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  • 特許-受信回路、及び通信装置 図1
  • 特許-受信回路、及び通信装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】受信回路、及び通信装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/18 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
H04B1/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019549961
(86)(22)【出願日】2018-09-25
(86)【国際出願番号】 JP2018035417
(87)【国際公開番号】W WO2019082578
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】P 2017205723
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】立海 優
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-099968(JP,A)
【文献】特開2000-151481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0203313(US,A1)
【文献】実開平04-136766(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第102768723(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナとコンデンサからなるアンテナ回路と、
ツェナーダイオードと抵抗からなる第一、第二のリミッタ回路と、
電子回路と、
を備え、
前記アンテナ回路の一端と前記電子回路の一端は前記第一のリミッタ回路を介して接続され、前記アンテナ回路の別の一端と前記電子回路の別の一端は前記第二のリミッタ回路を介して接続され、
前記アンテナ回路の前記コンデンサは前記第一、第二のリミッタ回路側に配置され、
前記第一、第二のリミッタ回路の前記抵抗は前記電子回路側に配置される、
ことを特徴とする受信回路。
【請求項2】
前記第一、第二のリミッタ回路は、
それぞれが並列に接続される2つのツェナーダイオードを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の受信回路。
【請求項3】
前記第一、第二のリミッタ回路は、
前記ツェナーダイオードの寄生容量が30pF以下であり、且つ前記抵抗の抵抗値が51Ωである、
ことを特徴とする請求項1乃至2の何れか1つに記載の受信回路。
【請求項4】
前記アンテナ回路と前記第一、第二のリミッタ回路は配線部領域を備え、
前記配線部領域は、2mm以上の配線幅で接続される、
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の受信回路。
【請求項5】
請求項1及至4の何れか1つに記載の受信回路を備えてなる、
ことを特徴とする通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された受信回路、及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースに収納された制御基板と、ケースの外部に配置された装置との間で無線通信が可能な通信装置が知られている。このような通信装置に関する従来技術として、特許文献1に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示されるような、通信装置は、危険場所において使用される事が想定されたものである。危険場所とは、一般工場などにおいて、爆発性ガスが空気と混合して爆発下限界以上の危険雰囲気を生成するおそれのある場所をいう。危険場所での使用が想定される通信装置は、本質安全防爆要件(JIS C60079)に適合させる必要がある。
【0004】
危険場所において用いられる通信装置は、本質安全防爆要件に適合させるためにインダクタンス及び容量(キャパシタンス)が制限されている。回路内で使用できる上限のインダクタンス値は電流に、上限のキャパシタンス値は電圧に依存する。そのため、抵抗の抵抗値を大きく、ツェナーダイオードの定格を大きくすることで電流・電圧の制限を行うものであるが、本質安全防爆要件を満足する値を考慮すると、受信感度が低下してしまう問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-054940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、受信感度を保ち、且つ防爆要件を満足させることのできる受信回路、及び通信装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の受信回路は、
