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特許7185702アルキレングリコール誘導体、洗剤用添加剤、及び洗剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】アルキレングリコール誘導体、洗剤用添加剤、及び洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/333 20060101AFI20221130BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
C08G65/333
C11D3/30
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020551151
(86)(22)【出願日】2019-10-07
(86)【国際出願番号】 JP2019039538
(87)【国際公開番号】W WO2020071563
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】P 2018190464
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004628
【氏名又は名称】株式会社日本触媒
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】道尭 大祐
(72)【発明者】
【氏名】金尾 竜佑
(72)【発明者】
【氏名】西川 毅
【審査官】岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/157656(WO,A1)
【文献】特開昭59-062583(JP,A)
【文献】国際公開第2018/004593(WO,A1)
【文献】特開2015-209534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/333
C11D 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物、又は式(2)で表される化合物であり、ただし、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物を除く、ポリアルキレングリコール誘導体。
-O-(R-O)-W・・・(1)
(式(1)において、W及びWは、独立に、下記式(A1)で表される基若しくは下記式(A1’)で表される基である、又はWが炭素数4~30の炭化水素基であり、且つWが下記式(A1)若しくは式(A1’)で表される基であり、
-Z-NY・・・(A1)
-Z-N=Y・・・(A1’)
[式(A1)において、Zは、水酸基を有する二価の有機基であり、Xは水素原子若しくは一価の有機基であり、Yは、一価の有機基である、又はX及びYは、一緒になって窒素原子を含む環を形成している。式(A1’)において、 は、水酸基を有する二価の有機基であり、は、二価の有機基である。W及びWのいずれも式(A1)で表される基である又はW及びWのいずれも式(A1’)で表される基である場合、複数の式(A1)で表される基又は式(A1’)で表される基は同一であっても異なっていてもよい。]
は、炭素数2~5のアルキレン基であり、nは、3~100である。
ただし、式(1)において、W及びWが共に式(A1)で表される基であり、且つ二つのXが共に水素原子であり、且つ二つのYが共にアルキル基、アリール基又はアラルキル基である場合に、nは5~100である。)
-O-(R-O)-W・・・(2)
(式(2)において、Wは下記式(A2)で表される基であり、Wは下記式(A3)又は式(A3’)で表される基であり、R は、炭素数2~5のアルキレン基であり、nは、3~100である
-Z-OR・・・(A2)
-Z-NY・・・(A3)
-Z-N=Y・・・(A3’)
[式(A2)において、Zは、水酸基を有する二価の有機基であり、Rは、炭素数4~30の炭化水素基であり、
式(A3)において、Zは、直接結合又は二価の有機基であり、Xは水素原子若しくは一価の有機基であり、Yは、一価の有機基である、又はX及びYは、一緒になって窒素原子を含む環を形成している。式(A3’)において、 は、直接結合又は二価の有機基であり、は、二価の有機基である。])
【化1】
【請求項2】
式(1)で表される化合物であって、且つ下記一般式(E1)で表される化合物である、請求項1に記載のポリアルキレングリコール誘導体。
【化2】

(式(E1)において、Wは炭素数4~30の炭化水素基である。)
【請求項3】
式(2)で表される化合物であって、且つ下記一般式(E2)で表される化合物である、請求項1に記載のポリアルキレングリコール誘導体。
【化3】
【請求項4】
式(1)で表される化合物であって、且つ下記一般式(E3’)で表される化合物である、請求項1に記載のポリアルキレングリコール誘導体。
【化4】

(式(E3’)中、複数あるX及びYは同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項5】
式(1)で表される化合物であり、且つ下記一般式(E3)で表される化合物である、請求項1に記載のポリアルキレングリコール誘導体。
【化5】

(式(E3)において、Rは、炭素数4~30の炭化水素基であり、複数のR、X、及びYは、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項6】
グリシジル基含有化合物のグリシジル基に第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンを付加した化合物であって、
前記グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有し、
ただし、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物を除く、化合物。
【化6】
【請求項7】
一方の末端に水酸基を有すると共に他方の末端に第2級アミノ基、第3級アミノ基又は窒素原子と結合した有機基を含むイミノ基を有するアミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールを、前記水酸基によりグリシジル基含有化合物に付加した化合物であって、
前記グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有することを特徴とする化合物。
【請求項8】
2つのグリシジル基が(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する第1のグリシジル基含有化合物の少なくとも一方のグリシジル基に第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンが付加した構造を有する化合物であり、ただし、下記式(III)で表される化合物を除く、化合物。
【化7】

(式(III)中、Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、mは0~2の整数である。)
【請求項9】
請求項8に記載の化合物を、当該化合物の水酸基により第2のグリシジル基含有化合物に付加した化合物であって、
前記水酸基が前記第1のグリシジル基含有化合物のグリシジル基に前記第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンを付加することにより生じたものであり、
前記第2のグリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有することを特徴とする化合物。
【請求項10】
グリシジル基含有化合物と、第1級アミン、第2級アミン又は水素原子及び有機基が窒素原子に結合したイミンとを、アミノ基又はイミノ基とグリシジル基とが求核置換反応を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、前記グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有し、ただし、下記式(I)で表される化合物及び下記式(II)で表される化合物を含まない、反応生成物。
【化8】
【請求項11】
アミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールと、グリシジル基含有化合物とを、水酸基とグリシジル基とが求核置換反応を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、前記アミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールが、一方の末端に水酸基を有すると共に他方の末端に第2級アミノ基、第3級アミノ基又は窒素原子と結合した有機基を含むイミノ基を有し、前記グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する、反応生成物。
【請求項12】
