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特許7185776反時計回りと時計回りとの渦の間で交互にされた周方向列にインジェクタ構成要素を有したインジェクタ
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  • 特許-反時計回りと時計回りとの渦の間で交互にされた周方向列にインジェクタ構成要素を有したインジェクタ 図1
  • 特許-反時計回りと時計回りとの渦の間で交互にされた周方向列にインジェクタ構成要素を有したインジェクタ 図2
  • 特許-反時計回りと時計回りとの渦の間で交互にされた周方向列にインジェクタ構成要素を有したインジェクタ 図3A
  • 特許-反時計回りと時計回りとの渦の間で交互にされた周方向列にインジェクタ構成要素を有したインジェクタ 図3B
  • 特許-反時計回りと時計回りとの渦の間で交互にされた周方向列にインジェクタ構成要素を有したインジェクタ 図4
  • 特許-反時計回りと時計回りとの渦の間で交互にされた周方向列にインジェクタ構成要素を有したインジェクタ 図5
  • 特許-反時計回りと時計回りとの渦の間で交互にされた周方向列にインジェクタ構成要素を有したインジェクタ 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】反時計回りと時計回りとの渦の間で交互にされた周方向列にインジェクタ構成要素を有したインジェクタ
(51)【国際特許分類】
   F02K 9/52 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
F02K9/52
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021518798
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2018058128
(87)【国際公開番号】W WO2020091738
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-06-18
(73)【特許権者】
【識別番号】594203852
【氏名又は名称】エアロジェット ロケットダイン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ファン,アラン
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第01289934(GB,A)
【文献】米国特許第06244040(US,B1)
【文献】米国特許第06244041(US,B1)
【文献】特開2006-097639(JP,A)
【文献】米国特許第5899388(US,A)
【文献】米国特許第7124574(US,B2)
【文献】特開2006-299839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02K 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インジェクタ構成要素(30)の配列であって、各インジェクタ構成要素(30)は、中心軸(A)を画定する中央通路(38)と、複数の周囲横断通路(46)とを備え、前記中央通路(38)は、軸方向の噴射流れを供給するように構成され、前記周囲横断通路(46)は、前記軸方向の噴射流れの周りに渦噴射流れを供給するように構成され、前記インジェクタ構成要素(30)の一部分が時計回り方向への渦噴射流れを供給するように構成され、前記インジェクタ構成要素(30)の他の部分が反時計回り方向への渦噴射流れを供給するように構成される、前記インジェクタ構成要素(30)の配列を備え、
前記インジェクタ構成要素(30)は、複数の周方向列(148)を形成するように配置され、前記周方向列(148)の各周方向列のインジェクタ構成要素(30)は、全てが前記時計回り方向であるか、または全てが前記反時計回り方向であり、前記時計回り方向の少なくとも1つの周方向列(148)および前記反時計回り方向の少なくとも1つの周方向列(148)があり、
前記周方向列は、前記反時計回り方向と前記時計回り方向との間で交互にされた周方向列(148-4~148-7)の群と、前記時計回り方向または前記反時計回り方向である少なくとも2つの連続した周方向列(148-1~148-3)とを有し、前記少なくとも2つの連続した周方向列(148-1~148-3)は、交互にされた前記周方向列(148-4~148-7)の径方向内側にあることを特徴とする液体ロケットエンジン(20)のインジェクタ(26)
【請求項2】
前記インジェクタ構成要素(30)の各々は、前記中央通路(38)を提供する第1チューブ(36)と、該第1チューブ(36)との間に環状の空間(44)を設けるように前記第1チューブ(36)の端部に位置する外側の第2チューブ(42)とを有し、前記周囲横断通路(46)は、前記第2チューブ(42)を通して延び、前記環状の空間(44)に開口することを特徴とする請求項1に記載の液体ロケットエンジン(20)のインジェクタ(26)
