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  • 特許-染色専用トリートメント組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】染色専用トリートメント組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20221201BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20221201BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20221201BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A61K8/41
A61K8/362
A61K8/46
A61Q5/12
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021000761
(22)【出願日】2021-01-06
(65)【公開番号】P2021109876
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2021-01-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0001933
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519050598
【氏名又は名称】サムイン ケミカル カンパニー,リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】515162419
【氏名又は名称】ジュ,ソン チョル
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ソン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン,ナム モク
(72)【発明者】
【氏名】シム,ミョン ソプ
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特許第6799096(JP,B2)
【文献】特表2016-523844(JP,A)
【文献】特開2018-076278(JP,A)
【文献】国際公開第2020/090793(WO,A1)
【文献】L'Oreal, 1-Day Color Hair Makeup, Mintel GNPD [online],2019年04月, [検索日 2021.11.26], インターネット<URL:https//portal.mintel.com>, ID#:6502653
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソホロンジアミンジマレアート(Isophoronediamine dimaleate) を有効成分として含むことを特徴とする、染色専用トリートメント組成物。
【請求項2】
イソホロンジアミンジマレアート(Isophoronediamine dimaleate) またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)を有効成分として含む染色専用トリートメント組成物であって、前記染色専用トリートメント組成物は、pHが3.5~4.5の範囲であることを特徴とする染色専用トリートメント組成物。
【請求項3】
前記イソホロンジアミンジマレアート(Isophoronediamine dimaleate)または前記シスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)は、前記染色専用トリートメント組成物の全含有量のうち1~50重量%の重量割合で含まれることを特徴とする、請求項2に記載の染色専用トリートメント組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染色専用トリートメント組成物に関し、より詳細にはジアミンマレイン酸、特にイソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)を含む染色専用トリートメント組成物を製造することにより、従来の染色より若白髪染めに優れ、色落ちや染色による毛髪損傷を防止することのできる染色専用トリートメント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人類において、健康と美を整えることは、自分自身に満足をもたらし、他人に自らを誇示する手段ともなる。生活に余裕が生じると、人は健康と美に対する多くの努力と時間と投資を惜しまなくなり、文化レベルが向上するにつれて、顔の化粧だけでなく、頭髪や体全体の美容も重要であると考えるようになる。
【0003】
しかしながら、このような美容に対する高い関心は、パーマ、ヘアドライヤー、ヘアカラーリング、ヘアマニキュアなど過大な毛髪美容施術を招いており、それにより毛髪や皮膚の物理的、化学的損傷などの逆効果も生じている。
【0004】
近年、脱色、染色、ホットパーマが流行するにつれて毛髪損傷が急激に増加しているが、そのような毛髪は一度損傷すると復元不可能である。市販されているヘアエッセンス、ヘアトリートメントはまるで損傷した毛髪の復元が可能であるかのように宣伝しているが、シリコン、界面活性剤を用いた製品により消費者が一時的に復元したように感じるだけである。
【0005】
一方、染毛剤は、毛髪を染色した色の持続性と耐久性によって一時染毛剤、半永久染毛剤、永久染毛剤に分けられる。これらのうち永久染毛剤は、用いられる染料によって酸化染毛剤、金属染毛剤、植物染毛剤などに分けられ、現在用いられているほとんどの染毛剤は、酸化染料前駆体やアミノ化合物などの酸化染料を用いる酸化染毛剤である。
【0006】
しかしながら、酸化染毛剤は、合成染料を含む化学染毛剤であり、毛髪損傷、発疹及び接触性皮膚反応、視力障害が生じ、頻繁に用いると白血病、膀胱癌、子宮癌、乳癌などを引き起こすという問題があり、毒性により妊産婦は用いることができず、染色時に悪臭が発生するなどの欠点がある。
