーブレード加熱回路を制御および調整するための装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/38 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
B60S1/38 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019564918
(86)(22)【出願日】2018-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2018063738
(87)【国際公開番号】W WO2018215631
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-21
(31)【優先権主張番号】1754646
(32)【優先日】2017-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ステファヌ、ウサ
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、ゴシェ
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム、ムレール
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム、テラス
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-505111(JP,A)
【文献】国際公開第2014/121061(WO,A1)
【文献】特開2001-183148(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102008039690(DE,A1)
【文献】特開2007-269247(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力車両のフロントガラス用ワイパーブレード(B1、B2)の加熱回路を制御するための自律装置(1)であって、発電機(G)に接続するための入力(21)およびフロントガラス用ワイパーブレード(B1、B2)の前記加熱回路の端子に前記接続するための出力(22)を備えた前記加熱回路の電力供給を調整するモジュール(2)と、密閉ケーシング(5)とを備え、瞬間tにおいて、一方で前記動力車両の外部の温度、およびもう一方で前記動力車両速度を取得するための手段(3、4)を備え、前記取得手段(3、4)が前記動力車両の外部の温度及び前記動力車両の速度を前記調整モジュール(2)へ送信するように構成され
前記密閉ケーシング(5)の内部には、前記調整モジュール(2)および前記動力車両の速度を取得するための前記手段(4)が少なくとも配置され、前記調整モジュールの前記入力および前記出力(21、22)が前記密閉ケーシング(5)の前記外部からアクセスできるように配置されることを特徴とする自律装置(1)。
【請求項2】
前記動力車両速度を取得するための前記手段が、衛星測位モジュール(4)を備えることを特徴とする請求項1に記載の自律装置。
【請求項3】
前記動力車両の外部の温度を取得するための前記手段が、温度プローブ(3)を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の自律装置。
【請求項4】
前記動力車両の外部の温度を取得するための前記手段(3)および/または前記動力車両速度を取得するための前記手段(4)が、前記調整モジュール(2)に統合されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の自律装置。
【請求項5】
記調整モジュール(2)が電子ボード(C)を備え、当該電子ボード上に、電子調整回路及び衛星測位モジュール(4)の構成要素が配置されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の自律装置。
【請求項6】
前記衛星測位モジュール(4)および/または温度プローブ(3)が、前記電子調整回路の1つまたは複数のスイッチを形成することを特徴とする請求項に記載の自律装置。
【請求項7】
記調整モジュール(2)が、マイクロプロセッサおよびメモリを備え、当該メモリには、前記外部の温度および前記動力車両速度に応じて前記加熱回路の前記電力供給を調整するためのコンピュータプログラムが格納されることを特徴とする請求項またはのいずれかに記載の自律装置。
【請求項8】
前記調整モジュール(2)が、前記加熱回路の前記電力供給および/または抵抗特性を分析し、それに応じて前記加熱回路の前記電力供給を調整するように構成されることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の自律装置。
【請求項9】
加熱回路および請求項1からのいずれか一項に記載の自律装置(1)を装備した少なくとも1つのフロントガラス用ワイパーブレード(B1、B2)を備える組立キット。
