(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】喫煙システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20221130BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20221130BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2022062268
(22)【出願日】2022-04-04
(62)【分割の表示】P 2022503108の分割
【原出願日】2020-12-11
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/007940
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
(72)【発明者】
【氏名】隅井 干城
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-521656(JP,A)
【文献】特表2019-526233(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0235122(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0263286(US,A1)
【文献】国際公開第2019/140749(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03610741(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙可能物を有する消耗品と、
前記消耗品を受け入れるチャンバを含み、前記チャンバに受け入れられた前記消耗品の前記喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムであって
、
前記チャンバは、前記消耗品が挿入される開口と、前記消耗品を保持する保持部を含み、
前記保持部は、前記消耗品の一部を押圧する第1押圧部を含み、
前記消耗品は、第1の硬さを有する第1の箇所と、第2の硬さを有する第2の箇所を有し、前記第2の箇所は前記消耗品の挿入方向において前記第1の箇所と異なる箇所であり、
前記消耗品が前記チャンバの所望の位置に位置決めされたとき、前記消耗品は、前記第1の箇所の少なくとも一部が前記第1押圧部に押圧されるように位置決めされると同時に前記第2の箇所の少なくとも一部が前記第1押圧部に押圧されるように位置決めされる、システム。
【請求項2】
請求項1に記載されたシステムにおいて、
前記第1の硬さは、65%以上かつ90%以下である、システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたシステムにおいて、
前記第2の硬さは、90%以上かつ99%以下である、システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記第2の硬さは前記第1の硬さよりも高い、システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記第1の箇所と前記第2の箇所が隣り合って配置されている、システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記第1の硬さと前記第2の硬さの差は、少なくとも4%以上である、システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記第1の箇所は、たばこを含む前記喫煙可能物を有する、システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記第2の箇所は、筒状部材を有し、
前記筒状部材は、紙管又は中空フィルタである、システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記消耗品が所望の位置に位置決めされた際に前記消耗品の前記第2の箇所が前記保持部に挿入される距離は、1.0mm以上かつ10.0mm以下である、システム。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記開口は、前記消耗品を押圧せずに受け入れ可能である、システム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記チャンバは、前記開口を形成する前記チャンバの内面と前記第1押圧部の内面とを接続するテーパ面を備えた第1ガイド部を有する、システム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記チャンバは第2押圧部を有し、
前記第2押圧部は、前記第1押圧部よりも前記チャンバの前記開口から遠くに位置する、システム。
【請求項13】
請求項12に記載されたシステムにおいて、
前記第2押圧部は前記チャンバの端部に配置されている、システム。
【請求項14】
請求項12又は13に記載されたシステムにおいて、
前記保持部は、第1保持部と、前記第1保持部よりも前記開口から遠くに位置する第2保持部と、を含み、
前記第1保持部が前記第1押圧部を含み、前記第2保持部が前記第2押圧部を含み、
前記第2押圧部は、前記第1押圧部よりも前記消耗品を圧縮するように構成され、且つ/又は前記チャンバの長手方向に直交する面において、前記第2保持部の内部の断面積は、前記第1保持部の内部の断面積よりも小さい、システム。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記第1押圧部は内面を有し、前記内面は平面である、システム。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記第1押圧部の厚みは、均一である、システム。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記チャンバは、周方向に2以上の前記第1押圧部を有する、システム。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記チャンバは、前記チャンバ内に挿入された前記消耗品が突き当てられる突当部を内部に有し、
前記突当部は、前記消耗品の端面の少なくとも一部が露出されるように消耗品の一部を支持する、システム。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載されたシステムにおいて、
前記保持部は、非押圧部を有し、前記非押圧部は内面を有し、
前記消耗品が前記チャンバの所望の位置に位置決めされたとき、前記非押圧部の前記内面と前記消耗品との間に、前記チャンバの前記開口と前記チャンバの所望の位置に位置決めされた前記消耗品の端面、又は前記チャンバの前記開口と前記チャンバ内に位置づけられ前記チャンバの前記開口から遠い方に位置づけられた前記消耗品の端面、に連通する空隙が設けられる、システム。
【請求項20】
第1の硬さを有する第1の箇所と第2の硬さを有する第2の箇所とを有
し、喫煙システムに用いられる消耗品を保持する方法であって、前記第2の箇所は前記消耗品の挿入方向において前記第1の箇所と異なる箇所である、方法において、
前記消耗品を、開口からチャンバに挿入して、前記消耗品を前記チャンバの所望の位置に位置決めし、
前記消耗品が前記チャンバの所望の位置に位置決めされたとき、前記第1の箇所の少なくとも一部を、前記チャンバの第1押圧部で押圧し、且つ前記第2の箇所の少なくとも一部を、前記第1押圧部で押圧する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。香味吸引器は、例えば、香味発生物品を収容するチャンバと、チャンバに収容される香味発生物品を加熱するヒータとを有する(例えば、特許文献1-3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2001-521123号公報
【文献】特許第5963375号公報
【文献】国際公開第2016/207407号パンフレット
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1態様によれば、喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムが提供される。デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部とを含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部と、を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部と、を含む。押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有する。加熱部は、押圧部の外面に配置される。押圧部の内面は消耗品を押圧する押圧面とも言え、非押圧部の内面は消耗品を押圧しない非押圧面とも言える。
【0005】
第1態様によれば、消耗品が加熱面(押圧部の内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。なお、消耗品は、たばこや非たばこを含む喫煙可能物を有する。消耗品はマウスピースを有していても、有しなくてもよい。マウスピースを有する消耗品としては、たばこなどを喫煙可能物として有する従来のシガレットに外見が似たスティックタイプのものであってもよい。マウスピースを有さない消耗品としては、たばこなどの喫煙可能物自体をタブレット形状などに固めたもの、喫煙可能物を不織布などの通気性部材や紙などのシート部材で巻いたものであってもよい。また、加熱部は、加熱要素を有してもよい。チャンバは、例えば有底筒状の容器、又は底のない筒状体であり得る。チャンバは、熱伝導率の高い金属などの物質で構成されることが好ましく、ステンレス鋼等が挙げられる。これにより効果的な加熱が可能となる。チャンバの壁厚みは均一(実質的に均一である場合も含む)であることが好ましい。これによりチャンバ全体をより均一に加熱することが可能となる。チャンバの厚みは、例えば0.04mm以上1.00mm以下であり、好ましくは0.04mm以上0.50mm以下であり、より好ましくは0.05mm以上0.10mm以下である。
【0006】
加熱部は、押圧部の外面に隙間なく(押圧部の外面と加熱部との間に隙間なく)配置されるのが好ましい。ここでの隙間なくとは、実質的に隙間なくという意味も含む。これにより、加熱部が押圧部の外面に密着するので加熱部からの熱をさらに効率よく消耗品に伝えることができる。なお、加熱部は接着層を含んでもよい。その場合、接着層を含む加熱部が、押圧部の外面に隙間なく配置されることが好ましい。
【0007】
開口は、消耗品を押圧せずに受け入れ可能であることが好ましい。これにより、消耗品をチャンバ内に容易に挿入することができる。チャンバの長手方向、言い換えれば消耗品がチャンバに挿入される方向もしくはチャンバの側面全体として伸びる方向(以降、チャンバの長手方向とだけ記載する)に直交する面におけるチャンバの開口の形状は多角形又は楕円形であってもよいが、円形であることが好ましい。これにより消耗品を開口に容易に挿入することができる。
【0008】
保持部の内周長さは、押圧部によって押圧される前の消耗品の外周長さと同一であることが好ましい。なお、ここで「同一」とは、実質的に同一である場合を含む。「実質的に同一」であるとは、保持部の内周長さと押圧部によって押圧される前の消耗品の外周長さとの差が、保持部の内周長さの例えば±6%以内であることをいい、好ましくは±4%以内であることをいい、より好ましくは±2%以内であることをいう。上述したように、保持部は、押圧部と非押圧部を有する。保持部の内周長さが消耗品の外周長さと実質的に同一である場合、押圧部によって消耗品の一部が押圧されることにより、消耗品の外周形状が保持部の内面の断面形状と略一致することになる。保持部の内周長さ及び内周形状が、消耗品の外周長さ及び外周形状と同一の場合と比べて、本喫煙システムでは消耗品が押圧部により押圧される箇所が形成されるので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。また、保持部の内周長さよりも消耗品の外周長さが短い場合に比べて、消耗品の外周面の押圧されない箇所も保持部の内周面(非押圧面)と実質的に接触するので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。さらに、保持部の内周長さよりも消耗品の外周長さが長い場合に比べて、消耗品を保持部にスムーズに挿入でき、消耗品の外周面及び消耗品内部(例えば、喫煙可能物の一例としてのたばこ)の密度にひずみが生じることを抑制できる。その結果、消耗品内部の密度にひずみが生じることによって起こり得る、不均一な加熱や、消耗品毎に通気抵抗がバラつくことを抑制することができる。また、保持部の内周長さは、押圧部によって押圧された状態の消耗品の外周長さと実質的に同じであることが好ましいとも言えるし、保持部の内周長さとは保持部のチャンバの長手方向に直交する面における内周長さとしてもよい。また、「押圧部によって押圧される前の消耗品の外周長さ」とは、押圧部によって押圧される前の消耗品の外周長さのうち、押圧部によって押圧された際にチャンバの長手方向において、比較されている保持部の内周長さに対応する位置に位置づけられる部分の外周長さとしてもよい。また、「押圧部によって押圧された状態の消耗品の外周長さ」とは、押圧部によって押圧された状態の消耗品の外周長さのうちチャンバの長手方向において、比較されている保持部の内周長さに対応する位置の外周長さとしてもよい。
