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特許7185770ベルトスクレーパ及びベルトスクレーパの操作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】ベルトスクレーパ及びベルトスクレーパの操作方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 45/16 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
B65G45/16 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021514389
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019074729
(87)【国際公開番号】W WO2020064405
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-12
(31)【優先権主張番号】102018123799.5
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521101376
【氏名又は名称】ホッシュ フェルデルテクニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイマン,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】キール,マーティン
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-106710(JP,A)
【文献】実開平02-037121(JP,U)
【文献】特表2016-502965(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017114931(DE,A1)
【文献】国際公開第2018/127260(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0174441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 45/00-45/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト(12)に当接させられるスクレーパ要素(22,24)と、
前記スクレーパ要素(22,24)を前記ベルト(12)に向けて付勢するトルクを生成する螺旋バネであるバネ要素(42)と、
前記スクレーパ要素(22,24)と一体的に回動軸線(30)回りに回転する回動アーム(36)と、
前記回動アーム(36)にヒンジ結合されたロッド(38)と、
コンベアフレームに対してヒンジ結合されると共に前記ロッド(38)を移動可能に収容するハウジング(40)と、
前記スクレーパ要素(22,24)の前記回動軸線(30)回りの回転角度(a)を決定するべく、前記ロッド(38)に設けられたインデックス部(46)及び前記ハウジング(40)に設けられた検出部(48)を有し、前記検出部(48)に対する前記インデックス部(46)の位置を検出する非接触式センサ(44)と、
を含む、
ことを特徴とするベルトスクレーパ。
【請求項2】
前記バネ要素(42)は、前記ハウジング(40)内に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のベルトスクレーパ。
【請求項3】
ベルト(12)に当接させられるスクレーパ要素(124)と、
前記スクレーパ要素(124)を前記ベルト(12)に向けて付勢するトルクを生成する捩り棒バネであるバネ要素と、
前記スクレーパ要素(124)と一体的に回動軸線(130)回りに回転する回動アーム(136)と、
前記回動アーム(136)を前記回動軸線(130)回りに回動自在に支持する不動のシステムキャリア(126)と、
前記スクレーパ要素(124)の前記回動軸線(130)回りの回転角度(a)を決定するべく、前記回動アーム(136)に設けられたインデックス部(46)及び前記システムキャリア(126)に設けられた検出部(48)を有し、前記検出部(48)に対する前記インデックス部(46)の位置を検出する非接触式センサ(44)と、
を含む、
ことを特徴とするベルトスクレーパ。
【請求項4】
前記回動アーム(136)を前記回動軸線(130)回りに回動自在に支持するジョイント(164)を含み、
前記バネ要素は、前記ジョイント(164)内に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のベルトスクレーパ。