【請求項10】
前記自律装置(1)が密閉ケーシング(5)に配置され、前記調整モジュール(2)の前記入力および前記出力(21、22)は、それが前記加熱回路におよび発電機(G)に接続できるように前記密閉ケーシング(5)の外側からアクセスできるように配置されることを特徴とする請求項に記載の組立キット。
【請求項11】
前記密閉ケーシング(5)が、前記調整モジュール(2)の前記入力および前記出力(21、22)を保護および密封するための手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の組立キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路を制御および調整するための装置に関するもので、前記加熱回路は、ワイパーに統合または関連付けられた少なくとも1つの抵抗素子を備え、前記制御および調整装置は、元のおよびアフターマーケット機器としての両方を乗り物に搭載され得る自律型組立品を形成する。
【背景技術】
【0002】
動力車両のフロントガラス用ワイパーブレードは、特にワイパーブレードとその構造を除氷し、フロントガラス用ワイパーが掃除するように設計されている窓の拭き取り性能レベルを改善するために加熱されることが知られている。
【0003】
フロントガラス用ワイパーブレードがフロントガラスのウォッシャー液を分配するための内部チャネルを備えている場合、フロントガラス用ワイパーブレードを加熱すると、フロントガラスのウォッシャー液を窓の外面に噴霧または投射する前に加熱することもでき、さらに、ウィンドウを除氷する動作を円滑化し、任意選択で手動スクレーパーの使用を避けることができる。
【0004】
従来使用されている加熱手段は、基本的に、電気加熱抵抗器などの抵抗加熱素子を統合する電気加熱回路を備え、電流が供給されると、抵抗素子の周囲で消散する熱を生成し、および/または少なくとも部分的に、接触している要素、特に、例えばワイパーブレードのストリップおよび/またはその保持構造に伝達される。
【0005】
例えば、フロントガラス用ワイパーブレードの曲げスパインが、スパインの2つの対向する平坦面の少なくとも一方に接着され、電気加熱回路を備える追加フィルムの形の加熱手段を装備することがすでに提案されている。
【0006】
電気加熱回路は、基本的に、例えば、基板上に沈着または印刷された導電線または導電性トラックのループを備え、その端部は、車両のバッテリーに接続された電流供給端子に接続される。
【0007】
第1の変形形態によれば、フロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路の制御および調整は、車両の運転席のダッシュボードでアクセス可能なスイッチを介して、車両の運転者が直接管理する機能で、フロントガラスを除氷するための回路と同様の方法で、ワイパーブレードの加熱回路の電力供給回路を開き、それぞれ閉じる。好ましくは、電源回路は、所定の加熱期間の後、または外気温が設定温度よりも高い場合、例えば、車両の電子コンピュータおよび適切な関連センサーによって自動的に閉じることができる。
【0008】
第2の変形形態によれば、フロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路を制御および調整する機能は、電子コンピュータおよび車両の電気回路によって、車両の運転者とは無関係に管理することもできる。この目的のために、これらのパラメータを考慮に入れて加熱回路の電力供給サイクルを制御するために、車両の外部の温度とその速度の測定値がコンピュータによって統合されることが好ましい。
【0009】
上記の第1または第2の変形形態に関係なく、フロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路を制御および調整する機能は、主に車両の「元の機器」に限定される。
【0010】
実際のところ、この制御は、エネルギー効率が良く、ワイパーブレードの完全性に適合するために、加熱回路が前記回路を必要とする気候条件でのみアクティブであるための、外気温の知識、抵抗または加熱回路の電力、および好ましくは車両の速度の知識を必要とする。
【0011】
したがって、これらのパラメータを調整する必要があり、および/または車両とその電気システムには、ユーザーが高価な後続作業を必要としないようにするため、車両の生産段階でフロントガラス用ワイパーブレードの加熱制御の管理に適合した測定装置を装備する必要がある。
【0012】
しかしながら、消費者が特定の要件や季節の変動に応じてその車両に装備でき、その結果、購入時にこの目的の特定の電気的アーキテクチャまたはコンピュータプログラミングを統合した車両がなくても、加熱回路を備えたフロントガラス用ワイパーブレードの使用を普及させることが望ましいと考えられる。
【0013】
