(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】チャネル調節剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/353 20060101AFI20221130BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
A61K31/353 ZNA
A61P27/02
(21)【出願番号】P 2020054620
(22)【出願日】2020-03-25
(62)【分割の表示】P 2017511777の分割
【原出願日】2015-08-21
【審査請求日】2020-04-23
(32)【優先日】2014-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(32)【優先日】2014-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(73)【特許権者】
【識別番号】501410698
【氏名又は名称】オークランド ユニサービシーズ リミティド
(73)【特許権者】
【識別番号】517062333
【氏名又は名称】オキュネクシス セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コリン リチャード・グリーン
(72)【発明者】
【氏名】イエリ・キム
(72)【発明者】
【氏名】アンソニー・フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドフォード ジェイムズ・ダフト
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-528678(JP,A)
【文献】特表2010-530903(JP,A)
【文献】特許第6683686(JP,B2)
【文献】Brain,2012年,Vol.135,p.506-520
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
老人性黄斑変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、眼線維症、網膜潅流障害、地図状萎縮、眼の炎症、眼の血管漏出、眼の浮腫、及び眼低酸素症からなる群から選択される眼の傷害に関して対象を治療するための医薬組成物であって、治療的に有効な量の小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤を含み、前記小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、下記の式II
【化1】
[式中、Qは、O又は式
=NOR
43
のオキシムであり、式中、R
43は、
(i)H、C
1-4フルオロアルキル若しくは任意選択的に置換されたC
1-4アルキル、又は
(ii)-A
300-R
300であり、
A
300は、直接結合、-C(O)O
*-、-C(R
3)(R
4)O
*-、-C(O)O-C(R
3)(R
4)O
*-、若しくは-C(R
3)(R
4)OC(O)O
*-であり、*と印が付けられた原子は、R
300に直接結合し、
R
3及びR
4は、H、フルオロ、C
1-4アルキル若しくはC
1-4フルオロアルキルから独立に選択され、又は
R
3及びR
4は、これらが結合する原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し、
A
300は、基[1]、[2]、[2A]、[3]、[4]、[5]又は[6]から選択され、
R
2は、Hであり、
Aは、直接結合、-C(O)O*-、-C(R
3)(R
4)O*-、-C(O)O-C(R
3)(R
4)O*-、または-C(R
3)(R
4)OC(O)O*-であり、*と印が付けられた原子は、R
1に直接結合し、R
3及びR
4は独立して、H、フルオロ、C
1-4アルキル、またはC
1-4フルオロアルキルから選択されるか、または
R
3
及びR
4
は、これらが結合する原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し、
R
1は、基[1]、[2]、[2A]、[3]、[4]、[5]、または[6]から選択され、**と印が付けられた原子は、Aに直接結合し、
【化2】
R
5及びR
6は各々独立して、H、C
1-4アルキル、C
1-4フルオロアルキル、またはベンジルから選択され、
R
7は独立して、H、C
1-4アルキル、またはC
1-4フルオロアルキルから選択され、
R
8は、
(i)H、C
1-4アルキル、もしくはC
1-4フルオロアルキル、あるいは
(ii)天然もしくは非天然アルファ-アミノ酸の側
鎖、あるいは
(iii)ビオチ
ン
から選択され、
R
9は、H、-N(R
11)(R
12)、または-N
+(R
11)(R
12)(R
13)X
-、または-N(R
11)C(O)R
14から選択され、
R
11、R
12、及びR
13は独立して、H、C
1-4アルキル、またはC
1-4フルオロアルキルから選択され、
R
14は、H、C
1-4アルキル、またはC
1-4フルオロアルキルであり、
R
15は、C
1-4アルキルまたはC
1-4フルオロアルキルから選択され、
X
-は、薬学的に許容されるアニオンである。]
による化合物である、医薬組成物。
【請求項2】
脈絡膜又は内網膜の炎症について対象を治療するための医薬組成物であって、治療的に有効な量の小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤を含み、脈絡膜又は内網膜内の炎症が軽減され、前記小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、
請求項1に記載の式IIによる化合物である、医薬組成物。
【請求項3】
老人性黄斑変性は、湿潤型老人性黄斑変性である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、コネキシン43ヘミチャネル活性を阻止、抑制、及び/または減少する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
脈絡毛細管板内皮細胞喪失及び/または脈絡毛細管板脱落が減少される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
脈絡膜炎が軽減される、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項7】
脈絡毛細管板内皮細胞喪失が減速されるか、または予防される、請求項5又は6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
網膜動脈閉塞または網膜中心静脈閉塞について対象を治療するための医薬組成物であって、治療的に有効な量の小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤を含み、前記網膜動脈閉塞または網膜中心静脈閉塞が治療され、前記小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、
請求項1に記載の式IIによる化合物である、医薬組成物。
【請求項9】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、局所、全身、非経口、眼内、硝子体内、結膜下、または眼周囲投与によって投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、経口投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記対象は、ヒトである、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、経口投与、全身投与、非経口投与、又は眼投与によって投与される、請求項1~8に記載の医薬組成物。
【請求項13】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、全身投与のために製剤化される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、経口投与のために製剤化される、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
老人性黄斑変性、臨床的地図状萎縮、慢性黄斑虚血、特発性ポリープ状脈絡膜血管症、糖尿病性黄斑症、糖尿病性網膜症、高血圧性網膜症、脈絡膜血管新生、炎症性脈絡膜血管新生、中心性漿液性網膜脈絡膜症、黄斑部毛細血管拡張症、パターンジストロフィ、網膜下血管新生、網膜下色素上皮、網膜下、網膜内、若しくは網膜前出血を含む眼出血、未熟児の網膜症、又は網膜低酸素症について対象を治療するための医薬組成物であって、治療的に有効な量の小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤を含み、前記小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤が、
請求項1に記載の式IIによる化合物である、医薬組成物。
【請求項16】
インフラマソーム活性が減少する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
対象の眼における血管からの漏出及び/又は血管破綻を治療するための医薬組成物であって、治療的に有効な量の小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤を含み、前記血管からの漏出及び/又は血管破綻が減少され、前記小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、
請求項1に記載の式IIによる化合物である、医薬組成物。
【請求項18】
対象が、老人性黄斑変性に罹患している、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
対象が、湿潤型老人性黄斑変性に罹患している、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
対象が、糖尿病性網膜症に罹患している、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項21】
対象が、糖尿病性黄斑浮腫に罹患している、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項22】
対象が、網膜潅流障害に罹患している、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項23】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調整剤が、経口、全身、又は眼投与により投与される、請求項17~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調整剤が、経口投与される、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調整剤は、経口、全身、非経口、又は眼投与のために製剤化される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項26】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調整剤は、経口投与のために製剤化される、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調整剤は、望まれないコネキシン43ヘミチャネルの開口を阻止、抑制、及び/または減少する、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調整剤は、望まれないコネキシン43ヘミチャネルの開口を阻止、抑制、及び/または減少する、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項29】
対象が、ヒトである、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項30】
対象が、ヒトである、請求項15~22のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
老人性黄斑変性、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、眼線維症、網膜潅流障害、地図状萎縮、眼の炎症、眼の血管漏出、眼の浮腫、及び眼低酸素症からなる群から選択される眼の障害に関して対象を治療するための医薬組成物であって、インフラマソーム活性を調節するために有効な量の小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤を含み、前記小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、
請求項1に記載の式IIによる化合物である、医薬組成物。
【請求項32】
インフラマソームは、NLRP3インフラマソームである、請求項31に記載の医薬組成物。
【請求項33】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調整剤は、経口、全身、非経口、又は眼投与により投与される、請求項31又は32に記載の医薬組成物。
【請求項34】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調整剤が、経口投与される、請求項31又は32に記載の医薬組成物。
【請求項35】
対象がヒトである、請求項33に記載の医薬組成物。
【請求項36】
対象がヒトである、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項37】
血管漏出により部分的に特徴付けられる眼の傷害について対象を治療する医薬組成物であって、血管漏出を治療するのに効果的な量の小分子コネキシン43ヘミチャネル調整剤を含み、前記小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤は、
請求項1に記載の式IIによる化合物である、医薬組成物。
【請求項38】
小分子コネキシン43ヘミチャネル調節剤が、経口投与用に製剤されている、請求項37に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
これは、2014年11月14日出願の米国規定出願第62/080,217号、2014年11月26日出願の同第62/085,226号、2015年4月10日出願の同第62/146,128号、2015年4月14日出願の同第62/147,488号、2014年8月22日出願の新国出願第628630号、及び2015年7月2日出願の同第709673号に対する優先権を主張する米国出願であり、これらの各々の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コネキシン及びパネキシンチャネル調節剤ならびに調節に関する。
【背景技術】
【0003】
以下は、本発明の理解において有用であり得る情報を含む。本明細書で明確に、または暗に参照される情報、刊行物、または文書のうちのいずれも、今回記載または特許請求される発明に対する先行技術であるか、または必須であることを認めるものではない。本明細書で言及または特定されるすべての刊行物、特許、関連出願、及び他の書面による資料または電子資料は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。組み込まれる情報は、文章及び他の内容のすべてが本出願内で繰り返されているのと同程度、提出される本出願の事実上一部であり、提出される本出願の文章及び内容の一部として扱われるべきである。
【0004】
ギャップ結合は、大部分の動物の細胞型の間に見られる特化した細胞間接続である。これらは、精子及び赤血球等の成熟骨格筋及び可動性細胞型を除く、身体の実質上すべての組織内に発現する。ギャップ結合は、2つの細胞の細胞質を直接接続し、これは、様々な分子、イオン、及び電気インパルスが細胞間の制御されたゲートを直接通過することを可能にする。
【0005】
閉鎖(密着)結合ならびに固定(接着及びデスモソーム)結合と対照的に、ギャップ結合は、膜を一緒に封止しないか、または、膜間の物質の通過を制限することが、ギャップ結合の機能ではない。むしろ、ギャップ結合チャネルは、ある特定の分子が1つの細胞から別の細胞に往復することを許容し、したがって、隣接した細胞の内部を直接結合することにより、物理的連通チャネルを提供する。
【0006】
1つのギャップ結合チャネルは、隣接した細胞間の細胞間隙を越えて接続し、細胞間分子がこれらの細胞の間を流れることを可能にする2つのコネクソン(またはヘミチャネル)からなる。ギャップ結合の各コネクソンは、隣接した細胞膜内に存在し、6つの個々のコネキシン(「Cx」、または「Cxn」)タンパク質の共有オリゴマー形成によって形成される。Yeager(1998)Structure of cardiac gap
junction intercellular channels,J Struct Biol 121:231-245. コネクソンは、1つ以上の異なるコネキシンタンパク質を含み得るが、コネクソンは、通常、ホモ六量体の形態である。
【0007】
遺伝子及びタンパク質のヒトコネキシンファミリーは、これより21と番号を付ける。(Sqhl G&Willecke K.(2004). Gap junctions and the connexin protein family. Cardiovasc Res. 62:228-232)。Structural and functional diversity of connexin genes in th
e mouse and human genome,Biol Chem 383:725-737。様々な組織型内に発現するコネキシンの範囲には多くの異形が存在し、多くの場合、2つ以上のコネキシンの形態が細胞型内に存在する。Sohl and Willecke(2004)を参照されたい。コネキシンとコネクソンとの様々な組み合わせが、互いに相互作用することが可能であるが、適合性の制約が存在する。Marziano,et al.Hum Mol Genet. 12:805-812(2003)。コネキシンタンパク質及びこれらの関連したギャップ結合チャネルは、通過することができる化学種に対して何らかの特異性を提供すると考えられるサイズ及び構成の範囲で生じる。Niessen et al.(2000)Selective permeability of different connexin channels to the second messenger inositol 1,4,5-tris
trisphosphate,J Cell Sci 113(Pt 8):1365-1372。すべてのコネキシンは、4つの膜貫通ドメイン、2つの細胞外ループ、細胞質ループ、短い細胞質アミノ末端、及び長さが大幅に異なり得るカルボキシ末端と、共通の構造を共有する。Unger,et al.(1999)Electron cryo-crystallography of a recombinant cardiac gap junction channel, Novartis Found Symp 219:22-30&discussion 31-43。コネキシンタンパク質は、一般的にこれらの分子量に従って名付けられ、例えば、Cx26は、26kDaのコネキシンタンパク質である。コネキシンタンパク質間の主な構造的差異は、C末端細胞質尾部の長さであり、コネキシン26が、尾部をほとんど有さない(16個のアミノ酸)一方で、コネキシン43及び32は、長い尾部及び中間の尾部(それぞれ156個及び73個のアミノ酸)を有する。異なるコネキシンの細胞質尾部のサイズ及びアミノ酸配列における差異は、数ある中でも、チャネル開放及び閉鎖の立体配座に関与すると予測されている。ギャップ結合の機能及び/または機能不全は、いくつかの障害に関係付けられている。例えば、コネキシン30は、クロウストン症候群(発汗性外胚葉形成異常症)において突然変異し、コネキシン26遺伝子における突然変異は、遺伝性難聴の最も一般的な原因である。ヒトコネキシン32遺伝子における突然変異が、遺伝性神経障害であるシャルコー・マリー・トゥース病を引き起こす一方で、眼歯指異形成症は、一般に、コネキシン43をコードする遺伝子における突然変異によって引き起こされると考えられている。
【0008】
パネキシンは、Panx1、Panx2、及びPanx3を含む、膜貫通チャネル糖タンパク質のファミリーである。パネキシンは、細胞内N末端尾部及びC末端尾部と共に、4つの膜貫通ドメイン、2つの細胞外ループ、及び1つの細胞内ループからなる、コネキシンと類似した構造的特徴共有する。Panx1が、多くの哺乳類の組織内で発現する一方で、Panx2及びPanx3発現は、より限定される。Panx1は、カルシウム波の伝播、緊張度の制御、粘膜毛様体肺クリアランス、及び味蕾機能と関連付けられている。Panx1が、脳、膀胱、精巣、及び卵巣内に発現するのに対し、Panx2は、主に脳に発現し、Panx3は、皮膚、軟骨、心臓、腎臓、及び蝸牛内に発現する。Panx1ヘミチャネルは、ATP放出、カルシウム情報伝達、ケラチン生成細胞及び骨芽細胞分化、味覚感知、細胞の死、虚血後神経変性、腫瘍抑制、ならびに発作に関係付けられている。Panx2が、ニューロンの分化に関与する一方で、Panx3は、軟骨細胞、骨芽細胞の分化、ならびに精子の突然変異及び輸送に関与する。Panx1が、形質膜に局在化されるのに対して、Panx2は、細胞内に配置される。コネキシンとパネキシンチャネルとの間の1つの主な違いは、パネキシンチャネルが細胞間チャネルを形成しないことであり、パネキシンタンパク質の高度にグリコシル化された細胞外ループが、ドッキングプロセスを妨げることを示唆している。コネキシンヘミチャネルと同様に、パネキシンチャネルは、いくつかの要因によって活性化されると言われているが、いくつかの違いも示す。コネキシンヘミチャネル及びパネキシンチャネルの両方が、グルタミン酸及びATP放出に貢献するが、パネキシンチャネルは、カルシウムイオン濃度の低下に反応しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Yeager(1998)Structure of cardiac gap junction intercellular channels,J Struct Biol 121:231-245
【文献】Sohl G&Willecke K.(2004). Gap junctions and the connexin protein family. Cardiovasc Res. 62:228-232
【文献】Structural and functional diversity of connexin genes in the mouse and human genome,Biol Chem 383:725-737
【文献】Marziano,et al.Hum Mol Genet. 12:805-812(2003)
【文献】Niessen et al.(2000)Selective permeability of different connexin channels to the second messenger inositol 1,4,5-tris trisphosphate,J Cell Sci 113(Pt 8):1365-1372
【文献】Unger,et al.(1999)Electron cryo-crystallography of a recombinant cardiac gap junction channel, Novartis Found Symp 219:22-30&discussion 31-43
【発明の概要】
【0010】
本明細書に説明及び特許請求される本発明は、限定されないが、この発明の概要に記載もしくは説明、または参照されるものを含む多くの特徴及び実施形態を有する。包括的であることを意図するものではなく、本明細書に説明及び特許請求される本発明は、例示目的のためだけに含められ、かつ制約ではない本導入で明らかにされる特徴もしくは実施形態に、またはこれらによって制限されるものではない。
【0011】
ギャップ結合チャネル、ヘミチャネル、及び/もしくはパネキシンチャネルの調節のため、ならびに/または、ギャップ結合チャネル、ヘミチャネル、及び/もしくはパネキシンチャネルの調節から恩恵を受ける、障害の治療のための化合物、組成物、製剤、キット、及び方法を提供することが、本発明の目的である。したがって、一態様において、本発明は、ギャップ結合チャネル、ギャップ結合ヘミチャネル、及び/またはパネキシンチャネルの調節のための方法、特に、しかしながら排他的にではなく、ギャップ結合チャネル、ギャップ結合ヘミチャネル、及び/またはパネキシンチャネルの調節が有効である障害の治療のための方法に関し、本方法は、ギャップ結合チャネル調節剤、例えば、式Iの化合物(例えば、トナベルサット)、コネキシンペプチド摸倣化合物、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグを投与すること、ならびに/あるいは、式VIの化合物(例えば、プロベネシド)及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいは、パネキシンペプチド摸倣化合物及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ等のパネキシン調節剤を投与することを含む。
【0012】
一態様において、本発明は、ギャップ結合チャネル調節剤またはヘミチャネル調節剤を使用して、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルを調節するための方法を提供する。いくつかの態様において、ギャップ結合チャネル調節剤またはヘミチャネル調節剤は
、小分子調節剤でもよい。小分子ギャップ結合チャネル調節剤には、例えば、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、ならびにその類似体及び/またはプロドラッグが含まれる。いくつかの態様において、ギャップ結合チャネル調節剤またはヘミチャネル調節剤は、ペプチド摸倣化合物でもよい。ペプチド摸倣ギャップ結合チャネル調節剤には、例えば、ペプチド5(VDCFLSRPTEKT)及びその類似体が含まれる。他の態様において、ギャップ結合チャネル調節剤またはヘミチャネル調節剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドでもよく、これは、化学修飾または未修飾オリゴヌクレオチド、例えば、未修飾DNAオリゴヌクレオチドでもよい。
【0013】
いくつかの態様において、本発明は、パネキシン調節剤を使用したパネキシンチャネルの調節のための方法を提供する。いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、小分子調節剤でもよい。小分子パネキシンチャネル調節剤としては、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、ならびに前述の化合物のうちのいずれかの類似体及び/またはプロドラッグが挙げられる。いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、パネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬でもよい。ペプチド摸倣パネキシンチャネル調節剤には、例えば、10Panx1、またはその類似体が含まれる。いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、パネキシン2の合成模倣ペプチド遮断薬でもよい。いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、パネキシン3の合成模倣ペプチド遮断薬でもよい。
【0014】
いくつかの態様において、本方法は、ギャップ結合チャネル調節剤及びパネキシン調節剤を共投与することを含む。ギャップ結合チャネル調節剤の共投与は、パネキシン調節剤の投与と同時に、パネキシン調節剤の投与に続いて、またはパネキシン調節剤の投与の前でもよい。いくつかの態様において、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/あるいはペプチド5、またはこれらのいずれかの類似体、もしくはこれらの両方の類似体は、パネキシン拮抗薬、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体と一緒に共投与されてもよい。
【0015】
別の態様において、本発明は、ギャップ結合チャネル及び/もしくはヘミチャネルの調節のための薬剤の製造、または、本明細書の疾患、障害、及び/もしくは病態のうちのいずれかの治療におけるヘミチャネル調節剤の使用を提供する。ヘミチャネル調節剤には、本明細書に記載されるように、例えば、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/もしくはその類似体、ならびに/またはペプチド5もしくはその類似体、ならびに/またはアンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0016】
別の態様において、本発明は、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの調節において使用するための、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/もしくは前述の化合物のうちのいずれかの類似体、またはペプチド5もしくはその類似体等のギャップ結合チャネル調節剤、ヘミチャネル調節剤、コネキシン調節剤、及び/またはパネキシン調節剤を提供する。一態様において、ギャップ結合チャネル調節剤、ヘミチャネル調節剤、コネキシン調節剤、及び/またはパネキシン調節剤は、好ましくは、ヒトまたは他の動物において、それぞれ、ギャップ結合チャネル、ならびに/またはヘミチャネル及びパネキシンを調節する。いくつかの態様において、本発明は、パネキシンチャネルの調節において使用するための、パネキシン調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/またはパネキシン1等のパネキシンの合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1またはその類似体も取り上げる。好ましいパネキシンチャネル調節剤は、パネキシン1チャネル調節剤である。いくつかの態様において、ギャップ結合チャネル調節剤及び/またはヘミチャネル調節剤は、パネキシンまたはパネキシンチャネルの
調節と共に、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの調節のためのパネキシン調節剤と一緒に使用され得る。いくつかの態様において、パネキシン及び/またはパネキシンチャネルの調節は、コネキシンチャネルの調節前、調節後、または同時でもよい。他の態様において、コネキシンチャネルの調節は、パネキシンチャネルの調節前、または調節後でもよい。
【0017】
別の態様において、本発明は、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの調節によって、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの調節が有益であり得る障害を治療するための方法を提供し、本方法は、対象にコネキシンチャネル調節剤及び/またはヘミチャネル調節剤を投与することを含む。いくつかの態様において、チャネル調節剤は、例えば、対象への、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/もしくは前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはペプチド5もしくはその類似体等のペプチド摸倣化合物でもよい。パネキシンチャネルの調節が有益であり得るいくつかの態様において、本方法は、パネキシン拮抗薬またはパネキシンチャネル調節剤を投与することをさらに含む。パネキシン調節剤には、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1またはその類似体が含まれる。いくつかの態様において、本方法は、パネキシン拮抗薬、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1またはその類似体と一緒に、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体を投与することを含む。式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体の投与は、パネキシン拮抗薬の投与と同時、それに続いて、またはそれの前でもよい。パネキシン拮抗薬の投与は、コネキシンチャネル拮抗薬、例えば、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体の投与に続いて、またはそれの前でもよい。いくつかの態様において、治療の方法は、ヒトに適用される。いくつかの態様において、治療の方法は、哺乳動物、例えば、ヒトに適用される。
【0018】
別の態様において、本発明は、パネキシンチャネルの調節のための薬剤の製造におけるパネキシン調節剤の使用、または本明細書の疾患、障害、及び/もしくは病態のうちの1つ以上の治療を取り上げる。パネキシン調節剤には、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、ならびに/もしくは前述の化合物のうちのいずれかの類似体及びプロドラッグ、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体が含まれる。いくつかの態様において、ギャップ結合チャネル調節剤またはヘミチャネル調節剤及びパネキシン調節剤は、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの調節、ならびにパネキシンチャネルの調節のための、単一の薬剤、または一組の薬剤の製造のための使用でもよい。
【0019】
別の態様において、本発明は、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの調節が有益であり得る障害の治療のための薬剤の製造における、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/もしくはその類似体、またはペプチド5もしくはその類似体等のコネキシン調節剤の使用を提供する。パネキシンチャネルの調節が有益であり得るいくつかの態様において、本発明は、本明細書の疾患、障害、及び/または病態の治療のためを含む、パネキシンチャネルの調節が有益であり得る障害の治療のための薬剤の製造における、パネキシン拮抗薬またはパネキシンチャネル調節剤(例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体)の使用を取り上げる。
【0020】
いくつかの態様において、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体は、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネル、ならびにパネキシンチャネルの調節が有益である障害の治療のための薬剤の製造において、パネキシン拮抗薬と一緒に使用されてもよい。
【0021】
別の態様において、本発明は、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの調節が有益であり得る障害の治療における使用のための、ギャップ結合チャネル調節剤、例えば、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/もしくは前述の化合物のうちのいずれかの類似体、またはペプチド5もしくはその類似体、あるいは別のギャップ結合チャネル調節剤を提供する。パネキシンチャネルの調節が有益であり得るいくつかの態様において、本発明は、本明細書に記載または示される疾患、障害、及び/または病態の治療のためを含む、パネキシンチャネルの調節が有益であり得る障害の治療における使用のための、パネキシン拮抗薬、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/もしくはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/またはパネキシン1、例えば、10Panx1もしくはその類似体等のパネキシンの合成模倣ペプチド遮断薬、あるいは別のパネキシンチャネル調節剤も取り上げる。い
くつかの態様において、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグ、あるいはペプチド5またはその類似体は、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネル、ならびにパネキシンチャネルの調節が有益であり得る障害の治療のためのパネキシン拮抗薬と一緒に使用されてもよい。式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体の投与は、パネキシン拮抗薬の投与と同時、それに続いて、またはそれの前でもよい。
【0022】
本発明の態様のうちのいずれかにおいて、例えば、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、またはその類似体、ペプチド5またはその類似体のうちのいずれかが、ギャップ結合チャネル調節剤として使用されてもよい。いくつかのギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネル制御活性を有する他の化合物としては、(例えば、イソフルラン、ハロタン、エタンを含む)麻酔、オクタノール、ヘプタノール、(その代謝物を含む)18α-グリチルレチン酸、カルベノキソロン、(例えば、フルフェナム酸またはニフルム酸を含む)フェナム酸、(例えば、ウアバインを含む)強心配糖体、血小板由来成長因子(PDGF)、IGF-1、カルボコール、ホルボールエステル及びアラキドン酸、オレイン酸、またはパルミトオレイン酸(さらなる例は、Salameh A,et al.,(2005)Biochim Biophys Acta 1719:36-58を参照されたい)、及び/またはキノリンまたはメフロキン化合物(例えば、Das S et al.,Biochem Biophys Res Commun(2008)373:504-508を参照されたい)が挙げられる。
【0023】
様々な実施形態において、調節されるギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルは、コネキシン23、25、26、30、30.2、30.3、31、31.1、31.9、32、36、37、40、40.1、43、45、46、47、50、59、及び62のうちの1つ以上を含む。一実施形態において、調節されるギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルは、コネキシン26、30、32、36、37、40、45、及び47のうちの1つ以上を含む。1つの特定の実施形態において、調節されるギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルは、コネキシン30及び/またはコネキシン43を含む。
【0024】
様々な実施形態において、調節されるパネキシン及び/またはパネキシンチャネルは、パネキシン1、パネキシン2、及びパネキシン3のうちの1つ以上である。
【0025】
別の態様において、本発明は、本明細書に示される1つ以上の疾患、障害、または病態の治療のための方法を提供し、本方法は、対象にギャップ結合チャネル調節剤を投与することを含む。いくつかの態様において、ギャップ結合チャネル調節剤は、例えば、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/もしくは前述の化合物のうちのいずれかの類似体、またはペプチド5もしくはその類似体でもよい。いくつかの態様において、本発明は、本明細書に示される1つ以上の疾患、障害、または病態の治療のための方法も提供し、本方法は、パネキシン調節剤を、単独で、または1つ以上のギャップ結合チャネルもしくはヘミチャネル調節剤と組み合わせて投与することを含む。いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1またはその類似体でもよい。ある特定の実施形態において、1つ以上の疾患、障害、または病態は、例えば、慢性創傷、期待される速度で治癒しない創傷、裂開性創傷;線維症、線維性疾患、障害、または病態;異常または過剰な瘢痕化;血管障害;組織の損傷;整形外科的疾患または障害;炎症または炎症性疾患;浮腫からなる群から選択される。
【0026】
別の態様において、本発明は、本明細書に示される1つ以上の疾患、障害、及び病態の治療のための薬剤の製造における、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤もしくはヘミチャネル調節剤、及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体の使用を提供する。いくつかの態様において、本発明は、本明細書に示される1つ以上の疾患、障害、及び病態の治療のための薬剤の製造における、パネキシン調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体の使用も提供する。いくつかの態様において、ギャップ結合チャネル調節剤は、本明細書に示される1つ以上の疾患、障害、及び病態の治療のための別個の薬剤または組み合わせ薬剤の製造において、パネキシン調節剤と一緒に使用され得る。ある特定の実施形態において、1つ以上の障害は、例えば、慢性創傷、期待される速度で治癒しない創傷、裂開性創傷;線維症、線維性疾患、障害、または病態;異常または過剰な瘢痕化;血管障害;組織の損傷;整形外科的疾患または障害;炎症または炎症性疾患;及び浮腫からなる群から選択される。
【0027】
別の態様において、本発明は、本明細書に示される1つ以上の疾患、障害、及び病態の治療のための、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤もしくはヘミチャネル調節剤、及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体を提供する。いくつかの態様において、本発明は、例えば、本明細書に示される1つ以上の疾患、障害、及び病態の治療のための、パネキシン調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体の、単独で、または本開示のギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネル調節剤と組み合わせてのいずれかでの使用も提供する。ある特定の実施形態において、1つ以上の疾患、障害、または病態は、例えば、慢性創傷、期待される速度で治癒しない創傷、裂開性創傷;線維症、線維性疾患、障害、または病態;異常または過剰な瘢痕化;血管障害;組織の損傷;整形外科的疾患または障害;炎症または炎症性疾患;及び浮腫からなる群から選択される。
【0028】
別の態様において、本発明は、例えば、本明細書に示される1つ以上の疾患、障害、及び病態の治療のための、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤もしくはヘミチャネル
調節剤、及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体を提供する。いくつかの態様において、本発明は、例えば、本明細書に示される1つ以上の障害の治療のための、パネキシン調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体の、単独で、または本開示のものを含むギャップ結合チャネル調節剤と組み合わせてのいずれかでの使用も提供する。ある特定の実施形態において、1つ以上の疾患、障害、または病態は、例えば、(例えば、周産期虚血、皮膚虚血、及び心虚血を含む)虚血、脳卒中、仮死、脳外傷、脊髄損傷、心臓発作、(例えば、心膜炎を含む)炎症性心臓障害、(例えば、手術もしくは移植後の心臓再潅流を含む)再潅流傷害、手術もしくは移植後の肝臓再潅流、網膜神経節細胞(RGC)喪失及び/もしくは網膜虚血、または眼線維症のうちの1つ以上からなる群から選択される。
【0029】
いくつかの態様において、本発明は、手術または処置からの回復を向上させるため、及び/または手術後拘縮を治療するための方法を提供し、本方法は、対象に、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体を投与することを含む。関連する実施形態において、本発明は、手術もしくは処置からの回復を向上させるため、及び/または手術後拘縮を治療するための薬剤の製造における、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体の使用を提供する。関連する実施形態において、本発明は、例えば、手術もしくは処置からの回復を向上させるため、及び/または手術後拘縮を治療するための、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体を提供する。
【0030】
いくつかの態様において、本発明は、手術または処置からの回復を向上させるため、及び/または手術後拘縮を治療するための方法を提供し、本方法は、対象に、パネキシン調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体を投与することを含む。関連する実施形態において、本発明は、手術もしくは処置からの回復を向上させるため、及び/または手術後拘縮を治療するための薬剤の製造における、パネキシン調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体の使用を提供する。関連する実施形態において、本発明は、例えば、手術もしくは処置からの回復を向上させるため、及び/または手術後拘縮を治療するための、パネキシン調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはいずれかの類似体を提供する。一実施形態において、手術または処置は、整形外科的手術または処置である。一実施形態において、手術後拘縮は、整形外科的手術後関節拘縮である。
【0031】
別の態様において、本発明は、対象における癒着形成を治療または減少させるための方法を提供し、本方法は、対象に、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体を投与することを含む。関連する実施形態において、本発明は、対
象における癒着形成を治療または減少させるための薬剤の製造における、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体またはプロドラッグの使用を提供する。関連する実施形態において、本発明は、例えば、対象における癒着形成を治療または減少させるための、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体を提供する。
【0032】
別の態様において、本発明は、対象における癒着形成を治療または減少させるための方法を提
供し、本方法は、対象に、パネキシン調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体を投与することを含む。関連する実施形態において、本発明は、対象における癒着形成を治療または減少させるための薬剤の製造における、パネキシン調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体の使用を提供する。関連する実施形態において、本発明は、例えば、対象における癒着形成を治療または減少させるための、パネキシン調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体を提供する。
【0033】
別の態様において、本発明は、例えば、Cx43ヘミチャネルを直接かつ即時に遮断し、GJカップリングの、濃度及び時間依存の減少を引き起こすための、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体の使用に関する。
【0034】
さらに他の態様において、様々な障害を、ギャップ結合チャネル(例えば、ヘミチャネル)調節剤を単独またはパネキシンチャネル調節剤と一緒に用いる治療の方法を含む、本発明の組成物及び方法によって治療することができる。これらの障害には、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病アルツハイマー病、AIDS関連痴呆、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性、脊髄性筋萎縮症、及び小脳変性症);虚血傷害;肺、腎臓、または肝臓の線維症;血管疾患(例えば、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、アテローム性動脈硬化巣冠動脈疾患、または高血圧症)、呼吸器疾患(例えば、喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、または嚢胞性繊維症)、望ましくないまたは異常肥大、関節炎、リウマチ性関節炎(RA)、乾癬、乾癬プラーク、サルコイドーシス、脊髄損傷及び視神経損傷を含むCNS外傷、未熟児の網膜症を含む糖尿病性及び他の増殖性網膜症、水晶体後線維増殖症、開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障、及び正常眼圧緑内障、ならびに続発緑内障、色素性緑内障、偽落屑緑内障、外傷性緑内障、血管新生緑内障、及び虹彩角膜内皮症候群(ICE)及び血管新生緑内障等の開放隅角緑内障及び閉塞隅角緑内障の変異形を含む緑内障、老人性黄斑変性、糖尿病性黄斑浮腫、角膜血管新生、角膜移植血管新生、角膜移植片拒絶反応、網膜/脈絡膜血管新生、隅角の血管新生(ルベオーシス)、眼新生血管疾患、血管再狭窄、ぶどう膜炎、ドライアイ疾患、眼及び角膜の持続的上皮欠損、動静脈奇形(AVM)、(グレーブス病を含む)甲状腺過形成、角膜及び他の組織移植、慢性炎症、肺炎症、眼の炎症、急性肺傷害/ARDS、敗血症、全身性毛細血管漏出症候群、多臓器機能不全症候群(MODS)、全身性炎症反応症候群(SIRS)、急性呼吸促迫症候群、熱傷後血管透過性症候群、腹水、胸水、及び心膜液によって示される病態、(特に
乳児及び幼児における)心肺バイパス術後の透過率変化、再潅流傷害、ヘビ咬傷、原発性肺高血圧症、悪性の肺滲出、(例えば、急性脳卒中/閉鎖性頭部損傷/外傷と関連した)脳浮腫、滑膜炎、骨関節症(OA)、第三間隙形成液疾患(3rd spacing of fluid diseases)(膵炎、コンパートメント症候群、熱傷、腸疾患)、(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)炎症性腸疾患(IBD)等の慢性炎症、腎同種移植片拒絶反応、炎症性腸疾患、ネフローゼ症候群、血友病関節症、肥厚性瘢痕、オスラー病、化膿性肉芽腫水晶体後線維増殖症、強皮症、トラコーマ、血管癒着、滑膜炎、皮膚炎、子癇前症、腹水症、(心膜炎と関連したもの等の)心膜液貯留、胸水貯留、手術後組織浮腫、急性整形外科的傷害、過敏症、嚢胞性線維症、及び慢性皮膚創傷、糖尿病性足部潰瘍、静脈下腿潰瘍、及び褥瘡を含む潰瘍または潰瘍性病変、ならびにマラリア、デング熱、及び肺炎を含む伝染病が含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
これらの疾患、障害、及び病態のある特定の好ましい治療は、ギャップ結合チャネル調節剤、例えば、式Iの化合物(例えば、トナベルサット)、コネキシンペプチド摸倣化合物、及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグの投与、ならびに/あるいは、式VIの化合物(例えば、プロベネシド)等のパネキシン調節剤及び/またはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグ、及び/またはパネキシンペプチド摸倣化合物及び/もしくはこれらの前述の化合物のうちのいずれかの1つ以上の類似体もしくはプロドラッグの投与を含む。特に好ましい化合物は、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び式VIの化合物、例えば、プロベネシドである。
【0036】
いくつかの態様においてギャップ結合チャネル調節剤またはコネキシン調節剤は、血管内に存在するギャップ結合及び/またはコネキシンの調節剤、例えば、コネキシン43ギャップ結合チャネル調節剤もしくはコネキシン43調節剤、コネキシン40ギャップ結合チャネル調節剤もしくはコネキシン40調節剤、またはコネキシン45ギャップ結合チャネル調節剤もしくはコネイキシン(conneixn)45調節剤である。好ましくは、コネキシン調節剤は、コネキシン43調節剤である。コネキシン調節剤及びコネキシン43調節剤は、例えば、アンチセンス分子等の、コネキシン転写またはコネキシンの翻訳を下方制御するための手段を含む。これらは、コネキシン43の場合、ZO-1結合ペプチドも含む。好ましくは、ギャップ結合チャネル調節剤は、コネキシン43ギャップ結合チャネル調節剤である。好ましいコネキシン43ギャップ結合チャネル調節剤は、トナベルサット、または式Iの別の化合物である。本明細書に取り上げられる使用のうちのいずれかのための本発明の薬学的組成物は、眼または血管において、例えば、コネキシン26(Cx26)、コネキシン30(Cx30)、コネキシン31.1(Cx31.1)、コネキシン36(Cx36)、コネキシン37(Cx37)、コネキシン40(Cx40)、コネキシン45(Cx45)、コネキシン50(Cx50)、またはコネキシン57(Cx57)、もしくは任意の他のコネキシン、またはコネキシンギャップ結合、またはコネキシンヘミチャネルを抑制または遮断し得るギャップ結合チャネル調節剤、例えば、ポリヌクレオチドも含んでもよい。別の実施形態において、本明細書に取り上げられる用途のうちのいずれかのための本発明の薬学的組成物は、少なくとも1つのパネキシン調節剤でもよく、本明細書に記載または示されるギャップ結合チャネル調節剤またはコネキシン調節剤のうちのいずれかをさらに含んでもよい。
【0037】
一態様において、本発明は、前記対象の眼に治療的に有効な量の少なくとも1つのパネキシン調節剤を投与することによって、例えば、緑内障、糖尿病性網膜症(DR)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、老人性黄斑変性(AMD)、眼線維症、及び/または神経障害性の眼の障害を含む、眼及び他の障害を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。いくつかの態様において、神経障害性の眼の障害は、例えば、緑内障、RGCの喪失、及び/または緑内障性眼神経障害であり得る。いくつかの態様において、緑内障は
、高眼圧に起因し得る。いくつかの態様において、緑内障は、低眼圧緑内障または正常眼圧緑内障に起因し得る。いくつかの態様において、治療的に有効な量の少なくとも1つのコネキシン調節剤の投与は、緑内障、網膜神経節細胞の喪失の治療(例えば、治療、予防、減速、軽減、停止、もしくは改善)、及び/または硝子体のグルタミン酸濃度の低減に有効である。本明細書に取り上げられる用途のうちのいずれかのための本発明の薬学的組成物は、例えば、パネキシンチャネルを抑制または遮断し得るパネキシン調節剤も含んでもよい。いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、Panx1、Panx2、またはPanx3調節剤を含んでもよいか、または含まなくてもよい。いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、Panx1調節剤を含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0038】
別の態様において、本発明は、前記対象の眼に治療的に有効な量の少なくとも1つのパネキシン調節剤を投与することによって、例えば、DR、緑内障、DME、AMD、眼線維症、及び/または神経障害性の眼の障害を含む、眼及び他の障害を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。いくつかの態様において、神経障害性の眼の障害は、例えば、網膜神経節細胞(RGC)の喪失及び/または緑内障性眼神経障害であり得る。いくつかの態様において、治療的に有効な量の少なくとも1つのパネキシン調節剤の投与は、硝子体のグルタミン酸濃度の低減にさらに有用である膜神経節細胞の喪失の治療(例えば、治療、予防、減速、軽減、停止、もしくは改善)に有効である。
【0039】
一態様において本発明は、高眼圧を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。いくつかの態様において、高眼圧の治療は、眼圧関連神経障害を治療または予防する。いくつかの態様において、高眼圧を治療するための方法は、例えば、前記対象の眼に、治療的に有効な量の少なくとも1つのヘミチャネルもしくはコネキシン調節剤、及び/または少なくとも1つのパネキシンチャネルもしくはパネキシン調節剤を投与することを含む。一態様において、本発明は、例えば、緑内障を治療するための薬学的組成物及び方法に関する。本明細書における方法は、眼圧を減少させるのに十分な量での、緑内障等の眼圧関連視神経障害の治療を提供する。いくつかの態様において、コネキシン調節剤及び/またはパネキシン調節剤は、眼圧の上昇と関連した外傷の治療に有用である。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、コネキシン43調節剤である。いくつかの態様において、本発明の組成物及び方法は、高眼圧の治療、及び眼圧を正常レベル、例えば、21mm Hg未満、例えば、8~21mm Hgのレベルに減少させるのに有用である。いくつかの態様において、本発明の組成物及び方法は、眼圧を約22mm未満、21mm、20mm Hg、またはそれ未満に減少させるのに有用である。
【0040】
本明細書に記載される組成物、製造品、及び方法は、一態様において、毒性副作用なしに緑内障を治療するのに有用である。いくつかの態様において、緑内障は、開放隅角緑内障または閉塞隅角緑内障であり得る。いくつかの態様において、治療的に有効な量の少なくとも1つのコネキシンまたはヘミチャネル調節剤、例えば、コネキシン43調節剤もしくはコネキシン43ヘミチャネル調節剤、及び/または少なくとも1つのパネキシン調節剤を必要とする対象の眼組織に、それらを投与することは、小柱網をとおる流動を増加させる。
【0041】
一態様において、本発明は、正常眼圧緑内障(normal tension glaucoma)または正常眼圧緑内障(normotensive glaucoma)を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。いくつかの態様において、本方法は、例えば、前記対象の眼に、治療的に有効な量の少なくとも1つのコネキシンもしくはヘミチャネル調節剤、及び/または少なくとも1つのパネキシン調節剤を投与することを含む。一態様において、本発明は、例えば、緑内障を治療するための薬学的組成物及び方法に関する。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、コネキシン43またはコ
ネキシン
43ヘミチャネル調節剤である。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、例えば、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の前記コネキシンを含む任意の他のコネキシンもしくはヘミチャネルの調節剤、及び/または少なくとも1つのパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤であるか、あるいは、これらを含んでもよいか、または含まなくてもよい。いくつかの態様において、本発明の組成物及び方法は、眼圧が正常レベル、例えば、21mm Hg未満のときでさえ、緑内障を治療するのに有用である。いくつかの実施形態において、本調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0042】
いくつかの態様において、本発明は、高血圧性緑内障及び正常眼圧緑内障、臨床的地図状萎縮を含む緑内障;乾燥型AMD及び滲出型AMDを含むAMD、眼の異常もしくは障害、慢性黄斑虚血、線維症、特発性ポリープ状脈絡膜血管症(IPC);糖尿病性黄斑症、糖尿病性網膜症;高血圧性網膜症、炎症性脈絡膜血管新生;中心性漿液性網膜脈絡膜症(CSR);黄斑部毛細血管拡張症;パターンジストロフィ;網膜下/サブPRD(subPRD)血管新生;網膜神経感覚上皮の漿液性剥離;RPE剥離;(硝子体への破綻出血を含む、網膜下色素上皮、網膜下、網膜内、もしくは網膜前)出血;網膜上、網膜内、網膜下、もしくは色素上皮下の瘢痕/グリア組織または線維素様の沈着;網膜線維症、網膜血管腫増殖及び網膜脈絡膜吻合;脈絡膜血管新生(CNV);嚢胞性黄斑障;網膜肥厚;非滲出型AMD;及び網膜瘢痕化、後部ぶどう膜炎を含むぶどう膜炎、強膜炎、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎を含む上強膜炎ウイルス性網膜炎、未熟児の網膜症、網膜低酸素症、びまん性脈絡膜硬化症、脈絡毛細管板の硬化症、ドライアイ、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、神経障害性の眼の障害、外傷によって誘発された眼圧の低下、上皮基底膜ジストロフィ、ならびに/あるいは他の眼の障害を含み得るか、または含み得ない眼の障害の治療のための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。本明細書に記載される治療の方法のうちのいずれかにおいて有用な組成物及び製造品は、治療的に有効な量の少なくとも1つのコネキシンもしくはヘミチャネル調節剤、例えば、コネキシン調節剤、または少なくとも1つのパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤を含む。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、例えば、コネキシン43(Cx43)、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、Cx57、もしくはそのようなコネキシンを含むヘミチャネル、または眼または血管中の任意の他のコネキシンもしくはコネキシンヘミチャネルの調節剤である。糖尿病性網膜症を治療するための実施形態において、本組成物は、例えば、パネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤、及び/または小分子コネキシンもしくはヘミチャネル調節剤、例えば、コネキシン43ヘミチャネルもしくはコネキシン43自体の小分子阻害剤を含んでもよい。いくつかの態様において、糖尿病性網膜症、または本明細書の他の疾患、障害、もしくは病態を治療するためのコネキシン調節剤は、配列番号1~3を有するポリヌクレオチド、及び/またはその調節された版を含むか、もしくは含まない本開示の任意のコネキシン43調節剤でもよい。いくつかの実施形態において、本調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0043】
本明細書に記載及び特許請求される本発明は、白内障の治療においても使用され得る。網膜中心動脈は、眼に血液を供給し、脈絡膜への枝が眼の後方に潅流し、表面及び深部血管網が前方網膜に供給する。さらに、長い枝が、虹彩及び毛様体に潅流させて、(毛様体を介して)水晶体を含む眼の前方に栄養及び酸素を供給する発明者は、驚くべきことに、糖尿病性網膜症及び老人性黄斑変性を含む、血管床に影響を与える疾患が、前眼部への流れにも影響を与え、したがって、白内障形成の一因となることを確定し、白内障は、真性糖尿病を有する人々における視覚障害の最も一般的な原因のうちの1つであり、眼における重度の白内障もまた、後期AMDのより高い有病率と関連し得ることに留意されたい。
【0044】
いくつかの態様において、本発明は、黄斑円孔、黄斑変性、網膜裂孔、DME、糖尿病性網膜症(DR)、硝子体網膜症、屈折異常、ドライアイ、ウイルス性結膜炎、創傷治癒における潰瘍性結膜炎及び瘢痕形成、角膜の上皮創傷、シェーグレン症候群、白内障、放射状角膜切開の後遺症、角膜組織厚の増加を含み得るか、または含み得ない眼の障害を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。この実施形態において、本組成物は、例えば、パネキシン調節剤、またはコネキシン調節剤、例えば、コネキシン43の小分子阻害剤またはペプチド阻害剤を含んでもよい。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、例えば、Cx43の調節剤、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、及びCx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。この実施形態のいくつかの態様において、本組成物は、例えば、配列番号1~3を有するポリヌクレオチドを含むか、または含まない、本開示の任意のコネキシン43調節剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0045】
いくつかの態様において、本発明は、白内障を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。この実施形態において、本組成物は、例えば、パネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤、ギャップ結合調節剤、ギャップ結合もしくはヘミチャネルリン酸化剤、またはコネキシン拮抗薬、例えば、ポリヌクレオチド、ペプチドもしくはペプチド模倣薬またはコネキシンの小分子拮抗薬を含んでもよい。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、Cx43、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。この実施形態のいくつかの態様において、本組成物は、例えば、トナベルサットを含まない、本開示の任意のCx43調節剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0046】
いくつかの態様において、本発明は、網膜静脈または動脈閉塞、緑内障、網膜発作、眼圧上昇を引き起こす外傷、糖尿病性網膜症、嚢胞様黄斑浮腫を含み得るか、または含み得ない眼の障害を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関するこの実施形態において、本組成物は、例えば、パネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤、ギャップ結合調節剤、ギャップ結合もしくはヘミチャネルリン酸化剤、Cx43の場合、ZO-1結合部位ペプチド摸倣薬、または別のコネキシン拮抗薬、例えば、ポリヌクレオチド、ペプチドもしくはペプチド模倣薬、またはコネキシンの小分子拮抗薬を含んでもよい。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、Cx43、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。この実施形態のいくつかの態様において、本組成物は、例えば、トナベルサットを含まない、本開示の任意のCx43調節剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0047】
いくつかの態様において、本発明は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、及び筋萎縮性側索硬化症、偏頭痛、または偏頭痛を伴うか、もしくは偏頭痛を伴わないアウラ、坐骨神経痛/神経根障害を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。この実施形態において、本組成物は、例えば、パネキシン調節剤、ギャップ結合もしくはヘミチャネルリン酸化剤、またはコネキシン拮抗薬を、例えば、単独で、または組み合わせで含んでもよい。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、例えば、Cx43、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。この実施形態のいくつかの態様において、本組成物は、例えば、式Iの化合物、例
えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに、例えば、トナベルサットプロドラッグ及び眼を標的とする本開示の式Iの化合物のプロドラッグを含む、本開示の任意のコネキシン43調節剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0048】
一態様において、本発明は、眼低酸素症(ocular hypoxia)、眼の血管の損傷、及び/または血管漏出を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。いくつかの態様において、眼低酸素症の治療及び予防は、血管漏出、血管破綻、及び/または眼中の脈絡膜もしくは他の血管への正常よりも低い酸素化血流を引き起こす任意の他の病態の治療または予防を含む。いくつかの態様において、眼低酸素症の治療または予防は、血管の圧縮を引き起こすか、さもなければ眼への血流に影響を与える病態の治療を含む。いくつかの態様において、眼低酸素症、緑内障、AMD、DME、眼の線維症、及び/または網膜潅流障害等の眼の障害を治療するための方法は、例えば、前記対象の眼に治療的に有効な量の少なくとも1つのギャップ結合調節剤もしくはコネキシン調節剤、または少なくとも1つのパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤を投与することを含む。一態様において、本発明は、例えば、緑内障を治療するため、またはAMDを治療するための薬学的組成物及び方法に関する。
【0049】
いくつかの態様において、本発明の組成物は、線維柱帯切除術の成功率を向上させるためのアジュバントとして有用である。
【0050】
眼の前方は、眼の前方部分内の構造体に栄養を供給する明澄な流体である房水で満たされている。この流体は、眼の水晶体を取り囲む毛様体によって絶えず産生されている。房水は、瞳孔をとおり、眼の排液隅角(drainage angle)と称される、角膜が虹彩に付着する接合部に位置する小柱網チャネルをとおって眼から流れ出る。本発明のいくつかの態様において、1つ以上のギャップ結合もしくはコネキシン調節剤、またはパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤は、小柱網または毛様体に投与される。
【0051】
本発明の一態様において、対象における他の眼の病態、例えば、網膜虚血性疾患または眼虚血性疾患を治療するための組成物、製造品、及び方法も取り上げられ、例えば、内網膜における炎症を軽減するのに有効な量を含む、治療的に有効な量のギャップ結合調節剤、コネキシン調節剤、またはパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤を投与することを含む。いくつかの態様において、網膜虚血性疾患は、網膜動脈閉塞、または網膜中心静脈閉塞である。いくつかの態様において、眼虚血性疾患(optic ischemic
disease)は、例えば、前部虚血性視神経障害である。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、コネキシン43調節剤である。
【0052】
本発明は、対象における脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流(choroidal overperfusion)を低減させるための組成物、製造品、及び方法も取り上げ、対象の脈絡膜に、内網膜内の脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流を低減させるのに有効な量のギャップ結合調節剤、コネキシン調節剤、またはパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤を投与する
ことを含む。本発明のいくつかの態様において、対象の脈絡膜に、脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流を低減させるのに有効な、治療的に有効な量のギャップ結合調節剤、コネキシン調節剤、またはパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤の投与は、脈絡毛細管板内皮細胞喪失及び/または脈絡毛細管板脱落も低減させ、それにより眼の障害を治療または予防する。いくつかの態様において、脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流の低減は、網膜色素上皮変性及び/またはドルーゼン発生も低減し、さもなければ、乾燥型黄斑変性または湿潤型黄斑変性であ
り得る黄斑変性または黄斑ジストロフィの進行を改善、停止、減速、及び/または逆戻りさせる。いくつかの態様において、脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流を低減させるためのギャップ結合調節剤、コネキシン調節剤、またはパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤は、Cx43調節剤である。脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流を低減させるためのギャップ結合調節剤、コネキシン調節剤、またはパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤は、眼治療薬と一緒に投与されてもよい。
【0053】
脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流は、脈絡膜における血管漏出を誘導し、網膜色素上皮における内皮細胞喪失を引き起こし得る。本明細書に記載されるように、驚くべきことに、脈絡膜潅流の障害及び/または脈絡膜炎、ならびに脈絡毛細管板脱落が、Cx43の上方制御から生じ、Cx43の上方制御がAMDの寄与原因であることが見出された。脈管構造体が、Cx43発現における変化と関連したAMD臓器提供者の網膜の脈絡膜に認められ、AMDにおけるCx43の上方制御の役割を裏付けた。いくつかの実施形態において、血管漏出及び脈絡膜潅流の障害、ならびに/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流の治療または予防は、非滲出型AMD、もしくは乾燥型AMD、血管新生AMD、または湿潤型AMD、及びドルーゼン発生等の病態と関連した網膜色素上皮変性または網膜血管新生の治療または予防において有用である。驚いたことに見出され、本明細書に記載されるように、血管漏出及び脈絡膜潅流の障害及び/または脈絡膜炎等の上流事象は、AMD脈絡膜の変化と関連し、続いて、症状、そのような網膜色素上皮変性または網膜血管新生と関連する。
【0054】
したがって、一態様において、本発明は、本発明のギャップ結合調節剤、コネキシン調節剤、及び/またはパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤を、単独で、または血管新生AMD、湿潤型AMD、ドルーゼン発生、乾燥型AMD、網膜色素上皮変性、または地図状萎縮の治療において使用するための眼の作用剤を含む、AMDの治療において使用するための1つ以上の眼治療薬と一緒に投与する方法を取り上げる。本発明のギャップ結合調節剤、コネキシン調節剤、またはパネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤は、眼治療薬とは別に、それと同時に、またはそれと合わせた組成物で投与されてもよい。
【0055】
いくつかの態様において、本発明のコネキシンまたはパネキシンオリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは、化学的に、または合成的に作製されるか、さもなければ製造される。いくつかの実施形態において、コネキシン調節剤は、コネキシンオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドである。一実施形態において、コネキシン調節剤は、化学的に修飾されたか、または修飾されていないかに関わらない、コネキシンアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド、例えば、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンに対する、Cx43アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドである。いくつかの態様において、修飾コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、修飾及び未修飾ヌクレオチドの混合物を含んでもよい。いくつかの態様において、本明細書の方法で使用されるコネキシンアンチセンス化合物は、天然型ヌクレオチド及び未修飾ヌクレオシド間結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、コネキシンオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド及び/またはコネキシンアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、例えば、Cx43アンチセンスオリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、及び/またはCx43アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドでもよい。いくつかの実施形態において、本調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0056】
少なくとも1個の未修飾ヌクレオチドを含むコネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチド
またはポリヌクレオチドが、本発明に取り上げられる。一態様において、コネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含んでもよい、かつ/または少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合、及び/もしくは少なくとも1つの修飾糖部分を有してもよい。修飾ヌクレオシド間結合は、例えば、ホスホロチオエート結合でもよい。いくつかの態様において、例えば、コネキシンポリヌクレオチドは、立体配座的に緊張させたヌクレオチド、例えば、ロックド核酸(LNA)または架橋核酸(BNA)を含む少なくとも1つのヌクレオチドを含んでもよい。ロックトヌクレオチドは、例えば、次の種類:2′-O-CH2-4′(オキシ-LNA)、2′-CH2-CH2-4′(メチレン-LNA)、2′-NH-CH2-4′(アミノ-LNA)、2′-N(CH3)-CH2-4′(メチルアミノ-LNA)、2′-S-CH2-4′(チオ-LNA)、及び2′-Se-CH2-4′(セレノ-LNA)のうちの1つから選択されてもよい。いくつかの態様において、修飾ヌクレオチドは、ロックド核酸またはアンロックド核酸でもよい。いくつかの態様において、修飾及び未修飾コネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、修飾及び未修飾Cx43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドである。いくつかの態様において、修飾及び未修飾コネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、修飾及び未修飾Cx26アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、Cx31.1アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、Cx30アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、Cx45アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、Cx36アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、Cx37アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、Cx40アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、Cx50アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、またはCx57アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドである。いくつかの態様において、コネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、国際公開2013012758号に記載されるもの等のキラル亜リン酸部分を含む。
