IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-洗濯機 図1
  • 特許-洗濯機 図2
  • 特許-洗濯機 図3
  • 特許-洗濯機 図4
  • 特許-洗濯機 図5
  • 特許-洗濯機 図6
  • 特許-洗濯機 図7
  • 特許-洗濯機 図8
  • 特許-洗濯機 図9
  • 特許-洗濯機 図10
  • 特許-洗濯機 図11
  • 特許-洗濯機 図12
  • 特許-洗濯機 図13
  • 特許-洗濯機 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/28 20060101AFI20221130BHJP
   D06F 39/14 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
D06F37/28
D06F39/14 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020051032
(22)【出願日】2020-03-23
(62)【分割の表示】P 2016102665の分割
【原出願日】2016-05-23
(65)【公開番号】P2020103957
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2020-03-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】神沢 和則
(72)【発明者】
【氏名】山村 翔悟
(72)【発明者】
【氏名】臼井 良典
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】佐々木 芳枝
【審判官】田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-67454(JP,A)
【文献】特開2014-83449(JP,A)
【文献】特開2008-29371(JP,A)
【文献】特開平6-277(JP,A)
【文献】特開2001-17790(JP,A)
【文献】特開2010-268841(JP,A)
【文献】特開2015-204910(JP,A)
【文献】特開2015-217179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/28
D06F 39/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機本体と、
前記洗濯機本体の上部に設けられた洗濯物出入用の開口部と、
前記開口部を開閉する蓋と、
前記蓋の先端部に設けられ、前記洗濯機本体の左右方向に延びてかつ前記蓋の左右方向の幅と同じ寸法に構成された手掛部と、
前記洗濯機本体の上部に設けられ、前記開口部を閉じた状態の前記蓋を支持する蓋支持部と、
前記洗濯機本体の上部に設けられた操作パネルと、を備え、
前記蓋支持部の上面と前記操作パネルの上面は面一であり、
前記手掛部は、前記蓋が前記開口部を閉じた状態において、当該蓋の上面に沿って前記洗濯機本体の前面側に向かって突出しており、前記蓋の裏面が前記操作パネルの上面に接触した状態で前記操作パネルの上面との間に隙間を形成する洗濯機。
【請求項2】
前記蓋の左右方向の幅は、前記洗濯機本体の左右方向の幅と同じである請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記蓋を回動可能に支持する回動軸部と、
前記洗濯機本体の上部において前記開口部よりも後部に設けられ、前記回動軸部が収容される凹部と、を備え、
前記凹部の左右方向の幅は、前記洗濯機本体の左右方向の幅と同じであり、前記凹部の両端部が露出している請求項1または2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記回動軸部は、前記蓋の回動中心となる回動軸を備え、
前記回動軸は、前記蓋の表面と裏面の間に収まる範囲内に設けられている請求項3に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記蓋の厚さは、前記蓋が前記開口部を閉じた状態において前記手掛部と前記操作パネルの上面との間に形成される前記隙間の寸法より大きい請求項1から4の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項6】