本発明は、この要件に対する単純で効果的かつ経済的な解決策を提案することを目的としており、これは、特に「アフターマーケット機器」としてあらゆる動力車両に適用可能である。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、第1の目的に従って、動力車両のフロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路を制御するための自律装置を提案することによりその目的を達成し、加熱回路の電力供給を調整するモジュールを備え、発電機に接続するための入力およびフロントガラス用ワイパーブレードの前記加熱回路の端子に接続するための出力を備えている。本発明によれば、この制御装置は、一方で、車両の外部の温度を表すデータ項目および車両の瞬間速度を表すデータ項目を瞬間tで取得する手段を備えることを特徴とし、他方、前記取得手段は、前記データを調整モジュールに送信するように構成されている。
【0015】
本発明の制御装置は、完全に自律的であり、したがって、加熱回路を備えたフロントガラス用ワイパーブレードを元々装備していない車両に搭載できるという利点を有する。
【0016】
この制御装置は、任意の適切な手段を使用して、車両のバッテリーなどの電源へのほか、前記フロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路の端子にも入力として接続できる調整モジュールを備える。したがって、消費者は、冬の期間の特定の気候条件での運転を最適化して保護するため、車両のタイヤに対してできるように、この期間に加熱回路を備えたフロントガラス用ワイパーブレードを車両に装備することが可能である。
【0017】
本発明の制御装置は、加熱回路の電力供給に関して、電子コンピュータや車両の電気回路への接続とは無関係に、外気温および車両の速度に関係するパラメータを考慮することによって、フロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路の電力供給の最適化された調整も可能にするという点で特に有利であることがわかる。
【0018】
したがって、装置が車両のバッテリーまたは他の電源への入力として、および1つまたは複数のフロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路の端子への出力として接続されると、前記装置は、所定の瞬間tに車両の外部の温度と車両の瞬間速度を取得し、それに応じて加熱回路の電力供給を調節することによって加熱回路の加熱を自律的に制御できる。したがって、加熱回路の最適化および保護された供給が提供され、前記回路および1つまたは複数の関連するワイパーブレードの完全性が保証される。
【0019】
本発明の装置の特定の実施形態では、前記装置は、密閉ケーシングを備え、その内部には、調整モジュールおよび車両の瞬間速度を表すデータ項目を取得するための手段が少なくとも配置され、調整モジュールの前記接続入力および出力が前記ケーシングの外部からアクセスできるように配置されている。
【0020】
一実施形態では、車両の瞬間速度を表すデータ項目を取得するための手段は、衛星測位モジュールを備える。
【0021】
有利には、車両の外部の温度を表すデータ項目を取得するための手段は、温度プローブを備える。
【0022】
好ましい実施形態によれば、車両の外部の温度を表すデータ項目を取得するための手段および/または車両の瞬間速度を表すデータ項目を取得するための手段は、電気調整モジュールに統合されている。
【0023】
より具体的には、電気調整モジュールは、電子ボードを特に備えることができ、その上に電子調整回路、衛星測位モジュール、および好ましくは、温度プローブの構成要素が配置される。このような調整モジュールは、非常に小さな電子チップの形で製造でき、適切な保護パッケージに梱包されると、数平方センチメートル未満の寸法で、厚さは数ミリメートル未満である。その場合、本発明の制御装置を、例えば、ワイパーブレード支持部の下、または車両のボンネットの下の他のゾーンに、装置を収容するための特別な空間的配置を必要とせずに配置するようにできることが非常に簡単である。
【0024】
本発明の制御装置の有利な特徴によれば、衛星測位モジュールおよび/または温度プローブは、電子調整モジュールの1つまたは複数のスイッチを形成する。実際のところ、調整モジュールは、その動作の入力条件として温度および速度を表すデータ項目を統合するように有利に構成される。したがって、温度が特定のしきい値、例えば5℃を超える場合、本発明の調整モジュールおよび制御装置は、加熱回路に電力を供給しない。適切な場合、速度がゼロの場合にも同じであり得る。最後に、2つの温度および速度の入力条件を組み合わせて、車両の外部の温度および車両の速度に応じて異なる調整レジームを定義することができる。
【0025】
この目的のために、電気調整モジュールは、好ましい実施形態において、マイクロプロセッサおよびメモリを有利に備え、そのメモリには、外部の温度および車両の瞬間速度を表す前記データ項目に応じて加熱回路の電力供給を調整するためのコンピュータプログラムが格納される。したがって、調整プログラムは、前述のようにフロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路を調整するための様々なレジームを非常に簡単に定義できる。
