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特許7185769複合シート物質、それを調製する為のシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】複合シート物質、それを調製する為のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20221130BHJP
   D04H 3/11 20120101ALI20221130BHJP
   D04H 1/498 20120101ALI20221130BHJP
   D04H 5/03 20120101ALI20221130BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
D04H3/16
D04H3/11
D04H1/498
D04H5/03
A61F13/15 325
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021514288
(86)(22)【出願日】2019-05-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2019032011
(87)【国際公開番号】W WO2019222097
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-05-12
(31)【優先権主張番号】62/670,911
(32)【優先日】2018-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520447640
【氏名又は名称】フィテサ シンプソンヴィレ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】チェスター,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ファソロ,リカルド バッソ
(72)【発明者】
【氏名】ゲイリー,ローソン
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03777231(US,A)
【文献】特表2003-502515(JP,A)
【文献】特表2002-525450(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00-18/04
B32B 1/00-43/00
D01G 1/00-99/00
D06B 1/00-23/30
D06C 3/00-29/00
D06G 1/00- 5/00
D06H 1/00- 7/24
D06J 1/00- 1/12
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合シート物質を調製する為のシステムであって、
不織布源と、
その上に不織布が堆積される収集面と、
該不織布源の下流に且つ該収集面に重ねられて配置されたカーディングデバイスと、ここで、該カーディングデバイスは主シリンダーを備えている
空気流れを提供するように構成された空気源と
天然ステープル繊維と、
前記空気源と連通した空気入口、空気出口、前記天然ステープル繊維と連通した繊維入口、内部チャネル、及び繊維出口を有するエアマニホールドと、ここで、該シリンダーの表面に配置された繊維が取り除かれ且つ前記気流内に集められ、次いで、前記集められた繊維が前記繊維入口内に、そして前記内部チャネルを通って前記繊維出口へと流れ、該繊維出口において前記繊維が前記不織布の表面上に堆積されるように、該空気出口は前記気流を前記シリンダーの表面に対して方向付けるように位置決めされ且つ構成されている、及び
前記カーディングデバイスの下流に配置された接合ユニットと
を備えている、前記システム。
【請求項2】
前記不織布源が、前記収集面より上に配置されたスパンボンドビームを備えている、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記スパンボンドビームが、単成分又は多成分のフィラメントを生成するように構成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記カーディングデバイスの下流に配置された第2のスパンボンドビームをさらに備えている、請求項又はに記載のシステム。
【請求項5】
前記第2のスパンボンドビームが、単成分又は多成分のフィラメントを生成するように構成されている、請求項4に記載のシステム
【請求項6】
前記接合ユニットが、水力絡合ユニット、通気乾燥機、又はカレンダー接合を備えている、請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記接合ユニットの下流に配置された乾燥オーブンをさらに備えている、請求項に記載のシステム。
【請求項8】
前記接合ユニットが通気接合機を備えている、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記エアマニホールドが、該空気入口と該空気出口との間に配置された空気プレナムを備えており、該プレナムが、該空気入口から該空気出口へと広がる幅を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記空気出口及び繊維入口が、単一の連続チャネルを有している、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
前記繊維出口の幅が、前記不織布の幅に近似している、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記繊維出口が、前記収集面の表面から2~5cm上に位置決めされている、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記エアマニホールドが、前記繊維入口と前記繊維出口との間に配置された1以上の湾曲部又は曲り部を備えている、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記曲り部又は前記湾曲部が、S字形状を画定する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記収集面の下に配置された1以上の吸気源をさらに備えている、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
複合シート物質を調製する為のシステムであって、
不織布源と、
その上に不織布が堆積される収集面と、
該不織布源の下流に且つ該収集面に重ねられて配置されたカーディングデバイスと、ここで、該カーディングデバイスは主シリンダーを備えている、
空気流れを提供するように構成された空気源と、
前記空気源と連通した空気入口、空気出口、繊維入口、内部チャネル、及び繊維出口を有するエアマニホールドと、ここで、該シリンダーの表面に配置された繊維が取り除かれ且つ前記気流内に集められ、次いで、前記集められた繊維が前記繊維入口内に、そして前記内部チャネルを通って前記繊維出口へと流れ、該繊維出口において前記繊維が前記不織布の表面上に堆積されるように、該空気出口は前記気流を前記シリンダーの表面に対して方向付けるように位置決めされ且つ構成されている、及び
前記エアマニホールドは、繊維入口及び繊維出口の間に堆積された一以上の湾曲部又は曲り部を含み、
前記カーディングデバイスの下流に配置された接合ユニットと
を備えている、前記システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、吸収性物品において使用する為の複合シート物質に、より特には、少なくとも1つのスパンボンド層と、毛羽立った布層とを含む複合シート物質を作製するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な天然繊維及び合成繊維の組み合わせで作製された不織複合シートが、吸収性物品の製造での使用の為に知られている。そのような吸収性物品は、使い捨て衛生製品、例えば紙おむつ、女性用衛生用製品、成人失禁用製品などを含みうる。
【0003】
典型的な吸収性物品は典型的には、着用者の皮膚と接触する内面を画定する内層(トップシート(top sheet)とも呼ばれる)を含む。典型的には、該バックシートは、吸収性コア内に吸収された何らかの流体が排出又は漏出しないような、流体に対して不浸透である材料を含む。
【0004】