【請求項5】
前記インデックス部(46)は、電気接続が不要であり、
前記検出部(48)は、電気的な検出分析回路(52)を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載のベルトスクレーパ。
【請求項6】
前記検出分析回路(52)には、それに電力を供給するために及び/又は前記インデックス部(46)の位置の電気信号(S)を送信するために電気接続ケーブル(50)が接続されている、
ことを特徴とする請求項5に記載のベルトスクレーパ。
【請求項7】
前記回動アーム(36,136)は、前記回動軸線(30,130)から、前記スクレーパ要素(22,24,124)の方向と90°を超える角度なす方向に延びている、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載のベルトスクレーパ。
【請求項8】
前記インデックス部(46)は、少なくとも一つの磁気要素を含み、
前記検出部(48)は、少なくとも一つの磁場センサ要素(54)を含む、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載のベルトスクレーパ。
【請求項9】
前記スクレーパ要素(22,24)及び前記非接触式センサ(44)は、前記回動軸線(30)の方向において、互いに距離を置いて配置されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のベルトスクレーパ。
【請求項10】
前記スクレーパ要素(22,24)は、前記コンベアフレームに対してベアリング(28)を介して回動自在に支持された軸要素(32)と一体的に回転可能なトラバースキャリア(26)上に配置され、
前記ベアリング(28)は、前記回動軸線(30)の方向において、前記非接触式センサ(44)と前記スクレーパ要素(22,24)との間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1,2,9いずれか一つに記載のベルトスクレーパ。
【請求項11】
前記回動軸線(30,130)は、前記ベルト(12)の走行方向から視て、前記非接触式センサ(44)と前記スクレーパ要素(22,24,124)の間に配置されている、
ことを特徴とする請求項1ないし10いずれか一つに記載のベルトスクレーパ。
【請求項12】
ベルト(12)に当接させられるスクレーパ要素(22,24,124)と、前記スクレーパ要素(22,24,124)を前記ベルト(12)に向けて付勢するトルクを生成するバネ要素と、前記スクレーパ要素(22,24,124)と一体的に回動軸線(30,130)回りに回転する回動アーム(36,136)と、前記回動アーム(36,136)側に設けられたインデックス部(46)及びコンベアフレーム又は不動のトラバースキャリア(126)側に設けられた検出部(48)を含む非接触式センサ(44)と、を備えたベルトスクレーパの操作方法であって、
前記検出部(48)に対する前記インデックス部(46)の位置を検出し、
前記検出された位置に対応して前記スクレーパ要素(22,24,124)の前記回動軸線(30,130)回りの回転角度(a)を決定し、センサ信号(S)として出力する、
ことを特徴とするベルトスクレーパの操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトスクレーパ及びそれ操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトスクレーパは、種々の異なる搬送材料を搬送するために使用されるコンベアベルトに使用される。スクレーパ要素を走行ベルトと当接するように配置することにより、それに付着している搬送物が掻き(擦り)落とされる。
【0003】
ベルトスクレーパの種々のタイプ及び構造が知られている。例えば、DE102017114931A1には、高速で走行するベルトコンベアの排出ドラムによって形成される方向変更領域のスクレーパシステムが示されている。ベルトコンベアの走行方向を横切る方向に向けられたシステムキャリアには、弾性材料で作られたスクレーパブロックが並んで取り付けられている。このシステムキャリアは、キャリアブラケットによって、キャリアの回転軸線回りに両側で回転可能に吊り下げられている。バネ装置を使用して、排出ドラムの回転方向に対して方向付けられる設定可能なトルクが適用される。キャリアの回転軸線は、そのスクレーパブロックと一緒にシステムキャリアの回避運動が起こり得るような回転角度のあたりでシステムキャリアの回転を可能にする。
【0004】
