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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】太陽電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0236 20060101AFI20221201BHJP
   H01L 31/0747 20120101ALI20221201BHJP
【FI】
H01L31/04 280
H01L31/06 455
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020019387
(22)【出願日】2020-02-07
(62)【分割の表示】P 2018095807の分割
【原出願日】2018-05-18
(65)【公開番号】P2020098929
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-03-05
(31)【優先権主張番号】10-2017-0062478
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0171553
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】LG ELECTRONICS INC.
【住所又は居所原語表記】128, Yeoui-daero, Yeongdeungpo-gu, 07336 Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(72)【発明者】
【氏名】ギョンスゥ リー
(72)【発明者】
【氏名】ソンヒョン ファン
(72)【発明者】
【氏名】サンウク パク
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/168252(WO,A1)
【文献】特開2014-082285(JP,A)
【文献】特表2013-518426(JP,A)
【文献】特開2016-192436(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0085397(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0132264(US,A1)
【文献】特開2014-229876(JP,A)
【文献】国際公開第2017/010029(WO,A1)
【文献】特開2013-234106(JP,A)
【文献】国際公開第2016/052635(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L31/02-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
凸部と凹部を備えた凹凸部を備える半導体基板と、
前記凹凸部の上に配置されたパッシベーション層と、
酸化物層と、を備えてなり、
前記凹凸部は、前記半導体基板の第1面又は第2面の少なくとも1つの上に位置し、
前記酸化物層は、前記パッシベーション層と、前記半導体基板の一の面の前記凹凸部との間に、前記半導体基板の少なくとも1つの面の一部の上に配置されてなり、
前記酸化物層は非晶質酸化物を含んでなり、
前記凹凸部は、前記半導体基板の前記第1面及び前記第2面の各々において位置し、
前記パッシベーション層は、前記半導体基板の前記第1面及び前記第2面の各々において前記凹凸部の上に配置されてなり、
前記酸化物層は、
前記半導体基板の前記第1面及び前記第2面の一の上に配置されてなり、及び、
前記半導体基板の前記第1面及び前記第2面の他の上に配置されないものであり、
前記酸化物層は、前記凹凸部における前記凸部と前記凹部に沿って、アイランド(island)形状に形成される、太陽電池。
【請求項2】
第1導電型領域と、第2導電型領域と、を更に備えてなり、
前記第1導電型領域は、前記半導体基板の前記第1面において前記パッシベーション層の上に配置されてなり、
前記第2導電型領域は、前記半導体基板の前記第2面において前記パッシベーション層の上に配置されてなる、請求項に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記酸化物層は、
前記半導体基板の後面の上に配置されてなり、及び、
前記半導体基板の前面の上に配置されないものである、請求項に記載の太陽電池。
【請求項4】
複数の第1フィンガー電極と、複数の第2フィンガー電極と、を更に備えてなり、
前記複数の第1フィンガー電極は、第1導電型領域と電気的に接続され、かつ、互いに離間されてなるものであり、
前記複数の第2フィンガー電極は、第2導電型領域と電気的に接続され、かつ、互いに離間されてなるものである、請求項2又は3に記載の太陽電池。
【請求項5】
両面受光型(bi-facial)構造を備えてなる、請求項1~4の何れか一項に記載の太陽電池。
【請求項6】
記パッシベーション層は、
前記凹凸部における前記凸部では第1厚さを有し、
前記凹凸部における前記凹部では前記第1厚さと異なる第2厚さを有する、請求項1~5の何れか一項に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記凸部及び前記凹部の各々は曲率を有してなり、
前記凸部の前記曲率は第1曲率半径を有してなり、及び
前記凹部の前記曲率は第2曲率半径を有してなる、請求項に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1曲率半径は前記第2曲率半径より小さいものである、請求項に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1厚さは前記第2厚さより小さいものである、請求項6~8の何れか一項に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記酸化物層はシリコン酸化物を含んでなり、又は、
前記パッシベーション層は非晶質シリコンを含んでなる、請求項1~の何れか一項に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第1導電型領域又は前記第2導電型領域は非晶質シリコンを含んでなる、請求項2~4の何れか一項に記載の太陽電池。
【請求項12】
結晶性は、前記酸化物層、前記パッシベーション層、並びに前記第1導電型領域又は前記第2導電型領域の順に小さくなる、請求項11に記載の太陽電池。
【請求項13】
太陽電池パネルであって、
請求項1~12の何れか一項に記載の太陽電池と、
前記太陽電池の前面に配置された第1部材と、及び
前記太陽電池の後面に配置された第2部材と、を備えてなる、太陽電池パネル。
【請求項14】
請求項1~12の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法であって、
半導体基板の第1面又は第2面の少なくとも1つの上に凸部と凹部を備える凹凸部を形成し、
前記凹凸部が位置する前記半導体基板の少なくとも1つの面の一部の上に非晶質酸化物を含んでなる酸化物層を形成し、及び、
前記酸化物層上にパッシベーション層を形成することを含んでなり、
前記酸化物層は、前記凹凸部における前記凸部と前記凹部に沿って、アイランド(island)形状に形成される、太陽電池の製造方法。
【請求項15】
前記凹凸部の形成工程は、
水酸化カリウム溶液を用いて前記半導体基板の表面をテクスチャリングし、
前記テクスチャリングされた半導体基板の表面を酸とフッ酸の混合溶液で再処理することを含んでなる、請求項14に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項16】
前記凹凸部の形成において、
前記凹凸部は、前記半導体基板の前記第1面及び前記第2面の各々において形成されてなり、
前記酸化物層の形成において、
前記酸化物層は、
前記半導体基板の前記第1面及び前記第2面の一の上に配置されてなり、及び、
前記半導体基板の前記第1面及び前記第2面の他の上に配置されないものであり、
前記パッシベーション層の形成において、
前記パッシベーション層は、前記半導体基板の前記第1面及び前記第2面の各々において前記凹凸部の上に配置されてなる、請求項15に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項17】
第1導電型領域と、第2導電型領域と、を更に形成することを含んでなり、
前記パッシベーション層の形成の後に、
前記第1導電型領域は、前記半導体基板の前記第1面において前記パッシベーション層の上に配置され、
前記第2導電型領域は、前記半導体基板の前記第2面において前記パッシベーション層の上に配置されてなる、請求項16に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記半導体基板の前記テクスチャリングされた表面を再処理することは、
前記半導体基板の前面において実行されてなり、及び、
前記半導体基板の後面において実行されないものであり、
前記酸化物層は、
前記半導体基板の前記後面の上で形成されてなり、及び、
前記半導体基板の前記前面の上で形成されないものである、請求項16又は17に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項19】
複数の第1フィンガー電極と、複数の第2フィンガー電極と、を更に形成することを含んでなり、
前記複数の第1フィンガー電極は、第1導電型領域と電気的に接続され、かつ、互いに離間されてなるものであり、
前記複数の第2フィンガー電極は、第2導電型領域と電気的に接続され、かつ、互いに離間されてなるものである、請求項1618の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池及びその製造方法に関し、より詳しくは、構造を改善した太陽電池及びその製造方法に関する。
【0002】
〔関連技術〕
本発明は、韓国特許出願第10-2017-0062478号(出願日:2017年5月19日)及び韓国特許出願第10-2017-0171553号(出願日:2017年12月13日)に基づくパリ条約4条の優先権主張を伴ったものであり、当該韓国特許出願に開示された内容に基づくものである。参考のために、当該韓国特許出願の明細書及び図面の内容は本願明細書の一部に包摂されるものである。
【背景技術】
【0003】
