(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】流体機械
(51)【国際特許分類】
F04B 41/00 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
F04B41/00 A
(21)【出願番号】P 2020500561
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2019005412
(87)【国際公開番号】W WO2019160056
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-03-02
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2018025908
(32)【優先日】2018-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 明弘
(72)【発明者】
【氏名】兼本 喜之
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 広明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 史紀
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】鶴江 陽介
【審判官】長馬 望
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-127224(JP,A)
【文献】実開昭58-61148(JP,U)
【文献】実公昭47-23477(JP,Y1)
【文献】特開2010-255616(JP,A)
【文献】実開平4-108925(JP,U)
【文献】特開2009-57896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に収められた流体機械であって、
流体機械本体と、
前記流体機械本体が設置された台座と、
前記台座を下方から支持する支持部材と、
前記台座の引き出し量を制限するガイドを有し、
前記支持部材は前記筐体内に配置されており、
前記ガイドにより制限された引き出し量とは、前記台座および前記台座に接地された構成の重心が前記支持部材上にある位置までの引き出し量であり、
前記台座の収容時に前記支持部材よりも奥側にあるように前記台座の奥側下面に配置された第1のキャスタと、
前記支持部材の手前側に配置され、上部が前記支持部材の上部より上にある第2のキャスタを有し、
前記第1のキャスタを前記支持部材から落とし、前記台座を前記第2のキャスタから前記支持部材に落とすことによって、前記台座と前記支持部材が接することを特徴とする流体機械。
【請求項2】
請求項1に記載の流体機械であって、
前記流体機械本体が、前記流体機械本体の潤滑油供給孔が前記重心より手前側にあるように前記台座に設置されていることを特徴とする流体機械。
【請求項3】
請求項1に記載の流体機械であって、
前記流体機械本体が、前記流体機械本体を吊り上げるための吊り具が前記重心より手前側にあるように前記台座に設置されていることを特徴とする流体機械。
【請求項4】
請求項1に記載の流体機械であって、
前記ガイドが、前記支持部材を備える筐体に設けられ前記台座が引き出される方向に延伸した孔と、前記孔を介して前記筐体と前記台座とを接続する接続部材と、により構成されたことを特徴とする流体機械。
【請求項5】
請求項1に記載の流体機械であって、
前記ガイドが、前記台座の奥側の起立部と、前記台座が最大まで引き出された位置で前記起立部と接する位置に配置されたストッパと、により構成されたことを特徴とする流体機械。
【請求項6】
請求項1に記載の流体機械であって、
前記ガイドによる引き出し量の制限を超えて引き出された際に前記台座を支持する支持機構を装着可能であることを特徴とする流体機械。
【請求項7】
請求項1に記載の流体機械であって、
前記第1のキャスタが前記支持部材に乗り上げ、前記台座が前記第2のキャスタに乗り上げることで前記台座を引き出し可能とすることを特徴とする流体機械。
【請求項8】
筐体内に収められた流体機械であって、
流体機械本体と、
前記流体機械本体が設置された台座と、
前記台座を下方から支持する支持部材と、
前記台座の引き出し量を制限するガイドを有し、
前記支持部材は前記筐体内に配置されており、
前記ガイドにより制限された引き出し量とは、前記台座および前記台座に接地された構成の重心が前記支持部材上にある位置までの引き出し量であり、
前記台座の引き出し方向に対して前記台座の
奥側に配置された第1のキャスタと、
前記台座の引き出し方向に対して前記支持部材の手前側に配置され、
上面が前記支持部材と同じ高さに配置されるカバー部材に配置される第2のキャスタを有し、
前記第1のキャスタと前記第2のキャスタは上下に移動可能であることを特徴とする流体機械。
【請求項9】
請求項8に記載の流体機械であって、
前記第1のキャスタは、2つの車輪が第1の車輪保持具に配置され、前記台座の後部に前記第1の車輪保持具が第1のボルトで締結されており、
前記第2のキャスタは、2つの車輪が第2の車輪保持具に配置され、上面が前記支持部材と同じ高さに配置されるカバー部材に第2のボルトで締結されており、
第2のボルトを締めることで前記第2のキャスタを引き上げ、第1のボルトを締めることで前記第1のキャスタを押し下げ、前記台座を引き出し可能とすることを特徴とする流体機械。
