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特許7185675ゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20221130BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20221130BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20221130BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20221130BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20221130BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H01L29/80 E
H01L29/80 H
H01L29/58 Z
H01L29/48 D
H01L29/48 M
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020176638
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2021082811
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】16/661,472
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512098588
【氏名又は名称】ウィン セミコンダクターズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鍾 榮濤
(72)【発明者】
【氏名】張 家銘
(72)【発明者】
【氏名】曾 隆鎰
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲彦▼丞
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0278523(US,A1)
【文献】特開2004-158772(JP,A)
【文献】特開2005-064381(JP,A)
【文献】国際公開第2014/192311(WO,A1)
【文献】特開2007-324424(JP,A)
【文献】特開2007-149885(JP,A)
【文献】特開2008-010468(JP,A)
【文献】特開平10-173137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/338
H01L 29/423
H01L 29/47
H01L 29/812
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスであって、
多層構造体中の低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTを有し、
前記多層構造体は、半導体基板を有し、前記低ピンチオフ電圧、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTに共通する複数のエピタキシャル半導体層により覆われ、前記エピタキシャル半導体層は、バッファ層を有し、前記バッファ層は、チャネル層により覆われ、前記チャネル層は、ショットキー層により覆われ、前記ショットキー層は、第一キャップ層により覆われ、
前記ショットキー層は、第1の半導体スタック領域、前記第1の半導体スタック領域上に形成された第2の半導体スタック領域、および、前記第2の半導体スタック領域上に形成された第3の半導体スタック領域を有し、
前記第1の半導体スタック領域と前記第2の半導体スタック領域は異なる材料であり、且つ、前記第1の半導体スタック領域と前記第2の半導体スタック領域の間に第1のスタック領域接触界面を提供し、前記第2の半導体スタック領域と前記第3の半導体スタック領域は異なる材料であり、且つ、前記第2の半導体スタック領域と前記第3の半導体スタック領域の間に第2のスタック領域接触界面を提供し、
前記第1のスタック領域接触界面と前記第2のスタック領域接触界面は、前記半導体基板からの距離が異なり、前記第1の半導体スタック領域はAlGaAsベースの半導体材料で組成され、前記第2の半導体スタック領域はInGaPベースの半導体材料で組成され、
前記低ピンチオフ電圧、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTのソース、および、ドレインコンタクトは、前記第一キャップ層上に形成され、
前記低ピンチオフ電圧、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTはそれぞれ、ゲートコンタクト、第一ゲート金属層、ゲートシンキング領域、および、ゲートシンキング底面境界を有し、
前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記各ゲートコンタクトは、前記ショットキー層上に形成され、前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記の個別の第一ゲート金属層は、前記ショットキー層上で前記各ゲートコンタクト下に形成され、
前記低ピンチオフ電圧pHEMT ゲートシンキング領域、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMT ゲートシンキング領域は、それぞれ、前記ショットキー層中で、前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記第一ゲート金属層の下方に形成されており、
前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記各ゲートシンキング底面境界は、前記ショットキー層中に位置し、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記ゲートシンキング底面境界は、前記低ピンチオフ電圧pHEMTの前記ゲートシンキング底面境界より、前記半導体基板に近接し、
前記AlGaAsベースの半導体材料はAlGaAsPまたはInAlGaAsの1つであり、前記InGaPベースの半導体材料はInGaPであり、前記高ピンチオフ電圧pHEMT ゲートシンキング領域の前記ゲートシンキング底面境界は、前記第1の半導体スタック領域の前記AlGaAsベースの半導体材料内であって、前記第1のスタック領域接触界面から離れており、前記第1のスタック領域接触界面の下10Å内に位置する、との第1の構成、または
前記AlGaAsベースの半導体材料はAlGaAsであり、前記InGaPベースの半導体材料はInGaPAsまたはAlInGaPの1つであり、前記高ピンチオフ電圧pHEMT ゲートシンキング領域の前記ゲートシンキング底面境界は、前記第2の半導体スタック領域の前記InGaPベースの半導体材料内であって、前記第1のスタック領域接触界面から離れており、前記第1のスタック領域接触界面の上10Å内に位置する、との第2の構成、のいずれかの構成を有することを特徴とするゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項2】