グリシジル基含有化合物と、第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンとを、アミノ基又はイミノ基とグリシジル基とが求核置換反応(付加反応)を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、前記グリシジル基含有化合物は、2つのグリシジル基がエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有し、ただし、下記式(III)で表される化合物を含まない、反応生成物。
【化9】

(式(III)中、Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、mは0~2の整数である。)
【請求項13】
2つのグリシジル基が(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する化合物に第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンを付加したものと、グリシジル基含有化合物とを、水酸基とグリシジル基とが求核置換反応(付加反応)を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、当該グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する、反応生成物。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか一項に記載のポリアルキレングリコール誘導体、請求項6~9のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項10~13のいずれか一項に記載の反応生成物を含むことを特徴とする洗剤用添加剤。
【請求項15】
請求項1~5のいずれか一項に記載のポリアルキレングリコール誘導体、請求項6~9のいずれか一項に記載の化合物、又は請求項10~13のいずれか一項に記載の反応生成物を含むことを特徴とする洗剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アルキレングリコール誘導体、洗剤用添加剤、及び洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物は、その鎖長や構成するアルキレンオキシドを適宜調整することによって親水性や疎水性、柔軟性や立体反発等の特性が付与され、洗剤用ビルダー、洗剤、水処理剤、スケール防止剤、分散剤等、種々の用途に用いられている。
【0003】
ポリアルキレングリコール鎖を有する化合物としては、例えば、特許文献1に記載される2つのポリアルキレングリコール鎖が窒素原子に結合したアミノ基含有ポリアルキレングリコールが知られており、液体洗浄剤組成物に使用できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-209316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来より、様々なポリアルキレングリコール誘導体が、疎水性汚れに対する洗浄力や再汚染防止能について、報告されているが、従来のポリアルキレングリコール誘導体には泥等の親水性物質と皮脂や煤等の疎水性物質とが複合的に組み合わさった複合汚れに対する洗浄力が充分でないという課題があった。
【0006】
本開示は、上記現状に鑑みてなされたものであり、洗浄剤組成物に配合した際に、疎水性物質と親水性物質を含む複合汚れに対する洗浄力に優れるアルキレングリコール誘導体を提供することを目的とする。また、本開示は、当該アルキレングリコール誘導体を含む洗剤用添加剤、及び洗剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のポリアルキレングリコール誘導体は、式(1)で表される化合物、又は式(2)で表される化合物である、ポリアルキレングリコール誘導体。
-O-(R-O)-W・・・(1)
(式(1)において、W及びWは、独立に、下記式(A1)で表される基若しくは下記式(A1’)で表される基である、又はWが炭素数4~30の炭化水素基であり、且つWが下記式(A1)又は式(A1’)で表される基であり、
-Z-NY・・・(A1)
-Z-N=Y・・・(A1’)
[式(A1)において、Zは、水酸基を有する二価の有機基であり、Xは水素原子若しくは一価の有機基であり、Yは、一価の有機基である、又は一緒になって窒素原子を含む環を形成している。式(A1’)において、Yは、二価の有機基である。W及びWが、いずれも式(A1)で表される基である又はW及びWのいずれも式(A1’)で表される基である場合、複数の式(A1)で表される基又は式(A1’)で表される基は同一であっても異なっていてもよい。]
は、炭素数2~5のアルキレン基であり、nは、3~100である。)
-O-(R-O)-W・・・(2)
(式(2)において、Wは下記式(A2)で表される基であり、Wは下記式(A3)又は式(A3’)で表される基である。
-Z-OR・・・(A2)
-Z-NY・・・(A3)
-Z-N=Y・・・(A3’)
[式(A2)において、Zは、水酸基を有する二価の有機基であり、Rは、炭素数4~30の炭化水素基であり、
式(A3)において、Zは、直接結合又は二価の有機基であり、Xは水素原子若しくは一価の有機基であり、Yは、一価の有機基である、又はX及びYは、一緒になって窒素原子を含む環を形成している。]
式(A3’)において、Yは、二価の有機基である。)
【0008】
上記ポリアルキレングリコール誘導体は、上記式(1)で表される化合物であり、且つ下記式(E1)で表されるものであると好ましい。
【化1】
(式(E1)において、Wは炭素数4~30の炭化水素基である。なお、式(E1)において、X、Yは前記式(A1)におけるX、Yの開示と同様である)
【0009】
上記ポリアルキレングリコール誘導体は、上記式(2)で表される化合物であり、且つ下記式(E2)で表されるものであると好ましい。
【化2】

なお、式(E2)において、X、Yは前記式(A3)におけるX、Yの開示と同様である)
【0010】
上記ポリアルキレングリコール誘導体は、上記式(1)で表される化合物であり、且つ下記一般式(E3’)で表されるものであると好ましい。
【化3】
(式(E3’)中、複数あるX及びYは同じであっても異なっていてもよい。
なお、式(E3‘)において、X、Yは前記式(A1)におけるX、Yの開示と同様である)
【0011】
上記ポリアルキレングリコール誘導体は、上記式(1)で表される化合物であり、且つ下記式(E3)で表されるものであると好ましい。
【化4】
(式(E3)において、Rは、炭素数4~30の炭化水素基であり、複数のR、X、及びYは、同一であっても異なっていてもよい。なお、式(E3)において、X、Yは前記式(A1)におけるX、Yの開示と同様である)
【0012】
本開示の化合物は、グリシジル基含有化合物のグリシジル基に第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンを付加した化合物であって、当該グリシジル基含有化合物は、疎水性官能基とグリシジル基とが(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する化合物であってよい。
【0013】
本開示の化合物は、一方の末端に水酸基を有すると共に他方の末端に第2級アミノ基、第3級アミノ基又はイミノ基を有するアミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールを、当該水酸基によりグリシジル基含有化合物に付加した化合物であって、当該グリシジル基含有化合物は、疎水性官能基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する化合物であってよい。
【0014】
本開示の化合物は、2つのグリシジル基が(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する第1のグリシジル基含有化合物の少なくとも一方のグリシジル基に第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンが付加した構造を有する化合物であってよい。また、当該化合物を、当該化合物の水酸基により第2のグリシジル基含有化合物に付加した化合物であって、当該水酸基が上記第1のグリシジル基含有化合物のグリシジル基に上記第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンを付加することにより生じたものであり、第2のグリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する化合物であってもよい。
【0015】
本開示の反応生成物は、グリシジル基含有化合物と、第1級アミン、第2級アミン又は水素原子及び有機基が窒素原子に結合したイミンとを、アミノ基又はイミノ基とグリシジル基とが求核置換反応を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、当該グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有するものであってよい。
