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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタセット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6587 20110101AFI20221130BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20221130BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H01R13/6587
H01R12/71
H01R13/11 D
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021552705
(86)(22)【出願日】2021-03-09
(86)【国際出願番号】 JP2021009221
(87)【国際公開番号】W WO2021182450
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】P 2020040806
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512310147
【氏名又は名称】宏致日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】513314171
【氏名又は名称】宏致電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ACES ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.13,Dongyuan Rd.,Zhongli City,Taoyuan County 32063,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 公明
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宣和
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-516028(JP,A)
【文献】特開平08-241762(JP,A)
【文献】特表平01-501982(JP,A)
【文献】特開2018-116925(JP,A)
【文献】特開2013-041771(JP,A)
【文献】特開2018-081940(JP,A)
【文献】米国特許第10811824(US,B2)
【文献】米国特許第10644419(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
13/56-13/72
24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コネクタと嵌合されるコネクタであって、
インシュレータと、
前記インシュレータに組み付けられた第1コンタクトと、
前記インシュレータに組み付けられた第2コンタクトと、
嵌合方向から見た平面視における前記インシュレータの周縁部の少なくとも一部に固定され、接地されるシェルと、
前記相手コネクタの相手グランドコンタクト部と弾性的に接触し電気的に接続される接触片を有するグランドコンタクト部と、を備え、
前記グランドコンタクト部は、前記シェルから前記第1コンタクトと前記第2コンタクトの間の領域に向けて延在し、前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトの配置方向に沿う長手方向の先端側が自由端であり基端側が前記シェルに接続される延在部分を含み、
前記延在部分は、板厚方向が前記嵌合方向と一致する板状部分を含み、
前記接触片は、前記延在部分の前記自由端に設けられている、
コネクタ。
【請求項2】
前記板状部分は、前記嵌合方向と直交する当該コネクタの底面に配置されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記グランドコンタクト部は、前記延在部分として、前記シェルと前記接触片を連結する中継部を有する、
請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記板状部分は、前記中継部の一部である、
請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記シェル及び前記グランドコンタクト部は、一部材で構成されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記接触片は、前記中継部の一端部である分岐点から二股に分岐し弾性力により前記相手グランドコンタクト部を挟持する第1接触片および第2接触片を有する、
請求項3又は4に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第1接触片及び前記第2接触片は、抜き加工によって形成される破断面に、前記相手グランドコンタクト部との接点を有する、
請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第1接触片及び前記第2接触片の少なくとも一方は、前記板厚方向に湾曲する曲げ部を有する、
請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第1接触片は、前記相手グランドコンタクト部と接触する第1接点部を有し、
前記第2接触片は、前記相手グランドコンタクト部と接触する第2接点部を有し、
前記第1接触片における前記分岐点から前記第1接点部までの長さと、前記第2接触片における前記分岐点から前記第2接点部までの長さとは、曲げ加工の前の展開状態において異なる、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第1接点部及び前記第2接点部は、前記曲げ加工の後の組立て状態において、前記長手方向及び前記嵌合方向に略直交する方向に対向して配置される、
請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記第1接点部及び前記第2接点部は、前記曲げ加工の後の組立て状態において、前記長手方向にずれて配置される、
請求項9に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記展開状態において前記第1接触片と前記第2接触片を抜き加工により形成する際の抜き幅は、前記グランドコンタクト部の板厚より大きく、
前記曲げ加工後の組立て状態において、前記第1接点部と前記第2接点部の前記長手方向及び前記嵌合方向に略直交する方向における間隔は、前記抜き幅より小さい、
