(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 13/00 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
G11C13/00 464
G11C13/00 400B
(21)【出願番号】P 2021198647
(22)【出願日】2021-12-07
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】511062254
【氏名又は名称】ウィンボンド エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】青木 一
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-88300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの中から選択された一対のメモリセルに書込みデータに応じた相補データを書込む書込み手段と、
前記メモリセルアレイの中から選択された一対のメモリセルに記憶されたデータを読出す読出し手段と、
前記書込み手段により書込みが行われるとき、選択された一対のメモリセルの一方のメモリセルに接続された第1のデータラインを流れる電流と他方のメモリセルに接続された第2のデータラインを流れる電流との差電流を検出し、検出された差電流に基づき書込みの合否を判定するベリファイ手段とを含み、
前記ベリファイ手段は、書込みデータに基づき前記差電流が大きくなるように第1のデータラインおよび第2のデータラインの少なくとも一方に電流を追加する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記ベリファイ手段は、第1のデータラインを流れる電流が第2のデータラインを流れる電流よりも大きいとき、第1のデータラインに電流を追加し、第2のデータラインを流れる電流が第1のデータラインを流れる電流よりも大きいとき、第2のデータラインに電流を追加する、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記ベリファイ手段は、第1のデータラインを流れる電流と第2のデータラインを流れる電流との差電流を検出する検出部と、第1のデータラインに電流を追加可能な第1の電流追加部と、第2のデータラインに電流を追加可能な第2の電流追加部とを含み、
前記ベリファイ手段は、書込みデータに基づき前記第1の電流追加部または前記第2の電流追加部を選択し、第1のデータラインまたは第2のデータラインに電流を追加する、請求項1または2に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
第1のデータラインは、第1のノードを介して第1の電流供給部に接続され、第2のデータラインは、第2のノードを介して第2の電流供給部に接続され、
第1のノードおよび第2のノードは、前記検出部の第1の入力および第2の入力にそれぞれ接続され、
前記第1の電流追加部は、前記第1の電流供給部と並列になるように第1のノードに接続され、前記第2の電流追加部は、前記第2の電流供給部と並列になるように第2のノードに接続される、請求項3に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
第1のデータラインは、第1のノードを介して第1の電流供給部に接続され、第2のデータラインは、第2のノードを介して第2の電流供給部に接続され、
第1のノードおよび第2のノードは、前記検出部の第1の入力および第2の入力にそれぞれ接続され、
前記第1の電流追加部は、第1のデータラインと並列になるように第1のノードとGNDとの間に接続され、前記第2の電流追加部は、第2のデータラインと並列になるように第2のノードとGNDとの間に接続される、請求項3または4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記メモリセルは、可逆性かつ不揮発性の可変抵抗素子と当該可変抵抗素子に接続されたアクセス用トランジスタとを含み、真のメモリセルは、可変抵抗素子が低抵抗状態または高抵抗状態であり、補のメモリセルは、可変抵抗素子が高抵抗状態または低抵抗状態であり、
前記ベリファイ手段は、真のメモリセルに低抵抗状態を書込むとき、真のメモリセルに接続された第1のデータラインに第1の電流追加部を介して電流を追加し、補のメモリセルに接続された第2のデータラインに第2の電流追加部を介して電流を追加せず、真のメモリセルに高抵抗状態を書込むとき、真のメモリセルに接続された第1のデータラインに第1の電流追加部を介して電流を追加せず、補のメモリセルに接続された第2のデータラインに第2の電流追加部を介して電流を追加する、請求項3ないし5いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記ベリファイ手段は、前記書込み手段が真のメモリセルおよび補のメモリセルに相補データの書込みパルスを印加した後に書込みの合否を判定し、
前記書込み手段は、合格の判定であれば書込みを終了し、不合格の判定であれば書込みパルスを再度印加する、請求項1ないし6いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記ベリファイ手段は、書込みデータに基づき相補的な第1および第2の制御信号を第1および第2の電流追加部に供給し、第1および第2の電流追加部は、前記第1および第2の制御信号に応答して電流を追加する、請求項3ないし7いずれか1つに記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
第1および第2の電流追加部は、第1および第2の制御信号に応じてオン/オフする第1および第2のトランジスタを含み、
第1のトランジスタは、電力供給源と第1のノードとの間に接続され、第2のトランジスタは、電力供給源と第2のノードとの間に接続される、請求項8に記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
