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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-29
(45)【発行日】2022-12-07
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20221130BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022134764
(22)【出願日】2022-08-26
(62)【分割の表示】P 2021002562の分割
【原出願日】2012-10-30
(65)【公開番号】P2022177013
(43)【公開日】2022-11-30
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】P 2011247258
(32)【優先日】2011-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2011247256
(32)【優先日】2011-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】小山 潤
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-031570(JP,A)
【文献】特表2002-509360(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0289280(US,A1)
【文献】特開2011-096668(JP,A)
【文献】特開2007-005780(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
H01L21/336
27/32
29/786
51/50
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記画素は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及び発光素子を有し、
前記第1のトランジスタは、前記第2のトランジスタのゲートに、画像信号に応じた電位を供給する機能を有し、
前記第2のトランジスタは、前記電位に従って前記発光素子への電流の供給を制御する機能を有し、
前記複数の画素は、第1の画素乃至第3の画素を少なくとも有し、
前記第1の画素及び前記第2の画素は、同じ信号線に電気的に接続され、
前記第1の画素及び前記第3の画素は、同じ走査線に電気的に接続され、
前記第1の画素及び前記第2の画素では、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有する半導体層を共有しており、
前記第1の画素及び前記第3の画素では、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有する半導体層を共有していない、
発光装置。
【請求項2】
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記画素は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及び発光素子を有し、
前記第1のトランジスタは、前記第2のトランジスタのゲートに、画像信号に応じた電位を供給する機能を有し、
前記第2のトランジスタは、前記電位に従って前記発光素子への電流の供給を制御する機能を有し、
前記複数の画素は、第1の画素乃至第3の画素を少なくとも有し、
前記第1の画素及び前記第2の画素は、同じ信号線に電気的に接続され、
前記第1の画素及び前記第3の画素は、同じ走査線に電気的に接続され、
前記第1の画素及び前記第2の画素では、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有する半導体層を共有しており、
前記第1の画素及び前記第3の画素では、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有する半導体層を共有しておらず、
前記第1の画素の、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を有する半導体層は、前記走査線としての機能を有する導電層と重なりを有する、
発光装置。
【請求項3】
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記画素は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及び発光素子を有し、
前記第1のトランジスタは、前記第2のトランジスタのゲートに、画像信号に応じた電位を供給する機能を有し、
前記第2のトランジスタは、前記電位に従って前記発光素子への電流の供給を制御する機能を有し、
前記複数の画素は、第1の画素乃至第3の画素を少なくとも有し、
前記第1の画素及び前記第2の画素は、第1の信号線に電気的に接続され、
前記第1の画素及び前記第3の画素は、第1の走査線に電気的に接続され、
前記第1の画素及び前記第2の画素では、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を第1の半導体層に有し、
前記第3の画素では、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を第2の半導体層に有し、
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とは互いに離隔している、
発光装置。
【請求項4】
マトリクス状に配置された複数の画素を有し、
前記画素は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、及び発光素子を有し、
前記第1のトランジスタは、前記第2のトランジスタのゲートに、画像信号に応じた電位を供給する機能を有し、
前記第2のトランジスタは、前記電位に従って前記発光素子への電流の供給を制御する機能を有し、
前記複数の画素は、第1の画素乃至第3の画素を少なくとも有し、
前記第1の画素及び前記第2の画素は、第1の信号線に電気的に接続され、
前記第1の画素及び前記第3の画素は、第1の走査線に電気的に接続され、
前記第1の画素及び前記第2の画素では、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を第1の半導体層に有し、
前記第3の画素では、前記第2のトランジスタのチャネル形成領域を第2の半導体層に有し、
前記第1の半導体層は、前記第1の走査線としての機能を有する導電層と重なりを有し、
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とは互いに離隔している、
発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各画素にトランジスタを有する液晶表示装置と、その作製方法に関する。本発
明は、各画素にトランジスタを有する発光装置と、その作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶性を有するシリコンによって得られる高い移動度と、非晶質シリコンによって得られ
る均一な素子特性とを兼ね備えた新たな半導体材料として、酸化物半導体と呼ばれる、半
導体特性を示す金属酸化物に注目が集まっている。金属酸化物は様々な用途に用いられて
おり、例えば、よく知られた金属酸化物である酸化インジウムは、液晶表示装置などで透
光性を有する画素電極に用いられている。半導体特性を示す金属酸化物としては、例えば
、酸化タングステン、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛などがあり、このような半導体
特性を示す金属酸化物をチャネル形成領域に用いるトランジスタが、既に知られている(
特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-123861号公報
【文献】特開2007-96055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液晶表示装置に用いられるトランジスタは、経時劣化による電気的特性(閾値
電圧、移動度、S値など)の変化が小さいこと、また、経時劣化により生じる電気的特性
のばらつきが小さいことが望まれる。経時劣化による電気的特性の変化が小さいトランジ
スタ、また、経時劣化により生じる電気的特性のばらつきが小さいトランジスタを用いる
ことで、液晶表示装置の信頼性を高めることができ、表示する画像の品質を高めることが
できる。
【0005】
また、フォトリソグラフィ法で用いられる露光用のマスクは一般的に高価であり、なおか
つ、フォトリソグラフィ法では、1枚のマスクにつき、フォトレジストの成膜、露光、現
像、エッチング、剥離などの一連の工程が必要となる。よって、液晶表示装置の作製に必
要なマスクの枚数が増えると、それだけ作製工程数が増加し、なおかつ作製に費やされる
コストが高くなりやすい。
【0006】
上述したような技術的背景のもと、本発明は、信頼性の高い液晶表示装置の提供を、課題
の一つとする。また、本発明は、少ない枚数のマスクで作製でき、なおかつ信頼性の高い
液晶表示装置の提供を、課題の一つとする。
【0007】
或いは、本発明は、少ない枚数のマスクを用いて、信頼性の高い液晶表示装置を得られる
、液晶表示装置の作製方法の提供を、課題の一つとする。
【0008】
また、OLED(Organic Light Emitting Diode)などの
発光素子を用いたアクティブマトリクス型の発光装置において、各画素に設けられたトラ
ンジスタは、経時劣化による電気的特性の変化が小さいこと、また、経時劣化により生じ
る電気的特性のばらつきが小さいことが望まれる。経時劣化による電気的特性の変化が小
さいトランジスタ、また、経時劣化により生じる電気的特性のばらつきが小さいトランジ
スタを用いることで、発光装置の信頼性を高めることができ、表示する画像の品質を高め
ることができる。
【0009】
また、フォトリソグラフィ法で用いられる露光用のマスクは一般的に高価であり、なおか
つ、フォトリソグラフィ法では、1枚のマスクにつき、フォトレジストの成膜、露光、現
像、エッチング、剥離などの一連の工程が必要となる。よって、発光装置の作製に必要な
マスクの枚数が増えると、それだけ作製工程数が増加し、なおかつ作製に費やされるコス
トが高くなりやすい。
【0010】
上述したような技術的背景のもと、本発明は、信頼性の高い発光装置の提供を、課題の一
つとする。また、本発明は、少ない枚数のマスクで作製でき、なおかつ信頼性の高い発光
装置の提供を、課題の一つとする。
【0011】
或いは、本発明は、少ない枚数のマスクを用いて、信頼性の高い発光装置を得られる、発
光装置の作製方法の提供を、課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様では、画素電極とソース電極またはドレイン電極とを接続するための開口
部を、ソース電極及びドレイン電極上の絶縁膜に形成する工程において、当該絶縁膜の形
状のみならず、半導体膜の形状をも加工する。具体的に、本発明の一態様に係る液晶表示
装置の作製方法では、ゲート電極を形成する工程と、半導体膜が有するチャネル形成領域
を保護する機能を有する絶縁膜(以下、チャネル保護膜とも呼ぶ)を形成する工程と、ソ
ース電極またはドレイン電極を形成する工程と、ソース電極及びドレイン電極上の絶縁膜
に開口部を形成し、なおかつ半導体膜の形状を加工する工程と、画素電極を形成する工程
とにおいて、マスクを利用したフォトリソグラフィ法を用いる。よって、半導体膜の形状
を単独で加工するためだけの、フォトリソグラフィ法を用いた工程を、本発明の一態様で
は、省略することができる。
【0013】
また、具体的に、本発明の一態様に係る発光装置の作製方法では、ゲート電極を形成する
工程と、半導体膜が有するチャネル形成領域を保護する機能を有する絶縁膜を形成する工
程と、ソース電極またはドレイン電極を形成する工程と、ソース電極及びドレイン電極上
の絶縁膜に開口部を形成し、なおかつ半導体膜の形状を加工する工程と、画素電極を形成
する工程と、画素電極上の絶縁膜に開口部を設けることで隔壁を形成する工程と、におい
て、マスクを利用したフォトリソグラフィ法を用いる。よって、半導体膜の形状を単独で
加工するためだけの、フォトリソグラフィ法を用いた工程を、本発明の一態様では、省略
することができる。
【0014】
なお、ソース電極及びドレイン電極と、ソース電極及びドレイン電極と同じ層に形成され
た導電膜とは、ソース電極及びドレイン電極上の絶縁膜と、半導体膜の間に存在する。そ
のため、上述したような、ソース電極及びドレイン電極上の絶縁膜の形状と半導体膜の形
状を同一のマスクで加工する作製方法を用いる場合、半導体膜のうち上記導電膜の下部に
位置する部分は、その形状を加工することが難しい。そして、複数の導電膜が半導体膜と
重なっていると、画素電極から半導体膜に印加される電界により、導電膜間において半導
体膜にチャネル(以下、寄生チャネルと呼ぶ)が形成されることがある。寄生チャネルが
形成されると、電気的に分離されるべき導電膜どうしが半導体膜を介して電気的に接続さ
れるため、表示される画質の低下が引き起こされる。
【0015】
そこで、本発明の一態様に係る液晶表示装置または発光装置では、複数の導電膜間におい
て複数の導電膜上の絶縁膜が開口部を有し、半導体膜は上記開口部と重なる領域において
除去されている構成とする。よって、複数の各導電膜と重なる位置に設けられた半導体膜
どうしは、当該開口部において離隔している構成となる。上記構成により、寄生チャネル
の形成が抑制され、導電膜どうしが電気的に接続されるのを防ぐことができる。
【0016】
また、チャネル保護膜を形成する工程、或いは、ソース電極またはドレイン電極を形成す
る工程において、エッチングにより露出した半導体膜またはチャネル保護膜の表面に不純
物が付着すると、トランジスタのオフ電流の増加、或いはトランジスタの電気的特性の劣
化がもたらされやすい。また、半導体膜に寄生チャネルが生じやすくなり、電気的に分離
されるべき導電膜どうしが半導体膜を介して電気的に接続されやすくなる。具体的に、上
記不純物には、ソース電極またはドレイン電極を構成する元素、エッチングを行った処理
室内に存在する元素、或いは、エッチングに用いたエッチングガスやエッチング液を構成
する元素などが含まれる。そこで、本発明の一態様に係る液晶表示装置または発光装置の
作製方法では、チャネル保護膜を形成するためのエッチングが終了した後、もしくは、ソ
ース電極またはドレイン電極を形成するためのエッチングが終了した後に、半導体膜また
はチャネル保護膜の表面に付着したであろう不純物を除去する工程も有する。
【0017】
具体的に、本発明の一態様に係る液晶表示装置は、ゲート電極と、ゲート電極上に位置す
るゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に位置し、ゲート電極と重なる半導体膜と、半導体膜
上に位置し、ゲート電極と重なる島状の第1絶縁膜と、半導体膜上に位置する第1導電膜
と、島状の第1絶縁膜を間に挟み、なおかつ半導体膜上に位置する一対の第2導電膜と、
半導体膜、島状の第1絶縁膜、第1導電膜、及び一対の第2導電膜上に位置する第2絶縁
膜と、第2絶縁膜上に位置し、第2絶縁膜に設けられた第1開口部を介して、一対の第2
導電膜のいずれか一方に接続される画素電極と、を有し、第2絶縁膜及び半導体膜には、
第1導電膜と、一対の第2導電膜のいずれか一方または他方の間に位置する第2開口部が
設けられている。
【0018】
具体的に、本発明の一態様に係る液晶表示装置の作製方法は、ゲート絶縁膜上においてゲ
ート電極と重なるように半導体膜を形成する工程と、半導体膜上においてゲート電極と重
なるように島状の第1絶縁膜を、フォトリソグラフィ法により形成する工程と、第1導電
膜と、島状の第1絶縁膜を間に挟む一対の第2導電膜とを、フォトリソグラフィ法により
半導体膜上に形成する工程と、第2絶縁膜を、半導体膜、島状の第1絶縁膜、第1導電膜
、及び一対の第2導電膜上に形成する工程と、一対の第2導電膜の一方を部分的に露出さ
せる第1開口部と、第2絶縁膜及び半導体膜に、第1導電膜と一対の第2導電膜のいずれ
か一方または他方の間に位置する第2開口部とを、フォトリソグラフィ法により形成する
工程と、第2絶縁膜上に、第1開口部を介して一対の第2導電膜の一方に接続される画素
電極を、フォトリソグラフィ法により形成する工程と、を有する。
【0019】
具体的に、本発明の一態様に係る発光装置は、ゲート電極と、ゲート電極上に位置するゲ
ート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に位置し、ゲート電極と重なる半導体膜と、半導体膜上に
位置し、ゲート電極と重なる島状の第1絶縁膜と、半導体膜上に位置する第1導電膜と、
島状の第1絶縁膜を間に挟み、なおかつ半導体膜上に位置する一対の第2導電膜と、半導
体膜、島状の第1絶縁膜、第1導電膜、及び一対の第2導電膜上に位置する第2絶縁膜と
、第2絶縁膜上に位置し、第2絶縁膜に設けられた第1開口部を介して、一対の第2導電
膜のいずれか一方に接続される画素電極と、画素電極上の第3絶縁膜と、を有し、第2絶
縁膜及び半導体膜には、第1導電膜と、一対の第2導電膜のいずれか一方または他方の間
に位置する第2開口部が設けられており、第3絶縁膜には、画素電極が部分的に露出する
ような第3開口部が設けられている。
【0020】
具体的に、本発明の一態様に係る発光装置の作製方法は、ゲート絶縁膜上においてゲート
電極と重なるように半導体膜を形成する工程と、半導体膜上においてゲート電極と重なる
ように島状の第1絶縁膜を、フォトリソグラフィ法により形成する工程と、第1導電膜と
、島状の第1絶縁膜を間に挟む一対の第2導電膜とを、フォトリソグラフィ法により半導
体膜上に形成する工程と、第2絶縁膜を、半導体膜、島状の第1絶縁膜、第1導電膜、及
び一対の第2導電膜上に形成する工程と、一対の第2導電膜の一方を部分的に露出させる
第1開口部と、第2絶縁膜及び半導体膜に、第1導電膜と一対の第2導電膜のいずれか一
方または他方の間に位置する第2開口部とを、フォトリソグラフィ法により形成する工程
と、第2絶縁膜上に、第1開口部を介して一対の第2導電膜の一方に接続される画素電極
を、フォトリソグラフィ法により形成する工程と、画素電極上に、画素電極と重なる位置
に開口部を有する第3絶縁膜を、フォトリソグラフィ法により形成する工程と、を有する
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様では、信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。また、本発明
の一態様では、少ない枚数のマスクで、信頼性の高い液晶表示装置を提供することができ
る。
【0022】
また、本発明の一態様に係る液晶表示装置の作製方法では、少ない枚数のマスクで、信頼
性の高い液晶表示装置を作製することができる。
【0023】
本発明の一態様では、信頼性の高い発光装置を提供することができる。また、本発明の一
態様では、少ない枚数のマスクで、信頼性の高い発光装置を提供することができる。
【0024】
また、本発明の一態様に係る発光装置の作製方法では、少ない枚数のマスクで、信頼性の
高い発光装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】液晶表示装置の構造を示す図。
図2】液晶表示装置の構造を示す図。
図3】液晶表示装置の構造を示す図。
図4】液晶表示装置の構造を示す図。
図5】液晶表示装置の画素の上面図。
図6】液晶表示装置の画素の断面図。
図7】液晶表示装置の構造を示す図。
図8】液晶表示装置の画素部の構造と、画素の回路図。
図9】液晶表示装置の作製方法を示す図。
図10】液晶表示装置の作製方法を示す図。
図11】液晶表示装置の作製方法を示す図。
図12】液晶表示装置の作製方法を示す図。
図13】液晶表示装置の作製方法を示す図。
図14】パネルの構造を示す図。
図15】液晶表示装置の斜視図。
図16】電子機器の図。
図17】発光装置の構造を示す図。
図18】発光装置の構造を示す図。
図19】発光装置の構造を示す図。
図20】発光装置の構造を示す図。
図21】発光装置の画素の上面図。
図22】発光装置の画素の断面図。
図23】発光装置の画素の断面図。
図24】発光装置の画素部の構造と、画素の回路図。
図25】発光装置の構造を示す図。
図26】発光装置の作製方法を示す図。
図27】発光装置の作製方法を示す図。
図28】発光装置の作製方法を示す図。
図29】発光装置の作製方法を示す図。
図30】発光装置の作製方法を示す図。
図31】画素の断面図。
図32】パネルの構造を示す図。
図33】発光装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び
詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明
は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
なお、本明細書において液晶表示装置とは、液晶素子が各画素に形成されたパネルと、駆
動回路またはコントローラを含むIC等を当該パネルに実装した状態にあるモジュールと
を、その範疇に含む。さらに、本発明の一態様に係る液晶表示装置は、当該液晶表示装置
を作製する過程における、液晶素子が完成する前の一形態に相当する素子基板をその範疇
に含み、当該素子基板は、トランジスタと、トランジスタを介して電圧が供給される画素
電極とを、複数の各画素に備える。
【0028】
また、本明細書において発光装置とは、発光素子が各画素に形成されたパネルと、駆動回
路またはコントローラを含むIC等を当該パネルに実装した状態にあるモジュールとを、
その範疇に含む。さらに、本発明の一態様に係る発光装置は、当該発光装置を作製する過
程における、発光素子が完成する前の一形態に相当する素子基板をその範疇に含み、当該
素子基板は、トランジスタと、トランジスタを介して電圧が供給される画素電極とを、複
数の各画素に備える。
【0029】
(実施の形態1)
図1に、本発明の一態様に係る液晶表示装置の構造を例示する。図1(A)は、画素が有
するトランジスタ100の、チャネル長方向における断面図の一例である。
【0030】
図1(A)では、絶縁表面上のゲート電極101と、ゲート電極101上に位置するゲー
ト絶縁膜102と、ゲート絶縁膜102上に位置し、ゲート電極101と重なる半導体膜
103と、半導体膜103上に位置し、ゲート電極101と重なる島状の絶縁膜104と
、半導体膜103上に位置する導電膜105と、絶縁膜104を間に挟み、なおかつ半導
体膜103上に位置する導電膜106a及び導電膜106bと、半導体膜103、絶縁膜
104、導電膜105、導電膜106a及び導電膜106b上に位置する絶縁膜107と
、絶縁膜107上に位置し、絶縁膜107に設けられた開口部108を介して導電膜10
6bに接続される画素電極109と、絶縁膜107及び半導体膜103に設けられた開口
部110とが、図示されている。
【0031】
そして、図1(A)では、ゲート電極101、ゲート絶縁膜102、半導体膜103、チ
ャネル保護膜として機能する絶縁膜104、導電膜106a及び導電膜106bがトラン
ジスタ100を構成している。そして、導電膜106a及び導電膜106bは、いずれか
一方がソース電極、他方がドレイン電極として機能する。
【0032】
本発明の一態様に係る液晶表示装置の作製方法では、ゲート電極101を形成する工程と
、絶縁膜104を形成する工程と、導電膜105、導電膜106a、及び導電膜106b
を形成する工程と、絶縁膜107に開口部108を形成し、なおかつ絶縁膜107及び半
導体膜103に開口部110を形成する工程と、画素電極109を形成する工程とにおい
て、マスクを用いたフォトリソグラフィ法を用いる。すなわち、本発明の一態様では、絶
縁膜107に開口部110を形成する工程において、半導体膜103の形状を加工してい
るため、半導体膜103の形状を単独で加工するためだけの、フォトリソグラフィ法を用
いた工程を、省略することができる。よって、本発明の一態様に係る液晶表示装置では、
フォトリソグラフィ法で行なわれるフォトレジストの成膜、露光、現像、エッチング、剥
離などの一連の工程を一部省略することができる。そして、高価な露光用のマスクの枚数
を抑えることができるので、液晶表示装置の作製に費やされるコストを抑えることができ
る。
【0033】
なお、導電膜105、導電膜106a、及び導電膜106bは、絶縁膜107と、半導体
膜103の間に存在する。そのため、絶縁膜107に開口部108を形成する工程におい
て半導体膜103の形状をも加工する作製方法を用いる場合、導電膜105、導電膜10
6a、及び導電膜106bの下部に位置する半導体膜103の形状を加工することが難し
い。そして、導電膜105、導電膜106a、及び導電膜106bが半導体膜103と重
なっていると、画素電極109から半導体膜103に印加される電界により半導体膜10
3に寄生チャネルが形成されることがある。寄生チャネルが形成されると、電気的に分離
されるべき導電膜105と、導電膜106aまたは導電膜106bとが、半導体膜103
を介して電気的に接続されるため、表示される画質の低下が引き起こされる。
【0034】
そこで、本発明の一態様に係る液晶表示装置では、開口部110の位置を、導電膜105
と、導電膜106aまたは導電膜106bの間に定め、それにより、半導体膜103を部
分的に除去する構成とする。なお、図1(A)では、開口部110において半導体膜10
3及び絶縁膜107だけではなく、ゲート絶縁膜102が除去されている場合を例示して
いる。本発明の一態様では、開口部110においてゲート絶縁膜102を必ずしも除去す
る必要はなく、開口部110においてゲート絶縁膜102が残存していても良い。
【0035】
図1(B)に、図1(A)に示した断面構造を有する液晶表示装置の、上面図の一例を示
す。ただし、図1(B)では、液晶表示装置のレイアウトを明確にするために、ゲート絶
縁膜102及び絶縁膜107を省略した上面図を示す。また、図1(B)の一点鎖線A1
-A2における断面図が、図1(A)に相当する。
【0036】
図1(A)及び図1(B)に示すように、本発明の一態様では、半導体膜103及び絶縁
膜107に、導電膜105と、導電膜106aまたは導電膜106bの間に位置する、開
口部110が設けられている。
【0037】
開口部110により、本発明の一態様では、図1(A)及び図1(B)に示すように、導
電膜106aまたは導電膜106bの下に位置する半導体膜103と、導電膜105の下
に位置する半導体膜103とが、離隔した状態にある。よって、本発明の一態様では、画
素電極109などから半導体膜103に電界が印加されても、開口部110が導電膜10
5と、導電膜106aまたは導電膜106bの間に存在することで、半導体膜103に寄
生チャネルが形成されるのを抑制することができる。そして、寄生チャネルの形成が抑制
されることで、導電膜105と、導電膜106aまたは導電膜106bとが意図せず電気
的に接続されるのを防ぎ、液晶表示装置に表示される画質の低下を防ぐことができる。
【0038】
なお、図1(B)では、導電膜106aまたは導電膜106bの下に位置する半導体膜1
03と導電膜105の下に位置する半導体膜103とが、完全に離隔している場合を例示
している。しかし、本発明の一態様では、半導体膜103が必ずしも完全に離隔している
必要はなく、導電膜105と、導電膜106aまたは導電膜106bの間において、半導
体膜103が部分的に離隔していても良い。
【0039】
図2に、図1(A)に示した断面構造を有する液晶表示装置の、上面図の一例を示す。た
だし、図2では、液晶表示装置のレイアウトを明確にするために、ゲート絶縁膜102及
び絶縁膜107を省略した上面図を示す。
【0040】
図2に示す液晶表示装置では、開口部110の形状が図1(B)の場合と異なる。図2
は、開口部110が、図1(B)の場合と同様に導電膜105と、導電膜106aまたは
導電膜106bの間に位置しているが、導電膜106aまたは導電膜106bの下に位置
する半導体膜103と導電膜105の下に位置する半導体膜103とが、開口部110以
外の領域で繋がっている。すなわち、図2では、導電膜105と、導電膜106aまたは
導電膜106bの間において、半導体膜103が部分的に離隔した状態にある。半導体膜
103が部分的に離隔した状態にあっても、寄生チャネルの生成が抑制されるという効果
を得ることができる。
【0041】
また、開口部110が形成される領域の一部は、導電膜106aまたは導電膜106bと
重なっていても良い。或いは、開口部110が形成される領域の一部は、導電膜105が
形成される領域と重なっていても良い。
【0042】
図3(A)に、画素が有するトランジスタ100の、チャネル長方向における断面図の一
例を示す。また、図3(B)に、図3(A)に示した断面構造を有する液晶表示装置の、
上面図の一例を示す。ただし、図3(B)では、液晶表示装置のレイアウトを明確にする
ために、ゲート絶縁膜102及び絶縁膜107を省略した上面図を示す。また、図3(B
)の一点鎖線B1-B2における断面図が、図3(A)に相当する。
【0043】
図3(A)及び図3(B)に示す液晶表示装置では、開口部110の形成される領域が図
1(A)及び図1(B)の場合と異なる。図3(A)及び図3(B)では、開口部110
が形成される領域の一部が、導電膜106bが形成される領域と重なっている。導電膜1