【0057】
ヌクレオチド配列を含むか、または配列番号1~16から選択されるヌクレオチド配列から改質された例となる修飾または未修飾コネキシン43アンチセンス化合物も、本明細書に取り上げられる。本発明のポリヌクレオチドは、80ヌクレオチド長未満、例えば、12~18から約50~80ヌクレオチド長、好ましくは、約30ヌクレオチド長以下、例えば、12~約30ヌクレオチド長、より好ましくは、約15~約30ヌクレオチド長を有するポリヌクレオチドを含む。一例において、ポリヌクレオチドは、30個のヌクレオチドを有する。本発明の方法は、いくつかの態様において、配列番号1~17、配列番号4~17から選択されるヌクレオチド配列を含むか、または配列番号17の約8~40個のヌクレオチドを含む、最大40ヌクレオチド長、例えば、15~40ヌクレオチド長のコネキシン43アンチセンス化合物の使用を取り上げる。いくつかの実施形態において、Cx43アンチセンス化合物は、配列番号4~17、または配列番号1~3の中の1個以上のチミンヌクレオチドを、1つ以上のウリジンヌクレオチド残基に置換することによって修飾されてもよい。
【0058】
配列番号217の8~約80個のヌクレオチドを含む修飾または未修飾Cx45アンチセンスポリヌクレオチド、ならびに配列番号279の8~約80個のヌクレオチドを含む修飾及び未修飾パネキシンアンチセンスポリヌクレオチドも本明細書に取り上げられる。本発明のポリヌクレオチドは、80ヌクレオチド長未満、例えば、12~18から約50~80ヌクレオチド長、好ましくは、約30ヌクレオチド長以下、例えば、12~約30ヌクレオチド長、より好ましくは、約15~約30ヌクレオチド長を有する合成ポリヌクレオチドを含む。一例において、ポリヌクレオチドは、30個のヌクレオチドを有する。本発明の方法は、いくつかの態様において、最大40ヌクレオチド長、例えば、15~40ヌクレオチド長、例えば、配列番号217の約8~約40個または約15~約40個のヌ
クレオチドを含むコネキシン45アンチセンス化合物の使用を取り上げる。本発明の方法は、いくつかの態様において、最大40ヌクレオチド長、例えば、15~40ヌクレオチド長、例えば、配列番号283~287の約8~約40個または約15~約40個のヌクレオチドを含むパネキシンアンチセンス化合物の使用を取り上げる。いくつかの実施形態において、コネキシン45またはパネキシンアンチセンス化合物は、配列番号217、または配列番号283~287の中の1つ以上のチミンヌクレオチドを、1個以上のウリジンヌクレオチド残基に置換することによって修飾されてもよい。
【0059】
眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンに対する、修飾もしくは未修飾Cx26ポリヌクレオチド、Cx31.1ポリヌクレオチド、Cx36ポリヌクレオチド、Cx37ポリヌクレオチド、Cx40ポリヌクレオチド、Cx50ポリヌクレオチド、またはCx57ポリヌクレオチド、あるいは修飾または未修飾アンチセンスポリヌクレオチドも、本明細書に取り上げられる方法のうちのいずれかにおける使用のために取り上げられる。本明細書に取り上げられる使用のうちのいずれかのための本発明の薬学的組成物は、パネキシンチャネル、例えば、Panx1、またはPanx2、またはPanx3を抑制し得るパネキシンアンチセンスポリヌクレオチド調節剤も含んでもよい。いくつかの実施形態において、本調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0060】
本発明のいくつかの態様において、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、配列番号1~17から選択される配列を有するポリヌクレオチドに対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の相同性を有する。オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであるコネキシンまたはパネキシンは、これらのそれぞれの配列の8~80個のヌクレオチド部分に対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の相同性を有してもよい。例えば、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであるコネキシン45調節剤が、配列番号217の8~80個のヌクレオチド部分に対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%相同性を有してもよい一方で、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであるパネキシン調節剤は、配列番号283(Panx1ポリヌクレオチド)、(Panx1ポリヌクレオチドRefSeq番号NM_015368.3)、配列番号28
4(Panx2ポリヌクレオチド)、(変異体1の場合、Panx2ポリヌクレオチドRefSeq番号NM_052839.3)、配列番号285(Panx2ポリヌクレオチド変異体2の場合、RefSeq番号NM_001160300.1)、配列番号286(Panx2ポリヌクレオチド変異体3の場合、RefSeq番号NR_027691.1)、もしくは配列番号287(Panx3ポリヌクレオチド)(Panx3ポリヌクレオチドRefSeq番号NM_052959.2)、またはこれらの変異体の8~80個のヌクレオチド部分に対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の相同性を有してもよい。いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、パネキシンペプチド配列を含んでもよいか、または含まなくてもよい。パネキシンペプチド配列は、ポリペプチド配列番号288(Panx1ペプチド)、配列番号289(Panx2ペプチド)、もしくは配列番号290(Panx3ペプチド)、またはこれらの変異体の8~40個の連続したアミノ酸、細胞外ドメイン、細胞内ドメイン、カルボキシ末端部、またはアミノ末端部を含み得る。いくつかの実施形態において、本調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0061】
他の実施形態において、ギャップ結合調節剤またはコネキシン調節剤は、時折、抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬と称される、コネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、コネキシン細胞外ドメイン、膜貫通領域、及びコネキシンカルボキシ末端ペプチドを含む修
飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド模倣薬)である。ギャップ結合調節剤、または抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドもしくはペプチド模倣薬は、修飾されていてもよいか、または修飾されていなくてもよい。ギャップ結合調節剤、及び抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬は、化学的、合成的に作製されるか、さもなければ製造される。いくつかの実施形態において、ギャップ結合調節剤またはコネキシン調節剤は、Cx43ペプチドまたはペプチド模倣薬である。いくつかの態様において、治療上有効な修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド摸倣薬は、Cx43またはCx45等のコネキシンの細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインの一部分を含む。他の実施形態において、パネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤は、時折、抗パネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬と称される、パネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド模倣薬である。
【0062】
いくつかの実施形態において、本発明の調節剤は、抗Cx43ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、治療上有効、例えば、本明細書に記載される神経障害性の眼の障害のうちのいずれかを治癒するのに有効な、本発明の方法で有用な、コネキシンの細胞外ドメインの一部分を含むペプチド、及びコネキシンのカルボキシ末端の一部分を含むペプチドを含む、本明細書に記載されるペプチドのうちのいずれかを含む。いくつかの態様において、治療上有効な修飾または未修飾ペプチドまたはペプチド摸倣薬は、Cx43等のコネキシンの細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインの一部分を含む。
【0063】
いくつかの実施形態において、調節剤は、ギャップ結合閉鎖化合物及びヘミチャネル閉鎖化合物でもよい。いくつかの実施形態において、ギャップ結合閉鎖化合物及びヘミチャネル閉鎖化合物は、コネキシン43ギャップ結合閉鎖化合物及びコネキシン43ヘミチャネル閉鎖化合物である。好ましいコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドは、コネキシン43カルボキシ末端ポリペプチドである。
【0064】
他の実施形態において、ギャップ結合調節剤は、時折、抗ギャップ結合ペプチドまたはペプチド模倣薬と称される、ギャップ結合ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、抗ギャップ結合もしくはヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、細胞外ドメイン、膜貫通領域、またはCx43、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、及びCx57を含む、眼内のギャップ結合を含むタンパク質のコネキシンカルボキシ末端ペプチドを含む修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド模倣薬である。抗ギャップ結合もしくはヘミチャネル遮断ペプチド、またはペプチド模倣薬は、修飾されていてもよいか、または修飾されていなくてもよい。抗ギャップ結合もしくはヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬は、化学的、合成的に作製されるか、さもなければ製造される。いくつかの実施形態において、ギャップ結合調節剤は、Cx43、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、及びCx57ペプチドまたはペプチド模倣薬である。
【0065】
本明細書に記載される眼の病態のうちのいずれか、例えば、緑内障、DME、眼線維症、AMD、または本発明の1つ以上の薬学的組成物、例えば、コネキシンヘミチャネル遮断剤等の抗コネキシンODN及びギャップ結合調節剤、例えば、ペプチドもしくはペプチド摸倣薬、または第1の抗コネキシン剤及び第2の抗コネキシン剤と共に本明細書に参照される他の眼の障害の対象の治療は、これらの同時投与、個別投与、連続的投与、または持続的投与を含んでもよい。
【0066】
本発明のいくつかの態様において、調節剤は、トナベルサット等の、ギャップ結合閉鎖もしくは遮断化合物、またはヘミチャネル閉鎖もしくは遮断化合物である。いくつかの実施形態において、ギャップ結合調節剤は、本明細書で抗コネキシンまたはコネキシン調節剤とも称される小分子でもよい。いくつかの態様において、抗コネキシン調節剤薬物は、式
I:
【化1】
【0067】
の構造を有し得、式中、YはC-R1であり、
【0068】
R1は、アセチルであり、
【0069】
R2は、水素、C3-8シクロアルキル、任意選択的に酸素によって中断されているか、もしくはヒドロキシによって置換されたC1-6アルキル、C1-6アルコキシもしくは置換アミノカルボニル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルコキシカルボニル、C1-6アルキルカルボニルオキシ、C1-6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチル、またはCF3S;あるいは基であるCF3-A-(式中、Aは、-CF2-である)、
【0070】
-CO-、-CH2-、CH(OH)、SO2、SO、CH2-O、もしくはCONH;あるいは基であるCF2H-A′-(式中、A′は、酸素、硫黄、SO、SO2、CF2、もしくはCFHである);いずれかの芳香族部分が任意選択的に置換される、トリフルオロメトキシ、C1-6アルキルスルフィニル、ペルフルオロC2-6アルキルスルホニル、C1-6アルキルスルホニル、C1-6アルコキシスルフィニル、C1-6アルコキシスルホニル、アリール、ヘテロアリール、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ホスホノ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニル、もしくはヘテロアリールスルホニル;いずれかのアミノ部分が任意選択的に1つもしくは2つのC1-6アルキル基、またはC1-6アルキルスルフィニルアミノ、C1-6アルキルスルホニルアミノ、C1-6アルコキシスルフィニルアミノまたはC1-6アルコキシスルホニルアミノ、あるいはC1-6アルキルカルボニル、ニトロもしくはシアノ、または-C(C1-6アルキル)NOHまたは-C(C1-6アルキル)NNH2によって末端置換されたエチレニルによって置換された、C1-6アルキルカルボニルアミノ、C1-6アルコキシカルボニルアミノ、C1-6アルキル-チオカルボニル、C1-6アルコキシ-チオカルボニル、C1-6アルキル-チオカルボニルオキシ、1-メルカプトC2-7アルキル、ホルミル、もしくはアミノスルフィニル、アミノスルホニルまたはアミノカルボニル;または任意選択的に1つまたは2つのC1-6アルキルによって、またはC2-7アルカノイルによって置換されたアミノ;R3及びR4のうちの1つは水素またはC1-4アルキルであり、他のものはC1-4アルキル、CF3であるか、またはCH2Xaは、任意選択的に1つまたは2つのC1-4アルキル基、シアノ、またはC1-4アルコキシカルボニルによって置換されたフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、C1-4アルキルカルボニルオキシ、-S-C1-4アルキル、ニトロ、アミノ;あるいはR3及びR4は共に、任意選択的にC1-4アルキルによって置換されたC2
-5ポリメチレンであり、
【0071】
R5は、C1-6アルキルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、ONO2、ベンジルオキシ、フェニルオキシまたはC1-6アルコキシであり、R6及びR9は、水素であるか、またはR5は、ヒドロキシであり、R6は、水素またはC1-2アルキルであり、R9は水素であり、
【0072】
R7は、ヘテロアリールまたはフェニルであり、任意選択的にこれらの両方が、任意選択的に、C1-4アルキル、シアノ、アジド、C1-4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、及びトリフルオロメチルによって1回または2回置換されたクロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、アミノから選択される基または原子で1回以上時間依存的に置換され、
【0073】
R8は、水素、C1-6アルキル、OR11、またはNHCOR10であり、R11は、水素、C1-6アルキル、ホルミル、C1-6アルカノイル、アロイル、またはアリール-C1-6アルキルであり、R10は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、モノもしくはジC.sub.1-6アルキルアミノ、アミノ、アミノ-C.sub.1-6アルキル、ヒドロキシ-C1-6アルキル、ハロ-C1-6アルキル、C1-6アシルオキシ-C1-6アルキル、C1-6アルコキシカルボニル-C1-6-アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、R8-N-CO-R7基は、R5基に対してシス形であり、Xは、酸素またはNR12であり、R12は、水素またはC1-6アルキルである。
【0074】
いくつかの実施形態において、上記のマーカッシュ群のうちのいずれかに関して、各群は、その群について列挙される種のうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、小分子コネキシン調節剤は、トナベルサット、カラベルサット、またはSB-204269であり得る。SB-204269は、(トランス-(+)-6-アセチル-4S-(4-フルオロベンゾイルアミノ)-3、4-ジヒドロ-2,2-ジメチル-2H-ベンゾ[b]ピラン-3R-オール)としても知られる。カラベルサットは、N-[(3R,4S)-6-アセチル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル]-4-フルオロベンズアミドとしても知られる。トナベルサットは、N-(6-アセチル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3,4-ジヒドロ-2H-クロメン-4-イル)-3-クロロ-4-フルオロベンズアミドとしても知られる。
【0076】
上記のマーカッシュ群のうちのいずれかに関して、その群は、その群について列挙される種のうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0077】
いくつかの実施形態において、コネキシン調節剤は、本発明で使用するための任意の化合物のプロドラッグでもよい。一態様において、本発明のコネキシン調節剤プロドラッグは、式IIの化合物:
【化2】
【0078】
でもよく、式中、
【0079】
Qは、Oまたはオキシムであり、
【0080】
R2は、Hであり、
【0081】
Aは、直接結合、-C(O)O*-、-C(R3)(R4)O*-、-C(O)O-C(R3)(R4)O*-、または-C(R3)(R4)OC(O)O*-であり、*と印が付けられた原子は、R1に直接結合し、R3及びR4は独立して、H、フルオロ、C1-4アルキル、またはC1-4フルオロアルキルから選択されるか、またはR3及びR4共に、これらがシクロプロピル基を結合形成する原子、
【0082】
R
1は、基[1]、[2]、[2A]、[3]、[4]、[5]、または[6]から選択され、**と印が付けられた原子は、Aに直接結合し、
【化3】
R
5及びR
6は各々独立して、H、C
1-4アルキル、C
1-4フルオロアルキル、また
はベンジルから選択され、
【0083】
R7は独立して、H、C1-4アルキル、またはC1-4フルオロアルキルから選択され、
【0084】
R8は、 (i)H、C1-4アルキル、もしくはC1-4フルオロアルキル、あるい
は
(ii)天然もしくは非天然アルファ-アミノ酸の側鎖、または本明細書に記載されるペプチド、あるいは
(iii)ビオチンまたはビオチンに化学的に結合することから選択され、
【0085】
R9は、H、-N(R)(R12)、または-N+(Rl)(R12)(R13)X-、または-N(Rll)C(O)R14から選択され、
【0086】
R11、R12、及びR13は独立して、H、C1-4アルキル、またはC1-4フルオロアルキルから選択され、 R14は、H、C1-4アルキル、またはC1-4フルオロアルキルであり、
R10及びR15は独立して、C1-4アルキルまたはC1-4フルオロアルキルから選択され、
Xは、薬学的に許容されるアニオンである。
【0087】
いくつかの態様において, R
2はB-R
21であり、式中、
Bは、直接結合、-C(O)O*-、-C(R
23)(R
24)O*、C(O)O C(R
23)(R
24)*、または
C(R
23)(R
24)OC(O)O*であり、*と印が付けられた原子は、R
21に直接結合し、
R
23及びR
24は独立して、H、フルオロ、C
1-4アルキル、またはC
1-4フルオロアルキルから選択され、
R
21は、基[21]、[22]、[22A]、[23]、[24]、[25]、及び[26]から選択され、**と印が付けられた原子は、Bに直接結合し、
【化4】
R
25及びR
26は各々独立して、H、C
1-4アルキル、C
1-4フルオロアルキル、またはベンジルから選択され、
R
27は独立して、H、C
1-4アルキル、C
1-4フルオロアルキルから選択され、
R
28は、
(i)H、C
1-4アルキル、もしくはC
1-4フルオロアルキル、あるいは
(ii)天然もしくは非天然アルファ-アミノ酸の側鎖、または本明細書に記載されるペプチド、あるいは
(iii)ビオチンまたはビオチンに化学的に結合することから選択され、
【0088】
R29は、H、-N(R31)(R32)、または-N*(R31)(R32)(R33)X-、または-N(R31)C(O)R34から選択され、 R31、R32、及びR33は独立して、H、C1-4アルキル、またはC1-4フルオロアルキルから選択され、
R34は、H、C1-4アルキル、またはC1-4フルオロアルキルであり、
Xは、薬学的に許容されるアニオンであり、
R30及びR35は独立して、C1-4アルキルまたはC1-4フルオロアルキルである。
【0089】
上記のマーカッシュ群のうちのいずれかに関して、その群は、その群について列挙される種のうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0090】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるペプチドは、コネキシン調節剤、カルモジュリン調節剤、またはパネキシン調節剤でもよい。
【0091】
いくつかの態様において, Qは、式=NHOR
43のオキシムであり、式中、R
43は、
(i)H、C
1-4フルオロアルキル、もしくは任意選択的に置換されたC
1-4アルキルから選択されるか、または、
(ii)-A
300-R
300であり、
A
300は、直接結合、-C(O)O*-、-C(R
3)(R
4)O*-、-C(O)O-C(R
3)(R
4)O*-、または-C(R
3)(R
4)OC(O)O*-であり、*と印が付けられた原子は、R
30に直接結合し、
R
3及びR
4は独立して、H、フルオロ、C
1-4アルキル、もしくはC
1-4フルオロアルキルから選択されるか、または
R
3及びR
4共に、これらがシクロプロピル基を結合形成する原子、
R
300は、基[1]、[2]、[2A]、[3]、[4]、[5]、または[6]から選択され、**と印が付けられた原子は、A
300に直接結合し、
【化5】
【0092】
R5及びR6は各々独立して、H、C1-4アルキル、C1-4フルオロアルキル、またはベンジルから選択され、 R7は独立して、H、C1-4アルキル、またはC1-4フルオロアルキルから選択され、
R8は、
(iii)H、C1-4アルキル、もしくはC1-4フルオロアルキル、あるいは
(iv)天然もしくは非天然アルファ-アミノ酸の側鎖、または本明細書に記載されるペプチド、あるいは
(v)ビオチンまたはビオチンに化学的に結合することから選択され、
R9は、H、-N(R)(R12)、または-N+(R1l)(R12)(R13)X-、または-N(Rll)C(O)R14から選択され、
R11、R12、及びR13は独立して、H、C1-4アルキル、またはC1-4フルオロアルキルから選択され、
R14は、H、C1-4アルキル、またはC1-4フルオロアルキルであり、
R10及びR15は独立して、C1-4アルキルまたはC1-4フルオロアルキルから選択され、
Xは、薬学的に許容されるアニオンである。
【0093】
ある実施形態において、R43、任意選択的にリン酸基(P(O)OR61R62)で置換されたC1-4アルキルである。そのような実施形態の実施例において、OR43は、-OCH2P(O)OR61OR62であり、式中、R61及びR62は独立して、HまたはC1-4アルキルである。
【0094】
別の実施形態において、R43は、C(O)CH(R100)NH2の構造を有するアミノ酸誘導体であり、式中、基であるR100は、天然もしくは非天然アミノ酸の側鎖、または本明細書に記載されるペプチドである。
【0095】
ある実施形態において、OR43は、-OC(O)CH(CH(CH3)2)NH2である。
【0096】
いくつかの実施形態において、上記のマーカッシュ群のうちのいずれかに関して、各群は、その群について列挙される種のうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0097】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるペプチドは、本明細書に開示されるペプチドまたはペプチド摸倣薬調節剤、例えば、ペプチドまたはペプチド摸倣コネキシン調節剤もしくはパネキシン調節剤のうちのいずれかでもよい。いくつかの態様において、ペプチドコネキシン調節剤は、配列番号140~200、237~313、及び343~356のうちのいずれかでもよい。
【0098】
本明細書に記載される組成物は、本明細書に記載されるものを含むか、または含まない眼の病態に使用することができる。
【0099】
いくつかの態様において、プロドラッグは、国際公開第2014/006407合に記載されるものでもよく、本明細書に参照により組み込まれる。いくつかの態様において、コネキシン調節剤のプロモイエティは、眼の1つ以上の領域または構造体を標的とするシャペロン部分を含んでもよい。プロモイエティは、本開示の任意のペプチド摸倣薬またはペプチド拮抗薬でもよい。いくつかの実施形態において、プロモイエティは、任意選択的に単一のアミノ酸の官能基上で保護される単一のアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態において、プロモイエティは、標的種であり得る。いくつかの態様において、プロモイエティは、細胞膜上の内向き流束または外向き流束トランスポータの基質でもよい。プロモ
イエティは、例えば、化学結合したビオチンでもよい。プロモイエティは、例えば、化学結合したD-セリンでもよい。
【0100】
本発明の方法の一態様において、本明細書に記載される1つ以上のギャップ結合調節剤、1つ以上のパネキシンチャネル調節剤、1つ以上のヘミチャネル調節剤、1つ以上のコネキシン調節剤、または1つ以上のパネキシン調節剤は、例えば、緑内障、眼線維症、眼低酸素症、AMD、DME、眼低酸素症、及び/または眼の神経障害性障害を含む眼の障害を治療するのに有用な1つまたは複数の眼治療薬と組み合わせて投与されてもよい。本発明のいくつかの態様において、眼の障害、例えば、湿潤型AMDもしくは乾燥型AMD、神経障害性の眼の障害、例えば、眼内網膜神経節細胞の喪失、緑内障性眼神経障害、及び/または眼圧関連神経障害の治療のために投与される1つ以上のコネキシン調節剤またはパネキシン調節剤は、眼治療薬と一緒に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、1つ以上のギャップ結合調節剤、1つ以上のパネキシンチャネル調節剤、1つ以上のヘミチャネル調節剤、1つ以上のコネキシン調節剤、またはより多くのパネキシン調節剤は、1つ以上のギャップ結合調節剤、1つ以上のパネキシンチャネル調節剤、1つ以上のヘミチャネル調節剤、1つ以上のコネキシン調節剤、またはより多くのパネキシン調節剤、及び眼治療薬を含む製剤で共投与されてもよい。
【0101】
本発明の1つ以上のギャップ結合調節剤、1つ以上のパネキシンチャネル調節剤、1つ以上のヘミチャネル調節剤、1つ以上のコネキシン調節剤、または1つ以上のパネキシン調節剤と組み合わせて使用するための眼治療薬には、例えば、VEGF拮抗薬等の抗VEGF調節剤、mTOR阻害剤、PDGF拮抗薬等のPDGF調節剤、S1P産生の阻害剤、スクアラミン、PEDF産生物質、チューブリン結合剤、インテグリン阻害剤、または、例えば、新生血管形成(neovascularation)AMDもしくは湿潤型AMDの治療において有用な他の治療薬が含まれる。好ましくは、本発明の調節剤のうちの1つ以上と組み合わせて使用するための眼治療薬は、PDGF調節剤である。いくつかの態様において、調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0102】
いくつかの態様において、VEGF調節剤は、VEGFを抑制及び/もしくは阻害するか、またはVEGFの上流作用薬(upstream agonist)を抑制及び/もしくは遮断する拮抗薬でもよい。いくつかの態様において、VEGF拮抗薬には、例えば、VEGFに結合し、抑制する拮抗薬、VEGFの発現を抑制する化合物、及び/あるいはVEGF阻害剤を含むか、またはVEGFを遮断もしくは抑制するタンパク質もしくはアンチセンスポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターが含まれる。いくつかの態様において、VEGFを抑制する種及び/またはVEGFの上流作用薬は、抗体または抗体断片、ナノボディ、ペプチドもしくはペプチド模倣薬、受容体断片、遺伝子組換え融合タンパク質、アプタマー、小分子、または一本鎖可変領域断片(scFv)でもよい。いくつかの態様において、VEGF拮抗薬抗体は、例えば、Lucentis(商標)(ラニビズマブ)、及び/またはAvastin(商標)(ベバシズマブ)でもよい。
【0103】
細胞におけるmTOR活性の増加は、血管細胞におけるmTOR活性を増加させることによって血管形成を促進するVEGF及びPDGFの分泌をもたらし得る。本発明のいくつかの態様において、VEGF調節剤は、VEGF-RまたはmTORの活性を減少させ、それにより血管形成を減少させる。いくつかの態様において、VEGF結合相手の上流作用薬を抑制及び/または遮断し、VEGFを抑制するVEGF拮抗薬は、RTP801阻害剤または遮断薬でもよい。さらに細胞におけるmTOR活性の増加は、血管細胞におけるmTOR活性を増加させることによって血管形成を促進するVEGF及びPDGFの分泌をもたらし得る。したがって、いくつかの態様において、VEGF調節剤は、mTOR阻害剤、例えば、マクロライドまたは小分子でもよい。
【0104】
本発明のギャップ結合調節剤、1つ以上のパネキシンチャネル調節剤、1つ以上のヘミチャネル調節剤、1つ以上のコネキシン調節剤、または1つ以上のパネキシン調節剤のうちの1つ以上と組み合わせて使用するための眼治療薬には、例えば、補体調節剤、ならびに、例えば、地図状萎縮、乾燥型AMD、非滲出型AMD、及び/またはドルーゼン発生の治療において有用な他の治療薬も含まれる。補体調節剤は、例えば、コンプスタチン、TP10、エクリズマブ、ARC1905、JPE-1375、PMX53、ランパリズマブ、またはrhCFHpでもよい。
【0105】
いくつかの態様において、本発明のギャップ結合調節剤、1つ以上のパネキシンチャネル調節剤、1つ以上のヘミチャネル調節剤、1つ以上のコネキシン調節剤、または1つ以上のパネキシン調節剤のうちの1つ以上と組み合わせて使用するための眼治療薬は、TNF-アルファ阻害剤、C-rafキナーゼ阻害剤、NSAID、またはnAChR阻害剤を含み得る。
【0106】
本発明の投与、共投与、組成物、キット、または治療の方法のうちのいずれかで使用される抗コネキシン調節剤は、Cx43調節剤、Cx45調節剤、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、及びCx57の調節剤、または眼(もしくは他の)血管中に存在する任意のコネキシンの調節剤でもよい。
【0107】
緑内障及び/もしくは網膜潅流障害、湿潤型及び/もしくは乾燥型AMD等の眼の障害、または本明細書に示される任意の他の眼の障害の治療において有用な眼治療薬は、例えば、ブリモニジン等のアルファ2作用薬、炭酸アニヒドラーゼ(anyhydrase)阻害剤、ベータ遮断薬、F2αプロスタグランジン類似体、抗アポトーシス剤、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬、Rhoキナーゼ阻害剤、またはグルタミン酸放出阻害剤であり得る。眼治療薬は、例えば、チモロール&トラボプロストまたはチモロール&ドルゾラミド等のベータ遮断薬及び炭酸脱水酵素阻害剤、ブリモニジン及びチモロール等のアルファ2作用薬とベータ遮断薬との組み合わせ、またはブリンゾラミド及びブリモニジン等のアルファ2作用薬と炭酸アニヒドラーゼ(anyhydrase)阻害剤との組み合わせを含んでもよいか、または含まなくてもよい2つ以上の眼治療薬を投与することを含む、複合療法でもよい。いくつかの態様において、眼治療薬は、Rhoキナーゼ阻害剤を含んでもよいか、または含まなくてもよい。他の態様において、眼治療薬は、アデノシン摸倣物でもよい。他の眼治療薬は、毛様体神経栄養因子(ciliary neurotropic factor)または神経成長因子等の神経栄養因子(neurotrophin)を含んでもよい。いくつかの態様において、眼治療薬は、アリベルセプト(alibercept)、ランパリズマブ、ソネプシズマブ、フェンレチニド、ラニビズマブ(例えば、Lucentis(商標))、ベバシズマブ(例えば、Avastin(商標))、タンパク質毛様体神経栄養因子、血管内皮成長因子調節化合物、及び低酸素誘導因子1-アルファ調節化合物、ならびにこれらの任意の混合物のうちの1つ以上を含んでもよいか、または含まなくてもよい。一態様において、単独で、または1つ以上の眼治療薬と組み合わせて投与されるギャップ結合調節剤、パネキシンチャネル調節剤、ヘミチャネル調節剤、コネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤は、修飾されていてもよいか、または修飾されていなくてもよい。本発明のいくつかの態様において、修飾コネキシンまたはパネキシン調節剤は、修飾及び未修飾ヌクレオチドまたは修飾及び未修飾アミノ酸等の修飾及び未修飾部分を含んでもよい。いくつかの態様において、コネキシンまたは他の調節剤は、例えば、本明細書に記載される修飾オリゴヌクレオチド、修飾ポリヌクレオチド、または修飾ペプチド、もしくはペプチド摸倣薬でもよい。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、1つ以上の眼治療薬の前、それと一緒に、もしくはそれの後に、またはそれと同じもしくは並行した投与スケジュールで、あるいはそれと同じ製剤中で共投与されてもよい。いくつかの態様において、パネキシンまたは他の調節剤
は、例えば、本明細書に記載される修飾オリゴヌクレオチド、修飾ポリヌクレオチド、または修飾ペプチドもしくはペプチド摸倣薬でもよい。いくつかの態様において、パネキシンまたは他の調節剤は、1つ以上の眼神経障害の治療と一緒にもしくはそれの後に、またはそれと同じもしくは並行した投与スケジュールで投与されてもよい。いくつかの態様において、パネキシンまたは他の調節剤は、例えば、本明細書に記載される修飾オリゴヌクレオチド、修飾ポリヌクレオチド、または修飾ペプチドもしくはペプチド摸倣薬でもよい。いくつかの態様において、パネキシンまたは他の調節剤は、1つ以上の眼神経障害の治療と一緒にもしくはそれの後に、またはそれと同じもしくは並行した投与スケジュールで投与されてもよい。
【0108】
本発明の方法のいくつかの態様において、2つ以上のギャップ結合調節剤、ヘミチャネル調節剤、または本明細書に記載される2つ以上のコネキシン調節剤等が、投与されてもよく、これらは、同じまたは異なる種類の調節剤、例えば、2つ以上のポリヌクレオチド、2つ以上のペプチドもしくはペプチド摸倣化合物、または2つ以上の化合物でもよい。例えば、本発明の方法のいくつかの態様において、本明細書に記載される2つ以上のCx43調節剤が、投与されてもよく、これらは、同じまたは異なる種類の調節剤、例えば、2つ以上のポリヌクレオチド、2つ以上のペプチドもしくはペプチド摸倣化合物、または2つ以上の化合物でもよい。いくつかの実施形態において、例えば、1つ以上のCx43ポリヌクレオチドは、1つ以上のCx43ペプチドもしくはペプチド模倣薬、及び/または1つ以上の抗コネキシン化合物、あるいはこれらの任意の副組み合わせと一緒に共投与されてもよい。いくつかの態様において、本発明の方法は、タンパク質発現を調節することによって、ギャップ結合チャネルを一時的に調節するための、コネキシンアンチセンスポリヌクレオチドの投与を含んでもよく、ギャップ結合チャネル機能を直接かつより早急に調節するための、コネキシンペプチドまたはペプチド摸倣薬の投与をさらに含む。例えば、本発明の方法は、タンパク質発現を調節することによって、ギャップ結合チャネルを一時的に調節するための、Cx43アンチセンスポリヌクレオチドの投与を含んでもよく、ギャップ結合チャネル機能を直接調節するための、Cx43ペプチドまたはペプチド摸倣薬の投与をさらに含む。調節剤は、Cx43、Cx45、及び/またはパネキシン等の同じまたは異なるタンパク質も標的としてもよい。コネキシン調節剤及び/または遮断薬、パネキシン調節剤及び/または遮断薬、ギャップ結合調節剤、ヘミチャネル調節剤及び/または遮断薬は、修飾されていてもよいか、または修飾されていなくてもよい。
【0109】
本発明の方法のいくつかの態様において、本明細書に記載される1つ以上のギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤は、パネキシン調節剤と一緒に投与されてもよく、これらは、同じまたは異なる種類の調節剤、例えば、2つ以上のポリヌクレオチド、2つ以上のペプチドもしくはペプチド摸倣化合物、または2つ以上の化合物でもよい。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、Cx43調節剤である。
【0110】
本発明の方法のいくつかの態様において、本明細書に記載される2つ以上のパネキシン調節剤またはパネキシンチャネル調節剤が、投与されてもよく、これらは同じまたは異なる種類の調節剤、例えば、2つ以上のポリヌクレオチド、2つ以上のペプチドもしくはペプチド摸倣化合物、または2つ以上の化合物でもよい。
【0111】
本明細書でさらに説明されるように、修飾オリゴヌクレオチドは、次の選択された構成成分:修飾ヌクレオシド間結合、例えば、ホスホロチオエート結合、及び修飾糖部分、例えば、立体配座的に緊張させた糖類、例えば、LNAまたはBNAのうちの1つ以上をさらに含む。
【0112】
本発明のいくつかの態様において、コネキシン調節剤(例えば、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx43、Cx45、Cx50、もしくは
Cx57調節剤)または本発明のパネキシン調節剤は、薬学的に許容される担体または希釈剤と合わせられて、薬学的組成物を産生する。いくつかの態様において、好適な担体及び希釈剤としては、緩衝化した水溶液、等張食塩水液、例えば、リン酸緩衝食塩水、等張水等が挙げられる。
【0113】
別の態様において、P2X7受容体拮抗薬は、本明細書に示される疾患、障害、及び病態を治療するために、単独で、またはギャップ結合調節剤、パネキシンチャネル調節剤、ヘミチャネル調節剤、コネキシン調節剤、及び/もしくはパネキシン調節剤と一緒に投与される。P2X7拮抗薬には、NF279スラミン類似体)、カルミダゾリウム(カルモジュリン拮抗薬)、KN-62(CaMキナンゼ(kinanse)II拮抗薬)、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、及び銅が含まれる。
【0114】
様々な好ましい実施形態は、本明細書に示される疾患、障害、及び病態を治療
するための、単独で、またはパネキシンチャネル開口を遮断もしくは改善するか、さもなければ拮抗もしくは抑制する小分子と一緒に、ヘミチャネル開口を遮断または改善するか、さもなければ拮抗または抑制する小分子の使用を含む。様々な好ましい実施形態において、ヘミチャネル開口を遮断または改善もしくは抑制する小分子は、トナベルサットもしくはその類似体、またはこれらのいずれかのプロドラッグである。様々な実施形態において、パネキシンチャネル開口を遮断または改善もしくは抑制する小分子は、プロベネシドもしくはその類似体、またはこれらのいずれかのプロドラッグである。様々な好ましい実施形態において、疾患、障害、または病態は、眼新生血管疾患、眼の浮腫、眼の微小血管障害、及び糖尿病性の眼の疾患である。ある特定の実施形態において、疾患、障害、または病態は、糖尿病性網膜症、虚血性網膜症、脈絡膜血管新生、虹彩血管新生、角膜血管新生、網膜血管新生、眼内血管新生、湿潤型老人性黄斑変性、乾燥型老人性黄斑変性、眼の地図状萎縮、糖尿病性黄斑浮腫、糖尿病性網膜症、糖尿病性網膜虚血、増殖性糖尿病性網膜症、コーツ病、網膜中心静脈閉塞(CRVO)、分岐網膜中心静脈閉塞(BRVO)、未熟児の網膜症(ROP)、結膜下出血、及び高血圧性網膜症、ぶどう膜炎または白内障である。
【0115】
他の好ましい実施形態において、疾患、障害、または病態は、開放隅角緑内障、閉塞隅角緑内障、及び正常眼圧緑内障と、続発緑内障、色素性緑内障、偽落屑緑内障、外傷性緑内障、血管新生緑内障及び虹彩角膜内皮症候群(ICE)、ならびに血管新生緑内障等の開放隅角緑内障ならびに閉塞隅角緑内障の変異形と、を含む緑内障である。別の好ましい実施形態において、疾患、障害、または病態は、ドライアイ疾患である。別の実施形態において、疾患、障害、または病態は、眼内及び角膜の持続性の上皮欠損である。さらに他の好ましい実施形態において、疾患、障害、または病態は、慢性皮膚創傷、糖尿病性足部潰瘍、静脈下腿潰瘍、及び褥瘡を含む潰瘍または潰瘍性病変である。別の好ましい実施形態において、疾患、障害、または病態は、脊髄損傷及び視神経損傷を含むCNS外傷である。本発明は、新生血管障害と診断されたか、または新生血管障害発症のリスクがある患者を治療するための方法も取り上げ、単独で、またはパネキシンチャネル開口を遮断もしくは改善するか、さもなければ拮抗もしくは抑制する小分子と一緒に、ヘミチャネル開口を遮断または改善するか、さもなければ拮抗または抑制する小分子の投与に加えて、本方法は、治療処置として患者に、抗VEGF剤及び/または抗PDGF剤を投与することも含む。一態様において、PDGF拮抗薬及び/またはVEGF拮抗薬は、患者における新生血管障害を抑制するのに十分な量で、ヘミチャネル拮抗薬及び/もしくはパネキシンチャネル拮抗薬の投与と同時に、または約1~5、10、もしくは90日以内に投与される。本発明の方法の特定の実施形態において、PDGF拮抗薬及び/またはVEGF拮抗薬は、ヘミチャネル拮抗薬もしくは阻害剤、及び/またはパネキシンチャネル拮抗薬もしくは阻害剤と同時に投与される。一実施形態において、PDGF拮抗薬は、PDGF-B拮抗薬である。別の実施形態において、VEGF拮抗薬は、VEGF-A拮抗薬である。ある
特定の実施形態において、PDGF拮抗薬は、核酸分子、アプタマー、アンチセンスRNA分子、リボザイム、RNAi分子、タンパク質、ペプチド、環状ペプチド、抗体、抗体断片の結合断片、糖類、ポリマー、または小分子である。別の実施形態において、VEGF拮抗薬は、核酸分子、アプタマー、アンチセンスRNA分子、リボザイム、RNAi分子、タンパク質、ペプチド、環状ペプチド、抗体、抗体断片の結合断片、糖類、ポリマー、または小分子である。特定の実施形態において、本発明の本方法は、EYE001アプタマー等のアプタマーであるVEGF拮抗薬の投与を伴う。別の実施形態において、本発明の本方法は、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)またはLucentis(登録商標)(ラニビズマブ)等の、抗体またはその結合断片であるVEGF拮抗薬の投与を伴う。特定の実施形態において、本発明の本方法は、アプタマー、抗体、またはこれらの結合断片であるPDGF拮抗薬の投与を伴う。別の特定の実施形態において、本発明の本方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであるPDGF拮抗薬の投与を伴う。本発明のこの態様のなおも別の実施形態において、PDGF拮抗薬及び/またはVEGF拮抗薬は、プロドラッグである。別の実施形態において、本発明の本方法は、眼新生血管障害を抑制または治療するための手段を提供する。いくつかの実施形態において、本発明の方法による治療または抑制に適している眼新生血管障害には、虚血性網膜症、虹彩血管新生、眼内血管新生、老人性黄斑変性、角膜血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、糖尿病性網膜虚血、または増殖性糖尿病性網膜症が挙げられる。さらに別の実施形態において、本発明の方法は、乾癬またはリウマチ性関節炎を、治療を必要とする患者、またはそのような障害と診断されたか、もしくはそのような障害を発症するリスクのある患者において、抑制または治療するための手段を提供する。本発明は、単独で、またはパネキシンチャネル開口を遮断もしくは改善するか、さもなければ拮抗もしくは抑制する小分子と一緒に、ヘミチャネル開口を遮断または改善するか、さもなければ拮抗または抑制する小分子のうちの1つ以上と共に、PDGF拮抗薬及び/またはVEGF拮抗薬を含む薬学的組成物、ならびに薬学的に許容される担体も提供する。この態様において、PDGF及び/またはVEGF拮抗薬は、患者における新生血管障害を抑制するのに十分な量(複数可)で存在する。本発明のこの薬学的組成物は、ミクロスフェア、ナノ粒子、またはヒドロゲル配合物を含む薬学的に許容される担体を含んでもよい。本発明のこの態様の別の実施形態は、単独で、またはパネキシンチャネル開口を遮断もしくは改善するか、さもなければ拮抗もしくは抑制する小分子と一緒に、ヘミチャネル開口を遮断または改善するか、さもなければ拮抗または抑制する小分子と共に、PDGF拮抗薬及び/またはVEGF拮抗薬を含む医薬パックを提供する。この態様の一実施形態において、医薬パックは、PDGF-B拮抗薬であるPDGF拮抗薬を含む。この態様の別の実施形態において、医薬パックは、VEGF-A拮抗薬であるVEGF拮抗薬を含む。別の実施形態において、医薬パックのPDGF拮抗薬及びVEGF拮抗薬は、別個に、かつ個々の投与量で製剤化される。さらに別の実施形態において、医薬パックのPDGF拮抗薬及びVEGF拮抗薬は、一緒に製剤化される。抗VEGF剤及び/または抗PDGF剤の組み合わせも、眼新生血管疾患の治療のための、驚くほどの相助作用的治療効果を提供することができることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【
図1A】ギャップ結合のカップリングレベルの指標として、隣接hCMVEC細胞に拡散するルシファーイエローを使用したスクレープ負荷研究。無治療群において、染料は、隣接細胞にすぐに拡散する。100μMのより低い投与量でのペプチド5は、カップリングにほとんど影響を与えなかったが、より高い500μMの投与量では、拡散が即時に減少した。時間と共に、両方のペプチド濃度が、ギャップ結合のアンカップリングを2時間遅くする。グラフは、ペプチド5の遮断有効性(即時の遮断、500μM)を、非特異的ギャップ結合チャネル遮断薬であるカルベノキソロンと比較した、類似した実験の定量化を示す。
【
図1B】ギャップ結合のカップリングレベルの指標として、隣接hCMVEC細胞に拡散するルシファーイエローを使用したスクレープ負荷研究。無治療群において、染料は、隣接細胞にすぐに拡散する。100μMのより低い投与量でのペプチド5は、カップリングにほとんど影響を与えなかったが、より高い500μMの投与量では、拡散が即時に減少した。時間と共に、両方のペプチド濃度が、ギャップ結合のアンカップリングを2時間遅くする。グラフは、ペプチド5の遮断有効性(即時の遮断、500μM)を、非特異的ギャップ結合チャネル遮断薬であるカルベノキソロンと比較した、類似した実験の定量化を示す。
【
図2】様々な期間に、50μMのトナベルサットで治療したhCMVEC細胞において拡散するスクレープ負荷した染料の定量化。トナベルサットは、いくらか即時的なチャネル遮断効果を有し、その有効性は、時間とともに上昇する。*=p<0.05、**=p<0.001、***=p<0.001。
【
図3】用量依存的様式での、APRE-19細胞におけるCx43のトナベルサットノックダウン。対照媒体中、ならびに50及び100マイクロモルの濃度でのトナベルサットを用いたプレインキュベーションの6時間後のARPE-19細胞。細胞は、コネキシン43に対して標識される。対照細胞内で、ギャップ結合は、細胞間接触面で明らかに局在化されるか、50マイクロモルのトナベルサットを用いての6時間後、大部分の結合が内部移行されるか、または失われる。より高い100マイクロモルのトナベルサット中での6時間で、ほんの少しのコネキシン43標識化が残る。
【
図4】ARPE-19細胞中のギャップ結合タンパク質コネキシン43におけるDAPI(核染色)および標識(左のパネル)、ならびに一致するコネキシン43のみの標識(右手のパネル)。未処理細胞内のギャップ結合標識は、主に細胞間接触面にある(上部パネル)。ペプチド5(500μM)で1時間処理した細胞内で、細胞間接触面は依然として明らかであるが、ギャップ結合の大部分が内部移行されている(下方パネル)。
【
図5】コネキシン43遺伝子導入HeLa細胞(上部出力記録)及びコネキシン欠損HeLa細胞(下部出力記録)における電気生理学的記録。電圧ステップが上げられるに従い、チャネル活性の増加が遺伝子導入細胞内で認められたが、コネキシン欠損細胞内には存在しない。したがって、遺伝子導入細胞内のチャネル活性は、コネキシン43ヘミチャネル開口の結果である。
【
図6】非特異的チャネル遮断薬カルベノキソロン及びLaCl3で、ならびにペプチド5(100μM)で処理されたコネキシン43遺伝子導入HeLa細胞からの電気生理学的出力記録。非特異的チャネル遮断薬は、(
図7の未処理HeLa細胞と比較して)実質上完全なヘミチャネル遮断を示し、チャネル活性がほとんど残らない。ペプチド5も、かなりのヘミチャネル遮断を示す。
【
図7】電気生理学的出力記録は、
図5及び6に示されるものと同等の実験を形成する。この場合、HCMVEC細胞は、トナベルサット(50μM)の添加前(上部パネル)、トナベルサットでのインキュベーションの間(中央パネル)、及び洗い出しの3分後(下部パネル)に示される。これらの結果は、トナベルサットがヘミチャネル活性をほぼ完全に消失させ、活性の徴候が洗い出しの後に戻ることを示し、トナベルサットが非常に有効であり、直接的ヘミチャネル遮断薬であることを示す。
【
図8A】トナベルサットは、損傷したhCMVEC細胞からのヘミチャネル媒介ATP放出を制御する。試験管内での損傷への2時間の暴露後に、hCMVEC細胞から放出されたATP。総細胞外ATP放出の定量化を、各治療群について、損傷対照群のパーセントとして示す。ATPの大幅な減少は、損傷対照群と比較して、すべての治療群:100μMのCBX、100μMのペプチド5及び1mMのプロベネシド、ならびに1mMのプロベネシドと組み合わせた100μMのペプチド5にわたって存在し、後者の組み合わせは、総ATP放出をCBXと同じレベルにまで減少させた。値は、平均±標準誤差を表す。***損傷対照群に対してP<0.001。
【
図8B】トナベルサットは、損傷したhCMVEC細胞からのヘミチャネル媒介ATP放出を制御する。総細胞外ATP放出の定量化を、各治療群について、損傷対照群のパーセントとして示す。ATPの大幅な減少は、損傷対照群と比較して、すべての治療群:100μMのCBX、1mMのプロベネシドと組み合わせた0.1μM~100μMのトナベルサットにわたって存在した。値は、平均±標準誤差を表す。***損傷対照群に対してP<0.001。
【
図8C】トナベルサットは、損傷したhCMVEC細胞からのヘミチャネル媒介ATP放出を制御する。この実験において、トナベルサットは、1mMのプロベネシド(p>0.09)一元配置分散分析、テューキーの多重比較検定の非存在下で、hCMVEC細胞からのATP放出を減少させなかった。値は、平均±標準誤差を表す。***損傷対照群に対してP<0.001。
【
図9】低酸素症再潅流:試験管内で損傷への2時間の暴露、続いて再潅流への2時間の暴露後に、サブコンフルエントhCMVEC細胞から放出されたATP。ATPを、傷害再潅流(IR)制御群のパーセントとして定量化する。ATPの大幅な減少は、100μMのCBX、100μMのペプチド5、及び100μMのペプチド5ならびに1mMのプロベネシドでは認められたが、1mMのプロベネシドそれだけでは認められなかった。ATPの大幅な減少は、10μMのトナベルサットでも認められた。値は、平均±標準誤差を表す。一元配置分散分析テューキーの多重比較検定*IR対照群に対してP<0.05。
【
図10A】トナベルサットでの1時間の治療は、ARPE-19細胞内のリソソーム分解経路を介して、Cx43 GJプラークを下方制御する。血清補充媒体中で、100μMのトナベルサット(上)、及び100μMのトナベルサット+NH4Cl中での1時間のCx43の免疫標識(n=3つのウェル、2つの独立した実験)。
【
図10B】トナベルサット(5~500μM)で1時間治療した後の、1個の細胞当たりのCx43プラークの総面積の定量化。
【
図10C】NH4Clと一緒にトナベルサット(50~500μM)で6時間治療した後の、1個の細胞当たりのCx43プラークの総面積の定量化。B及びCを、非治療制御群に正規化する。有意な差異は、***p<.0001と表す。バーは、平均±S.E.M及び間の差異を表す。スケールバー=30μm。
【
図11A】トナベルサットは、ARPE-19細胞内のCx43 GJプラークを内部移行し、下方制御する。A.血清補充媒体中で、非治療群(上)、100μMのトナベルサット(下)中での1時間のCx43の免疫標識(n=3つのウェル、2つの独立した実験)。B.トナベルサット(5~500μM)で1時間治療した後の、1個の細胞当たりのCx43プラークの総面積の定量化。トナベルサット(5~500μM)で6時間治療した後の、1個の細胞当たりのCx43プラークの総面積の定量化。B及びCを、非治療制御群に正規化する。バーは、平均±S.E.Mを表し、有意な差異は、***p<.0001を表す。統計的検定一元配置分散分析、スケールバー=30μm。
【
図11B】トナベルサットは、ARPE-19細胞内のCx43 GJプラークを内部移行し、下方制御する。A.血清補充媒体中で、非治療群(上)、100μMのトナベルサット(下)中での1時間のCx43の免疫標識(n=3つのウェル、2つの独立した実験)。B.トナベルサット(5~500μM)で1時間治療した後の、1個の細胞当たりのCx43プラークの総面積の定量化。トナベルサット(5~500μM)で6時間治療した後の、1個の細胞当たりのCx43プラークの総面積の定量化。B及びCを、非治療制御群に正規化する。バーは、平均±S.E.Mを表し、有意な差異は、***p<.0001を表す。統計的検定一元配置分散分析、スケールバー=30μm。
【
図11C】トナベルサットは、ARPE-19細胞内のCx43 GJプラークを内部移行し、下方制御する。A.血清補充媒体中で、非治療群(上)、100μMのトナベルサット(下)中での1時間のCx43の免疫標識(n=3つのウェル、2つの独立した実験)。B.トナベルサット(5~500μM)で1時間治療した後の、1個の細胞当たりのCx43プラークの総面積の定量化。トナベルサット(5~500μM)で6時間治療した後の、1個の細胞当たりのCx43プラークの総面積の定量化。B及びCを、非治療制御群に正規化する。バーは、平均±S.E.Mを表し、有意な差異は、***p<.0001を表す。統計的検定一元配置分散分析、スケールバー=30μm。
【
図12A】トナベルサットでの6時間の治療は、ARPE-19細胞内のリソソーム分解経路を介してCx43 GJプラークを下方制御する。血清補充媒体中で、100μMのトナベルサット(上)、及び100μMのトナベルサット+NH4Cl中での6時間のCx43の免疫標識(n=3つのウェル、2つの独立した実験)。
【
図12B】トナベルサットでの6時間の治療は、ARPE-19細胞内のリソソーム分解経路を介してCx43 GJプラークを下方制御する。トナベルサット(5~500μM)で1時間治療した後の、1個の細胞当たりのCx43プラークの総面積の定量化。
【
図12C】トナベルサットでの6時間の治療は、ARPE-19細胞内のリソソーム分解経路を介してCx43 GJプラークを下方制御する。NH4Clと一緒にトナベルサット(50~500μM)で6時間治療した後の、1個の細胞当たりのCx43プラークの総面積の定量化。B及びCを、非治療制御群に正規化する。有意な差異***p<.0001。バーは、平均±S.E.M及び間の差異を表す。スケールバー=30μm。
【
図13】DMSO(溶媒対照群)、または50μMのトナベルサットで1時間インキュベートしたARPE-19細胞のコンフルエントな単層中のCx43 mRNAレベル。バーは、平均±S.E.M(n=3)を表す。非治療群(p=0.7572)及び溶媒対照群(p=0.10245)の両方と比較して、50μMのトナベルサットでの治療後のARPE-19細胞内のCx43 mRNAに優位な差異は存在しなかった。一元配置分散分析テューキーの多重比較検定。
【
図14A】様々な治療群に関する、対照群に対する、ATP濃度。
【
図14B】様々な治療群に関する、対照群に対する、%細胞生存率の比較。
【
図15】60分間の120mm Hgでの網膜虚血の7日後の網膜神経節細胞密度。虚血眼及び対側性眼の両方の結果を示す。平均±標準誤差。N=2、6、6、6、5、4、4。NT、非治療;T、トナベルサット。統計学的に有意な(p<0.01)RGCの31%の喪失が、正常対照群(242558±15840個の細胞/cm2)と比較して、非治療での虚血眼に見出された(167111±14188個の細胞/cm2、平均±標準誤差)。統計学的に有意な(p=0.03)35%のRGC喪失が、10mg/kgのトナベルサットで治療した虚血眼に見出された(158739±26370個の細胞/cm2)。しかしながら、1mg/kgのトナベルサットで治療した虚血眼は、他の群より少ない細胞喪失を維持した(18%、199927±26058個の細胞/cm2)。この群と正常対照群との間の差異は、傾向(p=0.17)であった。RGCの喪失は、すべての対側性眼に見出されなかった。
【
図16A】試験管内での、hCMVEC細胞内の細胞間通信へのトナベルサットの機能的影響。溶媒対照群において、LY染料は、カップリングしたGJを介して隣接細胞にすぐに拡散する。即時または2時間のトナベルサット治療(50μM)は、GJがアンカップリングされるに従い、LY染料移動の減少を引き起こす。
【
図16B】試験管内での、hCMVEC細胞内の細胞間通信へのトナベルサットの機能的影響。即時から24時間の時間間隔で、50μMのトナベルサットで治療したLY陽性hCMVEC細胞の定量化。GJのトナベルサット媒介アンカップリングは、時間とともに上昇する。
【
図16C】試験管内での、hCMVEC細胞内の細胞間通信へのトナベルサットの機能的影響。より低い濃度のトナベルサット(10μM、1μM、0.1μM)は、この実験において2時間後、GJアンカップリングを引き起こさなかった。バーは、平均±S.E.Mを表す(一元配置分散分析、続いてテューキーの事後の検定)n=3つのウェル、3つの独立した実験。*=p<0.05、**=p<0.001、***=p<0.001。
【
図16D】試験管内での、hCMVEC細胞内の細胞間通信へのトナベルサットの機能的影響。より低い濃度のトナベルサット(10μM、1μM、0.1μM)は、この実験において24時間後に、GJアンカップリングを引き起こさなかった。バーは、平均±S.E.Mを表す(一元配置分散分析、続いてテューキーの事後の検定)n=3つのウェル、3つの独立した実験。*=p<0.05、**=p<0.001、***=p<0.001。
【
図17】複数の選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの遺伝子導入取り込みのFACSデータ。
【
図18】HUVEC細胞(遺伝子導入後4時間)内でFAM標識SEQ4-PTOの取り込み(修飾)を示す、共焦点顕微鏡法による生細胞の画像。緑は、オリゴ配列1-O(FAM標識)を表し、青は、DAPIによって染色された細胞核を表す。
【
図19】緑は、オリゴSEQ1-O(FAM標識)を表し、青は、DAPIによって染色された細胞核を表す。
【
図20】qPCRで測定した、コネキシン43のノックダウン効率を示す。データは、3つの複製物の標準偏差を示す。
【
図21】ウェスタンブロット法(n=3)によって測定したコネキシン43のノックダウン効率。データは、3つの複製物の標準偏差を示す。
【
図22A】遺伝子導入の4時間後の時点でqPCRによって測定した修飾(PTO)及び未修飾配列のノックダウン効率。オリゴ濃度:(1)=200nM、(3/4)=150nM、(1/2)=100nM、C:SEQ1、SEQ4:37501、Cscr:SEQ1組み換え、LP2scr:SEQ4組み換え、橙色の棒:陰性対照群。(各結果に関してn=3)。
【
図22B】遺伝子導入の8時間後の時点でqPCRによって測定した修飾(PTO)及び未修飾配列のノックダウン効率。オリゴ濃度:(1)=200nM、(3/4)=150nM、(1/2)=100nM、C:SEQ1、SEQ4:37501、Cscr:SEQ1組み換え、LP2scr:SEQ4組み換え、橙色の棒:陰性対照群。(各結果に関してn=3)。
【
図23】ウェスタンブロット法で測定したノックダウン効率。データは、3つの複製物の標準偏差を示す。ウェスタンブロット法(n=3)で測定したノックダウン効率。オリゴ濃度:(1)=200nM;(3/4)=150nM;(1/2)=100nM;C:SEQ1;SEQ4:37501;Cscr:SEQ1組み換え;LP2scr:SEQ4組み換え;橙色バー:陰性対照群
【
図24】異なる配列のコネキシン43のノックダウン効率に関してqPCRによって分析した異なる配列。Cscr:SEQ1組み換え、Csen:SEQ1センス鎖、LP2scr2:SEQ4組み換え、LP2sen:SEQ4センス鎖、47001scr2:SEQ5組み換え、47001sen:SEQ5センス鎖、NC1:全称否定1、NC2:全称否定2
【
図25】異なる配列のコネキシン43のノックダウン効率に関してウェスタンブロット法によって分析した異なる配列。Cscr:SEQ1組み換え、Csen:SEQ1センス鎖、LP2scr2:SEQ4組み換え、LP2sen:SEQ4センス鎖、47001scr2:SEQ5組み換え、47001sen:SEQ5センス鎖、NC1:全称否定1、NC2:全称否定2.
【
図26】異なる細胞型におけるオリゴヌクレオチド配列のCxn43ノックダウンの結果。H:ヒト、P:pig、LP2:SEQ4、C:SEQ1、Cscr:SEQ1組み換え、Csen:SEQ1センス鎖、47001scr2:SEQ5組み換え、47001sen:SEQ5センス鎖、他の数字は、本明細書に記載されるコネキシン43に対する他のアンチセンス配列を表す。
【
図27】様々なオリゴヌクレオチド配列に関する、qPCRによるHUVEC細胞における用量反応性能(dose-response performance)。LP2:SEQ4、Coda:SEQ1、47001scr2:SEQ5組み換え、他の数字は、本明細書に記載されるコネキシン43に対する他のアンチセンス配列を表す。
【
図28A】qPCRによって測定した未修飾配列(骨格中にホスホロチオエート結合がない)によるCxn43のノックダウン効率。オリゴ濃度:(1)=200nM;(2)=400nM;(3)=600nMC:SEQ1;SEQ4:37501;Cscr:SEQ1組み換え;LP2scr:SEQ4組み換え。
【
図28B】qPCRによって測定した未修飾配列(骨格中にホスホロチオエート結合がない)によるCxn43のノックダウン効率。オリゴ濃度:(1)=200nM;(2)=400nM;(3)=600nMC:SEQ1;SEQ4:37501;Cscr:SEQ1組み換え;LP2scr:SEQ4組み換え。
【
図29A】(全チオホスホリエート(thiophosphoriate)骨格)修飾配列のノックダウン効率比較。オリゴ濃度:(1)=200nM;(2)=400nM;(3)=600nMC:SEQ1;SEQ4:37501;Cscr:SEQ1組み換え;LP2scr:SEQ4組み換え。
【
図30A】未修飾オリゴ配列の試験管内でのノックダウン。Cscr:SEQ1組み換え;133704:コネキシン43に対する別のアンチセンスオリゴ。
【
図30B】未修飾オリゴ配列の試験管内でのノックダウン。Cscr:SEQ1組み換え;133704:コネキシン43に対する別のアンチセンスオリゴ。
【
図31】表4からのASNの比較ノックダウン活性。
【
図32】表4からのASNの比較ノックダウン活性。
【
図33】候補コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドの用量反応曲線。
【
図34】虚血再潅流後にコネキシン43をマッピングするための、虚血後のエバンスブルー染料の染料潅流。
【
図35A】虚血再潅流後の時間の関数としての染料漏出の(本明細書に記載されるImageJを介して)計算された面積。これらの結果は、染料漏出のベースライン性能を示す。
【
図35B】虚血再潅流後の時間の関数としてのコネキシン43スポット計数の(本明細書に記載されるImageJを介して)計算された面積。これらの結果は、染料漏出のベースライン性能を示す。
【
図36】Cxn43調節剤での治療、及びCxn43調節剤なしでの治療後の総染料漏出への影響。
【
図37A】特定のコア配列の異形と比較した、Cxn43の発現(Y軸)を遅延させる能力。ペプチド5=配列番号168、Mod1=配列番号171、Mod2=配列番号172、Mod3=配列番号173、Mod4=配列番号174、Mod5=配列番号175、Mod6=配列番号176。
【
図37B】特定のコア配列の異形と比較した、Cxn43の発現(Y軸)を遅延させる能力。ペプチド5=配列番号168、Mod1=配列番号171、Mod2=配列番号172、Mod3=配列番号173、Mod4=配列番号174、Mod5=配列番号175、Mod6=配列番号176。
【
図38】放出媒体中で、3日前(パネルA及びB)、ならびに3日後(パネルC及びD)の、ナノ粒子のSEM画像(Nps、パネルA及びC)及びミクロ粒子(Mps、パネルB及びD)。
【
図39】微粒子製剤からのコネキシン43調節剤の試験管内放出研究(データ点は、平均値±SDを表す、n=3)。
【
図40】未修飾(Cxn43 MP)及び化学修飾(C12-C12 Cxn43 MP)コネキシン43調節剤ペプチドの、虚血後の血管漏出の測定。
【
図41】染色された組織代表的な画像、及び未修飾ペプチドよりもさらに化学修飾(C12-C12 Cxn43 MP)コネキシン43調節剤ペプチドで低減されるスポット計数の定量化。
【
図42】送達のためのナノ粒子を伴う製剤が、ナノ粒子を含まない製剤よりも低いCxn43発現を引き起こした染色された組織の代表的な画像及び定量化。
【
図43】化学修飾ペプチド治療が、治療を受けたなかった眼の70%未満と比較して、28日後に93%超のRGC生存をもたらした、染色された組織の代表的な画像及び定量化(虚血のみ)。
【
図44】AMDを有さない若年(29歳)の提供者(A)、及びAMDと診断された老齢の提供者(B)の脈絡膜内に位置する、Cxn43分布を示す染色された組織の代表的な画像。若年の提供者においてCxn43標識(赤、「RPE」の標識下)は、ブルッフ膜と隣接して特に密であり、標識は、主に内皮細胞間のギャップ結合の境界を画定する(白い矢印)。核マーカーDAPIで染色された慎重された核は、内皮細胞核である。スケールバーは、20μmを表す。
【
図45】死去したヒトの網膜試料の出血近くで撮影された網膜画像におけるCxn43発現プロファイルを示す染色された組織の代表的な画像。DAPIで染色した核(青)とCxn43ギャップ結合プラーク(赤)との統合画像。
【
図46】死去したヒトの網膜試料の出血近くで撮影された網膜画像におけるCxn43発現プロファイルを示す染色された組織の代表的な画像。図は、DAPIで染色した核(青)とCxn43ギャップ結合プラーク(赤)との統合画像を示す。
【
図47】ARPE-19細胞内のCxn43発現プロファイルを示す網膜の代表的な共焦点顕微鏡画像。天然ペプチドへの8時間の暴露後(B)、ARPE-19細胞内のCxn43レベルが、若干低減された一方で、24時間後(C)、Cxn43は、正常に戻った(A)。Nps(D)及びMps(F)での8時間のインキュベーション後に、Cxn43標識における有意な差異が存在しなかった一方で、24時間の暴露後、Nps(E)及びMps(G)群の両方が、持続的ペプチド放出を示すCxn43レベルのかなりの低減を呈し、したがって、これらの粒子でのより長期の治療の潜在力は、新しいギャップ結合チャネル形成を低減する可能性がある。図は、DAPIで染色した核(青)とCxn43ギャップ結合プラーク(赤)との統合画像を示す(スケールバーは、50μmを表す)。
【
図48A】GFAP(赤)、Cxn43(緑)、及びDAPI(青)を標識する網膜の代表的な共焦点顕微鏡画像。虚血再潅流の28日後、Cx43及びGFAPは、非治療群(B)において大幅に上方制御された。溶液中の天然Cxn43MPの硝子体内注射は、28日後に限られたCxn43上方制御を示した(C)。Nps-Cxn43 MP治療群が、損傷後28日目にCxn43上方制御の大幅な減少に終わった一方で(D)、Mps-Cxn43 MPは、虚血再潅流後28日目(E)及び90日目(F)に、類似したCxn43及びGFAPレベルを呈した(スケールバーは、50μmを表す)。
【
図48B】(G)非損傷対照網膜において、ならびに治療なし、及び治療をした虚血再潅流後の平均Cxn43スポット計数。星は、各群間の統計学的優位性を意味する(n=3、平均±SD、*p<0.05、**p<0.01)。
【
図49-1】虚血再潅流後のBrn3a標識RGCを有する、平坦に乗せられた網膜(赤)の代表的な共焦点顕微鏡画像。RGC分布は、非治療網膜における血管描写のほぼ完全消失で、大幅に減少される(B)。溶液中のCxn43 MP、及びNps-Cxn43 MPで治療した眼は、RGC喪失のより少ない斑を呈した(C及びD)。Mpsで治療した眼は、依然として28日目(E)及び90日目(E)にいくらかのRGC喪失を呈した。スケールバー=300lm。
【
図49-2】(G)RGCの平均密度。(H)星は、各群間の統計学的優位性を意味する(n=6、平均±SD、**p<0.01、*p<0.05)。
【0117】
詳細な開示
本発明は、ギャップ結合チャネルの調節剤、ヘミチャネルの調節剤、パネキシンチャネルの調節剤、パネキシン転写、翻訳、機能、及び/または活性の調節剤、ならびに小分子調節剤を含む、コネキシン転写、翻訳、機能及び/または活性の調節剤に関する。調節剤は、前眼部、後眼部における、ならびに網膜、脈絡膜、及び脈絡毛細管板内を含む血管内における眼の疾患、障害、または病態を含む、本明細書に記載される疾患、障害、または病態を治療するために、単独で、または組み合わせて使用され得る。
【0118】
トナベルサット、ベンゾイルアミノベンゾピランは、中枢神経系特異的であり、コネキシン26及び/またはp38発現の下方制御のレベルで作用することが報告されている。本発明者は、驚くべきことに、トナベルサット等のギャップ結合チャネル調節剤が、中枢神経系に限定されないいくつかの異なる細胞型において、かつ、(コネキシン26等の)特定のコネキシンに特異的ではない様式で、ギャップ結合チャネル及びヘミチャネルの活性を調節することができることを確認した。具体的には、本発明者は、トナベルサットがコネキシン43を含むヘミチャネルの活性を調節することができることを示す。任意の特定の理論に束縛されることを所望しない一方で、本発明者は、驚くべきことに、トナベルサットが、細胞受容体を通して間接的に作用するかまたはコネキシン(例えば、コネキシン26)及び/もしくはp38の発現に影響を与えることによってよりもむしろ、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルに直接作用することを見出した。
【0119】
ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤が、本明細書に詳細に説明されるように、損傷の間、及び損傷の後、例えば、虚血の間及び低酸素症再潅流において、Cx43ヘミチャネル活性及び/またはATP放出を抑制することが示されている。プロベネシド等のパネキシン調節剤が、損傷誘発ATP放出、例えば、虚血の間のATP放出を抑制することも示されている。
【0120】
本発明は、特に、(1)ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの調節のための方法と、(2)ギャップ結合及び/またはヘミチャネルの調節のための薬剤の製造における、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/もしくはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、もしくはこれらのいずれかの類似体の使用と、(3)ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルを調節するための、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいは、パネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、もしくはこれらのいずれかの類似体と、(4)ギャップ結合チャネル、ヘミチャネル、及び/またはパネキシンチャネルの調節が、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいは、パネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体を投与することによって有益であり得る障害の治療のための方法と、(5)ギャップ結合チャネル、ヘミチャネル、及び/またはパネキシンチャネルの調節が有益であり得る障害の治療のための薬剤の製造における、ペプチド5、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいは、パネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば
、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体の使用と、(6)ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの調節が有益であり得る障害の治療における使用のための、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいは、パネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体と、を提供する。
【0121】
いくつかの実施形態において、本発明は、単独で、または本開示ギャップ結合チャネル調節剤と組み合わせてのいずれかでの、これらの目的よりも多いうちの1つのための、パネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体の使用に関する。
【0122】
ある特定の実施形態において、本発明者は、以下の方法:対象に、単独で、またはギャップ結合チャネル調節剤と組み合わせてのいずれかで、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグを投与すること、ならびに/あるいは、パネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体を投与することを含む方法、外科的処置を受ける対象における異常または過剰な瘢痕形成を防ぐかまたは減少させるための方法、瘢痕を切除し、次いで、対象に、単独で、またはギャップ結合チャネル調節剤と組み合わせてのいずれかで切除の部位に、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグを投与し、かつ/あるいは、パネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体を投与することにより、異常瘢痕化を有する対象を治療するための方法、以下の方法:対象の組織における拘縮を防ぐかまたは減少させ、それによって線維症を軽減させる方法、眼科的処置に関連する組織工学のための方法、眼または眼と関連した組織内への上皮細胞の蓄積を促進する方法、眼または眼と関連した組織内の細胞過形成を抑制する方法、病変拡大を予防、低減、減少させる方法、血管漏出、または血管漏出が関係する任意の障害の治療のための方法、(例えば、周産期虚血、皮膚虚血及び心虚血を含む)虚血、脳卒中、仮死、脳外傷、脊髄損傷、心臓発作、(例えば、心膜炎を含む)炎症性心臓障害、(例えば、手術または移植後の心臓再潅流、手術または移植後の肝臓再潅流を含む)再潅流傷害のうちの1つ以上の治療のための方法、(例えば、化学療法、放射線療法、整形手術を含む、及び例えば、口内炎または発疹と関連したそのような治療を含む)外科的処置または医学的処置と関連した損傷、組織の損傷、または炎症を治療するための方法、(例えば、角膜の持続性上皮欠損、潰瘍、熱傷、乾癬を含む)外傷または病変を治療するための方法、聴覚障害の治療のための方法、(例えば、網膜静脈または動脈閉塞、緑内障、網膜発作、眼圧上昇を引き起こす外傷、糖尿病性網膜症、嚢胞様黄斑浮腫、老人性黄斑変性、感染症、(例えば、化学火傷及び温度熱傷を含む)熱傷を含む)眼の障害の治療のための方法、癲癇、パーキンソン病の治療のための方法、ならびに、(例えば、血管出血、浮腫、病変、病変拡大、及び/または炎症と関連した外傷を含む)外傷の治療のための方法のうちのいずれかで、単独で、またはギャップ結合チャネル調節剤と組み合わせてのいずれかでの、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグの使用、及び/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体の投与のうちの1つ以上を提供する発明を企図する。さらに、本発明者は、本明細書に記載される障害の治療のための薬剤の製造における、ペプチド
5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体、ならびに/あるいは、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグの使用、ならびに/あるいはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体の投与を含む、線維症または他の障害を予防及び/または治療するための包帯を提供する発明を企図する。
【0123】
いくつかの実施形態において、本発明は、Cx43ヘミチャネルを直接かつ即時に遮断し、GJカップリングにおける濃度及び時間依存の減少を引き起こすための、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグの使用を取り上げる。いくつかの態様において、低濃度の式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグは、本発明の治療の方法または使用のうちのいずれかにおいて使用され得る。いくつかの実施形態において、低用量の式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグは、本発明の治療の方法または使用のうちのいずれかにおいて、パネキシンチャネル調節剤と合わせられてもよい。いくつかの実施形態において、低用量の式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグは、例えば、網膜虚血後の損傷からRGCを保護するため、または網膜虚血もしくは眼線維症を治療するため、または本発明の治療の方法もしくは使用のうちのいずれかにおいて、虚血性損傷の間の有効な治療として使用され得るパネキシンチャネル調節剤と合わせられてもよい。
【0124】
チャネル調節剤
例として、トナベルサットは、N-[(3S,4S)-6-アセチル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3,4-ジヒドロクロメン-4-イル]-3-クロロ-4-フルオロベンズアミドまたは(3S-cis)-N-(6-アセチル-3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-2,2-(ジメチル-d6)-2H-1-ベンゾピラン-4-イル)-3-クロロ-4-フルオロベンズアミドのIUPAC名で知られている場合がある。