最近、石油や石炭のような既存のエネルギー資源の枯渇が予想されるにつれて、これらに代える代替エネルギーに対する関心が高まっている。その中でも太陽電池は太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換させる次世代の電池として脚光を浴びている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような太陽電池では多様な層及び電極を設計によって形成することにより製造できる。ところで、このような多様な層及び電極の設計によって太陽電池の効率が決定できる。太陽電池の商用化のためには低い効率を克服しなければならないところ、多様な層及び電極が太陽電池の効率を最大化できるように設計されることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態に従う太陽電池は、前面及び後面のうち、少なくとも1つに凹凸部を含む半導体基板;及び前記凹凸部上に配置されるパッシベーション膜を含み、前記凹凸部は凸部と凹凸部を含み、かつ前記パッシベーション膜は前記凸部上では第1厚さを有し、前記凹凸部上では前記第1厚さと異なる第2厚さを有する。
【0006】
本発明の一の態様は以下の通りである。
〔1〕 太陽電池であって、
前面及び後面のうちの少なくとも1つに凹凸部を備えた半導体基板と、
前記凹凸部上に配置されるパッシベーション膜とを備えてなり、
前記パッシベーション膜と前記半導体基板の一面の間に形成される酸化物を備えてなり〔前面及び後面のうちの少なくとも1つに凹凸部を備えた半導体基板と、
前記凹凸部上に配置されるパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜と前記半導体基板の一面の間に形成された酸化物とを備えてなり〕、
前記酸化物は非晶質である、太陽電池。
〔2〕 前記半導体基板における前記凹凸部は凸部と凹部を備えてなり、及び、
前記パッシベーション膜は、
前記凸部上では第1厚さを有し、
前記凹部相では前記第1厚さと異なる第2厚さを有する、〔1〕に記載の太陽電池。
〔3〕 前記凸部及び前記凹部の各々は曲率を有してなり、
前記凸部の前記曲率は第1曲率半径を有してなり、及び
前記凹部の前記曲率は第2曲率半径を有してなる、〔2〕に記載の太陽電池。
〔4〕 前記第1曲率半径は前記第2曲率半径より小さいものである、〔3〕に記載の
太陽電池。
〔5〕 前記第1厚さは前記第2厚さより小さいものである、〔2〕~〔4〕の何れか一項に記載の太陽電池。
〔6〕 前記酸化物は、前記半導体基板の一面上の一部に形成されたものである、〔1〕~〔5〕の何れか一項に記載の太陽電池。
〔7〕 前記酸化物はアイランド型である、〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の太陽電池。
〔8〕 前記酸化物はシリコン酸化物を含んでなる、〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の太陽電池。
〔9〕 前記パッシベーション膜は非晶質シリコンを含んでなる、〔1〕~〔8〕の何れか一項に記載の太陽電池。
〔10〕 前記パッシベーション膜上に配置される導電型領域をさらに備えてなり、
前記導電型領域は非晶質シリコンを含んでなる、〔1〕~〔9〕の何れか一項に記載の太陽電池。
〔11〕 前記酸化物、前記パッシベーション膜、及び前記導電型領域の順に結晶性が小さくなるものである、〔10〕に記載の太陽電池。
〔12〕 太陽電池の製造方法であって、
半導体基板の前面及び後面のうちの少なくとも1つに凹凸部を形成し、
前記凹凸部上にパッシベーション膜を形成することを含んでなり、
前記パッシベーション膜と前記凹凸部との間に酸化物を形成することを含んでなり(半導体基板の前面及び後面のうちの少なくとも1つに凹凸部を形成し、
前記凹凸部上にパッシベーション膜を形成し、
前記パッシベーション膜と前記凹凸部との間に酸化物を形成することを含んでなり)、
前記酸化物は非晶質である、太陽電池の製造方法。
〔13〕 前記凹凸部を形成することは、
前記凸部及び前記凹部の各々が曲率を有するように前記凹凸部を形成することを含んでなり、
前記凸部の曲率は第1曲率半径を有するものであり、
前記凹部の曲率は前記第1曲率半径と異なる第2曲率半径を有するものである、〔12〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔14〕 前記凸部及び前記凹部の各々が曲率を有するように前記凹凸部を形成することは、
前記半導体基板の表面を二段階の凹凸部形成工程により形成することを含んでなる、〔13〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔15〕 前記二段階の凹凸部の形成工程は、
水酸化カリウム溶液を用いて前記半導体基板の表面をテクスチャリングし、
前記テクスチャリングされた半導体基板の表面を窒酸とフッ酸の混合溶液で再処理することを含んでなる、〔14〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔16〕 前記パッシベーション膜上に配置される導電型領域を形成することを含んでなり、
前記導電型領域及び前記パッシベーション膜は非晶質シリコンを含んでなる、〔1〕2~15の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
〔17〕 前記酸化物は、前記半導体基板の一面上の一部に形成する、〔12〕~〔16〕の何れか一項に記載の太陽電池の製造方法。
〔18〕 前記酸化物、前記パッシベーション膜、及び前記導電型領域の順に結晶性を小さくする、〔16〕又は〔17〕に記載の太陽電池の製造方法。
〔19〕 太陽電池パネルであって、
前面及び後面のうちの少なくとも1つに凹凸部を含む半導体基板と、
前記半導体基板の少なくとも一面上に形成されたアイランド形状の酸化物と、
前記凹凸部上に配置されるパッシベーション膜とを備えてなり、
前記凹凸部は凸部と凹部を備えてなり、及び、
前記パッシベーション膜は、
前記凸部上では第1厚さを有してなり、かつ、前記凹部上では前記第1厚さと異なる第2厚さを有する太陽電池と、
前記太陽電池の前面に配置された第1部材と、及び前記太陽電池の後面に配置された第2部材とを備えてなり、
前記第1部材及び第2部材はガラス及び透明シートのうちの少なくとも一つである、太陽電池パネル。
〔20〕 前記酸化物は前記半導体基板の後面に形成される、〔19〕に記載の太陽電池パネル。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、半導体基板上に形成される半導体層は配置される領域によって異なる厚さを有することができる。これによって、半導体基板が含む欠陥を不動化させて太陽電池の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池を示す断面図である。
図2図1に図示した太陽電池の金属電極層の平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図5】本発明の実施形態に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図6】本発明の更に他の実施形態に係る太陽電池の断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る太陽電池の製造方法を示す断面図である。
図9】本発明の実施形態に係る太陽電池の構成の間のエネルギーバンドギャップを図示したものである。
図10】本発明の一実施形態に係る太陽電池パネルの斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係る太陽電池の側面側断面図である。
図12図12のaと図12のbとは、本発明の一実施形態に係る太陽電池及び比較例に係る太陽電池のPL強度(Intensity)を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、多様な形態に変形できることは勿論である。
【0010】
図面では本発明を明確で、かつ簡略に説明するために説明と関係ない部分の図示を省略し、明細書の全体を通じて同一または極めて類似の部分に対しては同一な図面参照符号を使用する。そして、図面では説明をより明確にするために、厚さ、広さなどを拡大または縮小して図示したところ、本発明の厚さ、広さなどは図面に図示されたものに限定されない。
【0011】
そして、明細書の全体である部分が他の部分を“含む”とする時、特別に反対の記載がない限り、他の部分を排除するものでなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”あるとする時、これは他の部分“真上に”ある場合だけでなく、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分“真上に”あるとする時には中間に他の部分が位置しないことを意味する。
【0012】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態に係る太陽電池を詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の幾つかの実施形態に係る太陽電池を示す断面図である。
【0014】
図1を参照すると、本実施形態に係る太陽電池100は、ベース領域10を含む半導体基板110と、半導体基板110の前面の上に形成される第1パッシベーション膜52と、半導体基板110の後面の上に形成される第2パッシベーション膜54と、半導体基板110の前面側から第1パッシベーション膜52の上に形成される第1導電型領域20と、半導体基板110の後面側で第2パッシベーション膜54の上に形成される第2導電型領域30と、第1導電型領域20に電気的に連結される第1電極42と、第2導電型領域30に電気的に連結される第2電極44を含むことができる。これをより詳細に説明する。
【0015】
半導体基板110は、結晶質半導体で構成できる。一例に、半導体基板110は単結晶または多結晶半導体(一例に、単結晶または多結晶シリコン)で構成できる。特に、半導体基板110は単結晶半導体(例えば、単結晶半導体ウエハ、より具体的には、単結晶シリコンウエハ)で構成できる。このように、半導体基板110が単結晶半導体(例えば、単結晶シリコン)で構成されれば、太陽電池100が単結晶半導体太陽電池(例えば、単結晶シリコン太陽電池)を構成するようになる。このように、結晶性が高くて欠陥の少ない結晶質半導体で構成される半導体基板110を基盤とする太陽電池100が優れる電気的特性を有することができる。