06bの下に位置する半導体膜103は、開口部110の形成の際に、除去されない。よ
って、開口部110が形成されている領域内において、半導体膜103は、部分的に残存
している状態にあり、開口部110における半導体膜103の端部と絶縁膜107の端部
とは一致しない。
【0044】
本発明の一態様では、図3(A)及び図3(B)に示すように、開口部110が形成され
る領域の一部が、導電膜106bが形成される領域と重なっていても、導電膜106bの
下に位置する半導体膜103と、導電膜105の下に位置する半導体膜103とを、離隔
した状態にすることができる。よって、寄生チャネルの生成が抑制されるという効果を得
ることができる。
【0045】
なお、開口部110が形成される領域の一部と、導電膜106aが形成される領域とが重
なっている場合でも、寄生チャネルの生成が抑制されるという効果を得ることができる。
或いは、開口部110が形成される領域の一部と、導電膜105が形成される領域とが重
なっている場合でも、寄生チャネルの生成が抑制されるという効果を得ることができる。
【0046】
そして、開口部110が形成される領域が、導電膜106bが形成される領域と部分的に
重なっている場合、導電膜106bと画素電極109を接続するための開口部108を設
ける必要がない。よって、開口部108を形成するための領域を確保する必要がないので
、画素部の高精細化を実現することができる。
【0047】
また、図4(A)に、画素が有するトランジスタ100の、チャネル長方向における断面
図の一例を示す。また、図4(B)に、図4(A)に示した断面構造を有する液晶表示装
置の、上面図の一例を示す。ただし、図4(B)では、液晶表示装置のレイアウトを明確
にするために、ゲート絶縁膜102及び絶縁膜107を省略した上面図を示す。また、図
4(B)の一点鎖線C1-C2における断面図が、図4(A)に相当する。
【0048】
図4(A)及び図4(B)に示す液晶表示装置は、ゲート電極101と同じ層に導電膜1
11が設けられている点において、図1(A)及び図1(B)に示す液晶表示装置と構造
が異なる。具体的に、図4(A)及び図4(B)では、絶縁表面上に導電膜111が位置
し、導電膜111上にゲート絶縁膜102及び半導体膜103が順に積層されるように設
けられており、半導体膜103上において導電膜111と重なる位置に導電膜105が設
けられている。
【0049】
そして、図4(A)及び図4(B)では、開口部110が形成される領域と、導電膜11
1が形成される領域とが部分的に重なっており、開口部110において導電膜111の一
部が露出した状態にある。そして、導電膜111は半導体膜103の下に位置するため、
開口部110において半導体膜103は部分的に除去された状態にある。よって、図4
A)及び図4(B)の場合でも、導電膜106aまたは導電膜106bの下に位置する半
導体膜103と、導電膜105の下に位置する半導体膜103とが、離隔した状態にある
ため、寄生チャネルの生成が抑制されるという効果を得ることができる。
【0050】
なお、本発明の一態様に係る液晶表示装置では、トランジスタ100が有する半導体膜1
03が、酸化物半導体などのワイドギャップ半導体を含んでいる。
【0051】
酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むこと
が好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気的特性のばらつきを減ら
すためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好まし
い。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビラ
イザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとして
アルミニウム(Al)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてジルコニウ
ム(Zr)を含むことが好ましい。
【0052】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(
Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム
(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホル
ミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ル
テチウム(Lu)のいずれか一種または複数種を含んでいてもよい。
【0053】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化
物であるIn-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、Al-Zn系酸化物、Zn-Mg系
酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、In-Ga系酸化物、三元系金属の
酸化物であるIn-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In-Al-Zn系
酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn系酸化物、Al-Ga-Zn系酸
化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-La-Zn系酸化
物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物
、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、
In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物、In-Er-Zn系酸化物、I
n-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、In-Lu-Zn系酸化物、四元
系金属の酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-Ga-Zn系酸化
物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化物、In-Sn-
Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を、半導体膜103に用いること
ができる。
【0054】
なお、例えば、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを含む酸化物という意
味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素
を含んでいてもよい。In-Ga-Zn系酸化物は、無電界時の抵抗が十分に高くオフ電
流を十分に小さくすることが可能であり、また、移動度も高い。
【0055】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:G
a:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子比のIn-Ga-Zn系酸化
物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:
1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/
6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原
子比のIn-Sn-Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0056】
例えば、In-Sn-Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしなが
ら、In-Ga-Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上
げることができる。
【0057】
なお、電子供与体(ドナー)となる水分または水素などの不純物が低減され、なおかつ酸
素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体(purified Oxi
de Semiconductor)は、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い。
そのため、上記酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく低いという特性
を有する。また、酸化物半導体のバンドギャップは、2eV以上、好ましくは2.5eV
以上、より好ましくは3eV以上である。水分または水素などの不純物濃度が十分に低減
され、なおかつ酸素欠損が低減されることにより高純度化された酸化物半導体膜を用いる
ことにより、トランジスタのオフ電流を下げることができる。
【0058】
具体的に、高純度化された酸化物半導体を半導体膜に用いたトランジスタのオフ電流が低
いことは、いろいろな実験により証明できる。例えば、チャネル幅が1×10μmでチ
ャネル長が10μmの素子であっても、ソース端子とドレイン端子間の電圧(ドレイン電
圧)が1Vから10Vの範囲において、オフ電流が、半導体パラメータアナライザの測定
限界以下、すなわち1×10-13A以下という特性を得ることができる。この場合、オ
フ電流をトランジスタのチャネル幅で除した数値に相当するオフ電流は、100zA/μ
m以下であることが分かる。また、容量素子とトランジスタとを接続して、容量素子に流
入または容量素子から流出する電荷を当該トランジスタで制御する回路を用いて、オフ電
流の測定を行った。当該測定では、上記トランジスタに高純度化された酸化物半導体膜を
チャネル形成領域に用い、容量素子の単位時間あたりの電荷量の推移から当該トランジス
タのオフ電流を測定した。その結果、トランジスタのソース端子とドレイン端子間の電圧
が3Vの場合に、数十yA/μmという、さらに低いオフ電流が得られることが分かった
。従って、高純度化された酸化物半導体膜をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、
オフ電流が、結晶性を有するシリコンを用いたトランジスタに比べて著しく低い。
【0059】
なお、特に断りがない限り、本明細書でオフ電流とは、nチャネル型トランジスタにおい
ては、ドレイン端子をソース端子とゲート電極よりも高い電位とした状態において、ソー
ス端子の電位を基準としたときのゲート電極の電位が0以下であるときに、ソース端子と
ドレイン端子の間に流れる電流のことを意味する。或いは、本明細書でオフ電流とは、p
チャネル型トランジスタにおいては、ドレイン端子をソース端子とゲート電極よりも低い
電位とした状態において、ソース端子の電位を基準としたときのゲート電極の電位が0以
上であるときに、ソース端子とドレイン端子の間に流れる電流のことを意味する。
【0060】
また、トランジスタのソース端子とは、活性層の一部であるソース領域、或いは活性層に
接続されたソース電極を意味する。同様に、トランジスタのドレイン端子とは、活性層の
一部であるドレイン領域、或いは活性層に接続されたドレイン電極を意味する。
【0061】
また、酸化物半導体膜は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう。)または非晶質な
どの状態をとる。好ましくは、酸化物半導体膜は、CAAC-OS(C Axis Al
igned Crystalline Oxide Semiconductor)膜と
する。
【0062】
CAAC-OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC-OS膜
は、非晶質相に結晶部および非晶質部を有する結晶-非晶質混相構造の酸化物半導体膜で
ある。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであること
が多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electro
n Microscope)による観察像では、CAAC-OS膜に含まれる非晶質部と
結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC-OS膜には粒界(グレ
インバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC-OS膜は、粒界に
起因する電子移動度の低下が抑制される。
【0063】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC-OS膜の被形成面の法線ベクト
ルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角
形状または六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または
金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸お
よびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、8
5°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、-5
°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
【0064】
なお、CAAC-OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAA
C-OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形
成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CA
AC-OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶
質化することもある。
【0065】
CAAC-OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC-OS膜の被形成面の法線ベクト
ルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC-OS膜の形状(被形成
面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。な
お、結晶部のc軸の方向は、CAAC-OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクト
ルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、また
は成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
【0066】
CAAC-OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気的特性の変
動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
【0067】
CAAC-OS膜は、例えば、多結晶である酸化物半導体スパッタリング用ターゲットを
用い、スパッタリング法によって成膜する。当該スパッタリング用ターゲットにイオンが
衝突すると、スパッタリング用ターゲットに含まれる結晶領域がa-b面から劈開し、a
-b面に平行な面を有する平板状またはペレット状のスパッタリング粒子として剥離する
ことがある。この場合、当該平板状のスパッタリング粒子が、結晶状態を維持したまま基
板に到達することで、CAAC-OS膜を成膜することができる。
【0068】
また、CAAC-OS膜を成膜するために、以下の条件を適用することが好ましい。
【0069】
成膜時の不純物混入を低減することで、不純物によって結晶状態が崩れることを抑制でき
る。例えば、成膜室内に存在する不純物濃度(水素、水、二酸化炭素および窒素など)を
低減すればよい。また、成膜ガス中の不純物濃度を低減すればよい。具体的には、露点が
-80℃以下、好ましくは-100℃以下である成膜ガスを用いる。
【0070】
また、成膜時の基板加熱温度を高めることで、基板到達後にスパッタリング粒子のマイグ
レーションが起こる。具体的には、基板加熱温度を100℃以上740℃以下、好ましく
は200℃以上500℃以下として成膜する。成膜時の基板加熱温度を高めることで、平
板状のスパッタリング粒子が基板に到達した場合、基板上でマイグレーションが起こり、
スパッタリング粒子の平らな面が基板に付着する。
【0071】
また、成膜ガス中の酸素割合を高め、電力を最適化することで成膜時のプラズマダメージ
を軽減すると好ましい。成膜ガス中の酸素割合は、30体積%以上、好ましくは100体
積%とする。
【0072】
スパッタリング用ターゲットの一例として、In-Ga-Zn系酸化物ターゲットについ
て以下に示す。
【0073】
InO粉末、GaO粉末およびZnO粉末を所定のmol数比で混合し、加圧処理
後、1000℃以上1500℃以下の温度で加熱処理をすることで多結晶であるIn-G
a-Zn系酸化物ターゲットとする。なお、X、YおよびZは任意の正数である。ここで
、所定のmol数比は、例えば、InO粉末、GaO粉末およびZnO粉末が、2
:2:1、8:4:3、3:1:1、1:1:1、4:2:3または3:1:2である。
なお、粉末の種類、およびその混合するmol数比は、作製するスパッタリング用ターゲ
ットによって適宜変更すればよい。
【0074】
(実施の形態2)
次いで、本発明の一態様に係る液晶表示装置の、画素部の具体的な構成について、一例を
挙げて説明する。
【0075】
図8(A)に、画素部10の構成例を示す。図8(A)では、画素部10に、走査線駆動
回路によって電位が制御されるy本の走査線GL(GL1乃至GLy)と、信号線駆動回
路によって電位が制御されるx本の信号線SL(SL1乃至SLx)とが設けられている
【0076】
そして、走査線GLは、複数の画素11にそれぞれ接続されている。具体的に、各走査線
GLは、マトリクス状に設けられた複数の画素11のうち、いずれかの行に設けられたx
個の画素11に接続される。
【0077】
また、信号線SLは、画素部10においてx列y行に設けられた複数の画素11のうち、
いずれかの列に設けられたy個の画素11に接続される。
【0078】
なお、本明細書において接続とは電気的な接続を意味しており、電流、電圧または電位が
、供給可能、或いは伝送可能な状態に相当する。従って、接続している状態とは、直接接
続している状態を必ずしも指すわけではなく、電流、電圧または電位が、供給可能、或い
は伝送可能であるように、配線、抵抗、ダイオード、トランジスタなどの回路素子を介し
て間接的に接続している状態も、その範疇に含む。
【0079】
なお、回路図上は独立している構成要素どうしが接続されている場合であっても、実際に
は、例えば配線の一部が電極としても機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素
の機能を併せ持っている場合もある。本明細書において接続とは、このような、一の導電
膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0080】
図8(B)に、画素11の回路図の一例を示す。図8(B)に示す画素11は、スイッチ
ング素子として機能するトランジスタ12と、トランジスタ12を介して与えられた画像
信号の電位に従って、その透過率が制御される液晶素子13と、容量素子14とを有する
【0081】
液晶素子13は、画素電極と、共通電極と、画素電極と共通電極間の電圧が印加される液
晶を含んだ液晶層とを有している。そして、容量素子14は、液晶素子13が有する画素
電極と共通電極間の電圧を保持する機能を有している。
【0082】
液晶層には、例えば、サーモトロピック液晶またはリオトロピック液晶に分類される液晶
材料を用いることができる。或いは、液晶層には、例えば、ネマチック液晶、スメクチッ
ク液晶、コレステリック液晶、または、ディスコチック液晶に分類される液晶材料を用い
ることができる。或いは、液晶層には、例えば、強誘電性液晶、または反強誘電性液晶に
分類される液晶材料を用いることができる。或いは、液晶層には、例えば、主鎖型高分子
液晶、側鎖型高分子液晶、或いは、複合型高分子液晶などの高分子液晶、または低分子液
晶に分類される液晶材料を用いることができる。或いは、液晶層には、例えば、高分子分
散型液晶(PDLC)に分類される液晶材料を用いることができる。
【0083】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を液晶層に用いてもよい。ブルー相は液晶相
の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転
移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、カイラ
ル剤や紫外線硬化樹脂を添加して温度範囲を改善する。ブルー相を示す液晶とカイラル剤
とを含む液晶組成物は、応答速度が1msec以下と短く、光学的等方性であるため配向
処理が不要であり、視野角依存性が小さいため好ましい。
【0084】
また液晶の駆動方法としては、TN(Twisted Nematic)モード、STN
(Super Twisted Nematic)モード、VA(Vertical A
lignment)モード、MVA(Multi-domain Vertical A
lignment)モード、IPS(In-Plane Switching)モード、
OCB(Optically Compensated Birefringence)
モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、ブルー相モ
ード、TBA(Transverse Bend Alignment)モード、VA-
IPSモード、ECB(Electrically Controlled Biref
ringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Cr
ystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid
Crystal)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liqui
d Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liqui
d Crystal)モード、ゲストホストモードなどを適用することが可能である。
【0085】
画素11は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダク
タなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
【0086】
具体的に、図8(B)では、トランジスタ12のゲート電極が走査線GLに接続されてい
る。トランジスタ12は、そのソース端子またはドレイン端子の一方が信号線SLに接続
され、他方が液晶素子13の画素電極に接続されている。容量素子14は、一方の電極が
液晶素子13の画素電極に接続されており、他方の電極が、特定の電位の与えられている
ノードに接続されている。なお、液晶素子13が有する共通電極にも特定の電位が与えら
れている。そして、共通電極に与えられる電位は、容量素子14が有する他方の電極に与
えられる電位と共通であっても良い。
【0087】
なお、図8(B)では、画素11において、一のトランジスタ12をスイッチング素子と
して用いている場合について示しているが、本発明はこの構成に限定されない。一のスイ
ッチング素子として機能する複数のトランジスタを用いていても良い。複数のトランジス
タが一のスイッチング素子として機能する場合、上記複数のトランジスタは並列に接続さ
れていても良いし、直列に接続されていても良いし、直列と並列が組み合わされて接続さ
れていても良い。
【0088】
本明細書において、トランジスタが直列に接続されている状態とは、例えば、第1のトラ
ンジスタのソース端子またはドレイン端子の一方のみが、第2のトランジスタのソース端
子またはドレイン端子の一方のみに接続されている状態を意味する。また、トランジスタ
が並列に接続されている状態とは、第1のトランジスタのソース端子またはドレイン端子
の一方が第2のトランジスタのソース端子またはドレイン端子の一方に接続され、第1の
トランジスタのソース端子またはドレイン端子の他方が第2のトランジスタのソース端子
またはドレイン端子の他方に接続されている状態を意味する。
【0089】
トランジスタ12が酸化物半導体をチャネル形成領域に含むことで、オフ電流が極めて小
さく、なおかつ高耐圧であるトランジスタ12を実現することができる。そして、上記構
成を有するトランジスタ12をスイッチング素子として用いることで、通常のシリコンや
ゲルマニウムなどの半導体材料で形成されたトランジスタを用いた場合に比べて、液晶素
子13に蓄積された電荷のリークを防ぐことができる。
【0090】
オフ電流の極めて小さいトランジスタ12を用いることで、液晶素子13に与えられる電
圧が保持される期間を長く確保することができる。そのため、静止画のように、連続する
幾つかのフレーム期間に渡って、画素部10に同じ画像情報を有する画像信号が書き込ま
れる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における画素部10へ
の画像信号の書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することができる。例えば
、高純度化された酸化物半導体を活性層に用いたトランジスタ12を用いることで、画像
信号の書き込みの間隔を10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好ましくは1分以上
にすることができる。そして、画像信号が書き込まれる間隔を長くすればするほど、消費
電力をより低減することができる。
【0091】
また、画像信号の電位をより長い期間に渡って保持することができるため、画像信号の電
位を保持するために、液晶素子13に容量素子14を接続しなくても、表示される画質が
低下するのを防ぐことができる。よって、容量素子14を設けないことによって、或いは
容量素子14のサイズを小さくすることによって、開口率を高めることができるため、液
晶表示装置の消費電力を低減させることができる。
【0092】
また、画像信号の電位の極性を、共通電極の電位を基準として反転させる反転駆動を行う
ことで、焼き付きと呼ばれる液晶材料の劣化を防ぐことができる。しかし、反転駆動を行
うと、画像信号の極性が変化する際に信号線SLに与えられる電位の変化が大きくなるた
め、スイッチング素子として機能するトランジスタ12のソース端子とドレイン端子の電
位差が大きくなる。よって、トランジスタ12は、閾値電圧がシフトするなどの特性劣化
が生じやすい。また、液晶素子13に保持されている電圧を維持するために、ソース端子
とドレイン端子の電位差が大きくても、オフ電流が低いことが要求される。トランジスタ
12に、シリコンまたはゲルマニウムよりもバンドギャップが大きく、真性キャリア密度
が低い酸化物半導体などの半導体を用いることで、トランジスタ12の耐圧性を高め、オ
フ電流を著しく小さくすることができる。よって、通常のシリコンやゲルマニウムなどの
半導体材料で形成されたトランジスタを用いた場合に比べて、トランジスタ12の劣化を
防ぎ、液晶素子13に保持されている電圧を維持することができる。
【0093】
次いで、図8(B)に示した画素11のレイアウトについて、図5及び図6を用いて説明
する。図5は、画素11の上面図の一例である。また、図6(A)は、図5に示す上面図
の、一点鎖線D1-D2における断面図の一例に相当する。図6(B)は、図5に示す上
面図の、一点鎖線D3-D4における断面図の一例に相当する。ただし、図5では、画素
11のレイアウトを明確に示すために、各種の絶縁膜を省略して、画素11の上面図を示
す。また、図5では、画素11が有する各種半導体素子のレイアウトを明確に示すために
、液晶素子13が有する液晶層及び共通電極を省略して、画素11の上面図を示す。
【0094】
図5及び図6に示す画素11において、トランジスタ12は、絶縁表面を有する基板20
2上に、ゲート電極として機能する導電膜203と、導電膜203上のゲート絶縁膜20
4と、導電膜203と重なる位置においてゲート絶縁膜204上に位置する半導体膜20
5と、導電膜203と重なる位置において半導体膜205上に位置し、チャネル保護膜と
して機能する絶縁膜206と、ソース端子またはドレイン端子として機能し、半導体膜2
05上に位置する導電膜207及び導電膜208とを有する。
【0095】
導電膜203はトランジスタ12のゲート電極に電位を与える走査線としても機能する。
また、導電膜207は、画像信号の電位を画素11に与える信号線としても機能する。
【0096】
容量素子14は、絶縁表面を有する基板202上に、導電膜210と、導電膜210上の
ゲート絶縁膜204及び半導体膜205と、導電膜210と重なる位置においてゲート絶
縁膜204及び半導体膜205上に位置する導電膜211とを有する。
【0097】
また、導電膜207、導電膜208、及び導電膜211上には絶縁膜212が設けられて
