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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】空間演出システムおよび空間演出方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/10 20200101AFI20221201BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20221201BHJP
   F21S 8/00 20060101ALI20221201BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20221201BHJP
   F21Y 103/00 20160101ALN20221201BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20221201BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20221201BHJP
   F21Y 115/20 20160101ALN20221201BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20221201BHJP
【FI】
H05B47/10
H05B47/165
F21S8/00 100
F21Y101:00 100
F21Y103:00
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:20
F21Y113:10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019229736
(22)【出願日】2019-12-19
(62)【分割の表示】P 2018185968の分割
【原出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020057618
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2017191522
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】関戸 雅幸
(72)【発明者】
【氏名】谷口 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】出原 知之
(72)【発明者】
【氏名】金井 喜洋
(72)【発明者】
【氏名】大木 康弘
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-002961(JP,A)
【文献】特開2011-253716(JP,A)
【文献】特開2010-086835(JP,A)
【文献】特開2009-259657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
F21V 23/00
F21Y 101/00
F21Y 103/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
F21Y 115/20
F21Y 113/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の位置に設けられ、空間に第1の光を射出する第1の光射出部と、
前記第1の位置と異なる第2の位置に設けられ、前記空間に第2の光を射出する第2の光射出部と、
前記空間を照明するベース照明と、を備え、
前記第1および第2の光射出部は、
前記空間の利用開始時に、前記第1および第2の光の色を、前記ベース照明の照明光の色に合うように調整し、
前記空間の利用開始後に、前記空間の利用状況を示す利用状況情報にしたがって、前記第1および第2の光の色を、前記ベース照明の照射光の色から変化させる、空間演出システム。
【請求項2】
前記空間は、部屋に位置し、
前記利用状況情報は、前記空間の利用者の入室時からの経過時間を示す時間情報、前記部屋内の前記利用者の位置を示す位置情報、前記利用者の着席状態を示す着席情報、および前記部屋の利用のスケジュールを示すスケジュール情報の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の空間演出システム。
【請求項3】
前記第1の光射出部は、前記第2の光射出部よりも前記部屋の出入口から遠い位置に設けられており、
前記第2の光射出部は、前記時間情報、前記位置情報、および前記着席情報の少なくとも1つに基づいて、入室時から着席時までの期間内に、前記第2の光の色を、前記ベース照明の照射光の色から目標とする色まで変化させる、請求項2に記載の空間演出システム。
【請求項4】
前記第1の光射出部は、前記時間情報および前記スケジュール情報の少なくとも一方に基づいて、着席時から会議開始時までの期間内に、前記第1の光の色を、前記ベース照明の照射光の色から目標とする色まで変化させる、請求項3に記載の空間演出システム。
【請求項5】
前記第2の光射出部は、前記第1の光射出部よりも前記部屋内におけるプレゼンテーション用のスクリーンの設置位置に近い位置に設けられており、
前記第2の光射出部は、前記時間情報および前記スケジュール情報の少なくとも一方に基づいて、会議開始後に、前記第2の光の色を、前記利用者の緊張感の緩和に適した色に変化させる、請求項4に記載の空間演出システム。