【0016】
本実施形態では半導体基板110に別途のドーピング領域が形成されず、半導体基板110がベース領域10のみで構成できる。このように、半導体基板110に別途のドーピング領域が形成されなければ、ドーピング領域を形成する時に発生する半導体基板110の損傷、欠陥の増加などが防止されて半導体基板110が優れるパッシベーション特性を有することができる。これによって、半導体基板110の表面で発生する表面再結合を最小化することができる。
【0017】
本実施形態において、半導体基板110またはベース領域10はベースドーパントである第1導電型ドーパントが低いドーピング濃度でドーピングされて第1導電型を有することができる。この際、半導体基板110またはベース領域10はこれと同一な導電型を有する第1導電型領域20より低いドーピング濃度、高い抵抗、または低いキャリア濃度を有することができる。
【0018】
半導体基板110の前面及び/又は後面は反射が防止できるように凹凸部112を有することができる。これによって、半導体基板110の前面及び後面に入射する光の反射を全て防止することができるので、本実施形態のような両面受光型(bi-facial)構造を有
する太陽電池100での光損失を効果的に減少することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体基板110の前面または後面のうち、いずれか1つのみに凹凸部112が形成されることも可能である。
【0019】
本実施形態において、半導体基板110に形成される凹凸部112は凹部VAと凸部TAを含む。
【0020】
凹凸部112はテクスチャリング(texturing)工程により形成できる。これによって
、凹凸部112の外面は特定の結晶面で構成できる。一例に、凹凸部112は111面である4個の外面により形成される概略的なピラミッド形状を有することができる。この場合、凹凸部112が含む凸部VAの形状がピラミッド形状であり、凸部VAの平均高さは2~10μmであり、平均幅は2~10μmでありうる。
【0021】
凹凸部112は湿式エッチングによる非等方エッチングにより形成できる。湿式エッチングにより凹凸部112を形成すれば、簡単な工程により短い時間内に凹凸部112を形成することができる。
【0022】
凹凸部112の凹部VAでは欠陥領域が凸部TAと比較して相対的にたくさん生じることがある。したがって、凹凸部112の凹部VA上に形成されるパッシベーション膜52を相対的に厚くして前記欠陥領域による副作用を最小化することができる。半導体基板110上に形成されるパッシベーション膜の厚さ及び特性に対しては続けてより詳細に説明する。
【0023】
半導体基板110の前面の上には第1パッシベーション膜52が形成され、半導体基板110の後面の上には第2パッシベーション膜54が形成される。これによって、半導体基板110の前面及び後面をそれぞれパッシベーションすることができる。
【0024】
追加で、本実施形態において、第1及び第2パッシベーション膜52、54のうちの少なくとも1つと半導体基板110との間に酸化物SOがさらに形成できる。
【0025】
本明細書において、酸化物SOは基板物質と空気中の酸素が反応して生成された化合物を含むものであって、例えばシリコン酸化物(SiOx)を含むことができる。具体的に
、酸化物SOは水素化されたシリコン酸化物(SiOx:H)または水素化されないシリ
コン酸化物(SiOx)でありうる。酸化物SOとして水素化されたシリコン酸化物はシ
リコン酸化物形成過程に水素を付加することによって形成することができる。
【0026】
半導体基板110の少なくとも一面上に形成された酸化物SOは、ブロッキング(blocking)役割をして第1または第2導電型ドーパントの第1または第2パッシベーション膜52、54への侵入を防止することができる。
【0027】
特に、p型ドーパントに使われるボロン(B)などの場合、拡散速度(diffusion velocity)が速いが、酸化物SOが形成されない時より、酸化物SOが半導体基板110の一面上に形成されることによって、効果的に、ドーパントの第1または第2パッシベーション膜52、54への侵入を防止して真性(intrinsic)特性を効果的に維持することがで
きる。
【0028】
例えば、n型半導体基板110の一面にP型ドーパントを用いてエミッタ層を形成した場合、エミッタが形成された半導体基板110の一面上に酸化物SOを形成することによって、ドーパントの拡散を防止する効果、及び第1または第2パッシベーション膜52、54の真性特性を極大化することができる。
【0029】
即ち、本実施形態で酸化物SOにはエミッタが形成される半導体基板の一面に形成されることによって、ドーパントの拡散を防止する効果、及び第1または第2パッシベーション膜52、54の真性特性を極大化することができる。
【0030】
延いては、エミッタの位置は半導体基板110の前面または後面に限定されない。
【0031】
だけでなく、酸化物SOは特に、水素化されないシリコン酸化物(SiOx)は水素化
されたシリコン酸化物(SiOx:H)に比べてバンドギャップエネルギーが大きくて受
光効率上より有利でありうる。
【0032】
さらに、半導体基板110上に形成された酸化物SOは、追加でパッシベーション役割
をすることもできるので、太陽電池の全体のパッシベーション特性を向上させることができる。
【0033】
酸化物SOは、具体的に水素化されたシリコン酸化物(SiOx:H)は相対的に高い
エネルギーバンドギャップにより水素化されないシリコン酸化物(SiOx)に比べて向
上したパッシベーション効果及び受光効率を具現することができる。だけでなく、酸化物SOは非晶質(amorphous)で第1または第2パッシベーション膜52、54が非晶質(amorphous)を形成することが容易であり、具体的に本実施形態で、酸化物SOは水素化された非晶質シリコン酸化物(a-SiOx:H)または水素化されない非晶質シリコン酸
化物(a-SiOx)でありうる。
【0034】
より具体的に、半導体基板110は結晶質半導体であって、酸化物SO無しで、結晶質半導体基板110上に第1または第2パッシベーション膜52、54が形成される場合、半導体基板110の格子構造により第1または第2パッシベーション膜52、54の結晶構造やはり結晶性になりやすいので、第1または第2パッシベーション膜52、54の非晶質特性が低下することがある。これに反して、本実施形態は結晶質半導体である半導体基板110上に非晶質である酸化物SOを形成した後、非晶質格子構造上で第1または第2パッシベーション膜52、54を形成したので、相対的に優れる非晶質特性を具現することができる。
【0035】
追加で、半導体基板110の表面に形成された凹凸上に前記酸化物SOが形成されることによって、半導体基板110の表面パッシベーション機能が向上し、第1または第2パッシベーション膜52、54の蒸着速度が均一でありうる。
【0036】
具体的に、半導体基板110の表面に形成された凹凸の場合、凸部と凹部を形成することができ、前記凸部と凹部は表面欠陥(surface defect)が多いことがあるが、このような前記凸部及び凹部に酸化物SOが形成されることによって、半導体基板110の表面欠陥を効果的にパッシベーションできるだけでなく、減少した半導体基板110の表面欠陥により半導体基板110上に蒸着される第1または第2パッシベーション膜52、54の蒸着速度が均一になることができる。
【0037】
延いては、本願発明の一実施形態は半導体基板110の後面と第2パッシベーション膜54との間に酸化物SOが形成され、半導体基板110の前面と第1パッシベーション膜52との間には酸化物SOが形成されないことがある。
【0038】
例えば、半導体基板110の後面と第2パッシベーション膜54との間に酸化物SOが形成される場合、前述したように、半導体基板110の後面の第2導電型領域30の結晶性が抑制されて太陽電池効率を向上させることができる。
【0039】
図9は本発明の実施形態に係る太陽電池構成の間のエネルギーバンドギャップを図示したものであって、図9を参考すると、p+非晶質シリコン層側の真性非晶質シリコン層とn型真性非晶質シリコン層と接する界面でp型導電型領域物質の特性上、エネルギーバンドギャップにはバンドギャップスパイク(band gap spike:BS)が形成されることができ、このようなバンドギャップスパイクはバリアとしてエネルギー障壁の高さが大きくてキャリアの移動を妨害して太陽電池効率を阻害することがある。
【0040】
本実施形態では、半導体基板110の後面上に酸化物SOを形成することによって、バンドギャップスパイクの大きさを減少させ、太陽電池効率を向上させることができる。
【0041】
本実施形態では、結晶性半導体基板110の後面上に非晶質酸化物SOを形成して第2
パッシベーション膜の結晶性を効果的に低めてエネルギーバンドギャップスパイクの大きさを小さくすることができる。本実施形態において、酸化物SOは半導体基板110の後面上に形成されることによって、半導体基板110の後面に入射する光の受光効率を向上させることができる。
【0042】
具体的に、酸化物SOは前述したように、水素化された非晶質シリコン酸化物(a-SiOx:H)または水素化されない非晶質シリコン酸化物(a-SiOx)を含むことができ、水素化された非晶質シリコン酸化物(a-SiOx:H)の場合、水素化された非晶
質シリコン(a-Si:H)に少量の酸素を付加したものであって、水素化された非晶質シリコン(a-Si:H)のバンドギャップエネルギー約1.6eV~約1.9eVよりバンドギャップエネルギーが増加した約1.9eV~約2.0eVに後面から入射される光吸収を減少させて受光効率を優れる水準に維持して太陽電池効率を向上させることができる。
【0043】
だけでなく、水素化されない非晶質シリコン酸化物(a-SiOx)の場合、エネルギ
ーバンドギャップが約7eV~12eVであり、より具体的に、約8eV~10eVであり、好ましくは9eVでありうる。即ち、酸化物SOのうち、特に水素化されない非晶質シリコン酸化物(a-SiOx)の場合、バンドギャップエネルギーが大きくて優れるキ
ャリア分離(separation)特性及び受光効果を具現することができる。
【0044】
だけでなく、結晶型(crystalline)である半導体基板110の場合、バンドギャップ
エネルギーが約1.1eVでありうるが、半導体基板110と直ちに接する酸化物SOがバンドギャップエネルギーの大きい水素化されない非晶質シリコン酸化物(a-SiOx
