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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/67 20060101AFI20221130BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H01L21/68 Z
H01L21/30 562
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020158387
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052174
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2021-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】中田 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】東 徹
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-17604(JP,A)
【文献】特開2003-7670(JP,A)
【文献】特開平10-146744(JP,A)
【文献】特開2020-88194(JP,A)
【文献】特開2018-160586(JP,A)
【文献】特開2015-37159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のグループに分けられた基板ごとに設定される順次処理基板データに基づいて、前記基板を順次に搬送しつつ、前記基板に対して処理を行う順次処理部と、
前記グループごとに設定される同時処理基板データに基づいて、前記グループごとに前記基板を同時に処理する同時処理部と、
前記順次処理基板データに基づいて前記順次処理部における前記基板に対する搬送および前記処理を制御し、前記同時処理基板データに基づいて前記同時処理部における前記基板への処理を制御する制御部と
を備え、
前記同時処理基板データは、前記グループを識別するグループ識別情報と、前記グループに属する前記基板を互いに区別する基板番号と、前記グループにおける前記基板の搬送方向についての位置たる搬送位置を示す位置情報と、前記グループに属する前記基板に共通してなされる処理内容を規定するためのレシピ情報とを含み、
前記順次処理基板データは、前記順次処理基板データに対応する前記基板についての前記位置情報と、前記グループ識別情報と、前記レシピ情報とを含み、
前記制御部は、前記同時処理基板データから前記順次処理基板データを生成し、前記順次処理基板データから前記同時処理基板データを生成する、基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記同時処理基板データの一の前記基板番号と、前記一の前記基板番号に対応する前記位置情報と、前記レシピ情報と、最終情報とを用いて、前記一の前記基板番号に対応する前記基板についての前記順次処理基板データを生成し、
前記最終情報は、前記一の前記基板番号に対応する前記基板が属する前記グループにおいて、前記一の前記基板番号に対応する前記基板が前記搬送方向についての最後尾であるか否かを示す、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記同時処理基板データの一の前記基板番号と、前記一の前記基板番号に対応する前記位置情報と、前記グループ識別情報と、前記レシピ情報とを用いて、前記一の前記基板番号に対応する前記基板についての前記順次処理基板データを生成する、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記順次処理部は、前記同時処理部へ前記基板を払い出す出口部を含み、
前記出口部は、前記出口部における前記基板の存否を検出するセンサを有し、
前記センサによって第1の前記基板が検出されることなく第2の前記基板が検出され、かつ前記第1の前記基板の欠如が確認されたとき、前記制御部は前記第1の前記基板についての前記順次処理基板データを用いずに、前記第2の前記基板についての前記順次処理基板データを用いて前記同時処理基板データを生成し、
前記第1の前記基板と前記第2の前記基板は同じ前記グループに属し、
前記第1の前記基板の前記位置情報または前記第2の前記基板の前記位置情報は、前記第1の前記基板が前記第2の前記基板よりも上流側であることを示す、請求項2または請求項3記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記順次処理部は、前記同時処理部へ前記基板を払い出す出口部を含み、
前記出口部は、前記出口部における前記基板の存否を検出するセンサを有し、
前記センサによって第1の前記基板が、第2の前記基板が検出されることなく検出されたときに、前記制御部は前記第2の前記基板についての前記順次処理基板データを用いずに、前記第1の前記基板についての前記順次処理基板データを用いて前記同時処理基板データを生成し、
前記第1の前記基板と前記第2の前記基板とは同じグループに属し、
前記第1の前記基板の前記位置情報または前記第2の前記基板の前記位置情報は、前記第1の前記基板が前記第2の前記基板よりも上流側であることを示す、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記順次処理部は、前記同時処理部から前記基板を受け取る入口部を含み、
前記入口部は、前記入口部における前記基板の存否を検出するセンサを有し、
前記入口部における前記センサによって第3の前記基板が検出されることなく、第4の前記基板が検出されたときに、前記制御部は前記第3の前記基板についての前記順次処理基板データを生成せずに、前記第4の前記基板についての前記順次処理基板データを生成し、
前記第3の前記基板と前記第4の前記基板とは同じグループに属する、請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の基板処理装置。
【請求項7】
複数のグループに分けられた基板ごとに設定される順次処理基板データに基づいて、前記基板を順次に搬送しつつ、前記基板に対して処理を行う順次処理と、
前記グループごとに設定される同時処理基板データに基づいて、前記グループごとに前記基板を同時に処理する同時処理と
を備える基板処理方法であって、
前記順次処理基板データに基づいて前記順次処理における前記基板に対する搬送および前記処理が制御され、
前記同時処理基板データに基づいて前記同時処理における前記基板への処理が制御され、
前記同時処理基板データは、前記グループを識別するグループ識別情報と、前記グループに属する前記基板を互いに区別する基板番号と、前記グループにおける前記基板の搬送方向についての位置たる搬送位置を示す位置情報と、前記グループに属する前記基板に共通してなされる処理内容を規定するためのレシピ情報とを含み、
前記順次処理基板データは、前記順次処理基板データに対応する前記基板についての前記位置情報と、前記グループ識別情報と、前記レシピ情報とを含み、
前記同時処理基板データから前記順次処理基板データが生成され、前記順次処理基板データから前記同時処理基板データが生成される、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理のスループットを向上するために、複数の基板を一纏まりとして装置間を搬送させる技術が提案されている。例えば順次処理装置(これは後に詳述される)へと複数の基板が一括して搬送される。基板は順次処理装置において1枚ずつ順次に搬送されつつ処理が行われる。処理された複数の基板は同時処理装置(これは後に詳述される)へ一括して搬送される。
【0003】
例えば下記の特許文献1では、個別基板データに基づいて順次処理装置における複数の基板の各々に対する搬送および処理が制御され、全体基板データに基づいて同時処理装置における複数の基板の搬送および処理が制御される技術が開示される。個別基板データおよび全体基板データのいずれにもレシピ情報が含まれる。レシピ情報によって基板への処理内容が規定される。一纏まりとなった複数の基板のレシピ情報は共通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-17604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の基板の纏まり(以下「グループ」とも称す)ごとにレシピ情報が共通するとき、グループごとに基板の搬送および処理が管理されることが望まれる。例えば順次処理装置から同時処理装置へと搬送される基板が、どのグループに属しているのかが管理されることが望ましい。例えばあるグループに属する基板のいずれかが順次処理装置において除去されても、かかる管理が望ましい。
【0006】
本願に開示される基板処理装置および基板処理方法は、グループごとに基板の搬送および処理を管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示される基板処理装置は、順次処理部と、同時処理部と、制御部とを備える。前記順次処理部は、複数のグループに分けられた基板ごとに設定される順次処理基板データに基づいて、前記基板を順次に搬送しつつ、前記基板に対して処理を行う。前記同時処理部は、前記グループごとに設定される同時処理基板データに基づいて、前記グループごとに前記基板を同時に処理する。前記制御部は、前記順次処理基板データに基づいて前記順次処理部における前記基板に対する搬送および前記処理を制御し、前記同時処理基板データに基づいて前記同時処理部における前記基板への処理を制御する。
【0008】
前記同時処理基板データは、前記グループを識別するグループ識別情報と、前記グループに属する前記基板を互いに区別する基板番号と、前記グループにおける前記基板の搬送方向についての位置たる搬送位置を示す位置情報と、前記グループに属する前記基板に共通してなされる処理内容を規定するためのレシピ情報とを含む。
【0009】
前記順次処理基板データは、前記順次処理基板データに対応する前記基板についての前記位置情報と、前記グループ識別情報と、前記レシピ情報とを含む。
【0010】
前記制御部は、前記同時処理基板データから前記順次処理基板データを生成し、前記順次処理基板データから前記同時処理基板データを生成する。
【0011】
本願に開示される基板処理方法は、順次処理と同時処理とを備える。前記順次処理は、複数のグループに分けられた基板ごとに設定される順次処理基板データに基づいて、前記基板を順次に搬送しつつ、前記基板に対して処理を行う。前記同時処理は、前記グループごとに設定される同時処理基板データに基づいて、前記グループごとに前記基板を同時に処理する。
【0012】
前記同時処理基板データは、前記グループを識別するグループ識別情報と、前記グループに属する前記基板を互いに区別する基板番号と、前記グループにおける前記基板の搬送方向についての位置たる搬送位置を示す位置情報と、前記グループに属する前記基板に共通してなされる処理内容を規定するためのレシピ情報とを含む。
【0013】
前記順次処理基板データは、前記順次処理基板データに対応する前記基板についての前記位置情報と、前記グループ識別情報と、前記レシピ情報とを含む。
【0014】
前記同時処理基板データから前記順次処理基板データが生成され、前記順次処理基板データから前記同時処理基板データが生成される。
【発明の効果】
【0015】
本願に開示される基板処理装置および基板処理方法は、グループごとに基板の搬送および処理を管理する。
【0016】
本願明細書に開示される技術に関する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
図2】順次処理装置の構成の一例を概略的に示す側面図である。
図3】同時処理装置の構成の一例を概略的に示す平面図である。
図4】制御部の構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
図5】同時処理基板データの一例を概略的に示す図である。
図6】カセットにおいて複数の基板が収容される態様を模式的に示す図である。
図7】カセットにおいて複数の基板が収容される態様を模式的に示す図である。
図8】同時処理基板データの一例を概略的に示す図である。
図9】同時処理基板データの一例を概略的に示す図である。
図10】同時処理装置の基板搬送の事例を概略的に示す平面図である。
図11】順次処理基板データの一例を概略的に示す図である。
図12】順次処理基板データの一例を概略的に示す図である。
図13】順次処理装置の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。
図14】順次処理装置の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。
図15】順次処理基板データの一例を概略的に示す図である。
図16】順次処理装置の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。
図17】順次処理装置の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。
図18】順次処理装置の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。
図19】順次処理装置の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。
図20】同時処理装置および順次処理装置における動作の流れを例示するフローチャートである。
図21】ステップS3の詳細を例示するフローチャートである。
図22】ステップS5の詳細を例示するフローチャートである。