【0009】
保持部の外周面は、チャンバの長手方向全長に亘って同一の形状及び大きさ(チャンバの長手方向に直交する面における保持部の外周長さ)を有することが好ましい。これにより、保持部の押圧部の外面に加熱部がたるんで設けられることを抑制することができ、その結果、押圧部の外面に加熱部を実質的に隙間なく容易に設けることができる。
【0010】
非押圧部は、消耗品がチャンバ内の所望の位置に配置されたとき、消耗品と、非押圧状態で接触することが好ましい。ここでの非押圧状態とは、実質的に非押圧状態であることを含む。これにより、消耗品と保持部との間に隙間が実質的に生じないので、非押圧部においても加熱部から消耗品への熱伝導効率がさらに向上し得る。非押圧部は、対向する内面が平面である押圧部を繋ぐ内面を有し、その内面が曲面であってもよい。
【0011】
保持部の非押圧部の内面は、押圧部の内面のチャンバの周方向における端部同士を接続する曲面を有することが好ましい。これにより、喫煙システムの構造をより簡素化することができるとともに内面が角を有する場合などに比べ非押圧部の清掃をより容易に行うことができる。後段で述べる空隙がチャンバ内に形成される場合においては、内面が角を有する場合などに比べ空隙の清掃をより容易に行うことができる。非押圧部の内面のチャンバの長手方向に直交する面における形状は、チャンバの長手方向に直交する面における開口の形状と、チャンバの長手方向の任意の位置において同一であることが好ましい。言い換えれば、非押圧部の内面は、開口を形成するチャンバの内面を長手方向に延長して形成されることが好ましい。これにより、チャンバの構成を簡素化することができ、後段で述べる空隙がチャンバ内に形成される場合においては、チャンバの開口から入り込む空気の流れが阻害されることが抑制される。また、空隙の清掃をより容易に行うことができる。なお「チャンバの周方向」とは「チャンバの長手方向を軸とする回転方向」と考えてもよい。
【0012】
押圧部の外面は、曲面又は凹凸面であってもよいが、平面であることが好ましい。なお、ここでの「平面」は実質的に平面である場合を含む。「押圧部の外面が実質的に平面である」とは、押圧部の外面の全体に対する平面の割合という観点であれば、押圧部の外面の全体に対する平面の割合が、例えば80%以上であることをいい、好ましくは90%以上であることをいい、より好ましくは95%以上であることをいう。
【0013】
押圧部の外面が平面であることにより、押圧部の外面に配置される加熱部に帯状の電極が接続されている場合に、帯状の電極が撓むことを抑制することができるので、電極のデバイス内での引き回しが容易になる。また、押圧部の外面が曲面又は凹凸面である場合に比べて、加熱部を精度よく位置決めし、押圧部の外面に加熱部を容易に隙間なく配置することができる。
【0014】
押圧部の内面は、平面であることが好ましい。これにより、消耗品の挿入が行いやすくなる。ここでの「平面」は、実質的に平面である場合も含む。また、押圧部の厚みは、均一であることが好ましい。これにより、より均一な加熱が行える。ここでの「厚みは均一」は、実質的に均一である場合も含む。押圧部の厚みは、例えば0.04mm以上1.00mm以下であり、好ましくは0.04mm以上0.50mm以下であり、より好ましくは0.05mm以上0.10mm以下である。これにより押圧部の体積が大きすぎることによる消耗品への効率的な熱伝達の阻害を抑制し、必要な押圧部の強度を確保し得る。
【0015】
押圧部の内面が平面である場合において、チャンバは、押圧部を1つだけ有していてもよいが、チャンバの周方向に2以上有することが好ましい。これにより、消耗品を押圧する箇所がチャンバの周方向に2以上存在するので、消耗品をより包括的かつ均一に加熱することができる。
【0016】
保持部は、互いに対向する2つの押圧部を有し、2つの押圧部の内面間の少なくとも一部の距離は、チャンバに挿入される消耗品の押圧部間に配置される箇所の幅よりも小さいことが好ましい。保持部の互いに対向する2つの押圧部の内面は平面でもよい。
【0017】
押圧部の内面が平面である場合において、押圧部は、チャンバの周方向に3つ以上存在してもよい。押圧部の各々は、押圧部の各々と対向する様に配置されてもよいし、非押圧部の各々と対向するように配置されてもよい。非押圧部の各々と対向するように配置される場合、チャンバの長手方向に直交する面において、それぞれの押圧部の内面の中心から垂直に延びる線が交わる点と各押圧部の内面の中心との距離は、挿入される円形の断面を有する消耗品の半径よりも小さくてもよい。ここでの「円形」は実質的に円形であることも含む。
【0018】
押圧部の内面は、向かい合う一対の平面状の平面押圧面を有し、非押圧部の内面は、一対の平面押圧面の両端を接続し、向かい合う一対の曲面状の曲面非押圧面を有することが好ましい。曲面非押圧面は、チャンバの長手方向に直交する面において、全体的に円弧状の断面を有し得る。保持部は均一な厚みを有する金属筒状体によって構成され得る。ここでの均一な厚みとは、実質的に均一な厚みを含む。これによって、チャンバの構造が簡素化され高精度な製造が容易になる。また、これにより押圧部と非押圧部との位置をバランスよく配置できて加熱が均一化され、加熱部を位置精度よく、且つ隙間なく押圧部の外面に配置しやすくなり、加熱効率を向上させることができる。保持部の厚みは、例えば0.04mm以上1.00mm以下であり、好ましくは0.04mm以上0.50mm以下であり、より好ましくは0.05mm以上0.10mm以下である。これにより保持部の体積が大きすぎることによる消耗品への効率的な熱伝達の阻害を抑制し、必要な保持部の強度を確保し得る。
【0019】
保持部は消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、非押圧部の内面と消耗品との間に、チャンバの開口とチャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の端面、もしくはチャンバの開口とチャンバ内に位置づけられチャンバの開口から遠い方に位置づけられた消耗品の端面、に連通する空隙が設けられてもよい。空隙はユーザが吸引を行った際にチャンバの開口から消耗品の端面に向けて空気を流す流路であり、消耗品に供給される空気を導入するための流路を喫煙システムに別途設ける必要がないので、喫煙システムの構造を簡素化することができるとともに、非押圧部の、空隙の一部を形成する箇所が露出するため空隙の清掃を容易に行うことができる。また、空隙を通過する空気を効率よく加熱して、加熱部からの熱エネルギーを効果的に利用することができる。通気抵抗の観点等から空隙の高さ(チャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の断面中心から放射状に延びる線上において最も長い非押圧部の内面と消耗品との間の距離の大きさ)は、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.8mm以下であることがさらに好ましく、0.3mm以上0.5mm以下であることが最も好ましい。
例えば、保持部は、チャンバの周方向に離間した少なくとも2つの押圧部を有し、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、2つの押圧部を接続する非押圧部の内面と消耗品との間に、チャンバの開口とチャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の端面、もしくはチャンバの開口とチャンバ内に位置づけられチャンバの開口から遠い方に位置づけられた消耗品の端面、に連通する空隙が設けられることが好ましく、空隙については、2つの押圧部を接続する2つの非押圧部の内面と消耗品との間に設けられる2つの空隙であることがより好ましく、3つ以上の押圧部を接続する3つ以上の非押圧部の内面と消耗品との間に設けられる3つ以上の空隙であることがさらに好ましい。これにより、チャンバ内の空気流れの偏りをより抑制でき、より均一な加熱を阻害することを抑制できる。
【0020】
2つの押圧部は、互いに対向することが好ましい。この場合、チャンバ内の空気流れの偏りをより抑制でき、より均一な加熱を阻害することをより抑制できる。
【0021】
保持部は保持部の内面に凸部を有さないことが好ましい。均一な厚みをもつ保持部の内面が凸部を有することで保持部の外面に凹部が形成される場合には加熱部を押圧部の外面に隙間なく配置することが困難になり得る。また、保持部の内面に凸部があることで保持部が不均一な厚みになり均一な加熱が阻害され得る。しかし、保持部が保持部の内面に凸部を有さないことでこれらが回避され得る。
【0022】
チャンバは、開口を形成するチャンバの内面と押圧部の内面とを接続するテーパ面を備えた第1ガイド部を有することが好ましい。第1ガイド部は、開口から押圧部に向けて、チャンバの内面の断面形状を連続的に変化させることができるので、消耗品をチャンバにスムーズに挿入することができる。開口と第1ガイド部との間のチャンバの外面、第1ガイド部の外面、及び非押圧部の外面から選ばれる少なくとも一つには加熱部を配置しないことが好ましい。これらの外面に対応する内面は消耗品を押圧しないので、これらの外面に加熱部を配置しないことで、エネルギーを効率よく加熱に使用することができる。
【0023】
チャンバは、開口と保持部との間に筒状の非保持部を備えることが好ましい。消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態において、非保持部の内面と消耗品との隙間は、例えば3.0mm以下であり、好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり且つ0.4mm以上である。隙間がこれらの範囲であると、非保持部を介して消耗品を効率よく加熱することができるので、消耗品の内部を通過するエアロゾルが凝縮することを抑制することができる。また、上記隙間が存在する場合には、隙間を通過する空気を効率よく加熱して、加熱部からの熱エネルギーを効果的に利用することができる。さらに、隙間が0.4mm以上であることで、消耗品をチャンバに挿入しやすくなる。なお、本明細書において「消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態」とは、消耗品からエアロゾルを発生させるために、消耗品がチャンバ内の意図された位置に正しく位置決めされた状態(例えばチャンバが「挿入された消耗品が突き当てられる底部」を有している場合は、消耗品が底部の少なくとも一部に突き当てられた状態、もしくはデバイスが「挿入された消耗品が突き当てられる突当部」をチャンバの内部又は外部に有している場合は、消耗品が突当部の少なくとも一部に突き当てられた状態)をいう。
【0024】
チャンバは、底部を有し得る。或いは、デバイスは、チャンバの内部又は外部に、チャンバ内に挿入された消耗品が突き当てられる突当部を有し得る。底部又は突当部は、消耗品の端面の少なくとも一部が露出されるようにチャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の一部を支持することが好ましい。また、喫煙システムが前述の空隙を有する場合には、底部又は突当部は、露出した消耗品の端面が空隙と連通する様に消耗品の一部を支持することが好ましい。これにより、消耗品の端面から空気を取り込むことができ、且つ消耗品の長手方向における位置決めを行うことができる。チャンバの底部は、底壁と、側壁と、を有し、側壁によって画定される底部の幅は、底壁に向かって小さくなってもよい。これにより、チャンバに挿入された消耗品が底部に到達したときに、側壁によって消耗品が圧縮されて消耗品の位置決めをすることができる。チャンバの底部又は突当部は、底壁又は突当面を有し、底壁又は突当部は、凸部又は溝部を有してもよい。また、チャンバの底部又は突当部は、底壁又は突当面を有し、底壁又は突当面は、空気をチャンバ内に取り込むための穴を有してもよい。
【0025】
チャンバは、少なくとも一方に開口を有する筒状部材を有してもよい。加熱部は、全ての押圧部に対して同時に加熱を開始するように構成されてもよいし、同じ時間帯に加熱を行ってもよい。
【0026】
