(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】充電方法及び充電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20221130BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20221130BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20221130BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20221130BHJP
H02J 7/00 20060101ALN20221130BHJP
【FI】
H02J7/10 H
H02J7/10 B
H02J7/02 H
H02J50/10
H02J50/80
H02J7/10 P
H02J7/00 301D
(21)【出願番号】P 2020530354
(86)(22)【出願日】2018-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2018089321
(87)【国際公開番号】W WO2019227419
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チュイ、チュンイン
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-185060(JP,A)
【文献】国際公開第2017/133388(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/133383(WO,A1)
【文献】特開2013-153562(JP,A)
【文献】特開2002-010514(JP,A)
【文献】特開2009-033825(JP,A)
【文献】特開2013-131426(JP,A)
【文献】国際公開第2017/134838(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0104359(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107808987(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/10
H02J 7/02
H02J 50/10
H02J 50/80
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電方法であって、
バッテリーに対して定電流充電を実行するステップと、
前記バッテリーのバッテリーセルの充電電流が目標定電圧充電カットオフ電流に達するまで、前記バッテリーに対して定電圧充電を実行するステップと、
を備え、
前記定電流充電過程は複数の充電段階を含み、各々の充電段階は1つの充電電流に対応し、隣接する任意の2つの充電段階において、前の充電段階に対応する充電電流は後の充電段階に対応する充電電流より大きく、各々の充電段階において、対応する充電電流を使用して、前記バッテリーのバッテリーセルの両端の電圧が目標定電流充電カットオフ電圧に達するまで充電し、前記目標定電流充電カットオフ電圧は、前記バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧より大きく、
前記目標定電圧充電カットオフ電流は、前記バッテリーセルの標準定電圧充電カットオフ電流より大きいものであり、
前記目標定電流充電カットオフ電圧は、定電圧充電の充電電圧として使用され、
前記充電方法は電源装置によって実行される場合、
前記バッテリーに対して定電流充電を実行することは、
前記定電流充電過程において、前記電源装置は充電インターフェースによって被充電機器と通信して、前記電源装置の出力電流と現在の充電段階に対応する充電電流が一致するように、前記被充電機器によってフィードバックされた情報に基づいて前記電源装置の出力電流を調整することを含むものであり、
前記充電方法は、
入力されたACに対して整流して、脈動波形の電圧を出力するステップと、
前記脈動波形の電圧を変圧器の一次側から変圧器の二次側に結合するステップと、
前記変圧器の出力電圧に応じて、前記電源装置の出力電流を生成するステップと、
前記電源装置の出力電流が現在の充電段階に対応する充電電流と一致するように、前記被充電機器からフィードバックされる情報に応じて前記電源装置の出力電流を調整することは、
前記電源装置の出力電流のピーク値又は平均値が現在の充電段階に対応する充電電流と一致するように、前記被充電機器からフィードバックされる情報に応じて前記電源装置の出力電流を調整することを備える、
ことを特徴とする充電方法。
【請求項2】
前記バッテリーは直列に接続された複数のバッテリーセルを備え、
前記充電方法は、
前記定電流充電段階で、前記バッテリーセルの両端の電圧を監視するステップをさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電方法。
【請求項3】
前記目標定電流充電カットオフ電圧と前記標準定電流充電カットオフ電圧との間の電圧差△Vは、0<△V<0.2Vを満たす、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電方法。
【請求項4】
前記目標定電圧充電カットオフ電流と前記標準定電圧充電カットオフ電流の商Nは、1<N<40を満たす、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電方法。
【請求項5】
前記目標定電圧充電カットオフ電流は、前記定電圧充電が完了した後に前記バッテリーの電力が前記バッテリーのバッテリー容量に達するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電方法。
【請求項6】
充電装置であって、
充電電力を供給するために用いられパワー供給回路と、充電制御回路と、を備え、
前記充電制御回路は、前記パワー供給回路から供給される充電電力に応じて、バッテリーに対して定電流充電を行うために用いられ、前記定電流充電過程は複数の充電段階を含み、各々の充電段階は1つの充電電流に対応し、隣接する任意の2つの前記充電段階において、前の充電段階に対応する充電電流は後の充電段階に対応する充電電流より大きく、各々の充電段階において、対応する充電電流を使用して、前記バッテリーのバッテリーセルの両端の電圧が目標定電流充電カットオフ電圧に達するまで充電し、前記目標定電流充電カットオフ電圧は、前記バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧より大きく、
前記充電制御回路は、前記パワー供給回路から供給される充電電力に応じて、前記バッテリーのバッテリーセルの充電電流が目標定電圧充電カットオフ電流に達するまで、前記バッテリーに対して定電圧充電を行うために用いられ、前記目標定電圧充電カットオフ電流は、前記バッテリーセルの標準定電圧充電カットオフ電流より大きいものであり、
前記目標定電流充電カットオフ電圧は、定電圧充電の充電電圧として使用され、
