(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】映像信号処理装置および映像信号処理方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/20 20060101AFI20221130BHJP
H04N 9/77 20060101ALI20221130BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20221130BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20221130BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20221130BHJP
H04N 21/431 20110101ALI20221130BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H04N5/20
H04N9/77
G09G5/00 555D
G09G5/10 B
G09G5/02 B
H04N21/431
H04N5/66 A
(21)【出願番号】P 2020060183
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕俊
(72)【発明者】
【氏名】住吉 肇
(72)【発明者】
【氏名】小林 守
【審査官】西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-320632(JP,A)
【文献】特開2007-067687(JP,A)
【文献】特開2009-025701(JP,A)
【文献】特開2007-324763(JP,A)
【文献】特開2007-036946(JP,A)
【文献】特開2009-080456(JP,A)
【文献】特開2006-093753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/20
H04N 9/77
G09G 5/00
G09G 5/10
G09G 5/02
H04N 21/431
H04N 5/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号を構成する輝度信号と色信号を入力する入力部と、
前記輝度信号に基づいて、輝度毎の画素数を示す輝度ヒストグラムを検出する検出部と、
前記輝度ヒストグラムに基づいて、前記輝度信号に対して明るさを調整する非線形処理を実行する非線形処理部と、
前記非線形処理が実行された前記輝度信号と前記色信号に基づいてRGB信号を作成する作成部と、
RGB信号に対するガンマ補正で用いられ入力値と出力値の関係を示すガンマ補正用情報を記憶する記憶部と、
前記輝度ヒストグラムに基づいて、前記ガンマ補正用情報の補正を行うガンマ補正用情報補正部と、
前記RGB信号に対して、補正後の前記ガンマ補正用情報に基づいてガンマ補正を行うガンマ補正部と、を備える映像信号処理装置。
【請求項2】
映像信号を構成する輝度信号と色信号を入力する入力部と、
前記輝度信号に基づいて、輝度毎の画素数を示す輝度ヒストグラムを検出する検出部と、
前記輝度ヒストグラムに基づいて、前記輝度信号に対して明るさを調整する非線形処理を実行する非線形処理部と、
前記非線形処理が実行された前記輝度信号と前記色信号に基づいてRGB信号を作成する作成部と、
RGB信号に対するガンマ補正で用いられるガンマ補正用情報を作成するための情報として、第1の基準ガンマ補正用情報と、前記第1の基準ガンマ補正用情報と異なる第2の基準ガンマ補正用情報と、を記憶する記憶部と、
前記輝度ヒストグラムに基づいて、前記第1の基準ガンマ補正用情報と前記第2の基準ガンマ補正用情報を合成することで、前記ガンマ補正用情報を作成するガンマ補正用情報生成部と、
前記RGB信号に対して、前記ガンマ補正用情報に基づいてガンマ補正を行うガンマ補正部と、を備える映像信号処理装置。
【請求項3】
前記映像信号の種類を特定する特定部を、さらに備え、
前記ガンマ補正用情報補正部は、さらに前記映像信号の種類に基づいて、前記ガンマ補正用情報を補正する、請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項4】
前記ガンマ補正用情報補正部は、前記輝度信号に基づいて平均輝度レベルを算出し、さらに前記平均輝度レベルに基づいて、前記ガンマ補正用情報を補正する、請求項1に記載の映像信号処理装置。
【請求項5】
映像信号を構成する輝度信号と色信号を入力する入力ステップと、