いる。そして、絶縁膜212、半導体膜205、及びゲート絶縁膜204には、開口部2
13及び開口部214が設けられている。
【0098】
開口部213は、導電膜207または導電膜208と、導電膜211との間に設けられて
いる。また、開口部213が形成されている領域の一部は、導電膜208が形成されてい
る領域の一部、及び導電膜210が形成されている領域の一部と重なっている。開口部2
13において、導電膜208上の絶縁膜212と、導電膜210上の絶縁膜212、半導
体膜205、及びゲート絶縁膜204とが除去されており、導電膜208及び導電膜21
0は、導電膜208及び導電膜210上の導電膜215により電気的に接続されている。
【0099】
また、開口部214において、導電膜210上の絶縁膜212、半導体膜205、及びゲ
ート絶縁膜204が除去されており、導電膜210は、画素電極として機能する導電膜2
16と接続されている。なお、導電膜216は、開口部214における導電膜210上の
みならず、絶縁膜212上にも設けられている。
【0100】
また、開口部214において、導電膜203上の絶縁膜212、半導体膜205、及びゲ
ート絶縁膜204も除去されている。上記構成により、導電膜203、ゲート絶縁膜20
4、及び半導体膜205が重なる領域に形成される寄生容量を、小さくすることができる
【0101】
また、絶縁膜212上において導電膜211と重なる位置に、スペーサとして機能する絶
縁膜217が設けられている。
【0102】
なお、図5及び図6では、開口部213が形成されている領域の一部は、導電膜208が
形成されている領域の一部、及び導電膜210が形成されている領域の一部と重なってい
る場合を例示している。この場合、導電膜208及び導電膜215の接続と、導電膜21
0及び導電膜215の接続とは、共に開口部213において行われることとなる。しかし
、本発明の一態様では、導電膜208及び導電膜215の接続と、導電膜210及び導電
膜215の接続とが、互いに異なる開口部で行われていても良い。
【0103】
図7に、導電膜208及び導電膜210と導電膜215との接続箇所における、画素11
の断面図の一例を示す。図7では、絶縁膜212に設けた開口部213aにおいて、導電
膜208と導電膜215が接続されている。また、絶縁膜212、半導体膜205、及び
ゲート絶縁膜204に設けた開口部213bにおいて、導電膜210と導電膜215が接
続されている。
【0104】
ただし、図5及び図6のように、導電膜208及び導電膜215の接続と、導電膜210
及び導電膜215の接続とが、共に開口部213において行われる場合、複数の開口部を
形成するための領域を確保する必要がないので、画素部10の高精細化を実現することが
できる。
【0105】
なお、図5及び図6では、画素電極として機能する導電膜216上に、液晶層及び共通電
極が順に設けられる場合の画素11のレイアウトを示しているが、本発明の一態様に係る
液晶表示装置はこの構成に限定されない。画素11は、IPS型の液晶素子やブルー相を
用いた液晶素子のように、画素電極と共通電極の上に液晶層が設けられている構造を有し
ていても良い。
【0106】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0107】
(実施の形態3)
本実施の形態では、図5及び図6に示した画素11を例に挙げて、本発明の一態様に係る
液晶表示装置の作製方法について説明する。
【0108】
まず、図9(A)に示すように、絶縁表面を有する基板202上に、ゲート電極として機
能する導電膜203と、容量素子14の電極として機能する導電膜210とを形成する。
【0109】
絶縁表面を有する基板202として使用することができる基板に大きな制限はないが、少
なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば
、フュージョン法やフロート法で作製されるガラス基板を用いることができる。ガラス基
板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いる
と良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ
酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。
【0110】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶
縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。ステ
ンレス合金などの金属基板の表面に絶縁膜を設けた基板を適用しても良い。ただし、液晶
表示装置が透過型または半透過型である場合、基板202に透光性を有する基板を用いる
【0111】
導電膜203、導電膜210の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タング
ステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム、ニオブ等の金属材料、これら金属
材料を主成分とする合金材料を用いた導電膜、或いはこれら金属の窒化物を、単層で又は
積層で用いることができる。なお、後の工程において行われる加熱処理の温度に耐えうる
のであれば、上記金属材料としてアルミニウム、銅を用いることもできる。アルミニウム
または銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用
いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タング
ステン、ネオジム、スカンジウム等を用いることができる。
【0112】
例えば、2層の構造を有する導電膜203、導電膜210として、チタン膜上に銅膜が積
層された2層の構造、アルミニウム膜上にモリブデン膜が積層された2層の構造、銅膜上
にモリブデン膜を積層した2層の構造、銅膜上に窒化チタン膜若しくは窒化タンタル膜を
積層した2層の構造、または、窒化チタン膜とモリブデン膜とを積層した2層の構造とす
ることが好ましい。3層の構造を有する導電膜203、導電膜210としては、例えば、
窒化チタン膜と、銅膜と、タングステン膜とを積層した3層の構造とすることが好ましい
【0113】
また、導電膜203、導電膜210に酸化インジウム、酸化インジウム-酸化スズ、酸化
インジウム-酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、ま
たは酸化亜鉛ガリウム等の透光性を有する金属酸化物を用いることもできる。
【0114】
導電膜203、導電膜210の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~
200nmとする。本実施の形態では、スパッタ法により膜厚200nmのタングステン
膜を形成した後、該タングステン膜を、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより
所望の形状に加工(パターニング)することで、導電膜203、導電膜210を形成する
。なお、形成された導電膜203及び導電膜210の端部がテーパー形状であると、上に
積層するゲート絶縁膜204の被覆性が向上するため好ましい。なお、レジストマスクを
インクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフ
ォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0115】
なお、本実施の形態では、基板202上に直接導電膜203及び導電膜210を形成する
場合を例示しているが、基板202上に下地膜として機能する絶縁膜を形成してから、上
記下地膜上に導電膜203及び導電膜210を形成しても良い。下地膜として、例えば、
酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、また
は窒化酸化アルミニウム膜のいずれか1つを単層で、或いは複数を積層させて用いること
ができる。特に、下地膜に、バリア性の高い絶縁膜、例えば窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜
、窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などを用い
ることで、水分、または水素などの雰囲気中の不純物、或いは基板202内に含まれるア
ルカリ金属、重金属などの不純物が、後に形成される半導体膜205内、ゲート絶縁膜2
04内、或いは、半導体膜205と他の絶縁膜の界面とその近傍に入り込むのを防ぐこと
ができる。
【0116】
なお、本明細書において酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多
い物質であり、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い
物質を意味する。
【0117】
なお、図11は、上述の工程が終了した時点での、液晶表示装置の上面図である。図11
の一点鎖線A1-A2における断面図が、図9(A)に相当する。
【0118】
次いで、図9(B)に示すように、導電膜203及び導電膜210上に、ゲート絶縁膜2
04を形成する。ゲート絶縁膜204は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用
いて、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜
、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ハフニ
ウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ガリウム膜、酸化ランタン膜、または酸化タンタル膜
を単層で又は積層させて形成することができる。ゲート絶縁膜204は、水分、水素など
の不純物を極力含まないことが望ましい。
【0119】
ゲート絶縁膜204は、単層の絶縁膜で構成されていても良いし、複数の絶縁膜が積層さ
れることで構成されていても良い。いずれにしても、化学量論的組成を超える量の酸素を
含む絶縁膜が、後に形成される半導体膜205と接するように、ゲート絶縁膜204を形
成することが望ましい。上記構成により、ゲート絶縁膜204から半導体膜205に酸素
を供給することができるので、良好な電気的特性を有するトランジスタ12を得ることが
できる。
【0120】
また、バリア性の高い絶縁膜と、酸素を含む絶縁膜とを積層させた構造を有するゲート絶
縁膜204を形成する場合、バリア性の高い絶縁膜は、酸素を含む絶縁膜と、導電膜20
3及び導電膜210との間に設けることが望ましい。バリア性の高い絶縁膜を用いること
で、水分または水素などの雰囲気中の不純物、或いは基板202内に含まれるアルカリ金
属、重金属などの不純物が、半導体膜205内、ゲート絶縁膜204内、或いは、半導体
膜205と他の絶縁膜の界面とその近傍に入り込むのを防ぐことができる。バリア性の高
い絶縁膜として、例えば窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミ
ニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。
【0121】
ゲート絶縁膜204の膜厚は、トランジスタに要求される特性によって適宜設定すればよ
く、例えば1nm以上800nm以下、好ましくは200nm以上500nm以下とする
。ゲート絶縁膜204を厚く形成することで、トランジスタ12の耐圧を向上させること
ができる。本実施の形態では、プラズマCVD法で形成された膜厚100nmの酸化窒化
珪素膜をゲート絶縁膜204として用いる。
【0122】
次いで、図9(B)に示すように、ゲート絶縁膜204上に膜厚2nm以上200nm以
下、好ましくは膜厚3nm以上50nm以下、さらに好ましくは膜厚3nm以上20nm
以下の半導体膜205を形成する。半導体膜205は、酸化物半導体をターゲットとして
用い、スパッタ法により形成する。また、半導体膜205は、希ガス(例えばアルゴン)
雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(例えばアルゴン)及び酸素混合雰囲気下において
スパッタ法により形成することができる。
【0123】
なお、酸化物半導体膜をスパッタ法により形成する前に、アルゴンガスを導入してプラズ
マを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁膜204の表面に付着している塵埃を除去
することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲
気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改
質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。
また、アルゴン雰囲気に酸素、亜酸化窒素などを加えた雰囲気で行ってもよい。また、ア
ルゴン雰囲気に塩素、四フッ化炭素などを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0124】
半導体膜205に用いる酸化物半導体として、上述したように、酸化インジウム、酸化ス
ズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、A
l-Zn系酸化物、Zn-Mg系酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、I
n-Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも
表記する)、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn
系酸化物、Al-Ga-Zn系酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系
酸化物、In-La-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸
化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化
物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物
、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、
In-Lu-Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn系酸化物
、In-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-A
l-Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物
などが挙げられる。
【0125】
なお、例えば、半導体膜205は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(
亜鉛)を含むターゲットを用いたスパッタ法により形成することができる。In-Ga-
Zn系の半導体膜205をスパッタリング法で形成する場合、好ましくは、原子数比がI
n:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、また
は3:1:4で示されるIn-Ga-Zn系酸化物のターゲットを用いる。前述の原子数
比を有するIn-Ga-Zn系酸化物のターゲットを用いて酸化物半導体膜を形成するこ
とで、多結晶またはCAACが形成されやすくなる。また、In、Ga、及びZnを含む
ターゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上100%未満であ
る。充填率の高いターゲットを用いることにより、形成した酸化物半導体膜は緻密な膜と
なる。
【0126】
なお、酸化物半導体としてIn-Zn系酸化物を用いる場合、用いるターゲットの組成は
、原子数比で、In:Zn=50:1~1:2(モル数比に換算するとIn:Zn
O=25:1~1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1~1:1(モル数比に換算す
るとIn:ZnO=10:1~1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=1.5:
1~15:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=3:4~15:2)とする。
例えば、In-Zn系酸化物である半導体膜205の形成に用いるターゲットは、原子数
比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。Znの比率を上記範
囲に収めることで、移動度の向上を実現することができる。
【0127】
また、酸化物半導体としてIn-Sn-Zn系酸化物の材料を用いる場合、用いるターゲ
ットの組成は、In:Sn:Znの原子数比を、1:2:2、2:1:3、1:1:1、
または20:45:35とすれば良い。
【0128】
本実施の形態では、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分
を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて
基板202上に酸化物半導体膜を形成する。処理室内の残留水分を除去するためには、吸
着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チ
タンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボ
ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて処理室
を排気すると、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好まし
くは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で形成した酸化物半導体
膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0129】
なお、CAAC-OSで構成される半導体膜205を形成する方法として、三つ挙げられ
る。一つめは、成膜温度を200℃以上450℃以下として半導体膜205の形成を行う
方法である。二つめは、半導体膜205を薄い膜厚で形成した後、200℃以上700℃
以下の熱処理を行う方法である。三つめは、一層目の酸化物半導体膜を薄く形成した後、
200℃以上700℃以下の熱処理を行い、さらに2層目の酸化物半導体膜の形成を行う
ことで、半導体膜205を形成する方法である。
【0130】
本実施の形態では、基板202とターゲットの距離を100mm、圧力0.4Pa、直流
(DC)電源0.5kW、基板温度250℃とし、アルゴンと酸素の流量がそれぞれ30
sccm、15sccmの雰囲気下において、In-Ga-Zn系酸化物半導体を含む、
膜厚25nmの半導体膜205の形成を行う。
【0131】
なお、半導体膜205に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、
形成の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲート絶縁膜204までが形成
された基板202を予備加熱し、基板202に吸着した水分または水素などの不純物を脱
離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上400℃以下、好
ましくは150℃以上300℃以下である。
【0132】
なお、スパッタ等で形成された半導体膜205中には、不純物としての水分又は水素(水
酸基を含む)が多量に含まれていることがある。水分又は水素はドナー準位を形成しやす
いため、酸化物半導体にとっては不純物である。そこで、本発明の一態様では、半導体膜
205を形成した後、半導体膜205中の水分又は水素などの不純物を低減(脱水化また
は脱水素化)するために、半導体膜205に対して、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの
不活性ガス雰囲気下で、加熱処理を施す。
【0133】
半導体膜205に加熱処理を施すことで、半導体膜205中の水分又は水素を脱離させる
ことができる。具体的には、250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の
歪み点未満の温度で加熱処理を行えば良い。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱
水化又は脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができ
る。本実施の形態では、超乾燥エア雰囲気下において、450℃で1時間程度、加熱処理
を行う。
【0134】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導又は熱輻
射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Ann
eal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライド
ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水
銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置で
ある。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アル
ゴンなどの希ガス、又は窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気
体が用いられる。
【0135】
加熱処理においては、窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水分又は水
素などが含まれないことが好ましい。又は、加熱処理装置に導入する窒素、又はヘリウム
、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7
N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1p
pm以下)とすることが好ましい。
【0136】
以上の工程により、半導体膜205中の水分又は水素の濃度を低減することができる。な
お、半導体膜205では、上記加熱処理により水分又は水素が除去されると共に、酸素の
脱離による酸素欠損が増加している恐れがある。そこで、上記加熱処理の後に、半導体膜
205に酸素を供給する処理を行い、酸素欠損を低減させることが望ましい。
【0137】
水分又は水素の濃度が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることで高純度化された半
導体膜205を用いることで、耐圧性が高く、オフ電流の著しく小さいトランジスタ12
を作製することができる。
【0138】
例えば、酸素を含むガス雰囲気下において加熱処理を行うことで、半導体膜205に酸素
を供給することができる。酸素を供給するための加熱処理は、上述した、水分又は水素の
濃度を低減するための加熱処理と同様の条件で行えば良い。ただし、酸素を供給するため
の加熱処理は、酸素ガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー
分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃
)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)などの雰囲気下に
おいて行う。
【0139】
上記酸素を含むガスには、水、水素などの濃度が低いことが好ましい。具体的には、酸素
を含むガス内に含まれる不純物濃度を、1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下とす
ることが好ましい。
【0140】
或いは、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテ
ーション法、プラズマ処理などを用いて、半導体膜205に酸素を供給することができる
。上記方法を用いて酸素を半導体膜205に供給した後、半導体膜205に含まれる結晶
部が損傷を受けた場合は、加熱処理を行い、損傷を受けた結晶部を修復するようにしても
良い。
【0141】
半導体膜205を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。
レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コ
ストを低減できる。
【0142】
次いで、図9(C)に示すように、半導体膜205上に絶縁膜を形成した後、フォトリソ
グラフィ法を用いたエッチングにより所望の形状に加工することで、チャネル保護膜とし
て機能する島状の絶縁膜206を形成する。絶縁膜206は、半導体膜205上において
導電膜203と重なる位置に設ける。
【0143】
絶縁膜206の膜厚は、50nm以上600nm以下、好ましくは100nm以上400
nm以下とする。そして、絶縁膜206は、ゲート絶縁膜204と同様の構造、材料を用
いて形成することができる。そして、絶縁膜206は、ゲート絶縁膜204と同様に、水
分、水素などの不純物を極力含まないことが望ましく、なおかつ、化学量論的組成を超え
る量の酸素を含むことが望ましい。上記構成により、半導体膜205中における水分、水
素などの不純物の濃度を低く抑え、なおかつ絶縁膜206から半導体膜205に酸素を供
給することができるので、良好な電気的特性を有するトランジスタ12を得ることができ
る。
【0144】
本実施の形態では、プラズマCVD法にて形成した膜厚300nmの酸化窒化珪素膜を、
絶縁膜206として用いる。
【0145】
なお、絶縁膜206として、少なくともInまたはZnの一方を含む金属酸化物であり、
なおかつ、Ti、Zr、Hf、Ge、Ceなどを含むことで、半導体膜205よりも絶縁
性の高まった、金属酸化物を用いても良い。
【0146】
例えば、In-M-M-Zn系酸化物を、絶縁膜206に用いても良い。ただし、元
素Mは、3A族、3B族、及び4A族に含まれる元素のうち、3価の元素である。元素
は4A族、及び4B族に含まれる元素のうち、4価の元素である。具体的に、元素M
にGaを用いる場合、In-M-M-Zn系酸化物において、3価のGaの一部が
、4価の元素で置き換えられることになる。4価の元素は3価の元素よりも一本結合手が
多いので、3価の元素の一部を4価の元素に置き換えることで、In-M-M-Zn
系酸化物を構成する金属元素(MまたはM)と酸素の結合力を高めることができる。
よって、In-M-M-Zn系酸化物を絶縁膜206に用いることで、絶縁膜206
の絶縁性を高めることができる。具体的に、元素Mとして、Ti、Zr、Hf、Ge、
Ceなどが挙げられる。
【0147】
例えば、In:Zr:Ga:Zn=3:0.05:0.95:2のターゲットを用いて、
スパッタリング法により、In-M-M-Zn系酸化物を用いた絶縁膜206を形成
すれば良い。
【0148】
また、例えば、化学式InMZnOで表されるIn-M-Zn系酸化物を絶縁膜206
に用いても良い。元素Mとして、In-M-Zn系酸化物の絶縁性が、半導体膜205を
構成する金属酸化物の絶縁性よりも高くなるような元素を適用する。例えば、元素Mとし
て、Ti、Zr、Hf、Ge、Ceなどの4価の元素を適用することができる。4価の元
素は3価の元素よりも一本結合手が多いので、これら4価の元素を元素Mとして用いたI
n-M-Zn系酸化物は、元素Mと酸素の結合力が高い。よって、In-M-Zn系酸化
物を絶縁膜206に用いることで、絶縁膜206の絶縁性を高めることができる。
【0149】
例えば、元素MとしてZrを用いたIn-Zr-Zn系酸化物のエネルギーギャップは、
In-Ga-Zn系酸化物のエネルギーギャップ(約3.2eV)よりも大きくなる。す
なわち、In-Zr-Zn系酸化物はIn-Ga-Zn系酸化物よりも絶縁性が高いと言
える。
【0150】
また、イットリウムはGaよりも電気陰性度が小さい。そのため、In-M-M-Z
n系酸化物において、元素Mをイットリウムとすると、酸素と元素Mの電気陰性度の
差を大きくすることができ、金属酸化物中での酸素とのイオン結合による結合をより強く
することができる。よって、元素Mをイットリウムとしても、In-M-M-Zn
系酸化物を用いた絶縁膜206の絶縁性を高めることができる。また、In-M-Zn系
酸化物において、元素Mをイットリウムとすると、酸素と元素Mの電気陰性度の差を大き
くすることができ、金属酸化物中での酸素とのイオン結合による結合をより強くすること
ができる。よって、元素Mをイットリウムとしても、In-M-Zn系酸化物を用いた絶
縁膜206の絶縁性を高めることができる。
【0151】
なお、本明細書において、「エネルギーギャップ」という用語は、「バンドギャップ」や
、「禁制帯幅」と同じ意味で用いている。また、バンドギャップの値は、材料の単膜のエ
リプソで測定して得られる値を用いる。
【0152】
また、In-M-Zn系酸化物中の元素Mの含有量は、Inの含有量の0.3倍以上1.