第1および第2の電流追加部は、第1および第2の制御信号に応じてオン/オフする第1および第2のトランジスタを含み、
第1のトランジスタは、第1のノードとGNDの間に接続され、第2のトランジスタは、第2のノードとGNDの間に接続される、請求項8に記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
メモリセルアレイの選択された一対のメモリセルに書込みデータに応じた相補データを書込み、選択された一対のメモリセルから相補データを読み出す機能を備えた抵抗変化型メモリにおけるベリファイ方法であって、
選択された一対のメモリセルへの書込みが行われるとき、真のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流と補のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流との差電流を検出するステップと、
検出された差電流に基づき書込みの合否を判定するステップとを含み、
前記検出するステップは、書込みデータに基づき前記差電流が大きくなるように真のメモリセルまたは補のメモリセルに接続されたデータラインに電流を追加することを含む、ベリファイ方法。
【請求項12】
前記検出するステップは、真のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流が補のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流よりも大きいとき、真のメモリセルに接続されたデータラインに電流を追加し、補のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流が真のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流よりも大きいとき、補のメモリセルに接続されたデータラインに電流を追加する、請求項11に記載のベリファイ方法。
【請求項13】
前記検出するステップは、真のメモリセルに低抵抗状態を書込むとき、真のメモリセルに接続されたデータラインに電流を追加し、真のメモリセルに高抵抗状態を書込むとき、補のメモリセルに接続されたデータラインに電流を追加する、請求項11または12に記載のベリファイ方法。
【請求項14】
前記検出するステップは、書込みデータに基づき真のメモリセルに書込みパルスを印加し、かつ補のメモリセルに書込みパルスを印加した後に実施される、請求項11または12に記載のベリファイ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体記憶装置に関し、特に可変抵抗素子を利用した抵抗変化型ランダムアクセスメモリのベリファイ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗変化型メモリは、可変抵抗素子にパルス電圧を印加し、可変抵抗素子を可逆的かつ不揮発的に高抵抗状態または低抵抗状態にすることでデータを記憶する。可変抵抗素子は、例えば、酸化ハフニウム(HfOx)等の金属酸化物の薄膜から構成され、印加されるパルス電圧の大きさおよび極性によって低抵抗状態または高抵抗状態となる(特許文献1)。例えば、可変抵抗素子を低抵抗状態に書込みすることをセット(SET)、高抵抗状態に書込みすることをリセット(RESET)という。抵抗変化型メモリには、セット/リセット時に可変抵抗素子に印加する書込み電圧の極性を同じに電圧の大きさを変えるユニポーラタイプと、セット/リセット時に可変抵抗素子に印加する書込み電圧の極性を反転させるバイポーラタイプとがある。
【0003】
図1に、抵抗変化型メモリの1T1Rのメモリセルアレイの概略構成を示す。メモリセルMCは、ソース線とビット線との間に接続された1つの可変抵抗素子と1つのアクセス用トランジスタとを含み、ビット単位で選択することができる。例えば、書込み時には、ワード線WL1を介して行方向のアクセス用トランジスタを選択し、ビット線BL1、ソース線SL1間に書込みパルス電圧を印加し、可変抵抗素子をセットまたはリセットする。読出し時には、ワード線WL1を介して行方向のアクセス用トランジスタを選択し、ビット線BL1、ソース線SL1に読出し用の電圧を印加し、可変抵抗素子に流れる電流または電圧をセンスする。
【0004】
図2に、抵抗変化型メモリの2T2Rのメモリセルアレイの概略構成を示す。2T2Rのメモリセルは、一対の可変抵抗素子と一対のアクセス用トランジスタによって相補データを記憶する。例えば、メモリセルMC11は、ソース線SL1とビット線BL1との間に接続された可変抵抗素子とアクセス用トランジスタとを含み、当該可変抵抗素子が真のデータ(例えば、低抵抗状態)を保持し、メモリセル/MC11は、ソース線/SL1とビット線/BL1との間に接続された可変抵抗素子とアクセス用トランジスタとを含み、当該可変抵抗素子が補のデータ(例えば、高抵抗状態)を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の抵抗変化型メモリにおいて、2T2Rのメモリセルの読出しは、真のメモリセルを流れる電流と、補のメモリセルを流れる電流との差電流を検出することによって行われる。
図3に、一対のメモリセルMC11、/MC11の読出し例を示す。真のデータを保持するメモリセルMC11の可変抵抗素子が低抵抗状態(LRS)であり、補のデータを保持するメモリセル/MC11の可変抵抗素子が高抵抗状態(HRS)であると仮定する。
【0007】
選択ワード線WL1に読出し電圧Vwlが印加され、メモリセルMC11、/MC11のアクセス用トランジスタがオンし、非選択ワード線WL2に0Vが印加され、非選択メモリセルMC21、/MC21のアクセス用トランジスタがオフする。メモリセルMC11のソース線SL1がトランジスタQ1、Q2を介してセンスアンプ10の一方の入力に結合され、ビット線BL1がトランジスタQ4を介してGNDに接続される。また、メモリセル/MC11のソース線/SL1がトランジスタQ6、Q7を介してセンスアンプ10の他方の入力に結合され、ビット線/BL1がトランジスタQ9を介してGNDに接続される。ソース線SL1とソース線/SL1との間に接続されたトランジスタQ5はオフであり、ソース線/SL1と基準電流生成部30との間に接続されたトランジスタQ10はオフである。