WO2014/106621A2には、コンベアの戻り領域用のスクレーパ装置のためのベルトスクレーパモジュールが記載されている。幾つかのベルトスクレーパモジュールが、高さを調整できるシステムキャリアに取り付けられている。各モジュールは、システムキャリアに取り付けられた足部と、スクレーパエッジを備えたスクレーパブレードが取り付けられたカッターキャリアを有する。さらに、各モジュールは、二つのジョイントを持つジョイントハウジングを備えたスクレーパ本体を有する。第1のジョイントの回転軸線は、ベルトの走行方向に対して横方向に延びている。第2のジョイントは、カッターキャリアが回転可能に取り付けられ、かつ、カッターキャリアの回転軸線がベルトの走行方向に長尺に延びるブッシングを有する。第1のジョイントには、バネ角度測定とたわみ用の固定ストップが装備されている。一実施形態において、モジュールの側面に装置が設けられ、ラッチストップが回転角の電気的測定のために付加され、そのような装置は、例えばカバーキャップに組み込むことができる。回転角の位置を決定し、デジタル化し、信号に変換することができる。
【0005】
US2007/0029169A1には、コンベアベルトの表面を洗浄するためのスクレーパが開示されている。スクレーパのボデーは、トラバースキャリアに取り付けられた足部と、足部からスクレーパの先端まで延びるスクレーパ要素とを含む。スクレーパは、インサートに埋設された電気センサを含む。一実施形態において、トラバースキャリアは、スクレーパ、回転アクチュエータ、及びブラケットと共に配置され、軸線回りに回動可能に設けられている。空気圧又は油圧式のシリンダ及びピストンを備えたリニアアクチュエーターが、ブラケット及び固定要素に配置されている。アクチュエータは、アクチュエータの位置を表示するための信号を生成するために位置センサを備えることができ、それでスクレーパの位置および洗浄角度を算出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】DE102017114931A1
【文献】WO2014/106621A2
【文献】US2007/0029169A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、プロセスの操作を損なうことなく、可能な限り簡単に、操作状態に関連する情報を正確に決定することを可能にする、ベルトスクレーパ及びその操作方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当該目的は、請求項1に記載のベルトスクレーパ及び請求項12に記載の操作方法によって解決される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態に関連するものである。
【0009】
本発明に係るベルトスクレーパは、ベルトと当接させられる少なくとも1つのスクレーパ要素を有する。スクレーパ要素は、ベルトと当接するとき掻き取り効果を有するのに適した任意のタイプ及び形状のボデーであると理解され得る。例えば、スクレーパ要素は、スクレ―ピング又は非スクレ―ピングの方法でベルトに当接することができる
【0010】
ベルトとの接触面として、平坦又は線形の当接が好ましい。スクレーパ要素は、例えば、DE102017114931に示されるようなブロック形状、又は、WO2014/106621A2に示されるようなブレードとして設計することができる。スクレーパ要素は、プラスチック又は金属、特に硬質金属などの異なる材料から形成されることができる。特に、スクレーパ要素は、複数の部品として、例えば、金属例えば硬質金属から作られたトリムが取り付けられている、プラスチック又はゴムから作られたブロックとして、構成されることができる。
【0011】
スクレーパ要素は、回動軸線回りに回動可能に配置されている。回動軸線は、好ましくは、ベルトの走行方向に対して少なくとも実質的に横方向に、すなわち、例えば、デフレクションドラム又は排出ドラムの回転軸線と平行に延びる。この文脈において、スクレーパ要素は、回動軸線回りの回動運動によってベルトから持ち上げられ得るように回転可能に配置されている。したがって、スクレーパ要素は、ベルトの欠陥又は肥厚した領域などのベルト上の障害物が通過できるようにするために、回動して離れることができる。
【0012】
本発明によれば、スクレーパ要素は、力が加えられてベルトと当接している、すなわち、予め付勢力が及ぼされている。すなわち、回動軸線回りのトルクが、スクレーパ要素に対してスクレーパ要素をベルト上の当接位置に向かわせる方向に作用する。トルクを発生させるために、本発明によれば、少なくとも1つのバネ要素が設けられ、好ましくは、いくつかのバネ要素、例えば、各々の側に少なくとも1つが配置される。バネ要素は、例えば、螺旋バネとして、あるいは例えば、リーフスプリング、捩り棒バネ、板バネ、ブロックバネとして、異なって設計することができる。バネ要素は、例えば、スクレーパ要素と連結されたレバー又は別の機械的要素と相互に作用するバネ装置に配置することができる。この文脈において、バネ要素は、例えば、引張又は圧縮バネとして機能することができる。