前記低ピンチオフ電圧pHEMTの前記ゲートシンキング底面境界は、前記第2のスタック領域接触界面の上10Å、あるいは、下10Å内に位置することを特徴とする請求項1に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項3】
前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記ゲートシンキング底面境界は、前記ショットキー層の前記第1のスタック領域接触界面に位置することを特徴とする請求項1に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項4】
前記低ピンチオフ電圧pHEMTの前記ゲートシンキング底面境界は、前記ショットキー層の前記第2のスタック領域接触界面に位置することを特徴とする請求項1に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項5】
前記ショットキー層は、前記第3の半導体スタック領域上に形成された第4の半導体スタック領域をさらに有し、前記第3の半導体スタック領域と前記第4の半導体スタック領域の間に第3のスタック領域接触界面を提供し、
前記低ピンチオフ電圧pHEMTの前記ゲートシンキング底面境界は、前記第3のスタック領域接触界面の上10Åあるいは下10Å内に位置するか、または、前記第2のスタック領域接触界面の上10Åあるいは下10Å内に位置することを特徴とする請求項1に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項6】
前記複数のエピタキシャル半導体層は、さらに、第一コンタクト層を有し、前記第一コンタクト層は、前記第一キャップ層と前記ショットキー層の間にあり、且つ、最上層接触界面が、前記第一コンタクト層と前記ショットキー層の間に提供され、前記第一コンタクト層は、GaAs、AlGaAs、AlGaAsP、InAlGaAs、InGaP、InGaPAs、および、AlInGaPの少なくとも一つを有し、且つ、前記第一コンタクト層の材料は、前記ショットキー層の前記第3の半導体スタック領域と異なることを特徴とする請求項1に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項7】
前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの個別の第一ゲート金属層は、前記第一コンタクト層と接触することを特徴とする請求項6に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項8】
前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記の個別の第一ゲート金属層は、モリブデン (Mo)、タングステン (W)、ケイ化タングステン (WSi)、チタン (Ti)、イリジウム (Ir)、パラジウム (Pd)、プラチナ (Pt)、ニッケル (Ni)、コバルト (Co)、クロム (Cr)、ルテニウム (Ru)、オスミウム (Os)、ロジウム (Rh)、タンタル (Ta)、窒化タンタル (TaN)、アルミニウム (Al)、および、レニウム (Re)の少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項9】
前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記の個別の第一ゲート金属層は、異なる材料で形成されることを特徴とする請求項8に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項10】
前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの個別の第一ゲート金属層は、同一材料で形成されることを特徴とする請求項8に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項11】
前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記第一ゲート金属層は、前記低ピンチオフ電圧pHEMTの前記第一ゲート金属層より厚いことを特徴とする請求項10に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項12】
前記複数のエピタキシャル半導体層は、さらに、エッチング停止層、および、第二キャップ層を有し、前記エッチング停止層は前記第一キャップ層に結合され、前記第二キャップ層は前記エッチング停止層上に形成され、前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記の個別のソース、および、ドレインコンタクトは、前記第二キャップ層に結合されることを特徴とする請求項1に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項13】
前記エッチング停止層は、InGaP、InGaPAs、AlInGaP、および、AlAsの少なくとも一つを有し、前記第二キャップ層は GaAsであることを特徴とする請求項12に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項14】
前記第一キャップ層はGaAsであり、前記チャネル層は、GaAs、および、InGaAsの少なくとも一つを有し、前記バッファ層は、GaAs、および、AlGaAsの少なくとも一つを有し、且つ、前記半導体基板はGaAsであることを特徴とする請求項1に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項15】
複数のエピタキシャル半導体層は、さらに、キャリア供給層を有し、前記キャリア供給層は前記チャネル層上に形成され、且つ、前記ショットキー層は前記キャリア供給層上に形成され、前記キャリア供給層は、AlGaAs、 AlGaAsP、および、InAlGaAsの少なくとも一つを有することを特徴とする請求項1に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項16】
ゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスであって、
多層構造体中の低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTを有し、
前記多層構造体は半導体基板を有し、前記低ピンチオフ電圧、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTに共通する複数のエピタキシャル半導体層により覆われ、前記エピタキシャル半導体層は、バッファ層を有し、前記バッファ層は、チャネル層により覆われ、前記チャネル層は、ショットキー層により覆われ、前記ショットキー層は、第一コンタクト層により覆われ、前記第一コンタクト層は、第一キャップ層により覆われ、
前記ショットキー層は、下方から上方に、少なくとも三個の半導体材料のスタック領域を有し、前記の二個の隣接するスタック領域はそれぞれ異なる材料であり、且つ、両者の間に、スタック領域接触界面を提供し、前記スタック領域接触界面の任意の二個は、前記半導体基板からの距離が異なり、
前記第一コンタクト層は、前記ショットキー層の前記最上層スタック領域の上表面と接触し、且つ、最上層接触界面が、前記第一コンタクト層と前記ショットキー層の前記最上層スタック領域間に提供され、