請求項9から11のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記曲げ部は、L字形状、またはU字形状、またはU字形状にL字形状を加えた形状、またはハット曲げ形状である、
請求項8から12のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記シェルは、一対の短辺と一対の長辺からなる略矩形形状を有しており、
前記グランドコンタクト部は、前記短辺の一つに接続されている、
請求項1から13のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項15】
互いの先端部が対向するように配置される2つの前記グランドコンタクト部を備える、
請求項1から14のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項16】
互いの先端部が対向するように配置される2つの前記グランドコンタクト部を備え、
前記第1接触片は、前記相手グランドコンタクト部と接触する第1接点部を有し、
前記第2接触片は、前記相手グランドコンタクト部と接触する第2接点部を有し、
一方の前記グランドコンタクト部における前記第1接点部と前記第2接点部の組と、他方の前記グランドコンタクト部における前記第1接点部と前記第2接点部の組は、2つの前記グランドコンタクト部の間の点回りに点対称となるように配置されている、
請求項6から15のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載のコネクタによって構成されたレセプタクルコネクタと、
前記レセプタクルコネクタに嵌合するプラグコネクタと、を備え、
前記プラグコネクタは、前記第1コンタクトと前記第2コンタクトとの間の領域に挿入され、かつ、前記グランドコンタクト部と接触するグランドプレート部を備える、
コネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手方コンタクトと接続するためのコンタクト、該コンタクトを備えたコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
搭載される機器の小型化に伴い、コネクタの小型化が求められている。通常コネクタは、片側コネクタに弾性力を持つバネ片を有し、バネ片を有さない板状の相手側コンタクトと接触する構造を持つ。小型化を図るには、バネ片の小型化が不可欠となる。一方、接触を安定させるには、板状の相手側コンタクトを両面からバネ片で挟む、いわゆる両面接触構造が有効とされている。
【0003】
バネ片を形成する構成として、曲げバネと抜きバネがある。曲げバネは、材料の板厚方向でバネが変位するタイプのバネで、抜きバネは、板厚の直交方向(水平方向)で変位するタイプのバネである。抜きバネは、比較的加工がやり易く、FPCコネクタ用などに幅広く採用されている。抜きバネには、両側のバネ片が同じ構造を持っているチューニングフォークタイプ(音叉に似た形状)、片側がバネ片、反対側が非バネ片の形状などがある。
【0004】
コネクタの小型化が求められている例として、テレビ用バックライト装置内に使われる基板対基板コネクタがある。複数の発光素子基板と制御基板との電気的接続を中継する中継基板間を基板対基板コネクタで接続するが、発光素子のピッチを縮小するトレンドがあり、コネクタの長手方向の小型化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-317262号公報
【文献】特開平2-295077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コネクタのバネは、弾性力を確保するために、ある一定のバネ長さを持つ必要がある。抜きバネは、直線的に形成されており、バネ根本から接点までの長さを確保する必要があるため、コネクタは長手方向の寸法が長くなる。
【0007】
また、小型化に伴って、相手側コンタクトの板厚も薄型化が進んでいるが、相手側コンタクトの板厚は、両面接触タイプのバネ側コンタクトの変位量を決める。一般的、プレス加工による抜き幅は、板厚以上が求められるが、バネ側の最小抜き幅と板厚の差が小さいと、必要な変位量が確保できない。
【0008】
本発明では、比較的加工がし易い抜きバネタイプのコンタクトであっても、弾性力を確保しつつ、必要に応じて小型化が可能であり、相手側コンタクトの板厚が変位量確保に対して薄くても、必要な変位量を確保可能なコネクタ及びコネクタセットを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコネクタは、
相手コネクタと嵌合されるコネクタであって、
インシュレータと、
前記インシュレータに組み付けられた第1コンタクトと、
前記インシュレータに組み付けられた第2コンタクトと、
嵌合方向から見た平面視における前記インシュレータの周縁部の少なくとも一部に固定され、接地されるシェルと、
前記相手コネクタの相手グランドコンタクト部と弾性的に接触し電気的に接続される接触片を有するグランドコンタクト部と、を備え、
前記グランドコンタクト部は、前記シェルから前記第1コンタクトと前記第2コンタクトの間の領域に向けて延在し、前記第1コンタクト及び前記第2コンタクトの配置方向に沿う長手方向の先端側が自由端であり基端側が前記シェルに接続される延在部分を含み、
前記延在部分は、板厚方向が前記嵌合方向と一致する板状部分を含み、
前記接触片は、前記延在部分の前記自由端に設けられている
本発明に係るコネクタセットは、
上記のコネクタによって構成されたレセプタクルコネクタと、
前記レセプタクルコネクタに嵌合するプラグコネクタと、を備え、
前記プラグコネクタは、前記第1コンタクトと前記第2コンタクトとの間の領域に挿入され、かつ、前記第1グランドコンタクト部と接触するグランドプレート部を備える。
【0010】
また本発明のコンタクトは、前記曲げ部は、L字形状、またはU字形状、またはU字形状にL字形状を加えた形状、またはハット曲げ形状を持っている。
【0011】
また本発明のコンタクトは、前記第1接触片、第2接触片の平面状態での長さに相違があり、接点位置が変位方向において対向する位置となるように曲げ部により余長調整される。
【0012】
また本発明のコンタクトは、前記第1接触片、第2接触片の弾性部変位方向における前記第1接点部及び前記第2接点部の間の隙間は、前記コンタクトの板厚より小さい場合がある。
【0013】
また本発明のコンタクトは、前記第1接点部及び前記第2接点部は、互いに対向する方向に突出部を有し、前記突出部は、接点部から分岐部の方向から板厚方向のいずれかの方向に誘い込み部を持つ。
【0014】
本発明のコネクタは、相手コネクタと電気的に接続するためのコネクタであって、前記相手コネクタの相手コンタクトと電気的に接続する本発明のコンタクトを有する。
【発明の効果】
【0015】