【0013】
したがって、動作中、スクレーパ要素は、バネ作用のために予め付勢力が及ぼされているが、バネ力に逆らって弾性的に回転させて離すことができる。したがって、それが回転して離れ、その後、掻き取り位置における元の位置に戻ると、これは可変の回動角度をもたらす。
【0014】
また、バネ要素は、スクレーパ要素のベルトとの特に良好な当接を確実にするために、スクレーパ要素の動きを減衰させるために、少なくとも1つの減衰要素と連結され得る。圧縮バネ又は引張バネとして、例えばゴム又はエラストマーで作られたブロックなどのブロックバネを使用する場合、減衰及びバネ特性を1つの要素で実現することができる。
【0015】
異なるタイプのバネ要素及び/又は減衰要素の組み合わせ、例えば、螺旋バネとブロックバネの組み合わせも可能である。
【0016】
本発明によれば、スクレーパ要素のそれぞれの現在の回転角度を決定するためのセンサが設けられる。本発明によるセンサは、非接触式の測定原理に基づいて機能し、互いに移動可能であり、好ましくは互いに完全に独立している少なくとも1つのインデックス部及び1つの検出部を備える。検出部は、検出部に対するインデックス部の位置を検出するために構成され又適している。好ましくは、検出部は、少なくともインデックス部からの距離を検出するのに適しており、代替的に又は追加的に、方位の検出、すなわち、例えば、検出部に対するインデックス部の回転位置の検出も行え得る。
【0017】
インデックス部の位置の検出によれば、センサは、好ましくは電気信号として、例えば、アナログ電流及び/又は電圧信号として、又、代替的に又は追加的にデジタル信号として、信号を供給することができる。
【0018】
インデックス部の検出は、非接触センサの原理に基づいて行うことができ、例えば、光学(例えば、レーザー、赤外線など)、音波(例えば、超音波)、静電容量、誘導、磁気、磁気誘導などである。好ましくは、インデックス部は自律的であり、すなわち、機械的な取り付けを除いて、機能的な接続、特に電気的な接続は必要ない。例えば、バッテリ、蓄電可能なバッテリ、又はワイヤレス給電による電力供給は考えられるが、インデックス部は、好ましくは、電力供給を必要としない。インデックス部は、検出に使用される媒体(例えば、光学的、磁気的、電気的、音波的なもの)の場及び/又は波を生成又は変更することができる。
【0019】
好ましくは、センサのインデックス部は、少なくとも1つの磁気要素を含むことができ、検出部は、少なくとも1つの磁場センサ要素を含むことができる。磁気要素は、例えば、永久磁石要素であり得る。磁場センサ要素は、例えば、ホールセンサ要素及び/又はコイル配置を備えた軟磁性要素、特に高透磁率を有する軟磁性要素を含むことができる。
【0020】
検出部には、インデックス部の位置を検出するための手段が備えられている。好ましくは、検出部は、インデックス部の位置に依存してセンサ信号を生成するように動作することができる電気的な検出分析回路を有することができる。検出部は、電気回路を動作させるために電源を供給することができる電気接続ケーブルを有することができる。電気接続ケーブルは、代替的に又は追加的に、電気センサ信号を送信するのにも役立つことができる。
【0021】
本発明によれば、インデックス部は、回動軸線から距離をおいてスクレーパ要素に連結された可動要素上に配置されている。
【0022】
スクレーパ要素と連結される可動要素は、例えば、回動運動に連動する運動を生じるようにスクレーパ要素と機械的に連結されるロッド、アーム、又は、別の機械的要素であり得る。例えば、インデックス部は、回動軸線に対して堅固な方法でスクレーパ要素に連結され、それ故に、常にスクレーパ要素と同じ回動運動を生じるアームに取り付けられることができる。可動要素のそのような直接連結とは別に、例えば一つ又は複数のジョイントを介した間接連結もあり得る。例えば、可動要素は、スクレーパ要素又はスクレーパ要素に対して固定されたアームにヒンジ結合される(蝶番式に取り付けられる)ことができる。いずれにせよ、それは、インデックス部が回動軸線から距離をおいて配置された可動部であり、その結果、スクレーパ要素の回動運動は、可動要素、したがってインデックス部のそれに連動する動きを生じる。インデックス部の動きは、例えば、直線、弧、または別のタイプの経路を辿ることができる。いずれの場合も、インデックス部の位置を検出することにより、スクレーパ要素の回動運動に関する結論(決定)を出すことができる。