前記蓋は、磁石を有する操作パネル対応部を備え、
前記操作パネルは、前記開口部を閉じた状態において前記操作パネル対応部の下方に位置する内部の基板に、前記磁石に応答するリードスイッチを備える請求項1から5の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項7】
前記磁石は、前記蓋が前記開口部を閉じた状態において前記隙間よりも後方となる位置に設けられている請求項6に記載の洗濯機。
【請求項8】
前記操作パネルは、前記開口部の開口形状に沿って窪む窪み部を有する請求項1から7の何れか1項に記載の洗濯機。
【請求項9】
前記蓋は、前記開口部を閉じた状態において当該開口部に嵌り込むことによって、前記洗濯機本体と前記蓋との相互の位置関係を保持する請求項1からの何れか1項に記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の縦型洗濯機に用いられる洗濯蓋の構造は、ヒンジ部を板金部品によるベースに、シャフトとねじりコイルばねとダンパを用いて回動を制御する構成である。しかし、ねじりコイルバネとして、硬いバネを使用する場合が多く、このためバネを容易に取り付けることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-195781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、バネの動きを規制し、また、バネの取り回しの自由度を高くすることで、蓋のヒンジ部のバネを取り付けやすくした洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の洗濯機は、洗濯機本体と、前記洗濯機本体の上部に設けられた洗濯物出入用の開口部と、前記開口部を開閉する蓋と、前記蓋の先端部に設けられ、前記洗濯機本体の左右方向に延びてかつ前記蓋の左右方向の幅と同じ寸法に構成された手掛部と、前記洗濯機本体の上部に設けられ、前記開口部を閉じた状態の前記蓋を支持する蓋支持部と、前記洗濯機本体の上部に設けられた操作パネルと、を備え、前記蓋支持部の上面と前記操作パネルの上面は面一であり、前記手掛部は、前記蓋が前記開口部を閉じた状態において、当該蓋の上面に沿って前記洗濯機本体の前面側に向かって突出しており、前記蓋の裏面が前記操作パネルの上面に接触した状態で前記操作パネルの上面との間に隙間を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本実施形態に係る洗濯機の構成例を示すものであり、蓋が閉じられた閉状態を示す洗濯機の斜視図
図2】本実施形態に係る洗濯機の構成例を示すものであり、蓋が開いた開状態を示す洗濯機の斜視図
図3】開状態における洗濯機の側面図
図4】閉状態における洗濯機の上部を示す縦断側面図
図5】蓋及び回動軸部の外観構成を示す斜視図
図6】回動軸部内部の概略構成を示す斜視図
図7】バネ周りの概略構成を示す正面図
図8】バネ周りの概略構成を示す上方からの斜視図
図9】バネ周りの概略構成を示す下方からの斜視図
図10図7のA-A線に沿った部分の概略構成を示す断面図
図11】(a)は第1規制部の概略構成を拡大して示す上面図、(b)は第2規制部の概略構成を拡大して示す下面図
図12】実施形態の変形例に係るバネ周りの概略構成を示す上方からの斜視図
図13図7のA-A線に沿った部分の概略構成を示す断面図
図14】第1規制部の概略構成を拡大して示す上面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態による洗濯機を、図面を参照しながら説明する。なお、実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
図1から図4に例示する洗濯機1は、洗濯槽の回転軸が縦方向であるいわゆる縦軸型の洗濯機である。洗濯機1は、洗濯機本体2、及び、洗濯機本体2の上部に矩形板状の蓋3を備える。蓋3の左右方向の幅は、洗濯機本体2の左右方向の幅とほぼ同じ寸法となっている。なお、以下、「ほぼ同じ寸法」とは、両者が完全に一致する寸法である場合を含み、また、両者の寸法が同一と見做せるほど僅かに異なる場合も含む。
【0008】
洗濯機本体2は、例えば鋼板により構成される矩形箱状の外箱4と、例えば合成樹脂により構成されるトップカバー5と、を備える。トップカバー5は、外箱4の上部に設けられている。即ち、トップカバー5は、洗濯機本体2の上部を構成する。