前記輝度信号に基づいて、輝度毎の画素数を示す輝度ヒストグラムを検出する検出ステップと、
前記輝度ヒストグラムに基づいて、前記輝度信号に対して明るさを調整する非線形処理を実行する非線形処理ステップと、
前記非線形処理が実行された前記輝度信号と前記色信号に基づいてRGB信号を作成する作成ステップと、
RGB信号に対するガンマ補正で用いられ入力値と出力値の関係を示すガンマ補正用情報を、前記輝度ヒストグラムに基づいて補正するガンマ補正用情報補正ステップと、
前記RGB信号に対して、補正後の前記ガンマ補正用情報に基づいてガンマ補正を行うガンマ補正ステップと、を含む映像信号処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、映像信号処理装置および映像信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輝度信号と色信号から構成される映像信号について、映像を見る人の明るさ感を向上させるために、例えば、輝度ヒストグラムに基づいて輝度信号に対して非線形処理を行う技術がある。
【0003】
そして、輝度信号に非線形処理を実行すると、色信号とのミスマッチが生じ、RGB信号に変換したときにノイズが生じてしまう場合がある。この対策として、例えば、色信号の画質処理で補正を行う技術がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、輝度信号に対して非線形処理によって大きな特性変更を行った場合に、ノイズを充分に低減することは難しい。
【0005】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、輝度信号と色信号から構成される映像信号について、輝度ヒストグラムに基づいて輝度信号に対して非線形処理を行った場合にノイズを充分に低減することができる映像信号処理装置および映像信号処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の映像信号処理装置は、映像信号を構成する輝度信号と色信号を入力する入力部と、前記輝度信号に基づいて、輝度毎の画素数を示す輝度ヒストグラムを検出する検出部と、前記輝度ヒストグラムに基づいて、前記輝度信号に対して明るさを調整する非線形処理を実行する非線形処理部と、前記非線形処理が実行された前記輝度信号と前記色信号に基づいてRGB信号を作成する作成部と、RGB信号に対するガンマ補正で用いられ入力値と出力値の関係を示すガンマ補正用情報を記憶する記憶部と、前記輝度ヒストグラムに基づいて、前記ガンマ補正用情報の補正を行うガンマ補正用情報補正部と、前記RGB信号に対して、補正後の前記ガンマ補正用情報に基づいてガンマ補正を行うガンマ補正部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態のデジタルテレビジョン受信機の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における輝度ヒストグラムを模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態におけるガンマテーブルを模式的に示すグラフである。
【
図5】
図5は、第1実施形態の信号処理部による処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態におけるガンマテーブルに関する情報を模式的に示すグラフである。
【
図8】
図8は、第2実施形態の信号処理部による処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第3実施形態の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態の信号処理部による処理を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、比較例の信号処理部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態の映像信号処理装置および映像信号処理方法について説明する。まず、実施形態の理解を容易にするために、比較例(従来技術)についてあらためて説明する。
【0009】
図11は、比較例の信号処理部の構成を示すブロック図である。この信号処理部は、例えば、デジタルテレビジョン受信機の構成の一部である。この信号処理部では、まず、入力部が、映像信号を構成する輝度信号(Y信号)と色信号(CbCr信号)を入力する。そして、輝度ヒストグラム検出部は、輝度信号に基づいて、輝度毎の画素数を示す輝度ヒストグラムを検出する。