【0026】
より有利には、本発明の制御装置の調整モジュールは、加熱回路の電力および/または抵抗特性を分析し、それに応じて前記加熱回路の電力供給を調整するように構成することもできる。
【0027】
したがって、本発明の制御装置は、フロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路の端子に接続されたとき、この加熱回路の電気的特性を分析し、特に、前記ワイパーブレードと制御装置との互換性を決定でき、互換性がある場合は、適切な電力供給特性を決定できる。
【0028】
本発明は、第2の目的によれば、加熱回路および前述の自律制御装置を装備した少なくとも1つのフロントガラス用ワイパーブレードを含む組立キットにも関する。
【0029】
そのような組立キットは、消費者のために、加熱回路および関連する自律制御装置を備えた1つまたは複数のフロントガラス用ワイパーブレードを車両に装備するためのターンキー解決策を形成する。
【0030】
有利な実施形態では、自律制御装置は密閉ケーシングに配置され、調整モジュールの前記接続入力および出力は、加熱回路および発電機に接続できるように前記ケーシングの外側からアクセスできるように配置される。
【0031】
より好ましくは、この実施形態では、ケーシングは、調整モジュールの前記接続入力および出力を保護および密封するための手段を備える。したがって、制御装置の電気接続における短絡のリスクが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明のさらなる特徴および利点は、非限定的な例として提供され、添付の図面を参照して理解される以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。
図1】電力供給および加熱回路を備えた一対のフロントガラス用ワイパーブレードに関連する本発明の自律制御装置の概略図である。
図2】本発明による自律制御装置を動力車両に実装する一例で、部分斜視図として示されている図である。
図3】非限定的な例示として、本発明の装置によって実施されるフロントガラス用ワイパーブレード加熱回路の電源を入れるための電力供給電圧およびサイクルの調整の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
説明の残りの部分全体を通して、同一の構造または類似の機能を備えた要素は、同じ参照符号を使用して示される。
【0034】
図1は、動力車両用のフロントガラス用ワイパーブレードB1、B2の加熱回路を制御するための自律装置1を簡略化した概略図で示している。この装置1は、すなわち、他のいずれかの装置または電子システム、特にコンピュータおよび動力車両の既存のセンサーから独立して、そのようなワイパーブレードを元々装備していない車両の加熱ワイパーブレードの加熱温度を自律的に制御するために設計および開発されている。
【0035】
このような加熱回路を備えたフロントガラス用ワイパーブレードは、現在、特に最高級の車両、および屋外温度が5℃未満であることが多く、マイナスであるために、頻繁に雪や氷が動力車両の視認性、ひいては循環状態を変える可能性がある、過酷な気候の地域で特に使用されている。
【0036】
このようなフロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路への効果的な電源供給には、ワイパーブレード、特に抵抗加熱トラックとそのストリップの過度の急速な劣化のほか、過度の電力消費を避けるために、外気温パラメータ、車両の速度、ならびに前記加熱回路を形成する抵抗トラックの抵抗および/または電力の知識が必要とされる。
【0037】
さらに、加熱回路を備えたこのようなフロントガラス用ワイパーブレードは、基本的に車両の標準的な製造装備として搭載され、加熱回路の電力供給の電子制御は、車両のコンピュータのメーカーによって前もって事前定義されており、特に電力供給強度が、通常ワイパーブレードの長さに依存する、加熱回路の抵抗に適合されることを確実にするため、そのコンピュータに、ワイパーブレードの加熱回路が電気的に接続されている。
【0038】
本発明の装置1は、加熱回路「ユニバーサル」、すなわち、動力車両の元々機器としての初期備品としてと、元々装備されていないあらゆるタイプの車両に対するアフターマーケット機器としての両方を備えたフロントガラス用ワイパーブレードを使用するための適切な解決策を提供することを目的とする。
【0039】
図1からわかるように、本発明の装置1は、フロントガラス用ワイパーブレードB1、B2の加熱回路の電力供給を電気的に調整するためのモジュール2を備える自律制御装置である。
【0040】
この調整モジュール2は、動力車両のバッテリーなどの発電機Gに接続するための入力21を備える。車両のバッテリーGに接続するためのこの入力21は、有利には標準接続プラグを備えている。