【0009】
図4に例示するように、外箱4の内部には、洗濯水を溜める水槽6が、図示しない弾性吊持機構により弾性的に支持されている。そして、この水槽6の内部には、洗濯物が収容される洗濯槽7が回転可能に設けられている。洗濯槽7の回転軸は、洗濯機本体2の上下方向に延びる縦軸である。水槽6の上部には、内蓋8を有する水槽カバー9が設けられている。
【0010】
トップカバー5は、下面が開口し、上面が前方に向けて下降傾斜する薄形の中空箱状をなす。トップカバー5の中央部には、洗濯槽7の上方に位置して、洗濯物出入用の開口部10が設けられている。開口部10は、前側が円弧状に開口し、後側が矩形状に開口する。開口部10は、トップカバー5の上面から下面にかけて同じ形状、つまり、前側が円弧状、後側が矩形状となる、上下方向に深さを有した開口となっている。この場合、トップカバー5の上面は前方に向けて下降傾斜しているので、開口部10の深さは、前側よりも後側の方が深い。
【0011】
開口部10を開閉する蓋3は、トップカバー5の上面において前後方向に回動可能に設けられている。即ち、蓋3の基端部には、左右方向に延びる回動軸部11が設けられている。回動軸部11は、洗濯機本体2に対し、蓋3を回動可能に支持する支持部材である。回動軸部11は、蓋3の基端部において当該蓋3の左右方向に延びる円筒状をなしている。
【0012】
一方、トップカバー5の上部において開口部10よりも後側となる部分には、トップカバー5の左右方向に延びる凹部12が設けられている。凹部12は、円筒状の回動軸部11の形状に対応するように断面円弧状に窪んだ形状となっている。凹部12の左右方向の幅は、トップカバー5の左右方向の幅、換言すれば洗濯機本体2の左右方向の幅とほぼ同じ寸法となっている。従って、凹部12は、その左右方向の両端部が塞がれておらず、洗濯機本体2の側方に向けて露出した構成となっている。そして、蓋3の回動軸部11は、洗濯機本体2側の凹部12に収容される。これにより、蓋3は、洗濯機本体2の上部に回動可能に支持される。
【0013】
トップカバー5の上部、換言すれば洗濯機本体2の上部には、開口部10を閉じた状態の蓋3を支持する蓋支持部13が設けられている。蓋支持部13は、開口部10の周囲において平面状に設けられている。この場合、蓋支持部13は、開口部10の前端部を除いて当該開口部10の周囲を囲むように形成されている。
【0014】
また、トップカバー5の前部の上部、換言すれば洗濯機本体2の前部の上部には、洗濯機1に各種の操作を入力するための操作パネル14が設けられている。操作パネル14は、蓋支持部13の前部において当該蓋支持部13に連続するように設けられている。蓋支持部13の上面と操作パネル14の上面は、面一となっている。これにより、開口部10の周囲は、蓋支持部13の上面と操作パネル14の上面とからなる、段差の無い連続した平面部によって囲まれた状態となっている。操作パネル14の後部の中央部には、開口部10の前側の開口形状に沿って円弧状に窪む窪み部15が設けられている。
【0015】
蓋3の本体部は、裏面カバー16とガラス面材17との間にガラス貼付部材18を備える。裏面カバー16は、例えば結晶性の合成樹脂材料により構成され、薄型の矩形箱状をなしている。裏面カバー16は、蓋3の裏面を構成する。蓋3の裏面は、図1に例示するように当該蓋3が開口部10を閉じた閉状態においては下面となり、図2に例示するように当該蓋3が開口部10を開いた開状態においては前面となる面である。
【0016】
ガラス貼付部材18は、例えば合成樹脂材料により構成され、裏面カバー16の内部に収容される。ガラス面材17は、例えば硬質ガラス板により構成され、矩形の薄板状をなしている。ガラス面材17は、着色されていてもよいし、透明であってもよい。ガラス面材17は、ガラス貼付部材18の上面に図示しない両面粘着テープを介して貼り付けられる。ガラス面材17は、蓋3の表面を構成する。蓋3の表面は、図1に例示するように当該蓋3が開口部10を閉じた閉状態においては上面となり、図2に例示するように当該蓋3が開口部10を開いた開状態においては後面となる面である。
【0017】
