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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】一対の戸建て住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
E04H1/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018204370
(22)【出願日】2018-10-30
(65)【公開番号】P2020070597
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 誠
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-036584(JP,A)
【文献】特開平10-280710(JP,A)
【文献】特開2003-161045(JP,A)
【文献】特開2000-230324(JP,A)
【文献】特開2002-188300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02-1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する敷地にそれぞれ建設される第一住宅及び第二住宅を備える一対の戸建て住宅であって、
前記隣接する敷地の境界は平面視直線状であり、
当該敷地の境界から一方側に所定の距離を開けて設けられる第一住宅と、
前記敷地の境界から他方側に前記所定の距離を開けて設けられる第二住宅と、
前記第一住宅及び前記第二住宅の間で前記敷地の境界を含む領域に設けられる共用アプローチと、を備え、
前記第一住宅及び前記第二住宅の互いに対向する外壁面は平行に形成されており、
当該対向する外壁面の中間位置が互いに離れる方向に後退してそれぞれ3方向が外壁に囲まれた凹部が形成され、
2つの前記凹部に囲まれた空間に共用中庭が形成され
前記第一住宅及び前記第二住宅の玄関ドアはそれぞれ前記凹部の外壁に形成されるものであり、前記第一住宅の玄関ドアは、前記凹部の外壁の内、前記第二住宅側に対面しない面に形成され、
前記第一住宅及び前記第二住宅の前記凹部の1階の屋内側には、それぞれ土間床を有する土間空間が形成され、
前記土間空間は、前記玄関ドアの屋内側正面に形成される玄関土間と、前記玄関土間に繋がって長さ方向が前記敷地の境界に対して平行に設けられ、それぞれの住宅の両端部にそれぞれ形成される居室を接続する土間廊下と、を有し、
前記土間廊下は、前記共用中庭に隣接して屋内側に形成されており、
前記土間廊下と前記共用中庭との間であり、前記第一住宅及び前記第二住宅の前記凹部の外壁の互いに対向する面にそれぞれ開口部が形成され、
当該開口部は、前記土間床から天井面まで延びて形成される窓であることを特徴とする一対の戸建て住宅。
【請求項2】
前記所定の距離は50cmであり、前記共用アプローチの幅は1mであることを特徴とする請求項1に記載の一対の戸建て住宅。
【請求項3】
前記敷地の境界及び前記共用アプローチは、南北方向に延びて形成されており、
前記第一住宅及び前記第二住宅は、それぞれ2階以上の階層を有し、
前記第一住宅及び前記第二住宅の最上階の南側居住部は、互いに離反する方向に後退して寝室が形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の一対の戸建て住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隣接する敷地にそれぞれ建設される一対の戸建て住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば多世帯住宅等のように、同一敷地内に独立した2棟以上の住宅が隣り合って配置される住宅群が知られている。これらの住宅群においては、予め2棟以上の住宅の配置や外構の配置を設計することで、2棟が隣接して配置されているにもかかわらず、必要な採光や通風を良好なものとすることができる(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。また、アプローチや庭などの外構要素を2棟の住宅の住人が共同で利用可能とされている場合があり、それぞれの住宅の住人の交流を図ることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-280710号公報