【0016】
本開示の反応生成物は、アミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールと、グリシジル基含有化合物とを、水酸基とグリシジル基とが求核置換反応を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、当該アミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールが、一方の末端に水酸基を有すると共に他方の末端に第2級アミノ基、第3級アミノ基又は窒素原子と結合した有機基を含むイミノ基を有し、当該グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有するものであってよい。
【0017】
本開示の反応生成物は、グリシジル基含有化合物と、第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンとを、アミノ基又はイミノ基とグリシジル基とが求核置換反応(付加反応)を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、当該グリシジル基含有化合物は、2つのグリシジル基が(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有するものであってよい。
【0018】
本開示の反応生成物は、2つのグリシジル基が(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する化合物に第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンを付加したものと、グリシジル基含有化合物とを、水酸基とグリシジル基とが求核置換反応(付加反応)を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、当該グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とが(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有するものであってよい。
【0019】
本開示の洗剤用添加剤は、上記ポリアルキレングリコール誘導体、上記化合物又は上記反応生成物を含む。
【0020】
本開示の洗剤組成物は、上記ポリアルキレングリコール誘導体、上記化合物又は上記反応生成物を含む。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、洗浄剤組成物に配合した際に、疎水性物質と親水性物質を含む複合汚れに対する洗浄力に優れるアルキレングリコール誘導体を提供することができる。また、本開示は、当該アルキレングリコール誘導体を含む洗剤用添加剤、及び洗剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態のポリアルキレングリコール誘導体は、式(1)で表される化合物、又は式(2)で表される化合物である、ポリアルキレングリコール誘導体。
-O-(R-O)-W・・・(1)
(式(1)において、W及びWは、独立に、下記式(A1)で表される基又は下記式(A1’)で表される基である、又はWが炭素数4~30の炭化水素基であり、且つWが下記式(A1)又は式(A1’)で表される基であり、
-Z-NY・・・(A1)
-Z-N=Y・・・(A1’)
[式(A1)において、Zは、水酸基を有する二価の有機基であり、Xは水素原子若しくは一価の有機基であり、Yは、一価の有機基である、又はX及びYは、一緒になって窒素原子を含む環を形成している。式(A1’)において、Yは、二価の有機基である。W及びWが、いずれも式(A1)で表される基又はW及びWのいずれも式(A1’)で表される基である場合、複数の式(A1)で表される基又は式(A1’)で表される基は同一であっても異なっていてもよい。]
は、炭素数2~5のアルキレン基であり、nは、3~100である。)
-O-(R-O)-W・・・(2)
(式(2)において、Wは下記式(A2)で表される基であり、Wは下記式(A3)又は式(A3’)で表される基である。
-Z-OR・・・(A2)
-Z-NY・・・(A3)
-Z-N=Y・・・(A3’)
[式(A2)において、Zは、水酸基を有する二価の有機基であり、Rは、炭素数4~30の炭化水素基であり、
式(A3)において、Zは、直接結合又は二価の有機基であり、Xは水素原子若しくは一価の有機基であり、Yは、一価の有機基である、又はX及びYは、一緒になって窒素原子を含む環を形成している。
式(A3’)において、Yは、二価の有機基である。])
【0023】
上記式(1)において、nは、アルキレングリコール単位の付加モル数である。nは、整数であってもよいが、ポリアルキレングリコール誘導体全体の平均値(平均付加モル数)の場合、有理数であってもよい。nは、3~100であり、3~80が好ましく、5~50がより好ましく、7~20がさらに好ましい。Rは、炭素数2~5のアルキレン基であり、具体的には、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、1,2-ブチレン基、2,3-ブチレン基、1,5-ペンチレン基等が挙げられる。
【0024】
式(A1)において、Zは、水酸基を有する二価の有機基である。Zは、水酸基を1~4個有していると好ましく、1~3個有しているとより好ましく、1~2個有しているとさらに好ましく、1個有していると特に好ましい。水酸基は、アルコール性水酸基であると好ましい。また、水酸基は、第1級、第2級及び第3級水酸基のいずれであってもよいが、第1級又は第2級水酸基であると好ましい。Zは、具体的には、下記式(B1)であると好ましい。
【0025】
【化5】
(式中、Rは、(2+r)価の炭素数2~5の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、飽和炭化水素基であると好ましく、直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基であると好ましい。Rの炭素数は、2~4であると好ましく、2又は3であるとより好ましい。rは、1又は2である。Zは、水素原子、下記式(C1)で表される基、又は下記式(C1’)で表される基である。分子内に複数のZが存在する場合、複数のZは互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。なお、式(B1)において、r個存在する-OZ基は、Rの炭化水素基のいずれの炭素原子に結合していてもよい。)
【0026】
言い換えれば、式(B1)で表される基は、炭素数2~5の炭化水素基の一つ又は二つの水素原子を-OZ基で置換した基である。
【0027】
【化6】
(式(C1)中、Rは、(2+t)価の炭素数2~5の炭化水素基であり、当該炭化水素基は、飽和炭化水素基であると好ましく、直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基であると好ましい。Rの炭素数は、2~4であると好ましく、2又は3であるとより好ましい。tは、1又は2である。Rは、炭素数4~30の炭化水素基である。なお、式(C1)において、t個存在する水酸基は、Rの炭化水素基のいずれの炭素原子に結合していてもよい。
式(C1’)中、R31は、炭素数2~5のアルキレン基であり、具体的には、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、1,2-ブチレン基、2,3-ブチレン基、1,5-ペンチレン基等が挙げられる。m1は、アルキレングリコール単位の付加モル数である。m1は、整数であってもよいが、ポリアルキレングリコール誘導体全体の平均値(平均付加モル数)であってもよい。nは、1より大きく、3~100であり、3~80が好ましく、5~50がより好ましく、7~20がさらに好ましい。)
【0028】
言い換えれば、式(C1)及び式C(1’)で表される基は、炭素数2~5の二価の炭化水素基(つまりR)の一つ又は二つの水素原子を-OH基で置換した基を有する。
【0029】
の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であると好ましく、飽和炭化水素基であるとより好ましく、直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基であると更に好ましい。また、上記炭化水素基の炭素数は、4~18であると好ましく、6~17であるとより好ましく、8~16であるとより一層好ましく、11~15であるとさらに好ましく、12~14であると最も好ましい。
【0030】
直鎖の飽和炭化水素基としては、n-ブチル基、n-ペンチル基(アミル基)、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基、n-ヘンイコシル基、n-ドコシル基等が挙げられる。
【0031】