前記充電装置は、充電インターフェースによって被充電機器に接続される電源装置であって、
前記充電制御回路は、通信制御回路及びパワー調整回路を備え、前記定電流充電過程において、前記通信制御回路は前記充電インターフェースによって前記被充電機器と通信し、前記被充電機器によってフィードバックされた情報に基づいて、前記パワー調整回路によって前記充電装置の出力電流を調整し、前記充電装置の出力電流と現在の充電段階に対応する充電電流が一致するようにするものであり、
前記パワー供給回路は、整流回路と、スイッチユニット及び変圧器と、二次回路と、を備え、
前記整流回路は、入力されたACを整流して脈動波形の電圧を出力するために用いられ、
前記スイッチユニット及び変圧器は、前記脈動波形の電圧を一次側から二次側に結合するために用いられ、
前記二次回路は、前記変圧器の出力電圧に応じて前記充電装置の出力電流を生成するために用いられ、
前記通信制御回路は、前記被充電装置によってフィードバックされた情報に応じて、前記パワー調整回路によって前記充電装置の出力電流を調整して、前記充電装置の出力電流のピーク値又は平均値と現在の充電段階に対応する充電電流が一致するようにする、
ことを特徴とする充電装置。
【請求項7】
前記バッテリーは直列に接続された複数のバッテリーセルを備え、
前記充電制御回路は、さらに前記定電流充電段階で前記バッテリーセルの両端の電圧を監視するために用いられる、
ことを特徴とする請求項
6に記載の充電装置。
【請求項8】
前記目標定電流充電カットオフ電圧と前記標準定電流充電カットオフ電圧との間の電圧差△Vは、0<△V<0.2Vを満たす、
ことを特徴とする請求項
6に記載の充電装置。
【請求項9】
前記目標定電圧充電カットオフ電流と前記標準定電圧充電カットオフ電流の商Nは、1<N<40を満たす、
ことを特徴とする請求項
6に記載の充電装置。
【請求項10】
前記目標定電圧充電カットオフ電流は、前記定電圧充電が完了した後に前記バッテリーの電力が前記バッテリーのバッテリー容量に達するように構成される、
ことを特徴とする請求項
6に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電技術分野に関し、さらに具体的に、充電方法及び充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリーセルは、一般的に定電流定電圧で充電される。バッテリーセルは、先ず定電流で充電され、バッテリーセルの両端の電圧が標準定電流充電カットオフ電圧に達すると、定電圧充電段階に入る。定電圧充電段階では、バッテリーセルは高電圧(標準定電流充電カットオフ電圧)で充電される。充電過程が進むことにつれて、バッテリーセルの充電電流は徐々に減少する。バッテリセルの充電電流が標準定電圧充電カットオフ電流に達すると、充電は終了する。
【0003】
上述した充電過程において、定電圧充電段階に長い時間がかかるので、バッテリーセルの充電速度が遅くなる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、バッテリーセルの充電速度を高めることができる充電方法及び充電装置を提供する。
【0005】
本発明の第一態様は、充電方法を提供する。本発明の充電方法は、以下のステップを備える。バッテリーに対して定電流充電を実行する。定電流充電過程は複数の充電段階を含み、各々の充電段階は1つの充電電流に対応し、隣接する任意の2つの充電段階において、前の充電段階に対応する充電電流は後の充電段階に対応する充電電流より大きい。各々の充電段階において、対応する充電電流を使用して、バッテリーのバッテリーセルの両端の電圧が目標定電流充電カットオフ電圧に達するまで充電する。目標定電流充電カットオフ電圧は、バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧より大きい。バッテリーのバッテリーセルの充電電流が目標定電圧充電カットオフ電流に達するまで、バッテリーに対して定電圧充電を実行する。目標定電圧充電カットオフ電流は、バッテリーセルの標準定電圧充電カットオフ電流より大きい。
【0006】
本発明の第二態様は、充電装置を提供する。充電装置は、パワー供給回路と充電制御回路を備える。パワー供給回路は、充電電力を供給するために用いられる。充電制御回路は、パワー供給回路によって提供される充電電力に基づいてバッテリーに対して定電流充電するために用いられる。定電流充電過程は複数の充電段階を含み、各々の充電段階は1つの充電電流に対応し、隣接する任意の2つの充電段階において、前の充電段階に対応する充電電流は後の充電段階に対応する充電電流より大きい。各々の充電段階において、対応する充電電流を使用して、バッテリーのバッテリーセルの両端の電圧が目標定電流充電カットオフ電圧に達するまで充電する。目標定電流充電カットオフ電圧は、バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧より大きい。充電制御回路は、パワー供給回路によって提供される充電電力に基づいて、バッテリーのバッテリーセルの充電電流が目標定電圧充電カットオフ電流に達するまで、バッテリーに対して定電圧充電するために用いられる。目標定電圧充電カットオフ電流は、バッテリーセルの標準定電圧充電カットオフ電流より大きい。
【0007】
本発明は、さらに高い定電流充電カットオフ電圧及び定電圧充電カットオフ電流を設定し、且つ多段定電流(multi-stage constant-current charging)方式を採用して定電流充電するので、バッテリーセルの充電速度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の実施例に係わる充電方法のフローチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の実施例に係わる充電方法を示す概略図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例に係わる充電方法の各充電段階を示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例に係わる充電方法を示す別の概略図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例に係わる充電装置の構造を示す概略図である。
【
図6】
図6は、有線充電アーキテクチャでの充電装置の応用方式を示す概略図である。
【
図7】
図7は、有線充電アーキテクチャでの充電装置の応用方式を示す別の概略図である。
【
図8】
図8は、無線充電アーキテクチャでの充電装置の応用方式を示す概略図である。
【
図9】
図9は、無線充電アーキテクチャでの充電装置の応用方式を示す別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で言及されるバッテリーは、リチウムバッテリーである。リチウム電池は、通常のリチウムイオンバッテリーであることができ、ポリマーリチウムイオンバッテリーであることもできる。
【0010】
本明細書で言及されるバッテリーは、1つのバッテリーセル又は複数のバッテリーセルを含むことができる。バッテリーセルは、バッテリーパック又はセルと呼ばれることもできる。