【0125】
一実施形態において、トナベルサット及び/またはその類似体もしくはプロドラッグは、式I:
【化6】
を有する化合物の群から選択され、Yは、C-R
1であり、
R
1は、アセチルであり、
R
2は水素、C
3-8シクロアルキル、任意選択的に酸素によって中断されているか、またはヒドロキシによって置換されたC
1-6アルキル、C
1-6アルコキシまたは置換アミノカルボニル、C
1-6アルキルカルボニル、C
1-6アルコキシカルボニル、C
1-6アルキルカルボニルオキシ、C
1-6アルコキシ、ニトロ、シアノ、ハロ、トリフルオロメチル、もしくはCF
3S;または基であるCF
3-A-(式中、Aは、-CF
2-、-CO-、-CH
2-、CH(OH)、SO
2、SO、CH
2-O-、もしくはCONHである)、または基であるCF
2H-A′-(式中、A′は、酸素、硫黄、SO、SO
2、CF
2もしくはCFHである);いずれかの芳香族部分が任意選択的に置換された、トリフルオロメトキシ、C
1-6アルキルスルフィニル、ペルフルオロC
2-6アルキルスルホニル、C
1-6アルキルスルホニル、C
1-6アルコキシスルフィニル、C
1-6アルコキシスルホニル、アリール、ヘテロアリール、アリールカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ホスホノ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、アリールスルフィニル、ヘテロアリールスルフィニル、アリールスルホニル、またはヘテロアリールスルホニル;いずれかのアミノ部分が任意選択的に1つまたは2つのC
1-6アルキル基、またはC
1-6アルキルスルフィニルアミノ、C
1-6アルキルスルホニルアミノ、C
1-6アルコキシスルフィニルアミノまたはC
1-6アルコキシスルホニルアミノ、あるいはC
1-6アルキルカルボニル、ニトロまたはシアノ、または-C(C
1-6アルキル)NOHまたは-C(C
1-6アルキル)NNH
2によって末端置換されたエチレニルによって置換された、C
1-6アルキルカルボニルアミノ、C
1-6アルコキシカルボニルアミノ、C
1-6アルキル-チオカルボニル、C
1-6アルコキシ-チオカルボニル、C
1-6アルキル-チオカルボニルオキシ、1-メルカプトC
2-7アルキル、ホルミル、もしくはアミノスルフィニル、アミノスルホニルまたはアミノカルボニル;または任意選択的に1つまたは2つのC
1-6アルキルによって、またはC
2-7アルカノイルによって置換されたアミノ;R
3及びR
4のうちの1つは水素またはC
1-4アルキルであり、他のものはC
1-4アルキル、CF
3であるか、またはCH
2X
aは、任意選択的に1つまたは2つのC
1-4アルキル基、シアノまたはC
1-4アルコキシカルボニルによって置換されたフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、C
1-4アルコキシ、ヒドロキシ、C
1-4アルキルカルボニルオキシ、-S-C
1-4アルキル、ニトロ、アミノ;あるいはR
3及びR
4共に、任意選択的にC
1-4アルキルによって置換されたC
2-5ポリメチレンであり、
【0126】
R5は、C1-6アルキルカルボニルオキシ、ベンゾイルオキシ、ONO2、ベンジルオキシ、フェニルオキシまたはC1-6アルコキシであり、R6及びR9は、水素であるか、またはR5は、ヒドロキシであり、R6は、水素またはC1-2アルキルであり、R9は水素であり、
【0127】
R7は、ヘテロアリールまたはフェニルであり、任意選択的にこれらの両方が、任意選択的に、C1-4アルキル、シアノ、アジド、C1-4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、及びトリフルオロメチルによって1回または2回置換されたクロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、ニトロ、アミノから選択される基または原子で1回以上時間依存的に置換され、
【0128】
R8は、水素、C1-6アルキル、OR11、またはNHCOR10であり、R11は、水素、C1-6アルキル、ホルミル、C1-6アルカノイル、アロイル、またはアリール-C1-6アルキルであり、R10は、水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、モノもしくはジC1-6アルキルアミノ、アミノ、アミノ-C.sub.1-6アルキル、ヒドロキシ-C1-6アルキル、ハロ-C1-6アルキル、C1-6アシルオキシ-C1-6アルキル、C1-6アルコキシカルボニル-C1-6-アルキル、アリール、またはヘテロアリールであり、R8-N-CO-R7基は、R5基に対してシス形であり、X
は、酸素またはNR12であり、R12は、水素またはC1-6アルキルである。
【0129】
上記のマーカッシュ群のうちのいずれかに関して、その群は、その群について列挙される種のうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0130】
トナベルサットは、N-[(3S,4S)-6-アセチル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3,4-ジヒドロクロメン-4-イル]-3-クロロ-4-フルオロベンズアミドまたは(3S-cis)-N-(6-アセチル-3,4-ジヒドロ-3-ヒドロキシ-2,2-(ジメチル-d6)-2H-1-ベンゾピラン-4-イル)-3-クロロ-4-フルオロベンズアミドというIUPAC名で知られている場合もある。
【0131】
実施形態において、式1の類似体は、化合物カラベルサット(N-[(3R,4S)-6-アセチル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-3,4-ジヒドロクロメン-4-イル]-4-フルオロベンズアミド)またはトランス-(+)-6-アセチル-4-(S)-(4-フルオロベンゾイルアミノ)-3,4-ジヒドロ-2,2-ジメチル-2H-1-ベンゾ[b]ピラン-3R-オール、半水和物である。
【0132】
ある特定の実施形態において、トナベルサット及び/または遊離塩基もしくは薬学的に許容される塩の形態であるその類似体である。例として、薬学的に許容される塩には、限定されないが、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサルチル酸、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、ベンゼンスルホン酸(ベシル酸)、安息香酸、樟脳酸(+)、ショウノウ-10-スルホン酸(+)、カプリン酸(デカン酸)、カプロン酸(ヘキサン酸)、カプリル酸(オクタン酸)、炭酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコへプトン酸(D)、グルコン酸(D)、グルクロン酸(D)、グルタミン、グルタル酸、グリセロリン、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イソ酪酸、乳酸(DL)、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸(-L)、マロン酸、マンデル酸(DL)、メタンスルホン酸(メシル酸塩)、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸(-L)、サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸(+L)、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(p)、及びウンデシレン酸を含む、酸から誘導される塩酸塩及び塩が含まれる。一実施形態において、塩は、塩酸塩である。
【0133】
他の実施形態において、トナベルサット及び/またはその類似体の1つ以上の多形体、1つ以上の異性体、及び/または1つ以上の溶媒和化合物が使用されても良よい。
【0134】
ペプチド5
様々な小有機分子が、ギャップ結合またはヘミチャネル電流の抑制において活性を有することが報告されている。これらには、トリアリールメタン(TRAM)、キニン、メフロキン、フェナム酸、2-アミノフェノキシボレート及び誘導体、グリチルレチン酸及び誘導体、ハロタン及びエタン等の揮発性麻酔薬、長鎖アルコール(例えば、ヘプタノール及びオクタノール)等の親油性化合物、オレアミドを含む脂肪酸アミド、シクロデキストリン、シスプラチン、ポリアミン、及びテトラアリルアンモニウム(tetraalylammonium)イオンが含まれる。ますます多くの研究もまた、E1(Gap26ペプチド)の保存QPG及びSHVRモチーフ、ならびにE2(Gap27ペプチド)中のSRPTEKモチーフを伴う細胞外ループE1及びE2内と、細胞質ループ(Gap19ペプチド)内と、の特定の配列に対応するペプチドを使用した、ギャップ結合チャネル及
びヘミチャネルの抑制を報告している。最も効き目があるそのようなペプチド摸倣薬は、ペプチド5(VDCFLSRPTEKT)(配列番号168)である。
【0135】
いくつかの実施形態において、ギャップ結合チャネル調節剤は、時折、抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬と称されるコネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、コネキシン細胞外ドメイン、膜貫通領域、及びコネキシンカルボキシ末端ペプチドを含む修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド模倣薬)である。抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬は、修飾されていてもよいか、または修飾されていなくてもよい。抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬は、化学的、合成的に作製されるか、さもなければ製造される。いくつかの実施形態において、ギャップ結合チャネル調節剤は、コネキシン43ペプチドまたはペプチド模倣薬である。いくつかの態様において、治療上有効な修飾または未修飾ペプチドまたはペプチド摸倣薬は、コネキシン43またはコネキシン45等のコネキシンの細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインの一部分を含む。いくつかの態様においてペプチドまたはペプチド摸倣薬は、コネキシンCx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの細胞外ドメインもしくは膜貫通ドメインの一部分を含む。
【0136】
いくつかの実施形態において、本発明の調節剤は、抗コネキシン43ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、治療上有効、例えば、本明細書に記載される神経障害性の眼の障害のうちのいずれかを治癒するのに有効な、本発明の方法で有用な、コネキシンの細胞外ドメインの一部分を含むペプチド、及びコネキシンのカルボキシ末端の一部分を含むペプチドを含む、本明細書に記載されるペプチドのうちのいずれかを含む。いくつかの態様において、治療上有効な修飾または未修飾ペプチドまたはペプチド摸倣薬は、コネキシン43またはコネキシン45等のコネキシン、好ましくはコネキシン43の細胞外ドメインの一部分を含む。
【0137】
ペプチド5は、用量依存的様式で動作することができる確立されたギャップ結合チャネル遮断薬であり、より少ない容量は、ギャップ結合ヘミチャネル開口を遮断し、より高い容量は、細胞間のギャップ結合をアンカップリングする。例えば、O’Carroll et al,2008を参照されたい。ペプチド5の持続的低用量適用で、(通常の代謝回転の間の既存のギャップ結合の徐々の解除と並行して)ヘミチャネルドッキングへのペプチド干渉と考えられるギャップ結合カップリングの徐々の喪失が存在する。ペプチド5は、特に、ギャップ結合をアンカップリングせずに、ヘミチャネルを遮断する容量で使用されるとき、いくつかの試験管内、生体外、及び生体内(動物)研究で、有効であることが証明されている(例えば、Davidson et al,2012;Danesh-Meyer et al,2012;O’Carroll et al,2013を参照されたい)。O’Carroll et al,2008における結果は、低濃度または高濃度のペプチド5が、ヘミチャネルを遮断するが、高濃度でギャップ結合を直接アンカップリングすることを示す。ペプチド5データは、トナベルサットとの比較のためにここに示される。
【0138】
パネキシン調節の化合物は、式VIの化合物:
【化7】
<t0/>でもよく、式中、
【0139】
Z1及びZ2は独立して、(C1-C4)アルキル、ハロ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルコキシ、ハロ(C1-C4)、(C1-C4)シクロアルキル、(C1-C4)アルキル-S-、(C1-C4)アルキルアミノ、(C1-C4)シクロアルキルアミノ、ジ(C1-C4)アルキルアミノ、及びアミノ(C1-C4)アルキルから選択され、
【0140】
Yは、水素、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、(C1-C4)アルキル、ハロ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルコキシ、ハロ(C1-C4)アルコキシ、シアノ(C1-C4)アルキル、アミノ、(C1-C4)アルキルアミノ、ジ(C1-C4)アルキルアミノ、アミノ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルキルアミノ(C1-C4)アルキル、ジ[(C1-C4)アルキル]アミノ(C1-C4)アルキル、トリフルオロメチルチオ、ヒドロキシ(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルコキシ(C1-C4)アルキル、-C(O)R1、-C(O)OR1、-OC(O)R1、-C(O)-N(R1)2、-CH2-C(O)R1、-CH2-C(O)OR1、-CH2-OC(O)R1、-CH2-C(O)-N(R1)2、S(O)2R1、S(O)2N(R1)2、(C3-C8)シクロアルキル、(C3-C8)シクロアルキル(C1-C4)アルキル、SO3H、及びSO4Hから選択され、
【0141】
R1は、水素、NH2、NR2R3、OH、-CH2OH、及び-CH2CH2OHから選択され、
【0142】
R2及びR3は独立して、水素、(C1-C4)アルキル、(C1-C4)アルコキシ、及び(C1-C4)シクロアルキルから選択され、
【0143】
ハロは、塩素、臭素、ヨウ素、またはフッ素である。
【0144】
例えば、式VIの化合物は、以下に示される、プロベネシドでもよい。
【0145】
【0146】
プロベネシドは、p-[ジプロピルスルファモイル]安息香酸のIUPAC名で知られる
場合があり、上記の構造を有する。
【0147】
ある特定の実施形態において、プロベネシド及び/またはその類似体は、非イオン性であり、遊離塩基、遊離酸、または薬学的に許容される塩の形態である。例として、薬学的に許容される塩は、限定されないが、臭化水素酸、リン酸、酢酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸、クエン酸、シュウ酸、乳酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸を含む酸から誘導された塩酸塩(単数または複数)、それ自体の塩を含む。一実施形態において、塩は、塩酸塩である。他の実施形態において、プロベネシド及び/またはその類似体の1つ以上の多形体、1つ以上の異性体、及び/または1つ以上の溶媒和化合物が使用されても良よい。
【0148】
Panx1
いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、パネキシンペプチド配列を含んでもよいか、または含まなくてもよい。パネキシンペプチド配列は、ポリペプチドPanx1、Panx2、もしくはPanx3の8~40個の連続したアミノ酸、細胞外ドメイン、細胞内ドメイン、カルボキシ末端部、またはアミノ末端部を含み得る。いくつかの実施形態において、パネキシン調節剤は、Panx1、2、または3の細胞外ループの一部分を含んでもよい。いくつかの実施形態において、例えば、パネキシン調節剤は、例えば、Panx1摸倣物遮断ペプチド10Panx1(WRQAAFVDSY)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであるパネキシン調節剤は、配列番号283(Panx1ポリヌクレオチド)、(Panx1ポリヌクレオチドRefSeq番号NM_015368.3)、配列番号284(Panx2ポリヌクレオチド)、(変異体1の場合、Panx2ポリヌクレオチドRefSeq番号NM_052839.3)、配列番号285(Panx2ポリヌクレオチド変異体2の場合、RefSeq番号NM_001160300.1)、配列番号286(Panx2ポリヌクレオチド変異体3の場合、RefSeq番号NR_027691.1)、または配列番号287(Panx3ポリヌクレオチド)(Panx3ポリヌクレオチドRefSeq番号NM_052959.2)の8~80個のヌクレオチド部分に対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の相同性を有してもよい。いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、パネキシンペプチド配列を含んでもよいか、または含まなくてもよい。パネキシンペプチド配列は、ポリペプチド配列番号288(Panx1ペプチド)、配列番号289(Panx2ペプチド)、もしくは配列番号290(Panx3ペプチド)、またはこれらの変異体の8~40個の連続したアミノ酸、細胞外ドメイン、細胞内ドメイン、カルボキシ末端部、またはアミノ末端部を含み得る。Panx1、2、及び3ポリペプチドの配列を、以下に示す。
【0149】
【0150】
配列番号289(Panx2) 配列表2
【化10】
【0151】
配列番号290(Panx3) 配列表3
【化11】
【0152】
パネキシンをコードするmRNAの配列を、以下に示す。
【0153】
配列番号283(Panx1 mRNA) 配列表4-1
【化12】
配列表4-2
【化13】
配列表4-3
【化14】
【0154】
配列番号284(Panx2 mRNA、転写変異体1) 配列表5-1
【化15】
配列表5-2
【化16】
配列表5-3
【化17】
【0155】
配列番号285(Panx2 mRNA、転写変異体2) 配列表6-1
【化18】
配列表6-2
【化19】
配列表6-3
【化20】
【0156】
配列番号286(Panx2 mRNA、転写変異体3) 配列表7-1
【化21】
配列表7-2
【化22】
【0157】
配列番号287(Panx3 mRNA) 配列表8
【化23】
【0158】
コネキシン及びパネキシンは、脊椎動物において、ヘミチャネル形成タンパク質である。一態様において本発明は、前記対象の眼に治療的に有効な量の少なくとも1つのコネキシン調節剤を投与することによって、眼及び他の障害、例えば、緑内障、DME、AMD、DR、眼線維症、眼低酸素症、網膜潅流障害、及び/または神経障害性の眼の障害を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。いくつかの態様において、神経障害性の眼の障害は、例えば、網膜神経節細胞の喪失及び/または緑内障性視神経障害であり得る。いくつかの態様において、網膜神経節細胞の喪失を停止、予防、または治療するのに有効である治療的に有効な量の少なくとも1つのコネキシン調節剤の投与は、緑内障性視神経内の神経栄養因子を上昇させ、かつ硝子体のグルタミン酸濃度を低減させるのにさらに有用である。
【0159】
大部分の緑内障の主な危険因子は、眼圧の上昇、すなわち高眼圧である。眼圧は、眼の毛様体突起による液状の房水の生成、及び小柱網をとおる房水の排出の機能である。房水は、毛様体突起から、水晶体及び総腱輪の毛様小体によって後側に、かつ虹彩によって前側に結び付けられた後眼房内へと流れる。次いで、房水は、虹彩の瞳孔をとおって、虹彩によって後側に、かつ角膜によって前側に結び付けられた前眼房内へと流れる。ここから、小柱網はシュレム管を介して強膜神経叢及び前進の血流内へと房水を排出する。しかしながら、他の緑内障患者において、正常眼圧緑内障が存在し得る。
【0160】
開放隅角緑内障/広隅角緑内障において、流れは、もともとの機能は房水を吸収することである小柱網の変性及び遮断に起因して、小柱網をとおって低減される。房水吸収の喪失は、抵抗の増加、したがって、眼内の圧力の慢性の無痛上昇をもたらす。閉塞隅角緑内障/狭隅角緑内障において、虹彩角膜角は、最終回旋(final roll)及び角膜に
接する虹彩の根部の前方移動のための完全に閉鎖され、房水が後部から前眼房に、次いで、小柱網から流れ出ることができない結果となる。この房水の蓄積は、急性の圧力上昇及び疼痛を引き起こす。
【0161】
高眼圧と緑内障との一貫性のない関係は、解剖学的構造、眼発生、神経圧迫外傷、視神経血流、興奮性神経伝達物質、栄養素、網膜神経節細胞/軸索変性、グリア支持細胞、免疫システム、ニューロン喪失の老化機構、及び強膜の端の神経線維の切断に関する研究に駆り立てている。いくつかの実施形態において、本明細書で取り上げられるように、本明細書で取り上げられるギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤は、例えば、高血圧性及び正常眼圧緑内障等の病態を含む、本明細書に開示される眼の障害の治療もしくは予防、ならびに本明細書で取り上げられる他の使用、DMEまたは眼線維症の治療もしくは予防、あるいはAMDを、その最初期からその後期までずっと治療するのに有用である。
【0162】
老人性黄斑変性(ARMDまたはAMD)は、不可逆的視覚障害の別の主な原因、及び先進国の61歳以上の人々における視覚障害の別の主な原因である。AMDは、微細かつ詳細な視覚を補助する網膜の領域である、黄斑に最も一般的に影響を与える(しかしながら、黄斑に制限されない場合もある)。米国において、50歳以上の人口の7人に1人が新生血管AMD及び/または地図状萎縮を示し、180万の国民がAMDを有する(2020年までに300万人にまで増加することが見込まれる)。Friedman,et al.(2004)Prevalence of age-related macular degeneration in the United States,Arch
Ophthalmol 122:564-572。AMDの発生率は、年齢とともに劇的に上昇するが、81歳以上の白人女性の15%超が、新生血管AMD及び/または地図状萎縮を有する。世界的なAMDの費用は、毎年3450億ドルと推定され、そのうちの2550億ドルが直接医療費である。AMDは、満足できる治療選択肢がない疾患として、世界保健機関によって2010年眼疾患優先度リストに含められた。
【0163】
AMDの病因は、おそらく、代謝性、遺伝性、及び環境要因の複雑な相互作用が関与する多因子性である。AMDの従来の理解は、AMDが、光受容体、RPE、ブルッフ膜、及び脈絡毛細管板の、眼内の4つの機能的に相互に関連する層に影響を与えることである。Shelley,et al. (2009) Cone degeneration in aging and age-related macular degeneration,Arch Ophthalmol 127: 483-492. 研究は、主に、光受容体への不可逆的損傷をもたらすRPEの変性に焦点が合わせられている。Nowak (2006) Age-related macular degeneration (AMD): pathogenesis and therapy,Pharmacol Rep 58: 353-363. この変性と共に、沈着物(ドルーゼン)がRPE及びブルッフ膜内に蓄積し得る。これらの沈着物は、異常血管上皮増殖と関連し得、これは、次いで、黄斑での漏出、出血、及び最終的に瘢痕形成につながり得る。de Jong PT (2006) Age-related macular degeneration,N Engl J Med 355: 1474-1485; Finger,et al. (1999) Ophthalmic plaque radiotherapy for age-related macular degeneration associated with subretinal neovascularization,Am J Ophthalmol 127: 170-177を参照されたい。
【0164】
一態様において本発明は、例えば、前記対象の眼に治療的に有効な量の少なくとも1つのコネキシン調節剤及び/または少なくとも1つのパネキシン調節剤を投与することによっ
て、眼の障害、例えば、緑内障、DME、AMD、DR眼線維症、および/もしくは眼低酸素症、ならびに/または網膜潅流障害、及び/もしくは神経障害性の眼の障害眼圧関連神経障害を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。一態様において、本発明は、例えば、緑内障を治療するための薬学的組成物及び方法に関する。本明細書における方法は、眼圧を減少させるのに十分な量での、緑内障等の眼圧関連視神経障害の治療を提供する。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、眼圧の上昇と関連した外傷の治療に有用である。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、コネキシン43調節剤である。いくつかの態様において、本発明の組成物及び方法は、眼圧を正常レベル、例えば、21mm Hg未満に、例えば、21、20、または19mm Hg未満に、例えば、約8~約21mm Hgのレベルに減少させるのに有用である。
【0165】
本明細書に記載される組成物、製造品、及び方法は、一態様において、毒性副作用なしに緑内障を治療するのに有用である。いくつかの態様において、緑内障は、開放隅角緑内障または閉塞隅角緑内障であり得る。いくつかの態様において、治療的に有効な量の少なくとも1つのパネキシン調節剤及び/または少なくとも1つのコネキシン調節剤、例えば、コネキシン43チャネル調節剤を必要とする眼組織に、それらを投与することは、小柱網をとおる流れを増加させる。ギャップ結合調節剤、パネキシンチャネル調節剤、及びヘミチャネル調節剤も有用である。いくつかの態様において、本発明の組成物は、線維柱帯切除術の成功率を向上させるためのアジュバントとして有用である。
【0166】
眼の前方は、眼の前方部分内の構造体に栄養を供給する明澄な流体である房水で満たされている。この流体は、眼の水晶体を取り囲む毛様体によって絶えず産生されている。房水は、瞳孔をとおり、眼の排液隅角と称される、角膜が虹彩に付着する接合部に位置する小柱網チャネルをとおって眼から流れ出る。本発明のいくつかの態様において、1つ以上のギャップ結合もしくはコネキシン調節剤、またはパネキシン(panenxin)調節剤、例えば、コネキシン43調節剤は、小柱網もしくは毛様体に、またはこれらの近くに投与される。ギャップ結合調節剤、パネキシンチャネル調節剤、及びヘミチャネル調節剤も有用である。
【0167】
本発明の一態様において、内網膜内の炎症を軽減するのに有効な、治療的に有効な量のギャップ結合調節剤及び/もしくはコネキシン調節剤、ならびに/またはパネキシン調節剤もしくはパネキシンチャネル調節剤、を投与することを含む、対象における網膜潅流障害、網膜虚血性疾患、または眼虚血性疾患を治療するための、組成物、製造品、及び方法も取り上げられる。いくつかの態様において、網膜虚血性疾患は、網膜動脈閉塞、または網膜中心静脈閉塞である。いくつかの態様において、眼虚血性疾患(optic ischemic disease)は、例えば、前部虚血性視神経障害である。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、Cx43、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、Cx43調節剤、例えば、Cx43ヘミチャネル調節剤である。いくつかの態様において、調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0168】
本発明は、対象の脈絡膜に、脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流及び/または内網膜内の炎症を低減させるのに有効な量のギャップ結合調節剤及び/もしくはコネキシン調節剤、ならびに/またはパネキシン調節剤もしくはパネキシンチャネル調節剤を投与することを含む、例えば、対象における脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流を減少させることによって、眼の障害、例えば、緑内障、AMD、眼線維症、及び/もしくは眼低酸素症、ならびに/または網膜潅流障害、及び/もしくは神経障害性の眼の障害眼圧関連神経障害、を治療するための組成物、製造品、及び方法も取り上げる。本発明のいくつかの態様において、対象の脈絡膜に、脈絡膜
潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流を低減させるのに有効な、治療的に有効な量のギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤の投与は、脈絡毛細管板内皮細胞喪失及び/または脈絡毛細管板脱落も低減させる。いくつかの態様において、脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流の低減は、網膜色素上皮変性及び/またはドルーゼン発生も低減し、さもなければ、乾燥型黄斑変性または湿潤型黄斑変性であり得る黄斑変性または黄斑ジストロフィの進行を改善、停止、減速、及び/または逆戻りさせる。脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流を低減させるためのコネキシン調節剤またはパネキシン調節剤は、眼治療薬と一緒に投与されてもよい。いくつかの実施形態において、脈絡膜潅流の障害及び/もしくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰潅流を低減させるための調節剤は、Cx43調節剤、ヘミチャネル調節剤、パネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤である。
【0169】
本発明の方法のいくつかの態様において、ギャップ結合調節剤及び/もしくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤もしくはパネキシンチャネル調節剤は、眼に眼内注射、または硝子体内注射によって投与されてもよい。ギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤、パネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤は、1回または2回以上投与されてもよい。調節剤投与の他の方法を、本明細書に取り上げる。
【0170】
いくつかの実施形態において、本発明のコネキシン調節剤は、コネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド等のコネキシンオリゴヌ
クレオチドもしくはポリヌクレオチド、またはコネキシンペプチドもしくはペプチド模倣薬等のコネキシンペプチドもしくはペプチド模倣薬を含む。コネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬は、例えば、コネキシンの細胞外ドメインの一部分を含むペプチド、及びコネキシンまたはギャップ結合閉鎖化合物のカルボキシ末端部分の一部分を含むペプチドを含む本明細書に記載されるペプチドのうちのいずれか、ならびに本明細書に記載される眼の障害のうちのいずれかの治癒等の、発明の方法で有用なヘミチャネル閉鎖化合物を含む。
【0171】
いくつかの実施形態において、本発明のコネキシンタンパク質調節剤は、本明細書に記載される神経障害性の眼の障害のうちのいずれかの治癒等の、本発明の方法で有用なコネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド等のコネキシン43オリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、または抗コネキシン43ペプチドもしくはペプチド模倣薬、例えば、コネキシンの細胞外ドメインの一部分を含むペプチド、及びコネキシンまたはギャップ結合閉鎖化合物のカルボキシ末端部分の一部分を含むペプチドを含む、本明細書に記載されるペプチドのうちのいずれか、ならびにヘミチャネル閉鎖化合物を含む。
【0172】
いくつかの実施形態において、本発明のパネキシン調節剤は、本明細書に記載される神経障害性の眼の障害等の眼の障害のうちのいずれかの治癒等の、本発明の方法で有用なパネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド等のパネキシンオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、または緑内障、AMD、眼線維症、DME、眼低酸素症、及び/もしくは抗パネキシンペプチドもしくはペプチド模倣薬を含む。
【0173】
いくつかの実施形態において、「プロモイエティ」は、官能基を活性剤内に遮蔽し、それにより、活性剤をプロドラッグへと変換する保護基として作用する種を指す。活性剤は、本明細書に開示される調節剤または眼の治療薬のうちのいずれかでもよい。典型的に、プロモイエティは、生体内で酵素的手段または非酵素的手段によって開裂され、それによりプロドラッグをその活性形態に変換させる結合(複数可)を介して薬物に結合する。いくつかの実施形態において、プロモイエティは、活性剤でもよい。いくつかの実施形態において、プロモイエティは、ギャップ結合調節剤、コネキシン調節剤、またはパネキシン調
節剤と結合していてもよい。いくつかの実施形態において、プロモイエティは、ポリヌクレオチド、ペプチドまたはペプチド模倣薬、小分子拮抗薬及び/または本明細書に開示される眼の治療薬のうちのいずれかと結合していてもよい。いくつかの実施形態において、プロモイエティは、式Iの化合物と結合していてもよく、いくつかの実施形態において、プロドラッグは、式IIの化合物でもよい。
【0174】
いくつかの実施形態において、プロモイエティは、本開示の任意のペプチド摸倣薬またはペプチド拮抗薬でもよい。いくつかの実施形態において、プロモイエティは、任意選択的に単一のアミノ酸の官能基上で保護される単一のアミノ酸である。いくつかの実施形態において、プロモイエティは、標的種である。いくつかの態様において、プロモイエティは、細胞膜上の内向き流束または外向き流束トランスポータの基質、例えば、Gaudana,R.et al.The AAPS Journal,12:3,348-360(2012)に記載されるものである。プロモイエティは、例えば、化学結合したビオチンでもよい。プロモイエティは、例えば、化学結合したD-セリンでもよい。
【0175】
いくつかの実施形態において、本発明のパネキシン調節剤は、本明細書に記載される眼低酸素症または神経障害性の眼の障害のうちのいずれかの治癒等の、本発明の方法で有用な、パネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド等のパネキシンオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、または抗パネキシンペプチドもしくはペプチド模倣薬を含む。
【0176】
定義 「小分子」は、本明細書で、約600ダルトン未満の分子量を有し、概して有機
化合物であると定義される。小分子は、プロドラッグの活性剤でもよい。
【0177】
本明細書において使用する場合、「治療」(及び「治療する(treat)」または「治療する(treating)」等のその文法的変異)は、治療される個人、組織、または細胞の自然経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のため、または臨床病理の経過の間のいずれかで行なわれ得る。治療の望ましい効果としては、疾患、障害、病態の発生または再発の予防、徴候または症状の軽減、疾患のあらゆる直接的または間接的病理学的帰結の減少、疾患進行率の減少、病状の改善または緩和、及び寛解または改善された予後が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本発明の化合物、方法、及び組成物は、疾患、障害、または病態の発症を遅延させるか、または疾患、障害、または病態の進行を遅らせるために使用されてもよい。この用語は、対象が全快するまで治療されることを必ずしも意味しない。したがって、「治療」には、特定の疾患、障害、もしくは病態の症状もしくは重症度を減少、緩和、もしくは改善するか、または特定の疾患、障害、もしくは病態の発症のリスクをの予防、もしくはさもなければ低減が含まれる。「治療」は、病状の緩和の完全または部分的な状態の維持または促進も含まれ得る。
【0178】
用語、疾患及び病態を含む「眼の障害の治療」等は、例えば、眼内のニューロン脱落及び/または神経障害、血管漏出及び/または出血、血管新生、炎症及び/または浮腫等の眼の障害、疾患、または病態の予防、遅延、軽減、減少、停止、及び/または逆戻りを指し得る。
【0179】
用語「予防する」は、全体的に、もしくは部分的に防ぐか、または改善もしくは制御することを意味する。
【0180】
本明細書において使用する場合、「有効量」は、必要な用量及び期間で、所望の治療または予防結果を達成するのに有効な量を指す。例えば、かつ制限としてではなく、「有効量」は、疾患、障害、または病態の徴候及び/もしくは症状を治療することができる、本明
細書に開示される化合物または組成物の量を指し得る。
【0181】
本明細書において使用する場合、本発明の物質/分子、作用薬、または拮抗薬の「治療的に有効な量」は、その個人の病状、年齢、性別、及び体重、ならびにその個人において所望の反応を引き起こす物質/分子、作用薬、または拮抗薬の能力等の要因に従って変更されてもよい。治療的に有効な量は、好ましくは、治療上有益な効果が、物質/分子、作用薬、または拮抗薬のいずれかの有毒または有害な効果を上回り得るものである。
【0182】
本明細書において使用する場合、「予防的有効量」は、必要な用量及び期間で、所望の予防結果を達成するのに有効な量を指す。必然的でないが一般的に、予防用量は、疾患、障害、もしくは病態の前、またはこれらのより早い段階で対象に使用されるため、予防的有効量は、治療的に有効な量より少なくなる。
【0183】
用語「医薬製剤」は、有効になるように、その中に含有される活性成分の生物活性を許容するような形態で、かつ調製物が投与される対象にとって許容できないほど有毒である追加の構成成分を含有しない製剤を指す。
【0184】
「薬学的に許容される担体」は、本明細書において使用する場合、対象に安全に投与することができる、活性成分以外の、医薬製剤内の成分を指す。薬学的に許容される担体としては、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
本明細書において使用する場合、「個人」及び「患者」を含む、用語「対象」等は、これらのすべてが本明細書で同じ意味で使用され得、ヒト、イヌ、ウマ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウシ等の家畜(domestic animal)及び家畜(farm animal)、ならびに動物園、野生動物パーク、スポーツ、またはペットの動物を含む、あらゆる哺乳動物を指す。本明細書における好ましい哺乳動物は、成人、小児、及び高齢者を含むヒトである。好ましいスポーツ動物は、ウマ及びイヌである。好ましいペット動物は、イヌ及びネコである。対象は、例えば、イルカ、クジラ、アシカ、またはセイウチ等のアクアティックパーク動物でもよい。ある特定の実施形態において、対象、個人、または患者は、ヒトである。
【0186】
本発明は、ペプチド5等の調節剤及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグを含むギャップ結合チャネル調節剤の使用、ならびに/あるいはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはこれらのいずれかの類似体の使用を参照して、本明細書に記載される。ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/またはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/あるいはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及び/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1、またはいずれかの類似体の1つ以上の塩、多形体、溶媒和化合物及び/または異性体も、本発明で使用され得ることが理解されるべきである。したがって、「トナベルサット及び/もしくはその類似体」、「ペプチド5及び/もしくはその類似体」、「プロベネシド及び/もしくはその類似体」、または「10Panx1、もしくはこれらのいずれかの類似体」への参照は、前述の化合物のうちのいずれかの任意の1つ以上の塩、溶媒和化合物、多形体、及び/または異性体への参照を含むと見なされるべきである。
【0187】
本発明の方法、使用、及び組成物は、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、ならびに/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体及びこれらの1つ以上の類似体、ペプチ
ド5及びその1つ以上の類似体、プロベネシド及びその1つ以上の類似体、または10Panx1及びその1つ以上の類似体の組み合わせ、あるいはこれらの類似体のうちの1つ以上の組み合わせの使用を含んでもよい。したがって、本明細書における「式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/もしくは類似体」、「ペプチド5及び/もしくはその類似体」、「式VIの化合物、例えば、プロベネシド、及び/もしくはその類似体」、または「10Panx1、もしくはこれらのいずれかの類似体」への参照は、そのような組み合わせへの参照を含むとみなされるべきである。
【0188】
本明細書において使用する場合、用語「ヘミチャネル」は、ギャップ結合(2つのヘミチャネルまたはコネクソンが隣接した細胞間の細胞間隙を越えて接続して、ギャップ結合を形成する)の一部であり、いくつかのコネキシンタンパク質、典型的に、2つの隣接した細胞の細胞質間のギャップ結合の細孔を形成するコネキシンタンパク質のホモマーまたはヘテロマーの6量体を含む。ヘミチャネルは、結合の片側上の細胞によって供給され、対向する細胞からの2つのヘミチャネルが、通常一体となって、完全な細胞間ギャップ結合チャネルを形成する。しかしながら、一部の細胞において、及びある状況下の細胞において、ヘミチャネル自体が細胞質と細胞外間隙との間の導管として有効であり、イオン及び小分子の移動を可能にする。
【0189】
式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び/または前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグは、ヘミチャネル、好ましくは任意の種類のコネキシンタンパク質を含むヘミチャネルの機能及び/または活性を調節することができる。したがって、「ヘミチャネル」への参照は、文脈が求めない限り、いくつかの異なるコネキシンタンパク質のうちの任意の1つ以上を含むヘミチャネルを含むと広く見なされるべきである。しかしながら、例として、ヘミチャネルは、コネキシン23、
25、26、30、30.2、30.3、31、31.1、31.9、32、36、37、40、40.1、43、45、46、47、50、59、及び62のうちの1つ以上を含んでもよい。一実施形態において、ヘミチャネルは、前述のコネキシンのうちの1つからなる。一実施形態において、ヘミチャネルは、コネキシン26、30、32、36、37、40、45、及び47のうちの1つ以上を含む。一実施形態において、ヘミチャネルは、コネキシン26、30、32、36、37、40、45、または47のうちの1つからなる。1つの特定の実施形態において、ヘミチャネルは、コネキシン30及びコネキシン43のうちの1つ以上を含む。1つの特定の実施形態において、ヘミチャネルは、コネキシン30またはコネキシン43のうちの1つからなる。1つの特定の実施形態において、ヘミチャネルは、コネキシン45またはコネキシン46またはコネキシン50のうちの1つからなり、一実施形態において、ヘミチャネルは、コネキシン26を除く1つ以上のコネキシンを含む。
【0190】
本明細書において使用する場合、用語「ギャップ結合チャネル」は、隣接した細胞間の細胞間隙を越えて接続し、ある特定の分子がこれらの細胞の間を流れることを可能にする2つのヘミチャネルを含む。
【0191】
ヘミチャネル及びギャップ結合チャネルは、あらゆる種類の細胞内に存在し得る。したがって、「ヘミチャネル」または「ギャップ結合チャネル」への参照は、文脈が求めない限り、あらゆる細胞型内に存在するヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルへの参照を含むと見なされるべきである。本発明の一実施形態において、ヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルは、中枢神経系の外の細胞内に存在する。一実施形態において、ヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルは、コネキシン26以外の1つ以上のコネキシンを含み、中枢神経系の外の細胞内に存在する。本発明の一実施形態において、ヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルは、眼内の細胞内に存在する。本発明の一実施形態において、ヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルは、眼の前部、すなわち、前眼部内の細胞内に存在
する。本発明の一実施形態において、ヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルは、眼の後方、すなわち、後眼部内の細胞内に存在する。本発明の一実施形態において、ヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルは、ブドウ膜内の細胞内に存在する。本発明の一実施形態において、ヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルは、視神経内の細胞内に存在する。本発明の一実施形態において、ヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルは、眼の微小血管系内の細胞内に存在する。本発明の一実施形態において、ヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルは、脈絡膜内の細胞内に存在する。本発明の一実施形態において、ヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルは、脈絡毛細管板内の細胞内に存在する。
【0192】
本明細書において使用する場合、「ヘミチャネル及び/またはギャップ結合チャネルの調節」は、ヘミチャネル及び/またはギャップ結合チャネルの1つ以上の機能及び/または活性の調節である。そのような機能及び活性は、例えば、ギャップ結合チャネルを形成するための隣接した細胞及び開口上へのヘミチャネルのドッキングを含み得る。これらは、細胞間の細胞間通信、及びギャップ結合チャネルをとおる細胞間の分子の流れも含み得る。そのような機能及び活性は、例えば、細胞外間隙または環境からヘミチャネルをとおる、細胞内への分子の流れ、及び/または細胞内間隙または細胞の環境からヘミチャネルをとおる、細胞外間隙または環境内への分子の流れを含み得る。
【0193】
ヘミチャネル及び/またはギャップ結合チャネルの機能の調節は、任意の手段によって起こり得る。しかしながら、ほんの一例として、調節は、ヘミチャネルドッキングによるギャップ結合の形成を妨げるか、遮断するか、抑制するか、または減少させること、ヘミチャネルの閉鎖を誘発するか、または促進すること、ヘミチャネル開口を妨げるか、遮断するか、抑制するか、または減少させること、ヘミチャネル間のカップリングの喪失を誘発するか、または促進すること、ヘミチャネル及び/またはギャップ結合の細胞内移行を引き起こすか、誘発するか、または促進することのうちの1つ以上によって起こり得る。「遮断する」、「抑制する」、「妨げる」、「減少させる」、及び「拮抗する」等の語の使用は、完全な遮断、抑制、阻止、または拮抗を意味すると見なされるべきではないが、これが好ましい場合があり、少なくともヘミチャネル及び/またはギャップ結合チャネルの機能または活性を減少させるための部分的遮断、抑制、阻止、または拮抗を含むと見なされるべきである。同様に、「誘発する」または「促進する」は、カップリングの完全な喪失、あるいはヘミチャネル及び/もしくはギャップ結合(またはヘミチャネル及び/もしくはギャップ結合の群)の完全な内部移行を意味すると見なされるべきではなく、少なくともヘミチャネル及び/またはギャップ結合チャネルの機能または活性を減少させるためのカップリングの部分的喪失または部分的内部移行を含むと見なされるべきである。
【0194】
本明細書において使用する場合、用語「ギャップ結合チャネル調節剤」は、例えば、コネキシンタンパク質の発現、その輸送及び/または構築を含む、ヘミチャネル及び/またはギャップ結合の発現、活性、及び/または形成の阻止、抑制、及び/または減少を含む、ギャップ結合チャネルの機能もしくは活性、またはギャップ結合ヘミチャネルの機能もしくは活性を一緒に、または別個に阻止、抑制、及び/もしくは減少させる化合物である。機能または活性の阻止、抑制、及び/または減少は、直接的または間接的であり得る(例えば、限定されないが、チャネルを直接遮断するか、立体配座の変化を誘発するか、またはコネキシンリン酸化状態を変える)。ギャップ結合チャネル遮断薬は、任意の化学的性質のものでもよい。しかしながら、例として、作用剤は、(アンチセンス分子、RNAi分子、モルホリノ、及び本明細書に記載される他の核酸を含む)核酸、ペプチド、小分子、化学元素、ホルモン、抗体、抗体断片、または代謝物でもよい。ある特定の実施形態において、作用剤は、ギャップ結合の活性、発現、輸送及び/または構築を抑制または遮断するための、コネキシン、(コネクソンとしても知られる)ヘミチャネルを含むギャップ結合の1つ以上の構成成分を標的とする化合物である。「抑制する」または「遮断する」は、コネキシン、ヘミチャネル、またはギャップ結合の活性、発現、輸送、及び/または
構築が完全に抑制または遮断されることを意味すると見なされるべきではないが、これが好ましい場合があり、しかしながら、コネキシン、ヘミチャネル、またはギャップ結合の活性、発現、輸送、及び/または構築のあらゆる減少を含むと見なされるべきである。
【0195】
本明細書において使用する場合、用語「ギャップ結合ヘミチャネル及び/またはギャップ結合チャネルの調節が有益であり得る障害」には、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能または活性が疾患、障害、または病態の発病、進行、または持続性に関連付けられ得るあらゆる疾患、障害、または病態が含まれ得る。一実施形態において、疾患、障害、または病態は、コネキシン23、25、26、30、30.2、30.3、31、31.1、31.9、32、36、37、40、40.1、43、45、46、47、50、59、及び62のうちの1つ以上を含むギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能または活性が関連付けられるものである。一実施形態において、疾患、障害、または病態は、前述のコネキシンのうちの1つからなるギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能または活性が関連付けられるものである。一実施形態において、疾患、障害、または病態は、コネキシン26、30、32、36、37、40、45、及び47のうちの1つ以上を含むギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能または活性が関連付けられるものである。一実施形態において、疾患、障害、または病態は、コネキシン26、30、32、36、37、40、45、または47のうちの1つからなるギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能または活性が関連付けられるものである。1つの特定の実施形態において、疾患、障害、または病態は、コネキシン30及びコネキシン43のうちの1つ以上を含むギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能または活性が関連付けられるものである。1つの特定の実施形態において、疾患、障害、または病態は、コネキシン30またはコネキシン43またはコネキシン45またはコネキシン46またはコネキシン50のうちの1つからなるギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能または活性が関連付けられるものである。一実施形態において、疾患、障害、または病態は、コネキシン26を除く1つ以上のコネキシンを含むギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能または活性が関連付けられるものである。一実施形態において、疾患、障害、または病態は、中枢神経系の外の細胞内に存在するギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能または活性が関連付けられるものである。一実施形態において、疾患、障害、または病態は、コネキシン26を除く1つ以上のコネキシンを含み、かつ、中枢神経系の外の細胞内に存在するギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能または活性が関連付けられるものである。本発明の一実施形態において、疾患、障害、または病態は、調節されるヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルの機能または活性が眼内の細胞内に存在するものである。本発明の一実施形態において、疾患、障害、または病態は、調節されるヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルの機能または活性が、眼の前部、すなわち、前眼部内の細胞内に存在するものである。本発明の一実施形態において、疾患、障害、または病態は、調節されるヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルの機能または活性が、眼の後方、すなわち、後眼部内の細胞内に存在するものである。本発明の一実施形態において、疾患、障害、または病態は、調節されるヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルの機能または活性が、ブドウ膜内の細胞内に存在するものである。本発明の一実施形態において、疾患、障害、または病態は、調節されるヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルの機能または活性が、視神経内の細胞内に存在するものである。本発明の一実施形態において、疾患、障害、または病態は、調節されるヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルの機能または活性が、脈絡膜内の細胞内に存在するものである。本発明の一実施形態において、疾患、障害、または病態は、調節されるヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルの機能または活性が、脈絡毛細管板内の細胞内に存在するものである。本発明の一実施形態において、疾患、障害、または病態は、調節されるヘミチャネルまたはギャップ結合チャネルの機能または活性が、眼の微小血管系内の細胞内に存在するものである。一実施形態において、組成物は、前述のものの任意のギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネル調節剤を含んでもよいか
、または含まなくてもよい。
【0196】
本明細書において使用する場合、用語「パネキシンチャネルの調節が有益であり得る障害」は、パネキシンまたはパネキシンチャネルの機能または活性が疾患、障害、または病態の発病、進行、または持続性に関連付けられ得るあらゆる障害を含むと見なされるべきである。一実施形態において、疾患、障害、または病態は、パネキシンチャネルの機能または活性がパネキシンの3つのアイソフォームのうちの1つ以上を含むものである。一実施形態において、疾患、障害、または病態は、調節されるパネキシンチャネルの機能または活性が、パネキシン1を含むものである。一実施形態において、疾患、障害、または病態は、調節されるパネキシンチャネルの機能または活性が、眼の表面、網膜、及び眼と関連しているか、ま
たは眼を含む血管を含む、眼内また眼の上にあるものである。
【0197】
「慢性創傷」、「期待される速度で治癒しない創傷」、及び「裂開性創傷」類似の用語及び表現は、本明細書において使用する場合、これは、参照により本明細書に組み込まれ、本発明が適用され得る創傷の種類のいくつかの例を含む米国第2011/0300130号に提供されるとおりの意味を有する。しかしながら、例として、そのような創傷は、(例えば、糖尿病性足部潰瘍を含む)糖尿病性潰瘍、静脈性潰瘍、静脈うっ血性潰瘍、褥瘡、褥瘡性潰瘍、血管炎性潰瘍、動脈性潰瘍、感染性潰瘍、褥瘡、熱傷性潰瘍、外傷性潰瘍または外傷誘発潰瘍、炎症性潰瘍、壊疽性膿皮症と関連した潰瘍形成、持続性上皮欠損を含む眼の潰瘍、混合潰瘍を含み得る。
【0198】
「線維症」及び「線維性疾患、障害、もしくは病態」または類似の用語及び表現は、本明細書において使用する場合、参照により本明細書に組み込まれ、本発明が適用され得る線維症、疾患、障害、または病態のいくつかの例を含む米国第2011/0092449号に提供されるとおりの意味を有する。しかしながら、例として、そのような線維症、線維性疾患、障害、または病態には、肝臓線維症、心臓線維症、(例えば、ケイ肺症、石綿症、特発性肺線維症を含む)肺線維症、(例えば、口腔粘膜下線維症を含む)口腔線維症、後腹膜線維症、三角筋線維症、心内膜心筋線維症、(例えば、糖尿病性腎障害を含む)腎臓線維症、糸球体硬化症、急性線維症が含まれ得る。一実施形態において、肝臓線維症は、慢性肝臓損傷から生じるか、または血色素症、ウィルソン病、アルコール中毒、住血吸虫症、ウイルス性肝炎、胆道閉塞症、毒素への暴露、及び/または代謝障害と関連している。一実施形態において、心臓線維症は、心内膜線維症または心内膜心筋線維症である。一実施形態において、急性線維症は、事故による傷害、感染症、ならびに/または放射線及び/もしくは化学療法治療を関連付けられる。一実施形態において、線維症は、強皮症、膵炎、炎症性腸疾患、クローン病、結節性筋膜炎、及び/または好酸球性筋膜炎を含む群から選択される疾患、障害、または病態を有する対象において起こり得る。一実施形態において、強皮症は、斑状強皮症、全身性斑状強皮症、または線状強皮症であり得る。
【0199】
「異常または過剰な瘢痕化」等は、本明細書において使用する場合、参照により本明細書に組み込まれ、本発明が適用され得る異常または過剰な瘢痕化のいくつかの例を含む、米国第2011/0130710号に提供されるとおりの意味を有する。しかしながら、例として、異常または過剰な瘢痕化には、皮膚内または皮膚上に存在する瘢痕、眼内又は眼の上の瘢痕、ケロイド瘢痕、肥厚性瘢痕、萎縮性瘢痕、広範囲にわたる瘢痕が含まれ得る。
【0200】
「血管障害」及び類似の用語または表現は、本明細書において使用する場合、参照により本明細書に組み込まれ、本発明が適用され得る血管障害のいくつかの例を含む、欧州第2510939号に提供されるとおりの意味を有する。しかしながら、例として、血管障害には、アテローム性動脈硬化症、微小血管障害、大血管障害、血栓症、外傷に起因する血
管障害、血管損傷、糖尿病性網膜症、臓器虚血、内皮細胞破壊、四肢の血管疾患が含まれ得る。
【0201】
「整形外科的疾患または障害」及び類似の表現、本明細書において使用する場合、参照により本明細書に組み込まれ、本発明が適用され得るいくつかの整形外科的疾患または障害例を含む、欧州第2238250号に提供されるとおりの意味を有する。しかしながら、例として、整形外科的疾患または障害には、関節内及び/または関節周囲の異常組織形成を全体的または部分的に特徴とするもの、例えば、代謝障害、虚血、外傷、関節、莢膜、骨、軟骨、腱、靱帯、もしくは筋肉への傷害、骨折、亜脱臼、脱臼、圧挫損傷、長期にわたる固定(例えば、ギプス包帯もしくはそえ木内の関節の固定)、ならびに/または麻痺等の様々な傷害及び病態と関連しているか、あるいはこれらによって引き起こされ得る、変えられたか、もしくは異常な関節可動性または関節構造と関連するものが含まれる。
【0202】
表現「整形外科的手術または処置」及び類似の表現は、本明細書において使用する場合、当業者によって容易に理解されるであろう。しかしながら、例として、「整形外科的手術または処置」及び類似の表現は、欧州第2242844号に概説されるいずれかの手術または処置を含むと見なされるべきである。そのような処置からの回復の「向上」も、広く見なされるべきであり、例えば、疼痛の軽減、ならびに可動性及び/または回復時間の向上を含み得る。
【0203】
「整形外科的手術後関節拘縮」は、本明細書において使用する場合、参照により本明細書に組み込まれる欧州第2242844号に提供されるとおりの意味を有する。
【0204】
「癒着」及び類似の表現は、本明細書において使用する場合、参照により本明細書に組み込まれる欧州第2252690号に提供されるとおりの意味を有する。しかしながら、例として、「癒着」には、外科手術上の癒着ならびに上皮、結合組織、筋肉、及び組織を含むあらゆる組織内に形成する癒着が含まれ得る。
【0205】
「組織の損傷」、「眼科の処置と関連した組織の損傷」、及び類似の表現及び用語は、本明細書において使用する場合、参照により本明細書に組み込まれ、本発明が適用され得る組織の損傷のいくつかの例を含む、米国第2012/0093768号に提供されるとおりの意味を有する。しかしながら、例として、組織の損傷は、組織修復プロセスの促進及び/または組織の損傷の改善を含み得る。
【0206】
「炎症性障害」、「炎症性疾患」、及び類似の表現は、本明細書において使用する場合、参照により本明細書に組み込まれ、本発明が適用され得る障害のいくつかの例を含む、国際公開第2013/148736号に提供される内に提供されるとおりの意味を有する。一実施形態において、ヘミチャネル及びパネキシン調節剤は、1つ以上のインフラマソームの活性化を抑制するために、単独で、または一緒に使用される。一実施形態において、ヘミチャネル及びパネキシン調節剤またはパネキシンチャネル調節剤を含む調節剤は、インフラマソームによる炎症性カスケードの活性化を抑制するために、単独で、または一緒に使用される。一実施形態において、ギャップ結合、ヘミチャネル及びパネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤を含む調節剤は、少なくとも部分的に、1つ以上のインフラマソームの活性化、及び/またはインフラマソームによる炎症性カスケードの活性化を特徴とする疾患、障害、または病態の対象を治療するために、単独で、または一緒に使用される。一実施形態において、ギャップ結合、ヘミチャネル、パネキシンチャネル、コネキシン及びパネキシン調節剤は、NLRP3インフラマソームの活性を調節するために、単独で、または一緒に使用される。
【0207】
インフラマソームは、カスパーゼ1、PYCARD、NALP、及び任意選択的に、(カ
スパーゼ11またはICH-3としても知られる)カスパーゼ5を含む多タンパク質複合体である。インフラマソームの正確な組成物は、インフラマソーム構築を開始する活性剤に依存する。例えば、dsRNAが、1つのインフラマソーム組成物をもたらすのに対して、石綿は、異なる変異体を構築する。インフラマソームは、炎症性サイトカインインターロイキン1β(IL-1β)及びインターロイキン18(IL-18)の成熟を促進する。インフラマソームは、炎症過程の活性化に関与し、アポトーシスとは異なるプログラムされた細胞死のプロセスである細胞ピロトーシスを誘発することが示されている。NLRP3インフラマソーム遮断は、VEGF-A-誘発老人性黄斑変性を抑制する。
【0208】
用語ギャップ結合チャネル、ヘミチャネル、パネキシンまたはパネキシンチャネル、またはコネキシン機能または活性の「調節剤」、「調節剤」、及び「調節」は、その様々な形態で本明細書において使用する場合、全体的または部分的なコネキシンもしくはコネキシンヘミチャネルもしくはコネキシンギャップ結合、あるいはパネキシンもしくはパネキシンチャネルの発現、作用、または活性の全体的または部分的な抑制を指し、ギャップ結合調節剤としてを含む抗コネキシン剤として、及びパネキシンチャネル調節剤としてを含む抗パネキシン作用剤として機能し得る。いくつかの態様において、ギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤は、血管中に存在するコネキシンの調節剤、例えば、コネキシン43調節剤及び/またはコネキシン45調節剤でもよい。したがって、本明細書において使用する場合、用語「コネキシン調節剤」は、概してコネキシン調節剤を指すが、別段の定めがない限り、具体的にコネキシン43調節剤及びコネキシン45調節剤(ならびにCx43及びCx45ヘミチャネル調節剤)と、他の血管コネキシン及びヘミチャネルの調節剤と、も指す。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、コネキシン43調節剤、例えば、ヘミチャネル開口を遮断するコネキシン43ヘミチャネル調節剤である。いくつかの態様において、ギャップ結合調節剤には、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、及びCx57等の眼中に見られる他のコネキシン、ならびにこれらのヘミチャネル及びギャップ結合の調節剤も含まれる。いくつかの態様において、パネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤は、パネキシン1の調節剤、具体的には、パネキシン1チャネル開口の調節剤でもよい。いくつかの態様において、調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0209】
いくつかの実施形態において、「眼の障害」には、高血圧性緑内障及び正常眼圧緑内障を含む緑内障、臨床的地図状萎縮;乾燥型AMD及び滲出型AMD、異常、もしくは障害を含むAMD、慢性黄斑虚血、眼の線維症、特発性ポリープ状脈絡膜血管症(IPC);糖尿病性黄斑症、糖尿病性網膜症;高血圧性網膜症、炎症性CNV;中心性漿液性網膜脈絡膜症(CSR);黄斑部毛細血管拡張症;パターンジストロフィ;網膜下/サブPRD(subPRD)血管新生;網膜神経感覚上皮の漿液性剥離;RPE剥離;(硝子体への破綻出血を含む、網膜下色素上皮、網膜下、網膜内、もしくは網膜前)出血;網膜上、網膜内、網膜下、もしくは色素上皮下の瘢痕/グリア組織または線維素様の沈着;網膜線維症、網膜血管腫増殖及び網膜脈絡膜吻合;脈絡膜血管新生(CNV);嚢胞性黄斑障害;網膜肥厚;非滲出型AMD;、及び網膜瘢痕化、後部ぶどう膜炎を含むぶどう膜炎、強膜炎、サイトメガロウイルス(CMV)網膜炎を含む上強膜炎ウイルス性網膜炎、未熟児の網膜症、網膜低酸素症、びまん性脈絡膜硬化症、脈絡毛細管板の硬化症、ドライアイ、眼及び角膜の持続性上皮欠損、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、神経障害性の眼の障害、外傷によって誘発された眼圧の低下、上皮基底膜ジストロフィ、ならびに/または、本明細書の他所で述べられるものを含む他の眼の障害が含まれるか、または含まれない。
【0210】
本明細書において使用する場合、「眼神経障害」または「神経障害性の眼の障害」は、RGCの喪失、または他の眼のニューロンもしくは構造体の損傷もしくは喪失の停止もしくは低減、あるいは失われたRGCまたは他の眼の構造体またはニューロンの修復等の、眼
のニューロン脱落を治療する作用剤から恩恵を受けるあらゆる眼の障害、疾患、または病態である。脈絡膜または網膜潅流障害、高眼圧症、脈絡膜もしくは内網膜または眼の他の内部組織の炎症、あるいは網膜静脈または動脈閉塞に起因し得る、眼の神経障害性、虚血性潅流障害、炎症性または微小血管性病変に関連する傷害も含まれる。いくつかの実施形態において、脈絡膜または網膜潅流障害は、眼低酸素症を引き起こし得る。眼の血管またはニューロン内に存在するコネキシンの発現高進を特徴とする、あらゆる眼疾患、障害、及び病態も含まれる。望ましくないパネキシン
活性を特徴とする眼疾患、障害、及び病態も含まれる。望ましくないZO-1タンパク質もしくはZO-1タンパク質活性を特徴とするか、またはZO-1タンパク質もしくはZO-1タンパク質活性の減少から恩恵を受ける疾患、障害、及び病態も含まれる。望ましくないより低いRac1もしくはRac1活性を特徴とするか、またはRac1もしくはRac1活性の増加から恩恵を受ける疾患、障害、及び病態も含まれるRhoA GTPaseもしくはRhoA GTPase活性の望ましくない減少を特徴とするか、またはRhoA GTPaseもしくはRhoA GTPase活性の減少から恩恵を受ける疾患、障害、及び病態も含まれる。
【0211】
「緑内障性眼神経障害」は、緑内障と関連したあらゆる「眼神経障害」、例えば、緑内障と関連した網膜神経節細胞(RPG)への神経障害性損傷及び緑内障性視神経障害を指す。いくつかの実施形態において、緑内障性視神経障害は、眼圧の上昇または脈絡膜もしくは網膜潅流障害と関連している場合があるか、または関連していない場合がある。いくつかの実施形態において、血管新生緑内障を治療する方法は、ギャップ結合調節剤、パネキシン調節剤、パネキシンチャネル調節剤、及び/またはコネキシン調節剤を含む調節剤を投与することによる治療を含む。
【0212】
用語「眼圧関連神経障害」は、高眼圧、すなわち、眼圧の上昇と関連した緑内障の視神経障害を指す。
【0213】
用語「眼低酸素症」は、例えば、眼内の虚血、ならびに/または血管漏出及び/もしくは血管破綻を含む、脈絡膜または網膜潅流障害、高血圧症、または眼への血流及び/もしくは酸素流の断絶を含む低酸素症に起因する、あらゆる眼の病態または障害を指す。眼低酸素症に起因する病態には、例えば、緑内障、緑内障性眼神経障害、眼圧関連神経障害、眼神経障害、臨床的地図状萎縮、DME、脈絡毛細管板脱落、及び/もしくは脈絡膜における毛細血管の破綻、または本明細書及び以下に記載される他の病態が含まれる。
【0214】
臨床的地図状萎縮(GA)
GAの症状は、通常潜行性であり、多くの場合、定期眼底検査の間に発見される。GAが両側性であり、両方の眼の中心窩に関与するとき、患者は、中心視覚の低下を訴え得る。症状の一般的な状態は、初めは、最小サイズの印刷物、次いで、後に、より大きい印刷物及び/または字を読むのが困難になることである。GAの診断の確認は、ステレオ生体顕微鏡検査の高解像度眼底レンズを使用した臨床検査によってである。これは、または明瞭かつホタテガイの縁のように波を打った縁を有する退色の特性領域(単数または複数)を見せる。GAの領域が500マイクロメートルよりも大きいとき、大きい脈絡膜血管が退色の領域内にはっきりと見える。
【0215】
通常、ドルーゼン及び限局性色素沈着過度の領域は、GAの斑に隣接した網膜内に見える。いくつかの撮像モダリティ、具体的には、眼底自発蛍光が、GAの評価において有用であり得る。スペクトルドメインOCTと併せた眼底自発蛍光は、これらの撮像モダリティが生体顕微鏡検査では臨床的に見えない場合があるGAの領域を見せることができるため、GAの診断をより簡単にした。
【0216】
地図状萎縮は、乾燥型AMDの進行した(後期の)形態である。これより、萎縮は、網膜の最深細胞の変性を指す。通常、色素沈着減少のあらゆるはっきりとした輪郭をした円形もしくは楕円形の領域、または脈絡膜血管が周囲の領域内よりも見える網膜色素上皮(RPE)の明らかな不存在と定義される。GAにつながる事象の最も一般的な連鎖は、時折、屈折性沈着物の出現より始まる、網膜及び下部の脈絡毛細管板の萎縮領域の発生を伴う、大きなドルーゼンの色素沈着過度への進行、続いて、ドルーゼンの退縮、色素沈着減少、及び最終的にはRPE細胞死である。
【0217】
いくつかの実施形態において、調節剤、例えば、ギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤またはパネキシンチャネル調節剤は、脈絡膜血管の炎症を防ぎ、網膜色素上皮細胞層を維持し、ならびに/または網膜及び下部の脈絡毛細管板の領域内の萎縮を防ぐ。
【0218】
滲出型老人性黄斑変性(AMD)
滲出型AMDの発病に典型的な最大の症状は、中心視覚のぼやけ及び歪みである。大部分の患者は、直線が湾曲または波状に見えると訴えるようになる。患者は、第1の眼が影響を受けるときには視覚症状に気づかない場合がある。滲出型AMDが第2の眼で生じると、患者は、読んだり、運転したり、また顔の表情や特徴などの細部を見たりすることが突然できなくなる。夜間に気づくが患者らが慣れるにつれて数分以内に解消される視野における中心の暗い斑のAMDを患う多数の患者によって説明されるこの症状。この症状は、必ずしも滲出型AMDを発症するとは限らないAMDを患う患者においても存在し得る。
【0219】
黄斑の検査は、通常、ドルーゼン及び色素異常等の初期AMDの他の特徴と併せた滲出型黄斑病変を明らかにする。これらの後者の特徴は、滲出型AMDが併発した後は目に見えない場合がある。しかしながら、他眼は、進行した疾患がない場合に、これらの早期の臨床兆候の一部またはすべてを呈することになる場合が多く、これらの存在は、新生血管病変がAMDに起因するという診断の裏付けに有用である。細隙灯生体顕微鏡検査の後、次の兆候の存否に留意するべきである:(1)灰緑色の病変として目に見える場合がある網膜下またはRPE下の血管新生(ときに、この病変は、膜の縁におけるRPEの増殖に起因すると考えられる色素の濃い縁を有することになる)、網膜神経感覚上皮の漿液性剥離、(3)RPE剥離、(4)出血-網膜色素上皮下、網膜下、網膜内、または網膜前(硝子体への破綻出血も生じ得る)、(5)上記のうちのいずれかに関し、他の網膜血管疾患に関しない、黄斑性領域内の硬性白斑(脂質)、(6)網膜上、網膜内、網膜下、若しくは色素上皮下の瘢痕/グリア組織または線維素様の沈着、(7)網膜血管腫増殖及び網膜脈絡膜吻合。この障害は、本明細書に記載されるように、調節剤、例えば、ギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療され得る。
【0220】
特発性ポリープ状脈絡膜血管症(IPC)
これは、新生血管AMDの典型的な形態であり、これにおいては、急な壁に囲まれた(steep walled)出血性色素上皮剥離を伴う高度に滲出型の病変が、最も典型的には視神経乳頭に隣接して見られるが、黄斑内及びさらには黄斑外のいずれの場所でも生じ得る。高速フルオレセインまたはインドシアニングリーン血管造影により、典型的には、血管造影の後期に漏出する脈絡膜血管の過蛍光性拡張複合体(分岐している血管網)が明らかとなる。これらの拡張複合体は、ポリープまたはブドウのように見え、これが名前の由来である。これは、元々は中年黒人集団において説明され、女性においてより一般的に見られた。IPCは、AMDのスペクトルの一部と見なされ、高血圧及び虚血性心疾患との強い関連性が説明されている。共焦点高速撮像デバイスを使用することで、IPCをより頻繁に診断することが可能となり、IPCは、アジア系集団の高齢者における漿液
血液黄斑症の3分の1超、及び白色人種で見られるものの8~13%を占める。この障害も、本明細書に記載されるように、調節剤、例えば、ギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療され得る。
【0221】
眼線維症
血管漏出、出血、及び併発線維症によって起きる眼中の高秩序組織構造の分断は、視軸の機械的分断及び/または生物学的機能不全につながり得る。眼線維症はまた、例えば、水晶体、黄斑、または網膜の線維症を含み得、かつ例えば、進行性網膜下線維症及び黄斑前線維症(PMF)を含んでもよい。黄斑線維症は、損傷または傷害に応答して、線維性瘢痕組織の薄板が黄斑の上部に形成するときに発生する。黄斑への損傷は、眼外傷、網膜裂孔若しくは剥離、硝子体の収縮、または糖尿病若しくは高血圧等の全身性疾患に起因して生じ得る。黄斑線維症は、黄斑ひだ形成症、網膜上膜、またはセロファン黄斑症とも称され得る。網膜下線維症は、次第に拡大及び癒着する線維性網膜下病変をもたらす慢性硝子体炎症と関連し得、嚢胞様黄斑浮腫と関連し得る。網膜の前側で黄斑に影響するPMF、一方で黄斑変性は網膜の下側に影響する。PMFの一次症状は、発症に数週間から数カ月かかり得る、片眼における視覚の歪みの段階的な発症である。この障害は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0222】
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎は、眼の中間層であるブドウ膜の炎症である。ブドウ膜は、眼の中間の色素性血管構造からなり、虹彩、脈絡膜、及び毛様体を含む。脈絡膜は、網膜と白眼(強膜)との間に挟まれ、網膜の深層に血流を提供する。ぶどう膜炎は、虹彩炎(前部ぶどう膜炎)と呼ばれる虹彩の炎症を含み得る。この障害も、本明細書に記載されるように、調節剤、例えば、ギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療されてもよい。
【0223】
糖尿病性黄斑症
これは、高齢者における最も一般的な滲出型中心黄斑障害である。糖尿病を患う患者は、多くの場合に黄斑浮腫の背景において、網膜毛細血管瘤、出血、及び滲出液を呈する頻度が高い。静脈充血またはビーズ形成と併せた黄斑アーケードの外でのより甚大な血管所見の存在は、臨床医に糖尿病性黄斑症の診断を警告するだろう。視覚機能の低減は、中心窩が関与するCNVを患う眼と比較して、糖尿病性黄斑症を患う眼においてより明らかではない。黄斑付近の血管は、流体またはタンパク質を黄斑へと漏出させる。フルオレセイン血管造影が、脈絡膜血管新生及びRPE下の病的状態がないことを確認するために必要とされる。滲出型AMD及び糖尿病性黄斑症は、これらの両方が共通の状態であるため、共存し得る。この障害は、脈絡膜血管新生と関連した強度近視のように、本明細書に記載されるように、調節剤、例えば、ギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0224】
強度近視は、脈絡膜血管新生と関連し得る。これらの新生血管複合体は、脈絡膜血管の網膜下空間へのアクセスを許す薄化したブルッフ膜における微小亀裂の発現の結果として生じると考えられる。
【0225】
糖尿病性黄斑浮腫
糖尿病性黄斑浮腫は、黄斑内における血管からの流体の漏出に起因する、糖尿病を患う対象における網膜の腫脹である。黄斑は、網膜の中心部分であり、これは、色を検知し昼間視力が依存する分化した神経終末である錐体視細胞が豊富な小さい領域である。黄斑浮腫が発症するにつれ、中心視野の真ん中において、またはちょうどその側部にぼやけが生
じる。糖尿病性黄斑浮腫に由来する視力喪失は、数カ月間にわたって進行し、焦点をはっきりと合わせることを不可能にし得る。糖尿病において共通の黄斑浮腫。糖尿病患者が黄斑浮腫を発現する生涯リスクは約10%である。この状態は、糖尿病性網膜症(網膜疾患)の程度と密接に関連している。高血圧(血圧が高いこと)及び体液鬱滞も、流体を血管内から網膜中に至らせる毛細血管内の静水圧を増加させる。糖尿病患者における体液鬱滞の一般的な原因は、尿中のタンパク質の喪失(タンパク尿)を伴う腎臓疾患である。糖尿病性黄斑浮腫は、限局型及びびまん型に分類される。これは、この2つの型の治療法が異なるため、重要な差異である。限局性黄斑浮腫は、流体を漏出させる傾向にある血管異常の病巣、主に網膜毛細血管瘤によって引き起こされ、一方でびまん性黄斑浮腫は、網膜における拡張した網膜毛細血管によって引き起こされる。この障害も、本明細書に記載されるように、調節剤、例えば、ギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療されてもよい。
【0226】
糖尿病性網膜症