幾つかの場合には、天然ステープル繊維を使用して、該吸収性物品の柔らかさを改善することが望ましい。典型的には、そのような天然繊維は、毛羽立った布層に組み込まれる。残念ながら、慣用的なカーディングシステムは、スパンボンド布を調製する方法よりもはるかにゆっくり稼働する。結果として、スパンボンド布を調製する為のインラインシステムにカーディングプロセスを組み込むことは困難であった。さらに、カーディングシステムは、低秤量布を生成するそれらの能力において制限される。最後に、軽量の毛羽立ったウェブの水流絡合は、水流絡合の噴射水のエネルギー及び運動量が該ステープル繊維の均一な定着を妨げる傾向を有し、使用できない製品を結果として生じる為、非常に困難である。極端に言うと、該繊維は、プロセスの形成ベルト又は形成ドラムを飛び出すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、不織布層と、毛羽立った布層とを有する複合シート物質を調製する為のシステム及び方法への必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施態様は、少なくとも1つのスパンボンド層と、毛羽立った布層とを含む複合不織シート物質の製造の為のシステム及び方法に向けられている。本発明の実施態様に従う複合シート物質は、改善された柔らかさを有し、吸収性物品の製造の為に特に適している。さらに、提供される該方法及び該システムは、典型的にはスパンボンド不織布と関連するライン速度で実施されることができる、毛羽立った布層を有する複合シート物質の製造を可能にする。
【0007】
一つの実施態様において、複合シート物質を調製する為のシステムが提供される。該システムは、不織布源、その上に不織布が堆積される収集面、該不織布源の下流に且つ該収集面より上に配置されたカーディングデバイスを含む。該カーディングデバイスは、その上にステープル繊維が堆積され且つ配向された主シリンダーを備えている。エアマニホールドは、該ステープル繊維を取り除く為に、空気流れ(stream of air)(空気源によって提供される)を該主シリンダーの表面に対して方向付けるように、該主シリンダーの表面に対して位置決めされ且つ構成される。
【0008】
該エアマニホールドは、該空気源と連通した空気入口、空気出口、繊維入口、内部チャネル、及び繊維出口を含み、該シリンダーの表面に配置された繊維が取り除かれ且つ該気流内に集められ、次いで、該集められた繊維が該繊維入口内に、そして該内部チャネルを通って該繊維出口へと流れ、該繊維出口において該繊維が該不織布の表面上に堆積されるように、該空気出口は該気流を該シリンダーの表面に対して方向付けるように位置決めされ且つ構成される。
【0009】
次いで、該得られた複合シート物質は、該カーディングデバイスの下流に配置された接合ユニットを介して接合されうる。該接合ユニットは、通気接合機又は水力絡合ユニットを備えている。幾つかの実施態様において、上記システムは、該複合シート物質から水を除去する為の1以上の乾燥ユニット、例えば乾燥オーブン、をさらに備えている。
【0010】
幾つかの実施態様において、第2の不織布の第2の供給源は、該カーディングデバイスの下流に位置決めされて、該毛羽立った布層に重ねられて第2の不織布を堆積する。幾つかの実施態様において、上記不織布源は、該収集面に重ねられて配置されたスパンボンドビームを備えている。他の実施態様において、上記不織布は、ロールから巻き外され、該収集面に堆積された、先に調製された布として提供されうる。該第1の又は第2の不織布源の該不織布は、1以上の単成分又は多成分のフィラメントを含みうる。
【0011】
幾つかの実施態様において、上記エアマニホールドは、該空気入口と該空気出口との間に配置された空気プレナムを備えている。一つの実施態様において、該プレナムは、該空気入口から該空気出口へと広がる幅を有する。該プレナムは、該主シリンダーの表面に対して方向付けられた該気流の均一な分布を提供するのを助ける。幾つかの実施態様において、上記エアマニホールドの該空気出口及び繊維入口は、単一の連続チャネルを有している。一つの実施態様において、上記繊維出口の幅は、該不織布の幅に近似している。
【0012】
幾つかの実施態様において、上記システムは、該収集面の下に配置された1以上の吸気源をさらに含む。
【0013】
有利には、該システムは、典型的にはスパンボンド布と関連するライン速度での複合シート物質の製造を提供する。特には、該複合シート物質は、600~1,200m/分、特には800~1,200m/分、のライン速度で調製されうる。
【0014】
本発明のさらなる観点は、複合シート物質を調製する方法に向けられている。一つの実施態様において、上記方法は、
不織布層を収集面上に堆積すること、
複数のステープル繊維をカーディングデバイスに導入すること、ここで、該ステープル繊維が、該カーディングデバイスの主シリンダーの表面に堆積される、
気流を、エアマニホールドを介して該主シリンダーの表面に対して方向付けて、該表面から該繊維を取り除くこと、
該取り除かれた繊維を、該エアマニホールドの繊維入口へと回収すること、
該取り除かれた繊維を、繊維出口から該不織布の表面に放出して、毛羽立った布層を形成すること、及び
該不織の毛羽立った複数の布層を接合して、複合シート物質を形成すること
の工程を含む。
【0015】
一つの実施態様において、不織布層を堆積する上記工程は、複数の連続フィラメントをスピンビームから押出して、該不織布層を形成することを含む。幾つかの実施態様において、上記方法は、該毛羽立った布層に重ねられる第2の不織布層を堆積する工程をさらに含みうる。
【0016】
一つの実施態様において、接合する上記工程は、該複合シート物質を通気接合すること、又は複数の流体噴射に付すことのうちの1以上を含む。
【0017】
一つの実施態様において、上記不織布は、スパンボンド又は樹脂接合不織布である。幾つかの実施態様において、上記不織布は、単成分又は多成分のフィラメントを有するスパンボンド布を含む。
【0018】
該複合シート物質は、7~60gsmの秤量を有しうる。
【0019】
幾つかの実施態様において、上記ステープル繊維は、天然繊維を含む。他の実施態様において、上記ステープル繊維は、綿繊維を含む。
【0020】
幾つかの実施態様において、上記不織布及び上記毛羽立った布層は、600~1,200m/分のライン速度で堆積される。
【0021】
本発明の他の観点は、上記で論じられた該システム及び方法の観点に従って調製された複合シート物質に向けられている。
【0022】
本発明を一般的な用語でこのように記載してきたが、ここで、必ずしも縮尺通りに描かれるとは限らない添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明の少なくとも1つの実施態様に従う複合シートの横断面図である。
図2図2は、本発明の少なくとも1つの実施態様に従う複合シートの横断面図である。
図3図3は、本発明の少なくとも1つの実施態様に従う複合シートを調製する為のシステムの模式図である。
図4図4は、カーディングシリンダーの表面から繊維を回収する為の関連するエアマニホールドを有する該カーディングシリンダーの横模式図である。
図5A図5Aは、本発明の少なくとも1つの実施態様に従うエアマニホールドの実施態様の透視図である。
図5B図5Bは、本発明の少なくとも1つの実施態様に従うエアマニホールドの実施態様の透視図である。
図6図6は、本発明の少なくとも1つの実施態様に従う吸収性物品を例示する図である。
図7図7は、図6の吸収性物品の、線6-6に沿って取った断面図である。
図8図8は、女性用衛生用パッドの形態である、本発明の少なくとも1つの実施態様に従う吸収性物品を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
ここで、本発明の一部ではあるが全てではない実施態様が示される添付の図面を参照し、本発明は以下でより完全に記載される。実際、これらの発明は、多くの異なる形態で実施されえ、本明細書で示される実施態様に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施態様は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。同様の数は全体を通して同様の要素を云う。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、「該(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを記述しない限り、複数の参照を含む。
【0025】
I.定義
本出願の為に、下記の語は下記の意味を有することになる。
【0026】
語「繊維」は、有限長さの繊維又は無限長さのフィラメントを云うことができる。
【0027】
語「ステープル繊維」は、有限長さの繊維を云う。一般に、毛羽立った布を調製するのに使用されるステープル繊維は、約15~65ミリメートル(mm)、特には約20~50mm、より特には約25~40mm、の長さを有しうる。
【0028】
語「フィラメント」は、連続した又は実質的に連続した長さの繊維を云う。
【0029】
本明細書で使用される場合、語「単成分」は、1種のポリマーから形成された又はポリマーの単一のブレンドから形成された繊維を云う。当然のことながら、これは、着色、帯電防止特性、潤滑、親水性、液体撥水性などの為に添加剤が添加されている繊維を除外しない。
【0030】