分岐鎖の飽和炭化水素基としては、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、イソアミル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、tert-アミル基、1,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-メチルペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、2-エチル-2-メチルプロピル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、イソオクチル基、1-エチルヘキシル基、1-プロピルペンチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、1-エチルヘプチル基、1-プロピルヘキシル基、1-ブチルペンチル基、2-エチルヘプチル基、2-プロピルヘキシル基、2-ブチルペンチル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、1-エチルオクチル基、1-プロピルヘプチル基、1-ブチルヘキシル基、2-エチルオクチル基、2-プロピルヘプチル基、2-ブチルヘキシル基、イソウンデシル基、sec-ウンデシル基、tert-ウンデシル基、ネオウンデシル基、1-エチルノニル基、1-プロピルオクチル基、1-ブチルヘプチル基、1-ペンチルヘキシル基、2-エチルノニル基、2-プロピルオクチル基、2-ブチルヘプチル基、2-ペンチルヘキシル基、イソドデシル基、sec-ドデシル基、tert-ドデシル基、ネオドデシル基、1-エチルデシル基、1-プロピルノニル基、1-ブチルオクチル基、1-ペンチルヘプチル基、2-エチルデシル基、2-プロピルノニル基、2-ブチルオクチル基、2-ペンチルヘプチル基、イソトリデシル基、sec-トリデシル基、tert-トリデシル基、ネオトリデシル基、1-エチルウンデシル基、1-プロピルデシル基、1-ブチルノニル基、1-ペンチルオクチル基、1-ヘキシルヘプチル基、2-エチルウンデシル基、2-プロピルデシル基、2-ブチルオクチル基、2-ペンチルオクチル基、2-ヘキシルヘプチル基、イソテトラデシル基、sec-テトラデシル基、tert-テトラデシル基、ネオテトラデシル基、1-エチルドデシル基、1-プロピルウンデシル基、1-ブチルデシル基、1-ペンチルノニル基、1-ヘキシルオクチル基、2-エチルドデシル基、2-プロピルウンデシル基、2-ブチルデシル基、2-ペンチルノニル基、2-ヘキシルオクチル基、イソペンタデシル基、sec-ペンタデシル基、tert-ペンタデシル基、ネオペンタデシル基、イソヘキサデシル基、sec-ヘキサデシル基、tert-ヘキサデシル基、ネオヘキサデシル基、イソヘプタデシル基、sec-ヘプタデシル基、tert-ヘプタデシル基、ネオヘプタデシル基、イソオクタデシル(イソステアリル)基、sec-オクタデシル基、tert-オクタデシル基、ネオオクタデシル基、イソノナデシル基、sec-ノナデシル基、tert-ノナデシル基、ネオノナデシル基、イソイコシル基、sec-イコシル基、tert-イコシル基、ネオイコシル基、イソヘンイコシル基、sec-ヘンイコシル基、tert-ヘンイコシル基、ネオヘンイコシル基、イソドコシル基、sec-ドコシル基、tert-ドコシル基、ネオドコシル基、イソトリコシル基、sec-トリコシル基、tert-トリコシル基、ネオトリコシル基、イソテトラコシル基、sec-テトラコシル基、tert-テトラコシル基、ネオテトラコシル基、イソペンタコシル基、sec-ペンタコシル基、tert-ペンタコシル基、ネオペンタコシル基、イソヘキサコシル基、sec-ヘキサコシル基、tert-ヘキサコシル基、ネオヘキサコシル基、イソヘプタコシル基、sec-ヘプタコシル基、tert-ヘプタコシル基、ネオヘプタコシル基、イソオクタコシル基、sec-オクタコシル基、tert-オクタコシル基、ネオオクタコシル基、イソノナコシル基、sec-ノナコシル基、tert-ノナコシル基、ネオノナコシル基、イソトリアコンチル基、sec-トリアコンチル基、tert-トリアコンチル基等が挙げられる。
【0032】
また、Rの炭化水素基は、炭素数4~30の直鎖アルケニル基、又は分岐鎖アルケニル基であってもよい。炭素数4~30の直鎖アルケニル基としては、具体的には、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
炭素数4~30の分岐アルケニル基としては、イソプロペニル基、イソブテニル基、イソペンテニ)基、イソヘキセニル基、イソヘプテニル基、イソオクテニル基、イソノネニル基、イソデセニル基、イソドデセニル基、イソオクタデセニル基、イソイコセニル基等が挙げられる。
【0033】
の炭化水素基は、炭素数6~30のアリール基であってもよい。炭素数6~30のアリール基としては、例えば、フェニル基;ナフチル基;ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、4-フェニルブチル基、等のアラルキル基;スチリル基(Ph-CH=C-基);シンナミル基(Ph-CH=CHCH-基);1-ベンゾシクロブテニル基;1,2,3,4ーテトラヒドロナフチル基、ジスチレン化フェニル基などが挙げられる。
【0034】
は、水酸基を1~4個有していると好ましく、1~3個有しているとより好ましく、1~2個有しているとさらに好ましく、1個有していると特に好ましい。水酸基は、アルコール性水酸基であると好ましい。また、水酸基は、第1級、第2級及び第3級水酸基のいずれであってもよいが、第1級又は第2級水酸基であると好ましい。
【0035】
としては、下記式(F1)~(F6)で表される基であると好ましい。

【化7】
(式(F1)~(F6)中、1*は酸素原子との結合部位を表し、*2は窒素原子との結合部位を表す。)
【0036】
式(A1)において、X及びYは、それぞれ一価の有機基である。一価の有機基としては、炭素数1~6のアルキル基、又は、下記式(C2)又は(C3)で表される基であると好ましい。XとYとは、同じであってもよく、異なっていていてもよい。
-R-OH・・・(C2)
-R-COOH・・・(C3)
(式中、R及びRは、それぞれ、炭素数1~6の二価の炭化水素基である。)
【0037】
炭素数1~6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、n-ペンチル基、2-メチルブチル基、イソアミル基、1,2-ジメチルプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、tert-アミル基、n-ヘキシル基、1,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、1-メチルペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、2-エチル-2-メチルプロピル基等の1~6のアルキル基、炭素数フェニル基などが挙げられる。
【0038】
式(C2)において、Rは、具体的には、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、1,4-ブチレン基、1,5-ペンチレン基、1,6-へキシレン基等のアルキレン基、1,6-シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基、フェニル基などが挙げられる。Rの炭素数は、1~10であってよく、2~8であってよく、2~6であってよい。Rは、二価の脂肪族飽和炭化水素基であってよく、直鎖又は分岐鎖の二価のアルキレン基であってよい。
【0039】
式(C3)において、カルボキシル基は、カルボン酸基であってもよく、一価のカチオンとの塩であってもよい。一価のカチオンとしては、アルカリ金属イオンが挙げられる。Rは、具体的には、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、1,4-ブチレン基、1,5-ペンチレン基、1,6-へキシレン基等のアルキレン基、1,6-シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基、フェニル基などが挙げられる。Rの炭素数は、1~10であってよく、2~8であってよく、2~6であってよい。Rは、二価の脂肪族飽和炭化水素基であってよく、直鎖又は分岐鎖の二価のアルキレン基であってよい。
【0040】
及びYは、一緒になって窒素原子を含む環を形成していてもよい。窒素原子を含む環としては、芳香族複素環及び脂肪族複素環のいずれであってもよく、単環系及び縮合環系のいずれであってもよい。窒素原子を含む環は、3~10個の炭素原子を含んでいてよく、4~8個の炭素原子を含んでいてよい。また、窒素原子を含む環は、環内の炭素原子がハロゲン原子、又は炭素数1~3のアルキル基等の置換基を有していてもよい。式(A1)において、-NYで表される基が窒素原子を含む環を有する場合、-NYで表される基としては、下記式(C6)又は式(C7)のものが挙げられる。
【0041】
【化8】