そして、蓋3の先端部には、当該蓋3の左右方向、換言すれば洗濯機本体2の左右方向に延びる手掛部20が設けられている。手掛部20は、ユーザが蓋3を開閉する際に手指を掛けるためのものである。この場合、手掛部20は、蓋3の左右方向の幅、換言すれば洗濯機本体2の左右方向の幅とほぼ同じ寸法となっている。なお、手掛部20は、蓋3の左右方向の幅、換言すれば洗濯機本体2の左右方向の幅よりも短いものであってもよい。即ち、本実施形態に係る洗濯機は、蓋3の先端部の一部のみに手掛部を設ける構成も許容される。
【0018】
また、図4に例示するように、回動軸部11の内部には、蓋3の回動中心となる回動軸11aが設けられている。回動軸11aは、蓋3の表面と裏面の間に収まる範囲内に設けられている。回動軸11aは、蓋3が開口部10を閉じた状態であるのか開いた状態であるのかに関わらず、常に、開口部10の後端部よりも高い位置において、その高さが変動することなく維持される。回動軸部11にはダンパホルダ32が設けられており、ダンパホルダ32下部は、トップカバー5に設けられたホルダ保持部34に挿入されて保持されている。ホルダ保持部34は例えば金属製の補強板により構成されている。
【0019】
一方、図2に例示するように、操作パネル14は、内部の基板23上にリードスイッチ24を備えている。リードスイッチ24は、蓋3が開口部10を閉じた閉状態において、磁石22を有する操作パネル対応部21により覆われる部分の下方に位置している。リードスイッチ24は、磁石22が所定距離以内に接近するとオンし、磁石22が所定距離以上離れるとオフする。洗濯機1の動作全般を制御する図示しない制御装置は、このリードスイッチ24のオン/オフに基づいて、蓋3の開閉を検知する。
【0020】
また、図2および図5に示すように、蓋3の裏面には、裏面カバー16が設けられており、裏面カバー16には複数の弾性部材26が取り付けられている。これらの弾性部材26は、蓋3が閉じられる際に、洗濯機本体2の上面に接触する。これにより、弾性部材26は、蓋3が閉じられる際に発生する衝撃を吸収する。この場合、弾性部材26は、蓋3の裏面のうち蓋支持部13の上面に接触する部位のみに設けられており、蓋3の裏面のうち操作パネル14の上面に接触する部分には設けられていない。なお、弾性部材26は、蓋3の裏面のうち操作パネル14の上面に接触する部分にも設けてもよい。
【0021】
また、洗濯機1は、水準器27および蓋ロック機構部28を備える。水準器27は、洗濯機1の設置状態を水平に維持するための基準となるものである。蓋ロック機構部28は、蓋3の裏面に設けられた突起孔部29が挿入される挿入孔部30と、この挿入孔部30に挿入された蓋3の突起孔部29に係止する図示しない係止部と、を備える。蓋ロック機構部28は、蓋3が開口部10を閉じることに伴い挿入孔部30に挿入された突起孔部29に、図示しない係止部を係止させる。これにより、蓋ロック機構部28は、蓋3を、開口部10を閉じた状態で回動不能にロックする。
【0022】
水準器27および蓋ロック機構部28は、洗濯機本体2の上部において開口部10の前部を挟んで左右に分かれて配置されている。この場合、水準器27および蓋ロック機構部28は、何れも、洗濯機本体2の上部のうち蓋支持部13の前部に設けられている。
【0023】
図5は、蓋3及び、これとトップカバー5とを接続する回動軸部11の外観構成を示す斜視図である。図6は、回動軸部11内部の概略構成を示す斜視図である。図7図8図9は、それぞれバネ36周りの概略構成を示す正面図、上方からの斜視図、下方からの斜視図である。図10は、図7のA-A線に沿った部分の概略構成を示す断面図である。図11(a)は、第1規制部43の概略構成を拡大して示す上面図であり、図11(b)は、第2規制部44の概略構成を拡大して示す下面図である。
【0024】
図5に示すように、開口部10を開閉する蓋3の基端部には、左右方向に延びる回動軸部11が設けられており、ヒンジカバー31によって覆われている。回動軸部11は、洗濯機本体2のトップカバー5に設けられたホルダ保持部34(図4参照)に、ダンパホルダ32の下部32aを挿入して嵌合することにより保持され、これにより蓋3が洗濯機本体2に固定されている。ホルダ保持部34は、例えば金属製の補強板により構成されており、図4にも示されるように、洗濯機本体2のトップカバー5に設けられた補強板の受け穴部となっている。
【0025】