【請求項10】
筐体内に収められた流体機械であって、
流体機械本体と、
前記流体機械本体が設置された台座と、
前記台座を下方から支持する支持部材と、
前記台座の引き出し量を制限するガイドを有し、
前記支持部材は前記筐体内に配置されており、
前記ガイドにより制限された引き出し量とは、前記台座および前記台座に接地された構成の重心が前記支持部材上にある位置までの引き出し量であり、
前記台座の引き出し方向に対して前記台座の奥側に配置される第1のキャスタと、前記台座の引き出し方向に対して前記台座の手前側に配置される第2のキャスタを有し、
前記第1のキャスタの左側車輪と前記第2のキャスタの左側車輪を第1の車輪保持具に配置し、該第1の車輪保持具が第1のボルトで前記台座に締結されており、前記第1のキャスタの右側車輪と前記第2のキャスタの右側車輪を第2の車輪保持具に配置し、該第2の車輪保持具が第2のボルトで前記台座に締結されており、
前記第1のボルトと前記第2のボルトとを締めることで前記第1のキャスタと前記第2のキャスタを押し下げ、前記台座を引き出し可能とすることを特徴とする流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
製造ラインでの動力源や、工作機、プレス機、エアブローなどのエア源、として利用される圧縮気体を生成する気体圧縮機が知られている。気体圧縮機は、ケーシングによって構成される圧縮室内で気体を圧縮する圧縮機本体を備え、圧縮された気体は吐出口から吐出配管を介して気体タンクに吐出させる構成となっている。また、圧縮機本体と、それを駆動するモータや、制御回路、操作パネル等を一体としてパーケージに収め、省スペース化を図ったパッケージ型気体圧縮機がある。このような気体圧縮機においては、圧縮機本体の部品交換やグリースの補給等の定期的なメンテナンスが必要である。
【0003】
本技術分野の背景技術として特許文献1がある。この特許文献1には、空気調和機や冷凍機等の複数の圧縮機を有する室外ユニットにおいて、筐体には台座があり、台座には一対のレールが設けられており、その一対のレールに沿って基台に固定された圧縮機を引き出すことで、圧縮機の修理、点検を行う点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には圧縮機を保守のために引き出す構造が記載されている。しかし、引き出した圧縮機は床面に載置すると記載されており、筐体から圧縮機全体を引き出す際に、不安定となり、圧縮機の落下や筐体の転倒の可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、これらの課題に鑑み、流体機械本体の落下や筐体の転倒の可能性を防止した保守性の高い流体機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記背景技術及び課題に鑑み、その一例を挙げるならば、流体機械本体と流体機械本体が設置された台座と台座を引き出し可能に案内する支持部材と台座の引き出し量を制限するガイドとを有する構成とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流体機械本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い流体機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1における気体圧縮機の全体構成の概念図である。
【
図2】実施例1における気体圧縮機の外観図と内部構造を示した図である。
【
図4】
図2におけるパッケージ内での圧縮機ユニットの構成を示した斜視図である。
【
図5】
図4の圧縮機ユニットの引き出し構造を説明するための拡大図である。
【
図6】実施例1における圧縮機ユニットの引き出し時の支持機構図である。
【
図7】実施例1における圧縮機ユニットの引き出し量を説明する図である。
【
図8】実施例1における圧縮機ユニットを引き出したときの側面図、及び斜視図である。
【
図9】実施例1における圧縮機ユニットの引き出し時の吊り位置を示す図である。
【
図10】実施例2における引き出し構造のガイド部を説明する図である。
【
図11】実施例3における引き出し構造のガイド部を説明する図である。
【
図12】実施例4における引き出し構造のガイド部を説明する図である。
【
図13】実施例5における圧縮機ユニットの引き出し時の支持機構図である。
【
図14】実施例6における圧縮機ユニットの引き出し時の支持機構図である。
【
図15】実施例7における圧縮機ユニットの引き出し時の支持機構図である。
【
図16】実施例7における圧縮機ユニットの引き出し時の他の支持機構図である。
【
図17】実施例8におけるキャスタの構造を説明する図である。
【
図18】実施例8における圧縮機ユニットの引き出し方法を説明する図である。
【
図19】実施例8におけるキャスタの構造による効果を説明する模式図である。
【
図20】実施例9におけるキャスタの構造を説明する図である。
【
図21】実施例9における圧縮機ユニットの引き出し方法を説明する図である。
【
図22】実施例10におけるキャスタの構造を説明する図である。
【
図23】実施例10における圧縮機ユニットの引き出し方法を説明する図である。
【
図24】実施例10の変形例におけるキャスタの構造を説明する図である。
【