加熱部は、押圧部の外面の全体に亘って配置されることが好ましい。これにより、加熱部から押圧部への熱伝導をより均一にすることができ、その結果、保持部に保持された消耗品を効率的に加熱することができる。
【0027】
デバイスは、加熱部から延びる帯状の電極を有してもよい。電極が帯状であるので、紐状の電極に比べて加熱部への電力供給の信頼性を向上させることができる。帯状の電極は、押圧部の外面に加熱部が配置された状態において、平面である押圧部の外面から押圧部の外面の外部に延びることが好ましい。前述の通り、押圧部の外面が平面であることにより、帯状の電極が撓むことを抑制することができるので、電極のデバイス内での引き回しが容易になる。
【0028】
加熱部は、加熱要素と、加熱要素の少なくとも一面を覆う電気絶縁部材とを有することが好ましい。また、電気絶縁部材は、保持部の外面の領域内に配置されることが好ましい。言いかえれば、電気絶縁部材は、チャンバの長手方向の第1ガイド部側において保持部の外面からはみ出さないように配置されることが好ましい。上述したように、開口と押圧部との間に第1ガイド部が設けられる場合、第1ガイド部と保持部とではチャンバの外面の形状及びチャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバの外周長さが変わり得る。このため、電気絶縁部材が保持部の外面上にのみ配置されることで、たるみが生じることを抑制することができる。
【0029】
デバイスは、さらに、チャンバ及び加熱部を覆い、チャンバの外面に加熱部を固定するシート(固定シート)を備えることが好ましい。加熱部を固定するシートの例としては何らかの外的作用により収縮する収縮シートが挙げられ、具体的には、熱が与えられることにより収縮する熱収縮シート等が挙げられる。収縮シート等の固定シートはチャンバ及び加熱部を覆った状態でチャンバの長手方向よりも周方向への収縮率が高い方が好ましい。熱収縮シートはポリイミド・ポリプロピレン・ポリエチレンテレフタラート・ゼラチン・多糖類等を含んでいてもよい。固定シートにより、しっかりと加熱部をチャンバの外面に密着固定させることができるので加熱効率がさらに上がり、チャンバ周辺の構造が安定する。また、シートは、保持部の外面上に配置されることが好ましい。言い換えれば、シートは、チャンバの長手方向の第1ガイド部側において保持部の外面上からはみ出さないように配置されることが好ましい。上述したように、開口と保持部との間に第1ガイド部が設けられる場合、第1ガイド部と保持部とではチャンバの外面の形状及びチャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバの外周長さが変わり得る。このため、シートが保持部の外面上にのみ配置されることで、たるみが生じることを抑制することができる。
【0030】
加熱部は、開口と反対側に位置する第1部分と、開口側に位置する第2部分と、を有してもよい。第2部分のヒータ電力密度は、第1部分のヒータ電力密度よりも高いことが好ましい、又は、第2部分の昇温速度は、第1部分の昇温速度よりも高いことが好ましい、又は、第2部分の加熱温度は任意の同時間において、第1部分の加熱温度よりも高いことが好ましい。第2部分は、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態において、消耗品に含まれる喫煙可能物の長手方向において喫煙可能物の1/2以上に対応する保持部の外面を覆うことが好ましい。これによれば、エネルギー消費を抑制しながらも加熱部を起動してからファーストパフを行うことができるまでの時間を短縮することができる。
【0031】
消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態において、押圧部の外面に配置された加熱部又は加熱要素の上流(ユーザが吸引を行った際に空気やエアロゾルが流れる向きにおいての上流。以下同じ。)端は、消耗品の喫煙可能物の上流端よりも下流(ユーザが吸引を行った際に空気やエアロゾルが流れる向きにおいての下流。以下同じ。)端側に位置することが好ましい。例えば、加熱部又は加熱要素の上流端は、チャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の喫煙可能物の上流端よりも1.0mm以上10.0mm以下下流端側に位置し、好ましくは3.0mm以上6.0mm以下下流端側に位置し、さらに好ましくは4.5mm以上5.5mm以下下流端側に位置する。これにより、エアロゾルが喫煙可能物の上流端から流出するのを抑制することができる。また、喫味に良好な影響を与え得る。
【0032】
消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態において、押圧部の外面に配置された加熱部又は加熱要素の下流端は、消耗品の喫煙可能物の下流端よりも下流端側に位置することが好ましい。例えば、加熱部又は加熱要素の下流端は、チャンバの所望の位置に位置決めされた消耗品の喫煙可能物の下流端よりも1.0mm以上10.0mm以下下流端側に位置し、好ましくは2.0mm以上5.0mm以下下流端側に位置し、さらに好ましくは2.0mm以上3.0mm以下下流端側に位置する。これにより、エネルギー消費を抑制しながらもエアロゾルが凝集することを抑制することができる。
【0033】
押圧部の外面に配置される加熱部のヒータ電力密度は、非押圧部の外面を覆う加熱部のヒータ電力密度よりも高いことが好ましい、又は、押圧部の外面に配置される加熱部の昇温速度は、非押圧部の外面を覆う加熱部の昇温速度よりも高いことが好ましい、又は、押圧部の外面に配置される加熱部の加熱温度は任意の同時間において、非押圧部の外面に配置される加熱部の加熱温度よりも高いことが好ましい。これによれば、保持部における押圧部の範囲が非押圧部の面積に対して一定以上大きい場合に、より効率よく喫煙可能物の加熱を行うことができる。押圧部の外面に配置される加熱部のヒータ電力密度は、非押圧部の外面を覆う加熱部のヒータ電力密度と同一であってもよい。押圧部の外面に配置される加熱部の昇温速度は、非押圧部の外面を覆う加熱部の昇温速度と同一であってもよい。押圧部の外面に配置される加熱部の加熱温度は、非押圧部の外面を覆う加熱部の加熱温度と同一であってもよい。なお、ここでの「同一」とは実質的に同一である場合を含む。
【0034】
加熱部は、加熱要素を有し、加熱要素は、ヒーティングトラックであってもよい。押圧部の外面と非押圧部の外面とは、角度を有して互いに接続され、押圧部の外面と非押圧部の外面との間に境界が形成され得る。ヒーティングトラックは、好ましくは境界の延びる方向と交わる方向のみに、さらに好ましくは境界の延びる方向と直角方向に延びる。これにより、ヒーティングトラックが破損しにくく、且つ保持部の外面から剥離しにくくなる。なお、ここでの「直角方向」とは実質的に直角方向である場合も含む。
【0035】
加熱部は、例えばシートヒータであり得る。シートヒータは、例えば、電気絶縁材料からなる層と加熱要素の一例であるヒーティングトラックからなる層とを重ねた構造を有し得る。また、例えば、加熱部は、2層の電気絶縁材料からなる層の間にヒーティングトラックからなる層を配置する構造を有し得る。電気絶縁材料は例えばポリイミドであり、ヒーティングトラックは例えばステンレス等の金属であり得る。これにより、製造容易であり且つ信頼性の高いフレキシブルな加熱構造が得られる。
【0036】
消耗品は、第1の硬さを有する第1の箇所と、第2の硬さを有する第2の箇所を有し、第2の箇所は消耗品の挿入方向において第1の箇所と異なる箇所であり、第1の箇所は第2の箇所よりも消耗品の長手方向の端側に配置されてもよい。
【0037】
消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、消耗品は、第1の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされることが好ましい。また、第1の硬さは、例えば65%以上かつ90%以下であり、70%以上かつ85%以下であることが好ましく、73%以上かつ82%以下であることがさらに好ましく、77%以上81%以下であることが最も好ましい。これにより、消耗品自身が形状を保ちやすく、且つ消耗品を保持部へ挿入しやすくなる。
【0038】
消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、消耗品は、第2の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされることが好ましい。また、第2の硬さは、例えば90%以上かつ99%以下であり、90%以上99%以下であることが好ましく、92%以上かつ98%以下であることがさらに好ましく、95%以上98%以下が最も好ましい。これにより、挿入が行い易く消耗品がしっかりと保持される。
【0039】
第2の硬さは第1の硬さよりも高いことが好ましい。これによれば、消耗品の保持部への挿入し易さと消耗品のしっかりとした保持が同時に達成され得る。また、消耗品をチャンバに挿入したときに第1の箇所のみが押圧部の内面に押圧される状態から第2の箇所も押圧部の内面に押圧される状態に変わることで、ユーザは、消耗品の挿入中に抵抗の変化を感じることができる。その結果、ユーザが、消耗品がどの程度チャンバに挿入されたかを挿入中に知ることができ、所望の挿入位置まであとどの程度挿入すればよいかを知る手掛かりになり、消耗品を所望の位置に位置決めしやすくなる。この抵抗の変化をより明確にユーザが感じられるように、第1の箇所と第2の箇所が隣り合って配置されていることが好ましい。また、第1の硬さと第2の硬さの差は少なくとも4%以上であることが好ましく、10%以上であることがさらに好ましく、14%以上であることが最も好ましい。
【0040】
本明細書の全体にわたって使用される用語「硬さ」は、変形するための抵抗を意味する。硬さは割合として一般に表現される。消耗品が円筒形のスティックである場合、負荷を加える前の消耗品の直径をDsとし、直径方向に所定の負荷を加えた状態の消耗品の負荷を与えられた方向の直径をDdとすると、所定の負荷を加えたときの消耗品の変形量dは、Ds-Ddで表すことができる。ここで、硬さ(%)はDd/Ds×100(%)によって示される。消耗品を構成する材料がより硬いほど、硬さは100%に近くなる。
【0041】
Ddの測定は、ISO187に従って摂氏22±2度の周囲温度および60%の相対湿度下にて、Hardness Tester H10(Borgwaldt KC GmbH、ドイツ、ハンブルグ)という商品名で市販されている装置を使用し、与えられる負荷を88グラムとして、負荷を5秒間与えた時点で行われる。
【0042】
消耗品の第1の箇所の長手方向における長さは、押圧部の内面の長手方向の長さ以下であり、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、消耗品の第1の箇所が長手方向において押圧部の内面からはみ出さないように消耗品がチャンバに位置決めされることが好ましい。これにより、第1の箇所に喫煙可能物が含まれる場合に、長手方向における全長において喫煙可能物が押圧されるので喫煙可能物全体を効率よく加熱及び霧化することができる。また、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた際、消耗品の喫煙可能物の全外周面が保持部によって覆われることが好ましい。これにより、喫煙可能物の全外周面が保持部によって直接加熱されるので、均一で効率よく喫煙可能物を加熱することができる。また、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、消耗品は、第1の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされると同時に第2の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされることが好ましい。これにより、第1の箇所に喫煙可能物が含まれる場合に、押圧部による喫煙可能物の効率的な加熱と消耗品のしっかりした保持とが同時に達成され得る。
【0043】
消耗品が所望の位置に位置決めされた際に消耗品の第2の箇所が保持部に挿入される距離は1.0mm以上かつ10.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以上かつ8.0mm以下がさらに好ましく、4.0mm以上かつ6.0mm以下が最も好ましい。これにより適切な消耗品の保持力の担保と消耗品の挿入のし易さが同時に達成され得る。
【0044】
チャンバは底部又は突当部を有してもよい。チャンバの底部又は突当部の消耗品が突き当てられる底壁又は突当面から押圧部の開口側の端部までの長さは、消耗品の第1の箇所の長手方向における長さ(以下第1の箇所の長さという)よりも長く、且つ第1の箇所の長さの1.5倍より短いことが好ましく、1.35倍よりも短いことがさらに好ましい。且つ/又は、消耗品の第1の箇所の少なくとも一部は、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、保持部の長手方向中央部よりも開口側に位置することが好ましい。これにより、消耗品の第1の箇所がチャンバの底壁又は突当面に当接する前に抵抗の変化を感じることができ、その変化を感じる挿入位置が比較的消耗品の所望の挿入位置に近い位置とすることができるので、より消耗品を所望の位置に位置決めしやすくなり、ユーザの使用感覚が向上し得る。
