(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】広告配信装置、広告配信方法、及び広告配信プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20221130BHJP
【FI】
G06Q30/02 446
G06Q30/02 438
G06Q30/02 398
(21)【出願番号】P 2021038007
(22)【出願日】2021-03-10
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天グループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【氏名又は名称】奥 和幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135518
【氏名又は名称】青木 隆
(72)【発明者】
【氏名】村田 拓真
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄介
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-332084(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0229277(US,A1)
【文献】特開2020-042863(JP,A)
【文献】株式会社フリーライズ,予算が見える・効果が上がる ネット広告徹底活用ガイド,初版第2刷,日本,株式会社エムディエヌコーポレーション 藤岡 功,2017年11月11日,1,4~7,9~15, 67~93, 224ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告枠を含むコンテンツの配信先のユーザの属性を示す属性情報を取得する属性情報取得手段と、
広告料が有料であることが予め定められた有料広告のターゲットの条件を示すターゲット条件情報を記憶する記憶手段から、前記ターゲット条件情報を取得する条件情報取得手段と、
前記取得された属性情報により示される前記属性が、前記取得されたターゲット条件情報により示される前記条件に対応する場合、前記ユーザが利用する端末装置により、前記有料広告を前記広告枠に表示させ、前記属性が前記条件に対応しない場合、前記端末装置により、
前記有料広告と異なる無料広告であって、広告料が無料である
ことが予め定められた無料広告を前記広告枠に表示させる制御手段と、
を備えることを特徴とする広告配信装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記有料広告の広告主が設定可能な、前記有料広告の配信条件を示す配信条件情報を記憶し、
前記無料広告を前記広告枠に掲載することで前記無料広告の成果が得られた、前記無料広告の配信状況を示す配信状況情報を取得する配信状況情報取得手段と、
前記取得された配信状況情報を、前記無料広告の広告主が前記有料広告を申し込む際の前記配信条件情報として、前記無料広告の広告主が利用する広告主端末装置へ提供する提供手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の広告配信装置。
【請求項3】
前記提供手段は、前記有料広告を申し込む際に前記配信条件情報を設定するための画面を前記広告主端末装置が表示するとき、前記取得された配信状況情報が前記配信条件情報として設定された状態で前記画面を表示させることを特徴とする請求項2に記載の広告配信装置。
【請求項4】
前記配信条件情報は、前記ターゲット条件情報を含み、
前記配信状況情報取得手段は、前記成果が得られた、前記無料広告の配信先のユーザの属性を示す成果属性情報を含む前記配信状況情報を取得し、
前記提供手段は、前記成果属性情報を、前記ターゲット条件情報として提供することを特徴とする請求項2又は3に記載の広告配信装置。
【請求項5】
前記広告枠は、互いに異なる複数のコンテンツのそれぞれに含まれ、
前記配信条件情報は、前記複数のコンテンツのうち、前記有料広告を掲載するコンテンツを示すコンテンツ条件情報を含み、
前記配信状況情報取得手段は、前記複数のコンテンツのうち、前記成果が得られた、前記無料広告が表示されたコンテンツを示す成果コンテンツ情報を含む前記配信状況情報を取得し、
前記提供手段は、前記成果コンテンツ情報を、前記コンテンツ条件情報として提供することを特徴とする請求項2乃至4の何れか一項に記載の広告配信装置。
【請求項6】
前記有料広告の広告主
の端末装置から、前記ターゲット条件情報を
受信し、前記無料広告の広告主
の端末装置から、前記無料広告のターゲットの条件を示す無料ターゲット条件情報を
受信する受付手段であって、前記無料広告のターゲットの範囲よりも狭いターゲットの範囲を前記有料広告に対して設定可能とさせる受付手段を更に備え、
前記記憶手段は、前記
受信されたターゲット条件情報
と、前記有料広告
のコンテンツとを関連付けて記憶し、前記
受信された無料ターゲット条件情報
と、前記無料広告
のコンテンツとを関連付けて記憶し、
前記制御手段は、前記属性が、前記ターゲット条件情報により示される条件に対応せず、且つ、前記属性が、前記無料ターゲット条件情報により示される条件に対応する場合、前記無料広告を前記広告枠に表示させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の広告配信装置。
【請求項7】
コンピュータにより実行される広告配信方法において、
広告枠を含むコンテンツの配信先のユーザの属性を示す属性情報を取得する属性情報取得ステップと、
広告料が有料であることが予め定められた有料広告のターゲットの条件を示すターゲット条件情報を記憶する記憶ステップから、前記ターゲット条件情報を取得する条件情報取得ステップと、
前記取得された属性情報により示される前記属性が、前記取得されたターゲット条件情報により示される前記条件に対応する場合、前記ユーザが利用する端末装置により、前記有料広告を前記広告枠に表示させ、前記属性が前記条件に対応しない場合、前記端末装置により、
前記有料広告と異なる無料広告であって、広告料が無料である
ことが予め定められた無料広告を前記広告枠に表示させる制御ステップと、
を含むことを特徴とする広告配信方法。
【請求項8】
コンピュータを、
広告枠を含むコンテンツの配信先のユーザの属性を示す属性情報を取得する属性情報取得手段と、
広告料が有料であることが予め定められた有料広告のターゲットの条件を示すターゲット条件情報を記憶する記憶手段から、前記ターゲット条件情報を取得する条件情報取得手段と、
前記取得された属性情報により示される前記属性が、前記取得されたターゲット条件情報により示される前記条件に対応する場合、前記ユーザが利用する端末装置により、前記有料広告を前記広告枠に表示させ、前記属性が前記条件に対応しない場合、前記端末装置により、
前記有料広告と異なる無料広告であって、広告料が無料である
ことが予め定められた無料広告を前記広告枠に表示させる制御手段と、
として機能させることを特徴とする広告配信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツの配信先のユーザに応じた広告を、そのコンテンツ内の広告枠に表示させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットを介したコンテンツ配信が広く普及するに至っている中、コンテンツの閲覧者に対する広告配信が盛んに行われている。例えば、ウェブページ内に設定された広告枠に、広告が表示される。ユーザが広告を選択すると、広告主のウェブページに画面が遷移する。
【0003】
こうした広告配信における広告効果を向上させるための手法として、所謂ターゲティング広告が知られている。例えば、各広告主は、広告のターゲットとなるユーザの属性の条件(例えば、性別、年代、商品の購入履歴、コンテンツの閲覧履歴等)を予め登録する。広告を配信するサーバは、複数の広告の中から、コンテンツの閲覧者の属性に合致する条件が登録されている広告を、その閲覧者に対して配信する。ターゲティング広告に対しては、例えばインプレッション課金等により広告料が発生する。ターゲットの条件を設定可能とすることにより、広告主の商品又はサービスに興味がありそうなユーザに対してのみ広告が配信されるので、広告による成果が増大することが期待される。
【0004】
例えば、特許文献1には、各広告コンテンツの入札価格を用いて、配信する広告コンテンツを決定する広告配信処理と、入札価格を用いないで、配信する広告コンテンツを決定する広告配信処理と、を切り替えながら広告コンテンツを配信する技術が開示されている。入札価格を用いない場合、ウェブページに含まれるキーワードやユーザ属性との一致度が高い広告コンテンツが優先的に配信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、コンテンツの閲覧者の属性が、何れの広告のターゲットの条件にも合致しない場合、そのコンテンツの広告枠に広告を表示することができない。その理由は、広告の掲載の対価として広告主から広告料を受領する都合上、広告主により設定された条件下以外で広告を配信することは好ましくないからである。従って、コンテンツに広告枠を設定していても、広告が表示されなかったときのその広告枠は、何らの成果も生まない余剰の枠として終わってしまう。
【0007】