図23】ステップS509の詳細を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略および構成の簡略化がなされるものである。また、図面に示される構成の大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0019】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0020】
また、以下に記載される説明において、「第1」または「第2」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0021】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
【0022】
<1.基板処理装置の全体構成・全体動作>
図1は、基板処理装置1の構成の一例を概略的に示す図である。図1の例では、基板処理装置1はコータ/デベロッパ装置であり、主として、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、塗布関連装置14、プリベーク装置15、現像装置17およびポストベーク装置18の各処理装置を備える。また、基板処理装置1の一方側には、基板処理装置1に対して基板を搬入、搬出するインデクサ部11が配置される。さらに基板処理装置1の他方側に図示しないインターフェイス部を介して露光装置16が配置される。
【0023】
インデクサ部11から露光装置16までの行きラインには、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、塗布関連装置14およびプリベーク装置15がこの順で配置される。露光装置16からインデクサ部11までの帰りラインには、現像装置17およびポストベーク装置18がこの順で配置される。
【0024】
インデクサ部11には複数の基板を収納する複数のカセット(図示省略)が載置される。基板は、例えば液晶表示装置に用いられる矩形状のガラス基板である。インデクサ部11には、搬送部としてのインデクサロボット(図示省略)が配置されている。インデクサロボットはカセットから基板を取り出し、この基板を洗浄装置12へと搬送する。洗浄装置12においては、基板に洗浄処理が行われる。洗浄処理が行われた基板は、脱水ベーク装置13に搬送される。脱水ベーク装置13においては、加熱により脱水処理(脱水ベーク処理)が行われる。脱水ベーク処理が行われた基板は、塗布関連装置14に搬送され、レジストの塗布処理を含む各種の処理が行われる。この処理が行われた基板は、プリベーク装置15に搬送され、加熱処理が行われる。加熱処理が行われた基板は、露光装置16に搬送され、露光処理が行われる。
【0025】
これらの処理が行われた基板は、現像装置17に搬送され、現像処理が行われる。現像処理が行われた基板は、ポストベーク装置18に搬送され、加熱処理が行われる。その後、該基板は、インデクサロボットによってインデクサ部11に載置されるカセットに収容される。これらの一連の処理により、基板の表面にはレジストのパターンが形成される。
【0026】
以下では第1の処理が第2の処理に先だって行われるとき、第1の処理を行う装置は第2の処理を行う装置の「上流」にあると説明され、第2の処理を行う装置は第1の処理を行う装置の「下流」にあると説明される。インデクサ部11は洗浄装置12に対して上流にあり、かつポストベーク装置18に対して下流にある。「上流」「下流」という用語は装置や当該装置を構成する諸要素に対してのみならず、搬送される基板の位置関係を説明する場合にも採用される。
【0027】
<2.処理装置のタイプ>
この基板処理装置1では、処理装置のタイプとして次の2つのタイプの処理装置が混在している。すなわち、基板を順次に一方向に搬送しつつ当該基板に対して1枚ずつ処理を行う順次処理装置(平流し処理装置)と、N(2以上の整数)枚の基板に対して一括して同時に処理可能な同時処理装置とが混在する。なお同時処理装置によるN枚の基板の処理期間は完全に一致する必要はなく、各処理期間の少なくとも一部が重なっていればよい。要するに、ここでいう同時とは、各処理期間が全く重ならない状態と対比した意味で用いられる。順次処理装置としては、洗浄装置12および現像装置17が例示され、同時処理装置としては、脱水ベーク装置13、塗布関連装置14、プリベーク装置15およびポストベーク装置18が例示される。
【0028】
順次処理装置は基板処理装置1の一部分である順次処理部であるとみることができる。同時処理装置は基板処理装置1の一部分である同時処理部であるとみることができる。
【0029】
<2-1.順次処理装置>
図2は、順次処理装置30の構成の一例を概略的に示す側面図である。順次処理装置30は処理装置本体32と基板導出部33とを備えており、順次処理装置30の直前には、基板導入部(受入部)31が設けられている。基板導入部31は上流の装置から搬送される複数(N枚)の基板Wを一括的に受け入れる。処理装置本体32は基板導入部31から搬送される複数の基板Wを1枚ずつ順次に受け取り、この基板Wを一方向(搬送方向:図2においては左側から右側へ向かう方向)に沿って搬送させつつ、基板Wに対して各種の処理を行う。処理後の基板Wは処理装置本体32から基板導出部33へと搬送される。基板導出部33は処理装置本体32から搬送された複数の基板Wを順次に受け取る。基板導出部33は順次に受け取った基板Wを複数(N枚)保持することができる。複数の基板Wは基板導出部33から一括して取り出されて、下流の装置へと搬送される。なお基板導入部31は順次処理装置30に含まれている、とみなしても構わない。基板導入部31は順次処理装置30の入口部として機能でき、基板導出部33は順次処理装置30の出口部として機能できる。以下ではN=2の場合が例示される。
【0030】
<2-1-1.基板導入部31>
基板導入部31は搬送機構としての複数のローラ311および複数のローラ313と、センサ314,315とを有している。ローラ311,313の断面は円形状を有しており、ローラ311,313は、その中心軸が基板Wの搬送方向に略垂直かつ略水平となるように設けられる。ここでいう搬送方向とは、順次処理装置30における基板Wの搬送方向である。複数のローラ311は搬送方向に沿って間隔を空けて並んで設けられる。各ローラ311は自身の中心軸を回転軸として回転することができる。各ローラ311の中心軸における両端は、それぞれ支持板(不図示)に回転可能に固定される。この一対の支持板は搬送方向に沿って延びる板状部材であり、床面に設けられた所定の架台312に固定される。複数のローラ313は搬送方向に沿って間隔を空けて並んで設けられる。ローラ313はローラ311よりも下流側に位置しており、ローラ311と同じ高さに設けられている。各ローラ313は自身の中心軸を回転軸として回転することができる。各ローラ313の中心軸における両端は、それぞれ支持板に回転可能に固定される。
【0031】
複数のローラ311は駆動部(不図示)によって駆動されて、予め定められた同じ方向に略等しい回転速度で回転(同期回転)する。駆動部はモータを有している。複数のローラ311の上には、基板Wが載置される。基板Wはその主面の法線方向が鉛直方向(図2においては上下方向)に沿うように載置される。この状態で、複数のローラ311が同じ方向に同期回転することにより、基板Wはローラ311の上を搬送方向に沿って処理装置本体32へと移動する。複数のローラ313も駆動部(不図示)によって駆動されて同期回転する。ローラ311,313は互いに異なる駆動部によって駆動されるので、互いに独立して制御される。
【0032】
ローラ311,313の上には、1枚ずつ基板Wが載置される。例えばインデクサ部11から2枚の基板Wがローラ311,313の上に載置されてもよい。この状態でローラ313のみが同期回転することにより、ローラ313上の基板Wを処理装置本体32へと搬送できる。次にローラ311,313の両方が同期回転することにより、ローラ313上の基板Wを処理装置本体32へと搬送できる。
【0033】
センサ314はローラ311上の停止位置に基板Wが存在しているか否かを検出する。センサ315はローラ313上の停止位置に基板Wが存在しているか否かを検出する。センサ314,315は例えば光学式のセンサであって、基板Wからの反射光を受光したときに、基板Wを検出する。センサ314,315の検出結果は制御部60へと出力される。
【0034】
以下では、2枚の基板Wの一方を基板W1とも呼び、他方を基板W2とも呼ぶ。ここでは、基板W1は基板W2よりも上流側に位置するものとする。
【0035】
<2-1-2.基板導出部33>
基板導出部33は、処理装置本体32から順次に搬送される基板Wの複数(N枚)を保持することができる。基板導出部33が保持可能な基板Wの枚数は、次の同時処理装置40(例えば順次処理装置30が洗浄装置12であれば、脱水ベーク装置13)で処理可能な基板Wの枚数と同じである。ここでは、一例として、基板導出部33は2枚の基板Wを保持し、同時処理装置40は2枚の基板Wに対して同時に処理を行うものとする。
【0036】
基板導出部33は、搬送機構としての複数のローラ331および複数のローラ332と、センサ334,335とを備えている。ローラ331,332の断面は円形状を有している。ローラ331は、その中心軸が基板Wの搬送方向に垂直かつ水平となるように搬送方向に沿って間隔を空けて配置される。ローラ332はローラ331よりも下流側に配置される。ローラ332はローラ331と同様の姿勢で搬送方向に沿って間隔を空けて配置される。各ローラ331,332の中心軸における両端は、それぞれ支持板(不図示)に回転可能に固定される。複数のローラ331は駆動部(不図示)によって同期回転し、複数のローラ332は駆動部(不図示)によって同期回転する。ローラ331およびローラ332は互いに異なる駆動部によって駆動されるので、互いに独立して制御可能である。各駆動部は例えばモータを有する。
【0037】
ローラ331,332は、互いに同じ高さに設けられている。基板Wは処理装置本体32からローラ331へと搬送され、適宜にローラ331からローラ332へと搬送される。後に説明するように、ローラ331の上には1枚の基板Wが停止し、ローラ332の上には1枚の基板Wが停止する。これにより、基板導出部33は2枚の基板Wを保持することができる。
【0038】
センサ334はローラ331上の停止位置に基板Wが存在しているか否かを検出する。センサ335はローラ332上の停止位置に基板Wが存在しているか否かを検出する。センサ334,335は例えば光学式のセンサであって、基板Wからの反射光を受光したときに、基板Wを検出する。センサ334,335の検出結果は制御部60へと出力される。
【0039】
基板導出部33は処理装置本体32から2枚の基板Wを順次に受け取り、これらを保持することができる。以下ではまず、簡単のために2枚の基板Wが一括して処理される場合について説明する。N枚の基板Wが一括されずに処理される場合については、後に詳述される。
【0040】
まず1枚目の基板Wはローラ331,332が同期回転することで、ローラ332の上の停止位置まで搬送される。具体的には、センサ334,335の両方が基板Wを検出していないときに、ローラ331,332を同期回転させて、処理装置本体32からの基板Wを基板導出部33へと搬送する。そしてセンサ335が基板Wを検出したときにローラ332の同期回転を停止する。これにより、1枚目の基板W(下流側の基板W2)はローラ332上で停止して支持される。2枚目の基板W(上流側の基板W1)に対しては、ローラ332を回転させず、ローラ331を同期回転させることにより、ローラ331の停止位置まで当該基板Wを搬送する。具体的にはセンサ334が基板Wを検出したときにローラ331の同期回転を停止する。つまり、センサ334,335の両方が基板Wを検出しているときに、ローラ331の同期回転を停止する。これにより、2枚目の基板Wはローラ331上で停止して支持される。このように基板導出部33は2枚の基板Wを保持することができる。
【0041】
<2-1-3.処理装置本体32>
処理装置本体32は搬送機構としての複数のローラ321を有している。複数のローラ321はローラ311と同様の形状を有しており、ローラ311と同様の姿勢で配置される。ローラ321の中心軸における両端は、それぞれ支持板(不図示)に回転可能に固定される。複数のローラ321は搬送方向に沿って間隔を空けて並んでいる。複数のローラ321は基板導入部31のローラ311と同じ高さに設けられており、基板Wはローラ311からローラ313,321,331をこの順に介してローラ332へと移動することができる。
【0042】
処理装置本体32は、ローラ321の上を流れる基板Wに対して、その搬送方向の各位置において適宜に処理を行う。ここでは、順次処理装置30として洗浄装置12を例に挙げて説明する。例えば処理装置本体32は、薬液部34、水洗部35および水切り部36を有している。薬液部34、水洗部35および水切り部36は上流から下流へ向かってこの順で直列に設けられている。また複数のローラ321は薬液部34、水洗部35および水切り部36に亘って設けられている。複数のローラ321は駆動部(不図示)によって駆動されて同期回転する。これにより、基板Wを搬送方向に沿って搬送して、薬液部34、水洗部35および水切り部36をこの順で通過させることができる。
【0043】
薬液部34は、ローラ321上の基板Wへと薬液を供給して基板Wを洗浄する装置である。薬液部34は、薬液を吐出する複数のノズル341と、薬液を貯留する薬液槽342と、薬液槽342およびノズル341を繋ぐ供給管343と、供給管343を経由して薬液をノズル341へ供給するポンプ344とを備えている。ノズル341は鉛直方向において基板Wの両側に設けられており、基板Wの両面へと薬液を供給する。供給管343には流量センサ345が設けられ、供給される薬液の量の制御に寄与する。薬液部34は、基板Wをブラッシングするためのブラシ(不図示)などを有していてもよい。薬液を基板Wに供給しながらブラッシングを行うことにより、洗浄効果を高めることができる。基板Wに供給された薬液は主として基板Wの周縁から落ちて、薬液槽342へと回収される。