【0010】
次に、非線形処理部は、輝度ヒストグラムに基づいて、輝度信号に対して明るさを調整する非線形処理を実行する。次に、画質処理部は、非線形処理後のY信号とCbCr信号に基づいて所定の演算処理を行ってYCbCr信号を出力する。
【0011】
次に、RGB変換部5は、三次元色空間などに基づいて、YCbCr信号をRGB(Red,Green,Blue)信号に変換する。また、記憶部は、RGB信号に対するガンマ補正で用いられ入力値と出力値の関係を示すガンマテーブルを記憶する。このガンマテーブルは、表示装置の特性(ガンマ値)に応じて予め設定される。
【0012】
そして、ガンマ補正部は、RGB信号に対して、ガンマテーブルに基づいてガンマ補正を行う。次に、出力部は、ガンマ補正後のRGB信号を出力する。表示装置は、このRGB信号に基づいて表示を行う。
【0013】
この場合、上述のように、輝度信号に非線形処理を実行していることで、色信号とのミスマッチが生じ、RGB信号に変換したときにノイズが生じてしまう場合がある。この対策として、例えば、画質処理部で色信号の補正を行うものがある。
【0014】
しかしながら、輝度信号に対して非線形処理によって大きな特性変更を行った場合に、画質処理部で色信号の補正を行っても、ノイズを充分に低減することは難しい。なぜなら、画質処理部で色信号の補正を行う場合、元の映像の同一性を維持する等の理由により、補正に制約がかかるからである。
【0015】
そこで、以下では、輝度信号と色信号から構成される映像信号について、輝度ヒストグラムに基づいて輝度信号に対して非線形処理を行った場合にノイズを充分に低減することができる技術について説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のデジタルテレビジョン受信機11の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、デジタルテレビジョン受信機11は、映像表示部14、スピーカ15、操作部16、受光部18、放送信号入力端子48,53、出力端子63,64、チューナ49,54、PSK復調器50、OFDM復調器55、映像復号器70、信号処理部51(映像信号処理装置)、音声処理部59、グラフィック処理部58、映像処理部62、OSD信号生成部61、制御部65等を備える。
【0017】
また、放送信号入力端子48及び放送信号入力端子53には、それぞれBS/CSデジタル放送受信用アンテナ47及び地上波放送受信用アンテナ52が接続される。受光部18は、リモートコントローラ17から出力される信号を受信する。
【0018】
制御部65は、デジタルテレビジョン受信機11内の各部の動作を制御する。制御部65は、CPU(Central Processing Unit)69、ROM(Read Only Memory)66、RAM(Random Access Memory)67、及び不揮発性メモリ68を備える。ROM66は、CPU69によって実行される制御プログラムを格納する。不揮発性メモリ68は、各種の設定情報及び制御情報を格納する。CPU69は、処理に必要な命令群及びデータをRAM67にロードし、処理を実行する。
【0019】
制御部65には、操作部16による操作情報、もしくは受光部18で受信されるリモートコントローラ17による操作情報が入力される。制御部65は、この操作内容を反映した各部の制御を行う。
【0020】
BS/CSデジタル放送受信用アンテナ47は、衛星デジタルテレビジョン放送信号を受信する。BS/CSデジタル放送受信用アンテナ47は、受信した衛星デジタルテレビジョン放送信号を、放送信号入力端子48を介して衛星デジタル放送用のチューナ49に出力する。チューナ49は、この放送信号からユーザが選択しているチャンネルの放送信号を選局する。チューナ49は、選局した放送信号をPSK復調器50に出力する。PSK(Phase Shift Keying)復調器50は、チューナ49により選局された放送信号をデジタルの映像信号及び音声信号に復調する。PSK復調器50は、復調したデジタルの映像信号及び音声信号を映像復号器70に出力する。
【0021】
地上波放送受信用アンテナ52は、地上デジタルテレビジョン放送信号を受信する。地上波放送受信用アンテナ52は、地上デジタルテレビジョン放送信号を、放送信号入力端子53を介してチューナ54に出力する。チューナ54は、この放送信号からユーザが選択しているチャンネルの放送信号を選局する。チューナ54は、選局した放送信号をOFDM復調器55に出力する。OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調器55は、チューナ54により選局された放送信号をデジタルの映像信号及び音声信号に復調する。OFDM復調器55は復調したデジタルの映像信号及び音声信号を映像復号器70に出力する。