)を含むことによって、半導体基板110とのバンドギャップエネルギー差が大きくてエネルギーバンドのベンディング(band bending)が発生し、それによって形成された電気場(electric field)によりキャリアの間の分離(carrier separation)効果が強化されて全体的にキャリアの再結合(carrier recombination)が減少して太陽電池効率が向上
できる。
【0045】
次に、図12を参考して酸化物SOの存否に従う本発明の実施形態に係る太陽電池と比較例に係る太陽電池のPL強度を比較する。
【0046】
図12は、本発明の一実施形態に係る太陽電池及び比較例に係る太陽電池のPL強度を示すものであって、具体的に、図12のa及びbの太陽電池は下部から第2導電型領域30、第2パッシベーション膜54、半導体基板110、第1パッシベーション膜52、及び第1導電型領域20が積層された構造であって、図12のaの本発明に係る太陽電池には半導体基板110と第2パッシベーション膜54との間に酸化物SOで水素化されない非晶質シリコン酸化物(a-SiOx)が形成されており、図12のbの比較例に係る太
陽電池には酸化物SOが形成されない構造である。
【0047】
図12のaのPL強度(PL intensity)は96310 counts/secであって、図12
bのPL強度(PL intensity)59533 counts/secに比べて大きいことが分かるが、
これは本発明の実施形態に係る太陽電池より比較例に係る太陽電池のパッシベーション特性弱化、第1または第2パッシベーション膜52、54の結晶性増加、及びドーパント拡散になることが分かる。
【0048】
具体的に、本発明の実施形態に係る太陽電池は半導体基板110と第2パッシベーション膜54との間に酸化物SOを形成することによって、表面欠陥(defect)を減少させ、第2パッシベーション膜54の結晶化を抑制する効果を具現しているが、比較例に係る太陽電池はこのような機能をする酸化物SOを形成しないので、相対的に結晶性が増加し、
ドーパントの拡散が多いだけでなく、パッシベーション特性が低下することが分かる。だけでなく、比較例に係る太陽電池の場合、第1パッシベーション膜52及び第1導電型領域20が形成された後、第2パッシベーション膜52及び第2導電型領域30が形成される前にDHF(Diluted HF)などを用いた洗浄過程を遂行することによって、酸化物SOを形成しないので、半導体基板110の表面エッチングによる欠陥を形成して全体的なパッシベーション特性の低下、パッシベーション層の結晶性増加、及びドーパント拡散が増加することが分かる。
【0049】
酸化物SOは半導体基板110の一面で少なくとも一部に形成されることができ、例えば、酸化物SOは半導体基板110の一面でアイランド(island)形状に形成できる。本明細書において、半導体基板110の一面に形成されたアイランド(island)形状は半導体基板110の一面の全体に一体型に形成されることに対して、対比される表現で、大きさまたは形状に制限があるものでなく、半導体基板110の凹凸の凸部及び凹部にも形成されることができ、半導体基板110の一面に形成される酸化物SOの間に離隔して一体に形成されていない形状を包括する水準の概念として理解されるべきである。
【0050】
本実施形態では、高いエネルギーバンドギャップを有する酸化物SOを用いると共に、アイランド形状に制御してドーパントを効果的にブロッキング(blocking)するものだけでなく、フィールドパッシベーションに有利で、キャリア移動を容易にすることができる。
【0051】
例えば、本実施形態における酸化物SOがアイランド形状に形成されることによって、キャリア移動効率が向上できる。
【0052】
具体的に、酸化物SOが半導体基板の一面の全体に層(layer)形状に形成される場合
、酸化物SOがキャリア移動に抵抗役割をしてキャリア移動が低下することがあるが、本願発明のように酸化物SOがアイランド形状に形成される場合、酸化物SOが形成されない部分に対しては半導体基板110と第1または第2パッシベーション膜52、54が直接接触してキャリア移動が円滑であるので、優れる太陽電池効率を維持することができる。但し、前記酸化物SOを通じてキャリア移動が不可能なものではなく、後述する厚さ範囲に酸化物SOを制御することによって、キャリアがトンネリングを通じて酸化物SOを通過して容易に移動することができる。
【0053】
また、酸化物SOは特に、水素化されない非晶質シリコン酸化物(a-SiOx)は水
素化された非晶質シリコン酸化物(a-SiOx:H)に比べてトンネリングに有利であ
るので、半導体基板110上に形成される水素化された非晶質シリコン酸化物(a-SiOx:H)または水素化されない非晶質シリコン酸化物(a-SiOx)によって酸化物SOの厚さを各々制御することができる。
【0054】
具体的に、酸化物SOが水素化された非晶質シリコン酸化物(a-SiOx:H)であ
る場合、厚さが約2nm~約3nmであり、水素化されない非晶質シリコン酸化物(a-SiOx)の場合、約1.5nm以下に、水素化された非晶質シリコン酸化物(a-Si
x:H)の場合、トンネリング効果が相対的に優れるので、水素化されない非晶質シリ
コン酸化物(a-SiOx)に比べて厚い厚さで形成してもトンネリング効果を容易に具
現することができる。
【0055】
酸化物SOは半導体基板110の一面の約80%以上をカバーすることができる。半導体基板110の一面の面積に対する酸化物SOの占める面積が80%未満である場合、第1及び第2パッシベーション膜52、54の結晶性阻止効果及び導電型ドーパントのブロッキング効果などが低下することがある。
【0056】
本明細書では第1パッシベーション膜52及び第2パッシベーション膜54という用語を使用したが、第1パッシベーション膜52及び/又は第2パッシベーション膜54がトンネリング膜としての役割も遂行することができる。即ち、第1及び第2パッシベーション膜52、54は電子及び正孔に一種のバリア(barrier)として作用して、少数キャリ
ア(minority carrier)が通過できないようにし、第1及び第2パッシベーション膜52、54に隣接した部分で蓄積された後に一定以上のエネルギーを有する多数キャリア(majority carrier)のみ第1及び第2パッシベーション膜52、54をそれぞれ通過できるようにする。一例に、第1及び第2パッシベーション膜52、54が真性非晶質半導体を含むことができる。例えば、第1及び第2パッシベーション膜52、54が真性非晶質シリコン(i-a-Si)層からなることができる。すると、第1及び第2パッシベーション膜52、54が半導体基板110と同一な半導体物質を含んで類似の特性を有するので、半導体基板110の表面特性をより効果的に向上することができる。これによって、パッシベーション特性を格段に向上することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、第1及び/又は第2パッシベーション膜52、54が真性非晶質シリコン炭化物(i-a-SiCx)層または第1及び第2パッシベーション膜52、54が真性非晶質シリコン酸化物(i-a-SiOx)層を含むこともできる。
これによれば、広いエネルギーバンドギャップによる効果が向上できるが、パッシベーション特性は真性非晶質シリコン(i-a-Si)層を含む場合より多少低いことがある。
【0057】
本実施形態において、酸化物SOは酸化物SO上に形成される第1及び第2パッシベーション膜52、54または第1及び第2導電型領域20、30と結晶構造が同一でありうる。
【0058】
例えば、順次に積層された酸化物SO、パッシベーション膜、及び導電型領域の結晶構造が非結晶質に同一でありうる。
【0059】
但し、酸化物SO、第1及び第2パッシベーション膜52、54、及び第1及び第2導電型領域20、30の結晶構造は、前記記載に限定されるものではなく、各構成毎に結晶構造が変わることがあり、例えば酸化物SOと第1及び第2パッシベーション膜52、54、及び第1及び第2導電型領域20、30の順に結晶性が低くなることがある。
【0060】
延いては、第1及び/又は第2パッシベーション膜52、54に含まれた真性非晶質シリコン酸化物は、酸化物SOと比較して構成物質上、相異することがある。
【0061】
具体的に、第1及び/又は第2パッシベーション膜52、54は、製造工程上、水素を含む気体雰囲気下で製造されて真性非晶質シリコン酸化物が水素を含むことができるが、酸化物SOは水素雰囲気下で形成されないので、水素を含まないことがある。
【0062】
この際、第1及び第2パッシベーション膜52、54は半導体基板110の前面及び後面にそれぞれ全体的に形成できる。これによって、半導体基板110の前面及び後面を全体的にパッシベーションすることができ、別途のパターニング無しで容易に形成できる。
【0063】
第1及び第2パッシベーション膜52、54の各々は2~8nmの厚さを有することができる。第1及び第2パッシベーション膜52、54の各々は凹凸部の凹部と凸部で互いに異なる厚さを有することができる。
【0064】
第1パッシベーション膜52を例に挙げれば、凸部TAでの第1パッシベーション膜52の第1厚さ(D1)と凹部VAでの第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)は互いに異なることがある。具体的に、第1パッシベーション膜52の第1厚さ(D1)が
第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)以下でありうる。第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)に対する第1パッシベーション膜52の第1厚さ(D1)の割合は0.5~0.9でありうる。第2厚さ(D2)に対する第1厚さ(D1)の割合が0.5未満である場合には、第1パッシベーション膜52の凹部VAでの厚さが相対的に過度に厚くなるので、該当領域で第1パッシベーション膜52の抵抗が高まる。また、第2厚さ(D2)に対する第1厚さ(D1)の割合が0.9超過である場合には、欠陥領域によって相対的に脆弱な凹部VAの欠陥を不動化させ難いことがあり、第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)に対する第1パッシベーション膜52の第1厚さ(D1)の割合は0.5~0.9に維持することによって、半導体基板110の欠陥(defect)を補完すると共に、適切な水準にテクスチャリングの反射角を維持して優れる受光効率を維持することができる。一方、凹部VAでの第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)は欠陥を不動化させ、欠陥領域の影響を防止するために、少なくとも2nmの厚さを有することができる。