糖尿病性網膜症は、最終的に失明につながり得る。これは、全身性疾患の眼症状発現であり、少なくとも10年間糖尿病を患っている全患者の最大80%を苦しめている。糖尿病性網膜症性高血糖は、血管壁の障害につながる周皮細胞死滅及び基底膜肥厚を誘導する。この損傷は、血液網膜関門を改変して、網膜血管を透過性にする。眼中のもの等の微小血管は、不良な血糖制御に特に弱い。糖尿病における異常なコネキシン発現は、皮膚、腎臓、膀胱、神経周膜、水晶体、及び心臓76を含むいくつかの組織における合併症と関連する。網膜において、高血糖は、背景にある糖尿病性網膜症の特質である血管ドロップアウト及び周皮細胞喪につながるアポトーシスを誘導することが知られている。最近の知見は、Cxn43発現の減少がアポトーシス及び血管恒常性の崩壊を始動することを示す(Bobbie MW,Roy S,Trudeau K,Munger SJ,Simon AM,Roy S,Invest Ophthalmol Vis Sci.;51(7):3758-63,2010)。しかしながら、上の記述は、大部分は非増殖性糖尿病性網膜症の初期段階における疾患の根底にある背景を指し、一部の患者は損傷した血管が流体及び脂質を黄斑へと漏出させるときに黄斑性浮腫を発症することになるが、ほとんどの患者はその視覚のいずれの変化にも気づかない。疾患が進行するにつれて、糖尿病性網膜症は、血管増殖段階に入る。網膜中の低い酸素レベルのせいで、新たな血管は、脆弱であり、網膜に沿って硝子体液中へと成長する。これらの血管は、出血し、視覚を曇らせ、網膜を破壊し得る。線維血管増殖は、網膜剥離を引き起こし得、血管は、眼の前眼房の隅角の中へも成長して、血管新生緑内障を引き起こし得る。糖尿病性網膜症は、慢性かつ無症候性の炎症の際立った特徴を有する(Zhang W,Liu H,Rojas
M,Caldwell RW,Caldwell RB,Immunotherapy,3(5):609-28,2011)。この障害は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。いくつかの実施形態において、本調節剤は、この糖尿病性網膜症の炎症期を治療することもできる。
【0227】
炎症性CNV
いくつかの脈絡膜炎症性白点症候群(例えば、推定眼ヒストプラスマ症、点状脈絡膜内層症、多病巣性脈絡膜内層症)は、炎症性脈絡膜血管新生と関連し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される調節剤は、脈絡膜の炎症を防ぎ、それにより炎症性CNVを防ぐ。
【0228】
中心性漿液性網膜脈絡膜症(CSR)
中心性漿液性網膜脈絡膜症は、血管新生のあらゆる痕跡のない網膜神経感覚上皮下内の漿液の集積を特徴とする。慢性CSRは、時折、AMDと混同され、重ねて病歴、症状、及び網膜撮像の組み合わせが、通常これら2つを区別するのに役立つ。CNV及びIPC
Vは、慢性CSRの合併症として起こり得る。慢性CSRは、中央黄斑の下に蓄積する傾向がある網膜下の流体の漏出を特徴とする。これは、脈絡膜液が網膜下腔内へと漏出することを許容する。流出の蓄積は、網膜色素上皮内の小さい裂のために起こる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される調節剤は、脈絡膜の炎症を防ぐか、もしくはさもなければ改善し、かつ/または脈絡膜毛細血管脱落を防ぐか、もしくは改善する。脈絡膜の維持は、網膜下腔内への脈絡膜液の漏出を防ぎ得る。
【0229】
黄斑部毛細血管拡張症
時折、周中心窩末梢血管拡張または傍中心窩末梢血管拡張とも称される特発性黄斑部毛細血管拡張症(MACTEL)は、特にn AMDのRAP形態を有するnAMDと区別することが困難であり得る。2つの種類の毛細血管拡張症が説明されており、1型MACTELは、中年の人々において起こり、病態は、通常片眼性であり、血管が漏出性、かつ網膜内液の蓄積が嚢胞性黄斑障害及び周囲の滲出とともに起こる滲出性特徴を呈する。2型MACTELは、より高齢の人々において起こり、中心窩への明らかな経時的、かつ周中心窩領域全体に広がる クリスタリン沈着、色素変化、及びの直角の細静脈の痕跡を伴う、通常両側性である 。漏出がフルオレセイン血管造影で検出可能な一方、網膜肥厚の上昇の痕跡は存在しない。嚢胞性腔は、OCTを使用した網膜内の痕跡であり、これらの腔は、網膜組織の喪失を反映すると考えられている。時折、網膜下血管新生は、網膜循環から発症し、生じる。黄斑部毛細血管拡張症は、黄斑の中心である中心窩の周囲の小さい血管に問題があるとき、発症する。2つの種類の黄斑部毛細血管拡張症が存在し、各々が別に発症する。2型黄斑部毛細血管拡張症:黄斑部毛細血管拡張症の最も一般的な形態は、中心窩周囲の小さい血管が漏出し、拡張する(広がる)か、またはこれらの両方である、2型黄斑部毛細血管拡張症である。いくつかの事例では、新しい血管が網膜下に形成し、これらは、破れるかまたは漏出し得る。漏出血管からの流体は、中心視覚に影響を与える黄斑浮腫と呼ばれる病態である、黄斑の腫れまたは肥厚を引き起こす。また、瘢痕組織は、時折黄斑及び中心窩上に形成し得、細部の視覚の喪失を引き起こす。2方は、両方の眼に発症するが、必ずしも同じ重症度ではない。1型黄斑部毛細血管拡張症:1型黄斑部毛細血管拡張症において、血管が拡張して小さい動脈瘤を形成し、腫れ及び黄斑細胞の損傷を引き起こす。この疾患は、ほぼ常に1つの眼に起こり、これが2型との違いをつける。これらの障害も、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/もしくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤もしくはパネキシンチャネル調節剤で治療され得る。
【0230】
パターンジストロフィ(PD)
PDは、黄斑を冒し、非滲出型AMDと間違われ得る。見られるPDの最も一般的な種類は、成人卵黄状黄斑ジストロフィ(AVMD)であり、より一般的でないのは、蝶型パターンジストロフィである。PDは、遺伝的基盤を有する病態であるが、家族歴は多くの場合存在しない。PDは通常、脈絡膜血管新生または萎縮性変化によって合併しない限り、AMDよりも良好な視覚の結果と関連する。AVMDを、特にAMDと区別することは、困難であり得る。症状は、 特に、CNVまたは萎縮がPDを合併した場合、類似し得るが、多くの場合、AVMDは、定期的な眼底検査で無症状の個人において識別される。眼底自家蛍光画像が、特に光干渉断層撮影と組み合わせたとき、PDをAMDと区別するのに役立つ。フルオレセイン血管造影は、AVMDにおける典型的な「冠状徴候(corona sign)」を示すことができ、蝶型PDに見られる分岐線は、血管造影の段階を通して漏出を示さない、沈着の面積に分散した過蛍光と関連付けられる。時折、卵黄状病変の蛍光眼底造影染色は、CNVからの活発な漏出と間違えられ得る。この障害は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0231】
網膜下/サブPRD(subPRD)血管新生
網膜下血管新生は、脈絡膜内における新しい血管の形成からなる病理学的プロセスである。AMDの湿潤型において、異常な血管が、黄斑下に成長し、流体及び血液を漏出させる。網膜下血管新生と呼ばれるこの異常な血管も、網膜を持ち上げ得る。この障害は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0232】
網膜神経感覚上皮の漿液性剥離
網膜剥離は、網膜下液が網膜神経感覚上皮と網膜色素上皮との間に蓄積したときに起こる。このプロセスは、3つの手段で起こり得る。1つの機構は、硝子体が網膜下腔に直接入ることを許容する網膜内の裂を伴う。これは、裂孔原性網膜剥離として知られている。第2の機構は、網膜または硝子体の表面上の増殖性膜を伴う。これらの膜は、網膜神経感覚上皮上で牽引し、網膜神経感覚上皮と網膜色素上皮との間の物理的分離を引き起こす。これは、牽引性網膜剥離と呼ばれる。網膜剥離の第3の機構は、炎症性介在物質または腫瘤病変からの流体の滲出に起因する網膜下液の蓄積に起因する。この機構は、漿液性網膜剥離または滲出性網膜剥離として知られる。漿液性剥離は、サルコイドーシスまたは脈絡膜新生物等のいくつかの炎症性、または滲出性網膜疾患プロセスによって引き起こされる。いくつかの態様において、本明細書に記載される調節剤は、下部の脈絡毛細管板における炎症を制御するために使用され、網膜下液の蓄積を制御し、かつ/または例えば、網膜神経感覚上皮の漿液性剥離につながり得る網膜下液の蓄積を防ぐ。
【0233】
RPE剥離
RPE剥離は、RPEの基底膜とブルッフ膜の内部コラーゲン層との間の正常な結合を妨害する、任意の数の脈絡膜障害に起因し得る非特異的解剖学的変化である。この妨害は、下部の脈絡毛細管板からの漿液が網膜下色素上皮腔内へのアクセスを得ることを許容する。老人性黄斑変性、脈絡膜新生血管膜、強度近視、色素線条、遺伝性脈絡膜変性、POHS、及び脈絡膜の腫瘍がすべて、RPE剥離の発症における誘発病態として確認されている。この障害は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0234】
出血-硝子体への破綻出血を含む、網膜下色素上皮、網膜下、網膜内、または網膜前出血
網膜出血は、出血が眼の後壁上のリテンシティブ組織(retensitive tissue)内へ起こる眼の傷害である。網膜出血は、高血圧、網膜静脈閉塞(網膜静脈の閉塞)、または(容易に損傷を受ける小さい脆弱な血管の形成を引き起こす)真性糖尿病によって引き起こされ得る。網膜出血、特に慢性疾患と関連しない軽度のものは、通常治療しなくても再吸収する。レーザ手術は、治療オプションであり、これは、レーザ光線を使用して、網膜内の損傷を受けた血管を封鎖する。この障害は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0235】
網膜上、網膜内、網膜下、もしくは色素上皮下の瘢痕/グリア組織または線維素様の沈着
いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、瘢痕化、炎症、及び線維素形成の生成を防ぐことができる。したがって、コネキシン調節剤は、網膜上、網膜内、網膜下、もしくは色素上皮下の瘢痕/グリア組織、または線維素様の沈着を防ぐことができる。この障害は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0236】
網膜血管腫増殖及び網膜脈絡膜吻合
網膜脈絡膜吻合は、網膜と脈絡膜循環との間の通信を表し、新生血管老人性黄斑変性(AMD)を有する患者のサブセットで記載される。網膜血管腫増殖は、円盤状の瘢痕を有する眼における網膜循環と脈絡膜循環との間の吻合の存在によって証明される。この障害は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0237】
脈絡膜血管新生(CNV)
脈絡膜血管新生(CNV)は、眼の脈絡膜層における新しい血管の生成である。これは、変性黄斑症湿潤型AMD(老人性黄斑変性)の一般的な徴候である。CNVは、脈絡膜の最内層であるブルッフ膜に欠損がある個人において急速に起こり得る。CNVは、過剰な量の血管内皮成長因子(VEGF)とも関連付けられている。湿潤型AMDと同様に、CNVは、しばしばまれな遺伝性疾患である弾力線維性仮性黄色腫と共に、及びまれにより一般的な視神経乳頭ドルーゼンと共にも起こり得る。CNVは、極度近視または悪性近視変性とも関連付けられており、脈絡膜血管新生においてラッカークラックとして知られる、網膜(特異的)黄斑組織内のクラックの存在下で主に起こる。この障害は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/若しくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤若しくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0238】
嚢胞性黄斑障害
嚢胞性黄斑障害は、黄斑内または黄斑周囲の嚢胞であり、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/もしくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤もしくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0239】
網膜肥厚
黄斑肥厚(浮腫)は、中心視覚に関与している網膜の一部の腫れまたは肥厚である。いくつかの態様において、本明細書に記載される調節剤は、脈絡毛細管板破綻を制御することができ、これにより、網膜の肥厚を防ぐ。このように、調節剤は、網膜肥厚を治療することができる。網膜肥厚は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/もしくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤もしくはパネキシンチャネル調節剤で治療することができる。
【0240】
非滲出型AMD
非滲出型AMD(「乾燥型AMD」)は、網膜色素上皮(RPE)の徐々の破綻、ドルーゼン沈着物の蓄積、及び覆っている光受容体の機能の喪失に起因する。いくつかの態様において、上述のように、調節剤、例えば、ギャップ結合またはコネキシン調節剤は、単独で、または本明細書に記載されるパネキシン調節剤またはパネキシンチャネル調節剤と一緒に、非滲出型AMDを治療することができる。
【0241】
網膜瘢痕化
網膜瘢痕化は、眼の後部の重要な構造体である網膜上、網膜内、または網膜下の瘢痕組織の進行である。軽度の瘢痕化は、重大な医学的問題ではない場合があるが、大きい瘢痕は、視覚の歪み及び最終的な視覚喪失を引き起こし得る。介添人が、程度を判定し、治療オプションに関するアドバイスを提供するために、網膜瘢痕化を有する患者を評価してもよい。この病態の治療は、侵襲的であり得、医師は、利益以上に害に利益をもたらし得る処置を提案することを望まない。患者は、極めて重度の近視、眼ヒストプラズマ症症候群、及び湿潤型老人性黄斑変性を含むいくつかの理由のために、網膜瘢痕化を発症し得る。網膜瘢痕化は、炎症を引き起こす網膜への刺激から始まり、組織における変化をもたらす。これが反復的に起こる場合、これは、患者にとって重大な問題を引き起こし始め得る。
これは、網膜の表面にしわを作り得るか、または網膜の腫れを引き起こし得る。時折、網膜瘢痕化は、網膜剥離を引き起こす。いくつかの態様において、調節剤、例えば、ギャップ結合調節剤及び/もしくはコネキシン調節剤、ならびに/またはパネキシン調節剤もしくはパネキシンチャネル調節剤は、網膜瘢痕化及び網膜炎症を制御または抑制することができ、これが組織変化を制御し、それにより網膜瘢痕化を予防または改善する。
【0242】
眼低酸素症
網膜低酸素症を含む眼低酸素症は、いくつかの種類の緑内障、網膜中心動脈閉塞、虚血性網膜中心静脈血栓症、糖尿病性眼疾患の合併症(例えば、DME)、AMD、及び眼の線維症を含むいくつかの視覚を脅かす障害が内在する、潜在的に失明させる機構である。低酸素症は、そのような病態で起こる網膜神経節細胞(RGC)の喪失に関連付けられている。RGCの死は、アポトーシスまたはネクローシスによって起こる。低酸素症虚血は、低酸素誘導因子-1α、ならびに血管内皮成長因子(VEGF)及び一酸化窒素合成酵素(NOS)等のその標的遺伝子の発現を誘発する。VEGFの産生の増加は、網膜浮腫につながる血液網膜関門の妨害を引き起こす。NOSの発現増強は、細胞にとって有毒であり得、細胞の死を引き起こす一酸化窒素の産生の増加を引き起こす。低酸素虚血状態における過剰なグルタミン酸放出は、イオンチャネル型グルタミン酸受容体及び代謝型グルタミン酸受容体活性化によって、RGCへの興奮毒性損傷を引き起こす。グルタミン酸受容体の活性化は、ニューロンNOS活性化等の生化学的影響のカスケードによって網膜における損傷を開始すると考えられており、細胞内Ca2+の上昇は、RGC喪失への主な要因である。眼の後眼部において、糖尿病関連網膜低酸素症は、進行した糖尿病性網膜症(DR)の合併症である線維症及び牽引性網膜剥離につながり得る。網膜下で、類似した線維症が、新生血管老人性黄斑変性(AMD)と関連した網膜下出血の後に起こり得る。治療的に有効な量の調節剤、例えば、コネキシン43調節剤等のコネキシン調節剤は、眼神経障害を減速、停止、もしくは逆戻りさせるか、または本明細書に記載される眼の障害のうちのいずれかを治療するのに有効な任意の量である。
【0243】
ギャップ結合及び/またはコネキシンポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドは、例えば、修飾または未修飾コネキシン43アンチセンスポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチド等の、修飾または未修飾コネキシンポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドから選択されてもよい。いくつかの実施形態において、修飾コネキシンアンチセンスポリヌクレオチド、またはオリゴヌクレオチド、またはポリヌクレオチドは、修飾及び未修飾ヌクレオチドの混合物を含む。いくつかの態様において、本明細書の方法で使用されるコネキシン43アンチセンス化合物は、天然型核酸塩基及び未修飾ヌクレオシド間結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドでる。
【0244】
いくつかの態様において、ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤は、ギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシンを抑制及び/もしくは遮断するか、またはギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシンの上流作用薬を抑制及び/もしくは遮断する拮抗薬である。いくつかの態様において、ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン拮抗薬には、例えば、ギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシンに結合し、抑制する拮抗薬、ギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシンの発現を抑制する化合物、ならびに/あるいはギャップ結合、コネキシン及び/もしくはパネキシン阻害剤を含むか、またはギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシンを遮断もしくは抑制するタンパク質もしくはアンチセンスポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターが含まれる。いくつかの態様において、ギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン、ならびに/またはギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシンの上流作用薬を抑制する種は、抗体もしくは抗体断片、ナノボディ、ペプチドもしくはペプチド模倣薬、受容体断片、遺伝子組換え融合タンパク質、アプタマー、小分子、または一本鎖可変領域断片(scFv)でもよい。
【0245】
本明細書における方法は、眼圧を減少させるのに十分な量での、緑内障等の眼圧関連視神経障害の治療を提供する。いくつかの態様において、パネキシン調節剤及びコネキシン調節剤は、眼圧の上昇と関連した外傷の治療に有用である。いくつかの態様において、本発明の組成物、製造品、及び方法は、眼圧を正常レベル、例えば、21mm Hg未満、例えば、21、20、または19mm Hg未満に減少させるのに有用である。いくつかの態様において、例えば、本発明のコネキシン調節剤及びパネキシン調節剤ならびに方法は、眼圧を、例えば、約8~約21mm Hgに、約10~約22mm Hg、約10~21mm Hg、または約12~約21mm Hgに減少させるのに有用である。いくつかの態様において、本発明の組成物及び方法はまた、高眼圧がない場合でさえ、緑内障性視神経障害を治療するのに有用である。いくつかの実施形態において、コネキシン調節剤は、例えば、コネキシン43調節剤またはコネキシン45調節剤、好ましくはコネキシン43調節剤である。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0246】
少なくとも1個の未修飾ヌクレオチドを含むコネキシンまたはパネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドが本発明に取り上げられる。一態様において、コネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含んでもよい、かつ/または少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合、及び/もしくは少なくとも1つの修飾糖部分を有してもよい。修飾ヌクレオシド間結合は、例えば、ホスホロチオエート結合でもよい。いくつかの態様において、例えば、コネキシン43ポリヌクレオチドは、立体配座的に緊張させたヌクレオチド、例えば、ロックド核酸(LNA)または架橋核酸(BNA)を含む少なくとも1個のヌクレオチドを含んでもよい。ロックトヌクレオチドは、例えば、2′-O-CH2-4′(オキシ-LNA)、2′-CH2-CH2-4′(メチレン-LNA)、2′-NH-CH2-4′(アミノ-LNA)、2′-N(CH3)-CH2-4′(メチルアミノ-LNA)、2′-S-CH2-4′(チオ-LNA)、及び2′-Se-CH2-4′(セレノ-LNA)の種類のうちの1つから選択されてもよい。いくつかの態様において、修飾ヌクレオチドは、ロックド核酸またはアンロックド核酸でもよい。いくつかの実施形態において、コネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、例えば、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、またはコネキシン45アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、好ましくは、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、コネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、例えば、Cx26、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。
【0247】
ヌクレオチド配列を含むか、もしくは配列番号1~16から選択されるヌクレオチド配列から修飾され、かつ/または本開示の方法、組成物、キット、及び製造品から含められ得るか、もしくは除外され得る、例となる修飾または未修飾コネキシン43アンチセンス化合物も、本明細書に取り上げられる。本発明のポリヌクレオチドは、80ヌクレオチド長未満、例えば、12~18から約50~80ヌクレオチド長、好ましくは、約30ヌクレオチド長以下、例えば、12~約30ヌクレオチド長、より好ましくは、約15~約30ヌクレオチド長を有する合成ポリヌクレオチドを含む。一例において、ポリヌクレオチドは、30個のヌクレオチドを有する。いくつかの態様において、本発明の方法は、配列番号1~17から選択されるヌクレオチド配列を含むか、または配列番号17の約8~40個のヌクレオチドを含む、最大40ヌクレオチド長、例えば、15~40ヌクレオチド長のコネキシン43アンチセンス化合物の使用を取り上げる。
【表1】
【0248】
表1は、例となるコネキシン43ポリヌクレオチド調節剤のポリヌクレオチド配列を列挙する。配列番号1~16等の配列が提供されるとき、これらは、修飾及び未修飾オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの両方を表す。いくつかの実施形態において、ヌクレオチド間の結合、及びヌクレオチドの糖部分の構造体は、修飾されていてもよい。いくつかの実施形態において、いずれかの2個のヌクレオチド間のヌクレオシド間結合は、標準ホスホジエステル結合でもよい。いくつかの実施形態において、いずれかの2個のヌクレオチド間のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合でもよい。例えば、配列番号1は、次の選択された構造:GsTsAsAsTTGCGGCAAGAAGAATTGTTTCsTsGsTsCのうちの1つでもよく、式中、「s」は、2個のヌクレオチド間
のホスホロチオエート結合を示す。別の非限定的な例として、配列番号1は、(G)(T)(A)(A)TTGCGGCAAGAAGAATTGTTTC(T)(G)(T)(C)でもよく、挿入ヌクレオチドは、以下に記載されるように、修飾糖類部分を有する。
【0249】
例となる配列は、表2に示し、これらは、望ましくないZO-1タンパク質もしくはZO-1タンパク質活性を特徴とするか、またはZO-1タンパク質もしくはZO-1タンパク質活性の減少から恩恵を受ける眼疾患、障害、及び病態の治療において有用である。
【表2】
【0250】
表2は、ZO-1 AS ODN(アンチセンスオリゴデオキシリボヌクレオチド)、shRNA(小ヘアピンRNA分子)、及びsiRNA(小干渉RNA分子)のポリヌクレオチド配列を列挙する。
【0251】
ZO-1は、当初は、細胞内のネットワークを形成する密着結合で確認された。この構造体は、細胞間接触帯の2つの細胞間の交差にのみ存在する。ZO-1は、膜貫通タンパク質であるクローディン及びオクルディンと共存する220-kDa膜タンパク質である。後に、ZO-1は、細胞を一緒に締め、それにより細胞及び組織極性を維持する接着結合に示され、確認された。これらの結合は、細胞骨格も固定し、形質膜の大きな複合体の形成を可能にする。
【0252】
ZO-1,5’-CTGCTTTCTGTTGAGAGGCT-3’(配列番号325)を標的とするアンチセンスポリヌクレオチドの合成のために選択される1つの配列は、MUSZO1受入番号D14340Iの塩基ペア3154~3169からのセグメントと一致する。
【0253】
いくつかの態様において、コネキシン43アンチセンス化合物は、配列番号17から選択される核酸塩基配列を有するコネキシンをコードする核酸分子の少なくとも約8つの核酸塩基に向けられるポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド、例えば、コネキシン43ア
ンチセンス化合物は、配列番号17、もしくはそれと相互補完的である配列の約8~約20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、または約80個のヌクレオチドを有してもよく、及び/またはアンチセンスポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドは、列挙される長さのうちの任意の2つの間の長さの任意の範囲を含んでもよい。本発明のポリヌクレオチドは、80ヌクレオチド長未満、例えば、12~18から約50~80ヌクレオチド長、好ましくは、約30ヌクレオチド長以下、例えば、12~約30ヌクレオチド長、より好ましくは、約15~約30ヌクレオチド長を有する合成ポリヌクレオチドを含む。一例において、ポリヌクレオチドは、30個のヌクレオチドを有する。いくつかの態様において、あ本発明の方法は、配列番号1~17から選択されるヌクレオチド配列を含む、最大40ヌクレオチド長、例えば、15~40ヌクレオチド長のコネキシン43アンチセンス化合物の使用を取り上げる。いくつかの態様において、本発明の方法は、配列番号4~17から選択されるヌクレオチド配列を含む、最大40ヌクレオチド長、例えば、15~40ヌクレオチド長のコネキシン43アンチセンス化合物の使用を取り上げる。
【0254】
ヒトCx43、α1(配列番号17) 遺伝子座 NM_000165 3088b
p mRNA直鎖PRI 26-OCT-2004
定義 ホモサピエンスギャップ結合タンパク質、アルファ1、43kDa(コネキシン43)
(GJA1)、mRNA。
配列表9-1
【化24】
配列表9-2
【化25】
【0255】
いくつかの実施形態において、糖部分は、修飾糖部分でもよい。いくつかの実施形態において、修飾糖部分は、立体配座的に緊張させた糖類である糖部分でもよい。いくつかの実施形態において、立体配座的に緊張させた糖類は、ロックトヌクレオチド(ロックド核酸、またはLNA)でもよい。いくつかの実施形態において、ロックトヌクレオチドは、2′-O-CH2-4′(オキシ-LNA)、2′-CH2-CH2-4′(メチレン-LNA)、2′-NH-CH2-4′(アミノ-LNA)、2′-N(CH3)-CH2-4′(メチルアミノ-LNA)、2′-S-CH2-4′(チオ-LNA)、及び2′-Se-CH2-4′(セレノ-LNA)のうちの1つから選択されてもよい。いくつかの実施形態において、立体配座的に緊張させた糖類は、架橋核酸でもよい。(BNA)。
【0256】
式IIIに示されるように、立体配座的に緊張させた糖類は、ロックド核酸でもよい。いくつかの態様において、ヌクレオシド化合物の糖部分は、リボフラノースでもよい。したがって、特に好適な置換基Xは、酸素である。しかしながら、他の様々な代替糖類部分もまた適切であり、概して、修飾糖類及び炭素環部分も本明細書の使用に好適であると見なされることを企図する。したがって、Xは、酸素以外の原子または基も含んでもよく特に企図される代替基Xとしては、糖類が硫黄糖であるS、糖類が炭素環化合物であるCH
2
、C=O、C=CH
2、または共有結合、ならびに糖類がアミノ糖であるNR(Rは水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びアシルからなる群から選択される)が挙げられる。基であるY及びZもまた、変化し得る。いくつかの態様において、置換基Y及びZは、O、S、CH
2、NR、C=O、C=CH
2、または共有結合からなる群から選択され得、式中Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びアシルからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、Qは、なし、O、S、NHR、またはCH
2から選択されてもよく、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びアシルからなる群から選択される。
【化26】
【0257】
いくつかの実施形態において、Bは、次の種類の塩基:置換及び非置換デアザプリン、アザプリン、デアザピリミジン、プリン、ピリミジン、及びアザピリミジンのうちの1つから選択される塩基でもよい。用語「置換された」は、本明細書において使用する場合、1つ以上の官能基の追加を指し、特に企図される官能基としては、求核基(例えば、-NH2、-OH、-SH、及び-NC)ならびにび求電子基(例えば、C(O)OR、及びC(X)OH)、極性基、非極性基(例えば、アリール、アルキル、アルケニル、またはアルキニル)、イオン基(例えば、-NH3
+)、ならびにハロゲン(-F、-Cl、-I、-Br)と、これらのすべての化学的に適切な組み合わせと、が挙げられる。いくつかの態様において、Bは、アデノシン、チミン、ウラシル、グアニン、及びシトシンのうちの1つから選択される。
【0258】
基であるR1、R2、及びR3は、なし、-H、-OH、-OCH3、アルキル、及び特にメチル、-O-アシル、-N3、-CN、及びハロゲンからなる群から選択されてもよい。さらに、企図されるヌクレオシド類似体が、リン酸、ホスホネート基、またはホスホロチオエート基を含む場合、特に好適なR1及び/またはR2基には、一リン酸、二リン酸、三リン酸、モノホスホネート、ジホスホネート、トリホスホネート、ホスホロチオエート、糖OH基を有するアミノ酸エステル、または一リン酸、二リン酸、三リン酸、モノホスホネート、ジホスホネート、トリホスホネート、もしくはホスホロチオエートのプロドラッグが含まれることが企図される。
【0259】
式IVに示されるように、ロックド核酸の構造体は、酸素(「O」)としてのZをさらに含むことができ、YはCH2であり、Qはなく、R3はない。基であるB、R1、及びR2は、上述の基から選択されてもよい。
【0260】
いくつかの実施形態において、上記のマーカッシュ群のうちのいずれかに関して、各群は、その群について列挙される種のうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【化27】
【0261】
式Vに示されるように、立体配座的に緊張させたヌクレオチドの構造体は、架橋核酸(BNA)でもよい。基であるX、Y、Z、R
1、R
2、R
3、及びBは、上述の基から選択されてもよい。
【化28】
【0262】
いくつかの実施形態において、コネキシン43調節剤は、ペプチドを含んでもよい。ペプチド配列は、例えば、次の配列:SRPTEKT「Mod3」、(配列番号173)、「ペプチド1」ADCFLSRPTEKT(配列番号291)、「ペプチド2」VACFLSRPTEKT(配列番号292)、「ペプチド11」VDCFLSRPTAKT(配列番号293)、「ペプチド12」VDCFLSRPTEAT(配列番号294)、「ペプチド5」VDCFLSRPTEKT(配列番号168)、「Mod1」CFLSRPTEKT(配列番号171)、「Mod2」LSRPTEKT(配列番号172)のうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態において、カルボキシ末端は、修飾されていてもよい。いくつかの態様において、カルボキシ末端修飾は、任意選択的に、水素または他の部分とさらに結合され得るn-アルキル鎖を含んでもよい。いくつかの実施形態において、コネキシン43ペプチドは、上に列挙されるか、または本明細書に開示されるペプチドのうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0263】
本発明のいくつかの態様において、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、配列番号1~64から選択される配列を有するポリヌクレオチドに対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の相同性を有する。
【0264】
配列番号217の8~約80個のヌクレオチドを含む修飾または未修飾コネキシン45アンチセンスポリヌクレオチド、ならびに配列番号279の8~約80個のヌクレオチドを
含む修飾及び未修飾パネキシンアンチセンスポリヌクレオチドも本明細書に取り上げる。本発明のポリヌクレオチドは、80ヌクレオチド長未満、例えば、12~18から約50~80ヌクレオチド長、好ましくは、約30ヌクレオチド長以下、例えば、12~約30ヌクレオチド長、より好ましくは、約15~約30ヌクレオチド長を有する合成ポリヌクレオチドを含む。一例において、ポリヌクレオチドは、30個のヌクレオチドを有する。本発明の方法は、いくつかの態様において、最大40ヌクレオチド長、例えば、15~40ヌクレオチド長、例えば、配列番号217の約8~約40個または約15~約40個のヌクレオチドを含むコネキシン45アンチセンス化合物の使用を取り上げる。本発明の方法は、いくつかの態様において、最大40ヌクレオチド長、例えば、15~40ヌクレオチド長、例えば、配列番号283~287の約8~約40個または約15~約40個のヌクレオチドを含むパネキシンアンチセンス化合物の使用を取り上げる。いくつかの実施形態において、コネキシン45またはパネキシンアンチセンス化合物は、配列番号217、または配列番号283~287の中の1つ以上のチミンヌクレオチドを、1個以上のウリジンヌクレオチド残基に置換することによって修飾されてもよい。
【0265】
ヒトCx45、α7(配列番号217) 遺伝子座 NM_005497 1191
bp mRNA直鎖PRI 23-DEC-2003
定義 ホモサピエンスギャップ結合タンパク質、アルファ7、45kDa(コネキシン45)
(GJA7)、mRNA.
配列表10
【化29】
【0266】
本発明のいくつかの態様において、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、配列番号1~17から選択される配列を有するポリヌクレオチドに対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の相同性を有する。オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであるコネキシンまたはパネキシンは、これらのそれぞれの配列の8~80個のヌクレオチド部分に対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の相同性を有してもよい。例えば、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであるコネキシン45調節剤が、配列番号217の8~80個のヌクレオチド部分に対して、少なくとも約
80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%相同性を有してもよい一方で、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであるパネキシン調節剤は、配列番号283(Panx1ポリヌクレオチド)、(Panx1ポリヌクレオチドRefSeq番号NM_015368.3)、配列番号284(Panx2ポリヌクレオチド)、(変異体1の場合、Panx2ポリヌクレオチドRefSeq番号NM_052839.3)、配列番号285(Panx2ポリヌクレオチド変異体2の場合、RefSeq番号NM_001160300.1)、配列番号286(Panx2ポリヌクレオチド変異体3の場合、RefSeq番号NR_027691.1)、または配列番号287(Panx3ポリヌクレオチド)(Panx3ポリヌクレオチドRefSeq番号NM_052959.2)の8~80個のヌクレオチド部分に対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の相同性を有してもよい。
【0267】
いくつかの態様において、パネキシン調節剤は、パネキシンペプチド配列を含んでもよいか、または含まなくてもよい。パネキシンペプチド配列は、ポリペプチド配列番号288、Panx1ペプチド)、配列番号289、Panx2ペプチド)、または配列番号290、Panx3ペプチド)の8~40個の連続したアミノ酸、細胞外ドメイン、細胞内ドメイン、カルボキシ末端部、またはアミノ末端部を含み得る。
【0268】
他の実施形態において、コネキシン調節剤は、時折、抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬と称されるコネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、コネキシン細胞外ドメイン、膜貫通領域、及びコネキシンカルボキシ末端ペプチドを含む修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド模倣薬)である。抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬は、修飾されていてもよいか、または修飾されていなくてもよい。抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬は、化学的、合成的に作製されるか、さもなければ製造される。いくつかの実施形態において、コネキシン調節剤は、コネキシン43ペプチドまたはペプチド模倣薬である。いくつかの態様において、治療上有効な修飾または未修飾ペプチドまたはペプチド摸倣薬は、コネキシン43またはコネキシン45等のコネキシンの細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインの一部分を含む。いくつかの態様においてペプチドまたはペプチド摸倣薬は、コネキシンCx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの細胞外ドメインもしくは膜貫通ドメインの一部分を含む。他の実施形態において、調節剤は、時折抗パネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬と称される、パネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド模倣薬である。他の実施形態において、調節剤は、時折抗パネキシンパネキシンまたはペプチド模倣薬と称される、パネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド模倣薬である。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0269】
いくつかの実施形態において、本発明のコネキシン調節剤は、抗コネキシン43ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、治療上有効、例えば、本明細書に記載される神経障害性の眼の障害のうちのいずれかを治癒するのに有効な、本発明の方法で有用な、コネキシンの細胞外ドメインの一部分を含むペプチド、及びコネキシンのカルボキシ末端の一部分を含むペプチドを含む、本明細書に記載されるペプチドのうちのいずれかを含む。いくつかの態様において、治療上有効な修飾または未修飾ペプチドまたはペプチド摸倣薬は、コネキシン43またはコネキシン45等のコネキシン、好ましくはコネキシン43の細胞外ドメインの一部分を含む。コネキシン43のタンパク質配列を、以下に示す。コネキシン43(配列番号:19)
配列表11-1
【化30】
配列表11-2
【化31】
【0270】
表3は、コネキシン43及びコネキシン45の細胞外ループを示す。いくつかの実施形態において、治療上有効な修飾または未修飾ペプチドまたはペプチド摸倣薬は、コネキシン43またはコネキシン45等のコネキシン、好ましくはコネキシン43のE2細胞外ドメインの一部分を含む。いくつかの実施形態において、治療上有効な修飾または未修飾ペプチドまたはペプチド摸倣薬は、コネキシン43またはコネキシン45等のコネキシン、好ましくはコネキシン43のC末端ドメインの一部分を含む。ペプチドまたはペプチド摸倣薬調節剤が、コネキシンの細胞内ドメインの一部分を含む場合、いくつかの実施形態において、ペプチドは、細胞内部移行トランスポータと複合化し得、いくつかの事例で、コネキシン43と結合しているzona occludens(ZO-1)を遮断し得る。
【表3】
【0271】
異なるコネキシンアイソタイプのE2ドメインの配列は、表4に太字で示されるペプチド配列番号35及びペプチド配列番号36に相同なアミノ酸とともに示される。ペプチド配列番号36の最後の4個のアミノ酸は、4番目の膜ドメインに一部であることに留意されたい。
【0272】
表4は、本明細書に記載されるペプチド阻害剤を開発するために使用される、コネキシンファミリーメンバーの細胞外ドメインを提供する。ある特定の非限定的な実施形態において、ペプチド及び表4に提供されるもの、ならびにこれらの断片は、ペプチド阻害剤として使用される。他の非限定的な実施形態において、約8~約15個を含むペプチド、この表のペプチドの約11~約13個のアミノ連続アミノ酸のペプチドが、本発明のペプチド阻害剤である。他の実施形態において、控えめなアミノ酸変化が、ペプチドまたはその断片に加えられる。
【表4】
【0273】
コネキシン活性を調節することができるコネキシン間結合を抑制することで知られる他のペプチド配列は、コネキシン43(アミノ酸119-144)L2ペプチドの細胞質ループ及びコネキシン43のL2ペプチドのサブパーツである。いくつかの実施形態において、これらのペプチドは、例えば、Gap19の9個のアミノ酸配列、KQIEIKKFK(配列番号299);天然Gap19配列、DGVNVEMHLKQIEIKKFKYGIEEHGK(配列番号300);Shibayama(Shibayama,J.et al.,Biophys.J.91,405404063,2006)によって報告されたGap19のHis144→Glu L2誘導体、DGVNVEMHLKQIEIKKFKYGIEEQGK(配列番号301);TAT-Gap19配列、YGRKKRRQRRRKQIEIKKFK(配列番号302);SH3結合ドメイン、CSSPTAPLSPMSPPGYK(配列番号303)、もしくはそのサブパーツPTAPLSPMSPP(配列番号304);細胞透過を上昇させるためのTATリーダー配列の有無にかかわらないCT9もしくはCT10ペプチドのC末端配列、RPRDDEI(配列番号3
05)、SRPRDDLEI(配列番号307)、YGRKKRRQRRRSRPRDDEI(配列番号306)、またはYGRKKRRQRRRRPRDDEI(配列番号308)を含んでもよいか、または含まなくてもよい。本明細書に開示される組成物、方法、キット、または製造品内に含められてもよいか、または含められなくてもよい他のペプチド摸倣薬の配列は、Dhein(Dhein,S.,Naunyn-Schmiedebergの Arch.Pharm.,350:174-184,1994)によって報告されたもの;AAP10ペプチド、H2N-Gly-Ala-Gly-4Hyp-Pro
Tyr-CONH2(配列番号309)、及びZP123ペプチド(ロチガペプチド(rotigapeptide))、Ac-D-Tyr-Pro-D-4Hyp-Gly-D-Ala-Gly-NH2(配列番号310)、(Dhein,S.,et al.Cell Commun. Adhes. 10,371-378,2013)である。ロチガペプチド(rotigapeptide)は、天然L型ペプチドへの有効性を改善するために、D型ペプチドを含む。
【0274】
抗パネキシン剤の例は、以下に記載される抗パネキシンアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(「ODN」)を含む、抗パネキシンポリヌクレオチドである。抗パネキシンポリヌクレオチドの例には、(修飾及び未修飾骨格アンチセンスを含む)アンチセンス、RNAi、ならびにmiRNA及びsiRNAを含む抗パネキシンオリゴデオキシヌクレオチドが含まれる。好適な抗パネキシンペプチドには、例えば、パネキシン細胞外ドメイン、またはパネキシン細胞内ドメインを結合させるペプチドが含まれる。好適な抗パネキシン剤には、例えば、Panx1に対するアンチセンスODN、ペプチド、及びペプチド模倣薬が含まれる。ペプチドまたはペプチド模倣薬には、抗パネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、パネキシン複合体遮断ペプチド(例えば、抗パネキシン抗体及び抗体結合断片)またはペプチド模倣薬(例えば、パネキシンの1つ以上の細胞外もしくは細胞内領域に向けられたペプチド模倣薬)が含まれる。ペプチド模倣薬は、細胞内パネキシン領域及びドメインの結合のための膜輸送を促進するために、1つ以上の他の作用剤、例えば、アンテナペディアに対して複合体化されてもよい。
【0275】
用語「ペプチド」、「ペプチド摸倣薬」、及び「摸倣物」には、これらが模倣するタンパク質領域の実質的に同じ構造的及び機能的性質を有し得る合成または遺伝子改変の化学化合物が含まれる。コネキシンの場合、これらは、例えば、コネクソン間ドッキング及び細胞間チャネル形成、ならびに/またはヘミチャネルコネキシンの細胞外ループに関与する拮抗するコネキシンの細胞外ループを模倣し得る。
【0276】
本明細書において使用する場合、用語「ペプチド類似体」は、テンプレートペプチドの特性と類似した特性を有し、非ペプチド薬物でもよい化合物を指す。ペプチド及びペプチド系化合物を含む(ペプチド摸倣物としても知られる)「ペプチド模倣薬」には、ペプチド類似体等のそのような非ペプチド系化合物も含まれる。治療上有用なペプチドに構造的に類似したペプチド模倣薬は、同等または改善された治療効果または予防効果を産生するために使用され得る。いくつかの態様において、ペプチド及びペプチド模倣薬は、修飾されていてもよいか、または修飾されていなくてもよい。一般に、ペプチド模倣薬は、パラダイムポリペプチド(すなわち、生物学的または薬理学的機能もしくは活性を有するポリペプチド)に対する構造的または機能的模倣物(例えば、同一または類似している)であるが、任意選択的に、例えば、-CH2NH-、-CH2S-、-CH2-CH2-、-CH=CH-(シス及びトランス)、-COCH2-、-CH(OH)CH2-、ならびに-CH2SO-からなる群から選択される結合によって置き換えられた1つ以上のペプチド結合も有してもよい。摸倣物は、天然アミノ酸、合成化学化合物、アミノ酸の非天然類似体で完全に構成され得るか、または部分的天然ペプチドアミノ酸及びアミノ酸の部分的非天然類似体のキメラ分子であるかのいずれかである。摸倣物は、そのような置換も摸倣物活性を実質的に変化させない限り、任意の量の天然アミノ酸の保存的置換も含んでもよ
い。コネキシンの場合、これらは、例えば、コネクソン間ドッキング及び細胞間チャネル形成に関与する拮抗するコネキシンの細胞外ループを模倣し得る。例えば、摸倣組成物は、例えば、ギャップ結合媒介細胞間通信を形成するためのコネクソンのドッキングを妨げるか、または細胞質を細胞外環境に暴露するためのコネクソンの開口を妨げる等の、生物学的作用またはコネクソンの活性を下方制御し得る場合、ギャップ結合調節剤として有用であり得る。ペプチド模倣薬は、本明細書に記載されるもの、及び現在既知であるか、または後に開発されるかに関わらず、当分野で既知であり得るものを包含する。ペプチド及びペプチド模倣薬コネキシン調節剤も、安定性を上昇させ、生物学的利用能を改善し、かつ/または細胞膜透過性を上昇させるために、改質されてもよい。
【0277】
本発明のいくつかの態様において、コネキシン調節剤は、ペプチドまたはペプチド摸倣薬である。本開示のある特定の実施形態において、含められてもよいか、含められなくてもよい、例となるコネキシン43(Cx43)、またはCx26、Cx30、Cx30.3、Cx31、Cx31.1、Cx32、Cx36、Cx37、Cx40.1、Cx43、Cx46、Cx46.6、もしくはCx40ペプチド調節剤は、以下の表64に提供される(E2及びT2は、例えば、第2の細胞外ドメインまたは第2の膜貫通ドメイン内のペプチドの位置を指す)。
【表5】
【0278】
いくつかの実施形態において、コネキシン43調節剤は、例えば、例えば、配列番号173(SRPTEKT)を含むペプチドまたはペプチド摸倣薬を含んでもよい。ペプチドまたはペプチド摸倣薬は、例えば、配列番号168(VDCFLSRPTEKT)も含んでもよい。ペプチドは、1つ以上の修飾アミノ酸、アミノ酸類似体を含んでもよいか、またはさもなければ、生物学的利用能を改善するか、もしくは細胞膜を超える透過率を上昇させるために修飾されてもよい。例えば、配列番号168を修飾して、配列番号300~306を得てもよい。いくつかの態様において、例えば、配列番号173(SRPTEKT)または配列番号168(VDCFLSRPTEKT)を含むペプチドまたはペプチド摸倣薬は、7~40個のアミノ酸またはアミノ酸類似体を含み、かつC末端ペプチドを含まない。いくつかの実施形態において、ペプチドは、プロモイエティとして使用されてもよい。
【0279】
いくつかの態様において、コネキシン45調節剤は、コネキシン間の相互作用を拮抗もしくは抑制、または遮断するコネキシン45タンパク質の部分を含むペプチドまたはペプチド模倣薬でもよい。コネキシン45ペプチド及びペプチド摸倣薬調節剤の例となるペプチド配列は、表63に提供される。
【表6】
【0280】
いくつかの実施形態において、コネキシン45調節剤は、例えば、例えば、配列番号280(SRPTEKT)を含むコネキシン45のE2またはC末端ドメインの一部分を含むペプチドまたはペプチド摸倣薬を含んでもよい。ペプチドまたはペプチド摸倣薬は、例えば、配列番号279(DCFISRPTEKT)も含んでもよい。いくつかの実施形態において、ペプチドは、SRL、PCH、LCP、CHP、IYY、SKF、QPC、V
CY、APL、HVR以上を含む、わずか3アミノ酸長でもよい。
【0281】
いくつかの態様において、コネキシン40調節剤は、コネキシン間の相互作用を拮抗もしくは抑制、または遮断するコネキシン40タンパク質の部分を含むペプチドまたはペプチド模倣薬でもよい。
【0282】
ペプチド化学的改変
ある特定の実施形態において、本発明のコネキシン43調節剤ペプチドは、アミノまたはカルボキシ末端で細胞内移行トランスポータと結合し得る。本発明のコネキシン43調節剤ペプチドと結合している細胞内移行トランスポータは、当分野で既知、もしくは新規に見出される任意の内部移行配列でもよいか、またはその保存的変異形でもよい。細胞内移行トランスポータ及び配列の非限定的な例としては、アンテナペディア配列、TAT、HIV-Tat、ペネトラチン、Antp-3A(Antp変異体)、ブフォニンII、トランスポータン、MAP(モデル両親媒性ペプチド)、K-FGF、Ku70、プリオン、pVEC、Pep-1、SynB1、Pep-7、HN-1、BGSC(ビス-グアニジニウム-スペルミジン-コレステロール、及びBGTC(ビスグアニジニウム-トレン-コレステロール)が挙げられる。
【0283】
例となる細胞内移行ペプチドの配列は、以下の表65に提供される。
【表7】
【0284】
表65は、例となる細胞内移行トランスポータの配列を列挙する。
【0285】
いくつかの実施形態において、コネキシン、パネキシン及び/またはパネキシン調節剤ペプチドは、標的細胞内への透過率を上昇させるために、融合されて、輸送ペプチドになる。いくつかの実施形態において、輸送ペプチドは、細胞透過のためのウイルスコーティングの一部であり得る。いくつかの実施形態において、輸送ペプチドは、カルボキシ末端ま
たはアミノ末端で融合されて、コネキシン及び/またはパネキシン調節剤ペプチドになり得る。輸送ペプチドは、次のペプチド:ANTP、HIV-TAT、トランスポータン、ブフォニンII、Tat、ペネトラチン、MAP、K-FGF、Ku70、プリオン、pVEC、Pep-1、SynB1、Pep-7、RGD、またはHN-1のうちの1つから選択され得る。いくつかの実施形態において、コネキシン、パネキシン、及び/またはパネキシン調節剤ペプチドは、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0286】
本発明の一実施形態において、コネキシン43調節剤ペプチドのアミノ酸配列は、本明細書に列挙される任意のペプチド配列番号、またはその保存的変異形からなる群から選択され得る。本発明のさらなる実施形態において、コネキシン43調節剤ペプチドは、配列番号140~200のアミノ酸配列を含み得る。本発明の別の実施形態において、コネキシン43調節剤ペプチドは、細胞内移行トランスポータをさらに含む。さらなる実施形態において、コネキシン43調節剤ペプチドは、アミノ末端で細胞内移行トランスポータと結合し得る。
【0287】
特定のタンパク質が本明細書で示されるとき、誘導体、変異体、及び断片が企図される。タンパク質誘導体及び変異体は、当業者によく理解され、アミノ酸配列の改変を伴い得る。例えば、アミノ酸配列改変は、挿入変異体、置換変異体、または欠損変異体の3つのクラスのうちの1つ以上に分類され得る。挿入には、アミノ及び/またはカルボキシル末端融合、ならびに単一または複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。挿入は、例えば、1~4個の残基のような、アミノまたはカルボキシル末端融合の挿入より小さい挿入であり得る。欠損は、タンパク質配列(複数可)からの1つ以上のアミノ酸残基の除去を特徴とする。置換、欠損、挿入、またはこれらの任意の組み合わせは、最終構築物に到達するために、組み合わせられてもよい。置換変異体は、少なくとも1つの残基が除去され、異なる残基がその場所に挿入されたものである。そのような置換は、保存的置換と称される。1つのアミノ酸残基の、生物学的及び/または化学的に類似した別のものとの置き換えは、当業者に保存的置換として知られている。保存的置換は、1つの疎水性残基を別のものに、または1つの極性残基を別のものに置き換え得る。各々が明確に開示される配列の保存的置換変異体は、本明細書に提供されるペプチド内に含まれる。保存的置換は、典型的に、得られるポリペプチドの生物活性にほとんど影響を与えない。保存的置換は、ペプチドの生物学的機能に実質的に影響を与えない、ペプチド内のアミノ酸置換でもよい。ペプチドは、1つ以上のアミノ酸置換、2~10個の保存的置換、2~5個の保存的置換、または4~9個の保存的置換を含み得る。
【0288】
化学構造改変
ある特定の実施形態において、ペプチドまたはペプチド模倣薬の化学構造は、ペプチドの遺伝子導入取り込みを増加させるために合成修飾されてもよい。いくつかの実施形態において、例えば、ペプチドまたはペプチド摸倣薬は、リンカー部分をとおして、ペプチドを疎水性化合物と複合化させることによって修飾されてもよい。疎水性化合物は、例えば、1つ以上のn-アルキル基でもよく、これは、例えば、C6-C14アルキル基でもよい。いくつかの実施形態において、ペプチドは、参照により本明細書に組み込まれる、Chen,YS et al.,J.Pharm. Sci.,102:2322-2331(2013)に記載されるように、N末端で1つまたは2つのドデシル(C12)基と複合化してもよい。一実施形態において、ペプチド配列CFLSRPTEKTまたはVD
CFLSRPTEKTは、2つのドデシル基と複合化して、コネキシン43、「C12-C12-Cxn43 MP」(配列番号326)を調節することができる修飾ペプチドを生じ得る。その得られる構造を、
図80に示す。
【化32】
図80。C12-C12-Cxn43 MP(配列番号326)の構造。R
1及びR
2は、水素またはアルキル基でもよい。いくつかの態様において、R
1=R
2=n-ドデシル鎖である。
【0289】
抗コネキシン調節剤薬物
いくつかの実施形態において、ギャップ結合調節剤は、抗コネキシン調節剤薬物である小分子でもよい。いくつかの態様において、抗コネキシン調節剤薬物は、本明細書に記載される式Iの構造を有し得る。
【0290】
パネキシン、パネキシンチャネル調節剤、及び他のギャップ結合調節剤
コネキシン調節剤もしくはパネキシン調節剤の代わりに、またはそれに加えて、本明細書に記載される組成物、キット、及び方法のうちのいずれかで使用され得るパネキシン及びパネキシンチャネル調節剤、ならびにギャップ結合調節剤またはコネキシン調節剤薬物を含む調節剤も、本発明の方法で有用である。
【0291】
本明細書に取り上げられる使用のうちのいずれかのための本発明の調節剤は、Cx26、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンを抑制、または遮断し得るギャップ結合調節剤も含んでもよい。本明細書に取り上げられる用途のうちのいずれかのための本発明の薬学的組成物は、例えば、パネキシンチャネルを抑制または遮断し得るパネキシン調節剤も含んでもよい。
【0292】
ギャップ結合調節剤には、コネキシン調節剤及びギャップ結合薬物が含まれる。したがって、コネキシン調節剤は、必ずしもギャップ結合薬物調節剤ではなく、すべてのギャップ結合薬物調節剤がコネキシン調節剤とは限らない。トナベルサット、カラベルサット、及び式Iの化合物は、コネキシン調節剤である。
【0293】
ギャップ結合薬物は、例えば、マイコトキシン、グリチルレチン酸及びグリチルレチン酸誘導体、ホルボールエステル、DDT、トリフェニルメタン、トリフェニルエタン、長鎖アルコール、麻酔薬、脂肪酸アミド、フェナム酸、キニン及びキニン誘導体、2-APB及び2-APB誘導体、ポリアミン、シクロデキストリン、ならびに上で論じられていないペプチドでもよい。
【0294】
いくつかの実施形態において、ギャップ結合薬物は、カルバマゼピン、オクタノール、ビスフェノール-A、ヘプタノール、4-(2-ブチル-6,7-ジクロロ-2-シクロペンチル-インダン-1-オン-5-イル)オキソ酪酸(DCPIB)、カラベルサット、ゲニステイン、トランス-レスベラトロール、カルベノキソロン、HMG-CoAレダクターゼ阻害剤ロバスタチン、ロチガプチド、メトプロロール、ホルスコリン、アイゲニン、タンゲリチン、ハロタン、オクラトキシンAマイコトキシン、パツリンマイコトキシン、オカダ酸、18-アルファ-及び18-ベータ-グリチルレチン酸、17-ベータ-エ
ストラジオールメチルエステル、テストステロンメチルエステル、12-O-テトラデカノイルホルボール-13-酢酸塩(TPA)、ホルボールエステル、1,1,1-トリクロロ-2,2-ビス(p-クロロフェニル)エタン、トリフェニルメタン、トリス(4-クロロフェニル)メタノール、(2-クロロフェニル)(ジフェニル)メタン、トリフェニルメチルクロリド、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、タモキシフェン、クロミフェン、エンフルラン、オレアミド、アナンダミド、メクロフェナム酸及びフルフェナム酸等のアリールアミノベンゾエート、ニフルム酸、5-ニトロ-2-(3-フェニルプロピルミノ(phenylpropylmino))安息香酸(NPPB)、キニン、キニジン、メフロキン、PQ1(メフロキンのプリマキン誘導体)、2-アミノフェノキシボレート(2-APB)、スペルミジン、スペルミン、シクロデキストリンを含有する6つ、7つ、または8つのグリコピラノース単位、Gap26ペプチド(Val-Cys-Tyr-Asp-Lys-Ser-Phe-Pro-Ile-Ser-His-Val-Arg)、ならびにGap27ペプチド(Ser-Arg-Pro-Thr-Glu-Lys-Thr-Ile-Phe-Ile-Ile)のうちの1つから選択されてもよい。
【0295】
パネキシン発現を妨害するのに好適な領域を標的とする任意のアンチセンス分子またはshRNAが、本発明の実践に有用である。いくつかの態様において、本発明は、パネキシンへのRNA干渉(RNAi)を取り上げる。多くの他の遺伝子の発現と同様に、パネキシン発現は、RNAiの使用によって生体内または試験管内でノックダウンされ得る。RNAiのために使用され得る分子の代表的なクラスは、短ヘアピンRNA(shRNA)である。1つのそのような抗パネキシンshRNA分子は、pSuper-Ncadと称されるベクターを使用して、以下のように構築され得る。
【0296】
ヒトパネキシンを標的とするアンチセンス及び短ヘアピンRNAには、特定配列を標的とするものも含まれる。パネキシン発現、例えば、Panx1またはPanx2またはPanx3の発現を妨害するのに好適な領域を標的とする任意のアンチセンス分子またはshRNAが、本発明の実践に有用である。いくつかの態様において、本発明は、Panx1またはPanx2またはPanx3へのRNA干渉(RNAi)を取り上げる。多くの他の遺伝子の発現と同様に、Panx1またはPanx2またはPanx3発現は、RNAiの使用によって生体内または試験管内でノックダウンされ得る。RNAiのために使用され得る分子の代表的なクラスは、短ヘアピンRNA(shRNA)である。Panx1の阻害剤には、プロベネシド、メフロキン、及びカルベノキソロン、または抗ペプチドが含まれ得る。
【0297】
化学物質送達改変
本発明のギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシンならびにパネキシンチャネル調節剤を含む調節剤は、ミクロ粒子(ミクロスフェア、Mps)もしくはナノ粒子(ナノスフェア、Nps)製剤、またはこれらの両方にも製剤化され得る。微粒子眼薬物送達系には、ナノ粒子(1~1,000nm)及びミクロ粒子(1~1,000μm)が含まれ、これらは、ナノスフェア及びミクロスフェアならびにナノカプセル及びマイクロカプスにさらに分類される。ナノカプセル及びマイクロカプセルにおいて、薬物粒子または液滴が、ポリマー膜内に封入される。微粒子系は、注射による眼内送達の利点を有し、これらのサイズ及びポリマー組成物は、生体内でのこれらの生物学的挙動に明らかに影響を与える。ミクロスフェアは、ナノスフェアよりもはるかに長期間硝子体内にとどまることができ、したがって、ミクロ粒子は、硝子体内注射後に貯蔵部の様に機能する。ナノ粒子は、急速に拡散し、眼組織、ならびに前眼部及び後眼部の細胞内に内部移行する。
【0298】
薬学的組成物は、共投与のために組み合わせた調製物の形態で、例えば、2つ以上の調節剤、例えば、修飾されていてもよいか、修飾されていなくてもよいギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤、例えば、1
つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤ポリヌクレオチドと、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤ペプチドもしくはペプチド模倣薬と、の混合物としても提供される。
【0299】
用語「組み合わせた調製物」は、薬学的形態、もしくは包帯/マトリックスの形態で、またはこれらの両方でかに関わらず、先に定義された組み合わせパートナーが、独立して、または異なる量の組み合わせパートナー(a)及び(b)を用いた異なる所定の組み合わせの使用によって、すなわち同時、別個に、または順次投薬され得るという意味では、「キットオブパーツ」または「製造品」を含む。次いで、パーツのキットは、例えば、同時に投与され得るか、またはキットオブパーツの任意のパーツに関して、異なる時点で、かつ等しいもしくは異なる時間間隔で経時的にずらされ得る。
【0300】
一実施形態において、組み合わせた調製物は、投与され、2つ以上の別個の調節剤組成物が対象に投与され、第1の組成物は、ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤、例えば、抗コネキシン43ポリヌクレオチド、ペプチド、もしくはペプチド摸倣薬、またはヘミチャネル閉鎖化合物等の治療的に有効な量の調節剤を含み、第2の組成物は、ギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、または眼治療薬、例えば、抗コネキシン43ポリヌクレオチド、ペプチド、もしくはペプチド摸倣薬、ヘミチャネル閉鎖化合物、及び/または眼治療薬等の治療的に有効な量の第2の調節剤を含む。別の実施形態において、1つ以上の抗コネキシンポリヌクレオチド、ペプチド、もしくはペプチド模倣薬、ヘミチャネル閉鎖化合物、及び/または眼治療薬を含む第3の組成物が、投与される。
【0301】
薬学的組成物は、単回投与、併用投与、同時投与、個別投与、逐次投与、または持続的投与のために提供される。一実施形態において、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤ポリヌクレオチドを含む組成物は、それ内以上の所望の投与量で、1回以上で投与される。別の実施形態において、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤を含む組成物は、1つ以上のペプチドまたはペプチド摸倣薬ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤とほぼ同じ頃に投与される。2つの組成物が異なる時間に投与されるとき、これらは、例えば、30分、1時間、1日、1週間、または1カ月部分、または列挙される期間のうちの任意の2つ間の任意の時間間隔以内に投与されてもよい。一実施形態において、例えば、1つ以上の抗コネキシンポリヌクレオチドを含む組成物は、1つ以上の抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬とほぼ同じ頃に投与される。一実施形態において、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤ポリヌクレオチドを含む組成物は、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤ペプチドの少なくとも約30分以内に投与される。一実施形態において、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤ポリヌクレオチドを含む組成物は、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤ペプチド、またはペプチド模倣薬の少なくとも1時間以内に投与される。一実施形態において、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤ポリヌクレオチドを含む組成物は、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤ペプチド、またはペプチド模倣薬の少なくとも12時間以内に投与される。一実施形態において、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤ポリヌクレオチドを含む組成物は、1つ以上のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤ペプチド、またはペプチド模倣薬の少なくとも24時間以内に投与される。別の実施形態において、抗コネキシンポリヌクレオチドならびにギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤ペプチドもしくはペプチド摸倣薬は、互いの約1時間以内、互いの約1日以内、または互いの約1週間以内に投与される。他の実施形態は、1つ以上のギャップ結合、コネキシン
、及び/もしくはパネキシン調節剤ポリヌクレオチド、ならびに/または1つ以上の抗コネキシンペプチドもしくはペプチド模倣薬(例えば、創傷の治癒に有用な、コネキシン細胞外及び/またはコネキシンカルボキシ末端ペプチドを含む抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬)、及び創傷の治癒に有用な1つ以上のギャップ結合閉鎖化合物、創傷の治癒に有用な1つ以上のヘミチャネル閉鎖化合物、ならびに/または創傷の治癒に有用な1つ以上のコネキシンカルボキシ末端ポリペプチドの投与を含む。調節剤投薬は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、または1週間に1回の投薬、例えば、週4回、週2回、週1回投与されてもよい。これらは、PRN、及び睡眠前にも投与されてもよい。
【0302】
投薬形態及び製剤及び投与
特に明示的に述べない限り、投薬に関するすべての説明は、ギャップ結合調節剤、パネキシンチャネル調節剤、コネキシン調節剤及びパネキシン調節剤を含む本発明の調節剤に適用される。
【0303】
本発明のヘミチャネル、ギャップ結合、及び/またはパネキシン調節剤を含む調節剤は、本明細書に記載されるように投薬、投与、または配合され得る。
【0304】
本発明のヘミチャネル、ギャップ結合、及び/またはパネキシン調節剤を含む調節剤は、眼神経障害を有する、治療を必要とする対象に投与され得る。したがって、本発明にしたがって、パネキシン及び/またはコネキシン、例えば、コネキシン43またはコネキシン45が調節され得、かつ/または細胞間通信が一時的かつ部位特異的な様式で下方制御され得る製剤が提供される。
【0305】
ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン及びパネキシンチャネル調節剤を含む調節剤は、実質的に単離された形態で、製剤内に存在し得る。産生物は、産生物の意図される目的に干渉しない担体または希釈剤と混合されてもよく、依然として、実質的に単離されていると見なされ得ることが理解されるであろう。本発明の産生物は、実質的に生成された形態であってもよく、この場合、産生物は、一般に、約80%、85%、または90%、例えば、少なくとも約88%、少なくとも約90、95、または98%、または少なくとも約99%の、例えば、ポリヌクレオチド(もしくは、コネキシン43調節剤等の他のコネキシン調節剤)、または調製物の乾燥質量を含む。
【0306】
一実施形態において、ギャップ結合、コネキシン、及び/または調節剤は、修飾または未修飾コネキシン43もしくは45アンチセンスポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド、修飾または未修飾コネキシンペプチドまたは抗コネキシン43もしくは45ペプチド摸倣薬である。いくつかの実施形態において、コネキシン調節剤は、ヘミチャネル開口を遮断または減少させ得る。いくつかの実施形態において、修飾または未修飾コネキシンペプチドまたはペプチド摸倣薬は、例えば、コネキシンタンパク質発現の下方制御により、ヘミチャネルまたはギャップ結合機能を遮断し、かつ/あるいは、コネキシン発現またはヘミチャネルもしくはギャップ結合の形成を減少させる制御効果を与えるために投与される。いくつかの実施形態において、修飾または未修飾コネキシンペプチドまたはペプチド摸倣薬は、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドによるコネキシンタンパク質発現の下方制御の前に、ヘミチャネルまたはギャップ結合機能を遮断するために、修飾または未修飾抗コネキシンポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチドの投与前に投与される。いくつかの実施形態において、コネキシン調節剤は、コネキシン43調節剤である。
【0307】
本発明の医薬製剤は、ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン、ならびにパネキシンチャネル調節剤を含む調節剤を眼に送達するのに好適な1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を、さらに含んでもよい。いくつかの態様において、対象の眼への、パネキシン調節剤、またはコネキシン調節剤(例えば、コネキシン43調節剤またはコネキシン
45調節剤、好ましくはコネキシン43調節剤)の投与は、眼または眼の特定の区画に治療的に有効な量のコネキシン調節剤またはパネキシン調節剤を提供する。いくつかの事例において、ギャップ結合、コネキシン及び/または、パネキシン調節剤は、局所的、角膜、硝子体内、結膜下、または眼周囲の投与によって投与されてもよい。いくつかの態様において、投与は、腹腔内投与または非経口投与でもよいが、但し、治療上有効な投与量が眼と接触することを条件とする。本発明の方法のいくつかの態様において、ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤は、注射によって、例えば、眼内注射、硝子体内注射によって、または結膜下、球後、眼球周囲、及び後部テノン嚢下注射を含む眼周囲の投与経路によって眼に投与されてもよい。いくつかの態様において、ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤は、小柱網に提供されてもよいか、または小柱網内もしくは小柱網の周囲に直接注射されてもよい。いくつかの態様において、結膜下投与は、投薬頻度を最小化する一方で、持続的送達を提供し得る。いくつかの実施形態において、結膜下投与は、結膜上皮を透過する必要がないため、親水性薬物の生物学的利用能を上昇させ得る。いくつかの実施形態において、マイクロニードル、針、イオン泳動デバイスまたはインプラントが、コネキシン調節剤またはパネキシン調節剤の投与のために使用されてもよい。インプラントは、例えば、S.Pflugfelder et al.,ACS Nano,9(2),pp1749-1758(2015)に記載されているもの等の溶解可能ディスク材料でもよい。調節剤、例えば、本発明のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤は、ギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤が小柱網及び/または毛様体それぞれに接触するように、小柱網もしくは毛様体に、または小柱網もしくは毛様体の周囲にも投与されてもよい。調節剤、例えば、ギャップ結合、コネキシン、ならびに/またはパネキシン及び/もしくはパネキシンチャネル調節剤は、1回、2回以上投与されてもよい。コネキシン調節剤は、例えば、コネキシン43調節剤またはコネキシン45調節剤、好ましくは、コネキシン43調節剤でもよい。いくつかの実施形態において、マイクロニードルが、脈絡膜に本発明の組成物のうちのいずれかを送達するために使用されてもよい。
【0308】
例えば、いくつかの実施形態において、コネキシン43調節剤等の調節剤を、対象、例えば、対象の眼に投与し、眼または眼の特定の区画に治療的に有効な量の調節剤を提供してもよい。いくつかの事例において、調節剤、例えば、コネキシン43またはパネキシン1もしくはパネキシン1チャネル調節剤が、局所的、角膜、硝子体内、結膜下、または眼周囲の投与によって投与されてもよい。いくつかの態様において、投与は、腹腔内投与でもよい。いくつかの実施形態において、マイクロニードル、針、イオン泳動デバイス、またはインプラントが、調節剤、例えば、コネキシン43調節剤の投与のために使用されてもよい。調節剤、例えば、本発明のコネキシン43調節剤は、小柱網または毛様体にも投与されてもよい。いくつかの態様において、調節剤、例えば、本発明のコネキシン43調節剤は、脳室内、及び/または髄腔内、及び/または硬膜外、及び/または硬膜下、及び/または硬膜外経路を介して投与されてもよい。
【0309】
調節剤、例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体またはプロドラッグ、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/またはパネキシン調節剤もしくはパネキシンチャネル調節剤、例えば、式VIの化合物、例えば、プロベネシド及びその類似体もしくはプロドラッグ、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体またはプロドラッグは、単独で、または1つ以上の追加の成分と組み合わせて投与されてもよく、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、及び/または担体を含む薬学的組成物に製剤化されてもよい。
【0310】
「薬学的に許容される希釈剤、担体、及び/または賦形剤」は、式Iの化合物、例えば、
トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体と共投与されてもよい一方で、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体が意図される機能を行うことを許容し、概して安全、無毒であり、生物学的薬学的組成物または望ましくない薬学的組成物のいずれでもない薬学的組成物の調製において有用な物質を含むことを意図する。薬学的に許容される希釈剤、担体、及び/または賦形剤には、獣医学的使用及びヒトの薬学的使用に好適なものが含まれる。好適な担体及び/または賦形剤は、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体の性質を考慮して、当業者によって容易に理解されるであろう。しかしながら、例として、希釈剤、担体、及び/または賦形剤には、溶液、溶媒、分散媒、遅延剤、ポリマー及び脂質の作用剤、ならびにエマルション等が含まれる。さらなる例として、特に注射可能な溶液に好適な液体担体としては、水、生理食塩水溶液、デキストロース溶液等が挙げられ、等張液は、静脈内、脊髄内、及び嚢内投与に好ましく、リポソーム等のビヒクルは、作用剤の投与にも特に好適である。
【0311】
組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、半固体、粉末、持続的放出製剤、溶液、懸濁液、エリキシル剤、エアロゾル、注射のための液体、ゲル、クリーム、経皮送達デバイス(例えば、経皮パッチ)、眼の挿入物等の挿入物、または任意の他の適切な組成物を含む、任意の標準の既知の投薬形態の形態を取り得る。本発明に関連する当業者は、あらゆる不要な実験をすることなく、治療される病態及び使用される活性剤の性質を考慮して、最も適切な投薬形態を容易に理解するであろう。ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体のうちの1つ以上は、単一の組成物に製剤化されてもよいことが理解されるべきである。ある特定の実施形態において、好ましい投薬形態には、注射可能な溶液及び経口製剤が含まれる。
【0312】
本発明の組成物は、投薬形態及び投与の様式を考慮した、調節剤、例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体の任意の適切なレベルを含有し得る。しかしながら、例として、本発明における使用の組成物は、投与の方法に応じて、おおよそ0.1重量%~おおよそ99重量%、好ましくはおおよそ1重量%~おおよそ60重量%の式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体を含有してもよい。
【0313】
標準希釈剤、担体、及び/または賦形剤に加えて、本発明に従った組成物は、例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体の活性または生物学的利用能を向上させ、一体性を保護するか、またはその半減期もしくは貯蔵寿命を延ばすのを助けるか、対象への投与後に緩徐放出を可能にするか、あるいは他の望ましい利点を提供するように、1つ以上の追加の成分と一緒に、またはそのような様式で製剤化されてもよい。例えば、緩徐放出ビヒクルとしては、マクロマ、ポリ(エチレングリコール)、ヒアルロン酸、ポリ(ビニルピロリドン)、またはヒドロゲルが挙げられる。さらなる例として、本組成物は、保存剤、可溶化剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味剤、コーティング剤、緩衝液等も含んでもよい。本発明が関連する当業者は、特定の目的に望ましくあり得るさらなる添加剤を容易に特定するであろう。