【0007】
前記問題を解決する方法として、人体に無害で環境にやさしい天然染毛剤の開発が求められている。現在、最も古い代表的な天然染毛剤は、インド、中東などの熱帯地方に自生する植物から採取するヘナ(Henna)であり、数千年にわたって人類のヘアカラーリングに用いられている。ヘナ以外にも、墨汁、ウォールナット(Walnut)、インディゴ(Indigo)、カモミール(Camomile)などが用いられており、それぞれヘナは赤色系、ウォールナットは茶色系、墨汁は黒色系、インディゴは藍色系、カモミールは黄色系に発色する。
【0008】
酸化染毛剤は、一般に第1剤と第2剤を混合し、第1剤に入っている染料間で酸化重合反応を起こすことにより発色する。また、第2剤に入っている過酸化水素が毛髪のメラニン色素を分解して毛髪を脱色することにより毛髪の色を明るくするので、より鮮明に発色する。
【0009】
酸化染料は、大きさが小さいので毛髪のコルテックス層まで入るが、酸化反応により重合体が形成されると、毛髪の中に入ることが困難になる。このように酸化染料が毛髪に浸透する前に重合反応を起こして分子の大きさが大きくなると、毛髪における染色性も低下し、染色後の色持続性も低下する。
【0010】
よって、本発明者らは、染毛剤の染色性及び色持続性の低下と染色による毛髪損傷を最小限に抑える方法について研究した結果、イソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)を含む染色専用トリートメント組成物を製造することにより、従来の染色より若白髪染めに優れ、色落ちや染色による毛髪損傷を防止することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国登録特許第10-1294245号公報
【文献】韓国公開特許第10-2018-0127558号公報
【文献】韓国登録特許第10-1800681号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】Son et al,Korea J Food&Nutr,2005,18:219-224
【文献】Park et al,J East Asian Soc dietary Life,2004,14:634-639
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、ジアミンマレイン酸、特にイソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)を含む染色専用トリートメント組成物を製造することにより、従来の染色より若白髪染めに優れ、色落ちや染色による毛髪損傷を防止することのできる染色専用トリートメント組成物を提供することを課題とする。
【0014】
本発明が解決しようとする様々な課題は、前記課題に限定されるものではなく、言及していない他の課題は以下の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による染色専用トリートメント組成物は、イソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)を有効成分として含む。
【0016】
前記イソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)または前記シスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)を有効成分として含む組成物は、pHが3.5~4.5の範囲であってもよい。
【0017】
前記イソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)または前記シスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)は、組成物の全含有量のうち1~50重量%の重量割合で含まれてもよい。
【0018】
その他、実施例の具体的な事項については後述する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による染色専用トリートメント組成物は、ジアミンマレイン酸、特にイソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)を含むことにより、従来の染色より若白髪染めに優れ、色落ちや染色による毛髪損傷を防止することができる。
【0020】
本発明の技術的思想の実施例により、具体的に言及していない様々な効果を発揮することが十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による染色専用トリートメント組成物を用いた後の試験毛髪の状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の利点及び特徴、並びにそれらを達成する方法は、詳細に後述する実施例を参照することにより明確になるであろう。しかしながら、本発明は、後述する実施例に限定されるものではなく、他の形態で実施することもできる。むしろ、後述する実施例は、開示内容が徹底して完全なものになるように、また当業者が本発明の思想を十分に理解できるようにするために提供するものである。
【0023】
本発明に用いる用語は、単に特定の実施例について説明するために用いるものであり、本発明を限定するものではない。単数の表現には、特に断らない限り複数の表現が含まれる。
【0024】
特に断らない限り、技術的または科学的な用語をはじめとして本発明に用いる全ての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者により一般に理解されるものと同じ意味で用いる。一般に用いられる辞書に定義されている用語は、関連技術における文脈上の意味を捉えて解釈されるべきであり、特に断らない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されるものではない。