ヒンジカバー31にはスリット31aが設けられており、回動軸部11内部に設けられたバネ36の第1バネ端部36aがスリット31aから突出している。バネ36は、蓋3の開放側に付勢力を付与している。バネ36及び第1バネ端部36aについては後述する。また、回動軸部11には、内部に設けられたシャフト38が露出する間隙部31bが設けられている。間隙部31bにおいて、トップカバー5に設けられた図示しないシャフト保持部によりシャフト38が保持されることにより、蓋3が回動可能に保持されている。
【0026】
図6に示すように、回動軸部11は、補強部材42を備えており、この補強部材42にダンパホルダ32、内部の図示しないダンパを保持するダンパカバー40、バネ36、シャフト38が備えられている。図10に示すように、補強部材42は断面の一部が略S字形状を有し、左右方向を長手方向とした金属製板材の部材であり、前面部42a、底面部42b及び背面部42gを有している。上記の略S字形状を備える個所は、後述する上部折り返し部42eが設けられる箇所である。補強部材42はネジ穴40bを備えており、図示しないネジにより蓋3に取り付けられている。補強部材42は、背面部42gの左右に、前方に突出し、通し穴38cを備えた一対のシャフト固定部38a、38bを備えており、このシャフト固定部38a、38bの通し穴38cにシャフト38が貫通して装着されている。
【0027】
また、補強部材42は、バネ36の第1バネ端部36aを係止するための第1規制部43を、前面部42aの上部において略直角に後方に折り曲げて形成された折り返し部である上部折り返し部42e、及び、前面部42a下部から後方略直角に折り曲げて形成された下部折り返し部42fに備えている。また、補強部材42は、バネ36の第2バネ端部36bを係止するための第2規制部44を、底面部42bに備えている。
【0028】
バネ36は、ねじりコイルバネであり、金属線が巻回してなるコイル部36cと、その両端に、直線形状の第1バネ端部36a、及び第2バネ端部36bを備えて構成されている。第1バネ端部36aと第2バネ端部36bは、バネにねじり力を付加していない状態で、略180度の角度を有している。コイル部36cはコイル軸を中心にして直巻した金属線により構成されており、コイル軸に沿って空洞が形成されている。図7にも示されるように、バネ36は、コイル部36cのコイル軸の空洞にシャフト38を貫通させ、第1バネ端部36aを第1規制部43に係止し、第2バネ端部36bを第2規制部44に係止して保持されている。
【0029】
ダンパホルダ32は、ダンパカバー40内に保持される図示しないダンパの半分程度を内接して保持している。ダンパホルダ32は、ダンパを蓋3に固定するダンパカバー40によって一体的に蓋3に取り付けられている。ダンパカバー40はネジ40aにより補強部材42に螺設されている。ダンパホルダ32、及び、ダンパホルダ32内部に保持されるダンパはダンパ機構を構成する。ダンパホルダ32は、内部に保持するダンパを回転軸として、ダンパによる抵抗力を付与された状態で回動可能に構成されている。すなわち、ダンパ機構は、蓋3の開閉動作に抵抗力を付与することにより蓋3の動きを緩慢化させ、蓋3がゆっくり動作するようにしている。
【0030】
バネ36の第1バネ端部36aは、図7から図9に示すように、第1規制部43に係止されている。図10及び図11(a)にも示されるように、第1規制部43は、後規制部43a、左規制部43b、右規制部43c、及び前規制部43dを備えている。なお、図11(a)は、第1規制部43を、図7から図10に示すD方向から視認した上面図である。前面部42aの上端には後方に略直角をなすように折り曲げた上部折り返し部42eが形成されており、上部折り返し部42eにコ字状に切欠き部42cを設け、このコ字状の切欠き部42cの内側の三方が後規制部43a、左規制部43b、及び右規制部43cとなるように構成されている。後規制部43a、左規制部43b、及び右規制部43cは、補強部材42の上端に位置して設けられており、上部折り返し部42eの同一平面上に位置している。コ字状の切欠き部42cの左規制部43bの前部は外方に開放されており、これを通して第1バネ端部36aの出し入れが可能となっている。
【0031】