【0314】
式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体は、持続的放出系によって投与されてもよ
い。持続的放出組成物の好適な例には、成型された物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態の半透過性ポリマーマトリックスが含まれる。持続的放出マトリックスには、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号、欧州第58,481号)、L-グルタミン酸とガンマ-エチル-L-グルタミン酸とのコポリマー、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリル酸)、エチレン酢酸ビニル、またはポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(欧州第133,988号)が含まれる。持続的放出組成物は、リポソーム的に封入された化合物も含む。式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体を含むリポソームは、例えば、独国第3,218,121号、欧州第52,322号、同第36,676号、同第88,046号、同第143,949号、同第142,641号、日本特許出願第83-118008号、米国特許第4,485,045号及び同第4,544,545号、ならびに欧州第102,324号に記載されるものを含む、既知の方法によって調製されてもよい。通常、リポソームは、脂質含有量が約30モルパーセント超のコレステロールである小さい(または約200~800オングストローム)単層型のものであり、選択された割合は、最も効き目がある療法のために調整される。例えば、PGLAナノ粒子もしくはミクロ粒子、または原位置イオン活性化ゲル化系を使用した緩徐放出送達もまた使用され得る。
【0315】
さらに、本発明に従った薬学的組成物が、治療のものまたは特定の事例において対象にとって他の利益があり得る追加の活性成分または作用剤と一緒に製剤化されてもよいことが企図される。本発明が関連する当業者は、本明細書の発明の説明及び治療される障害の性質を考慮して、好適な追加の活性成分を容易に理解するであろう。
【0316】
本組成物は、例えば、Gennaro AR:Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Lippincott,Williams&Wilkins,2000のような標準参照に見出され得る標準の技法に従って製剤化されてもよい。しかしながら、さらなる例として、米国第2013/0281524号または同第5948811号に提供される情報が使用されてもよい。
【0317】
ある特定の実施形態において、本発明は、(a)式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに(b)1つ以上の追加の活性剤を含む組み合わせ産生物を提供し、構成成分(a)及び(b)は、同時または順次の投与に適合される。
【0318】
本発明の特定の実施形態において、本発明に従った組み合わせ産生物は、他の構成成分が治療される対象に依然として影響を与えている間に、構成成分のうちの少なくとも1つが投与されるような様式で使用される。
【0319】
ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体と、1つ以上の追加の活性剤と、が、(例えば、作用剤または薬学的組成物として)対象に直接投与するのに好適な形態で製剤化されてもよい。あるいは、組み合わせ産生物は、1つ以上の別個の容器内の1つ以上の薬学的担体組成物を含んでもよく、作用剤(複数可)は、投与前に1つ以上の薬学的担体組成物と混合される。
【0320】
式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに1つ以上の追加の活性剤は、同じもしくは1つ以上の異なる容器内に入れられ、別個に投与されてもよいか、または任意の組み合わせで一緒に混合され、一斉に投与されてもよい。
【0321】
組み合わせ産生物は、特定の用途に必要であり得る、さらなる別個の容器内の追加の作用剤及び組成物も含んでもよい。
【0322】
薬学的組成物の保管及び/または投与に好適な任意の容器が、本発明の組み合わせ産生物において使用され得る。好適な容器は、当業者によって理解されるであろう。例として、そのような容器としては、バイアル及び注射器が挙げられる。容器は、好適に滅菌され、密閉されていてもよい。
【0323】
そのような組み合わせ産生物は、本明細書に提供される方法及び指針、ならびに当分野で既知の方法及び指針に従って製造されてもよい。
【0324】
本明細書に記載される方法で使用される組み合わせ産生物も提供される。
【0325】
本発明の薬学的組成物は、例えば、眼送達形態及び製剤を含む。そのような送達形態及び製剤には、本明細書に開示される対象の治療のためのものが含まれる。本発明の医薬製剤は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。眼投与のための薬学的に許容される賦形剤は、眼科学的に許容される賦形剤でもよい。いくつかの態様において、製剤は、選択された眼部または眼の区画にコネキシン調節剤及び/または眼治療薬の持続的送達を提供し得る。いくつかの態様において、製剤は、高い眼の薬物生物学的利用能を提供し得、安全かつ無毒であり得、かつ/または全身性副作用もしくは投与の部位の合併症をほとんど有し得ない。本発明の方法で使用するための例となるポリヌクレオチド製剤は、局所的送達の容易さ、投与の容易さ、及び「副作用なし」のプロファイルを有する。
【0326】
いくつかの実施形態において、本発明の医薬製剤は、調節剤、例えば、本明細書に記載されるギャップ結合調節剤及び/もしくはコネキシン調節剤、またはパネキシン調節剤、例えば、修飾または未修飾コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド、あるいは修飾または未修飾コネキシン43ペプチドもしくはペプチド摸倣薬のうちのいずれかを含んでもよい。いくつかの実施形態において、製剤中に含められるコネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドは、未修飾コネキシン43アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドまたは修飾コネキシン43アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドでもよい。いくつかの態様において、薬学的組成物は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0327】
いくつかの態様において、対象も眼への、調節剤、例えば、コネキシン調節剤、パネキシン調節剤、及び/またはギャップ結合調節剤(例えば、コネキシン43調節剤またはCx45、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、Cx57、もしくは眼内の任意の他のコネキシン)の投与は、眼または眼の特定の区画に、治療的に有効な量のコネキシン調節剤またはパネキシン調節剤を提供する。コネキシン調節剤は、好ましくは、コネキシン43調節剤であり得る。いくつかの事例において、パネキシン調節剤またはコネキシン調節剤は、局所的、硝子体内、結膜下、または眼周囲の投与によって投与されてもよい。いくつかの態様において、投与は、腹腔内投与または非経口投与でもよいが、但し、治療上有効な投与量が眼と接触することを条件とする。本発明の方法のいくつかの態様において、コネキシン調節剤またはパネキシン調節剤は、注射によって、例えば、眼内注射、硝子体内注射によって、または結膜下、球後、
眼球周囲、及び後部テノン嚢下注射を含む眼周囲の投与経路によって眼に投与されてもよい。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、小柱網内に直接、または小柱網の周囲に注射されてもよい。いくつかの態様において、結膜下投与は、投薬頻度を最小化する一方で、持続的送達を提供し得る。いくつかの実施形態において、結膜下投与は、結膜上皮を透過する必要がないため、親水性薬物の生物学的利用能を上昇させ得る。いくつかの実施形態において、マイクロニードル、針、またはインプラントが、コネキシン調節剤の投与のために使用されてもよい。本発明のコネキシン調節剤は、毛様体にも投与されてもよい。コネキシン調節剤は、1回または2回以上投与されてもよい。コネキシン調節剤は、例えば、本明細書に記載されるコネキシン調節剤のうちのいずれかでもよい。いくつかの態様において、コネキシンまたはパネキシン調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0328】
本発明のコネキシン及びパネキシンチャネル調節剤は、小柱網または毛様体にも投与されてもよい。
【0329】
本発明のコネキシン及びパネキシンチャネル調節剤は、小柱網または毛様体にも投与されてもよい。
【0330】
いくつかの態様において、ギャップ結合、コネキシン、ヘミチャネル、及び/またはパネキシン調節剤、例えば、コネキシン43調節剤及びパネキシン1調節剤は、眼内の投与部位に制御及び/または区画化放出を提供するように製剤化され得る。本発明のいくつかの態様において、本製剤は、即時、もしくは長期にわたるか、または持続的放出投薬形態でもよい。いくつかの態様において、投薬形態は、長期にわたり、かつ/または持続的放出投薬形態と組み合わせた、即時放出投薬形態の両方を含んでもよい。いくつかの態様において、コネキシンまたはパネキシン調節剤の即時及び持続的ならびに/または長期にわたる放出の両方は、即時放出形態の修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド摸倣薬と一緒に、修飾あるいは未修飾コネキシンまたはパネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチドを組み合わせることによって得ることができる。本発明のいくつかの態様において、コネキシン調節剤は、例えば、コネキシン43調節剤または本開示の他のコネキシン調節剤である。本発明のいくつかの態様において、投薬形態は、眼のインプラント、例えば、生分解性または非生分解性インプラントでもよい。
【0331】
本発明のいくつかの態様において、カデリン(caderin)調節剤またはギャップ結合調節剤及び/もしくはコネキシン調節剤、例えば、コネキシン43調節剤は、例えば、粒子のサイズまたはコーティングの調整による調節剤の区画化放出のために製剤化されてもよい。例えば、いくつかの態様において、カデリン(caderin)調節剤またはコネキシン調節剤、例えば、コネキシン43調節剤の粒子製剤が、本発明の方法における使用のために投与され得る。いくつかの態様において、粒子を含む眼薬物送達系は、1,000nm未満、例えば、1~1000nmの平均直径を有するナノ粒子、及び/または1~1,000μmの平均直径を有するミクロ粒子を含んでもよい。ナノ粒子またはミクロ粒子は、例えば、コネキシン調節剤がポリマーコーティング内に被包される、ナノスフェアもしくはミクロスフェア、または被包されたナノカプセル及びマイクロカプセルでもよい。粒子製剤は、リポソームも含んでもよい。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、コネキシン45、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、もしくは、Cx57または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシン調節剤を含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0332】
いくつかの態様において、ギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤もしくはパネキシン調節剤は、末梢性投与、例えば、静脈内または腹腔内投与後の脈絡膜及び/または網膜への標的化送達のために製剤化されてもよい。いくつかの態様において、コネキシ
ン調節剤は、例えば、コネキシン43調節剤または本開示の他のコネキシン調節剤でもよい。
【0333】
いくつかの態様において、脈絡膜及び/または網膜への標的化送達のための製剤は、粒子の表面上の眼の標的部分を示す、ギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤もしくはパネキシン調節剤注入粒子の投与を含み得る。
【0334】
本発明は、ギャップ結合チャネル及び/またはヘミチャネルの機能を調節するため、ならびに様々な障害の治療のための方法
を含む。そのような方法は、生体内、生体外、及び/または試験管内で、適切であるように行なわれてもよいことが理解されるべきである。ある特定の実施形態において、本方法は、実験的及び/または非実験的目的のために行なわれてもよい。ある特定の実施形態において、そのような方法は、試験管内または生体外で、1つ以上の細胞または1つ以上の細胞を含む試料に、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット、及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体を投与するステップを含んでもよい。他の実施形態において、そのような方法は、対象に、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体を投与するステップを含んでもよい。
【0335】
本発明の方法は、調節剤、例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体を、単独で、または所望される場合(例えば、活性剤を含む)1つ以上の他の作用剤もしくは療法と組み合わせて投与することを含む。
【0336】
調節剤、例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体の対象への投与は、対象の身体内の標的部位に作用剤を送達し得る任意の手段によって起こってもよい。例として、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体は、経口、局所的、全身性(例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、経皮、鼻腔内、または坐薬によって)、非経口(例えば、筋肉内、皮下、または静脈内もしくは動脈内の注射)、インプランテーションによって、及び浸透圧ポンプのようなデバイスをとおして注入により、経皮パッチ等の経路のうちの1つによって投与されてもよい。当業者は、他の適切な投与経路を特定し得る。例となる投与経路は、Binghe,W.and B.Wang(2005). Drug delivery:principles
and applications,Binghe Wang,Teruna Siahaan,Richard Soltero,Hoboken,N.J. Wiley-Interscience,c2005にも概説される。一実施形態において、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、
トナベルサット、及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体は、全身的に投与される。別の実施形態において、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体は、経口で投与される。別の実施形態において、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体は、局所的に投与される。
【0337】
別の実施形態において、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体は、最終循環濃度が、おおよそ0.001~おおよそ150マイクロモル以上、最大200、300、400、500、600、700、800、900、または1000マイクロモルになるように、静脈内、動脈内、または腹腔内投与等によって全身的に投与される。最終循環濃度は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、100、110、120、130、140、もしくは150マイクロモル、または2つの列挙される数字のうちのいずれか間の任意の濃度、あるいは先に記載されるように、これらの濃度以上、及び述べられる範囲内の任意の濃度でもよい。本明細書で言及されるように、本発明は、1つ以上の追加の活性剤も対象に投与される複合療法も含む。当業者は、その作用剤の性質及び先に本明細書で論じられる指針を考慮して、1つ以上の活性剤の望ましい投与量を理解するであろう。
【0338】
調節剤、例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体は、単独で、または特定の障害の治療において使用するための1つ以上の追加の作用剤もしくは組成物と組み合わせて、本発明で使用されてもよい。共投与は、1つ以上の症
状の改善された軽減もしくは改善、疾患の長さもしくは程度の減少、疾患の進行の遅延もしくは減速、病状の改善、緩和、もしくは安定化、部分的もしくは完全寛解、長期の生存、及び/または他の有益な治療結果を可能にし得る。そのような治療は、投与間の期間を用いて、任意の順序で同時または順次投与されてもよい。当業者は、同時または順次の、作用剤の投与の方法または療法、及び投与間の可能な期間を容易理に理解するであろう。療法は、同じまたは異なる経路によって投与されてもよい。
【0339】
ある特定の実施形態において、本発明に従った治療は、対象への1つ以上の他の作用剤の投与を伴い得る。例えば、対象の健康全般の促進、または療法の1つ以上の副作用の軽減において使用する1つ以上の作用剤が、投与され得る。当業者は、例えば、治療される疾患を考慮して、投与するのに有益であり得る様々な作用剤を、容易に理解するであろう。パネキシン調節剤がギャップ結合チャネル調節剤と一緒に最初に共投与されるいくつかの実施形態において、ギャップ結合チャネル調節剤の投与を継続する一方で、パネキシン調節剤の投与を、停止または徐々に減らしてもよい。いくつかの実施形態において、パネキシン調節剤が、虚血傷害直後、または虚血傷害の後間もなく投与されてもよい一方で、ギャップ結合チャネル調節剤は、虚血後に投与されてもよい。
【0340】
調節剤、例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体と、任意選択的に1つ以上の他の活性剤の投与は、障害の進行の間の任意の時点、または障害もしくは障害の1つ以上の症状の発症前もしくは発症後に起こってもよい。一実施形態において、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体は、症状の進行中の管理を支援するために、長期間、毎日のように投与される。別の実施形態において、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体は、障害の発症を防ぐか、または遅延させるために、長期間または生涯にわたり、毎日のように投与される。
【0341】
好ましくは、調節剤、例えば、本発明のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤は、薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせられて、薬学的組成物を生成する。用語「薬学的に許容される担体」は、それ自体は組成物を摂る個人にとって有害である抗体の産生を誘導せず、かつ適切でない毒性なしに投与され得る任意の薬学的担体を指す。
【0342】
眼投与のための「薬学的に許容される担体」は、眼科的に許容される担体である。
【0343】
薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩、及びクエン酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩等の有機酸の塩も、存在し得る。
【0344】
好適な担体及び希釈剤としては、緩衝化した水溶液、生理的食
塩水、デキストロース、グリセロール、等張食塩水液、例えば、リン酸緩衝食塩水、等張水等、及びこれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態において、担体は、プ
ロピレングリコール、ジメチルイソソルビド、及び水、よりさらに具体的には、リン酸塩緩衝液、等張水、脱イオン水、単官能アルコール、及び対称アルコールを含み得る。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体または希釈剤は、(温度に応じて液体またはゲルであり得る)熱硬化性ポロクサマー、カルボキシセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、コラーゲン(例えば、I型コラーゲン)、トロポコラーゲンを含むコラーゲン性物質、ヒアルロナン、もしくは誘導ヒアルロン酸、及び/または油(例えば、エミュー油)であってもよいか、またはこれらを含有してもよい。好適な担体は、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、及びアミノ酸コポリマー等の、大きい緩徐に代謝される巨大分子であり得る。本発明の薬学的組成物は、唯一のビヒクルとして、滅菌水中にコネキシン調節剤を含まない。いくつかの実施形態において、本製剤は、パネキシンまたはコネキシン調節剤、例えば、コネキシン43調節剤、例えば、いくつかの実施形態において、未修飾または修飾コネキシン43アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドであり得る製剤中に含まれる43アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0345】
一態様において、逆熱硬化性ゲルは、低温、例えば、2~8℃で液体であり得、これは、おおよそ15℃超の温度で、可逆的な液体からゲルへの転移が起きる。したがって、いくつかの実施形態において、担体は、おおよそ15℃未満の温度で液体であり得るが、室温または体温等のおおよそ15℃超の温度でゲルを形成し得る。いくつかの事例において、ゲルは、非イオン性ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーゲルである。いくつかの実施形態において、ゲルは、pluronicゲルである。pluronicゲルは、例えば、時折Pluronic F-127(BASF)とも称されるポロクサマー407でもよい。いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約15~約30%(w/v)のゲルを含んでもよい。いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約20~約25%(w/v)のゲルを含んでもよい。いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、約22.6%(w/v)のポロクサマー407ゲルを含んでもよい。他の好適な製剤としては、pluronicゲル系製剤、ヒドロキシメチルセルロース製剤、ヒドロキシエチルセルロース製剤、カルボキシメチルセルロース(CMC)系製剤、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)系製剤が挙げられる。組成物は、局所的、点眼、非経口、筋肉内、皮下、または経皮投与を含む、送達の任意の所望される形態のために製剤化されてもよい。他の有用な製剤には、緩徐または遅延放出調製物が含まれる。
【0346】
さらに、所望により、湿潤剤もしくは乳化剤、安定化剤もしくはpH緩衝剤、または保存剤等の物質も存在してもよい。いくつかの実施形態において、本発明の薬学的組成物は、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、及びこれらの混合物等の好適な眼科的に許容される緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、本発明で有用な緩衝液としては、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム一塩基一水和物及びリン酸ナトリウム二塩基七水和物等の、一塩基、二塩基、及び三塩基リン酸を含むリン酸ナトリウム、ならびにこれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態において、保存剤は、安定化した二酸化塩素、カチオンポリマー、または第4級アンモニウム化合物でもよい。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、湿潤剤、栄養、粘度上昇剤、酸化防止剤等、例えば、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、アルカリ金属ヘキサメタリン酸塩、クエン酸、クエン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、N-アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、ポリビニルアルコール、ポリオクサマー(polyoxamer)、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロプルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、及びこれらの混合物及びこれらの混合物も含んでもよい。いくつかの実施形態において、本発明の医薬製剤は、保存剤を含まない。
【0347】
調節剤、例えば、ギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、または
パネキシンチャネル調節剤がポリヌクレオチド等の核酸である場合、哺乳類の細胞による核酸の取り込みは、いくつかの既知の遺伝子導入技法、例えば、遺伝子導入剤の使用を含む技法によって向上される。そのような技法は、ポリヌクレオチドを含むある特定の抗コネキシン剤と一緒に使用され得る。投与される製剤は、そのような遺伝子導入剤を含んでもよい。これらの遺伝子導入剤の例には、カチオン剤(例えば、リン酸カルシウム及びDEAE-デキストラン)、ならびにリポフェクタント(例えば、lipofectamTM及びtransfectamTM)と、界面活性剤と、が含まれる。
【0348】
ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤が、ポリヌクレオチドを含む場合、好都合に、製剤は、細胞透過を補助するための作用剤をさらに含むか、または製剤は、界面活性剤、アンテナペプチド(antenna peptide)等のシグナル分子等の任意の好適な増量剤、もしくは眼への投与に好適な任意の他の作用剤を含んでもよい。
【0349】
本発明の一実施形態において、調節剤、例えば、本発明のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤は、局所的に投与される。ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節剤の局所的製剤は、軟膏、ゲルを含み得、これらは、例えば、熱硬化性ゲル、滴薬、噴霧剤、液体、及び粉末、または持続的もしくは非持続的放出投薬形態でもよい。
【0350】
いくつかの実施形態において、調節剤、例えば、ギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤、例えば、コネキシン43調節剤は、1つまたは複数の粒子を含む薬学的組成物として投与され得る。いくつかの態様において、薬学的組成物は、例えば、即時放出製剤または制御放出製剤、例えば、遅延放出粒子でもよい。
【0351】
いくつかの態様において、調節剤、例えば、パネキシンまたはコネキシン調節剤、例えば、コネキシン43及びパネキシン1調節剤、ギャップ結合調節剤等は、治療される生理学的領域への選択的送達のための微粒子製剤1つまたは複数の粒子に製剤化され得る。いくつかの実施形態において、粒子は、例えば、ナノ粒子、ナノスフェア、ナノカプセル、リポソーム、ポリマーミセル、またはデンドリマーであり得る。いくつかの実施形態において、粒子は、ミクロ粒子であり得る。ナノ粒子またはミクロ粒子は、生分解性ポリマーを含み得る。
【0352】
いくつかの態様において、調節剤、例えば、パネキシンまたはコネキシン調節剤、例えば、コネキシン43及びパネキシン1調節剤、ギャップ結合調節剤等は、投与の部位への区画化放出を提供するように製剤化される。本発明のいくつかの態様において、調節剤は、例えば、粒子のサイズまたはコーティングを調整することによる、調節剤の区画化放出のために製剤化され得る。例えば、いくつかの態様において、コネキシン43調節剤もしくはパネキシン1調節剤、またはヘミチャネル調節剤、またはギャップ結合調節剤の粒子製剤は、本発明の方法で使用するために投与され得る。粒子を含む眼の薬物送達系は、いくつかの態様において、例えば、走査電子顕微鏡法によって決定して、1,000nm未満の平均直径のナノ粒子、または1~1,000μmのミクロ粒子を含んでもよい。ナノ粒子またはミクロ粒子は、例えば、コネキシン調節剤がポリマーまたは脂質コーティング内に被包される、ナノスフェアもしくはミクロスフェア、または被包されたナノカプセル及びマイクロカプセルでもよい。限定されないが、光散乱、ゼータ電位分析、クールター計数(電気的検知帯法)、及び光学顕微鏡法を含む他の方法が、粒径を測定するために採用されてもよい。
【0353】
ナノ粒子またはミクロ粒子は、ギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシン調節
剤、例えば、コネキシン43調節剤を負荷したポリ(乳酸-co-グリコール酸)(「PLGA」)を含み得る。調節剤は、粒子体積内、粒子の外面上、またはこれらの両方に負荷され得る。
【0354】
いくつかの実施形態において、生分解性粒子は、次の粒子の種類:ポリラクチド(PLA)ナノ粒子、ポリ-DL-乳酸(PDLLA)ミクロスフェアまたはナノスフェア、ポリ(乳酸)ナノ粒子またはミクロ粒子、キトサン-修飾ポリ(D,L-ラクチド-co-グリコリド)ナノスフェア及びミクロスフェア(CS-PLGA NS)、キトサン-アルギン酸でコーティングされたナノ粒子またはミクロ粒子、固形脂質ナノ粒子またはミクロ粒子(SLN)、ケイ素ナノ粒子またはミクロ粒子、ポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)ナノ粒子またはミクロ粒子、ポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)ナノ粒子またはミクロ粒子、pH感応Eudragit P-4135Fナノ粒子またはミクロ粒子、ポリマーポリ-PADT(1、4-フェニレンアセトンジメチレンチオケタール)でできているチオケタールナノ粒子またはミクロ粒子(TKN)、リポ多糖(LPS)、アルギン酸ナノ粒子またはミクロ粒子、リン脂質ナノ粒子またはミクロ粒子、ならびにポリ(e-カプロラクトン)(PCL)ミクロスフェア及びナノスフェア内に封入されたB型ゼラチンのうちの1つから選択される粒子であり得る。いくつかの実施形態において、粒子は、ポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)ナノ粒子またはミクロ粒子である。コネキシン43調節剤は、例えば、コアセルベーション技法によって、または界面重合によって調製されたマイクロカプセルもしくはナノカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタシレート(methylmethacylate))マイクロカプセル)内、コロイド状の薬物送達系(例えば、ポリマーミセル、リポソーム及びペグ化リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、またはマクロエマルション内にも封入されてもよい。そのような技法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980)16th edition,Osol,A.Ed.に開示され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0355】
いくつかの態様において、脈絡膜及び/または網膜への標的化送達のための製剤は、調節剤、例えば、粒子の表面上の標的部分を示す、ギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤もしくはパネキシン調節剤注入粒子の投与を含み得る。いくつかの態様において、表面上の標的部分は、EDACカップリング(N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩)トランスフェリンタンパク質によって共有結合され得る。いくつかの態様において、表面上の標的部分は、(ペプチド配列GRGDSPK、配列番号322と)共有結合したRGDペプチドであり得る。粒子は、ナノ粒子またはミクロ粒子であり得る。いくつかの態様において、ナノ粒子は、直径が約200nm~450nmであり得る。いくつかの態様において、粒子は、上述のように、ポリマーを含み得る。いくつかの態様において、粒子は、ポリ-(ラクチド-co-グリコリド)を含み得る。いくつかの実施形態において、ギャップ結合及び/またはコネキシン調節剤は、粒子がエマルション調製を介して合成されるに従い、粒子内へと注入され得る。いくつかの実施形態において、ギャップ結合及び/またはコネキシンまたはパネキシン調節剤は、粒子が粒子内への拡散によって合成された
後、Singh,S.R. et al.,Gene Therapy,16:645-659(2009)及び参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、粒子内に注入され得る。
【0356】
いくつかの実施形態において、粒子は、標的化送達のための脈絡膜及び/または網膜への標的化送達のためのペプチド、及び細胞内移行トランスポータとして使用するためのペプチドの両方を含んでもよい。粒子は、本明細書に記載されるミクロ粒子またはナノ粒子であり得る。脈絡膜及び/または網膜への標的化送達のためのペプチドは、本明細書に記載
される粒子と共有結合したRGDペプチドであり得る。細胞内移行トランスポータとして使用するためのペプチドは、ギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤と融合したとき、粒子の外面または粒子内に存在し得る。融合は、共有結合、水素結合(単数または複数)、静電相互作用、またはファンデルワールス相互作用を介してでもよい。細胞内移行トランスポータとして使用するためのペプチドは、本開示の表65に列挙される任意のペプチドでもよい。
【0357】
いくつかの実施形態において、調節剤、例えば、末梢性投与後の脈絡膜及び/または網膜への標的化送達のために製剤化されたギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤、パネキシン調節剤またはパネキシンチャネル調節剤は、静脈内または腹腔内注射によって投与され得る。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、例えば、コネキシン43調節剤でもよい。いくつかの態様において、末梢性投与後の脈絡膜及び/または網膜への標的化送達のために製剤化されたギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤もしくはパネキシン調節剤は、眼への眼周囲の送達によって投与され得る。いくつかの態様において、特定の送達のための製剤は、ギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤もしくはパネキシン調節剤製剤が注入された、点眼薬もしくはゲル、またはコンタクトレンズの形態であり得る。
【0358】
いくつかの実施形態において、調節剤、例えば、ギャップ結合調節剤及び/またはコネキシン調節剤、パネキシン調節剤またはパネキシン調節剤は、脈絡膜または網膜標的作用剤と一緒に複合体を形成することにより、標的化送達のために製剤化され得る。複合体は、共有結合、水素結合(単数または複数)、静電相互作用、またはファンデルワールス相互作用によって形成され得る。
【0359】
いくつかの態様において、調節剤、本発明の例えば、ギャップ結合、コネキシン、もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤は、脈絡膜及びまたは網膜を標的とするか、または細胞内部移行トランスポータとして機能する化合物に直接結合し得る。
【0360】
対象の眼への調節剤、例えば、コネキシン調節剤、例えば、コネキシン43調節剤を投与することは、眼または眼の特定の区画に治療的に有効な量のコネキシン43調節剤を提供するために、対象に調節剤を投与することを意味する。いくつかの事例において、コネキシン調節剤、例えば、コネキシン43調節剤は、局所的、角膜、硝子体内、結膜下、または眼周囲の投与によって投与されてもよい。いくつかの態様において、投与は、腹腔内投与でもよい。いくつかの実施形態において、マイクロニードル、針、またはインプラントが、コネキシン43調節剤の投与のために使用されてもよい。本発明のコネキシン43調節剤は、毛様体にも投与されてもよい。いくつかの態様において、本発明のコネキシン43調節剤は、脳室内、及び/または髄腔内、及び/または硬膜外、及び/または硬膜下、及び/または硬膜外経路を介して投与されてもよい。
【0361】
いくつかの態様において、調節剤、例えば、本発明のギャップ結合、コネキシン43、パネキシン1、及びパネキシンチャネル調節剤は、眼の投与のために製剤化される。いくつかの態様において、調節剤、例えば、コネキシン43及び他の調節剤は、投与後に制御放出及び/または区画化放出を提供するように製剤化されてもよい。いくつかの態様において、本製剤は、即時、もしくは長期にわたるか、または持続的放出投薬形態でもよい。いくつかの態様において、投薬形態は、長期にわたり、かつ/または持続的放出投薬形態と組み合わせた、即時放出投薬形態の両方を含んでもよい。いくつかの態様において、調節剤、例えば、コネキシン43調節剤の即時及び持続的ならびに/または長期にわたる放出の両方は、即時放出形態の修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド摸倣薬と一緒に、修飾あるいは未修飾コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレ
オチドを組み合わせることによって得ることができる。いくつかの態様において、投薬形態は、埋め込み式でもよい。
【0362】
いくつかの実施形態において、本組成物は、眼の流体と等張であり、少なくとも約200mOsmol/kg、好ましくは約200~約350の範囲、または約400mOsmol/kgの重量オスモル濃度を有してもよい。本組成物は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及び/または塩化マグネシウムを含んでもよい。
【0363】
いくつかの実施形態において、調節剤、例えば、コネキシン43及びパネキシン1チャネル調節剤等の本開示のギャップ結合チャネル、パネキシンチャネル、パネキシン、またはコネキシン調節剤のうちのいずれかは、投与の部位に区画化放出を提供するように製剤化される。本発明のいくつかの態様において、パネキシンまたはコネキシン調節剤は、例えば、粒子のサイズまたはコーティングを調整することによる、調節剤の区画化放出のために製剤化され得る。例えば、いくつかの態様において、調節剤、例えば、パネキシン調節剤またはコネキシン調節剤、例えば、コネキシン43調節剤の粒子製剤は、本発明の方法における使用のために投与され得る。いくつかの態様において、粒子を含む眼薬物送達系は、1,000nm未満、例えば、1~1000nmの平均直径を有するナノ粒子、及び/または1~1,000μmの平均直径を有するミクロ粒子を含んでもよい。ナノ粒子またはミクロ粒子は、例えば、調節剤、例えば、コネキシン調節剤がポリマー及び/または脂質コーティング内に被包される、ナノスフェアもしくはミクロスフェア、または被包されたナノカプセル及びマイクロカプセルでもよい。
【0364】
いくつかの実施形態において、製剤化された調節剤は、コネキシン43またはコネキシン45調節剤、好ましくは、コネキシン43調節剤である。
【0365】
本明細書に記載される任意の製剤、投与量、または送達方法の他の実施形態において、調節剤は、パネキシンチャネル調節剤、好ましくはパネキシン1チャネル調節剤である。本明細書に記載される任意の製剤、投与量、または送達方法のさらに別の実施形態において、調節剤は、ギャップ結合またはヘミチャネルチャネル調節剤、好ましくは、いくつかの実施形態において、コネキシン43もしくはコネキシン43ギャップ結合チャネル、またはヘミチャネル調節剤である。
【0366】
粒子製剤は、例えば、眼内、硝子体内、結膜下、または眼球周囲に注射によって、投与されてもよい。粒子のサイズ及びポリマー組成物は、粒子からの調節剤、例えば、コネキシン43調節剤の放出、例えば、タイミング及び調節剤の放出場所を制御するように選択され得る。例えば、本発明のいくつかの態様において、調節剤、例えば、ポリ-乳酸(PLA)ミクロスフェアとして製剤化されたコネキシン43ヘミチャネルまたはパネキシン1チャネル調節剤は、1、2、3、4、5、6、または7日間超、もしくは1週間超、10日間超、2、3、4、5、または6週間超、あるいはそれよりも長く、調節剤が投与された眼の区画内に留まってもよい。いくつかの態様において、注射またはマイクロニードルによって硝子体内に送達された調節剤ミクロ粒子は、調節剤の持続的放出を提供してもよい。他の態様において、調節剤を含むナノ粒子等のより小さい粒子は、眼の一区画から別の区画へ急速に拡散され得、いずれかは、眼組織及びその眼の前眼部及び後眼部の細胞内に直ぐに内部移行され得る。本発明のいくつかの態様において、コネキシン43または他の調節剤を含むポリラクチドナノ粒子の硝子体内送達は、1、2、3、4、5、6、または7日間、1週間超、10日間超、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16週間超、網膜色素上皮細胞内の優先的な局在化で、網膜の至る所に送達を提供する。いくつかの態様において、コネキシン43または他の調節剤の、ナノスフェア及びミクロスフェア眼薬物の送達製剤は、細胞透過率を向上させ、例えば、分解に対して保護することにより生物学的利用能を改善し、かつ/または持続的送達
を提供することができる。いくつかの実施形態において、より大きいナノ粒子(150、200、300、400、500、600、700、800、900nm超)、あるいはミクロ粒子、例えば、150nm~9ミクロン、もしくは1~9ミクロン、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8ミクロン、または列挙される平均直径のうちのいずれか2つの間の任意の範囲の平均直径を有する粒子を含む製剤が、このサイズの粒子からのより緩徐な放出及び/または拡散の結果として、区画化眼投与に好適であり得る。
【0367】
コネキシン43調節剤等の本開示のパネキシン、またはコネキシン調節剤のうちのいずれかの粒子製剤は、リポソームも含んでもよい。いくつかの態様において、リポソームは、50nm~数ミクロンにわたる直径を有し得る。いくつかの態様において、リポソームは、眼部または眼の区画に、局所的または結膜下に注射または適用され得、いくつかの実施形態において、比較的不活性の投薬形態からの緩徐な薬物放出を提供し得る。リポソーム製剤はまた、限定された量のコネキシン43作用剤または他の眼治療化合物だけが眼組織と直接接触するため、より小さな副作用を有し得る。
【0368】
前眼部内への角膜の透過率の上昇は、薬物製剤への浸透性増強剤の添加で達成され得る。細胞透過剤は、眼内のRGCニューロンまたは他の細胞へのコネキシン43調節剤の送達を向上させるためにも使用されてもよい。製剤は、例えば、界面活性剤、胆汁酸、キレート剤、及び/または保存剤も含んでもよい。いくつかの実施形態において、硝子体内投与のための製剤は、保存剤を含まなくてもよい。
【0369】
本明細書において使用する場合、「マトリックス」は、例えば、ポリマーマトリックス、生分解性または非生分解性マトリックス等のマトリックス、ならびにコネキシン調節剤及び/または眼神経障害性治療薬を送達するためのインプラントまたは適用構造体を作製するのに有用な他の担体を含む。
【0370】
眼インプラント
いくつかの実施形態において、本発明の投薬形態は、眼インプラントでもよい。いくつかの実施形態において、インプラントは、例えば、硝子体内、脈絡膜上、強膜内、または結膜下に埋め込まれてもよい。眼インプラントは、所望の眼の部位に持続的レベルの調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシン調節剤を送達し、血液脳関門をバイパスする。インプラントは、例えば、結膜下に、強膜上または強膜内腔内に、強膜と接触して、硝子体腔内に埋め込まれてもよい。いくつかの実施形態において、本発明のコネキシン調節剤と一緒に使用するための強膜内投与は、結膜下、または眼球周囲の投与よりも低い、調節剤の全身性吸収で、眼の後眼部への送達に有用であり得る。インプラントは、眼の後眼部への送達を可能にする硝子体内も置かれてもよい。いくつかの実施形態において、インプラントは、強膜切開術によって硝子体内、例えば、毛様体扁平部上に挿入されてもよい。
【0371】
結膜下インプラントは、小さい切開によって結膜内に挿入され、強膜と接触して置かれてもよい。総強膜厚の半分の小さい強膜ポケット内に埋め込まれる強膜内デバイスも、使用されてもよく、結膜下または眼球周囲注射よりも少ない薬物の全身性吸収で、眼の後部に送達するのに有用である。
【0372】
眼インプラントの硝子体内配置は、後眼部の標的組織に直接薬物を送達することも可能にする。インプラントは、例えば、強膜切開術によって硝子体内へ挿入されてもよいか、またはアプリケータを使用して注入されてもよい。インプランテーションの部位は、一般に、網膜の挿入の前方、かつ水晶体の後方である毛様体扁平部上であり、これは、これらの構造体への損傷を最小化するためである。
【0373】
投薬形態がインプラントであるいくつかの実施形態において、インプラントは、いくつかの実施形態において、コネキシン43調節剤ならびに生分解性及び生体適合性コポリマーを含む少なくとも1つのコポリマーコーティングと、生分解性ポリエステル及びコネキシン43調節剤を含む少なくとも1つのコーティングと、を含んでもよい。いくつかの実施形態において、投薬形態は、生分解性ポリエステル及びコネキシン43調節剤を含む内部コーティングと、コネキシン43調節剤ならびに生分解性及び生体適合性コポリマーを含む外部コーティングと、を有し得る。
【0374】
投薬形態コアまたはインプラントは、生分解性ポリマーとブレンドした結合組織を含んでもよい。いくつかの実施形態において、結合組織は、次の結合組織:コラーゲン、エラスチン、及びコンドロイチン-4-硫酸のうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態において、結合組織は、約50~99%のコラーゲン(w/w)の量で存在してもよい。いくつかの実施形態において、生分解性ポリマーは、生分解性ポリエステルポリマーを含んでもよい。いくつかの実施形態において、ポリエステルポリマーは、次の選択される生分解性ポリエステルポリマー:ポリ(L-ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(DL-ラクチド)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(DL-ラクチド-co-L-ラクチド)、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)、及びポリ(カプロラクトン)(「ポリカプロラクトン」)のうちの1つ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ポリエステルポリマーは、ポリカプロラクトン(PCL)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、ポリカプロラクトンの量は、約1~50%のポリカプロラクトン(w/w)の量で存在してもよい。いくつかの実施形態において、ポリカプロラクトンの分子量は、10,000Da~3,000,000Daの範囲にわたってもよい。
【0375】
いくつかの実施形態において、インプラントを含むコラーゲン及びポリマーは、インプラントもしくはコア、または所望のインプラント形態が得られ得る足場シート(scaffold sheet)を作製するための、繊維になった静電紡糸でもよい。あるいは、堆積の間に繊維配向を制御することにより、所望の形状を有する三次元インプラントが製造され得る。3次元印刷もまた、本発明の埋込み式投薬形態のためのコアを得るために使用されてもよい。あるいは、足場基質は、もしかしたら、天然源から抽出され、限定されないが、クラゲを含む海洋生物から、または限定されないが、ウシ、ウマ、ヒツジ源を含む哺乳類源から抽出されたコラーゲン性の物質等の好適なマトリックスに処理された後に、それ自体を再構成する。
【0376】
いくつかの実施形態において、インプラントは、調節剤、例えば、コネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤、例えば、コネキシン43またはヘミチャネル調節剤を含む混合物でコーティングされてもよい。この混合物は、調節剤、例えば、パネキシンまたはコネキシンチャネル調節剤を、インプラントに一時的に結合させるポリマー(「結合ポリマー」、または「溶出ポリマー」)も含んでもよい。そのようなポリマーには、限定されないが、次のホモポリマーまたは次の選択されたポリマー:ポリ(乳酸-co-グリコール酸(PLGA)、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(DL-ラクチド)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(DL-ラクチド-co-L-ラクチド)、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)、及びポリカプロラクトン(PCL)のコポリマーのうちの1つ以上が含まれ得、複数のコーティングが、コネキシン43調節剤の所望の溶出プロファイルを達成するために、インプラントに適用されてもよい。いくつかの実施形態において、核コーティング層は、溶解した結合ポリマー及び調節剤、例えば、コネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤、例えば、コネキシン43ヘミチャネルまたはギャップ結合調節剤の溶液中に、コアまたは埋め込み式形態を浸漬することによって適用され得る。次いで、コアまたは埋め込み式形態は、溶媒を除去するために、除去され、凍結乾燥(freeze-dried)(凍結乾燥
(lyophilized))されてもよい。あるいは、コアまたは埋込み式形態は、除去され、真空チャンバ内にコアまたは埋込み式形態を置くことによって急速蒸発に供されてもよい。続いて、第1の結合ポリマー層を含むコアまたは埋込み式形態は、同じまたは別のコネキシンまたはパネキシン調節剤、例えば、調節剤、例えば、コネキシン43及び/またはパネキシン1チャネル調節剤を含み、先の浸漬で使用したのと同じ結合ポリマー、または異なる結合ポリマーをさらに含む、先の浸漬で使用したものとは別の溶液内に浸漬されてもよい。浸漬及び凍結乾燥のステップは、最大20回繰り返されて、コアまたは埋込み式形態上にコーティングの1つ以上の層及び/または1つ以上のコーティングを作成してもよい。
【0377】
当分野の実務者は、抗コネキシン剤をコアまたは埋込み式形態に一時的に結合させるポリマーが、インプラントにおける薬物溶出に好適な任意のポリマーを含んでもよいことを理解するであろう。そのようなポリマーは、無毒である(これらの有益な効果に釣り合っている)、直接代謝されるか、またはこれらの加水分解生成物が代謝される、及び容易に滅菌され得るという特性を呈する。そのような適用可能な物質の再考察は、J.C.Middleton,A.J. Tipton,Biomaterials,21(2000),2335-2346に見出され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0378】
制御または持続的放出のための非生分解性または生分解性ポリマーデバイスも、本発明の方法で使用されてもよい。非生分解性インプラントは、所望の調節剤(複数可)の定常の制御された放出を提供することができる。生分解性インプラントは、所望の形状に製造され得、オフィスまたは外来患者処置で注射され得、除去を必要としない。
【0379】
非生分解性(貯蔵部)インプラント
貯蔵部インプラントは、一般にケイ素、エチレン酢酸ビニル(EVA)、またはポリビニルアルコール(PVA)等の非官能性物質で取り囲まれたペレット状の薬物コアで作られており、これらのインプラントは非生分解性であり、かつ数カ月間から数年間、連続的量の薬物を送達することができる
【0380】
いくつかの実施形態において、本発明の調節剤は、持続的期間、例えば、1カ月超、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、30カ月超、または36ヶ月超、コネキシン調節剤を、単独で、または他の眼神経障害性治療薬、と組み合わせて送達するのに好適な埋め込み式の非生分解性貯蔵部投薬形態として製剤化され得る。いくつかの実施形態において、貯蔵部投薬形態は、本明細書に記載される1つ以上の調節剤を、単独で、または本明細書に記載される他の眼神経障害性治療薬と組み合わせて含む、ポリジメチルシロキサン(PDMS)等のケイ素、エチレン酢酸ビニル(EVA)、またはポリビナイルアルコール(polyvinayl alcohol)(PVA)を含む非反応性コーティングで取り囲まれたコアを含んでもよい。
【0381】
生分解性マトリックスインプラント
本発明の投薬形態は、最大6カ月以上持続する持続的期間にわたる、調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤の負荷投与量、ならびに調節剤の徐々に少なくなる投与量の送達において有用なコポリマーインプラントも含み得る。コポリマーインプラントは、水及び二酸化炭素に対して生分解性である、コポリマーであるポリ-乳酸(PLA)及び/またはポリ-乳酸-グリコール酸(PLGA)から作成されてもよい。インプラントからの調節剤の放出の速度及び程度は、ラクチド(より緩徐な放出)及びグリコリド(より早い放出)の相対濃度を変えることによって、ポリマー重量比を変えることによって、ポリマーの追加のコーティングを追加することによって減少させることができる。非生分解性インプラントとは異なり、生分解性インプラントは、除去を必要と
せず、ポリマーPLA/PLGAの比率に応じて、投与量と、数週間の持続期間から、数カ月から数年以上のより持続的な放出までの治療と、に柔軟性を提供するいくつかの態様において、生分解性投薬形態は、対象の疾患の進行によって個人化され得る。いくつかの態様において、生分解性マトリックスインプラントは、例えば、S.Pflugfelder et al.,ACS Nano,9(2),pp1749-1758(2015)に記載されるもの等の溶解可能なディスク材料であり得る。
【0382】
マイクロニードル
いくつかの実施形態において、本発明の調節剤化合物及び製剤は、マイクロニードルを介して投与され得る。マイクロニードルは、Kim,Y.et al.,Invest.
Ophthalmol.Vis.Sci.November 13,2014 vol. 55 no. 11 7376-7386に記載されるとおり、個々の針またはミクロンサイズの針のアレイである。いくつかの実施形態において、マイクロニードルは、長さが500~750ミクロンであり得、本明細書に記載される製剤でコーティングされ得る。マイクロニードルのアレイは、本発明の製剤の投与のために使用され得る。中実マイクロニードルのシャフトは、本発明の製剤でコーティングされ得、次いでこれは、挿入後に眼の領域内で溶解する。
【0383】
いくつかの実施形態において、調節剤、例えば、コネキシン43及び/またはパネキシン1チャネル調節剤は、例えば、対象に投与され、眼または眼の特定の区画に治療的に有効な量のコネキシン43調節剤を提供する。いくつかの事例において、調節剤(複数可)は、局所的、硝子体内、結膜下、または眼周囲のテノン嚢下投与によって投与されてもよい。いくつかの態様において、投与はまた、腹腔内または全身投与の他の形態でもよい。いくつかの実施形態において、マイクロニードル、マイクロニードルアレイ、針、またはインプラントが、調節剤(複数可)の投与のために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、マイクロニードルは、眼、あるいは眼の特定の区画または構造体、例えば、脈絡膜、脈絡膜上の腔、または網膜、もしくは強膜に、本明細書に記載される調節剤、例えば、コネキシン43調節剤、パネキシンチャネル調節剤、ギャップ結合調節剤、及び/またはパネキシン調節剤を投与するために使用されてもよい。例えば、中空マイクロニードルが、強膜、脈絡膜上の腔内に挿入されてもよく、調節剤が眼のその場所または区画に投与及び/または注入されてもよい。いくつかの実施形態において、脈絡膜への投与は、注入された薬物が脈絡膜上の腔内で円周方向に、脈絡膜、網膜、黄斑、視神経、ならびに眼の後部の他の構造体及び区画に向かって流れる脈絡膜上の腔に、調節剤を投与することによって行なわれてもよい。いくつかの実施形態において、マイクロニードルは、脈絡膜を穿通せずに強膜をとおって脈絡膜上の腔内へ挿入されてもよい。いくつかの実施形態において、マイクロニードルは、注入後に引っ込められてもよい。いくつかの実施形態において、マイクロニードルの穿通は、眼の組織、脂質、及び/または区画内の所望の深度に制御されてもよい。いくつかの実施形態において、マイクロニードルも、本発明の調節剤または他の眼薬物作用剤でコーティングされてもよい。いくつかの態様において、マイクロニードルによって投与される調節剤及び/または眼薬物作用剤の体積は、約1から、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40 41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、295、もしくは300μl、または列挙される番号のうちのいずれか2つの間の体積の任意の範囲、または任意の2つの列挙される番号の間の任意の体積でもよい。例えば、ナノ粒子またはミク
ロ粒子製剤、またはマイクロニードルによって注射可能な他の製剤を含む、本発明の任意の好適な製剤は、マイクロニードル注射によって投与されてもよい。
【0384】
いくつかの態様において、マイクロニードルは、基部を含み、これから、典型的に基部と垂直の方向に1つ以上のマイクロニードルが延在する。マイクロニードルは、中実または中空であり得る。中空マイクロニードルは、例えば、マイクロニードルの中心をとおる単一の真っ直ぐな内径、または複数の内径を含み得る。いくつかの実施形態において、中空マイクロニードルは、マイクロニードルをとおる複雑な経路をたどる内径、内径(複数可)からの複数の入口点及び出口点、ならびにマイクロニードルの基部からシャフトの出口点及び/またはマイクロニードルの先端部までの1つ以上の連続した経路を形成する交差する内径または内径のネットワークを含んでもよい。例えば、米国特許第7,918,814号、同第8,197,435号、同第8,636,713号、及び同第8,808,225号を参照されたい。いくつかの実施形態において、マイクロニードルは、長さが50~2000ミクロン、幅(直径)が50~500ミクロンであり得、本明細書に記載される製剤でコーティングされ得る。マイクロニードルは、シャフト及び先端部を含み得る。シャフト及び先端部は、接触していてもよい。マイクロニードルの先端部は、直線、または先細になり得る。先細のマイクロニードル先端部は、尖った先端、または尖っていない端であり得る。いくつかの実施形態において、ドリルマイクロニードルも、使用されてもよい。例えば、米国公開第20050137525号を参照されたい。他のマイクロニードルは、例えば、米国特許公開第2006/0086689号、同第2006/0084942号、同第2005/0209565号、同第2002/0082543号、米国特許第6,334,856号、同第6,611,707号、及び同第6,743,211号に記載されている。
【0385】
マイクロニードル及び/または眼インプラントは、金属、ガラス、半導体材料、セラミック、またはポリマー、例えば、薬学的等級のステンレススチール、キン、チタン、ニッケル、鉄、金、スズ、クロム、銅、及びこれらの合金を含む1つ以上の好適な生体適合性材料を含み得る。マイクロニードル及び/または眼インプラントで使用するためのポリマーは、生分解性または非生分解性であり得る。好適な生体適合性、生分解性ポリマーの例としては、ポリ(乳酸-co-グリコール酸(PLGA)、ポリ(L-ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(DL-ラクチド)、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(DL-ラクチド-co-L-ラクチド)、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(グリコリド-co-トリメチレンカーボネート)、及びポリカプロラクトン(PCL)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリエステルアミド、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリウレタン、ならびにこれらのコポリマー及びブレンド及び架橋変異体が挙げられる。マイクロニードルは、本発明の製剤の投与のための1つ以上のシャフトを含み得る。シャフトは、多孔質または非多孔質であり得る。シャフトは、中空または中実であり得る。マイクロニードルは、シャフトとは異なる材料で構成される先端部をさらに含み得る。マイクロニードルの先端部は、(デュロメータによって測定して)マイクロニードルのシャフトとは異なる硬度のものでもよい。マイクロニードルの先端部またはシャフトまたはこれらの両方は、生分解性または非生分解性であり得る。非生分解性マイクロニードル先端部またはシャフトは、金属、ガラス、半導体材料、セラミック、またはポリマーで構成され得る。好適な金属の例としては、薬学的等級のステンレススチール、チタン、金、銀、ニッケル、鉄、金、スズ、クロム、銅、及びこれらの合金が得られる。代表的な非生分解性ポリマーには、FDA認可済み医療デバイスの製造で既知の様々な熱可塑性または他のポリマー構造材料が含まれる。例には、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、エチレン-酢酸ビニル及び他のアシル置換酢酸セルロースのポリマー、非生分解性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリビニルフッ化物、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホネートポリオレフィン、エチレンオキシド、これらのブレンド及びコポリマー
及び架橋変異体が含まれる。生分解性マイクロニードル先端部またはシャフトは、投与部位に存在し得る任意の残留マイクロニードル材料が対象の体内で溶解し得るように、本明細書に記載される製剤の投与後に溶解するように製剤化され得る。例えば、マイクロニードルは、注射の間、(任意選択的に、温度に応じて)固形材料であり、注射後(及び任意選択的に対象の温度に暴露した後)部分的または完全に分解するように配合される材料でできてい得る。そのようなマイクロニードルは、任意選択的に、水溶性ポリマー、有機物質中で水溶性、または氷でできてい得る。生分解性マイクロニードルは、たとえ眼組織内へ不用意に折れて取れたとしても、本質的に無害であるように、非生分解性のものと比較して安全性のレベルの上昇を提供し得る。
【0386】
マイクロニードルは、本明細書に記載される調節剤化合物及び製剤を投与するために、眼の任意区画または構造体に挿入され得る。マイクロニードルは、本明細書に記載される製剤の投与のために、脈絡膜、網膜、強膜、脈絡膜上の腔、ブルッフ膜、網膜色素上皮、網膜下腔、黄斑、視神経乳頭、視神経、毛様体、小柱網、房水、またはガラス体液のうちの1つ以上内へ挿入され得る。例えば、マイクロニードルは、強膜内へ垂直に挿入され得、短い穿通の距離で脈絡膜上の腔に達する。脈絡膜上領域内への本明細書に記載される製剤の送達は、大きい組織面積上への製剤の送達を可能にし、単一のカニューレ針投与と比較して、単回投与で組織を標的とするのが困難な標的指向化を提供する。一実施形態において、投与は、眼の1つの特定の構造体または区画に制限され得る。マイクロニードル投与が限局化される眼の特定の構造体または区画は、脈絡膜、網膜、強膜、脈絡膜上の腔、ブルッフ膜、網膜色素上皮、網膜下腔、黄斑、視神経乳頭、視神経、毛様体、小柱網、房水、またはガラス体液のうちの1つであり得る。理論に束縛されるものではないが、脈絡膜上の腔に入ったら、投与された製剤は、挿入部位から、眼の後眼部内の網膜脈絡膜組織及び視神経に向かって、ならびにブドウ膜及び毛様体に向かって前側に円周方向に流れると考えられる。さらに、投与された製剤の一部分は、マイクロニードル挿入部位近くの強膜内に残り得、その後脈絡膜上の腔及び他の隣接した組織内へ拡散し得る、投与された製剤の追加貯蔵部の役割を果たす。本明細書で定義される場合、上脈絡膜層(suprachoroid)または上脈絡膜層(suprachoroidia)としても知られる「脈絡膜上の腔」は、強膜と脈絡膜との間に設けられた眼の領域内の潜在的腔を描写する。
【0387】
マイクロニードルを使用した本明細書に記載される製剤の投与は、眼の標的領域または構造体内での調節剤、例えば、コネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤の長期にわたる持続期間を提供し得る。マイクロニードル送達方法は、製剤が眼組織に製剤の局所的適用を介して投与された場合よりも長い、投与された製剤の持続時間を提供する。
【0388】
マイクロニードルを用いた眼の眼の組織または区画への本発明の調節剤及び/または眼薬物作用剤の投与は、眼組織内へマイクロニードルを挿入し、眼組織内へ薬物製剤を沈着させることを含んでもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのマイクロニードルは、組織脂質を越えて穿通せずに、眼の組織内へ挿入される。一実施形態において、投与の方法は、挿入ステップ後、ならびに薬物製剤の沈着の前及び/またはその間に、中空マイクロニードルを部分的に引っ込めることをさらに含み得、投与の方法は、いくつかの実施形態において、調節剤及び/または眼薬物作用剤の注入のための空間を形成し得る。いくつかの実施形態において、調節剤は、例えば、コネキシン調節剤、ギャップ結合調節剤、ま
たはパネキシン調節剤もしくはパネキシンチャネル調節剤である。
【0389】
マイクロニードルを介した投与は、注入圧を制御することによって制御され得る。注入圧は、送達される薬物の量を併せて決定する。いくつかの実施形態において、注入圧は、少なくとも125kPa、少なくとも150kPa、少なくとも175kPa、少なくとも200kPa、少なくとも250kPa、または少なくとも300kPaでもよい。マイ
クロニードルをとおる注入圧は、拡散、細管作用、機械的ポンプ、電気浸透、電気泳動、対流、または他の推進力によって生成され得る。注入圧は、任意選択的に連続圧力を制御するために、背圧を測定することによって監視され得る。注入圧は、任意選択的に、マイクロコントローラ、センサ、機械力フィードバック回路、アクチュエータ、弁、またはポンプによって制御され得る。
【0390】
コネキシンまたはパネキシン調節剤と、Rhoキナーゼ阻害剤または他の作用剤との組み合わせ
開放隅角緑内障は、眼からの流体(房水)排出に対する異常に高い抵抗を特徴とする。正常な抵抗は、眼の一体性のために、眼の形状を維持するのに十分な眼圧を提供するために必要である。この抵抗は、密なアクトミオシン細胞骨格網、コラーゲンの梁、及び細胞外マトリックスを有する特定の細胞からなる複雑な多層状組織である、小柱網によって提供される。緑内障性眼において、房水産生の速度が一定のままである一方で、流出に対する抵抗の上昇が、眼圧の上昇の要因である。Rho-キナーゼは、Rhoの重要な下流介在物質として機能し、広範に発現する。Rho-キナーゼ酵素は、挙げられる、モエシン、ナトリウムイオン-プロトンイオン交換体1(NHEl)、LIM-キナーゼ、及びビメンチン等の細胞骨格タンパク質と、ミオシン軽鎖ホスファターゼ結合サブユニット(MYPT-I)、CPI-17、ミオシン軽鎖、及びカルポニン等の収縮性タンパク質と、タウ及びMAP-2、等の微小管関連タンパク質と、CRMP-2、等の神経細胞成長円すい関連タンパク質と、血清応答因子等の転写因子と、を含むいくつかの基質の機能を制御するセリンキナーゼ/トレオニンキナーゼである(Loirand et al.,Circ. Res. 98:322-334(2006))。Rho-キナーゼは、RhoAによって誘導される細胞形質転換にも必要である。Rho-キナーゼは、複数のシグナル経路の中間物であり、細胞骨格再配列、アクチンストレス線維形成、増殖、走化性、細胞質分裂、サイトカイン及びケモカイン分泌、内皮または上皮細胞結合一体性、アポトーシス、転写活性化、及び平滑筋収縮を含む様々な細胞現象を制御する。これらの細胞作用の結果として、rho-キナーゼ酵素は、血管収縮、気管支収縮、組織リモデリング、炎症、浮腫、血小板凝集、及び増殖性障害等の生理的プロセスを制御する。Rhoキナーゼは、IOPを維持するために小柱網に作用する。したがって、Rhoキナーゼの抑制は、小柱網をとおる流出量を上昇させ、したがって、IOPを減少させるためのコネキシン及び/もしくはパネキシン、またはヘミチャネル及び/もしくはパネキシンチャネル調節とは異なる機構を介してIOPを減少させる。
【0391】
いくつかの実施形態において、Rhoキナーゼ阻害剤は、正常眼圧緑内障を治療するために使用される。
【0392】
Rhoキナーゼの阻害剤は、小柱網をとおる房水排出を上昇させることにより、哺乳動物におけるIOPを減少させることが示されている(Tian and Kaufman,Arch Ophthalmol. 122:1171-1178,2004)。発明者は、調節剤、例えば、コネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤とのRhoキナーゼ阻害剤の共投与が対象においてIOPを減少させるための2つの独立した機構に作用し、それによりあらゆる単剤よりも効き目がある治療をもたらすことを理解している。
【0393】
調節剤、例えば、コネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤との共投与のための追加の作用剤は、限定されないが、ランタノプロスト(lantanoprost)、抗VEGF化合物、チモロール、ブリモニジン、ブリモニジンタルタレート(Brimonidine tartarate)、レスキュラ(ウノプロストンイソプロピル眼科用液剤、0.15%)、ドルゾラミド、Roclatan、及びAR-13533(Aerie Pharmaceuticals,Bedminster,NJ)を含む、さもなければIOPを減少させる他の治療を含み得る。コネキシンまたはパネキシンチャネル調節以外の
機構に作用することにより、眼の障害を治療するための多剤の共投与は、(1)投与量全体の減少、(2)副作用全体の軽減、(3)治療頻度全体の低減、及び(4)患者順守の上昇、したがって治療の有効性の上昇等の相乗効果をもたらし得る。
【0394】
いくつかの態様において、本発明で使用するためのVEGF調節剤は、VEGFを抑制及び/もしくは遮断するか、またはVEGFの上流作用薬を抑制及び/もしくは遮断する拮抗薬である。いくつかの態様において、VEGF拮抗薬には、例えば、VEGFに結合し、抑制する拮抗薬、VEGFの発現を抑制する化合物、及び/あるいはVEGF阻害剤を含むか、またはVEGFを遮断もしくは抑制するタンパク質もしくはアンチセンスポリヌクレオチドをコードするウイルスベクターが含まれる。いくつかの態様において、VEGF及び/またはVEGFの上流作用薬を抑制する種は、例えば、抗体もしくは抗体断片、ナノボディ、ペプチドもしくはペプチド模倣薬、受容体断片、遺伝子組換え融合タンパク質、アプタマー、小分子、または一本鎖可変領域断片(scFv)である。いくつかの態様において、VEGF拮抗薬抗体は、例えば、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、及び/またはAvastin(商標)(ベバシズマブ)である。
【0395】
いくつかの態様において、VEGF拮抗薬は、VEGFに対する抗体、例えば、Lucentis(商標)(ラニビズマブ)、またはAvastin(商標)(ベバシズマブ)であり得る。
【0396】
いくつかの態様において、VEGFに結合し、したがってVEGFを抑制するVEGF種の上流作用薬に対するアンチセンスであるVEGF拮抗薬は、RTP801阻害剤またはREDD1遮断薬であり得る。いくつかの態様において、RTP801阻害剤またはREDD1遮断薬は、REDD14NPまたはRTP801i)としても知られる(Quark Pharmaceuticals及びPfizer製の)PF-655であり得る。いくつかの態様において、REDD1遮断薬は、mRNA配列5’-AGCUGCAUCAGGUUGGCAC-3’(配列番号323)を有し得る。
【0397】
本発明のいくつかの態様において、VEGF拮抗薬は、例えば、ペプチドまたはペプチド摸倣薬、例えば、ペガプタニブナトリウム(Macugen(商標))、及びAGN-150998である。Macugen(商標)は、修飾RNA配列、α,α’-[4,12-ジオキソ-6-[[[5-(ホスホオノキシ(phosphoonoxy))ペンチル]アミノ]カルボニル]-3,13-ジオキサ-5,11-ジアザ-1,15-ペンタデカンジイル]ビス[ω-メトキシポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)],ナトリウム塩を有する((2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-Gm-Gm-A-A-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-Am-Gm-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-Gm-Am-Am-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-Gm-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-Am-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-Am-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-Am-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)U-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-(2’-デオキシ-2’-フルオロ)C-Gm-(3’→3’)-dT),5’-エステル(配列番号324)である。AGN-150998/MP0112は、VEGFと結合する小タンパク質である、抗VEGF DARPinである。
【0398】
本発明のいくつかの態様において、VEGF拮抗薬は、例えば、アフリベルセプト(Eyelea(商標))またはコンベルセプト等の遺伝子組換え融合タンパク質である。アフリベルセプトは、ヒトIgG1のFc部分と融合したヒトVEGF受容体1及び2細胞外ドメインの部分からなる遺伝子組換え融合タンパク質である。コンベルセプトは、遺伝子組換え融合タンパク質は、ヒトIgG1の定常領域(Fc)に対するVEGFR1の第2
のIgドメイン、ならびにVEGFR2の第3及び第4Igドメインで構成される。
【0399】
いくつかの態様において、scFv VEGF拮抗薬は、例えば、ESBA1008である。ESBA1008は、VEGFAを標的とするヒト化モノクローナル抗体単鎖FV(scFv)抗体断片である。
【0400】
いくつかの態様において、ウイルスベクターVEGF拮抗薬は、(「AVA-101」としても知られる)AAV-sFLT01であり得る。AAV2-sFlt01は、VEGFと結合する分泌されたキメラタンパク質であるsFLT01のために構築される遺伝子を担持するアデノ随伴ウイルスベクターである。sFLT01は、AAV2-sFlt01を産生するためにアデノ随伴ウイルス(AAV)と組み合わせた、ヒト免疫グロブリンG1重鎖Fc断片(sFlt01)と結合したFlt-1のドメイン2からなるVEGF結合タンパク質である。
【0401】
本発明のいくつかの態様において、VEGF拮抗薬は、小分子、例えば、バタラニブ、セジラニブ、AL39324、パゾパニブ、TG100572、またはTG100801であるバタラニブ(N-(4-クロロフェニル)-4-(ピリジン-4-イルメチル)フタラジン-1-アミン)は、PTK787、PTK/ZK、またはCGP 79787としても知られる。AZD 2171、Recentin(登録商標)、ZD 2171、またはCAS番号288383-20-0としても知られるセジラニブは、4-[(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)オキシ]-6-メトキシ-7-[3-(1-ピロリジニル)プロポキシ]-キナゾリンとしても知られる。Linifanib、CAS番号796967-16-3、(HCl塩として)1145655-58-8、または(トリフルオロ酢酸塩として)796967-17-4としても知られるAL39324は、1-[4-(3-アミノ-1H-インダゾール-4-イル)フェニル]-3-(2-フルオロ-5-メチルフェニル)尿素としても知られる。Votrient(登録商標)、Armala(登録商標)、またはPatorma(登録商標)としても知られるパゾパニブは、5-[[4-[(2,3-ジメチル-2H-インダゾール-6-イル)メチルアミノ]-2-ピリミジニル]アミノ]-2-メチルベンゼンスルホンアミド一塩酸塩としても知られる。TG100801は、TG100572のプロドラッグ版であり、4-クロロ-3-(5-メチル-3-((4-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-アミノ)ベンゾ[e][1,2,4]トリアジン-7-イル)p;4-クロロ-3-[5-メチル-3-[[4-[2-(1-ピロリジニル)エトキシ]フェニル]アミノ]-1,2,4-ベンゾトリアジン-7-イル]フェノール1-安息香酸としても知られる。
【0402】
いくつかの態様において、本発明の方法で使用するためのmTOR阻害剤は、例えば、マクロライドまたは小分子である。いくつかの実施形態で、マクロライドmTOR阻害剤は、例えば、テムシロリムス、シロリムス、またはエベロリムスである。Torisel(商標)、またはCCI-779としても知られるテムシロリムスは、(1R,2R,4S)-4-{(2R)-2-[(3S,6R,7E,9R,10R,12R,14S,15E,17E,19E,21S,23S,26R,27R,34aS)-9,27-ジヒドロキシ-10,21-ジメトキシ-6,8,12,14,20,26-ヘキサメチル-1,5,11,28,29-ペンタオキソ-1,4,5,6,9,10,11,12,13,14,21,22,23,24,25,26,27,28,29,31,32,33,34,34a-テトラコサヒドロ-3H-23,27-エポキシピリド[2,1-c][1,4]オキサザシクロヘントリアコンチン(oxazacyclohentriacontin)-3-イル]プロピル}-2-メトキシシクロヘキシル3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロパノエートとしても知られる。シロリムスは、ラパマイシン、Rapamune(商標)、AY-22989、Perceiva(商標)
、WY-090217、または(3S,6R,7E,9R,10R,12R,14S,15E,