【文献】特開2005-36584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、隣接する2つの敷地にそれぞれ建設される戸建て住宅においては、それぞれの戸建て住宅が別個に設計されているため、隣接する戸建て住宅同士のプライバシーや採光性や通風性を低下させる要因となり、特に敷地面積が狭小である場合などには、これらを解決することは困難である。
【0005】
そこで本発明は、隣接する敷地にそれぞれ建設される一対の戸建て住宅であって、採光性及び通風性を高めることができる一対の戸建て住宅を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一対の戸建て住宅は、隣接する敷地にそれぞれ建設される第一住宅及び第二住宅を備える一対の戸建て住宅であって、前記隣接する敷地の境界は平面視直線状であり、当該敷地の境界から一方側に所定の距離を開けて設けられる第一住宅と、前記敷地の境界から他方側に前記所定の距離を開けて設けられる第二住宅と、前記第一住宅及び前記第二住宅の間で前記敷地の境界を含む領域に設けられる共用アプローチと、を備え、前記第一住宅及び前記第二住宅の互いに対向する外壁面は平行に形成されており、当該対向する外壁面の中間位置が互いに離れる方向に後退してそれぞれ3方向が外壁に囲まれた凹部が形成され、2つの前記凹部に囲まれた空間に共用中庭が形成され、前記第一住宅及び前記第二住宅の玄関ドアはそれぞれ前記凹部の外壁に形成されるものであり、前記第一住宅の玄関ドアは、前記凹部の外壁の内、前記第二住宅側に対面しない面に形成され、前記第一住宅及び前記第二住宅の前記凹部の1階の屋内側には、それぞれ土間床を有する土間空間が形成され、前記土間空間は、前記玄関ドアの屋内側正面に形成される玄関土間と、前記玄関土間に繋がって長さ方向が前記敷地の境界に対して平行に設けられ、それぞれの住宅の両端部にそれぞれ形成される居室を接続する土間廊下と、を有し、前記土間廊下は、前記共用中庭に隣接して屋内側に形成されており、前記土間廊下と前記共用中庭との間であり、前記第一住宅及び前記第二住宅の前記凹部の外壁の互いに対向する面にそれぞれ開口部が形成され、当該開口部は、前記土間床から天井面まで延びて形成される窓であることを特徴としている。
【0007】
本発明の一対の戸建て住宅は、前記所定の距離は50cmであり、前記共用アプローチの幅は1mであることを特徴としている。
【0010】
本発明の一対の戸建て住宅は、前記敷地の境界及び前記共用アプローチは、南北方向に延びて形成されており、前記第一住宅及び前記第二住宅は、それぞれ2階以上の階層を有し、前記第一住宅及び前記第二住宅の最上階の南側居住部は、互いに離反する方向に後退して寝室が形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一対の戸建て住宅によると、第一住宅及び第二住宅の互いに対向する外壁面にそれぞれ凹部が形成され、2つの凹部に囲まれた空間に共用中庭が形成されるので、敷地面積が狭い住宅であっても外部に大きく開かれておらずプライバシーを確保しやすい中庭を設けることができる。また、共用アプローチが第一住宅及び第二住宅の間に設けられることで、玄関ドアは第一住宅と第二住宅との間にそれぞれ設けられることになるので、接道側に設けられる場合に比べてプライバシーを確保しやすい。また、第一住宅及び第二住宅の間で敷地の境界を含む領域に共用アプローチが設けられるので、隣地境界から住宅の外壁までの距離が短く単独ではアプローチの幅に足りない場合であっても、第一住宅及び第二住宅の2つの住宅の外壁と隣地境界までの距離を合わせることで、十分なアプローチの幅を確保することができる。しかも、アプローチを共用としているので第一住宅及び第二住宅の敷地にそれぞれアプローチを設ける場合に比べて、狭い面積でアプローチを形成することができ、例えばガレージなどの他の外構要素を比較的広く形成することができる。また、第一住宅及び第二住宅に挟まれた共用アプローチの奥に、共用中庭を設けているので、例えば車椅子の旋回のように共用アプローチの幅よりも広い空間が必要な場合にも共用中庭を利用することで対応することができる。
【0012】