【0041】
さらに、調整モジュール2は、各フロントガラス用ワイパーブレードB1、B2の加熱回路(図示せず)の端子に接続するための出力22も備える。車両のワイパーブレードB1、B2の加熱回路に接続するためのこの出力22は、接続されるワイパーブレードの数に応じて、1つまたは複数の標準接続プラグも有利に備える。したがって、出力22は、装置1に接続されるワイパーブレードの数が多い場合、2つまたは3つの接続プラグを備えることができる。
【0042】
加熱回路を備えたフロントガラス用ワイパーブレードB1、B2の一例として、出願人の名前の米国特許出願第2011/016653号明細書または米国特許出願第2013/269142号明細書に開示されたタイプのワイパーブレードを挙げることができる。
【0043】
調整モジュール2は、図示されていない電子構造を有しており、特に少なくとも1つの整流回路、1つのフィルタリング回路、および1つの電圧調整回路自体が統合されている。
【0044】
これらの異なる構成要素は、特に電子ボードCに統合し、調整モジュール2の入力21および出力22も接続するプリント回路で一緒に接続できる。
【0045】
本発明の装置1にワイパーブレードB1、B2の加熱回路を制御するためのその自律的な性質を提供するために、前記装置は有利には、瞬間tにおいて、車両の外部の温度を表すデータ項目を取得する手段のほか、車両の瞬間速度を表すデータ項目を取得する手段も備え、前記取得手段は、前記データを調整モジュール2に送信するように装置1に構成および配置される。
【0046】
より具体的には、外気温を表すデータ項目を取得するための手段は、有利には、調整モジュールの入力23に電気的に接続された温度プローブ3を備える。この温度プローブ3は、特に、例えば白金抵抗タイプ(参照符号PT)またはサーミスタータイプの熱電対タイプのプローブまたは熱抵抗プローブであっても良い。この温度プローブ3は、プローブのタイプに応じて適切な配線を使用して、入力23を介して調整モジュール2に直接接続されている。
【0047】
部品の車両の瞬間速度を表すデータ項目を取得するための手段は、衛星測位モジュール4を備えることが好ましい。この衛星測位モジュール4は、電力供給バスによって接続され、調整モジュール2の入力24で調整モジュールにデータを送信する独立した機能モジュールであり得る。
【0048】
代替として、衛星測位モジュール4は、調整モジュール2の電子ボードC上に直接配置され配線される集積回路の形で製造することができる。
【0049】
明確にするために、図1は機能図として、相互接続された調整モジュール2、温度プローブ3、および衛星測位モジュール4を単に示し、調整モジュール2はその入力21、23、24で、発電機Gの電力供給、温度プローブ3からの外気温データ項目、および衛星測位モジュール4からの瞬間tでの瞬間速度をそれぞれ受信する。出力22で、調整モジュール2(したがって、本発明の装置1)は、フロントガラス用ワイパーブレードB1、B2の加熱回路(図示せず)に直接接続される。
【0050】
制御装置1の完全性を確保するために、そのすべての電子構成要素、特に調整モジュール2のほか、好ましくは温度プローブ3および衛星測位モジュール4も、密閉ケーシング5に統合されており、調整モジュール2の接続入力および出力21、22のみがアクセス可能で、ケーシング5を、一方では、車両のバッテリーGに、もう一方では、フロントガラス用ワイパーブレードB1、B2に接続できるようにする。
【0051】
ケーシング5は、その統合された電子回路と調整モジュール2の入力および出力コネクタ21、22のコンパクトさに明らかに応じて、多様な形状および寸法をとることができる。しかし、制御装置1をフロントガラス用ワイパーブレード支持部に直接容易に統合できるようにするため、または図2に示すように、車両のエンジンコンパートメントの内部幅内のフードの下に収容できるようにするためにも、ケーシングは最大で数ミリメートルからセンチメートル程度の最大寸法を有することが好ましい。
【0052】
その設置を容易にするために、ケーシング5は、有利には、例えば、接着剤またはスナップ嵌めタイプの可逆的締結手段を備え、運転者または車両の所有者自身による設置を容易にする。
【0053】
したがって図2に示すように、車両のバッテリーGおよびワイパーブレードB1、B2の加熱回路に接続されると、本発明の制御装置1は、その動作に関して完全に自律的であるので、装置1を調整モジュール2の入力21および出力22に接続できるように適切な配線が提供されている限り、標準製造装備として、またはアフターマーケット機器として搭載されるかどうかに関係なく、あらゆるタイプの車両に実装することができる。
【0054】
したがって、要件に応じて加熱回路を備えたワイパーブレードB1、B2を車両に装備し、それに接続された本発明の装置1および車両のバッテリーGによって加熱回路の動作を制御することは非常に簡単である。
【0055】