アンテナとコンデンサからなるアンテナ回路と、
ツェナーダイオードと抵抗からなる第一、第二のリミッタ回路と、
電子回路と、
を備え、
前記アンテナ回路の一端と前記電子回路の一端は前記第一のリミッタ回路を介して接続され、前記アンテナ回路の別の一端と前記電子回路の別の一端は前記第二のリミッタ回路を介して接続され、
前記アンテナ回路の前記コンデンサは前記第一、第二のリミッタ回路側に配置され、
前記第一、第二のリミッタ回路の前記抵抗は前記電子回路側に配置される、
ことを特徴とする。
【0008】
本発明の通信装置は、
前述の受信回路を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、受信感度を保ち、且つ防爆要件を満足させることのできる受信回路、及び通信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態における検出装置(通信装置)が用いられたプラント機器状態収集システムを模式的に示した図である。
図2図1に示された検出装置の断面図、及び平面図である。
図3図2に示された検出装置の受信回路の第一の実施形態を示す図である。
図4図2に示された検出装置の受信回路の第二の実施形態を示す図である。
図5図2に示された検出装置の受信回路の第二の実施形態における携帯端末との通信可能距離の実測値、及び通信結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態を添付図に基づいて以下に説明する。
【0012】
図1を参照する。図1には、石油化学系のプラントにおけるプラント機器状態収集システム1が示されている。石油化学系のプラントは、非常に広大である。このため、各機器を検出装置(通信装置)10により検出し、検出された情報をデータ記憶管理装置5において管理している。
【0013】
より詳細に説明する。検出装置10は、プラント内の各機器に取り付けられることにより、危険場所DA内に複数配置されている。これらの検出装置10において検出された情報は、中継器3を介して、あるいは直接ネットワーク構築装置4に送信され、データ記憶管理装置5に送信される。プラントの管理者は、データ記憶管理装置5に記憶された情報を図示しないノートパソコン(管理端末)を用いて確認することができる。
【0014】
図1には3つの検出装置10が示されているが、検出装置10は、4個以上であってもよく、1又は2個であってもよい。
【0015】
検出装置10が検出する状態としては、温度、振動等が挙げられる。管理者は、状態の異常を認識すると、異常を検知した検出装置10まで作業者を向かわせ、確認を行わせる。
【0016】
図2を参照する。作業者は、異常が発生した機器に対して修繕等の作業を行った後、データ記憶管理装置5に作業完了を送信するために、タブレット端末等の携帯端末6(通信機器6)を検出装置10にかざして通信を行う。携帯端末6と検出装置10との通信には、ISO/IEC 14443で定義されるRFID(Radio Frequency Identifier)規格や、ISO/IEC 18092で定義されるNFC(Near Field Communication)規格等の近距離無線通信を採用することができる。例えば、近距離無線通信によって携帯端末6から検出装置10に書き込みされた作業内容は、検出装置10から中継器3を介し、あるいは検出装置10から直接ネットワーク構築装置4に送信され、さらにネットワーク構築装置4からデータ記憶管理装置5に送信される。また、携帯端末6は、検出装置10の設置の際に近距離無線通信によって検出装置10に認証情報や動作条件などの各種情報を書き込みしてもよい。
【0017】
図2(a)は、検出装置10の断面図を示し、図2(b)は、検出装置10の平面図を示す。検出装置10は、金属製のケース11と、このケース11に空けられた開口部43に設けられた窓部材50と、ケース11に固定された制御基板14と、この制御基板14に接続されたサブ基板60と、サブ基板60に実装された電子回路63と、サブ基板60に接続され窓部材50の下面に近接して配置された近距離無線通信を行うフレキシブルプリント基板61と、制御基板14に実装された通信モジュール16と、制御基板14に接続され機器の状態を検知するセンサ70と、ケーブル21aを介して制御基板14をセンサ70と接続するセンサコネクタ21と、制御基板14に電力を供給する電池等からなるバッテリーモジュール80と、ケーブル22aを介して制御基板14をバッテリーモジュール80と接続するバッテリーコネクタ22と、ケース11の上面に設けられた通信アンテナ23と、ケーブル24aを介して制御基板14を通信アンテナ23と接続するコネクタ24と、ケーブル21aとセンサ70のコネクタ71とを接続するコネクタ25と、ケーブル62aを介してフレキシブルプリント基板61とサブ基板60とを接続するコネクタ62と、を主な構成要素とする。検出装置10の中心から通信アンテナ23の方向をx軸正方向、通信アンテナ23をx軸正方向に置いた時の検出装置10の中心から奥行方向をy軸正方向、検出装置10の鉛直方向上側をz軸正方向とする。