本明細書で使用される場合、語「多成分」は、別々の押出機から押出された少なくとも2種のポリマーから形成された繊維(例えば、二成分繊維)を云う。少なくとも2種のポリマーは、各々独立して、互いに同じである若しくは異なることができ、又はポリマーのブレンドであることができる。該ポリマーは、繊維の断面を横切って実質的に一定して位置決めされた別個のゾーンに構成される。該成分は、任意の所望の構成、例えばシース-コア(sheath-core)、横並び(side-by-side)、円状(pie)、海島(island-in-the-sea)など、に構成されうる。多成分繊維を形成する為の様々な方法が、Taniguchi等に対する米国特許第4,789,592号明細書及びStrack等に対する米国特許第5,336,552号明細書、Kaneko等に対する米国特許第5,108,820号明細書、Kruege等に対する米国特許第4,795,668号明細書、Pike等に対する米国特許第5,382,400号明細書、Strack等に対する米国特許第5,336,552号明細書及びMarmon等に対する米国特許第6,200,669号明細書に記載されており、これら文献はそれらの全体が引用することにより本明細書内に取り込まれる。様々な不規則形状を有する多成分繊維もまた、例えば、Hogle等に対する米国特許第5,277,976号明細書、Hillsに対する米国特許第5,162,074号明細書、Hillsに対する米国特許第5,466,410号明細書、Largman等に対する米国特許第5,069,970号明細書及びLargman等に対する米国特許第5,057,368号明細書に記載されるように形成され得、これら文献はそれらの全体が引用することにより本明細書内に取り込まれる。
【0031】
本明細書で使用される場合、語「不織」、「不織ウェブ」及び「不織布」は、相互に絡まり合っているが同一視することはできない繰り返しの方式にある個々の繊維又は糸の構造を生成する為の織る又は編むプロセスを使用することなく形成された材料の構造又はウェブを云う。過去、不織ウェブは、様々な慣用的なプロセス、例えばメルトブローンプロセス、スパンボンドプロセス及びステープル繊維カーディングプロセス、によって形成されてきている。
【0032】
本明細書で使用される場合、語「毛羽立った布」は、カーディングプロセスを使用して主に機械方向に配列され且つ配向されたステープル繊維を含む不織布を云う。毛羽立った布を調製する為の方法及びシステムは、例えば、米国特許第3,145,425号明細書及び米国特許第第5,494,736号明細書に開示されている。
【0033】
本明細書で使用される場合、語「メルトブローン」は、溶融熱可塑性材料を、マイクロ繊維の直径になることができる通常は円形の複数の細いダイキャピラリーを通して高速のガス(例えば空気)の流れに押出し、これにより溶融熱可塑性材料を細くし、繊維を形成することによって繊維が形成されるプロセスを云う。その後、メルトブローン繊維は、ガス流によって運ばれ、収集面に堆積されて、ランダムメルトブローン繊維のウェブが形成する。そのようなプロセスは、例えば、Buntin等に対する米国特許第3,849,241号明細書に開示されている。
【0034】
本明細書で使用される場合、語「縦方向」又は「MD:machine direction」あるいは「機械方向」は、製造の間に不織ウェブが動く方向を云う。
【0035】
本明細書で使用される場合、語「横方向」又は「CD:cross direction」という用は、縦方向に垂直であり、且つ不織ウェブの幅を横切って横方向に延在する方向を云う。
【0036】
本明細書で使用される場合、語「スパンボンド(spunbond)」は、溶融した熱可塑性物質を、紡糸口金の、通常は円形の複数の細いキャピラリーからフィラメントとして押出し、次いで該フィラメントが機械的に又は空気により細くされ、延伸されることを含むロセスを云う。該フィラメントは、収集面に堆積されて、ランダムに配置された実質的に連続したフィラメントのウェブが形成し、これはその後、互いに接合されて一体的な(coherent)不織布を形成する。スパンボンド不織ウェブの生成は、特許、例えば、米国特許第3,338,992号明細書、米国特許第3,692,613号明細書、米国特許第3,802,817号明細書、米国特許第4,405,297号明細書及び米国特許第5,665,300号明細書に例示されている。一般に、これらのスパンボンドプロセスは、フィラメントを紡糸口金から押出すこと、該フィラメントを空気の流れによりクエンチして溶融フィラメントの固化を速めること、空気により該フィラメントを気流に乗せるか又は機械により該フィラメントを機械式引取ロールに巻き付けるかのいずれかによって延伸張力を加えることによって該フィラメントを細くすること、該延伸されたフィラメントを有孔収集面上に堆積してウェブを形成すること、及びばらけたフィラメントの該ウェブを接合して不織布にすることを含む。該接合は、任意の熱又は化学接合処理であることができ、熱点接合が典型的である。
【0037】
本明細書で使用される場合、語「水流接合」、「水流絡合」、及び「水力(による)絡合」とは、材料、例えば、繊維の1以上のウェブを、該材料の表面に衝突する1以上の高圧水噴射を提供する複数のノズル/噴射機のもとで接合させることを含む。該高圧の水の噴射は、繊維の該ウェブに浸透して、隣接層の該繊維を互いに機械的に絡合させ、それによって該ウェブの該層を互いに接合させる。
【0038】
本明細書で使用される場合、語「通気熱接合」とは、接合されるべき材料、例えば繊維の1以上のウェブ、を、加熱ガス、例えば空気、の流れに通過させることを含み、該加熱ガスの温度は、接合されている材料の少なくとも1種のポリマー成分の軟化又は溶融温度よりも高い。通気熱接合とは、材料を加熱オーブンに通過させることも含みうる。
【0039】
本明細書で使用される場合、語「熱点接合」とは、接合されるべき材料、例えば繊維の1以上のウェブ、を、加熱カレンダーロールとアンビルロールとの間を通過させることを含む。カレンダーロールは、典型的には、パターン付けされており、したがって、布は、その表面全体にわたって接合されるのではなくて、不連続な点接合部位で接合される。
【0040】
本明細書で使用される場合、語「ポリマー」は、一般に、ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマー、ターポリマーなど、並びにそれらのブレンド及び変形例を含むがこれらに限定されない。さらに、具体的に限定されない限り、語「ポリマー」は、アイソタクチック、シンジオタクチック及びランダム対称を含む全てのありうる幾何学的立体配置の材料を含むべきである。
【0041】
語「複合体」は、本明細書で使用される場合、2以上の層、例えば繊維層又は互いに接合された複数の繊維層、を含む構造でありうる。複合構造の2つの層は、本発明のある特定の実施態様に従って、それらの共通X-Y平面界面の実質的部分であるように互いに連結されうる。
【0042】
本明細書で使用される場合、語「約」及び「実質的に」は、列挙された値の10%未満、特には、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満及び1%未満、の偏差(プラス/マイナス)を意味する。
【0043】
II.複合シート物質
一つの観点において、本発明の実施態様は、少なくとも1つのスパンボンド層と、該スパンボンド層に重なる毛羽立った布層とを含む複合シート物質に向けられている。本発明の実施態様に従う複合シート物質は、吸収性物品、特には、女性用衛生製品及びおむつ製品、の製造に特に有用でありうる。
【0044】
図1を参照すると、本発明の少なくとも1つの実施態様に従う複合シート物質が示され且つ参照番号10で表されている。例示された実施態様において、上記複合シート物質は、スパンボンド層12と、該スパンボンド層に重なる毛羽立った布層14とを含む。スパンボンド層12は、第1の外面16と第2の外面18とを有する少なくとも1つの不織層を含む。同様に、毛羽立った布層14は、第1の外面20と第2の外面22とを含む。
【0045】
一つの実施態様において、スパンボンド層12の外面18は、毛羽立った布層14の外面20に隣接してかつ面して配置される。好ましい実施態様において、スパンボンド層及び毛羽立った布層12、14の相対する外面18、20は、各構成要素の表面が互いに接触するように、互いに直接に相対して配置されている。
【0046】
幾つかの実施態様において、複合シート物質10は、2以上のスパンボンド層を含みうる。この点について、図2は、毛羽立った布層14が、第1のスパンボンド層12aと第2のスパンボンド層12bとの間に配置された本発明の実施態様を例示する。
【0047】
一般に、該複合シートは、1平方メートル当たり約7~60グラム(gsm)、特には約10~40gsm、より特には約10~25gsm、の秤量を有しうる。好ましい実施態様において、上記複合シートは、約15~25gsmである秤量を有する。
【0048】