【0045】
第1の箇所は、香味源の一例としてのたばこを含む喫煙可能物を有することが好ましい。また、第1の箇所は、喫煙可能物を巻き、通気性を有するシート部材と、シート部材に固定され、喫煙可能物の落下を防止する蓋とを有し得る。蓋は通気性を有し、シート部材に例えば糊で貼り付けられ得る。また、蓋は、シート部材に摩擦力により固定されてもよい。蓋は、例えば、ペーパフィルタ又はアセテートフィルタであり得る。第2の箇所は、筒状部材を有し得る。筒状部材は、紙管又は中空フィルタであり得る。
【0046】
中空フィルタは、1つ又は複数の中空チャネルを有する充填層と、充填層を覆うプラグラッパーとで構成され得る。充填層は、繊維の充填密度が高いため、吸引時、空気やエアロゾルは、中空チャネルのみを流れることになり、充填層内はほとんど流れない。中空フィルタは隣接するフィルタ部等で構成されたマウスピースを有していてもよい。消耗品において、フィルタ部でのエアロゾル成分の濾過による減少を少なくしたいときに、フィルタ部の長さを短くして中空フィルタ部で置き換えることは、エアロゾルのデリバリ量を増大させるために有効である。
【0047】
消耗品は、喫煙可能物を巻装する第1の巻紙を有していてもよい。消耗品の長手方向の長さは、40mm~90mmであることが好ましく、50mm~75mmであることがより好ましく、50mm~60mmであることがさらに好ましい。消耗品の円周は、15mm~25mmであることが好ましく、17mm~24mmであることがより好ましく、20mm~23mmであることがさらに好ましい。また、消耗品における喫煙可能物の長さは18mm~22mm、第1の巻紙の長さは18mm~22mm、中空フィルタ部の長さは7mm~9mm、フィルタ部の長さは6mm~8mmであってよい。
【0048】
消耗品の喫煙可能物は、所定温度で加熱されてエアロゾルを発生するエアロゾル源を含有し得る。エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源として、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。喫煙可能物中のエアロゾル源の含有量(喫煙可能物全体の重量に対する重量%)は、特に限定されないが、十分にエアロゾルを発生するとともに、良好な香喫味の付与の観点から、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
【0049】
消耗品の喫煙可能物は、香味源としてラミナ、中骨等のたばこ、又はその他の公知の植物を使用し得る。また、たばこ等の香味源の形状は、刻み状、シート状、紐状、粉状、粒状、ペレット状、スラリー状、又は多孔質状などであってもよい。消耗品におけるたばこ等の喫煙可能物の含有量の範囲は、喫煙可能物の大きさが円周20mm~23mm、長さ18mm~22mmの場合、例えば、200mg~400mgであり、250mg~320mgであることが好ましい。たばこ等の喫煙可能物の水分含有量(喫煙可能物全体の重量に対する重量%)は、例えば、8重量%~18重量%であり10重量%~16重量%であることが好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制し、製造時の巻上適性を良好にする。また、消耗品が保持部の断面形状に合わせて適度に変形しやすくなる。喫煙可能物の一例として用いるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを喫煙可能物として用いてもよい。また、喫煙可能物は、1種又は2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。
【0050】
消耗品は、筒状部材、中空フィルタ部、及びフィルタ部の少なくとも一つを巻装する、第1の巻紙とは異なる第2の巻紙を有していてもよい。第2の巻紙は、喫煙可能物を巻装する第1の巻紙の一部を巻装してもよい。消耗品の第1の巻紙及び第2の巻紙は、坪量が例えば20gsm~65gsmである原紙から作られることができる。第1の巻紙及び第2の巻紙の厚みは、特に限定されないが、剛性、通気性、及び製紙時の調整の容易性の観点から、10μm~100μmであることが好ましい。
【0051】
消耗品の第1の巻紙及び第2の巻紙には、填料が含まれ得る。填料の含有量は、第1の巻紙及び第2の巻紙の全重量に対して10重量%~60重量%を挙げることができ、15重量%~45重量%であることが好ましい。本実施形態において、好ましい坪量の範囲(25gsm~45gsm)に対して、填料が15重量%~45重量%であることが好ましい。填料としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができる。このような填料を含む紙は、消耗品の巻紙として利用する外観上の観点から好ましい白色系の明るい色を呈し、恒久的に白さを保つことができる。そのような填料を多く含有させることで、例えば、巻紙のISO白色度を83%以上にすることができる。また、消耗品の巻紙として利用する実用上の観点から、第1の巻紙及び第2の巻紙は、8N/15mm以上の引張強度を有することが好ましい。これによって、保持部に保持された消耗品を引き抜く際にも巻紙が破損しにくくなる。この引張強度は、填料の含有量を少なくすることで高めることができる。具体的には、上記で例示した各坪量の範囲において示した填料の含有量の上限よりも填料の含有量を少なくすることで、引張強度を高めることができる。
【0052】
保持部は、第1保持部を含み、チャンバは、第1保持部よりも開口から遠くに位置する第2保持部とを含む。消耗品がチャンバの第1保持部と第2保持部に保持された状態において、第2保持部は、第1保持部よりも消耗品を圧縮するように構成され、且つ/又はチャンバの長手方向に直交する面において、第2保持部の内部の断面積は、第1保持部の内部の断面積よりも小さい。これによって、第2保持部の押圧によって喫煙時の通気抵抗を調整することができる。第1の保持部とは別に第2の保持部が設けられているため、最適な加熱に適した第1の押圧部の形状とは独立して、第2の押圧部の形状を、所望の通気抵抗を実現する形状とすることができる。第2押圧部の外面には、加熱部は配置されなくてもよい。特に、第2保持部によって押圧される消耗品の箇所が前述の蓋等のように喫煙可能物を含まない場合は加熱部を第2保持部に配置しないことにより喫煙可能物の加熱に効率的に寄与しない加熱を抑制し、エネルギーを効率よく使用し得る。
【0053】
第1保持部は、消耗品の一部を押圧する第1押圧部と、第1非押圧部とを含んでもよい。第2保持部は、消耗品の一部を押圧する第2押圧部と、第2非押圧部とを含んでもよい。第1保持部が第1押圧部を有することにより、第1保持部において消耗品が加熱面(押圧部の内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。
【0054】
チャンバは、第1押圧部の内面と第2押圧部の内面とを接続するテーパ面を備えた第2ガイド部を有することが好ましい。第2ガイド部は、第1押圧部から第2押圧部に向けて、チャンバの内面の断面形状を連続的に変化させることができるので、消耗品をチャンバにスムーズに挿入することができる。
【0055】
第1保持部は、向かい合う一対の第1押圧面を有し、第2保持部は、向かい合う一対の第2押圧面を有し得る。第2押圧面間の最も短い距離は、第1押圧面間の最も短い距離よりも小さいことが好ましい。第2押圧面は平面でもよい。ここでの平面は実質的に平面であることを含む。チャンバの長手方向に直交する方向において、第2押圧面が平面である場合に第2保持部の押圧面は第1保持部のチャンバの押圧面と同じ方向を向いていてもよい。これにより、チャンバの製造が容易になり、消耗品の挿入がさらに容易になる。
【0056】
第2保持部はチャンバの端部に配置してもよい。特に消耗品の先端部の喫煙可能物を押圧する場合、第2保持部の押圧によって消耗品の先端部の喫煙可能物を圧縮し一体化させることで、喫煙後に消耗品をチャンバから取り出す際に喫煙可能物がチャンバ内に落下することを低減し得る。
【0057】
本発明の第2態様によれば、喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムが提供される。デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部とを含む。チャンバの内周長さは、チャンバに受け入れられる前の消耗品の外周長さと同一であり、チャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバの内周形状は、チャンバに受け入れられる前の消耗品の長手方向に直交する断面形状とは異なる。ここで同一とは、実質的に同一である場合を含む。「実質的に同一」であるとは、チャンバの内周長さとチャンバに受け入れられる前の消耗品の外周長さとの差が、チャンバの内周長さの例えば±6%以内であることをいい、好ましくは±4%以内であることをいい、より好ましくは±2%以内であることをいう。
【0058】
第2態様によれば、消耗品が加熱面(チャンバの内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。具体的には、チャンバの内周長さと消耗品の外周長さが実質的に同一であり、且つチャンバの内周形状がチャンバに受け入れられる消耗品の断面形状と異なるので、消耗品の一部がチャンバの内面に押圧され、消耗品の外周形状が保持部の内面の内周形状と略一致することになる。チャンバの内周長さ及び内周形状が、消耗品の外周長さ及び断面形状と同一の場合と比べて、本喫煙システムでは消耗品がチャンバにより押圧される箇所が形成されるので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。また、チャンバの内周長さよりも消耗品の外周長さが短い場合に比べて、消耗品の外周面の押圧されない箇所もチャンバの内周面(非押圧面)と実質的に接触するので、加熱部から消耗品への熱伝導効率が向上し得る。さらに、チャンバの内周長さよりも消耗品の外周長さが長い場合に比べて、消耗品をチャンバにスムーズに挿入でき、消耗品の外周面及び消耗品内部(例えば、喫煙可能物の一例としてのたばこ)の密度にひずみが生じることを抑制できる。その結果、消耗品内部の密度にひずみが生じることによって起こり得る、不均一な加熱や、消耗品毎に通気抵抗がバラつくことを抑制することができる。また、チャンバの内周長さは、チャンバによって押圧された状態の消耗品の外周長さと実質的に同じであることが好ましいとも言えるし、チャンバの内周長さとはチャンバの長手方向に直交する面における内周長さとしてもよい。また、「チャンバに受け入れられる前の消耗品の外周長さ」とは、チャンバに受け入れられる前の消耗品の外周長さのうち、チャンバに受け入れられた際にチャンバの長手方向において、比較されているチャンバの内周長さに対応する位置に位置づけられる部分の外周長さとしてもよい。また、「チャンバによって押圧された状態の消耗品の外周長さ」とは、チャンバによって押圧された状態の消耗品の外周長さのうちチャンバの長手方向において、比較されているチャンバの内周長さに対応する位置の外周長さとしてもよい。
【0059】
なお、第2態様においても第2態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。また、第2態様のチャンバは他の態様における保持部を有していてもよい。
【0060】
本発明の第3態様によれば、喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムが提供される。デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバを含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部を含む。デバイスは、少なくとも押圧部を加熱するインダクションコイルを含む。押圧部は、インダクションコイルによって加熱されるサセプタを含む。
【0061】
第3態様によれば、消耗品が加熱面(押圧部の内面)によって押圧され、且つ消耗品を押圧する押圧部がインダクションコイルによって加熱されるので、押圧部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。サセプタは、押圧部の外面又は内面に配置または被覆されてもよいし、押圧部を構成するチャンバの壁に含まれていてもよいし、押圧部を構成するチャンバの壁がサセプタで構成されていてもよい。
【0062】