【0018】
ケース11は、下部に配置され上方が開口している第1分割体30と、この第1分割体30に重ね合わされた第2分割体40と、からなる。これらの第1分割体30及び第2分割体40は、図示しないボルト及びナットによって締結されている。ケース11は、必要に応じて表面に塗装等の表面処理が行われる。
【0019】
制御基板14は、多層プリント基板が採用されている。制御基板14は、ビス26によって、第2分割体40の裏面に固定されている。制御基板14は、接地されている。なお、制御基板14に、制御基板14によって点灯、点滅、消灯が切り替えられる発光素子を設けてもよい。
【0020】
通信モジュール16は、例えば回路で構成され、前記回路は、少なくとも1つのプロセッサ(例えば、中央処理装置(Central Processing Unit;CPU))、少なくとも1つの特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit;ASIC)、および/または、少なくとも1つのフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array;FPGA)などの少なくとも1つの半導体集積回路を含み、図1に示す検出装置10の機能の少なくとも一部を実行可能である。通信モジュール16は、設定された間隔で自動的に起動され、センサ70が検知した情報や携帯端末6から近距離無線通信によって入力された情報を通信アンテナ23を介して中継器3及びネットワーク構築装置4に送信する機能を持つ。
【0021】
第1分割体30は、底面視において略長方形を呈する底部31と、この底部31のそれぞれの縁から立ち上げられた下部側壁部32と、からなる。
【0022】
底部31の一部は、下方に突出し、コネクタ25が収納されたコネクタ収納部33とされている。
【0023】
下部側壁部32は、接地されている(アースされている)。
【0024】
第2分割体40は、平面視において略長方形を呈する蓋部41と、この蓋部41のそれぞれの縁から下げられた上部側壁部42と、からなる。
【0025】
蓋部41の中央には、略長方形状の開口部43が空けられている。平面視における開口部43の面積は、1600mm以下に設定されている。開口部43に隣接して、通信アンテナ23が取り付けられるアンテナ取付孔(図示しない)が空けられている。
【0026】
上部側壁部42は、下部側壁部32と連続している。
【0027】
窓部材50は、第2分割体40の開口部43を塞ぐように設けられる。窓部材50の素材は、電気絶縁性を有し近距離無線通信に用いる電波または磁気を透過する樹脂からなる。
【0028】
サブ基板60は、多層プリント基板が採用されている。サブ基板60は、電子回路63
を備えている。サブ基板60は、制御基板14にスペーサ27、及びBtoB(Board to Board)コネクタ28,29を介して接続される。
【0029】
サブ基板60は、ケーブル62aとコネクタ62を介して、アンテナ64(図3参照)を備えたフレキシブルプリント基板61と接続されている。フレキシブルプリント基板61は、可撓性に富むため、配置の自由度が高い。アンテナ64をより窓部材50に近づけることができ、高い通信性を確保することができる。
【0030】
図3の受信回路65の第一の実施形態を併せて参照する。検出装置10は、携帯端末6と近距離無線通信を行うための受信回路65を備える。受信回路65は、電子回路63、アンテナ回路66、第一、第二のリミッタ回路67及び68からなる。サブ基板60には、アンテナ回路66のコンデンサC、第一、第二のリミッタ回路67及び68、電子回路63が実装されており、フレキシブルプリント基板61には、アンテナ回路66のアンテナ64が実装されている。
【0031】
電子回路63は、例えば集積回路(IC)からなり、携帯端末6との近距離無線通信、もしくはコネクタ28及び29を通じた制御基板14からの電力供給によって起動し、通信モジュール16あるいは携帯端末6から入力された情報を記憶する機能や、記憶した情報を通信モジュール16あるいは携帯端末6に送信する機能を持つ。
【0032】
アンテナ64は、携帯端末6との近距離無線通信を行うためのアンテナである。アンテナ64は、導電性を有する材料によりフレキシブルプリント基板61に形成されたパターンアンテナ、もしくはコイルからなる。
【0033】