【0008】
センスアンプ10を活性化させるためVSAREF信号によりトランジスタをオンさせ、ソース線SL1、/SL1がセンスアンプ10に電気的に接続されると、センスアンプ10は、ソース線SL1からメモリセルMC11を介してビット線BL1に流れる読出し電流ITと、ソース線/SL1からメモリセル/MC11を介してビット線/BL1に流れる読出し電流ICとの差電流ΔI(=|IT-IC|)を検出し、その検出結果に応じたデータ「1」または「0」を出力する。
【0009】
図4は、セット/リセット時に可変抵抗素子に流れる電流分布の一例である。初期の段階では、高抵抗状態の可変抵抗素子に流れる電流HRS_initialと、低抵抗状態の可変抵抗素子に流れる電流LRS_initialとの間に比較的大きなマージンがあるが、可変抵抗素子への書込み回数が増加し、可変抵抗素子の電極間に形成されたフィラメント状の電流経路が劣化すると、リテンション特性やエンデュランス特性が劣化し、電流HRS_drift、電流LRS_driftに示すように、電流分布の裾野が広がり、いわゆるテールビットのシフトが生じ、電流HRS_driftと電流LRS_driftとの間のマージンが狭くなる。そうすると、センスアンプ10は、差電流ΔIの検出を正しく行えない場合があり、正しいデータを出力できなくなるおそれがある。
【0010】
例えば、初期状態の電流分布HRS_initialの上限値が3μA、電流分布LRS_initialの下限値が16μAとする。
(1)データ「0」が記憶されるとき(高抵抗状態が記憶されているとき):
真のメモリセルMC11には3μAの読出し電流が流れ、補のメモリセル/MC11には16μAの読出し電流が流れる。差電流ΔI=13μAであり、センスアンプ10は、十分なマージンにより差電流を正確に検出し、データ「0」を出力する。
(2)データ「1」が記憶されるとき(低抵抗状態が記憶されているとき):
真のメモリセルMC11には16μAの読出し電流が流れ、補のメモリセル/MC11には3μAの読出し電流が流れる。差電流ΔI=13μAであり、センスアンプ10は、十分なマージンにより差電流を正確に検出し、データ「1」を出力する。
【0011】
ここで、メモリセルにテールビットシフトが生じ、電流分布HRS_driftの上限値が6μA(+3μAのシフト)、電流分布LRS_driftの下限値が10μA(-6μAのシフト)になったとする。
(1)データ「0」が記憶されるとき:
真のメモリセルMC11には6μAの読出し電流が流れ、補のメモリセル/MC11には10μAの読出し電流が流れる。差電流ΔI=4μAであり、センスアンプ10は、マージンが小さいために差電流を正しく検出できないおそれがあり、データ「0」を出力できない場合がある。
(2)データ「1」が記憶されるとき:
真のメモリセルMC11には10μAの読出し電流が流れ、補のメモリセル/MC11には6μAの読出し電流が流れる。差電流ΔI=4μAであり、センスアンプ10は、マージンが小さいために差電流を正しく検出できないおそれがあり、データ「1」を出力できない場合がある。
【0012】
差電流ΔIを正しく検出するためには一定のマージンが必要であり、セット/リセット書込み時のベリファイにおいてマージン設定が行われる。
図5は、従来のリセット書込み時のベリファイ動作を示すフローである。図示しない制御回路は、書込みデータ「0」を受け取ると(S10)、真のメモリセルにリセットパルスを印加する(S20)。例えば、メモリセルMC11へのリセット書込みであれば、トランジスタQ3を介してソース線SL1にリセット書込みパルスが印加される。もし、メモリセルMC11へのセット書込みであれば、トランジスタQ4を介してビット線BL1にセット書込みパルスが印加される。
【0013】
次に、真のメモリセルのリセットベリファイが行われる(S30)。ベリファイが不合格であれば、さらにリセット書込みパルスを印加してベリファイが繰り返され、最終的にリセットベリファイが合格すると、次に、補のメモリセルにセットパルスを印加する(S40)。例えば、メモリセル/MC11へのセット書込みであれば、トランジスタQ9を介してビット線/BL1にセット書込みパルスが印加される。次に、補のメモリセルのセットベリファイが行われる(S50)。ベリファイが不合格であれば、さらにセット書込みパルスを印加してベリファイが繰り返され、最終的にセットベリファイが合格すると、リセットの書込みが終了される。なお、セット書込みの場合にも同様に、真のメモリセルにセット書込みパルスを印加した後にセットベリファイが行われ、セットベリファイが合格すると、次に、補のメモリセルにリセット書込みパルスを印加した後にリセットベリファイが行われる。
【0014】
図6は、メモリセルMC11のセットベリファイの動作を示す図、
図7は、メモリセル/MC11のリセットベリファイの動作を示す図である。セットベリファイでは、センスアンプ10は、メモリセルMC11を流れる電流I
SETと基準電流生成部30で生成されたセットベリファイ用の基準電流I
REFとの差電流を検出し、判定回路20は、検出された差電流に基づきセットベリファイの合否を判定する。セットベリファイを行うとき、トランジスタQ6がオフし、センスアンプ10がソース線/SL1から切り離され、トランジスタQ10がオンし、センスアンプ10が基準電流生成部30に結合される。
【0015】
リセットベリファイでは、
図7に示すように、センスアンプ10は、メモリセル/MC11を流れる電流I
RESETと基準電流生成部30で生成されたリセットベリファイ用の基準電流I
REFとの差電流を検出し、判定回路20は、検出された差電流に基づきリセットベリファイの合否を判定する。リセットベリファイを行うとき、トランジスタQ2をオフし、トランジスタQ5をオンし、ソース線SL1の代わりにソース線/SL1がセンスアンプ10に結合される。
【0016】