【0011】
本明細書で言及される標準定電流充電カットオフ電圧は、推奨定電流充電制限電圧又は既知定電流充電制限電圧とも呼ばれる。標準定電流充電カットオフ電圧の値は、バッテリーセルのタイプに依存し、本発明の実施例はこれに対して限定しない。
【0012】
一例として、バッテリーセルのアノードは、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボンの中の一種であり、バッテリーセルのカソードは、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、マンガンコバルト酸リチウム中の一種であり、バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧は4.2~5.0Vであることができる。
【0013】
例えば、バッテリーセルのアノードはグラファイトであり、バッテリーセルのカソードはコバルト酸リチウムであり、バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧は4.40V又は4.45Vであることができる。
【0014】
別の例として、バッテリーセルのアノードはグラファイトであり、バッテリーセルのカソードはリン酸鉄リチウムであり、バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧は 3.6~3.8Vであることができ、例えば、3.7Vであることができる。
【0015】
本明細書で言及される標準定電圧充電カットオフ電流は、推奨定電圧充電制限電流又は既知定電圧充電制限電流とも呼ばれる。標準定電圧充電カットオフ電流の値は、例えば、0.01~0.1Cであることができる。
【0016】
バッテリーセルは、一般的に定電流定電圧で充電される。具体的には、バッテリーセルの両端の電圧が標準定電流充電カットオフ電圧に達するまで、先ず、バッテリーセルに対して定電流充電する。次に、標準定電流充電カットオフ電圧を充電電圧として、バッテリーセルに対して定電圧充電する。充電過程が進むことにつれて、バッテリーセルの充電電流は徐々に減少する。バッテリセルの充電電流が標準定電圧充電カットオフ電流に達すると、充電が終了する。
【0017】
定電流充電段階では、バッテリーセルの両端の電圧は一般的に2つの部分が含まれる。第一部分はバッテリーセルの正極と負極との間の安定した電圧であり、第二部分はバッテリーセルの内部抵抗及び/又は分極によって生じる電圧である。定電圧充電段階では、充電電流は徐々に減少し、バッテリーセルの内部抵抗及び/又は分極によって生じる電圧も徐々に減少する。バッテリーセルの充電電流が標準定電圧充電カットオフ電流まで減少すると、バッテリーセルの内部抵抗及び/又は分極によって生じる電圧は無視できるほど低くなり、バッテリーセルの両端の電圧は、ほぼ標準定電流充電カットオフ電圧に達する。
【0018】
しかし、上述した充電方式の定電圧充電段階の充電時間が長いので、バッテリーセルの充電速度が遅くなる。さらに、定電圧充電段階では、バッテリーは常に高電圧状態になり、バッテリーの寿命が短くなる。定電流充電段階のみを残し、定電圧充電段階を削除すると、バッテリーセルを完全に充電するように制御することが困難になる。従って、従来の定電圧定電流充電方式を改善し、定電圧定電流充電方式の充電速度を高める必要がある。
【0019】
図1は、本発明の実施例に係わる充電方法のフローチャートである。
図1に示す充電方法は、ステップ12~ステップ14を備える。以下、
図1の各々のステップを詳細に説明する。
【0020】
ステップ12では、バッテリーに対して定電流充電を実行する。定電流充電過程は複数の充電段階を含むことができ、各々の充電段階は1つの充電電流(又は「充電率」とも呼ばれる)に対応し、隣接する任意の2つの充電段階において、前の充電段階に対応する充電電流(又は「充電率」とも呼ばれる)は後の充電段階に対応する充電電流(又は「充電率」とも呼ばれる)より大きい。各々の充電段階において、対応する充電電流を使用して、バッテリーのバッテリーセルの両端の電圧が目標定電流充電カットオフ電圧に達するまで充電する。目標定電流充電カットオフ電圧は、バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧より大きい。
【0021】
ステップ14では、バッテリーのバッテリーセルの充電電流が目標定電圧充電カットオフ電流に達するまで、バッテリーに対して定電圧充電を実行する。目標定電圧充電カットオフ電流は、バッテリーセルの標準定電圧充電カットオフ電流より大きい。定電圧充電に使用する電圧は、例えば、上述した定電流充電カットオフ電圧であることができ、即ち定電流充電カットオフ電圧を直接に定電圧充電段階の充電電圧とすることができる。例えば、バッテリーセルのアノードはグラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボンの中の一種であり、バッテリーセルのカソードはコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルコバルト酸リチウム、マンガンコバルト酸リチウム中の一種であり、バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧は4.2~5.0Vであることができる。例えば、バッテリーセルのアノードはグラファイトであり、バッテリーセルのカソードはコバルト酸リチウムであり、バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧は4.40V又は4.45Vであることができる。別の例として、バッテリーセルのアノードはグラファイトであり、バッテリーのカソードはリン酸鉄リチウムであり、バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧は 3.6~3.8Vであることができ、例えば、3.7Vであることができる。いくつかの実施例において、実際の需要に応じて、定電圧充電段階の電圧は、定電流充電段階が完了したときのバッテリー両端の電圧(バッテリーの分極電圧を含まない)より大きいかぎり、定電流充電カットオフ電圧より高いか又は低いことができ、本発明の実施例はこれに対して限定しない。
【0022】
本発明の実施例において、定電流充電の定電流充電カットオフ電圧及び定電圧充電の定電圧充電カットオフ電流を増加することにより、定電流充電段階を延長し、定電圧充電段階を短縮して、バッテリーの充電速度を高めることができる。なお、本発明の実施例において、多段定電流方式を採用して定電流充電するので、単一の電流のみが採用される従来の定電流充電と比較して、定電流充電段階をさらに延長し、定電圧充電段階をさらに短縮することができるので、バッテリーの充電速度がさらに向上する。上述したように、本発明の実施例に係わる充電方法は、以下の有利な効果を有する。バッテリーの充電電力を低下させることなく、定電圧充電段階を短縮して、充電速度が向上する。さらに、定電圧充電段階を短縮すると、高電圧での充電時間が短くなり、バッテリーの使用寿命を延長することができる。
【0023】