本発明は以上の点に鑑みてなされてものであり、その課題の一例は、本来であれば余剰となる広告枠を活用して、有料のターゲティング広告の広告主を増やすことを可能とする広告配信装置、広告配信方法、及び広告配信プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、広告枠を含むコンテンツの配信先のユーザの属性を示す属性情報を取得する属性情報取得手段と、広告料が有料であることが予め定められた有料広告のターゲットの条件を示すターゲット条件情報を記憶する記憶手段から、前記ターゲット条件情報を取得する条件情報取得手段と、前記取得された属性情報により示される前記属性が、前記取得されたターゲット条件情報により示される前記条件に対応する場合、前記ユーザが利用する端末装置により、前記有料広告を前記広告枠に表示させ、前記属性が前記条件に対応しない場合、前記端末装置により、前記有料広告と異なる無料広告であって、広告料が無料であることが予め定められた無料広告を前記広告枠に表示させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、コンテンツの配信先のユーザの属性が有料広告のターゲットの条件に対応する場合、その有料広告がそのコンテンツの広告枠に表示される。一方、そのユーザの属性が有料広告のターゲットの条件に対応しない場合、無料広告がその広告枠に表示される。従って、余剰の広告枠に無料広告が表示される。この仕組みにより、商品又はサービス等を宣伝したい事業者等は無料で広告を利用することができる。有料広告は、ターゲットの条件が設定可能であり、無料広告よりも優先して広告枠に表示される。そのため、無料広告を経験した広告主は、広告の成果の向上を求めて、有料のターゲティング広告を利用する可能性がある。従って、本来であれば余剰となる広告枠を活用して、有料のターゲティング広告の広告主を増やすことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記記憶手段は、前記有料広告の広告主が設定可能な、前記有料広告の配信条件を示す配信条件情報を記憶し、前記無料広告を前記広告枠に掲載することで前記無料広告の成果が得られた、前記無料広告の配信状況を示す配信状況情報を取得する配信状況情報取得手段と、前記取得された配信状況情報を、前記無料広告の広告主が前記有料広告を申し込む際の前記配信条件情報として、前記無料広告の広告主が利用する広告主端末装置へ提供する提供手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、無料広告で成果が得られたその無料広告の配信状況が、有料広告の配信条件として提供される。従って、無料広告の広告主が有料広告を申し込む際に、如何なる条件で広告を配信すれば成果が得られる蓋然性があるかを知ることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記提供手段は、前記有料広告を申し込む際に前記配信条件情報を設定するための画面を前記広告主端末装置が表示するとき、前記取得された配信状況情報が前記配信条件情報として設定された状態で前記画面を表示させることを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、無料広告の広告主が有料広告を申し込む際の配信条件を設定するための画面において、無料広告で成果が得られたその配信状況が配信条件として自動的に設定される。従って、広告主は、成果が得られる蓋然性がある配信条件の設定の手間を省くことができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記配信条件情報は、前記ターゲット条件情報を含み、前記配信状況情報取得手段は、前記成果が得られた、前記無料広告の配信先のユーザの属性を示す成果属性情報を含む前記配信状況情報を取得し、前記提供手段は、前記成果属性情報を、前記ターゲット条件情報として提供することを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、広告主は、成果が得られる蓋然性があるターゲットの条件を知ることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記広告枠は、互いに異なる複数のコンテンツのそれぞれに含まれ、前記配信条件情報は、前記複数のコンテンツのうち、前記有料広告を掲載するコンテンツを示すコンテンツ条件情報を含み、前記配信状況情報取得手段は、前記複数のコンテンツのうち、前記成果が得られた、前記無料広告が表示されたコンテンツを示す成果コンテンツ情報を含む前記配信状況情報を取得し、前記提供手段は、前記成果コンテンツ情報を、前記コンテンツ条件情報として提供することを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、広告主は、何れのコンテンツに広告を掲載すれば成果が得られる蓋然性があるかを知ることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記有料広告の広告主の端末装置から、前記ターゲット条件情報を受信し、前記無料広告の広告主の端末装置から、前記無料広告のターゲットの条件を示す無料ターゲット条件情報を受信する受付手段であって、前記無料広告のターゲットの範囲よりも狭いターゲットの範囲を前記有料広告に対して設定可能とさせる受付手段を更に備え、前記記憶手段は、前記受信されたターゲット条件情報と、前記有料広告のコンテンツとを関連付けて記憶し、前記受信された無料ターゲット条件情報と、前記無料広告のコンテンツとを関連付けて記憶し、前記制御手段は、前記属性が、前記ターゲット条件情報により示される条件に対応せず、且つ、前記属性が、前記無料ターゲット条件情報により示される条件に対応する場合、前記無料広告を前記広告枠に表示させることを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、有料広告の広告主に加えて、無料広告の広告主も、ターゲットの条件を設定可能である。有料広告の広告主は、無料広告の広告主と比較して、より狭いターゲットの範囲を設定可能である。そして、有料広告は無料広告に優先して広告枠に表示され、コンテンツの配信先のユーザの属性が無料広告のターゲットの条件に対応する場合は、余剰の広告枠に、その無料広告が表示される。従って、宣伝を行いたい事業者等は、無料でターゲティング広告を体験することができる。その体験によって、より狭いターゲットの範囲を設定したいと考えた場合、その広告主は、有料のターゲティング広告を利用する可能性がある。従って、有料のターゲティング広告の広告主を増やすことができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、コンピュータにより実行される広告配信方法において、広告枠を含むコンテンツの配信先のユーザの属性を示す属性情報を取得する属性情報取得ステップと、広告料が有料であることが予め定められた有料広告のターゲットの条件を示すターゲット条件情報を記憶する記憶ステップから、前記ターゲット条件情報を取得する条件情報取得ステップと、前記取得された属性情報により示される前記属性が、前記取得されたターゲット条件情報により示される前記条件に対応する場合、前記ユーザが利用する端末装置により、前記有料広告を前記広告枠に表示させ、前記属性が前記条件に対応しない場合、前記端末装置により、前記有料広告と異なる無料広告であって、広告料が無料であることが予め定められた無料広告を前記広告枠に表示させる制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項8に記載の発明は、コンピュータを、広告枠を含むコンテンツの配信先のユーザの属性を示す属性情報を取得する属性情報取得手段と、広告料が有料であることが予め定められた有料広告のターゲットの条件を示すターゲット条件情報を記憶する記憶手段から、前記ターゲット条件情報を取得する条件情報取得手段と、前記取得された属性情報により示される前記属性が、前記取得されたターゲット条件情報により示される前記条件に対応する場合、前記ユーザが利用する端末装置により、前記有料広告を前記広告枠に表示させ、前記属性が前記条件に対応しない場合、前記端末装置により、前記有料広告と異なる無料広告であって、広告料が無料であることが予め定められた無料広告を前記広告枠に表示させる制御手段と、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、本来であれば余剰となる広告枠を活用して、有料のターゲティング広告の広告主を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】一実施形態に係る広告システムSの概要構成の一例を示す図である。
【
図2】有料広告であるか又は無料広告であるかによって広告主に対して提供されるサービスの相違の一例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る広告配信サーバ1の概要構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】広告配信サーバ1のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
【
図5】電子商店街サーバ2のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
【
図6】一実施形態における広告配信サーバ1のステム制御部の機能ブロックの一例を示す図である。
【
図7】キャンペーン新規作成画面100のウェブページの表示例を示す図である。
【
図8】有料配信ボタン110が選択された場合のセグメント設定画面300の一例を示す図である。
【
図9】無料配信ボタン120が選択された場合のセグメント設定画面300の一例を示す図である。
【
図11】成果があったときの無料広告の配信状況の一例を示す図である。
【
図12】キャンペーン新規作成画面100のウェブページの表示例を示す図である。
【
図13】セグメント設定画面300の一例を示す図である。
【