17E,19E,21S,23S、26R,27R,34aS)-9,10,12,13,14,21,22,23,24,25,26,27,32,33,34,34a-ヘキサデカヒドロ-9,27-ジヒドロキシ-3-[(1R)-2-[(1S,3R,4R)-4-ヒドロキシ-3-メトキシシクロヘキシル]-1-メチルエチル]-10,21-ジメトキシ-6,8,12,14,20,26-ヘキサメチル-23,27-エポキシ-3H-ピリド[2,1-c][1,4]-オキサアザシクロヘントリアコンチン-1,5,11,28,29(4H,6H,31H)-ペントンとしても知られる。Afinitor(商標)、Certican(商標)、Votubia(商標)、またはZortress(商標)としても知られるエベロリムスは、ジヒドロキシ-12-[(2R)-1-[(1S,3R,4R)-4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メトキシシクロヘキシル]プロパン-2-イル]-19,30-ジメトキシ-15,17,21,23,29,35-ヘキサメチル-11,36-ジオキサ-4-アザトリシクロ[30.3.1.0ヘキサトリアコンタ-16,24,26,28-テトラエン-2,3,10,14,20-ペントンとしても知られる。本発明は、例えば、パロミド529、XL388、またはダクトリシブ等の小分子mTOR阻害剤も取り上げる。パロミド529は、3-(4-メトキシベンジルオキシ)-8-(1-ヒドロキシエチル)-2-メトキシ-6H-ベンゾ[c]クロメン-6-オンとしても知られる。XL388は、[7-(6-アミノ-3-ピリジニル)-2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾオキサゼピン-4(5H)-イル][3-フルオロ-2-メチル-4-(メチルスルホニル)フェニル]-メタノンとしても知られる。BEZ235、またはNVP-BEZ235としても知られるダクトリシブは、2-メチル-2-(4-(3-メチル-2-オキソ-8-(キノリン-3-イル)-2,3-ジヒドロイミダゾ[4,5-c]quinolin-1-イル)フェニル)プロパンニトリルとしても知られる。
【0403】
いくつかの態様において、本明細書の方法で使用するためのPDGF調節剤には、例えば、(E-10030としても知られる)Fovista(商標)、抗血小板誘導成長因子(抗PDGF-B)アプタマーが含まれる。
【0404】
いくつかの態様において、本明細書の方法で使用するためのPEDF調節剤には、例えば、AdGVPEDF.11D(GenVec)が含まれる。AdGVPEDF.11Dは、PEDFに対する遺伝子を含むアデノウイルスベクターである。AdGVPEDF.11Dは、アデノベクターを使用して、標的細胞にPEDF遺伝子を送達し、治療された眼でPEDFの局部的産生を引き起こす。色素上皮誘導因子(PEDF)は、新しい血管増殖の強力阻害剤である。PEDFは、セルピンF1としても知られる。
【0405】
いくつかの態様において、本明細書の方法で使用するためのS1P産生遮断薬には、例えば、LT1009、Asonep、Sphingomab(商標)、またはiSONEP(商標)としても知られるソネプシズマブが挙げられる。iSONEP(商標)は、スフィンゴシン1-リン酸塩(S1P)と結合するヒト化モノクローナル抗体である。
【0406】
いくつかの態様において、調節剤、例えば、本発明のギャップ結合、コネキシン、及び/またはパネキシンチャネル調節剤のうちの1つ以上と組み合わせて使用するための眼治療薬は、例えば、スクアラミンである。スクアラミンは、Evizon(商標)、または(1S,2S,5S,7R,9R,10R,11S,14R,15R)-N-{3-[(4-アミノブチル)アミノ]プロピル}-9-ヒドロキシ-2,15-ジメチル-14-[(2R,5R)-6-メチル-5-(スルホオキシ)ヘプタン-2-イル]テトラシクロ[8.7.0.0^{2,7}.0^{11,15}]ヘプタデカン-5-アミニウムとしても知られる。
【0407】
いくつかの態様において、本明細書の方法で使用するためのチューブリン結合剤には、例えば、コンブレタスタチン、コンブレタスタチンA-4リン酸塩、コンブレスタチン(combrestastin)誘導体、またはOC-10Xが含まれる。コンブレタスタチンは、2-メトキシ-5-[(Z)-2-(3,4,5-トリメトキシ-フェニル)-ビニル]-フェノールとしても知られる。OC-10X(OcuCure,Roanoke,VA)は、低分子量キナゾリノンである。チューブリン結合剤は、O’Boyle,N.et al.. Journal of Medicinal Chemistry 53(24):8569-8584,2010. doi:10.1021/jm101115u. PMID 21080725に記載されるように、コンブレスタチン(combrestastin)のベータ-ラクタム系誘導体であり得これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0408】
いくつかの態様において、本明細書の方法で使用するためのインテグリン阻害剤には、例えば、ALG-1001、ボロシキシマブ、またはJNJ-26076713が含まれる。ALG-1001(Allegro Ophthalmics)は、小ペプチドである。M200、またはOpthotec(商標)としても知られるボロシキシマブは、α5β1インテグリンと結合し、α5β1インテグリンの機能的活性を抑制するキメラモノクローナル抗体である。JNJ-26076713は、テトラヒドロキノリン含有αVβ3/αVβ5インテグリン拮抗薬であり、3-キノリンプロパン酸、1,2,3,4-テトラヒドロ-ベータ-((1-(1-オキソ-3-(1,5,6,7-テトラヒドロ-1,8-ナフチリジン-2-イル)プロピル)-4-ピペリジニル)メチル)-、(ベータS,3S)-としても知られる。
【0409】
調節剤、例えば、本発明のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤のうちの1つ以上と組み合わせて使用するための眼治療薬には、例えば、補体調節剤、ならびに例えば、地図状萎縮、乾燥型AMD、非滲出型AMD、及び/またはドルーゼン発生の治療に有用な他の治療薬も含まれる。
【0410】
1つ以上の調節剤、例えば、ギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤と組み合わせて眼治療薬として使用するための補体調節剤は、例えば、コンプスタチン、TP10、エクリズマブ、ARC1905、JPE-1375、PMX53、ランパリズマブ、またはrhCFHpである。AL-78898AまたはPOT-4としても知られるコンプスタチンは、配列-[ICVVQDWGHHRCT]-を有する環状ペプチドである。TP10(Avant Immunotherapeutics)は、遺伝子組み換えタンパク質であり、可溶性補体受容体1(sCR1)の阻害剤である。Soliris(商標)、またはSolaris(商標)としても知られるエクリズマブは、ヒト化モノクローナル抗体である。Zimura(商標)としても知られるARC1905は、補体因子C5を標的とするペグ化された安定化アプタマーである。JPE-1375は、補体因子C5aに対する受容体であるC5aRを標的とする小分子ペプチド摸倣薬拮抗薬である。PMX53は、配列Ace-Phe-[Orn-Pro-dCha-Trp-Arg]を有する環状ヘキサペプチドである。抗因子D、またはFCFD4514Sとしても知られるランパリズマブは、補体因子Dを抑制するモノクローナル抗体である。rhCFHpは、異常因子H活性を矯正するための、完全長の因子Hの遺伝子組換え融合タンパク質形態の保護にある完全長の因子Hの遺伝子組換え融合タンパク質形態である。
【0411】
いくつかの態様において、調節剤、例えば、本発明のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤のうちの1つ以上と組み合わせて使用するための眼治療薬には、TNF-アルファ阻害剤、C-rafキナーゼ阻害
剤、NSAID、またはnAChR阻害剤が含まれる。いくつかの実施形態において、TNF-アルファ阻害剤は、アダリムマブまたはインフリキシマブであり得る。いくつかの実施形態において、C-rafキナーゼ阻害剤は、iCo-007であり得る。いくつかの実施形態において、NSAIDは、ブロフェナク(brofenac)であり得る。いくつかの実施形態において、nAChR阻害剤は、メカミルアミンであり得る。
【0412】
調節剤、例えば、本発明のギャップ結合、コネキシン、及び/もしくはパネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤のうちの1つ以上と組み合わせて使用するための眼治療薬には、ベルテポルフィン(例えば、Chlorin(商標)、ビスダイン、タラポルフィンナトリウム(例えば、Aptocine(商標)、Laserphyrin(商標)、Litx(商標))、イソプロピルウノプロストン(例えば、Ocuseva(商標)、Rescula(商標))、インターフェロンベータ(例えば、Feron(商標))、フルオシノロンアセトニド(例えば、Envision TD(商標)、Retisert(商標))、デキサメタゾン(例えば、Osurdex(商標)、Ozurdex(商標)、Posurdex(商標)、Surodex(商標))、カナキヌマブ(例えば、Ilaris(商標))、ブロムフェナク(Bromday(商標))、眼科の治療薬(例えば、Bronac(商標)、Bronuck(商標)、Xibrom(商標)、Yellox(商標))、ブリモニジン(例えば、Alphagan(商標)、Bromoxidine(商標)、Enidin(商標))、アネコルタブ酢酸エステル(例えば、Retaane(商標)、Edex(商標)、Prostavasin(商標)、Rigidur(商標)、Vasoprost(商標)、Viridal(商標))、VEGF-Trap-Eye(商標)、オクリプラスミン(例えば、Iluvien(商標)、Medidur(商標)、Medidur FA(商標))、NT-501、KH-902、フォスブレタブリントロメタミン(例えば、Zybrestat(商標))、AL-8309、アガニルセン(aganirsen)(例えば、Norvess(商標))、ボロシキシマブ(例えば、Opthotec(商標))、トリアムシノロン(例えば、Icon Bioscience)、TRC- 105、ブリキサフォル(Burixafor)(例えば、TG-0054)、TB-403(例えば、R-7334)、SB-623、S-646240、RTP-801I-14(例えば、PF-4523655)、RG-7417(例えば、FCFD-4514S)、PG-11047(例えば、CGC-11047)、パデリポルフィン(padeliporfin)(例えば、Stakel(商標))、OT-551、オンテシズマブ、NOX-A12、hCNS-SC、Neu-2000、NAFB001、MA09-hRPE、LFG-316、iCo-007(例えば、ISIS-13650)、hl-conl、GSK-933776A、GS-6624(例えば、AB-0024)、エピタロン、ダランテルセプト、MP-0112、CNTO-2476、CERE-120、CCX-168、ブリモニジン-DDS、ベバシラニブナトリウム(例えば、Cand5)、ベルチリムマブ(Bertilimumab)、ACU-4429、A6(例えば、Paralit(商標))、TT-30、sFLT-01遺伝子治療薬、RetinoStat(商標)、PRS-050(例えば、Angiocal(商標))、PF-4382923、MC-1101、GW-824575、Dzl3(例えば、TRC-093)、D93、ATL-1103、XV-615、pSivida、VEGF/rGel、VAR-10200、VAL-566-620-MULTI、TKI、TK-001、
STP-601、乾燥型AMD幹細胞治療薬(例えば、EyeCyte)、OpRegen、SMT-D004、SAR-397769、RTU-007、RST-001、RGNX-004、RFE-007-CAI、MC-2002、クコ抗血管新生抑制プロテオグリカン、IXSVEGF、インテグリン阻害剤、GW-771806、GBS-007、Eos-013、EC-400、乾燥型AMD治療薬(例えば、Neuron Systems)、CGEN-25017、CERE-140、AP-202、AC-301、4-IP、亜鉛-モノシステイン複合体(例えば、Adeona)、プリノマスタット、
Neovastat、メカミルアミン、CereCRIB、BA-285、ATX-S10、AG-13958、ベルテポルフィン/アルファvB3複合体、VEGF/rGel、VEGF-サポリン、VEGF-R2拮抗薬(例えば、Allostera)、VEGF阻害剤(例えば、Santen)、VEGF拮抗薬(例えば、Ark)、Vangiolux(商標)、トリフェニルメタン(例えば、Alimera)、TG-100-801、TG-100-572、TA-106、T2-TrpRS、SU-0879、SHEF-1、ロスタポルフィン(例えば、Photrex(商標)、Purlytin(商標)、SnET2)、retino-NPY、PJ-34、PI3K複合体(例えば、Semafore)、PhotoPoint、PAN-90806、Opt-21、OPK-HVB-010、OPK-HVB-004、眼科学の治療薬(例えば、Cell NetwoRx)、OcuXan、NTC-200、NT-502、NOVA-21012、Neurosolve(商標)、神経保護治療薬(例えば、BDSI)、MEDI-548、MCT-355、McEye(商標)、LentiVue(商標)、LYN-002、LX-213、ルテチウムテキサフィリン(例えば、Antrin(商標))、LG-339阻害剤(例えば、Lexicon)、KDRキナーゼ阻害剤(例えば、Merck)、ISV-616、INDUS-815C、ICAM-1アプタマー(例えば、Eyetech)、GTx-822、GS-102、Granzyme B/VEGF(商標)、遺伝子治療薬(例えば、EyeGate)、GCS-lOO類似体プログラム、FOV-RD-27、線維芽細胞成長因子(例えば、Ramot)、Panzem SR(商標)、ETX-6991、ETX-6201、EG-3306、Dz-13、ジスルフィラム(例えば、ORA-102)、ジクロフェナク(例えば、Ophthalmopharma)、ACU-02、CLT-010、CLT-009、CLT-008、CLT-007、CLT-006、CLT-005、CLT-004、CLT-003(例えば、Chirovis(商標))、CLT-001、Cethrin(商標)(例えば、BA-210)、セレコキシブ、CD91拮抗薬(例えば、Ophthalmophar)、CB-42、BNC-4、ベストロフィン、バチマスタット、BA-1049、AVT-2、AVT-1、atu012、Apelプログラム(例えば、ApeX-2)、抗VEGF(例えば、Gryphon)、AMD ZFP(例えば、ToolGen)、AM-1101、ALN-VEG01、AK-1003、AGN-211745、ACU-XSP-001(例えば、Excellair(商標))、ACU-HTR-028、ACU-HHY-011、ACT-MD(例えば、NewNeural)、ABCA4調節剤(例えば、Active Pass)、A36(例えば、Angstrom)、267268(例えば、SB-267268)、131-TTM-601、バンデタニブ(例えば、Caprelsa(商標)、Zactima(商標)、Zictifa(商標))、リンゴ酸スニチニブ(例えば、Sutene(商標)、Sutent(商標))、ソラフェニブ(例えば、Nexavar(商標))、アキシチニブ(例えば、Inlyta(商標))、チボザニブ、XL-647、RAF-265、ペグジネタニブ(例えば、Angiocept(商標))、MGCD-265、イクルクマブ、フォレチニブ、ENMD-2076、BMS-690514、レゴラフェニブ、ラムシルマブ、プリチデプシン(例えば、Aplidin(商標))、オランチニブ、ニンテダニブ(例えば、Vargatef(商標))、モンテサニブ、ミドスタウリン、リニファニブ、テラチニブ、レンバチニブ、エルパモチド、ドビチニブ、セジラニブ(例えば、Recentin(商標))、JI-101、カボザンチニブ、ブリバニブ、アパチニブ、Angiozyme(商標)、X-82、SR-106462、レバスチニブ、PF-337210、IMC-3C5、CYC116、AL-3818、VEGFR2阻害剤(例えば、AB Science)、VEGF/rGel(例えば、Clayton Biotechnologies)、TLK-60596、TLK-60404、R84抗体(例えば、Peregrine)、MG-516、FLT4キナーゼ阻害剤(例えば、Sareum)、flt-4キナーゼ阻害剤、Sareum、DCC-2618、CH-330331、XL-999、XL-820、バタラニブ、SU-14813、セマクサニブ、KRN-633、CEP-7055
、CEP-5214、ZK-CDK、ZK-261991、YM-359445、YM-231146、VEGFR2キナーゼ阻害剤(例えば、Takeda)、VEGFR-2キナーゼ阻害剤(例えば、Hanmi)、VEGFR-2拮抗薬(例えば、Affymax)、VEGF/rGel(例えば、Targa)、VEGF-TK阻害剤(例えば、AstraZeneca)、レスベラトロール、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、Abbott)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、Abbott)、Tie-2キナーゼ阻害剤(例えば、GSK)、SU-0879、SP-5.2、ソラフェニブビーズ(例えば、Nexavar(商標)ビーズ)、SAR-131675、Ro-4383596、R-1530、ファーマプロジェクツ(Pharmaprojects)番号6059、OSI-930、OSI-817、OSI-632、MED-A300、L-000021649、KM-2550、キナーゼ阻害剤(例えば、MethylGene)、キナーゼ阻害剤(例えば、Amgen)、Ki-8751、KDRキナーゼ阻害剤(例えば、Celltech)、KDRキナーゼ阻害剤(例えば、Merck)、KDRキナーゼ阻害剤(例えば、Amgen)、KDR阻害剤(例えば、Abbott)、KDR阻害剤(例えば、LGLS)、JNJ-17029259、及びIMC-1C11等の医薬品も含まれ得る。
【0413】
いくつかの実施形態において、調節剤、例えば、コネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤、及び眼治療薬は、共投与のために共製剤化され得る。いくつかの態様において、調節剤、例えば、コネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤、及び眼治療薬の製剤は、丸薬、溶液、ゲル、事前に充填された注射器、錠剤、点眼薬、または粒子系製剤の一部であり得る。いくつかの態様において、IOPを減少させるための異なる機構によって作用する化合物は、Rhopressaであり得る。いくつかの実施形態において、IOPを減少させるための異なる機構によって作用する化合物は、Roclatanであり得る。いくつかの態様において、IOPを減少させるための異なる機構によって作用する化合物は、アデノシン模倣薬であり得る。いくつかの実施形態において、アデノシン摸倣物は、Trabodenoson(N-シクロペンチルアデノシン5’-ナイトレート)であり得る。
【0414】
いくつかの実施形態において、細胞または媒体中でRhoキナーゼ及びコネキシンまたはパネキシンチャネル活性の作用を調節及び/または抑制する方法が提供される。細胞は、身体の生体内、または生体の生体内、または試験管内でもよい。媒体には、アッセイ媒体が含まれ得る。本方法は、媒体に適用するか、または細胞を有効量のRhoキナーゼ阻害剤及び調節剤、例えば、コネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤と接触させることを含んでもよい。
【0415】
いくつかの実施形態において、Rhoキナーゼ阻害剤は、deLongらのアミノイソキノリルアミドまたはアミノベンズアミジルアミド(米国特許第8,716,310号、及び参照により本明細書に組み込まれる)、Bosanacらの2H-イソキノリン-1-オン及び3H-イソキノリン-4-オン誘導体(米国特許第8,809,326号)、deLongの6-アミノイソキノリン誘導体(米国特許公開第2013/0137721号)、deLongのベータ及びガンマ-アミノイソキノリンアミド化合物ならびに置換ベンズアミド化合物(米国特許公開第2014/0249201号)、Kopczynskiのプロスタグランジンまたはプロスタグランジン類似体と共有結合しているイソキノリン化合物(米国特許公開第2014/0275161号及び米国特許公開第2014/0275160号)、deLongのイソキノリン化合物(米国特許第8,034,943号)、deLongのキノリン化合物(米国特許第7671205号、同第7470787号、同第8455513号、同第8450344号、同第8357699号、同第8455647号、及び同第8455514号)、RichardsのRhopressa、Roclatan、または化合物及び製剤(PCT出願第PCT/US2009/04
7108号)であり得る。
【0416】
いくつかの実施形態において、疾患、障害、または病態を治療する方法が提供される。本方法は、対象にRhoキナーゼ及び調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤を投与することを含んでもよい。本方法は、対象にRhoキナーゼ阻害剤化合物及び調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤、ならびに薬学的に許容される担体を含む組成物を投与することを含んでもよい。疾患、障害、または病態には、Rhoキナーゼ活性と関連した眼疾患もしくは病態、またはRhoキナーゼによって発症した眼疾患もしくは病態が含まれ得る。例えば、疾患は、緑内障、湿潤型AMD、乾燥型AMD(炎症)、及びDMEからなる群から選択され得る。Rhoキナーゼ阻害剤の調節剤、例えば、本発明のコネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤との組み合わせは、眼圧を上昇させるのにも有用であり得る。したがって、これらの製剤は、高血圧性緑内障または正常眼圧緑内障等の緑内障の治療に有用であり得る。Rhoキナーゼ阻害剤及び調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤は、個別投与のための異なる種として、または共同投与のための混合物として製剤化され得る。Rhoキナーゼ阻害剤の個別投与に関して、眼疾患を治療するための投与の経路は、局所的、腹腔内、硝子体内、または全身的であり得る。Rhoキナーゼ阻害剤及び調節剤の共同投与に関して、眼疾患を治療するための投与の経路は、局所的、腹腔内、硝子体内、または全身的であり得る。いくつかの実施形態において、別個または共同投与に関して、Rhoキナーゼ阻害剤またはその誘導体の製剤は、静脈内、皮下、筋肉内、及び関節内投与等の経路によって非経口送達のために製剤化されてもよい。これらの製剤は、液体または凍結乾燥物のいずれかである。液体または凍結乾燥製剤は、1~50%のRhoキナーゼ阻害剤またはその誘導体、本明細書に記載される調節剤の投与量の範囲、ならびに可溶化剤、安定剤、緩衝液、浸透圧調節剤、増量剤、粘度増強剤/減力剤、界面活性剤、キレート剤、及びアジュバントから選択される残りの成分を含み得る。これらの成分は、当業者に周知である。凍結乾燥製剤は、投与前にもどされる必要がある。液体製剤は、任意選択的に、5%のデキストロース注射、USPまたは0.9%の塩化ナトリウム注射、USP等の薬学的に許容される希釈剤で希釈される。
これらの製剤は、好ましくは注入によって投与されるが、ボーラス投与も可能である。
【0417】
Rhoキナーゼ阻害剤と、調節剤、例えば、コネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤との個別投与(共投与)に関して、投与は、連続的または同時であり得る。連続投与に関して、Rhoキナーゼ阻害剤及びコネキシンまたはパネキシン調節剤は、互いの1時間以内、互いの1日以内、互いの1週間以内、または互いの1カ月以内に投与され得る。同時投与(共投与)に関して、Rhoキナーゼ阻害剤及び調節剤は、混合物として、またはRhoキナーゼ阻害剤及び調節剤、例えば、コネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤の両方を含む製剤として一緒に投与され得る。
【0418】
いくつかの態様において、本発明は、Rhoキナーゼ活性及びコネキシンまたはパネキシンチャネル活性を調節する方法を提供し、本方法は、細胞を、Rhoキナーゼ活性を調節するのに有効な量のRhoキナーゼ阻害剤と接触させること、及び細胞を、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル活性を調節するのに有効な量のコネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤を接触させることを含む。
【0419】
いくつかの態様において、本発明は、眼圧を減少させる方法を提供し、本方法は、細胞を、眼圧を減少させるのに有効な量のRhoキナーゼ阻害剤及び調節剤、例えば、本明細書に記載されるコネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤と接触させることを含む。
【0420】
個別投与または共同投与に関して、全身投与のためのRhoキナーゼ阻害剤の投与量範囲は、1日当たり、体重1kg当たり約0.001~約100mg、好ましくは、体重1k
g当たり約0.01~約10mg、最も好ましくは、体重1kg当たり約0.05~約5mgである。Rhoキナーゼ阻害剤投与量は、体重1kg当たり0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100mg、または列挙される投与量のうちのいずれか2つの間の任意の範囲、もしくは任意の2つの列挙される数の間の任意の投与量であり得る。個別投与または共同投与に関して、調節剤、例えば、コネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤の投与量の範囲は、体重1kg当たり約1.0ng、体重1kg当たり10mg、または体重1kg当たり約1ug~約5mg、または体重1kg当たり約50ug~約1mgである。調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤投与量は、体重1kg当たり1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100ng、体重1kg当たり1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、
7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100ug、体重1kg当たり1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100mg、または体重1kg当たり1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、もしくは25gであり得る。
【0421】
個別投与または共同投与に関して、製剤は、急速もしくは緩徐な放出、即時、遅延した、指定時刻に作動する、もしくは持続的放出、またはこれらの組み合わせを提供するように調製されてもよい。製剤は、液体、溶液、懸濁液、エマルション、エリキシル剤、シロップ、舐剤、(限定されないが点眼薬を含む)滴薬、錠剤、顆粒、粉末、ロゼンジ、トローチ、カプセル、ゲル、軟膏、クリーム、ローション、油、泡、噴霧剤、霧、またはエアロゾルの形態でもよい。追加の実施形態として、医薬製剤は、眼上に置かれるコンタクトレンズ内に含まれるか、コンタクトレンズによって送達されるか、またはコンタクトレンズに付着し得る。
【0422】
コネキシンまたはパネキシン調節剤とRhoキナーゼ阻害剤または他の作用剤との組み合わせの製造品/キット
本発明の別の実施形態において、上述の疾患及び障害を治療するのに有用な物質を含む
製造品または「キット」が提供される。キットは、Rhoキナーゼ阻害剤及び調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤を含む容器を備える。キットは、容器上に、または容器と関連したラベルまたは添付文書をさらに備えてもよい。用語「添付文書」は、そのような治療製品の使用に関する指示、用法、投与量、投与、禁忌、及び/または注意についての情報を含む、治療製品のコマーシャルパッケージ内に含まれる習慣的使用説明書を指すために使用される。好適な容器には、例えば、ビン、バイアル、注射器、ブリスターパック等が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチック等の様々な材料から形成されてもよい。容器は、病態を治療するのに有効であるRhoキナーゼ阻害剤及び調節剤、例えば、コネキシン及び/もしくはパネキシンチャネル調節剤、またはこれらの製剤を保持することができ、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって突き刺すことが可能なストッパを有する静脈内溶液袋またはバイアルでもよい)。本組成物中の少なくとも1つの活性剤は、調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤である。ラベルまたは添付文書は、本組成物が高血圧性もしくは正常眼圧緑内障、DME、眼線維症、湿潤型AMDもしくは乾燥型AMD、または上述の眼の障害のうちのいずれか等の最適な病態を治療するために使用されることを示す。ラベルまたは添付文書は、本組成物が他の障害を治療するために使用され得ることも示してもよい。あるいは、または加えて、製造品は、注射のための静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、及びデキストロース溶液等の薬学的に許容される緩衝液を備える第2の容器をさらに備えてもよい。製造品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、及び注射器を含む、商業的及び使用者の観点から望ましい他の物質をさらに含んでもよい。
【0423】
キットは、調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤、ならびに存在する場合、Rhoキナーゼ阻害剤、または本明細書に記載される、IOPを減少させるためにコネキシン及び/もしくはパネキシンチャネル調節とは別個の機構で作用する他の作用剤の投与のための指示書をさらに備えてもよい。例えば、キットが、コネキシンまたはパネキシン調節剤を含む第1の組成物、及び第2の医薬製剤を備える場合、キットは、投与を必要とする患者に、第1及び第2の薬学的組成物の同時、連続的、または個別投与のための指示書をさらに備えてもよい。
【0424】
キットが調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤、ならびにRhoキナーゼ阻害剤、または例えば、本明細書に記載される、IOPを減少させるためにコネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節とは別個の機構で作用する他の作用剤を備え得るある特定の他の実施形態において、キットは、分割されたビンまたは分割されたホイルポケット等の別個の組成物を含むための容器を備えてもよいが、別個の組成物は、単一の分割されていない容器内に含まれてもよい。一般に、キットは、構成成分の投与のための指示書を備える。キット形態は、個々の構成成分が、好ましくは異なる投薬形態(例えば、眼及び非経口)で投与されたとき、異なる投薬間隔で投与されたとき、または組み合わせの個々の構成成分の滴定が処方医師によって所望されるとき、特に有利である。
【0425】
本発明は、調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤、ならびにRhoキナーゼ阻害剤、または本明細書に記載される、IOPを減少させるためにコネキシン及び/もしくはパネキシンチャネル調節とは別個の機構で作用する他の作用剤を含む1つ以上の投薬形態を含む包装材料を備える製造品を含み、包装材料は、投薬形態が、疾患、障害、及び/または本明細書に記載または示される病態のうちのいずれかを有するか、これらを有することが疑われるか、もしくはこれらに掛かりやすい対象に対して使用され得ることを示すラベルを有する。そのような投薬形態には、例えば、非経口及び眼の送達形態、ならびに製剤のための、錠剤、カプセル、溶液、及び懸濁液が含まれる。
【0426】
いくつかの態様において、キットは、個別投与のために、調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤とは異なる区画内に区画化されたRhoキナーゼ阻害剤を備え得る。区画は、別個のバイアル、別個の注射器、別個のコンタクトレンズ、別個の溶液、または上述の作用剤が注入された別個の粒子であり得る。いくつかの態様において、Rhoキナーゼ阻害剤が、眼の前方への送達のために区画化され得る一方で、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤は、例えば、眼の後眼部(網膜、脈絡膜、RPE、ブルッフ膜)への送達のために区画化され得る。いくつかの態様において、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤が、例えば、眼の後部への持続的送達のために、本明細書に記載されるナノ粒子の形態またはミクロ粒子形態で区画化され得る一方で、Rhoキナーゼ阻害剤は、Rhoキナーゼ阻害剤が注入された点眼薬またはコンタクトレンズの形態で、眼の前方への即時または持続的送達のために区画化され得る。
【0427】
一態様において、キットは、注射のための静菌水(BWFI)、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、及びデキストロース溶液等の薬学的に許容される緩衝液備える第3の容器をさらに備えてもよい。製造品は、他の緩衝液、希釈剤、フィルタ、針、及び注射器を含む、商業的及び使用者の観点から望ましい他の物質をさらに含んでもよい。
【0428】
いくつかの態様において、キットの第1及び第2(及び任意選択的に第3)の組成物は、組み合わせて投与され得るか、同時に投与され得るか、個別に投与され得るか、順次投与され得るか、または持続的様式で投与され得る。
【0429】
イオン泳動
本発明のコネキシン調節剤製剤は、薬物透過が少しの電流を加えることにより強化される、非侵襲的手法であるイオン泳動によっても、投与されてもよい。調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤は、薬物と同じ電荷を有する電極を用いて適用され、反対の電荷である接地電極が回路を完成させるために、身体上の他の部分に置かれる。調節剤は、組織をとおる電流の伝導を助ける。経強膜のイオン泳動は、網膜及び脈絡膜に治療レベルの生理活性ポリヌクレオチド及びペプチドを送達するために使用され得る。
【0430】
投与量、量、及び濃度
理解されるように、投与される調節剤、例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体の投与量と、投与の期間と、投与管理体制全般と、は、調節剤が送達される標的部位、治療される対象の任意の症状の重症度、治療される障害の種類、単位投与量のサイズ、選択された投与の様式、ならびに対象の年齢、性別、及び/または健康全般と、当業者に既知の他の要因と、のような可変の要因に応じて対象間で異なってもよい。
【0431】
細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータは、ヒトにおいて使用するための投与量の範囲を配合するために使用され得る。調節剤投与量は、使用される投薬形態及び利用される投与の経路に応じて、この範囲内で変わり得る。本発明の方法で使用される任意の作用剤に関して、治療上有効な投与量は、細胞培養アッセイから最初に推定され得る。投与量は、細胞培養で決定される、IC50を含む細胞濃度範囲(すなわち、症状の最大半量の抑制を達成する試験化合物の濃度)を達成するために、細胞培養または動物モデルに配合されてもよい。そのような情報は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために使用され得る。正確な配合、投与の経路、及び投与量は、患者の病態を考慮した上で、個々の医師によって選択され得る。(例えば、Fingl et al.,1975
,In:The Pharmacological Basis of Therapeutics,Ch.1,p.1を参照されたい)。投与量は、投与される濃度(マイクロモル)または投与される量(mg)からmg/kgの単位で投与量を決定するために、投与される量の濃度、試験される動物モデルの予測される質量(生体ウィスターラットのラット当たり200~300g)から決定され得る。
【0432】
緑内障眼低酸素症、網膜潅流障害、AMD、DME、眼線維症、及び/もしくは眼神経障害、または本明細書に記載される任意の他の眼の障害等の眼の障害の治療のために使用され得る有効な投与量の例は、本明細書に記載され、特許請求される。いくつかの態様において、眼の障害、例えば、高眼圧症、緑内障、AMD、DME、眼線維症、緑内障性眼神経障害、RGC喪失、脈絡膜潅流の障害、脈絡膜炎、脈絡膜過剰潅流、及び/または脈絡毛細管板脱落を治療するのに有効な、治療的に有効な量の調節剤、例えば、コネキシン調節剤、及び/またはパネキシンチャネル調節剤、例えば、コネキシン43またはコネキシン43ヘミチャネル調節剤は、約0.001~約1.0マイクログラム/ml、または約0.001~約0.01mg/ml、もしくは約0.1mg/mL~約100mg/mL以上の濃度、あるいは列挙される投与量のうちのいずれか2つの間の任意の範囲、または任意の2つの列挙される数の間の任意の投与量である。投与量は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100mg/ml、または列挙される投与量のうちのいずれか2つの間の任意の範囲、もしくは任意の2つの列挙される数の間の任意の投与量であり得る。いくつかの実施形態において、治療的に有効な量の調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤タンパク質調節剤は、約0.5~約50mg/mLの範囲にわたる濃度で存在する。いくつかの実施形態において、調節剤は、約0.3~約30mg/mLの範囲にわたる濃度で存在する。いくつかの実施形態において、調節剤は、約0.1または1.0~約10mg/mLの範囲にわたる濃度で存在する。いくつかの実施形態において、調節剤は、約0.1または1.0~約0.3または3.0mg/mLの範囲にわたる濃度で存在する。いくつかの実施形態において、調節剤は、約3.0mg/mLの濃度で存在する。これらの態様のうちのいずれかにおいて、調節剤は、コネキシンタンパク質アンチセンスオリゴヌクレオチドでもよい。調節剤が、半減期の増加のための修飾アンチセンスオリゴヌクレオチド、例えば、骨格修飾オリゴヌクレオチド、または化学修飾オリゴヌクレオチドであるとき、上述の投薬濃度は、同じでもよいか、または例えば、有効性及び特異性に応じて、必要に応じて減少または上昇させてもよい。これらの態様のうちのいずれかに
おいて、担体(ビヒクル)は、薬学的に許容される担体でもよい。
【0433】
いくつかの態様において調節剤、例えば、コネキシン調節剤及び/またはパネキシンチャネル調節剤は、約0.001~約100mg/kg、約0.001~約0.01mg/kg、約0.01~約0.1mg/kg、0.1~約1mg/kg、約1~約10mg/kg、もしくは約10~約100mg/kgの、または任意の2つの列挙される投与量間の任意の範囲、もしくは任意の2つの列挙される投与量間の任意の投与量の、治療上有効な投与量で投与されてもよい。いくつかの態様において、投与量は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100mg/ml、または列挙される投与量のうちのいずれか2つの間の任意の範囲、もしくは任意の2つの列挙される数の間の任意の投与量であり得る。
【0434】
本発明のいくつかの態様において、先に例示される本発明で使用するための治療上有効な濃度、量、または投与量の各々が、上述の治療上有効な濃度、量、または投与量の各々について、修飾または未修飾核酸調節剤、修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド摸倣薬調節剤、あるいは小分子調節剤に関して有用であり得るが、ペプチドまたはペプチド摸倣薬コネキシン調節剤またはパネキシン調節剤の投与量は、列挙される濃度、量または投与量のうちのいずれかの1/10~1/100、または1/100~1/1000であり得る。さらに、いくつかの態様において、修飾調節剤、例えば、コネキシン調節剤、パネキシン調節剤、またはパネキシンチャネル調節剤の治療上有効な濃度、量、または投与量は、列挙される濃度、量、もしくは投与量の1/10~1/100、もしくは1/100~1/1000、または任意の2つの列挙される投与量間の任意の範囲、もしくは任意の2つの列挙される投与量間の任意の投与量であり得る。
【0435】
投与には、必要に応じて1日1回用量、いくつかの不連続の分けられた投与量の投与、または連続投与が含まれ得ることが理解されるべきである。例として、単位投与量は、所望の総1日用量を達成するために、1日1回、または2回以上、例えば、1日1、2、3、4、5、または6回投与されてもよい。例として、例えば、ペプチド5及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体等のギャップ結合チャネル調節剤の単位用量は、おおよそ0.1~10mg
、10~100mg、100~1000mg、1000~2000mg、または2000mg~5000mg、0.1~おおよそ2000mg、おおよそ0.1~おおよそ1000mg、おおよそ1~おおよそ500mg、おおよそ1~おおよそ200mg、おおよそ1~おおよそ100mg、おおよそ1~おおよそ50mg、もしくはおおよそ1~おおよそ25mg、または任意の2つの列挙される投与量間の任意の範囲、もしくは任意の2つの列挙される投与量間の任意の投与量の1日用量を達成するために、1日1回用量もしくはいくつかの別個の投与量で、または連続的に投与されてもよい。
【0436】
さらなる例として、調節剤、例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤、トナベルサット、及び/もしくはこれらのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体の単位用量は、総1日用量が(70kgの成人の場合)おおよそ1~おおよそ1000mg、例えば、おおよそ1~おおよそ500mg、または500mg~1000mg、1000~2000mg、または2000mg~5000mgの範囲内、または任意の2つの列挙される投与量間の任意の範囲内、もしくは任意の2つの列挙される投与量間
の任意の投与量であるように、1日1回または2回以上(例えば、1日1、2、3、4、5、または6回、典型的には1~4回)投与されてもよい。例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体、ならびに/またはパネキシン調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体は、対象におおよそ0.01~おおよそ15mg/kg/日、例えば、おおよそ0.1~おおよそ6mg/kg/日、例えば、おおよそ1~おおよそ6mg/kg/日、例えば、6mg/kg/日~100mg/kg/日の投与量範囲、または任意の2つの列挙される投与量間の任意の範囲、もしくは任意の2つの列挙される投与量間の任意の投与量で投与されてもよい。一実施形態において、トナベルサットは、おおよそ2mg~おおよそ40mgの投与量で、1日一回経口で投与されてもよい。
【0437】
一実施形態において、式Iの化合物、例えば、トナベルサット及び前述の化合物のうちのいずれかの類似体の投与量は、作用部位でおおよそ0.001マイクロモル~0.1マイクロモル、0.1マイクロモル、及び最大おおよそ200マイクロモル以上、あるいは作用部位でこれらの濃度を達成するために循環内ではこれ以上である。例として、投与量は、限定されないが、約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、6
7、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、または500マイクロモルの最終循環濃度、または任意の2つの列挙される濃度間の任意の範囲、もしくは任意の2つの列挙される数間の任意の濃度でもよい。ヘミチャネルを遮断するが、ギャップ結合をアンカップリングしないことが見込まれる投与量のさらなる例は、O’Carroll et al,2008に記載され、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、トナベルサットは、より低用量、例えば、0.001~20マイクロモルで使用され得る。低用量は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20マイクロモルであり得る。驚くべきことに、例えば、より低用量のトナベルサットが再潅流の間のCx43ヘミチャネル媒介ATP放出を抑制するのに有用であることが見つけ出された。単独またはパネキシン調節剤と組み合わせた、本発明の方法及び使用におけるそのようなより低用量のトナベルサットの使用は、トナベルサットの副作用を軽減するのにも有利である。
【0438】
他の態様において、Cx43の上昇に対する一時的な反作用、及びそれによるGJヘミチャネルの新たな形成に関するトナベルサットの時間依存の作用は、例えば、傷害後のコネキシン43チャネルの一時的な調節を制御しながら、有毒な代謝物の堆積を防ぎ、特に中枢神経系の傷害後に組織を同期化するための「空間的緩衝」効果の完全な除去を最小限に抑えるために利用され得る。
【0439】
一実施形態において、調節剤、例えば、ペプチド5等のギャップ結合チャネル調節剤及び/もしくはその類似体、ならびに/またはパネキシンチャネル調節剤、例えば、プロベネシド及びその類似体、ならびに/またはパネキシン1の合成模倣ペプチド遮断薬、例えば、10Panx1もしくはその類似体の投与量は、作用部位でおおよそ0.001マイクロモル及び最大おおよそ200マイクロモル、もしくは200~2000、または5000マイクロモル、あるいは作用部位でこれらの濃度を達成するために循環内ではこれ以上である。例として、投与量は、限定されないが、約1、5、10、20、50、100、200、250、500、1000、2000、3000、4000、または5000マイクロモルの最終循環濃度、または任意の2つの列挙される投与量間の任意の範囲、もしくは任意の2つの列挙される投与量間の任意の投与量でもよい。ヘミチャネルを遮断するが、ギャップ結合をアンカップリングしないのに有効なペプチド5の投与量は、O’Carroll et al,2008で論じられている。いくつかの実施形態において、トナベルサットは、より低用量、例えば、1~20マイクロモル、1~50マイクロモル、
20~30、30~40、または40~50マイクロモルで使用され得る。低用量は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20マイクロモルであり得る。驚くべきことに、例えば、より低用量のトナベルサットが虚血再潅流の間のCx43ヘミチャネル媒介ATP放出を抑制することが見つけ出された。驚くべきことに、ある特定の用量のトナベルサットが、ヘミチャネル形成を抑制し、これにより虚血後の再潅流を治療することが見つけ出された。
【0440】
いくつかの実施形態において、調節剤、例えば、コネキシン調節剤もしくはパネキシン調節剤、またはこれらのチャネル調節剤の好適な治療上有効な投与量は、少なくとも約1.0mg/mLの調節剤、例えば、コネキシン調節剤、またはパネキシンもしくはチャネル調節剤であり得る。いくつかの実施形態において、調節剤、例えば、コネキシン調節剤及び/またはパネキシン調節剤、及びこれらのチャネルの治療上有効な投与量は、約0.001mg/mL~0.01mg/mL、約0.01mg/mL~約0.1mg/mL、または約0.1mg/mL~約100mg/mLであり得る。いくつかの実施形態において、コネキシン調節剤またはパネキシン調節剤の好適な治療上有効な投与量は、約約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、21.0、22.0、23.0、24.0、25.0、26.0、27.0、28.0、29.0、30.0、31.0、32.0、33.0、34.0、35.0、36.0、37.0、38.0、39.0、40.0、41.0、42.0、43.0、44.0、45.0、46.0、47.0、48.0、49.0、50.0、52.5、55.0、57.5、60.0、62.5、65.0、67.5、70.0、72.5、75.0、77.5、80.0、82.5、85.0、87.5、90.0、92.5、95.0、97.5、もしくは約100.0ug/mL、または列挙される投与量のうちのいずれか2つ間の任意の範囲または副範囲、もしくは約0.1~約100ug/mLの範囲内に含まれる任意の投与量であり得る。いくつかの実施形態において、抗コネキシン剤の好適な治療上有効な投与量は、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、21.0、22.0、23.0、24.0、25.0、26.0、27.0、28.0、29.0、30.0、31.0、32.0、33.0、34.0、35.0、36.0、37.0、38.0、39.0、40.0、41.0、42.0、43.0、44.0、45.0、46.0、47.0、48.0、49.0、50.0、52.5、55.0、57.5、60.0、62.5、65.0、67.5、70.0、72.5、75.0、77.5、80.0、82.5、85.0、87.5、90.0、92.5、95.0、97.5、もしくは約1
00.0mg/mL、または列挙される投与量のうちのいずれか2つ間の任意の範囲また
は副範囲、もしくは約0.1~約100mg/mLの範囲内に含まれる任意の投与量であり得る。いくつかの実施形態において、調節剤、例えば、コネキシン調節剤及び/またはパネキシンチャネル調節剤は、約0.5~約50mg/mLの範囲にわたる濃度で存在する。他の実施形態において、調節剤、例えば、コネキシン調節剤及び/またはパネキシンチャネル調節剤は、約0.3~約30mg/mLの範囲にわたる濃度で存在する。他の実施形態において、調節剤は、約0.1または1.0~約10mg/mLの範囲にわたる濃度で存在する。他の実施形態において、調節剤は、約0.1、または1.0~約0.3、または3.0mg/mLの範囲にわたる濃度で存在する。他の実施形態において、調節剤、例えば、コネキシン43調節剤、及び/またはコネキシン45調節剤等のコネキシン調節剤またはパネキシン調節剤は、約3.0mg/mLの濃度で存在する。これらの態様のうちのいずれかにおいて、調節剤、例えば、コネキシン調節剤は、コネキシン43、またはコネキシン45調節剤、例えば、コネキシン43またはコネキシン45アンチセンスオリゴヌクレオチド、好ましくはコネキシン43調節剤、例えば、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドでもよい。調節剤が修飾コネキシンまたはパネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドであるとき、上述の投薬濃度は、例えば、約2~約10倍に上昇され得る。調節剤が修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド摸倣薬であるとき、投与量は、10、100、または1000倍に減少され得る。
【0441】
ある特定の実施形態において、コネキシンまたはパネキシン調節剤、例えば、コネキシン43調節剤は、治療部位に、及び/または治療部位と隣接して、約0.001マイクロモル(μM)、もしくは0.05μM~約200μM、または最大300μM、もしくは最大1000μM、もしくは最大2000μM、もしくは最大3200μM以上、例えば、最大約10mM、20mM、もしくは30mMの最終濃度、ならびにこれらの投与量数内の任意の投与量及び投与量範囲で投与され得る。一実施形態において、コネキシン調節剤(抗コネキシン剤)組成物は、約1000μM超で適用される。好ましくは、アンチセンスポリヌクレオチド組成物は、約1000μM~約10mMの最終濃度で適用され、より好ましくは、抗コネキシン剤組成物は、約3mM~約10mMの最終濃度で適用され、より好ましくは、抗コネキシン剤組成物は、約1~3mMから約5~10mMの最終濃度で適用される。コネキシン調節剤濃度は、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100マイクロモル、または0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.0
5、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100ミリモル、あるいは列挙される投与量のうちのいずれか2つの間の任意の範囲、または任意の2つの列挙される数の間の任意の投与量であり得る。
【0442】
さらに、調節剤、例えば、コネキシン及びパネキシンチャネル調節剤、例えば、コネキシン43調節剤は、製剤中に約1μM~約20μMの最終濃度で存在し得、あるいは、コネキシン43調節剤は、約5μM~約20μMの最終濃度、または約10~約15μMの最終濃度で存在する。ある特定の他の実施形態において、調節剤は、約10μMの最終濃度で存在する。なおも別の実施形態において、調節剤は、約1~15μMの最終濃度で存在する。他の実施形態において、調節剤は、約20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM、10~200μM、200~300μM、300~400μM、400~500μM、500~600μM、600~700μM、700~800μM、800~900μM、900~1000または1000~1500μM、または1500μM~2000μM、2000μM~3000μM、3000μM~4000μM、4000μM~5000μM、5000μM~6000μM、6000μM~7000μM、7000μM~8000μM、8000μM~9000μM、9000μM~10,000μM、10,000μM~11,000μM、11,000μM~12,000μM、12,000μM~13,000μM、13,000μM~14,000μM、14,000μM~15,000μM、15,000μM~20,000μM、20,000μM~30,000μM、30,000μM~50,000μM超、または列挙される投与量のうちのいずれか2つ間の任意の範囲または副範囲、もしくは約20μM~約50,000μMの範囲内に含まれる任意の投与量で存在する。
【0443】
さらに他の投与量は、1日当たり、体重1kg当たり約1ナノグラム(ng)~約1mgの本明細書に記載される調節剤の各々を等しくする。ある特定の実施形態において、対象化合物の各々の投与量は、一般に、体重1kg当たり約1ng~約1マイクログラム、体重1kg当たり約1ng~約0.1マイクログラム、体重1kg当たり約1ng~約10ng、体重1kg当たり約10ng~約0.1マイクログラム、体重1kg当たり約0.1マイクログラム~約1マイクログラム、体重1kg当たり約20ng~約100ng、体重1kg当たり約0.001mg~約0.01mg、体重1kg当たり約0.01mg~約0.1mg、または体重1kg当たり約0.1mg~約1mgの範囲内である。ある特定の実施形態において、対象化合物の各々の投与量は、一般に、体重1kg当たり約0.001mg~約0.01mg、体重1kg当たり約0.01mg~約0.1mg、体重
1kg当たり約0.1mg~約1mgの範囲内である。2つ以上の調節剤、例えば、コネキシン及び/またはパネキシンチャネル調節剤が使用される場合、各調節剤の投与量は、他の範囲と同じ範囲内である必要はない。例えば、1つのコネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤の投与量は、体重1kg当たり約0.01mg~約10mgであり得、別のコネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤の投与量は、体重1kg当たり約0.1mg~約1mg、体重1kg当たり0.1~約10、0.1~約20、0.1~約30、0.1~約40、または約0.1~約50mgであり得る。投与量はまた、体重1kg当たり約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2.、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100mg、または列挙される投与量のうちのいずれか2つ間の任意の範囲または副範囲、もしくは体重1kg当たり約0.001~約100mgの範囲内に含まれる任意の投与量であり得る。
【0444】
一実施形態において、1つ以上の調節剤、例えば、コネキシン、ヘミチャネル、パネキシンもしくはパネキシンチャネル調節剤ポリヌクレオチド、あるいは1つ以上のコネキシ
ンまたはパネキシン調節剤ペプチドもしくはペプチド模倣薬の組み合わせ使用は、前記作用剤が単独で使用されたときの有効投与量と比較して、任意のそのような作用剤の有効投与量を減少させる。ある特定の実施形態において、併用する場合の薬剤の有効量は、単独で使用する場合の薬剤の用量の約1/15~約1/2、約1/10~約1/3、約1/8~約1/6、約1/5、約1/4、約1/3、または約1/2である。別の好ましい実施形態において、1つ以上の抗コネキシンポリヌクレオチド、及び1つ以上の抗コネキシンペプチドもしくはペプチド模倣薬、または他の抗コネキシン剤のいずれかまたは両方と組み合わせた組み合わせ使用は、前記作用剤が単独で投与された時の頻度と比較して、前記作用剤が投与される頻度を低減する。したがって、これらの組み合わせは、所望の治療目標を達成するのに以前必要だった用量よりも低い及び/または少ない用量の各作用剤の使用を可能にする。
【0445】
一実施形態において、コネキシンまたはパネキシン調節剤ペプチドまたはペプチド摸倣薬の投与量は、本明細書に記載される列挙される投与量のうちのいずれかよりも10、100、または1000倍低くあり得る。
【0446】
好都合に、調節剤は、そのそれぞれのタンパク質の発現を下方制御するのに十分な量で投与される。コネキシン調節剤、例えば、コネキシン43または45調節剤は、投与後少な
くとも約0.5~1時間、少なくとも約1~2時間、少なくとも約2~4時間、少なくとも約4~6時間、少なくとも約6~8時間、少なくとも約8~10時間、少なくとも約12時間、または少なくとも約24時間、コネキシン43の発現を下方制御するか、またはギャップ結合形成もしくはコネクソン開口を調節するのに十分な量で投与される。
【0447】
コネキシン43または45調節剤等のコネキシンまたはパネキシンチャネル調節剤の投与量は、単一または分けた適用で投与され得る。投与量は、一回で投与されてもよいか、または適用は反復されてもよい。典型的に、適用は、眼神経障害、または本明細書に記載される任意の眼の病態を予防するか、減速させるか、または治療するために必要に応じて、毎週、隔週、もしくは3週間に1回、月に1回、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24ヶ月以上に1回、反復される。投薬は、ニューロン脱落が上昇または減少した場合、反復、及び/または増加、または減少させてもよい。投薬は、12時間毎~7日以上間隔で適用されてもよい。例えば、投薬は、12時間、または1、2、3、4、5、6、または7日間隔で、またはこれらの時間のうちのいずれか2つ間、もしくは12時間~7日に含まれる任意の時間間隔で適用されてもよい。コネキシン43調節剤は、最大4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、または26週間投与されてもよい。ある特定の眼の使用等の一部の適用に関して、最大1時間毎のより頻繁な投薬が採用され得る。
【0448】
キット、薬剤、及び製造品
任意選択的に、1つ以上の調節剤、例えば、コネキシンもしくはパネキシン調節剤ポリヌクレオチド、及び/あるいは1つ以上のコネキシンもしくはパネキシン調節剤ペプチドまたはペプチド模倣薬、ならびに/あるいはギャップ結合もしくはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチド、または小分子調節剤等の他の抗コネキシン剤は、単独で、または調節剤、もしくは他の耐性創傷治癒剤のうちのいずれかと組み合わせて、薬剤の製造、またはキットでも使用され得る。好適な抗コネキシンタンパク質調節剤、ポリヌクレオチドまたはペプチドは、抗コネキシン43、30、または26調節剤、ポリヌクレオチドまたはペプチドであり得る。いくつかの態様において、これらのコネキシン調節剤のうちのいずれかは、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。
【0449】
一態様において、本発明は、記載される1つ以上の組成物または製剤を備える製造品またはキットを提供する。例えば、キットは、有効量の1つ以上のコネキシンもしくはパネキシン調節剤ポリヌクレオチド、及び/あるいは1つ以上のコネキシンもしくはパネキシン調節剤ペプチドまたはペプチド模倣薬、ならびに/あるいはギャップ結合またはヘミチャネルリン酸化剤またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチド等の他の抗コネキシン剤を、単独で、あるいはコネキシンもしくはパネキシン調節剤、または他の眼治療薬のうちのいずれかと組み合わせて含む医薬製剤を含み得る。いくつかの実施形態において、キットは、有効量の1つ以上の抗コネキシン43ポリヌクレオチド、及び/あるいは1つ以上の抗コネキシン43ペプチドもしくはペプチド模倣薬、ならびに/あるいはギャップ結合もしくはヘミチャネルリン酸化剤、またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチド等の他の抗コネキシン剤を、単独で、または抗コネキシン43調節剤、もしくは他の眼治療薬のうちのいずれかと組み合わせて含む医薬製剤を含み得る。いくつかの態様において、キットが備え得る任意のものは、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx45、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。
【0450】
キットは、包装材及び使用のための使用説明書と一緒に、別個の容器、または分割した容
器内の1つ以上の薬学的組成物をを備えてもよい。キットは、薬学的に許容される担体も備えてもよい。いくつかの実施形態において、キットは、薬学的組成物を投与するための構成要素、例えば、注射器、針、マイクロニードル、充填済みインプラント、またはイオン泳動デバイスも含んでもよい。コネキシンまたはパネキシン調節剤及び本明細書に記載される眼治療パートナーは、薬学的形態か、包帯/マトリックス携帯か、またはこれらの両方に関わらず、独立して、または優れた量の組み合わせパートナー(a)及び(b)を用いた異なる所定の組み合わせの使用によって、すなわち同時、別個に、または順次投与され得る。次いで、パーツのキットは、例えば、同時に投与され得るか、またはキットオブパーツの任意のパーツに関して、異なる時点で、かつ等しいもしくは異なる時間間隔で経時的にずらされ得る。
【0451】
本明細書に記載される本発明の化合物、組成物、または製剤、及び対象の治療のために使用するための使用説明書を含む容器を備える製造業者の物品も、提供される。例えば、別の態様において、本発明は、対象の治療のための使用を含む使用のための使用説明書と一緒に、治療的に有効な量の1つ以上のコネキシンもしくはパネキシン調節剤ポリヌクレオチド、及び/あるいは1つ以上のコネキシンもしくはパネキシン調節剤ペプチドまたはペプチド模倣薬、ならびに/あるいはギャップ結合もしくはヘミチャネルリン酸化剤、またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチド等の他の抗コネキシン剤を、単独で、または抗コネキシンタンパク質調節剤、または他の耐性創傷治癒剤のうちのいずれかと組み合わせて含む容器を備える製造品を含む。好適な抗コネキシンタンパク質調節剤、ポリヌクレオチドまたはペプチドは、コネキシン43または45調節剤、ポリヌクレオチドまたはペプチドであり得る。
【0452】
いくつかの態様において、製造品は、1つ以上のコネキシンもしくはパネキシン調節剤ペプチド、またはペプチド模倣薬、あるいはギャップ結合もしくはヘミチャネルリン酸化剤、またはコネキシンカルボキシ末端ポリペプチド等の他の眼治療薬または抗コネキシン剤を、単独で、または抗コネキシン43調節剤、もしくは他の耐性創傷治癒剤のうちのいずれかと組み合わせて含むマトリックスを含んでもよく、好適なコネキシンもしくはパネキシン調節剤作用剤、ポリヌクレオチド、またはペプチドは、抗コネキシン43または45調節剤、ポリヌクレオチドまたはペプチドであり得る。
【0453】
コネキシン調節剤 本明細書に記載されるコネキシン調節剤、例えば、コネキシン43
またはコネキシン45調節剤は、例えば、細胞内へ、及び細胞からの分子の輸送を遮断または抑制することによって、(例えば、細胞から細胞への)細胞通信を調節する。コネキシン調節剤は、細胞質と細胞膜周辺間隙または細胞外間隙との間の分子の伝達に影響を与える。そのような調節剤は、一般的に、(コネクソンとも呼ばれる)ヘミチャネルを標的とし、これらは独立して、細胞質と細胞外間隙または組織との間の小分子の交換に関与し得る。したがって、本明細書に提供される化合物は、(ギャップ結合を介した)細胞間、または(ヘミチャネルを介した)細胞と細胞外間隙または組織との間のカップリングを間接的、または直接的に減少させることができ、細胞から細胞外間隙内への分子の輸送の調節は、本発明のある特定の化合物及び実施形態の範囲内にある。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx43、Cx45、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。
【0454】
眼血管内のギャップ結合またはコネキシンヘミチャネルをとおる分子通過(例えば、輸送)の所望の抑制を引き起こし得る任意の調節剤が、本発明の実施形態で使用され得る。ギャップ結合またはコネキシンヘミチャネルをとおる分子の通過を調節する任意のコネキシン作用剤も、特定の実施形態で提供される(例えば、細胞の細胞質から細胞外間隙または隣接する細胞質内への分子の通過を調節、遮断、または減らすもの)。そのような抗コネ
キシン剤は、ギャップ結合アンカップリングの有無に関わらず、ギャップ結合またはコネキシンヘミチャネルをとおる分子の通過を調節し得る(ギャップ結合をとおる分子の輸送を遮断する)。そのような化合物には、例えば、結合タンパク質、ポリペプチド、及び例えば、全体的または部分的にギャップ結合またはヘミチャネルの機能または活性を遮断することができる他の有機化合物が含まれる。いくつかの実施形態において、抗コネキシン調節剤は、抗コネキシン43調節剤または抗コネキシン45調節剤でもよい。いくつかの態様においてコネキシン調節剤は、Cx26、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシン調節剤である。
【0455】
コネキシン43またはコネキシン45調節剤等のある特定のコネキシン調節剤は、(例えば、mRNA転写または翻訳の下方制御による)コネキシン発現の下方制御を提供するか、さもなければコネキシンタンパク質、コネキシンヘミチャネルまたはギャップ結合の活性を減少または抑制する。下方制御の場合、これは、コネキシン発現が下方制御された部位で、ギャップ結合による直接細胞間通信の減少、またはヘミチャネルによる細胞質の細胞外間隙への暴露の影響がある。
【0456】
ある特定の実施形態において、抗コネキシン剤は、ヘミチャネルまたはギャップ結合の活性または機能を妨げるか、減少させるか、または変える。本明細書において使用する場合、抗コネキシン剤によるギャップ結合活性または機能の調節には、ギャップ結合の閉鎖、ヘミチャネルの閉鎖、ならびに/またはギャップ結合及び/またはヘミチャネルをとおる分子もしくはイオンの通過が含まれ得る。
【0457】
パネキシンまたはコネキシン調節剤には、アンチセンスポリヌクレオチドもしくはオリゴヌクレオチド、例えば、コネキシン43オリゴデオキシヌクレオチド及び(siRNAもしくはリボザイム官能基を有するポリヌクレオチド等の)他のポリヌクレオチド等の抗コネキシン、または抗パネキシンポリヌクレオチドと、コネキシンタンパク質及びパネキシン、ならびにヘミチャネルまたはギャップ結合活性もしくは機能を調節するコネキシンペプチド模倣薬及びペプチド類似体を含む、パネキシンまたはコネキシンペプチド及びポリペプチドを結合させるその抗体及び結合断片と、他のギャップ結合阻害剤及びギャップ結合タンパク質リン酸化剤と、が含まれる。コネキシンタンパク質ペプチド及びポリペプチドは、例えば、その機能を抑制するためにコネキシンタンパク質と結合してもよいか、または他のギャップ結合タンパク質へのその結合を抑制するもしくは妨害するためにコネキシンタンパク質の領域を模倣することによってコネキシン機能を抑制してもよい。
【0458】
パネキシンペプチド及びポリペプチドは、例えば、パネキシンチャネル抑制するまたは妨害し得る。
【0459】
他の実施形態において、コネキシン調節剤は、抗コネキシン43ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、抗コネキシン43ヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、コネキシン細胞外ドメイン、膜貫通領域、及びコネキシンカルボキシ末端ペプチド)を含む修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド模倣薬である。抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬は、修飾されていてもよいか、または修飾されていなくてもよい。抗コネキシンヘミチャネル遮断ペプチドまたはペプチド模倣薬は、化学的、合成的に作製されるか、さもなければ製造される。
【0460】
いくつかの実施形態において、本発明のコネキシン調節剤には、抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、コネキシン43ペプチドまたはペプチド模倣薬、例えば、例えば、本明細書に記載される神経障害性の眼の障害のうちのいずれかを治癒するのに有効な、治療上有効な本発明の方法で有用なコネキシンの細胞外ドメインの一部分を含むペ
プチド、及びコネキシンのカルボキシ末端部分の一部分を含むペプチドを含む、本明細書に記載されるペプチドのうちのいずれかが含まれる。いくつかの態様において、治療上有効な修飾または未修飾ペプチドもしくはペプチド摸倣薬は、コネキシン43等のコネキシンの細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインの一部分を含む。
【0461】
抗体及び結合断片、ならびにペプチド模倣薬及びペプチド類似体を含むペプチド及びポリペプチドを合成する方法はまた、好適な方法を使って行なわれ得る。例えば、Lihu Yang et al.,Proc. Natl.Acad.Sci.U.S.A.,1;95(18):10836-10841(Sept 1 1998);Harlow and Lane(1988)“Antibodies:A Laboratory Manuel”Cold Spring Harbor Publications,New York;Harlow and Lane(1999)“Using Antibodies”A Laboratory Manuel,Cold Spring Harbor Publications,New Yorkを参照されたい。
【0462】
コネキシンポリヌクレオチド及びオリゴヌクレオチド
本発明のいくつかの態様において、コネキシン調節剤は、ペプチドまたはペプチド摸倣薬である。コネキシン調節剤には、例えば、コネキシン43またはコネキシン45ペプチドまたはペプチド摸倣薬、好ましくはコネキシン43ペプチドまたはペプチド摸倣薬が含まれ得る。いくつかの態様において、コネキシンペプチドまたはペプチド摸倣薬は、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、Cx57ペプチドまたはペプチド摸倣薬であり得る。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0463】
いくつかの実施形態において、コネキシン43調節剤は、例えば、リンカーによってN末端で2つのドデシル基と複合化している配列番号173(SRPTEKT)、配列番号168(VDCFLSRPTEKT)、または配列番号168を含み得る。ペプチドは、1つ以上の修飾アミノ酸、アミノ酸類似体を含み得るか、またはさもなければ修飾され得る、例えば、細胞内部移行トランスポータと複合化もしくは結合し得る。
【0464】
別の非限定的だが好ましい実施形態において、抗コネキシン化合物は、コネキシン43もしくはコネキシン45、またはCx26、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx50、Cx57、あるいは眼もしくは血管中の任意の他のコネキシン等のコネキシンの膜貫通領域の一部分と対応するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。特定の非限定的な実施形態において、抗コネキシン化合物は、コネキシン、例えば、コネキシン43または45タンパク質配列の約3~約30個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、コネキシン、例えば、コネキシン43または45タンパク質配列の約5~約20個の連続アミノ酸、コネキシン、例えば、コネキシン43または45タンパク質配列の約8~約15個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、またはコネキシン43または45タンパク質配列の約11、12、または13個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含むアミノ酸配列を有するペプチドである。他の非限定的な実施形態には、コネキシン43または45タンパク質配列の少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、または30個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドである抗コネキシン化合物が含まれる。いくつかの態様において、コネキシン調節剤(抗コネキシン化合物)は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0465】
他の抗コネキシン化合物中、模倣ペプチドは、コネキシン43タンパク質配列の37~76及び178~208位のアミノ酸に対応するコネキシン43の細胞外ドメインに基づく。したがって、本明細書に記載されるある特定のペプチドは、コネキシン43タンパク質
配列の37~76及び178~208位の領域に対応するアミノ酸配列を有する。ペプチドは、コネキシン43タンパク質配列の部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はなく、保存的アミノ酸変化は、ペプチドが本明細書に記載され、さもなければ当分野で既知のアッセイで結合活性または機能的活性を保持するようにされ得る。他の実施形態において、模倣ペプチドは、細胞外ドメイン以外のコネキシンタンパク質内のペプチド標的領域(例えば、37~76及び178~208位に対応しないコネキシン43タンパク質配列の部分)に基づく。
【0466】
いくつかの実施形態において、コネキシン45調節剤は、例えば、ペプチドを含んでもよい。ペプチドは、1つ以上の修飾アミノ酸、アミノ酸類似体を含み得るか、またはさもなければ修飾され得る、例えば、細胞内部移行トランスポータまたは生物学的利用能剤と複合化もしくは結合し得る。
【0467】
非限定的だが好ましい実施形態において、コネキシン調節剤は、コネキシン45の膜貫通領域またはコネキシン45のC末端領域の一部分に対応するアミノ酸配列を含むペプチドを含む。特定の非限定的な実施形態において、例えば、抗コネキシン化合物は、既知のコネキシン45配列の約3~約30個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、既知のコネキシン45配列の約5~約20個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、既知のコネキシン45配列の約8~約15個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、または既知のコネキシン45配列の約11、12、または13個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドである。他の非限定的な実施形態は、既知のコネキシン45配列の少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、または30個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドである抗コネキシン化合物を含む。本明細書に提供されるある特定の抗コネキシン化合物中、模倣ペプチドは、既知のコネキシン45配列の46~75及び199~228位のアミノ酸に対応するコネキシン45の細胞外ドメインに基づく。したがって、本明細書に記載されるある特定のペプチドは、既知のコネキシン45配列の46~75及び199~228位の領域に対応するアミノ酸配列を有する。ペプチドは、既知のコネキシン45配列のこれらの部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はなく、保存的アミノ酸変化は、ペプチドが本明細書に記載され、さもなければ当分野で既知のアッセイで結合活性または機能的活性を保持するようにされ得る。他の実施形態において、模倣ペプチドは、細胞外ドメイン以外のコネキシンタンパク質内のペプチド標的領域(例えば、46~75及び199~228位に対応しない既知のコネキシン45配列の部分)に基づく。様々なコネキシン配列を開示する国際公開第2006/134494号は、参照により組み込まれる。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、前述のもののうちのいずれかを含んでもよいか、または含まなくてもよい。
【0468】
いくつかの態様において、本発明の治療の方法のうちのいずれかで使用される抗コネキシン調節剤は、コネキシン調節剤、例えば、コネキシン45またはコネキシン43調節剤である。いくつかの実施形態においてコネキシン調節剤は、コネキシン43オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであり、これらは、例えば、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであり得る。本発明のオリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは、化学的、合成的に作製されるか、さもなければ製造される。一実施形態において、コネキシン調節剤は、化学修飾または未修飾であるかに関わらず、コネキシンタンパク質アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドである。本発明は、例えば、修飾または未修飾コネキシン43ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドから選択されるコネキシン43調節剤を取り上げる。いくつかの態様において、本発明は、修飾または未修飾コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチド及び修飾もしくは未修飾コネキシン43アンチセンスポリヌクレオチド、または修飾及び未修飾ヌクレオチドの混合物を含むオリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド等のコネキシンアンチセンス化合物に関
する。いくつかの態様において、本明細書の方法で使用されるコネキシン43アンチセンス化合物は、天然型核酸塩基及び未修飾ヌクレオシド間結合を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドでる。典型的に、ポリヌクレオチドは、一本鎖であるが、二本鎖でもあり得る。
【0469】