【0023】
特に、自律的に設計されたインデックス部の場合、この設計には、例えば、ケーブルを介して電気的接続を可動要素に導く必要がないため、利点がある。
【0024】
一方では、回動軸線から離れた位置にインデックス部を配置することで、設計を簡素化でき、例えば、ジョイントの設計は変更しないで、センサは、そのジョイントの外側に、好ましくはジョイントから半径方向の距離をおいて配置することができる。他方では、回動軸線からの距離をおいた回動運動は、より大きなストロークをもたらし、それは距離センサによって十分に検出することができる。例えば、インデックス部は、回動軸線からの距離が、回動軸線からのスクレーパ要素の最先端の縁部までの距離の少なくとも5%、好ましくは少なくとも20%、特に好ましくは50%以上であり得る。
【0025】
好ましい実施形態では、検出部は、不動要素上に、又は、少なくとも、スクレーパ要素よりも不動要素に対して僅かに小さい動きを生じる要素上に、配置することができる。“不動”という文言は、ここでは、例えばベルトの欠陥を通過させるために、スクレーパ要素が回動運動を行うときにその位置を変えない要素として理解されるべきである。好ましくは、不動要素は、ベルトのコンベアフレームに対して固定して静止するように配置される。検出部が完全に静止した要素に取り付けられていない場合、それは、より少ない程度で移動可能な要素に取り付けられることが好ましい。そのような要素は、スクレーパ要素の回動運動と比較して低減された回動運動、すなわち、例えば、大幅に低減された回転角度による回動運動を行う要素であると理解することができ、その回転角度は、例えば、スクレーパ要素の回転角度の半分未満、又は、好ましくはスクレーパ要素の回転角度の4分の1未満である。
【0026】
一実施形態において、回動軸線から伸長しかつスクレーパ要素に連結された回動アームが設けられる。回動アームは、好ましくは、スクレーパ要素が回動運動を行うときに同じ回転角度で回動するように、スクレーパ要素に対して堅固に配置される。好ましくは、回動アームは、スクレーパ要素の方向と鈍角を形成する方向に、すなわち、90°を超える角度で伸長する。これに関連して、回動軸線から回動アームの端部までの方向が回動アームに関して検査され、回動軸線からスクレーパ要素の前縁部までの方向がスクレーパ要素に関して検査される。そのような方向は、好ましくは、その中に囲まれた角度が90°を超えるように、少なくとも実質的に互いに反対方向に配置される。反対の配置により、回動アームは、掻き取り領域からの距離が大きくなるように配置され得る。
【0027】
インデックス要素は、例えば、前述の回動アーム上に配置することができる。代わりに、それはまた、回動アームに連結された要素、例えば、その上にヒンジ結合(蝶番付け)されたロッド上に配置することができる。そのようなロッドは、例えば、プル又はプッシュロッドとして設計することができ、スクレーパ要素に作用するトルクが生成される回動アームに作用する力を伝達するのに役立つ。この目的のために、例えば、バネ要素をロッドに連結することができる。代わりに、トルクを生成するために、バネ要素を回動アームに直接連結することもできる。
【0028】
一実施形態において、ロッドは、周囲のハウジングに対して移動可能にハウジングの内側に取り付けることができ、そこで、センサの検出部はハウジング上に配置され、インデックス部はロッド上に配置される。好ましくは、ハウジングは円筒状であり、ロッドはその中で長手方向に移動し得る。また、好ましくは、センサによって検出されるハウジングに対するロッドの相対移動は、少なくとも実質的に、検出が特に容易な直線移動である。
【0029】
センサは、回動軸線の軸方向において、スクレーパ要素上に直接又はその近くに配置することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、スクレーパ要素及びセンサは、互いに距離を置いて回動軸線の軸方向に配置されることも好ましい場合がある。例えば、センサは、掻き落とされた搬送物によって損なわれないように、ベルト領域から横方向に離れて配置することができる。例えば、スクレーパ要素は、回転可能なシャフト上に配置することができる。少なくとも1つのベアリングを、シャフトを回転可能に取り付けるために設けることができ、互いに離れて配置された2つのベアリングを備えることが好ましい。一実施形態において、センサを、その外側に配置することができ、すなわち、それにより、少なくとも1つのベアリングが、センサとスクレーパ要素との間において軸方向に配置される。
【0030】