図14】一実施形態に係る広告配信サーバ1のシステム制御部11によるキャンペーン新規作成画面送信処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】一実施形態に係る広告配信サーバ1のシステム制御部11によるセグメント設定画面送信処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】一実施形態に係る広告配信サーバ1のシステム制御部11による広告配信処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態においては、複数の店舗が出店するオンラインショッピングモールのウェブページ上に、何れかの店舗の広告が掲載される。しかしながら、広告が掲載されるウェブサイトはオンラインショッピングモールに限定されない。例えば、情報検索サイト、ニュースサイト、オンラインショッピングモール以外の電子商取引サイト、動画配信サイト、ブログ、ソーシャルネットワーキングサービス等に広告が掲載されてもよい。また、広告が掲載されるコンテンツはウェブページに限定されない。例えば、ウェブブラウザ以外のアプリケーション上で表示されるコンテンツや、電子メール等に広告が掲載されてもよい。また、広告主は、オンラインショッピングモールに出店する店舗に限定されない。例えば、オンラインショッピングモール以外のウェブサイトや実店舗で商品を販売する事業者や、サービスの提供者が広告主となってもよい。
【0025】
[1.広告システムの構成]
先ず、本実施形態に係る広告システムSの構成及び機能概要について、
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る広告システムSの概要構成の一例を示す図である。
【0026】
図1に示すように、広告システムSは、広告配信サーバ1と、電子商店街サーバ2と、複数の店舗端末3と、複数のユーザ端末4とを備える。広告配信サーバ1と電子商店街サーバ2と各店舗端末3と各ユーザ端末4とは、ネットワークNWを介して互いに接続される。ネットワークNWは、例えばインターネット、専用通信回線(例えば、CATV(Community Antenna Television)回線)、移動体通信網(基地局等を含む)、及びゲートウェイ等により構築されている。
【0027】
広告配信サーバ1は、ネットワークNWを介して各ユーザ端末4に広告を配信するサーバ装置である。例えば所定のオンラインショッピングモールの少なくとも一部のウェブページに、ターゲティング広告の広告枠が予め設定されている。ユーザ端末4がそのウェブページを表示するとき、広告配信サーバ1は広告を示す広告コンテンツを送信する。広告コンテンツは、例えばバナーであってもよい。配信される広告は、例えばターゲティングディスプレイ広告である。ターゲティングディスプレイ広告は、例えばバナー広告としてウェブページ等に表示されるタイプのターゲティング広告であってもよい。各広告には対象セグメントの条件が設定されてもよい。対象セグメントは、広告のターゲットとなるユーザのグループである。広告のターゲットとは、その広告が配信される対象のユーザである。広告配信サーバ1は、予め登録されている広告のうち、対象セグメントの条件が、ウェブページの配信先のユーザの属性に対応する広告を送信する。
【0028】
電子商店街サーバ2は、上述のオンラインショッピングモールを管理するサーバ装置である。例えば、電子商店街サーバ2は、各ユーザ端末4からの要求に応じて、オンラインショッピングモールのウェブページを送信したり、商品の注文を処理したりする。
【0029】
各店舗端末3は、上述のオンラインショッピングモールに出店する店舗の従業員等により利用される端末装置である。従業員等は、店舗端末3を操作して電子商店街サーバ2にアクセスすることにより、例えばオンラインショッピングモールに商品を登録したり、顧客からの受注情報を確認したりする。店舗は、ターゲティングディスプレイ広告の広告主になることも可能である。例えば、従業員等は、店舗端末3を操作して広告配信サーバ1にアクセスすることにより、例えばキャンペーンを作成したり、広告の配信結果のレポートを確認したりする。キャンペーンは、広告を配信することによる店舗の商品の販売促進活動を示す。キャンペーン作成において、店舗は、例えば対象セグメントの条件を設定したり、広告コンテンツを入稿したりする。店舗端末3の例として、パーソナルコンピュータ、タブレット式コンピュータ等が挙げられる。各店舗端末3には、ウェブブラウザがインストールされてもよい。
【0030】
各ユーザ端末4は、オンラインショッピングモールを利用可能なユーザにより利用される端末装置である。各ユーザ端末4は、例えばユーザの操作に基づいて、電子商店街サーバ2からウェブページを受信して表示する。ウェブページにターゲティングディスプレイ広告の広告枠が含まれる場合、ユーザ端末4は、その広告枠のタグ又はスクリプト等に従って、広告配信サーバ1から広告コンテンツを受信する。ユーザ端末4は、この広告コンテンツに従って、広告枠内に広告を表示する。ユーザ端末4の例として、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット式コンピュータ等の携帯情報端末、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、セットトップボックス等が挙げられる。各店舗端末3には、ウェブブラウザがインストールされてもよい。また、各店舗端末3には、オンラインショッピングモールを利用するための専用のアプリケーションがインストールされてもよい。
【0031】
本実施形態におけるターゲティングディスプレイ広告としては、有料広告と無料広告とがある。有料広告は、広告料が有料である広告である。例えばインプレッション課金で広告主に広告料が請求される。或いは、クリック課金で広告料が請求されてもよい。無料広告は、広告料が無料である広告である。本実施形態においては、様々なウェブページに広告枠が予め設定されているが、ターゲティング広告の性質上、余剰枠が生じる。余剰枠とは、ユーザ端末4による広告枠を含むウェブページの表示(ページビュー)のうち、何れの有料広告の対象セグメントの条件も、そのユーザ端末4のユーザの属性に対応しないページビューにおけるその広告枠を示す。従って、余剰枠は、有料広告を表示することができなかったページビューの広告枠である。ターゲティングディスプレイ広告の広告枠は、本来有料広告を掲載するためのものである。後述するように、有料広告について、広告主は、対象セグメントの条件を詳細に設定することが可能である。そのため、余剰枠が生じやすい傾向にある。そこで、広告システムSは、余剰枠を利用して無料広告を掲載する。本実施形態においては、後述するように、無料広告についても対象セグメントの条件を設定可能ではあるものの、有料広告ほどには詳細な設定をすることはできない。また、店舗は、対象セグメントの条件を設定しないという選択も可能ではある。そのため、これまで余剰枠となっていた広告枠のページビューでも無料広告が表示されやすくなる。また、広告料が無料であるので、店舗は、ターゲティングディスプレイ広告を気軽に体験することができる。例えば、店舗は、キャンペーンを作成するためのインターフェースを体験したり、どのような内容のレポートが作成されるかを確認したり、広告の成果がどれだけになるかを確認したりすることができる。ターゲティングディスプレイ広告がどのような広告であるかを知った店舗の一部は、無料広告から有料広告に移行するものと考えられる。余剰枠は、有料広告が表示された広告枠と比較して、広告の掲載の効果が低い傾向があると考えられる。そこで、例えばターゲティングディスプレイ広告がその店舗の販売促進に有用であることを認識し、より高い広告効果を求めて詳細な条件を設定したいと考えれば、店舗は有料広告を申し込む。こうして余剰枠を活用して、有料広告の広告主を増やすことができる。
【0032】
図2は、有料広告であるか又は無料広告であるかによって広告主に対して提供されるサービスの相違の一例を示す図である。
図2は、広告配信の優先度、設定可能な対象セグメントの条件の項目、パッケージ種別の指定、広告の配信期間の指定、予算の設定、レポートの内容について相違を示している。
【0033】
有料広告は、無料広告よりも優先して配信される。無料広告は、余剰枠についてのみに配信される。
【0034】
対象セグメントの条件の項目として、例えば、性別、年齢、会員ランク、居住地域、閲覧した商品のカテゴリ、買い物のイベントの参加状況、購入した商品のカテゴリ、ユーザの傾向、過去3ヶ月以内に3回以上購入した商品のカテゴリ、対象の広告の広告主である店舗への来店の有無、及び対象の広告の広告主である店舗での商品の購入の有無があってもよい。有料広告は、これら全項目の設定が可能である。無料広告は、一部の項目のみの設定が可能である。例えば、無料広告は、性別及び年齢のみの設定が可能であってもよい。設定可能な項目に差を設けることで、有料広告の広告主は、無料広告と比較して、より狭い範囲のターゲット(セグメント)を指定可能である。複数の項目について対象セグメントの条件が設定された場合、それら複数の項目の条件全てを満たすセグメントのユーザに広告が配信される。従って、対象セグメントの条件を設定可能な項目数がより多い有料広告の方が、より狭い範囲のセグメントを指定可能である。
【0035】