【請求項3】
前記周囲横断通路(46)は、前記第2チューブ(42)の周囲で2つの周方向列に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の液体ロケットエンジン(20)のインジェクタ(26)
【請求項4】
前記第2チューブ(42)は、前記第1チューブ(36)の端部と前記第2チューブ(42)の端部との間にカップ状の領域(R)を画定するように前記第1チューブ(36)の端部を越えて延びることを特徴とする請求項2または3に記載の液体ロケットエンジン(20)のインジェクタ(26)
【請求項5】
前記反時計回り方向と前記時計回り方向との間で交互にされた前記周方向列(148-4~148-7)の群は、少なくとも4つの周方向列(148-4~148-7)を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の液体ロケットエンジン(20)のインジェクタ(26)
【請求項6】
前記インジェクタ構成要素(30)の1つは、単一の中央インジェクタ構成要素(30a)として配置され、前記周方向列(148)は、前記単一の中央インジェクタ構成要素(30a)の周りに同心円状に配置されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の液体ロケットエンジン(20)のインジェクタ(26)
【請求項7】
燃焼室(32)と、
前記燃焼室(32)に取り付けられたノズル(34)と、
前記燃焼室(32)に取り付けられ、請求項1~6のいずれかに従うインジェクタ(26)と、
を備えた液体ロケットエンジン(20)
【請求項8】
前記ノズル(34)は、中細ノズルであることを特徴とする請求項に記載の液体ロケットエンジン(20)
【請求項9】
燃料供給源(22)および酸化剤供給源(24)をさらに備えることを特徴とする請求項7または8に記載の液体ロケットエンジン(20)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国空軍によって付与された契約番号FA9300-07-C-001のもと、政府の支持によってなされた。政府は、本発明の特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
液体推進剤ロケットエンジンが、燃料推進剤および酸化剤推進剤によって動力を供給され得る。燃料および酸化剤は、一般に、インジェクタに供給され、このインジェクタは、燃焼のための燃焼室に推進剤を導入する複数のインジェクタ構成要素を有している。そして、燃焼生成物が、燃焼室の下流のノズルを通して排出され、推力を生じさせる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の例に従う液体ロケットエンジンのインジェクタが、インジェクタ構成要素の配列を備える。各インジェクタ構成要素は、中心軸を画定する中央通路と、複数の周囲横断通路とを有する。中央通路は、軸方向の噴射流れを供給するように構成され、周囲横断通路は、軸方向の噴射流れの周りに渦噴射流れを供給するように構成される。インジェクタ構成要素の一部分は、時計回り方向に渦噴射流れを供給するように構成され、インジェクタ構成要素の他の部分は、反時計回り方向に渦噴射流れを供給するように構成される。インジェクタ構成要素は、複数の周方向列を形成するように配置される。周方向列の各周方向列のインジェクタ構成要素は、全てが時計回り方向であるか、または全てが反時計回り方向であり、時計回り方向の少なくとも1つの周方向列および反時計回り方向の少なくとも1つの周方向列がある。
【0004】
上述の実施例のさらなる実施例では、インジェクタ構成要素の各々は、中央通路を提供する第1チューブと、該第1チューブとの間に環状の空間を設けるように第1チューブの端部に位置する外側の第2チューブとを有する。周囲横断通路は、第2チューブを通して延び、環状の空間に開口する。
【0005】
上述の実施例のさらなる実施例では、周囲横断通路は、第2チューブの周囲で2つの周方向列に設けられている。
【0006】
上述の実施例のさらなる実施例では、第2チューブは、第1チューブの端部と第2チューブの端部との間にカップ状の領域を画定するように第1チューブの端部を越えて延びる。
【0007】
上述の実施例のさらなる実施例では、周方向列は、反時計回り方向と時計回り方向との間で交互にされている。
【0008】
上述の実施例のさらなる実施例では、周方向列は、時計回り方向または反時計回り方向である少なくとも2つの連続した周方向列を有する。
【0009】
上述の実施例のさらなる実施例では、周方向列は、反時計回り方向と時計回り方向との間で交互にされた周方向列の群と、時計回り方向または反時計回り方向である少なくとも2つの連続した周方向列とを有する。少なくとも2つの連続した周方向列は、交互にされた周方向列の群の径方向内側にある。
【0010】