【請求項6】
前記第1および第2の光射出部は、前記スケジュール情報に基づいて、会議の休憩時間の開始後に、前記第1および第2の光の色を、前記利用者に安らぎを与えるのに適した色に変化させる、請求項4又は5に記載の空間演出システム。
【請求項7】
前記利用状況情報は、前記空間の利用者が装着しているウェアラブル機器から取得された健康状態測定情報を含み、
前記第1および第2の光射出部は、前記空間の利用開始後において、前記健康状態測定情報に基づいて前記利用者が疲労していると判断された場合に、前記第1および第2の光の色を、前記利用者に癒しを与えるのに適した色に変化させる、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の空間演出システム。
【請求項8】
前記利用状況情報は、前記空間に設置されている音響システムから取得された前記空間の利用者の発話音量を示す音声情報を含み、
前記第1および第2の光射出部は、前記空間の利用開始後において、前記音声情報に示される発話音量が閾値を超えた場合に、前記第1および第2の光の色を、前記利用者に落ち着きを与えるのに適した色に変化させる、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の空間演出システム。
【請求項9】
第1の位置に設けられ、空間に第1の光を射出する第1の光射出部と、前記第1の位置と異なる第2の位置に設けられ、前記空間に第2の光を射出する第2の光射出部に、前記空間の利用開始時に、前記第1および第2の光の色を、前記空間を照明するベース照明の照明光の色に合わさせ、
前記第1の光射出部と前記第2の光射出部に、前記空間の利用開始後に、前記空間の利用状況を示す利用状況情報にしたがって、前記第1および第2の光の色を、前記ベース照明の照射光の色から変化させる、空間演出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間演出システムおよび空間演出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空間に光を射出することで空間を演出する技術が提案されている。例えば、特許文献1では、廻り縁ユニットと称される壁面に設置された間接照明装置を用いて、隠蔽されて直接的に視認され得ない光源からの光を、反射パネルや天井での反射によって間接的に空間に射出することで、天井の高さや壁面の広さが強調されるように空間を演出している。
【0003】
特許文献1に開示された技術では、所望の室内空間を作り出すため、光源を収容する筐体の前面カバーを摺動させることによって、間接照明装置の筐体から外部に出射される光の光量を調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-210594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、間接照明装置からの出射光量を調整することはできるものの、その調整は、間接照明装置が設置されている壁面上の位置によらずに単調なものである。このため、従来は、空間の雰囲気を十分に演出して高めることができなかった。
【0006】
本開示は、以上の点を考慮してなされたものであり、空間の雰囲気を効果的に演出することができる空間演出システムおよび空間演出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示による空間演出システムは、
第1の位置に設けられ、空間に第1の光を射出する第1の光射出部と、
前記第1の位置と異なる第2の位置に設けられ、前記空間に第2の光を射出する第2の光射出部と、を備え、
前記第1および第2の光射出部は、前記第1の位置と前記第2の位置との位置関係に応じた順序にしたがって、前記第1および第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる。
【0008】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第1の位置は、前記第2の位置よりも前記空間の利用者の視界に入り易い位置であり、
前記第1の光射出部は、前記第2の光射出部が前記第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、前記第1の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0009】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記空間は、部屋内に位置し、
前記部屋の出入口から前記第1の位置までの距離は、前記出入口から前記第2の位置までの距離よりも長く、
前記第1の光射出部は、第1の発光面を有する第1の発光装置であり、
前記第2の光射出部は、第2の発光面を有する第2の発光装置であり、
前記第1の発光装置は、前記第2の発光装置が前記第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、前記第1の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0010】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第1の発光装置は、前記第2の発光装置が前記第2の光の明るさを増加させた後に、前記第1の光の明るさを増加させてもよい。