パッケージは、広告が掲載される場所(ウェブページ)をパッケージ化したものを示す。本実施形態においては、複数の互いに異なるウェブページそれぞれが、ターゲティングディスプレイ広告の広告枠を含む。より具体的には、複数の互いに異なる種類のウェブページが広告枠を含む。パッケージ種別は、広告が掲載されるウェブページの種類を示す。すなわち、パッケージ種別によって、対象の広告が掲載されるウェブページが変わる。一部のパッケージ間で、広告が掲載されるウェブページの種類に重複があってもよい。また、パッケージ種別によって広告の単価が異なってもよい。パッケージ種別として、例えば、プレミアムトップパッケージ、リーチ最大化パッケージ、エンゲージメント重視パッケージ、及びコンバージョン重視パッケージがあってもよい。プレミアムトップパッケージは、比較的に視認性の高いウェブページに広告が掲載されるパッケージである。このパッケージでは、例えばオンラインショッピングモールのトップページ及びサンクスページに広告が掲載されてもよい。リーチ最大化パッケージは、効率的にビュアブルインプレッション数を獲得するためのパッケージである。このパッケージでは、例えば閲覧履歴、購入履歴、買い物のイベント、セール、商品のランキング、ブックマーク等のページに広告が掲載されてもよい。エンゲージメント重視パッケージは、広告が選択される確率が比較的高いウェブページに広告が掲載されるパッケージである。このパッケージでは、例えばお買い物のイベント、セール、サンクスページ、閲覧履歴、購入履歴等のページに広告が掲載されてもおい。コンバージョン重視パッケージは、比較的にコンバージョンレートが高いウェブページに広告が掲載されるパッケージである。このパッケージでは、例えば商品のレビュー、お気に入りの商品の一覧、閲覧履歴、購入履歴、お買い物のイベント、セール、ブックマーク等のページに広告が掲載されてもよい。有料広告は、パッケージの指定が可能である。無料広告は、パッケージを指定することができない。
【0036】
有料広告は、配信期間の指定が可能である。指定された配信期間内にのみ有料広告が配信される。無料広告は、配信期間を指定することができない。無料広告の配信を止めるためには、広告主がその広告のキャンペーンを削除する。
【0037】
有料広告は、予算の設定が可能である。従って、予算の範囲内で有料広告が配信される。無料広告は、予算を設定することができない。但し、例えば月間当たり予め定められた仮想的な予算の範囲内で無料広告が配信されてもよい。
【0038】
有料広告及び無料広告何れも同じ質及び量のレポートが広告主に提供される。レポートは、例えば、インプレッション数、インプレッションに使用された広告費用、クリック数、クリックスルーレート、売上件数、売上金額、広告費用の回収率、新規顧客による売上件数、新規顧客による売上金額、既存顧客による売上件数、既存顧客による売上金額を含んでもよい。
【0039】
[2.広告配信サーバの構成]
次に、広告配信サーバ1の構成について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係る広告配信サーバ1の概要構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、広告配信サーバ1は、システム制御部11と、システムバス12と、入出力インターフェース13と、記憶部14と、通信部15と、を備えている。システム制御部11と入出力インターフェース13とは、システムバス12を介して接続されている。
【0040】
システム制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)11b、RAM(Random Access Memory)11c等により構成されている。
【0041】
入出力インターフェース13は、記憶部14及び通信部15とシステム制御部11との間のインターフェース処理を行う。
【0042】
記憶部14は、例えば、ハードディスクドライブ等により構成されている。この記憶部14には、キャンペーンDB14a、広告配信履歴DB14b等のデータベースが記憶されている。「DB」は、データベースの略語である。
【0043】
図4は、広告配信サーバ1のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。キャンペーンDB14aには、キャンペーンに関するキャンペーン情報が、キャンペーンごとに記憶される。広告主となる店舗が、キャンペーン情報を設定可能である。具体的に、キャンペーンDB14aには、キャンペーン情報として、キャンペーンID、店舗ID、配信種別、キャンペーン名、キャンペーン期間、予算、パッケージ種別、対象セグメント情報、広告コンテンツ、リンク先URL(Uniform Resource Locator)等が、互いに関連付けて記憶される。キャンペーンIDは、キャンペーンを識別する識別情報である。店舗IDは、対象のキャンペーンの広告主である店舗を識別する識別情報である。配信種別は、対象のキャンペーンの広告が有料及び無料の何れで配信されるかを示す。配信種別は、「有料配信」及び「無料配信」の何れかに設定される。「有料配信」は有料広告を示し、「無料配信」は無料広告を示す。キャンペーン期間は、広告を配信する期間である。配信種別が「有料配信」の場合、キャンペーン期間、予算及びキャンペーン期間は、広告主が設定可能である。配信種別が「無料配信」の場合、キャンペーン期間、予算及びキャンペーン期間の何れも、例えば「指定なし」に設定される。対象セグメント情報は、そのキャンペーンの広告の配信対象となるセグメントの条件を示す。広告コンテンツは、対象のキャンペーンにおいて掲載される広告を示すコンテンツである。広告コンテンツは、例えばバナーの画像データであってもよいし、画像データとテキストデータとを組み合わせたマルチメディアコンテンツであってもよい。リンク先URLは、広告に埋め込まれたリンクによる移動先のウェブページを示す。すなわち、ウェブページに表示された広告をユーザが選択すると(クリックすると)、リンク先URLにより示されるウェブページに画面遷移する。リンク先は、通常、オンラインショッピングモールにおける広告主のウェブページである。リンク先の例として、その店舗の詳細を示す店舗ページ、その店舗の商品の一覧を示すページ、その店舗の特定の商品の詳細を示す商品ページ等が挙げられる。
【0044】
広告配信履歴DB14bには、広告配信ログが、広告が配信されるごとに記憶される。具体的に、広告配信履歴DB14bには、広告配信ログとして、配信ログID、配信日時、キャンペーンID、ページURL、閲覧者ID、閲覧者属性情報、トラッキングID等が、互いに関連付けて記憶されてもよい。配信ログIDは、広告配信ログを識別する識別情報である。配信日時は、広告が配信された日時を示す。キャンペーンIDは、配信された広告が対応するキャンペーンを示す。ページURLは、対象の広告が表示されたウェブページを示す。閲覧者IDは、広告の配信先のユーザを識別する識別情報である。閲覧者IDは、オンラインショッピングモールでユーザを識別するためのユーザIDと同一であってもよい。閲覧者属性情報は、広告の配信先のユーザの属性を示す。閲覧者属性情報として、対象セグメントの条件として設定可能な項目と同じ項目の属性が設定されてもよい。トラッキングIDは、広告を選択した後のユーザによる行動を追跡するための識別情報である。トラッキングIDは、ユーザ端末4に送信される広告コンテンツに付加される。ウェブページに表示された広告をユーザが選択すると、電子商店街サーバ2は、広告コンテンツに付加されたトラッキングIDを記録する。
【0045】
記憶部14には、更に、オペレーティングシステム、DBMS(Database Management System)、広告配信サーバプログラム等の各種プログラムが記憶されている。広告配信サーバプログラムは、広告の配信に関する各種処理をシステム制御部11に実行させるプログラムである。広告配信サーバプログラムは、例えば、他の装置からインターネットNWを介して取得されるようにしてもよいし、磁気テープ、光ディスク、メモリカード等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0046】
通信部15は、例えばネットワークインターフェースカード等により構成されている。通信部15は、ネットワークNWを介して電子商店街サーバ2、店舗端末3、ユーザ端末4等と接続し、これらの装置との通信状態を制御する。
【0047】
[3.電子商店街サーバのデータベースの構成]
次に、電子商店街サーバ2に記憶されるデータベースの構成について、
図5を参照して説明する。
図5は、電子商店街サーバ2のデータベースに記憶される内容の一例を示す図である。
図5に示すように、電子商店街サーバ2には、会員DB24a、商品DB24b、閲覧履歴DB24c、購入履歴DB24d等のデータベースが記憶される。広告配信サーバ1は、例えば電子商店街サーバ2を介してこれらのデータベースにアクセス可能であってもよい。
【0048】
会員DB24aには、オンラインショッピングモールを利用可能なユーザに関する会員情報が、ユーザごとに記憶される。具体的に、会員DB24aには、会員情報として、ユーザID、性別、生年月日、住所、会員ランク等が、互いに関連付けて記憶されてもよい。ユーザIDは、ユーザを識別する識別情報である。会員ランクは、対象のユーザに付けられたランクである。会員ランクとして、シルバーランク、ゴールドランク、プラチナランク、ダイヤモンド等ランクがあってもよい。例えば、オンラインショッピングモールの利用状況によって会員ランクが上がる。例えば、月間の利用回数や利用金額等が大きいほど、会員ランクが高くなってもよい。
【0049】
商品DB24bには、オンラインショッピングモールで販売される商品に関する商品情報が、商品と販売元の店舗との組み合わせごとに記憶される。具体的に、商品DB24bには、商品情報として、商品ID、店舗ID、カテゴリ情報、商品名、価格、商品画像、商品ページURL等が、互いに関連付けて記憶されてもよい。商品IDは、対象の商品を識別する識別情報である。店舗IDは、販売元の店舗を示す。カテゴリ情報は、対象の商品が属するカテゴリを示す。商品のカテゴリは階層的に定義される。例えば、最上位の階層である第1階層のカテゴリの例として、「レディースファッション」、「CD・DVD・楽譜」、「インテリア・寝具・収納」、「インナー・下着・ナイトウェア」、「ホビー」等が挙げられる。「レディースファッション」の一つ下位の階層である第2階層のカテゴリの例として、「アウター」、「ウェディングドレス」、「オーダーメイド」、「オールインワン・サロペット」、「スーツ」等が挙げられる。商品画像は、対象商品の画像又はその商品に関連する画像である。商品画像は商品ページに表示される。商品ページは、特定の商品に関する詳細な情報を掲載したページであり、商品ページでその商品を買い物かごに入れることで、その後でユーザは、その商品を購入することができる。