インダクションコイルは、単一のワイヤで構成されてもよいが、効果的な発熱の観点から螺旋形状のリッツワイヤであってもよい。単一のワイヤ又はリッツワイヤは、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、銀、金、及びこれらのステンレスなどの合金からなる群の少なくとも一つから選択される材料を含むことが好ましい。リッツワイヤのシース材料は、例えば、ポリイミド又はポリエステルであり得る。
【0063】
インダクションコイルは、ヘリカル(三次元の螺旋)状又はスパイラル(二次元の渦)状に巻かれてもよい。インダクションコイルの形状は、シリンドリカル(ヘリカル状コイル又はスパイラル状コイルを曲げたもの)、又は平面でもよい。インダクションコイルはチャンバに隣接してもよいし、チャンバを囲んでもよいし、チャンバ内部に突出してもよいが、チャンバを取り囲むように配置されることで、効率的にチャンバの押圧部にエネルギーを供給することができる。インダクションコイルは一つでも複数であってもよい。チャンバを囲む構成の例として、インダクションコイルは、チャンバを囲むようにヘリカル状に構成されてもよいし、チャンバを囲むようにスパイラル状のコイルを湾曲させて構成されてもよいし、チャンバを囲む複数の平面コイルを有してもよいが、チャンバを囲むようにヘリカル状に構成されることでシンプルな構成とし製造コストを下げることができ得る。
【0064】
インダクションコイルに印加される周波数は、約80kHz以上500kHz以下、好ましくは約150kHz以上250kHz以下、より好ましくは190kHz以上210kHz以下であり得る。あるいは、インダクションコイルに印加される周波数は、1MHz以上30MHz以下、好ましくは2MHz以上10MHz以下、さらに好ましくは5MHz以上7MHz以下とすることもできる。これらの周波数は、サセプタの材質や形状当の性質を考慮して決定されてもよい。
【0065】
デバイスは、最高で約0.5テスラ(T)以上2.0テスラ(T)以下の磁束密度を有する変動電磁場で動作するように配置されてもよい。
【0066】
本明細書における「サセプタ」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換できる材料を意味し、“喫煙可能物”を加熱する目的の材料を意味する。サセプタは、“喫煙可能物”に熱を伝えられる位置に配置される。サセプタが変動電磁場内に位置するとき、サセプタ内で誘起される渦電流やサセプタ内での磁気ヒステリシス損失がサセプタの加熱の原因となる。
【0067】
サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、及びこれらの合金(例えば、ニクロムやステンレス鋼)からなる群の少なくとも一つから選択される材料を含むことが好ましい。サセプタとサセプタを流れる電流経路は、消耗品を収容する空間を取り囲む環状を含むことが好ましい。これにより、チャンバの発熱部分において効率よく渦電流を発生させることができる。
【0068】
サセプタの形状は任意であり、例えば、顆粒状、棒状、ストリップ状、環状、又は筒状等でもよい。サセプタが、環状の電気流路を有すれば、効率よく渦電流を発生させることができる。同一形状のサセプタが複数配置されてもよいし、異なる形状のサセプタが配置されてもよい。
【0069】
なお、第3態様においても第3態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0070】
本発明の第4態様によれば、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスが提供される。デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部とを含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部とを含む。押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有する。加熱部は、押圧部の外面に配置される。
【0071】
第4態様によれば、消耗品が加熱面(押圧部の内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱を効率よく消耗品に伝えることができる。
【0072】
前述の様に加熱部を押圧部の外面に配置することは消耗品がチャンバの加熱面に実質的に密着することによってチャンバを介して熱を効率的に消耗品に伝えられる構成の一例に過ぎない。第4態様は、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスが提供され、デバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部とを含み、チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含み、保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部とを含み、押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有し、消耗品は押圧部を介して加熱されてもよい。そして、加熱部は特に限定はされないが、前述の様に押圧部の外面に配置された加熱部でもよいし、前述の様に押圧部にサセプタを含ませインダクションコイルなどによって発生させた電磁場及び/又は磁力線によって押圧部を加熱してもよい。
【0073】
加熱部は、押圧部の外面に隙間なく配置されるのが好ましい。ここでの隙間なくとは、実質的に隙間なくという意味も含む。これにより、消耗品が加熱面(押圧部の内面)に実質的に密着するので加熱部からの熱をさらに効率よく消耗品に伝えることができる。なお、加熱部は接着層を含んでもよい。その場合、接着層を含む加熱部が、押圧部の外面に隙間なく配置されることが好ましい。
【0074】
押圧部の内面は、向かい合う一対の平面状の平面押圧面を有し、非押圧部の内面は、一対の平面押圧面の両端を接続し、向かい合う一対の曲面状の曲面非押圧面を有することが好ましく、押圧部と非押圧部との厚みは均一(実質的に均一である場合も含む)かつ同一(実質的に同一である場合も含む)であることがさらに好ましい。これによって、チャンバの構造が簡素化され高精度な製造が容易になり、押圧部と非押圧部との位置をバランスよく配置でき加熱が均一化され、加熱部を位置精度よく隙間なく押圧部の外面に配置しやすくなり加熱効率が上がる。
【0075】
なお、第4態様においても第4態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0076】
本発明の第5態様によれば、上記いずれかの喫煙システムで使用される消耗品が提供される。この消耗品は、チャンバの押圧部によって一部が押圧される第1の箇所と、吸口と、第1の箇所と吸口との間に位置する第2の箇所と、を有する。
【0077】
なお、第5態様においても第5態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0078】
本発明の第6態様によれば、消耗品に設けられた喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスが提供される。このデバイスは、消耗品を受け入れるチャンバを含む。チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部を含む。デバイスは、少なくとも押圧部を加熱するインダクションコイルを含む。押圧部は、インダクションコイルによって加熱されるサセプタを含む。
【0079】
なお、第6態様においても第6態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【0080】
本発明の第7態様によれば、喫煙可能物を有する消耗品と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイスと、を含む喫煙システムが提供される。このデバイスは、消耗品を受け入れるチャンバと、チャンバに受け入れられた消耗品を加熱する加熱部とを含み、チャンバは、消耗品が挿入される開口と、消耗品を保持する保持部を含む。保持部は、消耗品の一部を押圧する押圧部と、非押圧部とを含む。押圧部及び非押圧部は、それぞれ内面と外面とを有する。記消耗品は、第1の硬さを有する第1の箇所と、第2の硬さを有する第2の箇所を有し、第2の箇所は消耗品の挿入方向において第1の箇所と異なる箇所である。消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたとき、消耗品は、第1の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされると同時に第2の箇所の少なくとも一部が押圧部の内面に押圧されるように位置決めされる。
【0081】
第7態様によれば、第1の箇所に喫煙可能物が含まれる場合に、押圧部による喫煙可能物の効率的な加熱と消耗品のしっかりした保持とが同時に達成され得る。なお、第7態様においても第7態様の作用・効果を阻害しない限り、他の態様の特徴を組合せ又は適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】第1実施形態に係る喫煙システムを示す図である。
【
図2】
図1に示したヒータアッセンブリの斜視図を示す。
【
図4】
図3に示す矢視4-4におけるチャンバの断面図を示す。
【
図5A】
図4に示す矢視5A-5Aにおけるチャンバの断面図を示す。
【
図5B】
図4に示す矢視5B-5Bにおけるチャンバの断面図を示す。
【
図5C】
図4に示す矢視5C-5Cにおけるチャンバの断面図を示す。
【
図6A】消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたの、非押圧部を含むチャンバの縦断面図である。
【
図6B】消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされたの、押圧部を含むチャンバの縦断面図である。
【
図7A】
図6Bに示す矢視7A-7Aにおけるチャンバの断面図である。
【
図7B】
図6Bに示す矢視7B-7Bにおけるチャンバの断面図である。
【
図8】チャンバの押圧部の他の例を示す概略断面図である。
【
図9】チャンバの押圧部の他の例を示す概略断面図である。
【
図10】チャンバの押圧部の他の例を示す概略断面図である。
【
図11】チャンバの押圧部の他の例を示す概略断面図である。
【
図13】負荷を加える前の消耗品及び負荷を加えた状態の消耗品の断面を示す。
【
図14】第2実施形態に係る喫煙システムのデバイスに設けられるチャンバの概略断面図である。
【
図15A】
図14における矢視18A-18Aにおけるチャンバの断面図である。
【
図15B】
図14における矢視18B-18Bにおけるチャンバの断面図である。
【
図16】第3実施形態に係る喫煙システムのデバイスに設けられるヒータアッセンブリの概略断面図である。
【
図17】
図16における矢視20-20におけるチャンバの断面図である。
【
図18】第4実施形態に係る喫煙システムを示す図である。
【
図19A】第4実施形態における、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態の、非押圧部を含むチャンバの縦断面図である。
【
図19B】第4実施形態における、消耗品がチャンバの所望の位置に位置決めされた状態の、押圧部を含むチャンバの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
<第1実施形態>
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、第1実施形態に係る喫煙システム100を示す図である。
図1に示すように、喫煙システム100は、喫煙可能物を有する消耗品110と、喫煙可能物を加熱して霧化させるデバイス120とを有する。第1実施形態では、消耗品110をユーザが咥えた状態でパフ動作が行われるケースを例示する。ユーザが吸い込む空気は、例えば、空気流100A、空気流100C、空気流100Bの順でユーザの口腔内に導かれる。
【0084】
消耗品110は、喫煙可能な香味を発生しうるたばこ等の喫煙可能物を含む基材であり、例えば長手方向に沿って延びる柱状形状を有する。消耗品110は、例えばたばこスティックであり得る。
【0085】
デバイス120は、バッテリ10と、制御回路20と、ヒータアッセンブリ30とを有する。バッテリ10は、デバイス120で用いる電力を蓄積する。例えば、バッテリ10は、リチウムイオン電池である。バッテリ10は、外部電源によって充電可能であってもよい。
【0086】
制御回路20は、CPU及びメモリなどによって構成されており、デバイス120の動作を制御する。例えば、制御回路20は、図示しない押しボタンやスライド式スイッチ等の入力装置に対するユーザ操作に応じて消耗品110の加熱を開始し、一定時間が経過したら消耗品110の加熱を終了する。制御回路20は、ユーザによるパフ動作の回数が一定値を超過した場合に、消耗品110の加熱開始から一定時間が経過する前であっても消耗品110の加熱を終了してもよい。例えば、パフ動作は、図示しないセンサによって検出される。