前記低ピンチオフ電圧、および、前記高ピンチオフ電圧のソース、および、ドレインコンタクトが、前記第一キャップ層に結合され、
前記低ピンチオフ電圧、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTは、それぞれ、ゲートコンタクト、第一ゲート金属層、ゲートシンキング領域、および、ゲートシンキング底面境界を有し、
前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記の各ゲートコンタクトは、前記ショットキー層に結合され、前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記の個別の第一ゲート金属層は、前記第一コンタクト層と接触し、
前記低ピンチオフ電圧pHEMT ゲートシンキング領域、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMT ゲートシンキング領域は、それぞれ、前記低ピンチオフ電圧pHEMT、および、前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記第一ゲート金属層の下方にあり、
前記低ピンチオフ電圧pHEMTの前記ゲートシンキング底面境界は、前記最上層接触界面の上10Å、あるいは、下10Å内に位置し、
前記高ピンチオフ電圧pHEMTの前記ゲートシンキング底面境界は、前記ショットキー層の前記スタック領域接触界面の一つの上10Å、あるいは、下10Å内に位置することを特徴とするゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項17】
前記低ピンチオフ電圧pHEMTの前記ゲートシンキング底面境界は、前記最上層接触界面に位置することを特徴とする請求項16に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項18】
前記ショットキー層の任意の二個の隣接するスタック領域において、AlGaAsベースの半導体材料で組成される前記スタック領域は、InGaPベースの半導体材料で組成される前記のもう一つのスタック領域と交錯し、前記AlGaAsベースの半導体材料は、AlGaAs、AlGaAsP、および、InAlGaAsの少なくとも一つを有し、InGaPベースの半導体材料は、InGaP、InGaPAs、および、AlInGaPの少なくとも一つを有することを特徴とする請求項16に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【請求項19】
前記第一コンタクト層は、GaAs、 AlGaAs、AlGaAsP、InAlGaAs、InGaP、InGaAsP、および、InAlGaPの少なくとも一つを有し、前記第一コンタクト層の材料は、前記ショットキー層の前記最上層スタック領域と異なることを特徴とする請求項18に記載のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二個以上の仮像高電子移動度トランジスタ(pseudomorphic high electron mobility transistor、pHEMT)で構成されるモノリシック集積回路デバイスに関するものであって、特に、ウェハ全体に、あるいは、異なるウェハ間で、本質的に、極めて均一なピンチオフ、あるいは、スレショルド電圧を有するモノリシック集積ゲートシンキング(gate-sinking)pHEMTに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゲートシンキングや埋設ゲート技術は、すでに、幅広く、エンハンスメントモード (Eモード)仮像高電子移動度トランジスタ (pHEMT)を実現するのに用いられ、エンハンスメントモードpHEMTのピンチオフ、あるいは、スレショルド電圧(以下で、ピンチオフ電圧)は正値であり、これは、ゲートからチャネルの距離の短縮によるものである。トランジスタエピタキシャル構造、および、製造プロセスが適当に設計されるとき、ゲートシンキング技術の応用は、EモードpHEMTを含んでいなければならないが、pHEMTに限定されない。ゲートシンキング技術は、熱処理期間中の温度、および、時間を念入りに制御して、第一蒸着ゲート金属が、均一に、着実に、且つ、全面的に、ショットキーバリア層中で拡散することを確保する必要がある。したがって、ウェハ全体、および、異なるウェハ間で、ゲートシンキングpHEMTは、高度が均一なピンチオフ電圧を有することが、本領域におけるもっとも主要な要求である。
【0003】
デジタル、および、バイアス回路等、ある応用において、各種ピンチオフ電圧を有する複数のpHEMTが必要である。たとえば、常時オフ(normally-off) (正のピンチオフ電圧)pHEMT、および、常時オン(normally-on) (負のピンチオフ電圧)pHEMTは、モノリシックに、同じ半導体基板上に整合される。図1は、空乏モード(depletion-mode)(Dモード)pHEMT D1、および、EモードpHEMT E1で構成される従来のモノリシック集積回路デバイスを示す図である。従来のモノリシック集積回路デバイスは、化合物半導体基板100、および、エピタキシャル構造110を有する。化合物半導体基板100上で成長するエピタキシャル構造110は、下から上に順に、バッファ層111、チャネル層112、ショットキー層113、ショットキーコンタクト層114、第一エッチング停止層115、第一導電層116、第二エッチング停止層117、第二導電層118を有する。Dモード/Eモード pHEMTソース電極101/103、および、ドレイン電極102/104が、第二導電層118上に形成される。ゲート凹槽108は、ショットキーコンタクト層114により定義される凹槽底部を有するDモードpHEMTのソース電極101とドレイン電極102間に位置する。ゲート凹槽109は、ショットキー層113により定義される凹槽底部を有するEモードpHEMTのソース電極103とドレイン電極104間に位置する。DモードpHEMTのゲート電極120は、ゲート凹槽108中のショットキーコンタクト層114上に蒸着される。Eモード pHEMTのゲート電極130は、ゲート凹槽109中のショットキー層113上に蒸着される。図1に示されるように、Dモード、および、EモードpHEMTのゲート電極が、異なる半導体層上に形成される。従来のモノリシック集積回路デバイスにおいて、Dモード、および、EモードpHEMT両方に、余分なフォトリソグラフィ、および、エッチング工程が必要であることを示す。
【0004】