【0050】
閲覧履歴DB24cには、オンラインショッピングモールにおけるウェブページの閲覧ログが、ウェブページが電子商店街サーバ2から何れかのユーザ端末4へ送信されるごとに記憶される。具体的に、閲覧履歴DB24cには、閲覧ログID、閲覧日時、閲覧者ID、閲覧ページURL等が、互いに関連付けて記憶されてもよい。閲覧ログIDは、閲覧ログを識別する識別情報である。閲覧日時は、ウェブページが表示された日時を示す。閲覧者IDは、ウェブページを表示したユーザ端末4を利用するユーザのユーザIDである。閲覧ページURLは、表示されたウェブページを示す。
【0051】
購入履歴DB24dには、オンラインショッピングモールにおける商品の購入を示す購入情報が、商品が購入されるごとに記憶される。具体的に、購入履歴DB24dには、購入情報として、注文番号、注文日時、購入者ID、店舗ID、商品ID等が、互いに関連付けて記憶されてもよい。注文番号は、商品の注文を識別する番号である。注文日時は、商品の注文が行われた日時を示す。購入者IDは、商品を購入したユーザのユーザIDである。店舗IDは、商品が購入された店舗を示す。商品IDは、購入された商品を識別する識別情報である。購入者IDにより示されるユーザが、店舗IDにより示される店舗の広告を選択することによりその店舗に来店した上で商品を購入した場合、購入情報は、更にトラッキングIDを含んでもよい。トラッキングIDは、商品を購入したユーザがその広告を選択した際に広告配信履歴DB14bに記憶されたトラッキングIDと一致するIDである。
【0052】
[4.システム制御部の機能概要]
次に、
図6乃至
図13を用いて、広告配信サーバ1のシステム制御部11の機能概要について説明する。
図6は、本実施形態における広告配信サーバ1のステム制御部の機能ブロックの一例を示す図である。システム制御部11は、CPU11aが、広告配信サーバプログラムに含まれる各種プログラムコードを読み出し実行することにより、
図6に示すように、キャンペーン情報受付部111、属性情報取得部112、対象セグメント情報取得部113、配信制御部114、配信状況情報取得部115、配信条件提供部116等として機能する。
【0053】
[4-1.キャンペーンの作成]
キャンペーンの作成時、キャンペーン情報受付部111は、ターゲティングディスプレイ広告の広告主となる店舗の店舗端末3から、キャンペーン情報を受け付ける。キャンペーン情報受付部111は、受け付けられたキャンペーン情報を、その広告に関連付けてキャンペーンDB14aに記憶させる。ここで、キャンペーン情報受付部111は、有料広告の広告主からその有料広告の対象セグメント情報を受け付け、無料広告の広告主からその無料広告の対象セグメント情報を受け付けてもよい。このとき、キャンペーン情報受付部111は、無料広告のターゲットの範囲よりも狭いターゲットの範囲を有料広告に対して設定可能とさせてもよい。有料 広告では、広告主の商品を購入する蓋然性が相対的に高いと想定されるセグメントに、ピンポイントでターゲットの範囲を狭めることで、広告による費用対効果を向上させることができる。すなわち、効率的にコンバージョンレートを高めることができる。キャンペーン情報受付部111は、例えば対象セグメントの条件を設定するためのウェブページを、店舗端末3へ送信する。このとき、キャンペーン情報受付部111は、店舗が有料広告を選択した場合は、全項目について条件の設定を可能とするウェブページを送信し、店舗が無料広告を選択した場合は、一部の項目についてのみ条件の設定を可能とするウェブページを送信してもよい。
【0054】
図7は、キャンペーン新規作成画面100のウェブページの表示例を示す図である。キャンペーン新規作成画面100は、店舗が広告を申し込む際に、広告の配信条件等を設定してキャンペーンを作成するための画面である。例えば、その店舗自身が作成したキャンペーンの一覧を表示する画面から、その店舗の従業員等が新規作成を選択することにより、店舗端末3はキャンペーン新規作成画面100を表示する。キャンペーン新規作成画面100は、例えば有料配信ボタン110、無料配信ボタン120、キャンペーン名入力欄130、開始日時入力欄140、終了日時入力欄150、予算入力欄160、パッケージ選択リスト170、セグメント選択ボタン180、選択セグメント表示欄190、キャンセルボタン200、保存ボタン210等を含んでもよい。有料配信ボタン110は、有料広告の配信を選択するためのボタンである。無料配信ボタン120は、無料広告の配信を選択するためのボタンである。有料配信ボタン110及び無料配信ボタン120は一種のラジオボタンである。従って、有料配信ボタン110及び無料配信ボタン120の何れか一方のみを選択状態にすることができる。キャンペーン名入力欄130は、キャンペーン名を入力するための入力領域である。開始日時入力欄140及び終了日時入力欄150は、それぞれキャンペーン期間の開始日時及び終了日時を入力するための入力領域である。予算入力欄160は、予算を入力するための入力領域である。パッケージ選択リスト170は、パッケージ種別を選択するためのプルダウンリストである。有料配信ボタン110が選択状態である場合にのみ、キャンペーン期間の開始日時及び終了日時並びに予算の入力が可能なように、且つ、パッケージ種別の選択が可能なようになっている。セグメント選択ボタン180は、後述するセグメント設定画面300を表示するためのボタンである。選択セグメント表示欄190には、現在選択されている対象セグメントの条件が、項目ごとに表示される。初期状態では、全ての項目について「指定なし」が表示される。キャンセルボタン200は、キャンペーンの作成をキャンセルするためのボタンである。保存ボタン210は、キャンペーン名130~パッケージ選択リスト170における入力内容、及び選択セグメント表示欄190の表示内容でキャンペーンを作成し、キャンペーン情報を登録するためのボタンである。なお、広告コンテンツの入稿や、リンク先のURLの設定は、キャンペーンの新規作成後、例えばキャンペーン一覧の画面から該当するキャンペーンを選択することにより可能である。広告コンテンツの入稿の際、商品DB24bに記憶されている情報に基づいて、広告コンテンツの自動的な作成が可能であってもよい。
【0055】
図8は、有料配信ボタン110が選択された場合のセグメント設定画面300の一例を示す図である。セグメント設定画面300は、広告の申し込みの際に、対象セグメントの条件を設定するための画面である。広告主がセグメント選択ボタン180を押すと、キャンペーン新規作成画面100上にセグメント設定画面300がオーバーレイ表示されてもよい。セグメント設定画面300は、例えば項目タブ310~370、第1ペイン380、第2ペイン390、追加ボタン400、クローズボタン410等を含んでもよい。項目タブ310~370は、何れの項目について対象セグメントの条件を設定するかを選択するためのタブ群である。項目タブ310は、会員登録情報に対応する。会員登録情報は、性別、年齢、会員ランク及び居住地域を含む。項目タブ320は、ユーザが閲覧した商品のカテゴリに対応する。項目タブ330は、イベントの参加状況に対応する。項目タブ340は、ユーザが購入した商品のカテゴリに対応する。項目タブ350は、ユーザの傾向に対応する。項目タブ360は、過去3ヶ月以内に3回以上購入した商品のカテゴリに対応する。項目タブ370は、このセグメント設定画面300を表示している店舗端末3の店舗への来店の有無、及びその店舗での商品の購入の有無に対応する。第1ペイン380及び第2ペイン390は、対象セグメントの属性を選択するための領域である。例えば、項目タブ310が選択されると、
図8に示すように、第1ペイン380に、性別、年齢、会員ランク及び居住地域それぞれに対応してチェックボックスが表示される。広告主は、チェックボックスを操作して、そのチェックボックスに対応する項目の属性を、対象セグメントの条件に入れるか否かを選択することができる。何れかの項目を選択状態にした後、広告主がその項目の名称を選択すると、第2ペイン390には、その項目に対応して選択可能な複数の属性について、ラジオボタン又はチェックボックスボタンが表示される。この第2ペイン390内のボタン等を操作することで、広告主は、具体的な属性の条件を選択することができる。また例えば、項目タブ320、340又は360が選択されると、第1ペイン380には、第1階層のカテゴリの一覧が、各カテゴリに対応するチェックボックスとともに表示される。広告主は、チェックボックスを操作することにより、対象セグメントの属性として、第1階層のカテゴリを選択することできる。第1階層の何れかのカテゴリを選択状態にした後、広告主がそのカテゴリの名称を選択すると、第2ペイン390には、そのカテゴリの下位にある第2階層のカテゴリの一覧が、各カテゴリに対応するチェックボックスとともに表示される。広告主は、チェックボックスを操作することにより、対象セグメントの属性として、第2階層のカテゴリを選択することできる。ここで、選択された第1階層のカテゴリの下位にある全カテゴリの選択が可能であってもよい。また、対象セグメントの条件として、選択されたカテゴリを履歴に含むか否かの選択が可能であってもよい。また、項目タブ330が選択されると、第1ペイン380に、イベントの一覧がチェックボックスとともに表示される。また、項目タブ350が選択されると、第1ペイン380に、ユーザの特定の傾向についてチェックボックスが表示される。また、項目タブ370が選択されると、第1ペイン380に、その店舗への来店の有無、及びその店舗での商品購入の有無それぞれについて、ラジオボタンが表示される。追加ボタン400は、現在の第1ペイン380及び第2ペイン390において選択された属性の条件を、対象セグメントの条件として一時的に保存するためのボタンである。セグメント設定画面300にて保存ボタン210が選択されると、一時的に保存された条件は、キャンペーン情報の一部として正式に登録される。クローズボタン410は、セグメント設定画面300を閉じるためのボタンである。クローズボタン410が押下されると、キャンペーン新規作成画面100が再度表示され、その選択セグメント表示欄190には、セグメント設定画面300での設定内容が反映される。