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明による染色専用トリートメント組成物について詳細に説明する。
【0026】
本発明による染色専用トリートメント組成物は、イソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)を有効成分として含む。
【0027】
また、本発明による染色専用トリートメント組成物は、pHが3.5~4.5の範囲であってもよい。
【0028】
さらに、本発明による染色専用トリートメント組成物における前記イソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)または前記シスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)は、組成物の全含有量のうち1~50重量%の重量割合で含まれてもよい。
【0029】
一般に、染色の原理は、酸化染料を毛髪に浸透させて過酸化水素水で酸化することにより、重合、発色させるというものであるが、本発明による染色専用トリートメント組成物においては、イソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)に存在する二重結合(-C=C-)が重合を促進し、従来の酸化重合体より分子量が大きい重合体を形成することで、より鮮明で濃い色が得られると共に、染色中に発生するジスルフィド結合(disulfide bond;-S-S-結合)の切断を回復させることができる。
【0030】
すなわち、一般の染色は、化学式1に示すように、酸化染料(para-phenylenediamine etc)が過酸化水素水と反応し、中間前駆体を経て最終高分子重合体を形成する原理によるものである。
【0031】
【化1】
【0032】
化学式1において、最終物質であるdark shades重合体と本発明によるイソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)の二重結合が反応して分子量が大きい重合体を形成し、より鮮明で濃い染色効果が得られる。
【0033】
また、本発明による染色専用トリートメント組成物におけるイソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)の二重結合が損傷した毛髪の切断されたジスルフィド結合を再結合させるという効果を発揮するので、損傷した毛髪の回復にも優れた効果を発揮する。
【0034】
一般に、頻繁な染色、脱色及びパーマ施術により毛髪のジスルフィド結合が切断されて毛髪が損傷し、損傷した毛髪にチオール(Thiol;-SH)残基が増加するが、本発明による染色専用トリートメント組成物におけるイソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)は、前述したように損傷した毛髪のジスルフィド結合を回復させるので、損傷した毛髪を復元させる。
【0035】
【化2】
【0036】
【化3】
【0037】
以下、具体的な実験例を挙げて、本発明による染色専用トリートメント組成物についてより詳細に説明する。
【0038】
次の成分組成表及び重量比となるように染色専用トリートメント組成物を製造した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
3.実験方法
脱色した毛髪に実験例1、2の重量割合で配合したトリートメント組成物を適量塗布して10分間放置し、その後微温水で洗浄してドライヤーで乾燥させ、それを未処理の毛髪と比較試験した。
【0042】
4.染毛剤の使用
市販されている濃褐色(3N)の染毛剤により脱色した毛髪を染色して用いてもよく、次のように作製した染毛剤を用いてもよい。
【0043】
前記染毛剤は、酸化染料、アルカリ化剤及び天然抽出物を含む第1剤と、前記第1剤と混合して用いられ、酸化剤を含む第2剤とからなる。
【0044】
前記酸化染料は、染毛作用を有し、前記アルカリ化剤は、毛髪の膨潤作用を有し、前記酸化染料が毛髪に浸透するようにし、前記酸化剤は、前記第1剤を酸化して前記酸化染料が毛髪に固定されるようにする染着作用を有する。
【0045】
本発明において、前記第1剤は、精製水(D.I.Water)、2-アミノ-5-ニトロフェノール、ポリクオタニウム10(Polyquaternium-10)、ポリソルベート80(Polysorbate 80)、テトラナトリウムEDTA(Tetrasodium EDTA(EDTA-4Na))、p-フェニレンジアミン、m-アミノフェノール、エタノールアミンチオグリコレート(Ethanolamine Thioglycolate)、PEG-60キャスターオイル(PEG-60 Castor Oil)、香料(perfume)、ジメチコン(Dimethicone)、オレイン酸、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ベヘニルアルコール(Behenyl Alcohol)、ケイ酸ナトリウム、ミリスチルアルコール(Myristyl Alcohol)、モノエタノールアミン、シクロデキストリン(Cyclodextrin)、アラントイン(Allantoin)、アロエ抽出物(Aloe Extract)、ヒドロキシプロピルキトサン液(Hydroxypropyl Chitosan)、ツバキオイル、ドクダミ抽出液及び天然植物抽出液を含む。
【0046】