3倍未満である。また、In-M-Zn系酸化物中の元素Mの含有量は、Znの含有量の
0.3倍以上1.3倍未満である。元素Mに対するInまたはZnの相対的な数が少ない
ほど、より絶縁性の高い絶縁膜206を得ることができる。
【0153】
具体的には、元素Mを含ませた金属酸化物材料をスパッタリング法で形成する場合、好ま
しくは原子数比がIn:M:Zn=1:1:1、3:1:3、3:2:4、2:1:3、
4:5:4、または4:2:3で示される金属酸化物ターゲットを用いる。
【0154】
In-M-Zn系酸化物や、In-M-M-Zn系酸化物を絶縁膜206に用いるこ
とで、絶縁膜206と半導体膜205の界面の状態を良好に保つことができ、トランジス
タ12の電気的特性を良好にすることができる。
【0155】
なお、絶縁膜206を形成するためのエッチングにより露出した半導体膜205の表面に
は、不純物が付着しやすい。上記不純物には、エッチングに用いたエッチングガスまたは
エッチング液を構成する元素、或いはエッチングを行った処理室内に存在する元素などが
含まれる。上記不純物として、具体的には、ボロン、塩素、フッ素、炭素、アルミニウム
などが挙げられる。
【0156】
上記不純物が半導体膜205の表面に付着すると、トランジスタのオフ電流の増加、或い
はトランジスタの電気的特性の劣化がもたらされやすい。また、半導体膜205に寄生チ
ャネルが生じやすくなり、電気的に分離されるべき導電膜が半導体膜205を介して電気
的に接続されやすくなる。そこで、本発明の一態様では、絶縁膜206を形成するための
エッチングが終了した後、半導体膜205及び絶縁膜206の表面に付着したであろう不
純物を除去するための洗浄処理を行う。
【0157】
洗浄処理は、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液などのアルカリ性の溶液
、水、または希フッ酸などを用いて行うことができる。具体的に、希フッ酸を洗浄処理に
用いる場合、50重量%フッ酸を、水で1/10乃至1/10に希釈して、洗浄処理
に用いることが望ましい。すなわち、濃度が0.5重量%乃至5×10-4重量%の希フ
ッ酸を、洗浄処理に用いることが望ましい。洗浄処理により、半導体膜205及び絶縁膜
206の表面に付着した上記不純物を、除去することができる。また、洗浄処理に希フッ
酸を用いると、半導体膜205に付着した不純物を、半導体膜205の一部とともに除去
することができる。
【0158】
次いで、半導体膜205上に、スパッタ法や真空蒸着法で導電膜を形成したあと、フォト
リソグラフィ法を用いたエッチングにより当該導電膜をパターニングすることで、図9
D)に示すように、半導体膜205上において、絶縁膜206を間に挟む様に設けられた
導電膜207及び導電膜208と、導電膜210と重なる位置においてゲート絶縁膜20
4及び半導体膜205上に設けられた導電膜211とを、それぞれ形成する。導電膜20
7及び導電膜208は、トランジスタ12のソース電極またはドレイン電極として機能す
る。また、導電膜211は容量素子14の電極として機能する。
【0159】
導電膜207、導電膜208、及び導電膜211は、導電膜203及び導電膜210と同
様の構造、材料を用いることができる。導電膜207、導電膜208、及び導電膜211
の形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせるこ
とが好ましい。本実施の形態では、導電膜207、導電膜208、及び導電膜211とし
て、膜厚150nmのタングステン膜を用いる。
【0160】
なお、導電膜207、導電膜208、及び導電膜211を形成するためのエッチングの際
に、半導体膜205がなるべく除去されないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を
適宜調節する。エッチング条件によっては、半導体膜205の露出した部分が一部エッチ
ングされることで、溝部(凹部)が形成されることもある。
【0161】
本実施の形態では、ICPエッチング法によるドライエッチングを用いて、導電膜207
、導電膜208、及び導電膜211を形成する。具体的には、エッチングガスである六フ
ッ化硫黄の流量を50sccm、反応圧力1.5Pa、下部電極の温度70℃、コイル型
の電極に投入するRF(13.56MHz)電力を500W、下部電極(バイアス側)に
投入する電力を50Wとした後、エッチングガスである三塩化ホウ素の流量を60scc
m、塩素の流量20sccm、反応圧力1.9Pa、下部電極の温度21℃、コイル型の
電極に投入するRF(13.56MHz)電力450W、下部電極(バイアス側)に投入
する電力100Wとなるように、途中で条件を変更してドライエッチングを行う。
【0162】
なお、フォトリソグラフィ法で用いるマスク数及び工程数を削減するため、透過した光に
多段階の強度をもたせる多階調マスクによって形成されたレジストマスクを用いてエッチ
ング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマスクは複数の膜厚を
有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形することができるため、異
なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる。よって、一枚の多
階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するレジストマスク
を形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ、工程の簡略化が可
能となる。
【0163】
なお、導電膜207、導電膜208、及び導電膜211を形成するためのエッチングによ
り露出した半導体膜205及び絶縁膜206の表面には、ボロン、塩素、フッ素、炭素、
アルミニウムなどの不純物が付着しやすい。さらに、上記不純物には、導電膜207、導
電膜208、及び導電膜211を構成する元素も含まれる場合がある。
【0164】
上記不純物が半導体膜205の表面に付着すると、上述したように、トランジスタのオフ
電流の増加、或いはトランジスタの電気的特性の劣化がもたらされやすい。また、半導体
膜205に寄生チャネルが生じやすくなり、電気的に分離されるべき導電膜が半導体膜2
05を介して電気的に接続されやすくなる。そこで、本発明の一態様では、導電膜207
、導電膜208、及び導電膜211を形成するためのエッチングが終了した後、半導体膜
205及び絶縁膜206の表面に付着したであろう不純物を除去するための洗浄処理を行
う。
【0165】
洗浄処理は、TMAH溶液などのアルカリ性の溶液、水、または希フッ酸などを用いて行
うことができる。具体的に、希フッ酸を洗浄処理に用いる場合、50重量%フッ酸を、水
で1/10乃至1/10に希釈して、洗浄処理に用いることが望ましい。すなわち、
濃度が0.5重量%乃至5×10-4重量%の希フッ酸を、洗浄処理に用いることが望ま
しい。洗浄処理により、半導体膜205及び絶縁膜206の表面に付着した上記不純物を
、除去することができる。また、洗浄処理に希フッ酸を用いると、半導体膜205に付着
した不純物を、半導体膜205の一部とともに除去することができる。
【0166】
なお、本実施の形態では、エッチング後における不純物除去を目的とした洗浄処理を、絶
縁膜206の形成後と、導電膜207、導電膜208、及び導電膜211の形成後の2回
行う場合について説明したが、本発明の一態様では、上記洗浄処理をいずれか1回のみと
しても良い。
【0167】
なお、図12は、上述の工程が終了した時点での、液晶表示装置の上面図である。図12
の一点鎖線A1-A2における断面図が、図9(D)に相当する。
【0168】
次いで、図10(A)に示すように、半導体膜205と、絶縁膜206と、導電膜207
及び導電膜208と、導電膜211とを覆うように、絶縁膜212を形成する。絶縁膜2
12は、水分や、水素などの不純物を極力含まないことが望ましく、単層の絶縁膜であっ
ても良いし、積層された複数の絶縁膜で構成されていても良い。絶縁膜212に水素が含
まれると、その水素が半導体膜205に侵入し、又は水素が半導体膜205中の酸素を引
き抜き、半導体膜205の表面近傍が低抵抗化(n型化)してしまう。そして、低抵抗化
した半導体膜205の表面近傍には寄生チャネルが形成されやすく、寄生チャネルにより
導電膜208と導電膜211が電気的に接続されるおそれがある。よって、絶縁膜212
はできるだけ水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用いないことが重要であ
る。
【0169】
なお、上記洗浄処理を行った場合でも、絶縁膜212を形成する前に基板202を大気に
さらすと、大気中に含まれる炭素などの不純物が、半導体膜205及び絶縁膜206の表
面に付着することがある。そこで、本発明の一態様では、絶縁膜212を形成するための
処理室内において、絶縁膜212を形成する前に、半導体膜205及び絶縁膜206の表
面に付着した炭素などの不純物を、酸素、一酸化二窒素、もしくは希ガス(代表的にはア
ルゴン)などを用いたプラズマ処理により洗浄し、炭素などの不純物を除去するようにし
ても良い。そして、プラズマ処理による不純物の除去を行った後、基板202を大気にさ
らすことなく、絶縁膜212を形成することで、半導体膜205及び絶縁膜206と絶縁
膜212の界面近傍に不純物が入り込むのを防ぎ、トランジスタのオフ電流の増加、或い
はトランジスタの電気的特性の劣化を防ぐことができる。
【0170】
また、上記絶縁膜212には、バリア性の高い材料を用いるのが望ましい。例えば、バリ
ア性の高い絶縁膜として、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アル
ミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などを用いることができる。複数の積層され
た絶縁膜を用いる場合、酸素を含む酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を、上記バ
リア性の高い絶縁膜よりも、半導体膜205に近い側に形成する。そして、酸素を含む絶
縁膜を間に挟んで、半導体膜205と重なるように、バリア性の高い絶縁膜を形成する。
バリア性の高い絶縁膜を用いることで、半導体膜205内、ゲート絶縁膜204内、或い
は、半導体膜205と他の絶縁膜の界面とその近傍に、水分または水素などの不純物が入
り込むのを防ぐことができる。
【0171】
また、複数の積層された絶縁膜を絶縁膜212として用いる場合、1層目以外の絶縁膜と
して、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド
樹脂、エポキシ樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機
材料の他に、シロキサン系樹脂、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、ア
ルミナ等を用いることができる。シロキサン系樹脂は、シリコン(Si)と酸素(O)と
の結合で骨格構造が構成される材料である。置換基として、水素の他、フッ素、フルオロ
基、有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)のうち、少なくとも1種を有していて
も良い。そして、絶縁膜212の形成には、その材料に応じて、CVD法、スパッタ法、
スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法)、印刷法(ス
クリーン印刷、オフセット印刷等)などの方法で形成する。また、ドクターナイフ、ロー
ルコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等の器具を用いて形成しても良い。或い
は、1層目以外の絶縁膜として、有機シランを用いて化学気相成長法により作製される酸
化珪素膜を用いることもできる。有機シランとしては、珪酸エチル(TEOS:Si(O
)、トリメチルシラン(TMS:(CHSiH)、テトラメチルシク
ロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS
)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC
)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等を用いることがで
きる。
【0172】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚300nmの酸化珪素膜を絶縁膜212
として用いる。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態
では100℃とする。
【0173】
次いで、図10(B)に示すように、ゲート絶縁膜204、半導体膜205、及び絶縁膜
212を、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより所望の形状に加工することで
、開口部213及び開口部214を形成する。
【0174】
本実施の形態では、ICPエッチング法によるドライエッチングを用いて、ゲート絶縁膜
204、半導体膜205、及び絶縁膜212をパターニングする。具体的には、エッチン
グガスであるトリフルオロメタン、ヘリウム、メタンの流量をそれぞれ22.5sccm
、127.5sccm、5sccm、反応圧力を3.5Pa、下部電極の温度21℃、コ
イル型の電極に投入するRF(13.56MHz)電力を475W、下部電極(バイアス
側)に投入する電力を300Wとして、ドライエッチングを行う。
【0175】
開口部213が形成される領域は、導電膜208が形成されている領域の一部、及び導電
膜210が形成されている領域の一部と重なっているため、開口部213において導電膜
208及び導電膜210は部分的に露出する。また、開口部214が形成される領域は、
導電膜210が形成されている領域の一部と重なっているため、開口部214において導
電膜210は部分的に露出する。
【0176】
なお、図13は、上述の工程が終了した時点での、液晶表示装置の上面図である。図13
の一点鎖線A1-A2における断面図が、図10(B)に相当する。
【0177】
次いで、図10(C)に示すように、開口部213において導電膜208及び導電膜21
0と接する導電膜215と、開口部214において導電膜210と接する導電膜216と
を形成する。導電膜216は画素電極として機能し、その一部は絶縁膜212上にも設け
られている。
【0178】
導電膜215及び導電膜216は、透過型の液晶表示装置の場合、透光性を有する導電性
材料で形成することが望ましい。また、導電膜215及び導電膜216は、反射型の液晶
表示装置の場合、光を反射する導電性材料で形成することが望ましい。
【0179】
具体的に導電膜215及び導電膜216として、酸化インジウム、酸化インジウム-酸化
スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有した
酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛(Indium Zinc Ox
ide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、窒素を含ませたA
l-Zn系酸化物半導体、窒素を含ませたZn系酸化物半導体、窒素を含ませたSn-Z
n系酸化物半導体、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)
、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、
パラジウム(Pd)、チタン(Ti)の他、元素周期表の第1族または第2族に属する元
素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウ
ム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およ
びこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(
Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金などを用いることができる。なお、導電膜
215及び導電膜216は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等に
より上記材料を用いて導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングに
より当該導電膜を所望の形状に加工することで、形成することができる。
【0180】
上記工程の後、スペーサとして機能する絶縁膜を絶縁膜212上に形成し、画素電極とし
て機能する導電膜216と、別途用意した対向電極とを、間に液晶層が挟まるように対峙
させることで、液晶表示装置を作製することができる。
【0181】
なお、本実施の形態では、トランジスタ12がシングルゲート構造である場合を例示して
いるが、必要に応じて、電気的に接続された複数の導電膜203を有することで、チャネ
ル形成領域を複数有する、マルチゲート構造のトランジスタも形成することができる。
【0182】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0183】
(実施の形態4)
次いで、本発明の一態様に係る液晶表示装置のパネルの外観について、図14を用いて説
明する。図14(A)は、基板4001と対向基板4006とをシール材4005によっ
て接着させたパネルの上面図であり、図14(B)は、図14(A)の一点鎖線E1-E
2における断面図に相当する。
【0184】
基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むように
、シール材4005が設けられている。また、画素部4002、走査線駆動回路4004
の上に対向基板4006が設けられている。よって、画素部4002と走査線駆動回路4
004は、基板4001とシール材4005と対向基板4006とによって、液晶層40
07と共に封止されている。
【0185】
また、基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、
信号線駆動回路4003が形成された基板4021が、実装されている。図14では、信
号線駆動回路4003に含まれるトランジスタ4009を例示している。なお、本実施の
形態では、走査線駆動回路4004が画素部4002と共に基板4001上に形成されて
いる場合を例示しているが、別の基板に形成された走査線駆動回路4004が基板400
1に実装されていても良い。また、本実施の形態では、基板4021に形成された信号線
駆動回路4003が基板4001に実装されている場合を例示しているが、信号線駆動回
路4003が画素部4002と共に基板4001上に形成されていても良い。或いは、信
号線駆動回路4003の一部、または走査線駆動回路4004の一部が、画素部4002
と共に基板4001上に形成されていても良い。
【0186】
また、基板4001上に設けられた画素部4002、走査線駆動回路4004は、トラン
ジスタを複数有している。図14(B)では、画素部4002に含まれるトランジスタ4
010を図示している。液晶素子4011が有する画素電極4030は、トランジスタ4
010に接続されている。そして、液晶素子4011の対向電極4031は、対向基板4
006に形成されている。画素電極4030と対向電極4031と液晶層4007とが重
なっている部分が、液晶素子4011に相当する。
【0187】
また、対向基板4006に形成されている遮蔽膜4040は、トランジスタ4010が形
成されている領域と重なっている。また、対向基板4006には、カラーフィルタとして
機能する、特定の波長領域の可視光のみを優先的に透過する着色層4041が形成されて
おり、着色層4041は、液晶素子4011が形成されている領域と重なっている。
【0188】
赤、青、緑に対応する波長領域の光を、それぞれ優先的に透過するような着色層4041
を画素ごとに設けることで、フルカラーの画像を表示することができる。この場合、白の
光が得られるバックライトを用いることが、画像の有する色の純度を高める上で望ましい
。白の光が得られるバックライトとして、例えば、赤の光源と青の光源と緑の光源を組み
合わせた構成、黄または橙の光源と青の光源を組み合わせた構成、白の光源を単体で用い
る構成、シアンの光源とマゼンタの光源と黄の光源を組み合わせた構成などを、用いるこ
とができる。
【0189】
或いは、バックライトから、赤、青、緑に対応する波長領域の光を順に出力するようにし
ても良い。この場合、カラーフィルタを用いなくともフルカラーの画像を表示することが
でき、液晶表示装置の発光効率を高めることができる。
【0190】
また、バックライトに用いる光源として、冷陰極管の他、LED、OLEDなどの発光素
子を用いることができる。ただし、光源によって得られる光の波長が異なるので、必要と
する色に合わせて適宜用いる光源を選択すると良い。
【0191】
なお、図14では、遮蔽膜4040と着色層4041とを、対向基板4006側に設けた
場合を例示しているが、遮蔽膜4040または着色層4041を、基板4001側に設け
ても良い。液晶素子4011への光の入射方向と、液晶素子4011を透過した光の射出
方向とに合わせて、適宜、遮蔽膜4040と着色層4041の設ける位置を定めることが
できる。
【0192】
また、スペーサ4035が、画素電極4030と対向電極4031との間の距離(セルギ
ャップ)を制御するために設けられている。なお、図14(B)では、スペーサ4035
が、絶縁膜をパターニングすることで形成されている場合を例示しているが、球状スペー
サを用いていても良い。
【0193】
また、信号線駆動回路4003、走査線駆動回路4004、画素部4002に与えられる
各種信号及び電位は、引き回し配線4014及び4015を介して、接続端子4016か
ら供給されている。接続端子4016は、FPC4018が有する端子と異方性導電膜4
019を介して電気的に接続されている。
【0194】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0195】
(実施の形態5)
図15は、液晶表示装置の構造を示す、斜視図の一例である。図15に示す液晶表示装置
は、一対の基板間に画素部が形成されたパネル1601と、第1の拡散板1602と、プ
リズムシート1603と、第2の拡散板1604と、導光板1605と、複数の光源16
07を有するバックライト1620と、反射板1606と、回路基板1608と、信号線
駆動回路の形成された基板1611とを有している。
【0196】
パネル1601と、第1の拡散板1602と、プリズムシート1603と、第2の拡散板
1604と、導光板1605と、反射板1606とは、順に積層されている。バックライ
ト1620は導光板1605の端部に配置されている。導光板1605内部に拡散された
光源1607からの光は、第1の拡散板1602、プリズムシート1603及び第2の拡
散板1604によって、均一にパネル1601に照射される。
【0197】
なお、本実施の形態では、第1の拡散板1602と第2の拡散板1604とを用いている
が、拡散板の数はこれに限定されず、単数であっても3以上であっても良い。そして、拡
散板は導光板1605とパネル1601の間に設けられていれば良い。よって、プリズム
シート1603よりもパネル1601に近い側にのみ拡散板が設けられていても良いし、
プリズムシート1603よりも導光板1605に近い側にのみ拡散板が設けられていても
良い。
【0198】
またプリズムシート1603は、図15に示した断面が鋸歯状の形状に限定されず、導光
板1605からの光をパネル1601側に集光できる形状を有していれば良い。
【0199】
回路基板1608には、パネル1601に入力される各種信号を生成する回路、またはこ
れら信号に処理を施す回路などが設けられている。そして、図15では、回路基板160
8とパネル1601とが、COFテープ1609を介して接続されている。また、信号線
駆動回路の形成された基板1611が、COF(Chip On Film)法を用いて
COFテープ1609に接続されている。
【0200】
図15では、バックライト1620の駆動を制御する制御系の回路が回路基板1608に
設けられており、該制御系の回路とバックライト1620とがFPC1610を介して接
続されている例を示している。ただし、上記制御系の回路はパネル1601に形成されて
いても良く、この場合はパネル1601とバックライト1620とがFPCなどにより接
続されるようにする。
【0201】
なお、図15では、パネル1601の端部に配置されたエッジライト型のバックライト1
620を用いている場合を例示しているが、本発明はこの構成に限定されない。本発明の
一態様では、パネル1601の直下に配置される直下型のバックライトを用いていても良
い。或いは、本発明の一態様では、フロントライトを用いていても良い。
【0202】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0203】
(実施の形態6)
図17に、本発明の一態様に係る発光装置の構造を例示する。図17(A)は、画素が有
するトランジスタ300の、チャネル長方向における断面図の一例である。
【0204】
図17(A)では、絶縁表面上のゲート電極301と、ゲート電極301上に位置するゲ