本発明の実施例は、目標定電流充電カットオフ電圧の大きさを限定しない。目標定電流充電カットオフ電圧は、バッテリーのタイプ、予想される充電速度などに応じて設定することができる。例えば、目標定電流充電カットオフ電圧は次のように構成できる。目標定電流充電カットオフ電圧と標準定電流充電カットオフ電圧との間の電圧差△Vは、0<△V<0.2Vを満たす。
【0024】
本発明の実施例は、目標定電圧充電カットオフ電流の大きさを限定しない。目標定電圧充電カットオフ電流は、バッテリーのタイプ、予想される充電速度、予想される完全に充電されたバッテリー電力などに応じて設定することができる。例えば、目標定電圧充電カットオフ電流は、定電圧充電が完了した後にバッテリーの電力がバッテリーのバッテリー容量に達するように構成される。
【0025】
「達する」という用語は「ほぼ等しい」ことを意味し、バッテリーの電力がバッテリーのバッテリー容量と完全に等しいことを必要としない。例えば、バッテリーの標準容量はQ0であり、目標定電圧充電カットオフ電流は、定電圧充電段階が完了したとき、バッテリーの実際の容量QZが0.98Q0<QZ<1.02Q0を満たすように構成されることができる。
【0026】
一例として、目標定電圧充電カットオフ電流は次のように構成される。目標定電圧充電カットオフ電流と標準定電圧充電カットオフ電流の商Nは、1<N<40を満たす。ここで、Nは整数又はは小数である。
【0027】
図1の実施例に係わるバッテリーは、1つのバッテリーセルを含むことができ、複数のバッテリーセルを含むこともでき、例えば、直列に接続された複数のバッテリーセルを含むことができる。バッテリーが複数のバッテリーセルを含む場合、
図1の実施例に係わるバッテリーセルは、複数のバッテリーセルのいずれか1つのバッテリーセルである。
【0028】
バッテリーのバッテリーセルの両端の電圧が目標定電流充電カットオフ電圧に達したか否かを判断する方法は様々である。例えば、充電時間によって、バッテリーセルの両端の電圧が目標定電流充電カットオフ電圧に達したか否かを予測することができる。別の例では、監視回路でバッテリーのバッテリーセルの両端の電圧を絶えずに監視して、バッテリーセルの両端の電圧が目標定電流充電カットオフ電圧に達したか否かを判断することができる。
【0029】
同様に、バッテリーのバッテリーセルの充電電流が目標定電圧充電カットオフ電流に達したか否かを判断する方法は様々である。例えば、充電時間によって、バッテリーセルの充電電流が目標定電圧充電カットオフ電流に達したか否かを予測することができる。別の例では、監視回路でバッテリーセルの充電電流を絶えずに監視して、バッテリーセルの充電電流が目標定電圧充電カットオフ電流に達したか否かを判断することができる。
【0030】
以下、
図2~
図4を参照して、本発明の実施例に係わる充電方法をさらに詳細に説明する。
【0031】
図2は、本発明の実施例に係わる充電方法を示す概略図である。
図2に示されたように、バッテリーは1つのバッテリーセルを含む。また、
図2に示す例では、バッテリーの定電流充電に使用する充電電流I
0、I
1、I
2 ... I
nを予め設定し、I
0>I
1>I
2>...>I
nである。
図2に示す充電方法は、ステップ22~ステップ28を備え、以下、これらのステップを説明する。
【0032】
ステップ22において、充電電流I0を使用して、バッテリーの電圧がVtr(Vtrは目標定電流充電カットオフ電圧を表す)に達するまで充電し、且つ充電電流をI1に減らす。
【0033】
ステップ24において、充電電流I1を使用して、バッテリーの電圧がVtrに達するまで充電し、且つ充電電流をI2に減らす。
【0034】
ステップ26において、同様の方法で、充電電流Inを使用して、バッテリーの電圧がVtrに達するまで充電し、定電圧充電段階に入る。
【0035】
ステップ28において、充電電圧V
tr
で定電圧充電を実行し、充電電流がI
tr
(I
tr
は定電圧充電カットオフ電流を表す)に減少すると、充電は終了する。
【0036】
図2に示されたように、ステップ22からステップ28まで、バッテリーの充電電流は段階的に減少する。従って、定電流充電段階では、多段階定電流方式で充電することができ、定電流充電過程をできるだけ延長する。
図3に示されたように、n=2である場合、充電過程全体の電流変換を示している。
【0037】
図4は、本発明の実施例に係わる充電方法を示す別の概略図である。
図4に示す充電方法は、
図2と類似し、区別として、
図4に示されるように、バッテリーは、直列に接続された複数のバッテリーセルを含む。
図4の方法は、ステップ42~ステップ48を備え、以下、これらのステップを説明する。
【0038】
ステップ42において、充電電流I0を使用してバッテリーを充電し、充電中に各々のバッテリーセルの電圧を監視して、いかなる1つのバッテリーセルの電圧がVtrに達すると、充電電流をI1に減らす。
【0039】
ステップ44において、充電電流I1を使用してバッテリーを充電し、充電中に各々のバッテリーセルの電圧を監視して、いかなる1つのバッテリーセルの電圧がVtrに達すると、充電電流をI2に減らす。
【0040】
ステップ46において、同様の方法で、充電電流Inを使用してバッテリーを充電し、充電中に各々のバッテリーセルの電圧を監視して、いかなる1つのバッテリーセルの電圧がVtrに達すると、定電圧充電段階に入る。
【0041】
ステップ48において、充電電圧Vtrで定電圧充電を実行し、充電中にいずれか1つのバッテリーセル(又は各々のバッテリーセル)の充電電流を監視して、いずれか1つのバッテリーセル(又は各々のバッテリーセル)の充電電流がItrに達すると、充電は終了する。
【0042】
本発明の実施例は、
図1に示す充電方法が適用されるシナリオを限定せず、有線充電アーキテクチャに適用することができ、無線充電アーキテクチャに適用することもできることに留意されたい。例えば、
図1に示す充電方法は有線充電アーキテクチャに適用することができ、且つ有線充電アーキテクチャの電源装置(電源アダプタなど)によって実行される。別の例として、
図1に示す充電方法は無線充電アーキテクチャに適用することができ、且つ無線充電アーキテクチャの無線送信装置(無線充電ベースなど)又は被充電機器によって実行される。以下、具体的な実施例を結合して、異なる充電アーキテクチャでの
図1に示す充電方法の実施形態を詳細に説明する。
【0043】
選択的に、可能な実施方式として、
図1に示す充電方法を有線充電アーキテクチャに適用することができる。有線充電アーキテクチャにおいて、電源装置と被充電機器は充電インターフェースによって接続されることができる。本発明は、充電インターフェースの種類に対して具体的に限定しなく、例えば、USBインターフェース又はlightningインターフェースであることができる。USBインターフェースは、標準USBインターフェース、マイクロUSBインターフェース、又はTYPE-Cインターフェースであることもできる。
【0044】
有線充電アーキテクチャでは、
図1に示す充電方法は、電源装置又は被充電機器によって実行することができる。
【0045】
例えば、
図1に示す充電方法は電源装置によって実行される場合、ステップ12は以下の内容を含むことができる。定電流充電過程において、電源装置は充電インターフェースによって被充電機器と通信し、電源装置の出力電流と現在の充電段階に対応する充電電流が一致するように、被充電機器によってフィードバックされた情報に基づいて電源装置の出力電流を調整する。