一般に、上記1以上のスパンボンド層の質量は、複合シートの総重量に基づいて、該複合シートの約50~95重量パーセントを含む。一つの実施態様において、上記スパンボンド層の質量は、上記複合シートの総重量に基づいて、該複合シートの約70~90重量パーセント、特には約75~85、を含む。
【0049】
上記毛羽立った布層の質量は、上記複合シートの総重量に基づいて、該複合シートの約5~50重量パーセントを含む。一つの実施態様において、上記毛羽立った布層の質量は、上記複合シートの総重量に基づいて、該複合シートの約10~30重量パーセント、特には約15~25、を含む。
【0050】
A.スパンボンド層
該スパンボンド層は、慣用的なスパンボンド装置及びプロセスを利用して調製されうる。この点について、該スパンボンド布層は、例えば、その全内容が引用することにより本明細書に取り込まれるGeusらの米国特許第5,814,349号明細書に記載されるように、スパンボンド機、例えば、Reifenhauser製Reicofil-3ライン又はReicofil-4ラインでの慣用的なスパンボンドプロセスによって生成され得、ここで、溶融ポリマーが連続フィラメントに押出され、これは、続いてクエンチされ、高速流体によって空気により細くされ、収集表面でランダムな構成で回収される。幾つかの実施態様において、上記連続フィラメントは、該収集面の下に位置決めされた吸気源の助けにより回収される。フィラメント回収後、任意の熱、化学又は機械による接合処理が使用されて、接着ウェブ構造が生じるように接合されたウェブが形成しうる。当業者が理解するであろうように、熱接合の例は、熱気が該ウェブを強制的に通過させられて、該ウェブのある特定の繊維外のポリマーを軟化し、続いて、該ウェブが少なくとも限定的に圧縮される通気接合、又は該ウェブが、そのうちの少なくとも1つが加熱され、典型的には1つがエンボス加工されたロールである2つのロール間で圧縮されるカレンダー接合を含みうる。
【0051】
該スパンボンド繊維は、単成分又は多成分の繊維を含みうる。二成分繊維の例は、横並び、海島及びシース/コア構成を含む。好ましくは、該繊維は、該シースが第1のポリマー成分を含み、該コアが第2のポリマー成分を含むシース/コア構造を有する。この構成では、第1及び第2のポリマー成分のポリマーは、互いに同じ又は異なりうる。例えば、一つの実施態様において、該シースは第1のポリマー成分を含み、該コアは、第1のポリマー成分と異なる又は同じ第2のポリマー成分を含む。好ましい実施態様、二成分繊維の第1ポリマー成分と第2ポリマー成分とは、互いに異なる。
【0052】
幾つかの実施態様において、スパンボンド布層のスパンボンド繊維は、該コアがシースに対して中心を占めるシース/コア構成を有しうる。代替的には、該コアは、シースに対してオフセット構成で存在しうる。この構成では、該コアは、該シースに対して中心に配列されない。結果として、例えば接合の間に熱が加えられる場合、該繊維は、カールする又は縮れる傾向を有し、これが次に上記流体分布層にかさばりをもたらすのを助けうる。
【0053】
一つの実施態様において、該シースの第1のポリマー成分は、該コアを含む第2のポリマー成分の溶融温度よりも低い溶融温度を有するポリマーを含む。該シースのより低い溶融ポリマーは、接合を促進する一方、より高い溶融温度を有する該コアのポリマー成分は、繊維及び従って最終接合不織に強度をもたらす。
【0054】
一般に、該繊維中のシースの重量百分率対コアの重量百分率は、不織布の所望の特性に応じて幅広く変動しうる。例えば、シース対コアの重量比は、約10:90~90:10、特には約20:80~80:20、で変動しうる。好ましい実施態様において、シース対コアの重量比は、約25:75~35:65であり、約30:70の重量比が好ましい。
【0055】
一般に、該スパンボンド層は、1平方メートル当たり約6~45グラム(gsm)、特には約8~20gsm、より特には約10~15gsm、の秤量を有する。好ましい実施態様において、上記スパンボンド層は、約10gsmである秤量を有する。
【0056】
該スパンボンド繊維は、多種多様な断面形状を有しうる。例えば、該スパンボンド繊維は、円形若しくは実質的に円形の断面を有し得、又は成形された断面、例えば三葉形、を有しうる。
【0057】
多様なポリマーが、該スパンボンド層に使用する為のスパンボンド繊維を調製する為に使用されうる。好適なポリマーの例は、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及びポリエチレン並びにこれらのコポリマー、ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)、ナイロン、ポリスチレン、コポリマー並びにこれらのブレンド、並びに繊維の調製に使用されうる他の合成ポリマーを含みうる。一つの実施態様において、スパンボンド繊維は、ポリエチレンシースとポリプロピレンのコアとを含むシース/コア構成を有する。他の実施態様において、スパンボンド繊維は、ポリエチレンシースとポリエステルのコア、例えばポリエチレンテレフタレートを含むコア、とを含むシース/コア構成を有しうる。好ましい実施態様において、上記スパンボンド繊維は、ポリプロピレンを含む。
【0058】
上記のポリマーは、一般に、合成源に由来する、例えば、石油由来のポリマーであると、考えられる。幾つかの実施態様において、1以上の持続可能なポリマー成分を含むスパンボンド層を提供することが所望されうる。石油源由来のポリマーとは対照的に、持続可能なポリマーは、一般に、バイオベース材料に由来する。幾つかの実施態様において、持続可能なポリマー成分はまた、生物分解性であると考えられうる。バイオベース材料で作製された生物分解性製品の特別なクラスは、それが構成環境において分解されることができる場合、堆肥化可能であるとみなされうる。持続可能分で構成された布又はフィルムが堆肥化可能であると分類されることができるかを決定する為に欧州規格EN13432、「Proof of Compostability of Plastic Products」が使用されうる。
【0059】
そのような一つの実施態様において、スパンボンド層は、持続可能なポリマー成分を含むスパンボンド繊維を含む。好ましくは、スパンボンド繊維は、合成材料、例えば、石油系材料及びポリマーを実質的に含まない。例えば、スパンボンド層を含む繊維は、該スパンボンド層の総重量に基づいて、25重量パーセント未満の非バイオベースである材料、より好ましくは20重量パーセント未満、15重量パーセント未満、10重量パーセント未満、さらにより好ましくは5重量パーセント未満、の非バイオベース材料を有しうる。
【0060】
本発明において使用する為に好ましい持続可能なポリマーは、ポリ乳酸(PLA)を含む。
【0061】
ある特定の実施態様において、上記スパンボンド繊維は、シース及びコアの両方がPLA樹脂を含む二成分フィラメントを含みうる。これらの実施態様において、合成ポリマー成分、例えば石油系材料及びポリマーを実質的に含まないPLAスパンボンド不織布が提供されうる。例えば、PLAスパンボンド不織布の繊維は、両方の成分がPLAベースであり、従って100%PLAである繊維が生成される二成分構成を有しうる。本明細書で使用される場合、「100%PLA」はまた、単に例として、着色、柔らかさ、スリップ性、帯電保護、潤滑性、親水性、液体撥水性、酸化防止保護などを提供する為の添加剤及び/又は添加剤のマスターバッチを含む最大5%の添加剤を含みうる。この点について、不織布は、95~100%PLA、例えば、96~100%PLA、97~100%PLA、98~100%PLA、99~100%PLAなどを含みうる。そのような添加剤がマスターバッチとして添加される場合、例えば、マスターバッチキャリアは、加工を促進し、繊維中の持続可能分を最大化する為に主にPLAを含みうる。例えば、流体分布層のPLAステープル繊維は、1以上の追加の添加剤を含みうる。そのような実施態様において、例えば、添加剤は、着色剤、軟化剤、スリップ剤、帯電防止剤、潤滑剤、親水化剤、液体撥水剤、酸化防止剤などのうちの少なくとも1種又はこれらの任意の組み合わせを含みうる。
【0062】
一つの実施態様において、シースのPLAポリマーは、コアのPLAポリマーと同じPLAポリマーでありうる。他の実施態様において、シースのPLAポリマーは、コアのPLAポリマーとは異なるPLAポリマーでありうる。例えば、二成分繊維は、シースが第1のPLAグレードを含み、コアが第2のPLAグレードを含み、該第1のPLAグレード及び該第2のPLAグレードが異なる(例えば、該第1のPLAグレードが該第2のPLAグレードよりも低い融点を有する)ように、PLA/PLA二成分繊維を含みうる。単に例として、第1のPLAグレードは最大約5%の結晶化度を含み得、第2のPLAグレードは約40%~約50%の結晶化度を含みうる。
【0063】
幾つかの実施態様において、例えば、第1のPLAグレードは約125℃~約135℃の融点を含み得、第2のPLAグレードは約155℃~約170℃の融点を含みうる。さらなる実施態様において、例えば、第1のPLAグレードは、約4重量%~約10重量%の重量パーセントのD異性体を含み得、第2のPLAグレードは、約2重量%の重量パーセントのD異性体を含みうる。