ート絶縁膜302と、ゲート絶縁膜302上に位置し、ゲート電極301と重なる半導体
膜303と、半導体膜303上に位置し、ゲート電極301と重なる島状の絶縁膜304
と、半導体膜303上に位置する導電膜305と、絶縁膜304を間に挟み、なおかつ半
導体膜303上に位置する導電膜306a及び導電膜306bと、半導体膜303、絶縁
膜304、導電膜305、導電膜306a及び導電膜306b上に位置する絶縁膜307
と、絶縁膜307上に位置し、絶縁膜307に設けられた開口部308を介して導電膜3
06aに接続される画素電極309と、絶縁膜307及び半導体膜303に設けられた開
口部310と、画素電極309上に位置する絶縁膜320と、絶縁膜320に設けられた
開口部321において画素電極309上に順に積層されたEL層322及び対向電極32
3と、が図示されている。
【0205】
そして、図17(A)では、ゲート電極301、ゲート絶縁膜302、半導体膜303、
チャネル保護膜として機能する絶縁膜304、導電膜306a及び導電膜306bがトラ
ンジスタ300を構成している。そして、導電膜306a及び導電膜306bは、いずれ
か一方がソース電極、他方がドレイン電極として機能する。
【0206】
また、図17(A)では、開口部321において画素電極309、EL層322及び対向
電極323が積層されている部分が、発光素子324に相当する。
【0207】
本発明の一態様に係る発光装置の作製方法では、ゲート電極301を形成する工程と、絶
縁膜304を形成する工程と、導電膜305、導電膜306a、及び導電膜306bを形
成する工程と、絶縁膜307に開口部308を形成し、なおかつ絶縁膜307及び半導体
膜303に開口部310を形成する工程と、画素電極309を形成する工程と、絶縁膜3
20に開口部321を形成する工程と、において、マスクを用いたフォトリソグラフィ法
を用いる。すなわち、本発明の一態様では、絶縁膜307に開口部310を形成する工程
において、半導体膜303の形状を加工しているため、半導体膜303の形状を単独で加
工するためだけの、フォトリソグラフィ法を用いた工程を、省略することができる。よっ
て、本発明の一態様に係る発光装置では、フォトリソグラフィ法で行なわれるフォトレジ
ストの成膜、露光、現像、エッチング、剥離などの一連の工程を一部省略することができ
る。そして、高価な露光用のマスクの枚数を抑えることができるので、発光装置の作製に
費やされるコストを抑えることができる。
【0208】
なお、導電膜305、導電膜306a、及び導電膜306bは、絶縁膜307と、半導体
膜303の間に存在する。そのため、絶縁膜307に開口部308を形成する工程におい
て半導体膜303の形状をも加工する作製方法を用いる場合、導電膜305、導電膜30
6a、及び導電膜306bの下部に位置する半導体膜303の形状を加工することが難し
い。そして、導電膜305、導電膜306a、及び導電膜306bが半導体膜303と重
なっていると、画素電極309から半導体膜303に印加される電界により半導体膜30
3に寄生チャネルが形成されることがある。寄生チャネルが形成されると、電気的に分離
されるべき導電膜305と、導電膜306aまたは導電膜306bとが、半導体膜303
を介して電気的に接続されるため、表示される画質の低下が引き起こされる。
【0209】
そこで、本発明の一態様に係る発光装置では、開口部310の位置を、導電膜305と、
導電膜306aまたは導電膜306bの間に定め、それにより、半導体膜303を部分的
に除去する構成とする。なお、図17(A)では、開口部310において半導体膜303
及び絶縁膜307だけではなく、ゲート絶縁膜302が除去されている場合を例示してい
る。本発明の一態様では、開口部310においてゲート絶縁膜302を必ずしも除去する
必要はなく、開口部310においてゲート絶縁膜302が残存していても良い。
【0210】
図17(B)に、図17(A)に示した断面構造を有する発光装置の、上面図の一例を示
す。ただし、図17(B)では、発光装置のレイアウトを明確にするために、ゲート絶縁
膜302、絶縁膜307、絶縁膜320、EL層322、及び対向電極323を省略した
上面図を示す。また、図17(B)の一点鎖線A1-A2における断面図が、図17(A
)に相当する。
【0211】
図17(A)及び図17(B)に示すように、本発明の一態様では、半導体膜303及び
絶縁膜307に、導電膜305と、導電膜306aまたは導電膜306bの間に位置する
、開口部310が設けられている。
【0212】
開口部310により、本発明の一態様では、図17(A)及び図17(B)に示すように
、導電膜306aまたは導電膜306bの下に位置する半導体膜303と、導電膜305
の下に位置する半導体膜303とが、離隔した状態にある。よって、本発明の一態様では
、画素電極309などから半導体膜303に電界が印加されても、開口部310が導電膜
305と、導電膜306aまたは導電膜306bの間に存在することで、半導体膜303
に寄生チャネルが形成されるのを抑制することができる。そして、寄生チャネルの形成が
抑制されることで、導電膜305と、導電膜306aまたは導電膜306bとが意図せず
電気的に接続されるのを防ぎ、発光装置に表示される画質の低下を防ぐことができる。
【0213】
なお、図17(B)では、導電膜306aまたは導電膜306bの下に位置する半導体膜
303と導電膜305の下に位置する半導体膜303とが、完全に離隔している場合を例
示している。しかし、本発明の一態様では、半導体膜303が必ずしも完全に離隔してい
る必要はなく、導電膜305と、導電膜306aまたは導電膜306bの間において、半
導体膜303が部分的に離隔していても良い。
【0214】
図18に、図17(A)に示した断面構造を有する発光装置の、上面図の一例を示す。た
だし、図18では、発光装置のレイアウトを明確にするために、ゲート絶縁膜302、絶
縁膜307、絶縁膜320、EL層322、及び対向電極323を省略した上面図を示す
【0215】
図18に示す発光装置では、開口部310の形状が図17(B)の場合と異なる。図18
では、開口部310が、図17(B)の場合と同様に導電膜305と、導電膜306aま
たは導電膜306bの間に位置しているが、導電膜306aまたは導電膜306bの下に
位置する半導体膜303と導電膜305の下に位置する半導体膜303とが、開口部31
0以外の領域で繋がっている。すなわち、図18では、導電膜305と、導電膜306a
または導電膜306bの間において、半導体膜303が部分的に離隔した状態にある。半
導体膜303が部分的に離隔した状態にあっても、寄生チャネルの生成が抑制されるとい
う効果を得ることができる。
【0216】
また、開口部310が形成される領域の一部は、導電膜306aまたは導電膜306bと
重なっていても良い。或いは、開口部310が形成される領域の一部は、導電膜305が
形成される領域と重なっていても良い。
【0217】
図19(A)に、画素が有するトランジスタ300の、チャネル長方向における断面図の
一例を示す。また、図19(B)に、図19(A)に示した断面構造を有する発光装置の
、上面図の一例を示す。ただし、図19(B)では、発光装置のレイアウトを明確にする
ために、ゲート絶縁膜302、絶縁膜307、絶縁膜320、EL層322、及び対向電
極323を省略した上面図を示す。また、図19(B)の一点鎖線B1-B2における断
面図が、図19(A)に相当する。
【0218】
図19(A)及び図19(B)に示す発光装置では、開口部310の形成される領域が図
17(A)及び図17(B)の場合と異なる。図19(A)及び図19(B)では、開口
部310が形成される領域の一部が、導電膜306aが形成される領域と重なっている。
導電膜306aの下に位置する半導体膜303は、開口部310の形成の際に、除去され
ない。よって、開口部310が形成されている領域内において、半導体膜303は、部分
的に残存している状態にあり、開口部310における半導体膜303の端部と絶縁膜30
7の端部とは一致しない。
【0219】
本発明の一態様では、図19(A)及び図19(B)に示すように、開口部310が形成
される領域の一部が、導電膜306aが形成される領域と重なっていても、導電膜306
aの下に位置する半導体膜303と、導電膜305の下に位置する半導体膜303とを、
離隔した状態にすることができる。よって、寄生チャネルの生成が抑制されるという効果
を得ることができる。
【0220】
なお、開口部310が形成される領域の一部と、導電膜306bが形成される領域とが重
なっている場合でも、寄生チャネルの生成が抑制されるという効果を得ることができる。
或いは、開口部310が形成される領域の一部と、導電膜305が形成される領域とが重
なっている場合でも、寄生チャネルの生成が抑制されるという効果を得ることができる。
【0221】
そして、開口部310が形成される領域が、導電膜306aが形成される領域と部分的に
重なっている場合、導電膜306aと画素電極309を接続するための開口部308を設
ける必要がない。よって、開口部308を形成するための領域を確保する必要がないので
、画素部の高精細化を実現することができる。
【0222】
また、図20(A)に、画素が有するトランジスタ300の、チャネル長方向における断
面図の一例を示す。また、図20(B)に、図20(A)に示した断面構造を有する発光
装置の、上面図の一例を示す。ただし、図20(B)では、発光装置のレイアウトを明確
にするために、ゲート絶縁膜302、絶縁膜307、絶縁膜320、EL層322、及び
対向電極323を省略した上面図を示す。また、図20(B)の一点鎖線C1-C2にお
ける断面図が、図20(A)に相当する。
【0223】
図20(A)及び図20(B)に示す発光装置は、ゲート電極301と同じ層に導電膜3
11が設けられている点において、図17(A)及び図17(B)に示す発光装置と構造
が異なる。具体的に、図20(A)及び図20(B)では、絶縁表面上に導電膜311が
位置し、導電膜311上にゲート絶縁膜302及び半導体膜303が順に積層されるよう
に設けられており、半導体膜303上において導電膜311と重なる位置に導電膜305
が設けられている。
【0224】
そして、図20(A)及び図20(B)では、開口部310が形成される領域と、導電膜
311が形成される領域とが部分的に重なっており、開口部310において導電膜311
の一部が露出した状態にある。そして、導電膜311は半導体膜303の下に位置するた
め、開口部310において半導体膜303は部分的に除去された状態にある。よって、図
20(A)及び図20(B)の場合でも、導電膜306aまたは導電膜306bの下に位
置する半導体膜303と、導電膜305の下に位置する半導体膜303とが、離隔した状
態にあるため、寄生チャネルの生成が抑制されるという効果を得ることができる。
【0225】
なお、本発明の一態様に係る発光装置では、トランジスタ300が有する半導体膜303
が、上述したような酸化物半導体などのワイドギャップ半導体を含んでいる。
【0226】
(実施の形態7)
次いで、本発明の一態様に係る発光装置の、画素部の具体的な構成について、一例を挙げ
て説明する。
【0227】
図24(A)に、画素部510の構成例を示す。図24(A)では、画素部510に、走
査線駆動回路によって電位が制御されるy本の走査線GL(GL1乃至GLy)と、信号
線駆動回路によって電位が制御されるx本の信号線SL(SL1乃至SLx)と、画素電
極への電位の供給を行うx本の電源線VL(VL1乃至VLx)と、が設けられている。
【0228】
そして、走査線GLは、複数の画素511にそれぞれ接続されている。具体的に、各走査
線GLは、マトリクス状に設けられた複数の画素511のうち、いずれかの行に設けられ
たx個の画素511に接続される。
【0229】
また、信号線SLは、画素部510においてx列y行に設けられた複数の画素511のう
ち、いずれかの列に設けられたy個の画素511に接続される。電源線VLは、画素部5
10においてx列y行に設けられた複数の画素511のうち、いずれかの列に設けられた
y個の画素511に接続される。
【0230】
なお、本実施の形態では、画素511が走査線GL、信号線SL、電源線VLにそれぞれ
接続されている場合を例示しているが、各画素511に接続される配線の種類及びその数
は、画素511の構成、数及び配置によって、適宜決めることができる。
【0231】
図24(B)に、画素511の回路図の一例を示す。画素511は、画素511への画像
信号の入力を制御するトランジスタ512と、画素電極、対向電極、及び画素電極と対向
電極の間に設けられたEL層を有する発光素子515と、画像信号に従って発光素子51
5が有する画素電極の電位を制御するトランジスタ513と、画像信号の電位を保持する
ための容量素子514と、を有する。
【0232】
なお、図24(B)では、画素511が容量素子514を有する場合を例示しているが、
例えばトランジスタ513のゲート電極と活性層の間に形成されるゲート容量が十分大き
い場合など、他の容量により画像信号の電位を十分保持できる場合には、必ずしも容量素
子514を画素511に設ける必要はない。
【0233】
発光素子515は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでい
る。例えば、OLED素子などを、発光素子515として用いることができる。OLED
素子は、EL層と、陽極と、陰極とを少なくとも有している。陽極と陰極は、いずれか一
方が画素電極として機能し、他方が対向電極として機能する。EL層は陽極と陰極の間に
設けられており、単層または複数の層で構成されている。これらの層の中に無機化合物を
含んでいる場合もある。EL層におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状
態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とが
含まれる。
【0234】
発光素子515の画素電極は、画素511に入力される画像信号に従ってその電位が制御
される。また、発光素子515の輝度は、画素電極と対向電極の間の電位差によって定ま
る。そして、画素部510が有する複数の画素511のそれぞれにおいて、発光素子51
5の輝度が画像信号に従って調整されることで、画素部510に画像が表示される。
【0235】
画素511は、必要に応じて、トランジスタ、ダイオード、抵抗素子、容量素子、インダ
クタなどのその他の回路素子を、さらに有していても良い。
【0236】
次いで、画素511が有する、トランジスタ512、トランジスタ513、容量素子51
4、発光素子515の接続構成について説明する。
【0237】
トランジスタ512は、ソース端子またはドレイン端子の一方が信号線SLに接続され、
ソース端子またはドレイン端子の他方がトランジスタ513のゲート電極に接続されてい
る。
トランジスタ513は、ソース端子またはドレイン端子の一方が電源線VLに接続され、
ソース端子またはドレイン端子の他方が発光素子515に接続されている。発光素子51
5は、画素電極と、対向電極と、画素電極と対向電極の間のEL層とを有しており、具体
的に、トランジスタ513のソース端子またはドレイン端子の他方は、発光素子515の
画素電極に接続される。発光素子515の対向電極には電位(共通電位)が与えられる。
【0238】
電源電位と共通電位は、トランジスタ513がオンのときに、発光素子515の画素電極
と対向電極の間に、発光素子515が発光する程度に大きい順方向バイアスの電圧が印加
されるような電位差である。
【0239】
また、トランジスタ512、トランジスタ513は、活性層の片側にだけ存在するゲート
電極を少なくとも有していれば良いが、活性層を間に挟んで存在する一対のゲート電極を
有していても良い。また、トランジスタ512、トランジスタ513は、単数のゲート電
極と単数のチャネル形成領域を有するシングルゲート構造であっても良いし、電気的に接
続された複数のゲート電極を有することで、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲー
ト構造であっても良い。
【0240】
次に、図24(A)及び図24(B)に示した発光装置の駆動方法について説明する。
【0241】
走査線GL1~走査線GLyが順に選択される。例えば走査線GLj(jは1以上y以下
の自然数)が選択されると、走査線GLjにゲート電極が接続されているトランジスタ5
12がオンになる。そして、信号線SL1乃至信号線SLxに入力された画像信号の電位
が、トランジスタ512がオンになることで、トランジスタ513のゲート電極に与えら
れる。そして、走査線GLjの選択が終了すると、トランジスタ512がオフになり、画
像信号の電位はトランジスタ513のゲート電極において保持される。
【0242】
そして、画像信号の電位に従ってトランジスタ513がオンである場合、発光素子515
に電流が供給されることで発光素子515が点灯する。発光素子515に流れる電流の値
は、トランジスタ513のドレイン電流によって決まるため、発光素子515の輝度は、
画像信号の電位に従って定まる。逆に、画像信号の電位に従って、トランジスタ513が
オフになっている場合、発光素子515への電流の供給は行われず、発光素子515は消
灯する。
【0243】
上記動作により、画像を表示することができる。
【0244】
なお、図24(B)では、一のトランジスタ512をスイッチング素子として用いている
場合について示しているが、本発明はこの構成に限定されない。一のスイッチング素子と
して機能する複数のトランジスタを、画素511に用いていても良い。複数のトランジス
タが一のスイッチング素子として機能する場合、上記複数のトランジスタは並列に接続さ
れていても良いし、直列に接続されていても良いし、直列と並列が組み合わされて接続さ
れていても良い。
【0245】
トランジスタ512が酸化物半導体をチャネル形成領域に含むことで、オフ電流が極めて
小さく、なおかつ高耐圧であるトランジスタ512を実現することができる。そして、上
記構成を有するトランジスタ512をスイッチング素子として用いることで、通常のシリ
コンやゲルマニウムなどの半導体材料で形成されたトランジスタを用いた場合に比べて、
トランジスタ513のゲート電極に蓄積された電荷のリークを防ぐことができる。
【0246】
オフ電流の極めて小さいトランジスタ512を用いることで、トランジスタ513のゲー
ト電極の電位が保持される期間を長く確保することができる。そのため、静止画のように
、連続する幾つかのフレーム期間に渡って、画素部510に同じ画像情報を有する画像信
号が書き込まれる場合などは、駆動周波数を低くする、言い換えると一定期間内における
画素部510への画像信号の書き込み回数を少なくしても、画像の表示を維持することが
できる。例えば、高純度化された酸化物半導体を活性層に用いたトランジスタ512を用
いることで、画像信号の書き込みの間隔を10秒以上、好ましくは30秒以上、さらに好
ましくは1分以上にすることができる。そして、画像信号が書き込まれる間隔を長くすれ
ばするほど、消費電力をより低減することができる。
【0247】
また、画像信号の電位をより長い期間に渡って保持することができるため、画像信号の電
位を保持するために、トランジスタ513のゲート電極に容量素子514を接続しなくて
も、表示される画質が低下するのを防ぐことができる。よって、容量素子514を設けな
いことによって、或いは容量素子514のサイズを小さくすることによって、開口率を高
めることができるため、発光装置の消費電力を低減させることができる。
【0248】
次いで、図24(B)に示した画素511のレイアウトについて、図21乃至図23を用
いて説明する。図21は、画素511の上面図の一例である。また、図22は、図21
示す上面図の、一点鎖線D1-D2及び一点鎖線D3-D4における断面図の一例に相当
する。図23は、図21に示す上面図の、一点鎖線D5-D6における断面図の一例に相
当する。ただし、図21では、画素511のレイアウトを明確に示すために、各種の絶縁
膜を省略して、画素511の上面図を示す。また、図21では、画素511が有する各種
半導体素子のレイアウトを明確に示すために、発光素子515が有するEL層及び対向電
極を省略して、画素511の上面図を示す。
【0249】
図21乃至図23に示す画素511において、トランジスタ512は、絶縁表面を有する
基板400上に、ゲート電極として機能する導電膜401と、導電膜401上のゲート絶
縁膜402と、導電膜401と重なる位置においてゲート絶縁膜402上に位置する半導
体膜403と、導電膜401と重なる位置において半導体膜403上に位置し、チャネル
保護膜として機能する絶縁膜404と、ソース端子またはドレイン端子として機能し、半
導体膜403上に位置する導電膜405及び導電膜406とを有する。
【0250】
導電膜401はトランジスタ512のゲート電極に電位を与える走査線GLとしても機能
する。また、導電膜405は、画像信号の電位を画素511に与える信号線SLとしても
機能する。
【0251】
また、トランジスタ513は、絶縁表面を有する基板400上に、ゲート電極として機能
する導電膜407と、導電膜407上のゲート絶縁膜402と、導電膜407と重なる位
置においてゲート絶縁膜402上に位置する半導体膜403と、導電膜407と重なる位
置において半導体膜403上に位置し、チャネル保護膜として機能する絶縁膜408と、
ソース端子またはドレイン端子として機能し、半導体膜403上に位置する導電膜409
及び導電膜410とを有する。
【0252】
容量素子514は、絶縁表面を有する基板400上に、導電膜407と、導電膜407上
のゲート絶縁膜402及び半導体膜403と、導電膜407と重なる位置においてゲート
絶縁膜402及び半導体膜403上に位置する導電膜410とを有する。
【0253】
また、導電膜405、導電膜406、導電膜409、及び導電膜410上には、絶縁膜4
11が設けられている。そして、絶縁膜411、半導体膜403、及びゲート絶縁膜40
2には、開口部412、開口部413、及び開口部414が設けられている。
【0254】
開口部412は、導電膜406と、導電膜409の間に設けられている。また、開口部4
12が形成されている領域の一部は、導電膜406が形成されている領域の一部と、導電
膜407が形成されている領域の一部とに、重なっている。開口部412において、導電
膜406上の絶縁膜411と、導電膜407上の絶縁膜411、半導体膜403、及びゲ
ート絶縁膜402とが除去されており、導電膜406及び導電膜407は、導電膜406
及び導電膜407上の導電膜415により電気的に接続されている。
【0255】
開口部413は、導電膜410と、導電膜405及び導電膜406との間に設けられてい
る。また、開口部413が形成されている領域の一部は、導電膜409が形成されている
領域の一部に、重なっている。開口部413において、導電膜409上の絶縁膜411が
除去されており、導電膜409は、導電膜409及び絶縁膜411上の、画素電極として
機能する導電膜416に接続されている。
【0256】
開口部414は、隣接する画素511間の、導電膜410と導電膜405の間に設けられ
ている。開口部414において、絶縁膜411、半導体膜403、及びゲート絶縁膜40
2が、除去されている。
【0257】
なお、図21乃至図23では、開口部412が形成されている領域の一部が、導電膜40
6が形成されている領域の一部、及び導電膜407が形成されている領域の一部と重なっ
ている場合を例示している。この場合、導電膜406及び導電膜415の接続と、導電膜
407及び導電膜415の接続とは、共に開口部412において行われることとなる。し
かし、本発明の一態様では、導電膜406及び導電膜415の接続と、導電膜407及び
導電膜415の接続とが、互いに異なる開口部で行われていても良い。
【0258】
図25に、導電膜406及び導電膜407と導電膜415との接続箇所における、画素5
11の断面図の一例を示す。図25では、絶縁膜411に設けた開口部412aにおいて
、導電膜406と導電膜415が接続されている。また、絶縁膜411、半導体膜403
、及びゲート絶縁膜402に設けた開口部412bにおいて、導電膜407と導電膜41
5が接続されている。
【0259】
ただし、図21乃至図23のように、導電膜406及び導電膜415の接続と、導電膜4
07及び導電膜415の接続とが、共に開口部412において行われる場合、複数の開口
部を形成するための領域を確保する必要がないので、画素部510の高精細化を実現する
ことができる。
【0260】
また、導電膜416を一部覆うように、絶縁膜411上に絶縁膜417が設けられている
。絶縁膜417が有する開口部418が、導電膜416の一部と重なっており、開口部4
18において、導電膜416上にEL層419及び対向電極として機能する導電膜420
が順に積層されている。導電膜416、EL層419、及び導電膜420が積層されてい
る部分が、発光素子515として機能する。
【0261】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0262】
(実施の形態8)
本実施の形態では、図21乃至図23に示した画素511を例に挙げて、本発明の一態様
に係る発光装置の作製方法について説明する。
【0263】
まず、図26(A)に示すように、絶縁表面を有する基板400上に、ゲート電極として
機能する導電膜407を形成する。
【0264】
絶縁表面を有する基板400として使用することができる基板に大きな制限はないが、少
なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば
、フュージョン法やフロート法で作製されるガラス基板を用いることができる。ガラス基
板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いる
と良い。また、ガラス基板には、例えば、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ
酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料が用いられている。
【0265】
なお、上記のガラス基板に代えて、セラミック基板、石英基板、サファイア基板などの絶
縁体でなる基板を用いても良い。他にも、結晶化ガラスなどを用いることができる。ステ
ンレス合金などの金属基板の表面に絶縁膜を設けた基板を適用しても良い。ただし、発光
装置が、発光素子515からの光が基板400側に向かうボトムエミッション構造を有す
る場合、基板400には透光性を有する基板を用いる。
【0266】
導電膜407の材料は、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミ
ニウム、銅、ネオジム、スカンジウム、ニオブ等の金属材料、これら金属材料を主成分と
する合金材料を用いた導電膜、或いはこれら金属の窒化物を、単層で又は積層で用いるこ
とができる。なお、後の工程において行われる加熱処理の温度に耐えうるのであれば、上
記金属材料としてアルミニウム、銅を用いることもできる。アルミニウムまたは銅は、耐
熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高
融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジ
ム、スカンジウム等を用いることができる。
【0267】
例えば、2層の構造を有する導電膜407として、チタン膜上に銅膜が積層された2層の
構造、アルミニウム膜上にモリブデン膜が積層された2層の構造、銅膜上にモリブデン膜
を積層した2層の構造、銅膜上に窒化チタン膜若しくは窒化タンタル膜を積層した2層の
構造、または、窒化チタン膜とモリブデン膜とを積層した2層の構造とすることが好まし
い。3層の構造を有する導電膜407としては、例えば、窒化チタン膜と、銅膜と、タン
グステン膜とを積層した3層の構造とすることが好ましい。
【0268】
また、導電膜407に酸化インジウム、酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸
化亜鉛、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、または酸化亜鉛ガ
リウム等の透光性を有する金属酸化物を用いることもできる。
【0269】
導電膜407の膜厚は、10nm~400nm、好ましくは100nm~200nmとす
る。本実施の形態では、スパッタ法により膜厚200nmのタングステン膜を形成した後
、該タングステン膜を、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより所望の形状に加
工(パターニング)することで、導電膜407を形成する。なお、形成された導電膜40
7の端部がテーパー形状であると、上に積層するゲート絶縁膜402の被覆性が向上する
ため好ましい。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマ
スクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減
できる。
【0270】
なお、本実施の形態では、基板400上に直接導電膜407を形成する場合を例示してい
るが、基板400上に下地膜として機能する絶縁膜を形成してから、上記下地膜上に導電
膜407を形成しても良い。下地膜として、例えば、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化
珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜のいずれ
か1つを単層で、或いは複数を積層させて用いることができる。特に、下地膜に、バリア
性の高い絶縁膜、例えば窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミ
ニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などを用いることで、水分、または水素などの
雰囲気中の不純物、或いは基板400内に含まれるアルカリ金属、重金属などの不純物が
、後に形成される半導体膜403内、ゲート絶縁膜402内、或いは、半導体膜403と
他の絶縁膜の界面とその近傍に入り込むのを防ぐことができる。
【0271】
なお、本明細書において酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多
い物質であり、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い
物質を意味する。
【0272】
なお、図28は、上述の工程が終了した時点での、発光装置の上面図である。図28の一
点鎖線D5-D6における断面図が、図26(A)に相当する。
【0273】
次いで、図26(B)に示すように、導電膜407上に、ゲート絶縁膜402を形成する
。ゲート絶縁膜402は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて、酸化珪素
膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニ
ウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜、酸化イ
ットリウム膜、酸化ガリウム膜、酸化ランタン膜、または酸化タンタル膜を単層で又は積
層させて形成することができる。ゲート絶縁膜402は、水分、水素などの不純物を極力
含まないことが望ましい。
【0274】
ゲート絶縁膜402は、単層の絶縁膜で構成されていても良いし、複数の絶縁膜が積層さ
れることで構成されていても良い。いずれにしても、化学量論的組成を超える量の酸素を
含む絶縁膜が、後に形成される半導体膜403と接するように、ゲート絶縁膜402を形
成することが望ましい。上記構成により、ゲート絶縁膜402から半導体膜403に酸素
を供給することができるので、良好な電気的特性を有するトランジスタ513を得ること
ができる。
【0275】
また、バリア性の高い絶縁膜と、酸素を含む絶縁膜とを積層させた構造を有するゲート絶
縁膜402を形成する場合、バリア性の高い絶縁膜は、酸素を含む絶縁膜と、導電膜40
7との間に設けることが望ましい。バリア性の高い絶縁膜を用いることで、水分または水
素などの雰囲気中の不純物、或いは基板400内に含まれるアルカリ金属、重金属などの
不純物が、半導体膜403内、ゲート絶縁膜402内、或いは、半導体膜403と他の絶
縁膜の界面とその近傍に入り込むのを防ぐことができる。バリア性の高い絶縁膜として、
例えば窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、または
窒化酸化アルミニウム膜などが挙げられる。
【0276】
ゲート絶縁膜402の膜厚は、トランジスタ513に要求される特性によって適宜設定す
ればよく、例えば1nm以上800nm以下、好ましくは200nm以上500nm以下
とする。ゲート絶縁膜402を厚く形成することで、トランジスタ513の耐圧を向上さ
せることができる。本実施の形態では、プラズマCVD法で形成された膜厚100nmの
酸化窒化珪素膜をゲート絶縁膜402として用いる。
【0277】
次いで、図26(B)に示すように、ゲート絶縁膜402上に膜厚2nm以上200nm
以下、好ましくは膜厚3nm以上50nm以下、さらに好ましくは膜厚3nm以上20n
m以下の半導体膜403を形成する。半導体膜403は、酸化物半導体をターゲットとし
て用い、スパッタ法により形成する。また、半導体膜403は、希ガス(例えばアルゴン
)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(例えばアルゴン)及び酸素混合雰囲気下におい
てスパッタ法により形成することができる。
【0278】
なお、酸化物半導体膜をスパッタ法により形成する前に、アルゴンガスを導入してプラズ
マを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁膜402の表面に付着している塵埃を除去
することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲
気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改
質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。
また、アルゴン雰囲気に酸素、亜酸化窒素などを加えた雰囲気で行ってもよい。また、ア
ルゴン雰囲気に塩素、四フッ化炭素などを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0279】
半導体膜403に用いる酸化物半導体として、上述したように、酸化インジウム、酸化ス
ズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn-Zn系酸化物、Sn-Zn系酸化物、A
l-Zn系酸化物、Zn-Mg系酸化物、Sn-Mg系酸化物、In-Mg系酸化物、I
n-Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn-Ga-Zn系酸化物(IGZOとも
表記する)、In-Al-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、Sn-Ga-Zn
系酸化物、Al-Ga-Zn系酸化物、Sn-Al-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系
酸化物、In-La-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Zn系酸
化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn系酸化
物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系酸化物
、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸化物、
In-Lu-Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn-Sn-Ga-Zn系酸化物
、In-Hf-Ga-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-A
l-Zn系酸化物、In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物
などが挙げられる。
【0280】
なお、例えば、半導体膜403は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(
亜鉛)を含むターゲットを用いたスパッタ法により形成することができる。In-Ga-
Zn系の半導体膜403をスパッタリング法で形成する場合、好ましくは、原子数比がI
n:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、また
は3:1:4で示されるIn-Ga-Zn系酸化物のターゲットを用いる。前述の原子数
比を有するIn-Ga-Zn系酸化物のターゲットを用いて酸化物半導体膜を形成するこ
とで、多結晶またはCAACが形成されやすくなる。また、In、Ga、及びZnを含む
ターゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上100%未満であ
る。充填率の高いターゲットを用いることにより、形成した酸化物半導体膜は緻密な膜と
なる。
【0281】
なお、酸化物半導体としてIn-Zn系酸化物を用いる場合、用いるターゲットの組成は
、原子数比で、In:Zn=50:1~1:2(モル数比に換算するとIn:Zn
O=25:1~1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1~1:1(モル数比に換算す
るとIn:ZnO=10:1~1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=1.5:
1~15:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=3:4~15:2)とする。
例えば、In-Zn系酸化物である半導体膜403の形成に用いるターゲットは、原子数
比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。Znの比率を上記範
囲に収めることで、移動度の向上を実現することができる。
【0282】
また、酸化物半導体としてIn-Sn-Zn系酸化物の材料を用いる場合、用いるターゲ
ットの組成は、In:Sn:Znの原子数比を、1:2:2、2:1:3、1:1:1、
または20:45:35とすれば良い。
【0283】
本実施の形態では、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分
を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて
基板400上に酸化物半導体膜を形成する。処理室内の残留水分を除去するためには、吸
着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チ
タンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボ
ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて処理室
を排気すると、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好まし
くは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で形成した酸化物半導体
膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0284】
なお、CAAC-OSで構成される半導体膜403を形成する方法として、三つ挙げられ
る。一つめは、成膜温度を200℃以上450℃以下として半導体膜403の形成を行う
方法である。二つめは、半導体膜403を薄い膜厚で形成した後、200℃以上700℃
以下の熱処理を行う方法である。三つめは、一層目の酸化物半導体膜を薄く形成した後、
200℃以上700℃以下の熱処理を行い、さらに2層目の酸化物半導体膜の形成を行う
ことで、半導体膜403を形成する方法である。
【0285】
本実施の形態では、基板400とターゲットの距離を100mm、圧力0.4Pa、直流
(DC)電源0.5kW、基板温度250℃とし、アルゴンと酸素の流量がそれぞれ30
sccm、15sccmの雰囲気下において、In-Ga-Zn系酸化物半導体を含む、
膜厚25nmの半導体膜403の形成を行う。
【0286】
なお、半導体膜403に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、
形成の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室でゲート絶縁膜402までが形成
された基板400を予備加熱し、基板400に吸着した水分または水素などの不純物を脱
離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上400℃以下、好
ましくは150℃以上300℃以下である。
【0287】
なお、スパッタ等で形成された半導体膜403中には、不純物としての水分又は水素(水
酸基を含む)が多量に含まれていることがある。水分又は水素はドナー準位を形成しやす
いため、酸化物半導体にとっては不純物である。そこで、本発明の一態様では、半導体膜
403を形成した後、半導体膜403中の水分又は水素などの不純物を低減(脱水化また
は脱水素化)するために、半導体膜403に対して、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの
不活性ガス雰囲気下で、加熱処理を施す。
【0288】
半導体膜403に加熱処理を施すことで、半導体膜403中の水分又は水素を脱離させる
ことができる。具体的には、250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の
歪み点未満の温度で加熱処理を行えば良い。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱
水化又は脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができ
る。本実施の形態では、超乾燥エア雰囲気下において、450℃で1時間程度、加熱処理
を行う。
【0289】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導又は熱輻
射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas
Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid
Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Ann
eal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライド
ランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水
銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置で
ある。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アル
ゴンなどの希ガス、又は窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気
体が用いられる。
【0290】
加熱処理においては、窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水分又は水
素などが含まれないことが好ましい。又は、加熱処理装置に導入する窒素、又はヘリウム
、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7
N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1p
pm以下)とすることが好ましい。
【0291】
以上の工程により、半導体膜403中の水分又は水素の濃度を低減することができる。な
お、半導体膜403では、上記加熱処理により水分又は水素が除去されると共に、酸素の
脱離による酸素欠損が増加している恐れがある。そこで、上記加熱処理の後に、半導体膜
403に酸素を供給する処理を行い、酸素欠損を低減させることが望ましい。
【0292】
水分又は水素の濃度が低減され、なおかつ酸素欠損が低減されることで高純度化された半
導体膜403を用いることで、耐圧性が高く、オフ電流の著しく小さいトランジスタ51
3を作製することができる。
【0293】
例えば、酸素を含むガス雰囲気下において加熱処理を行うことで、半導体膜403に酸素
を供給することができる。酸素を供給するための加熱処理は、上述した、水分又は水素の
濃度を低減するための加熱処理と同様の条件で行えば良い。ただし、酸素を供給するため
の加熱処理は、酸素ガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー
分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で-55℃
)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)などの囲気下にお
いて行う。
【0294】
上記酸素を含むガスには、水、水素などの濃度が低いことが好ましい。具体的には、酸素
を含むガス内に含まれる不純物濃度を、1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下とす
ることが好ましい。
【0295】
或いは、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテ
ーション法、プラズマ処理などを用いて、半導体膜403に酸素を供給することができる
。上記方法を用いて酸素を半導体膜403に供給した後、半導体膜403に含まれる結晶
部が損傷を受けた場合は、加熱処理を行い、損傷を受けた結晶部を修復するようにしても
良い。
【0296】
半導体膜403を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。
レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コ
ストを低減できる。
【0297】
次いで、図26(C)に示すように、半導体膜403上に絶縁膜を形成した後、フォトリ
ソグラフィ法を用いたエッチングにより所望の形状に加工することで、チャネル保護膜と
して機能する島状の絶縁膜408を形成する。絶縁膜408は、半導体膜403上におい
て導電膜407と重なる位置に設ける。
【0298】
絶縁膜408の膜厚は、50nm以上600nm以下、好ましくは100nm以上400
nm以下とする。そして、絶縁膜408は、ゲート絶縁膜402と同様の構造、材料を用
いて形成することができる。そして、絶縁膜408は、ゲート絶縁膜402と同様に、水
分、水素などの不純物を極力含まないことが望ましく、なおかつ、化学量論的組成を超え
る量の酸素を含むことが望ましい。上記構成により、半導体膜403中における水分、水
素などの不純物の濃度を低く抑え、なおかつ絶縁膜408から半導体膜403に酸素を供
給することができるので、良好な電気的特性を有するトランジスタ513を得ることがで
きる。
【0299】
本実施の形態では、プラズマCVD法にて形成した膜厚300nmの酸化窒化珪素膜を、
絶縁膜408として用いる。
【0300】
なお、絶縁膜408として、少なくともInまたはZnの一方を含む金属酸化物であり、
なおかつ、Ti、Zr、Hf、Ge、Ceなどを含むことで、半導体膜403よりも絶縁
性の高まった、金属酸化物を用いても良い。
【0301】
例えば、In-M-M-Zn系酸化物を、絶縁膜408に用いても良い。ただし、元
素Mは、3A族、3B族、及び4A族に含まれる元素のうち、3価の元素である。元素
は4A族、及び4B族に含まれる元素のうち、4価の元素である。具体的に、元素M
にGaを用いる場合、In-M-M-Zn系酸化物において、3価のGaの一部が
、4価の元素で置き換えられることになる。4価の元素は3価の元素よりも一本結合手が
多いので、3価の元素の一部を4価の元素に置き換えることで、In-M-M-Zn
系酸化物を構成する金属元素(MまたはM)と酸素の結合力を高めることができる。
よって、In-M-M-Zn系酸化物を絶縁膜408に用いることで、絶縁膜408
の絶縁性を高めることができる。具体的に、元素Mとして、Ti、Zr、Hf、Ge、
Ceなどが挙げられる。
【0302】
例えば、In:Zr:Ga:Zn=3:0.05:0.95:2のターゲットを用いて、
スパッタリング法により、In-M-M-Zn系酸化物を用いた絶縁膜408を形成
すれば良い。
【0303】
また、例えば、化学式InMZnOで表されるIn-M-Zn系酸化物を絶縁膜408
に用いても良い。元素Mとして、In-M-Zn系酸化物の絶縁性が、半導体膜403を
構成する金属酸化物の絶縁性よりも高くなるような元素を適用する。例えば、元素Mとし
て、Ti、Zr、Hf、Ge、Ceなどの4価の元素を適用することができる。4価の元
素は3価の元素よりも一本結合手が多いので、これら4価の元素を元素Mとして用いたI
n-M-Zn系酸化物は、元素Mと酸素の結合力が高い。よって、In-M-Zn系酸化
物を絶縁膜408に用いることで、絶縁膜408の絶縁性を高めることができる。
【0304】
例えば、元素MとしてZrを用いたIn-Zr-Zn系酸化物のエネルギーギャップは、
In-Ga-Zn系酸化物のエネルギーギャップ(約3.2eV)よりも大きくなる。す
なわち、In-Zr-Zn系酸化物はIn-Ga-Zn系酸化物よりも絶縁性が高いと言
える。
【0305】
また、イットリウムはGaよりも電気陰性度が小さい。そのため、In-M-M-Z
n系酸化物において、元素Mをイットリウムとすると、酸素と元素Mの電気陰性度の
差を大きくすることができ、金属酸化物中での酸素とのイオン結合による結合をより強く
することができる。よって、元素Mをイットリウムとしても、In-M-M-Zn
系酸化物を用いた絶縁膜408の絶縁性を高めることができる。また、In-M-Zn系
酸化物において、元素Mをイットリウムとすると、酸素と元素Mの電気陰性度の差を大き
くすることができ、金属酸化物中での酸素とのイオン結合による結合をより強くすること
ができる。よって、元素Mをイットリウムとしても、In-M-Zn系酸化物を用いた絶
縁膜408の絶縁性を高めることができる。
【0306】
また、In-M-Zn系酸化物中の元素Mの含有量は、Inの含有量の0.3倍以上1.