【0011】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第1の発光装置は、前記第2の発光装置が前記第2の光の色を濃くした後に、前記第1の光の色を濃くしてもよい。
【0012】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第1の発光装置は、前記第1の発光面のうちの前記出入口からの距離が短い第1の発光領域から射出される前記第1の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、前記第1の発光面のうちの前記出入口からの距離が長い第2の発光領域から射出される前記第1の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0013】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第2の発光装置は、前記第2の発光面のうちの前記出入口からの距離が短い第3の発光領域から射出される前記第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、前記第2の発光面のうちの前記出入口からの距離が長い第4の発光領域から射出される前記第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0014】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第1の発光装置は、前記第1の発光面の前記出入口側の一端から前記出入口と反対側に向かって、漸次または段階的に前記第1の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0015】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第2の発光装置は、前記第2の発光面の前記出入口側の一端から前記出入口と反対側に向かって、漸次または段階的に前記第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0016】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第1および第2の発光装置は、前記部屋の異なる壁に設けられていてもよい。
【0017】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第1および第2の発光装置は、前記部屋の同一の壁の異なる位置に設けられていてもよい。
【0018】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第1および第2の光射出部は、更に、前記空間の利用状況にしたがって、前記第1および第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0019】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記空間を照明するベース照明を更に備え、
前記第1および第2の光射出部は、前記空間の利用開始時に、前記第1および第2の光の色を前記ベース照明の照射光の色に合わせ、前記空間の利用開始後に、前記第1および第2の光の色を前記ベース照明の照射光の色から変化させてもよい。
【0020】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第1および第2の光射出部は、前記第1および第2の光の明るさを、前記ベース照明の照射光の明るさよりも暗くしてもよい。
【0021】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記ベース照明は、前記第1および第2の光射出部から射出される前記第1および第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方の変化に応じて、前記照射光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0022】
本開示による空間演出システムにおいて、
発光面を有し、前記発光面から部屋内に位置する空間に光を射出する発光装置を備え、 前記発光装置は、前記発光面のうちの前記部屋の出入口からの距離が短い第1の発光領域から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、前記発光面のうちの前記出入口からの距離が長い第2の発光領域から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0023】
本開示による空間演出システムにおいて、
空間は、正面側の第1の仕切部材および側面側の第2および第3の仕切部材で囲まれた机上に位置し、
第1の位置は、第1の仕切部材上に存在し、
第2の位置は、第2および第3の仕切部材上に存在し、
第1の光射出部は、第2の光射出部が第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、第1の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0024】
本開示による空間演出システムにおいて、
空間は、眼鏡のレンズの第1面および第2面の少なくとも一方に隣接する空間であり、 第1の位置は、眼鏡のフレームのうちレンズの高さ方向の一端に隣接する第1フレーム部上に存在し、
第2の位置は、フレームのうちレンズの幅方向の一端に隣接する第2フレーム部上に存在し、