【0065】
一方、本発明において、凹部VAでの第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)とは、凹部VAの最下端面で半導体基板110の延長方向である第1方向(X1)と垂直方向である第2方向(Y2)に形成された第1パッシベーション膜52の厚さを意味することができる。また、凸部TAでの第1パッシベーション膜52の第1厚さ(D1)とは、凸部TAの最上端面で半導体基板110の延長方向である第1方向(X1)と垂直方向である第2方向(Y2)に形成された第1パッシベーション膜52の厚さを意味することができる。第1パッシベーション膜52に対する前述した説明は第2パッシベーション膜54に同一に適用できるので、反復する説明は省略する。
【0066】
追加的に、本実施形態における第1パッシベーション膜52での凹部の厚さ対比凸部の厚さの比は第2パッシベーション膜54での凹部の厚さ対比凸部の厚さの比と異なることがある。
【0067】
具体的に、パッシベーション膜と関連して、太陽電池の全体特性は半導体基板110のうち、パッシベーション膜が最も薄い部分の基板欠陥(defect)により部分漏洩(local leakage)程度によって決定され、パッシベーション膜の厚さが厚くなるほど基板の欠陥
はよく補完することができるが、厚くなったパッシベーション膜が光を遮断して電流生成が低下することがある。
【0068】
したがって、本実施形態は、受光面である半導体基板110の前面と、非受光面である半導体基板110の後面の各々で、第1パッシベーション膜52での凹部の厚さ対比凸部の厚さの比は第2パッシベーション膜54での凹部の厚さ対比凸部の厚さの比を異にして、パッシベーション特性を向上させて部分漏洩に従う太陽電池特性を補完する効果、及び光遮断を減少させる効果を釣り合うように制御して、全体的に、太陽電池特性を最適化させている。具体的に、第1パッシベーション膜52での凹部の厚さ対比凸部の厚さの比は第2パッシベーション膜54での凹部の厚さ対比凸部の厚さの比より小さいことがある。
【0069】
第1パッシベーション膜52の上には第1導電型を有する第1導電型領域20が形成できる。そして、第2パッシベーション膜54の上には第1導電型と反対になる第2導電型を有する第2導電型領域30が位置することができる。
【0070】
第1導電型領域20は第1導電型ドーパントを含んで第1導電型を有する領域でありうる。そして、第2導電型領域30は第2導電型ドーパントを含んで第2導電型を有する領域でありうる。一例に、第1導電型領域20が第1パッシベーション膜52に接触し、第2導電型領域30が第2パッシベーション膜54に接触することができる。すると、太陽電池100の構造が単純化され、第1及び第2パッシベーション膜52、54のトンネリ
ング効果が最大化できる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0071】
第1導電型領域20及び第2導電型領域30が半導体基板110の上で半導体基板110と別個に形成されるので、半導体基板110の上で容易に形成できるように第1導電型領域20及び第2導電型領域30が半導体基板110と異なる物質及び/又は結晶構造を有することができる。
【0072】
例えば、第1導電型領域20及び第2導電型領域30の各々は蒸着などの多様な方法により容易に製造できる非晶質半導体などに第1または第2導電型ドーパントをドーピングして形成できる。すると、第1導電型領域20及び第2導電型領域30が簡単な工程により容易に形成できる。この際、前述したように、1及び第2パッシベーション膜52、54が真性非晶質半導体(一例に、真性非晶質シリコン)で構成されれば、優れる接着特性、優れる電気伝導度などを有することができる。
【0073】
そして、第1または第2導電型ドーパントに使われるp型ドーパントには、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素を挙げることができ、n型ドーパントには、燐(P)、砒素(As)、ビズマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を挙げることができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、多様なドーパントが第1または第2導電型ドーパントに使われることができる。
【0074】
一例に、第1導電型を有する半導体基板110と第1導電型領域20がn型を有することができ、第2導電型領域30がp型を有することができる。これによれば、半導体基板110がn型を有してキャリアの寿命(life time)が優れることがある。この場合、半
導体基板110と第1導電型領域20がn型ドーパントに燐(P)を含むことができ、第2導電型領域30がp型ドーパントにボロン(B)を含むことができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1導電型を有する半導体基板110と第1導電型領域20がp型を有することができ、第2導電型領域30がn型を有することもできる。
【0075】
本実施形態において、第1導電型領域20及び第2導電型領域30はそれぞれ非晶質シリコン(a-Si)層、非晶質シリコン酸化物(a-SiOx)層、非晶質シリコン炭化
物(a-SiCx)層のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0076】
この際、第1導電型領域20または第2導電型領域30に適用される非晶質シリコン(a-Si)層、非晶質シリコン酸化物(a-SiOx)層、非晶質シリコン炭化物(a-
SiCx)層は、第1または第2導電型ドーパントでドーピングできる。
【0077】
非晶質シリコン(a-Si)層、非晶質シリコン酸化物(a-SiOx)層、非晶質シ
リコン炭化物(a-SiCx)層は、たとえ結晶構造は半導体基板110と異なるが、半
導体基板110を構成する半導体物質(一例に、シリコン)を含んで半導体基板110と類似の特性を有することができる。これによって、半導体基板110の半導体物質と異なる物質を含む場合に発生できる特性差を最小化することができる。
【0078】
このうち、非晶質シリコン酸化物層、非晶質シリコン炭化物層は、高いエネルギーバンドギャップを有してエネルギーバンドベンディングが十分に起こるようにしてキャリアを選択的に通過させることができる。
【0079】
そして、第2導電型領域30が非晶質シリコン層、非晶質シリコン酸化物層、及び非晶質シリコン炭化物層のうち、少なくとも1つを含むことができる。第2導電型領域30は
半導体基板110とpn接合(または、第2パッシベーション膜54を挟んだpin接合)を形成して光電変換に直接関与する層であるので、半導体基板110と同一な半導体物質(即ち、シリコン)を含んで類似の特性を有するようにしてキャリアの移動がより効果的になされるようにすることができる。
【0080】
第1及び第2導電型領域20、30の各々は5~15nmの厚さを有することができる。
【0081】
だけでなく、第1及び第2導電型領域20、30の凹部及び凸部での厚さは互いに相異することがある。例えば、第1及び第2導電型領域20、30の各々に対して凹部の厚さが凸部の厚さより大きいことがある。延いては、第1及び第2導電型領域20、30の各々に対する凹部の厚さ対比凸部の厚さの比は第1及び第2パッシベーション膜52、54の各々での厚さ比と同一でありうる。
【0082】
第1導電型領域20の上には、これに電気的に連結される第1電極42が位置(一例に、接触)し、第2導電型領域30の上にはこれに電気的に連結される第2電極44が位置(一例に、接触)する。
【0083】
第1電極42は第1導電型領域20の上に順次に積層される第1透明電極層421及び第1金属電極層422を含むことができる。
【0084】
ここで、第1透明電極層421は第1導電型領域20の上で全体的に形成(一例に、接触)できる。全体的に形成されるということは、空の空間または空の領域無しで第1導電型領域20の全体を覆うことだけでなく、不回避に一部の部分が形成されない場合を含むことができる。このように、第1透明電極層421が第1導電型領域20の上に全体的に形成されれば、キャリアが第1透明電極層421を通じて容易に第1金属電極層422まで到達できるので、水平方向での抵抗を減らすことができる。非晶質半導体層などで構成される第1導電型領域20の結晶性が相対的に低くてキャリアの移動度(mobility)が低いことがあるので、第1透明電極層421を備えてキャリアが水平方向に移動する時の抵抗を低下させるものである。
【0085】
このように、第1透明電極層421が第1導電型領域20の上で全体的に形成されるので、光を透過することができる物質(透過性物質)で構成できる。即ち、第1透明電極層421は透明伝導性物質からなって、光の透過を可能にしながらキャリアを容易に移動できるようにする。これによって、第1透明電極層421を第1導電型領域20の上に全体的に形成しても光の透過を遮断しない。
【0086】
一例に、第1透明電極層421はインジウム-チン酸化物(indium tin oxide:ITO)、アルミニウム-亜鉛酸化物(aluminum zinc oxide:AZO)、ボロン-亜鉛酸化物
(boron zinc oxide:BZO)、インジウム-タングステン酸化物(indium tungsten oxide:IWO)、及びインジウム-セシウム酸化物(indium cesium oxide:ICO)のうち、少なくとも1つを含むことができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1透明電極層421、その他の多様な物質を含むことができる。
【0087】
この際、本実施形態の第1透明電極層421は、前述した物質を主要物質としながら水素を含むことができる。即ち、第1透明電極層421は水素を含むインジウム-チン酸化物(ITO:H)、水素を含むアルミニウム-亜鉛酸化物(AZO:H)、水素を含むボロン-亜鉛酸化物(BZO:H)、水素を含むインジウム-タングステン酸化物(IWO:H)、及び水素を含むインジウム-セシウム酸化物(ICO:H)のうち、少なくとも1つを含むことができる。
【0088】
第1透明電極層421は蒸着により形成できるが、蒸着時に水素ガスを共に注入すれば、第1透明電極層421に水素が含まれることができる。このように、第1透明電極層421が水素を含めば電子または正孔の移動度(mobility)が改善されることができ、透過度が向上できる。