3倍未満である。また、In-M-Zn系酸化物中の元素Mの含有量は、Znの含有量の
0.3倍以上1.3倍未満である。元素Mに対するInまたはZnの相対的な数が少ない
ほど、より絶縁性の高い絶縁膜408を得ることができる。
【0307】
具体的には、元素Mを含ませた金属酸化物材料をスパッタリング法で形成する場合、好ま
しくは原子数比がIn:M:Zn=1:1:1、3:1:3、3:2:4、2:1:3、
4:5:4、または4:2:3で示される金属酸化物ターゲットを用いる。
【0308】
In-M-Zn系酸化物や、In-M-M-Zn系酸化物を絶縁膜408に用いるこ
とで、絶縁膜408と半導体膜403の界面の状態を良好に保つことができ、トランジス
タ513の電気的特性を良好にすることができる。
【0309】
なお、絶縁膜408を形成するためのエッチングにより露出した半導体膜403の表面に
は、不純物が付着しやすい。上記不純物には、エッチングに用いたエッチングガスまたは
エッチング液を構成する元素、或いはエッチングを行った処理室内に存在する元素などが
含まれる。上記不純物として、具体的には、ボロン、塩素、フッ素、炭素、アルミニウム
などが挙げられる。
【0310】
上記不純物が半導体膜403の表面に付着すると、トランジスタのオフ電流の増加、或い
はトランジスタの電気的特性の劣化がもたらされやすい。また、半導体膜403に寄生チ
ャネルが生じやすくなり、電気的に分離されるべき導電膜が半導体膜403を介して電気
的に接続されやすくなる。そこで、本発明の一態様では、絶縁膜408を形成するための
エッチングが終了した後、半導体膜403及び絶縁膜408の表面に付着したであろう不
純物を除去するための洗浄処理を行う。
【0311】
洗浄処理は、TMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液などのアルカリ性の溶液
、水、または希フッ酸などを用いて行うことができる。具体的に、希フッ酸を洗浄処理に
用いる場合、50重量%フッ酸を、水で1/10乃至1/10に希釈して、洗浄処理
に用いることが望ましい。すなわち、濃度が0.5重量%乃至5×10-4重量%の希フ
ッ酸を、洗浄処理に用いることが望ましい。洗浄処理により、半導体膜403及び絶縁膜
408の表面に付着した上記不純物を、除去することができる。また、洗浄処理に希フッ
酸を用いると、半導体膜403に付着した不純物を、半導体膜403の一部とともに除去
することができる。
【0312】
次いで、半導体膜403上に、スパッタ法や真空蒸着法で導電膜を形成したあと、フォト
リソグラフィ法を用いたエッチングにより当該導電膜をパターニングすることで、図26
(D)に示すように、半導体膜403上において、絶縁膜408を間に挟む様に設けられ
た導電膜409及び導電膜410を形成する。導電膜409及び導電膜410は、トラン
ジスタ513のソース電極またはドレイン電極として機能する。
【0313】
導電膜409及び導電膜410は、導電膜407と同様の構造、材料を用いることができ
る。導電膜409及び導電膜410の形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に
耐える耐熱性を導電膜409及び導電膜410に持たせることが好ましい。本実施の形態
では、導電膜409及び導電膜410として、膜厚150nmのタングステン膜を用いる
【0314】
なお、導電膜409及び導電膜410を形成するためのエッチングの際に、半導体膜40
3がなるべく除去されないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。エ
ッチング条件によっては、半導体膜403の露出した部分が一部エッチングされることで
、溝部(凹部)が形成されることもある。
【0315】
本実施の形態では、ICPエッチング法によるドライエッチングを用いて、導電膜409
及び導電膜410を形成する。具体的には、エッチングガスである六フッ化硫黄の流量を
50sccm、反応圧力1.5Pa、下部電極の温度70℃、コイル型の電極に投入する
RF(13.56MHz)電力を500W、下部電極(バイアス側)に投入する電力を5
0Wとした後、エッチングガスである三塩化ホウ素の流量を60sccm、塩素の流量2
0sccm、反応圧力1.9Pa、下部電極の温度21℃、コイル型の電極に投入するR
F(13.56MHz)電力450W、下部電極(バイアス側)に投入する電力100W
となるように、途中で条件を変更してドライエッチングを行う。
【0316】
なお、フォトリソグラフィ法で用いるマスク数及び工程数を削減するため、透過した光に
多段階の強度をもたせる多階調マスクによって形成されたレジストマスクを用いてエッチ
ング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマスクは複数の膜厚を
有する形状となり、エッチングを行うことでさらに形状を変形することができるため、異
なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる。よって、一枚の多
階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するレジストマスク
を形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ、工程の簡略化が可
能となる。
【0317】
なお、導電膜409及び導電膜410を形成するためのエッチングにより露出した半導体
膜403及び絶縁膜408の表面には、ボロン、塩素、フッ素、炭素、アルミニウムなど
の不純物が付着しやすい。さらに、上記不純物には、導電膜409及び導電膜410を構
成する元素も含まれる場合がある。
【0318】
上記不純物が半導体膜403の表面に付着すると、上述したように、トランジスタのオフ
電流の増加、或いはトランジスタの電気的特性の劣化がもたらされやすい。また、半導体
膜403に寄生チャネルが生じやすくなり、電気的に分離されるべき導電膜が半導体膜4
03を介して電気的に接続されやすくなる。そこで、本発明の一態様では、導電膜409
及び導電膜410を形成するためのエッチングが終了した後、半導体膜403及び絶縁膜
408の表面に付着したであろう不純物を除去するための洗浄処理を行う。
【0319】
洗浄処理は、TMAH溶液などのアルカリ性の溶液、水、または希フッ酸などを用いて行
うことができる。具体的に、希フッ酸を洗浄処理に用いる場合、50重量%フッ酸を、水
で1/10乃至1/10に希釈して、洗浄処理に用いることが望ましい。すなわち、
濃度が0.5重量%乃至5×10-4重量%の希フッ酸を、洗浄処理に用いることが望ま
しい。洗浄処理により、半導体膜403及び絶縁膜408の表面に付着した上記不純物を
、除去することができる。また、洗浄処理に希フッ酸を用いると、半導体膜403に付着
した不純物を、半導体膜403の一部とともに除去することができる。
【0320】
なお、本実施の形態では、エッチング後における不純物除去を目的とした洗浄処理を、絶
縁膜408の形成後と、導電膜409及び導電膜410の形成後の2回行う場合について
説明したが、本発明の一態様では、上記洗浄処理をいずれか1回のみとしても良い。
【0321】
なお、図29は、上述の工程が終了した時点での、発光装置の上面図である。図29の一
点鎖線D5-D6における断面図が、図26(D)に相当する。
【0322】
次いで、図27(A)に示すように、半導体膜403と、絶縁膜408と、導電膜409
及び導電膜410を覆うように、絶縁膜411を形成する。絶縁膜411は、水分や、水
素などの不純物を極力含まないことが望ましく、単層の絶縁膜であっても良いし、積層さ
れた複数の絶縁膜で構成されていても良い。絶縁膜411に水素が含まれると、その水素
が半導体膜403に侵入し、又は水素が半導体膜403中の酸素を引き抜き、半導体膜4
03の表面近傍が低抵抗化(n型化)してしまう。そして、低抵抗化した半導体膜403
の表面近傍には寄生チャネルが形成されやすく、寄生チャネルにより導電膜409または
導電膜410と、半導体膜403上の他の導電膜が電気的に接続されるおそれがある。よ
って、絶縁膜411はできるだけ水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用い
ないことが重要である。
【0323】
なお、上記洗浄処理を行った場合でも、絶縁膜411を形成する前に基板400を大気に
さらすと、大気中に含まれる炭素などの不純物が、半導体膜403及び絶縁膜408の表
面に付着することがある。そこで、本発明の一態様では、絶縁膜411を形成するための
処理室内において、絶縁膜411を形成する前に、半導体膜403及び絶縁膜408の表
面に付着した炭素などの不純物を、酸素、一酸化二窒素、もしくは希ガス(代表的にはア
ルゴン)などを用いたプラズマ処理により洗浄し、炭素などの不純物を除去するようにし
ても良い。そして、プラズマ処理による不純物の除去を行った後、基板400を大気にさ
らすことなく、絶縁膜411を形成することで、半導体膜403及び絶縁膜408と絶縁
膜411の界面近傍に不純物が入り込むのを防ぎ、トランジスタのオフ電流の増加、或い
はトランジスタの電気的特性の劣化を防ぐことができる。
【0324】
また、上記絶縁膜411には、バリア性の高い材料を用いるのが望ましい。例えば、バリ
ア性の高い絶縁膜として、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アル
ミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜などを用いることができる。複数の積層され
た絶縁膜を用いる場合、酸素を含む酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を、上記バ
リア性の高い絶縁膜よりも、半導体膜403に近い側に形成する。そして、酸素を含む絶
縁膜を間に挟んで、半導体膜403と重なるように、バリア性の高い絶縁膜を形成する。
バリア性の高い絶縁膜を用いることで、半導体膜403内、ゲート絶縁膜402内、或い
は、半導体膜403と他の絶縁膜の界面とその近傍に、水分または水素などの不純物が入
り込むのを防ぐことができる。
【0325】
また、複数の積層された絶縁膜を絶縁膜411として用いる場合、1層目以外の絶縁膜と
して、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド
樹脂、エポキシ樹脂等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機
材料の他に、シロキサン系樹脂、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素、ア
ルミナ等を用いることができる。シロキサン系樹脂は、シリコン(Si)と酸素(O)と
の結合で骨格構造が構成される材料である。置換基として、水素の他、フッ素、フルオロ
基、有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)のうち、少なくとも1種を有していて
も良い。そして、絶縁膜411の形成には、その材料に応じて、CVD法、スパッタ法、
スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法)、印刷法(ス
クリーン印刷、オフセット印刷等)などの方法で形成する。また、ドクターナイフ、ロー
ルコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等の器具を用いて形成しても良い。或い
は、1層目以外の絶縁膜として、有機シランを用いて化学気相成長法により作製される酸
化珪素膜を用いることもできる。有機シランとしては、珪酸エチル(TEOS:Si(O
)、トリメチルシラン(TMS:(CHSiH)、テトラメチルシク
ロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS
)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC
)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等を用いることがで
きる。
【0326】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚300nmの酸化珪素膜を絶縁膜411
として用いる。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態
では100℃とする。
【0327】
次いで、図27(B)に示すように、ゲート絶縁膜402、半導体膜403、及び絶縁膜
411を、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより所望の形状に加工することで
、開口部412乃至開口部414を形成する。
【0328】
本実施の形態では、ICPエッチング法によるドライエッチングを用いて、ゲート絶縁膜
402、半導体膜403、及び絶縁膜411をパターニングする。具体的には、エッチン
グガスであるトリフルオロメタン、ヘリウム、メタンの流量をそれぞれ22.5sccm
、127.5sccm、5sccm、反応圧力を3.5Pa、下部電極の温度21℃、コ
イル型の電極に投入するRF(13.56MHz)電力を475W、下部電極(バイアス
側)に投入する電力を300Wとして、ドライエッチングを行う。
【0329】
開口部413が形成される領域は、導電膜409が形成されている領域の一部と重なって
いるため、開口部413において導電膜409は部分的に露出する。
【0330】
なお、図30は、上述の工程が終了した時点での、発光装置の上面図である。図30の一
点鎖線D5-D6における断面図が、図27(B)に相当する。
【0331】
次いで、図27(B)に示すように、開口部413において導電膜409と接する導電膜
416を形成する。導電膜416は画素電極として機能し、その一部は絶縁膜411上に
も設けられている。
【0332】
次いで、図27(C)に示すように、導電膜416の一部を覆うように、導電膜416上
に、開口部418を有する絶縁膜417を形成する。絶縁膜417の開口部418におい
て導電膜416はその一部が露出している。絶縁膜417は、有機樹脂膜、無機絶縁膜ま
たはシロキサン系絶縁膜を用いて形成することができる。有機樹脂膜ならば、例えばアク
リル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂など、無機絶縁膜ならば酸化珪素、窒化酸化
珪素などを用いることができる。特に感光性の有機樹脂膜を絶縁膜417に用い、導電膜
416上に開口部418を形成し、その開口部418の側壁が連続した曲率を持って形成
される傾斜面となるように形成することで、導電膜416と、後に形成される導電膜42
0とが接続するのを防ぐことができる。開口部418を形成するためのマスクを、液滴吐
出法または印刷法で形成することができる。また絶縁膜417自体を、液滴吐出法または
印刷法で形成することもできる。
【0333】
次いで、導電膜416及び絶縁膜417上に、EL層419及び導電膜420を、順に積
層するように形成する。上記工程により、絶縁膜417の開口部418において導電膜4
16、EL層419及び導電膜420が順に積層された発光素子515を形成することが
できる。
【0334】
なお、発光素子515は、発光素子515からの光が基板400の方向に向かうトップエ
ミッション構造であっても、発光素子515からの光が基板400と反対側の方向に向か
うボトムエミッション構造であっても良い。或いは、発光素子515からの光が基板40
0の方向と、基板400と反対側の方向とに向かうデュアルエミッション構造であっても
良い。上記3つの構造のうち、目的とする構造に合わせて、導電膜416、導電膜420
の、ぞれぞれの材料及び膜厚を選択するようにする。
【0335】
具体的に導電膜416または導電膜420として、酸化インジウム、酸化インジウム-酸
化スズ(ITO:Indium Tin Oxide)、珪素若しくは酸化珪素を含有し
た酸化インジウム-酸化スズ、酸化インジウム-酸化亜鉛(Indium Zinc O
xide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム、窒素を含ませた
Al-Zn系酸化物半導体、窒素を含ませたZn系酸化物半導体、窒素を含ませたSn-
Zn系酸化物半導体、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W
)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)
、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)の他、元素周期表の第1族または第2族に属する
元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシ
ウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、お
よびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム
(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金などを用いることができる。なお、導電
膜416は、例えばスパッタリング法や蒸着法(真空蒸着法を含む)等により上記材料を
用いて導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより当該導電膜
を所望の形状に加工することで、形成することができる。
【0336】
なお、発光素子515を形成したら、発光素子515が外気に曝されないように、発光素
子515を基板400とカバー材の間に封入することが好ましい。
【0337】
なお、本実施の形態では、トランジスタ513がシングルゲート構造である場合を例示し
ているが、必要に応じて、電気的に接続された複数の導電膜407を有することで、チャ
ネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造のトランジスタも形成することができる。
【0338】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0339】
(実施の形態9)
本発明の一態様に係る発光装置では、白色などの単色の光を発する発光素子と、カラーフ
ィルタを組み合わせることで、フルカラー画像の表示を行う、カラーフィルタ方式を採用
することができる。或いは、互いに異なる色相の光を発する複数の発光素子を用いて、フ
ルカラー画像の表示を行う方式を採用することもできる。この方式は、発光素子が有する
一対の電極間に設けられるEL層を、対応する色ごとに塗り分けるため、塗り分け方式と
呼ばれる。
【0340】
塗り分け方式の場合、EL層の塗り分けは、通常、メタルマスクなどのマスクを用いて、
蒸着法で行われる。そのため、画素のサイズは蒸着法によるEL層の塗り分け精度に依存
する。一方、カラーフィルタ方式の場合、塗り分け方式とは異なり、EL層の塗り分けを
行う必要がない。よって、塗り分け方式の場合よりも、画素サイズの縮小化が容易であり
、高精細の画素部を実現することができる。
【0341】
また、発光装置には、トランジスタが形成された基板、所謂素子基板側から発光素子の光
を取り出すボトムエミッション構造と、素子基板とは反対の側から発光素子の光を取り出
すトップエミッション構造とがある。トップエミッション構造の場合、発光素子から発せ
られる光を、配線、トランジスタ、容量素子などの各種素子によって遮られることがない
ため、ボトムエミッション構造に比べて、画素からの光の取り出し効率を高めることがで
きる。よって、トップエミッション構造は、発光素子に供給する電流値を低く抑えても、
高い輝度を得ることができるため、発光素子の長寿命化に有利である。
【0342】
また、本発明の一態様に係る発光装置では、EL層から発せられる光を発光素子内で共振
させる、マイクロキャビティ(微小光共振器)構造を有していても良い。マイクロキャビ
ティ構造により、特定の波長の光について、発光素子からの取り出し効率を高めることが
できるので、画素部の輝度と色純度を向上させることができる。
【0343】
図31に、画素の断面図を、一例として示す。なお、図31では、赤に対応する画素の断
面の一部、青に対応する画素の断面の一部と、緑に対応する画素の断面の一部とを示して
いる。
【0344】
具体的に、図31では、赤に対応した画素340rと、緑に対応した画素340gと、青
に対応した画素340bとが示されている。画素340r、画素340g、画素340b
は、それぞれ陽極715r、陽極715g、陽極715bを有する。上記陽極715r、
陽極715g、陽極715bは、画素340r、画素340g、画素340bのそれぞれ
において、基板740に形成された絶縁膜750の上に設けられている。
【0345】
そして、陽極715r、陽極715g、及び陽極715b上には絶縁膜を有する隔壁73
0が設けられている。隔壁730は開口部を有し、上記開口部において、陽極715r、
陽極715g、及び陽極715bが、それぞれ一部露出している。また、上記露出してい
る領域を覆うように、隔壁730上に、EL層731と、可視光に対して透光性を有する
陰極732とが、順に積層されている。
【0346】
陽極715rと、EL層731と、陰極732とが重なる部分が、赤に対応した発光素子
741rに相当する。陽極715gと、EL層731と、陰極732とが重なる部分が、
緑に対応した発光素子741gに相当する。陽極715bと、EL層731と、陰極73
2とが重なる部分が、青に対応した発光素子741bに相当する。
【0347】
また、基板742は、発光素子741r、発光素子741g、及び発光素子741bを間
に挟むように、基板740と対峙している。基板742上には、画素340rに対応した
着色層743r、画素340gに対応した着色層743g、画素340bに対応した着色
層743bが設けられている。着色層743rは、赤に対応した波長領域の光の透過率が
、他の波長領域の光の透過率より高い層であり、着色層743gは、緑に対応した波長領
域の光の透過率が、他の波長領域の光の透過率より高い層であり、着色層743bは、青
に対応した波長領域の光の透過率が、他の波長領域の光の透過率より高い層である。
【0348】
さらに、基板742上には、着色層743r、着色層743g、着色層743bを覆うよ
うに、オーバーコート744が設けられている。オーバーコート744は、着色層743
r、着色層743g、着色層743bを保護するための、可視光に対して透光性を有する
層であり、平坦性の高い樹脂材料を用いるのが好ましい。着色層743r、着色層743
g、及び着色層743bと、オーバーコート744とを合わせてカラーフィルタと見なし
ても良いし、着色層743r、着色層743g、及び着色層743bのそれぞれをカラー
フィルタと見なしても良い。
【0349】
そして、図31では、陽極715rに、可視光の反射率が高い導電膜745rと、可視光
の透過率が上記導電膜745rよりも高い導電膜746rとを、順に積層して用いる。ま
た、陽極715gに、可視光の反射率が高い導電膜745gと、可視光の透過率が上記導