上述の実施例のさらなる実施例では、反時計回り方向と時計回り方向との間で交互にされた周方向列の群は、少なくとも4つの周方向列を有する。
【0011】
上述の実施例のさらなる実施例では、周方向列は、反時計回り方向と時計回り方向との間で交互にされた周方向列の群と、時計回り方向または反時計回り方向である連続した周方向列の群とを有する。
【0012】
上述の実施例のさらなる実施例では、インジェクタ構成要素の1つは、単一の中央インジェクタ構成要素として配置され、周方向列は、単一の中央インジェクタ構成要素の周りに同心円状に配置される。
【0013】
本開示の例の液体ロケットエンジンが、燃焼室と、該燃焼室に取り付けられたノズルと、
燃焼室に取り付けられたインジェクタと、を備える。インジェクタは、インジェクタ構成要素の配列を備える。各インジェクタ構成要素は、中心軸を画定する中央通路と、複数の周囲横断通路とを有する。中央通路は、軸方向の噴射流れを供給するように構成され、周囲横断通路は、軸方向の噴射流れの周りに渦噴射流れを供給するように構成される。インジェクタ構成要素の一部分は、時計回り方向に渦噴射流れを供給するように構成され、インジェクタ構成要素の他の部分は、反時計回り方向に渦噴射流れを供給するように構成される。インジェクタ構成要素は、複数の周方向列を形成するように配置される。周方向列の各周方向列のインジェクタ構成要素は、全てが時計回り方向であるか、または全てが反時計回り方向であり、時計回り方向の少なくとも1つの周方向列および反時計回り方向の少なくとも1つの周方向列がある。
【0014】
上述の実施例のさらなる実施例では、ノズルは、中細ノズルである。
【0015】
上述の実施例のさらなる実施例は、燃料供給源および酸化剤供給源を有する。
【0016】
上述の実施例のさらなる実施例では、インジェクタ構成要素の各々は、中央通路を提供する第1チューブと、該第1チューブとの間に環状の空間を設けるように第1チューブの端部に位置する外側の第2チューブとを有する。周囲横断通路は、第2チューブを通して延び、環状の空間に開口する。
【0017】
上述の実施例のさらなる実施例では、周方向列は、反時計回り方向と時計回り方向との間で交互にされている。
【0018】
上述の実施例のさらなる実施例では、周方向列は、時計回り方向または反時計回り方向である少なくとも2つの連続した周方向列を有する。
【0019】
上述の実施例のさらなる実施例では、周方向列は、反時計回り方向と時計回り方向との間で交互にされた周方向列の群と、時計回り方向または反時計回り方向である少なくとも2つの連続した周方向列とを有する。少なくとも2つの連続した周方向列は、交互にされた周方向列の群の径方向内側にある。
【0020】
上述の実施例のさらなる実施例では、反時計回り方向と時計回り方向との間で交互にされた周方向列の群は、少なくとも4つの周方向列を有する。
【0021】
上述の実施例のさらなる実施例では、周方向列は、反時計回り方向と時計回り方向との間で交互にされた周方向列の群と、時計回り方向または反時計回り方向である連続した周方向列の群とを有する。
【0022】
本開示の例に従うインジェクタが、インジェクタ構成要素の配列を備える。各インジェクタ構成要素は、中心軸を画定する中央通路と、複数の周囲横断通路とを有する。中央通路は、軸方向の噴射流れを供給するように構成され、周囲横断通路は、軸方向の噴射流れの周りに渦噴射流れを供給するように構成される。インジェクタ構成要素の一部分は、時計回り方向に渦噴射流れを供給するように構成され、インジェクタ構成要素の他の部分は、反時計回り方向に渦噴射流れを供給するように構成される。インジェクタ構成要素は、複数の列を形成するように配置される。列の各列のインジェクタ構成要素は、全てが時計回り方向であるか、または全てが反時計回り方向であり、時計回り方向の少なくとも1つの列および反時計回り方向の少なくとも1つの列がある。
【0023】
本開示の種々の特徴および利点が、以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。詳細な説明に付随する図面が、以下のように簡潔に説明されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】例示的な液体ロケットエンジンを示す図である。
図2】液体ロケットエンジンのインジェクタのインジェクタ構成要素の代表的な例を示す図である。
図3A】反時計回りの渦のための図2のインジェクタの断面図である。
図3B】時計回りの渦のためのインジェクタの断面図である。
図4図2のインジェクタ構成要素の他の断面図である。
図5】軸方向から見たインジェクタの代表的なセクションを示す図である。
図6】軸方向から見たインジェクタの代表的なセクションの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、液体推進剤ロケットエンジン20の推力室を概略的に示している。理解されるように、本開示を適用し得る多くの異なる形式の液体推進剤ロケットエンジンがある。この点において、図示しないが、エンジン20は、一般に、燃料推進剤および酸化剤推進剤を輸送する配管、および推進剤の輸送を制御するポンプおよびバルブを有することになる。