図2は、DモードpHEMT D1、および、EモードpHEMT E1から構成される別の従来のモノリシック集積回路デバイスを示す図である。図2に示されるように、Dモード、および、EモードpHEMT両方が、ゲートシンキング技術を用いて製造される。モノリシック集積回路デバイスは、化合物半導体基板200、および、エピタキシャル構造210を有する。化合物半導体基板200上で成長するエピタキシャル構造210は、下から上に順に、バッファ層211、チャネル層212、第一ショットキーバリア層213、第一エッチング停止層214、第二ショットキーバリア層215、第二エッチング停止層216、および、抵抗接点層217を有する。Dモード/EモードpHEMTのソース電極201/203、および、ドレイン電極202/204が、抵抗接点層217上に形成される。ゲート凹槽208は、第二ショットキーバリア層215により定義される凹槽底部を有するDモードpHEMTのソース電極201とドレイン電極202間に位置する。ゲート凹槽209は、第一ショットキーバリア層213により定義される凹槽底部を有するEモードpHEMTのソース電極203とドレイン電極204間に位置する。DモードpHEMTのゲート電極220が、ゲート凹槽208中の第二ショットキーバリア層215上に蒸着される。EモードpHEMTのゲート電極230が、ゲート凹槽209中の第一ショットキーバリア層213上に蒸着される。ゲートシンキング領域221/231は、Dモード/EモードpHEMTのゲート電極220/230下方にある。図2に示される従来のモノリシック集積回路デバイスにおいて、DモードpHEMT、および、EモードpHEMTの各自ゲート電極は、異なるショットキー層上に形成される。余分なフォトリソグラフィ、および、エッチング工程が必要とされ、Dモード、および、Eモードゲート凹槽208、209を形成し、pHEMT製造プロセスで、追加コスト、および、複雑性につながることを示している。最も重要なことは、ショットキーバリア層213、215のエッチング済み表面は、欠陥、および、表面状態を生じ、トランジスタパフォーマンスを低下させるとともに、pHEMTピンチオフ電圧を標的値から偏移させる。
【0005】
このほか、図2に示される従来のモノリシック集積回路デバイスは、DモードpHEMTとEモードpHEMTの個別のピンチオフ電圧の制御において、深刻な問題を示す。実際上、Dモード/EモードpHEMTのゲートシンキング領域221/231の底面境界が、完璧に、ショットキーバリア層の特定の狭い領域内で制御するのは不可能である。この事実は、ウェハ全体、あるいは、異なるウェア間のゲート電極の厚さ、熱処理温度、および、熱処理時間の不一致に帰する。これらの望まれない効果は、トランジスタピンチオフ電圧の高度なばらつきを生じる。
【0006】
したがって、新設計によって、ウェハ全体、あるいは、異なるウェア間で、本質的に、極めて均一なピンチオフ電圧を有するモノリシック集積ゲートシンキングpHEMTを達成することが非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
二個以上のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスにおいて、予期されるピンチオフ電圧の均一性を達成するため、本発明は、スタック半導体層をスタックした複合ショットキー層構造を実施する。ゲート金属のシンキング深さを、ショットキー層のスタック半導体層中の特定インターフェースに制御することにより、ウェハ全体、あるいは、異なるウェア間のpHEMTのピンチオフ電圧のばらつきが大幅に減少する。さらに、モノリシック集積回路デバイス中の各pHEMTのピンチオフ電圧が任意の(正、あるいは、負)希望値に調整される。したがって、本発明は、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTから構成される多層構造体のモノリシック集積回路デバイスを提供し、多層構造体は、半導体基板を有し、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTに共通する複数のエピタキシャル半導体層を覆い、複数のエピタキシャル半導体層は、バッファ層を有し、バッファ層はチャネル層により覆われ、チャネル層はショットキー層により覆われ、ショットキー層は第一キャップ層により覆われる。ショットキー層は、下方から上方に、少なくとも三個の半導体材料のスタック領域を有し、二個の隣接するスタック領域はそれぞれ異なる材料であり、且つ、両者の間に、スタック領域接触界面を提供し、任意の二個のスタック領域接触界面は、半導体基板からの距離が異なる。低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTのソース、および、ドレインコンタクトは、第一キャップ層に結合される。低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTは、それぞれ、ゲートコンタクト、第一ゲート金属層、ゲートシンキング領域、および、ゲートシンキング底面境界を有する。低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの各自ゲートコンタクトは、ショットキー層に結合され、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの個別の第一ゲート金属層は、ショットキー層の最上層スタック領域と接触する。低ピンチオフ電圧pHEMTゲートシンキング領域、および、高ピンチオフ電圧pHEMTゲートシンキング領域は、それぞれ、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの第一ゲート金属層の下方にある。低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの各自ゲートシンキング底面境界は、ショットキー層中に位置し、高ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング底面境界は、低ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング底面境界より半導体基板に近く、且つ、高ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング底面境界は、ショットキー層のスタック領域接触界面の一つの上10Å 、あるいは、下10Å内に位置する。
【0009】
さらに、本発明は、多層構造体中の低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスを提供し、多層構造体は、半導体基板を有し、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTに共通する複数のエピタキシャル半導体層を覆い、複数のエピタキシャル半導体層は、バッファ層を有し、バッファ層はチャネル層により覆われ、チャネル層はショットキー層により覆われ、ショットキー層は第一キャップ層により覆われる。ショットキー層は、下方から上方に、少なくとも三個の半導体材料のスタック領域を有し、二個の隣接するスタック領域はそれぞれ異なる材料であり、且つ、両者の間に、スタック領域接触界面を提供し、任意の二個のスタック領域接触界面は、半導体基板からの距離が異なる。第一コンタクト層は、ショットキー層の最上層スタック領域の上表面と接触し、且つ、最上層接触界面が、第一コンタクト層とショットキー層の最上層スタック領域の間に提供される。低ピンチオフ電圧、および、高ピンチオフ電圧pHEMTのソース、および、ドレインコンタクトは、第一キャップ層に結合される。低ピンチオフ電圧、および、高ピンチオフ電圧pHEMTは、それぞれ、ゲートコンタクト、第一ゲート金属層、ゲートシンキング領域、および、ゲートシンキング底面境界を有する。低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの各自ゲートコンタクトは、ショットキー層に結合され、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの個別の第一ゲート金属層は、第一コンタクト層と接触する。低ピンチオフ電圧pHEMT ゲートシンキング領域、および、高ピンチオフ電圧pHEMT ゲートシンキング領域は、それぞれ、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの第一ゲート金属層の下方にある。低ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング底面境界は、ショットキー層中に位置する、あるいは、最上層接触界面の上10Å、あるいは、下10Å内に位置する。高ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング底面境界は、ショットキー層のスタック領域接触界面の一つの上10Å、あるいは、下10Å内に位置する。且つ、高ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング底面境界は、低ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング底面境界より半導体基板に近い。