【0056】
図9は、無料配信ボタン120が選択された場合のセグメント設定画面300の一例を示す図である。この場合のセグメント設定画面300は、例えば項目タブ310、第1ペイン380、第2ペイン390、追加ボタン400、クローズボタン410等を含んでもよい。無料配信ボタン120が選択された場合のセグメント設定画面300が、有料配信ボタン110が選択された場合と相違する点は、項目タブ320~370が表示されないことである。従って、対処セグメントの条件として、会員登録情報の設定のみが可能である。また、
図9に示すように、会員登録情報においても、性別及び年齢の設定のみが可能である。
【0057】
[4-2.広告の配信]
ユーザ端末4が有料広告の広告枠を含むウェブページを表示するとき、システム制御部11は、配信する広告を決定する。このとき、属性情報取得部112は、広告枠を含むウェブページの配信先のユーザの属性を示す閲覧者属性情報を取得する。例えば、ユーザ端末4は、ウェブページのHTML文書に含まれる広告枠のタグに従って、広告配信サーバ1へ広告要求を送信する。広告要求は、例えばそのユーザ端末4のユーザID、表示するウェブページのURL等を含んでもよい。属性情報取得部112は、広告要求に含まれるユーザIDを利用して、ユーザの属性を特定する。例えば、属性情報取得部112は、ユーザIDに関連付けて会員DB24aに記憶された会員情報に基づいて、配信先のユーザの性別、年齢、居住地域及び会員ランクを取得してもよい。また、属性情報取得部112は、ユーザIDに関連付けて閲覧履歴DB24cに記憶された閲覧ログに基づいて、そのユーザが閲覧した商品のカテゴリ、及びそのユーザが来店した店舗を特定してもよい。また、属性情報取得部112は、ユーザIDに関連付けて購入履歴DB24dに記憶された購入情報に基づいて、そのユーザが購入した商品のカテゴリ、そのユーザが3ヶ月以内に3回購入した商品のカテゴリ、及びそのユーザが商品を購入した店舗を特定してもよい。また、属性情報取得部112は、閲覧ログ、購入情報、その他のオンラインショッピングモールにおけるユーザの行動の履歴に基づいて、そのユーザが参加したイベント、そのユーザの傾向を特定してもよい。
【0058】
対象セグメント情報取得部113は、キャンペーンDB14aから、有料広告の対象セグメント情報を取得する。例えば、対象セグメント情報取得部113は、キャンペーンDB14aにアクセスして、配信種別が「有料配信」であるキャンペーン情報から、対象セグメント情報を取得する。更に、対象セグメント情報取得部113は、無料広告の対象セグメント情報を取得してもよい。
【0059】
配信制御部114は、属性情報取得部112により取得された閲覧者属性情報により示されるユーザの属性が、対象セグメント情報取得部113により取得された有料広告の対象セグメント情報により示される対象セグメントの条件に対応する場合、そのユーザのユーザ端末4により有料広告を広告枠に表示させる。一方、配信制御部114は、そのユーザの属性が、有料広告の対象セグメントの条件に対応しない場合、そのユーザ端末4により無料広告を広告枠に表示させる。ユーザの属性が対象セグメントの条件に対応するとは、例えばユーザの属性がその条件に合致すること、及びユーザの属性がその条件に含まれることの少なくとも何れかであってもよい。
【0060】
図10は、広告の配信例を示す図である。
図10(a)において、ユーザU2は、ユーザ端末4により、電子商店街サーバ2からウェブページ500を受信させて表示させる。ウェブページ500は広告枠510を含む。ユーザU1の属性は、全有料広告のうち少なくとも何れかの有料広告610の対象セグメントの条件に対応する。従って、配信制御部114は、その有料広告610の広告コンテンツを配信し、広告枠510には有料広告610が表示される。一方、
図10(b)において、ユーザU2は、同じウェブページ500を表示する。ユーザU2の属性は、何れの有料広告の対象セグメントの条件にも対応しない。従って、配信制御部114は、何れかの無料広告620の広告コンテンツを配信し、広告枠510には無料広告620が表示される。こうして、有料広告は優先的に配信され、無料広告は余剰枠に対してのみ配信される。
【0061】
配信制御部114は、広告の配信先のユーザの属性が有料広告の対象セグメントの条件に対応せず、且つ、そのユーザの属性が、無料広告の対象セグメントの条件に対応する場合、その無料広告を広告枠に表示させてもよい。例えば、配信制御部114は、余剰枠に対して、全無料広告の中から、対象セグメントの条件がユーザの属性に対応する広告を選択して配信する。従って、無料広告もターゲティング広告として配信される。
【0062】
[4-3.有料広告への移行する際の配信条件の提供]
無料広告を体験した店舗の中には、有料広告に移行する店舗も存在する。この場合に、如何なる状況下で無料広告が配信された場合にその広告成果が得られたことが分かれば、店舗はそれを有料広告の配信条件として設定することで、広告の効果を更に高めることができる。
【0063】
そのため、配信状況情報取得部115は、無料広告の配信状況を示す配信状況情報を取得してもよい。この配信状況情報は、無料広告を広告枠に掲載することでその無料広告の成果が得られた配信状況を示す。具体的に、配信状況は、如何なる属性を有するユーザに対して配信されたかを示す閲覧者属性情報、及びその広告が表示されたコンテンツ(ウェブページ)の種類に対応するパッケージ種別の少なくとも何れか一つを含んでもよい。広告の成果とは、例えばコンバージョンが発生したことであってもよい。本実施形態におけるコンバージョンは、ユーザが広告主の商品を購入することである。広告の成果が得られたとは、例えば、コンバージョンレート、ROAS(Return On Advertising Spend)、若しくはCPA(Cost Per Acquisition)が所定値以上であること、少なくとも一件の売り上げが発生したこと、所定件数以上の売り上げが発生したこと、又は所定金額以上の売り上げが発生したことであってもよい。具体的に、配信状況情報取得部115は、広告配信履歴14bを参照して、無料広告のキャンペーンの広告配信ログの閲覧者属性情報及びページURLを、配信状況情報をとして取得することができる。ページURLから、広告が表示されたウェブページの種類を特定可能であり、そのウェブページの種類からパッケージ種別を特定可能である。また、配信状況情報取得部115は、広告配信ログに含まれるトラッキングIDで、購入履歴DB24dから購入情報を検索することで、無料広告の成果を特定することができる。
【0064】
配信条件提供部116は、配信状況情報取得部115により取得された配信状況情報を、無料広告の広告主が有料広告を依頼する際の配信条件情報として、その広告主が利用する店舗端末3へ提供してもよい。配信条件情報は、対象セグメントの条件及びパッケージ種別の少なくとも一つを含んでもよい。すなわち、配信条件提供部116は、配信状況情報取得部115により取得された閲覧者属性情報を、有料広告を申し込む際の対象セグメント情報として提供してもよいし、配信状況情報取得部115により取得されたページURLに対応するパッケージ種別を、有料広告を申し込む際のパッケージ種別として提供してもよい。配信条件提供部116は、例えばウェブページ又は電子メールで配信条件情報を提供してもよい。
【0065】
配信条件提供部116は、有料広告を依頼する際に配信条件情報を設定するための画面を店舗端末3が表示するとき、配信状況情報取得部115により取得された配信状況情報が配信条件情報として設定された状態で、その画面を表示させてもよい。これにより、広告の成果を見込むことができる配信条件の設定の手間を省くことができる。この画面の例として、キャンペーン新規作成画面100及びセグメント設定画面300が挙げられる。例えば、有料広告のキャンペーンを新たに作成する際、過去に作成した無料広告のキャンペーン情報を、キャンペーン新規作成画面100及びセグメント設定画面300で引き継ぐことが可能であってもよい。例えば、キャンペーン一覧の画面において、広告主が、過去に作成したキャンペーンを選択して、キャンペーンの新規作成を選択する。このときに表示されるキャンペーン新規作成画面100において、キャンペーン情報が引き継がれる。引き継ぐことが可能な情報の例として、キャンペーン名、対象セグメントの条件(性別及び年齢のみ)、広告コンテンツ、リンク先のURL等が挙げられる。
【0066】
図11は、成果があったときの無料広告の配信状況の一例を示す図である。例えば、或る広告主は、無料広告の対象セグメントの条件として、25~29歳の女性を指定して、キャンペーンを作成した。この条件に基づいて、広告配信サーバ1はその無料広告を配信した。その広告を見たユーザのうち、
図11に示すように、ユーザU3~U5がその広告主の商品を購入した。ユーザU3~U5は、ゴールドランク及びプラチナランクの何れかの会員ランクを有する。また、ユーザU3~U5は、カテゴリ「日用品雑貨・文房具・手芸」の商品の購入経験がある。また、ユーザU3~U5は、商品レビューのウェブページの広告枠に表示されたその無料広告から商品を購入した。商品レビューのウェブページは、コンバージョン重視パッケージに含まれる。