【0022】
映像復号器70は、MPEG2、H.264/MPEG-4 AVC、H.265(ISO/IEC 23008-2 HEVC)などといった動画圧縮規格によって映像符号化がされた映像信号を復号し、信号処理部51に出力する。
【0023】
信号処理部51は、映像復号器70で復号されたデジタルの映像信号及び音声信号に対して所定のデジタル信号処理を施す。信号処理部51は、所定のデジタル信号処理を施した映像信号及び音声信号を、グラフィック処理部58及び音声処理部59に出力する。
【0024】
グラフィック処理部58は、信号処理部51から出力されるデジタル映像信号に、OSD(On Screen Display)信号生成部61で生成されるメニュー等のOSD信号を重畳する。グラフィック処理部58は、OSD信号が重畳された映像信号を映像処理部62に出力する。また、グラフィック処理部58は、信号処理部51の出力である映像信号と、OSD信号生成部61の出力であるOSD信号とを選択的に出力してもよい。
【0025】
映像処理部62は、入力されたデジタル映像信号を、映像表示部14で表示可能なアナログ映像信号に変換する。映像処理部62は、このアナログ映像信号を映像表示部14に出力する。映像表示部14は、入力されたアナログ映像信号に基づいて映像を表示する。映像処理部62はさらに、出力端子63を介してアナログ映像信号を外部に導出してもよい。
【0026】
音声処理部59は、入力されたデジタル音声信号を、スピーカ15で再生可能なアナログ音声信号に変換する。音声処理部59は、このアナログ音声信号をスピーカ15に出力する。スピーカ15は、入力されたアナログ音声信号に基づいて音声を再生する。音声処理部59はさらに、出力端子64を介してアナログ音声信号を外部に導出してもよい。
【0027】
次に、
図2を参照して、第1実施形態の信号処理部51の構成について説明する。
図2は、第1実施形態の信号処理部51の構成を示すブロック図である。信号処理部51は、入力部1、輝度ヒストグラム検出部2(検出部)、非線形処理部3、画質処理部4、RGB変換部5(RGB作成部)、ガンマテーブル補正部6(ガンマ補正用情報補正部)、記憶部7、ガンマ補正部8、出力部9を備える。
【0028】
入力部1は、映像信号を構成する輝度信号(Y信号)と色信号(CbCr信号)を入力する。
【0029】
輝度ヒストグラム検出部2は、輝度信号に基づいて、輝度毎の画素数を示す輝度ヒストグラムを検出する。ここで、
図3は、第1実施形態における輝度ヒストグラムを模式的に示す図である。輝度ヒストグラムは、一例として、横軸を輝度とし、縦軸を度数(画素数)としたヒストグラムである。
【0030】
図2に戻って、非線形処理部3は、輝度ヒストグラムに基づいて、輝度信号に対して明るさを調整する非線形処理を実行する。
【0031】
画質処理部4は、非線形処理後のY信号とCbCr信号に基づいて所定の演算処理を行ってYCbCr信号を出力する。
【0032】
RGB変換部5は、三次元色空間などに基づいて、YCbCr信号をRGB信号に変換する。
【0033】
記憶部7は、RGB信号に対するガンマ補正で用いられ入力値と出力値の関係を示すガンマテーブル(ガンマ補正用情報)を記憶する。このガンマテーブルは、表示装置(映像表示部14)の特性(ガンマ値)に応じて予め設定される。ここで、
図4は、第1実施形態におけるガンマテーブルを模式的に示すグラフである。横軸は入力値で、縦軸は出力値である。ガンマテーブルLは、一例として図示のように設定される。
【0034】
図2に戻って、ガンマテーブル補正部6は、輝度ヒストグラムに基づいて、ガンマテーブルの補正を行う。ガンマテーブル補正部6は、例えば、輝度ヒストグラムに基づいて、非線形処理部3によって実行される非線形処理による輝度信号と色信号のミスマッチの度合いが減少するように、予め設定された関数、マップ、テーブル等のデータに基づいて、ガンマテーブルの補正を行う。
【0035】
ガンマ補正部8は、RGB信号に対して、補正後のガンマテーブルに基づいてガンマ補正を行う。出力部9は、ガンマ補正後のRGB信号をグラフィック処理部58(
図1)に出力する。
【0036】
次に、
図5を参照して、第1実施形態の信号処理部51による処理について説明する。
図5は、第1実施形態の信号処理部51による処理を示すフローチャートである。