【0064】
例えば、一つの実施態様において、上記コアは、上記シースに使用されるPLAポリマーの%D異性体よりも低い%D異性体のポリ乳酸を有するPLAを含みうる。より低い%D異性体のPLAポリマーは、紡績の間に、より高度の応力誘導結晶化を示す一方、より高いD%異性体のPLAポリマーは、紡績の間に、より非晶質状態を維持する。より非晶質のシースは接合を促進する一方、より高度の結晶化を示すコアは、繊維及び従って最終接合ウェブに強度をもたらす。特定の一つの実施態様において、4%D異性体のNature Works PLA Grade PLA 6752がシースとして使用されることができる一方、2%のD異性体のNatureWorks Grade 6202がコアとして使用されることができる。
【0065】
幾つかの実施態様において、上記布は、持続可能資源由来のポリエチレン又はポリプロピレンを含みうる。好適なサトウキビ由来のポリエチレンの例は、製品名PE SHA7260でBraskem S. A.から入手可能である。
【0066】
幾つかの実施態様において、上記シースはPLAポリマーを含み得、該コアは合成ポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン若しくはポリエステル、又は持続可能資源由来のポリエチレン若しくはポリプロピレンを含むコアを含みうる。
【0067】
B.他の不織布層
幾つかの実施態様において、上記複合シート物質は、該スパンボンド接合層の代わりに又はこれに加えて使用される樹脂接合層を含みうる。該樹脂接合層は、繊維を互いにに接合するための樹脂又は接着材料を用いた、毛羽立った布を含む。典型的には、樹脂接合布は、35~60mmの長さを有するステープル繊維を含む。該スパンボンド層の調製に使用されたのと同じポリマーが、樹脂接合層の為のステープル繊維の調製に使用されうる。
【0068】
樹脂接合層を使用する場合、該樹脂接合布は典型的には、予め形成され、ロールで提供され、そこから該収集面上に巻き外される。
【0069】
C.毛羽立った布層
毛羽立った布層14は、天然ステープル繊維を含む少なくとも1つの毛羽立った層を含む。一般に、天然繊維は、植物又は動物に由来する。植物由来の天然繊維は典型的には、セルロース材料を含み、綿繊維、アマ繊維、麻繊維、草繊維、例えば、力芝、ジュート繊維、マニラ麻繊維、コイヤー繊維、ラミー繊維(カラクサとしても知られる)、サイザル繊維等を含みうる。
【0070】
動物由来の天然繊維は、羊毛、絹、ラクダ毛、アルパカウール、カシミア、アンゴラウール等を含みうる。好ましい実施態様において、上記天然繊維は、綿繊維を含む。
【0071】
幾つかの実施態様において、上記毛羽立った布層は、セルロースステープル繊維及び非セルロースステープル繊維のブレンドを含みうる。以下でより詳細に論じられるように、該少なくとも1つの毛羽立った布層は、スパンボンド層の表面上に堆積され、次いで、得られた複合シート物質は接合されて、該スパンボンド層及び該毛羽立った層の両方のスパンボンド繊維が互いに接合された接着複合構造が形成する。
【0072】
該複合シート物質を作製する方法の間、該天然ステープル繊維は、カード上に射出され、次いで、エアマニホールドを介して該スパンボンド層の表面上に堆積される。その後、該スパンボンド層及び毛羽立った層の繊維は、機械による接合(例えば、水流絡合法、ニードルパンチ等)を介して、又は熱による接合、例えば該複合シート物質を、カレンダーを通過させることによって、又は通気接合を介して、互いに接合される。
【0073】
多種多様なセルロース材料が、セルロース繊維の為に使用されうる。エスパルト、バガス、ケンプ、アマ、並びに他の木質及びセルロース繊維源が利用されうる。他の繊維は、再生セルロース、多糖又は他の吸収性繊維形成組成物で作製された吸収性天然繊維を含む。好ましい実施態様において、上記ステープル繊維は、約15~38mmの繊維長を有する漂白されていない綿繊維を含む。そのような不織布を形成するのに使用する為の綿繊維の例は、TJ Beall Companyから入手可能な製品名TRUECOTTON(商標)で販売されている繊維を含む。該漂白されていない綿繊維は、漂白された綿繊維と比較して、カーディングプロセスにおいて加工するのが容易であることが述べられる。しかし、幾つかの実施態様において、必ずしも同等の結果を伴わず、漂白された綿繊維が使用されうる。
【0074】
存在する場合、該毛羽立った層に使用する為の非セルロースステープル繊維の為の好適な材料は、単成分若しくは多成分繊維、又は単成分と多成分繊維との混合物を含みうる。好ましい実施態様において、エアレイド層の非セルロースステープル繊維は、シース/コア構成を有する二成分繊維を含む。
【0075】
上記ステープル繊維は、典型的には、約15~65mm、特には約20~15mm、より特には約25~45mm、の長さを有する。
【0076】
該毛羽立った布層の秤量は、約1~12gsm、特には約2~8gsm、より特には約2~6gsm、でありうる。好ましい実施態様において、上記毛羽立った布層は、約2~4gsmである秤量を有する。
【0077】
幾つかの実施態様において、本発明に従う複合シート物質は、高パーセンテージの持続可能材料を含みうる。例えば、該複合シート物質は、パッドの総重量に基づいて、少なくとも75重量パーセントの持続可能含有率を有し得、例えば、該複合シート物質の少なくとも80重量%、85重量%、90重量%、95重量%又は100重量%であるバイオベース材料含有率を含む。
【0078】
III.複合シート物質を調製するシステム及び方法
有利には、本発明のシステム及び方法は、該スパンボンド層の表面上への相対的に軽量の毛羽立った層の堆積を可能にする。さらに、該システム及び方法は、該スパンボンド層への該毛羽立った布層の、相対的に高加工速度での堆積を可能にする。上記で簡潔に述べられたように、慣用的なカーディングプロセスは典型的には、スパンボンド布が調製される速度よりも大幅に遅い加工速度(例えば、100~250m/分)で運転する。例えば、スパンボンド布を調製する為の典型的なライン速度は、約800~1,200m/分である。結果として、1以上のスパンボンド層と、毛羽立った層とを含む複合シート物質を、連続インラインプロセスにおいて調製するのは困難であった。
【0079】
図3を参照すると、複合シート物質を調製する為のシステム及び関連するプロセスが示され、参照番号40で表されている。示されるように、システム40は、第1のスパンボンドビーム42を含み、ポリマー源(すなわち、ホッパー)44は、押出機48を介してスピンビーム46と流体連通している。図3は、2つのポリマー源44及び2つの押出機48を有する実施態様を例示しているが、当業者によって理解されるように、該システムは、特定の用途にに向けられた、任意の数のポリマー源(例えば、PLA、合成ポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等)及び押出機を含みうる。例えば、幾つかの実施態様において、上記スピンビームは、単一のポリマー源及び押出機を含みうる。
【0080】
押出に続き、次いで、該押出されたポリマーは、フィラメントへの紡績の為の複数の紡糸口金(図示せず)に入る。紡績に続き、次いで、該紡績されたフィラメントは、延伸ユニット(図示せず)を介して延伸され(すなわち細くされ)、ディフーザー(図示せず)でランダム化されうる。スピンビーム46は、収集面50に堆積されてスパンボンドウェブを形成するフィラメント49のカーテンを生成する。
【0081】
幾つかの実施態様において、且つ図3に示されるように、上記システムは、複数のスパンボンド連続フィラメントを該スピンビームの出口から引いて該収集面上に置く為に、該収集面の下に配置された吸気源52aを含みうる。
【0082】
カーディングデバイス54は、スピンビーム46の下流に位置決めされる。カーディングデバイス54は、複数の繊維を主シリンダー56上に堆積する様々なシリンダー(図示せず)を含む。該カーディングシステムは、ステープル繊維源55a、並びにステープル繊維を主シリンダー56上に堆積する、複数の関連するロール及びデバイス(例えば、フィードローラー、クリアラローラー、転送ロール等(まとめて、参照記号55bとして示す))を含む。該主シリンダーは、複数のより小さいシリンダー(図示せず)と組み合わせて、該ステープル繊維を分離し整列させるカーディングワイヤを有する。様々なシリンダー、及びカーディングデバイスと関連するローラーが当業者に知られており、従って、これらの特徴についてのさらなる議論は、本発明のシステム及び方法の範囲を理解する為に必要ではないことが認識されるべきである。慣用的なカーディングシステムにおいて、該カーディングデバイスはまた、該毛羽立った繊維を該主シリンダーから取り外すのに利用される1以上のドッファ及びテークオフロールを含む。本システムにおいて、該ドッファ及び関連するロールは、以下で説明されるようにエアマニホールドで置き換えられる。