【0044】
水洗部35は、基板Wに対して洗浄水を供給することで基板Wに残留した薬液を洗い流す装置である。水洗部35は洗浄水を貯留する第1水槽355および第2水槽356を有している。また水洗部35は上流から下流に向かってこの順で配置される低圧水供給部351、高圧水供給部352、超音波洗浄水供給部353および純水供給部354を有している。各部351~354は薬液部34と同様に、基板Wに液を吐出するノズルと、当該ノズルに連結された供給管と、当該供給管を経由して当該ノズルに液を供給するポンプとを備えている。
【0045】
低圧水供給部351のポンプ35tは低圧ポンプであって、低い圧力で第1水槽355から洗浄水を汲み上げてノズルに供給する。これにより、低圧水供給部351は低圧で洗浄水を基板Wに供給できる。低圧水供給部351にはスリットノズル(液ナイフとも呼ぶ)35aが設けられ、液ナイフ35aからも洗浄水が基板Wに供給される。低圧水供給部351に供給される洗浄水の圧力は圧力センサ357によって測定される。
【0046】
高圧水供給部352のポンプ35rは高圧ポンプであって、高い圧力で第1水槽355から洗浄水を汲み上げてノズルに供給する。これにより、高圧水供給部352は高圧で洗浄水を基板Wに供給できる。高圧水供給部352に供給される洗浄水の圧力は圧力センサ358によって測定される。低圧水供給部351および高圧水供給部352によって供給された洗浄水は主として基板Wの周縁から落ちて第1水槽355へと回収される。
【0047】
超音波洗浄水供給部353のノズル35bには、第2水槽356からの洗浄水に超音波振動を付与する超音波振動子が設けられている。ノズル35bは液ナイフとして機能する。超音波洗浄水供給部353のポンプ35sは、第2水槽356から洗浄水を汲み上げてノズル35bに供給する。ノズル35bの超音波振動子が振動することで、超音波洗浄水供給部353はノズル35bから振動状態の洗浄水を基板Wへと供給する。超音波洗浄水供給部353によって供給された洗浄水は主として第2水槽356へ回収される。ノズル35bへ供給される洗浄水の流量は流量センサ359によって測定される。
【0048】
純水供給部354のノズルは、純水供給源365から供給される純水を基板Wに向けて供給する。純水供給源365は例えば工場設備(ユーティリティ)として設けられる。この純水は主として第2水槽356へ回収される。
【0049】
水切り部36は基板Wへと高圧の気流を流すことで基板Wから水を吹き飛ばす装置である。水切り部36は、基板Wに気体を噴射する噴射部(乾燥エアーナイフ)361と、気体を供給する気体供給源362と、噴射部361および気体供給源362を連結する管路363とを有している。管路363には当該気体の流量を測定する流量センサ364が設けられる。気体供給源362は工場設備(ユーティリティ)として設けられた気体源である。
【0050】
以上のように、処理装置本体32において基板Wは搬送方向に沿って搬送されて、各位置において各種の処理が行われる。処理装置本体32によって全ての処理が行われた基板Wは基板導出部33へと搬送される。
【0051】
<3.同時処理装置40>
図3は、同時処理装置40の構成の一例を概略的に示す図である。ここでは同時処理装置40として脱水ベーク装置13を例に挙げて説明する。図3は、脱水ベーク装置13の構成の一例を鉛直下向きに沿って見て示す概略的な平面図である。
【0052】
<3-1.脱水ベーク装置13>
脱水ベーク装置13は加熱部82および冷却部83を備えている。この脱水ベーク装置13は、(順次処理装置30である)洗浄装置12によって洗浄処理が行われた基板Wを搬送ロボット(搬送部)81から受け取り、受け取った基板Wに対して同時に処理を行う。脱水ベーク装置13は複数枚(N枚)の基板Wについて同時に処理を行うことができる。以下ではまず、簡単のために2枚の基板Wが一括して処理される場合について説明する。N枚の基板Wが一括されずに処理される場合については、後に詳述される。
【0053】
<3-1-1.搬送ロボット81>
搬送ロボット81はハンドH1と移動機構51と昇降機構52と回転機構53とを有している。移動機構51はハンドH1を水平面内で移動させることができる。例えば移動機構51は一対のアーム(不図示)を有している。各アームは長尺状の複数の連結部材を有しており、その連結部材の端部同士が回転可能に連結される。各アームの一端はハンドH1に連結され、他端は昇降機構52に連結される。連結部材の連結角度が制御されることで、ハンドH1を水平面内で移動させることができる。昇降機構52はアームを鉛直方向に沿って昇降させることで、ハンドH1を昇降させる。昇降機構52は例えばボールねじ機構を有している。回転機構53は鉛直方向に沿う回転軸を中心として昇降機構52を回転させることができる。これにより、ハンドH1は周方向に沿って回動する。この回動により、ハンドH1の向きを変えることができる。回転機構53は例えばモータを有している。
【0054】
ハンドH1には、2枚の基板Wが水平な一方向(図3において左右方向)において並んだ状態で載置される。ハンドH1は例えば複数本の指状部材F1と、指状部材F1の基端同士を連結する基端部材P1を有している。この基端部材P1には上述されたアームの一端が連結される。指状部材F1は長尺状の形状を有しており、その上面において基板Wが載置される。この2枚の基板Wは指状部材F1の長手方向(図3において左右方向)に沿って並んで載置される。よって、指状部材F1の長手方向の長さは、基板Wの2枚分の長さと、基板Wの間の間隔とに応じて設定される。
【0055】
搬送ロボット81はハンドH1を適宜に移動および回転させることで、ハンドH1を加熱部82、冷却部83、洗浄装置12の基板導出部33および次工程の塗布関連装置14(図3において不図示)の各々へと移動させることができる。搬送ロボット81は2枚の基板Wを一括して基板導出部33、加熱部82および冷却部83の各々から取り出したり、あるいは、2枚の基板Wを一括して加熱部82、冷却部83および塗布関連装置14の各々へ渡したりすることができる。
【0056】
例えば搬送ロボット81は次のように基板導出部33から2枚の基板Wを一括して取り出す。すなわち、搬送ロボット81は、基板導出部33で保持された2枚の基板Wの下方にハンドH1を位置させるべく、ハンドH1を基板導出部33へと移動させる。
【0057】
なおローラ331,332は、搬送ロボット81のハンドH1との衝突を避けるように構成されている。そして搬送ロボット81はハンドH1を鉛直上方へと上昇させることで、N枚の基板WをハンドH1によって持ち上げることができる。これにより、2枚の基板Wはそれぞれローラ331,332から離れる。2枚の基板WはハンドH1の上において、その長手方向に沿って間隔を空けて並んで載置されることになる。2枚の基板Wはその主面の法線方向が鉛直方向に沿う姿勢でハンドH1の上に載置される。
【0058】
2枚の基板WはハンドH1の上において、その横手方向(短手方向)に沿って間隔を空けて並んで載置されてもよい。このような載置は、例えばターンテーブルを設けて基板Wを90度回転させることによって実現される。
【0059】
次に搬送ロボット81はハンドH1を基板導出部33から遠ざけるように移動させることで、基板導出部33から2枚の基板Wを一括して取り出す。
【0060】
なお指状部材F1の上面(基板Wが載置される面)には、複数の吸引口が形成されていても構わない。この吸引口は2枚の基板Wと対向する位置に設けられており、当該吸引口から空気が引き抜かれて基板Wを吸引する。これにより、基板Wを保持するための保持力を向上できる。
【0061】
搬送ロボット81は上記動作と同様の動作によって加熱部82および冷却部83の各々から2枚の基板Wを一括して取り出す。一方、搬送ロボット81は上記動作とは逆の手順で、加熱部82、冷却部83および塗布関連装置14の各々(以下、各部と呼ぶ)へと2枚の基板Wを一括して渡す。つまり、搬送ロボット81は2枚の基板Wが載置されたハンドH1を各部の内部へと移動させ、ハンドH1を下降させて各部の基板保持部の上面に2枚の基板Wを一括して載置する。なお、各部の基板保持部は2枚の基板Wの搬出入の際にハンドH1と衝突しないように構成されている。そして搬送ロボット81はハンドH1を各部の内部から外部へと移動させる。これにより、2枚の基板Wが各部に一括して渡される。
【0062】
以上のように、搬送ロボット81は、順次処理装置である洗浄装置12により処理された複数の基板WのうちN枚(2枚)の基板Wを水平な一方向に並べて保持しつつ、このN枚(2枚)の基板Wを一括して同時処理装置である脱水ベーク装置13へ搬送することができる。複数枚の基板Wを一括して搬送することにより、基板Wを1枚ずつ搬送する場合に比べて、搬送動作のスループットを向上することができる。
【0063】
<3-1-2.加熱部82>
加熱部82には、搬送ロボット81から2枚の基板Wが一括して渡される。この加熱部82は、この2枚の基板Wを水平方向に並べて保持する基板保持部91と、この2枚の基板Wに対して一括して同時に加熱処理を行う加熱手段92とを備えている。換言すれば、加熱部82は、2枚の基板Wに対して同時に加熱処理を行う。
【0064】
基板保持部91は2枚の基板Wの下面を支持する部材を有している。2枚の基板Wはこの部材の上に載置されることによって保持される。2枚の基板Wはその主面の法線方向が鉛直方向に沿う姿勢で載置される。例えば基板保持部91は複数のリフトピン(不図示)を備える。この複数のリフトピンは、基板保持部91の上面より、その先端を突出させた上位置と、上面より下に退避した下位置との間で昇降する。搬送ロボット81は上方に突出した複数のリフトピンに2枚の基板Wを渡した後、加熱部82から退避する。複数のリフトピンは2枚の基板Wを支持した状態で下降し、基板保持部91の上面に2枚の基板Wを載置する。
【0065】
加熱手段92は例えばヒータなどであり、基板保持部91によって保持された2枚の基板Wに対して一括して同時に加熱処理を行う。この加熱処理により、例えば基板Wに残留した純水を蒸発させることができる(脱水処理)。複数枚の基板Wに対して一括して同時に加熱処理を行うことにより、基板Wに対して1枚ずつ加熱処理を行う場合に比べて、加熱処理のスループットを向上することができる。
【0066】
<3-1-3.冷却部83>
冷却部83には、加熱部82によって加熱された2枚の基板Wが搬送ロボット81から一括して渡される。つまり、搬送ロボット81は、順次処理装置たる洗浄装置12によって処理された後に加熱部82によって処理された2枚の基板Wを、水平な一方向に並べて保持しつつ、当該2枚の基板Wを一括して冷却部83へと搬送する。この冷却部83は、この2枚の基板Wを水平方向に並べて保持する基板保持部93と、この2枚の基板Wに対して一括して冷却処理を行う冷却手段94とを備えている。換言すれば、冷却部83は、2枚の基板Wに対して同時に冷却処理を行う。
【0067】
この基板保持部93は2枚の基板Wの下面を支持する部材(不図示)を有している。2枚の基板Wはこの部材の上に載置されることによって保持される。2枚の基板Wはその主面の法線方向が鉛直方向に沿う姿勢で載置される。基板保持部93の構造は基板保持部91と同様である。
【0068】
冷却手段94は例えば金属板の内部に形成された液路に冷水を流す冷却板などであり、基板保持部93に保持された2枚の基板Wに対して一括して冷却処理を行う。冷却手段94は制御部60によって制御される。この冷却処理により、2枚の基板Wが冷却され、2枚の基板Wの温度を下流側の処理装置(塗布関連装置14)に適した温度とすることができる。2枚の基板Wに対して一括して同時に冷却処理を行うことにより、基板Wに対して1枚ずつ冷却処理を行う場合に比べて、冷却処理のスループットを向上することができる。
【0069】
なお冷却部83は自然冷却により2枚の基板Wを冷却してもよい。自然冷却とは、加熱された基板Wに対して動力(電力)を用いた冷却を行わずに、基板Wを放置して冷却することである。この場合、冷却板などの構成としての冷却手段94は不要である。
【0070】
<3-1-4.脱水ベーク装置の一連の処理>
次に脱水ベーク装置13による一連の処理を簡単に説明する。搬送ロボット81は上流側の洗浄装置12の基板導出部33から2枚の基板Wを一括して取り出して、この2枚の基板Wを一括して加熱部82へと渡す。この加熱部82でも、2枚の基板Wは水平方向に並んだ状態で保持される。加熱部82はこの2枚の基板Wに対して一括して加熱処理を行う。加熱処理後の2枚の基板Wは搬送ロボット81によって一括して取り出され、冷却部83へと一括して渡される。冷却部83でも、2枚の基板Wは水平方向に並んだ状態で保持される。冷却部83はこの2枚の基板Wに対して一括して冷却処理を行う。冷却処理が行われた2枚の基板Wは搬送ロボット81によって一括して取り出されて、塗布関連装置14へと一括して搬送される。
【0071】
<4.制御部>
図1に例示するように、基板処理装置1は、各処理装置での処理および基板の搬送を制御する制御部60を有している。図4は、制御部60の構成の一例を概略的に示す機能ブロック図である。
【0072】
制御部60は制御回路であって、図4に示されるように、例えば、CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、RAM(Random Access Memory)63および記憶装置64等が、バスライン65を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成される。ROM62は基本プログラム等を格納しており、RAM63はCPU61が所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置64は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0073】