【0037】
まず、ステップS1において、入力部1は、輝度信号(Y信号)と色信号(CbCr信号)を入力する。
【0038】
次に、ステップS2において、輝度ヒストグラム検出部2は、輝度信号に基づいて、輝度毎の画素数を示す輝度ヒストグラムを検出する。
【0039】
次に、ステップS3において、非線形処理部3は、輝度ヒストグラムに基づいて、輝度信号に対して明るさを調整する非線形処理を実行する。
【0040】
次に、ステップS4において、画質処理部4は、非線形処理後のY信号とCbCr信号に基づいて所定の演算処理を行ってYCbCr信号を出力する。
【0041】
次に、ステップS5において、RGB変換部5は、三次元色空間などに基づいて、YCbCr信号をRGB信号に変換する。
【0042】
次に、ステップS6において、ガンマテーブル補正部6は、輝度ヒストグラムに基づいて、ガンマテーブルの補正を行う。
【0043】
次に、ステップS7において、ガンマ補正部8は、RGB信号に対して、補正後のガンマテーブルに基づいてガンマ補正を行う。
【0044】
次に、ステップS8において、出力部9は、ガンマ補正後のRGB信号をグラフィック処理部58(
図1)に出力する。
【0045】
このように、第1実施形態のデジタルテレビジョン受信機11によれば、ガンマテーブル補正部6によって輝度ヒストグラムに基づいたガンマテーブルの補正を行うことによって、輝度ヒストグラムに基づいて輝度信号に対して非線形処理を行った場合でもノイズを充分に低減することができる。したがって、ノイズの少ない高画質な映像を実現できる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の信号処理部51について説明する。第1実施形態と同様の事項については、重複する説明を適宜省略する。
図6は、第2実施形態の信号処理部51の構成を示すブロック図である。
図6の信号処理部51は、
図2の信号処理部51と比較して、記憶部7が記憶する情報が異なっており、また、ガンマテーブル補正部6がガンマテーブル作成部6aに置き換えられている。
【0047】
記憶部7は、RGB信号に対するガンマ補正で用いられるガンマテーブルを作成するための情報として、第1の基準ガンマテーブル(第1の基準ガンマ補正用情報)と、第1の基準テーブルと異なる第2の基準ガンマテーブル(第2の基準ガンマ補正用情報)と、を記憶する。
【0048】
ガンマテーブル作成部6aは、輝度ヒストグラムに基づいて、非線形処理部3によって実行される非線形処理による輝度信号と色信号のミスマッチの度合いが減少するように、第1の基準ガンマテーブルと第2の基準ガンマテーブルを合成することで、ガンマテーブルを作成する。
【0049】
ガンマテーブル作成部6aは、例えば、輝度ヒストグラムに基づいて、以下の式(1)を用いて第1の基準ガンマテーブルと第2の基準ガンマテーブルを合成することで、ガンマテーブルを作成する。
【0050】
ガンマテーブル=第1の基準ガンマテーブル-{(第1の基準ガンマテーブル-
第2の基準ガンマテーブル)*補正係数} ・・・式(1)
なお、補正係数は急激な変動を抑えるために、決められた変化幅以内で増減することで、求められる。輝度ヒストグラムに基づく計算値が現在の値より、大きい場合と、小さい場合により、場合分けされ、計算される。また、0から1の範囲の値をとるように正規化される。
【0051】
ここで、
図7は、第2実施形態におけるガンマテーブルに関する情報を模式的に示すグラフである。横軸は入力値で、縦軸は出力値である。ガンマテーブル作成部6aは、輝度ヒストグラムに基づいて、第1の基準ガンマテーブルL1と第2の基準ガンマテーブルL2を合成することで、ガンマテーブルL3を作成する。
【0052】
図8は、第2実施形態の信号処理部51による処理を示すフローチャートである。
図8は、
図5と比較して、ステップS6がステップS6aに置き換えられている点で相違する。ステップS5の後、ステップS6において、ガンマテーブル作成部6aは、輝度ヒストグラムに基づいて、第1の基準ガンマテーブルと第2の基準ガンマテーブルを合成することで、ガンマテーブルを作成する。ステップS6aの後、ステップS7に進む。
【0053】
このように、第2実施形態のデジタルテレビジョン受信機11によれば、ガンマテーブル作成部6aが、輝度ヒストグラムに基づいて、非線形処理部3によって実行される非線形処理による輝度信号と色信号のミスマッチの度合いが減少するように、予め設定されている2つのテーブルである第1の基準ガンマテーブルと第2の基準ガンマテーブルを合成することで、より適切なガンマテーブルを作成することができる。