本発明の一対の戸建て住宅によると、第一住宅及び第二住宅と敷地の境界との距離がそれぞれ50cmであり、幅50cmでは十分なアプローチを設けることができないが、共用アプローチの幅は1mであるので例えば車椅子や大きな荷物を住宅から出し入れする場合にも十分な幅のアプローチとすることができる。
【0013】
本発明の一対の戸建て住宅によると、第一住宅及び第二住宅の玄関ドアがそれぞれ前記凹部の外壁に形成されているので、一対の戸建て住宅の外部からは玄関ドアを視認することができず、プライバシーを守りやすい。また、第一住宅の玄関ドアは、凹部の内、第二住宅側に対面しない面に形成されるので、第一住宅と第二住宅の玄関ドアが対面することが無く、第一住宅及び第二住宅の住人の間の距離を適度に保ちやすい。
【0014】
本発明の一対の戸建て住宅によると、第一住宅及び第二住宅の凹部の1階の屋内側には、それぞれ土間空間が形成されており、2つの凹部の外壁の互いに対向する面にそれぞれ床面から所定高さまで延びる開口部が形成されているので、共用中庭の地面と屋内側の土間空間とを繋がりある印象とすることができ、共用中庭を面積以上の広がりを感じる空間とすることができる。
【0015】
本発明の一対の戸建て住宅によると、第一住宅及び第二住宅の最上階の南側居住部は、互いに離反する方向に後退して形成されているので、共用中庭に日光を取り込みやすく、共用中庭を介して第一住宅及び第二住宅の屋内を明るい空間とすることができる。また、第一住宅及び第二住宅の南側居住部が互いに離反する方向に後退しているので、第一住宅及び第二住宅の空間的に離れた位置に寝室が形成されることとなり、当該寝室を利用する居住者のプライバシーを守ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一対の戸建て住宅の敷地及び1階の屋内構成を説明する間取り図。
図2】一対の戸建て住宅の2階の屋内構成を説明する間取り図。
図3】一対の戸建て住宅の3階の屋内構成を説明する間取り図、
図4】一対の戸建て住宅を図1のA-A線で切断した切断端面を示す図。
図5】一対の戸建て住宅を図1のB-B線で切断した切断端面を示す図。
図6図1のC-C部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る一対の戸建て住宅1の最良の実施形態について、各図を参照しつつ説明する。一対の戸建て住宅1は、隣接する敷地にそれぞれ建設される第一住宅2a及び第二住宅2bの2つの住宅と、当該第一住宅2a及び第二住宅2bの周辺に形成される外構とを備えている。第一住宅2a及び第二住宅2bの住人は特に限定されるものではないが、例えば親族関係や友人関係などの親しい関係を有する住人同士が第一住宅2a及び第二住宅2bに分かれて居住することが想定される。
【0018】
まず、図1を参照しつつ、第一住宅2a及び第二住宅2bの敷地に配置される外構について説明する。第一住宅2a及び第二住宅2bの敷地はそれぞれ東西方向の間口が約6mで、南北方向の奥行きが約23mの南北方向に長い矩形に形成されており、南側が公道3に接道している。それぞれの敷地には南側にガレージ4が配置されている。第一住宅2a及び第二住宅2bの敷地の間には、南側の公道3からこれら2つの住宅の玄関へアクセスするための共用アプローチ5が形成されている。また、第一住宅2a及び第二住宅2bの周りには図示しないが植栽や、郵便受けやインターホンが設けられた門柱が形成されている。また第一住宅2a及び第二住宅2bの境界以外の隣地境界には例えばフェンスが配置されている。なお、本実施形態における東西南北の方角は完全に正確な方角を意味するものではなく、「北」は少なくとも北西から北東の範囲であり、「東」「西」「南」についても同様に、北東から南東、北西から南西、南東から南西の範囲をいう。
【0019】
第一住宅2a及び第二住宅2bは、図1及び図6に示すように、互いに対向する外壁面にそれぞれ凹部6a,6bが形成されており、これら2つの凹部6a,6bに囲まれた空間が共用中庭7を形成している。第一住宅2a及び第二住宅2bの凹部6a,6bによりそれぞれ後退した外壁は互いに平行であり、4.5m離れて形成されている。したがって、共用中庭7の幅は4.5mである。なお、共用中庭7の幅はこれに限定されるものではないが、車椅子の旋回性や採光性・通風性などの機能を発揮するために、少なくとも3m以上の幅に形成されていることが好ましい。また、共用アプローチ5は、第一住宅2a及び第二住宅2bの敷地の境界8を含み、当該境界線から第一住宅2a及び第二住宅2b側にそれぞれ50cmずつの範囲に形成されている。したがって、共用アプローチ5の幅は1mであり、第一住宅2a及び第二住宅2bの敷地の境界線に沿って南北に延びて共用中庭7に至る。