【0010】
いくつかの実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング底面境界は、ショットキー層のスタック領域接触界面の一つの上10Å、あるいは、下10Å内に位置する。
【0011】
いくつかの実施形態において、高ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング底面境界は、ショットキー層のスタック領域接触界面の一つに位置する。
【0012】
いくつかの実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング底面境界は、ショットキー層のスタック領域接触界面の一つ、あるいは、最上層接触界面に位置する。
【0013】
いくつかの実施形態において、第一コンタクト層は、GaAs、AlGaAs、 AlGaAsP、InAlGaAs、InGaP、InGaPAs、および、AlInGaPの少なくとも一つを有し、且つ、第一コンタクト層の材料は、ショットキー層の最上層スタック領域と異なる。
【0014】
いくつかの実施形態において、ショットキー層の任意の二個の隣接するスタック領域において、AlGaAsベースの半導体材料で組成される一スタック領域は、InGaPベースの半導体材料で組成されるもう一つのスタック領域と交錯し、AlGaAsベースの半導体材料は、AlGaAs、AlGaAsP、および、InAlGaAsの少なくとも一つを有し、InGaPベースの半導体材料は、InGaP、InGaPAs、および、AlInGaPの少なくとも一つを有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの個別の第一ゲート金属層は、モリブデン (Mo)、タングステン (W)、ケイ化タングステン (WSi)、チタン (Ti)、イリジウム (Ir)、パラジウム (Pd)、プラチナ (Pt)、ニッケル (Ni)、コバルト (Co)、クロム (Cr)、ルテニウム (Ru)、オスミウム (Os)、ロジウム (Rh)、タンタル (Ta)、窒化タンタル (TaN)、アルミニウム (Al)、および、レニウム (Re)の少なくとも一つを有する。
【0016】
いくつかの実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの個別の第一ゲート金属層は、異なる材料で形成される。
【0017】
いくつかの実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの個別の第一ゲート金属層は、同一材料で形成される
【0018】
いくつかの実施形態において、高ピンチオフ電圧pHEMTの第一ゲート金属層は、低ピンチオフ電圧pHEMTの第一ゲート金属層より厚い。
【0019】
いくつかの実施形態において、複数のエピタキシャル半導体層は、さらに、エッチング停止層、および、第二キャップ層を有し、エッチング停止層は第一キャップ層上に形成され、第二キャップ層はエッチング停止層上に形成され、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの個別のソース、および、ドレインコンタクトは、第二キャップ層に結合される。
【0020】
いくつかの実施形態において、エッチング停止層は、InGaP、InGaPAs、 AlInGaP、および、AlAsの少なくとも一つを有し、第二キャップ層はGaAsである。
【0021】
いくつかの実施形態において、第一キャップ層はGaAsであり、且つ、チャネル層は、GaAs、および、InGaAsの少なくとも一つを有し、バッファ層は、GaAs、および、AlGaAsの少なくとも一つを有し、且つ、化合物半導体基板はGaAsである。
【0022】
本発明の特徴と効果をさらに理解するため、いくつかの好ましい実施形態と図面を以下で詳細に記述する。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、モノリシック集積回路デバイス中の各pHEMTのピンチオフ電圧とゲートチャネル間の距離の均一性が顕著に改善される。さらに、モノリシック集積回路デバイス中の各pHEMTのピンチオフ電圧が、任意の(正、あるいは、負)期待値に設計される。また、製造プロセスが簡潔になり、経済的利益が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、従来の実施形態によるモノリシック集積回路デバイスの垂直断面図である。
図2図2は、従来の実施形態によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの別の垂直断面図である。
図3A図3Aは、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの実施形態の第1の垂直断面図である。
図3B図3Bは、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの実施形態の第2の垂直断面図である。
図3C図3Cは、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの実施形態の第3の垂直断面図である。
図3D図3Dは、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの実施形態の第4の垂直断面図である。
図3E図3Eは、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの実施形態の第5の垂直断面図である。
図3F図3Fは、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの実施形態の第6の垂直断面図である。
図3G図3Gは、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの実施形態の第7の垂直断面図である。
図4A図4Aは、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの他の実施形態の第1の垂直断面図である。
図4B図4Bは、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの他の実施形態の第2の垂直断面図である。
図4C図4Cは、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの他の実施形態の第3の垂直断面図である。