このような抵抗変化型メモリのベリファイ方式には次のような課題がある。
図5のフローに示すように、リセット書込みであれば、真のメモリセルのリセットベリファイと補のメモリセルのセットベリファイをそれぞれ行う必要があり、セット書込みであれば、真のメモリセルのセットベリファイと補のメモリセルのリセットベリファイをそれぞれ行う必要があり、つまり、1度のセット/リセット書込みを行うときに2度のベリファイが必要となり、書込みに要する時間が長くなってしまう。
【0017】
また、選択メモリセルの位置に応じてソース線の配線抵抗や負荷容量が異なるため、選択メモリセルの位置によって読出し電流ISET/電流IRESETが変化してしまう。例えば、センスアンプ10から最も離れた位置にあるメモリセルの読出し電流が小さくなり過ぎると、基準電流IREFとの差電流の検出が難しくなり、ベリファイの判定に誤りを生じさせるおそれがある。そのため、選択メモリセルの位置に応じた読み出しのバイアス条件(WL/SL/BLのレベル)や基準電流の調整などが必要となり、回路の複雑化や面積増加を生じさせてしまうという課題がある。
【0018】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するものであり、回路の複雑化や面積増加を抑制しつつベリファイ精度を保証し、書込み時間を短縮させることが可能な半導体記憶装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る半導体記憶装置は、複数のメモリセルを含むメモリセルアレイと、前記メモリセルアレイの中から選択された一対のメモリセルに書込みデータに応じた相補データを書込む書込み手段と、前記メモリセルアレイの中から選択された一対のメモリセルに記憶されたデータを読出す読出し手段と、前記書込み手段により書込みが行われるとき、選択された一対のメモリセルの一方のメモリセルに接続された第1のデータラインを流れる電流と他方のメモリセルに接続された第2のデータラインを流れる電流との差電流を検出し、検出された差電流に基づき書込みの合否を判定するベリファイ手段とを含み、前記ベリファイ手段は、書込みデータに基づき前記差電流が大きくなるように第1のデータラインまたは第2のデータラインに電流を追加する。
【0020】
ある態様では、前記ベリファイ手段は、第1のデータラインを流れる電流が第2のデータラインを流れる電流よりも大きいとき、第1のデータラインに電流を追加し、第2のデータラインを流れる電流が第1のデータラインを流れる電流よりも大きいとき、第2のデータラインに電流を追加する。ある態様では、前記ベリファイ手段は、第1のデータラインを流れる電流と第2のデータラインを流れる電流との差電流を検出する検出部と、第1のデータラインに電流を追加可能な第1の電流追加部と、第2のデータラインに電流を追加可能な第2の電流追加部とを含み、前記ベリファイ手段は、書込みデータに基づき前記第1の電流追加部または前記第2の電流追加部を選択し、第1のデータラインまたは第2のデータラインに電流を追加する。ある態様では、第1のデータラインは、第1のノードを介して第1の電流供給部に接続され、第2のデータラインは、第2のノードを介して第2の電流供給部に接続され、第1のノードおよび第2のノードは、前記検出部の第1の入力および第2の入力にそれぞれ接続され、前記第1の電流追加部は、前記第1の電流供給部と並列になるように第1のノードに接続され、前記第2の電流追加部は、前記第2の電流供給部と並列になるように第2のノードに接続される。ある態様では、第1のデータラインは、第1のノードを介して第1の電流供給部に接続され、第2のデータラインは、第2のノードを介して第2の電流供給部に接続され、第1のノードおよび第2のノードは、前記検出部の第1の入力および第2の入力にそれぞれ接続され、前記第1の電流追加部は、第1のデータラインと並列になるように第1のノードとGNDとの間に接続され、前記第2の電流追加部は、第2のデータラインと並列になるように第2のノードとGNDとの間に接続される。ある態様では、前記メモリセルは、可逆性かつ不揮発性の可変抵抗素子と当該可変抵抗素子に接続されたアクセス用トランジスタとを含み、真のメモリセルは、可変抵抗素子が低抵抗状態または高抵抗状態であり、補のメモリセルは、可変抵抗素子が高抵抗状態または低抵抗状態であり、前記ベリファイ手段は、真のメモリセルに低抵抗状態を書込むとき、真のメモリセルに接続された第1のデータラインに第1の電流追加部を介して電流を追加し、補のメモリセルに接続された第2のデータラインに第2の電流追加部を介して電流を追加せず、真のメモリセルに高抵抗状態を書込むとき、真のメモリセルに接続された第1のデータラインに第1の電流追加部を介して電流を追加せず、補のメモリセルに接続された第2のデータラインに第2の電流追加部を介して電流を追加する。ある態様では、前記ベリファイ手段は、前記書込み手段が真のメモリセルおよび補のメモリセルに相補データの書込みパルスを印加した後に書込みの合否を判定し、前記書込み手段は、合格の判定であれば書込みを終了し、不合格の判定であれば書込みパルスを再度印加する。ある態様では、前記ベリファイ手段は、書込みデータに基づき相補的な第1および第2の制御信号を第1および第2の電流追加部に供給し、第1および第2の電流追加部は、前記第1および第2の制御信号に応答して電流を追加する。ある態様では、第1および第2の電流追加部は、第1および第2の制御信号に応じてオン/オフする第1および第2のトランジスタを含み、第1のトランジスタは、電力供給源と第1のノードとの間に接続され、第2のトランジスタは、電力供給源と第2のノードとの間に接続される。ある態様では、第1および第2の電流追加部は、第1および第2の制御信号に応じてオン/オフする第1および第2のトランジスタを含み、第1のトランジスタは、第1のノードとGNDの間に接続され、第2のトランジスタは、第2のノードとGNDの間に接続される。
【0021】