第1の光射出部は、第2の光射出部が第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、第1の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0025】
本開示による空間演出方法は、
第1の位置に設けられ、空間に第1の光を射出する第1の光射出部と、前記第1の位置と異なる第2の位置に設けられ、前記空間に第2の光を射出する第2の光射出部に、前記第1の位置と前記第2の位置との位置関係に応じた順序にしたがって、前記第1および第2の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる。
【0026】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記第1の光射出部は、発光面を有する発光装置における前記発光面のうちの第1の発光領域であり、
前記第2の光射出部は、前記発光面のうちの前記第1の発光領域と異なる位置に配置された第2の発光領域であってもよい。
【0027】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記発光装置は、前記部屋の天井に設けられていてもよい。
【0028】
本開示による空間演出システムにおいて、
前記発光装置は、前記空間と他の空間とを仕切る間仕切り壁に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本開示によれば、空間の雰囲気を効果的に演出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本実施形態による空間演出システムを示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態による空間演出システムを示す平面図である。
図3図3は、本実施形態による空間演出システムに含まれる面光源装置の一例を示す断面図である。
図4図4は、本実施形態による空間演出システムに含まれる面光源装置の一例を示す拡大断面図である。
図5図5は、本実施形態による空間演出システムを示すブロック図である。
図6図6は、本実施形態による空間演出方法を示す図である。
図7図7は、本実施形態の第1の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置の一例を示す正面図である。
図8図8は、本実施形態の第1の変形例による空間演出方法を示す図である。
図9図9は、本実施形態の第2の変形例による空間演出システムを示す斜視図である。
図10図10は、本実施形態の第2の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置を示す正面図である。
図11図11は、本実施形態の第2の変形例による空間演出方法を示す図である。
図12図12は、本実施形態の第3の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置を示す正面図である。
図13図13は、本実施形態の第3の変形例による空間演出方法を示す図である。
図14図14は、本実施形態の第4の変形例による空間演出方法を示す図である。
図15図15は、本実施形態の第5の変形例による空間演出システムを示す第1の斜視図である。
図16図16は、本実施形態の第5の変形例による空間演出システムを示す第2の斜視図である。
図17図17は、本実施形態の第6の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置を示す拡大断面図である。
図18図18は、本実施形態の第7の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置を示す拡大断面図である。
図19図19は、本実施形態の第8の変形例による空間演出方法を示す図である。
図20図20は、本実施形態の第9の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置の一例を示す断面図である。
図21図21は、本実施形態の第10の変形例による空間演出システムにおいて、机上の空間への空間演出システムの適用例を示す図である。
図22図22は、本実施形態の第10の変形例による空間演出システムにおいて、眼鏡に隣接する空間への空間演出システムの適用例を示す図である。
図23図23は、本実施形態の第11の変形例による空間演出システムを示す斜視図である。
図24図24は、本実施形態の第11の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置の一例を示す断面図である。
図25A図25Aは、本実施形態の第12の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置の一例を示す断面図である。
図25B図25Bは、本実施形態の第12の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置の他の一例を示す断面図である。
図26図26は、本実施形態の第12の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置の他の一例を示す断面図である。
図27図27は、本実施形態の第13の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置の一例を示す断面図である。