また、制御部60では、入力部66、表示部67、通信部68もバスライン65に接続されている。入力部66は、各種スイッチ、あるいは、タッチパネル等により構成されており、オペレータから処理レシピ等の各種の入力設定指示を受ける。表示部67は、液晶表示装置およびランプ等により構成されており、CPU61による制御のもと各種の情報を表示する。通信部68は、LAN(Local Area Network)等を介したデータ通信機能を有する。
【0074】
また、制御部60には、各ロボット(インデクサロボット等の搬送ロボットなど)および上述の各処理装置が制御対象として接続されている。つまり制御部60は基板Wの搬送を制御する搬送制御部として機能できる。
【0075】
制御部60の記憶装置64には、基板処理装置1を構成する各装置を制御するための処理プログラムPが格納されている。制御部60のCPU61が処理プログラムPを実行することによって、基板の搬送動作および処理動作が制御される。また、処理プログラムPは、記録媒体に記憶されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部60(コンピュータ)に処理プログラムPをインストールすることができる。また制御部60が実行する機能の一部または全部は必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0076】
制御部60は複数階層構造を有していてもよい。例えば、制御部60は、主制御部と、複数の末端制御部とを含んでもよい。末端制御部は、例えば、インデクサ部11、洗浄装置12、脱水ベーク装置13、塗布関連装置14、プリベーク装置15、露光装置16、現像装置17およびポストベーク装置18の各処理装置に設けられる。主制御部は基板処理装置1に設けられ、複数の末端制御部と通信する。主制御部は基板処理装置1の全体の動作を管理し、末端制御部は対応する各装置の動作を制御する。
【0077】
複数の末端制御部は相互に通信可能である。例えば、末端制御部の間で、基板Wに関するデータが送受信される。基板Wに関するデータは、例えば、グループ単位での基板Wのデータを示し、基板Wの処理の内容を示す情報が当該データに含まれている。末端制御部は、一つ上流側の末端制御部から受け取った基板Wのデータに基づいて、対応する装置を制御し、基板Wを処理する。例えば、洗浄装置12の末端制御部は、インデクサ部11の末端制御部から基板Wのデータを受け取るとともに、洗浄装置12に基板Wがグループ単位で搬入される。洗浄装置12の末端制御部は、受け取った基板のデータに基づいて洗浄装置12を制御して、搬入された基板Wに対する洗浄処理を行う。そして、基板Wの処理終了後に基板Wがグループ単位で脱水ベーク装置13に搬送されつつ、洗浄装置12の末端制御部から脱水ベーク装置13の末端装置に基板Wのデータが伝達される。以下、同様にして処理が行われる。
【0078】
<5.同時処理基板データ>
制御部60は、各基板Wに対応した基板データを取り扱うことができる。制御部60は、同時処理基板データD0(k)に基づいて、同時処理装置40における基板Wへの処理を制御する。
【0079】
図5は、同時処理基板データD0(k)の一例を概略的に示す図である(kは正の整数)。同時処理基板データD0(k)は、第kのグループに属するN枚(ここでは2枚)の基板Wに対応したデータを含む。同じグループに属する基板Wは、同時処理装置と順次処理装置との間で搬送される際に、一括して搬送される。
【0080】
図5に例示されるように同時処理基板データD0(k)は、基板番号、グループ識別情報Da1、位置情報Db1、レシピ情報Dc1を含む。
【0081】
基板番号は、同じグループに属する基板W同士を識別するための情報である。図5に示された例においては、一方の基板Wの基板番号は(基板)W1であり、他方の基板Wの基板番号は(基板)W2である。
【0082】
グループ識別情報Da1は同時処理基板データD0(k)がどのグループに対応するかを示す。図5に示された例においては一つのグループに一対の基板が属することから、ペア番号kが、グループ識別情報Da1として採用される。例えば第1のグループについての同時処理基板データD0(1)においてグループ識別情報Da1としてペア番号1が採用される。同様に、第2のグループについての同時処理基板データD0(2)においてグループ識別情報Da1としてペア番号2が採用される。
【0083】
図6はカセット10において複数の基板がグループごとに収容される態様を模式的に示す図である。複数の基板はカセット10においてグループごとに互いに異なる収容位置(スロット)に収容される。よって、グループ識別情報Da1として、カセット10におけるグループの収容位置を示す情報(スロット番号)を採用してもよい。
【0084】
カセット10において基板Wが収容される態様は、インデクサ部11から洗浄装置12へ基板Wが搬送される場合と、ポストベーク装置18からインデクサ部11へ基板が搬送される場合とにおいて共通する。
【0085】
図6において異なるスロットは図において上下に位置する。図6においては第kのグループのいずれにおいても二枚の基板W1(k),W2(k)が格納される場合が例示される。
【0086】
カセット10においては第kのグループに属する基板W1(k),W2(k)(但し図6においてk=1~7)が図において左右方向に格納される。基板W1(k)は上述の基板W1の例示として考えられ、基板W2(k)は上述の基板W2の例示として考えられる。
【0087】
位置情報Db1は、N枚(ここでは2枚)の基板Wの搬送方向における位置関係を示す。図5に示された例では、第kのグループにおいて基板番号W1に対応する基板W1(k)が基板番号W2に対応する基板W2(k)に対して上流側に位置しており、基板番号W1,W2に対する位置情報Db1はそれぞれ「上流」および「下流」を示す。位置情報Db1は、主として、順次処理装置30における搬送制御に用いられる。具体的には、順次処理装置30は「下流」の位置情報Db1が付与された基板W2(k)を先に搬送し、その後に「上流」の位置情報Db1が付与された基板W1(k)を搬送する。
【0088】
以下の説明においては、グループ識別情報Da1が示す値が大きいほど、当該グループ識別情報Da1に対応するグループに属する基板が、より上流において搬送される。例えば、図6において上方に示されるスロットに格納された基板から下方に示されるスロットに格納された基板へと順に搬出される場合、基板W1(3)は基板W2(3)よりも上流において搬送され、基板W2(3)は基板W1(2)よりも上流において搬送され、基板W1(2)は基板W2(2)よりも上流において搬送され、基板W2(2)は基板W1(1)よりも上流において搬送され、基板W1(1)は基板W2(1)よりも上流において搬送される。
【0089】
レシピ情報Dc1は、グループ識別情報Da1に同じペア番号kが与えられる(つまり第kのグループに属する)基板W1(k),W2(k)に対して共通に行われるべき処理を示す情報(例えばレシピ番号)と、その処理における処理条件の情報を含む。
【0090】
処理条件としては、例えば洗浄処理についていえば、使用する薬液の種類、薬液の流量および処理時間(つまり搬送速度)等の条件が採用され得る。例えば脱水ベーク処理であれば、処理条件として、加熱温度、加熱時間、冷却温度および冷却時間等の条件が採用され得る。
【0091】
レシピ情報Dc1は基板W1(k),W2(k)に共通の情報であるので、レシピ情報Dc1は基板番号W1,W2に対して共通し、グループ識別情報Da1に対応する。
【0092】
図7はカセット10において複数の基板Wがグループごとに収容される他の態様を模式的に示す図である。図7においては第2のグループにおいて基板W2(2)は格納されずに基板W1(2)のみが格納され、第5のグループにおいて基板W1(5)は格納されず基板W2(5)のみが格納される場合が例示される。
【0093】
図8は第kのグループにおいて下流側の基板W2(k)が存在しないときの同時処理基板データD0(k)の一例を概略的に示す図である。図9は第kのグループにおいて上流側の基板W1(k)が存在しないときの同時処理基板データD0(k)の一例を概略的に示す図である。図7に即して言えば、図5はk=1,3,4,6,7の場合に相当し、図8はk=2の場合に相当し、図9はk=5の場合に相当する。
【0094】
図5図8図9図11図12図15において、記号「×」が付記された欄は、当該欄に該当する値は特に意味を持たないことを示す。ここで「意味を持たない」とは、基板が存在しないことに加え、何らかの物体が存在しても評価の対象ではないことをも含む。
【0095】
図10は、図3と類似して、同時処理装置40(例えば脱水ベーク装置13)を鉛直下向きに沿って見て示す概略的な平面図である。図10は、同時処理装置40の基板搬送の事例を概略的に示す。図3において基板Wは一対となって処理される場合が例示される。図10においては、基板Wがグループごとに処理される場合が例示される。但し第1のグループには基板W2(1)は存在せずに基板W1(1)が存在し、第2のグループには基板W1(2)は存在せずに基板W2(2)が存在し、第3のグループには基板W1(3),W2(3)のいずれもが存在する場合が例示される。仮想的に基板W2(1),W1(2)が存在する場合のそれらの位置が、一点鎖線で示される。
【0096】
図10に即して言えば、図5はk=3の場合に相当し、図8はk=1の場合に相当し、図9はk=2の場合に相当する。
【0097】
同時処理装置40は、グループごとに設定される同時処理基板データD0(k)に基づいて、グループごとに基板W1(k)、W2(k)を同時に処理する、ということができる。かかる観点からインデクサ部11も同時処理装置40の例とみることができる。
【0098】
<6.順次処理基板データ>
第kのグループに属する基板W1(k)、W2(k)ごとに、順次処理基板データJ1(k),J2(k)が設定される。順次処理基板データJ1(k)は、これに対応する基板W1(k)についてのグループ識別情報Da1と、位置情報Db1と、レシピ情報Dc1とを含む。順次処理基板データJ2(k)は、これに対応する基板W2(k)についての位置情報Db1とレシピ情報Dc1とを含む。
【0099】
下記の説明では順次処理基板データJ1(k)は基板番号W1を含み、順次処理基板データJ2(k)は基板番号W2を含む。但し、順次処理基板データJ1(k)は基板W1(k)に対して設定されるので基板番号W1を含む必要はない。順次処理基板データJ2(k)は基板W2(k)に対して設定されるので基板番号W2を含む必要はない。
【0100】
順次処理基板データJ1(k),J2(k)は、制御部60によって、同時処理基板データD0(k)から生成される。制御部60は、順次処理基板データJ1(k),J2(k)に基づいて順次処理装置30(例えばインデクサ部11の下流に位置し、脱水ベーク装置13の上流に位置する洗浄装置12)における基板W1(k),W2(k)に対する搬送および処理を制御する。
【0101】
順次処理装置30は、複数のグループに分けられた基板W1(k),W2(k)を順次に搬送しつつ、順次処理基板データJ1(k),J2(k)に基づいて、基板W1(k),W2(k)に対して処理を行う。
【0102】
<6-1.グループにおいて基板が欠如しない場合>
本節では、第kのグループ(k=1,2,3)の全てにおいて基板W1(k),W2(k)が存在する場合が説明される。図5はこの場合における同時処理基板データD0(k)に該当する。図11はこの場合における順次処理基板データJ1(k)の一例を概略的に示す図である。図12はこの場合における順次処理基板データJ2(k)の一例を概略的に示す図である。
【0103】
順次処理基板データJ1(k),J2(k)のいずれのグループ識別情報Da1にも、同時処理基板データD0(k)に含まれていたグループ識別情報Da1が採用される。これにより順次処理装置30においても基板Wのグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0104】
順次処理基板データJ1(k)の位置情報Db1には、同時処理基板データD0(k)において基板番号W1に対応した位置情報Db1(「上流」)が採用される。順次処理基板データJ2(k)の位置情報Db1には、同時処理基板データD0(k)において基板番号W2に対応した位置情報Db1(「下流」)が採用される。同時処理装置40においても順次処理装置30においても、基板Wの搬送位置の関係が維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0105】
順次処理基板データJ1(k),J2(k)のいずれのレシピ情報Dc1にも、同時処理基板データD0(k)に含まれていたレシピ情報Dc1が採用される。レシピ情報Dc1は、基板W1(k),W2(k)のいずれにも共通して行われるべき処理およびその処理における処理条件を示す情報だからである。
【0106】
順次処理基板データJ1(k),J2(k)のいずれも最終情報Dd1を含む。最終情報Dd1は、ある基板番号Wn(nは1以上N以下の整数)に対応する基板Wn(k)が属する第kのグループにおいて、当該基板Wn(k)が搬送方向についての最後尾であるか否かを示す。ここでは第kのグループに属する基板Wの枚数はN=2であり、基板W1(k),W2(k)のいずれも存在し、かつ基板W1(k)の搬送位置は基板W2(k)の搬送位置よりも上流にある。よって順次処理基板データJ1(k)における最終情報Dd1には、順次処理基板データJ1(k)に対応する基板W1(k)が第kのグループにおいて最後尾であること(これは最上流でもある)を示す「END」が採用される。順次処理基板データJ1(k)における最終情報Dd1には特に値は採用されない。