図5図5は、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスのさらに他の実施形態の垂直断面図である。
図6図6は、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスのさらに他の実施形態の垂直断面図である。
図7図7は、本発明によるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスのさらに他の実施形態の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図3Aは、ゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの一実施形態による垂直断面である。ゲートシンキングpHEMT1を有するモノリシック集積回路デバイスは、多層構造体2中に、低ピンチオフ電圧pHEMT L1、および、高ピンチオフ電圧pHEMT H1を有する。多層構造体2は、半導体基板10を有し、低ピンチオフ電圧と高ピンチオフ電圧pHEMTに共通する複数のエピタキシャル半導体層を覆う。複数のエピタキシャル半導体層は、バッファ層20を有し、バッファ層20は、チャネル層30により覆われ、チャネル層30は、ショットキー層40により覆われ、ショットキー層40は、第一キャップ層50により覆われる。ショットキー層40は、下方から上方に、半導体材料の三個のスタック領域42、44、および、46を有し、二個の隣接するスタック領域は、それぞれ異なる材料である。スタック領域接触界面43が、隣接するスタック領域42と44間に提供される。スタック領域接触界面45が、隣接するスタック領域44と46間に提供される。スタック領域接触界面43と45は、半導体基板からの距離が異なる。複数のエピタキシャル半導体層2は、低ピンチオフ電圧pHEMT L1と高ピンチオフ電圧pHEMT H1間に位置する絶縁領域5を有する。pHEMT L1, H1は、それぞれ、絶縁領域5により電気的に絶縁される。低ピンチオフ電圧pHEMT L1のソース、および、ドレインコンタクトs1、および、d1は第一キャップ層50に結合される。高ピンチオフ電圧pHEMT H1のソース、および、ドレインコンタクトs2、d2は、第一キャップ層50に結合される。低ピンチオフ電圧pHEMT L1は、ゲートコンタクトg1を含む。ゲートコンタクトg1は、第一ゲート金属層g11を有する。ゲートコンタクトg1は、さらに、第一ゲート金属層g11上に蒸着される第二ゲート金属層を有する。ゲートシンキング領域g12は、第一ゲート金属層g11の下方にある。ゲートシンキング領域g12は、ゲートシンキング底面境界g13を有する。高ピンチオフ電圧pHEMT H1は、ゲートコンタクトg2を含む。ゲートコンタクトg2は、第一ゲート金属層g21を有する。ゲートコンタクトg2はさらに、第一ゲート金属層g21上に蒸着される第二ゲート金属層を有する。ゲートシンキング領域g22は、第一ゲート金属層g21の下方にある。ゲートシンキング領域g22は、ゲートシンキング底面境界g23を有する。低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲート凹槽91は、ソースコンタクトs1とドレインコンタクトd1間に位置する。高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲート凹槽92は、ソースコンタクトs2とドレインコンタクトd2間に位置する。低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートコンタクトg1は、ゲート凹槽91中に位置する。ゲートコンタクトg1は、ショットキー層40に結合される。高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートコンタクトg2は、ゲート凹槽92中に位置する。ゲートコンタクトg2は、ショットキー層40に結合される。低ピンチオフ電圧pHEMT L1、および、高ピンチオフ電圧pHEMT H1の個別の第一ゲート金属層g11、および、g21は、ショットキー層40の最上層スタック領域46と接触する。低ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング領域g12は、低ピンチオフ電圧pHEMTの第一ゲート金属層g11下方に位置する。高ピンチオフ電圧pHEMTのゲートシンキング領域g22は、高ピンチオフ電圧pHEMTの第一ゲート金属層g21の下方に位置する。
【0026】
ゲートシンキング底面境界g13、および、g23は、ショットキー層40中に位置する。高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13よりも、半導体基板10に近い。高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、上限g24と下限g25間に位置する。上限g24は、ショットキー層40のスタック領域接触界面の一つの上方10Åにある。下限g25は、同じスタック領域接触界面の下方10Åにある。いくつかの実施形態において、高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、ショットキー層40のスタック領域接触界面の一つに位置する。いくつかの実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、上限g14と下限g15間に位置する。上限g24は、ショットキー層40のスタック領域接触界面の一つの上方10Åにある。下限g15は、同じスタック領域接触界面の下方10Åにある。いくつかの実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、ショットキー層40のスタック領域接触界面の一つに位置する。図3Aに示される実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、ショットキー層40のスタック領域接触界面45に位置し、高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、ショットキー層40のスタック領域接触界面43に位置する。図3B図3Eにおいて、本発明のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスのその他の実施形態を示す図である。図3B図3Eにおいて、上限g14、および、下限g15は、それぞれ、スタック領域接触界面45の上方10Å、および、下方10Åにある。上限g24、および、下限g25は、それぞれ、スタック領域接触界面43の上方10Å、および、下方10Åにある。図3Bにおいて、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、ショットキー層40のスタック領域接触界面45に位置し、且つ、高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、上限g24とショットキー層40のスタック領域接触界面43間に位置する。図3Cにおいて、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、ショットキー層40のスタック領域接触界面45に位置し、高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、下限g25とショットキー層40のスタック領域接触界面43間に位置する。図3Dにおいて、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、下限g15とショットキー層40のスタック領域接触界面45間に位置し、高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、下限g25とショットキー層40のスタック領域接触界面43間に位置する。図3Eにおいて、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、上限g14とショットキー層40のスタック領域接触界面45間に位置し、高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、下限g25とショットキー層40のスタック領域接触界面43間に位置する。