【0020】
このように住宅外壁から敷地の境界8までの間の距離を50cmとりつつ、隣接する2つの住宅と敷地の境界8との間のスペースを合わせて共用アプローチ5とすることで、幅1mのアプローチを形成することができ、例えば車椅子や大きな荷物を住宅から出し入れする場合にも十分な幅のアプローチとすることができ、敷地の利用効率を高めることができる。
【0021】
次に、図1から図6を参照しつつ、第一住宅2aの屋内構成について説明する。なお、本実施形態において、西側の敷地に配置される住宅を第一住宅2aとし、東側の敷地に配置される住宅を第二住宅2bとしているが、特にこれに限定されるものではない。まず、第一住宅2aの1階平面構成について説明する。第一住宅2aの1階は、図1に示すように、平面視したときに南北方向に長い矩形で、東側の外壁の一部が西側に後退して凹部6aが形成されている。図6に示すように、第一住宅2aの凹部6aの南側の外壁には、玄関ドア9aが設けられている。凹部6aの南側の外壁は、公道3側からは全く視認できない位置であるので、第一住宅2aの玄関ドア9aを開けたときに外部の視線が入ることがなく、第一住宅2aの住人のプライバシーを守ることができる。玄関ドア9aの屋外側は共用中庭7となっており、その一部に地面よりも高い玄関ポーチ10aが形成されている。
【0022】
第一住宅2aの玄関ドア9aの屋内側には、土間床が形成された土間空間11aが形成されている。土間床は玄関ポーチ10aと同じ高さに形成されており、玄関ポーチ10aから無段差で屋内に入ることができる。土間空間11aは、玄関ドア9aの屋内側正面に形成される玄関土間12と、玄関土間12に繋がる土間廊下13と、を有している。土間廊下13は、1階南側居室20と1階北側居室21とを連絡している。土間廊下13は、共用中庭7に隣接して屋内側に形成されており、共用中庭7との間に土間床の床面から天井面まで延びる開口部14aが形成されている。開口部14aは例えば嵌め殺し窓であるが、これに限定されず引き違い窓であってもよい。このように大きな開口部14aが共用中庭7に隣接して形成されており、その屋内側に土間空間11aが設けられることで、土間空間11aが共用中庭7の延長のような印象となり、共用中庭7をより広く感じることができる。
【0023】
土間廊下13の西側には、トイレ15、階段16、洗面所17、バスルーム18、台所19が順に形成されている。なお、本実施形態では、第一住宅2aは例えば親世帯と子世帯の2世帯住宅であり、1階には親世帯が主に居住している。1階北側居室21は親世帯の寝室であり、1階南側居室20は親世帯のリビングダイニングである。
【0024】
また、第一住宅2aの2階には、図2に示すように、2階北側居室22と2階南側居室23が設けられており、その間に廊下24、トイレ、階段16、子世帯の台所26が形成されている。2階北側居室22は孫の寝室であり、北側が開口するように設けられている。また、2階南側居室23は子世帯のリビングダイニングが形成されている。第一住宅2aの2階は共用中庭7の上方が吹き抜けるように配置されており、共用中庭7に面して採光窓が設けられている。
【0025】
第一住宅2aの3階は、最上階である。3階には、図3に示すように、北側居住部27aと南側居住部28aが設けられ、その間に収納部29、階段16、洗面室30などが形成されている。第一住宅2aの3階もまた、共用中庭7の上方が吹き抜けるように配置されており、共用中庭7に面して採光窓が設けられている。したがって、図4に示すように、共用中庭7は上方に向かって開放されており、自然光や風を取り入れやすい。また、南側居住部28aは、図5に示すように、1階及び2階よりも第二住宅2bから離反する方向に後退して形成されている。南側居住部28aは寝室になっており、第二住宅2bの住人との関係性が比較的薄い家族の寝室とすることが好ましい。
【0026】