【0067】
図12は、キャンペーン新規作成画面100のウェブページの表示例を示す図である。広告主は、前述の無料広告のキャンペーン情報を引き継いで、キャンペーンの新規作成を選択した。このときに表示されるキャンペーン新規作成画面100において、広告主は、有料配信ボタン110を選択する。この場合、
図12に示すように、パッケージ選択リスト170においては、コンバージョン重視パッケージが選択された状態である。店舗は、パッケージ選択リスト170を操作して、パッケージ種別を変更してもよい。また、選択セグメント表示欄190には、無料広告のキャンペーンから引き継がれた対象セグメントの条件である性別及び年齢が選択済みであることが表示される。また、選択セグメント表示欄190には、ゴールドランク及びプラチナランクが選択済みであり、「日用品雑貨・文房具・手芸」の購入履歴があることが選択済みであることが表示されている。
【0068】
図13は、セグメント設定画面300の一例を示す図である。
図12に示すキャンペーン新規作成画面100においてセグメント選択ボタン180が押下されると、セグメント設定画面300が表示される。このセグメント設定画面300内の会員登録情報の項目タブ310が選択されると、第1ペイン380には、性別、年齢及び会員ランクについて対象セグメントの条件が設定されていることが、チェックボックスにより示されている。ここで、会員ランクが選択されると、
図13に示すように、第2ペイン390には、ゴールド会員及びシルバー会員が選択されていることが、チェックボックスにより示されている。購入履歴の項目タブ340が選択されると、第1ペイン380及び第2ペイン390には、カテゴリ「日用品雑貨・文房具・手芸」の購入履歴があることが選択されている。店舗は、第1ペイン380及び第2ペイン390を操作することにより、対象セグメントの条件を変更してもよい。
【0069】
[5.広告システムの動作]
次に、広告システムSの動作について、
図14乃至
図16を用いて説明する。
図14は、本実施形態に係る広告配信サーバ1のシステム制御部11によるキャンペーン新規作成画面送信処理の一例を示すフローチャートである。店舗の従業員等が、店舗端末3を操作して、キャンペーンの新規作成を選択する。これに応じて、店舗端末3は、広告配信サーバ1へキャンペーン新規作成画面要求を送信する。キャンペーン新規作成画面要求は、例えば、店舗IDを含んでもよい。店舗が既作成のキャンペーンを選択して引き継ぐ場合、キャンペーン新規作成画面要求は、そのキャンペーンのキャンペーンIDを更に含んでもよい。システム制御部11は、店舗端末3からキャンペーン新規作成画面要求を受信したときに、キャンペーン新規作成画面送信処理を実行してもよい。
【0070】
図14に示すように、先ずキャンペーン情報受付部111は、記憶部14から、キャンペーン新規作成画面100のHTML文書を取得する(ステップS101)。このHTML文書は、キャンペーン新規作成画面100において有料配信ボタン110が選択されているときに、キャンペーン期間、予算及びパッケージ種別の入力を可能とし、無料配信ボタン120が選択されているときに、これらの入力を不可とするように記述されてもよい。また、このHTML文書は、有料配信ボタン110が選択されたときに、引き継がれたキャンペーンの無料広告で成果があった対象セグメントの条件及びパッケージ種別を、予め設定された状態にし、無料配信ボタン120が選択されたときに、その設定を解除するスクリプトを含んでもよい。設定される対象セグメントの条件及びパッケージ種別は、編集用の配信条件情報として、このHTML文書に含まれる。初期状態においては、編集用の配信条件情報における対象セグメントの条件及びパッケージ種別は、全て「指定なし」に設定されている。
【0071】
次いで、キャンペーン情報受付部111は、キャンペーン新規作成画面要求に基づいて、他のキャンペーンからキャンペーン情報を引き継ぐか否かを判定する(ステップS102)。キャンペーン情報を引き継ぐ場合(ステップS102:YES)、キャンペーン情報受付部111は、キャンペーン新規作成画面要求からキャンペーンIDを取得し、このキャンペーンIDに関連付けてキャンペーンDB14aに記憶された対象セグメント情報を取得する。キャンペーン情報受付部111は、編集用の配信条件情報に含まれる性別及び年齢を、取得された対象セグメント情報に含まれる性別及び年齢に設定する(ステップS103)。
【0072】
次いで、キャンペーン情報受付部111は、選択されたキャンペーンの広告配信ログ及び購入情報を取得する(ステップS104)。例えば、キャンペーン情報受付部111は、キャンペーンIDに関連付けて広告配信履歴DB14bに記憶されたキャンペーン広告配信ログを取得する。キャンペーン情報受付部111は、取得した各広告配信ログからトラッキングIDを取得する。キャンペーン情報受付部111は、各トラッキングIDについて、購入履歴DB24dにそのトラッキングIDを含む購入情報が記憶されている場合、その購入情報を取得する。次いで、キャンペーン情報受付部111は、コンバージョンレートが所定値以上であるユーザの属性及びパッケージ種別を特定する(ステップS105)。例えば、取得された広告配信履歴に含まれる閲覧者属性情報基づいて、選択されたキャンペーンの広告を閲覧したユーザの属性を特定してもよい。そして、キャンペーン情報受付部111は、購入情報に基づいて、特定された属性について属性の項目ごとにコンバージョンレートを計算してもよい。また、キャンペーン情報受付部111は、取得された広告配信履歴に含まれるページURLに基づいて、選択されたキャンペーンの広告が表示されたウェブページの種類を特定し、そのウェブページの種類に対応するパッケージ種別を特定してもよい。そして、キャンペーン情報受付部111は、購入情報に基づいて、パッケージ種別ごとにコンバージョンレートを計算してもよい。そして、キャンペーン情報受付部111は、コンバージョンレートが所定値以上であるユーザの属性及びパッケージ種別を特定する。次いで、キャンペーン情報受付部111は、編集用の配信条件情報の該当する項目の属性及びパッケージ種別を、特定された属性及びパッケージ種別に設定する(ステップS106)。
【0073】
ステップS106の後、又はキャンペーン情報を引き継がない場合(ステップS102:NO)、キャンペーン情報受付部111は、キャンペーン新規作成画面100のHTML文書を、店舗端末3へ送信して(ステップS107)、キャンペーン新規作成画面送信処理は終了する。
【0074】
このHTML文書を受信したユーザ端末4は、キャンペーン新規作成画面100を表示する。このとき、ユーザ端末4は、編集用の配信条件情報に基づいて、選択セグメント表示欄190に性別及び年齢を表示する。また、有料配信ボタン110が選択されることに応じて、ユーザ端末4は、編集用の配信条件情報に基づいて、選択セグメント表示欄190に、無料広告の成果があった属性を対象セグメントの条件として表示する。また、ユーザ端末4は、無料広告の成果があったパッケージ種別をパッケージ選択リスト170に表示する。
【0075】
図15は、本実施形態に係る広告配信サーバ1のシステム制御部11によるセグメント設定画面送信処理の一例を示すフローチャートである。キャンペーン新規作成画面100において、セグメント選択ボタン180が押下されると、店舗端末3は、広告配信サーバ1へセグメント設定画面要求を送信する。セグメント設定画面要求は、例えば店舗ID及び配信種別を含んでもよい。配信種別は、有料配信ボタン110及び無料配信ボタン120の選択状態に応じて設定される。システム制御部11は、店舗端末3からセグメント設定画面要求を受信したときに、キャンペーン新規作成画面送信処理を実行してもよい。
【0076】
図15に示すように、先ずキャンペーン情報受付部111は、セグメント設定画面要求に基づいて、配信種別が「有料配信」であるか否かを判定する(ステップS201)。配信種別が「有料配信」である場合(ステップS201:YES)、キャンペーン情報受付部111は、有料配信用のセグメント設定画面300のHTML文書を、記憶部14から取得する(ステップS202)。このHTML文書は、項目タブ310~370全てが表示されるように記述されている。また、このHTML文書は、項目タブ310~370の中から広告主により選択されたタブに応じて、第1ペイン380及び第2ペイン390の表示内容を動的に切り替えるためのスクリプトを含んでもよい。また、このHTML文書は、既に選択されている対象セグメントの条件(例えば、他のキャンペーンから引き継がれた条件、無料広告の成果があった条件、以前にセグメント設定画面300で広告主自身が選択した条件)が予め設定された状態で、第1ペイン380及び第2ペイン390を表示するためのスクリプトを含んでもよい。この選択済みの対象セグメントの条件は、選択済対象セグメント情報として、このHTML文書に含まれる。初期状態においては、選択済対象セグメント情報における対象セグメントの条件は、全て「指定なし」に設定されている。配信種別が「無料配信」である場合(ステップS201:NO)、キャンペーン情報受付部111は、無料配信用のセグメント設定画面300のHTML文書を、記憶部14から取得する(ステップS203)。このHTML文書は、項目タブ310~370のうち、項目タブ310のみが表示されるように記述されている。また、このHTML文書は、既に選択されている対象セグメントの条件が予め設定された状態で、第1ペイン380及び第2ペイン390を表示するためのスクリプトを含んでもよい。
【0077】
ステップS202又はS203の後、キャンペーン情報受付部111は、選択済対象セグメント情報を、キャンペーン新規作成画面送信処理で生成された編集用の配信条件情報の対象セグメントの属性に設定する(ステップS204)。次いで、キャンペーン情報受付部111は、セグメント設定画面300のHTML文書を、店舗端末3へ送信して(ステップS205)、セグメント設定画面送信処理は終了する。