本発明に係るベリファイ方法は、メモリセルアレイの選択された一対のメモリセルに書込みデータに応じた相補データを書込み、選択された一対のメモリセルから相補データを読み出す機能を備えた抵抗変化型メモリにおけるものであって、選択された一対のメモリセルへの書込みが行われるとき、真のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流と補のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流との差電流を検出するステップと、検出された差電流に基づき書込みの合否を判定するステップとを含み、前記検出するステップは、書込みデータに基づき前記差電流が大きくなるように真のメモリセルまたは補のメモリセルに接続されたデータラインに電流を追加することを含む。
【0022】
ある態様では、前記検出するステップは、真のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流が補のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流よりも大きいとき、真のメモリセルに接続されたデータラインに電流を追加し、補のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流が真のメモリセルに接続されたデータラインを流れる電流よりも大きいとき、補のメモリセルに接続されたデータラインに電流を追加する。ある態様では、前記検出するステップは、真のメモリセルに低抵抗状態を書込むとき、真のメモリセルに接続されたデータラインに電流を追加し、真のメモリセルに高抵抗状態を書込むとき、補のメモリセルに接続されたデータラインに電流を追加する。ある態様では、前記検出するステップは、書込みデータに基づき真のメモリセルに書込みパルスを印加し、かつ補のメモリセルに書込みパルスを印加した後に実施される。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、書込み時のベリファイにおいて、メモリセルに接続された第1のデータラインを流れる電流と他方のメモリセルに接続された第2のデータラインを流れる電流との差電流を検出するようにしたので、選択されたメモリセルの位置によりデータラインの配線抵抗や負荷容量が変化したとしても、差電流によって配線抵抗や負荷容量を相殺することができる。また、書込みデータに基づき差電流が大きくなるように第1のデータラインまたは第2のデータラインに電流を追加するようにしたので、ベリファイ精度を保証し、仮に高抵抗状態および低抵抗状態の電流分布のシフトが生じても、読出しが正しく行われる電流差が確保されるまでセットおよびリセットの書込みを行うことができる。さらに、選択メモリセルの位置に応じた読み出しのバイアス条件(WL/SL/BLのレベル)や基準電流の調整などが不要となり、回路の複雑化や面積増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】従来の抵抗変化型メモリの1T1Rのメモリセルアレイの構成を示す図である。
【
図2】従来の抵抗変化型メモリの2T2Rのメモリセルアレイの構成を示す図である。
【
図3】従来の2T2Rメモリセルの読出し動作を説明する図である。
【
図4】セット/リセットされたメモリセルのセル電流の分布を示す図である。
【
図5】従来のリセット書込み時のベリファイ動作のフローを示す図である。
【
図6】真のメモリセルのセットベリファイを説明する図である。
【
図7】補のメモリセルのリセットベリファイを説明する図である。
【
図8】本発明の実施例に係る抵抗変化型ランダムアクセスメモリの構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の実施例に抵抗変化型メモリの読出し動作を説明する図である。
【
図10】
図10(A)は従来のセンスアンプの構成を示し、
図10(B)は本実施例のセンスアンプの構成を示す図である。
【
図11】本実施例のセンスアンプのVSLC用トランジスタの真理値表である。
【
図12】本発明の実施例に係るベリファイ動作のフローを示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施例に係るセンスアンプの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る半導体記憶装置は、抵抗変化型ランダムアクセスメモリまたはそのようなメモリを含む半導体装置において実施される。抵抗変化型ランダムアクセスメモリは、可変抵抗素子として、例えば、酸化ハフニウムのような金属遷移酸化物を用いて構成される。
【実施例】
【0026】
図8は、本発明の実施例に係る抵抗変化型ランダムアクセスメモリの概略構成を示すブロック図である。本実施例の抵抗変化型メモリ100は、可変抵抗素子およびアクセス用トランジスタを含むメモリセル(記憶素子)が行列状に複数配列されたメモリセルアレイ110と、行アドレスAxに基づきワード線WLの選択および駆動を行う行デコーダおよび駆動回路(X-DEC)120と、列アドレスAyに基づきビット線BLおよびソース線SLを選択する列デコーダ(Y-DEC)130と、入出力バッファ140を介して外部から受け取ったコマンド、アドレス、データ等に基づき各部を制御する制御回路150と、ビット線BLおよびソース線SLを介してメモリセルから読み出されたデータをセンスするセンスアンプ160と、読出し動作時に読出し動作のための電圧をビット線BLやソース線SLに印加したり、書込み動作時の書込みデータに応じたセットパルス/リセットパルスをビット線BLやソース線SLに印加する書込みドライバ・読出しバイアス回路170とを含んで構成される。
【0027】
メモリセルアレイ110は、
図2に示すように、相補的なデータを保持する2T2Rのメモリセルから構成される。つまり、真のデータを保持するメモリセルと補のデータを保持するメモリセルとを対にしたデータの読出しや書込みが行われる。
【0028】
行デコーダ120は、入力された行アドレスAxに基づきワード線WLを選択し、列デコーダ130は、入力された列アドレスAyに基づきグローバルビット線GBLおよびグローバルソース線GSLを介してビット線BLおよびソース線SLを選択する。例えば、