【0083】
エアマニホールド58は、収集面50上の主シリンダー56の下流側に位置決めされる。エアマニホールド58は、毛羽立った繊維71を該主シリンダーの表面から取り除き、該エアマニホールドの幅に沿って横方向に延在する入口(例えば、連続スロット又は半連続スロット)を介して該エアマニホールドの内に進入させるのに十分な気流速度で主シリンダー56の表面に衝突する空気流れを導入するように構成され且つ配置される。次いで、空気と取り除かれた繊維との組み合わせは、該エアマニホールド内の中心チャネルを通って流れ、繊維出口(例えば、第2の連続スロット又は半連続スロット)から放出される。次いで、放出繊維流59は、該スパンボンド層の表面上に、実質的に均一な相対的に軽量のけば立たせられた布層として堆積される。該エアマニホールドの該繊維出口は典型的には、該収集面の表面から約2~5cm上、特には該収集面の表面から約2~3cm上、に位置決めされる。
【0084】
一般に、該シリンダーの表面にぶつかる空気の気流速度は、該繊維を該シリンダーの表面から取り除き、該エアマニホールドを通して該繊維を運ぶように選択される。
【0085】
幾つかの実施態様において、吸気源60は、該取り除かれたステープル繊維を該エアマニホールドの出口から引き出して該収集面上に置く為に該収集面の下に配置される。
【0086】
図4を参照すると、エアマニホールド58の横断面図が、主シリンダー56及び該収集面と関連して示されている。図5A及び5Bは、それぞれ、エアマニホールド58a及び58bの見取図を示している。該エアマニホールドは、近位端70a及び遠位端70bを有する。空気源(図示せず)と連通した空気入口72は、該エアマニホールドの該近位端に向かって配置される。典型的には、該空気源は、所望の気流速度及び圧力で、定常の空気流れを提供する送風機又はコンデンサーを含む。気流は、空気入口72を介して該エアマニホールドの内部空間70c内に導入される。該空気流れは、該空気入口から、エアマニホールドの遠位端70bに向かって流れ、そこから繊維出口74を介して放出される。
【0087】
繊維出口74は典型的には、該繊維分布出口の幅を横切って横方向に延在する連続的又は半連続的スロット又はチャネルを含む。言い換えると、該繊維出口は、該収集面に対して交差方向に延在する。一般に、該繊維出口の横幅は、約1.75~6.5cm、特には約2~5.5、より特には約2.5~5cm、である。
【0088】
該エアマニホールドの内部空間70cは、およそ主シリンダー56の交差方向幅である幅Wを有する内部チャネル70dを画定する。該エアマニホールドは、該エアマニホールドの交差方向幅を横切って横方向に延在し、空気入口72の下流に配置された繊維入口76を含む。該繊維入口は典型的には、該空気マニホールドの幅を横切って横向きに延在する長さを有する連続的又は半連続的スロット又はチャネルを含む。一般に、該繊維入口の横幅は、約1~2cm、特には約2~5.5、より特には約3~5cm、である。
【0089】
好ましくは、内部チャネル70dを通って流れる気流は、繊維入口76を介して該主シリンダーの表面に接線方向にぶつかる。つまり、該気流及び接平面によって画定される角度が、該接平面に対して10°未満、特には5°未満、であるように、該気流は実質的に180°の角度で該主シリンダーの曲面点にぶつかる(すなわち、接平面(図4の線75を参照されたい)は、該気流が主シリンダーの表面にぶつかる点で画定される)。好ましくは、該気流及び該接平面によって画定される角度は、約0°~5°、特には約1°~4°、である。
【0090】
図5Aで例示される実施態様において、上記エアマニホールドの遠位端70bは、該先に調製されたスパンボンド層の表面を横切って断面方向に、均一な繊維流を放出するように構成され且つ配置された繊維出口74を有する繊維分布部材77を含む。該繊維分布部材は、繊維入口72の下流に配置され、一般に、繊維出口74に近づくにつれて増加する横幅LWを有する、拡大する空気プレナムを有する。該繊維分布部材の該広がる横幅は、該繊維が該エアマニホールドから放出される際にその速度を減少させるのを助ける。幾つかの実施態様において、上記エアマニホールドの遠位端70bの横幅は、該エアマニホールドの該近位端の横幅よりも約20~250%、特には約40~100%、大きく、より特には、該エアマニホールドの該近位端の横幅よりも約50~75%大きい。
【0091】
図5aにさらに示されるように、該エアマニホールドはまた、繊維入口76と繊維出口74との間に配置された一連の曲り部(bend)80a、80bによって例示されるように非直線形状を有しうる。ここで、湾曲部は、概してs字形状を有することが分かる。幾つかの実施態様において、上記エアマニホールドは、単一の湾曲部又は複数の湾曲部(例えば、1~6つの湾曲部、又は1~4つの湾曲部)を含みうる。湾曲部の存在は、繊維出口74から放出される前に該気流及び繊維の速度を減少させるのを助ける。他の実施態様において、上記湾曲部は、1以上の角度のある表面、例えば、10~90°、特には約20~30°、の角度を画定しうる。
【0092】
図5bは、該エアマニホールドの横幅LWが空気入口72と該空気出口との間で比較的に一定のままであるエアマニホールド58bの実施態様を示している。特には、この実施態様において、上記エアマニホールドの横幅は、該エアマニホールドの遠位端70bに近づくにつれて外に向かって、横向きに拡大しない。図5bに示される実施態様はまた、曲り部(bends)又は湾曲部(curves)、例えば図5aの実施態様において示されるもの、を含まない。
【0093】
使用の間、空気流れは、該入口チャネルを介して、該エアマニホールドに導入される。該空気流れは、内部チャネル70dを通って流れ、該主シリンダーの表面上に衝突して該主シリンダーの表面から該繊維を取り除く均一な空気流れを提供する。次いで、該取り除かれた繊維を含む空気流れは、該エアマニホールドの本体に引き出される。次いで、取り除かれた繊維と空気との組み合わせ流は、該エアマニホールドの内部チャネル70dを通り、該繊維分布部材に流れ、繊維出口74から放出される。該放出された繊維は、該スパンボンド層の表面上で回収される。該毛羽立った繊維は、均一で軽量の布層として堆積される。好ましくは、該エアマニホールドを通って流れる該気流の速度は、主シリンダー56の回転速度よりも大きく、これは、該繊維が該エアマニホールドを通って流れる間にこれを該気流に乗せるのを助ける。
【0094】
例示された実施態様において、上記エアマニホールドは、空気が該シリンダーの表面に衝突し、次いで該気流を引っ張り、繊維入口に繊維を取り除く、単一の該繊維入口を含む。他の実施態様において、上記エアマニホールドは、該繊維空気入口の上流に配置され、また該エアマニホールドの長さを横切って延在する分離気流を含みうる。この実施態様において、上記気流の一部が該空気出口を出、該繊維が該シリンダーから取り除かれる。次いで、該取り除かれた繊維及び気流は、該繊維入口を通って該エアマニホールドに流れて戻り、続いて、該繊維出口から繊維流として放出される。
【0095】
図3を参照すると、該システムは、カーディングデバイス54の下流に配置された任意選択の第2のスパンボンドビーム90を含みうる。第1のスパンボンドビーム42におけるように、該第2のスパンボンドビームは、押出機98を介してスピンビーム96と流体連通しているポリマー源(すなわち、ホッパー)92を含む。図3は、2つのポリマー源92及び2つの押出機98を有する実施態様を例示しているが、該システムは、上記で論じられたように任意の数のポリマー源を含みうる。
【0096】
幾つかの実施態様において、且つ図3に示されるように、上記システムは、該複数のスパンボンド連続フィラメントを該第2のスピンビームの出口から該収集面上に引く為に該収集面の下に配置された吸気源52bを備えうる。
【0097】
図3は、3つの別々の吸気源(例えば、52a、52b及び60)を示しているが、該システムは、さらなる吸気源、又は該スパンボンドビーム及び該カーディングデバイスの各々の下に延在する単一の吸気源を含みうることが認識されるべきである。
【0098】
該層のうちの1以上の堆積に続き、次いで、該複合シート物質は、接合工程にかけられる。接合は、熱接合、機械による接合又はその組み合わせを含む公知の接合技術を使用して実施されうる。
【0099】
好ましい実施態様において、上記複合シート物質は、水流絡合ユニット100による水流絡合を介して接合される。水流絡合ユニット100は、隣接する層の繊維を互いに水流絡合して、1以上のスパンボンド層とけば立たせられた布層とを含む接着複合シートを形成するように複合シート物質に対して方向付けられた複数の水噴射機102を含む。水流絡合に続き、該複合シート物質は、1以上のオーブン(図示せず)を通過させられて、複合シート物質を乾燥しうる。
【0100】