【0078】
このHTML文書を受信したユーザ端末4は、セグメント設定画面300を表示する。この後、項目タブ310~370の何れか選択されることに応じて、ユーザ端末4は、済対象セグメント情報に基づいて、選択された項目タブに対応する対象セグメント条件の設定状態を、第1ペイン380及び第2ペイン390に表示させる。広告主が対象セグメントの条件を追加、変更等して、追加ボタン400を押下すると、その内容が広告配信サーバ1又は店舗端末3により保存される。広告主がクローズボタン410を押下すると、キャンペーン情報受付部111は、キャンペーン新規作成画面100のHTML文書を再度広告主端末3へ送信する。このとき、キャンペーン情報受付部111は、保存しておいた対象セグメントの条件を、選択セグメント表示欄190に反映させる。キャンペーン新規作成画面100において、広告主が保存ボタン210を押下すると、店舗端末3は、この画面における設定内容及び選択セグメント表示欄190の表示内容に応じたキャンペーン情報を、広告配信サーバ1へ送信する。キャンペーン情報受付部111は、キャンペーン情報を受信すると、新しいキャンペーンIDを生成する。キャンペーン情報受付部111は、このキャンペーンIDに関連付けて、キャンペーン情報をキャンペーンDB14aに記憶させる。
【0079】
図16は、本実施形態に係る広告配信サーバ1のシステム制御部11による広告配信処理の一例を示すフローチャートである。ユーザの操作に基づいて、ユーザ端末4は、電子商店街サーバ2へウェブページを要求する。これに応じて、電子商店街サーバ2は、要求されたウェブページのHTML文書をユーザ端末4へ送信する。このHTML文書が、ターゲティングディスプレイ広告の広告枠のタグを含む場合、ユーザ端末4は、このタグの情報に従って、広告配信サーバ1へ広告要求を送信する。システム制御部11は、ユーザ端末4から広告要求を受信したときに、広告配信処理を実行してもよい。
【0080】
図16に示すように、先ず属性情報取得部112は、広告要求を送信してきたユーザの属性情報を、閲覧者属性情報として取得する(ステップS301)。次いで、属性情報取得部112は、広告要求に含まれるウェブページのURLに基づいて、そのウェブページの種類を特定する(ステップS302)。
【0081】
次いで、対象セグメント情報取得部113は、有料広告の中から、その対象セグメントの条件及びパッケージ種別が、配信先のユーザの属性及び特定されたウェブページの種類に対応する広告を検索する(ステップS303)。例えば、対象セグメント情報取得部113は、特定されたウェブページの種類に対応するパッケージ種別を特定する。ウェブページの種類によっては、複数のパッケージ種別が特定される場合がある。対象セグメント情報取得部113は、キャンペーンDB14aから、配信種別が「有料配信」であるキャンペーン情報のうち、対象セグメント情報が、取得された閲覧者属性情報により示される属性を含み、且つパッケージ種別が、特定されたパッケージ種別の何れかに合致するキャンペーン情報を検索する。対象セグメントの条件において、同一項目について複数の条件が設定されている場合がある(例えば会員ランクが、シルバーランク又はゴールドランクである、閲覧したことがある商品のカテゴリが「レディースファッション」又は「CD・DVD・楽譜」である等)。この場合、複数の条件の何れかがユーザの属性に合致する広告が検索されてもよい。これは、所謂OR検索である。一方、異なる項目間においては、それら全ての条件を満たす広告が検索されてもよい。これは、所謂AND検索である。
【0082】
次いで、配信制御部114は、ステップS303の検索にて該当する有料広告があるか否かを判定する(ステップS304)。該当する有料広告がある場合(ステップS304:YES)、配信制御部114は、その有料広告の広告コンテンツをユーザ端末4へ送信する(ステップS305)。このとき、配信制御部114は、その有料広告のキャンペーン情報からリンク先URLを取得する。また、配信制御部114は、新しいトラッキングIDを生成する。配信制御部114は、リンク先URL及びトラッキングIDを広告コンテンツに付加する。該当する広告が複数存在する場合、配信制御部114は、例えばこれらの広告の中からランダムに又は予算の消化状況に基づいて、配信する広告を選択してもよい。
【0083】
一方、該当する有料広告がない場合(ステップS304:YES)、対象セグメント情報取得部113は、無料広告の中から、その対象セグメントの条件が、配信先のユーザの属性に対応する広告を検索する(ステップS306)。検索されるキャンペーン情報の配信種別が「無料配信」であること、及びパッケージ種別を考慮しないことを除き、ステップS306はステップS303と同様であってもよい。次いで、配信制御部114は、ステップS306の検索にて該当する無料広告があるか否かを判定する(ステップS307)。該当する無料広告がない場合(ステップS307:NO)、広告配信処理は終了する。一方、該当する無料広告がある場合(ステップS307:YES)、配信制御部114は、その無料広告の広告コンテンツをユーザ端末4へ送信する(ステップS308)。有料広告の場合と同様に、配信制御部114は、リンク先URL及びトラッキングIDを広告コンテンツに付加する。該当する広告が複数存在する場合、配信制御部114は、例えばこれらの広告の中からランダムに、配信する広告を選択してもよい。
【0084】
ステップS305又はステップS308の後、配信制御部114は、広告配信ログを記憶させる(ステップS309)。例えば、配信制御部114は、広告コンテンツが送信された広告のキャンペーンID、広告要求に含まれるユーザID及びウェブページのURL、閲覧者属性情報、並びにトラッキングID等に基づいて、広告配信ログを生成する。配信制御部114は、この広告配信ログを、広告配信履歴DB14bに記憶させる。ステップS309が終了すると、広告配信処理は終了する。
【0085】
以上説明したように、本実施形態によれば、広告配信サーバ1が、有料広告を掲載するための広告枠を含むウェブページの配信先のユーザの属性を示す閲覧者属性情報を取得する。また、広告配信サーバ1が、有料広告のターゲットの条件を示す対象セグメント情報を記憶する記憶部14から、対象セグメント情報を取得する。また、広告配信サーバ1が、取得された閲覧者属性情報により示されるユーザの属性が、取得された対象セグメント情報により示される条件に対応する場合、配信先のユーザのユーザ端末4により有料広告を広告枠に表示させる。また、広告配信サーバ1が、そのユーザの属性が対象セグメントの条件に対応しない場合、ユーザ端末4により無料広告を広告枠に表示させる。従って、本来であれば余剰となる広告枠を活用して、有料のターゲティング広告の広告主を増やすことができる。
【0086】
ここで、広告配信サーバ1が、無料広告を広告枠に掲載することで無料広告の成果が得られたその無料広告の配信状況を示す配信状況情報を取得してもよい。また、広告配信サーバ1が、取得された配信状況情報を、無料広告の広告主が有料広告を申し込む際の配信条件情報として、無料広告の広告主が利用する店舗端末3へ提供してもよい。この場合、無料広告の広告主が有料広告を申し込む際に、如何なる条件で広告を配信すれば成果が得られる蓋然性があるかを知ることができる。
【0087】
ここで、広告配信サーバ1が、有料広告を申し込む際に配信条件情報を設定するためのキャンペーン新規作成画面100又はセグメント設定画面300を店舗端末3が表示するとき、取得された配信状況情報が配信条件情報として設定された状態でその画面を表示させてもよい。この場合、広告主は、成果が得られる蓋然性がある配信条件の設定の手間を省くことができる。
【0088】
また、広告配信サーバ1が、成果が得られた無料広告の配信先のユーザの属性を示す情報を含む配信状況情報を取得してもよい。また、広告配信サーバ1が、取得されたその属性を示す情報を、対象セグメント情報として店舗端末3へ提供してもよい。この場合、広告主は、成果が得られる蓋然性がある対象セグメントの条件を知ることができる。
【0089】
また、広告配信サーバ1が、複数のパッケージ種別うち、無料広告の成果が得られたウェブページの種類に対応するパッケージ種別を含む配信状況情報を取得してもよい。また、広告配信サーバ1が、そのパッケージ種別を店舗端末3へ提供してもよい。この場合、広告主は、何れのパッケージのウェブページに広告を掲載すれば成果が得られる蓋然性があるかを知ることができる。
【0090】
また、広告配信サーバ1が、有料広告の広告主及び有料広告の広告主のそれぞれから、対象セグメント情報を受け付けてもよい。このとき、広告配信サーバ1が、無料広告の対象セグメントの範囲よりも狭い対象セグメントの範囲を有料広告に対して設定可能とさせてもよい。また、広告配信サーバ1が、受け付けられた対象セグメント情報を、有料広告又は無料広告に関連付けて記憶してもよい。また、広告配信サーバ1が、広告の配信先のユーザの属性が有料広告の対象セグメントの条件に対応せず、且つ、そのユーザの属性が、無料広告の対象セグメントの条件に対応する場合、その無料広告を広告枠に表示させてもよい。この場合、広告主は、無料でターゲティング広告を体験することができる。その体験によって、より狭いターゲットの範囲を設定したいと考えた場合、その広告主は、有料のターゲティング広告を利用する可能性がある。従って、有料のターゲティング広告の広告主を増やすことができる。
【符号の説明】
【0091】
1 広告配信サーバ
2 電子商店街サーバ
3 店舗端末
4 ユーザ端末
11 システム制御部
12 システムバス
13 入出力インターフェース
14 記憶部
15 通信部
14a キャンペーンDB
14b 広告配信履歴DB
24a 会員DB
24b 商品DB
24c 閲覧履歴DB
NW ネットワーク
S 広告システム