【0046】
本発明の実施例は、電源装置と被充電機器との間の通信方式、通信内容又は通信の主従関係を具体的に限定しない。例えば、電源装置は充電インターフェースのデータラインによって被充電機器と通信することができる。例えば、USBインターフェースのD+線及び/又はD-線によって被充電機器と通信することができる。電源装置は、被充電機器と一方向通信を実行することができ、被充電機器と双方向通信(請求及び応答方式を介して達成される通信など)を実行することもできる。電源装置と被充電機器との間の通信内容(即ち、被充電機器によってフィードバックされる情報)は、例えば、バッテリー状態情報(バッテリーの電圧情報又は電力情報など)であることができ、電源装置に自身の出力電流を増減するように指示する情報であることもできる。
【0047】
上述した実施例において、電源装置の出力電流が現在の充電段階に対応する充電電流と一致するように、電源装置は被充電機器によってフィードバックされる情報に基づいて自身の出力電流を調整する。従って、電源装置の出力電流をバッテリーの両端に直接に印加して、バッテリーを直接充電することができ、被充電機器はバッテリーの充電電流に対して定電流制御することを必要としなく、被充電機器の発熱量を減少することができる。
【0048】
電源装置の出力電流は、一定の直流(DC)であることができ、脈動DC又は交流(AC)のような波形が変化する電流であることもできると理解されたい。一例として、電源装置の出力電流は波形が変化する電流であると、「電源装置の出力電流が現在の充電段階に対応する充電電流と一致する」とは、電源装置の出力電流のピーク値又は平均値が現在の充電段階に対応する充電電流と一致することを意味する。波形が変化する電流でバッテリーを充電すると、バッテリーの分極を減少することができ、バッテリーの使用寿命を延ばすことができる。
【0049】
電源装置の出力電流を波形が変化する電流に設定する方法は様々であり、以下、1つの例示を提供する。
【0050】
電源装置は、通常、スイッチユニット及び変圧器、変圧器の一次側に位置する一次回路、及び変圧器の二次側に位置する二次回路を備える。一次回路は、通常、整流回路とフィルタリング回路を備える。電源装置の出力電流を波形の変化する電流にするために、一次回路のフィルタリング回路を削除して、整流回路から出力される脈動波形の電圧をスイッチユニット及び変圧器に注入し、スイッチユニット及び変圧器によって、エネルギを一次側から二次側に伝送する。
【0051】
上述した実施例を採用すると、
図1に示す充電方法は、さらに以下のステップを備えることができる。入力されたACに対して整流して、脈動波形の電圧を出力する。脈動波形の電圧を変圧器の一次側から変圧器の二次側に結合する。変圧器の出力電圧に応じて、電源装置の出力電流を生成する。
【0052】
電源装置の出力電流が現在の充電段階に対応する充電電流と一致するように、被充電機器からフィードバックされる情報に応じて電源装置の出力電流を調整することは、電源装置の出力電流のピーク値又は平均値が現在の充電段階に対応する充電電流と一致するように、被充電機器からフィードバックされる情報に応じて電源装置の出力電流を調整することを備えることができる。
【0053】
一次側のフィルタリング回路は、通常、液体アルミニウム電解コンデンサを採用してフィルタリングする。しかし、液体アルミニウム電解コンデンサの体積が大きいので、破裂し易い。一次側のフィルタリング回路を除去し、整流後に得られる脈動波形の電圧を直接にスイッチユニット及び変圧器に注入することにより、電源装置の体積を縮小することができる。また、一次側の液体アルミニウム電解コンデンサの使用寿命が短く且つ破裂し易いので、一次側の液体アルミニウム電解コンデンサを除去すると、電源装置の使用寿命を延ばすことができ、且つ安全性を高めることもできる。
【0054】
別の例として、
図1に示す充電方法を、無線送信装置で無線充電する無線充電アーキテクチャに適用することができる。
【0055】
本実施例において、
図1に示す充電方法は、無線送信装置又は被充電機器によって実行することができる。
【0056】
例えば、
図1に示す充電方法は無線送信装置によって実行される場合、ステップ
12は以下の内容を含むことができる。定電流充電過程において、無線送信装置と被充電機器は無線通信を行い、無線送信装置の送信電力が現在の充電段階に対応する充電電流と一致するように、被充電機器からフィードバックされる情報に応じて無線送信装置の送信電力を調整する。
【0057】
本発明の実施例は、無線送信装置と被充電機器との間の通信方式、通信内容又は通信の主従関係を具体的に限定しない。
【0058】
例えば、無線送信装置と被充電機器は、ブルートゥース(bluetooth)、無線忠実度(wireless fidelity,Wi - Fi)、又は後方散乱(backscatter)変調(又は電力負荷変調)に基づいて互いに無線通信を行うことができる。
【0059】
無線送信装置と被充電機器との間の通信は、一方向通信又は双方向通信(請求及び応答方式を介して達成される通信など)であることができる。無線送信装置と被充電機器との間の通信内容(即ち、被充電機器によってフィードバックされる情報)は、例えば、バッテリー状態情報(バッテリーの電圧情報又は電力情報など)であることができ、無線送信装置に自身の送信電力を増減するように指示する情報であることもできる。
【0060】
無線送信装置が自身の送信電力を調整する方法は様々である。例えば、無線送信装置は、電源装置に接続され、電源装置によって提供される入力電圧に基づいて無線充電信号を送信することができる。この場合、無線送信装置は電源装置と通信して、電源装置に入力電圧を調整するように指示することができ、従って無線充電信号の送信電力を調整する。別の例では、無線送信装置は電力調整装置を備えることができ、電力調整装置から送信する制御信号のデューティサイクル及び/又は周波数を調整することにより、無線充電信号の送信電力を調整することができる。
【0061】
例えば、
図1に示す充電方法は被充電機器によって実行される場合、
図1に示す充電方法は、さらに以下の内容を含むことができる。無線受信回路によって、受信した無線充電信号を無線受信回路とバッテリーとの間の充電回路の入力電圧に変換する。ステップ14は、降圧回路で充電回路の電圧に対して降圧処理を行い、充電管理回路でバッテリーに入力される電流に対して定電流制御を行うことを含む。
【0062】
本発明の実施例は、充電回路における降圧回路の位置を具体的に限定しない。例えば、降圧回路は、充電管理回路とバッテリーとの間に配置することができ、無線受信回路と充電管理回路との間に配置することもできる。
【0063】
本発明の実施例において、被充電機器の内部に降圧回路を設置することができる。このようにして、無線送信装置と被充電機器との間で高電圧で無線充電信号を送信することができる。これは、無線受信回路の電流を減らし、さらに被充電機器の発熱量を低減することに有利である。
【0064】
降圧回路は、降圧変換効率が充電管理回路の降圧効率よりも高い降圧回路であることができ、例えば、チャージポンプであることができる。