【0087】
或いは、制御回路20は、パフ動作の開始に応じて消耗品110の加熱を開始し、パフ動作の終了に応じて消耗品110の加熱を終了してもよい。制御回路20は、パフ動作の開始から一定時間が経過した場合に、パフ動作の終了前であっても消耗品110の加熱を終了してもよい。実施形態では、制御回路20は、バッテリ10とヒータアッセンブリ30との間に配置されており、ヒータアッセンブリ30からバッテリ10への熱伝達を抑制する。
【0088】
ヒータアッセンブリ30は、消耗品110を加熱するアッセンブリである。
図2は、
図1に示したヒータアッセンブリ30の斜視図を示す。
図2に示すように、ヒータアッセンブリ30は、トップキャップ32と、加熱部40と、チャンバ50と、を有する。チャンバ50は、消耗品110を受け入れるように構成される。加熱部40は、チャンバ50に受け入れられた消耗品110を加熱するように構成される。トップキャップ32は、チャンバ50に消耗品110を挿入する際のガイドの機能を有するとともに、チャンバ50をデバイス120に対して固定するように構成されてもよい。
【0089】
図3は、チャンバ50の斜視図を示す。
図4は、
図3に示す矢視4-4におけるチャンバ50の断面図を示す。
図5Aは、
図4に示す矢視5A-5Aにおけるチャンバ50の断面図を示す。
図5Bは、
図4に示す矢視5B-5Bにおけるチャンバ50の断面図を示す。
図5Cは、
図4に示す矢視5C-5Cにおけるチャンバ50の断面図を示す。
図3及び
図4に示すように、チャンバ50は、消耗品110が挿入される開口52と、消耗品110を保持する保持部60と、を含む有底の筒状部材であり得る。なお、チャンバ50は底のない筒状体であってもよい。チャンバ50は、熱伝導率の高い金属で構成されることが好ましく、例えば、ステンレス鋼等で形成され得る。これにより、チャンバ50から消耗品110へ効果的な加熱が可能になる。
【0090】
図4及び
図5Cに示すように、保持部60は、消耗品110の一部を押圧する押圧部62と、非押圧部66と、を含む。押圧部62は、内面62aと、外面62bとを有する。非押圧部66は、内面66aと、外面66bとを有する。
図2に示すように、加熱部40は、押圧部62の外面62bに配置される。加熱部40は、押圧部62の外面62bに隙間なく配置されることが好ましい。なお、加熱部40は接着層を含んでもよい。その場合、接着層を含む加熱部40が、押圧部62の外面に隙間なく配置されることが好ましい。
【0091】
チャンバ50の開口52は、消耗品110を押圧せずに受け入れ可能であることが好ましい。チャンバ50の長手方向、言い換えれば消耗品110がチャンバ50に挿入される方向又はチャンバ50の側面全体として伸びる方向、に直交する面におけるチャンバ50の開口52の形状は多角形又は楕円形であってもよいが、円形であることが好ましい。
【0092】
図3及び
図5Cに示すように、押圧部62の外面62bは平面である。押圧部62の外面62bが平面であることにより、
図2に示すように押圧部62の外面62bに配置される加熱部40に帯状の電極48が接続されている場合に、帯状の電極48が撓むことを抑制することができる。その結果、電極48のデバイス120内での引き回しが容易になる。また、押圧部62の外面62bが曲面又は凹凸面である場合に比べて、加熱部40を精度よく位置決めし、押圧部62の外面62bに加熱部40を容易に隙間なく配置することができる。
図4及び
図5Cに示すように、押圧部62の内面62aは平面である。また、
図4及び
図5Cに示すように、押圧部62の厚みは均一である。
【0093】
図3、
図4、及び
図5Cに示すように、第1実施形態では、チャンバ50は、押圧部62をチャンバ50の周方向に2以上有する。
図4及び
図5Cに示すように、保持部60の2つの押圧部62は、互いに対向する。2つの押圧部62の内面62a間の少なくとも一部の距離は、チャンバ50に挿入される消耗品110の押圧部62間に配置される箇所の幅よりも小さいことが好ましい。図示のように、押圧部62の内面62aは平面である。
【0094】
図5Cに示すように、押圧部62の内面62aは、向かい合う一対の平面状の平面押圧面を有し、非押圧部66の内面66aは、一対の平面押圧面の両端を接続し、向かい合う一対の曲面状の曲面非押圧面を有する。図示のように、曲面非押圧面は、チャンバ50の長手方向に直交する面において、全体的に円弧状の断面を有し得る。
図5Cに示すように、保持部60は均一な厚みを有する金属筒状体によって構成される。
【0095】
図6Aは、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態の、非押圧部66を含むチャンバ50の縦断面図である。
図6Bは、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態の、押圧部62を含むチャンバ50の縦断面図である。
図7Aは、
図6Bに示す矢視7A-7Aにおけるチャンバ50の断面図である。
図7Bは、
図6Bに示す矢視7B-7Bにおけるチャンバ50の断面図である。なお、
図7Bにおいては、押圧部62において消耗品110が押圧されることがわかりやすいように、押圧される前の状態の消耗品110の断面が示されている。
【0096】
図7Bに示された、非押圧部66の内面66aと消耗品110との間の空隙67は消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされ、消耗品110が押圧部62により押圧されて変形しても、実質的に維持される。この空隙67は、チャンバ50の開口52と、チャンバ50内に位置づけられた消耗品110の端面(
図6A及び
図6B中下側の端面)と連通し得る。この空隙67は、チャンバ50の開口52と、チャンバ50内に位置づけられチャンバ50の開口52から遠い方に位置づけられた消耗品110の端面(
図6A及び
図6B中下側の端面)とに連通するということもできる。これにより、消耗品110に供給される空気を導入するための流路を喫煙システム100に別途設ける必要がないので、喫煙システム100の構造を簡素化することができる。また、非押圧部66の、空隙67の一部を形成する箇所が露出するので、流路の清掃を容易に行うことができる。通気抵抗の観点等から、非押圧部66の内面66aと消耗品110との間の空隙67の高さは、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.8mm以下であることがさらに好ましく、0.3mm以上0.5mm以下であることが最も好ましい。
【0097】
図3から
図6に示すように、チャンバ50は、底部56を有する。底部56は、
図6Bに示すように、消耗品110の端面の少なくとも一部を露出するように、チャンバ50に挿入された消耗品110の一部を支持する。また、底部56は、露出した消耗品110の端面が空隙67と連通するように、消耗品110の一部を支持し得る。
【0098】
図4、
図6A及び
図6Bに示すように、チャンバ50の底部56は、底壁56aを有し、これに加えて側壁56bを有してもよい。側壁56bによって画定される底部56の幅は、底壁56aに向かって小さくなってもよい。
図5C及び
図7Bに示すように、保持部60の非押圧部66の内面66aは、チャンバ50の長手方向に直交する面において湾曲している。
【0099】
非押圧部66の内面66aのチャンバ50の長手方向に直交する面における形状は、チャンバ50の長手方向に直交する面における開口52の形状と、チャンバ50の長手方向の任意の位置において同一であることが好ましい。言い換えれば、非押圧部66の内面66aは、開口52を形成するチャンバ50の内面を長手方向に延長して形成されることが好ましい。
【0100】
図2から
図4に示すように、チャンバ50は、開口52と保持部60との間に筒状の非保持部54を有することが好ましい。消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態において、非保持部54と消耗品110との間に隙間が形成され得る。
【0101】
図4から
図7に示すように、保持部60の外周面は、保持部60の長手方向全長に亘って同一の形状及び大きさ(保持部60の長手方向に直交する面における保持部60の外周長さ)を有することが好ましい。
【0102】
また、
図3、
図4、
図5B、及び
図6Bに示すように、チャンバ50は、開口52を形成するチャンバ50の内面と押圧部62の内面62aとを接続するテーパ面58aを備えた第1ガイド部58を有することが好ましい。
【0103】
図2に示すように、加熱部40は、加熱要素42を有する。加熱要素42は、例えばヒーティングトラックであってもよい。例えば
図5Cに示すように、押圧部62の外面62bと非押圧部66の外面66bとは、角度を有して互いに接続され、押圧部62の外面62bと非押圧部66の外面66bとの間に境界71が形成され得る。ヒーティングトラックは、好ましくは境界71の延びる方向(チャンバの長手方向)と交わる方向に延び、好ましくは境界71の延びる方向と直角方向に延びる。
【0104】
図2に示すように、加熱部40は、加熱要素42に加えて、加熱要素42の少なくとも一面を覆う電気絶縁部材44を有することが好ましい。本実施形態においては、電気絶縁部材44は加熱要素の両面を覆う様に配置される。また、電気絶縁部材44は、保持部60の外面の領域内に配置されることが好ましい。言いかえれば、電気絶縁部材44は、チャンバ50の長手方向の第1ガイド部58側において保持部60の外面からはみ出さないように配置されることが好ましい。上述したように、開口52と押圧部62との間に第1ガイド部58が設けられるので、チャンバ50の長手方向において、チャンバ50の外面の形状及びチャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバの外周長さが変わり得る。このため、電気絶縁部材44が保持部60の外面上に配置されることで、たるみが生じることを抑制することができる。
【0105】
デバイス120は、さらに、チャンバ50及び加熱部40を覆い、チャンバ50の外面に加熱部40を固定するシートを備えることが好ましい。これにより、しっかりと加熱部40をチャンバ50の外面に密着固定させることができるので加熱効率がさらに向上し、チャンバ50周辺の構造が安定する。また、シートは、保持部60の外面上に配置されることが好ましい。言い換えれば、シートは、チャンバ50の長手方向の第1ガイド部58側において保持部60の外面上からはみ出さないように配置されることが好ましい。上述したように、開口52と保持部60との間に第1ガイド部58が設けられているので、チャンバ50の長手方向においてチャンバ50の外面の形状及びチャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバの外周長さが変わり得る。このため、シートが保持部60の外面上に配置されることで、たるみが生じることを抑制することができる。
【0106】
加熱部40は、開口52と第1ガイド部58との間のチャンバ50の外面、即ち非保持部54の外面、第1ガイド部58の外面、及び非押圧部66の外面から選ばれる少なくとも一つには配置されないことが好ましい。加熱部40は、押圧部62の外面62bの全体に亘って配置されることが好ましい。
【0107】
第1実施形態では、
図2に示すように、デバイス120は、加熱部40から延びる帯状の電極48を有する。帯状の電極48は、押圧部62の外面62bに加熱部40が配置された状態において、平面である押圧部62の外面62bから押圧部62の外面62bの外部に延びることが好ましい。
【0108】
また、
図2、
図6A及び
図6Bに示すように、加熱部40は、開口52と反対側に位置する第1部分40aと、開口52側に位置する第2部分40bと、を有する。第2部分40bのヒータ電力密度は、第1部分40aのヒータ電力密度よりも高いことが好ましい。或いは、第2部分40bの昇温速度は、第1部分40aの昇温速度よりも高いことが好ましい。或いは、第2部分40bの加熱温度は任意の同時間において、第1部分40aの加熱温度よりも高いことが好ましい。第2部分40bは、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態において、消耗品110に含まれる喫煙可能物の長手方向において喫煙可能物の1/2以上に対応する保持部60の外面を覆うことが好ましい。
【0109】
以上で説明した実施形態では、チャンバ50は互いに対向する一対の押圧部62を有しているが、チャンバの形状はこれに限らない。
図8から
図11は、チャンバ50の押圧部62の他の例を示す概略断面図である。
図8から
図11には、押圧部62において消耗品110が押圧されることがわかりやすいように、押圧される前の状態の消耗品110の断面が破線で示される。