(式(C6)中、R35及びR36は、それぞれ独立に、炭素数2~5の直鎖のアルキレン基、又は当該アルキレン基の一つ以上の水素原子が置換基に置き換えられた基であり、当該置換基としては、炭素数1~3のアルキル基が挙げられ、置換基の数は、1~3であると好ましい。上記アルキレン基としては、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基が好ましい。
式(C7)中、R37及びR38は、それぞれ独立に、炭素数2~5の直鎖のアルキレン基、又は当該アルキレン基の一つ以上の水素原子が置換基に置き換えられた基であり、当該置換基としては、炭素数1~3のアルキル基が挙げられ、置換基の数は1~3であると好ましい。上記アルキレン基としては、エチレン基、n-プロピレン基、n-ブチレン基が好ましい。)
【0042】
式(C6)で表される基の具体例としては、下記式(C6’)のものが挙げられ、式(C7)で表される基の具体例としては、下記式(C7’)のものが挙げられる。
【化9】
【0043】
式(A1’)において、Yは、二価の有機基であってよい。二価の有機基としては、置換されていてもよいメチリデン基等が挙げられる。-N=Y基としては、下記式(C4)で表される基が挙げられる。
【化10】
(式(C4)中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立に炭素数1~5のアルキル基を表し、炭素数1~3のアルキル基が好ましい。)
【0044】
式(C4)の基としては、下記式(C5)の化合物が好ましい。
【化11】
【0045】
が炭化水素基である場合、その炭化水素基の炭素数は、4~30であり、5~15であると好ましく、6~12であると好ましい。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であると好ましく、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であるとより好ましい。当該炭化水素基の具体例としては、Rとして例示したものが挙げられる。
【0046】
より具体的には、式(1)のポリアルキレングリコール誘導体は、下記式(1’)又は式(1’’)のものであってよい。
【0047】
-O-(R-O)-W・・・(1’)
-O-(R-O)-W・・・(1’’)
(式(1’)中、Wは、炭素数4~30の炭化水素基であり、Wは、上記式(B1)で表される基である。式(1’’)中、Wは、上記式(B1)で表される基であり、分子内の少なくとも一つのZが上記式(C1)で表される基であり、複数あるWは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0048】
式(1’)で表される化合物としては、下記一般式(E1)で表されるが好ましい。
【化12】
【0049】
式(1’’)で表される化合物としては、下記一般式(E3)で表されるが好ましい。
【化13】
(式(E3)において、複数あるR、X、及びYは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0050】
また、ポリアルキレングリコール誘導体は、下記一般式(E3’)で表されるものであると好ましい。
【化14】
(式(E3’)中、複数あるX及びYは同じであっても異なっていてもよい。)
【0051】
式(2)において、n及びRは、式(1)について説明したものと同義である。また、X及びYは、それぞれ一価の有機基である、又は一緒になって窒素原子を含む環を形成しており、X及びYの具体例としては、X及びYの具体例として例示したものが挙げられる。
【0052】
式(A2)において、Zは、炭素数2~5の二価の炭化水素基の少なくとも一つの水素原子を水酸基で置換した基であることが好ましく、炭素数2~5のアルキレン基の少なくとも一つの水素原子を水酸基で置換した基であることが好ましい。炭素数2~5の二価の炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基、1,4-ブチレン基、1,5-ペンチレン基等が挙げられる。
【0053】
は、水酸基を1~4個有していると好ましく、1~3個有しているとより好ましく、1~2個有しているとさらに好ましく、1個有していると特に好ましい。水酸基は、アルコール性水酸基であると好ましい。また、水酸基は、第1級、第2級及び第3級水酸基のいずれであってもよいが、第1級又は第2級水酸基であると好ましい。
【0054】
としては、下記式(F11)、(F12)、(F13)、(F14)、(F15)、又は(F16)で表されるものであることが好ましい。
【化15】
(3*及び4*は、それぞれ各二価の基における結合位置を示す。)
【0055】
は、脂肪族炭化水素基であると好ましく、飽和炭化水素基であるとより好ましく、直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基であると更に好ましい。また、上記炭化水素基の炭素数は、4~30であり、5~15であると好ましく、6~12であると好ましい。Rの具体例としては、Rとして例示したものが挙げられる。
【0056】
式(A3)において、Zは、直接結合又は二価の有機基であり、具体的には、炭素数2~5の炭化水素基であってよく、炭素数2~5のアルキレン基であってよい。炭素数2~5の二価の炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基、1,4-ブチレン基、1,5-ペンチレン基等が挙げられる。
【0057】
式(2)で表される化合物としては、下記式(E2)で表される化合物が好ましい。また、下記式(E2’)で表される化合物がより好ましい。
【0058】
【化16】

【0059】
【化17】
【0060】
本実施形態のポリアルキレングリコール誘導体の製造方法としては、式(1)又は式(2)で表される所定の構造を誘導することができる方法であれば、特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
【0061】
例えば、式(1)のポリアルキレングリコール誘導体は、少なくとも末端にエポキシ基を有する基を含むポリアルキレングリコール(エポキシ基含有ポリアルキレングリコール)と、第1級又は第2級アミンとを反応させることにより得ることができる。エポキシ基を有する基は、ポリアルキレングリコールの末端の水酸基にエーテル結合していてよく、エポキシ基含有ポリアルキレングリコールとしては、以下の式(D1)で表される化合物、又は以下の式(D2)で表される化合物を挙げることができる。
【0062】
【化18】
(式中、R11は、共有結合、又は炭素数1~3のアルキレン基であり、R12、R13、及びR14は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1~3のアルキル基であり、R及びnは、式(1)のものと同義であり、R16は、炭素数4~30の炭化水素基を表す。)
【0063】
【化19】
(式中、R11、R12、R13、及びR14は、式(D1)のものと同義であり、R及びnは、式(1)のものと同義である。)
【0064】
式(D1)において、R16の炭化水素基の炭素数は、4~30であり、4~18であると好ましく、6~16であるとより好ましく、8~14であるとより一層好ましく、12~14であるとさらに好ましい。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であると好ましく、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であるとより好ましい。当該炭化水素基の具体例としては、Rとして例示したものが挙げられる。
【0065】
式(D1)の化合物としては、疎水性官能基とグリシジル基とが(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有するグリシジル基含有化合物が挙げられ、より具体的には、式(D1’)で表されるアルキルポリアルキレングリコールモノグリシジルエーテルが挙げられる。なお、疎水性官能基としては、例えば炭化水素基が挙げられる。式(D2)の化合物としては、2つのグリシジル基が(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する第1のグリシジル基含有化合物が挙げられ、より具体的には、式(D2’)で表されるポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0066】
【化20】
【0067】
【化21】
【0068】
第1級又は第2級アミンとしては、下記式(D3)で表されるものが挙げられ、窒素原子に水素原子及び有機基が結合したイミンとしては、(D3’)で表されるものが挙げられる。
【0069】
【化22】
(式(D3)中、X及びYは、式(A1)のものと同義である。また、式(D3’)中、Yは、式(A1’)のものと同義である。)
【0070】
このような反応では、塩基である第1級又は第2級アミンがエポキシ基の炭素原子と求核的に反応し、エポキシ基が開環すると共に水酸基を生じ、アミノ基及び水酸基を有するポリアルキレングリコール誘導体が得られる(つまり、第1級又は第2級アミンがエポキシ基に付加する)。反応温度としては、特に制限はないが、例えば、50~100℃であってよい。反応時間についても特に制限はないが、例えば、1~10時間であってよい。