【0065】
被充電機器の発熱量をさらに低減するために、
図1に示す充電方法は、さらに以下の内容を含むことができる。充電管理回路の入力電圧と出力電圧との間の電圧差に応じて、無線送信装置と無線通信を行い、無線送信装置が無線充電信号を調整するように指示して、電圧差を小さくする。充電管理回路の変換効率は、充電管理回路の入力電圧と出力電圧との間の電圧差と正の相関関係があるので、電圧差を小さくすると、充電管理回路の変換効率を高めることができ、さらに被充電機器の発熱量を減少する。
【0066】
上述したように、
図1~
図4を参照して、本発明の方法実施例を詳細に説明した。以下は、
図5を参照して、本発明の装置実施例を詳細に説明する。方法実施例の説明と装置実施例の説明は互いに対応するので、詳細に説明しない部分は、上述した方法実施例を参照することができると理解されたい。
【0067】
図5は、本発明の実施例に係わる充電装置の構造を示す概略図である。
図5の充電装置50は、パワー供給回路52及び
充電制御回路54を備える。
【0068】
パワー供給回路52は、充電電力を供給するために用いられる。
【0069】
充電制御回路54は、パワー供給回路52から供給される充電電力に応じて、バッテリーに対して定電流充電を行うために用いられる。定電流充電過程は複数の充電段階を含み、各々の充電段階は1つの充電電流に対応し、隣接する任意の2つの充電段階において、前の充電段階に対応する充電電流は後の充電段階に対応する充電電流より大きい。各々の充電段階において、対応する充電電流を使用して、バッテリーのバッテリーセルの両端の電圧が目標定電流充電カットオフ電圧に達するまで充電する。目標定電流充電カットオフ電圧は、バッテリーセルの標準定電流充電カットオフ電圧より大きい。充電制御回路54は、パワー供給回路52から供給される充電電力に応じて、バッテリーのバッテリーセルの充電電流が目標定電圧充電カットオフ電流に達するまで、バッテリーに対して定電圧充電を行うために用いられる。目標定電圧充電カットオフ電流は、バッテリーセルの標準定電圧充電カットオフ電流より大きい。
【0070】
選択的に、バッテリーは直列に接続された複数のバッテリーセルを含む。充電制御回路54は、さらに定電流充電段階でバッテリーセルの両端の電圧を監視するために用いられる。
【0071】
選択的に、目標定電流充電カットオフ電圧と標準定電流充電カットオフ電圧との間の電圧差ΔVは、0<ΔV<0.2Vを満たす。
【0072】
選択的に、目標定電圧充電カットオフ電流と標準定電圧充電カットオフ電流の商Nは、1<N<40を満たす。
【0073】
選択的に、目標定電圧充電カットオフ電流は、定電圧充電が完了した後にバッテリーの電力がバッテリーのバッテリー容量に達するように構成される。
【0074】
本発明の実施例は、充電装置50が適用されるシナリオを限定せず、有線充電アーキテクチャに適用することができ、無線充電アーキテクチャに適用することもできることに留意されたい。例えば、充電装置50は、有線充電アーキテクチャの電源装置(電源アダプタなど)であることができる。別の例として、充電装置50は、無線充電アーキテクチャの無線送信装置(無線充電ベースなど)又は被充電機器であることができる。以下、
図6~
図9を参照して、異なる充電アーキテクチャでの充電装置50の実施形態を詳細に説明する。
【0075】
選択的に、可能な実施方式として、
図6に示されたように、充電装置50は、電源装置(電源アダプタなど)であることができる。充電装置50は、充電インターフェース56によって被充電機器60に接続されることができる。本発明は、充電インターフェース56の種類に対して具体的に限定しなく、例えば、USBインターフェース又はlightningインターフェースであることができる。USBインターフェースは、標準USBインターフェース、マイクロUSBインターフェース、又はTYPE-Cインターフェースであることもできる。
【0076】
図6に示されたように、充電制御回路54は、通信制御回路542及びパワー調整回路544を備える。定電流充電過程において、通信制御回路542は充電インターフェース56によって被充電機器60と通信し、被充電機器60によってフィードバックされた情報に基づいて、パワー調整回路544によって充電装置50の出力電流を調整し、充電装置50の出力電流と現在の充電段階に対応する充電電流が一致するようにする。
【0077】
充電装置50のパワー供給回路52は、充電インターフェース56の電力線によって被充電機器60に充電電力を供給することができる。充電インターフェース56がUSBインターフェースである場合、電力線はUSBインターフェースのVBUSラインであることができる。パワー供給回路52の特定形態は従来の方式で設置することができ、本発明の実施例はこれに対して限定しない。例えば、パワー供給回路52は、変圧器、変圧器の一次側に位置する整流回路とフィルタリング回路、変圧器の二次側に位置する整流回路とフィルタリング回路を備えることができる。
【0078】
パワー調整回路544は、例えば、パルス幅変調(pulse width modulation,PWM)コントローラー、電圧フィードバック回路及び/又は電流フィードバック回路などを備えることができる。
【0079】
通信制御回路542は、例えば、MCU又は制御機能を有する他の回路ユニットであることができる。通信制御回路542が充電装置50の出力電流を調整する方式は様々であり、例えば、パワー調整回路544の電圧フィードバック回路及び/又は電流フィードバック回路の基準電圧及び/又は基準電流を調整して、パワー調整回路544のPWMコントローラーのデューティサイクル又は周波数を調整することにより、充電装置50の出力電流を調整する。
【0080】
本発明の実施例は、通信制御回路542と被充電機器60との間の通信方式、通信内容又は通信の主従関係を具体的に限定しない。例えば、通信制御回路542は充電インターフェース56のデータラインによって被充電機器60と通信することができる。例えば、USBインターフェースのD+線及び/又はD-線によって被充電機器60と通信することができる。通信制御回路542は、被充電機器60と一方向通信を実行することができ、被充電機器60と双方向通信(請求及び応答方式を介して達成される通信など)を実行することもできる。通信制御回路542と被充電機器60との間の通信内容(即ち、被充電機器60によってフィードバックされる情報)は、例えば、バッテリー状態情報(バッテリーの電圧情報又は電力情報など)であることができ、充電装置50に自身の出力電流を増減するように指示する情報であることもできる。
【0081】
上述した実施例において、充電装置50の出力電流が現在の充電段階に対応する充電電流と一致するように、充電装置50は被充電機器60によってフィードバックされる情報に基づいて自身の出力電流を主動的に調整する。従って、充電装置50の出力電流をバッテリーの両端に直接に印加して、バッテリーを直接充電することができ、被充電機器60はバッテリーの充電電流に対して定電流制御することを必要としなく、被充電機器60の発熱量を減少することができる。
【0082】