後規制部43aは、後ろ方向に付勢される第1バネ端部36aを後方向から前方向に向かって当接し、第1バネ端部36aの後ろ方向への動きを規制している。左規制部43bは突起形状となって前方に張り出しており、その右側に側面を形成し、この側面形状により引っ掛かり部を構成している。左規制部43bはこの側面によって第1バネ端部36aに当接して左方向への動きを規制している。右規制部43cは後規制部43aの右側に位置する側面を構成し、第1バネ端部36aに当接して右方向への動きを規制している。なお、実施形態においては、右規制部43cを上部折り返し部42eの切欠き部42cに設けた例を示したが、これに限る必要はない。例えば、右規制部43cを下部折り返し部42fの穴部42dに、すなわち、前規制部43dに隣接する位置に設けることとしても良い。
【0032】
後規制部43aの下方に位置する補強部材42に設けられた下部折り返し部42fには、穴部42dが形成されている。穴部42dの前方向の端部は前規制部43dを構成している。前規制部43dは第1バネ端部36aに前方から当接し、図10の矢印Eで示される第1バネ端部36aの前方向への動きを規制している。上述した後規制部43aと、この前規制部43dにより、第1バネ端部36aの前後方向の位置決めがなされる。組み立て時において、第1バネ端部36aは、穴部42d及び切欠き部42cを通されて第1規制部43に係止される。
【0033】
穴部42d及び切欠き部42cは大きく形成されている。穴部42d及び切欠き部42cが大きいほどバネ36の自由度が増し、取り回しが容易になるため、洗濯機1の組み立て時において、バネ36の取り付けが容易になる。
【0034】
また、前規制部43dは、図10の矢印Eで示される第1バネ端部36aの前方向の動きを規制する。これにより、バネ36の付勢力によって、バネ36を前方向に押し出す付勢力が抑制される。従って、バネ36のコイル部36cの空洞部の内側が、シャフト38に接触することを抑制する。バネ36のシャフト38への接触を抑制することで、摩擦がなくなるため、蓋3の開閉時の開閉トルクを軽減することができ、これにより蓋3の開閉を円滑に行うことができる。
【0035】
また、第1バネ端部36aが後規制部43aに当接する位置は、前規制部43dに当接する位置と異なる。すなわち、図10に示されるように、バネ36のコイル部36cから第1バネ端部36aが後規制部43aに当接する位置までの長さL1は、バネ36のコイル部36cから前規制部43dに当接する位置までの長さL2よりも大きい、すなわち後規制部43aは前規制部43dよりもコイル部36cから離れた位置となっている。このように、第1バネ端部36aの後ろ方向への動きを規制する後規制部43aと、バネ36の付勢力を発生するバネ36のコイル部36cとの間に、第1バネ端部36aの前方向への動きを規制する前規制部43dが位置することで、てこの原理により、バネ36がその付勢力によりバネ36を前方向に押し出す動きを、有効に抑制することができる。これにより、バネ36のコイル軸の空洞部の内側が、シャフト38に接触することを抑制することができるため、接触による摩擦の発生が回避されることにより、蓋3の開閉時の開閉トルクが軽減されるため、蓋3の開閉を円滑に行うことができる。
【0036】
第2バネ端部36bは第2規制部44に係止されている。第2バネ端部36bが係止される第2規制部44は前方向に開放されたスリットになっている。洗濯機1の組み立て時において、第2バネ端部36bはスリットを通して脱着され、バネ36の取り付けが容易になる。
【0037】
第2規制部44は、図11(b)に示すように、底面部42bに設けられたスリット部44dであり、スリット部44dに、後規制部44a、左規制部44b、及び右規制部44cを備えている。なお、図11(b)は、第2規制部44を、図7から図10に示すF方向から視認した下面図である。
【0038】
後規制部44aは第2バネ端部36bの後ろ方向への動きを規制するものであり、左規制部44bは左方向の動きを、右規制部44cは右方向の動きを規制する。バネ36の装着時において、第2バネ端部36bは後ろ方向に付勢されて後規制部44aに密着しており、後規制部44a、左規制部44b、右規制部44cにより位置決めされている。
【0039】
スリット部44dは前方向に開放されており、第2バネ端部36bがトップカバー5に設けられた図示しない係止穴に係止された状態で蓋3が閉じられた際には、第2バネ端部36bはスリット部44dの前方向に回動する。
【0040】