【0027】
いくつかの実施形態において、ショットキー層40の任意の二個の隣接するスタック領域中、AlGaAsベースの半導体材料で組成される一スタック領域は、InGaPベースの半導体材料で組成されるもう一つのスタック領域と交錯し、AlGaAsベースの半導体材料は、AlGaAs、AlGaAsP、および、InAlGaAsの少なくとも一つを有する。InGaPベースの半導体材料は、InGaP、InGaPAs、および、AlInGaPの少なくとも一つを有する。
【0028】
本発明において、ショットキー層は、半導体材料の三個以上のスタック領域を有し、二個の隣接するスタック領域は、それぞれ異なる材料であり、且つ、両者の間に、スタック領域接触界面を提供し、且つ、任意の二個のスタック領域接触界面は、半導体基板からの距離が異なる。図3F、および、図3Gは、本発明のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスのその他の実施形態を示す図で、ショットキー層40は、下方から上方に、半導体材料の四個のスタック領域42、44、46、および、48を有する。スタック領域接触界面43、45、および、47がスタック領域間に提供される。図3Fに示されるように、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、ショットキー層40のスタック領域接触界面47に位置し、高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、ショットキー層40のスタック領域接触界面43に位置する。図3Gにおいて、上限g14、および、下限g15は、それぞれ、スタック領域接触界面45の上方10Åと下方10Åに位置する。上限g24、および、下限g25は、それぞれ、スタック領域接触界面43の上方10Å、および、下方10Åに位置する。低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、下限g15とショットキー層40のスタック領域接触界面45間に位置する。高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、下限g25とショットキー層40のスタック領域接触界面43間に位置する。
【0029】
図4A図4Cは、本発明のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスのその他の実施形態を示す図である。図4A、および、図4Bにおいて、ショットキー層40は、下方から上方に、半導体材料の三個のスタック領域42、44、および、46を有し、且つ、スタック領域接触界面43、および、45は、スタック領域間に提供される。上記のように、ショットキー層は、半導体材料の三個以上のスタック領域を有する。図4Cにおいて、ショットキー層40は、下方から上方に、半導体材料の四個のスタック領域42、44、46、および、48を有し、スタック領域接触界面43、45、および、47が、スタック領域間に提供される。図4A図4Cにおいて、複数のエピタキシャル半導体層2は、さらに、ショットキー層46の最上層スタック領域の上表面と接触する第一コンタクト層60を有する。最上層接触界面49が、第一コンタクト層60とショットキー層40の最上層スタック領域間に提供される。第一キャップ層50が第一コンタクト層60上に形成される。低ピンチオフ電圧pHEMT L1、および、高ピンチオフ電圧pHEMT H1の個別の第一ゲート金属層g11、および、g21は、第一コンタクト層60と接触する。低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13が、上限g14と下限g15間に位置する。上限g14は、最上層接触界面49上方10Å、あるいは、ショットキー層40のスタック領域接触界面の一つの上方10Åに位置する。下限g15は、同じ接触界面の下方10Åに位置する。高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、上限g24と下限g25間に位置する。上限g24は、ショットキー層40のスタック領域接触界面の一つの上方10Åに位置する。下限g25は、同じスタック領域接触界面の下方10Åに位置する。図4Aに示されるように、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、ショットキー層40のスタック領域接触界面45に位置し、高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、ショットキー層40のスタック領域接触界面43に位置する。図4Bにおいて、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、最上層接触界面49に位置し、高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、ショットキー層40のスタック領域接触界面43に位置する。図4Cにおいて、低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、最上層接触界面49に位置し、高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、ショットキー層40のスタック領域接触界面43に位置する。
【0030】
いくつかの実施形態において、第一コンタクト層60は、GaAs、AlGaAs、AlGaAsP、InAlGaAs、InGaP、InGaPAs、および、AlInGaPの少なくとも一つを有し、且つ、第一コンタクト層60の材料は、ショットキー層40の最上層スタック領域と異なる。
【0031】
いくつかの実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの個別の第一ゲート金属層は、モリブデン (Mo)、タングステン (W)、ケイ化タングステン (WSi)、チタン (Ti)、イリジウム (Ir)、パラジウム (Pd)、プラチナ (Pt)、ニッケル (Ni)、コバルト (Co)、クロム (Cr)、ルテニウム (Ru)、オスミウム (Os)、ロジウム (Rh)、タンタル (Ta)、窒化タンタル (TaN)、アルミニウム (Al)、および、レニウム (Re)の少なくとも一つを有する。いくつかの実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMT の個別の第一ゲート金属層は、異なる材料で形成される。いくつかの実施形態において、低ピンチオフ電圧pHEMT、および、高ピンチオフ電圧pHEMTの個別の第一ゲート金属層は同一材料で形成される。いくつかの実施形態において、高ピンチオフ電圧pHEMTの第一ゲート金属層は、低ピンチオフ電圧pHEMTの第一ゲート金属層よりも厚い。