図25】実施例10の変形例における圧縮機ユニットの引き出し方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、以下の実施例においては本発明の実施の一例として空気を圧縮するスクロール圧縮機を用いた例を示している。しかしながら、作動流体としては窒素や酸素などの特定の気体やその他の混合ガスなど空気以外であってもよいし、水や油などの液体やその混合液体、蒸気などの気体と液体との混合物であっても良い。また、機械の種類も圧縮機に限らず、ポンプや油圧モータ、送風機、真空ポンプ、冷凍機など流体機械一般に本発明は利用可能である。さらには、流体と機械との間で動力を変換する方法に関しても、スクロール式、シングル/ツインスクリュー式、ターボ式、往復式、ベーン式、斜板式、ロータリー式など、変換方式に限らず利用可能である。また、以下の実施例において圧縮機ユニットが載せられている構成を台車と称しているが、
図11(c)に記載されているように、車輪を有していない構成も台車と称して説明する。この構成を広義に台座と称する場合もある。
【実施例1】
【0011】
本実施例では、圧縮機本体の圧縮方式として、固定スクロールと旋回スクロールとの間で圧縮室を構成し、旋回運動によって空気を圧縮するスクロール圧縮機を例に説明する。
【0012】
図1は本実施例における気体圧縮機の全体構成の概念図である。
図1に示すように、本実施例では3段の圧縮機ユニット15から構成される。すなわち、外部から電源を取り入れるターミナル10から各圧縮機本体の制御用のインバータ2(2a、2b、2c)およびドライヤ14に電気配線9を接続している。また、各インバータ2(2a、2b、2c)からは各モータ3(3a、3b、3c)を接続している。各モータ3(3a、3b、3c)によって各圧縮機本体4(4a、4b、4c)が駆動される。圧縮する空気1は、フィルタ5-a、5-b、5-cを通して供給され、圧縮機本体4(4a、4b、4c)、逆止弁6(6a、6b、6c)、1stアフタークーラ7(7a、7b、7c)、ゴムホース8(8a、8b、8c)を通過した後、1つのエアラインにまとまる。ゴムホース8(8a、8b、8c)は容易に着脱可能な構造となっている。まとまったエアーは2ndアフタークーラ12、3rdアフタークーラ13、ドライヤ14を通り、圧縮空気90として気体圧縮機の吐出口から吐出配管を介して外部の空気タンクに供給する。また、これらの構成が筐体100内に収められている。
【0013】
図2は本実施例における気体圧縮機の外観図と内部構造を示した図である。
図2(a)が外観図、
図2(b)が
図2(a)の正面パネル
70を外した時の内部構造を示す図である。
図2(b)に示すように、正面パネル
70がある正面から見て左側に圧縮機ユニット15を3台、縦方向に段積みした配置とし、右側の60の位置に2ndアフタークーラ12、3rdアフタークーラ13、ドライヤ14、操作パネル等を配置した構造となっている。また、メンテナンスのために圧縮機ユニットを引き出す構造となっている。
【0014】
図3は
図2(b)に示した圧縮機ユニット15の拡大図である。
図3に示すように、圧縮機ユニット15は、モータ3と圧縮機本体4が直結されたモータ一体型の圧縮機ユニットとして構成されている。なお、モータ3は、円板状に配置された回転子と固定子が対向して回転する構造のアキシャルギャップ型モータとすることで回転軸方向に薄型化が可能であり、さらに、透磁率が高く鉄損が小さい材料であるアモルファスを固定子鉄心として用いることでモータの高効率化が可能であり、小型化が可能となる。
【0015】
圧縮機本体4には2個のフィルタ5が取り付けられ、このフィルタ5を通して圧縮する気体を吸い込む。圧縮機本体4で圧縮された気体は、圧縮機本体の吐出口80から気体の逆流を防ぐ逆止弁6、着脱が容易にできるガス管17を通り、1stアフタークーラ7で冷却された後、81の部分に取り付けられるゴムホース8を経由して2ndアフタークーラ12へ送られる。圧縮機本体4は、ダクト18の中にある冷却ファンで発生された冷却風により、サイドダクト16を通して冷却される。冷却ファンはモータ3のシャフトに直結されており、モータと冷却ファンの間のシャフトの露出部分に静電気をとる除電ブラシ19が取り付けられている。圧縮機本体4のベース20は防振ゴム21を挟んで台車22に取り付けられており、圧縮機ユニット15は台車22ごと、白抜き矢印で示す正面の手前方向に引き出すことを可能としている。
【0016】
図4は
図2(b)の右側60の部分を取り除き、パッケージ内での圧縮機ユニット15の構成を示した斜視図である。
図4において、圧縮機本体4の保守を行うときは、白抜き矢印で示す正面方向と裏側方向から作業を行う必要性がある。裏側から行う作業として、ダクト18内部の冷却ファンの清掃と除電ブラシ19の交換がある。これらの作業はリアパネル23を外すことで作業が可能となる。正面の作業に関しては、台車22を正面方向の手前に引き出すことで可能となる。
【0017】
図5は、
図4の台車22の周辺を拡大した図であり、台車22を引き出す引き出し構造を説明するための図である。
図5において、圧縮機ユニット15を載せている台車22に、白抜き矢印で示す正面手前と反対側の奥側の2箇所に
台車側のキャスタ24が取り付けられており(図中では1個のみ表示)、台車22はレール25に沿って前後に移動可能となっている。また、レール25の手前側の2箇所にも
レール側のキャスタ26が取り付けられており(図中では1個のみ表示)、台車22の引き出しを補助し、台車22の支持点ともなっている。
【0018】