【0089】
本実施形態では、第1透明電極層421の上にパターンを有する第1金属電極層422が形成できる。一例に、第1金属電極層422は第1透明電極層421に接触形成されて第1電極42の構造を単純化することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1透明電極層421と第1金属電極層422との間に別途の層が存在するなどの多様な変形が可能である。
【0090】
第1透明電極層421の上に位置する第1金属電極層422は第1透明電極層421より優れる電気伝導度を有する物質で構成できる。これによって、第1金属電極層422によるキャリア収集効率、抵抗低減などの特性をより向上することができる。一例に、第1金属電極層422は優れる電気伝導度を有する不透明な、または第1透明電極層421より透明度の低い金属で構成できる。
【0091】
このように、第1金属電極層422は不透明であるか、または透明度が低くて光の入射を妨害することがあるので、シェーディング損失(shading loss)を最小化できるように一定のパターンを有することができる。これによって、第1金属電極層422が形成されない部分に光が入射できるようにする。第1金属電極層422の平面形状は図2を参照し、今後、より詳細に説明する。
【0092】
第2電極44は第2導電型領域30の上に順次に積層される第2透明電極層441及び第2金属電極層442を含むことができる。第2電極44が第2導電型領域30の上に位置するという点を除いては、第2電極44の第2透明電極層441及び第2金属電極層442の役割、物質、形状などが第1電極42の第1透明電極層421及び第1金属電極層422の役割、物質、形状などと同一であるので、これに対する説明がそのまま適用できる。
【0093】
本実施形態において、第1及び第2電極42、44で第1金属電極層422、442は低温塑性(一例に、300℃以下の工程温度の塑性)により塑性できる物質で構成できる。一例に、第1金属電極層422、442は一定の金属化合物(一例に、酸素を含む酸化物、炭素を含む炭化物、黄を含む黄化物)などで構成されるガラスフリット(glass frit)を具備せず、伝導性物質と樹脂(バインダー、硬化剤、添加剤)のみを含むことができる。ガラスフリットを具備しなくて低温でも容易に塑性できるようにするためである。伝導性物質には、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などを含むことができ、樹脂には、セルロース系またはフェノリック系などのバインダー、アミン系などの硬化剤などを含むことができる。
【0094】
このように、本実施形態では第1及び第2金属電極層422、442がそれぞれ第1及び第2透明電極層421、441に接触して形成されるので、絶縁膜などを貫通するファイヤースルー(fire-through)が要求されない。これによって、ガラスフリットを除去した低温塑性ペーストを使用するが、このように第1金属電極層422、442はガラスフリットを具備せず、伝導性物質と樹脂のみを具備するので、伝導性物質が焼結(sintering)されて互いに連結されず、互いに接触して凝集(aggregation)されて伝導性を有することができる。
【0095】
または、第1及び第2金属電極層422、442がメッキにより形成できる。
【0096】
前述した第1及び第2電極42、44の第1及び第2金属電極層422、442の平面形状を図2を参照してより詳細に説明する。
【0097】
図2は、図1に図示した太陽電池100の第1及び第2金属電極層422、442の平面図である。図2では半導体基板110と第1及び第2電極42、44の第1及び第2金属電極層422、442を中心として図示した。
【0098】
図2を参照すると、第1及び第2金属電極層422、442はそれぞれ一定のピッチを有しながら互いに離隔する複数のフィンガー電極42a、44aを含むことができる。図面ではフィンガー電極42a、44aが互いに平行し、半導体基板110の縁に平行したものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。そして、第1及び第2金属電極層422、442はそれぞれフィンガー電極42a、44aと交差する方向に形成されてフィンガー電極42a、44aを連結するバスバー電極42b、44bを含むことができる。このようなバス電極42b、44bは1つのみ備えられることもでき、図2に図示したように、フィンガー電極42a、44aのピッチより大きいピッチを有しながら複数個に備えられることもできる。この際、フィンガー電極42a、44aの幅よりバスバー電極42b、44bの幅が大きいことがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、バスバー電極42b、44bの幅がフィンガー電極42a、44aの幅と同一であるか、またはそれより小さい幅を有することができる。
【0099】
図面では第1及び第2金属電極層422、442が互いに同一な平面形状を有するものを例示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1金属電極層422のフィンガー電極42a及びバスバー電極42bの幅、ピッチなどは第2金属電極層442のフィンガー電極44a及びバスバー電極44bの幅、ピッチなどと互いに異なる値を有することができる。また、第1及び第2金属電極層422、442の平面形状が互いに異なるものも可能であり、その他の多様な変形が可能である。
【0100】
このように、本実施形態では太陽電池100の第1及び第2電極42、44の中に不透明なまたは金属を含む第1及び第2金属電極層422、442が一定のパターンを有して半導体基板110の前面及び後面に光が入射できる両面受光型(bi-facial)構造を有す
る。これによって、太陽電池100で使われる光量を増加させて太陽電池100の効率向上に寄与することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第2電極44の第2金属電極層442が半導体基板110の後面側で全体的に形成される構造を有することも可能である。
【0101】
本実施形態によれば、凹凸部112を前面及び/又は後面に含む半導体基板110上に配置された第1パッシベーション膜52及び/又は第2パッシベーション膜54は領域によって異なる厚さを有して形成できる。
【0102】
即ち、第1パッシベーション膜52と第2パッシベーション膜54のうちの少なくとも1つは、凹凸部112の凸部TA上では相対的に薄い厚さである第1厚さ(D1)を有し、凹部VA上では相対的に厚い厚さである第2厚さ(D2)を有することができる。これによって、半導体基板110の凹部VA内に存在する欠陥を不動化させて太陽電池100の効率を向上させることができる。
【0103】
次に、図10を参考して、太陽電池100を用いた太陽電池パネル200について説明する。具体的に、本発明の更に他の実施形態では太陽電池100を用いた太陽電池パネル200を提供する。本実施形態に係る太陽電池パネル200は、太陽電池100及び太陽電池100の一面に配置された第1部材及び前記一面に対向する太陽電池100の他面に
配置された第2部材を含むことができる。
【0104】
前記太陽電池パネルに含まれた太陽電池100は、前述した説明と同一または極めて類似して重複した部分に対しては詳細な説明を省略し、互いに異なる部分に対してのみ詳細に説明する。
【0105】
図10を参照すると、本実施形態に係る太陽電池パネル200は、太陽電池100と、太陽電池100の第1面上に位置する第1基板(以下“前面基板”)120、及び太陽電池100の第2面上に位置する第2基板(以下“後面基板”)121を含むことができる。また、太陽電池パネル200は太陽電池100と前面基板120との間の第1封入材131と、太陽電池100と後面基板121との間の第2封入材132を含むことができる。これをより詳細に説明する。
【0106】
封入材130は、太陽電池100の前面に位置する第1封入材131と、太陽電池100の後面に位置する第2封入材132を含むことができる。第1封入材131と第2封入材132は水分と酸素の流入を防止し、太陽電池パネル200の各要素を化学的に結合する。
【0107】
第1及び第2封入材131、132は透光性及び接着性を有する絶縁物質で構成できる。一例に、第1封入材131と第2封入材132に、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、ポリビニルブチラル、珪素樹脂、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂などが使われることができる。第1及び第2封入材131、132を用いたラミネーション工程などにより後面基板121、第2封入材132、太陽電池100、第1封入材131、前面基板120が一体化して太陽電池パネル200を構成することができる。
【0108】
前面基板120は第1封入材131上に位置して太陽電池パネル200の前面を構成し、後面基板121は第2封入材132上に位置して太陽電池パネル200の後面を構成する。前面基板120及び後面基板121はそれぞれ外部の衝撃、湿気、紫外線などから太陽電池100を保護することができる絶縁物質で構成できる。そして、前面基板120は光が透過できる透光性物質で構成され、後面基板121は透光性物質、非透光性物質、または反射物質などで構成されるシートで構成できる。
【0109】
一例に、前面基板120及び後面基板121がガラスまたは透明シート(sheet)など
で構成されることができ、前面基板120及び後面基板121がガラスであると共に、太陽電池100に含まれた半導体基板100の後面に酸化物SOが形成された場合、後面での受光効率が向上するので、太陽電池パネル200の効率を極大化することができる。
【0110】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、第1及び第2封入材131、132、前面基板120、または後面基板121が前述した説明の以外の多様な物質を含むことができ、多様な形態を有することができる。例えば、前面基板120または後面基板121が多様な形態(例えば、基板、フィルム、シートなど)または物質を有することができ、例えば、後面基板121がTPT(Tedlar/PET/Tedlar)タイプを