【0032】
図5は、本発明のゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの別の実施形態を示す図である。本実施形態において、複数のエピタキシャル半導体層2はさらに、エッチング停止層70、および、第二キャップ層52を有する。エッチング停止層70は、第一キャップ層50に結合される。第二キャップ層52は、エッチング停止層70上に形成される。低ピンチオフ電圧pHEMT L1、および、高ピンチオフ電圧pHEMT H1の各自ソース、および、ドレインコンタクトs1、s2、d1、および、d2は、第二キャップ層に結合される。
【0033】
いくつかの実施形態において、エッチング停止層70は、InGaP、InGaPAs、AlInGaP、および、AlAsの少なくとも一つを有し、且つ、第二キャップ層52は、GaAsである。いくつかの実施形態において、第一キャップ層50は GaAsである。いくつかの実施形態において、チャネル層30は、GaAs と InGaAsの少なくとも一つを有する。いくつかの実施形態において、バッファ層20は、GaAs、および、AlGaAsの少なくとも一つを有する。いくつかの実施形態において、化合物半導体基板10は、GaAsである。
【0034】
図6は、本発明により提供されるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの別の実施形態を示す図である。本実施形態において、複数のエピタキシャル半導体層は、さらに、キャリア供給層35を有する。キャリア供給層がチャネル層30上に形成され、ショットキー層40がキャリア供給層35上に形成される。いくつかの実施形態において、キャリア供給層35は、AlGaAs、AlGaAsP、および、InAlGaAsの少なくとも一つを有する。
【0035】
図7は、本発明により提供されるゲートシンキングpHEMTを有するモノリシック集積回路デバイスの別の実施形態を示す図である。本実施形態において、ショットキー層40は、下方から上方に、半導体材料の四個のスタック領域42、44、46、および、48を有し、且つ、スタック領域接触界面43、45、および、47が、スタック領域間に提供される。低ピンチオフ電圧pHEMT L1、および、高ピンチオフ電圧pHEMT H1は、一対のソースs1とドレインd1コンタクトを共有する。低ピンチオフ電圧pHEMT L1は、ゲートコンタクトg1を有する。ゲートコンタクトg1は、第一ゲート金属層g11、ゲートシンキング領域g12、および、ゲートシンキング底面境界g13を有する。高ピンチオフ電圧pHEMT H1は、ゲートコンタクトg2を有する。ゲートコンタクトg2は、第一ゲート金属層g21、ゲートシンキング領域g22、および、ゲートシンキング底面境界g23を有する。低ピンチオフ電圧pHEMT L1、および、高ピンチオフ電圧pHEMT H1の各自ゲート凹槽91、および、92は、ソースコンタクトs1とドレインコンタクトd1間に位置する。ショットキー層40に結合される低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートコンタクトg1は、ゲート凹槽91中に位置する。ショットキー層40に結合される高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートコンタクトg2は、ゲート凹槽92中に位置する。低ピンチオフ電圧pHEMT L1、および、高ピンチオフ電圧pHEMT H1の個別の第一ゲート金属層g11、および、g21は、ショットキー層40の最上層スタック領域46と接触する。低ピンチオフ電圧pHEMTゲートシンキング領域g12は、低ピンチオフ電圧pHEMT第一ゲート金属層g11の下方にある。高ピンチオフ電圧pHEMTゲートシンキング領域g22は、高ピンチオフ電圧pHEMT第一ゲート金属層g21の下方にある。図7において、上限g14、および、下限g15は、それぞれ、スタック領域接触界面47の上方10Å、および、下方10Åに位置する。上限g24、および、下限g25は、それぞれ、スタック領域接触界面43の上方10Å、および、下方10Åに位置する。低ピンチオフ電圧pHEMT L1のゲートシンキング底面境界g13は、ショットキー層40のスタック領域接触界面47に位置する。高ピンチオフ電圧pHEMT H1のゲートシンキング底面境界g23は、ショットキー層40のスタック領域接触界面43に位置する。
【0036】
したがって、モノリシック集積回路デバイス中の各pHEMTのピンチオフ電圧とゲートチャネル間の距離の均一性が顕著に改善される。さらに、モノリシック集積回路デバイス中の各pHEMTのピンチオフ電圧が、任意の(正、あるいは、負)期待値に設計される。また、製造プロセスが簡潔になり、経済的利益が改善される。
【0037】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の思想を脱しない範囲内で各種の変形を加えることができる。
【符号の説明】
【0038】
1…モノリシック集積回路デバイス
2…多層構造
5…絶縁領域
10…半導体基板
20…バッファ層
30…チャネル層
35…キャリア供給層
40…ショットキー層
42…スタック領域
43…スタック領域接触界面
44…スタック領域
45…スタック領域接触界面
46…スタック領域
47…スタック領域接触界面
48…スタック領域
49…最上層接触界面
50…第一キャップ層
52…第二キャップ層
60…第一コンタクト層
70…エッチング停止層
91…ゲート凹槽
92…ゲート凹槽
100…化合物半導体基板
101…ソース電極
102…ドレイン電極
103…ソース電極
104…ドレイン電極
108…ゲート凹槽
109…ゲート凹槽
110…エピタキシャル構造
111…バッファ層
112…チャネル層
113…ショットキー層
114…ショットキーコンタクト層
115…第一エッチング停止層
116…第一導電層
117…第二エッチング停止層
118…第二導電層
120…ゲート電極
130…ゲート電極
200…化合物半導体基板
201…ソース電極
202…ドレイン電極
203…ソース電極
204…ドレイン電極
208…ゲート凹槽
209…ゲート凹槽
210…エピタキシャル構造
211…バッファ層
212…チャネル層
213…第一ショットキーバリア層
214…第一エッチング停止層
215…第二ショットキーバリア層
216…第二エッチング停止層
217…抵抗接点層
220…ゲート電極
221…ゲートシンキング領域
230…ゲート電極
231…ゲートシンキング領域
D1…空乏モードpHEMT
E1…エンハンスメントモード pHEMT
H1…高ピンチオフ電圧pHEMT
L1…低ピンチオフ電圧pHEMT
d1…ドレインコンタクト
d2…ドレインコンタクト
g1…ゲートコンタクト
g11…第一ゲート金属層
g12…ゲートシンキング領域
g13…ゲートシンキング底面境界
g14…上限
g15…下限
g2…ゲートコンタクト
g21…第一ゲート金属層
g22…ゲートシンキング領域
g23…ゲートシンキング底面境界
g24…上限
g25…下限
s1…ソースコンタクト
s2…ソースコンタクト
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7