図6は、本実施例における引き出し構造のガイド部を説明する図である。
図6(a)は、気体圧縮機の下部2段部分のみの外観側面図であり、白抜き矢印で示す方向が正面であり、2段目の圧縮機ユニット15を台車22ごと引き出している状態を示している。
図6(b)は、ガイド部の詳細図である。
図6(a)、(b)に示すように、ガイド27aと27bを通してボルト29が台車22に取り付けられており、そのボルト29とガイド27a、27bによって台車22は上下前後左右の方向が制限される。また、台車22を収納し圧縮機ユニットを収納した場合は、
圧縮機固定用のボルト穴28からボルトを通し、台車22をねじ止めすることで、圧縮機本体を載せている台車22が運転や周囲からの振動で前後方向に動き出すことを防ぐことが可能となる。
【0019】
図7は圧縮機ユニット15を搭載した台車22の引き出し量を説明する図である。
図7(a)は台車22の引き出し時の圧縮機ユニット15の重心とキャスタ26の支持位置31の関係を示している。また、
図7(b)は、(a)よりさらに引き出した場合の圧縮機ユニット15の重心とキャスタ26の支持位置31の関係を示している。台車22の引き出し量と動く方向はガイド27aと27bによって制限される。そして、制限された引き出し量は、
図7(a)に示すように圧縮機ユニットの重心30がキャスタ26の支持位置31より筐体の内側にある関係となる。そのため、
図7(b)のような、圧縮機ユニットの重心30がキャスタ26の支持位置31より筐体の外側に出ることで圧縮機ユニットが傾き落下することはないため、安全に作業することができる。また、外部からの力がキャスタ26の支持位置より筐体の外側に加わった場合についても、ガイドによって上下と前後方向の動きが制限されているため、圧縮機ユニット15が傾くことや、さらに引き出され落下することはない。また、筐体自体についても、圧縮機ユニットの重心位置が常に筐体内部にあるため、筐体も転倒することはない。
【0020】
図8は、圧縮機ユニット15を引き出したときの側面図、及び斜視図を示す。
図8(a)が右側面図、(b)が左側面図、(c)が斜視図を示している。白抜き矢印で示す方向が正面である。
図8に示すように、スクロール圧縮機の圧縮機本体にはグリース補給孔32a、32b、32c、32dがあり、保守時に、ここからグリースガン33を用いて
図8(c)のようにグリースを補給する必要がある。そのため、
図7に示した圧縮機ユニットの重心位置の条件を満足しつつ、圧縮機ユニットを引き出したときにグリース補給孔32a、32b、32c、32dがパッケージの外側にすべて露呈するようにした。
【0021】
図9は、圧縮機本体の交換をする場合に、クレーンなどで吊るす場合を説明する図である。
図9(a)は圧縮機ユニット15を引き出し、吊り位置34にロープやワイヤ等の吊り具35を掛け、クレーンで吊る場合の上段36と引き出し量との関係、
図9(b)は引き出し量が小さいときの上段36と引き出し量との関係を示している。
図9(b)に示すように、吊り位置34が上段36より筐体の内部に入っている状態で吊ると、吊り具35が曲がり、圧縮機ユニット15を吊った際に圧縮機ユニットが手前方向に揺れて非常に危険である。そのため、
図7の圧縮機ユニットの重心位置の条件を満足しつつ、
図9(a)のように、圧縮機ユニット15の吊り位置34が上段36より筐体の外側に出るように、圧縮機ユニット15を引き出すように構成する。これにより、吊り時に吊り具35が曲がらず、吊った際にゆれることもないため、安全に作業ができる。
【0022】
このように、本実施例によれば、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【0023】
なお、本実施例においては、圧縮機本体の出力、構造が異なる圧縮機本体を複数台縦に構成してもよい。
【実施例2】
【0024】
図10は、本実施例における引き出し構造のガイド部を説明する図である。
図10において、実施例1の
図6と同一の構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
図6と異なる点は、ガイド37aおよび37bを有する点である。
【0025】
図10(a)は、気体圧縮機の最下段部分のみの外観側面図であり、白抜き矢印で示す方向が正面である。また、
図10(b)は、ガイド部の主要パーツを抜きだした図である。また、
図10(c)は台車22を収納時のレール25と台車22の位置関係の概念図、
図10(d)は台車22を引き出し時のレール25と台車22の位置関係の概念図を示したものである。
図10(a)のように、本実施例においては、ガイド37aおよび37bを有し、
図6の27a、27bと同様に、ガイド37aおよび37bを通して台車22にボルトを接続することで保守に必要な距離だけ、台車22を引き出すことができる。収納時において、
図10(b)のように台車22の奥側のキャスタ24をレール25から落とし、台車22を手前側のキャスタ26からレール25に落とすことによって、台車22がレール25上を動かず固定ができる。キャスタ24がレール25から落とされている状態のとき、ガイドとなっているボルトは37bの部分で落ち込む状態となるため、ガイド用のボルトについては着脱の必要性はない。すなわち、ガイド37は奥側のキャスタ24がレール25から落ちる位置で下側に窪んでおり、ボルトが下方向に移動できるようになっている。
図10(c)は、収納時の概念図を示している。また、引き出すときは