【0071】
エポキシ基とアミン化合物又はイミン化合物との間の求核置換反応(付加反応)は公知である。式(D1’)の化合物と(D3)の化合物との反応では、第1級アミン等が強い塩基であるため、触媒を使用しない場合、上記式(E1)の化合物が得られる傾向にあるが、例えば、触媒としてルイス酸を使用した場合には、下記式(E1’)で表される化合物も合成することができる。
【0072】
【化23】
【0073】
また、式(1’’)の化合物を得る場合は、式(D2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との上述の反応により得られたアミノ基及び水酸基を有するポリアルキレングリコール誘導体に対して、更にエポキシ基を有する化合物を反応させることもできる。エポキシ基を有する化合物としては、例えば、下記式(D4)で表される化合物を上げることができる。
【0074】
【化24】
(式中、R21は、共有結合、又は炭素数1~3のアルキレン基であり、R22、R23、及びR24は、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1~3のアルキル基であり、R26は、炭素数4~30の炭化水素基を表す。)
【0075】
式(D4)の化合物としては、具体的には、アルキルグリシジルエーテルを上げることができる。R26の炭化水素基の炭素数は、4~30であり、4~18であると好ましく、6~17であるとより好ましく、8~16であるとより一層好ましく、11~15であるとさらに好ましく、12~14であると最も好ましい。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であると好ましく、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であるとより好ましい。当該炭化水素基の具体例としては、Rとして例示したものが挙げられる。
【0076】
このような反応では、上記ポリアルキレングリコール誘導体の水酸基は、エポキシ基の炭素と求核的に反応してエーテル結合を生じる(つまり、水酸基を有する化合物がエポキシ基に付加する)と共に、エポキシ基が開環して分子内に新たに水酸基を生じる。なお、当該反応では、新たに生じた水酸基がさらにエポキシ基と反応した化合物が副生成物として得られてもよい。反応温度としては、特に制限はないが、例えば、50~100℃であってよい。反応時間についても特に制限はないが、例えば、1~15時間であってよい。また、塩基又はルイス酸を反応触媒として使用してもよく、そのような塩基の具体例としては、水酸化ナトリウムを挙げることができる。塩基を反応触媒として使用した際には、主成分として、式(1’’)の化合物が得られる傾向にあるが、例えば、ルイス酸を使用した場合には、水酸基がグリシジル基の第3級炭素に付加した構造を有する化合物を得ることもできる。
【0077】
また、式(2)の化合物は、例えば、以下の反応により得ることができる。
【0078】
まず、上述の第1級アミン、第2級アミン若しくは水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンにアルキレンオキサイドを付加させてアミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールを得る、又は水酸基を有するアミン化合物にアルキレンオキサイドを付加させてアミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールを得る。例えば、水酸基を有するアミン化合物として式(D5)のアミン化合物を使用した場合、式(D6)で表されるアミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールが得られる。
【0079】
【化25】
(式中R27は、炭素数2~5の炭化水素基であってよく、炭素数2~5のアルキレン基であってよい。炭素数2~5の二価の炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基、1,4-ブチレン基、1,5-ペンチレン基等が挙げられる。X及びYは、それぞれ式(A2)のX及びYと同義である。)
【0080】
【化26】
(式中、R27は、式(D5)のR27と同義である。また、R及びnは、式(1)のものと同義である。)
【0081】
また、水酸基を有するアミン化合物に代えて水酸基を有するイミン化合物を用いることもできる。そのようなイミン化合物としては、下記式(D5’)のものを挙げることができる。この場合、窒素原子と結合した有機基を含むイミノ基を有するアミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールを得ることができる。
【0082】
【化27】
(式中R28は、炭素数2~5の炭化水素基であってよく、炭素数2~5のアルキレン基であってよい。炭素数2~5の二価の炭化水素基としては、エチレン基、プロピレン基、1,4-ブチレン基、1,5-ペンチレン基等が挙げられる。Yは、それぞれ式(A3)のYと同義である。)
【0083】
次に、式(D6)のアルキレングリコール付加アミン化合物とエポキシ基を有する化合物とを反応させて、式(2)の化合物を得る。エポキシ基を有する化合物としては、例えば、式(D4)の化合物を挙げることができる。
【0084】
なお、例えば、塩基触媒下で、式(D4)の化合物と式(D6)の化合物とを反応させた場合、式(E2’)の化合物が得られる傾向にあるが、ルイス酸の存在下で、当該反応を行った場合、下記式(E2’’)の化合物を合成することもできる。
【0085】
【化28】
【0086】
本実施形態では、以下の反応生成物(A)~(D)を提供する。
反応生成物(A)は、グリシジル基含有化合物と、第1級アミン、第2級アミン又は水素原子及び有機基が窒素原子に結合したイミンとを、アミノ基又はイミノ基とグリシジル基とが求核置換反応(付加反応)を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、当該グリシジル基含有化合物は、疎水性官能基とグリシジル基とが(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する。
反応生成物(B)は、アミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールと、グリシジル基含有化合物とを、水酸基とグリシジル基とが求核置換反応(付加反応)を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、当該アミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールが、一方の末端に水酸基を有すると共に他方の末端に第2級アミノ基、第3級アミノ基又は窒素原子と結合した有機基を含むイミノ基を有し、当該グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する。
反応生成物(C)は、第1のグリシジル基含有化合物と第1級アミン、第2級アミン又は水素原子及び有機基が窒素原子に結合したイミンとをアミノ基又はイミノ基とグリシジル基とが求核置換反応(付加反応)を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、当該第1のグリシジル基含有化合物は、2つのグリシジル基が(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する。
反応生成物(D)は、反応生成物(C)と、第2のグリシジル基含有化合物とを、水酸基とグリシジル基とが求核置換反応(付加反応)を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、当該グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とが(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する。反応生成物(D)は、2つのグリシジル基が(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する化合物の第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミン付加物と、グリシジル基含有化合物とを、水酸基とグリシジル基とが求核置換反応(付加反応)を行うことができる条件下で反応させた反応生成物であり、当該グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する。
【0087】
本実施形態の別の態様として、以下の化合物(I)~(IV)も挙げられる。