アンテナ回路66のコンデンサCは、アンテナ64の共振周波数調整用に用いられ、その容量は近距離無線通信の周波数に合わせて決定される。
【0034】
第一、第二のリミッタ回路67及び68は、配線L1,L2にそれぞれ抵抗R1,R2が直列に接続されている(配線毎に抵抗が1つずつ設けられている)。抵抗R1,R2は配線L1,L2から受信回路65に供給される電流を制限する電流制限素子として機能する。また、配線L1,L2には、アンテナ回路66のコンデンサCと抵抗R1,R2との間でツェナーダイオードZ11,Z21が並列に接続される(配線毎にツェナーダイオードが1つずつ設けられている)。ツェナーダイオードZ11,Z21は、負極が配線L1,L2と接続され、正極が接地される。ツェナーダイオードZ11,Z21は、配線L1,L2から受信回路65に印加される電圧を制限する電圧制限素子として機能する。これにより本質安全防爆要件において、数えられる故障の概念を適用しない保護レベルを満足することが出来る。
【0035】
図4の受信回路65の第二の実施形態を参照する。第一、第二のリミッタ回路67及び68は、配線L1,L2にそれぞれ抵抗R1,R2が直列に接続されている(配線毎に抵抗が1つずつ設けられている)。抵抗R1,R2は配線L1,L2から受信回路65に供給される電流を制限する電流制限素子として機能する。また、配線L1,L2には、アンテナ回路66のコンデンサCと抵抗R1,R2との間でツェナーダイオードが2つ並列に接続される。すなわち、配線L1にツェナーダイオードZ11,Z12が並列に接続され、配線L2にツェナーダイオードZ21,Z22が並列に接続される(配線毎にツェナーダイオードが2つずつ設けられている)。ツェナーダイオードZ11,Z12,Z21,Z22は、負極が配線L1,L2と接続され、正極が接地される。ツェナーダイオードZ11,Z12,Z21,Z22のツェナー電圧は、略同等であるがばらつきがあるため一致しない。そのため、ツェナーダイオードZ11,Z12の一方、及びZ21,Z22の一方は、配線L1,L2から受信回路65に印加される電圧を制限する電圧制限素子として機能する。ツェナーダイオードZ11,Z12の別の一方、及びZ21,Z22の別の一方は、電圧制限素子として機能せず、冗長化のために用いられる。これにより本質安全防爆要件において、全ての保護レベルを満足することが出来る。
【0036】
第一の実施形態、及び第二の実施形態において、第一、第二のリミッタ回路67及び68のツェナーダイオードの寄生容量を30pF以下、且つ抵抗の抵抗値を51Ωとすることが出来る。これにより受信感度を保ちつつ、本質安全防爆要件を満足することが出来る。
【0037】
本質安全防爆要件では、回路内に印加される電圧で使用できるキャパシタンス値が決定され、その電圧は外部回路から流入する電力をツェナーダイオードのツェナー電圧で制限することで決定できる。しかしながら、ツェナーダイオードの寄生容量はローパスフィルタとして機能するため、アンテナ64の受信信号が減衰し通信性能(受信感度)が低下する。そのため、ツェナーダイオードの前記寄生容量は十分に小さいことが望ましく、本発明では30pF以下であることを見出した。
【0038】
本質安全防爆要件では、回路内に印加される電流で使用できるインダクタンス値が決定され、その電流は外部回路から流入する電力を抵抗で制限することで決定できる。しかしながら、抵抗値を大きくすると受信感度が低下し、小さくすると回路に流れる電流が大きくなるため本質安全防爆要件を満すことが難しくなる。そのため、本発明では受信感度を保ちつつ、本質安全防爆要件を満たす抵抗値を51Ωと見出した。
【0039】
図5の第二の実施形態における検出装置10と携帯端末6の通信可能距離の実測値、及び通信結果を参照する。アンテナ64の中心をx=0mm,y=0mm、第2分割体40の蓋部41及び窓部材50の上面をz=0mmとしたとき、検出装置10と携帯端末6のz方向の通信可能距離、及び通信結果を測定した。図示するように、携帯端末6がアンテナ64の中心に位置する場合が最も通信可能距離が長く、且つ通信可能である。携帯端末6をx方向、及びy方向にずらした場合においても、通信可能距離は短くなるが通信可能である。
【0040】
上述したように、第二の実施形態における第一、第二のリミッタ回路67及び68のツェナーダイオードZ11,Z12の別の一方、及びZ21,Z22の別の一方は、電圧制限素子として機能せず、冗長化のために用いられる。そのため、ツェナーダイオードZ11,Z12の別の一方、及びZ21,Z22の別の一方は、その寄生容量が十分に小さい場合に、動作中の第一、第二のリミッタ回路67及び68において無いものとみなすことが出来る。したがって、図5に示される通信可能距離、及び通信結果は、第一の実施形態においても適用可能である。
【0041】