図3に示す一対のメモリセルMC11、/MC11が選択される場合、行アドレスに基づきワード線WL1が選択され、列アドレスに基づき一対のビット線BL1、/BL1と、一対のソース線SL1、/SL1とが選択される。
【0029】
制御回路150は、入出力バッファ140を介して入力されたコマンドに基づき読出し動作や書込み動作を制御する。読出し動作が行われるとき、制御回路150は、書込みドライバ・読出しバイアス回路170を介して選択メモリセルのソース線およびビット線に読出し用のバイアス電圧を印加し、センスアンプ160は、真のメモリセルを流れる電流ITと補のメモリセルを流れるICの差電流ΔIを検出し、検出結果に応じたデータ「0」または「1」を内部データバスDOを介して制御回路150に出力する。
【0030】
書込み動作が行われるとき、書込みドライバ・読出しバイアス回路170は、内部データバスDIを介して制御回路150から書込みデータを受け取り、選択メモリセルのソース線およびビット線に書込みデータに応じた書込みパルスを印加し、選択メモリセルにデータ「0」、「1」の相補データを書込む。例えば、メモリセルMC11にデータ「1」を書込む場合、トランジスタQ3を介してソース線SL1にセット書込みパルスが印加され(ビット線BL1はGNDに接続)、可変抵抗素子が低抵抗状態(LRS)に遷移される。データ「0」を書込む場合、トランジスタQ4を介してビット線BL1にリセット書込みパルスが印加され(ソース線SL1はトランジスタQ3を介してGNDに接続)、可変抵抗素子が高抵抗状態(HRS)に遷移される。
【0031】
また、制御回路150は、リセット書込みおよびセット書込みを行う場合、リセットベリファイおよびセットベリファイを実施する。従来のベリファイ方法は、
図6、
図7に示すように、基準電流生成部30で生成された基準電流I
REFと読出し電流I
SET/I
RESETとの差電流を検出したが、本実施例のベリファイ方法は、読出し動作と同様に、真のメモリセルに接続されたデータラインDL_T(ソース線SL1)を流れる電流I
Tと補のメモリセルに接続されたデータラインDL_C(ソース線/SL1)を流れる電流I
Cとの差電流を検出する。但し、本実施例では、差電流のマージンを得るために、書込みデータに基づきデータラインDL_TまたはDL_Cの一方または両方に電流を追加するためのベリファイセンスロード制御(VSLC)を導入する。なお、両方に電流を追加する場合は、LRS側に+電流を追加し、HRS側に-電流を追加する。
【0032】
図9は、メモリセルMC11、/MC11にセット書込みを行うときのベリファイ動作例を示している。セット書込みでは、真のメモリセルMC11の可変抵抗素子が低抵抗状態(LRS)に遷移され、補のメモリセル/MC11の可変抵抗素子が高抵抗状態(HRS)に遷移される。
【0033】
ベリファイ読出しが行われるとき、選択メモリセルMC11のソース線SL1がトランジスタQ1、Q2を介してセンスアンプ160の一方の入力に結合され、ビット線BL1がトランジスタQ4を介してGNDに接続され、選択メモリセル/MC11のソース線/SL1がトランジスタQ6、Q7を介してセンスアンプ160の他方の入力に結合され、ビット線/BL1がトランジスタQ9を介してGNDに接続される。ソース線SL1とソース線/SL1との間に接続されたトランジスタQ5は必須ではないが、接続されている場合にはオフである。
【0034】
制御回路150からのVSAREF信号に応答してトランジスタがオンし、センスアンプ160が活性化される。センスアンプ160は、ソース線SLからメモリセルMC11を介してビット線BL1を流れる読出し電流ITと、ソース線/SLからメモリセル/MC11を介してビット線/BL1を流れる読出し電流ICとの差電流ΔI(=|IT-IC|)を検出し、この検出結果を判定回路180に出力する。判定回路180は、検出された差電流ΔIに基づきベリファイの合否を判定する。
【0035】
図10(A)は、従来のセンスアンプ10の構成を示し、
図10(B)は、本実施例のセンスアンプ160の構成を示す。従来のセンスアンプ10は、電力供給源VDDと真のメモリセルに接続されたデータラインDL_Tとの間に直列に接続されたPMOSトランジスタP1、P2と、電力供給源VDDと補のメモリセルに接続されたデータラインDL_Cとの間に直列に接続されたPMOSトランジスタP3、P4と、データラインDL_TのノードN1を非反転入力端子(+)に入力し、データラインDL_CのノードN2を反転入力端子(-)に入力し、その差電流を検出するオペアンプOPとを含んで構成される。
【0036】
トランジスタP1、P3の各ゲートには、制御回路150から供給されるイネーブル信号/ENが接続され、トランジスタP1、P3は、読出し動作時にオンし電流源として働く。トランジスタP2、P4の各ゲートはノードN1、N2に接続され、可変抵抗素子の負荷に電流を供給する。オペアンプOPは、差電流を検出し、その検出結果を判定回路180に出力する。
【0037】
一方、本実施例のセンスアンプ160は、
図10(A)に示す構成に加えて、トランジスタP1、P2による電流経路と並列になるようにノードN1に接続された第1の電流源162と、トランジスタP3、P4による電流経路と並列になるようにノードN2に接続された第2の電流源164とを含む。
【0038】
第1の電流源162は、電力供給源VDDとノードN1との間に直列に接続されたPMOSトランジスタP1A、P2Aとを含み、トランジスタP1Aのゲートには制御信号/VSLC_Tが接続され、トランジスタP2AのゲートはノードN1に接続される。トランジスタP1Aは、セット書込みのベリファイ時に制御信号/VSLC_Tによってオンし、トランジスタP2Aを介してノードN1に追加の電流IADDを供給する。
【0039】
第2の電流源164は、第1の電流源162と同様に構成され、すなわち、電力供給源VDDとノードN2との間に直列に接続されたPMOSトランジスタP3A、P4Aとを含み、トランジスタP3Aのゲートには制御信号/VSLC_Cが接続され、トランジスタP4AのゲートはノードN2に接続される。トランジスタP3Aは、リセット書込みのベリファイ時に制御信号VSLC_Cによってオンし、トランジスタP4Aを介してノードN2に追加の電流IADDを供給する。