図8に示す例では、チャンバ50は、平面の内面62aを有する3つの押圧部62と、1つの非押圧部66(内面66a)を有する。3つの押圧部62のうち、一対の押圧部62(内面62a)が互いに対向する。残りの押圧部62と非押圧部66は、一対の押圧部62の間にそれぞれ設けられ、互いに対向する。
図8に示すように平面の内面62aを有する一対の押圧部62間の距離は、挿入される円形の断面を有する消耗品110の直径よりも小さい。これにより、消耗品110がチャンバ50内に配置されたときに、押圧部62の内面62aによって押圧される。
【0110】
図9に示す例では、チャンバ50は、3つの押圧部62(内面62a)と、3つの押圧部62のそれぞれの間に設けられる3つの非押圧部66(内面66a)とを有する。押圧部62の内面62aは平面であり、非押圧部66の内面66aは曲面である。それぞれの押圧部62は、それぞれの非押圧部66と対向する。
図9に示す断面、即ちチャンバの長手方向に直交する面において、それぞれの押圧部62の内面62aの中心C1から垂直に延びる線が交わる点P1と、押圧部62の内面62aの各々の中心C1との距離は、挿入される円形の断面を有する消耗品110の半径よりも小さい。これにより、消耗品110がチャンバ50内に配置されたときに、押圧部62によって押圧される。
【0111】
図10に示す例では、チャンバ50は、1つの押圧部62(内面62a)と、1つの非押圧部66(内面66a)を有する。押圧部62の内面62aは平面であり、非押圧部66の内面66aは曲面である。押圧部62と非押圧部66とにより、筒状の保持部60が形成される。
【0112】
図11に示す例では、チャンバ50は、4つの押圧部62(内面62a)と4つの非押圧部66(内面66a)を有する。押圧部62の内面62aは平面であり、非押圧部66の内面66aは、隣接する押圧部62の内面62aを接続するように屈曲する。押圧部62(内面62a)の2つは互いに対向し、残りの2つの押圧部62(内面62a)が互いに対向する。互いに対向する一対の押圧部62(内面62a)間の距離、及び互いに対向する他の一対の押圧部62(内面62a)間の距離の少なくとも一方は、消耗品110の直径より小さい。これにより、消耗品110がチャンバ50内に配置されたときに、押圧部62によって押圧される。
【0113】
以上、
図8から
図11に示したように、押圧部62は、1つだけであってもよいし、チャンバ50の周方向に3以上存在してもよい。また、押圧部62の各々は、押圧部62の各々と対向するように配置されてもよいし、非押圧部66の各々と対向するように配置されてもよい。また、
図8や
図10に示された例の様に、消耗品110がチャンバの長手方向に直交する面において、押圧部62から受ける圧力がある方向に偏っている場合は(
図8では消耗品110が図面下方向から図面上方向に向けて圧力を受け、
図10では消耗品110が図面上方向から図面下方向に向けて圧力を受ける)、消耗品110が移動して非押圧部66の内面66aに接触しない様に、消耗品110とデバイス120との間に支えを設けても良い。支えは消耗品110の喫煙可能物に対応する個所にでも、対応しない箇所にでも設けられてもよい。なお、
図8から
図11には押圧される前の状態の消耗品110が示されているが、非押圧部66と消耗品110との間に空隙67が形成される場合は、消耗品110が押圧部62により押圧されて変形しても、空隙67は、非押圧部66の内面66aと消耗品110との間で実質的に維持される。一方、後述する第4実施形態の様に、消耗品110が押圧部62により押圧されて変形して、非押圧部66の内面66aと消耗品110とが接触してもよい。
【0114】
次に、喫煙システム100に使用される消耗品110について詳細に説明する。
図12は、消耗品110の概略側断面図である。
図2に示す実施形態においては、消耗品110は、喫煙可能物111と、筒状部材114と、中空フィルタ部116と、フィルタ部115と、を有する。喫煙可能物111は、第1の巻紙112によって巻装される。筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115は、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって巻装される。第2の巻紙113は、喫煙可能物111を巻装する第1の巻紙112の一部も巻装する。これにより、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結される。ただし、第2の巻紙113を省略し、第1の巻紙112を用いて筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とを連結してもよい。第2の巻紙113のフィルタ部115側の端部近傍の外面には、ユーザの唇が第2の巻紙113からくっつきにくくするためのリップリリース剤117が塗布される。消耗品110のリップリリース剤117が塗布される部分は、消耗品110の吸口として機能する。
【0115】
本実施形態においては、喫煙可能物111及び第1の巻紙112の部分に対応する部分を第1の箇所S1という。また、筒状部材114に対応する部分の少なくとも一部を第2の箇所S2という。さらに具体的にはリップリリース剤117が塗布されていない第2の巻紙113に巻装された筒状部材114の部分を第2の箇所S2という。
【0116】
第1の箇所S1は、喫煙可能物111、例えばたばこを有する。また、第1の箇所S1において、喫煙可能物111を巻く第1の巻紙112は、通気性を有するシート部材であり得る。第1の箇所S1の端部には、喫煙可能物111の落下を防止する蓋が設けられてもよい。この蓋は、第1の巻紙112に例えば糊で貼り付けられ得る。また、蓋は、第1の巻紙112に摩擦力により固定されてもよい。蓋は、例えば、ペーパフィルタ又はアセテートフィルタであり得る。第2の箇所S2に設けられる筒状部材114は、紙管又は中空フィルタであり得る。
【0117】
図示の例では、消耗品110は、喫煙可能物111、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115を備えているが、消耗品110の構成はこれに限られない。例えば、中空フィルタ部116を省略し、筒状部材114とフィルタ部115とを互いに隣接配置してもよい。
【0118】
図示のように、消耗品110の第1の箇所S1は、第2の箇所S2よりも消耗品110の長手方向の端側に配置される。第1の箇所S1は、第1の硬さを有し、第2の箇所S2は第2の硬さを有する。第1の硬さは、65%以上かつ90%以下であることが好ましく、70%以上かつ85%以下であることがさらに好ましく、73%以上かつ82%以下であることが最も好ましい。
【0119】
消耗品110がチャンバ50に挿入されたとき、消耗品110は、第2の箇所S2の少なくとも一部が押圧部62の内面62aに押圧されるように位置決めされる。第2の硬さは、90%以上かつ99%以下であることが好ましく、90%以上98%以下であることがさらに好ましく、92%以上かつ96%以下であることが最も好ましい。これにより、挿入が行い易く消耗品110が保持部60にしっかりと保持される。
【0120】
第2の硬さは第1の硬さよりも高いことが好ましい。これによれば、消耗品110の保持部60へ挿入し易さと消耗品110のしっかりとした保持が同時に達成され得る。また、消耗品110をチャンバ50に挿入したときに第1の箇所S1のみが押圧部62の内面62aに押圧される状態から、第2の箇所S2も押圧部62の内面62aに押圧される状態に変化することで、ユーザは、消耗品110の挿入中に抵抗の変化を感じることができる。その結果、ユーザが、消耗品110がどの程度チャンバ50に挿入されたかを挿入中に知ることができ、所望の挿入位置まであとどの程度挿入すればよいかを知る手掛かりになり、消耗品110を所望の位置に位置決めしやすくなる。この抵抗の変化は、
図12に示すように第1の箇所S1と第2の箇所S2が隣り合って配置されている場合に、より明確に感じることができる。
【0121】
上述したように、本明細書の全体にわたって使用される用語「硬さ」は、変形するための抵抗を意味する。硬さは割合として一般に表現される。
図13は、負荷Fを加える前の消耗品110及び負荷Fを加えた状態の消耗品110の断面を示す。図示のとおり、負荷を加える前の消耗品の直径をD
sとし、所定の負荷を加えた状態の消耗品110の負荷を加えた方向の直径をD
dとする。所定の負荷を加えたときの消耗品の変形量dは、D
s-D
dで表すことができる。ここで、硬さ(%)はDd/Ds×100(%)によって示される。
【0122】
消耗品110の第1の箇所S1の長手方向における長さは、押圧部62の内面62aの長手方向の長さ以下であり、消耗品110がチャンバ50に挿入されたとき、消耗品110の第1の箇所S1が、チャンバ50の長手方向において押圧部62の内面62aからはみ出さないように消耗品110がチャンバ50に位置決めされることが好ましい。また、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた際、消耗品110の喫煙可能物の全外周面が保持部60によって覆われることが好ましい。
【0123】
消耗品110がチャンバ50内の所望の位置に位置決めされた際に、消耗品110の第2の箇所S2が保持部60に挿入される距離は1.0mm以上かつ10.0mm以下であることが好ましく、2.0mm以上かつ8.0mm以下がさらに好ましく、4.0mm以上かつ6.0mm以下が最も好ましい。
【0124】
チャンバ50の底壁56aから押圧部62の開口52側の端部までの長さは、消耗品110の第1の箇所S1の長手方向における長さ(以下第1の箇所の長さという)よりも長く、且つ第1の箇所S1の長さの1.5倍より短いことが好ましく、1.35倍よりも短いことがさらに好ましい。また、消耗品110の第1の箇所S1の少なくとも一部は、消耗品110がチャンバ50に挿入されたとき、保持部60の長手方向中央部よりも開口52側に位置することが好ましい。言い換えると、第1の箇所S1の第2の箇所S2側の端部は保持部60の長手方向中央部よりも開口52側に位置することが好ましい。これにより、消耗品110の第1の箇所S1がチャンバ50の底壁56aに当接する前に第2の箇所S2が保持部60に挿入されるので抵抗の変化を感じることができ、その変化を感じる挿入位置が消耗品110の所望の挿入位置に比較的近い位置とすることができるので、より消耗品110を所望の位置に位置決めしやすくなり、ユーザの使用感覚が向上し得る。
【0125】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る喫煙システム100について説明する。第2実施形態の喫煙システム100は、第1実施形態の喫煙システム100と比べてチャンバ50の構造が異なる。
図14は、第2実施形態に係る喫煙システム100のデバイス120に設けられるチャンバ50の概略断面図である。
図15Aは、
図14における矢視18A-18Aにおけるチャンバ50の断面図である。
図15Bは、
図14における矢視18B-18Bにおけるチャンバ50の断面図である。具体的には、第2実施形態のチャンバ50は、第1実施形態のチャンバ50に比べて、第1保持部70と、第2保持部76を備える点が異なる。
【0126】
第1保持部70は、チャンバ50に挿入された消耗品110を保持するように構成される。第2保持部76は、第1保持部70よりもチャンバ50の開口52から遠くに位置し、チャンバ50に挿入された消耗品110を保持するように構成される。第1保持部70は、消耗品110の一部を押圧する第1押圧部72と、第1非押圧部73とを含む。第1押圧部72は、内面72aと、外面72bとを有する。第1非押圧部73は、内面73aと、外面73bとを有する。第2保持部76は、消耗品110の一部を押圧する第2押圧部77と、第2非押圧部78とを含む。第2押圧部77は、内面77aと、外面77bとを有する。第2非押圧部78は、内面78aと、外面78bとを有する。
【0127】
消耗品110が第1保持部70と第2保持部76とによって保持された状態において、第2保持部76は、第1保持部70よりも消耗品110を圧縮するように構成される。具体的には、例えば、
図15A及び
図15Bに示すように、チャンバ50の長手方向に直交する面において、第2保持部76の内部の断面積は、第1保持部70の内部の断面積よりも小さい。第1押圧部72の内面72aが消耗品110を押圧することにより、第1保持部70において消耗品110が加熱面(第1押圧部72の内面72a)に実質的に密着するので加熱部40からの熱を効率よく消耗品110に伝えることができる。これと同時に第2保持部76の押圧によって喫煙時の通気抵抗を調整することができる。第2押圧部77の外面77bには、加熱部40は配置されなくてもよい。特に、第2保持部76によって押圧される消耗品110の箇所が上述した蓋である場合は、加熱部40を第2保持部76に配置しないことにより、喫煙可能物の加熱に効率的に寄与しない加熱を抑制し得る。
【0128】