充電装置50の出力電流は、一定の直流(DC)であることができ、脈動DC又は交流(AC)のような波形が変化する電流であることもできると理解されたい。一例として、充電装置50の出力電流は波形が変化する電流であると、「充電装置50の出力電流が現在の充電段階に対応する充電電流と一致する」とは、充電装置50の出力電流のピーク値又は平均値が現在の充電段階に対応する充電電流と一致することを意味する。波形が変化する電流でバッテリーを充電すると、バッテリーの分極を減少することができ、バッテリーの使用寿命を延ばすことができる。
【0083】
充電装置50の出力電流を波形が変化する電流に設定する方法は様々であり、以下、1つの例示を提供する。
【0084】
充電装置50のパワー供給回路52は、通常、スイッチユニット及び変圧器、変圧器の一次側に位置する一次回路、及び変圧器の二次側に位置する二次回路を備える。一次回路は、通常、整流回路とフィルタリング回路を備える。充電装置50の出力電流を波形の変化する電流にするために、一次回路のフィルタリング回路を削除して、整流回路から出力される脈動波形の電圧をスイッチユニット及び変圧器に注入し、スイッチユニット及び変圧器によって、一次側から二次側に伝送する。
【0085】
具体的に、
図7に示されたように、パワー供給回路52は、整流回路522と、スイッチユニット(MOSトランジスタなど)及び変圧器524と、二次回路526(例えば、二次整流回路及び二次フィルタリング回路を備えることができる)と、を備える。整流回路522は、入力されたACを整流して脈動波形の電圧を出力するために用いられる。スイッチユニット及び変圧器524は、脈動波形の電圧を変圧器の一次側から変圧器の二次側に結合するために用いられる。二次回路526は、変圧器524の出力電圧に応じて充電装置50の出力電流を生成するために用いられる。通信制御回路542は、被充電装置60によってフィードバックされた情報に応じて、パワー調整回路544(例えば、パワー調整回路544によって、スイッチユニットのスイッチオン時間及びスイッチオフ時間を調整する)によって充電装置50の出力電流を調整して、充電装置50の出力電流のピーク値又は平均値と現在の充電段階に対応する充電電流が一致するようにする。
【0086】
一次側のフィルタリング回路は、通常、液体アルミニウム電解コンデンサを採用してフィルタリングする。しかし、液体アルミニウム電解コンデンサの体積が大きいので、破裂し易い。一次側のフィルタリング回路を除去し、整流後に得られる脈動波形の電圧を直接にスイッチユニット及び変圧器に注入することにより、電源装置の体積を縮小することができる。また、一次側の液体アルミニウム電解コンデンサの使用寿命が短く且つ破裂し易いので、一次側の液体アルミニウム電解コンデンサを除去すると、電源装置の使用寿命を延ばすことができ、且つ安全性を高めることもできる。
【0087】
選択的に、別の可能な実施方式として、充電装置50を無線充電アーキテクチャに適用することができる。無線充電アーキテクチャにおいて、充電装置50は無線送信装置とすることができ、被充電機器とすることもできる。
【0088】
一実施形態では、充電装置50は無線送信装置である。
図8に示されたように、充電装置50は、無線送信回路57をさらに備える。定電流充電過程において、充電制御回路54と被充電機器80は無線通信を行い、被充電機器80からフィードバックされる情報に応じて無線送信回路57の送信電力を調整して、無線送信回路57の送信電力が現在の充電段階に対応する充電電流と一致するようにする。
【0089】
パワー供給回路52は、異なる方法で実現することができる。例えば、パワー供給回路52は、整流回路及びフィルタリング回路を備えることができ、ACを無線送信回路57の入力電圧に変換するために用いられる。別の例では、充電装置50は、インターフェースによって電源装置(
図8に示されていない電源アダプタなど)に接続され、電源装置はインターフェースによって電力を無線送信回路57に提供する。この状況では、パワー供給回路52は、電源装置に接続されるために用いられるインターフェースに対応する充電装置50内のインターフェース回路であることができる。
【0090】
充電制御回路54の実現方式、充電制御回路54による無線送信回路57の送信電力の調整方式は様々である。例えば、充電制御回路54は、通信機能を有する回路のみを備えることができる。充電制御回路54は、被充電装置80からフィードバックされた情報を受信し、被充電装置80からフィードバックされた情報に応じて電源装置と通信して、電源装置が出力電圧及び/又は出力電流を調整するように指示して、無線送信回路57の送信電力を調整する目的に達する。別の例として、充電制御回路54は、通信制御回路及びパワー調整回路(
図8に図示せず)を備えることができる。通信制御回路は、被充電機器80からフィードバックされた情報に応じて、パワー調整回路から送信する制御信号のデューティサイクル又は周波数を調整して、無線送信回路57の送信電力を調整する目的に達する。
【0091】
本発明の実施例は、充電制御回路54と被充電機器80との間の通信方式、通信内容又は通信の主従関係を具体的に限定しない。
【0092】
例えば、充電制御回路54と被充電機器80は、ブルートゥース(bluetooth)、無線忠実度(wireless fidelity,Wi - Fi)、又は後方散乱(backscatter)変調(又は電力負荷変調)に基づいて互いに無線通信を行うことができる。
【0093】
充電制御回路54と被充電機器80との間の通信は、一方向通信又は双方向通信(請求及び応答方式を介して達成される通信など)であることができる。充電制御回路54と被充電機器80との間の通信内容(即ち、被充電機器80によってフィードバックされる情報)は、例えば、バッテリー状態情報(バッテリーの電圧情報又は電力情報など)であることができ、無線送信装置に自身の送信電力を増減するように指示する情報であることもできる。
【0094】
一実施形態において、充電装置50は、被充電機器である。
図9に示されたように、パワー供給回路は無線受信回路523を備えることができ、充電制御回路は充電管理回路543を備えることができる。無線受信回路523は、受信した無線充電信号を無線受信回路523とバッテリーとの間の充電回路58のの入力電圧に変換するために用いられる。充電装置50は、降圧回路59をさらに備える。降圧回路59は、充電回路58の電圧に対して降圧処理を行うために用いられる。充電管理回路543は、バッテリーの両端に入力された電流に対して定電流制御するために用いられる。
【0095】
本発明の実施例において、充電装置の内部に降圧回路を設置することができる。このようにして、無線送信装置と充電装置との間で高電圧で無線充電信号を送信することができる。これは、無線受信回路の電流を減らし、さらに被充電機器の発熱量を低減することに有利である。
【0096】
降圧回路59は、無線受信回路523と充電管理回路543との間に配置することができ、充電管理回路543とバッテリーとの間に配置することもできる。
【0097】
降圧回路59は、降圧変換効率が充電管理回路543の降圧効率よりも高い降圧回路であることができ、例えば、チャージポンプであることができる。
【0098】