一実施形態においては、例えば、ベルトの走行方向に対して横方向に、好ましくは少なくともベルト幅を横切って延びるキャリアを設けることができる。キャリアは、好ましくは不動に配置することができる。キャリア上には、好ましくはスクレーパモジュールの少なくとも足部を取り付けることができ、複数のスクレーパモジュールをキャリアに設けることが好ましい。ジョイントは足部に配置することができ、そこでは、スクレーパ要素が回動可能に、例えば、ジョイントからスクレーパ要素の方向に延びるスクレーパ要素キャリア上に設けられる。好ましくは、検出部はキャリアに取り付けられている。複数のスクレーパモジュールがそれらの足部と共にキャリア上に配置される場合、例えば、ただ1つのセンサが、モジュールの1つに検出部と共に設けられることができ、又は、複数のセンサが設けられ、それら検出部は好ましくは並んでキャリア上に取り付けられる。
【0031】
ベルトの走行方向から視て、センサとスクレーパ要素との間に回動軸線を配置するようにセンサを配置することが有利であることが証明された。したがって、センサは、可能な限り、掻き取り領域から離れた場所に配置される。
【0032】
以下では、本発明の実施形態を、図面を参照してさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】ベルトスクレーパの第1実施形態の斜視図を示す。
図2図1に示すベルトスクレーパの側面図を示す。
図3図2の部分拡大図を示す。
図4図1ないし図3に示すベルトスクレーパにおいて、スクレーパ要素が回転して離れた側面図を示す。
図5図1ないし図4に示すベルトスクレーパにおいて、摩耗発生後の側面図を示す。
図6】複数のスクレーパモジュールを備えたベルトスクレーパの第2実施形態の斜視図を示す。
図7図6に示すスクレーパモジュールの側面図を示す。
図8図6及び図7に示すスクレーパモジュールにおいて、異なる回転位置での側面図を示す。
図9図6ないし図9に示すスクレーパモジュールの正面図を示す。
図10】インデックス部と検出部を備えたセンサの要素の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、コンベアベルト12を備えたコンベアシステム10の一部を示す。ドラム軸16回りに回転するデフレクション排出ドラム14の領域において、ベルトスクレーパ20が第1実施形態に従って配置されている。
【0035】
ベルトスクレーパを使用して、ベルト12上に位置し又部分的に付着した搬送材料がベルト12から掻き(擦り)落とされる。そうすることで、ベルトスクレーパ20は、プレスクレーパとして使用され、すなわち、それはレセプタクルの上に又は搬送材料を受け取るためのシュート(不図示)の上に配置される。
【0036】
ベルトスクレーパ20は、横方向に並んで配列された幾つかのスクレーパブロック22を有する。示される実施形態では、スクレーパブロック22は、プラスチック製の固いボデーとして設計され、その上端には硬質金属製のキャップ24が設けられている。スクレーパブロック22は、図2に示されるように、平坦又は線形の接触領域に沿ってベルト12の表面と接触するようにベルト12に当接させられるスクレーパ要素に相当する。
【0037】
スクレーパブロック22は、回転可能なトラバースキャリア26に取り付けられ、トラバースキャリア26は、スクレーパブロック22がトラバースキャリア26と共に軸要素32の回転により回動軸線30回りに回動可能に配置されるように、ベアリング28に取り付けられた軸要素32内の両側に延びている。
【0038】
ベアリング28上において、バネ装置34は、トラバースキャリア26及び軸要素32のために両側に設けられている。特に図3に示されるように、そのようなバネ装置は、それぞれ、回動軸線30から真っ直ぐに延びる回動アーム36と、その端部にヒンジ結合(蝶番付け)されたロッド38を含む。ロッド38は、円筒状のハウジング40内において直線的に移動可能であり、圧縮バネ42によって長手方向に引っ張り力を受ける。ロッド38及び回動アーム36を介して、トラバースキャリア26上におけるスクレーパブロック22の全体の配列が、ドラム14の回転方向に対して作用するトルクを受け、それにより、スクレーパブロック22は、力でベルト12の表面に押し付けられる。
【0039】
回動アーム36は、スクレーパブロック22に対して堅固に配置され、回動軸線30回りにそれらと一緒に回動することができる。特に図3に示されるように、示された例示的な実施形態では、回動アーム36は、回動軸線30に対してスクレーパブロック22の反対側に配置され、すなわち、回動軸線30からスクレーパブロック22の当接面の前縁部までの第1方向及び軸線30から回動アーム36の端部におけるロッド38のヒンジポイントまでの第2方向が、鈍角Wを形成する。代替の実施形態においては、別の角度W、例えば鋭角をもたらす他の配置を選択することもできる。