図12から図14は実施形態に係る洗濯機1の変形例を示す図である。図12図8相当図であり、図13図10相当図であり、図14図11(a)相当図である。変形例において異なる点は、図8において切欠き部42cとしていた箇所を、図12から図14に示すように、上部折り返し部42eに設けられた穴である穴部46とした点である。第1バネ端部36aは穴部46に通されることにより穴部46に係止される。第1バネ端部36aの装着時には、第1バネ端部36aはバネ36の後ろ方向への付勢力により、穴部46の後壁に付勢されている。その他の構成は図1から図11に記載した実施形態と同じである。
【0041】
この構成により、第1バネ端部36aの前後左右方向への動きが全方位的に規制されるため、蓋3の開閉時に第1バネ端部36aの穴部46からの脱落が防止される。これにより、第1バネ端部36aの前後左右方向の位置決めがされるため、シャフト38の取り付け時に、バネ36が前後左右に移動することを抑制でき、シャフト38の取り付け作業が容易となる。
【0042】
実施形態に係る洗濯機1によれば、以下の効果を奏する。
実施形態に係る洗濯機1において、バネ36の第1バネ端部36aは、後規制部43a及び前規制部43dに当接して係止されている。これにより、第1バネ端部36aは後規制部43aにより後ろ方向の動きを規制され、前規制部43dにより前方向への動きが規制される。従って、バネ36の開方向への付勢力によってバネ36が前方向に押される動きが抑制され、これによってバネ36のコイル部36cのコイル軸の空洞の内側がシャフト38に接触することを抑制する。従って、バネ36のシャフト38への接触が抑制されるため、蓋3の開閉時の開閉トルクを軽減することができ、これにより蓋3の開閉を円滑に行うことができる。
【0043】
また、実施形態に係る洗濯機1において、左規制部43bにより第1バネ端部36aの左方向への動きが規制される。これにより、第1バネ端部36aが左方向に外れることが防止される。右規制部43cにより第1バネ端部36aの右方向への動きが規制され、これにより、第1バネ端部36aが右方向に外れることが防止される。また、これにより、第1バネ端部36aの左右方向の位置決めがされるため、第1バネ端部36aの左右方向への脱落が防止される。更に、シャフト38の取り付け時に、バネ36が左右に移動することを抑制できるため、シャフト38の取り付け作業が容易となる。
【0044】
また、実施形態に係る洗濯機1において、左規制部43bの前部が外方に開放され、大きく形成された切欠き部42cを備えている。また、補強部材42に設けられた下部折り返し部42fには、穴部42dが形成され、穴部42dの前方向の端部は前規制部43dを構成している。これにより、洗濯機1の組み立て時に第1バネ端部36aを取り回す際に、左規制部43bの前部の開放された箇所、大きく形成された切欠き部42c、及び下部折り返し部42fに形成された穴部42dを利用することができる。このため、第1バネ端部36aを取り回す空間を大きく設定でき、シャフト38の挿入に適した位置にコイル部36cを配置しやすいため、バネ36の取り付けが容易になる。
【0045】
また、実施形態における洗濯機1において、第1バネ端部36aは後規制部43a及び前規制部43dに当接することにより第1バネ端部36aの前方向、及び後ろ方向の動きが規制される。もし、前規制部43dが存在しない場合であって、第1バネ端部36aを補強部材42に取り付ける場合に、作業者は、バネ36の強い付勢力に対抗しながらバネ36を後ろ方向に押し付けて第1バネ端部36aを第1規制部43に当接させつつ、同時にシャフト38をバネ36に挿入してシャフト38をシャフト固定部38a、38bに固定する、という困難な作業を行うことになる。本実施形態に係る洗濯機1おいては、後規制部43a及び前規制部43dが存在するため、第1バネ端部36aをこれらに当接させれば、バネ36の前後方向の動きを規制することができる。従って、洗濯機1の組み立て時に、バネ36の強い付勢力に対抗しながらバネ36にシャフト38を挿入するなどの困難な作業が回避できるため、バネ36の補強部材42への取り付けが容易になる。また、洗濯機1の組み立て時に、コイル部36cの位置を適切な位置に容易に保持できるので、シャフト38をコイル部36cに通す作業が簡単になるため、組み立て容易性が向上する。
【0046】