配列番号1~16から選択される核酸塩基配列を含む修飾または未修飾コネキシン43アンチセンス化合物も、本明細書に取り上げられる。本発明のポリヌクレオチドは、80ヌクレオチド長未満、例えば、12~18から約50~80ヌクレオチド長、好ましくは、約30ヌクレオチド長以下、例えば、12~約30ヌクレオチド長、より好ましくは、約15~約30ヌクレオチド長を有する合成ポリヌクレオチドを含む。一例において、ポリヌクレオチドは、30個のヌクレオチドを有する。いくつかの態様において、本発明の方法は、配列番号1~16から選択されるヌクレオチド配列を含むか、または配列番号17の約8~40個のヌクレオチドを含む、最大40ヌクレオチド長、例えば、15~40ヌクレオチド長のコネキシン43アンチセンス化合物の使用を取り上げる。
【0470】
本発明のいくつかの態様において、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、配列番号1~16または配列番号17の一部分から選択される配列を有するポリヌクレオチドに対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の相同性を有する。
【0471】
ある特定の実施形態において提供され、使用されるものを含むコネキシン調節剤は、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスポリヌクレオチド、デオキシリボザイム、モルホリノオリゴヌクレオチド、RNAi分子、siRNA分子、PNA分子、DNAzyme、及び5’末端突然変異U1核内低分子RNA、ならびに前述のものの類似体からなる群から選択される1つまたはポリヌクレオチドを含み得る。これらの化合物及び他の化合物は、単独で、またはあともう1つの摸倣物もしくは他の結合ペプチドと組み合わせて使用され得る。
【0472】
少なくとも1個の未修飾ヌクレオチドを含むコネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、本発明に取り上げられる。一態様において、コネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含んでもよい、かつ/または少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合、及び/もしくは少なくとも1つの修飾糖部分を有してもよい。修飾ヌクレオシド間結合は、例えば、ホスホロチオエート結合でもよい。いくつかの態様において、例えば、コネキシンポリヌクレオチドは、立体配座的に緊張させたヌクレオチド、例えば、ロックド核酸(LNA)または架橋核酸(BNA)を含む少なくとも1個のヌクレオチドを含んでもよい。ロックトヌクレオチドは、例えば次の種類:2′-O-CH2-4′(オキシ-LNA)、2′-CH2-CH2-4′(メチレン-LNA)、2′-NH-CH2-4′(アミノ-LNA)、2′-N(CH3)-CH2-4′(メチルアミノ-LNA)、2′-S-CH2-4′(チオ-LNA)、及び2′-Se-CH2-4′(セレノ-LNA)のうちの2つから選択されてもよい。いくつかの態様において、修飾ヌクレオチドは、ロックド核酸またはアンロックド核酸でもよい。いくつかの態様において、コネキシンアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドである。
【0473】
RNAi、siRNA、及びリボザイムポリヌクレオチド、ならびに修飾骨格及び混合骨格を有するポリヌクレオチド等のアンチセンスポリヌクレオチド及び他の抗コネキシンポリヌクレオチドの合成が、行なわれ得る。例えば、Stein C.A. and Krieg A.M.(eds),Applied Antisense Oligonucleotide Technology,1998(Wiley-Liss)を参照され
たい。
【0474】
アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシン43またはコネキシン45等のコネキシンタンパク質の転写及び/または翻訳を抑制し得る。アンチセンスポリヌクレオチドは、一般に、コネキシンタンパク質mRNA、例えば、コネキシン43に対するアンチセンスである。そのようなポリヌクレオチドは、コネキシンタンパク質mRNAへとハイブリッド形成する能力があり得、したがって、転写、mRNAプロセシング、核からのmRNA輸送、翻訳、またはmRNA分解を含むコネキシンタンパク質mRNA代謝の1つ以上の態様を妨げることによって、コネキシンの発現を抑制し得る。アンチセンスポリヌ
クレオチドは、典型的に、コネキシンmRNAへとハイブリッド形成して、mRNAの翻訳及び/または不安定化の直接抑制を引き起こし得る二重鎖を形成する。そのような二重鎖は、ヌクレアーゼによる分解の影響を受けやすい場合がある。好ましくは,ポリヌクレオチドは、コネキシン43遺伝子またはmRNAからの転写及び/または翻訳の特異的阻害剤であり、他の遺伝子またはmRNAsからの転写及び/または翻訳を抑制しない。特異性に関するヒトゲノム配列データベースにおけるポリヌクレオチド配列のスクリーニングも、行なわれてもよい。産生物は、(i)コード配列に対して5’、及び/または(ii)コード配列に対して、及び/または(iii)コード配列に対して3’のいずれかで、コネキシン43遺伝子またはmRNAと結合することができる。
【0475】
アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシン43mRNA等のコネキシンタンパク質mRNAの一部分へとハイブリッド形成してもよい。典型的に、アンチセンスポリヌクレオチドは、コネキシンタンパク質mRNAのリボソーム結合領域またはコーディング領域へとハイブリッド形成する。ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの一領域に対して相補的であり得る。例えば、ポリヌクレオチドは、コネキシンmRNAの一部の的確な補体であり得る。しかしながら、絶対的相補性は必要ではなく、生理学的条件下で約20℃、30℃、または40℃超の融解温度を有する二重鎖を形成するのに十分な相補性を有するポリヌクレオチドは、本発明における使用に特に好適である。
【0476】
したがって、ポリヌクレオチドは、典型的に、mRNAに対して相補的である配列の相同体である。ポリヌクレオチドは、約50℃~約60℃で0.03Mの塩化ナトリウム及び0.03Mのクエン酸ナトリウム等の中から高ストリンジェンシーの条件下で、コネキシンタンパク質mRNAへとハイブリッド形成するポリヌクレオチドであり得る。
【0477】
本発明のある特定の実施形態において、80ヌクレオチド長未満、例えば、12~18、または15~18から約50~80ヌクレオチド長、好ましくは、約30ヌクレオチド長以下、例えば、12~約30ヌクレオチド長、より好ましくは、約15~約20、または約15~約30ヌクレオチド長を有する合成ポリヌクレオチドを含む。一例において、ポリヌクレオチドは、30個のヌクレオチドを有する。いくつかの態様において、本発明の方法は、配列番号1~16から選択されるヌクレオチド配列を含むか、または配列番号17の約8~40個のヌクレオチドを含む、最大40ヌクレオチド長、例えば、15~40ヌクレオチド長のコネキシン43アンチセンス化合物の使用を取り上げる。
【0478】
あるいは、アンチセンスポリヌクレオチドは、2つ以上のコネキシンタンパク質にポリヌクレオチドを含んでもよい組成物の一部であり得る。好ましくは、ポリヌクレオチドが向けられるコネキシンタンパク質は、コネキシン43である。様々なコネキシンに向けられる好適な例となるポリヌクレオチド(及びODN)は、表1に記載される。
【0479】
本発明で使用するためのポリヌクレオチドは、好適に未修飾ホスホジエステルオリゴマーであり得るか、または修飾されていてもよい。そのようなオリゴデオキシヌクレオチドは、長さが異なり得る。30塩基長ポリヌクレオチドが、好適であることが見出されている
が、15~30個以下のヌクレオチドを有するポリヌクレオチドも好適である。
【0480】
本発明の多くの態様は、オリゴデオキシヌクレオチドを参照して記載される。しかしながら、(RNAポリヌクレオチド等の)他の好適なポリヌクレオチドが、これらの態様において使用され得ることが理解される。
【0481】
アンチセンスポリヌクレオチドは、化学修飾されてもよい。化学修飾は、ヌクレアーゼに対するアンチセンスポリヌクレオチドの耐性を強化することができ、細胞に入るアンチセンスポリヌクレオチドの能力を強化することができる。例えば、ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドが、使用され得る。他のデオキシヌクレオチド類似体には、メチルホスホネート、ホスホロアミデート、ホスホロジチオエート、N3’P5’-ホスホロアミデート、及びオリゴリボヌクレオチドホスホロチオエート、ならびにこれらの2’-O-アルキル類似体及び2’-O-メチルリボヌクレオチドメチルホスホネートが含まれる。あるいは、混合骨格オリゴヌクレオチド(「MBO」)が使用されてもよい。MBOは、ホスホチオエートオリゴデオキシヌクレオチのセグメント、及び修飾オリゴデオキシヌクレオチドまたはオリゴリボヌクレオチドの適切に置かれたセグメントを含む。MBOは、ホスホロチオエート結合のセグメント、及び非イオン性、かつヌクレアーゼまたは2’-O-アルキルオリゴリボヌクレオチドに高い耐性を示すメチルホスホネート等の他の修飾オリゴヌクレオチドの他のセグメントを有する。修飾骨格及び混合骨格オリゴヌクレオチドを調製する方法は、当分野で既知である。
【0482】
少なくとも1個の未修飾ヌクレオチドを含むコネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、本発明に取り上げられる。一態様において、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含んでもよく、かつ/または少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合、及び/もしくは少なくとも1つの修飾糖部分を有してもよい。修飾ヌクレオシド間結合は、例えば、ホスホロチオエート結合でもよい。いくつかの態様において、例えば、コネキシン43ポリヌクレオチドは、立体配座的に緊張させたヌクレオチド、例えば、ロックド核酸(LNA)または架橋核酸(BNA)を含む少なくとも1個のヌクレオチドを含んでもよい。ロックトヌクレオチドは、例えば、次の種類:2′-O-CH2-4′(オキシ-LNA)、2′-CH2-CH2-4′(メチレン-LNA)、2′-NH-CH2-4′(アミノ-LNA)、2′-N(CH3)-CH2-4′(メチルアミノ-LNA)、2′-S-CH2-4′(チオ-LNA)、及び2′-Se-CH2-4′(セレノ-LNA)のうちの1つから選択されてもよい。いくつかの態様において、修飾ヌクレオチドは、ロックド核酸またはアンロックド核酸でもよい。
【0483】
本発明のいくつかの態様において、コネキシン43アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、配列番号1~64から選択される配列を有するポリヌクレオチドに対して、少なくとも約80%、85%、90%、95%、97%、98%、または99%の相同性を有する。
【0484】
他のコネキシン43調節剤
コネキシン調節剤、例えば、コネキシン43または45調節剤を含むペプチド、ペプチド模倣薬、抗体、抗体断片等は、ギャップ結合及びヘミチャネルの好適な調節剤でもある。例となるギャップ結合調節剤には、これらに限定されない、ポリペプチド(例えば、抗体、その結合断片、及び合成構築物)、ならびに他のギャップ結合阻害剤、ならびにギャップ結合タンパク質リン酸化剤を含む。いくつかの態様においてコネキシン調節剤は、Cx26、Cx30、Cx31.1、Cx36、Cx37、Cx40、Cx43、Cx50、Cx57、または眼もしくは血管中の任意の他のコネキシンの調節剤である。
【0485】
コネキシン調節剤、例えば、コネキシン43または45調節剤には、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、およびFv断片を含む);一本鎖抗体;一本鎖Fvs;及び一本鎖結合分子、例えば、結合ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含むもの、特定の抗体または他の結合分子と接触する抗原決定基(すなわち、一般にエピトープと呼ばれる分子の一部)に結合することができる組換え抗体および抗体断片が含まれる。・・真希さんの最終的なものと確認抗体及び抗結合抗体断片等を含むこれらの結合タンパク質は、キメラまたはヒト化してもよく、さもなければ、それらが投与される対象において免疫原性が低くなるように作製してもよく、合成するか、組み換え的に産生させるか、発現ライブラリー中で産生させてもよい。当分野で既知であるかまたは後に発見されるいずれの結合分子、例えば、本明細書中で参照され、かつ/または当分野でより詳細に説明されている結合分子も想定している。例えば、結合タンパク質には、抗体等だけでなく、標的(例えば、パネキシンタンパク質)に結合するリガンド、受容体、ペプチド模倣薬、または他の結合断片もしくは分子(例えば、コネキシン、ヘミチャネル、または関連分子)が含まれる。
【0486】
結合分子は、一般に、結合特異性が含まれるがこれに限定されない所望の特異性、及び所望の親和性を有することになる。親和性は、例えば、約104M-1以上、約106M-1以上、約107M-1以上、約108M-1以上のKaであってもよい。さらに約108M-1を超える親和性が好適であり、これは例えば、約109M-1以上、約1010M-1、約1011M-1、及び約1012M-1である。本発明に従う結合タンパク質の親和性は、従来技法、例えば、Scatchard et al.,(1949)Ann. N.Y.Acad.Sci.51:660によって記載されるものを使用して容易に決定され得る。
【0487】
ギャップ結合を閉鎖するために使用される例となる化合物(例えば、リン酸化コネキシン43チロシン及び/またはセリン残基)は、米国特許第7,153,822号及び米国特許第7,250,397号に報告されている。例となるペプチド及びペプチド模倣薬は、Greenらの国際公開第2006134494号に報告されている。国際公開第2006069181号及び国際公開第2003032964号も参照されたい。ギャップ結合を閉鎖するために使用される他の作用剤の例には、抗コネキシン剤、例えば、抗コネキシンポリヌクレオチド(例えば、アルファ-lコネキシンオリゴデオキシヌクレオチド等のコネキシン阻害剤)、抗コネキシンペプチド(例えば、抗体及び抗体結合断片)、ならびにペプチド模倣薬(例えば、アルファ-l抗コネキシンペプチドまたはペプチド模倣薬)、ギャップ結合閉鎖または阻害化合物、ヘミチャネル閉鎖または遮断化合物、ならびにコネキシンカルボキシ末端ポリペプチド、例えば、ZO-1またはZO-1の結合部位に結合するポリペプチド、抗ZO-1ポリヌクレオチドが含まれる。
【0488】
疎水性プロットから得られたデータを使用することにより、コネキシンが4つの膜貫通領域及び2つの短い細胞外ループを含むことが唱えられている。コネキシンの第1及び第2の細胞外領域の配置は、スプリットギャップ結合上の対応するエピトープの免疫局在のために使用される抗ペプチド抗体の報告された産生をさらに特徴とした。Goodenough D.A. J Cell Biol 107:1817-1824(1988);Meyer R.A.,J Cell Biol 119:179-189(1992)。
【0489】
2つの隣接した細胞によって貢献されたヘミチャネルの細胞外ドメインは、互いと「ドッキング」して、完全なギャップ結合チャネルを形成する。これらの細胞外ドメインの相互作用を妨げる試薬は、細胞間通信を損なう。ギャップ結合及びヘミチャネルのペプチド阻害剤が報告されている。例えば、Berthoud,V.M.et al.,Am J.Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 279:L61
9-L622(2000)、Evans,W.H. and Boitano,S.Biochem. Soc. Trans. 29:606-612、及びDe Vriese A.S.,et al.Kidney Int. 61:177-185(2001)を参照されたい。コネキシンの細胞外ループ内の配列に対応する短鎖ペプチドは、細胞間通信を抑制すると言われている。Boitano S.and Evans W.Am
J Physiol Lung Cell Mol Physiol 279:L623-L630(2000)。一対のアフリカツメガエル卵細胞内に発現したコネキシン(Cx)32によって産生された細胞間チャネル形成の阻害剤としてのペプチドの使用も、報告されている。Dahl G,et al.,Biophys J 67:1816-1822(1994)。Berthoud,V.M.及びSeul,K.H.は、これらの結果の一部を要約した。Am J.,Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 279:L619-L622(2000)。
【0490】
抗コネキシン剤には、コネキシン43(配列番号19)等のコネキシンタンパク質の約5~20個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、コネキシン43の約8~15個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチド、またはコネキシン43の約11~13個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドが含まれる。他の抗コネキシン剤には、コネキシン43の少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、または少なくとも約30個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドが含まれる。他の抗コネキシン43調節剤には、コネキシン43の細胞外ドメイン、例えば、SRPTEKTまたはVDCFLSRPTEKTを含むペプチドまたはペプチド摸倣薬が含まれる。他の抗コネキシン43調節剤は、コネキシン43のC末端領域を含み、国際公開第2006/069181号、またはその修正版を参照されたい。
【0491】
一態様において本発明は、前記対象の眼に治療的に有効な量の少なくとも1つのコネキシンまたはパネキシン調節剤を投与することにより、神経障害性の眼の障害を治療するための薬学的組成物、製造品、及び方法に関する。いくつかの態様において、神経障害性の眼の障害は、例えば、網膜神経節細胞の喪失及び/または緑内障性視神経障害であり得る。いくつかの態様において、網膜神経節細胞の喪失を停止、予防、または治療するのに有効である治療的に有効な量の少なくとも1つのコネキシン調節剤の投与は、緑内障性視神経内の神経栄養因子を上昇させ、かつ硝子体のグルタミン酸濃度を低減させるのにさらに有用である。
【0492】
ある特定の別の態様において、ギャップ結合修飾剤には、例えば、式Iまたは式IIの化合物が含まれる。ある特定の別の態様において、ギャップ結合修飾剤には、例えば、脂肪族アルコール;オクタノール;ヘプタノール;麻酔薬(例えば、ハロタン)、エトレン、フローセン、プロポフォール、及びチオペンタール;アナンダミド;アリールアミノベンゾエート(FFA:フルフェナム酸及び親油性である類似の誘導体);カルベノキソロン;カルコン:(2’,5’-ジヒドロキシカルコン);CHF(クロロヒドロキシフラノン);CMCF(3-クロロ-4-(クロロメチル)-5-ヒドロキシ-2(5H)-フラノン);デキサメタゾン;ドキソルビシン(及び他のアントラキノン誘導体);エイコサノイドトロンボキサンA(2)(TXA(2))摸倣物;NO(一酸化窒素);脂肪酸(例えば、アラキドン酸、オレイン酸及びリポキシゲナーゼ代謝物;フェナム酸(フルフェナム酸(FFA)、ニフルミン酸(NFA)、及びメクロフェナム酸(MFA));ゲニステイン;グリチルレチン酸(GA):18a-グリチルレチン酸及び18-ベータ-グリチルレチン酸、ならびにこれらの誘導体;リンデン;リゾホスファチジン酸;メフロキン;メナジオン;2-メチル-1,4-ナフトキノン、ビタミンK(3);ナフェノピン;オカダ酸;オレアミド;オレイン酸;PH、細胞内酸性化によりゲーティング;例え
ば、酸性化剤;多価不飽和脂肪酸;脂肪酸GJIC阻害剤(例えば、オレイン酸及びアラキドン酸);キニジン;キニン;全トランス型レチノイン酸;ならびにタモキシフェンが含まれ得る。
【0493】
ポリヌクレオチド相同体
相同性及び相同体が本明細書で考察される(例えば、ポリヌクレオチドは、パネキシンmRNAにおける配列に対する補体の相同体であってもよい)。そのようなポリヌクレオチドは、典型的には、例えば、(相同配列の)少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、または少なくとも約100のより連続したヌクレオチドの領域にわたって、関連配列と少なくとも約70%の相同性、好ましくは、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約97%、または少なくとも約99%の相同性を有する。
【0494】
相同性または配列同一性は、当分野の任意の方法に基づいて計算し得る。例えば、UWGCGパッケージは、相同性を計算するために使用することができるBESTFITプログラムを提供する(Devereux,et al.(1984)Nucleic Acids Research 12,p387-395)。また、例えば、Altschul,S. F.(1993),J Mol Evol 36:290-300、Altschul,et al(1990),J Mol Biol 215:403-10に記載のように、PILEUP及びBLASTアルゴリズムを使用して、配列同一性を計算するか、または配列を整列させることができる。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から一般に利用可能である。BLASTアルゴリズムは、2配列間の類似性の統計分析を行う。例えば、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873-5787を参照されたい。相同配列は、典型的には、少なくとも約(またはそれ以下で)2、5、10、15、20、またはそれ以上のヌクレオチド差異(置換、欠失、または挿入であり得る)で関連配列と異なる。これらの差異を、配列同一性または相同性の計算に関して上述した領域のうちのいずれかにわたって測定することができる。
【0495】
相同配列は、典型的には、バックグラウンドを有意に超えるレベルで元の配列と選択的にハイブリッド形成する。選択的ハイブリッド形成は、典型的には、中~高ストリンジェンシー条件(例えば、約50℃~約60℃で0.03M塩化ナトリウム及び0.03Mクエン酸ナトリウム)を使用して達成する。しかしながら、そのようなハイブリッド形成は、当分野で既知の任意の好適な条件下で行ってもよい(Sambrook,et al.(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manualを参照されたい)。例えば、高ストリンジェンシーが必要な場合、好適な条件としては、60℃での0.2×SSCが挙げられる。より低いストリンジェンシーが必要な場合、好適な条件としては、60℃での2×SSCが挙げられる。
【0496】
ペプチド及びポリペプチド抗パネキシン剤
ペプチド、ペプチド模倣薬、抗体、抗原結合抗体断片等を含む、パネキシン結合タンパク質も、接着結合の好適な調節剤である。
【0497】
結合タンパク質には、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、及びFv断片を含む);一本鎖抗体;一本鎖Fv;及び一本鎖結合分子、例えば、結合ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含むもの、ならびに特定の抗体または他の結合分子と接触する抗原決定基(すなわち、一般にエピトープと呼ばれる分子の一部)に結合することができる組み換え抗体及び抗体
断片が含まれる。抗体及び抗結合抗体断片等を含むこれらの結合タンパク質は、キメラまたはヒト化してもよく、さもなければ、それらが投与される対象において免疫原性が低くなるように作製してもよく、合成するか、組み換え的に産生させるか、発現ライブラリー中で産生させてもよい。当分野で既知であるかまたは後に発見されるいずれの結合分子、例えば、本明細書中で参照され、かつ/または当分野でより詳細に説明されている結合分子も想定している。例えば、結合タンパク質には、抗体等だけでなく、標的(例えば、パネキシンタンパク質)に結合するリガンド、受容体、ペプチド模倣薬、または他の結合断片若しくは分子(例えば、ファージディスプレイによって産生される)が含まれる。
【0498】
結合分子は、一般に、結合特異性が含まれるがこれに限定されない所望の特異性、及び所望の親和性を有することになる。親和性は、例えば、約104M-1以上、約106M-1以上、約107M-1以上、約108M-1以上のKaであってもよい。さらに約108M-1を超える親和性が好適であり、これは例えば、109M-1、約1010M-1、約1011M-1、及び約1012M-1である。本発明に従う結合タンパク質の親和性は、従来技法、例えば、Scatchard,et al.,1949 Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660によって記載されるものを使用して容易に決定され得る。
【0499】
抗パネキシン剤には、パネキシンタンパク質由来のパネキシンドメインモチーフ(例えば、パネキシン1、パネキシン2、パネキシン3等)に対応するアミノ酸配列を含むペプチドが含まれる。他の実施形態は、パネキシン遺伝子、例えば、以下の実施例1に示すパネキシン1遺伝子をコードする、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、少なくとも約12、少なくとも約13、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、または少なくとも約30個の連続アミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドである抗コネキシン剤を対象とする。本明細書で提供されるある特定の抗コネキシン剤においては、パネキシン1の細胞外ドメインを使用して、特定のペプチド配列を発生させてもよい。ペプチドは、天然型パネキシンのこれらの部分と同一のアミノ酸配列を有する必要はなく、ペプチドが結合活性または機能活性を保持するように保存的にアミノ酸を変化させてもよい。あるいは、ペプチドは、細胞外ドメインの他の領域を標的にしてもよい。
【0500】
抗パネキシンペプチドは、ペプチドが機能的に活性な抗パネキシン剤であるような保存的アミノ酸置換を持つパネキシン細胞外ドメインの一部分に対応する配列を含み得る。例となる保存的アミノ酸置換には、例えば、非極性アミノ酸の別の非極性アミノ酸による置換、芳香族アミノ酸の別の芳香族アミノ酸による置換、脂肪族アミノ酸の別の脂肪族アミノ酸による置換、極性アミノ酸の別の極性アミノ酸による置換、酸性アミノ酸の別の酸性アミノ酸による置換、塩基性アミノ酸の別の塩基性アミノ酸による置換、イオン性アミノ酸の別のイオン性アミノ酸による置換が含まれる。
【0501】
製造及び安定性
本発明のポリヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド合成のための固相化学を使用して製造することができる。一態様において、本発明の製剤は、本発明のポリヌクレオチドのナトリウム塩等の本発明のポリヌクレオチドの塩を含むことになる。一実施形態において、本製剤は、例えば、配列番号1~16のうちのいずれか1つまたは配列番号17の一部分を有するポリヌクレオチドのナトリウム塩を含んでもよい。いくつかの実施形態において、配列番号1~16のいずれか1つを有するポリヌクレオチドは、配列番号1~16のいずれか1つまたは配列番号17の一部分を有する修飾オリゴデオキシヌクレオチドであってもよい。
【0502】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤は、実質的に純粋である。実質的に純粋とは、製剤が、いずれのヌクレオチドまたは非ヌクレオチド不純物も、約10%、5%、または1%未満、好ましくは約0.1%未満で含むことを意味する。いくつかの実施形態において、コネキシン43調節剤の代謝物を含む総不純物は、15%以下となる。いくつかの実施形態において、コネキシン43調節剤の代謝物を含む総不純物は、12%以下となる。いくつかの実施形態において、コネキシン43調節剤の代謝物を含む総不純物は、11%以下となる。他の実施形態において、コネキシン43調節剤の代謝物を含む総不純物は、10%以下となる。
【0503】
いくつかの実施形態において、本発明の製剤の純度は、アニオン交換HPLC(AEX-HPLC)または質量分析から選択される方法を使用して測定され得る。質量分析としては、LC/MSまたはLC/MS/MSを挙げることができる。このアッセイは、いくつかの実施形態において、AEX-HPLCとLC/MSとの両方を含んでもよい。
【0504】
滅菌組成物は、抗コネキシン調節剤を製剤ビヒクル中に溶解させることによる無菌処理を使用して調製した本発明のコネキシン43調節剤を含む。一実施形態において、本製剤はまた、濾過によって滅菌してもよい。本発明の製剤の製造に使用される賦形剤は、医薬製品において広く使用され、薬局方に収載されている基準に公開されている。
【実施例】
【0505】
様々な小有機分子が、ギャップ結合またはヘミチャネル電流の抑制において活性を有することが報告されている。これらには、トリアリールメタン(TRAM)、キニン、メフロキン、フェナム酸、2-アミノフェノキシボレート及び誘導体、グリチルレチン酸及び誘導体、ハロタン及びエタン等の揮発性麻酔薬、長鎖アルコール(例えば、ヘプタノール及びオクタノール)等の親油性化合物、オレアミドを含む脂肪酸アミド、シクロデキストリン、シスプラチン、ポリアミン、及びテトラアリルアンモニウム(tetraalylammonium)イオンが含まれる。ますます多くの研究もまた、E1(Gap26ペプチド)の保存QPG及びSHVRモチーフ、ならびにE2(Gap27ペプチド)中のSRPTEKモチーフを伴う細胞外ループE1及びE2内と、細胞質ループ(Gap19ペプチド)内と、の特定の配列に対応するペプチドを使用した、ギャップ結合チャネル及びヘミチャネルの抑制を報告している。最も効き目があるそのようなペプチド摸倣薬は、ペプチド5(VDCFLSRPTEKT)である。
【0506】
ペプチド5は、用量依存的様式で動作することができる確立されたギャップ結合チャネル遮断薬であり、より少ない用量は、ギャップ結合ヘミチャネル開口を遮断し、より高い用量は、細胞間のギャップ結合をアンカップリングする。例えば、O’Carroll et al,2008を参照されたい。ペプチド5の持続的低用量適用で、(通常の代謝回転の間の既存のギャップ結合の徐々の解除と並行して)ヘミチャネルドッキングへのペプチド干渉と考えられるギャップ結合カップリングの徐々の喪失が存在する。ペプチド5は、特に、ギャップ結合をアンカップリングせずに、ヘミチャネルを遮断する用量で使用されるとき、いくつかの試験管内、生体外、及び生体内(動物)研究で、有効であることが証明されている(例えば、Davidson et al,2012、Danesh-Meyer et al,2012、O’Carroll et al,2013を参照されたい)。O’Carroll et al,2008における結果は、低濃度または高濃度のペプチド5が、ヘミチャネルを遮断するが、高濃度でギャップ結合を直接アンカップリングすることを示す。ペプチド5データは、トナベルサットとの比較のためにここに示される。
【0507】
実施例1:hCMVEC及びARPE-19細胞研究のための方法及び材料
ヒト脳微小血管内皮細胞(hCMVEC)を使用する以下の実施例2、4、5、8、及
び10では、細胞を、10%のFCS、1μg/mLのヒドロコルチゾン、3ng/mLのhFGF、1ng/mLのhEGF、10μg/mLのヘパリン、1倍のペニシリンストレプトマイシンネオマイシン(Life Technologies)、及びcAMP(100mLの培地に対して100μLの100%cAMP)を補充したMedium M199中に維持した、コラーゲンで被覆した(30μg/mL)T25またはT75フラスコ中で成長させることによって調製した。細胞を、95%のO2 及び5%のCO2を用いて37℃に維持した。
【0508】
ヒト網膜上皮(ARPE-19)細胞を使用する以下の実施例3、6、及び7では、細胞を、10%のウシ胎仔血清(FCS)、100単位/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン、及び0.25μg/mLのFungizone(登録商標)抗真菌薬(Invitrogen)を補充したDMEM/F:12(Invitrogen)中で成長させた。
【0509】
これらの研究中で使用した化学物質については、トナベルサット(Medchemexpress,USA)を100mMの原液濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)中に溶解させた。塩化アンモニウム(NH4Cl、Sigma)を100mMの原液濃度でdH20中に溶解させた。コネキシン43模倣ペプチド(ペプチド5、配列VDCFLSRPTEKT(配列番号168))(Auspep,Australia)及びペプチド8(CDEQSAFRCNTQQ(配列番号330))を95%超の純度で合成し、10mMの濃度でdH20中に溶解させた。プロベネシド(C13H19NO4S、Sigma)を50mg/mLの濃度で1MのNaOHにおいて可溶化した。
【0510】
すべての動物モデルの手順は、ARVO Statement of Use of Animals in Ophthalmic and Vision Researchを順守して実施し、Animal Ethics Committee of the University of Aucklandによって認可されていた。体重240~260gの雄の成体ウィスターラットを17匹 Vernon Jenson Unit
of the University of Aucklandから入手し、12時間の明暗サイクルで飼育し、飼料及び水を不断給餌した。
【0511】
実施例2:スクレープ負荷アッセイ この実施例では、ヒト脳微小血管内皮細胞(hC
MVEC)を、5%のCO2を用いた37℃での加湿雰囲気において、10%のFBS、1μg/mLのヒドロコルチゾン、3ng/mLのhFGF、1ng/mLのhEGF、10μg/mLのヘパリン、及びcAMP(100mLの培地に対して100μLの100%cAMP)を補充したMedium M199中に維持した、コラーゲンで被覆した(1μg/mL)T25フラスコ中で成長させた。実験の1日前に、これらの細胞をトリプシン処理し、同じ培地中のコラーゲンで被覆した12ウェルプレートに4×105細胞/ウェルの密度で蒔いた。治療のために、細胞を、スクレープ染料負荷の前にそれぞれの時間間隔で、ペプチド5、対照ギャップ結合チャネル遮断薬(カルベノキソロン)、またはトナベルサットの存在下で培養した。遮断薬も、それぞれのスクレープ負荷溶液中に存在した。
【0512】
スクレープ負荷のために、hCMVEC細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(二価カチオンなし)で3回洗浄した。PBSに0.05%のルシファーイエローを加えた溶液を細胞に添加した。次に、細胞に、サイズ10の炭素鋼製外科用ブレードを使用して単層へのスクレープを施し、5分間5%のCO2を用いて37℃で暗所において培養した。細胞をPBSで4回洗浄した後、蛍光顕微鏡法のために1mLのPBSを添加した。
【0513】
次に、生細胞を、5%のCO2を用いて37℃に加熱したチャンバ中に維持しながら、N
ikon TE2000E蛍光顕微鏡で撮像した。全細胞及び蛍光画像を見るために3つの画像対を相差画像の各々について10倍の倍率で得て、488nmの励起及びGFPフィルタブロックを使用してルシファーイエローを視覚化した。ギャップ結合通信をルシファーイエロー陽性細胞の数を計数することによって決定し、対照群の陽性細胞に対する比率として提示した。データを、Prism v5.02ソフトウェアを使用して平均+平均の標準誤差としてグラフ化した。有意性を、スチューデントの両側、対応のないt検定によって決定した。*=p<0.05、**=p<0.001、***=p<0.001。
【0514】
図1の結果(ペプチド5を例として使用)は、スクレープに隣接した細胞によって取り込まれた染料が近隣の細胞に広がることを示す。スクレープの直前に添加した100μMの濃度のペプチド5は、ギャップ結合をとおした染料の細胞間移動にそれほど影響を与えない。より高い500μMの濃度のペプチド5は、染料移動の際立った低減をもたらした。より長い2時間の培養では、染料移動は、両方の濃度のペプチド5で低減した。このことは、ペプチド5がより高い濃度で即時にギャップ結合を阻止できること、及び持続的治療によって低用量の適用がギャップ結合カップリングの低減をもたらすこと(後者はヘミチャネルドッキングへのペプチド干渉(通常の代謝回転の間の既存のギャップ結合の徐々の解除と並行した)と考えられる)を所与として、ペプチド5を用量依存的様式で使用できることを示す。
図3の右側のグラフは、ペプチド5遮断の有効性(高用量)を非特異的ギャップ結合チャネル遮断薬カルベノキソロンと比較する。
【0515】
図3は、50μMの濃度のトナベルサットについての同等のスクレープ負荷染料移動を示す。即時に添加したトナベルサットは、1分以内に統計学的に有意なギャップ結合アンカップリング効果を有するが、時間依存性の様式での増加を遮断し、これは、トナベルサットもペプチド5と同様の様式で作用していることを示す。いずれの特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、発明者らは、ヘミチャネルドッキングへのペプチド干渉、または通常の代謝回転の間の既存のギャップ結合の徐々の解除と並行したヘミチャネルの内部移行、ギャップ結合の内部移行の誘引の結果であり得ると考える(
図4を参照されたい)。
【0516】
実施例3:ペプチド5及びトナベルサットで治療したARPE-19網膜上皮細胞の免疫組織化学 細胞を、8ウェルの滅菌ガラス顕微鏡チャンバスライド(Falcon、C
orning Life Sciences)にウェルあたり0.05×106で播種し、単層を、約90~100%のコンフルエンスにあるコネキシン発現について標識した。以下のステップは室温で実施した。細胞を、10分間、0.1mMのCaCl2を含むPBS中の4%のパラホルムアルデヒド(P6148、Sigma-Aldrich)中で固定し、0.1mMのCaCl2を含むPBS中で3回洗浄した。0.1mMのCaCl2を伴うPBS中の10%の正常なヤギ血清における1時間の遮断の後、細胞を、0.1mMのCaCl2含むPBS中で希釈した一次抗体溶液(ウサギ抗Cx43、Sigma
C6219)中で一晩インキュベートした。その後、チャンバスライドを、10分間、0.1mMのCaCl2を含有するPBSで3回洗浄し、さらに45分間、ヤギ抗ウサギAlexa 568と複合させた二次抗体(Invitrogen #A11036)中でインキュベートした。細胞を5分間DAPIで対比染色し、0.1mMのCaCl2を含有するPBSで3回洗浄した。チャンバウェルを除去し、細胞を退色防止媒体(Citiflour AF-1)に載せた。指定の一次抗体及び二次抗体の希釈率を製造業者の推奨に従って使用した。
【0517】
図4は、ギャップ結合タンパク質コネキシン43のDAPI(核染色)及び標識化(左のパネル)及び対応するコネキシン43のみの標識化(右手のパネル)を示す。未処理細胞では、ギャップ結合標識化は、細胞間接触面にて最上であった(上部パネル)。ペプチド
5(500μM)で1時間処理した細胞を示す下部パネルでは、依然として細胞間接触面が明白であるが、ギャップ結合の大半が内部移行しており、標識は細胞質性である。これは、ペプチドがギャップ結合をアンカップリングすると、それが内部移行及び結合分解を誘引することを示す。
図3は、非治療細胞及びトナベルサットで治療した細胞(50μM、6時間)による同等の実験を示す。経時的なトナベルサット治療は、細胞間接触面での全ギャップ結合喪失をもたらす。
【0518】
実施例2におけるスクレープ負荷実験がギャップ結合の機能喪失を示したため、この実施例3は、これがどのように発生し得るのか、すなわち、細胞間のギャップ結合の喪失によって発生し得ることを説明する。
【0519】
実施例4:ギャップ結合ヘミチャネルの電気生理学 全細胞電圧固定研究を、コネキシ
ン欠乏HeLa細胞、コネキシン43遺伝子導入HeLa細胞、及び単離したヒト脳微小血管内皮細胞(hCMVEC)に対して実施した。
【0520】
HeLa細胞を、各実験の16~24時間前に、18mmのラットコラーゲンI被覆カバースリップ上に0.045×106細胞/mLで播種した。Cx43IRESeGFP HeLa細胞を、95%のO2及び5%のCO2で37℃にて、10%のFCS及び1μg/mLのPuromycinを補充したDMEM中で一晩培養した。対照Cx欠乏細胞を10%のFCSを補充したDMEM中に維持した。カバースリップをチャンバに移し、このチャンバには、140のNaCl、5.4のKCl、1のMgCl2、10mMのHepes(mM単位)を含有し、pHを7.4に調整した室温の修飾クレブス-リンゲル溶液を継続的に潅流した。内部ピペット溶液は、pH7.2で、130のKCl、10のアスパラギン酸ナトリウム、0.26のCaCl2、2のEGTA、5のテトラエチルアンモニウム-Cl、1のMgCl、3のMgATP、及び5のHepesを含有し、これを氷上に保った。溶液は、Contreras JE,et al.,Cell Communication and Adhesion(2003),10:245-249で説明されている。全細胞遠心分離における単流を解決するために、電気容量が低い(<10pF)細胞、及びシール抵抗が(>5GOhm)である高抵抗ピペット(6~10mOhm)を、記録及分析用に選択した。
【0521】
HCMVEC細胞を、温度37℃、pH7.385の、144のNaCl、3.3のKCl、1.8のCaCl2、1.8のMgCl2、10mMのグルコース(mM単位)を含有する、細胞外人工脳脊髄溶液中に配置した。細胞内ピペット溶液は、pH7.2で、130のKCl、10のアスパラギン酸ナトリウム、0.26のCaCl2、2のEGTA、5のテトラエチルアンモニウム-Cl、1のMgCl2、3のMgATP、5のHepes(mM単位)を含有し、これを氷上に保ってMgATPの分解を防止した。ピペット抵抗は3.4MΩであり、シール抵抗は1.3GΩであった。細胞に継続的に潅流しながら、電圧プロトコル及び潅流プロトコルを同時に実施した。トナベルサット灌流前、最中、及び洗い出し後に、分析のために記録を取った。チャネル遮断研究のため、50μMのトナベルサットを記録の前に3分間洗浄し、続いて洗い出し記録を取る前に3分間洗浄した。
【0522】
図5は、コネキシン43遺伝子導入HeLa細胞(上部出力記録)及びコネキシン欠損HeLa細胞(下部出力記録)における記録を示す。電圧ステップが上げられるに従い、チャネル活性の増加が遺伝子導入細胞内で認められ、これはコネキシン欠損細胞内には存在しない。したがって、遺伝子導入細胞内のチャネル活性は、コネキシン43ヘミチャネル開口の結果である。
図6は、非特異的チャネル遮断薬カルベノキソロン及び
LaCl3で、ならびにペプチド5(100μM)で処理されたコネキシン43遺伝子導入HeLa細胞からの出力記録を示す。非特異的チャネル遮断薬は、実質上完全なヘミチ
ャネル遮断を示し、チャネル活性がほとんど残らない。ペプチド5も、かなりのヘミチャネル遮断を示す。
【0523】
図7は、トナベルサット(50μM)の添加前、トナベルサットでの培養の間、及び洗い出しの3分後のHCMVEC細胞における同等の実験を示す。トナベルサットはヘミチャネル活性をほぼ完全に消失させ、いくらかの活性が洗い出しの後に戻る。これらの結果は、トナベルサットが非常に有効なヘミチャネル遮断薬であること、使用した濃度でペプチド5の有効性を超越し得ること、及び活性ヘミチャネルが回復可能であることを示す。
【0524】
考察 発明者らは、驚くべきことに、確立されているコネキシン43チャネル遮断薬ペ
プチド5とトナベルサットとが、同様の作用様式を呈すると決定した。高濃度の場合、ペプチド5は、コネキシン43ヘミチャネルを遮断することができ、かつコネキシン43のギャップ結合をアンカップリングすることができる。より低い投与量では、ペプチド5は、コネキシン43ヘミチャネルを遮断するが、ギャップ結合カップリングにはすぐに影響しない。ペプチド5の持続的低用量適用で、(通常の代謝回転の間の既存のギャップ結合の徐々の解除と並行して)細胞間接触面にてギャップ結合の徐々の喪失が存在し、これは、ペプチドがヘミチャネルドッキングを妨げていることを示す。本明細書の結果は、トナベルサットが、主にヘミチャネル遮断薬であり、ギャップ結合チャネルを遮断することもでき、ペプチド5と同様に、ことによると代謝回転中にヘミチャネルドッキングに代わりのギャップ結合チャネルを形成させないことによって、または原形質膜からの内部移行を引き起こすことによって、ギャップ結合カップリングを減少させるために使用できることを示す。これらの実験において、トナベルサットは、1分以内にコネキシンヘミチャネルを遮断し、また1分以内に細胞間カップリングを減少させることが示された。
【0525】
トナベルサットは、特異的受容体及びp38経路をとおして中枢神経系におけるコネキシン26発現を低減させることができる。発明者らは、驚くべきことに、トナベルサットが、内皮細胞を含むいくつかの細胞型(hCMVEC、HeLa、ARPE)においてヘミチャネルを遮断するために使用できることを発見した。したがって、発明者らは、驚くべきことに、トナベルサットが中枢神経系に特異的ではないことを発見した。これらの結果はまた、トナベルサットが、コネンキシン43ヘミチャネルの遮断においてかなりの有効性を有すること、及びコネキシン43のギャップ結合をアンカップリングするために使用できることを示す。したがって、トナベルサットは、コネキシンアイソフォームにも特異的ではない。
【0526】
結果は、トナベルサットが、主にコネキシンヘミチャネル遮断薬であるが、より高い用量で使用することでギャップ結合をアンカップリングすることができるという発明者らの観察を支持する。そのヘミチャネル遮断有効性及び作用速度、ならびに3分以内に洗い出されてチャネル活性を修復し得るという事実は、それが、mRNAまたはタンパク質発現に影響するより遅い経路とは対照的に、ヘミチャネルに直接的に影響することを示唆する。
【0527】
実施例5:コネキシン43ヘミチャネル及びパネキシンチャネルはインビトロでの虚血傷害-再潅流中にATPを放出する インビトロでの虚血傷害モデルを使用して、Cx4
3ヘミチャネル及びパネキシンチャネル媒介性ATP放出を、100μMの濃度のコネキシンヘミチャネル遮断性模倣ペプチド5(S.J.O’Carroll,et al.,Cell communication & adhesion 15,27(May,2008))及び1mMのプロベネシド(W.R.Silverman et al.,The Journal of biological chemistry 284,18143(Jul 3,2009))を使用して差別化した。
【0528】
インビトロでの虚血傷害-再潅流ATPアッセイ ヒト脳微小血管内皮細胞(hCMV
EC)をトリプシン処理し(TrypLE Express,Life technologies)、実験の1日前に、コラーゲンで被覆した12ウェルプレート(1μg/cm2)にウェルあたり0.025×106細胞の密度で蒔いた。細胞を一晩培地において培養した。低酸素虚血性脳における間質腔のイオン濃度及び酸塩基シフトを模倣する低酸素であり酸性のイオンシフトしたリンゲル傷害溶液(A.Bondarenko,et al.,Glia 34,143(Apr 15,2001))を使用して、ヘミチャネル開口を引き起こした。傷害溶液(mM単位):38のNaCl、13のNaHCO3、3のNa-グルコン酸塩、65のK-グルコン酸塩、38のNMDG-Cl、1のNaH2PO4、1.5のMgCl2を、N2ガス(純度99%超、20L/分)中で5分間バブリングし、5MのHClを使用して、pHを6.6に調整した。生理学的状態を模倣する対照溶液は(mM単位)、124のNaCl、3のKCl、26のNaHCO3、26のNaHCO3、1のNaH2PO4、1.3のCaCl2、1.5のMgCl2、及び10のグルコースを含有し、5MのHClを使用してpH7.4に調整した(Bondarenko,2001)。傷害モデルにおいて、hCMVEC細胞を、500μLの対照溶液、または傷害溶液、またはトナベルサット(0.1~50μM)+/-プロベネシド(1mM)を溶解させた傷害溶液中で、95%のO2及び5%のCO2において37℃で2時間培養した。2時間の傷害の後、溶液を即時に氷上に配置した。傷害及び再潅流モデルにおいて、hCMVEC細胞を、500μLの正常溶液または傷害溶液中で95%のO2及び5%のCO2において37℃で2時間培養した。2時間の傷害の後、この溶液を廃棄し、500μLの正常溶液、または正常溶液中に溶解させたトナベルサット(10μM)で置き換え、95%のO2及び5%のCO2において37℃で2時間培養した。その後、これらの溶液も即時に氷上に配置した。ペプチド5(100μM)+/-プロベネシド(1mM)を傷害モデル及び傷害-再潅流モデルの両方についての対照として使用した。試料中のATP濃度を、ルシフェリン/ルシフェラーゼ生物発光反応(ATP Determination Kit、Molecular Probes)を使用して決定し、発光プレートリーダ(VICTOR X、Perkin Elmer #2030-0010)を使用して検出した。標準曲線をATP標準(500nM)から各実験において生成し、試験試料中のATPの濃度を定量化した。データを、傷害または傷害-再潅流対照と比べた平均±標準誤差として表す。試料間の統計学的に有意な差異を、一元配置分散分析及び テューキーの多重比較試験を使用して特定した。
【0529】
図8は、インビトロの損傷モデルにおける2時間後のヒト脳微小血管内皮細胞(hCMVEC)のサブコンフルエント培養物から放出された総ATPを要約する。傷害群(100±2.2%)と比較したとき、無損傷対照群から放出されたATPは、基礎レベルが35±2.6%であり、これは、損傷の前の正常な細胞活性及び/または死細胞を反映し得る。細胞外ATPにおける有意な差異が、無損傷対照群と損傷対照群との間で観察された(p<0.0001)(
図10A)。損傷(100±2.2%)と比較して、ペプチド5は、ATPを73.9±2.1%まで顕著に低下させ(p<0.0001)、プロベネシドもATPを83.1±4.5%まで顕著に減少させた(p<0.001)(
図10A)。興味深いことに、ペプチド5とプロベネシドとの併用治療により、ATPは、Cx43ヘミチャネルとパネキシンチャネルとの両方を遮断する非特異的遮断薬であるカルベノキソロン(CBX)100μMに相当するレベルまで減少し、これら2つの群の間で有意な差異は観察されなかった(p=0.28)。これらの実験からのデータは、コネキシンヘミチャネルとパネキシンチャネルとの両方が虚血条件下で開放することを示す。
【0530】
トナベルサットによるCx43ヘミチャネルの抑制は濃度依存性であるが、これは、インビトロの損傷中にパネキシンチャネル活性が不在である場合のみである。 以下の実験を行って、損傷したhCMVEC細胞からのCx43 HC媒介性ATP放出が、トナベルサットの濃度の増加につれて減少することを実証した。
図8Aにおける損傷モデルを利用
して、トナベルサットがCx43 HC媒介性ATP放出に与える影響を、Panxチャネルを抑制するためにプロベネシドを使用して特定した。損傷(100±1.2%)と比較すると、ATP放出は、1mMのプロベネシドと組み合わせた、0.1μM(85.9±2.4%)、1μM(75.9±2.3%)、10μM(58.5±1.9%)、及び100μM(70.5±3.9%)のトナベルサット濃度で顕著に低減した(
図10B)。トナベルサットの濃度を増加させることで(0.1μMから10μM)、Cx43 HC媒介性ATP放出が顕著に低減した(
図8B)。最大の抑制は10μMのトナベルサットで達成され、これは、100μMの最高濃度よりも12.1±3.2%で顕著に優れていた(p=0.005)(
図8B)。しかしながら、CBXと1mMのプロベネシド中の10μMのトナベルサットとの間には14.9±4%の有意な差異が依然として存在した(p=0.0059)(
図10B)。トナベルサット(0.1μMから100μM)により、Cx43 HC媒介性ATP放出は、プロベネシドと組み合わせた場合に、損傷と比較して顕著に低減したが、トナベルサットは、1mMのプロベネシドの非存在下では、hCMVEC細胞からのATP放出を低減させなかった(p>0.09)(
図8C)。
【0531】
コネキシン43ヘミチャネルはインビトロの再潅流中にATPを放出するが、パネキシンチャネルはしない。 虚血後の再潅流期間中のCx43ヘミチャネル及びパネキシンチ
ャネルの役割(HAIR溶液中で2時間後に正常媒体に戻る)を、さらに特性評価した。無損傷-再潅流(無IR)及び傷害-再潅流対照(IR)間のATP放出における顕著な差異(p=0.0006)が観察された(
図1)。ペプチド5がATP放出を70.3±4.4%まで顕著に低下させる(p=0.0196)一方、プロベネシドは、再潅流傷害と比較して、ATPを顕著には低減しなかった(99.3±4.4%、p>0.99)(
図9)。ペプチド5とプロベネシドとの併用治療も、再潅流傷害と比較してATPを顕著に低減した(71.1±7.4%、p=0.025)が、これは、単独のペプチド5治療と同程度であった(
図11)。傷害のみ(
図10B)とは対照的に、CBXは、ペプチド5のみ(p=0.0127)と比較して、ATP放出をさらに33.8±33.5%まで顕著に低下させた(
図9)。
【0532】
低濃度のトナベルサットは、インビトロの再潅流中のCx43ヘミチャネル媒介性ATP放出を抑制する。 虚血再潅流アッセイは、プロベネシドが再潅流中のhCMVEC細
胞からのATPの放出に顕著な影響を与えなかったことを示した(
図9)。単独の10μMの低用量のトナベルサットは、インビトロでhCMVEC細胞から放出されるATPを抑制するのに十分となり、抑制のレベルは、ペプチド5と同等となる。10μMのトナベルサットの存在下でのATPの顕著な減少が観察され(68.9±6.9%、p=0.02)、これは、インビトロの再潅流傷害中の100μMのペプチド5と同等であった(
図9)。
【0533】
実施例6:高濃度のトナベルサットは、ARPE-19細胞においてCx43プラークの内部移行を引き起こす Cx43プラークの免疫細胞化学及び定量化 ARPE-19細
胞を、8ウェルガラスチャンバスライド(BD Falcon)においてコンフルエントまで成長さ
せた。ARPE-19細胞のコンフルエントな単層を、1時間または6時間、培地中で、5~500μMのトナベルサット及び/または10mMのNH4Clの最終濃度でインキュベートした(H.Qin,et al.,The Journal of biological chemistry 278,30005(Aug 8,2003))。細胞を室温で10分間pH7.4にて4%のPFA(ProSciTech)中に固定し、PBS中の0.05%のTriton-X100によって透過処理し、10%の正常なヤギ血清中でインキュベートして、非特異的標識化を遮断した。細胞を、固定化ステップ、透過処理ステップ、及び遮断ステップの各々の間に、0.1mMのCaCl2を含有するPBSで3回漱いだ。Cx43ポリクローナルウサギ抗体(C6219、Sigma、1
:2000)を24 時間、その後、ヤギ抗ウサギAlexa Fluor(登録商標)568二次抗体(Invitrogen、1:200)を45分間、適用した。核を、5分間10,000倍希釈のDAPI(Invitrogen)で対比染色し、Citifluor(商標)封入剤で封入した。画像を、Olympus FV1000正立共焦点レーザ走査型顕微鏡鏡及びソフトウェア上で63倍の油浸レンズを使用して視覚化及び捕捉した。MetaXpress(登録商標)Image捕捉及び分析ソフトウェア(Version 5.3.0.1、Molecular Devices)におけるTransfluor機能を使用して、画像あたりのCx43プラークの総面積を自動化及び定量化した。結果は平均±標準誤差を表し、統計的検定を、一元配置分散分析及びテューキーの多重比較検定を使用して実施した。
【0534】
上記の免疫細胞化学を使用して、Cx43の発現が豊富であると報告される天然ヒト細胞株、網膜色素性上皮細胞(ARPE-19)におけるCx43 GJプラークの分布及びサイズを視覚化した(C.M.Hutnik,et al.,Investigative ophthalmology & visual science 49,800(Feb,2008))。基礎条件下で規則的なタイル様のパターンで標識された、細胞間接触部の間のCx43プラークが観察された(
図13A)。Cx43標識化も特定の領域において可視であり、これはゴルジ装置においてCx43の細胞内プールを示した(J.Das Sarma et al.,Journal of cell science
114、4013(Nov,2001))。しかしながら、正常対照群と比較して、100μM(52.8±5.6%、p=0.0012)、200μM(63.2±5.6%、p=0.0286)、及び500μM(63.2±5.6%、p=0.0420)の濃度でのトナベルサットへの1時間の暴露の後に、Cx43プラークの顕著な低減が観察された(
図13B)。Cx43プラークの減少が細胞間接触部と細胞内プールとの間で可視であった(
図10A、上部の画像)。しかしながら、対照と比較して、5μM(p=0.99)、10μM(p=0.5777)、または50μM(p=0.146)のより低い濃度では、Cx43プラークは顕著に低減しなかった(
図11B)。
【0535】
結果は、トナベルサットが形質膜からのCx43 GJの内部移行を引き起こすことを示す。Cx43プラークの低減は、ARPE-19細胞を6時間という長期間トナベルサット(50から500μM)中に暴露することによって、時間依存性であることが示された。
図10と同様に、トナベルサットにおける6時間の治療はまた、細胞間接触部と細胞内プールとの間のCx43標識の減少をもたらした(
図12A)。さらに、Cx43プラークの総面積も、100μM(66.5±5.4%、p<0.0001)、200μM(62.5±2.3%、p<0.0001)、及び500μM(60.2±13.6%、p<0.0001)で顕著に低減した。
【0536】
トナベルサットは、リソソーム経路を介した分解のために内部移行したCx43プラークを標的にする。 ギャップ結合を内部移行させるだけであるペプチド5と対照的に、ト
ナベルサットが形質膜からのCx43プラークの代謝回転を促進することも示された。
図11を参照されたい。ARPE-19細胞におけるリソソーム分解経路を、弱塩基リソソーム阻害剤である塩化アンモニウム(NH4Cl)を使用して固定化した(H.Qin,et al.,The Journal of biological chemistry 278,30005(Aug 8,2003))。トナベルサット及び10mMのNH4Clにおける1時間の治療の後、Cx43プラークを細胞間接触部から除去したが、これは、形質膜直下の細胞内領域に沿って発現された点状標識を伴って細胞質中に留まった。加えて、ここで、密な標識化が核周囲の周りで可視となった(ゴルジ体であるように見える)(
図14A、下部の画像)。NH4Clを伴うトナベルサットにおいて、Cx43標識化は、単独の100μMのトナベルサットと比較して顕著に多く(最大104.8%)(p<0.001)、単独の200μMのトナベルサットと比較した場合、最大で
65.4%多かった(p=0.0002)(
図10C)。
【0537】
トナベルサット及び10mMのNH4Clにおける6時間の治療の後、点状のCx43標識が細胞全体にわたって分布した(
図15A、下部の画像)。1時間と対照的に、細胞間接触部の間のCx43標識は、トナベルサット及びNH4Clにおける治療の後、可視ではなかった(
図15A、下部の画像)。しかしながら、NH4Clは、Cx43標識の量(総面積)を、単独のトナベルサットによる治療と比較した場合、トナベルサット50μMにおいて最大67.9%5(p=0.0015)、100μMにおいて最大80.3%(p=0.0001)、及び200μMにおいて最大87.9%(p=0.0062)、顕著に増加させた(
図12C)。インキュベーションから1時間後及び6時間後、非治療、DMSO(溶媒対照群)、またはNH4Clのみの対照の間で、細胞あたりのCx43プラークの総面積における有意な差異はなかった(
図10B及び12B)。
【0538】
実施例7:トナベルサットはCx43 mRNA転写または翻訳に影響しない トナベ
ルサットは、出版されている文献中で示されているように、Cx43 mRNA転写または翻訳に影響しない。むしろ、観察されたCx43のトナベルサット媒介性下方制御は、内部移行及び分解経路の活性化によって引き起こされる。
【0539】
リアルタイム逆転写PCR
【0540】
リアルタイム逆転写PCRを使用して、Cx43 mRNAの相対レベルを決定した。ARPE-19細胞のコンフルエントな単層を、1時間トナベルサットで処理した。細胞をTRIzol(登録商標)(Life Technologies)によって採取し、SuperScript III First Strandキット(Invitrogen)を製造業者の使用説明に従って使用して、総RNAを単離した。全RNA 試料を、ナノドロップ1000微体積分光光度計(Thermo Scientific)を使用して定量化した。SuperScript(登録商標)III First-Strand Synthesis SuperMix(Invitrogen)を製造業者の使用説明に従って使用して、試料由来のcDNAを合成した。hCx43についてのプライマー配列、GenBank受入番号M65188.1を、Harvard PrimerBankから入手した。ヒトCx43についての配列は、正方向5’-TGGTAAGGTGAAAATGCGAGG-3’(配列番号331)及び逆方向5’-GCACTCAAGCTGAATCCATAGAT-3’(配列番号332)であった。Cx43 mRNAの相対的フォールド差異に対する使用に適切な参照遺伝子を、一般に使用されるハウスキーピング遺伝子、β-アクチン[ACTB]、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1[HPRT1]、ペプチジルプロリルイソメラーゼA[PPIA]、及びグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ[GAPDH]をスクリーニングすることによって決定した。ベータ-アクチンを、それが治療群の間で発現における有意な差異を示さなかったため、対照遺伝子として選択した。すべてのPCR反応を、Rotor gene600(Qiagen)上で、相対的定量化のための閾値サイクル(Ct)を生成するために、2分間50℃、その後2分間95℃;15秒間95℃及び60℃の40回の繰り返し;15秒間95℃、15秒間60℃、15秒間95℃のサイクルプログラムを使用して行った。Cx43 mRNA発現の相対的変化を、2-ΔΔCt法を使用してβ-アクチンに対するフォールド差異として計算した。結果は平均±標準誤差を表し、統計的検定を、一元配置分散分析、続いてテューキーの多重比較検定を使用して実施した。
【0541】
図10及び12において見られたCx43プラークのトナベルサット媒介性の減少がCx43 mRNA転写の下方制御によって引き起こされた可能性を試験するために、リアルタイム逆転写PCRを使用して、トナベルサットによる1時間の治療後のCx43 mRNAの相対的差異を比較した。50μMのトナベルサットによる治療の後、非治療群(p
=0.7572)と溶媒対照群(p=0.10245)との両方と比較して、ARPE-19細胞におけるCx43 mRNAの有意な差異はなかった(
図13)。
【0542】
実施例8:トナベルサットはhCMVEC細胞生存率に影響しない 細胞生存率について
のMTTアッセイ MTT原液を、5mgを1mLのPBS中に溶解させて5mg/m
Lの濃度にすることによって調製した。96ウェルプレートに播種した細胞(1×104細胞/ウェル)の治療インキュベーション期間の後、培地を除去し、100μLのPBSで置き換えた。10μLのMTTの原液を、ブランクとして使用したウェルを除いて各ウェルに加え、4時間37℃でインキュベートさせ、この時点で溶液を各ウェルから吸引した。次に、50μLのDMSO(Sigma)を各ウェルに加えて、結晶性産出物を溶解させた。紫色の結晶産出物の吸光度を測定することによって、生存率を決定した。これを、プレートリーダにおいて595nmでの吸光度を読み取ることによって測定し、データを内部標準として各対照に対して標準化した。統計的にを一元配置分散分析及びテューキーの事後検定を使用して調査した(*p<0.05)。
【0543】
トナベルサット(0.2μMから200μM)が24時間にわたってhCMVEC細胞生存率に与える影響を検査した。トナベルサット(200μM)は、24時間の治療の後で細胞生存率を顕著に低減させず(p=0.378)、これは毒性の欠如を示す。さらに、ビヒクル(0.2%のDMSO)またはカルベノキソロン(200μM)に応答する細胞生存率は、顕著に低減しなかった(p=0.9029、p=0.4719)(
図14B)。
【0544】
実施例9:トナベルサットは網膜虚血再潅流における網膜神経節細胞喪失を防止する。
インビボでの網膜虚血-再潅流モデル及び治療 動物をケタミン(60mg/kg)及
びメデトミジン塩酸塩(0.4mg/kg)の腹腔内注射によって麻酔し、角膜をオキシブプロカイン塩酸塩(0.4%)で麻酔した。網膜虚血-再潅流の技法は、これまでに説明されている(D.Sun,et al.,The Journal of comparative neurology 505,114(Nov 1,2007))。簡潔に言えば、0.9%の滅菌生理食塩水の貯蔵部とシリコーン管によって接続している30ゲージの注入針を、左の前眼房にカニューレ挿入した。カニューレ挿入は、角膜内皮、虹彩、または水晶体への傷害を回避するために、定位固定操作器アームを使用して行った。カニューレ挿入した眼の眼圧を、生理的食塩水貯蔵部を持ち上げることによって60分間で120mmHgに上昇させ
た。網膜虚血-再潅流を後眼部の退色によって確認した。60分後にカニューレを除去し、網膜血管の再潅流を検眼鏡検査によって確認した。3つの実験用アームを、60分の虚血の終了時に適用した。これらは、非治療(n=6)、10mg/kgのトナベルサット(n=6)、または1mg/kgのトナベルサット(n=4)を含んだ。40%がPEG、60%がシクロデキストリンである溶液中で希釈した0.25mLの10mg/mlまたは1mg/mlのトナベルサット溶液の全身送達を、再潅流の開始時の腹腔内送達によって達成した。20mLの血液量及びペプチドの総全身取り込みを仮定して、0.319mMまたは0.0319mMの最終血中トナベルサット濃度が表された。動物を、再潅流から7日後にCO2で麻酔した。1匹の非傷害動物を麻酔して、非傷害網膜を正常対照群として得た。
【0545】
麻酔後、眼を摘出し、角膜、水晶体、及び硝子体液を除去した。配向を保持するために網膜背面に刻み目を入れた。網膜及び強膜を、室温(RT)で60分間、PBS中の4%のPFAにおいて固定した。次に、網膜を強膜から慎重に除去し、-80℃で15分間、PBS溶液中の0.5%のTriton-X100によって透過処理した。PBSによる徹底した洗浄に続いて、浮遊網膜を、PBS溶液中の2%のウマ血清及び2%のTriton-X100中のヤギ抗Brn3a一次抗体(SC-31984、Santa-Cruz
Biotechnology、1:100)において、4℃で一晩インキュベートした。網膜をPBSでさらに洗浄した後で、ロバ抗ヤギCy3二次抗体(705-165-147、Jackson Immuno Research、1:500)溶液をRTで2時間適用した。網膜を、Citifluor封止剤を使用してSuperFrost Plusスライド上に封止し、撮像した。
【0546】
撮像及び定量化 各網膜の各四半部における2つの領域を撮像し、網膜1つあたり合計
8枚の画像を得た。この方法により、異なる眼の間で同様の場所を評定し、網膜中に存在する起こり得るいかなる面積の偏りも回避したことが確実となった。網膜神経節細胞(RGC)標識化を10倍の倍率で撮像した。個々の抗体標識化を最良に差別化し、画像の彩度過剰を回避するように、電圧及びオフセット設定を調整した。NIH ImageJソフトウェアにおいて自動スポット計数を使用して定量化を行った。RGC定量化のために、各画像をまず鮮明化フィルタによってフィルタリングして細胞の輪郭を描出した後、33の閾値を使用して二値画像に変換した。明らかに元のRGCではないノイズ及びアーチファクトに起因する1つまたは2つの画素のスポットを粒子計数中に除外した。RGC密度を1cm2あたりのRGCの数として計算した。
【0547】
網膜虚血再潅流における網膜神経節細胞喪失の防止 低濃度のトナベルサットは、網膜
虚血再潅流の確立されたインビボモデルが示すように、網膜細胞死を防ぐ(H.V.Danesh-Meyer et al.,Brain 135,506(Feb,2012)。統計学的に有意な(p<0.01)31%のRGCの喪失が、正常対照群(242558±15840細胞/cm2)と比較して、治療していない虚血眼に見出された(167111±14188細胞/cm2、平均±標準誤差)(
図15)。統計学的に有意な(p=0.03)35%のRGC喪失が、10mg/kgのトナベルサットで治療した虚血眼に見出された(158739±26370細胞/cm2)。しかしながら、1mg/kgのトナベルサットで処理した虚血眼は、他の群と比較して、ニューロン脱落を減少させた(18%、199927±26058細胞/cm2)。損傷しているが非治療である眼と比べた向上についての統計学的差異には達しなかったが、この群と正常対照群との間の差異は、もはや統計学的に有意(p=0.17)ではなかった。RGCの喪失は、すべての対側性眼に見出されなかった。
【0548】
実施例10:トナベルサットは、濃度及び時間依存性の様式でギャップ結合をアンカップリングできる カップリングされたGJのみによって移動される蛍光性染料である細胞
外ルシファーイエロー(LY)によるインビトロスクレープ負荷アッセイを行って、トナベルサットがGJ通信を抑制するかどうかを試験した(M.H.el-Fouly,et
al.,Experimental cell research 168,422(Feb,1987))。1つのスクレープ創傷をhCMVEC細胞のコンフルエントな単層に作製して、LY染料が創傷した領域の縁にて細胞の細胞質にアクセスできるようにし、染料がGJによって隣接した細胞に移動できるようにした。予期したとおり、溶媒対照群におけるLYの移動が観察され(
図16A)、これは、カップリングされたGJを介した機能的細胞間通信を示す(el-Fouly,1987)。広域ギャップ結合遮断薬であるカルベノキソロンは、GJ通信を、対照と比較して77.8±7.4%まで顕著に低減させた(p<0.0001)(
図16B)。トナベルサットにおいては、GJアンカップリングの程度は経時的に増加した(
図16B)。LY陽性細胞は、対照と比較して、2時間の時点で72.5±7.4%まで顕著に下がり(p=0.0132)、6時間までに62.8±7.4%に低減した(p=0.0003)。LY陽性細胞は、50μMのトナベルサット中で24時間までに、対照と比較して50.5±8.4%に最大限に低減した(p<0.0001)(
図12B)。100μMのより高い濃度のトナベルサットでは、LY陽性細胞は、46.7±7.8%までさらに顕著に低減した(p<0.0001)。しかしながら、アッセイの直前(p=0.986)または1時間前(p=0.054)の
50μMのトナベルサットは、対照と比較したとき、GJカップリングを顕著に減少させなかった(
図16B)。より低いトナベルサット濃度(0.1、1、及び10μM)では、対照と比較して、LY陽性細胞は、2時間(p>0.7)及び24時間(p>0.3)の両方で顕著に低減しなかった(
図16C、D)。総合すると、これらの結果は、トナベルサット媒介性アンカップリングGJが濃度依存性(≧50μM)であり、このアンカップリングの程度がトナベルサット治療の期間に依存すること(より高いアンカップリング用量にて)を示す。
【0549】
考察
【0550】
これらの例は、直接的かつ即時的なCx43ヘミチャネルの遮断、ならびにGJカップリングの濃度及び時間依存性の低減を伴う、トナベルサットの新規の作用機序の発見を示す。ある特定のより低い濃度のトナベルサット(10μM)への短期的な暴露により、インビトロでの傷害及び再潅流中にCx43ヘミチャネル媒介性ATP放出が効果的に抑制され、これは、確立されたインビボでの網膜虚血-再潅流モデルにおけるRGC喪失の減少と一貫した。しかしながら、より高い濃度のトナベルサット(<100μM)への暴露は、GJをアンカップリングしただけでなく、より持続的な長期間の治療は、リソソーム経路を介したCx43プラークの標的化した内部移行及び分解を励起することができる。
【0551】
驚くべきことに、トナベルサットがコネキシンヘミチャネルの濃度依存性抑制を呈することを発見した。より低い10μMの濃度は、ヘミチャネル抑制のためにより効果的なトナベルサット濃度であり、これは、本研究で使用したペプチド5の有効性を超過した。さらに、抑制は、トナベルサットの阻害効果を観察するために組み合わせのプロベネシド治療が必要であったため、ヘミチャネル媒介性ATP放出に選択的であった(
図8B)。これらのデータは、トナベルサットがヘミチャネルを効果的に阻害する一方で、トナベルサット及びその類似体ならびに他の式Iの化合物が、虚血傷害においてパネキシンチャネルから放出されるATPを抑制する可能性が低いことを示す。コネキシンヘミチャネルとパネキシンチャネルとの両方を効果的に抑制したとすれば、抑制のレベルは、ペプチド5及びプロベネシドの併用治療またはCBXと同等であっただろう(それぞれ、55%vs65%)。逆に、単独のトナベルサット治療は、顕著ではないが、単独の傷害と比較して、ATPにおけるわずかな増加を誘導した。100μMのトナベルサットが、これらの実験において、10μMのトナベルサットほどATPの低下に効果的ではなかったことにも注目すべきである。より高いトナベルサット濃度は細胞毒性に関係しなかったことから(
図14)、トナベルサットは、傷害中に二重の影響を有し得、これにより、ヘミチャネルは抑制の標的となるが、パネキシンチャネルは、標的外の影響で開放するように誘引され得る。これらのデータは、プロベネシド等のパネキシンチャネル遮断薬と組み合わせた中等度の用量/濃度のトナベルサットが、虚血、ならびに少なくとも部分的に虚血を特徴とする疾患、状態、及び傷害の治療として効果的となることを示す。
【0552】
治療モデルのインビトロでの虚血後(再潅流)状態が、HAIR溶液中で2時間後に正常な生理学的条件に戻ったことも、本明細書で示された。インビトロモデルにより、発明者らは、a)虚血傷害だけでなく虚血後におけるコネキシン及びパネキシンチャネルの寄与、b)虚血及び虚血後におけるトナベルサット治療の効果の試験を行うことができるようになった。虚血後の間、コネキシンヘミチャネルは、100μMのペプチド5及び1mMのプロベネシドによって示されるように、ATP放出のほぼすべてを担った(
図9)。重要なことに、濃度10μMのトナベルサットは、100μMのペプチド5と同等の有効性を示した。これらのデータは、より低い濃度のトナベルサットが、虚血後のコネキシンヘミチャネル媒介性ATP放出を抑制することを示す。
【0553】
さらに、驚くべきことに、コネキシンヘミチャネル開口及びパネキシンチャネルの両方が
ATP放出を媒介することによって虚血傷害(
図8)に寄与するが、再潅流の後は、パネキシンチャネルが閉鎖し得、コネキシンヘミチャネルのみがこれらの2つのチャネル型をとおしたATP放出のほぼすべてを担うようであることも発見した(
図9)。パネキシンチャネルは虚血依存性機序(すなわちNMDAR)で開放し得るが、これらの刺激も消失する再潅流の直後に閉鎖し得る。対照的に、Cx43発現は4時間にピークを迎え、ペプチド5が網膜虚血から4時間後及び24時間後に血管損傷を低減させることを示した(H.V.Danesh-Meyer et al.,Brain:a journal of neurology 135,506(Feb,2012))。このことは、出産間近のヒツジ胎仔において虚血の1時間前または最中に送達されたペプチド5が、最小限の治療的利益しか有しなかったのに対し(J.O. Davidson,et al.,Experimental neurology 248,301(Oct,2013))、虚血後のペプチド5は、EEG活性及び睡眠周期の回復を顕著に向上させ、発作を顕著に低減させたという報告によって支持される。
【0554】
これまでの研究では、血液脳関門の破損及び血管内皮の浮腫が炎症応答を示しRGC死滅を引き起こす、網膜虚血再潅流傷害のモデルを調査した(H.V.Danesh-Meyer(2012))。傷害の原因は開放したCx43のHCに起因し、これは、Cx43のGJではなくHCを標的化したCx43模倣ペプチド5の投薬(S.J.O’Carroll,et al.,Cell communication & adhesion
15,27(May,2008))が、血管漏出及びRGC細胞死を顕著に低減させたことを所与とする。
【0555】
本明細書の実施例は、Danesh-Meyerら(2012)によって実行されたように、インビボの網膜虚血再潅流傷害モデルを含み、トナベルサットが、網膜虚血再潅流傷害の後のRGC喪失に対して保護的であることを示した。これは、インビトロでコネキシンヘミチャネル媒介性ATP放出を抑制するのに使用される10μMと同等である
、32μMの低い循環濃度で達成された。
【0556】
トナベルサットは、大部分の臨床試験第2相において、偏頭痛(A.W.Hauge,et al.,The Lancet.Neurology 8,718(Aug,2009))、及び癲癇(A.A.Parsons et al.,British journal of pharmacology 132,1549(Apr,2001)、N. Upton et al.,British journal of pharmacology 121,1679(Aug,1997))に対して、1日1回20~80mgで投与されてきた。しかしながら、これらの臨床結果は結論には達していない(Hauge,2009)。対照的に、驚くべきことに、傷害の最中及び後、特に虚血の後で、またはパネキシンチャネル遮断薬と組み合わせて、ヘミチャネルを標的化することによって治療的利益が達成され得ることが、本明細書で示された。臨床的失敗は、パネキシンチャネルにも影響したトナベルサットの使用に起因し得る。
【0557】
Cx43アイソフォーム特異的アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(Cx43 AsODN)の一時的な下方制御は、顕著に血管保護を提供し、治癒しない眼創傷における機能転帰を向上させる(Ormonde et al.,J. Membr.Biol.(2012) 245(7):381-88)。この文脈において、空間的緩衝効果を不可逆的に犠牲にすることのない、Cx43の上昇に対する一時的な反作用、及びそれによるGJヘミチャネルの新たな形成が有益であった。驚くべきことに、傷害の後のCxの一時的な調節を制御しながら、「空間的緩衝」効果の完全な除去を最低限に抑えるために、トナベルサットの時間依存性作用を利用し得ることが、本明細書で発見された。
【0558】
本開示はまた、トナベルサットがCx43を形質膜から除去することを示す(
図16)。
発明者らは、驚くべきことに、Cx43プラークの全発現の低減(
図16)を発見し、これは、トナベルサットがCx43合成と分解との間の均衡を改変する傾向にあることを示す。このように、トナベルサットが標的とする内部移動したCx43チャネルは、リソソーム経路を介して分解へと送られる。
【0559】
コネキシンチャネルの分解のための主要な経路は、リソソーム経路及びプロテアソーム経路の2つである。リソソーム経路を検査する論拠は、形質膜コネキシンがリソソームのみによって分解される一方で、細胞質及び核コネキシンはプロテアソームによって分解されるという考えに基づく。リソソーム阻害剤の存在下での細胞質Cx43の蓄積は、トナベルサットが分解のためにCx43を標的化することを示す。Cx43の核周辺の局在化は、ゴルジにおける新たなタンパク質の蓄積を示し、これは、トナベルサットが細胞表面Cx43チャネルの分解を改善する一方で、それは新たなタンパク質のCx43転写または翻訳には影響しないという考えをさらに支持する。PCRデータも、トナベルサットがCx43 mRNA転写を制御せず、その代わり、観察されたCx43の低減が、内部移行及び分解によるタンパク質代謝回転のレベルで生じることを示唆する。
【0560】
結論として、発明者らは、驚くべきことに、他のものの中でも、直接的かつ即時のコネキシンヘミチャネルの遮断、ならびにより高い濃度では、Cx43 GJカップリングの濃度及び時間依存性の抑制を含む、トナベルサットの新規の作用機序を発見した。高濃度のトナベルサットへの暴露は、GJをアンカップリングするだけでなく、持続的な長期間の治療により、Cx43プラークがリソソーム経路を介した内部移行及び分解を標的化するようにした。本開示では、コネキシンヘミチャネル及びパネキシンチャネルの両方が虚血傷害中にATP放出を媒介することができ、コネキシンヘミチャネルは損傷後のATP漏出の主要な誘因であることが示された。より低い濃度のトナベルサットへの短期的な暴露は、傷害の間、特にインビトロでの再潅流の間に、Cx43ヘミチャネル媒介性ATP放出を効果的に抑制し、これは、インビボの網膜虚血再潅流モデルにおけるRGC創出の低減と一貫するため、トナベルサットは、これまでに推測されてきたようなCNS特異性ではなく、Cx26調節に制限されず、かつCx43タンパク質合成に影響しないが、その代わりに、コネキシンヘミチャネルに直接的に、または接続内部移行をとおして作用する。