分岐部と接点部の間に、L字形状、またはU字形状、またはU字形状にL字形状を加えた形状、またはハット曲げ形状などの曲げ部を持つことによって、十分な弾性力を保ちつつ、コネクタに許される空間に適応するコネクタが提供できる。尚、曲げ形状は、必ずしも根本曲げ角度が90°とは限らない。
【0016】
第一接触片、第二接触片の長さ、形状が違うコンタクトでありながら、接点を同一位置に保つ事によって、篏合時に相手側コンタクトが受ける回転モーメントを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す斜視図である。
図2】第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す図である。
図3】第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す分解図である。
図4】第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す分解図である。
図5】第1の実施の形態に係る中継基板及び該中継基板に実装されるレセプタクルコネクタの構成を示す斜視図である。
図6】第1の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成を示す分解図である。
図7】第1の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成要素であるコンタクトの構成を示す斜視図である。
図8】第1の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成要素であるコンタクトの構成を示す六面図である。
図9】第1の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成要素であるコンタクトの構成を示す展開図である。
図10】第1の実施の形態に係る発光素子基板及び該発光素子基板に実装されるプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図11】第1の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す分解図である。
図12】第2の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す斜視図である。
図13】第2の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す図である。
図14】第2の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成要素であるコンタクトの構成を示す斜視図である。
図15】第2の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成要素であるコンタクトの構成を示す図である。
図16】第2の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成要素であるコンタクトの構成を示す拡大図である。
図17】第2の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成要素であるコンタクトの構成を示す展開図である。
図18】第3の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す斜視図である。
図19】第3の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す斜視図である。
図20】第3の実施の形態に係るプラグコネクタの構成を示す斜視図である。
図21】第3の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成要素であるシェルの構成を示す斜視図である。
図22】第3の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成要素であるシェルの構成を示す図である。
図23】第3の実施の形態に係るレセプタクルコネクタの構成要素であるシェルの構成を示す展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタについて説明する。第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタは、主に液晶表示装置の液晶を背面から照明するLEDバックライト装置(照明装置)に採用されるコネクタである。図1はこの第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す斜視図、図2(A)はこの第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す平面図、図2(B)は第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す側面図、図2(C)は第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す正面図、図2(D)は図2(A)のA-A断面図、図2(E)は図2(A)のB-B断面図である。また、図3は第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す分解図、図4(A)は第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す分解平面図、図4(B)は第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す分解側面図、図4(C)は第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す分解正面図、図4(D)は図4(A)のC-C断面図である。基板対基板コネクタ1は、中継基板4と発光素子基板5a,5bとを電気的に接続し、図1に示すように、レセプタクルコネクタ2及び2つのプラグコネクタ3a,3bからなる。レセプタクルコネクタ2は、中継基板4に実装されている。プラグコネクタ3aは発光素子基板5aに、プラグコネクタ3bは発光素子基板5bに実装されている。また、以下の説明においては、図1に示すXYZ直交座標系を設定し、この直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係等について説明する。X軸はレセプタクルコネクタ2とプラグコネクタ3a,3bとが嵌合する方向に、Y軸は中継基板4の長手方向に、Z軸は中継基板4及び発光素子基板5a,5bの実装面に直交する方向に設定されている。
【0019】