【0040】
ウジング40は、コンベア装置10のコンベアフレーム(不図示)に対して完全に不動ではないが、それが回動運動を行えるべく、図3に示すようにコンベアフレームに対してヒンジ結合(蝶番式に取り付け)されている。ハウジング40の動きは、この文脈において、ロッド38、回動レバー36、及びトラバースキャリア26を介して、スクレーパ要素26の動きと連動する。しかしながら、その連結は、ハウジング40が、スクレーパ要素26の回動運動と比較して大幅に低減された動作、すなわち、大幅に低減された回転角度だけの回動運動のみを生じるように設計されている。
【0041】
センサ44は、バネ装置34上に配置され、それで、スクレーパブロック22の角度位置が決定され、電気センサ信号Sとして出力することができる。図3において、一例として、回動軸線30からベルト14上のスクレーパブロック22の当接面の前縁部までの第1方向と(スクレーパブロック22の開始状態では、当接面は、後で示されるように、摩耗のために再配置される)、ここでは基準として水平方向に示される第2方向との間において、回転角度aが示されている。
【0042】
センサ44は、ロッド38の端部にあるインデックス部46と、円筒状のハウジング40の端部に取り付けられた検出部48との間の距離dを検出する。
【0043】
距離dは、スクレーパブロック22の角度位置aに直接依存する。例えば、摩耗が進行する場合(図5)に起こるように、ベルト12の方向へのスクレーパブロック22の回転運動により、角度aは大きくなる。回動レバー36とロッド38による結合を介して、ロッド38の端部とハウジング40の端部との間の距離d、すなわち、センサ44のインデックス部46との検出部48との間の距離も減少する。aとdとの間の相関は、示されている角度範囲においてほぼ線形であり、回動アーム36及びロッド38は互いにほぼ直交するように配置されている。反対方向の回転運動では、スクレーパブロック22がベルト12から離れて回転するとき、角度aは小さくなり、距離dは大きくなる。
【0044】
図10は、センサ44の構造を概略的に示す。好ましい実施形態では、磁気または磁気誘導センサが使用され、インデックス部46は、センサの長手軸の方向に磁化された円板状の永久磁石として設計される。
【0045】
センサの検出部48は、インデックス部46から距離dの位置に配置され、センサハウジング内において、磁場センサ要素54とそれに接続された電気的な検出分析回路52とを備えている。検出分析回路52は、ケーブル接続50を介して電源で作動する。
【0046】
距離dに応じて、インデックス部46の永久磁石は、磁場センサ要素54の位置において異なる磁場を生成し、それにより、磁場センサ要素54の測定可能な物理的特性が変化する。
【0047】
センサのタイプに応じて、異なるタイプの磁場センサ要素54を使用することができる。例えば、ホール素子は、磁場の関数として抵抗が変化する磁場センサ要素54として使用することができる。また、例えば、DE102007062862A1に記載されているように、磁場の関数として透磁率が変化する磁気的に柔らかい材料も使用可能である。
【0048】
検出分析回路52は、磁場を検出するために必要に応じて磁場センサ要素54を作動させ、その測定可能な特性を分析し、それらをセンサ信号Sに変換する。センサ信号Sは、ケーブル接続50を介して電気として、例えば電流又は電圧信号として出力される。
【0049】
センサ信号Sは、距離dに明確に割り当てることができ、その依存性は、好ましくは、スクレーパブロック22の可能な回動範囲内で少なくとも実質的に線形である。
【0050】
センサ信号Sを分析することにより、例えば、スクレーパ要素、この場合はスクレーパブロック22の進行中の摩耗を決定することができる。一例として図5に示すように、スクレーパブロック22と移動するベルト12との一定の当接は摩耗をもたらし、それにより、角度aは動作期間の過程でより大きくなる。これはセンサ信号Sの変化によって示され、それにより摩耗を監視することが可能になり、スクレーパブロック22を交換しなければならないときに表示が与えられる。
【0051】
センサ44は、上述のように、自律的なインデックス部46が、スクレーパ要素24の回動運動と同期して移動する部分、すなわちロッド38に取り付けられるように、スクレーパ20上に配置される。検出部48は、スクレーパ要素24の動きと比較して大幅に低減された動きを生じるほぼ不動の部分、すなわち、バネ装置34のハウジング40に取り付けられている。このように、ケーブル50はハウジング40の僅かな動きのみを補償する必要があり、ケーブルの配線が容易になる。
【0052】