【0107】
なお、順次処理基板データJ1(k),J2(k)のいずれもが最終情報Dd1を含まなくてもよい場合がある。この場合については後に<6-2-2>,<6-2-3>において改めて説明される。
【0108】
図13は順次処理装置30の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。図13においては、図2で示された順次処理装置30の構成から、液や気体を供給する構成および液を回収する構成の描画が省略されている。
【0109】
図13に示された状態においては、基板W1(3),W2(3)が基板導入部31に位置する。基板W1(3)がローラ311の上に載置されていることはセンサ314によって検出される。基板W2(3)がローラ313の上に載置されていることはセンサ315によって検出される。
【0110】
基板W1(2)は基板W1(3),W2(3)よりも下流の薬液部34に位置する。基板W2(2)は基板W1(2)よりも下流の水洗部35に位置する。
【0111】
基板W1(1),W2(1)が基板W2(2)よりも下流の基板導出部33に位置する。基板W1(1)がローラ331の上に載置されていることはセンサ334によって検出される。基板W2(1)がローラ332の上に載置されていることはセンサ335によって検出される。
【0112】
当該状態よりも前に、基板W1(1),W2(1)が基板導入部31に位置し、その後に基板W1(1),W2(1)が処理装置本体32へ搬送される。制御部60は、例えばセンサ314,315によって基板W1(1),W2(1)の存在が検出されたことを契機として、順次処理基板データJ1(1),J2(1)を生成する。その後、同様にして基板W1(2),W2(2)が基板導入部31に位置して順次処理基板データJ1(2),J2(2)が生成され、基板W1(3),W2(3)が基板導入部31に位置して順次処理基板データJ1(3),J2(3)が生成される。
【0113】
図13に示された状態の後、基板W1(1),W2(1)は基板導出部33から、より下流にある同時処理装置40(例えば脱水ベーク装置13)へ払い出される。
【0114】
制御部60は、順次処理基板データJ1(k),J2(k)から同時処理基板データD0(k)を生成する。例えば最終情報Dd1に「END」が採用された順次処理基板データJ1(k)に対応する基板W1(k)がセンサ334によって検出されたことを契機として、同時処理基板データD0(k)が生成される。
【0115】
順次処理基板データJ1(1),J2(1)から以下のようにして同時処理基板データD0(1)が生成される。
【0116】
同時処理基板データD0(1)におけるグループ識別情報Da1には、順次処理基板データJ1(1),J2(1)において共通するグループ識別情報Da1が採用される。これにより下流にある同時処理装置40においても基板Wのグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0117】
同時処理基板データD0(1)におけるレシピ情報Dc1には、順次処理基板データJ1(1),J2(1)において共通するレシピ情報Dc1が採用される。レシピ情報Dc1は、基板W1(1),W2(1)のいずれにも共通して行われるべき処理およびその処理における処理条件を示す情報だからである。
【0118】
同時処理基板データD0(1)において基板番号W1に対する位置情報Db1には、順次処理基板データJ1(1)における位置情報Db1(「上流」)が採用される。同時処理基板データD0(1)において基板番号W2に対する位置情報Db1には、順次処理基板データJ2(1)における位置情報Db1が採用される(「下流」)。位置情報Db1は同時処理装置40において必ずしも用いられないものの、当該同時処理装置40よりもさらに下流にある他の順次処理装置30(例えば現像装置17)において用いられる。位置情報Db1が同時処理基板データD0(1)において採用されることは、当該他の順次処理装置30において用いられる順次処理基板データJ1(1),J2(1)を生成することに寄与する。
【0119】
同時処理装置40における処理には基板Wの搬送位置は関係が小さい。最終情報Dd1は後述されるように、順次処理装置30における基板の欠如によって変動する情報であって、複数の順次処理装置30において共通して採用される必要はない。よって同時処理基板データD0(k)において最終情報Dd1を保持する必要性は小さく、省略され得る。
【0120】
基板W1(1),W2(1)が基板導出部33から払い出された後、順次処理装置30における処理が進んで基板W1(2),W2(2)が基板導出部33に位置する。順次処理基板データJ1(2),J2(2)から同時処理基板データD0(2)が、同時処理基板データD0(1)と同様にして生成される。その後も同様にして順次処理基板データJ1(3),J2(3)から同時処理基板データD0(3)が生成される。
【0121】
グループごとに対応する同時処理基板データD0(k)に基づいて同時処理装置40による処理が行われ、順次処理装置30の上流と下流においてグループ分けは維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0122】
<6-2.グループにおいて基板が欠如する場合>
本節では、第kのグループ(k=1,2,3)のいずれかにおいて基板W1(k),W2(k)が存在しない場合が説明される。
【0123】
<6-2-1.順次処理装置において上流側の基板が排除される場合>
図5はこの場合における同時処理基板データD0(k)に該当する。図11はこの場合において最初に生成される順次処理基板データJ1(k)の一例を概略的に示す図である。図12はこの場合において最初に生成される順次処理基板データJ2(k)の一例を概略的に示す図である。「最初に生成される」とは基板W1(k),W2(k)が基板導入部31に位置したときに生成されることを指す。
【0124】
図14は順次処理装置30の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。図14においても、図2で示された順次処理装置30の構成から、液や気体を供給する構成および液を回収する構成の描画が省略されている。
【0125】
図14に示された状態は、図13に示された状態では存在していた基板W1(1)が、水切り部36において処理を受けている際に排除された態様を示す。排除される前の基板W1(1)の位置は仮想的に一点鎖線で示される。
【0126】
かかる排除は、例えば水切り部36において基板W1(1)が破損したり、ローラ321からの基板W(1)の落下を含む処理の不良が生じたりしたとき、操作者によって行われる。
【0127】
かかる排除を行った操作者は制御部60を操作し、順次処理基板データJ1(1)を制御部60に削除させる。制御部60は順次処理基板データJ1(1)を削除する際、その最終情報Dd1の内容を確認する。順次処理基板データJ1(1)の最終情報Dd1が「END」であるが基板W1(1)が排除されたので、制御部60は、基板W1(1)よりも下流であって同じグループに属する基板W2(1)に対応する順次処理基板データJ2(1)を再度生成する。ここにいう再度の生成には、順次処理基板データJ2(1)へと最終情報Dd1として「END」が伝達されることも含む。具体的には順次処理基板データJ2(1)のグループ識別情報Da1、位置情報Db1、レシピ情報Dc1が維持され、最終情報Dd1に「END」が採用される。このような再度の順次処理基板データJ2(1)の生成は、順次処理基板データJ2(1)の更新であるともいえる。
【0128】
順次処理基板データJ1(1)が削除される前には、順次処理基板データJ1(1)は図11においてk=1の場合に相当する。更新される前の順次処理基板データJ2(1)は図12においてk=1の場合に相当する。図15は更新された後の順次処理基板データJ2(k)を示す。更新された後の順次処理基板データJ2(1)は図15においてk=1の場合に相当し、最終情報Dd1に「END」が採用される。図15に示された構成は図12に示された構成に対して最終情報Dd1に「END」が採用される点のみ相違する。
【0129】
最終情報Dd1に「END」が採用された順次処理基板データJ2(1)に対応する基板W2(1)がセンサ335によって検出されたことを契機として、同時処理基板データD0(1)が生成される。基板W2(1)は基板導出部33から払い出される。
【0130】
同時処理基板データD0(1)は、削除された順次処理基板データJ1(1)を用いずに順次処理基板データJ2(1)を用いて生成される。
【0131】
同時処理基板データD0(1)におけるグループ識別情報Da1には、順次処理基板データJ2(1)におけるグループ識別情報Da1が採用される。これにより下流にある同時処理装置40においても基板Wのグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0132】
同時処理基板データD0(1)におけるレシピ情報Dc1には、順次処理基板データJ2(1)におけるレシピ情報Dc1が採用される。レシピ情報Dc1は、基板W1(1)の有無によらず基板W2(1)に行われるべき処理およびその処理における処理条件を示す情報だからである。
【0133】
同時処理基板データD0(1)において基板番号W1および基板番号W1に対する位置情報Db1は採用されない。同時処理基板データD0(1)において基板番号W2に対する位置情報Db1には、順次処理基板データJ2(1)における位置情報Db1が採用される。同時処理基板データD0(k)において最終情報Dd1は不要である。
【0134】
このようにして、グループごとに対応する同時処理基板データD0(k)に基づいて同時処理装置40による処理が行われ、基板Wの排除があっても、順次処理装置30の上流と下流においてグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0135】
例えば、最終情報Dd1に「END」が採用されて更新された順次処理基板データJ2(1)が得られ、基板W2(1)がセンサ335によって検出されたことを契機として、アラームが例えば表示部67によって発報される。かかる発報は基板Wが除去され、グループを構成する基板の枚数が正常ではない状況であることを表し、基板処理装置1の操作者への注意喚起に寄与する。
【0136】
<6-2-2.順次処理装置において上流側の基板の有無が確認される場合>
この項で説明される手法では最終情報Dd1の値は不問であって、順次処理基板データJ1(k),J2(k)のいずれもが最終情報Dd1を含まなくてもよい。
【0137】
順次処理装置において上流側の基板の有無が確認される場合の第1の例として、<6-2-1>において説明されたように、基板W1(1)が順次処理装置30において搬送され、処理を受けている途中において、操作者によって排除される場合が挙げられる。第2の例として、基板導入部31へと基板Wが搬送された時点において既に上流側の基板W1(k)が存在せず、同時処理基板データD0(k)においても基板番号W1が存在していなかった場合が挙げられる。以下の説明においては、第1の例としても第2の例としても、基板W1(1)が存在せず基板W2(1)が存在する場合が例示される。
【0138】
図16は順次処理装置30の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。図16においても、図2で示された順次処理装置30の構成から、液や気体を供給する構成および液を回収する構成の描画が省略されている。
【0139】
第1の例においては、<6-2-1>において説明されたように、制御部60は順次処理基板データJ1(1)を削除する。順次処理基板データJ2(1)は図12においてk=1とした構造を維持してもよいし、図15においてk=1とした構造へと更新されてもよい。
【0140】
第2の例であって、同時処理基板データD0(1)が図9においてk=1とした構造を有するとき、制御部60は順次処理基板データJ1(1)を生成せずに、順次処理基板データJ2(1)を生成する。順次処理基板データJ2(1)は、図15においてk=1とした構造を有してもよいし、図12においてk=1とした構造を有してもよい。順次処理基板データJ2(1)は最終情報Dd1を含まなくてもよい。
【0141】
第1の例であっても、第2の例であっても、順次処理基板データJ1(1)は存在せず、センサ334によって基板W1(1)が検出されず、基板W1(1)の欠如が確認される。かかる確認と、センサ335によって基板W2(1)が検出されたことを契機として、順次処理基板データJ2(1)を用いて同時処理基板データD0(1)が生成される。基板W2(1)は基板導出部33から払い出される。
【0142】
例えば制御部60は、センサ335が基板W2を検出したときに、基板W2の順次処理基板データのグループ識別情報Da1と、当該基板W2よりも一つ上流側の基板Wの順次処理基板データのグループ識別情報Da1とを比較する。順次処理基板データが搬送順に並んでいることは、隣接して搬送される二つの基板Wについてのそれぞれの順次処理基板データが制御部60によって特定されることを容易にする。これら二つのグループ識別情報Da1が互いに異なっている場合には、当該基板W2と同じグループに属する基板W1が欠如している。この場合に制御部60は、上述の例では、順次処理基板データJ2(1)を用いて同時処理基板データD0(1)を生成する。センサ334による基板Wの検出を待たずに、基板W2(1)が基板導出部33から払い出される。
【0143】
同時処理基板データD0(1)は、(削除された、あるいは生成されなかった)順次処理基板データJ1(1)を用いずに順次処理基板データJ2(1)を用いて生成される。
【0144】