図10(d)に示すように、台車の白抜き矢印で示す手前側を引っ張ることによってキャスタ24がレール25に乗り上げ、台車22がキャスタ26に乗り上げることで台車22を引き出すことができる。
【0026】
このように、本実施例によれば、より簡単な構造で圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【0027】
なお、本実施例において、実施例1のガイド27aと27bを併用してもよい。
【実施例3】
【0028】
図11は、本実施例における引き出し構造のガイド部を説明する図である。
図11において、(a)は、比較のために実施例1の
図5を模式化した図であり、レール25とレール25に取り付けられたキャスタ26の上に奥側にキャスタ24が取り付けられた台車22が載り、台車22の上に圧縮機ユニット15が載っている状態を示している。
図11(b)は、本実施例における、レール側のキャスタ26がない構成の模式図、
図11(c)は、本実施例における、台車側のキャスタ24がなく、レール側に複数のキャスタが取り付けられている構成を示している。
【0029】
図11(a)の構成は、実施例1において述べた通り、台車22側のキャスタ24が2個とレール側のキャスタ26が2個の計4個のキャスタで引き出しの可動部分が構成されている。
【0030】
一方、
図11(b)に示す、レール側のキャスタ26がなく台車側のキャスタ24のみであっても、台車のキャスタ24のついていない側を持ち、台車22が気体圧縮機の接地面と平行になるように台車22の底面とキャスタ24の最下部との高さの差と等しい支持部をレール25の手前側に配置して台車22の手前側を支持部に載せて台車22を引くことで同様に圧縮機ユニットを引き出すことができる。
【0031】
また、
図11(c)に示すように、台車側のキャスタ24はなくレール側に多数のキャスタ26が取り付けられている場合についても、
図11(a)と同様の動きが可能である。
【0032】
このように、本実施例によれば、実施例1と同様に、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【実施例4】
【0033】
図12は、本実施例における引き出し構造のガイド部を説明する図である。
図12において、(a)はピストン38を示し、(b)は、ピストン38を用いて引き出し構造を構成した図を示している。実施例1の
図5に示した機構はレール25とキャスタ24、26で引き出しの可動機構を構成した。これに対して、本実施例では、可動機構は、
図12(a)に示すようなピストン38などのスライダージョイントとする。スライダージョイントはその伸縮する距離が規定されるので引き出し量が制限される。そのため、
図12(b)に示すように、ピストン38と台車22で台車22の引き出し構造を構成できる。また、
図12(c)に示すように、ピストン38とキャスタ39など異なる部材で
図5に示した引き出し構造と同様な構成とすることも可能である。
【0034】
このように、本実施例によれば、実施例1と同様に、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【実施例5】
【0035】
図13は、本実施例における圧縮機ユニット引き出し時の支持機構図である。
図13において、気体圧縮機は、圧縮機ユニット15を縦方向に3段積みした構成であり、1つの圧縮機ユニット15を引き出した状態を示している。そして、1つの圧縮機ユニット15の重心30が、台車22の支持点であるキャスタ26の支持位置31より筐体の外に出した場合の模式図を示している。このときの気体圧縮機全体の重心位置40が筐体内にあれば、圧縮機ユニット15を引き出したときに転倒・落下防止の支持機構がある場合には、圧縮機ユニットの重心位置を筐体外まで引き出すことが可能となる。このとき全圧縮機および筐体合計の気体圧縮機全体の重心が常に筐体内にあり、1台の圧縮機ユニットを筐体の重心外に引き出しても筐体が倒れない。
【0036】
このように、本実施例によれば、実施例1と同様に、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【実施例6】
【0037】
図14は本実施例における引き出し構造のガイド部を説明する図である。
図14において、(a)は台車22を筐体内に収納した状態を示し、(b)は、台車22を筐体から引き出した状態を示している。
図14において、実施例1の
図6と同一の構成については同じ符号を付し、その説明は省略する。
図6と異なる点は、台車22の引き出し制限をストッパ
59と台車後端立上部22aで行う点である。
【0038】
すなわち、
図14に示すように、ストッパ
59が筐体に配置されており、台車22を引き出した際に、台車22の後端に配置された台車後端立上部22aにストッパ
59が当接するように構成することで、台車22の引き出し量を制限することができる。
【0039】
なお、本実施例は、上記構成に限定されず、台車の引き出しに応じて筐体に配置されたストッパと台車の一部が当接すればよい。
【0040】
このように、本実施例によれば、実施例1と同様に、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【実施例7】
【0041】
本実施例は、台車の引き出し量を延長しつつ、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した例について説明する。
【0042】
図15は、本実施例における台車引き出し時の支持機構図である。