次に、図1から図6を参照しつつ、第二住宅2bの屋内構成について、説明する。なお、第二住宅2bは2世帯住宅を想定していない。第二住宅2bは、図1及び図6に示すように、第一住宅2aと同様に平面視したときに南北方向に長い矩形で、西側の外壁の一部が東側に後退して凹部6bが形成されている。第二住宅2bの1階凹部6bは第一住宅2aの凹部6aに比べて南側に長く凹んで形成されており、凹部6bの南側の部分の第一住宅2aに向き合う外壁面に玄関ドア9bが形成されている。したがって、玄関ドア9bは、第一住宅2aの玄関ドア9aと対面しておらず、第一住宅2a及び第二住宅2bの住人間の距離を適度に保ちやすい。また、第二住宅2bの玄関ドア9bが凹部6bに形成されていることで、公道3からは見えない位置であり、第二住宅2bの住人のプライバシーを守ることができる。第二住宅2bの玄関ドア9bの屋外側にも玄関ポーチ10bが形成されている。
【0027】
第二住宅2bの玄関ドア9bの屋内側には、土間床が形成された土間空間11bが形成されている。この土間空間11bは、第一住宅2aと同様に玄関土間12及び土間廊下13からなり、1階北側居室31と1階南側居室32とを繋いでいる。なお、第二住宅2bにおける1階北側居室31は防音性を高めた音楽ルームであり、1階南側居室32は例えばワーキングルームである。
【0028】
また、第二住宅2bの土間廊下13は、第一住宅2aと同様に、共用中庭7に隣接して屋内側に形成されており、共用中庭7との間に土間床の床面から天井面まで延びる開口部14bが形成されている。開口部14bは嵌め殺し窓であっても引き違い窓であってもよい。第一住宅2aと同様に大きな開口部14bが共用中庭7に隣接して形成され、その屋内側に土間空間11bが設けられることで、土間空間11bを共用中庭7の延長のように捉えて、共用中庭7をより広く感じることができる。第一住宅2a及び第二住宅2bがともに大きな開口部14a,14bと土間空間11bとを備えることで、より広がった印象の共用中庭7とすることができる。土間廊下13の西側には、直階段33が形成されている。
【0029】
また、第二住宅2bの2階には、図2に示すように、北側にダイニングキッチン34、バスルーム35、洗面所36、洗濯室37などが形成されている。また、第二住宅2bの南側には2階南側居室38が設けられており、リビングとなっている。第二住宅2bの2階の北側と2階南側居室38との間には直階段33及び廊下39が形成されており、第二住宅2bの2階は共用中庭7の上方が吹き抜けるように配置されており、共用中庭7に面して採光窓が設けられている。
【0030】
第二住宅2bの3階は、第一住宅2aと同じく、最上階である。3階には、図3に示すように、北側居住部27bと南側居住部28bが設けられ、その間に廊下40及び直階段33が形成されている。第二住宅2bの3階も、共用中庭7の上方が吹き抜けるように配置されており、共用中庭7に面して採光窓が設けられている。したがって、図4に示すように、共用中庭7は上方に向かって開放されており、自然光や風を取り入れやすい。また、南側居住部28bは、図5に示すように、1階及び2階よりも第一住宅2aから離反する方向に後退して形成されている。南側居住部28bは寝室になっており、第一住宅2aの住人との関係性が比較的薄い家族の寝室とすることが好ましい。
【0031】
このように、第一住宅2a及び第二住宅2bの最上階である3階の南側居住部28a,28bが互いに離反する方向に後退しているので、南側の太陽光を共用中庭7に受け入れやすくなり第一住宅2a及び第二住宅2bの採光性を高めることができる。しかも、第一住宅2a及び第二住宅2bの3階の南側居住部28a,28bが互いに離反することで、例えば、兄弟又は姉妹がそれぞれ第一住宅2a及び第二住宅2bに分かれて居住するような場合に、血縁関係がなく比較的関係が薄くなる互いの配偶者の寝室として南側居住部28a,28bを使用することで、比較的関係性が薄い住人が互いを気にすることなく居住することができる。したがって、南側居住部28a,28b同士の間に距離を開けることで、採光性や通風性を高めつつ、より住人のプライバシーに配慮した住宅とすることができる。
【0032】
本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係る一対の戸建て住宅1は、隣接する2つの敷地にそれぞれ親しい間柄の住人が住まう住宅を建設する一対の戸建て住宅1として好適である。
【符号の説明】
【0034】
1 一対の戸建て住宅
2a 第一住宅
2b 第二住宅
5 共用アプローチ
6a,6b 凹部
7 共用中庭
8 敷地の境界
9a,9b 玄関ドア
11a,11b 土間空間
14a,14b 開口部
28a,28b 南側居住部
図1
図2
図3
図4
図5
図6