化合物(I)は、グリシジル基含有化合物のグリシジル基に第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンを付加した化合物であって、当該グリシジル基含有化合物は、とグリシジル基とが(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する化合物である。
化合物(II)は、一方の末端に水酸基を有すると共に他方の末端に第2級アミノ基、第3級アミノ基又は窒素原子と結合した有機基を含むイミノ基を有するアミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールを、前記水酸基によりグリシジル基含有化合物に付加した化合物であって、当該グリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とがエーテル結合、又は(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する化合物である。
化合物(III)は、2つのグリシジル基が(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する第1のグリシジル基含有化合物の少なくとも一方のグリシジル基に第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンが付加した構造を有する。
化合物(IV)は、化合物(III)を、該化合物の水酸基により第2のグリシジル基含有化合物に付加した化合物であって、水酸基が前記第1のグリシジル基含有化合物のグリシジル基に前記第1級アミン、第2級アミン又は水素原子と有機基とが窒素原子に結合したイミンを付加することにより生じたものであり、第2のグリシジル基含有化合物は、炭素数4~30の炭化水素基とグリシジル基とが(ポリ)アルキレングリコールにより連結された構造を有する化合物である。
【0088】
ここで、(ポリ)アルキレングリコールは、アルキレングリコール又はポリアルキレングリコールを指す。また、(I)及び(II)のグリシジル基含有化合物、及び(IV)の第2のグリシジル基含有化合物の具体例としては、式(D1)のものが挙げられ、好ましくは、式(D1’)のものである。(III)の第1のグリシジル基含有化合物の具体例としては、式(D2)のものが挙げられ、好ましくは、式(D2’)のものである。
【0089】
(I)及び(III)の第1級又は第2級アミンとしては、式(D3)のものが挙げられる。また、(II)のアミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールとしては、式(D6)のものが挙げられる。
【0090】
(I)及び(III)の(ポリ)アルキレングリコール、及び(II)のアミノ基含有(ポリ)アルキレングリコールの(ポリ)アルキレングリコールの付加モル数は、1~100であると好ましく、3~100であると好ましく、3~80であるとより好ましく、5~50がさらに好ましく、7~20が特に好ましい。また、当該(ポリ)アルキレングリコールに含まれるアルキレングリコール単位のアルキレン基としては、炭素数2~5のアルキレン基が挙げられ、具体的には、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、1,2-ブチレン基、2,3-ブチレン基、1,5-ペンチレン基等が挙げられ、1種又は2種以上のアルキレン基を含むことができる。
【0091】
本実施形態のポリアルキレングリコール誘導体、化合物(I)~(IV)、及び反応生成物(A)~(D)は、種々の汚れに対する分散性に優れるため、洗剤用ビルダー、洗剤、水処理剤、スケール防止剤、分散剤等、種々の用途に用いることができ、洗剤用ビルダー、洗剤等に用いられることが好ましい。
【0092】
本実施形態の組成物は、上記ポリアルキレングリコール誘導体、化合物(I)~(IV)、又は反応生成物(A)~(D)を含む。上記組成物は、上記ポリアルキレングリコール誘導体以外に、未反応の原料、副生成物、触媒の残渣、溶媒等のその他の成分を含んでいてもよい。
【0093】
上記組成物における上記ポリアルキレングリコール誘導体の含有量は、組成物の総量に対して、1~100質量%であることが好ましく、1~100質量%であるとより好ましく、30~100質量%であると更に好ましく、50~100質量%であると特に好ましい。
【0094】
本実施形態のポリアルキレングリコール誘導体を含む組成物は、洗剤用添加剤として使用することができる。洗剤用添加剤、洗剤、水処理剤、スケール防止剤、分散剤等として用いることができ、洗剤用添加剤、洗剤等として使用することが特に好ましい。
【0095】
本実施形態の洗剤組成物は、上記ポリアルキレングリコール誘導体を含む。当該洗剤組成物は、ポリアルキレングリコール誘導体以外に洗剤組成物に使用される種々の成分(洗剤用添加剤等)を含んでいてよい。
上記成分としては、特に制限はなく、通常洗剤組成物に使用する化合物を使用することができ、具体的には、例えば、界面活性剤を挙げることができる。また、上記洗剤組成物は、粉末等の固形洗剤組成物であってもよいし、液体洗剤組成物であってもよい。また、界面活性剤以外の添加剤を含んでいてもよく、そのような添加剤の例としては、キレート、アルカリ、pH調整剤、酵素、ゼオライト等が挙げられる。
【0096】
上記界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれであってもよく、1種又は2種以上を使用することができる。
【0097】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸又はそのエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和脂肪酸塩、不飽和脂肪酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルリン酸エステル又はその塩、アルケニルリン酸エステル又はその塩等が好適である。これらのアニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0098】
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。これらのノニオン性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基には、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0099】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。また、両性界面活性剤としては、カルボキシル型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。これらのカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤におけるアルキル基、アルケニル基は、メチル基等のアルキル基が分岐していてもよい。
【0100】
上記界面活性剤の含有量は、洗剤組成物の総量に対して10~60質量%であると好ましく、15~50質量%であるとより好ましく、20~45質量%であると更に好ましく、25~40質量%であると特に好ましい。界面活性剤の含有量が、洗剤組成物の総量に対して10~60質量%であると洗浄力と経済性とを両立できる傾向にある。
【実施例
【0101】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
【0102】
<実施例1>
温度計、撹拌機、及び還流管を備えた容量50mLのガラス製三つ口ナスフラスコ反応容器に、反応溶媒として純水8.3g、及び1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デカ-5-エン(以下TBDと称することがある。)1.1g(8.0mmоl)を仕込み、撹拌機で撹拌しながら、60℃まで昇温した。その後、ナガセケムテックス社製デナコールEX-171(下記式(a)で表されるラウリルアルコールへの15mоlエチレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル、以下EX-171と称することがある。)7.2g(8.0mmоl)を30分かけて滴下して、60℃を維持したまま、6時間撹拌した。その後、反応溶液を室温になるまで放冷し、末端にアミノ基を有するアルキルポリエチレングリコール化合物(1)-1の水溶液を得た。グリシジル基含有化合物の消費率は100%であった。
【0103】
【化29】
【0104】
<実施例2>
温度計、撹拌機、及び還流管を備えた容量50mLのガラス製三つ口ナスフラスコ反応容器に、反応溶媒としてトルエン20.0g、及びTBD1.8g(13.0mmоl)を仕込み、撹拌機で撹拌しながら、80℃まで昇温した。その後、EX-171を11.7g(13.0mmоl)を30分かけて滴下して、80℃を維持したまま、6時間撹拌した。その後、反応溶液を室温になるまで放冷し、ガラス製シャーレに移し、60℃に設定した減圧乾燥器で終夜乾燥させることで反応溶媒であるトルエンを除去した。このようにして、末端にアミノ基を有するアルキルポリエチレングリコール化合物(1)-2を得た。グリシジル基含有化合物の消費率は80%であった。