【0561】
実施例11:コネキシン43アンチセンス化合物の未修飾及び化学修飾されたオリゴヌクレオチド構造の遺伝子導入インビトロアッセイ HUVEC細胞(C-003-5C、
Invitrogen、一次ヒト内皮細胞)を使用して、コネキシン43アンチセンス化合物の化学修飾された骨格の遺伝子導入を試験した。細胞に、無血清培地中で4時間及び12時間、製造業者推奨のプロトコルを使用してOligofectamine(登録商標)によって遺伝子導入した。アンチセンス濃度は緩衝液中200nMであった。使用したアンチセンス化合物は、未修飾(O)骨格または完全に修飾された(PTO)骨格であり、修飾された骨格はすべて、ヌクレオチド間のチオホスホリエート(thiophosphoriate)結合を有した。未修飾配列である配列1-Oは、配列GTAATTGCGGCAAGAAGAATTGTTTCTGTを有し得る。修飾された配列である配列1-PTOは、GsTsAsAsTsTsGsCsGsGsCsAsAsGsAsAsGsAsAsTsTsGsTsTsTsCsTsGsTの配列を有し得、配列中、下付き文字「s」は、2つのヌクレオチド間のチオホスホリエート(thiophosphoriate)結合を示す。同様に、配列4-O及び配列4-2PTOについての未修飾及び修飾された配列は、それぞれ、ACCCATGTTGCCTGGGCACC、及び AsCsCsCsAsTsGsTsTsGsCsCsTsGsGsGsCsAsCsCであり得る。遺伝子導入研究のためのすべての配列は、蛍光標識化用のFAMで標識した。遺伝子導入細胞を、FACS(蛍光活性化セルソーティング)及び共焦点顕微鏡法によって分析した。
【0562】
結果:
【0563】
95%超の遺伝子導入効率がすべてのオリゴヌクレオチド型で観察された。細胞は、非修飾オリゴヌクレオチドと比較してPTO-オリゴヌクレオチドでより蓄積した。表40に要約するように、アンチセンスオリゴヌクレオチドの最大取り込みは4時間以内に生じた。
【表8】
【表9】
【0564】
図17は、いくつかの選択されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの遺伝子導入取り込みのFACSデータを示す。
【0565】
共焦点顕微鏡法による生細胞の画像は、
図18及び19に示されるように、HUVEC細胞(遺伝子導入後4時間)内でFAM標識SEQ1-O(未修飾)の取り込みを示す。
図18は、HUVEC細胞(遺伝子導入後4時間)内でFAM標識SEQ4-PTO(修飾)の取り込みを示す、共焦点顕微鏡法による生細胞の画像を示す。緑は、オリゴ配列1-O(FAM標識)を表し、青は、DAPIによって染色された細胞核を表す。
図18に見ることができるように、標識コネキシン43調節剤は、
図18に示すように、核に近接し、時には核内にある。
【0566】
図18及び19に示すように、オリゴヌクレオチド(緑)が核(青)中に蓄積するのが観察される。
図19では、緑はオリゴSEQ1-O(FAM標識)を表し、青はDAPIによって染色した細胞核を表す。
【0567】
次に、HUVEC細胞中のコネキシン43のノックダウン効率を、配列が同じであるがオリゴヌクレオチド骨格へのPTO修飾の数が異なるオリゴヌクレオチドシリーズについて、qPCRによって測定した。試験した配列は、骨格におけるホスホロチオエート結合がないか、2つであるか、またはすべてである、SEQ1及びSEQ4であった。骨格におけるホスホロチオエート結合が2つである配列については、ホスホロチオエート結合は、配列の各側の末端にある最後のヌクレオチド結合の間にあった。配列は、SEQ1-2PTO及びSEQ4-2PTOについて、それぞれ、GsTAATTGCGGCAAGAA
GAATTGTTTCTGsT及びAsCCCATGTTGCCTGGGCACsCである。全オリゴ溶液の濃度は200nMであった。
【0568】
図20は、qPCR(n=3)によって測定したコネキシン43のノックダウン効率を示す。データは、3つの複製物の標準偏差を示す。
図21は、ウェスタンブロットによって測定したコネキシン43のノックダウン効率を示す。データは、3つの複製物の標準偏差を示す。
【0569】
結果は、完全なPTO骨格が、qPCR及びウェスタンブロット分析の両方によって、最大のCxn43ノックダウンを呈したことを示す。さらに、アンチセンスを両端において1つのPTO(2-PTO)で保護することにより、ある程度のCxn43ノックダウンがもたらされた。未修飾(O)骨格オリゴヌクレオチドは、全PTO-骨格オリゴヌクレオチドよりもはるかに低いレベルのCxn43ノックダウン効率をもたらした。
【0570】
共に完全な無損傷の配列及び組み換え配列に対する、修飾(PTO)及び未修飾配列のノックダウン効率を経時的に観察した。ノックダウン効率を
図22に示すようにqPCRによって測定した。データは、3つの複製物の標準偏差を示す。
【0571】
図22A及びBは、それぞれ、遺伝子導入後4時間及び8時間でqPCRによって測定した修飾(PTO)及び未修飾配列のノックダウン効率を示す。オリゴ濃度:(1)=200nM、(3/4)=150nM、(1/2)=100nM、C:SEQ1、SEQ4:37501、Cscr:SEQ1組み換え、LP2scr:SEQ4組み換え、橙色の棒:陰性対照群。(各結果に関してn=3)。結果は、遺伝子導入後4時間に検出されたより低い非特異性陰性対照の効果を示し、150nMのオリゴは、その対応する陰性対照から最も離れた距離を呈した。
【0572】
図 23 shows the ノックダウン 効率 as measured by ウェスタンブロット法 . データは、3つの複製物の標準偏差を示す。結果は、遺伝子導入後4時間及び8時間が非常にわずかなノックダウンを呈し、より少ない非特異性陰性対照の効果が遺伝子導入後12時間で検出され、150nMの濃度のオリゴがその対応する陰性対照からの最大距離を呈したことを示す。
【0573】
図24に示すように、異なる配列を、そのコネキシン43のノックダウン効率についてqPCRによって分析し、センス鎖及び他のアンチセンス鎖をCxn43と比較した。
【0574】
図25に示すように、配列を、ノックダウン効率についてウェスタンブロット(WB)によっても分析した。結果は、すべてのアンチセンスオリゴが陰性対照群よりも高いコネキシン43のノックダウン効率を有したことを示す。ノックダウン効率結果から、コネキシン43をノックダウンし得る様々な他の配列(すべて、骨格全体におけるチオホスホリエート(thiophosphoriate)結合がすべてであるもの)を特定した。表68は、SEQ1と比較したその相対的ノックダウン差異を示す。
【表10】
【0575】
次に、オリゴヌクレオチド配列を、初代細胞とした別の細胞型:ブタ大動脈内皮細胞であるPAOEC(P304-05、Cell Applications Inc.)におけるそのノックダウン効率について試験した。細胞を、実験の前に50~80%のコンフルエンスに達するまで24時間播種した。細胞に、無血清培地中で4時間、200nMのオリゴ濃度で、推奨されるプロトコルを使用してOligofectamine(登録商標)によって遺伝子導入した。試料を、8時間(qPCR分析用)及び12時間(ウェスタンブロット分析用)で採取した。
図26はノックダウン結果を示す。
【0576】
図26中の破線は、平均の陰性対照の効果(約12%)を示す。結果は、概して、ブタ版アンチセンスオリゴが、対応するヒト版よりも良好に機能したことを示す。
【0577】
次に、選択したオリゴを、qPCRによって、HUVEC細胞におけるその用量反応性能について分析した。試験した濃度は、
図27に示すように、1、5、10、25、50、100、及び200nMであった。結果によると、組み換え配列(コネキシン43のためのアンチセンス)はいずれの用量反応も有しなかったが、選択したアンチセンス オリゴ配列(すべてホスホロチオエート骨格を持つ)は用量反応を呈したことをが示された。
【0578】
未修飾配列(骨格におけるホスホロチオエート結合なし)によるCxn43のノックダウン効率を、
図28A及びBに示すように、いくつかの配列についてqPCRによって測定した。結果は、ノックダウンが遺伝子導入後4時間で検出されるが、8時間では検出されないことを示す。アンチセンスコネキシン43オリゴは、配列4及び133704について用量反応を呈した。配列1は、すべての濃度について、4時間で約10%を超えるノックダウン効果を呈さなかった。陰性対照群は、溶媒対照群と比較して、より高いCxn43 mRNAレベルを呈した。
【0579】
修飾配列(すべてのチオホスホリエート(thiophosphoriate)骨格で)のノックダウン効率を、
図29に示すように、400nM及び150nMの両方で未修飾配列と比較した。
【0580】
結果は、200nMでは、ASN治療によってそれほどのノックダウン(KD)は検出されないが、400nMでは、低レベルのノックダウンが一部のASN配列について検出されることを示す。全体として、未修飾オリゴ配列は、
図30に示すように、インビトロのノックダウンを誘導し得るが、その程度は小さく、t実験ごとに変動する。
【0581】
結果は、修飾オリゴ骨格(PTO-ASN)が、はるかに高い用量の未修飾オリゴを使用したにもかかわらず、対応する未修飾オリゴ(O-ASN)よりもはるかに優れたノックダウン効率を呈したことを示す。
【0582】
実施例12.コネキシン43に対する他の効果的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを特定するための一連のスクリーニング事象によって特定された他の配列
目的とする標的のDNA配列をNCBIデータベース(National Center for Biotechnology Information)から入手した。大腸菌細胞を使用する増幅のために、DNAを合成し、pDONR221クローニングベクターに挿入した。続いて、標的DNAを含むベクターを大腸菌細胞から抽出し、制限酵素を使用して標的DNAを単離した。標的DNAをインビトロでの転写のための鋳型として使用して対応するRNAを生成し、RNAse H及びDNAzymeアッセイを行うために使用した。
【0583】
RNAse Hアッセイのため、標的RNAを一端において32Pで標識し、RNAse
H酵素の存在下で12-ヌクレオチドランダム化オリゴヌクレオチドライブラリーによってプローブした。続いて、部分消化された試料産生物を、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行うことによって分析した。標準的なラダーと比較したRNAse H開裂によって生成された断片のサイズは、RNAの標識した端部からの対応する近接性領域の距離を示した。RNAの未翻訳端部に位置した領域は、ゲルの分解能の限界に起因して決定されなかった。
【0584】
DNAzymeアッセイについては、特定のアクセス可能な部位をプローブするために、標的RNA上のプリン(A、G)及びピリミジン(C、T)対の酵素標的を探すことによって20-ヌクレオチドDNAzymeを設計した。続いて、試料を、非変性アガロースゲル電気泳動及びRNAゲル染色を行うことによって分析した。DNAzyme開裂によって生成された断片のサイズにより、特定の近接性部位を確認した。RNAの未翻訳端部に位置した部位は、ゲルの分解能の限界に起因して決定されなかった。
【0585】
活性DNAzymeの標的結合アームの配列を使用して、ホスホロチオエート(PTO)骨格を持つアンチセンスオリゴヌクレオチドを合成した後、これを、細胞培養アッセイにおいて、ウェスタンブロットによりタンパク質のノックダウンについて、qPCRによりRNAのノックダウンについてスクリーニングした。
【0586】
細胞を6ウェル培養プレート中で24時間成長させると、遺伝子導入剤Oligofectamine(登録商標)を使用するアンチセンスオリゴヌクレオチド治療の前に50~70%のコンフルエンスに達した。細胞を、遺伝子導入後4時間~24時間の間にqPCR及びウェスタンブロット分析のために採取した。
【0587】
qPCRを行って、標的RNAのノックダウンにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性を決定した。簡潔に言えば、遺伝子導入後に全RNAを細胞から抽出した。単離したRNAをDNAseで処理し、cDNAに逆転写した。次に、cDNAをqPCR熱サイクルに供した。qPCRから得たCt値(蛍光強度が設定閾値を超えるために必要なサイクルの数)を、RNAの相対的存在度に変換した。標的のRNAレベルを、選択した参照遺伝子に対して正規化し、アンチセンスオリゴヌクレオチド治療対ビヒクル治療を比較した。
【0588】
またウェスタンブロットを行って、標的タンパク質のノックダウンにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性を決定した。簡潔に言えば、遺伝子導入に全タンパク質を細胞から抽出し、濃度を、ビシンコニン酸(BCA)アッセイを行うことによって決定した。続いて、等量の全タンパク質をゲル電気泳動のためにロードし、ニトロセルロース膜上にブロットした後、これを、標的タンパク質に対して特異的抗体を用いてプローブした。密度測定を使用して、標的タンパク質の帯強度を定量化した。ノックダウンを、アンチセンスオリゴヌクレオチド治療対ビヒクル治療を比較することによって定量化した。参照に
より本明細書に組み込まれる出願番号第62/080,217号、同第62/085,226号、同第62/146,128号、及び同第62/147,488号中の別表に示される表56は、試験したすべてのASN及び要約した試験結果を示している。
【0589】
表67は、RNAase酵素活性が見られた部位を示し、近接性の一般的領域を表す。これらを、これらの領域にわたるDNAzyme歩行によって緻密化した。これからASNの範囲を設計し試験した。
【0590】
表68は、その後ノックダウン活性について細胞に対して試験したすべてのASNを列挙する。
【0591】
表61は、発明者らがさらに発達させ特性評価している現在の先導ASN配列を列挙する。
【0592】
結果
これらのASN配列は、RNAse Hアッセイによって特定した8つの近接性領域の周囲で設計したDNAzymeに由来し、これは、表57に列挙するとおりである。
【表11】
【0593】
その後、さらなる分析に進めるためにASNのサブセットを選択した。他のASNは、予備細胞スクリーニングアッセイにおいてより低いレベルのノックダウンを示すこと、及び/または高い交差反応が他の既知のヒト遺伝子との配列整列によって検出されたかどうかに基づいて、サブセットから排除した。
【表12】
【0594】
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASN)の相対的RNAノックダウン活性を
図31に示す。アンチセンスオリゴヌクレオチドのウェスタンブロット分析から得た相対的タンパク質ノックダウン活性を
図32に示す。結果は、HUVEC細胞における2つの複製実験からのものである。(n=2)黄色の棒(「47001scr2」)は、陰性対照オリゴヌクレオチドの活性を示す。結果は、他のASNがCxn43活性の制御に極めて効果的であることを示す。
【0595】
細胞スクリーニング実験を、各実験において2つの生物学的複製物を用い、HUVEC細胞(ヒト臍静脈内皮細胞、Invitrogen)を使用して行った。「CODA」の識別子は配列1であり、「LP2」は配列4である。
【0596】
以下の上位ASN候補を、qPCR及びウェスタンブロット分析の両方において検出された上位10%以内のノックダウン率を出したものから選択し、これは表61に示すとおりである。
【表13】
【0597】
図33は、細胞への投与後4時間でCxn43 RNAのノックダウンを誘導するための一部の選択されたASNの用量反応曲線を示す。このスクリーニング結果は、HUVEC細胞における1つの実験からのものである。(n=2つの生物学的複製物)。灰色の線
(「47001scr2」)は、陰性対照オリゴヌクレオチドを示す。ASN濃度は、1、5、10、25、50、100、及び200nMであった。「KD%」という用語は、Cxn43 RNAレベルにおけるノックダウンの比率である。「Coda」という表示は、臨床開発中のCoDa001ヒトコネキシン43ASNであり、「scr2」という表示は、Cxn43ノックダウン活性を有することが予期されない組み換えASN対照である。
【0598】
実施例13.虚血再潅流傷害後に血管漏出を防止するためのペプチドを調節するコネキシン43の使用 ペプチドを調節するコネキシン43(Cxn43)を使用して、虚血灌
流によって誘導されるモデルの眼圧の増加を制御した。使用したペプチド配列は、以下に記載の用量の配列pept5(配列番号168)であった。マウスを虚血灌流に供した後、腹腔内注射によってエバンスブルー染料で処理し、モデルのベースラインを監視した。0.9%の生理食塩水中の100mg/mlのエバンスブルーを体重100gあたり1mlの用量でマウスに導入した。注射を腹腔内で行った。虚血再潅流後に、染料漏出の量を、コネキシン43スポット計数と同様に測定した。
図34は、虚血再潅流後のコネキシン43をマッピングするための虚血後のエバンスブルー染料の染料灌流を示す。
【0599】
図35は、虚血再潅流後の時間の関数としての染料漏出の(本明細書に記載されるImageJを介して)計算された面積またはコネキシン43スポット計数を示す。これらの結果は、染料漏出のベースライン性能を示す。
【0600】
虚血再潅流モデルの治療を分析して、コネキシン43調節剤による治療の効果を決定した。
図36は、Cxn43調節剤による治療及びCxn43調節剤によらない治療の後の総染料漏出に対する影響を示す。この研究で使用したCxn43調節剤は、配列番号168(「ペプチド5」)であった。注射は腹腔内注射であった。2mMのCxn43調節剤ペプチド1mLを0.9%の生理食塩水として使用した。最終血中ペプチド濃度は100uMであった。
【0601】
ペプチド断片の効率も、共通のペプチド配列コア上の種々の配列異形について監視した。
図37に示すように、Cxn43の発現(Y軸)を遅延させる能力を、特定のコア配列の異形と比較した。結果は、配列が、Cxn43活性の遅延における活性を保持するためにカルボキシ末端にてKTを保持する必要があることを示す。ペプチドを100uMの濃度で投与した。
【0602】
図37中の配列は、ペプチド5=配列番号168、Mod 1=配列番号171、Mod
2=配列番号172、Mod 3=配列番号173、Mod 4=配列番号174、Mod 5=配列番号175、Mod 6=配列番号176である。
【0603】
実施例14:ナノ粒子(Np)及びミクロ粒子(MP)調製及び分析 粒子調製 水-油-水(二重)エマルションは、PLGAを使用して疎水性及び親水性薬物をマイクロまたはナノスケール形態にカプセル化することができる1つの方法である。簡潔に言えば、PLGA(ポリ(D,L-乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA 50:50、MW 13,600、固有粘度0.19dl/g、Sigma-Aldrich)を、界面活性剤または安定剤(水)によって乳化させる有機相(油)中に溶解させた。疎水性形態のコネキシン43調節剤は、直接油相に添加し、一方で親水性形態のコネキシン43調節剤は、粒子形成前にポリマー溶液で乳化させてもよい。高い強度の超音波バーストにより、小型のポリマー液滴の形成を促進された。その後、結果として生じるエマルションを、より大きい水相に添加し、数時間撹拌することで、溶媒を蒸発させた。硬化したナノ粒子を収集し遠心分離によって洗浄した。
【0604】
Cxn43調節剤を含有するPLGA Np及びMp PLGA Np及びMpの調製及び特性評価を、二重エマルション溶媒蒸発法を使用して行った(Y.-S.Chen,et al.,Drug Deliv.18(201)493-50)。簡潔に言えば、Npについては、5mMのCxn43 MP(素またはFITC標識化)水溶液を、30mg/mlのPLGAを含有するDCM(ジクロロメタン、Sigma-Aldrich)中で、プローブソニケータ(Hielscher,Teltow,Germany)を1分間氷浴上で50Wの振幅及び0.6秒のデューティサイクルで使用して乳化させ、一次水/油エマルションを形成した。結果として得られる一次水/油エマルションを、3%w/vのPVA(ポリビニルアルコール(PVA、MW 130,000、加水分解度95~97%、Sigma-Aldrich)の水溶液中でさらに乳化させて、複数の水/油/水エマルションを形成した。これを続いて50mlのPVA水溶液(0.1%w/v)に注ぎ入れて、蒸発プロセス中の二重エマルションを安定化させ、結果として得られるNpを、4℃30,000rpmでの超遠心分離(ProteomeLab(商標)XL-A/XL-I、Type 70 Ti rotor、Beckman Coulter,Auckland,New Zealand)によって回収した。Mpについては、10mMのCxn43 MP水溶液を、100mg/mlのPLGAを含有するDCM中で乳化させた。形成された一次水/油エマルションをPVA溶液(5%w/v)中でさらに乳化させ、続いて5分間8000rpmで均質化(IKA works、Ultra-Turrax T10、Wilmington,USA)した後、これを50mlの0.1%w/vのPVA溶液中に注ぎ入れ、有機相を室温で蒸発させた。
【0605】
その後、Np及びMpを24時間凍結乾燥させ(VirTis、SP Scientific、Gardiner、NY,USA)、粒子形態を、走査電子顕微鏡法(SEM)(Philips XL30S FEG、Eindhoven,Netherlands)を使用して調査し、同時に、粒径、ゼータ電位(ZP)、及び多分散性指数(PDI)を、それぞれ、Zetasizer Nano及びMastersizer(Malvern Instruments、Worcestershire,UK)を使用して決定した。
【0606】
封入効率、及びPLGA Np及びMpからのインビトロのCxn43 MP放出
【0607】
FITCで標識したCxn43 MPを充填したNp及びMpの2.5mg塊を0.25mlのDMSOに添加して、ポリマー溶解させた。続いて、0.5mlの水を添加し、混合物を15分間室温で放置した後、30分間加振して、FITCで標識したCxn43 MPの水相への抽出を促進した。試料を5分間13,000rpm及び4℃で遠心分離し、上清中のCxn43 MP濃度を、マイクロプレートリーダ(Spectra Max
M2 Microplate Reader、Molecular Devices,Silicon Valley,CA,USA)を使用して定量化した。インビトロの放出研究のために、15mgのFITCで標識したCxn43 MPを充填したNp及びMpを、0.7mlのPBS中に懸濁させ、放出実験の期間中、100rpm及び37℃で加振した。0.6mlの体積の上清を所定の時点にて取り出し、新たな媒体で置き換えて、シンク条件を維持した。試料を13,000rpmで遠心分離し、上清を、上記のように蛍光光度計を使用して、FITCで標識したCxn43 MPについてアッセイした。放出されたCxn43 MPの累積量を計算し、各研究を3連で行った。
【0608】
Cxn43ヘミチャネルドッキングのインビトロでの遮断
【0609】
ARPE-19細胞(P9-12、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas,VA,USA)をCxn43タンパク質の発現について最初に評定した。細胞を、5%のCO2及び95%の相対湿度によって
37℃で、10%のFCSを含有するDMEM/F12(Gibco、NZ)中で通常どおりに培養した。コンフルエント時に、細胞をTrypLE(商標)Expressによって採取し、ウェルあたり1×105細胞/mlの密度でカバースリップ上に播種した。48時間の癒着の後、各ウェルをPBSで3回洗浄し、次に、Cxn43 MPの最終濃度を5マイクロモル(既に確認した封入効率にしたがう)に保った、凍結乾燥させた粒子を細胞成長培地と混合することによって新たに調製した1mlのFITC-Cxn43 MP溶液またはFITC-Cxn43 MPを充填したMp及びNp懸濁液を添加した。所定の時点(8時間及び24時間)にて、懸濁液を除去し、細胞を慎重にPBSで3回洗浄して、あらゆる残留粒子を除去した。細胞を、4%の冷PFAによって20分間室温で固定した後、一晩4℃でウサギ抗Cxn43抗体(C6219、Sigma Aldrich、1:2000)と共にインキュベートした。一次抗体を除去した後、細胞を、Alexa 568(A11011、Invitrogen、1:500)で標識したヤギ抗ウサギ二次抗体と共に2時間インキュベートした。核をDAPI(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、PBS中100nM)で対比染色した後、細胞を、Citifluor封止剤(AF1、ProSciTech,Sydney,Australia)を使用してスライド上に封止した。
【0610】
インビボの網膜虚血-再潅流ラットモデル
【0611】
すべての手順は、ARVO Statement of the Use of Animals in Ophthalmic and Vision Researchを順守しており、University of Auckland Animal Ethics Committeeによって認可されていた。体重200~300gの雄の成体ウィスターラットを12時間の明暗サイクルで飼育し、飼料及び水を不断給餌した。動物を再潅流後の飼育期間及び適用した製剤に従ってグループ分けした(表109)。
【表14】
【0612】
表 109. Cxn43MP、コネキシン43模倣ペプチド; Np、ナノ粒子;Mp、ミクロ粒子;GFAP、グリア線維性酸性タンパク質;Brn3a、脳特異的-specific ホメオボックス/POUドメイン タンパク質3A。
【0613】
ラットを、ケタミン(100mg/ml、Parnell Laboratories、Auckland,New Zealand)及びドミトール(メタドミジン塩酸塩1mg/ml、Novartis Animal Health、Sydney,Austr
alia)の6:4の割合の筋肉内注射(体重100gあたり0.1ml/100g)で麻酔した。局所麻酔薬(Minimsオキシブプロカイン塩酸塩0.4%w/v、Bausch & Lomb、Surrey,UK)を左眼に適用して、カニューレ挿入の前に角膜反射を除去し、一方でRefresh Tear Plus点眼薬(Allergan、Auckland,New Zealand)を右眼(対照)に投与して、乾燥を防止した。網膜虚血を、30G針を縁の約1mm前方の左眼の前眼房に挿入する前眼房へのカニューレ挿入によって達成した。シリコーン管に接続した針を、0.9%の滅菌生理食塩水の持ち上げた注入ラインに取り付け、生理食塩水の高さは、120mmHgを産出するように較正した。この状態を1時間維持した後、カニューレを除去して、IOPの正常化及び網膜の再潅流が引き起こした。水晶体損傷または多量出血等の何らかの眼科系合併症が本手順の結果として生じた場合、その動物を研究から除外した。
【0614】
Cxn43 MP製剤の硝子体内注射 硝子体内注射を虚血-再潅流の直後に行った。
30G針付きのHamilton注射器(Model 701 LT SYR、Hamilton Company、Reno,NV,USA)を、水晶体嚢との接触を回避し、内容物を硝子体チャンバに導くために、上側網膜における縁の前方に45℃の角度で挿入した。各ラットに、0.9%生理食塩水中で希釈した580マイクロモルのCxn43 MPを2μl与えた。50μlの硝子体体積を仮定して、20マイクロモルの最終ペプチド濃度が表された。次に、生理食塩水中の体重100gあたり0.1mlの体積のAntisedan(アチパメゾール5mg/mL、Pfizer、Auckland,New
Zealand)(1:9)を皮下注射して動物を回復させた。
【0615】
網膜断面におけるCxn43及びGFAP標識化
【0616】
再潅流の28日後、ラットをCO2によって安楽死させ、眼を摘出した(1群あたりn=3)。眼を30分間4%のPFA中に浸漬することによって即時に固定した後、スクロースを10%から30%に徐々に増加させることで一晩凍結保護した。その後、眼を最適切削温度(OCT)化合物(ProSciTech、Sydney,Australia)中に包埋させ、液体窒素によって瞬間凍結させた。厚さ20ミクロンの切片をスライドに載せ、20℃のエタノール中で10分間さらに固定した後、室温にて1時間、遮断緩衝液(10%の正常なヤギ血清(Gibco、NZ)及びPBS中の0.1%のTriton
X-100)と共にインキュベートした。10%の正常なヤギ血清及び2%のTriton X-100中のCy3(C9205、Sigma Aldrich、1:1000)一次抗体と複合させたウサギ抗Cxn43(C6219、Sigma Aldrich、1:2000)及びマウス抗GFAPを一晩4℃で適用した。組織を15分間3回PBSで洗浄した。Cxn43を視覚化するための10%の正常なヤギ血清中のヤギ抗ウサギAlexa488二次抗体(A11034、Invitrogen、1:1000)を、室温の暗闇で2時間適用した後、切片を載せた。
【0617】
網膜全組織標本におけるRGC標識化
【0618】
再潅流の28日及び90日後、ラットをCO2によって安楽死させ、眼を摘出した(1群あたりn=6)。後眼部を角膜強膜縁結合に沿って切断した後で慎重に除去し、網膜、強膜、及び視神経を、1時間かけて0.01MのPBS中の4%のPFA中で固定した。上側の四半部に目印を付けるために小さい切り込みを入れ、4つの放射状の切り込みを外周に作製して、上側、下側、側頭側、及び鼻側の網膜四半部を分割し、平坦な載積を可能にした。次に、視神経及び強膜を優しく引き離し、遊離している網膜をスライド上で慎重に平坦化した。RGCを生き残ったものを、一晩4℃で、PBS中の2%のウマ血清(Gibco、Auckland,New Zealand)及び2%のTriton X-100中のヤギ抗Brn3a一次抗体(SC-31984、Santa-Cruz Bio
technology、1:100)を適用することによって標識した。組織をPBSで15分間3回PBSで洗浄した後、2%のウマ血清中のロバ抗ヤギCy3でタグ付けした二次抗体(705-165-147,Jackson Immuno Research,1:500)を、室温の暗闇にて2時間適用した。PBSでさらに洗浄した後、網膜を平置きし、撮像まで4℃で貯蔵した。
【0619】
共焦点顕微鏡法及び画像分析
【0620】
免疫標識を共焦点レーザ走査型顕微鏡鏡(FV1000、Olympus、Tokyo,Japan)によって撮像した。網膜断面におけるCxn43及びGFAP標識化については、眼1つあたり6つのセクションを用いて、試料あたり8枚の画像を撮った。網膜全組織標本におけるRGC標識化については、1群あたり6つの網膜を用いて、各網膜の四半部あたり2つの領域を撮像した。この方法により、各眼において同様の領域を評定し、起こり得るいかなる面積の偏見も回避したことが確実となった。個々の抗体標識化を最良に差別化し、画像の彩度過剰を回避するように、ゲイン(電圧)及びオフセット設定を調整した。ImageJにおいて自動スポット計数を使用して定量化を行った。断面におけるCxn43の定量化のために、各画像を、45の閾値を使用して二値画像に変換した。3画素より少ないスポットはノイズと見なし、計数しなかった。全組織標本におけるRGCの定量化のために、各画像を、23の閾値を使用して二値画像に変換した。クラスタを分離するために、流域アルゴリズムを適用した。20画素より少ないスポットはノイズと見なし、粒子計数から排除した。
【0621】
統計分析 結果を標準偏差(SD)と共に平均値として表した。テューキー・クレーマ
ー比較を用いた分散分析(一元配置分散分析)を使用して、群間の有意な差異(p<0.05)について試験した。全データ分析を、Minitab# Statistical
Software Version 15(Minitab Inc.、State College,PA,USA)を使用して実行した。
【0622】
PLGA Np及びMpの特性評価 二重エマルション及び溶媒蒸発法を使用して、粒
径分布の狭い所望の粒径のCxn43 MPを充填したPLGA Np及びMpを得た(
図110)。
図110は、調製直後の凍結乾燥したNp(A)及びMp(B)の形態、ならびに放出媒体中の3日後の表面形態及び多孔性における変化を示す(それぞれ、D(Np)及びC(Mp))。示されるように、Np及びMpの両方は、調製後、球形構造及び比較的平滑で均一な表面形態を呈した(
図110A及びB)。いくらかの凝集体の形成が観察されたが、遊離薬物結晶は存在せず、これは、Cxn43 MPがPLGAマトリックスに完全に充填されたことを示す。放出媒体中での3日間の後、Mpは粒子表面におけるわずかな孔形成を呈し(
図1C)、一方でNpはほぼ完全に浸食され、主に粒子カプセルが残った(
図1D)。
【0623】
粒径は、主にPLGA濃度によって影響を受けた。使用したPLGA濃度が高いほど、より大きい粒径のMpで見られるように得られた平均径は大きくなった。これは、より小さいポリマー凝集体がより濃縮された溶液中で癒着し、それにより、より大きい液滴につながる確率がより高いことに起因する可能性が高い。さらに、有機相の増加していく粘度に起因して乳化プロセス中に必要となるより高い剪断力により、PLGA溶液の水相への不良な分散性が生じた可能性がある。
【0624】
Npの平均ZP(ゼータ電位)は-31.3±0.94mVであり、Cxn43 MPがpH7.4で中性であるため、負電荷はPLGAに起因した。ZPは、粒子安定性及び粘膜癒着の両方に影響するため、重要な物理化学的特性である。高度に正または負であるZP値は粒子間の反発を引き起こすため、凝集を防止し、それにより、理論的には粒子懸濁
を安定させる傾向にある。眼硝子体は、98%が水からなり、コラーゲン及びヒアルロン酸分子が2つの主な個体構成成分をなす。アニオン性粒子は、その粒径が立体的捕捉を回避するのに十分に小さい場合は、粒子と負に帯電した硝子体メッシュワークとの間の静電反発力によって、硝子体をとおして自由に拡散し得る。ウシ硝子体のメッシュワークの細孔径は、1~2μmであることが示されている(L.Cheng,et al.,J.Neurosci.22 (2002) 3977-3986)。したがって、Npは、硝子体を通って網膜へと自由に拡散することになり、一方でMpは、そのより大きい粒径に起因してメッシュワーク中に捕捉され得る。
【0625】
PLGA Np及びMpからの封入効率及びインビトロのCxn43 MP放出 FI
TCで標識したCxn43 MPを充填したPLGA Np及びMpの封入効率(EE)を
図110に列挙する。負荷量が示すように、方法の再現性は良好であり、封入効率の計算を同一条件下で調製した群あたり3つのバッチに対して実行した。高い収率(≧90%)が両方の粒子について得られ、Cxn43 MP EEは、はるかに小さいNp(≧70%)と比較してより大きいMpについてより高く(≧97%)、ほぼ完全なペプチドカプセル化がMpについて得られた。Mpに使用した比較的高濃度のPLGAは、処理中の活性物質の外部水相への拡散率を低下させることによって高EEに寄与した。
【0626】
粒径分析 走査電子顕微鏡法(SEM)のための試料を撮像当日に調製した。一片の両
面カーボンテープをSEMスタブに貼付した。少量の凍結乾燥させた粒子をテープの表面に適用し、テープ表面を窒素流に穏やかに供して、遊離している粒子を除去した。次に、試料を、30~120秒間、金または金-パラジウムでスパッタ被覆した。その後、SEMスタブを分析のためにSEMに配置した。粒子可視化のための典型的なパラメータは、5~15mmの作動距離、5~12kVのビーム強度、及び1~3マイクロメートルのスポットサイズであった。ミクロ粒子は100倍の倍率で観察し、ナノ粒子は3,000倍の倍率で識別可能であった。粒径及び形態の代表試料を得るために、バッチあたり少なくとも3枚の画像を収集した。測定値は、ImageJの「測定」機能を使用して、SEM画像から直接取った。視野からランダムに選択した粒子の直径の最低で150の測定値を取り、代表サイズ分布を取得した。ミクロ粒子及びナノ粒子の代表画像を
図38に示す。
【0627】
限定されないが、光散乱、ゼータ電位分析、クールター計数(電気的検知帯法)、及び光学顕微鏡法を含む他の方法が、粒径を測定するために採用されてもよい。
【0628】
実施例15.コネキシン調節剤の徐放製剤のためのミクロ粒子及びナノ粒子の使用
上記のものと同様の方法によって、ミクロ粒子及びナノ粒子に化学修飾したC12-C12-配列-Pept5コネキシン43調節ペプチド(配列番号326)を充填した。放出媒体の後の粒子の代表画像を得るために、各粒子型のアリコートを、3日間、1倍PBS緩衝液に添加した。粒子を、上記のものと同様の方法によって収集し、放出後に撮像した。画像を上の
図110に示す。出来上がった状態の粒子(放出媒体にまだ供していないもの)についての粒径分析(複数のSEM画像のImageJ粒子定寸を使用する上記の方法によって決定)を、
図38の下部に付与する。
【0629】
コネキシン43調節剤の粒子からのインビトロ放出を、粒子に対する溶液のUV可視によって監視した。粒子を放出媒体である1倍PBS緩衝液に添加し、緩衝溶液のアリコートをUV可視によって監視して、放出されたペプチドの量を決定した。結果を
図39に示す。
【0630】
インビトロの放出結果は、微粒子製剤が経時的なコネキシン43調節剤の持続的放出を呈することを示す。放出された調節剤の初期バーストは、粒子表面に物理吸着した調節剤に
起因する可能性が高く、一方で調節剤の持続的放出は、粒子のコアからの調節剤の拡散に起因する可能性が高い。粒径はここでは重要なパラメータであり、Mpは、増加した粒径との表面積対体積比の減少に起因して、Npと比べて比較的小さい初期バーストを呈する。これは、媒体が粒子中に透過しポリマーを浸食するために利用可能な表面積の低減をもたらし、それによりCxn43 MPの放出速度を遅延させた。
【0631】
実施例16.緑内障モデル化眼を治療するための化学修飾ペプチド及び微粒子持続的放出製剤
化学修飾及び微粒子製剤送達の効果を、網膜虚血再潅流を伴う緑内障についてモデル化したラットで測定した。まず、網膜虚血再潅流モデルを創出した。体重200~300gの雄の成体ウィスターラットを合計121匹、研究に使用した。右眼を対照として、網膜虚血を左眼においてモデル化し(60分間120mmHg)、次に、コネキシン43調節剤ペプチド製剤を1倍PBS送達剤中の溶液として即時に硝子体内注射した。使用したコネキシン43調節剤ペプチドは、未修飾形態及び化学修飾形態(ジドデシル)の両方の配列-Pept5であった。使用した製剤は、ナノ粒子またはミクロ粒子の生(1倍PBS送達媒体中で希釈しただけ)の溶液であった。再潅流後、エバンスブルー染料を再潅流から4時間後に腹腔内注射し、共焦点顕微鏡法を使用して血管漏出を視覚化した。網膜全組織標本を、Cxn43定量化のために8時間及び28日目に収集し、ガングリオール細胞(RGC)密度定量化のために28日目及び90日目に収集した。
【0632】
図40に示す結果は、虚血後4時間の後の血管漏出が、試験したコネキシン43調節剤のうちのいずれかで治療した目の網膜において顕著に低減したことを示す。結果はまた、未修飾ペプチド(Cxn43 MP)(配列-Pept5、配列番号168)と比較して、配列-Pept5(C12-C12 Cxn43 MP)(配列番号326)の化学修飾(ジドデシル)形態に対して血管漏出の低減を示した。
【0633】
スポット計数を、両方の形態のコネキシン43調節剤ペプチドで治療したモデルについて測定した。
図41に示すように、結果は、スポット計数が、未修飾ペプチドよりも化学修飾(C12-C12 Cxn43 MP)コネキシン43調節剤ペプチドでなおさら低減したことを示した。最低のスポット計数が虚血後8時間で観察された。
【0634】
虚血後28日の後、組織の断面を、共焦点顕微鏡法によって観察し、平均のCxn43計数をエバンスブルー染料で染色した試料について測定した。結果は、
図42に示すように、送達のためにナノ粒子を伴う製剤が、ナノ粒子を持たない製剤、またはさらにはミクロ粒子を持つ製剤よりも低いCxn43発現をもたらしたことを示す。また、長期間にわたって、微粒子製剤の両方が、初期虚血時点と比較してCxn43発現の低減を生んだ。
【0635】
網膜神経節細胞計数も、ナノ粒子を伴う製剤、ミクロ粒子を伴う製剤、または生の製剤を用いて、及び未修飾及び化学修飾ペプチドを用いて治療したモデルについて監視した。結果は、
図43に示すように、化学修飾ペプチド治療が、70%未満であった非治療眼(虚血のみ)と比較して、28日後に93%超のRGC生存をもたらしたことを示す。
【0636】
実施例17.コネキシン43はAMDと診断されたヒトの網膜において上方制御される
脈絡膜灌流の障害及び/若しくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰灌流は、脈絡膜及びブルッフ膜における血管漏出を誘導し、網膜色素上皮における内皮細胞喪失をもたらす。脈絡膜灌流の障害及び/若しくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰灌流及び脈絡毛細管板脱落は、コネキシン43の上方制御に起因し、コネキシン43の上方制御は、AMDの寄与原因であり得る。脈管構造が、Cxn43発現における変化と関連したAMD臓器提供者の網膜の脈絡膜に認められ、AMDにおけるコネキシン43の上方制御の役割を裏付けた。これは、網膜色素上皮変性及びドルーゼン発生が、AMDの主因であるというよりはAMDの
後段の結果である可能性があることを示す。脈絡膜血流及び脈絡膜灌流の障害及び/若しくは脈絡膜炎、または脈絡膜過剰灌流における改変は、AMDへの寄与因子にすぎない。血管漏出及び炎症は、AMD脈絡膜変化と関連し、これはその後続いて網膜血管新生と関連する。
【0637】
図44に示すように、AMDを患うヒトドナーの染色した試料において観察されたコネキシン43発現は、脈絡膜、網膜色素上皮、及びブルッフ膜に隣接した関連領域の複数の領域において上方制御された。
図44のパネルAで観察されるように、非AMDドナーは、網膜色素上皮に限定されたCxn43発現を有した。網膜色素上皮において顕著なCxn43標識が存在したが、これは、色素自体の自己蛍光によって隠された。
図44のパネルBで観察されるように、AMDと診断されたドナーにおいて、広範囲のCxn43標識が血管の外側(細胞外マトリックスの内側)で観察された。この種類の標識は、細胞外マトリックス線維芽細胞及び炎症細胞クラスタと関連し、これは、より密度の高い結合組織堆積の領域内で明らかであった。
【0638】
発明者らは、驚くべきことに、網膜におけるCxn43の制御がAMDのための見込みある治療であることを発見した。
【0639】
実施例18.抗VEGF化合物をコネキシン43調節剤共投与した急性黄斑変性(AMD)の治療
AMDを治療するために現在使用されている抗VEGF試薬の過剰な使用は脈絡毛細管板脱落につながるため、疾患の発生率を増加させる。これは、AvastinまたはLucentisで長期間治療を受けた患者における新たな地図状萎縮の発生率の増加を示すCATT 2研究によって裏付けられた(Martin DF,Maguire MG,Fine SL,Ying GS,Jaffe GJ,Grunwald JE,et al.Ophthalmology;119(7):1388-98,2012)。より小さいルセンティス分子(脈絡膜へのより優れた浸透が期待され得る)による治療を毎月受けた患者(2年にわたり平均で23回の注射)における発生率は、Avastinによる治療を受けた患者を上回った(それぞれ、29.4%対19.5%)。必要に応じて治療を受けた患者(それぞれ、2年にわたり平均で12回または24回の注射)は、より低いレベルの新たな地図状萎縮を有した(それぞれ、16%及び14%)。したがって、AMD治療の脈絡膜への浸透は、脈絡膜炎、及び網膜を育てる血管床への損傷につながり、制御されない脈絡膜炎に舞い戻る。発明者らは、驚くべきことに、この慢性サイクルが疾患進行の遮断に最も重要であることを発見した。抗VEGF試薬の過剰な使用も、毛細血管床、特に毛様体で見られるようなもの等の開窓を有する毛細血管の変性につながり得る(Ford,K.M.,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.53:7520-7527,2012)。抗癌療法におけるVEGF遮断は、脳腫瘍の局所的治療を受けた人々において腎臓の毛細血管及び甲状腺機能を損傷することが分かっている(前掲)。
【0640】
現在のAMD療法(例えば、Avastin及びLucentis)は、AMDの症状を治療して血管新生を低減させるために主に使用される。RGCの喪失を伴うAMDなどの慢性疾患について、発明者らは、治療の二段階戦略が単独の療法よりも好ましいことを理解した。まず、内網膜自体における脈絡膜炎症の進行及びRGC喪失を改善する必要がある。次に、下層の脈絡膜組織等の隣接した構造における脈絡膜炎を直接的に標的化し得る。
【0641】
抗VEGF及びコネキシン43調節剤の組み合わせによる共投与治療は、単剤療法と比べて向上した利益を患者にもたらす。共投与の利益は、投薬の頻度がより低いこと(患者の服用順守及び忍容性の増加をもたらす)、及び副作用がより少ないこと(新たな地図状萎
縮等)である。本明細書ではLucentisを使用するが、他の抗VEGF化合物または眼治療を本発明の方法において使用してもよく、これらは、例えば、Avastin、Eylea(アフリベルセプト)、補体因子D(ランパリズマブ)、抗S1P(iSONEP、ソネプシズマブ)、及び上記のAMD治療薬である。
【0642】
共投与治療は、ラニビズマブ(Lucentis)をコネキシン43調節剤投与の同日及びその前に硝子体内注射によって投与することによって達成される。ベバシズマブを含むバイアルを4℃に維持し、使用前に少なくとも1分間加振する。眼を洗浄し、通常の滅菌様式でドレープする。局所麻酔をし、検鏡を十分な露出に配置した。臨床医が注射四半部を選択し、注射用部位は縁の3.0~4.0mm前方で測定する。28または30ゲージの針を使用して、10mg/mlの濃度のベバシズマブ製剤の50μL注射(0.5mg)を投与する。注射後、臨床医の裁量で穿刺術を行い、検鏡を除去する。投薬を1カ月に1回適用する。
【0643】
次に、コネキシン43調節剤を含む製剤を、硝子体内若しくは眼内注射によって、または本明細書に記載される他の投与方法によって投与する。28または30ゲージの針を使用して、コネキシン43調節剤製剤の50μL注射を投与する。コネキシン43製剤は、配列/Pept5(「ペプチド5」)(配列番号168)であり、10mg/mlの濃度で送達媒体中に溶解させ、0.5mg(50ul)送達する。投与中の物質の還流は、緩慢で一定した速度の投与を使用することによって、ならびに物質の投与及びカニューレの引き抜き中に逆圧装置(CPD)によって穏やかな圧力を適用することによって、最低限に抑えるかまたは防止することができる。投薬は1カ月に1回(投与と同日に)適用する。用量は、0.1ug/ml、0.5ug/ml、1ug/ml、5ug/ml、2.5ug/ml、10ug/ml、50ug/ml、100ug/ml、1mg/ml、2.5mg/ml、5mg/ml、10mg/ml、25mg/ml、50mg/ml、100mg/ml、250mg/ml、または500mg/mlであることもできる。送達媒体は、1倍PBS、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、またはホウ酸塩系緩衝液であることもでき、等張性のために、NaCl濃度は、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%である。pHは、3、3.5、4、5、6、6.5、7、7.4、または8であることもできる。
【0644】
患者を光干渉断層撮影及び視力基準によって監視して、共投与治療の効果を決定する。共投与治療によって治療した患者コホートを、Lucentisのみで治療した患者群と比較すると、共投与によって治療した患者コホートは、Lucentisのみで治療した患者コホートよりも優れた視力を呈した。共投与プロトコルで治療した患者コホートは、光干渉断層撮影によって監視して、コイロイドにおける回復を呈した。
【0645】
実施例19:Rhoキナーゼ阻害剤を用いたコネキシンまたはパネキシン調節剤の製剤化
本発明は、眼表面滞留時間及び前眼房の房水における生物学的利用能を改善するように、また全身暴露を低減させるようにpHを調整した水性媒体中で製剤化された別個または共通の投与のためのRhoキナーゼ阻害剤化合物及びコネキシンまたはパネキシン調節剤の眼科用特性を改善する1つ以上の薬剤を含有する製剤を提供する。本発明は、治療的使用に好適であり、長期間の通常の使用貯蔵条件下で安定なままである、Rhoキナーゼ阻害剤化合物及びコネキシンまたはパネキシン調節剤の水性製剤を提供する。製剤は、哺乳動物における眼圧の低下に有用である。局所投与については、1~2滴のこれらの製剤を、1日1~4回、眼の表面に送達することができる。本発明の水性眼科用製剤は、眼表面上での滞留時間及び/または房水濃度の増加を、全身濃度を付随して増加させることなく有する。
【0646】
Rhoキナーゼ阻害剤化合物及びコネキシンまたはパネキシン調節剤の別個または共通の
投与に対しては、水性医薬製剤は、0.001~2%のRhoキナーゼ阻害剤化合物、1.0~50,000μMのコネキシンまたはパネキシン調節剤、約6.3~7.8のpHを維持するのに好適な緩衝液1~100mM、0.01~2%の界面活性剤、及び約200~360mOsm/kgの張性を維持するための等張化剤を含み得る(「約」は、本明細書において使用する場合、±15%を指す)。pHは約6.3~7.5であり、好ましくは、pHは約6.3~7.3である。組成物は、さらに、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、及び/または塩化マグネシウムを含むことができる。
【0647】
Rhoキナーゼ阻害剤化合物及びコネキシンまたはパネキシン調節剤の別個または共通の投与に対しては、水性製剤中のRhoキナーゼ阻害剤の濃度は、概して、0.001~2%、好ましくは0.01~0.5%、より好ましくは0.01~0.4%、より好ましくは0.03~0.2%、より好ましくは0.03~0.15、または0.03~0.1%(w/v)である。6.3~7.8のpHを維持するのに好適な緩衝液としては、クエン酸塩、リン酸塩、マレイン酸塩、またはこれらの組み合わせが挙げられる。好適な緩衝液濃度は、1~100mM、好ましくは5~50mM、より好ましくは5~25mM、最も好ましくは10~20mMである。
【0648】
コネキシン調節剤がコネキシン43調節剤である、Rhoキナーゼ阻害剤化合物及びコネキシン調節剤の別個または共通の投与については、コネキシン43調節剤は、約8μM~約20μMの最終濃度で製剤中に存在してもよく、あるいはコネキシン43調節剤は、約10μM~約20μMの最終濃度で、または約10~約15μMの最終濃度で存在する。ある特定の他の実施形態において、コネキシン43調節剤は、約10μMの最終濃度で存在する。なおも別の実施形態において、コネキシン43調節剤は、約1~15μMの最終濃度で存在する。他の実施形態において、コネキシン43調節剤は、約20μM、30μM、40μM、50μM、60μM、70μM、80μM、90μM、100μM、10~200μM、200~300μM、300~400μM、400~500μM、500~600μM、600~700μM、700~800μM、800~900μM、900~1000若しくは1000~1500μM、または1500μM~2000μM、2000μM~3000μM、3000μM~4000μM、4000μM~5000μM、5000μM~6000μM、6000μM~7000μM、7000μM~8000μM、8000μM~9000μM、9000μM~10,000μM、10,000μM~11,000μM、11,000μM~12,000μM、12,000μM~13,000μM、13,000μM~14,000μM、14,000μM~15,000μM、15,000μM~20,000μM、20,000μM~30,000μM、30,000μM~50,000μM、またはそれ以上、あるいは列挙した用量のうちのいずれか2つの間のいずれかの範囲若しくは部分範囲、または約20μM~約50,000μMの範囲内に入るいずれかの用量で、存在する。
【0649】
コネキシン調節剤がコネキシン43調節剤である、Rhoキナーゼ阻害剤化合物及びコネキシン調節剤の別個または共通の投与については、コネキシン調節剤は、上記のペプチド配列またはポリヌクレオチド配列のうちのいずれかである。いくつかの態様において、コネキシン調節剤は、ポリヌクレオチド 配列番号1であり得る。いくつかの態様において、Rhoキナーゼ阻害剤化合物は、アミノイソキノリルアミドRhopressaであり得る。
【0650】
Rhoキナーゼ阻害剤との別個または共通の共投与におけるコネキシン調節剤またはパネキシン調節剤の各々の、1日あたり体重1kgあたり約1ナノグラム(ng)~約1mgのさらに他の用量レベルが、本明細書に記載される。ある特定の実施形態において、対象化合物の各々の投与量は、一般に、体重1kg当たり約1ng~約1マイクログラム、体重1kg当たり約1ng~約0.1マイクログラム、体重1kg当たり約1ng~約10
ng、体重1kg当たり約10ng~約0.1マイクログラム、体重1kg当たり約0.1マイクログラム~約1マイクログラム、体重1kg当たり約20ng~約100ng、体重1kg当たり約0.001mg~約0.01mg、体重1kg当たり約0.01mg~約0.1mg、または体重1kg当たり約0.1mg~約1mgの範囲内である。ある特定の実施形態において、対象化合物の各々の投与量は、一般に、体重1kg当たり約0.001mg~約0.01mg、体重1kg当たり約0.01mg~約0.1mg、体重1kg当たり約0.1mg~約1mgの範囲内である。1つ超のコネキシンまたはパネキシン調節剤を使用する場合、各抗コネキシン剤の用量は、他方と同じ範囲である必要はない。例えば、1つのコネキシン調節剤またはパネキシン調節剤の用量は、体重1kgあたり約0.01mg~約10mgであってもよく、別のコネキシン調節剤またはパネキシン調節剤の用量は、体重1kgあたり約0.1mg~約1mg、体重1kgあたり0.1~約10、0.1~約20、0.1~約30、0.1~約40、または約0.1~約50mgであってもよい。用量はまた、体重1kgあたり約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、10.0、1.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、21.0、22.0、23.0、24.0、25.0、26.0、27.0、28.0、29.0、30.0、31.0、32.0、33.0、34.0、35.0、36.0、37.0、38.0、39.0、40.0、41.0、42.0、43.0、44.0、45.0、46.0、47.0、48.0、49.0、50.0、52.5、55.0、57.5、60.0、62.5、65.0、67.5、70.0、72.5、75.0、77.5、80.0、82.5、85.0、87.5、90.0、92.5、95.0、97.5、または約100.0mg、あるいは列挙した用量のうちのいずれか2つの間のいずれかの範囲若しくは部分範囲、または体重1kgあたり約0.1~約100mgの範囲内に入るいずれかの用量であってもよい。
【0651】
Rhoキナーゼ阻害剤化合物及びコネキシンまたはパネキシン調節剤の別個または共通の投与については、一実施形態において、Rhoキナーゼ阻害剤化合物及びコネキシンまたはパネキシン調節剤の併用により、いずれかのそのような薬剤の有効量が、該薬剤を単独で投与する場合の有効量と比較して低減する。ある特定の実施形態において、併用する場合の薬剤の有効量は、単独で使用する場合の薬剤の用量の約1/15~約1/2、約1/10~約1/3、約1/8~約1/6、約1/5、約1/4、約1/3、または約1/2である。別の好ましい実施形態において、Rhoキナーゼ阻害剤化合物及びコネキシンまたはパネキシン調節剤の併用により、該薬剤を投与する頻度が、該薬剤を単独で投与する場合の頻度と比較して低減する。したがって、これらの組み合わせは、所望の治療目標を達成するのに以前必要だった用量よりも低い及び/または少ない用量の各作用剤の使用を可能にする。
【0652】
一実施形態において、別個または共通の投与として共投与する場合のRhoキナーゼ阻害剤化合物及びコネキシンまたはパネキシン調節剤の用量は、本明細書に示す列挙した用量のうちのいずれかよりも、10、100、または1000倍低くてもよい。
【0653】
本発明に好適な界面活性剤(表面活性化剤)または可溶化剤は、眼科調製物における使用に許容可能なものである。界面活性剤は、イオン性または非イオン性であることができる。好ましくは、この界面活性剤は非イオン性である。有用な界面活性剤としては、ポリソルベート80、ステアリン酸ポリオキシル、チロキサポール、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポロキサマー、ポラキサミン(polaxamine)、中鎖及び長鎖脂肪酸、ならびにリン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。製剤中の界面活性剤の濃度は、約0.01~3%、好ましくは0.01~2%、より好ましくは0.1~1%w/vである。
【0654】
等張剤は、220~360mOsm/kG、好ましくは250~340mOsm/kG、最も好ましくは260~320の最終製剤張性を達成する量で存在する。等張剤は、イオン性または非イオン性であることができる。非イオン性等張剤としては、グリセロール、マンニトール、エリトリトール等の1,2-ジオールを含む化合物、及びデキストロース等の糖類が挙げられる。ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール等の、共溶媒としても機能する他の非イオン性等張剤を使用することもできる。非イオン性等張剤は、0~20%、好ましくは0~10%、より好ましくは0~5%の量で存在し得る。非イオン性薬剤は、2~6%の量で、グリセロール、マンニトール、及びデキストロースから選択することができる。
【0655】
等張剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、平衡塩類溶液、リン酸ナトリウム、またはクエン酸ナトリウム等のイオン性薬剤でもあり得る。イオン性等張剤は、0.3~1.5%、好ましくは0.6~0.9%の量で存在し得る。
【0656】
界面活性剤、等張剤、緩衝液、及び製剤に導入される任意の他の成分は、良好な水への溶解度を有し、製剤中の他の構成成分との相溶性を有することが好ましい。様々な国における保健規制は、多回投薬の眼科調製物は保存剤を含むものとしている。一実施形態において、塩化ベンザルコニウムが安全な保存剤として用いられ、塩化ベンザルコニウムは、キレート剤であるエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)と共に使用して、その抗菌活性を改善し得る。他の好適な保存剤としては、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ホウ酸塩、クロロブタノール、及び塩化ベンゼトニウムが挙げられる。典型的には、そのような保存剤は、0.001~1%、好ましくは0.001~0.25%、最も好ましくは0.001~0.2%のレベルで用いられる。
【0657】
任意選択的に、本製剤は、眼表面上の本製剤の滞留時間を増加させるために粘度向上剤を含み得る。非限定的な例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを本発明のための粘土向上剤として使用することができる。
【0658】
実施例20:コネキシン43調節剤(配列番号1)及びRhoキナーゼ阻害剤の組み合わせによる緑内障の治療方法
使用したコネキシン43調節剤はポリヌクレオチド配列番号1である。使用したRhoキナーゼ阻害剤はRhopressaである。コネキシン43調節剤(配列番号1)を、溶液中の全コネキシン43調節剤濃度100μMで、上記のようにナノ粒子送達製剤として製剤化する。水性製剤中のRhoキナーゼ阻害剤の濃度は、0.03~0.1%(w/v)であり、上記のように製剤化する。
【0659】
雄の成体ウィスターラットを、網膜虚血再潅流による緑内障についてのモデルとする。右眼を対照として、網膜虚血を左眼においてモデル化し(60分間120mmHg)、次にコネキシン43調節剤製剤(生、及び上記のように粒子中に注入したもの)を1倍PBS送達剤中の溶液として即時に硝子体内に注射する。その後、1時間以内に、Rhoキナーゼ阻害剤を点眼薬(50uL)の投与によって添加する。再潅流後、エバンスブルー染料を再潅流から4時間後に腹腔内注射し、共焦点顕微鏡法及び光干渉断層撮影を使用して血管漏出を視覚化する。網膜全組織標本を、Cxn43定量化のために8時間及び28日目に収集し、ガングリオール細胞(RGC)密度定量化のために28日目及び90日目に収集する。組み合わせ共投与で使用するものと同じ濃度で、ラットの他のコホートをコネキシン43調節剤のみで治療し、ラットの他のコホートをRhoキナーゼ阻害剤のみで治療する。
【0660】
結果は、虚血後4時間の血管漏出が、対照と比較して、Rhoキナーゼ阻害剤及びコネキ
シン43調節剤の組み合わせで治療した目のレイナルにおいて顕著に低減することを示すことになる。驚くべきことに、コネキシン43調節剤がRhoキナーゼ阻害剤の存在下で作用することが示されることになる。結果はまた、単剤治療だけによるいずれの眼とも比較して、Rhoキナーゼ阻害剤及びコネキシン43調節剤の組み合わせで治療した目について血管漏出の驚くべき低減を示すことになる。
【0661】
スポット計数も、すべてのコホートモデルについて測定した。スポット計数が、いずれの単剤治療よりもなおさら組み合わせ治療でより低減したことが示される。
【0662】
虚血後28日の後、組織の断面を、共焦点顕微鏡法及び干渉断層撮影によって観察する。平均Cxn43計数を、エバンスブルー染料で染色した試料について測定する。結果は、組み合わせ製剤がいずれの単剤投与製剤よりも低いCxn43発現をもたらすであろうことを示すことになる。
【0663】
網膜神経節細胞計数をモデルについて監視する。結果は、驚くべきことに、いずれの単剤投与治療を受けた眼及び治療を受けない眼(虚血のみ)と比べても、共投与治療についてより優れたRGC生存を示すことになる。
【0664】
実施例21:コネキシン43は糖尿病のヒトにおいて出血後に上方制御される
ヒト網膜試料をヒトドナーから得た。
図45及び46は、Cxn43(赤)及びDAPI(青)を標識した、出血近くで撮影した2枚のヒト糖尿病性網膜症網膜の画像を示し、桿体及び錐体が
図45の下部に写っている。
【0665】
傷害の際、Cxn43レベルCxn43は、傷害の結果として、皮膚において見られるような基準物におけるものをさらに上回る程度に上昇する(糖尿病ラットは治癒がより緩慢であるため)。糖尿病性網膜症において、これは、高いCxn43及び血管漏出を伴う炎症領域をもたらす。
【0666】
RGC星状膠細胞層の肥厚、小血管の蓄積、ならびにこれら及び星状膠細胞と関連した高レベルのCxn43があるように見受けられる。糖尿病患者は、Cxn43の低減及び血管喪失を有するが、出血及び血管新生の領域においてではなく、これは、炎症部位にてCxn43レベルがより高いように見受けられるためである。発明者らは、驚くべきことに、糖尿病性網膜症におけるCxn43制御が実行可能な薬物標的であることを発見した。
【0667】
実施例22.粒子製剤によるCxn43ヘミチャネルドッキングのインビトロの遮断
ナノ粒子またはミクロ粒子において製剤化したCxn43調節剤の遮断能力をインビトロで分析して、本製剤がCxn43活性を調節する能力を立証した。ミクロ粒子(MP)及びナノ粒子(Np)製剤を上記のように調製した。
【0668】
Cxn43ヘミチャネルの遮断からのインビトロの結果を
図47に示す。Cxn43 MPの溶液に8時間暴露した後、ARPE-19細胞におけるCxn43標識は低減した(
図47B)が、レベルは24時間後に正常に戻った(
図47C)。しかしながら、Cxn43 MPを充填したNp及びMpで治療した細胞は、8時間での評価と比較してより遅い時点で低減したCxn43標識を呈した。Np(
図47D)及びMp(
図47F)による8時間のインキュベーション後に、Cxn43標識化における差異は存在しなかった一方で、24時間の暴露後、Np(
図47E)及びMp(
図47G)群の両方が、低減したCxn43標識を呈し、遅延放出、及びそれに従うCxn43 MPの活性を裏付けた。各群が対照と比較して同様の細胞密度を呈し、使用した濃度ではヘミチャネル遮断に起因して生じる細胞毒性がなかったことを示した。
【0669】
天然アミノ酸からなるミクロ粒子(MP)製剤は、長期にわたる細胞培養の際に分解することで、その活性を失い得る。ウシ硝子体における天然Cxn43 MPの半減期は約2時間であり、このことは、Cxn43 MPが、保護されていない場合、14時間後に完全に分解するはずであることを予測する。これは、Cxn43ヘミチャネルが単純なCxn43 MP溶液によるインキュベーションの最初の数時間以内に遮断されながら、対照(
図47A)と比較して24時間後(
図47C)の同じ治療群におけるCxn43標識のレベルに差異がなかった理由を説明する。溶液中の天然Cxn43 MPは、その時点で完全に分解していた可能性が高く、既存のCxn43ヘミチャネルは、連続的に新たなもので置き換えられていただろう。反対に、Cxn43 MPを充填したNp及びMp群については、2つの群の間の差異は明白ではないながら、24時間でCxn43プラーク発現が漸進的に低減した(
図47E及び47)。両方の粒子がCxn43 MPを分解から保護し、その放出、及びそれに従う長期にわたるその活性を持続させたようであったが、恐らくその時点でのCxn43 MPの放出が不十分であったことに起因して、8時間以内には効果が見られなかった。しかしながら、24時間後により大きい濃度のCxn43
MPが利用可能となり、これは、ヘミチャネル遮断の増加及びCxn43ギャップ結合プラーク標識の低減と相関した。
【0670】
実施例23.網膜断面におけるGFAP標識化によって観察されたCxn43粒子製剤によるCxn43上方制御の治療
網膜断面におけるGFAP標識化によって観察されたように、上記のミクロ粒子(MP)及びナノ粒子(Np)製剤を使用して、動物モデルにおけるCxn43上方制御を調節した。
【0671】
網膜毛細管に関連するCxn43及びGFAP発現の定性的変化が網膜虚血の後に観察された(
図48)。再潅流後28日で、Cxn43は顕著に上方制御され、主にGFAPと共局在化した(
図48B)。虚血領域において際立った星状細胞増加があり、星状細胞足突起はその正常な組織立った外観を失った。Cxn43 MPを充填したNpの硝子体内注射により、28日目にあったCxn43上方制御の顕著な(p<0.01)低減がもたらされた(
図48D)。28日目及び90日目の溶液中の天然Cxn43 MP及びCxn43 MPを充填したMpは同様の結果を呈し、この結果においては、Cxn43発現が低減され、これと同時に、星状細胞がその突起を延在させ、軸索周囲のエリアの中へと増殖した(
図48C~F)。星状細胞増加と相関するCxn43スポット計数を行うと(
図48G)、網膜Cxn43も、非傷害網膜(8.9±1.3)と比較して、虚血-再潅流後28日目(80.7±7.9)に、正常レベルを顕著に(p<0.01)超えたことが明らかとなった。溶液中の天然Cxn43 MPによる治療は、28日目に21.7±5.2へと顕著に低減したCxn43スポット計数(p<0.01)につながったが、対照(p<0.05)と比較すると顕著に増加したままであった。しかしながら、Cxn43 MPを充填したNpは、Cxn43スポット計数が28日後に10.4±7.5まで下がり、非傷害対照(p>0.05)と比較して有意な差異がないという最も優れた効果を示し、その保護的及び持続的放出特性を裏付けた。Cxn43 MPを充填したMpも、非治療の虚血眼(p<0.01)と比較して、28日後(15.4±3.2)及び90日後(19.9±1.4)に見られたCxn43発現の制限が可能であり、ここでも、この時点での安定したCxn43 MPの利用能を裏付けた。
【0672】
これらの結果は、ミクロ粒子(MP)及びナノ粒子(Np)製剤が、哺乳動物の虚血誘導性モデルにおいて持続的様式でCxn43上方制御を調節し得ることを示す。
【0673】
実施例24.網膜全組織標本におけるRGC喪失によって観察されたCxn43粒子製剤によるCxn43上方制御の治療
網膜全組織標本におけるRGC喪失によって観察されたように、上記のミクロ粒子(MP)及びナノ粒子(Np)製剤を使用して、Cxn43上方制御を調節した。
【0674】
非傷害網膜の平置きにおける網膜ガンルギオン細胞(RGC)の正常な分布を
図49Aに示し、この図では、高い細胞密度及び輪郭が明確な網膜脈管構造が可視であった。非治療の虚血網膜におけるRGC変性パターンの例を
図49Bに示し、虚血-再潅流後28日のRGC分布は、血管描写のほぼ完全消失及び多くの領域で目に留まるRGCを欠く大型の斑を伴って大幅に減少される。これは、網膜が、ヘミチャネル媒介性血管透過性の増加に続く神経変性を伴う虚血性損傷に応答したことを示す。溶液中の天然Cxn43 MP(
図49C)及びNp-Cxn43 MP(
図49D)で治療した眼は、より少ないRGC喪失の斑を呈した。
図49E及びFは、いくらかのRGC喪失が明らかな、Mp-Cxn43 MPで治療した眼における28日目及び90日目でのRGC分布を例解する。RGC密度(数/mm2)の要約を
図49Gに描出する。虚血-再潅流の後、RGC密度は、28日目で、非傷害対照(2283±139)と比較して治療を受けていない動物(1605±100)において顕著に低減(p<0.01)し、細胞の70%のみが生存した。Np-Cxn43 MP群(1964±194)における密度は、溶液治療中のCxn43 MPのものと同様であった一方、Mp-Cxn43 MP治療後のRGC計数(28日目で1670±148、及び90日目で1727±221)は、RGC温存への傾向を呈したが、非治療の眼と比較して顕著な変化は呈しなかった。
【0675】
虚血-再潅流傷害は、非傷害の対照と比較して、28日目で網膜におけるRGCの顕著な喪失につながり、溶液中のCxn43 MP(p<0.05)またはNp-Cxn43 MP(p<0.01)の硝子体内注射は、非治療と比較してRGC死滅を顕著に低減し、これは、Cxn43標識の低減と相関する。より緩慢なCxn43 MPのMpからの放出も、虚血-再潅流後28日目及び90日目でCxn43レベルを減少させたが、この治療群は、RGCを救うことに失敗した。これは、傷害後の即時の急性期中のMPからの不十分な初期Cxn43 MP放出に起因し得る。加えて、Mpは、Npと比較してより大きいその粒径に起より網目構造中に捕捉され得るため、放出されたCxn43 MPは、網膜へとより長い距離拡散しなければならず、これは、酵素分解の危険性を増加させる。したがって、結果は、RGC救出効果が、継続的な徐放よりもCxn43 MPの初期バーストの方に起因し得ることを示唆し、これは、Cxn43ヘミチャネルの虚血後の遮断が早ければ早いほど良いことを示唆する。発明者らは、90日目の治療を受けていない傷害動物からのいずれのCxn43及びRGC計数データも有しないが、これまでの研究は、時間と共にRGCの死滅が顕著に増加し、56日後に50%超が喪失したことを示している(S.S.L.Chew,et al.,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.52 (201) 3620-3629.)。したがって、粒子治療は、調査した時点でのRGC生存に関して溶液中のペプチドと比較して顕著な利点を示さなかったが、持続的Cxn43 MP送達の効果は、長期的なRGC層の保存に対しては依然として有益であり得る。
【0676】
実施例26.ナノ粒子及びミクロ粒子の調製のための代替方法
ナノ粒子及びミクロ粒子の産生のための代替経路は、以下のとおりである。100mgのポリ(乳酸-グリコール酸共重合体)(PLGA)を試験管に配置した後、1mlのジクロロメタン溶媒を添加する。次に、試験管を封止し、ポリマーを一晩かけて溶解させる。別の試験管に、0.3%w/wのD-α-トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸塩(Vitamin E-TPGS、Sigma 57668)乳化剤の水中の溶液を2ml調製する。添加するポリマーの量が粒径を決定することになる。
【0677】
疎水性形態のコネキシン43調節剤については、5μgのコネキシン43調節剤を乾燥形態でPLGA溶液に添加する。試験管を、溶液が目視検査によって均質となるまでボルテ
ックスする。
【0678】
親水性形態のコネキシン43調節剤については、50ulの水溶液(1倍PBS緩衝液中のコネキシン43調節剤濃度10uMにて)をPLGA溶液に添加する。試験管を30秒間氷上に配置することで溶液を予冷した後、10秒間超音波処理して溶液中でコネキシン43調節剤を乳化させ、均質で不透明な溶液を獲得する(VWR#97043-960)。試験管を氷上に戻す。
【0679】
両方の形態のコネキシン43調節剤については、ビタミンE-TPGSの試験管を、1mlのPLGA-調節剤溶液を滴加しながら、卓上ボルテックス器(VWR Scientific # 58816-121)を使用して高いボルテックスル速度でボルテックスする。ボルテックスを15秒間継続する。
【0680】
氷水をソニケータ中に配置する。次に、エマルションを、10秒間のバースト3回(700Wのソニケータに対して40%の振幅)で超音波処理する。試験管を溶液中で動かして、均一な超音波処理を確実にする。各超音波処理は、溶液を冷却させるために5秒間隔で行う。
【0681】
次に、水中の1mlの0.3%ビタミンE-TPGSをガラスピペットによってエマルションに添加する。次に、エマルションを、360rpmで磁気撹拌する45mlの0.3%w/vのビタミンE-TPGSに滴状で移す。溶液を3時間撹拌する。
【0682】
次に、結果として得られる溶液を遠心分離管に移し、固定角ロータ遠心分離器において17,000xgで15分間遠心分離する。上清を廃棄する。次に、15mlのジH2Oを添加し、試験管をボルテックスして粒子を完全に再懸濁させる。これらのステップを4回繰り返す。最後のペレット懸濁液の液量は4~5mlである。重量比1:2のトレハロース:ポリマーを添加する(しかしながら、粒子の小さいアリコートは、SEM撮像のためにトレハロースなしで調製する)。
【0683】
その後、ナノ粒子を事前の秤量した5mlの遠心分離管に移し、最低30分間-80℃で凍結させる。続いて、ナノ粒子を5mlの体積に72時間凍結乾燥させた後、-80℃で貯蔵する。 * * *
【0684】
本明細書にて記載され特許請求される発明は、本詳細な開示において示されるか、または記載されるか、または参照されるものを含むがこれらに限定されない、多くの特質及び実施形態を有する。総括的であることは意図しておらず、本明細書にて記載され特許請求される本発明は、例示目的のみを意図する限定的ではない本詳細な開示において特定される特徴または実施形態に、またはそれらよって、限定されない。当業者は、構成成分及びパラメータの多くが、本発明の範囲から逸脱することなく、ある程度に変化若しくは改変され得るか、または既知の等価物に置き換えられ得ることを容易に認識するであろう。そのような改変及び透過物は、個々に示されるのと同じように、本明細書に組み込まれることを理解されたい。本発明はまた、本明細書で言及されるかまたは示されるステップ、特徴、組成物、及び化合物のすべてを、個々にまたは集団で、また該ステップまたは特徴のうちのいずれか2つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0685】
本明細書で参照または言及される、すべての特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、ならびに他の文書及び資料は、本発明が属する分野の当業者の技術レベルを示し、そのような参照文書及び資料の各々は、個々に全体が参照により本明細書に組み込まれるかまたは全体が本明細書に示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。出願者らは、いずれのそのような特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、電子的に利用可能な
情報、及び他の参照資料または文書からのありとあらゆる資料及び情報も、本明細書に物理的に組み込む権利を有する。本明細書におけるいずれの出願、特許、及び出版物への参照も、それらが有効な先行技術を構成するかまたは世界中のいずれの国においても共通である一般知識の一部を形成するという同意またはいずれの形の示唆としても受け取られず、またそのように受け取られるべきではない。
【0686】
本明細書に記載される特定の方法及び組成物は、好ましい実施形態の代表であり、例示的なものであり、本発明の範囲に対する制限とは意図されない。当業者であれば、他の目的、態様、及び実施形態が、本明細書を熟慮する際に思いつくことになり、これらは、特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨の内に包含される。多様な置き換え及び改変を本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく本明細書に開示の発明に行い得ることは、当業者には容易に明らかとなる。本明細書に例解として好適に記載される発明は、必須物として本明細書で具体的に開示されない、いずれの要素(単数または複数)または限定(単数または複数)の非存在下でも実施し得る。したがって、例えば、本明細書の各例において、本発明の実施形態または実施例において、「含む(comprising)」、「本質的に~からなる」、及び「からなる」という用語のいずれも、本明細書において他の2つの用語で代置されてもよい。また、「含む(「comprising」、「including」、「containing」)」等の用語は、広範かつ非限定的に読まれるべきである。本明細書に例解として好適に記載される方法及びプロセスは、異なる順序のステップで実施してもよく、これらは、必ずしも本明細書または特許請求の範囲において示されるステップの順序に限定されるものではない。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用する場合、単数形「a」、「an」、 及び「the」は、文脈によって別途明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。いかなる状況においても、本特許は、本明細書に具体的に開示される特定の実施例または実施形態または方法に限定されると解釈されるものではない。いかなる状況においても、本特許は、特許商標局の審査官または任意の他の職員若しくは従業員によってなされるいずれの声明によっても限定されると解釈されるものではないが、これは、そのような声明が、出願者による回答書面において具体的かつ条件または留保なく明確に承認される場合は除く。さらに、表題または見出し等は、読者の本文書の理解を向上させるために提供され、本発明の範囲を制限するものとして読まれるべきではない。本明細書で言及される本発明の態様、実施形態、または構成要素のいずれの例も、非限定的であると見なされるべきである。
【0687】
用いられてきた用語及び表現は、説明用語として使用されるのであって限定的ではなく、そのような用語及び表現の使用が、示され記載される特徴またはその一部のいずれの等価物をも除外するという意図はないが、様々な改変が特許請求される本発明の範囲内で可能であることが認識される。したがって、本発明を好ましい 実施形態及び任意選択的な特徴によって具体的に開示してきたが、本明細書で開示する構想の改変及び変形は、当業者に訴えるものであり得ること、ならびにそのような改変及び変形が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であると見なされることが理解されるであろう。
【0688】
本発明は、本明細書において幅広く一般的に説明されてきた。一般的な開示の範囲に入るより狭い種及び亜属のグルーピングの各々も、本発明の一部を形成する。これは、削除されたものが本明細書において具体的に列挙されているか否かにかかわらず、その属からのいずれの対象も除去する条件または否定的限定を伴う本発明の一般的な説明を含む。
【0689】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。加えて、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群に関して説明される場合、当業者は、本発明がしたがってマーカッシュ群のいずれの個々のメンバーまたはメンバーの亜群に関しても説明されることを認識するであろう。
【配列表】