同時処理基板データD0(1)におけるグループ識別情報Da1には、順次処理基板データJ2(1)におけるグループ識別情報Da1が採用される。これにより下流にある同時処理装置40においても基板Wのグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0145】
同時処理基板データD0(1)におけるレシピ情報Dc1には、順次処理基板データJ2(1)におけるレシピ情報Dc1が採用される。
【0146】
同時処理基板データD0(1)において基板番号W1および基板番号W1に対する位置情報Db1は採用されない。同時処理基板データD0(1)において基板番号W2に対する位置情報Db1には、順次処理基板データJ2(1)における位置情報Db1が採用される。同時処理基板データD0(k)において最終情報Dd1は不要である。
【0147】
このようにして、グループごとに対応する同時処理基板データD0(k)に基づいて同時処理装置40による処理が行われ、基板Wの排除があっても、順次処理装置30の上流と下流においてグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0148】
例えば、順次処理基板データJ1(1)がなく、センサ334によって基板W1(1)が検出されることなく、センサ335によって基板W2(1)が検出されたことを契機として、アラームが例えば表示部67によって発報される。かかる発報は基板Wが除去され、グループを構成する基板の枚数が正常ではない状況であることを表し、基板処理装置1の操作者への注意喚起に寄与する。
【0149】
<6-2-3.順次処理装置において下流側の基板が欠如する場合>
この項で説明される手法では最終情報Dd1の値は不問であって、順次処理基板データJ1(k),J2(k)のいずれもが最終情報Dd1を含まなくてもよい。
【0150】
順次処理装置において下流側の基板の有無が確認される場合の第1の例として、基板W2(k)が順次処理装置30において搬送され、処理を受けている途中において、操作者によって排除される場合が挙げられる。また第2の例として、基板導入部31へと基板Wが搬送された時点において既に下流側の基板W2(k)が存在せず、同時処理基板データD0(k)においても基板番号W2が存在していなかった場合が挙げられる。以下の説明においては、第1の例としても第2の例としても、基板W2(1)が存在せず基板W1(1)が存在する場合が例示される。
【0151】
図17は順次処理装置30の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。図17においても、図2で示された順次処理装置30の構成から、液や気体を供給する構成および液を回収する構成の描画が省略されている。
【0152】
第1の例では制御部60は順次処理基板データJ2(1)を削除する。第2の例であって、同時処理基板データD0(1)が図8においてk=1とした構造を有するとき、制御部60は順次処理基板データJ2(1)を生成せずに、順次処理基板データJ1(1)を生成する。順次処理基板データJ1(1)には図11においてk=1とした構造が採用される。但し順次処理基板データJ1(1)は最終情報Dd1を含まなくてもよい。
【0153】
第1の例であっても、第2の例であっても、順次処理基板データJ2(1)が存在せず、順次処理基板データJ1(1)は生成される。センサ335によって基板W2(1)が検出されることなく、センサ334によって基板W1(1)が検出されたことを契機として、同時処理基板データD0(1)が生成される。基板W1(1)は基板導出部33から払い出される。
【0154】
同時処理基板データD0(1)は、(削除された、あるいは生成されなかった)順次処理基板データJ2(1)を用いずに順次処理基板データJ1(1)を用いて生成される。
【0155】
同時処理基板データD0(1)におけるグループ識別情報Da1には、順次処理基板データJ1(1)におけるグループ識別情報Da1が採用される。これにより下流にある同時処理装置40においても基板Wのグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0156】
同時処理基板データD0(1)におけるレシピ情報Dc1には、順次処理基板データJ1(1)におけるレシピ情報Dc1が採用される。
【0157】
同時処理基板データD0(1)において基板番号W2および基板番号W2に対する位置情報Db1は採用されない。同時処理基板データD0(1)において基板番号W1に対する位置情報Db1には、順次処理基板データJ1(1)における位置情報Db1が採用される。同時処理基板データD0(k)において最終情報Dd1は不要である。
【0158】
このようにして、グループごとに対応する同時処理基板データD0(k)に基づいて同時処理装置40による処理が行われ、基板Wの排除があっても、順次処理装置30の上流と下流においてグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0159】
例えば、順次処理基板データJ2(1)がなく、センサ335によって基板W2(1)が検出されることなく、センサ334によって基板W1(1)が検出されたことを契機として、アラームが例えば表示部67によって発報される。かかる発報は基板Wが除去され、グループを構成する基板の枚数が正常ではない状況であることを表し、基板処理装置1の操作者への注意喚起に寄与する。
【0160】
<6-2-4.同時処理基板データにおいて基板の欠如が現れていない場合>
基板導入部31へと基板Wが搬送された時点において、上流側の基板W1(k)が存在していなかった場合について<6-2-2>における第2の例と同じ対応で処理される。当該説明における同時処理基板データD0(1)は、図9においてk=1とした構造を有していた。
【0161】
基板導入部31へと基板Wが搬送された時点において、下流側の基板W2(k)が存在していなかった場合について<6-2-3>における第2の例と同じ対応で処理される。当該説明における同時処理基板データD0(1)は、図8においてk=1とした構造を有していた。
【0162】
これらの第2の例においては、同時処理基板データD0(1)に基板の欠如が現れている場合が説明された。かかる場合の例として、例えばカセット10において基板の欠如が判明しているとき、搬送ロボット81によって基板の欠如が検出されるときが挙げられる。
【0163】
しかしながら、同時処理基板データD0(k)に基板の欠如が現れていない場合も想定される。例えば、同時処理基板データD0(k)が図5に示された構成を有しながらも、センサ314によって基板W1(k)が検出されることなくセンサ315によって基板W2(k)が検出された場合(以下「第3の例」と称される)が想定される。あるいは例えば、同時処理基板データD0(k)が図5に示された構成を有しながらも、センサ314によって基板W1(k)が検出されながらもセンサ315によって基板W2(k)が検出されない場合(以下「第4の例」と称される)も想定される。
【0164】
図18および図19は、いずれも順次処理装置30の基板搬送の事例を概略的に示す側面図である。図18は第3の例を示し、図19は第4の例を示す。図18および図19においても、図2で示された順次処理装置30の構成から、液や気体を供給する構成および液を回収する構成の描画が省略されている。
【0165】
第3の例について、基板導入部31へと第3グループの基板Wが搬送された時点において、センサ314によって基板W1(3)が検出されることなく、センサ315によって基板W2(3)が検出される場合が、図18に例示される。
【0166】
第3の例においては、この時点における同時処理基板データD0(3)は図5においてk=3とした構成を有し、基板W1(3)の欠如が現れていない。制御部60はセンサ314,315の動作の結果から、順次処理基板データJ1(3)を生成せずに、順次処理基板データJ2(3)を生成する。順次処理基板データJ2(3)は、図15においてk=3とした構造を有する。
【0167】
あるいはこのときには、制御部60は一旦は順次処理基板データJ1(3),J2(3)を生成し、アラームが例えば表示部67によって発報される。アラームを認識した操作者は入力部66を用いて、制御部60に対し、順次処理基板データJ1(3)を削除させ、順次処理基板データJ2(3)を維持する。
【0168】
第4の例について、基板導入部31へと第3グループの基板Wが搬送された時点において、センサ315によって基板W2(3)が検出されることなく、センサ314によって基板W1(3)が検出される場合が、図19に例示される。
【0169】
第4の例においては、この時点における同時処理基板データD0(3)は図5においてk=3とした構成を有し、基板W2(3)の欠如が現れていない。制御部60はセンサ314,315の動作の結果から、順次処理基板データJ2(3)を生成せずに、順次処理基板データJ1(3)を生成する。順次処理基板データJ1(3)は、図11においてk=3とした構造を有する。
【0170】
あるいはこのときには、制御部60は一旦は順次処理基板データJ1(3),J2(3)を生成し、アラームが例えば表示部67によって発報される。アラームを認識した操作者は入力部66を用いて、制御部60に対し、順次処理基板データJ2(3)を削除させ、順次処理基板データJ1(3)を維持する。
【0171】
<7.全体的な処理の説明>
図20は本実施の形態における同時処理装置40および順次処理装置30における動作の流れを例示するフローチャートである。当該フローチャートでは順次処理装置30における処理に主眼がおかれる。
【0172】
ステップS1において、順次処理装置30(例えば洗浄装置12)は、その上流側における同時処理装置40(例えばインデクサ部11)から搬送された基板Wを、順次処理装置30の入口部(例えば基板導入部31)において受け取る。
【0173】
ステップS2において同時処理装置40において用いられていた同時処理基板データD0(k)を、制御部60が受け取る。同時処理基板データD0(k)は同時処理装置40またはさらに上流側の装置から送信されてもよい。例えば同時処理基板データD0(k)はインデクサ部11またはインデクサ部11よりも上流側の装置から送信される。例えばカセット10から基板Wが取り出される際に、同時処理基板データD0(k)が得られてもよい。
【0174】
同時処理基板データD0(k)は必ずしも上流側の装置から送信される必要はなく、操作者が入力部66を用いて同時処理基板データD0(k)を入力してもよい。ステップS1,S2が実行される順序は入れ替わってもよい。例えば基板Wをグループに分けずに処理される制御から、基板Wをグループに分けて処理する制御へと変更されるときに同時処理基板データD0(k)が得られてもよい。
【0175】
ステップS3において、制御部60は同時処理基板データD0(k)に基づいて順次処理基板データJ1(k)および順次処理基板データJ2(k)のいずれか一方または両方を生成する。図20以降の図において「and/or」とは、その前後における構成要素のいずれか一方または両方を意味する。
【0176】
例えば<6-1>において説明された場合には順次処理基板データJ1(k),J2(k)の両方が生成される。
【0177】
例えば<6-2-1>、<6-2-2>の第1の例において説明された場合には、後のステップS4において順次処理基板データJ1(k)が削除されるものの、順次処理基板データJ1(k),J2(k)の両方が一旦は生成される。
【0178】
例えば<6-2-3>の第1の例において説明された場合には、後のステップS4において順次処理基板データJ2(k)が削除されるものの、順次処理基板データJ1(k),J2(k)の両方が一旦は生成される。
【0179】
例えば<6-2-2>の第2の例、<6-2-4>の第3の例において説明された場合には順次処理基板データJ2(k)のみが生成される。例えば<6-2-3>の第2の例、<6-2-4>の第4の例において説明された場合には順次処理基板データJ1(k)のみが生成される。
【0180】
ステップS4において順次処理装置30において、順次処理基板データJ1(k)および順次処理基板データJ2(k)のいずれか一方を用いた順次処理が行われる。例えば<6-1>において説明された場合には順次処理基板データJ1(k),J2(k)の両方が用いられて順次処理が行われる。
【0181】
例えば<6-2-1>、<6-2-2>の第1の例において説明された場合には、順次処理基板データJ1(k),J2(k)の両方が用いられて順次処理が行われた後、順次処理基板データJ2(k)のみが用いられて順次処理が行われる。具体的にはステップS3が実行された後に、基板W1(1)が排除されて存在しなくなり、基板W2(1)が存在する。そして基板番号W2についての最終情報Dd1に「END」が採用されて、順次処理基板データJ2(1)のみが残る(図15参照)。
【0182】
例えば<6-2-3>の第1の例において説明された場合には、順次処理基板データJ1(k),J2(k)の両方が用いられて順次処理が行われた後、順次処理基板データJ1(k)のみが用いられて順次処理が行われる。具体的にはステップS3が実行された後に、基板W2(1)が排除されて存在しなくなり、基板W1(1)が存在する。そして基板番号W1についての最終情報Dd1に「END」が採用されたまま、順次処理基板データJ1(1)のみが残る(図11参照)。
【0183】
例えば<6-2-2>の第2の例、<6-2-4>の第3の例において説明された場合には順次処理基板データJ2(k)のみが用いられて順次処理が行われる。
【0184】
例えば<6-2-3>の第2の例、<6-2-4>の第4の例において説明された場合には順次処理基板データJ1(k)のみが用いられて順次処理が行われる。
【0185】
ステップS5において、制御部60は順次処理基板データJ1(k),J2(k)のいずれか一方または両方に基づいて同時処理基板データD0(k)を生成する。例えば<6-1>において説明された場合には順次処理基板データJ1(k),J2(k)の両方に基づいて同時処理基板データD0(k)が生成される。