【0105】
<実施例3>
温度計、撹拌機、及び還流管を備えた容量50mLのガラス製三つ口ナスフラスコ反応容器に、反応溶媒としてエタノール5.0g、及びEX-171を7.2g(8.0mmоl)を仕込み、撹拌機で撹拌しながら、エタノールの沸点まで昇温した。その後、TBD1.1g(8.0mmоl)をエタノール10.00gに溶解させた溶液を30分かけて滴下して、温度をエタノールの沸点で維持したまま、6時間撹拌した。その後、反応溶液を室温になるまで放冷し、ガラス製シャーレに移し、40℃に設定した減圧乾燥器で終夜乾燥させることで反応溶媒であるエタノールを除去した。このようにして、末端にアミン基を有するアルキルポリエチレングリコール化合物(1)-3を得た。グリシジル基含有化合物の消費率は95%であった。
【0106】
<実施例4>
温度計、撹拌機、及び還流管を備えた容量100mLのガラス製四つ口ナスフラスコ反応容器に、EX-171を36.1g(40.0mmоl)を仕込み、撹拌機で撹拌しながら、60℃まで加温した。その後、ジイソプロパノールアミン(以下DiPrAと称することがある。)5.6(40.0mmоl)を10分かけて滴下して、60℃を維持したまま、5時間撹拌した。その後、反応溶液を室温になるまで放冷し、末端にアミノ基を有するアルキルポリエチレングリコール化合物(2)を得た。グリシジル基含有化合物の消費率は100%であった。
【0107】
<実施例5>
温度計、撹拌機、及び還流管を備えた容量50mLのガラス製三つ口ナスフラスコ反応容器に、反応溶媒として純水20.0g、及びイミノ二酢酸(以下IDAと称することがある。)2.7g(20.0mmоl)を仕込んだ。ここに、撹拌機で撹拌しながら、48質量%水酸化ナトリウム水溶液3.3g(40.0mmоl)を加え、イミノ二酢酸を溶解させた。この溶液を60℃まで加温した。その後、EX-171を17.2g(20.0mmоl)を10分かけて滴下して、60℃を維持したまま、5時間撹拌した。その後、反応溶液を室温になるまで放冷し、末端にアミノ基を有するアルキルポリエチレングリコール化合物(3)の水溶液を得た。グリシジル基含有化合物の消費率は100%であった。
【0108】
<実施例6>
温度計、撹拌機、及び還流管を備えた容量100mLのガラス製四つ口ナスフラスコ反応容器に、EX-171を36.1g(40.0mmоl)を仕込み、撹拌機で撹拌下、60℃まで加温した。その後、モルホリン(以下Moと称することがある。)3.7g(40.0mmоl)を10分かけて滴下して、60℃を維持したまま、5時間撹拌した。その後、反応溶液を室温になるまで放冷し、末端にアミノ基を有するアルキルポリエチレングリコール化合物(4)を得た。グリシジル基含有化合物の消費率は100%であった。
【0109】
<実施例7>
温度計、撹拌機、及び原料導入管及び窒素導入管を備えたSUS製オートクレーブ反応容器に、TBD37.4g(0.27mоl)、及び反応触媒として水酸化ナトリウム0.03g(191ppm)を仕込み、撹拌下に反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で120℃まで加熱した。そして安全圧下(1MPa以下)で120±5℃を保持したままエチレンオキシド119.3g(2.7mоl)を3時間かけて反応器内に導入し、導入後さらに2時間その温度を保持した。最後に、撹拌しながら反応容器内を窒素置換し、室温まで冷却した。こうして、TBDに平均10モルのエキレンオキシドが付加したポリアルキレングリコール含有化合物(5)を得た。次に、温度計、還流管及び窒素導入管を備えたガラス製四つ口ナスフラスコ反応容器に、得られた末端にアミン基を有するポリアルキレングリコール含有化合物(5)34.9g(0.2mоl)、及び反応触媒として水酸化ナトリウム0.30g(7.5mmоl)を仕込み、撹拌子を入れてマグネティックスターラーで撹拌下、反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気化で80℃まで加熱した。常圧下で80℃を保持したままラウリルグリシジルエーテル48.5g(0.2mоl)を反応容器内に一括で加えた後、さらに窒素雰囲気下で7.5時間その温度を保持した。このようにして、末端にアミノ基を有するアルキルポリエチレングリコール化合物(6)を得た。グリシジル基含有化合物の消費率は100%であった。
【0110】
<実施例8>
温度計、攪拌機、及び還流管及び窒素導入管を備えたガラス製四つ口ナスフラスコ反応容器に、TBD3.6g(26.0mmоl)、及び溶媒としてトルエン15.0gを仕込み、撹拌しながら反応容器内を窒素置換し、窒素雰囲気下で80℃まで昇温した。常圧下で80℃を保持したままナガセケムテックス社製デナコールEX-830(下記式(b)で表されるポリエチレングリコール(エチレンオキサイドの平均付加モル数9)ジグリシジルエーテル、以下EX-830と称することがある。)6.8g(13.0mmоl)を反応容器内に一括で加えた後、さらに窒素雰囲気下で12時間その温度を保持した。そこにブチルグリシジルエーテルを3.4g(26.0mmol)加えた後、さらに窒素雰囲気下で12時間その温度を保持した。その後、反応溶液を室温になるまで放冷し、末端にアミン基及びアルキル基を有するポリアルキレングリコール含有化合物(7)を得た。グリシジル基含有化合物の消費率は100%であった。
【0111】
【化30】
【0112】
<比較例1>
アミン含有界面活性剤(花王製アミート105、一方の末端の水酸基が置換されていないポリエチレングリコール鎖しか含まないポリオキシエチレンアルキルアミン)をアミン基及びアルキル基を有するポリアルキレングリコール含有化合物(8)として用いた。
【0113】
<グリシジル基含有化合物の消費率測定>
グリシジル基含有化合物の消費率をH NMRによって算出した。得られた生成物を重水素化溶媒(重水、重クロロホルム、重ジメチルスルホキシド等)に溶解させ、Agilent社製 600MHz NMRによってH NMRを測定した。積算回数は32回とした。2.5~3ppmのエポキシ基由来のピークの減少率から、消費率を算出した。
<末端にアミノ基を有するアルキルポリエチレングリコール化合物の同定>
末端にアミノ基を有するアルキルポリエチレングリコール化合物の構造同定をDOSY-NMR測定によって行った。得られた生成物を重水素化溶媒(重水、重クロロホルム、重ジメチルスルホキシド等)に溶解させ、Bruker社製 600MHz NMR、5mm溶液プローブを用いてDOSY NMRを測定した。BPP-LEDパルス系列を利用し、グラジエント最大強度50Gauss/cm、グラジエントパルス幅4msec、拡散時間40msec、積算回数8回、繰り返し待ち時間15秒とした。各種アミン基含有化合物由来のピークの拡散係数が、反応前はグリシジル基含有化合物の拡散係数より小さかったのに対して、反応後は同程度になっていることから、反応後はアミン基が導入されたことを確認した。
【0114】
<複合汚れ(油/タンパク質/泥/カーボンブラック)の洗浄力評価>
(1)5cm×5cmの湿式人工汚染布(財団法人洗濯科学協会頒布)の白色度を予め日本電飾工業社製の測色色差系SE6000型を用いて、反射率を測定することにより求めた。
(2)塩化カルシウム二水和物7.34gに純水を加えて20kgとし、硬水を調製した。
(3)20mLのスクリュー管に、各評価サンプルとして実施例1~8で合成した各化合物又は比較例1の化合物の固形分2%質量水溶液を10g調製した。
(4)洗剤成分として、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)0.5g、硫酸ナトリウム純水2g、炭酸ナトリウム0.5gをビーカーに量り取った。
(5)(4)のビーカーに(2)の硬水を加えて全量が2kgになるように調製し、洗浄液とした。
(6)ターゴットメーターを25℃に設定し、各ポットに(5)の洗浄液500mL、及び(3)のサンプル水溶液1.0gを投入し、100rpmで2分間撹拌した。その後、汚染布5枚と浴比調整のための綿布(Test fabrics社製5cm×5cmのCW98)14.6gを入れ、100rpmで10分間撹拌した。(リファレンスとして、(3)のサンプル溶液の代わりに純水を添加したものを併せて評価した。)
(7)各ポットから汚染布を取り出し、手で水を切り、(2)の硬水500mLをポットに入れ25℃に調温し、100rpmで4分間撹拌した。
(8)各ポットから汚染布を取り出し、手で水を切り、室温で一晩乾燥させた後、上記測色色差計にて再度、汚染布の白色度を反射率にて測定した。
(9)(8)と同様に、汚染されていない布(以下、白布とも称する)として、CW98の白色度を反射率にて測定した。結果を表1に示す。
(10)以上の測定結果から下式により洗浄率(洗浄力)を求めた。
洗浄率(%)=((洗浄前の汚染布の白色度)-(洗浄後の汚染布の白色度))/((洗浄前の汚染布の白色度)-(白布の白色度))×100
洗浄率の値が大きいほど、洗浄力が良好であることを意味する。
なお、比較例2として、(5)において何も添加しなかった洗浄液を用い、同様に洗浄力評価を行った。
【0115】
【表1】