有するか、またはベースフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))の少なくとも一面に形成されたポリフッ化ビニリデン(poly vinylidene fluoride:PVDF)樹脂層を含むこともできる。前述した太陽電池100は多様な工程により形成できる。図3から図5を参照して本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法を詳細に説明する。図3から図5は、本発明の実施形態に係る太陽電池100の製造方法を示す断面図である。
【0111】
まず、図3を参照すると、半導体基板110に凹凸部112を形成する。より具体的に
、前述したように、湿式エッチングにより凹凸部112の凸部TAと凹部VAを形成することができる。
【0112】
具体的に、半導体基板110をKOH:H22=2(L):0.6(L)であるエッチ
ング液に15(min)~30(min)間ディッピング(dipping)して半導体基板1
10の前面及び後面をテクスチャリング(texturing)する。しかしながら、本発明はこ
れに限定されるものではなく、多様な方法により凹凸部112を形成することができる。
【0113】
追加的に、半導体基板110の一面上に酸化物SOを形成することができる。例えば、半導体基板110の後面上に酸化物SOを形成することができるが、半導体基板110を前述した方法を用いてテクスチャリングした後、半導体基板110の前面にはクリーニング(cleaning)処理をして酸化物SOの形成を抑制し、半導体基板110の後面にはクリーニング処理をしなくて酸化物SOの形成を促進させることができる。延いては、半導体基板110の後面はクリーニング処理が不必要であるので、工程を減らして生産性に助けになることができる。
【0114】
具体的に、酸化物SOはクリーニング処理をしない半導体基板110面に対して400度以下の温度及び酸素雰囲気下で工程時間を調節することにより酸化物SOを部分的に形成させることができるが、これに限定されるものではなく、薄膜形態に全体的に酸化物SOを形成した後、部分的なエッチング工程を遂行することもできる。
【0115】
半導体基板110をクリーニングする方法は、特別に制限されるものではなく、通常の技術者が使用する方法が使われることができ、例えば、フッ素(HF)を用いてテクスチャリングされた半導体基板100の前面をクリーニングすることができる。
【0116】
次に、図4に図示したように、半導体基板110の上に第1及び第2パッシベーション膜52、54を形成することができる。第1及び第2パッシベーション膜52、54は、一例に、熱的成長法、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD)、低圧化学気相蒸着法(LPCVD)、原子層蒸着法(ALD)などにより形成できる。
【0117】
本実施形態において、第1及び第2パッシベーション膜52、54は蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(CVD))により形成できる。
【0118】
具体的に、第1及び第2パッシベーション膜52、54を形成する原料気体を含むソースガスを雰囲気ガスと共にチャンバー内に供給して半導体基板110上に蒸着させることができる。前記ソースガスはシラン(SiH2)、ジシラン(Si2H6)、ジクロロシラン(SiCl2H2、DCS)を含むシラン系ガスであリ、前記雰囲気ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、及び水素ガスのうち、少なくとも1つでありうる。
【0119】
前述したように、凹部VAに形成される第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)を凸部TAに形成される第1パッシベーション膜52より大きくするために、蒸着速度は0.6~1.2nm/secを維持しなければならず、 前記蒸着速度はチャンバーと
連結されたポンプを用いてチャンバー内の圧力を制御することにより維持することができる。蒸着速度が0.6nm/sec未満である場合と1.2nm/sec超過である場合には、目的とする第1厚さ(D1)と第2厚さ(D2)の割合を満たすことが困難である。具体的に、蒸着速度が0.6nm/sec未満である場合には第2厚さが過度に大きくなることがあり、蒸着速度が1.2nm/sec超過である場合には第1厚さ(D1)が過度に大きくなることがある。
【0120】
一方、図3に図示したように、凹凸部112はピラミッド形状を有することができ、こ
れによって半導体基板110の表面自体に傾きを有するようになる。前記傾きは半導体基板110に向けて実質的に垂直方向に蒸着されるソースガスに対して45度~130度でありうる。
【0121】
一方、第1及び第2パッシベーション膜52、54を非晶質シリコンで形成するためにチャンバー内の温度は摂氏550度以下に維持させることができる。このように形成された薄膜には水素がほとんど含まれていないので、非晶質シリコン内に切れた結合(dangling bond)を非常にたくさん含んでおり、これらが電子を任意に捕獲または放出するので
、パッシベーション膜への使用に適しないで、高い表面粗さを有して高品質の薄膜を得ることが困難である。
【0122】
したがって、雰囲気ガスに水素ガスを使用する場合、前記水素ガスの水素がこのような切れた結合などと結合して電気的作用ができないようにすることがある。但し、チャンバー内の温度が摂氏400度以上である場合、水素原子が互いに反応して水素気体の形態に抜け出すことがある。したがって、チャンバー内の温度は摂氏400度未満を維持することが好ましい。前記プラズマ化学気相蒸着法(PECVD)である場合、摂氏400度未満の低い温度で前記シラン系ガスを分解させるためにプラズマを使用することができる。
【0123】
第1及び第2パッシベーション膜52、54の各々は2~8nmの厚さで蒸着できる。第1及び第2パッシベーション膜52、54の各々が凹部VAに形成される場合、欠陥の不動化のために少なくとも2nmの厚さで蒸着できる。
【0124】
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、多様な方法により第1及び第2パッシベーション膜52、54が形成できる。第1及び第2パッシベーション膜52、54は同時に形成されることもでき、順次的に形成されることもできる。
【0125】
次に、図5に図示したように、第1及び第2パッシベーション膜52、54の上に第1導電型領域20、第2導電型領域30、第1電極42、及び第2電極44を形成する。より具体的に、第1パッシベーション膜52の上に第1導電型領域20と第1電極42を形成し、第2パッシベーション膜52の上に第2導電型領域30と第2電極44を形成する。ここで、第1電極42は第1透明電極層421と第1金属電極層422を含むことができ、第2電極44は第2透明電極層441と第2金属電極層442を含むことができる。
【0126】
第1導電型領域20及び第2導電型領域30は、一例に、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD)、低圧化学気相蒸着法(LPCVD))などにより形成できる。第1または第2導電型ドーパントは第1導電型領域20及び第2導電型領域30を形成する半導体層を成長させる工程で一緒に含まれるようにすることもでき、半導体層を形成した後にイオン注入法、熱拡散法、レーザードーピング法などによりドーピングされることもできる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、多様な方法により第1導電型領域20及び第2導電型領域30が形成できる。第1導電型領域20及び第2導電型領域30は同時に形成された後にドーピングされることもでき、順次に蒸着及び/又はドーピングされることもできる。
【0127】
第1導電型領域20及び第2導電型領域30の各々は5~15nmの厚さで形成できる。
【0128】
本発明に係る他の実施形態では、半導体基板110の側面にも第1及び第2パッシベーション膜52、54と第1及び第2導電型領域20、30のうち、少なくとも1つが形成できる。
【0129】
具体的に、図11を参考すると、半導体基板110の側面に順次に、第1パッシベーション膜52、第1導電型領域20、第2パッシベーション膜54、及び第2導電型領域30が形成できる。しかしながら、半導体基板110の側面に形成された構造が前記技術に限定されるものではない。
【0130】
例えば、側面に順次に第2パッシベーション膜54、第2導電型領域30、第1パッシベーション膜52、及び第1導電型領域20が形成されるか、第1パッシベーション膜52及び第1導電型領域20のみ形成されるか、第2パッシベーション膜54及び第2導電型領域54のみ形成されることができ、側面に形成された第1パッシベーション膜52または第2パッシベーション膜54は、第1または第2導電型領域20、30に含まれたドーパントが半導体基板110の内部に拡散されることを防止することができる。
【0131】
側面に形成される第1及び第2導電型領域20、30または第1及び第2パッシベーション膜52、54の厚さは、前面または後面に形成される第1及び第2導電型領域20、30または第1及び第2パッシベーション膜52、54の厚さより薄いことがある。
【0132】
延いては、半導体基板110の側面の最外郭は、第1及び/又は第2透明電極層421、441により覆われる構造であり、最外郭に形成された第1または第2透明電極層421、441により耐湿性及び耐熱性が向上できる。
【0133】
本実施形態において、半導体基板110の側面に少なくとも1つのパッシベーション膜を形成させることによって、半導体基板110の側面でのパッシベーション特性を向上させることができるだけでなく、製造工程上でも半導体基板110に合うようにパターニングする必要がないので、工程が容易でありうる。
【0134】
次に、第1導電型領域20及び第2導電型領域30の上に第1及び第2透明電極層421、441を形成する。より具体的に、第1導電型領域20上に第1透明電極層421を形成し、第2導電型領域30の上に第2透明電極層441を形成することができる。
【0135】
第1及び第2透明電極層421、441は、一例に、蒸着法(例えば、化学気相蒸着法(PECVD))、コーティング法などにより形成できる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、多様な方法により第1及び第2透明電極層421、441を形成することができる。
【0136】
次に、第1及び第2透明電極層421、441の上に第1及び第2金属電極層422、442を形成する。