【0026】
この例では、エンジン20は、燃料供給源22からインジェクタ26へ燃料(例えば、液体水素または液体炭化水素)をポンプ輸送し、酸化剤供給源24からインジェクタ26へ酸化剤(例えば、酸化剤リッチタービン排出高温ガス)をポンプ輸送するように作動可能である。インジェクタ26は、一般に、燃料および酸化剤を燃焼のための下流の燃焼室32へ導入するように動作可能なインジェクタハウジング28およびインジェクタ構成要素30を有しても良い。例えば、燃焼室32は、円筒状であり、金属合金により形成されている。そして、燃焼生成物が、ノズル34を通して排出され、推力を生じさせる。図示した例では、ノズル34は、中細ノズルであり、該中細ノズルは、収束部34aと、のど部34bと、末広がり部34cとを有している。ノズル34は、燃焼室32に取り付けられており、該燃焼室32は、インジェクタ30に取り付けられている。
【0027】
図2は、インジェクタ26のインジェクタ構成要素30の代表的な1つを示している。各インジェクタ構成要素30は、中心軸Aを中心に配置されており、中央通路38を提供するチューブ36を備えている。中央通路38は、40で示される酸化剤ガスの軸方向の噴射流れを供給するように構成されている。この点では、チューブ36は、該チューブ36の1つの端部に入口36aを有しており、チューブ36の反対の端部に出口36bを有している。入口36aは、酸化剤供給源24に接続されている。
【0028】
最も一般的には第1チューブ36と一体化される第2チューブ42は、第1チューブ36の第2端部に設けられており、第1チューブ36と同軸となっている。第2チューブ42は、チューブ36よりもまさに大きく、したがって、第1チューブ36の第2端部の外径面と第2チューブ42の内径面との間に環状の空間44を提供する。チューブが一体的または少なくとも取り付けられているので、環状の空間44は、位置43で終端している。第2チューブ42は、第1チューブ36の第2端部を越えて延びており、これにより、チューブ36,42の間にカップ状領域Rを画定する。
【0029】
図3Aおよび図4の断面図に示されるように、第2チューブ42は、複数の周囲横断通路46を有している。この例では、各通路46は、直線状であり、第1チューブ36と第2チューブ42との間の環状の空間44へ接線方向に延びている。各通路46は、第2チューブ42の外径面上またはその付近に入口46aを有しており、第2チューブ42の内径面に環状の空間44へ開口する出口46bを有している。入口46aは、燃料供給源22から入口46aへ燃料を輸送するチャネルまたはマニホールドと接続されても良い。
【0030】
図3Aおよび図4の断面で示すように、インジェクタ構成要素30は、通路46の2つの周方向列を備えている。この例では、通路46の接線方向の向きは、燃料の流れを環状の空間44へと接線方向に導入し、これにより環状の空間44の周りに、結局は第1チューブ36からのカップ状領域Rの酸化剤の軸方向噴射流れ40の周りに燃料の渦噴射流れを生成するように構成されている。従って、通路46の傾斜の向きに基づいて、45で示される渦噴射流れが、インジェクタ構成要素30を燃焼室32の側から軸方向に見たときに、時計回り方向または反時計回り方向とすることができる。図3Aおよび図4に示されるように、通路46は、(独占的に)反時計方向に渦噴射流れを供給するように方向付けられており、したがって、反時計回り方向を有したインジェクタ構成要素30を示している。
【0031】
時計回り方向のためのインジェクタ構成要素30は、通路46が反対方向に向けられていること以外は、上述したものと同じ構成を有している。図3Bは、通路46が、(独占的に)時計回り方向に渦噴射流れを供給するように反対方向に向けられた例を示している。
【0032】
以下にさらに詳細に説明されるように、インジェクタ26のインジェクタ構成要素30の一部は、独占的に反時計回り方向に渦噴射流れを供給するように通路46を備えて構成されることができ、他のインジェクタ構成要素30は、独占的に時計周り方向に渦噴射流れを供給するように構成されることができる。
【0033】
図5は、燃焼室32の頂部から軸方向から見たインジェクタ26の代表的なセクションを示している。この例では、インジェクタ構成要素30の一部分が反時計回り方向(例えば、図3A)に渦噴射流れを供給するように構成されており、インジェクタ構成要素30の他の部分が、時計回り方向(例えば、図3B)に渦噴射流れを供給するように構成されている。例えば、各個別の列48内のインジェクタ構成要素30は、全てが時計回り方向または全てが反時計回り方向となっている。図示した例では、時計回り方向を有した列48は、「CW」で示された円形矢印によって表され、反時計回り方向を有した列48は、「CCW」で示された円形矢印によって表される。
【0034】