図28図28は、本実施形態の第13の変形例による空間演出システムに含まれる面光源装置の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本実施形態による空間演出システムおよび空間演出方法について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0032】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0033】
さらに、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。したがって、「導光板」とは、「導光シート」や「導光フィルム」と呼称の相違のみにおいて区別されない。
【0034】
さらに、「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材の平面と一致する面のことを指す。また、シート状(フィルム状、板状)の部材に対する法線方向とは、当該シート状(フィルム状、板状)の部材のシート面(フィルム面、板面)への法線方向のことを指す。
【0035】
また、本実施形態およびその変形例で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0036】
(空間演出システム1)
図1図22は、本実施形態の複数の例を示す図である。このうち、図1は、本実施形態による空間演出システム1を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態による空間演出システム1を示す平面図である。本実施形態による空間演出システム1は、空間に光を射出することで空間を演出するシステムである。言い換えれば、空間演出システム1は、空間に光を射出することで空間の利用者に望ましい心理状態を生じさせるように空間の雰囲気を形成するシステムである。
【0037】
具体的には、本実施形態による空間演出システム1は、構造体の一例である第1~第4の壁W1~W4、天井CEおよび床Fで区画された部屋内の空間Sを照明および演出するために用いることができる。なお、図2に例示される部屋は、隣り合う4つの壁W1~W4で仕切られた4つの角部C1~C4を有する矩形の部屋であるが、空間演出システム1は、矩形以外の部屋の演出にも有効に適用することができる。
【0038】
空間演出システム1は、空間Sに照明光を照射するベース照明装置3と、第1~第4の面光源装置21~24と、システム制御部4とを備える。図3に示すように、面光源装置21~24は、ボード5、化粧シート6、補助建材7および留具9とともに、空間演出システム1に含まれる建材パネル20を構成する。図1に示すように、面光源装置21~24は、空間Sの利用者に直接視認されないように化粧シート6によって空間Sから隠蔽されている。ただし、化粧シート6は本開示に必須の構成ではなく、必要に応じて除去することができる。
【0039】
(面光源装置21~24)
以下、面光源装置21~24について詳しく説明する。第1の面光源装置21は、第1の位置の一例である第1の壁W1に設けられ、空間Sに第1の光を射出する第1の光射出部の一例である。また、第1の面光源装置21は、第1の発光面の一例である発光面210aを有する第1の発光装置の一例でもある。より詳しくは、第1の面光源装置21は、床Fから鉛直方向d1の上方d11に向かって延在する第1の壁W1のうち、上端側の位置に設けられている。この位置は、例えば、空間Sの利用者が床F上に立った場合の利用者の目の高さよりも高い位置である。
【0040】
第2の面光源装置22は、第2の位置の一例である第2の壁W2に設けられ、空間Sに第2の光を射出する第2の光射出部の一例である。また、第2の面光源装置22は、第2の発光面の一例である発光面210aを有する第2の発光装置の一例でもある。より詳しくは、第2の面光源装置22は、床Fから鉛直方向d1の上方d11に向かって延在する第2の壁W2のうち、上端側の位置に設けられている。第2の面光源装置22の鉛直方向d1の位置および範囲は、第1の面光源装置21と同一であってもよく、または、異なっていてもよい。
【0041】
第3の面光源装置23は、第1の位置の一例である第3の壁W3に設けられ、空間Sに第1の光を射出する第1の光射出部の一例である。また、第3の面光源装置23は、第1の発光面の一例である発光面210aを有する第1の発光装置の一例でもある。より詳しくは、第3の面光源装置23は、床Fから鉛直方向d1の上方d11に向かって延在する第3の壁W3のうち、上端側の位置に設けられている。第3の面光源装置23の鉛直方向d1の位置および範囲は、第1の面光源装置21と同一であってもよく、または、異なっていてもよい。
【0042】
第4の面光源装置24は、第2の位置の一例である第4の壁W4に設けられ、空間Sに第2の光を射出する第2の光射出部の一例である。また、第4の面光源装置24は、第2の発光面の一例である発光面210aを有する第2の発光装置の一例でもある。より詳しくは、第4の面光源装置24は、床Fから鉛直方向d1の上方d11に向かって延在する第4の壁W4のうち、上端側の位置に設けられている。第4の面光源装置24の鉛直方向d1の位置および範囲は、第1の面光源装置21と同一であってもよく、または、異なっていてもよい。
【0043】
より詳しくは、図2に示すように、第1の面光源装置21は、出入口Dが設けられた第4の壁W4およびこれに隣接する第2の壁W2よりも出入口Dからの距離が長い第1の壁W1に設けられている。また、第3の面光源装置23は、第4の壁W4および第2の壁W2よりも出入口Dからの距離が長い第3の壁W3に設けられている。