また、第一の実施形態において、アンテナ回路66、第一、第二のリミッタ回路67及び68は配線部領域を備え、前記配線部領域において配線L1、及びL2の配線幅を2mm以上にすることが出来る。例えば第一の実施形態において、サブ基板60上のアンテナ回路66のコンデンサCと第一のリミッタ回路67のツェナーダイオードZ11の間に配線部領域LA1を、アンテナ回路66のコンデンサCと第二のリミッタ回路68のツェナーダイオードZ21の間に配線部領域LA2を備えている。これにより本質安全防爆要件において、アンテナ回路66のコンデンサCと第一、第二のリミッタ回路67及び68のツェナーダイオードZ11,Z21の間を、配線が切れないとみなすことが出来る。これにより、コンデンサCに印加される電圧値が決定され、キャパシタンス評価が可能となる。
【0042】
さらに、第二の実施形態において、アンテナ回路66、第一、第二のリミッタ回路67及び68は配線部領域を備え、前記配線部領域において配線L1、及びL2の配線幅を2mm以上にすることが出来る。例えば第二の実施形態において、サブ基板60上のアンテナ回路66のコンデンサCと第一のリミッタ回路67のツェナーダイオードZ11,Z12の間に配線部領域LA1を、アンテナ回路66のコンデンサCと第二のリミッタ回路68のツェナーダイオードZ21,Z22の間に配線部領域LA2を備えている。これにより本質安全防爆要件において、アンテナ回路66のコンデンサCと第一、第二のリミッタ回路67及び68のツェナーダイオードZ11,Z12、及びZ21,Z22の間を、配線が切れないとみなすことが出来る。これにより、コンデンサCに印加される電圧値が決定され、キャパシタンス評価が可能となる。
【0043】
以上に説明した本発明は、以下の効果を奏する。
【0044】
検出装置10の受信回路65は、アンテナ64とコンデンサCからなるアンテナ回路66と、ツェナーダイオードZ11,Z21と抵抗R1,R2からなる第一、第二のリミッタ回路67及び68と、電子回路63と、を備え、アンテナ回路66の一端と電子回路63の一端は第一のリミッタ回路67を介して接続され、アンテナ回路66の別の一端と電子回路63の別の一端は第二のリミッタ回路68を介して接続される。これによれば、数えられる故障の概念を適用しない保護レベルを満足することが可能であり、高い本質安全防爆性を備えることができる。
【0045】
受信回路65の第一、第二のリミッタ回路67及び68は、ツェナーダイオードZ11,Z12、及びツェナーダイオードZ21,Z22を並列に接続することができる。これによれば、全ての保護レベルを満足することが可能であり、より高い本質安全防爆性を備えることができる。
【0046】
受信回路65の第一、第二のリミッタ回路67及び68は、ツェナーダイオードZ11,Z12,Z21,Z22の寄生容量を30pF以下とし、抵抗R1,R2の抵抗値を51Ωとすることができる。これによれば、受信感度と高い本質安全防爆性の両方を備えることができる。
【0047】
受信回路65のアンテナ回路66、第一、第二のリミッタ回路67及び68は配線部領域を備え、前記配線部領域において配線L1、及びL2の配線幅を2mm以上にすることが出来る。これによれば、コンデンサCとツェナーダイオードZ11,Z12,Z21,Z22間の配線が切れないとみなすことが出来る。これによれば、キャパシタンス値が上限に収まっているか評価することが可能となり、高い本質安全防爆性を備えることができる。
【0048】
なお、本発明による通信装置は、石油化学系のプラントに用いられる場合を例に説明したが、この他の危険場所であっても用いることができる。危険場所としては、例えば、LPガス充填所、トンネル掘削工事現場、火力発電所、塗装工場等が挙げられる。
【0049】
また、通信装置は、検出装置を例に説明したが、ケース外部の機器との間で無線通信を行う装置であれば、検出装置に限らず他の装置にも適用可能である。
【0050】
即ち、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、前述の実施の形態に限定されるものではない。例えば、窓部材及びサブ基板が第2分割体に一体的に設けられ、制御基板が第1分割体に固定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の受信回路、及び通信装置は、石油化学系プラントに用いられる検出装置として好適である。
【符号の説明】
【0052】
6…携帯端末(通信機器)
10…検出装置(通信装置)
11…ケース
14…制御基板
30…第1分割体
40…第2分割体
41…蓋部
50…窓部材
60…サブ基板
61…フレキシブルプリント基板
63…電子回路
64…アンテナ
65…受信回路
66…アンテナ回路
67,68…リミッタ回路
80…バッテリーモジュール
C…コンデンサ
DA…危険場所
L1,L2…配線
LA1,LA2…配線部領域
R1,R2…抵抗(電流制限素子)
Z11,Z12,Z21,Z22…ツェナーダイオード(電圧制限素子)
図1
図2
図3
図4
図5