電膜745gよりも高い導電膜746gとを、順に積層して用いる。導電膜746gの膜
厚は、導電膜746rの膜厚よりも小さいものとする。また、陽極715bに、可視光の
反射率が高い導電膜745bを用いる。
【0350】
よって、図31に示す発光装置では、発光素子741rにおいて、EL層731から発せ
られた光の光路長は、導電膜745rと陰極732の距離により調節することができる。
また、発光素子741gにおいて、EL層731から発せられた光の光路長は、導電膜7
45gと陰極732の距離により調節することができる。また、発光素子741bにおい
て、EL層731から発せられた光の光路長は、導電膜745bと陰極732の距離によ
り調節することができる。
【0351】
本発明の一態様では、発光素子741rと、発光素子741gと、発光素子741bにそ
れぞれ対応する光の波長に合わせて、上記光路長を調整することで、EL層731から発
せられた光を上記各発光素子内において共振させる、マイクロキャビティ構造としても良
い。
【0352】
上記マイクロキャビティ構造を、本発明の一態様に係る発光装置に採用することで、発光
素子741rから発せられる光において、赤に対応した波長を有する光の強度が、共振に
より高まる。よって、着色層743rを通して得られる赤の光の色純度及び輝度が高まる
。また、発光素子741gから発せられる光において、緑に対応した波長を有する光の強
度が、共振により高まる。よって、着色層743gを通して得られる緑の光の色純度及び
輝度が高まる。また、発光素子741bから発せられる光において、青に対応した波長を
有する光の強度が、共振により高まる。よって、着色層743bを通して得られる青の光
の色純度及び輝度が高まる。
【0353】
なお、図31では、赤、緑、青の3色に対応する画素を用いる構成について示したが、本
発明の一態様では、当該構成に限定されない。本発明の一態様で用いる色の組み合わせは
、例えば、赤、緑、青、黄の4色、または、シアン、マゼンタ、イエローの3色を用いて
いても良い。或いは、上記色の組み合わせは、淡色の赤、緑、及び青、並びに濃色の赤、
緑、及び青の6色を用いていても良い。或いは、上記色の組み合わせは、赤、緑、青、シ
アン、マゼンタ、イエローの6色を用いていても良い。
【0354】
なお、例えば、赤、緑、及び青の画素を用いて表現できる色は、色度図上のそれぞれの発
光色に対応する3点が描く三角形の内側に示される色に限られる。従って、赤、緑、青、
黄の画素を用いた場合のように、色度図上の該三角形の外側に発光色が存在する発光素子
を別途加えることで、当該発光装置において表現できる色域を拡大し、色再現性を豊かに
することができる。
【0355】
また、図31では、発光素子741r、発光素子741g、発光素子741bのうち、光
の波長λが最も短い発光素子741bにおいて、可視光の反射率が高い導電膜745bを
陽極として用い、他の発光素子741r、発光素子741gにおいては、膜厚が互いに異
なる導電膜746r及び導電膜746gを用いることにより、光路長を調整している。本
発明の一態様では、波長λが最も短い発光素子741bにおいても、可視光の反射率が高
い導電膜745b上に、導電膜746r及び導電膜746gのような、透過率の高い導電
膜を設けていても良い。ただし、図31に示すように、波長λが最も短い発光素子741
bにおいて、可視光の反射率が高い導電膜745bで陽極を構成する場合、全ての発光素
子において、陽極に透過率が高い導電膜を用いる場合よりも、陽極の作製工程が簡素化さ
れるため、好ましい。
【0356】
なお、可視光の反射率が高い導電膜745bは、可視光の透過率が高い導電膜746r及
び導電膜746gに比べて、仕事関数が小さい場合が多い。よって、光の波長λが最も短
い発光素子741bでは、発光素子741r、発光素子741gに比べて、陽極715b
からEL層731への正孔注入が行われにくいため、発光効率が低い傾向にある。そこで
、本発明の一態様では、光の波長λが最も短い発光素子741bにおいて、EL層731
のうち、可視光の反射率が高い導電膜745bと接する層において、正孔輸送性の高い物
質に、当該正孔輸送性の高い物質に対してアクセプター性(電子受容性)を示す物質を含
有させた複合材料を用いることが好ましい。上記複合材料を、陽極715bに接して形成
することにより、陽極715bからEL層731への正孔注入が行われやすくなり、発光
素子741bの発光効率を高めることができる。
【0357】
アクセプター性を示す物質としては、7,7,8,8-テトラシアノ-2,3,5,6-
テトラフルオロキノジメタン(略称:F4-TCNQ)、クロラニル等を挙げることがで
きる。また、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃
至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸
化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガ
ン、酸化レニウムはアクセプター性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは
大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0358】
複合材料に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘
導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、
種々の化合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔
輸送性の高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10-6cm/Vs以上
の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い
物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0359】
また、可視光の反射率が高い導電膜745r、導電膜745g、導電膜745bとしては
、例えば、アルミニウム、銀、または、これらの金属材料を含む合金等を、単層で、或い
は積層することで、形成することができる。また、導電膜745r、導電膜745g、導
電膜745bを、反射率の高い導電膜と、膜厚の薄い導電膜(好ましくは20nm以下、
更に好ましくは10nm以下)とを積層させて、形成してもよい。例えば、反射率の高い
導電膜上に、薄いチタン膜やモリブデン膜を積層して、導電膜745bを形成することに
より、反射率の高い導電膜(アルミニウム、アルミニウムを含む合金、または銀など)の
表面に酸化膜が形成されるのを防ぐことができる。
【0360】
また、可視光の透過率が高い導電膜746r及び導電膜746gには、例えば、酸化イン
ジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物などを用いる
ことができる。
【0361】
また、陰極732は、例えば、光を透過する程度の薄い導電膜(好ましくは20nm以下
、更に好ましくは10nm以下)と、導電性の金属酸化物で構成された導電膜とを積層す
ることで、形成することができる。光を透過する程度の薄い導電膜は、銀、マグネシウム
、またはこれらの金属材料を含む合金等を、単層で、或いは積層して形成することができ
る。導電性の金属酸化物としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、インジウム錫
酸化物、インジウム亜鉛酸化物、またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませ
たものを用いることができる。
【0362】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0363】
(実施の形態10)
次いで、本発明の一態様に係る発光装置のパネルの外観について、図32を用いて説明す
る。図32(A)は、基板6001と基板6006とをシール材6005によって接着さ
せたパネルの上面図であり、図32(B)は、図32(A)の一点鎖線E1-E2におけ
る断面図に相当する。
【0364】
基板6001上に設けられた画素部6002と、走査線駆動回路6004とを囲むように
、シール材6005が設けられている。また、画素部6002、走査線駆動回路6004
の上に基板6006が設けられている。よって、画素部6002と走査線駆動回路600
4は、基板6001とシール材6005と基板6006とによって、充填材6007と共
に封止されている。
【0365】
充填材6007としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂また
は熱硬化樹脂を用いることができる。シール材6005には、樹脂(紫外線硬化性樹脂、
熱硬化性樹脂など)、またはガラスフリットなどを用いることができる。
【0366】
また、基板6001上のシール材6005によって囲まれている領域とは異なる領域に、
信号線駆動回路6003が形成された基板6021が、実装されている。図32では、信
号線駆動回路6003に含まれるトランジスタ6009を例示している。なお、本実施の
形態では、走査線駆動回路6004が画素部6002と共に基板6001上に形成されて
いる場合を例示しているが、別の基板に形成された走査線駆動回路6004が基板600
1に実装されていても良い。また、本実施の形態では、基板6021に形成された信号線
駆動回路6003が基板6001に実装されている場合を例示しているが、信号線駆動回
路6003が画素部6002と共に基板6001上に形成されていても良い。或いは、信
号線駆動回路6003の一部、または走査線駆動回路6004の一部が、画素部6002
と共に基板6001上に形成されていても良い。
【0367】
また、基板6001上に設けられた画素部6002、走査線駆動回路6004は、トラン
ジスタを複数有している。図32(B)では、画素部6002に含まれるトランジスタ6
008及びトランジスタ6010を図示している。発光素子6011が有する画素電極6
030は、トランジスタ6010に接続されている。画素電極6030と対向電極603
1とEL層6029とが重なっている部分が、発光素子6011に相当する。
【0368】
また、基板6006に形成されている遮蔽膜6040は、トランジスタ6008及びトラ
ンジスタ6010が形成されている領域と重なっている。また、基板6006には、カラ
ーフィルタとして機能する、特定の波長領域の可視光のみを優先的に透過する着色層60
41が形成されており、着色層6041は、発光素子6011が形成されている領域と重
なっている。
【0369】
赤、青、緑に対応する波長領域の光を、それぞれ優先的に透過するような着色層6041
を画素ごとに設け、白の光が得られる発光素子6011を用いることで、フルカラーの画
像を表示することができる。或いは、赤の光が得られる発光素子6011と赤に対応する
着色層6041を組み合わせ、青の光が得られる発光素子6011と青に対応する着色層
6041を組み合わせ、なおかつ、緑の光が得られる発光素子6011と緑に対応する着
色層6041を組み合わせることで、色純度の高いフルカラーの画像を表示することがで
きる。或いは、着色層6041を設けずに、赤、青、緑の光がそれぞれ得られる複数の発
光素子6011を画素部6002に設けることで、フルカラーの画像を表示することがで
きる。
【0370】
なお、図32では、遮蔽膜6040と着色層6041とを、基板6006側に設けた場合
を例示しているが、遮蔽膜6040または着色層6041を、基板6001側に設けても
良い。発光素子6011への光の入射方向と、発光素子6011を透過した光の射出方向
とに合わせて、適宜、遮蔽膜6040と着色層6041の設ける位置を定めることができ
る。
【0371】
また、信号線駆動回路6003、走査線駆動回路6004、画素部6002に与えられる
各種信号及び電位は、引き回し配線6014及び6015を介して、接続端子6016か
ら供給されている。接続端子6016は、FPC6018が有する端子及び異方性導電膜
6019を介して電気的に接続されている。
【0372】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0373】
(実施の形態11)
図33は、本発明の一態様に係る発光装置の斜視図の一例である。
【0374】
図33に示す発光装置は、パネル2601と、回路基板2602と、COFテープ260
3と信号線駆動回路の形成されたチップ2604とを有している。信号線駆動回路の形成
されたチップ2604は、COF(Chip On Film)法を用いてCOFテープ
2603に接続されている。回路基板2602には、パネル2601に入力される各種信
号を生成する回路、またはこれら信号に処理を施す回路などが設けられている。そして、
回路基板2602から、COFテープ2603を介して、各種信号及び電位がパネル26
01に入力される。
【0375】
パネル2601は、画素が複数設けられた画素部2605と、走査線駆動回路2606と
を有する。走査線駆動回路2606は、画素部2605が有する複数の画素を、行ごとに
選択する。チップ2604に設けられた信号線駆動回路は、走査線駆動回路2606によ
って選択された行内の画素への、画像信号の入力を制御する。
【0376】
なお、COFテープ2603の代わりに、FPC(Flexible Printed
Circuit)などを用いて、回路基板2602とパネル2601を電気的に接続する
ことも可能である。
【0377】
また、COFテープ2603を用いる場合、回路基板2602内の一部の回路を別途用意
したチップに形成しておき、COF法を用いて当該チップをCOFテープ2603に接続
しておいても良い。また、走査線駆動回路2606の一部または全て、或いは信号線駆動
回路の一部をチップに形成し、COF法を用いて当該チップをCOFテープ2603に接
続しておいても良い。
【0378】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0379】
(実施の形態12)
本発明の一態様に係る液晶表示装置は、表示機器、パーソナルコンピュータ、記録媒体を
備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Dis
c等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いるこ
とができる。その他に、本発明の一態様に係る液晶表示装置または発光装置を用いること
ができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、
ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディス
プレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディ
オプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預
け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。これら電子機器の具体例を図1
6に示す。
【0380】
図16(A)は携帯型ゲーム機であり、筐体5001、筐体5002、表示部5003、
表示部5004、マイクロホン5005、スピーカー5006、操作キー5007、スタ
イラス5008等を有する。表示部5003または表示部5004に、本発明の一態様に
係る液晶表示装置または発光装置を用いることで、信頼性の高い携帯型ゲーム機を提供す
ることができる。なお、図16(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部5003
と表示部5004とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定
されない。
【0381】
図16(B)は表示機器であり、筐体5201、表示部5202、支持台5203等を有
する。表示部5202に本発明の一態様に係る液晶表示装置または発光装置を用いること
で、信頼性の高い表示機器を提供することができる。なお、表示機器には、パーソナルコ
ンピュータ用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用表示機器が含まれる
【0382】
図16(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、筐体5401、表示部5402
、キーボード5403、ポインティングデバイス5404等を有する。表示部5402に
本発明の一態様に係る液晶表示装置または発光装置を用いることで、信頼性の高いノート
型パーソナルコンピュータを提供することができる。
【0383】
図16(D)は携帯情報端末であり、第1筐体5601、第2筐体5602、第1表示部
5603、第2表示部5604、接続部5605、操作キー5606等を有する。第1表
示部5603は第1筐体5601に設けられており、第2表示部5604は第2筐体56
02に設けられている。そして、第1筐体5601と第2筐体5602とは、接続部56
05により接続されており、第1筐体5601と第2筐体5602の間の角度は、接続部
5605により変更が可能となっている。第1表示部5603における映像の切り替えを
、接続部5605における第1筐体5601と第2筐体5602との間の角度に従って、
切り替える構成としても良い。また、第1表示部5603及び第2表示部5604の少な
くとも一方に、位置入力装置としての機能が付加された液晶表示装置または発光装置を用
いるようにしても良い。なお、位置入力装置としての機能は、液晶表示装置または発光装
置にタッチパネルを設けることで付加することができる。或いは、位置入力装置としての
機能は、フォトセンサとも呼ばれる光電変換素子を液晶表示装置または発光装置の画素部
に設けることでも、付加することができる。第1表示部5603または第2表示部560
4に本発明の一態様に係る液晶表示装置または発光装置を用いることで、信頼性の高い携
帯情報端末を提供することができる。
【0384】
図16(E)はビデオカメラであり、第1筐体5801、第2筐体5802、表示部58
03、操作キー5804、レンズ5805、接続部5806等を有する。操作キー580
4及びレンズ5805は第1筐体5801に設けられており、表示部5803は第2筐体
5802に設けられている。そして、第1筐体5801と第2筐体5802とは、接続部
5806により接続されており、第1筐体5801と第2筐体5802の間の角度は、接
続部5806により変更が可能となっている。表示部5803における映像の切り替えを
、接続部5806における第1筐体5801と第2筐体5802との間の角度に従って行
う構成としても良い。表示部5803に本発明の一態様に係る液晶表示装置または発光装
置を用いることで、信頼性の高いビデオカメラを提供することができる。
【0385】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0386】
10 画素部
11 画素
12 トランジスタ
13 液晶素子
14 容量素子
100 トランジスタ
101 ゲート電極
102 ゲート絶縁膜
103 半導体膜
104 絶縁膜
105 導電膜
106a 導電膜
106b 導電膜
107 絶縁膜
108 開口部
109 画素電極
110 開口部
111 導電膜
202 基板
203 導電膜
204 ゲート絶縁膜
205 半導体膜
206 絶縁膜
207 導電膜
208 導電膜
210 導電膜
211 導電膜
212 絶縁膜
213 開口部
213a 開口部
213b 開口部
214 開口部
215 導電膜
216 導電膜
217 絶縁膜
300 トランジスタ
301 ゲート電極
302 ゲート絶縁膜
303 半導体膜
304 絶縁膜
305 導電膜
306a 導電膜
306b 導電膜
307 絶縁膜
308 開口部
309 画素電極
310 開口部
311 導電膜
320 絶縁膜
321 開口部
322 EL層
323 対向電極
324 発光素子
340b 画素
340g 画素
340r 画素
400 基板
401 導電膜
402 ゲート絶縁膜
403 半導体膜
404 絶縁膜
405 導電膜
406 導電膜
407 導電膜
408 絶縁膜
409 導電膜
410 導電膜
411 絶縁膜
412 開口部
412a 開口部
412b 開口部
413 開口部
414 開口部
415 導電膜
416 導電膜
417 絶縁膜
418 開口部
419 EL層
420 導電膜
510 画素部
511 画素
512 トランジスタ
513 トランジスタ
514 容量素子
515 発光素子
715b 陽極
715g 陽極
715r 陽極
730 隔壁
731 EL層
732 陰極
740 基板
741b 発光素子
741g 発光素子
741r 発光素子
742 基板
743b 着色層
743g 着色層
743r 着色層
744 オーバーコート
745b 導電膜
745g 導電膜
745r 導電膜
746g 導電膜
746r 導電膜
750 絶縁膜
1601 パネル
1602 拡散板
1603 プリズムシート
1604 拡散板
1605 導光板
1606 反射板
1607 光源
1608 回路基板
1609 COFテープ
1610 FPC
1611 基板
1620 バックライト
2601 パネル
2602 回路基板
2603 COFテープ
2604 チップ
2605 画素部
2606 走査線駆動回路
4001 基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 対向基板
4007 液晶層
4009 トランジスタ
4010 トランジスタ
4011 液晶素子
4014 配線
4016 接続端子
4018 FPC
4019 異方性導電膜
4021 基板
4030 画素電極
4031 対向電極
4035 スペーサ
4040 遮蔽膜
4041 着色層
5001 筐体
5002 筐体
5003 表示部
5004 表示部
5005 マイクロホン
5006 スピーカー
5007 操作キー
5008 スタイラス
5201 筐体
5202 表示部
5203 支持台
5401 筐体
5402 表示部
5403 キーボード
5404 ポインティングデバイス
5601 筐体
5602 筐体
5603 表示部
5604 表示部
5605 接続部
5606 操作キー
5801 筐体
5802 筐体
5803 表示部
5804 操作キー
5805 レンズ
5806 接続部
6001 基板
6002 画素部
6003 信号線駆動回路
6004 走査線駆動回路
6005 シール材
6006 基板
6007 充填材
6008 トランジスタ
6009 トランジスタ
6010 トランジスタ
6011 発光素子
6014 配線
6016 接続端子
6018 FPC
6019 異方性導電膜
6021 基板
6029 EL層
6030 画素電極
6031 対向電極
6040 遮蔽膜
6041 着色層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33