なお、LEDバックライト装置に採用される中継基板4はY方向に長手方向を有する帯状の基板であって、中継基板4には複数のレセプタクルコネクタ2がY方向に所定間隔で実装されているが、図1図5においては基板対基板コネクタ1の構成に係る説明の便宜上、中継基板4の長手方向の長さを実際の長さより短く図示している。同様に、LEDバックライト装置に採用される発光素子基板5a,5bはX方向に長手方向を有する帯状の基板であって、発光素子基板5a,5bには複数の図示しない発光素子がX方向に所定間隔で実装されているが、図1図4及び図8においては基板対基板コネクタ1の構成に係る説明の便宜上、発光素子基板5a,5bの長手方向の長さを実際の長さより短く図示している。
【0020】
中継基板4に実装されるレセプタクルコネクタ2は、+X方向側からプラグコネクタ3aを受け入れプラグコネクタ3aと嵌合し、-X方向側からプラグコネクタ3bを受け入れプラグコネクタ3bと嵌合する。なお、嵌合は、プラグコネクタ3a,3bをレセプタクルコネクタ2に斜めから嵌合させる斜め嵌合であってもよい。中継基板4は、発光素子基板5a,5bと図示しない制御基板(電源基板)との電気的接続を中継する。図5は中継基板4及びレセプタクルコネクタ2を中継基板4に実装する前の状態を示す斜視図、図6はレセプタクルコネクタ2の分解図である。レセプタクルコネクタ2は、図1図6に示すように、インシュレータ(絶縁体)6、2つのフィッティングネイル(固定ネイル)8a,8b、6個の第1コンタクト(端子)10a~10f及び6個の第2コンタクト(端子)11a~11fを備えて構成されている。
【0021】
第1コンタクト10a~10f及び第2コンタクト11a~11fは、X方向に対向して配置されている。第1コンタクト10a~10fは、Y方向に等間隔に配列されており、インシュレータ6内に組み込まれている。第1コンタクト10a~10fのそれぞれは、インシュレータ6の+X方向側に位置する第1受容部12a~12f内のそれぞれに配置されている。第1コンタクト10a~10fそれぞれの+X方向側の端部は、レセプタクルコネクタ2が中継基板4に実装されることにより、中継基板4の基板面上に形成されている6つの第1パッド14a~14fそれぞれと接続する。また、第1コンタクト10a~10fそれぞれの-X方向側の端部は、レセプタクルコネクタ2がプラグコネクタ3aと嵌合することにより、プラグコネクタ3aの6つのコンタクト20a~20fそれぞれと接続する。
【0022】
第2コンタクト11a~11fは、Y方向に等間隔に配列されており、インシュレータ6内に組み込まれている。第2コンタクト11a~11fのそれぞれは、インシュレータ6の-X方向側に位置する図示しない6つの第2受容部内のそれぞれに配置されている。第2コンタクト11a~11fそれぞれの-X方向側の端部は、レセプタクルコネクタ2が中継基板4に実装されることにより、中継基板4の基板面上に形成されている6つの第2パッド15a~15fそれぞれと接続する。また、第2コンタクト11a~11fそれぞれの+X方向側の端部は、レセプタクルコネクタ2がプラグコネクタ3bと嵌合することにより、プラグコネクタ3bの6つのコンタクト21a~21fそれぞれと接続する。
【0023】
図7は第1コンタクト10aの構成を示す斜視図、図8(A)は第1コンタクト10aの構成を示す平面図、図8(B)は第1コンタクト10aの構成を示す正面図、図8(C)は第1コンタクト10aの構成を示す底面図、図8(D)は第1コンタクト10aの構成を示す左側面図、図8(E)は第1コンタクト10aの構成を示す右側面図である。また、図9は第1コンタクト10aの構成を示す展開図(曲げ加工前の状態を示す展開長)であって、図9(A)はその斜視図、図9(B)はその平面図、図9(C)はその正面図、図9(D)はその底面図である。なお、第1コンタクト10b~10fの形状は第1コンタクト10aの形状と同一である。また、第2コンタクト11a~11fの形状もレセプタクルコネクタ2のY方向の中心線を線対称として第1コンタクト10aの形状と同一である。
【0024】
第1コンタクト10aの中央部16は、第1受容部12a内の-Z方向側の面に配置される。第1コンタクト10aは、中央部16の+X方向側の端部から-Z方向側(中継基板4側)に折り曲げ、更に+X方向側に折り曲げた先に形成される実装部17を備えている。実装部17の中継基板4に対向する面は、中継基板4の第1パッド14aに例えば半田付け等により実装される。また、第1コンタクト10aは、中央部16の-X方向側の端部から二股で延び(分岐し)、且つ弾性を有する弾性部18を備えている。弾性部18は、中央部16の-X方向の端部から+Z方向に向けて折り曲げ、更に+X方向に向けて折り曲げたU字形状部を有する。また、弾性部18の分岐部である第1弾性部(第1接触片)18a,第2弾性部(第2接触片)18bの先端部には、レセプタクルコネクタ2がプラグコネクタ3aと嵌合することにより、プラグコネクタ3aのコンタクト20aを挟持する挟持部である第1接点部19a,第2接点部19bが形成されている。第1接点部19aは二股に分岐する一方の分岐部である第1弾性部18aに、第2接点部19bは二股に分岐する他方の分岐部である第2接点部18bに形成されており、コンタクト20aをY方向に挟持し、第1コンタクト10aとコンタクト20aとを電気的に接続させる。ここで、中央部16の-X方向の端部(二股に分岐する付け根)が弾性部18の支持部(固定部)、弾性部18をU字形状に折り曲げることにより中央部16と第1接点部19a及び第2接点部19bとの間に形成される空間が弾性部18の弾性空間として機能し、Y方向に弾性力が加わることにより第1接点部19a及び第2接点部19bがプラグコネクタ3aのコンタクト20aを挟持し、第1コンタクト10aとコンタクト20aとが電気的に接続される。即ち、弾性部18の弾性体としての機能及び弾性部18のばね長さを確保しつつ、第1コンタクト10aのX方向における長さを短くすることができる。
【0025】
また、図9に示すように、第1弾性部18aと第2弾性部18bとは、形状、厚さ(板厚)及び幅など互いに異なる形態を有している。更に、U字形状に折り曲げ加工する前における第1接点部19aと第2接点部19bとは対向しておらず、U字形状に折り曲げ加工した後における第1接点部19aと第2接点部19bとは対向している。一般的にコンタクトをプレス加工する際、第1弾性部18aと第2弾性部18bとの間隔(ギャップ)は厚さ(板厚)以上でなければならない。ここで第1弾性部18aと第2弾性部18bとを同一の形態とした場合、第1接点部19aと第2接点部19bとの間隔を板厚以上としなければならず、コンタクト20aの板厚を第1コンタクト10aの板厚より厚くしなければならない。即ち、コンタクト20aの板厚を自由に(できれば薄く)設定したいにもかかわらず、コンタクト20aの板厚が制約される。しかしながら、第1弾性部18aと第2弾性部18bとの形態を同一とせず、第1接点部19aと第2接点部19bとの位置をずらすことにより、プレス加工の条件を満たし、且つ第1接点部19aと第2接点部19bとの間隔を狭くすることができる。即ち、コンタクト20aの板厚を自由に(より薄く)設定することができる。