図14に示すように、チャンバ50は、第1押圧部72の内面72aと第2押圧部77の内面77aとを接続するテーパ面79aを備えた第2ガイド部79を有する。第2ガイド部79は、第1押圧部72から第2押圧部77に向けて、チャンバ50の内面の断面形状を連続的に変化させることができるので、消耗品110を第2保持部76にスムーズに挿入することができる。
【0129】
図15Aに示すように、第1保持部70の第1押圧部72の内面72aは、互いに対向する。即ち、第1押圧部72の内面72aは、向かい合う一対の第1押圧面を構成する。
図15Bに示すように、第2保持部76の第2押圧部77の内面77aは、互いに対向する。即ち、第2押圧部77の内面77aは、向かい合う一対の第2押圧面を構成する。第2押圧面間の最も短い距離は、第1押圧面間の最も短い距離よりも小さいことが好ましい。また、図示の実施形態では、第1押圧面及び第2押圧面は平面である。
図15A及び
図15Bに示すように、チャンバ50の長手方向に直交する方向において、第2保持部76の押圧面は第1保持部70の押圧面と同一の方向に向けられる。
【0130】
図14に示すように、第2保持部76はチャンバ50の端部に配置される。これにより、消耗品110の端部の喫煙可能物を押圧する場合、第2保持部76の押圧によって消耗品110の端部の喫煙可能物を圧縮し、喫煙後に消耗品110をチャンバ50から取り出す際に喫煙可能物がチャンバ50内に落下することを低減し得る。
【0131】
第1押圧部72の内面72a及び外面72b並びに第2押圧部77の内面77a及び外面77bは、第1実施形態の押圧部62の内面62a及び外面62bと同様の特徴を有し得る。また、第1非押圧部73の内面73a及び外面73b並びに第2非押圧部78の内面78a及び外面78bは、第1実施形態の非押圧部66の内面66a及び外面66bと同様の特徴を有し得る。
【0132】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る喫煙システム100について説明する。第3実施形態の喫煙システム100は、第1実施形態の喫煙システム100と比べて、チャンバ50及び加熱部40の構造が異なる。
図16は、第3実施形態に係る喫煙システム100のデバイス120に設けられるヒータアッセンブリ30の概略断面図である。
図17は、
図16における矢視20-20におけるチャンバ50の断面図である。
図16においては、
図2に示したトップキャップ32が省略されている。
【0133】
図15及び
図16に示すように、チャンバ50の形状は、第1実施形態のチャンバ50の形状と略同一である。他方、第3実施形態のヒータアッセンブリ30は、加熱部40に代えて、チャンバ50を加熱するインダクションコイル46を備える。
図15に示すように、インダクションコイル46は、チャンバ50の押圧部62を取り囲むように配置されてもよい。これにより、チャンバ50の発熱部分にエネルギーを効率的に供給することができる。なお、インダクションコイル46は円筒形であってもよい。
【0134】
チャンバ50の押圧部62は、インダクションコイル46によって加熱されるサセプタ63を含む。サセプタ63は、押圧部62の外面62b又は内面62aに配置されてもよいし、押圧部62を構成するチャンバ50の壁に含まれていてもよいし、押圧部62を構成するチャンバ50の壁がサセプタで構成されていてもよい。サセプタ63は、アルミニウム、鉄、ニッケル、及びこれらの合金(例えば、ニクロムやステンレス鋼)からなる群の少なくとも一つから選択される材料を含むことが好ましい。
【0135】
第3実施形態では、チャンバ50の非押圧部66もサセプタ63を含む。これにより、
図17に示すように、サセプタ63及びサセプタ63を流れる電流の経路が、消耗品110を収容する空間(チャンバ50の内部空間)を取り囲む環状に形成される。
【0136】
以上で説明したように、第3実施形態では、少なくとも押圧部62がサセプタ63を含み、サセプタ63がインダクションコイル46によって加熱される。
【0137】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る喫煙システム100について説明する。第4実施形態の喫煙システム100は、第1実施形態の喫煙システム100と比べて、喫煙システム100の空気流路、及びチャンバ50の構造が異なる。
図18は、第4実施形態に係る喫煙システム100を示す図である。
【0138】
図18に示すように、第4実施形態の喫煙システム100では、ヒータアッセンブリ30と消耗品110との間から空気を取り込むための隙間が実質的に存在しない。
図18に示すように、喫煙システム100では、ヒータアッセンブリ30の底部に空気取り入れ用の開口30aが形成され、この開口30aに空気を取り込むための空気通路15が形成される。図示の例では、空気通路15は、開口30aと喫煙システム100の底部(消耗品110を挿入するヒータアッセンブリ30のチャンバ50の開口52と反対側)とを連通するように延在する。空気通路15は、開口30aと喫煙システム100の外部とを接続する任意の形状を取り得る。これにより、ユーザが吸い込む空気は、空気流100Dで示されるように、喫煙システム100の底部から消耗品110の端部を通じてユーザの口腔内に導かれる。
【0139】
図19Aは、第4実施形態における、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態の、非押圧部66を含むチャンバ50の縦断面図である。
図19Bは、第4実施形態における、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態の、押圧部62を含むチャンバ50の縦断面図である。
図20Aは、
図19Bに示す矢視23A-23Aにおけるチャンバ50の断面図である。
図20Bは、
図19Bに示す矢視23B-23Bにおけるチャンバ50の断面図である。なお、
図20Bにおいては、押圧部62において消耗品110が押圧されることがわかりやすいように、押圧される前の状態の消耗品110の断面が示されている。
【0140】
図19Bに示すように、保持部60は、消耗品110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされたとき、非押圧部66の内面66aと消耗品110との間に実質的に隙間が設けられない。また、
図19A及び
図19Bに示すように、チャンバ50の底部56の底壁56aには、チャンバ50内に空気を流入させるための開口30aが形成される。
【0141】
非押圧部66は、消耗品110がチャンバ50内に配置されたとき、消耗品110と、非押圧状態で接触することが好ましい。ここでの非押圧状態とは、実質的に非押圧状態であることを含む。
【0142】
第4実施形態において、保持部60の内周長さは、押圧部62によって押圧される前の消耗品110の外周長さと同一である。なお、ここで「同一」とは、実質的に同一である場合を含む。
【0143】
上述したように、保持部60は、押圧部62と非押圧部66を有する。保持部60の内周長さが消耗品110の外周長さと実質的に同一である場合、押圧部62によって消耗品110の一部が押圧されることにより、消耗品110の外周形状が保持部60の内面の断面形状と略一致することになる。保持部60の内周長さ及び内周形状が、消耗品110の外周長さ及び外周形状と同一の場合と比べて、喫煙システム100では消耗品110が押圧部62により押圧される箇所が形成されるので、加熱部40から消耗品110への熱伝導効率が向上し得る。また、保持部60の内周長さよりも消耗品110の外周長さが短い場合に比べて、消耗品110の外周面の押圧されない箇所も保持部60の内周面(非押圧部66の内面66a)と実質的に接触するので、加熱部40から消耗品110への熱伝導効率が向上し得る。さらに、保持部60の内周長さよりも消耗品110の外周長さが長い場合に比べて、消耗品110を保持部60にスムーズに挿入でき、消耗品110の外周面及び消耗品110内部(例えば、たばこ)の密度にひずみが生じることを抑制できる。その結果、消耗品110内部の密度にひずみが生じることによって起こり得る、不均一な加熱や、消耗品110毎に通気抵抗がバラつくことを抑制することができる。
【0144】
なお、保持部60の内周長さは、押圧部62によって押圧された状態の消耗品110の外周長さと実質的に同じであることが好ましいとも言えるし、保持部60の内周長さとは、保持部60のチャンバ50の長手方向に直交する面における内周長さとしてもよい。また、「押圧部62によって押圧される前の消耗品110の外周長さ」とは、押圧部62によって押圧される前の消耗品110の外周長さのうち、押圧部62によって押圧された際にチャンバ50の長手方向において、比較されている保持部60の内周長さに対応する位置に位置づけられる位置の外周長さとしてもよい。また、「押圧部62によって押圧された状態の消耗品110の外周長さ」とは、押圧部62によって押圧された状態の消耗品110の外周長さのうちチャンバの長手方向において、比較されている保持部60の内周長さに対応する位置の外周長さとしてもよい。
【0145】
第4実施形態において、チャンバ50(保持部60)の内周長さは、チャンバ50に受け入れられる前の消耗品110の外周長さと同一であり、チャンバの長手方向に直交する面におけるチャンバ50(保持部60)の内周形状は、チャンバ50に受け入れられる前の消耗品110の長手方向に直交する断面形状とは異なるということもできる。ここで同一とは、実質的に同一である場合を含む。
【0146】
本実施形態によれば、消耗品110が加熱面(チャンバ50の押圧部62の内面62a)に実質的に密着するので加熱部40からの熱を効率よく消耗品110に伝えることができる。具体的には、チャンバ50の内周長さと消耗品110の外周長さが実質的に同一であり、且つチャンバ50の内周形状がチャンバ50に受け入れられる消耗品110の断面形状と異なるので、消耗品110の一部がチャンバ50の内面に押圧され、消耗品110の外周形状が保持部60の内面の内周形状と略一致することになる。チャンバ50の内周長さ及び内周形状が、消耗品110の外周長さ及び断面形状と同一の場合と比べて、喫煙システム100では消耗品110がチャンバ50により押圧される箇所が形成されるので、加熱部40から消耗品110への熱伝導効率が向上し得る。また、チャンバ50の内周長さよりも消耗品110の外周長さが短い場合に比べて、消耗品110の外周面の押圧されない箇所もチャンバ50の内周面(非押圧面)と実質的に接触するので、加熱部40から消耗品110への熱伝導効率が向上し得る。さらに、チャンバ50の内周長さよりも消耗品110の外周長さが長い場合に比べて、消耗品110をチャンバ50にスムーズに挿入でき、消耗品110の外周面及び消耗品内部(例えば、たばこ)の密度にひずみが生じることを抑制できる。その結果、消耗品110内部の密度にひずみが生じることによって起こり得る、不均一な加熱や、消耗品110毎に通気抵抗がバラつくことを抑制することができる。
【0147】
また、チャンバ50の内周長さは、チャンバ50によって押圧された状態の消耗品110の外周長さと実質的に同じであることが好ましいとも言えるし、チャンバ50の内周長さとはチャンバ50の長手方向に直交する面における内周長さとしてもよい。また、「チャンバ50に受け入れられる前の消耗品110の外周長さ」とは、チャンバ50に受け入れられる前の消耗品110の外周長さのうち、チャンバ50に受け入れられた際にチャンバ50の長手方向において、比較されているチャンバ50の内周長さに対応する位置に位置づけられる部分の外周長さとしてもよい。また、「チャンバ50によって押圧された状態の消耗品110の外周長さ」とは、チャンバ50によって押圧された状態の消耗品110の外周長さのうちチャンバ50の長手方向において、比較されているチャンバ50の内周長さに対応する位置の外周長さとしてもよい。
【0148】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。また、形状や程度等において少なくとも「実質的に」と明細書中で表された形状や程度等は、「厳密にその形状や程度等」のみに限定されるわけではなく、「少なくとも意図された作用を奏する範囲の形状や程度等」を含むことを意図する。
【符号の説明】
【0149】
40 :加熱部
40a :第1部分
40b :第2部分
42 :加熱要素
44 :電気絶縁部材
46 :インダクションコイル
48 :電極
50 :チャンバ
52 :開口
54 :非保持部
58 :第1ガイド部
58a :テーパ面
60 :保持部
62 :押圧部
62a :内面
62b :外面
63 :サセプタ
66 :非押圧部
66a :内面
66b :外面
67 :空隙
70 :第1保持部
72a :内面
72b :外面
73a :内面
73b :外面
76 :第2保持部
77a :内面
77b :外面
78a :内面
78b :外面
79a :テーパ面
100 :喫煙システム
110 :消耗品
111 :喫煙可能物
120 :デバイス
S1 :第1の箇所
S2 :第2の箇所