【0044】
図2の例において、部屋の中央にはテーブルTが設置されている。第4の壁W4に対向する第3の壁W3には、スクリーンSCが設けられている。第2の壁W2は、テーブルTを挟んで第1の壁W1に対向している。例えば、図2中の破線矢印で示すように、部屋の利用者が出入口Dから入室してテーブルTと第2の壁W2との間の通路上を第3の壁W3に向かって進行した後、第2の壁W2を背にして着席位置P1に着席する場合、利用者は、第1の壁W1および第3の壁W3が視界に入り易く、第2の壁W2および第4の壁W4が視界に入り難い傾向にある。このような利用者の視界への入り易さおよび入り難さが異なる壁W1~W4の位置関係に基づいて、システム制御部4は、面光源装置21~24から射出される光による利用者の違和感を抑制するため、面光源装置21~24の発光動作を制御する。別の見方として、第1の壁W1および第3の壁W3は利用者の前方に位置し、第2の壁W2および第4の壁W4は利用者の後方に位置しているとみなすことができる。さらに別の見方として、第1の壁W1および第3の壁W3と、第2の壁W2および第4の壁W4とは、空間の中心に対して点対称の関係にあるとみなすこともできる。制御の詳細については後述する。
【0045】
図3は、本実施形態による空間演出システム1に含まれる面光源装置21~24の一例を示す断面図である。図4は、本実施形態による空間演出システム1に含まれる面光源装置21~24の一例を示す拡大断面図である。
【0046】
図3に示すように、面光源装置21~24は、発光面210aを有し、光源の一例である発光体220から射出した光を面状光に変換する光学部材210を備える。発光面210aの或る位置からの出射光量は、当該位置よりも発光面210aに沿った鉛直方向d1における上方d11に位置する発光面210aの他の或る位置からの出射光量よりも少なくてもよい。このようにすることで、空間Sの雰囲気を効果的に高めることが可能となる。とりわけ、発光面210aの鉛直方向d1における下方d12の縁部での発光量を低減することで、発光面210aと発光面210aの外側の領域との間における光の継ぎ目を目立たなくすることができる。これにより、空間Sの雰囲気をより効果的に高めることが可能となる。
【0047】
面光源装置21~24の更に具体的な構成について説明すると、面光源装置21~24は、建材パネル20の最前面となる化粧面を形成する化粧シート6を有している。化粧シート6は、光学部材210の発光面210aに対面する発光領域Z1と、発光領域Z1に隣接する非発光領域Z2と、を含んでいる。このように、空間Sの明るさ向上を主目的としたベース照明装置3とは別途に、面光源装置21~24によって化粧シート6を透過照明することで、有限な空間Sに対して広がりを付与することができる。とりわけ、化粧シート6の発光領域Z1を限られた範囲とし、さらに、光学部材210の発光面210aを化粧シート6で隠蔽することで、化粧シート6上の光の継ぎ目すなわち発光領域Z1と非発光領域Z2との継ぎ目は、発光面210aが剥き出しの場合の発光面210aとその外側領域との継ぎ目よりも更に目立たなくなる。この工夫により、光源の存在感を効果的に薄めた状態にて、空間Sを演出することができ、これにより、空間Sの雰囲気を更に効果的に高めることができる。
【0048】
面光源装置21~24は、主たる構成要素として、上述したように、化粧シート6及び光学部材210を有している。図示された具体例において、面光源装置21~24は、全体として板状に形成され、その一部またはその全部により建材パネル20を構成する。図3に示すように、建材パネル20は、壁W1~W4に重ねられた状態で部屋の内壁材として機能してもよい。このような例において、建材パネル20の構成要素の全部または一部が、建材パネル20を作製するための組立キットとして取り扱われ、流通や販売されるようにしてもよい。或いは、建材パネル20が単独で、部屋の内壁をなすようにしてもよい。
【0049】
図3に示された一具体例において、建材パネル20は、化粧シート6及び光学部材210に加え、補助建材7、留具9及びボード5を有している。
【0050】
図1および図3に示すように、化粧シート6は、空間Sに露出している。そして、化粧シート6は、面光源装置21~24の最出光側の面を形成する。化粧シート6として、建築物の壁紙、床及び天井等の内装材、車両等の移動体の内装材、家具や電気機器等の最表面を形成する部材等を用いることができる。
【0051】
上述のように、化粧シート6は、光学部材210の発光面210aに対面する発光領域Z1と、発光面210aに対面する位置からずれた非発光領域Z2と、を含んでいる。非発光領域Z2は、発光領域Z1に隣接している。化粧シート6は、発光領域Z1において、光学部材210により背面側から光を照射される。化粧シート6は、少なくとも発光領域Z1において、可視光透過性を有している。このため、光学部材210の発光面210aから射出した光の少なくとも一部が、化粧シート6の発光領域Z1を透過することができる。このように化粧シート6は透過照明されることから、透過率の比較的高い白色系の壁紙が化粧シート6として好適に用いられる。ただし、透過率の比較的低い壁紙、例えば木目調の壁紙でも十分有効に透過照明されて後述する作用効果を奏することができ、化粧シート6の柄等は特に限定されるものではない。化粧シート6の発光領域Z1における可視光線透過率は、1.0%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましい。可視光線透過率は、赤外可視紫外分光光度計((株)島津製作所社製 UV3100PC)を使用し、JIS A5759-2008に従い380nm以上780nm以下の波長域における分光透過率測定し、同規格に規定される算出式により算出したものである。