【0026】
長手方向(X方向)における第1弾性部18aの長さは第2弾性部18bの長さより長く、第2弾性部18bに対する第1弾性部18aの余長は、余長調整部として機能するU字形状部(曲げ部)において調整している。具体的には、第1弾性部18aの余長吸収は、第1弾性部18aU字形状のU字の大きさを第2弾性部18bのU字の大きさより大きくすることにより行っている。
【0027】
また、U字形状に折り曲げ加工する前における第1接点部19aと第2接点部19bとを対向させず、U字形状に折り曲げ加工した後における第1接点部19aと第2接点部19bとを対向させることにより生じる第1弾性部18a,第2弾性部18bにおけるばね変位量(ばね荷重)の差を解消するために、第1コンタクト10aの長手方向(X方向)において長い第1弾性部18aの板厚及び幅の少なくとも一方を、第1弾性部18aより短い第2弾性部18bの板厚及び幅の少なくとも一方よりも厚く広くする。即ち、第1接点部19aと第2接点部19bとの挟持力を偏りなく均等にするために、第1弾性部18a,第2弾性部18bの板厚及び幅の少なくとも一方を調整する。
【0028】
図10は発光素子基板5a及びプラグコネクタ3aを発光素子基板5aに実装する前の状態を示す斜視図、図11はプラグコネクタ3aの分解図である。なお、プラグコネクタ3bの構成は、レセプタクルコネクタ2のY方向の中心線を線対称としてプラグコネクタ3aの構成と同一である。また、発光素子基板5bの構成は、レセプタクルコネクタ2のY方向の中心線を線対称として発光素子基板5aの構成と同一である。
【0029】
プラグコネクタ3aは、図10及び図11に示すように、インシュレータ(絶縁体)24、2つのフィッティングネイル(固定ネイル)26a,26b及び6個のコンタクト20a~20fを備えて構成されている。コンタクト20a~20fは、Y方向に等間隔に配列されており、インシュレータ24内に組み込まれている。コンタクト20a~20fそれぞれの+X方向側の端部は、プラグコネクタ3aが発光素子基板5aに実装されることにより、発光素子基板5aの基板面上に形成されている6つのパッド22a~22fそれぞれと接続する。また、コンタクト20a~20fそれぞれの-X方向側の端部は、レセプタクルコネクタ2がプラグコネクタ3aと嵌合することにより、レセプタクルコネクタ2の6つの第1コンタクト10a~10fそれぞれと接続する。
【0030】
LEDバックライト装置(照明装置、図示せず)は、図示しない複数の発光素子、中継基板4、複数の発光素子を実装した複数の発光素子基板5a,5b、中継基板4及び発光素子基板5a,5bを取り付けるための矩形平板状の取付部材(図示せず)、並びに中継基板4及び発光素子基板5a,5bを電気的に接続する基板対基板コネクタ1を備えて構成される。液晶表示装置(表示装置、図示せず)は、図示しない液晶パネル、液晶パネルの背面に配置されるLEDバックライト装置、LEDバックライト装置の背面に配置される図示しない制御基板を備えて構成される。
【0031】
この第1の実施の形態に係る基板対基板コネクタ1によれば、U字形状に折り曲げた弾性体を有する第1コンタクト10a~10f(第2コンタクト11a~11f)を備えたレセプタクルコネクタ2を有している。したがって、チューニングフォーク型のコンタクト(板材を抜き、抜く方向と直交する方向(板材の面と平行な方向)に弾性変位させる形のコンタクト)または箱曲げ構造のコンタクトなどの嵌合方向に折り曲げずに延びたコンタクトと比較した際、第1コンタクト10a~10f(第2コンタクト11a~11f)の長さを折り返した長さ、短くすることができる。即ち、レセプタクルコネクタ2の嵌合方向におけるサイズを、少なくとも第1コンタクト10a~10f(第2コンタクト11a~11f)を折り曲げた長さ分、短くすることができ、ひいてはレセプタクルコネクタ2を実装する中継基板4の幅方向におけるサイズを短くすることができる。また、基板対基板コネクタ1を設置する場所が例えば低背であったり狭い奥行きであったりして、折り曲げ前のフラットな状態では設置できない場合であっても本発明のコンタクトを備えたコネクタであれば設置が可能である。
【0032】
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態に係る基板対基板コネクタについて説明する。図12は第2の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す斜視図、図13(A)は第2の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す平面図、図13(B)は図13(A)のD-D断面図、図13(C)は図13(A)のE-E断面図である。基板対基板コネクタ27は、中継基板4と発光素子基板5b及び図示しない発光素子基板とを電気的に接続し、レセプタクルコネクタ29、プラグコネクタ31b及び図示しないプラグコネクタからなる。レセプタクルコネクタ29は、中継基板4に実装されている。プラグコネクタ31bは発光素子基板5bに、図示しないプラグコネクタは図示しない発光素子基板に実装されている。また、以下の説明においては、第1の実施の形態と同様に、図12に示すXYZ直交座標系を設定し、この直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係等について説明する。
【0033】
中継基板4に実装されるレセプタクルコネクタ29は、-X方向側からプラグコネクタ31bを受け入れプラグコネクタ31bと嵌合し、+X方向側から図示しないプラグコネクタを受け入れ図示しないプラグコネクタと嵌合する。レセプタクルコネクタ29は、図12及び図13に示すように、インシュレータ(絶縁体)32、10個の第1コンタクト(端子)33、10個の第2コンタクト(端子)34及びシェル35により構成されている。
【0034】
10個の第1コンタクト33及び10個の第2コンタクト34はX方向に対向し、それぞれY方向に等間隔に配列されており、インシュレータ32内に組み込まれている。第1コンタクト33の-X方向側の端部は、中継基板4上に形成されている図示しない第1パッドと接続する。また、第1コンタクト33の+X方向側の端部は、図示しないプラグコネクタのコンタクトと接続する。第2コンタクト34の+X方向側の端部は、中継基板4上に形成されている図示しない第2パッドと接続する。また、第2コンタクト34の-X方向側の端部は、プラグコネクタ31bのコンタクト43(図12参照)と接続する。
【0035】