幾つかの実施態様において、上記複合シート物質は、熱により接合され、例えば、通気接合又は熱点接合、されうる。通気接合において、加熱されたガス、例えば空気、の流れが、該複合シート物質を通して導入される。例えば、一つの実施態様において、上記複合シート物質は、該スパンボンド繊維の溶融温度をよりも高い温度に加熱されたオーブンを通過し、これは、該スパンボンド繊維のポリマー成分を、少なくとも部分的に軟化させ、流れて、冷却時に該繊維が、隣接する天然ステープル繊維に融合及び接合する。
【0101】
該複合シートは、任意の数のスパンボンド及び毛羽立った布層を含み得、これは、交互配列で構成されることも又はされないこともあることが認識されるべきである。上記の方法は、一般に、該スパンボンド布が、該毛羽立った布層と同じ製造ラインで調製される連続インラインプロセスに関して記載されたが、該複合シート物質は、該収集面上で広げられた、先に調製されたスパンボンド布(例えば、ロール形態で提供される)を提供し、次いで、続いて、上記で論じたように、該毛羽立った布層を該スパンボンド布の表面上に堆積することによって調製されうることも認識されるべきである。
【0102】
有利には、上記で論じられたカーディングデバイスの使用は、慣用的なスパンボンド布が調製される速度に近い及び/又はそれを超えるライン速度での複合シート物質の製造を可能にすることが発見された。ある特定の実施態様によると、例えば、該システムは、約600m/分を超えるライン速度で該複合シート物質を調製するように構成されうる。他の実施態様において、例えば、上記システムは、約800m/分~約1,200m/分のライン速度で該複合シート物質を調製するように構成されうる。
【0103】
IV.吸収性物品
本発明に従う複合シートは、多種多様な物品、特には多様な吸収性物品、に使用されうる。例えば、該複合シート物質は、おむつ及び成人失禁用物品の製造において、トップシート、バックシート、ウエストバンド、耳及びバックシートカバーの調製の為に使用されうる。該複合シート物質はまた、パッド及びライナーを含む女性用衛生物品の製造に使用されうる。
【0104】
他の実施態様において、上記複合シート物質は、ベッドパッド、例えば病院用ベッドパッド、及び吸収性拭き取り布製品の製造の為に使用されうる。
【0105】
図6を参照すると、本発明の実施態様に従う吸収性物品(「おむつ」)の実施態様が示されており、参照記号120で広く表示されている。おむつ120は、吸収性コア124がその中に配置されたところのコア領域122を含む。シャーシ領域126は、コア領域122を取り囲む。該シャーシ領域は、前面128、背面130及びウエスト領域132を含む。コア領域122は、一般に、おむつの股領域に位置決めされ、少なくとも部分的に該おむつの前面128及び背面130領域に延在する。
【0106】
図6に示されるおむつは、一般に、吸収パンツのように着用者の胴体の下部を包むことが意図される。示されるように、該おむつは、着用者の脚が挿入される脚用開口部134a、134bを含みうる。図6の実施態様には例示されていないが、該おむつはまた、流体又は滲出物を該おむつ内に含有する為に、該脚用開口部の周縁に配置された伸縮性カフを含みうる。
【0107】
幾つかの実施態様において、上記おむつはまた、ウエスト領域132及び脚用開口部134a、134bのうちの1以上の周囲に配置された伸縮性要素136を含みうる。該伸縮性要素は、該おむつの該トップシートとバックシートとの間に収縮性に取り付けられた伸縮性ひも又は糸を含みうる。
【0108】
他の実施態様において、上記おむつの前面及び背面領域は、超音波、熱、接着シール等により、隣接する縦方向端部に沿って互いに互いに連結されうる。
【0109】
前面、背面及びコア領域で構成される該シャーシ領域は、一般に、互いに相対する面に沿って取り付けられてそれらの間に吸収性コアが配置される空洞が画定される液体浸透性トップシート及び液体不浸透性バックシートを含む複合構造を有する。この点について、図7は、図6の線7-7に沿って取ったおむつの断面を示しており、トップシート140とバックシート142との間に挟まれた吸収性コア124が示されている。
【0110】
トップシート
トップシート140は、吸収性コア124の外面に隣接して位置決めされ、好ましくは、それに及びバックシート142に、連結手段(図示せず)、例えば当技術分野で周知もの、によって連結される。例えば、トップシート140は、吸収性コア124に、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターン付きの層、又は接着剤の別々の線、渦巻若しくは点のアレイによって固定されうる。
【0111】
連結おむつ要素の文脈において、語「連結された」は、ある要素が、該要素を他の要素に直接はり付けることによって該他の要素に直接固定される構成、及び該要素が中間部材にはり付けられ、次にそれが該他の要素にはり付けられることによって該他の要素に間接的に固定される構成を包含する。本発明の好ましい実施態様において、トップシート140及びバックシート142は、おむつ周辺部144において互いに直接連結され、連結手段(図示せず)によってそれらを吸収性コア124に直接連結することによって間接的に連結される。
【0112】
有利には、トップシート140は、該複合シート物質(図1及び2、参照記号10、10’を参照されたい)を含む。この点について、該複合シート物質は、変形しやすく(compliant)、柔らかい感覚であり、着用者の皮膚に刺激のないトップシートを提供する。さらに、トップシート140は、その厚さを通して液体(例えば、尿)を容易に浸透させる液体浸透性である。特には、該複合体が2層構造を含む実施態様において、天然繊維を含む上記毛羽立った繊維層は、有利には、該おむつの内部に向けて配向される。言い換えると、該毛羽立った繊維層は、着用者の皮膚に面して堆積される。
【0113】
幾つかの実施態様において、トップシート140は、疎水性材料で作製されて、着用者の皮膚を吸収性コア124に含有された液体から分離するのを助ける。一般に、該トップシートを形成する為に該複合シート物質が使用される実施態様において、上記複合シート物質は、約10~17gsmの秤量を有する。
【0114】
幾つかの実施態様において、上記トップシートは、界面活性剤で処理されて、該トップシートを通した該吸収性コアへの液体の適切な移動を確実にするのを助けうる。好適な界面活性剤の例は、商品名NuwET(商標)237でMomentive Performance Materialsから入手可能である。
【0115】
バックシート
バックシート142は、吸収性コア124の相対する面に隣接して位置決めされ、好ましくは、それに、連結機構(図示せず)、例えば当技術分野で周知もの、によって連結される。好適な連結機構は、トップシート140を吸収性コア124に連結することに関して記載されている。あるいは、該連結手段は、当技術分野で公知であるように、熱接合、圧力接合、超音波接合、機械による動的接合、又は任意の他の好適な連結手段若しくはこれらの連結機構の組み合わせを含みうる。
【0116】
バックシート142は、液体(例えば、尿)に対して不浸透であり、他の可撓性液体不浸透材料も使用されうるが、好ましくは、該複合シート物質に連結される薄プラスチックフィルムから製造される。本明細書で使用される場合、語「可撓性」は、変形しやすく、一般形状及び人体の輪郭に容易に沿う材料を云う。バックシート142は、吸収性コア124に吸収及び含有された浸出液が、おむつ120と接触する物品、例えば、敷布及び下着、を湿らせるのを防ぐ。バックシート142は、好ましくは、該複合シート物質又は複合材料、例えば不浸透フィルム及び複合シート物質の組み合わせ、を含む。幾つかの実施態様において、上記バックシートは、約0.012mm(0.5mil)~約0.051mm(2.0mil)の厚さを有しうる。
【0117】
図8を参照すると、本発明の実施態様に従う吸収性物品のさらなる実施態様が例示されており、ここでは、該吸収性物品は、参照番号200で広く表示される女性用衛生用パッドの形態である。
【0118】
パッド200は、トップシート202、バックシート204及びそれらの間に配置された吸収性コア206を含みうる。好ましくは、トップシート202及びバックシート204は、相対する外側端部に沿って互いに連結されて、パッド200の周辺部210に延在する連続継目208を画定する。連続継目208は、該トップシート及びバックシートの互いの熱接合から形成されたヒートシールを含みうる。他の実施態様において、連続継目208は、該トップシート及びバックシートを互いに接着接合することによって形成される。
【0119】
上記で論じられた実施態様におけるように、トップシート及びバックシート202、208のうちの1以上は、本発明の1以上の実施態様に従う複合シートを含みうる。
【0120】
幾つかの実施態様において、パッド200はまた、吸収性コア206とトップシート202との間に配置された流体捕捉層212を含みうる。流体捕捉層212の為に好適な材料は、既に論じられている。
【実施例1】
【0121】
以下の実施例は、本発明の1以上の実施態様を例示する為に提供され、本発明を制限するものとして解釈されるべきでない。
【0122】
下記の材料が、実施例において使用された。