【0040】
ある態様では、第1の電流源162を構成するトランジスタP1A、P2Aは、第2の電流源164を構成するトランジスタP3A、P4Aと同一に構成される。また、第1の電流源162、第2の電流源164によって供給される電流I
ADDは、差電流ΔIを正確に検出するためのマージンに応じて適宜設定される。例えば、
図4に示すようなセット/リセットの電流分布の場合、電流分布のテールビットシフトを考慮した差電流のマージンが得られるよう大きさとして、例えば、I
ADD=16uAに設定される。なお、第1の電流源162、第2の電流源164は、
図10(B)に示すような構成に限定されるものではなく、ノードN1、N2に定電流I
ADDを供給する他の定電流回路等から構成することも可能である。
【0041】
図11(A)、(B)に制御信号VSLC_T、/VSLC_C、イネーブル信号/ENの真理値表を示す。制御回路150は、セット書込み時にベリファイを行うとき、制御信号/VSLC_T=L、/VSLC_C=H、/EN=Lを出力する。これにより、ノードN1には、メモリセルMC11を流れる電流I
MCに第1の電流源162からの電流I
ADDが追加される。このとき、ノードN2には、第2の電流源164からの電流I
ADDは追加されない。従って、真のメモリセルに接続されたデータラインDL_Tを流れる電流I
Tは、I
T=I
MC+I
ADDになり(I
MCは、真のメモリセルを流れる電流)、補のメモリセルに接続されたデータラインDL_Cを流れる電流I
Cは、I
C=I
/MCになり、オペアンプOPがこの追加電流を加味した状態でベリファイパスと認識する差電流(極端な例ではI
T=I
C)を検出するまで、セットあるいは/及びリセットパルスが印加され、ベリファイが繰り返し行われる。つまり、第1の電流源162が設けられていない場合と比べて、ベリファイ後の読み出し時の電流差はI
ADD以上が確保されることとなり、電流I
ADDを適切な値(例えば、電流分布のテールビットシフトを考慮した差電流のマージン)に設定することで、オペアンプOPは電流分布のテールビットシフトが生じた後においても正しく読み出しデータを判別することができるようになる。
【0042】
一方、制御回路150は、リセット書込み時にベリファイを行うとき、制御信号/VSLC_T=H、/VSLC_C=L、/EN=Lを出力する。これにより、ノードN2には、トランジスタ/MC11を介して流れる電流I/MCに第2の電流源164からの電流IADDが追加される。このとき、ノードN1には、第1の電流源162からの電流IADDは追加されない。従って、補のメモリセルに接続されたデータラインDL_Cを流れる電流ICは、IC=I/MC+IADDになり(I/MCは、補のメモリセルを流れる電流)、真のメモリセルに接続されたデータラインDL_Tを流れる電流ITは、IT=IMCになり、オペアンプOPがこの追加電流を加味した状態でベリファイパスと認識する差電流(極端な例ではIT=IC)を検出するまで、セットあるいは/及びリセットパルスが印加され、ベリファイが繰り返し行われる。つまり、第2の電流源164が設けられていない場合と比べて、ベリファイ後の読み出し時の電流差はIADD以上が確保されることとなり、電流IADDを適切な値(例えば、電流分布のテールビットシフトを考慮した差電流のマージン)に設定することで、オペアンプOPは電流分布のテールビットシフトが生じた後においても正しく読み出しデータを判別することができるようになる。
【0043】
図12は、本実施例の抵抗変化型メモリにおいてリセット書込み時のベリファイ動作を示すフローである。まず、制御回路150は、書込みデータ「0」を受け取り(S110)、書込みドライバ・読出しバイアス回路170を介して真のメモリセルにリセット書込みパルスを印加し(S120)、次に、補のメモリセルにセット書込みパルスを印加する(S130)。次いで、制御回路150、書込みデータ「0」に基づき第2の電流源164の動作を選択するべく制御信号/VSLC_T=H、/VSLC_C=Lをセンスアンプ160に出力する(S140)。次に、オペアンプOPは、真のメモリセルに接続されたデータラインDL_Tを流れる電流I
Tと補のメモリセルに接続されたデータラインDL_Cを流れる電流I
Cとの差電流ΔIを検出し、判定回路180は、差電流ΔIに基づきベリファイの合否を判定する(S150)。もし、ベリファイが不合格と判定された場合には、ステップS120からステップS140までの動作が繰り返され、ベリファイが合格と判定されたとき、リセット書込みが終了する。なお、セット書込みの場合にも同様のベリファイが行われる。
【0044】
このように本実施例によれば、セット/リセットの書込み時のベリファイにおいて、真のメモリセルに接続されたデータラインDL_Tを流れる電流ITと補のメモリセルに接続されたデータラインDL_Cを流れる電流ICとの差電流ΔIを検出し、この検出結果に基づきベリファイの合否を判定するようにしたので、選択メモリセルの位置によってデータラインDL_TとDL_Cの配線抵抗または負荷容量が変化しても、両者の配線抵抗または負荷容量が相殺され差電流に影響を及ぼすことを防止することができる。これにより、ベリファイの合否を正しく判定することができる。また、書込みデータに基づき差電流が大きくなるように電流IADDを追加するようにしたので、ベリファイ精度を保証し、仮に高抵抗状態および低抵抗状態の電流分布のシフトが生じても、読出しが正しく行われる電流差が確保されるまでセットおよびリセットの書込みを行うことができる。さらに、選択メモリセルの位置に応じた読み出しのバイアス条件(WL/SL/BLのレベル)や基準電流の調整などが不要となり、回路の複雑化や面積増加を抑えることができる。さらに、本実施例では、従来のように1度の書込み動作で2度のベリファイを必要とせず、つまり、1度の書込み動作で1度のベリファイでよいため、セット/リセットの書込み時間を短縮することができる。
【0045】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