図14は第1コンタクト33の構成を示す斜視図、図15(A)は第1コンタクト33の構成を示す平面図、図15(B)は第1コンタクト33の構成を示す正面図、図15(C)は第1コンタクト33の構成を示す底面図、図15(D)は第1コンタクト33の構成を示す左側面図、図15(E)は第1コンタクト33の構成を示す右側面図である。また、図16は第1コンタクト33の構成を示す拡大図、図17は第1コンタクト33の展開図(曲げ加工前の状態を示す展開長)であって、図17(A)はその斜視図、図17(B)はその正面図である。なお、第2コンタクト34の形状はレセプタクルコネクタ29のY方向の中心線を線対称として第1コンタクト33の形状と同一である。
【0036】
第1コンタクト33の-X方向の端部には、実装部36が形成されている。実装部36の中継基板4に対向する面は、中継基板4の図示しない第1パッドに例えば半田付け等により実装される。第1コンタクト33は、実装部36の+X方向の端部からL字状に折り曲げられ、+Z方向に伸び、-Z方向に折り返す折返し部37を有する。また、基板対基板コネクタ27はフローティングタイプのコネクタであるため、第1コンタクト33は、折返し部37及び後述する分岐部(第1弾性部39a,第2弾性部39b)の間に、波形状のフレキシブル部38を有する。フレキシブル部38は、弾性を有し、レセプタクルコネクタ29がプラグコネクタ31bに対して移動するとき追従する。フレキシブル部38は、レセプタクルコネクタ29及びプラグコネクタ31bの嵌合時において、例えば中継基板4及び発光素子基板の少なくとも一方が位置ずれしている場合であっても追従することにより中継基板4及び発光素子基板の位置ずれを許容する。また、フレキシブル部38は、嵌合後においても中継基板4及び発光素子基板の少なくとも一方が位置ずれした場合、中継基板4及び発光素子基板の少なくとも一方の移動に追従することにより中継基板4及び発光素子基板の位置ずれを許容し、レセプタクルコネクタ29及びプラグコネクタ(第1コンタクト33及び図示しないプラグコネクタのコンタクト)の接続を維持する。
【0037】
第1コンタクト33は、フレキシブル部38の+X方向の端部から二股に分岐する一方の分岐部である第1弾性部(第1接触片)39a、他方の分岐部である第2弾性部(第2接触片)39bを有する。第1弾性部39aは、-X方向の端部から+X方向に延び、-Z方向に折り曲げたL字形状の折曲げ部(曲げ部)40aを有する。また、第1コンタクト33は、二股に分岐する付け根と折曲げ部40aとの間にU字形状の余長調整部41を有する。余長調整部41については、後ほど詳述する。また、第1コンタクト33は、折曲げ部40aと+X方向側の先端との間に第1接点部42aを有する。第1接点部42aは、プラグコネクタのコンタクト(図示せず)と接触する。一方、第2弾性部39bは、-X方向の端部から+X方向に延び、-Z方向に折り曲げたL字形状の折曲げ部40bを有する。第1コンタクト33は、折曲げ部40bと+X方向側の先端との間に第2接点部42bを有する。第2接点部42bは、プラグコネクタのコンタクト(図示せず)と接触する。
【0038】
第1接点部42a及び第2接点部42bは、互いに対向しており、第1弾性部39a及び第2弾性部39bの弾性力によりプラグコネクタのコンタクトをY方向に挟持し、第1コンタクト33及びプラグコネクタのコンタクトを電気的に接続させる。ここで、二股に分岐する付け根が第1弾性部39a及び第2弾性部39bの支持部(固定部)、折曲げ部40a,40bにおいて第1弾性部39a及び第2弾性部39bをL字形状に折り曲げることにより形成される空間が第1弾性部39a及び第2弾性部39bの弾性空間として機能し、Y方向に弾性力が加わることにより第1接点部42a及び第2接点部42bがプラグコネクタのコンタクトを挟持し、第1コンタクト33とプラグコネクタのコンタクトとが電気的に接続する。即ち、第1弾性部39a及び第2弾性部39bの弾性体としての機能並びに第1弾性部39a及び第2弾性部39bのばね長さを確保しつつ、第1コンタクト33のX方向における長さを短くすることができる。
【0039】
また、第1弾性部39a及び第2弾性部39bは、曲げ加工前の展開長において第1接点部42aと第2接点部42bとが互いに重複しないように、例えば形状、厚さ(板厚)及び幅など互いに異なる形態を有している。更に、折り曲げ加工等する前における第1接点部42a及び第2接点部42bは対向しておらず(図17参照)、折り曲げ加工等した後における第1接点部42a及び第2接点部42bは対向している。即ち、余長調整部41は、XY平面内においてU字形状に折り曲げ加工されることにより、第1接点部42a及び第2接点部42bが第1弾性部39a及び第2弾性部39bの弾性方向(Y方向)において対向する位置となるように第1弾性部39aの第2弾性部39bに対する余長を調整(吸収)する。第1接点部42a及び第2接点部42bをY方向において対向する位置とすることにより、レセプタクルコネクタ29とプラグコネクタとが嵌合する際、余分なモーメントが発生しない。
【0040】
なお、余長調整部41は、第1弾性部39aの第2弾性部39bに対する余長調整が可能であれば、U字形状以外の形状に折り曲げ加工されてもよい。また、この実施の形態では、二股に分岐する付け根と折曲げ部40aとの間に余長調整部41を備える場合を例に挙げて説明したが、折曲げ部40aと第1接点部39aとの間に余長調整部41を備える構成であってもよい。
【0041】
また、第1接点部42a及び第2接点部42bの間の隙間(ギャップ)が略ないため(第1コンタクト33の板厚より短いため)、第1接点部42a及び第2接点部42bは、プラグコネクタのコンタクトを強固に挟持することができ、レセプタクルコネクタ29とプラグコネクタとの電気的接続を良好に維持することができる。また、コンタクトは一般的にプレス加工することにより形成されるが、コンタクトの板材がフラットな状態で抜き加工を成立させる必要がある。抜き加工に係る抜き幅は、一般的に板厚と同じ大きさが最小である。したがって、第1弾性部39a及び第2弾性部39bの長手方向(X方向)における長さが同一であると、抜き幅の限界が第1弾性部39a及び第2弾性部39bの間隔(ギャップ)となり、プラグコネクタのコンタクトの板厚を第1コンタクト33の板厚より厚くしなければならない。即ち、プラグコネクタのコンタクトの板厚が制約される。しかしながら、第1弾性部39a及び第2弾性部39bの形態を同一とせず、第1接点部42a及び第2接点部42bの位置をずらすことにより、プレス加工の条件を満たし、且つ第1接点部42a及び第2接点部42bの間隔を狭くすることができる。
【0042】
また、第1接点部42aは、第2接点部42bと対向する方向(-Y方向)に突出する扇形状の突出部を有し、この突出部の表面が滑らかな曲面となるように-X方向に向けて折り曲げ加工されている。第2接点部42bも同様に、第1接点部42aと対向する方向(+Y方向)に突出する扇形状の突出部を有し、この突出部の表面が滑らかな曲面となるように-X方向に向けて折り曲げ加工されている(誘い込み部)。これによりプラグコネクタのコンタクトが第1コンタクト33の長手方向(X方向)に対して+Z方向に傾斜させた斜め方向から第1接点部42aと第2接点部42bとの間に挿入され嵌合する際、突出部の曲面がコンタクトの滑らかな挿入をガイドする。なお、プラグコネクタのコンタクトが第1接点部42aと第2接点部42bとの間に滑らかに挿入されるのであれば、突出部の表面全体が曲面である必要はなく、突出部の表面の少なくとも一部が曲面であればよい。また、突出部の表面の加工は、折り曲げ加工に代えて面取り加工であってもよい。