図15において、(a)は、引き出した圧縮機ユニットに支持棒41を用いて支え落下しないようにした場合を示している。この場合、圧縮機本体はレールの距離だけ引き出すことが可能となる。また、
図15(b)に示すように、吊り具35で吊った状態でメンテナンスを行う場合、また、
図15(c)および(d)に示すように、ジョイントを有した支持棒42を利用した場合についても、同様に圧縮機本体はレールの距離だけ引き出すことが可能となり、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【0043】
さらに、
図16は、本実施例における台車引き出し時の他の支持機構図である。
図16において、圧縮機ユニット上部には圧縮機ユニットを移動させる際に吊り上げるための金具43が設けられている場合がある。この場合、
図16(a)および(b)に示すように、圧縮機本体をレールの距離だけ引き出したときに必要な長さのワイヤ44やワイヤ44と支持棒45を利用することで上記と同様に圧縮機本体はレールの距離だけ引き出すことが可能となり、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【0044】
なお、本実施例では実施例1から6と比較して台車22の引き出し量が延長できるように構成されているが、実施例1から6と同様に、台車22の重心がキャスタ26よりも奥側にある位置までの引き出し量まで引き出した際に一度引き出しが止まるように1つ目のガイド37を設けておくことが望ましい。ガイド37を設けておくことで、支持機構を装着する前に台車22が規定量以上に引き出されることを防止し、支持機構を装着した後にガイド37による引き出し量の制限を解除することで、より安全に圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
さらに、ガイド37による引き出し量の制限を解除した後にも追加のガイドを設けておくことが望ましい。これは
図15、16の支持機構が支えられる引き出し量にも限度があるため、所定以上引き出された場合に台車22が脱落する可能性があるためである。
【実施例8】
【0045】
本実施例は、台車22の奥側のキャスタ24をレール25に載せ、台車22を手前側のキャスタ26に乗せる際にかかる作業者の負担を軽減する構造について説明する。すなわち、
図10(c)の状態から
図10(d)の状態のように台車22が
キャスタ26に乗り、キャスタ24がレール25に乗った状態にするためには図の白抜き矢印方向に作業者が台車22を引かなければならないが、圧縮機本体および電動機などが搭載されることによって台車22の重量は数十kgとなることもあるため、台車22を引くために相当の力を要する。本実施例の構成は、キャスタ24およびキャスタ26をボルトで上下に移動可能とすることで、容易に台車22を引き出し可能とする構成である。
【0046】
図17(a)は本実施例における手前側のキャスタ26の構造、
図17(b)は奥側のキャスタ24の構造を説明する図である。
図17(a)に示すように、キャスタ26は2つの車輪が車輪保持具50に配置され、上面がレール25と同じ高さに配置されるカバー46にボルト29で締結されている構造となっており、
図17(b)に示すように、キャスタ24は2つの車輪が車輪保持具51に配置され、台車22の後部にボルト29で締結されている構造となっている。また、ボルト29を完全に抜くことでキャスタ24、キャスタ26は取り外すことが可能であり、例えばメンテナンスの時だけ引き出しが必要な圧縮機本体の台車22にキャスタ24、キャスタ26を取り付けることができる。このように構成することで、パッケージ型圧縮機に1組のキャスタ24、26があればメンテナンス可能となり、部品点数の削減、コストの削減となる。さらには、パッケージ型圧縮機に標準で1組のキャスタを付属する必要もなく、例えば複数のパッケージ型圧縮機のメンテナンスを行うサービスマンが1組のキャスタを保有していればメンテナンスが可能となる。なお、カバー47に関しては、パッケージ型圧縮機の筐体に固定されていてもよいし、キャスタ24、26と同様にメンテナンスのときのみ取り付けるようにしてもよい。
【0047】
図18は本実施例において台車22を引き出し可能とする構成を説明する図である。
圧縮機本体を運転する通常時においては、
図18(a)のように、台車22がレール25に接しており、台車22は図示しないボルトによって引き出し方向への移動も制限されている。このときは車輪保持具50および車輪保持具51が取り外されているか、キャスタ26の上部がカバー47よりも低い位置になるようにボルトが緩められており、かつキャスタ24がレール25に接しないようにボルトが緩められている。
【0048】
台車22を引き出す場合は、
図18(b)のようにキャスタ26のボルトを締めることでボルトがキャスタ26を引き上げ、カバー47の上面よりも上方にキャスタ24が移動して台車22に接する。また、キャスタ24のボルトを締めることでボルトがキャスタ24を押し下げ、キャスタ24がレール25に接するようになる。この結果として、台車22の下面はレール25から浮いてキャスタ24及びキャスタ26のみで支えられた状態となり、
図18(c)のように台車22がレール25上を引き出し可能となる。台車22の引き出しにおいて、台車22にボルトで締結された車輪保持具51およびキャスタ24は台車22とともに前方に移動し、筐体100にボルトで締結されたカバー47、車輪保持具50、キャスタ26は引き出し前の位置に残留する。
図18(b)や