被充電機器の発熱量をさらに低減するために、充電装置50は、通信制御回路53をさらに備えることができる。通信制御回路53は、充電管理回路543の入力電圧と出力電圧との電圧差に応じて、無線送信装置90と無線通信することにより、無線送信装置90が無線充電信号を調整するように指示して、電圧差を小さくする。
【0099】
充電管理回路543の変換効率は、充電管理回路543の入力電圧と出力電圧との間の電圧差と正の相関関係があるので、電圧差を小さくすると、充電管理回路543の変換効率を高めることができ、さらに被充電機器の発熱量を減少する。
【0100】
本発明の実施例に用いられる「被充電機器」は、有線回線によって接続される装置及び/又は無線インタフェースを介して通信信号を受信/送信する装置であることができるが、それに限定されるものではない。有線回線は、例えば、公衆交換電話網(public switched telephone network, PSTN)、デジタル加入者線(digital subscriber line, DSL)、デジタルケーブル、直接接続ケーブル、及び/又は他のデータ接続ライン又はネットワーク接続ラインであることができる。無線インターフェースは、例えば、セルラーネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network,WLAN)、デジタルビデオ放送ハンドヘルド(digital video broadcasting handheld,DVB-H)ネットワークのようなデジタルテレビネットワーク、衛星ネットワーク、振幅変調周波数変調(amplitude modulation-frequency modulation, AM-FM)放送送信機、及び/又は他の通信端末と通信することであることができる。無線インタフェースを介して通信するように構成された端末は、「無線通信端末」、「無線端末」、及び/又は「移動端末」と呼ぶことができる。移動端末の例としては、衛星又はセルラー電話、パーソナル通信システム(personal communication system,PCS)端末(セルラー無線電話とデータ処理、ファックス及びデータ通信能力を組み合わせることができる)、パーソナルデジタルアシスタント(Persona Digital Assistant, PDA)(無線電話(radio telephone)、ページャ(pager)、インターネット/イントラネットアクセス(Internet/Intranet access)、ウェブブラウジング(web browsing)、ノートブック(notebook)、カレンダー(calendar)及び/又は全地球測位システム(global positioning system, GPS)受信機を備えることができる)及び通常のラップトップ型及び/又はハンドヘルド受信機、又は無線電話機能を備えた他の電子デバイスを備えるが、それに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、被充電機器は、携帯電話、パッドなどのようなモバイル端末装置又はハンドヘルド端末装置を指すことができる。他の実装形態では、本発明の実施例に係わる被充電機器は、チップシステムであることができ、本実施例において、被充電機器のバッテリーはチップシステムに属してもよく又は属しなくてもよい。
【0101】
上述した実施形態において、全部又は一部はソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、又は任意の他の組み合わせによって実現することができる。ソフトウェアによって実現する場合、全部又は一部は、コンピュータプログラム製品の形式で実現することができる。コンピュータプログラム製品は、1つ又は複数のコンピュータ命令を含む。コンピュータにコンピュータプログラム命令をアップロードして実行される場合、本発明の実装形態のプロセス又は機能の全部または一部が実行される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、又は他のプログラム可能な装置であることができる。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、又は1つのコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に送信することができる。例えば、コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、デジタル加入者線(digital subscriber line, DSL)である)又は無線(赤外線、無線、マイクロ波などである)方式によって、あるウェブサイト、コンピュータ、サーバ、又はデータセンタから別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、又はデータセンタに送信することができる。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータがアクセスすることができる任意の利用可能な媒体、又は1つ又は複数の利用可能な媒体統合を含むサーバ、データセンタなどのデータ記憶装置であることができる。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、ソフトディスク、ハードディスク、磁気テープである)、光学媒体(例えば、デジタルビデオディスク(digital video disc,DVD)である)、又は半導体媒体(例えば、ソリッドステートディスク(solid state disk,SSD)である)などであることができる。
【0102】
本願によって提供される幾つかの実施形態において、開示されるシステム、装置及び方法は、他の形態により実現され得ると理解されるべきである。例えば、上記に説明された装置の実施例は、例示するためのものに過ぎない。例えば、ユニットの分割は、ロジック機能の分割に過ぎず、実際に実現するときに別の分割形態を有してもよい。例えば、複数のユニット又は部品を組み合わせ、又は別のシステムに集積し、又は若干の特徴を無視し、又は実行しなくてもよい。さらに、図示又は検討する相互間の結合や直接結合や通信接続は、いくつかのインタフェース、装置、又はユニットの間接結合や通信接続であってもよいし、電気、機械や他の形態であってもよい。
【0103】
分離部品として記載されたユニットは、物理的に分離してもよいし、分離しなくてもよい。ユニットとして表示される部品は、物理的なユニットであってもよいし、物理的なユニットではなくておもよい。即ち、一つの箇所に設置してもよいし、複数のネットワークユニットに設置してもよい。実際の要求に応じて一部又は全部のユニットを選択して本実施例の技術方案の目的を実現することができる。
【0104】
また、本発明に係る各実施例の各機能ユニットは、1つの処理ユニットに集積されてもよいし、物理的に分離された複数のユニットとして存在してもよいし、2つ以上のユニットは1つのユニットに集積してもよい。
【0105】
上述したのは、ただ本願の具体的な実施形態であり、本願の保護範囲はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本願に開示された技術範囲内で変更又は置換を容易に想到しうることであり、全て本出願の範囲内に含まれるべきである。従って本願の保護範囲は特許請求の範囲によって決めるべきである。