【0043】
また、第1接点部42a及び第2接点部42bは、折り曲げ加工される前において対向せず、折り曲げ加工された後において対向することにより生じる第1接点部42a及び第2接点部42bにおけるバネ変位量(バネ荷重)の差を解消するために、第1弾性部39aの一部に開口部70が設けられている。すなわち、第1コンタクト33の長手方向(X方向)において第2弾性部39bよりも長い第1弾性部39aに開口部70が設けることにより第1弾性部39aの重さを調整し、第1接点部42a及び第2接点部42bの挟持力を偏りなく均等にする。
【0044】
なお、第1コンタクト33と接続する図示しないプラグコネクタの構成は、レセプタクルコネクタ29のY方向の中心線を線対象として第2コンタクト34と接続するプラグコネクタ31bの構成と同一である。
【0045】
この第2の実施の形態に係る基板対基板コネクタ27によれば、L字形状に折り曲げ弾性を有する第1コンタクト33及び第2コンタクト34を備えたレセプタクルコネクタ29を備えている。したがって、チューニングフォーク型のコンタクトまたは箱曲げ構造のコンタクトなどの嵌合方向に折り曲げずに延びたコンタクトと比較した際、第1コンタクト33及び第2コンタクト34のX方向における長さを折り曲げた長さ分短くすることができる。即ち、レセプタクルコネクタ29の嵌合方向におけるサイズを、少なくとも第1コンタクト33及び第2コンタクト34を折り曲げた長さ分短くすることができ、ひいてはレセプタクルコネクタ29を実装する中継基板4の幅方向におけるサイズを短くすることができる。
【0046】
次に、図面を参照して本発明の第3の実施の形態に係る基板対基板コネクタについて説明する。図18は、第3の実施の形態に係る基板対基板コネクタの構成を示す斜視図である。また、以下の説明においても、第1の実施の形態と同様に、図18に示すXYZ直交座標系を設定し、この直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係等について説明する。図18に示すように、基板対基板コネクタ45は、プラグコネクタ46及びレセプタクルコネクタ47からなる。図19は、第3の実施の形態に係る基板対基板コネクタ45の構成を示す斜視図であって、プラグコネクタ46及びレセプタクルコネクタ47が嵌合する前の状態を示す図である。図20は、プラグコネクタ46の構成を示す斜視図である。プラグコネクタ46及びレセプタクルコネクタ47は、図示しない基板に実装される。
【0047】
プラグコネクタ46及びレセプタクルコネクタ47は、Z方向を嵌合方向として嵌合する。プラグコネクタ46は、5個の第1コンタクト48、5個の第2コンタクト49、第1コンタクト48と第2コンタクト49との間に位置するグランドプレート53を備えている。第1コンタクト48、第2コンタクト49及びグランドプレート53は、インシュレータ(絶縁体)71に組み込まれている。5個の第1コンタクト48及び5個の第2コンタクト49はX方向に対向し、それぞれY方向に等間隔に配列されている。
【0048】
レセプタクルコネクタ47は、5個の第1コンタクト50、5個の第2コンタクト51、シェル52を備えている。第1コンタクト50及び第2コンタクト51は、インシュレータ(絶縁体)72に組み込まれている。5個の第1コンタクト50及び5個の第2コンタクト51はX方向に対向し、それぞれY方向に等間隔に配列されている。プラグコネクタ46の第1コンタクト48それぞれは、レセプタクルコネクタ47の第1コンタクト50それぞれと電気的に接続する。同様に、プラグコネクタ46の第2コンタクト49それぞれは、レセプタクルコネクタ47の第2コンタクト51それぞれと電気的に接続する。
【0049】
図21はレセプタクルコネクタ47のシェル52の構成を示す斜視図、図22(A)はシェル52の構成を示す平面図、図22(B)はシェル52の構成を示す正面図、図23はシェル52の構成を示す展開図(曲げ加工前の状態を示す展開長)である。シェル52は、-Y方向の側部中央から+Y方向に延びる第1グランドコンタクト54、及び+Y方向の側部中央から-Y方向に延びる第2グランドコンタクト55を備えている。
【0050】
第1グランドコンタクト54は、二股に分岐する一方の分岐部である第1弾性部(第1接触片)56a、他方の分岐部である第2弾性部(第2接触片)56bを有する。第1弾性部56aの先端部には、第1接点部58aが設けられている。第1接点部58aは、プラグコネクタ46のグランドプレート53と接触し、接地する。また、第1弾性部56aは、二股に分岐する付け根と第1接点部58aとの間に折曲げ部(曲げ部)を有し、折曲げ部は、二股に分岐する付け根から+Z方向に折り曲げられたL字形状部60a、+Y方向に折り曲げられ更に-Z方向に折り曲げられたU字形状部61aを有する。
【0051】
一方、第2弾性部56bの先端部には、第2接点部58bが設けられている。第2接点部58bは、プラグコネクタ46のグランドプレート53と接触し、接地する。また、第2弾性部56bは、二股に分岐する付け根と第2接点部58bとの間に折曲げ部を有し、折曲げ部は、二股に分岐する付け根から+Z方向に折り曲げられたL字形状部60b、+Y方向に折り曲げられ更に-Z方向に折り曲げられたU字形状部61bを有する。
【0052】
第1接点部58aは+X方向を、第2接点部58bは-X方向を向いており、第1弾性部56a及び第2弾性部56bの弾性力によりプラグコネクタ46のグランドプレート53をX方向に挟持し、シェル52及びプラグコネクタ46のグランドプレート53を電気的に接続させる。ここで、二股に分岐する付け根が第1弾性部56a及び第2弾性部56bの支持部(固定部)、第1弾性部56a及び第2弾性部56bの折曲げ部により形成される空間が第1弾性部56a及び第2弾性部56bの弾性空間として機能し、X方向に弾性力が加わることにより第1接点部58a及び第2接点部58bがグランドプレート53を挟持し、シェル52とグランドプレート53とが電気的に接続する。即ち、第1弾性部56a及び第2弾性部56bの弾性体としての機能並びに第1弾性部56a及び第2弾性部56bのばね長さを確保しつつ、第1グランドコンタクト54のY方向における長さを短くすることができる。
【0053】