本発明の一態様はまた、加熱回路および自律制御装置1を装備した、少なくとも1つのフロントガラス用ワイパーブレード、または一対のフロントガラス用ワイパーブレードB1、B2を備える組立キットを提供することを含む。
【0056】
ワイパーブレードB1、B2の加熱回路の最適な制御を可能にするために、装置1の調整モジュール2は、マイクロプロセッサおよびメモリ(図示せず)を備えることが有利であり、メモリには、プローブ3およびモジュール4によって送信される、外気温および車両の瞬間速度に関するデータに応じて加熱回路の電力供給を調整するためのコンピュータプログラムが格納されている。
【0057】
したがって、調整プログラムは、外気温と瞬間tでのその瞬間速度の両方について、車両の運転条件に応じて、フロントガラス用ワイパーブレードB1、B2の加熱回路の電力供給を調整するための異なるレジームを非常に簡単に定義できる。
【0058】
図3は、単に本発明の範囲の非限定的な表示として、車両の外気温および速度に関する値に応じて加熱ワイパーブレードの電力供給を調整するサイクルの一例を示している。このような調整サイクルは、適切な言語を使用したプログラミングアルゴリズムで非常に簡単かつ確実に実装でき、調整モジュールのメモリに格納できる。次に、マイクロプロセッサはメモリと通信して、そこに格納されているプログラムを動作させ、温度プローブ3および衛星測位モジュール4から受信したデータに応じて、調整回路を制御して、前記回路が、電圧および強度によって、ならびに調整モジュール2の出力22での適応タイミングに従って、適切な電力供給を行うようにする。
【0059】
したがって、図3を参照すると、温度プローブ3が調整モジュール2に外気温が-10℃であることを通知し、衛星測位モジュール4が、車両が100km/hで走行していると計算した場合には、調整モジュール2は出力22で13.5Vの直流電圧をワイパーブレードB1、B2に供給するための信号を配信する。
【0060】
同様に、例えば渋滞や信号で車両が停止し、したがって速度がゼロで、屋外温度が-5℃の場合、次に調整モジュール2は、40秒間9Vの電圧を供給し、それから20秒間停止するための信号を配信し、車両の速度が調整プログラムの30km/hを超える速度しきい値に達しない限り、このサイクルを繰り返す。この場合、マイクロプロセッサのクロックまたは補助クロックを使用して、調整モジュール2の出力22で、電力供給を開いて、それぞれ閉じたりする期間をカウントダウンすることができる。
【0061】
対照的に、温度プローブ3による周囲温度の測定値が5℃よりも高い場合、調整モジュール2はワイパーブレードB1、B2への電力供給を切断し、そのそれぞれの加熱回路を不必要に加熱しないようにする。調整モジュール2の動作次第で入力データ項目を提供する、温度プローブ3は、有利には、電源装置1のスイッチのように機能する。
【0062】
同様に、特に、前述のようにマイクロプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを使用して前記モジュールが制御される場合、調整モジュール2の構成またはプログラミングを検討することもでき、その結果、衛星測位モジュール4も、例えば、エンジン点火がまだアクティブである間に車両が長期間停止した場合、調整モジュールのスイッチのように機能する。繰り返すが、この場合、カットオフまでの期間は、マイクロプロセッサのクロックまたは調整モジュール2に統合された補助クロックを介して計算できる。
【0063】
有利には、調整モジュール2は、ワイパーブレードB1、B2の加熱回路の電力および/または抵抗特性を分析して、この抵抗の関数として、加熱回路の長さに応じて異なる、出力22で配信される電力供給信号の強度を適合させるようにも構成される。
【0064】
したがって、フロントガラス用ワイパーブレードB1、B2が接続されると、調整モジュール2は、その出力22で電気回路の状態の変化を検出することができる。この検出により、ワイパーブレードのそれぞれの加熱回路の電気的特性を分析することを目的としたマイクロプロセッサによるテストサイクルが自動的に開始され、供給に応じて、これらすべての加熱回路に適合するようになされた電流の配信が確実になる。
【0065】
新しいワイパーブレードB1、B2が接続されたときに回路をテストするこのフェーズではさらに、1つまたは複数のワイパーブレードB1、B2と制御装置1の互換性を決定し、こうして非互換のワイパーブレードの使用を防ぎ、車両の電気回路の一般的な混乱を特に回避することができる。
【0066】
このテストフェーズは、ワイパーブレードB1、B2の接続時に調整モジュール2によって本発明の制御装置に送信される刺激信号に対する決定された電気的応答を識別することにより、その発生源を決定するためにワイパーブレードB1、B2を認証するフェーズも有利に含むことができる。
【0067】
したがって、本発明は、フロントガラス用ワイパーブレードの加熱回路を制御するための単純な、特に自律的な解決策を提供し、そのようなブレードをあらゆるタイプの動力車両のアフターマーケット機器として使用できるようにする。
図1
図2
図3