【0186】
例えば<6-2-1>、<6-2-2>の第1の例および第2の例、<6-2-4>の第3の例において説明された場合には、順次処理基板データJ2(k)のみに基づいて同時処理基板データD0(k)が生成される。
【0187】
例えば<6-2-3>の第1の例および第2の例、<6-2-4>の第4の例において説明された場合には順次処理基板データJ1(k)のみに基づいて同時処理基板データD0(k)が生成される。
【0188】
基板Wは順次処理装置30の出口部(例えば基板導出部33)において同時処理装置40へ払い出される。
【0189】
ステップS6において、同時処理基板データD0(k)を用いた同時処理が同時処理装置40(例えば脱水ベーク装置13)において行われる。
【0190】
図21はステップS3の詳細を例示するフローチャートである。ステップS3はステップS301~S305を有する。
【0191】
ステップS301において、同時処理基板データD0(k)に基板番号W1,W2の全てが有るか否かが判断される。当該判断の結果が肯定的となる場合は、ステップS302へ処理が進み、否定的となる場合にはステップS305へ処理が進む。
【0192】
例えば<6-1>、<6-2-1>、<6-2-2>の第1の例、<6-2-3>の第1の例、<6-2-4>の第3の例および第4の例において説明された場合には、ステップS301における判断の結果は肯定的となって、処理がステップS302へ進む。例えば<6-2-2>の第2の例、<6-2-3>の第2の例において説明された場合には、ステップS301における判断の結果は否定的となって、処理がステップS305へ進む。
【0193】
ステップS302においては、入口部において基板W1(k),W2(k)の全てが検知されたか否かが判断される。当該判断の結果が肯定的となる場合は、ステップS303へ処理が進み、否定的となる場合にはステップS304へ処理が進む。
【0194】
例えば<6-1>、<6-2-1>、<6-2-2>の第1の例、<6-2-3>の第1の例において説明された場合には、ステップS302における判断の結果は肯定的となって、処理がステップS303へ進む。例えば<6-2-4>の第3の例および第4の例において説明された場合には、ステップS302における判断の結果は否定的となって、処理がステップS304へ進む。
【0195】
ステップS303においては同時処理基板データD0(k)の分離が行われる。ここで「分離」とはグループ識別情報Da1、位置情報Db1、レシピ情報Dc1を、基板番号W1,W2ごとに(別々に)得ることを指す。例えばステップS303における処理によって、図8に示された構造を有する同時処理基板データD0(k)と同じ構造を有するデータと、図9に示された構造を有する同時処理基板データD0(k)と同じ構造を有するデータとが、図5に示された構造を有する同時処理基板データD0(k)から得られる。
【0196】
ステップS304においては、入口部において検知されない基板に対応する、基板番号および位置情報Db1の削除が行われる。例えば<6-2-4>の第3の例において説明された場合には、ステップS304における処理によって、同時処理基板データD0(k)が有する構造は、図5に示された構造から図9に示された構造へ変更される。例えば<6-2-4>の第4の例において説明された場合には、ステップS304における処理によって、同時処理基板データD0(k)が有する構造は、図5に示された構造から図8に示された構造へ変更される。
【0197】
ステップS303が実行された後であっても、ステップS304が実行された後であっても、ステップS301における判断において否定的な結果が得られた場合と同様に、ステップS305が実行される。
【0198】
ステップS305においては、順次処理基板データJ1(k),J2(k)のいずれか一方または両方が生成される。存在する基板番号のうち、最上流(これは最後尾でもある)の基板番号についての最終情報Dd1に「END」が採用される。
【0199】
例えば<6-1>、<6-2-1>、<6-2-2>の第1の例、<6-2-3>の第1の例において説明された場合には、ステップS303が実行された後に、基板W1(k)、基板W2(k)のいずれもが存在し、基板番号W1についての最終情報Dd1に「END」が採用されて、順次処理基板データJ1(k),J2(k)の両方が生成される(図11図12参照)。
【0200】
但し、上述のように、<6-2-2>の第1の例、<6-2-3>の第1の例において説明された場合には、最終情報Dd1の値は不問であって、最終情報Dd1の追加が省略されてもよい。
【0201】
例えば<6-2-4>の第3の例において説明された場合には、ステップS304の実行により同時処理基板データD0(3)において基板番号W1が存在せず基板番号W2が存在する。ステップS305においては、基板番号W2についての最終情報Dd1に「END」が採用されて、順次処理基板データJ2(3)のみが生成される(図15参照)。
【0202】
例えば<6-2-4>の第4の例において説明された場合には、ステップS304の実行により同時処理基板データD0(3)において基板番号W2が存在せず基板番号W1が存在する。ステップS305においては、基板番号W1についての最終情報Dd1に「END」が採用されたまま、順次処理基板データJ1(3)のみが生成される(図11参照)。
【0203】
例えば<6-2-2>の第2の例において説明された場合には、同時処理基板データD0(1)において基板番号W1は存在せず、基板番号W2が存在する。ステップS305においては、基板番号W2についての最終情報Dd1に「END」が採用されて、順次処理基板データJ2(3)のみが生成される(図15参照)。
【0204】
例えば<6-2-3>の第2の例において説明された場合には、同時処理基板データD0(1)において基板番号W2は存在せず、基板番号W1が存在する。ステップS305においては、基板番号W1についての最終情報Dd1に「END」が採用されて、順次処理基板データJ1(3)のみが生成される(図11参照)。
【0205】
図22はステップS5の詳細を例示するフローチャートである。ステップS5はステップS501~S509を有する。図23はステップS509の詳細を例示するフローチャートである。
【0206】
ステップS4において順次処理装置30において、順次処理基板データJ1(k)および順次処理基板データJ2(k)のいずれか一方を用いた順次処理が行われた後、ステップS501が実行される。
【0207】
ステップS501においては、順次処理装置30の出口部に基板W2(k)が到着したか否かが判断される。当該判断の結果が肯定的であれば処理はステップS502に進む。当該判断の結果が否定的であれば処理はステップS509に進む。
【0208】
例えば<6-1>、<6-2-1>、<6-2-2>の第1の例および第2の例、<6-2-4>の第3の例において説明された場合には、ステップS501における判断の結果は肯定的となって、処理がステップS502へ進む。例えば<6-2-3>の第1の例および第2の例、<6-2-4>の第4の例において説明された場合には、ステップS501における判断の結果は否定的となって、処理がステップS509へ進む。
【0209】
ステップS502においては順次処理基板データJ2(k)の最終情報Dd1に「END」が有るか否か(「END」が採用されているか否か)が判断される。当該判断の結果が肯定的であれば処理はステップS507に進む。当該判断の結果が否定的であれば処理はステップS503に進む。
【0210】
例えば<6-2-1>、<6-2-2>の第1の例、<6-2-2>の第2の例(順次処理基板データJ2(k)が図15に示される構造を有するとき)において説明された場合には、ステップS305の実行によって順次処理基板データJ2(k)の最終情報Dd1に「END」が採用され、ステップS502における判断の結果は肯定的となって、処理がステップS507へ進む。例えば<6-1>、<6-2-2>の第2の例(順次処理基板データJ2(k)が図12に示される構造を有するとき)、<6-2-4>の第3の例において説明された場合には、ステップS502における判断の結果は否定的となって、処理がステップS503へ進む。
【0211】
ステップS503においては、基板W2(k)の上流側に基板W1(k)(これは基板W2(k)と同じ第kのグループに属する)が存在するか否かが判断される。当該判断の結果が肯定的であれば処理はステップS504に進む。当該判断の結果が否定的であれば処理はステップS507に進む。
【0212】
例えば<6-1>において説明された場合には、ステップS503における判断の結果は肯定的となって、処理がステップS504へ進む。例えば、<6-2-2>の第2の例(順次処理基板データJ2(k)が図12に示される構造を有するとき)、<6-2-4>の第3の例において説明された場合には、ステップS503における判断の結果は否定的となって、処理がステップS507へと進む。
【0213】
上記の処理の流れから、<6-2-2>の第2の例において説明された場合は、順次処理基板データJ2(k)が図12に示された構造を有するか図15に示された構造を有するかに拘わらず、ステップS507が実行される。
【0214】
ステップS504において、順次処理装置30の出口部に基板W1(k)が到着したか否かが判断される。当該判断の結果が否定的であればステップS504が繰り返し実行され、他の処理が待機される。ステップS504における判断の結果が肯定的であれば処理がステップS505へ進む。
【0215】
ステップS504の実行はステップS503における肯定的な判断が前提であるので、ステップS504において処理が停止することはない。
【0216】
ステップS505において、順次処理基板データJ1(k),J2(k)を結合して同時処理基板データD0(k)が生成される。ここで「結合」とは基板番号W1に対応するデータとして順次処理基板データJ1(k)が有していたデータを採用し、基板番号W2に対応するデータとして順次処理基板データJ2(k)が有していたデータを採用して同時処理基板データD0(k)が生成されることを指す。
【0217】
上述のように同じグループにおいてはグループ識別情報Da1、レシピ情報Dc1は共通する。同時処理基板データD0(k)においては基板番号W1,W2に共通するデータとして用いられる。
【0218】
ステップS505が実行された後、ステップS506が実行される。ステップS506においては基板W1(k),W2(k)が同時処理装置40へ払い出される。
【0219】
ステップS507においては、順次処理基板データJ2(k)から最終情報Dd1が削除される。最終情報Dd1が削除された順次処理基板データJ2(k)を用いて同時処理基板データD0(k)が生成される。
【0220】
例えばステップS502において肯定的な判断がされた、<6-2-1>、<6-2-2>の第1の例、<6-2-2>の第2の例(順次処理基板データJ2(k)が図15に示される構造を有するとき)において説明された場合には、ステップS305の実行によって順次処理基板データJ2(k)の最終情報Dd1に「END」が採用された。かかる最終情報Dd1によって基板W1(k)が存在しないことが示唆され、同時処理基板データD0(k)の生成には順次処理基板データJ1(k)は用いられない。
【0221】
例えばステップS503において否定的な判断がされた、<6-2-2>の第2の例(順次処理基板データJ2(k)が図12に示される構造を有するとき)、<6-2-4>の第3の例において説明された場合には、順次処理基板データJ1(k)が生成されていなかった。これらの場合にも同時処理基板データD0(k)の生成には順次処理基板データJ1(k)は用いられない。
【0222】
ステップS507が実行された後、ステップS508が実行される。ステップS508においては基板W2(k)のみが同時処理装置40へ払い出される。
【0223】
ステップS506,S508が実行された後、処理はステップS6(図20参照)に進む。
【0224】
ステップS509はステップS511~S513を含む(図23参照)。ステップS501における判断が否定的であったとき、ステップS511が実行される。ステップD511においては順次処理装置30の出口部(基板導出部33)に基板W1(k)が到着したか否かが判断される。当該判断の結果が肯定的であったときステップS512へ処理が進む。
【0225】
当該判断の結果が否定的であったときステップS5における処理は終了し(図22参照)、ステップS6へ処理が進む(図20参照)。但し、ステップS511における判断が否定的であったとき、既にステップS501における判断によって基板W2(k)が到着していないので、順次処理装置30の出口部から払い出される基板W1(k),W2(k)の全てが存在しない。よってステップS511における判断が否定的であったとき、第kグループに関するステップS6は、実質的には実行されない。
【0226】
ステップS512において制御部60は、順次処理基板データJ2(k)を用いずに、順次処理基板データJ1(k)から最終情報Dd1を削除して、同時処理基板データD0(k)を生成する。例えば<6-2-3>の第1の例においては順次処理基板データJ2(k)はステップS4において削除される。例えば<6-2-3>の第2の例、<6-2-4>の第4の例においては、順次処理基板データJ2(k)は生成されない。
【0227】
ステップS512によって同時処理基板データD0(k)が生成された後、ステップS513が実行される。ステップS513において基板W1(k)のみが同時処理装置40へ払い出される。
【0228】
ステップS513が実行されたことによりステップS509は終了し、処理はステップS6へ進む(図20参照)。
【0229】
<8.一般的な説明>
上記の各項の説明に基づいて、以下に一般的な説明が行われる。