第2グランドコンタクト55は、二股に分岐する一方の分岐部である第1弾性部57a、他方の分岐部である第2弾性部57bを有する。第1弾性部57aの先端部には、第1接点部59aが設けられている。第1接点部59aは、プラグコネクタ46のグランドプレート53と接触し、接地する。また、第1弾性部57aは、二股に分岐する付け根と第1接点部59aとの間に折曲げ部を有し、折曲げ部は、二股に分岐する付け根から+Z方向に折り曲げられたL字形状部62a、-Y方向に折り曲げられ更に-Z方向に折り曲げられたU字形状部63aを有する。
【0054】
一方、第2弾性部57bの先端部には、第2接点部59bが設けられている。第2接点部59bは、プラグコネクタ46のグランドプレート53と接触し、接地する。また、第2弾性部57bは、二股に分岐する付け根と第2接点部59bとの間に折曲げ部を有し、二股に分岐する付け根から+Z方向に折り曲げられたL字形状部62b、-Y方向に折り曲げられ更に-Z方向に折り曲げられたU字形状部63bを有する。
【0055】
第1接点部59aは-X方向を、第2接点部59bは+X方向を向いており、第1弾性部57a及び第2弾性部57bの弾性力によりプラグコネクタ46のグランドプレート53をX方向に挟持し、シェル52及びプラグコネクタ46のグランドプレート53を電気的に接続させる。ここで、二股に分岐する付け根が第1弾性部57a及び第2弾性部57bの支持部(固定部)、第1弾性部57a及び第2弾性部57bのU字形状部により形成される空間が第1弾性部57a及び第2弾性部57bの弾性空間として機能し、X方向に弾性力が加わることにより第1接点部59a及び第2接点部59bがグランドプレート53を挟持し、シェル52とグランドプレート53とが電気的に接続する。即ち、第1弾性部57a及び第2弾性部57bの弾性体としての機能並びに第1弾性部57a及び第2弾性部57bのばね長さを確保しつつ、第2グランドコンタクト55のY方向における長さを短くすることができる。また、第2弾性部56b,57bに対する第1弾性部56a,57aの余長を調整する場合、U字形状部61a,63aで行う。
【0056】
なお、第1弾性部56a,57aのY方向における長さは、第2弾性部56b,57bのY方向における長さより長い。また、第1弾性部56a,57a及び第2弾性部56b,57bは、第1接点部58a,59aと第2接点部58b,59bとが展開長において互いに重複しないように(図23参照)、例えば形状、厚さ(板厚)及び幅など互いに異なる形態を有している。第1弾性部56a,57a及び第2弾性部56b,57bを同一の形態とした場合、第1接点部58a,59a及び第2接点部58b,59bのX方向における間隔を板厚以上としなければならず、グランドプレート53の板厚が制約される。しかしながら、第1弾性部56a,57a及び第2弾性部56b,57bの形態を図23に示すように同一とせず、第1接点部58a,59a及び第2接点部58b,59bの位置をずらすことにより、プレス加工の条件を満たし、且つ第1接点部58a,59a及び第2接点部58b,59bの挟持方向(X方向)における間隔を狭くすることができる。
【0057】
この第3の実施の形態に係る基板対基板コネクタ45によれば、L字形状及びU字形状に折り曲げた弾性体を有する第1グランドコンタクト54及び第2グランドコンタクト55を有するシェル52を備えたレセプタクルコネクタ47を有している。したがって、第1グランドコンタクト54及び第2グランドコンタクト55の長さを折り曲げたり折り返したりした分、短くすることができる。
【0058】
なお、上述の実施の形態においては、液晶バックライト(照明装置)に用いられる基板対基板コネクタ1,27を例に挙げて説明したが、液晶バックライト(照明装置)以外の電子機器に本発明のコネクタを用いてもよい。また、上述の実施の形態においては、レセプタクルコネクタ2がプラグコネクタ3a,3bに嵌合する基板対基板コネクタ1、レセプタクルコネクタ29がプラグコネクタ31bに嵌合する基板対基板コネクタ27、レセプタクルコネクタ47がプラグコネクタ46に嵌合する基板対基板コネクタ45を例に挙げて説明したが、基板対基板コネクタ以外のコネクタ、例えば基板対電線コネクタや基板対FPC(FFC)コネクタ等に本発明のコンタクトを用いてもよい。即ち、レセプタクルコネクタ2の第1コンタクト10a~10f(第2コンタクト11a~11f)がプラグコネクタ3a,3b以外のコネクタ(電線用コネクタ、FPC(FFC)用コネクタ)と接続する構成であってもよい。
【0059】
また、上述の実施の形態においては、1つのレセプタクルコネクタ2に対し2つのプラグコネクタ3a,3bが接続する場合を例に挙げて説明したが、1つのレセプタクルコネクタに対し1つのプラグコネクタが接続する構成であってもよい。また、上述の各実施の形態において曲げ部がL字形状、またはU字形状、またはU字形状にL字形状を加えた形状である場合を例に挙げて説明したが、曲げ部がハット曲げ形状であってもよい。
【0060】
また、上述の各実施の形態においては、コンタクト及びグランドコンタクトが2つの弾性部(第1弾性部及び第2弾性部)を有する場合を例に挙げて説明したが、少なくとも1つの弾性部を有していればよい。また、コンタクト(グランドコンタクト)が2つの接点部(第1接点部及び第2接点部)を有する場合を例に挙げて説明したが、少なくとも1つの接点部を有していればよい。例えば、コンタクト(グランドコンタクト)が2つの弾性部を有しいずれかの弾性部に接点部が設けられている構成でもよく、コンタクト(グランドコンタクト)の一方の分岐部のみが弾性を有し双方の分岐部に接点部が設けられている構成でもよく、コンタクト(グランドコンタクト)の一方の分岐部のみが弾性を有し何れかの分岐部に接点部が設けられている構成でもよい。
【符号の説明】
【0061】
1,27,45…基板対基板コネクタ、2,29,47…レセプタクルコネクタ、3a,3b,31b,46…プラグコネクタ、4…中継基板、5a,5b…発光素子基板、6,32,71,72…インシュレータ、8a,8b…フィッティングネイル、10a~10f,33,48,50…第1コンタクト、11a~11f,34,49,51…第2コンタクト、12a~12f…第1受容部、14a~14f…第1パッド、15a~15f…第2パッド、16…中央部、17,36…実装部、18…弾性部、18a,39a,56a,57a…第1弾性部、18b,39b,56b,57b…第2弾性部、19a,42a,58a,59a…第1接点部、19b,42b,58b,59b…第2接点部、20a~20f,21a~21f,43…コンタクト、22a~22f…パッド、24…インシュレータ、26a,26b…フィッティングネイル、35,52…シェル、37…折返し部、38…フレキシブル部、40a,40b…折曲げ部、41…余長調整部、53…グランドプレート、54…第1グランドコンタクト、55…第2グランドコンタクト、60a,60b,62a,62b…L字形状部、61a,61b,63a,63b…U字形状部、70…開口部。
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