また、バネ36により蓋3の開方向側に付勢力が付与されるため、蓋3の開動作が容易になる。また、この際に、ダンパホルダ32、及び図示しないダンパによって構成されるダンパ機構によって、バネ36の付勢力による開動作に抵抗力が付与されるため、蓋3の開動作が緩慢になり、勢いよく蓋3が回動することが抑制されるため、円滑に蓋3の開動作を行うことが可能となる。また、蓋3の閉動作の際には、蓋3の重さによって勢いよく蓋3が閉まる動作に対して前記ダンパ機構により抵抗力が付与されるため、蓋3の閉動作が緩慢になり、円滑に蓋3の閉動作を行うことが可能となる。特に、実施形態のように、蓋3に質量が大きいガラス面材17を用いた場合には、蓋3の開放側へのバネ36の付勢力の付与によって開動作を補助する作用、及び、閉動作時のダンパ機構による抵抗力の付与によって閉動作を緩慢とする作用により、円滑な蓋3の操作を実現できるため、ユーザの嗜好に合致することとなる。
【0047】
実施形態における洗濯機1によれば、回動軸部11(支持部材)は、蓋3の回動軸となるシャフト38と、蓋3の開放側に付勢力を付与するバネ36と、シャフト38、及びバネ36が装着される補強部材42と、を備えており、バネ36はコイル部36cと、直線状の第1バネ端部36a(第1の端部)及び第2バネ端部36b(第2の端部)と、を備え、補強部材42は、少なくとも、第1バネ端部36aの、後方向の動きを規制する後規制部43aと、前方向の動きを規制する前規制部43dと、を備えている。この構成により、バネ36が前方向に押される動きが抑制されるためバネ36のコイル部36cのシャフト38への接触が抑制され、蓋3の開閉時の開閉トルクを軽減することができる。
【0048】
実施形態における洗濯機1によれば、補強部材42は、第1バネ端部36aの左方向の動きを規制する左規制部43b、及び右方向の動きを規制する右規制部43cを備えている。これにより、第1バネ端部36aの左右方向の位置決めがされるため、第1バネ端部36aの左右方向への脱落が防止され、また、シャフト38の取り付け時に、バネ36が左右に移動することを抑制できるため、シャフト38の取り付け作業が容易となる。
【0049】
実施形態における洗濯機1によれば、第1バネ端部36aが後規制部43aに当接する位置と、第1バネ端部36aが前規制部43dに当接する位置とが異なる。これにより、第1バネ端部36aが後規制部43aに当接する位置と、第1バネ端部36aが前規制部43dに当接する位置との間に距離の差ができるため、てこの原理により、バネ36がその付勢力によりバネ36を前方向に押し出す動きを、有効に抑制することができる。
【0050】
実施形態における洗濯機1によれば、前規制部43d、又は後規制部43aのいずれかの規制部であって、コイル部36cから遠く離れた側に、左規制部43b、又は右規制部43cのうち少なくとも一方の規制部を設けることができる。
【0051】
仮に、左規制部43b及び右規制部43cを、近い側の規制部である下部折り返し部42fすなわち穴部42dに配置すると、よりコイル部36cに近い側での前側、右側、及び左側の動きが規制されるため、第1バネ端部36aの挿入作業が困難となる。これに対して、左規制部43b又は右規制部43cの一方を、遠い側の規制部である上部折り返し部42eに配置すると、近い側の規制部である穴部42dでの規制が左規制部43b又は右規制部43cの一方だけとなる。このため、その分だけ、穴部42dを左右方向に大きく形成することができ、バネ36の取り付け作業が容易になる。更に、左規制部43b及び右規制部43cを、遠い側の規制部に配置する場合は、近い側の規制部である穴部42dにおいて、左規制部43b及び右規制部43cを設ける必要がない。このため、穴部42dを左右方向により大きく形成することができ、バネ36の取り付け作業が更に容易になる。
【0052】
実施形態における洗濯機1によれば、コイル部36cから遠く離れた前規制部43d、又は後規制部43aのいずれかの規制部は、補強部材42の上部折り返し部42eに形成されている。これにより、後規制部43a及び前規制部43dを含む第1規制部43を同じ補強部材42に設けることができるため、補強部材42の加工が容易となり、強度を向上させることができ、更に組み立て時に第1バネ端部36aの位置決めが容易となる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
図面中、1は洗濯機、2は洗濯機本体、3は蓋、10は開口部、11は回動軸部、11aは回動軸、12は凹部、13は蓋支持部、14は操作パネル、15は窪み部、20は手掛部、21は操作パネル対応部、22は磁石、23は基板、24はリードスイッチを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14