この例では、インジェクタ26の60°のくさび形が示されている。このくさび形は、6つの同一のくさび形が一緒に組み立てられてインジェクタ26の完全な円形構成を形成するようにインジェクタ26の繰り返しのユニットを示している。図示したように、インジェクタ構成要素30は、インジェクタ26の裏面に見られることができる。インジェクタ構成要素30は、中央の1つの単一のインジェクタ構成要素30aと、列48-1,48-2,48-3,48-4,48-5,48-6,48-7(集合的に「列48」)として示されたインジェクタ構成要素30の周方向列48とを有した配列で配置されている。インジェクタ構成要素30は、列48内で概ね均一に離間しており、列48は、中央のインジェクタ構成要素30aの周囲で同心となっている。
【0035】
図5は、インジェクタ26の隣接した周方向列の間の交互に反転された渦(ARS)を有した例を示している。この例では、周方向列48-1,48-2,48-3,48-4,48-5,48-6,48-7の全てが、隣接した列の間において時計回り方向と反時計回り方向との間で交互にされた構成を有している。考えられる他の構成は、2つの最外の周方向列のみを交互にし、続いて、全てが時計回り方向または反時計回り方向である連続した列がある。理解されるように、本明細書のいかなる例において、時計回り方向または反時計回り方向の逆のパターンも考えられる。
【0036】
図6は、部分的なARS(PARS)を有した他の例を示している。この例では、中央のインジェクタ構成要素30aが時計回り方向を有しており、続いて、径方向外側へ移動するにつれて、少なくとも2つであるがこの例では3つである、時計回り方向を有する連続した周方向列148-1,148-2,148-3がある。最後の外側の4つの周方向列148-4,148-5,148-6,148-7は、隣接する列の間において反時計回り方向と時計回り方向との間で交互になっている。
【0037】
インジェクタ構成要素の全てが同じ方向に渦巻く基本インジェクタとARSとの間の以下の比較例は、燃料および酸化剤の双方のための超臨界圧力条件下である、液体燃料および酸化剤リッチタービン排出高温ガスが供給される高圧力条件下(一般に約3000psi)で推力室アッセンブリ(インジェクタ26、室32およびノズル34の組み合わせ)の内側の内部流れのための安定状態反応流れ計算流体ダイナミクス(CFD)解決策に基づいている。各インジェクタ構成要素から噴射された燃料流れは、酸化剤の中央の軸方向流れの周囲で渦巻く傾向がある。インジェクタ構成要素の隣接した周方向列の間では、基本インジェクタはせん断相互作用を有しており、ARSは引裂き相互作用を有している。せん断相互作用では、断面において、酸化剤がインジェクタから燃焼室へおよび該燃焼室に沿って発散するときに、酸化剤は、比較的円形の形状を維持する。しかし、引裂き相互作用では、酸化剤流れの断面が、インジェクタ構成要素30の中心軸Aを横切る方向に細長くなる傾向があり、これにより、より速い混合および燃焼のための表面積が増加し、したがって、酸化剤流れの軸方向長さを短くする。従って、最外の列では、基本インジェクタと比較して、ARSのより短い酸化剤流れが、室壁の燃料フィルム冷却層をそれほど貫通および損傷させず、したがって、燃焼室壁でのホットストリーク(hot streaks)の発生が著しく減少し得る。
【0038】
ARSとPARSとの間の以下の比較例が、同じ条件下の推力室アッセンブリの内側の内部流れのための安定状態反応流れCFD解決策に基づいている。部分的なARS構成は、3つ、2つまたは1つの均一な数の列における逆の渦を有している。2つの列での反転が最良のエネルギ解放効率(ERE)と、非常に厳密に比較された壁温度条件とを有することが分かった。各インジェクタ構成要素が流れチューブを生成し、この流れチューブでは、燃料流れおよび酸化剤流れが、最初に層状にされるが結局は混合および燃焼され、この流れチューブの外部の燃料と混合されることを考慮する。EREの最適化が、内流れチューブ混合(ISTM)と間流れチューブ混合(BSTM)との間の競合作用のため生じる。ARSは、ISTM、したがって、流体粒子の軸方向の動きを加速させる熱膨張を促進し、BSTMのための滞留時間を減少させる。
【0039】
特徴部の組み合わせが図示の例に示されているが、全ての特徴部が本開示の種々の実施例の利益を実現するために組み合わされる必要はない。換言すれば、本開示の実施例に従って設計されたシステムが、図の1つに示された特徴部の全てまたは図に概略的に示された部分の全てを有する必要はない。さらに、1つの例示的な実施例の選択された特徴部が、他の例示的な実施例の選択された実施例と組み合わされても良い。
【0040】
上述の説明は、本質的に、例示的なものであって、限定的なものではない。開示された例への変更および修正は、本開示を逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。本開示に与えられる法的保護の範囲は、以下の特許請求の範囲を検討することによって決定されるのみであり得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6