また、本発明による天然染毛剤組成物において、前記第1剤は、精製水(D.I.Water)80~85重量部、2-アミノ-5-ニトロフェノール1.5~2.5重量部、ポリクオタニウム10(Polyquaternium-10)1.5~2.0重量部、ポリソルベート80(Polysorbate 80)1~3重量部、テトラナトリウムEDTA(Tetrasodium EDTA(EDTA-4Na))0.02~0.04重量部、p-フェニレンジアミン0.8~1.2重量部、m-アミノフェノール1.5~2.5重量部、エタノールアミンチオグリコレート(Ethanolamine Thioglycolate)2.2~3.2重量部、PEG-60キャスターオイル(PEG-60 Castor Oil)1.2~1.5重量部、香料(perfume)0.2~0.5重量部、ジメチコン(Dimethicone)0.005~0.01重量部、オレイン酸0.3~0.9重量部、ポリオキシエチレンオレイルエーテル3~5重量部、ベヘニルアルコール(Behenyl Alcohol)2.5~4.5重量部、ケイ酸ナトリウム0.4~0.8重量部、ミリスチルアルコール(Myristyl Alcohol)1~3重量部、モノエタノールアミン1.1~1.3重量部、シクロデキストリン(Cyclodextrin)0.05~0.09重量部、アラントイン(Allantoin)0.007~0.013重量部、アロエ抽出物(Aloe Extract)0.05~0.07重量部、ヒドロキシプロピルキトサン液(Hydroxypropyl Chitosan)0.005~0.015重量部、ツバキオイル0.1~1.3重量部、ドクダミ抽出液1~2重量部及び天然植物抽出液3~7重量部の重量割合で含む。
【0047】
本発明において、前記第2剤は、精製水(D.I.Water)、過酸化水素、ピロリン酸ナトリウム、メチルパラベン(Methyl Paraben(MP))、トリエタノールアミン(Triethanolamine)、エチドロン酸(Etidronic Acid)、セテアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル(Glyceryl Stearate)、ラノリンアルコール(Lanolin Alcohol)、香料(perfume)、セテアレス-20(Ceteareth-20)、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース(PEG-120 Methyl Glucose Dioleate)、ベヘニルアルコール(Behenyl Alcohol)、アラントイン(Allantoin)、プーアル茶抽出液及びタマネギ抽出液を含む。
【0048】
また、本発明において、前記第2剤は、精製水(D.I.Water)75~80重量部、過酸化水素10~20重量部、ピロリン酸ナトリウム0.5~1.5重量部、メチルパラベン(Methyl Paraben(MP))0.8~1.2重量部、トリエタノールアミン(Triethanolamine)0.5~1.5重量部、エチドロン酸(Etidronic Acid)1~2重量部、セテアリルアルコール1~3重量部、ステアリン酸グリセリル(Glyceryl Stearate)0.1~0.5重量部、ラノリンアルコール(Lanolin Alcohol)1.2~2.2重量部、香料(perfume)0.3~0.5重量部、セテアレス-20(Ceteareth-20)0.15~0.35重量部、ジオレイン酸PEG-120メチルグルコース(PEG-120 Methyl Glucose Dioleate)0.25~0.45重量部、アラントイン(Allantoin)0.1~0.3重量部、プーアル茶抽出液2~4重量部及びタマネギ抽出液1~2重量部を含む。
【0049】
【表3】
【0050】
前記実験表において、区分Aは、従来の染色方法により、染毛剤を塗布し、20分間放置して洗浄、乾燥させたものであり、区分Bは、染毛剤を塗布して10分経過後に実験例1の溶液を再塗布し、10分間放置して洗浄、乾燥させたものであり、区分Cは、染毛剤を塗布して10分経過後に実験例2の溶液を再塗布し、10分間放置して洗浄、乾燥させたものである。
【0051】
6.実験結果
図1は、本発明による染色専用トリートメント組成物を用いた実験毛髪の状態を示す写真である。
【0052】
図1に示すように、区分A<区分B<区分Cの順に毛髪の色が濃くなることが確認された。
【0053】
また、染色毛髪を毎日シャンプーで洗髪し、10日後に色を比較した結果、区分Aの毛髪に比べて区分B、区分Cの毛髪の色落ちがはるかに少なかった。
【0054】
さらに、染色時に発生する毛髪の損傷度は、10人のパネラーの感覚実験の結果、区分Aの損傷度が最も大きく、区分B、区分Cはどちらも損傷がほとんどなかった。
【0055】
7.考察
染毛剤の染料として用いられるp-フェニレンジアミン(p-Phentlenediamine)は、染色第2剤の過酸化水素水により酸化して重合体を形成するが、本発明による染色専用トリートメント組成物におけるイソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)で処理すると、両物質に存在する-C=C-二重結合と反応して重合度が大きくなり、分子量が大きな重合体が形成され、色がさらに濃くなった。
【0056】
また、区分Bより区分Cの色が濃いのは、区分Bでは平面的な重合が増加し、区分Cではジスルフィド結合の非共有電子対による立体的な重合が増加したことによるものと判断される。
【0057】
【表4】
【0058】
区分Aに比べて区分B、区分Cの色落ちが少なく、色維持力に優れているのは、区分B、区分Cの酸化重合体の分子量が大きくなり、キューティクルを介して毛髪の外部に抜け出ることが困難になるためであり、区分Aに比べて区分B、区分Cの染色後の損傷が少ないのは、ジアミンジマレアート(Diamine dimaleate)塩が染色中に発生するジスルフィド結合の切断を回復させるからである。
【0059】
本発明による染色専用トリートメント組成物において、染色時にイソホロンジアミンジマレアートIsophoronediamine dimaleate)またはシスタミンジマレアート(Cystamine dimaleate)を主成分とするトリートメントを用いることにより、さらに濃い色と色維持力が増加し、染色時に発生する毛髪損傷を防止することができた。
【0060】
以上、本発明の好ましい一実施例について説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施できることを理解するであろう。よって、前記実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。
図1