【0054】
なお、基準ガンマテーブルは2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0055】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の信号処理部51について説明する。なお、この第3実施形態は第1実施形態をベースとしているので、第1実施形態と同様の事項については、重複する説明を適宜省略する。
図9は、第3実施形態の信号処理部51の構成を示すブロック図である。
図2と比較して、特定部10が追加されている点で相違する。
【0056】
特定部10は、映像信号の種類を特定する。そして、ガンマテーブル補正部6は、さらに映像信号の種類に基づいて、ガンマテーブルを補正する。例えば、映像信号がHDR(High Dynamic Range)放送信号の場合、基準白が他の映像信号の場合と異なる。具体的には、SDR(Standard Dynamic Range)放送信号の基準白は100%であるが、HDR放送信号における基準白は75%にすることがARIB(Association of Radio Industries and Businesses:一般社団法人電波産業会)の技術資料TR-B43で定義されている。
【0057】
つまり、SDR放送信号とHDR放送信号では基準白が異なるので、ガンマテーブル補正部6は、この違いも踏まえてガンマテーブルを補正する。
【0058】
図10は、第3実施形態の信号処理部51による処理を示すフローチャートである。
図10は、
図5と比較して、ステップS5の後にステップS51が追加されている点と、ステップS6がステップS6bに置き換えられている点で相違する。
【0059】
ステップS5の後、ステップS51において、特定部10は、映像信号の種類を特定する。
【0060】
次に、ステップS6bにおいて、ガンマテーブル補正部6は、映像信号の種類と輝度ヒストグラムに基づいて、ガンマテーブルの補正を行う。ステップS6bの後、ステップS7に進む。
【0061】
このように、第3実施形態のデジタルテレビジョン受信機11によれば、輝度ヒストグラムだけでなく、映像信号の種類によって、ガンマテーブルの補正内容を変えることにより、より高画質な映像を実現できる。
【0062】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の信号処理部51について説明する。なお、この第4実施形態は第1実施形態をベースとしているので、第1実施形態と同様の事項については、重複する説明を適宜省略する。第4実施形態では、ガンマテーブル補正部6(
図2)は、輝度信号に基づいて平均輝度レベル(APL:Average Picture Level)を算出し、さらにこの平均輝度レベルに基づいて、ガンマテーブルを補正する。
【0063】
このように、第4実施形態のデジタルテレビジョン受信機11によれば、輝度ヒストグラムだけでなく、平均輝度レベルも用いて、ガンマテーブルの補正内容を変えることにより、より高画質な映像を実現できる。例えば、OLED(Organic Light-Emitting Diode)表示装置とLCD(Liquid Crystal Display)では、暗部の振る舞いが異なるので、ガンマテーブル補正部6は、この違いも踏まえて平均輝度レベルも用いてガンマテーブルを補正する。
【0064】
このように、第4実施形態のデジタルテレビジョン受信機11によれば、輝度ヒストグラムだけでなく、平均輝度レベルも用いてガンマテーブルの補正内容を変えることにより、より高画質な映像を実現できる。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0066】
例えば、第2実施形態と第3実施形態を組み合わせたり、第2実施形態と第4実施形態を組み合わせたりしてもよい。
【0067】
また、ガンマテーブルの記憶場所は、信号処理部51に限定されず、制御部65であってもよい。
【0068】
また、本発明の映像信号処理装置(上述の実施形態では信号処理部51)の適用先は、デジタルテレビジョン受信機11に限定されず、ほかに、セットトップボックス、HDD(Hard Disk Drive)レコーダなどであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1…入力部、2…輝度ヒストグラム検出部、3…非線形処理部、4…画質処理部、5…RGB変換部、6…ガンマテーブル補正部、7…記憶部、8…ガンマ補正部、9…出力部、10…特定部、11…デジタルテレビジョン受信機、51…信号処理部