図18(c)の白抜き矢印付近に記載された数字は、ボルトの締結や引き出しにより、その数字が示す構成要素が矢印の方向に移動することを示しており、以下の図でも同様に記す。
【0049】
なお、本実施例において、キャスタ24およびキャスタ26はそれぞれ2つの車輪が1つのボルトによって上下可能な構造としている。1つの車輪を1つのボルトで上下可能とする場合、ボルトの締結作業が2倍となるという作業性の低下だけでなく、以下の点で台車22が不安定となるためである。すなわち、1つ目のボルトを締結することで1つ目の車輪がレール25に乗った際に、台車22は車輪と、台車22の四隅のうちの2点との合計3点の接地点で支える形となるが、台車22の四隅のうちの2点は他の1点と接地の有無を入れ替え可能であり、模式図である
図19(a)と(b)のように3つの接地点で支えられた状態およびその中間の2点の接地点で支えられた状態とを取り得るため非常に不安定な状態となる。本実施例のように2つの車輪を1つのボルトで上下可能とすることで、台車22を常に4点で支持することができ、安全に台車22を上下させることができる。
【0050】
以上のように、本実施例の構成によってキャスタ24及びキャスタ26を出し入れ可能とすることで、作業者の負担をより少なくした保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【実施例9】
【0051】
本実施例では、実施例7と同様に台車22の奥側のキャスタ24をレール25に載せ、台車22を手前側のキャスタ26に乗せる際にかかる作業者の負担を軽減する構造について説明する。
【0052】
図20は本実施例において台車22をレール25上を引出し可能とする構成の他の構成を示す図である。
図20では左側車輪のみを示しており、右側車輪の図示を省略している。本実施例ではキャスタ24の左側車輪とキャスタ26の左側車輪を車輪保持具52に配置し、ボルト29で台車22に締結している。同様にキャスタ24の右側車輪とキャスタ26の右側車輪を図示しない車輪保持具53に配置し、ボルト29で台車22に締結している。車輪保持具52、53が圧縮機本体の運転時は取り外し可能であり、メンテナンスの際のみ取り付けるようにしてもよいのは実施例7で記載したとおりである。
【0053】
圧縮機本体を運転する通常時においては、
図21(a)のように、台車22がレール25に接しており、台車22は図示しないボルトによって引き出し方向への移動も制限されている。このときはキャスタ24およびキャスタ26は取り外されているか、台車22よりも高い位置にあるように車輪保持具52、53のボルトが緩められている。
【0054】
台車22を引き出す場合は、
図21(b)のように車輪保持具52、53のボルト29を締めることでボルトが車輪保持具52、53とともにキャスタ24およびキャスタ26を押し下げ、台車22の下面よりも下方にキャスタ24およびキャスタ26が移動してレール25に接する。この結果として、台車22の下面はレール25から浮いてキャスタ24及びキャスタ26のみで支えられた状態となり、
図21(c)のように台車22がレール25上を引き出し可能となる。台車22の引き出しにおいて、台車22にボルトで締結された車輪保持具52、53およびキャスタ24、26は台車22とともに前方に移動する。
【0055】
以上のように、本実施例の構成によってキャスタ24及びキャスタ26を出し入れ可能とすることで、作業者の負担をより少なくした保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【実施例10】
【0056】
本実施例では実施例7と同様に台車22の奥側のキャスタ24をレール25に載せ、台車22を手前側のキャスタ26に乗せる際にかかる作業者の負担を軽減する構造について説明する。
【0057】
図22は本実施例において台車22をレール25上を引出し可能とする構成の他の構成を示す図である。
図22では左側車輪のみを示しており、右側車輪の図示を省略している。本実施例ではキャスタ24の左側車輪とキャスタ26の左側車輪を車輪保持具54に配置し、ボルトで筐体100に締結している。同様にキャスタ24の右側車輪とキャスタ26の右側車輪を図示しない車輪保持具55に配置し、ボルトで筐体100に締結している。車輪保持具54および55が圧縮機本体の運転時は取り外し可能であり、メンテナンスの際のみ取り付けるようにしてもよいのは実施例7で記載したとおりである。
【0058】
圧縮機本体を運転する通常時においては、
図23(a)のように、台車22が筐体100に接しており、台車22は図示しないボルトによって引き出し方向への移動も制限されている。このときはキャスタ24およびキャスタ26は取り外されているか、台車22よりも低い位置にあるように車輪保持具54、55のボルトが緩められている。
【0059】
台車22を引き出す場合は、
図23(b)のように車輪保持具54、55のボルトを締めることでボルトが車輪保持具54、55とともにキャスタ24およびキャスタ26を押し上げ、筐体100の台車22と接している面よりも上方にキャスタ24およびキャスタ26が移動して台車22に接する。この結果として、台車22の下面は筐体100から浮いてキャスタ24及びキャスタ26のみで支えられた状態となり、
図23(c)のように台車22がキャスタ24、26上を引き出し可能となる。台車22の引き出しにおいて、筐体100にボルトで締結された車輪保持具54、55およびキャスタ24、26は引き出し前の位置に残留する。
【0060】