以下においては、第2実施形態に係るスクレーパ120が、図6ないし図9を参照しつつ説明される。スクレーパ120は、コンベアシステム10上に取り付けられている。同じ参照符号は、同じ実施形態を示す。
【0053】
スクレーパ120は、高さ調節が可能であるが回転可能ではなく、幾つかのスクレーパモジュール122が並んで配列された、不動のトラバースキャリア(システムキャリア)126を有する。スクレーパモジュール122の設計及び配置に関しては、WO2014/106621A2においての詳細な説明が参照される。
【0054】
スクレーパモジュール122の1つは、システムキャリア126の軸線に沿った側面図として図7に示され、モジュール回動軸線130に沿った側面図として図8に示され、そして正面図として図9に示されている。それは、ベルト12との掻き取り当接のために設計された硬質金属ブレード124を含み、そのようなブレードは、モジュール回動軸線130回りにおいてジョイント164内で回動可能なカッターキャリア162に取り付けられている。ジョイント164を支える足部166は、システムキャリア126に設けられている。スクレーパモジュール122は、モジュール回動軸線130が水平に方向付けられてベルト12の走行方向に対して実質的に横切って延びるがシステムキャリア126の長手軸に正確には対応しないので、横方向に対して小さな角度で傾斜している。
【0055】
カッターキャリア162及びそれに取り付けられたブレード124は、図8示されるように、モジュール回動軸線130回りに回動可能となるようにジョイント164に配置されている。回転角度aは、例えば、図8に示されるように、モジュール回動軸線130からブレード124の前縁部までの方向と水平線との間として定義することができる。
【0056】
ジョイント164内において、捩りバネ(不図示)が、ブレード124がベルト12と当接する方向に押されるトルクをカッターキャリア162が受けるように、作用する。
【0057】
ブレード124の前縁部は、ベルト12の表面に当接している。ベルト12が走行するとき、付着した搬送材料が掻き(擦り)落とされる。
【0058】
回動アーム136は、モジュール回動軸線130回りに回動可能となるように、カッターキャリア162に対して堅固に取り付けられている。回動アーム136は、カッターキャリア162の延長部に取り付けられ、示された例ではクランプされ、カッターキャリア162及びブレード124の回動は、回動アーム136と同様の回転運動をもたらす。
【0059】
センサ44は、カッターキャリア162及びブレード124の回転角度aを検出するように配置されている。センサ44は、回動アーム136の端部に設けられたインデックス部46と、システムキャリア126に取り付けられた検出部48とを備えている。
【0060】
センサ44は、図10を参照して前述されたものと同じセンサであり、すなわち、インデックス部46からの距離dは、検出部48によって検出され、その距離は、ケーブル接続50を介してセンサ信号Sとして出力される。
【0061】
距離dは、例えば図8に示されるように、カッターキャリア162及びブレード124によって取られる位置、すなわち、角度aに依存する。ブレード124がベルト12との当接から離れるように回転すると(図8の点線で示される)、ベルト12上の障害物を掻き落とすことができない場合に起こるように、角度aは、例示されるように値a1まで大きくなり、距離dはより大きな値d1になる。
【0062】
ブレード124の漸進的な摩耗に伴い、角度aしたがって距離dは減少する。
【0063】
センサ信号Sでは、両方の状況が認識可能であるため、例えば、第1実施形態の文脈で説明されたように、摩耗の進行を監視することが可能である。
【0064】
第2の実施形態では、検出部48は、不動要素、すなわち、システムキャリア126に取り付けられ、それにより、単純なケーブル配置が保証される。インデックス部46は、可動要素、すなわち、回動アーム136上に配置されている。
【0065】
回動アーム136は、モジュール回動軸線130を基準として、ブレード124の方向と実質的に反対の方向に延びており、すなわち、モジュール回動軸線130からブレード124の前縁部までの第1方向とモジュール回動軸線130から回動アーム136の端部のインデックス部46までの第2方向とは、鈍角を形成する。ベルト12(図7)の走行方向から視て、ジョイント164は、回動アーム136の端部とブレード164との間のモジュール回動軸線130上に配置されている。したがって、センサ44は、ブレード124から十分に離れており、それにより、掻き落とされた搬送材料によって損なわれることはない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10