【0137】
一例に、第1導電型領域20及び第2導電型領域30のうちの1つ上(より具体的に、第1及び第2透明電極層421、441のうちの1つ上)に第1低温ペースト層を形成し、これを乾燥して第1及び第2金属電極層422、442のうちの1つを形成し、第1導電型領域20及び第2導電型領域30のうちの他の1つ上に第2低温ペースト層を形成し、これを乾燥して第1及び第2金属電極層422、442のうちの他の1つを形成することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、第1及び第2低温ペースト層を両側で同時に形成した後、これを共に乾燥することも可能である。
【0138】
添付した図面を参照して本発明の他の実施形態に係る太陽電池を詳細に説明する。前述した説明と同一または極めて類似の部分に対しては前述した説明がそのまま適用できるので、詳細な説明を省略し、互いに異なる部分に対してのみ詳細に説明する。そして、前述した実施形態またはこれを変形した例と以下の実施形態またはこれを変形した例を互いに結合したものも本発明の範囲に属する。
【0139】
次に、図6を参照して本発明の更に他の実施形態に係る太陽電池を説明する。
【0140】
図6は、本発明の更に他の実施形態に係る太陽電池を示す断面図である。本実施形態に係る太陽電池は、図1及び図2を通じて説明した太陽電池と比較して凹凸部112が含む凸部TAと凹部VAが一定の範囲の曲率半径を有する曲率を含んで形成されることを除いて、実質的に同一である。
【0141】
図6を参照すると、本実施形態に係る太陽電池が含む凹凸部112は互いに異なる曲率半径を有する凹部VAと凸部TAを含む。凹凸部112は半導体基板110の前面と前記前面と対応する後面全てに形成されるか、または前記前面または後面に形成できる。続く説明では説明の便宜のために半導体基板110の前面を基準に説明する。このような説明が半導体基板110の後面に凹凸部1120が形成される場合にも同一に適用できることは勿論である。
【0142】
凸部TAは第1曲率半径(R1)を有し、凹部VAは第2曲率半径(R2)を有することができる。凸部TAが一定範囲の曲率半径を有するので、曲率半径のない凸部と比較して、凸部TA上にパッシベーション膜がより安定的に形成できる。
【0143】
凸部TAの第1曲率半径(R1)と凹部VAの第2曲率半径(R2)は互いに異なることがある。具体的に、凹部VAの第2曲率半径(R2)が凸部TAの第1曲率半径(R1)より大きいことがある。凸部TAの第1曲率半径(R1)は3nm以上であり、凹部VAの第2曲率半径(R2)は5nm以上でありうる。凸部TAの第1曲率半径(R1)が3nm未満で、凹部VAの第2曲率半径(R2)が5nm未満である場合には、半導体基板110上に形成される第1及び第2パッシベーション膜52、54の形成領域に従う厚さ割合を制御し難い。凹凸部112は湿式エッチングにより形成されることができ、エッチング液の種類、ディッピング(dipping)時間などの制御により、第1曲率半径(R1
)を有する凸部TAと第2曲率半径(R2)を有する凹部VAを形成することができる。より詳細な説明は後述する。
【0144】
本発明において、互いに異なる曲率半径を有する凹部VAと凸部TAを含む凹凸部112を半導体基板110に形成するので、半導体基板110上に形成されるパッシベーション膜の形成領域に従う厚さを最適化させることができるので、パッシベーション効果を向上させることができる。
【0145】
即ち、本実施形態において、凹凸部112が含む凹部VAと凸部TAは互いに異なる曲率半径を有することができる。凹凸部112が含む凹部VAと凸部TAは互いに異なる曲率半径を有する場合に、凹部VA上に配置される第1パッシベーション膜52の厚さを相対的に一層厚く形成することができる。
【0146】
即ち、一般的に第1パッシベーション膜52の蒸着工程時に、凹部VAでは凸部TAと比較して原料気体の蒸着速度が速くて過度な蒸着がなされることができる。しかしながら、凹部VAが一定範囲の第2曲率半径(R2)を有する場合、スムージング(smoothing
)効果により凹部VAでの過度な蒸着を低下させることができる。
【0147】
即ち、凹部VAと凸部TAの第1及び第2曲率半径(R1、R2)を特定の値に制御して、凹部VAと凸部TAの各々で形成されるパッシベーション膜が一定の範囲の厚さを有するように制御することができる。
【0148】
半導体基板110の前面の上には第1パッシベーション膜52が形成され、半導体基板
110の後面の上には第2パッシベーション膜54が形成される。これによって、半導体基板110の前面及び後面をそれぞれパッシベーションすることができる。
【0149】
第1パッシベーション膜52を例に挙げれば、凸部TAでの第1パッシベーション膜52の第1厚さ(D1)と凹部VAでの第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)は互いに異なることがある。具体的に、第1パッシベーション膜52の第1厚さ(D1)が第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)以下でありうる。第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)に対する第1パッシベーション膜52の第1厚さ(D1)の割合は0.5~0.9でありうる。第2厚さ(D2)に対する第1厚さ(D1)の割合が0.5未満である場合には、第1パッシベーション膜52の凹部VAでの厚さが相対的に過度に厚くなるので、該当領域で第1パッシベーション膜52の抵抗が高まる。また、第2厚さ(D2)に対する第1厚さ(D1)の割合が0.9超過である場合には、欠陥領域により相対的に脆弱な凹部VAの欠陥を不動化させ難いことがある。一方、凹部VAでの第1パッシベーション膜52の第2厚さ(D2)は欠陥を不動化させ、欠陥領域の影響を防止するために、少なくとも2nmの厚さを有することができる。
【0150】
本実施形態において、半導体基板110が含む凹凸部112が含む凸部TAと凹部VAの各々は特定範囲の曲率半径を有することができ、これによって、半導体基板110上に形成される第1及び第2パッシベーション膜52、54の各々は凸部TAと凹部VAで互いに異なる厚さ範囲を有することができる。これを通じて、本発明に係る第1及び第2パッシベーション膜52、54は最適化されたパッシベーション特性を有して欠陥を不動化させることができるので、太陽電池100の性能を向上させることができる。
【0151】
次に、図7及び図8を参照して、図6に従う太陽電池製造方法を説明する。本実施形態に係る太陽電池製造方法は、図3図5を通じて説明した製造方法と比較して実質的に同一でありうる。即ち。前述した実施形態の中間段階である図3と対応する本実施形態の中間段階である図7でテクスチャリングの形態が異なることを除いて、実質的に同一でありうる。
【0152】
図7を参照すると、半導体基板110をKOH:H22=2(L):0.6(L)であるエッチング液に15(min)~30(min)間ディッピング(dipping)して半導
体基板110の前面及び後面をテクスチャリング(texturing)する。前記テクスチャリ
ングにより前述した図3の実施形態のような凹凸部112が形成できる。
【0153】
次に、フッ酸(HF)と窒酸(HNO3)を用いて凹凸部112の凸部TAと凹部VA
に曲率を形成する。具体的に、窒酸とフッ酸の混合溶液で、窒酸:フッ酸の割合は50:1~100:1であれば、2(min)~10(min)間半導体基板110をディッピング(dipping)して既に形成された凹凸部112の凸部TAと凹部VAに曲率を形成す
る。より具体的に、窒酸はテクスチャリングされた半導体基板110の表面を酸化させ、フッ酸は酸化された半導体基板110の表面を除去することによって、凹凸部112の凸部TAと凹部VAに曲率を形成することができる。即ち、本実施形態に係る太陽電池製造方法は、前述した実施形態と比較して二段階の凹凸部形成工程により半導体基板110上に曲率を有する凹凸部112を形成することができる。
【0154】
このような二段階の凹凸部形成工程により、凹凸部112が含む凸部TAの第1曲率半径(R1)を3nm以上に、凹部VAの第2曲率半径(R2)を5nm以上に制御することができる。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、多様な方法により凹凸部112を形成することができる。
【0155】
一方、凸部TAの第1曲率半径(R1)と凹部VAの第2曲率半径(R2)を同一に形
成することができ、この場合、第1曲率半径(R1)と第2曲率半径(R2)は全て5nm以上の曲率半径を有することができる。
【0156】
次に、図8を参照すると、半導体基板110上に第1パッシベーション膜52を形成する。本実施形態の中間段階である図8の工程は前述した実施形態の中間段階である図4と実質的に対応し、今後の工程やはり前述した実施形態と実質的に同一である。したがって、反復する説明は省略することができる。本実施形態において、半導体基板110の表面に形成された凹凸部112の凸部TAと凹部VAは、各々第1及び第2曲率半径(R1、R2)を有することができる。これによって、第1パッシベーション膜52が安定的に蒸着できる。具体的に、凸部TAが第1曲率半径(R1)を有するので、凸部TA上に相対的に薄く形成される第1パッシベーション膜52が安定的に形成される。即ち、曲率を含まない凸部TAと比較して、凸部TAが曲率を含む場合には第1パッシベーション膜52が凸部TAをより安定的に覆うことができる。したがって、本実施形態に係る第1パッシベーション膜52はより安定的に形成されて、向上したパッシベーション性能を有することができる。
【0157】
延いては、凹部VA上には凸部TA上に配置された第1パッシベーション膜52より厚い第1パッシベーション膜52が形成されるので、凹部VA内に形成された欠陥を効果的に不動化させることができる。
【0158】
前述したことに従う特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれ、必ず1つの実施形態のみに限定されるものではない。延いては、各実施形態で例示された特徴、構造、効果などは実施形態が属する分野の通常の知識を有する者により他の実施形態に対しても組合または変形されて実施可能である。したがって、このような組合と変形に関連した内容は本発明の範囲に含まれるものとして解析されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12