【0230】
(i)基板処理装置1は、基板Wに対して処理を行う順次処理装置30と、基板Wを同時に処理する同時処理装置40と、制御部60とを備える。例えば基板処理装置1は順次処理装置30として洗浄装置12を備える。例えば基板処理装置1は同時処理装置40としてインデクサ部11と脱水ベーク装置13とを備える。
【0231】
基板Wは複数のグループに分けられる。第kのグループには基板W1(k),…WN(k)が属する。記号Nは正整数を示す。例えばN=2として説明されたが、N≧3であってもよい。
【0232】
順次処理装置30は順次処理基板データJ1(k),…JN(k)に基づいて、基板Wを順次に搬送しつつ、基板Wに対して処理を行う。順次処理基板データJ1(k),…JN(k)は、それぞれ基板W1(k),…WN(k)に対して設定される。
【0233】
同時処理装置40は、同時処理基板データD0(k)に基づいて、グループごとに基板W1(k),…WN(k)を同時に処理する。同時処理基板データD0(k)は第kのグループに対応して設定される。
【0234】
制御部60は、第kのグループに属する基板W1(k),…WN(k)ごとに設定される順次処理基板データJ1(k),…JN(k)に基づいて、順次処理装置30における基板W1(k),…WN(k)に対する搬送および処理を制御する。
【0235】
制御部60は、同時処理基板データD0(k)に基づいて、同時処理装置40における基板W1(k),…WN(k)に対する基板への処理を制御する。
【0236】
同時処理基板データD0(k)は、グループ識別情報Da1と、基板番号W1,W2と、位置情報Db1と、レシピ情報Dc1とを含む。グループ識別情報Da1は、グループを識別する。具体的には基板W1(k),…WN(k)が第kのグループに属することがグループ識別情報Da1によって示される。基板番号W1,…WNは、同じグループに属する基板Wを互いに区別する。位置情報Db1は、同じグループにおける基板Wの搬送位置を示す。レシピ情報Dc1は、同じグループに属する基板Wに共通してなされる処理内容を規定する。
【0237】
順次処理基板データJ1(k),…JN(k)は、それぞれに対応する基板W1(k),…WN(k)についての位置情報Db1と、グループ識別情報Da1と、レシピ情報Dc1とを含む。
【0238】
制御部60は、同時処理基板データD0(k)から順次処理基板データJ1(k),…JN(k)を生成する(図20のステップS3参照)。制御部60は、順次処理基板データJ1(k),…JN(k)から同時処理基板データD0(k)を生成する(図20のステップS5参照)。
【0239】
順次処理基板データJ1(k),…JN(k)のいずれのグループ識別情報Da1にも、同時処理基板データD0(k)に含まれていたグループ識別情報Da1が採用される。これにより順次処理装置30においても基板Wのグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0240】
(ii)例えば制御部60は、同時処理基板データD0(k)における基板番号W1と、基板番号W1に対応する位置情報Db1と、レシピ情報Dc1と、最終情報Dd1とを用いて、基板番号W1に対応する基板W1(k)についての順次処理基板データJ1(k)を生成する(図11参照)。同時処理基板データD0(k)における基板番号Wmと、基板番号Wmに対応する位置情報Db1と、レシピ情報Dc1と、最終情報Dd1とを用いて、基板番号Wmに対応する基板Wm(k)についての順次処理基板データJm(k)を生成する(mは2以上N以下の整数であって、図12参照)。
【0241】
当該最終情報Dd1は、基板番号W1に対応する基板W1(k)が属する第kのグループにおいて、基板W1(k)が搬送方向についての最後尾(最上流)であるか否かを示す。例えば<6-2-1>において説明された場合には、一旦は、図11に示された構成を有する順次処理基板データJ1(k)が生成される(図21のステップS305参照)。その後、順次処理基板データJ1(k)が削除され、順次処理基板データJm(k)のうち、搬送方向についての最後尾(最上流)となる順次処理基板データJ2(k)の最終情報Dd1が基板W2(k)が搬送方向についての最後尾(最上流)であることを示す(図15参照)。
【0242】
これにより順次処理装置30においても、グループ識別情報Da1によらなくても基板Wのグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。
【0243】
(iii)例えば制御部60は、同時処理基板データD0(k)における基板番号Wnと、基板番号Wnに対応する位置情報Db1と、レシピ情報Dc1と、グループ識別情報Da1とを用いて、基板番号Wnに対応する基板Wn(k)についての順次処理基板データJn(k)を生成する。これにより順次処理装置30においても、最終情報Dd1によらなくても基板Wのグループ分けが維持され、グループごとに基板Wの搬送および処理が管理される。この場合において最終情報Dd1を用いて基板Wのグループ分けが維持されてもよい。
【0244】
(iv)例えば順次処理装置30は、同時処理装置40へ基板Wを払い出す出口部たる基板導出部33を含む。順次処理装置30として洗浄装置12を考えると、同時処理装置40として脱水ベーク装置13が考えられる。
【0245】
基板導出部33は、基板導出部33における基板Wの存否を検出するセンサ334,335を有する。出口部におけるセンサによって基板W1(k)が検出されることなく基板Wm(k)が検出され(図22のステップS503からステップS507への流れを参照)、かつ基板W1(k)の欠如が確認されたとき(図22のステップS503からステップS507への流れを参照)、制御部60は基板W1(k)についての順次処理基板データJ1(k)を用いずに、基板Wm(k)についての順次処理基板データJm(k)を用いて同時処理基板データD0(k)を生成する(図22のステップS507参照)。
【0246】
例えば、基板W1(k),…Ws(k)が(s=m-1)、基板Wm(k),…WN(k)よりも上流に配置され、基板W1(k),…Wm(k)はいずれも第kのグループに属している場合を想定する。
【0247】
例えば、基板W1(k),…Ws(k)が検出されることなく基板Wm(k),…WN(k)が検出されたときに、ステップS507において制御部60が順次処理基板データJ1(k),…Js(k)を用いずに、順次処理基板データJm(k),…WN(k)を用いて同時処理基板データD0(k)を生成する。
【0248】
これにより、実際に払い出される基板Wと対応した同時処理基板データD0(k)が、同時処理に供される(図22のステップS508参照)。
【0249】
例えば基板W1(k),…Ws(k)を第1の基板として捉え、基板Wm(k),…WN(k)を第2の基板として捉えることができる。この場合、出口部におけるセンサによって第1の基板が検出されることなく第2の基板が検出され、かつ第1の基板の欠如が確認されたときに、制御部60は第1の基板についての順次処理基板データJ1(k),…Js(k)を用いずに、第2の基板についての順次処理基板データJm(k),…JN(k)を用いて同時処理基板データD0(k)を生成する。
【0250】
(v)例えば順次処理装置30は、同時処理装置40へ基板Wを払い出す出口部たる基板導出部33を含む。基板導出部33は、基板導出部33における基板Wの存否を検出するセンサ334,335を有する。出口部におけるセンサによって基板W1(k)が、基板Wm(k)が検出されることなく検出されたときに(図23のステップS501からステップS512への処理の流れを参照)、制御部60は基板Wm(k)についての順次処理基板データJm(k)を用いずに、基板W1(k)についての順次処理基板データJ1(k)を用いて同時処理基板データD0(k)を生成する(図23のステップS512参照)。
【0251】
基板W1(k),Wm(k)はいずれも第kのグループに属する。これらの位置情報Db1は、基板W1(k)が基板Wm(k)よりも上流側(搬送方向についていえば後ろ側)であることを示す。例えば、図11を参照して基板W1(k)は他の基板よりも上流にあることを示す。例えば図12を参照して基板W2(k)は他の基板よりも上流にあることを示す。
【0252】
例えば基板Wm(k),…WN(k)が検出されることなく基板W1(k),…Ws(k)が検出されたときに、ステップS512において制御部60が順次処理基板データJm(k),…JN(k)を用いずに、順次処理基板データJ1(k),…Ws(k)を用いて同時処理基板データD0(k)を生成する。
【0253】
これにより、実際に払い出される基板Wと対応した同時処理基板データD0(k)が、同時処理に供される(図22のステップS513参照)。
【0254】
例えば基板W1(k),…Ws(k)を第1の基板として捉え、基板Wm(k),…WN(k)を第2の基板として捉えることができる。この場合、出口部におけるセンサによって第1の基板が、第2の基板が検出されることなく検出されたときに、制御部60は第2の基板についての順次処理基板データJm(k),…JN(k)を用いずに、第1の基板についての順次処理基板データJ1(k),…Js(k)を用いて同時処理基板データD0(k)を生成する。
【0255】
(vi)例えば出口部におけるセンサは複数設けられ、その個数はグループに属する基板Wの個数と一致する。例えばN=2のとき、基板導出部33は、基板導出部33における基板Wの存否を検出するセンサ334,335を有する。このような個数でセンサを設けることは、グループにおける基板Wの存否の的確な検出に寄与する。
【0256】
(vii)例えば順次処理装置30は、同時処理装置40から基板Wを受け取る入口部たる基板導入部31を含む。順次処理装置30として洗浄装置12を考えると、同時処理装置40としてインデクサ部11が考えられる。基板導入部31は、基板導入部31における基板Wの存否を検出するセンサ314,315を有する。
【0257】
入口部におけるセンサによって基板W1(k)が検出されることなく基板W2(k)が検出されたときに(例えば<6-2-4>の第3の例において説明された場合)、制御部60は順次処理基板データJ1(k)を生成せずに、順次処理基板データJ2(k)を生成する(図21のステップS304参照)。
【0258】
入口部におけるセンサによって基板W2(k)が検出されることなく基板W1(k)が検出されたときに(例えば<6-2-4>の第4の例において説明された場合)、制御部60は順次処理基板データJ2(k)を生成せずに、順次処理基板データJ1(k)を生成する(図21のステップS304参照)。
【0259】
例えば基板W1(k),…Ws(k)を第3の基板として捉え、基板Wm(k),…WN(k)を第4の基板として捉えることができる。この場合、入口部におけるセンサによって第3の基板が、第4の基板が検出されることなく検出されたときに、ステップS305において制御部60が第4の基板についての順次処理基板データJm(k),…JN(k)を生成せずに、第3の基板についての順次処理基板データJ1(k),…Js(k)を生成する。
【0260】
入口部におけるセンサによって第4の基板が、第3の基板が検出されることなく検出されたときに、ステップS305において制御部60が第3の基板についての順次処理基板データJ1(k),…Js(k)を生成せずに、第4の基板についての順次処理基板データJm(k),…JN(k)を生成する。
【0261】
また上述の基板処理装置は、下記の基板処理方法を実現するということができる。当該基板処理方法は、順次処理と同時処理とを備える。順次処理は、複数のグループに分けられた基板Wごとに設定される順次処理基板データJn(k)に基づいて、基板W1(k),…WN(k)を順次に搬送しつつ、基板Wn(k)に対して処理を行う。同時処理は、グループごとに設定される同時処理基板データD0(k)に基づいて、グループごとに基板W1(k),…WN(k)を同時に処理する。
【0262】
同時処理基板データD0(k)は、グループ識別情報Da1と、基板番号W1,W2と、位置情報Db1と、レシピ情報Dc1とを含む。グループ識別情報Da1は、グループを識別する。具体的には基板W1(k),…WN(k)が第kのグループに属することがグループ識別情報Da1によって示される。基板番号W1,…WNは、同じグループに属する基板Wを互いに区別する。位置情報Db1は、同じグループにおける基板Wの搬送位置を示す。レシピ情報Dc1は、同じグループに属する基板Wに共通してなされる処理内容を規定する。
【0263】
順次処理基板データJ1(k),…JN(k)は、それぞれに対応する基板W1(k),…WN(k)についての位置情報Db1と、グループ識別情報Da1と、レシピ情報Dc1とを含む。
【0264】
同時処理基板データD0(k)から順次処理基板データJ1(k),…JN(k)が生成され、順次処理基板データJ1(k),…JN(k)から同時処理基板データD0(k)が生成される。
【0265】
以上のように、基板処理装置および基板処理方法は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この開示がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない多数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0266】
31 基板導入部(入口部)
33 基板導出部(出口部)
314,315,334,335:センサ
Da1 グループ識別情報
Db1 位置情報
Dc1 レシピ情報
Dd1 最終情報
k ペア番号
J1(k),J2(k) 順次処理基板データ
D0(k) 同時処理基板データ
W,W1,W2,W1(k),W2(k) 基板
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