【0123】
「SB」は、連続ポリプロピレンフィラメントを含むスパンボンド布を云う。該布は、10gsmの秤量を有し、およそ10パーセントの接合面積を有する熱カレンダーロールで軽く(すなわち、低温及び圧力)接合された。
【0124】
「SB-BICO」は、ポリエチレンで構成されるシースとポリプロピレンで構成されるコアとを50/50の比で含む連続二成分フィラメントで構成されるスパンボンド布を云う。該布は、28gsmの秤量を有し、およそ10パーセントの接合面積を有する熱カレンダーロールで軽く(すなわち、低温及び圧力)接合された。
【0125】
「CFL」は、綿ステープル繊維で構成された、毛羽立った布層を云う。該綿ステープル繊維は、漂白されておらず、25mmの平均長さを有した。該繊維は、製品名TRUECOTTON(商標)でTJ Beall Companyによって提供された。
【0126】
「RB」は、樹脂接合布を云う。該RB布は、43gsmの秤量を有し、2つの異なるステープル繊維:6デニールポリエチレンテレフタレート(PET)及び9デニールPETの50:50ブレンドであった。該繊維は、スチレンブタジエンゴム(SBR)樹脂と接合された。
【0127】
下記の実施例において、本発明に従う複合シート物質は、下記の手順を使用して調製された。既に調製された布(例えば、SB、SB-BICO又はRB)は、ロールで提供された。該布は、巻き外され、収集面上に堆積され、次いで、1メートルの幅を有するHollingsworth Carding Machineに向けて進められた。該カーディング機は、上記並びに図4及び5で示されるように、ドッファをエアマニホールドで置き換えることによって変更された。25mmの長さを有する綿ステープル繊維は、該カーディング機の主シリンダー上に導入された。該綿繊維は、製品名TRUECOTTON(商標)でTJ Beall Companyによって提供された。空気流れが該エアマニホールドに導入され、次いで、該シリンダーの表面に対して衝突されて該シリンダーから該繊維が放出した。該綿ステープル繊維は、7gsmの平均秤量を有する均一な毛羽立った布層として該スパンボンド層の表面上に堆積された。
【0128】
次いで、該複合シート物質が、Fleissner水流絡合ユニット及び乾燥機(1メートル幅)により水流絡合された。該水流絡合ユニットは、1つの事前湿潤噴射機及び2つの高圧水噴射機を含んだ。水流絡合に続き、該複合シート物質は、105~125℃の温度のオーブンを通過した。水流絡合及び乾燥の為のプロセス条件が、以下の表1に提供される。
【0129】
試料7~9及び14~15において、さらなるSB布層がロールで提供され、次いで、該毛羽立った布層に重ねられて堆積された。
【0130】
【表1】
【0131】
特許請求の範囲の要約
【0132】
1.複合シート物質を調製する為のシステムであって、
不織布源と、
その上に不織布が堆積される収集面と、
該不織布源の下流に且つ該収集面に重ねられて配置されたカーディングデバイスと、ここで、該カーディングデバイスは主シリンダーを備えている、
空気流れを提供するように構成された空気源と、
前記空気源と連通した空気入口、空気出口、繊維入口、内部チャネル、及び繊維出口を有するエアマニホールドと、ここで、該シリンダーの表面に配置された繊維が取り除かれ且つ前記気流内に集められ、次いで、前記集められた繊維が前記繊維入口内に、そして前記内部チャネルを通って前記繊維出口へと流れ、該繊維出口において前記繊維が前記不織布の表面上に堆積されるように、該空気出口は前記気流を前記シリンダーの表面に対して方向付けるように位置決めされ且つ構成されている、及び
前記カーディングデバイスの下流に配置された接合ユニットと
を備えている、前記システム。
【0133】
2.前記不織布源が、前記収集面より上に配置されたスパンボンドビームを備えている、請求項1に記載のシステム。
【0134】
3.前記スパンボンドビームが、単成分又は多成分のフィラメントを生成するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【0135】
4.前記カーディングデバイスの下流に配置された第2のスパンボンドビームをさらに備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【0136】
5.前記第2のスパンボンドビームが、単成分又は多成分のフィラメントを生成するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【0137】
6.前記接合ユニットが、水力絡合ユニットを備えている、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム
【0138】
7.前記水力絡合ユニットの下流に配置された乾燥オーブンをさらに備えている、請求項6に記載のシステム。
【0139】
8.前記接合ユニットが、通気接合機を備えている、請求項1~5のいずれか1項に記載のシステム。
【0140】
9.前記エアマニホールドが、該空気入口と該空気出口との間に配置された空気プレナムを備えており、該プレナムが、該空気入口から該空気出口へと広がる幅を有する、請求項1に記載のシステム。
【0141】
10.前記空気出口及び繊維入口が、単一の連続チャネルを有している、請求項9に記載のシステム。
【0142】
11.前記繊維出口の幅が、前記不織布の幅に近似している、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【0143】
12.前記収集面の下に配置された1以上の吸気源をさらに備えている、請求項1~11のいずれか1項に記載のシステム。
【0144】
13.前記システムのライン速度が、600~1,200m/分、特には800~1,200m/分、である、請求項1~12のいずれか1項に記載のシステム。
【0145】
14.複合シート物質を調製する方法であって、
不織布層を収集面上に堆積すること、
複数のステープル繊維をカーディングデバイスに導入すること、ここで、該ステープル繊維が、該カーディングデバイスの主シリンダーの表面に堆積される、
気流を、エアマニホールドを介して該主シリンダーの表面に対して方向付けて、該表面から該繊維を取り除くこと、
該取り除かれた繊維を、該エアマニホールドの繊維入口へと集めること、
該取り除かれた繊維を、繊維出口から該不織布の表面上に放出して、毛羽立った布層を形成すること、及び
該不織の毛羽立った複数の布層を接合して、複合シート物質を形成すること
の工程を含む、前記方法。
【0146】
15.不織布層を堆積する前記工程は、複数の連続フィラメントをスピンビームから押出して、該不織布層を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【0147】
16.該毛羽立った布層に重ねて第2の不織布層を堆積する工程をさらに含む、請求項14又は15に記載の方法。
【0148】
17.接合する前記工程が通気接合を含む、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
【0149】
18.接合する前記工程が、複数の流体噴射を該複合シート物質に当てることを含む、請求項14~17のいずれか1項に記載の方法。
【0150】
19.前記不織布が、スパンボンド又は樹脂接合された不織布である、請求項14~18のいずれか1項に記載の方法。
【0151】
20.前記不織布が、単成分又は多成分のフィラメントを有するスパンボンド布を含む、請求項14~19のいずれか1項に記載の方法。
【0152】
21.前記複合シート物質が、7~60gsmの秤量を有する、請求項14~20のいずれか1項に記載の方法。
【0153】
22.前記ステープル繊維が天然繊維を含む、請求項14~20のいずれか1項に記載の方法。
【0154】
23.前記ステープル繊維が綿繊維を含む、請求項14~20のいずれか1項に記載の方法。
【0155】
24.前記不織布及び前記毛羽立った布層が、600~1,200m/分のライン速度で堆積される、請求項14~23のいずれか1項に記載の方法。
【0156】
請求項14~24のいずれか1項に記載の1以上の方法に従って調製された複合シート物質。
【0157】
本明細書に記載された本発明の多くの修正及び他の実施形態は、前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有するこれらの発明が関係する当業者に思い浮かぶであろう。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、修正及び他の実施形態は添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることを理解されたい。それ故に、本明細書内で特定の用語が用いられているが、それらは一般的且つ説明的な意味でのみ使用されており、限定の目的でない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8