図13は、第2の実施例によるセンスアンプの構成を示す図である。第1の実施例のセンスアンプ160は、電力供給源VDDからの電流供給と並列になるようにノードN1、N2に電流I
ADDを追加するための第1および第2の電流源162、164を備えたが、第2の実施例のセンスアンプ160Aは、データラインDL_T、DL_Cと並列になるようにノードN1、N2からGNDに電流I
ADDを追加するための第1の電流源162Aと第2の電流源164Aとを備える。
【0046】
第1の電流源162Aは、ノードN1とGNDとの間に直列に接続されたNMOSトランジスタP1B、P2Bを含み、トランジスタP1Bのゲートにはバイアス信号BIAS_Tが印加され、トランジスタP2Bのゲートには制御信号VSLC_Tが印加される。第2の電流源164Aは、ノードN1とGNDとの間に直列に接続されたNMOSトランジスタP3B、P4Bを含み、トランジスタP3Bのゲートにはバイアス信号BIAS_Cが印加され、トランジスタP4Bのゲートには制御信号VSLC_Cが印加される。第1の電流源162AのトランジスタP1B、P2Bは、第2の電流源164AのトランジスタP3B、P4Bと同一に構成される。バイアス信号BIAS_T、BIAS_Cは、ある正のアナログ電圧値であり、トランジスタP1B、P3Bは、電流源として機能する。ここでは、トランジスタP1B、P3Bのゲートのバイアス信号BIAS_T、BIAS_Cをそれぞれ印加する例を示しているが、トランジスタP1B、P3Bの各ゲートに共通のバイアス信号を印加するように構成してもよい。
【0047】
制御回路150は、セット書込み時にベリファイを行うとき、VSLC_T=H、VSLC_C=Lを出力する。これにより、第1の電流源162Aがイネーブルされ、第2の電流源164Aがディスエーブルされ、ノードN1からGNDには、メモリセルMC11を流れる電流IMCに第1の電流源162Aの電流IADDが追加される。従って、真のメモリセルに接続されたデータラインDL_Tを流れる電流ITは、実質的にIT=IMC+IADDと見做すことができ(IMCは、真のメモリセルを流れる電流)、補のメモリセルに接続されたデータラインDL_Cを流れる電流ICは、IC=I/MCになる。オペアンプOPは差電流ΔIを加味した状態でIT、ICの比較を行い、判定回路180はその比較結果をもとにベリファイ判定を行う。その結果、書き込み終了後の読み出しでは電流差IADDが確保されることになる。
【0048】
一方、制御回路150は、リセット書込み時にベリファイを行うとき、VSLC_T=L、VSLC_C=Hを出力する。これにより、第1の電流源162Aがディスエーブルされ、第2の電流源164Aがイネーブルされ、ノードN2からGNDには、トランジスタ/MC11を介して流れる電流I/MCに第2の電流源164からの電流IADDが追加される。従って、補のメモリセルに接続されたデータラインDL_Cを流れる電流ICは、実質的にIC=I/MC+IADDと見做すことができ(I/MCは、補のメモリセルを流れる電流)、真のメモリセルに接続されたデータラインDL_Tを流れる電流ITは、IT=IMCになり、差電流ΔIは、ΔI=IMC+I/ADD-IMCになる。オペアンプOPは差電流ΔIを加味した状態でIT、ICの比較を行い、判定回路180はその比較結果をもとにベリファイ判定を行う。その結果、書き込み終了後の読み出しでは電流差IADDが確保されることになる。
【0049】
上記実施例では、トランジスタP1B、P2Bにより第1の電流源162Aを構成し、トランジスタP3B、P4Bにより第2の電流源164Aを構成したが、これは一例であり、他の定電流回路等を用いて電流IADDを生成することができる。また、上記実施例では、IADD=16μAを示したが、これは一例であり、電流IADDは、例えば、オペアンプOPの検出精度等に基づき適宜設定されるものである。
【0050】
また、上記実施例では、第1および第2の実施例を個別に記載したが、第1および第2の実施例を組み合わせることも可能であり、例えば、電力供給源VDDとノードN1との間に第1の電流源162を接続し、ノードN1とGNDとの間に第1の電流源162Aを接続し、同様に、電力供給源VDDとノードN2との間に第2の電流源164を接続し、ノードN2とGNDとの間に第2の電流源164Aを接続するようにしてもよい。
【0051】
上記実施例では、メモリセルが2次元アレイ状に形成された抵抗変化型メモリを例示したが、本発明は、メモリセルが3次元構造に形成された抵抗変化型メモリにも適用することができる。さらに本発明は、抵抗変化型メモリ以外の他の半導体記憶装置、例えば、ランダムアクセスが可能な相補データを保持するNOR型フラッシュメモリ等にも適用することができる。
【0052】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
100:抵抗変化型メモリ
110:メモリアレイ
120:行デコーダおよび駆動回路(X-DEC)
130:列デコーダおよび駆動回路(Y-DEC)
140:入出力バッファ
150:制御回路
160、160A:センスアンプ
170:書込みドライバ・読出しバイアス回路
180:判定回路
【要約】
【課題】 回路の複雑化や面積増加を抑制しつつベリファイ精度を保証し、書込み時間を短縮させることが可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】 本発明の抵抗変化型メモリは、2T2Rのメモリセルから構成されるメモリセルアレイを含み、セット/リセット書込み時にベリファイを行う。ベリファイは、選択された一対のメモリセルの真のメモリセルMC11に接続されたデータラインDL_Tを流れる電流I
Tと補のメモリセル/MC11に接続されたデータラインDL_Cを流れる電流I
Cとの差電流ΔIを検出し、検出された差電流ΔIに基づき書込みの合否を判定する。ベリファイでは、書込み判定合格後(書き込み終了後)の読み出し動作において、セル電流分布のシフトを考慮した差電流が確保できるようデータラインDL_TまたはデータラインDL_Cに電流が追加される。
【選択図】
図9