以上のように、本実施例の構成によってキャスタ24及びキャスタ26を出し入れ可能とすることで、作業者の負担をより少なくした保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【0061】
なお、本実施例の別の形態として、キャスタを3つ以上備えた車輪保持具を用いることも可能である。
図24は本実施例において台車22をレール25上を引出し可能とする構成の他の構成を示す図である。
図24では左側車輪のみを示しており、右側車輪の図示を省略している。本実施例では図示されないキャスタ24の左側車輪とキャスタ26の左側車輪に加え、
レール側のキャスタ58の左側車輪を車輪保持具56に配置し、ボルトで筐体100に締結している。同様にキャスタ24の右側車輪とキャスタ26の右側車輪に加え、キャスタ58の右側車輪を図示しない車輪保持具57に配置し、ボルト29で筐体100に締結している。この変形例の車輪保持具56および57は、キャスタ26より手前部分が装着時に台車22よりも前方に飛び出すように構成されているため、圧縮機本体の運転時は取り外しされており、メンテナンスの際のみ取り付けるようにされている方が望ましい。
【0062】
圧縮機本体を運転する通常時においては、車輪保持具56、57は取り外されて、台車22が筐体100に接しており、台車22は図示しないボルトによって引き出し方向への移動も制限されている。
【0063】
台車22を引き出す場合は、
図25(a)のように車輪保持具56、57を筐体100にボルトで締結し、さらにこのボルトを締めることで
図25(b)のようにボルトが車輪保持具56、57とともにキャスタ24およびキャスタ26およびキャスタ58を押し上げ、筐体100の台車22と接している面よりも上方にキャスタ24およびキャスタ26が移動して台車22に接する。この結果として、台車22の下面は筐体100から浮いてキャスタ24及びキャスタ26のみで支えられた状態となり、台車22がキャスタ24、26上を引き出し可能となる。台車22を引き出すに当たり、キャスタ58の最上部とキャスタ24の最上部との間隔は台車22の引き出し方向の長さと等しいか、これよりも短く設計されている。これは、台車22をキャスタ24の最上部とキャスタ26の最上部との間隔より多く引き出した場合に、台車22がキャスタ26のみに支持されることがないようにするためであり、この構成によって台車22は引き出し量に関わらず常に片側3つ以上(右側、左側合計で6つ以上)のキャスタによって支持されることとなる。台車22の引き出しにおいて、筐体100にボルトで締結された車輪保持具56、57およびキャスタ24、26、58は引き出し前の位置に残留する。
【0064】
ここで、本変形例は、実施例7と同様に台車の引き出し量を延長しつつ、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止するために車輪保持具56、57にキャスタ58が追加で設けられている。すなわち、上述したように、本変形例による車輪保持具56、57はキャスタ26より手前部分が装着時に台車22よりも前方に飛び出すように構成されているので、実施例7と同様に圧縮機本体の重心がキャスタ58よりも奥側にある位置まで引き出すことが可能となり、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【0065】
なお、本変形例では、車輪保持具56、57が装着時に台車22よりも前方に飛び出すように構成しているが、本実施例で説明した車輪保持具54、55にキャスタ58とキャスタ58を支持する車輪保持具61、62(図示なし)を接続するように構成しても良い。すなわち、車輪保持具54、55には車輪保持具61、62を接続するためのボルト穴などの接続機構が設けられており、車輪保持具61、62を接続した車輪保持具54、55が全体として車輪保持具56、57と同様の形になるようにすることで、通常時は車輪保持具54、55を筐体100に接続しておき、引き出し時には車輪保持具61、62を接続して実施例7と同様に圧縮機本体の重心がキャスタ58よりも奥側にある位置まで引き出すことが可能となり、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。同様の考え方により、実施例1から9におけるキャスタ26より手前側に飛び出すように外付けでキャスタとその車輪保持具を接続可能としたり、キャスタ24より奥側に飛び出すように外付けでキャスタとその車輪保持具を車輪保持具52、53または台車22に接続可能としたり、レール25を延長する延長レールをレール25に接続可能とすることで、実施例7と同様に圧縮機本体の引き出し量を増大させることができ、圧縮機本体の落下や筐体の転倒を防止した保守性の高い気体圧縮機を提供することができる。
【0066】
以上実施例について説明したが、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0067】
2:インバータ、3:モータ、4:圧縮機本体、5:フィルタ、6:逆止弁、7:1stアフタークーラ、12:2ndアフタークーラ、13:3rdアフタークーラ、14:ドライヤ、15:圧縮機ユニット、22:台車、22a:台車後端立上部、24:キャスタ、25:レール、26:キャスタ、27a、27b、37a、37b:ガイド、28:ボルト穴、59:ストッパ、30:重心、32a、32b、32c、32d:グリース補給孔、34:吊り位置、35:吊り具、80:圧縮機本体の吐出口、100:筐体