【0052】
図3に示すように、発光領域Z1及び非発光領域Z2は、鉛直方向d1に配列されている。発光領域Z1は、鉛直方向d1における上方d11側に位置し、非発光領域Z2は、鉛直方向d1における下方D12側に位置している。
【0053】
なお、面光源装置21~24による空間の雰囲気を高める効果を期待する観点から、化粧シート6の発光領域Z1及び非発光領域Z2の境界を目立たなくさせることが好ましい。この点から、化粧シート6は、発光領域Z1及び非発光領域Z2において、同一の構成を有していることが好ましい。
【0054】
図3に示すように、ボード5は、板状の部材である。ボード5は、少なくとも化粧シート6の非発光領域Z2に対面して配置される。化粧シート6は、ボード5に貼合されていてもよい。この場合、ボード5によって、化粧シート6を安定して支持することができる。
【0055】
図3に示された例において、ボード5は、非発光領域Z2及び発光領域Z1の両方に対面して配置されている。このボード5は、発光領域Z1に対面する位置に凹部51を設けられている。ボード5の凹部51内に、光学部材210が収容されている。図3の例によれば、ボード5によって、光学部材210を安定して支持することができる。留具9は、ボード5に設けられており、ボード5上に光学部材210を固定する。また、留具9に加えて又は留具9に代えて、接着剤や粘着剤などを含む接合層によって、ボード5と光学部材210とを固定するようにしてもよい。
【0056】
光学部材210の発光面210aは、化粧シート6の非発光領域Z2に対面するボード5の表面5aと、同一面上に位置していることが好ましい。このように位置決めされたボード5及び光学部材210上に、化粧シート6が積層される。この場合、ボード5の表面5aと光学部材210の発光面210aとの間に段差が形成されにくくなり、化粧シート6越しにこの段差が視認されることに起因した化粧シート6の意匠性低下を効果的に抑制することができる。さらには、面光源装置21~24の発光時に光学部材210の存在を効果的に目立たなくさせることができ、面光源装置21~24による空間Sの雰囲気を高める効果がより顕著に奏されるようになる。
【0057】
ボード5は、化粧シート6の用途に応じて決定される。化粧シート6が、壁、床、天井等の表面を加飾する部材をなす場合、一例として、ボード5は、種樹木の木材からなる単板、合板、集成材、パーチクル板、纖維板等の木製板材、コンクリート、モルタル等のセメント系材料、石膏ボード、珪酸カルシウム等からなる無機非金屬板、或いは鉄、アルミニウム等からなる金屬板となる。化粧シート6が、車両等の移動体の内装材をなす場合、ボード5は、例えば樹脂製板材、或いは金屬板となる。化粧シート6が、家具や電気製品をなす場合、ボード5は、例えば木製板材や樹脂製板材となる。なお、面光源装置21~24の建材パネル3への適用において、ボード5は、耐燃性や耐火性を有していることが好ましい。
【0058】
なお、図3では、留具9の図示にともなって、化粧シート6が、ボード5及び光学部材210との間に隙間を空けて図示されている。しかしながら、隙間をあけることなくボード5及び光学部材210に貼合されるようにしてもよい。
【0059】
補助建材7は、天井CEと壁W1~W4との取り合い部に設ける部材である。補助建材7は、天井CEと壁W1~W4とのつなぎ目を覆い、建材パネル20の意匠性を向上させる。補助建材7として、「回り縁」や「幅木」と呼ばれる部材を用いることができる。ただし、補助建材7を省略することも可能である。
【0060】
図3に示すように、光学部材210は、面状光を射出する発光面210aを有している。光学部材210は、その発光面210aが化粧シート6の一部分のみに対面するように、位置決めされている。
【0061】
ここで、面光源装置21~24の具体例について説明する。図4に示された面光源装置21~24は、エッジライト型の面光源装置21~24として構成されている。この面光源装置21~24は、発光体220と、光学部材210とを有している。光学部材210は、光拡散シート212と、反射シート213と、導光板211と、を有している。なお、面光源装置21~24は、例えば、直下型LEDを用いた面光源装置、EL(Electro Luminescence)シートを用いた面光源装置等を用いてもよいし、上記のいずれかとエッジライト方式の面光源装置との組合せにより構成されてもよい。
【0062】
発光体220は、光を発光する。発光体220の具体的な態様は特に限定されることなく、光を発光する種々の部材を広く用いることができる。具体的には、例えば、冷陰極管、点状のフルカラー発光ダイオード(LED)、白熱電球、レーザー発振装置等を、発光体220として用いることができる。図3示された例において、発光体220は、補助建材7によって保持されている。発光体220は、補助建材7の長手方向である図2に示される水平方向d2に沿って、間隔をあけて複数配列されている。補助建材7が取り外し可能な場合、補助建材7とともに複数の発光体220を壁W1~W4から取り外し、複数の発光体220の一部又は全部の交換作業を行うことができる。
【0063】
導光板211は、一対の主面211a,211bと、一対の主面211a,211b間に位置する側面と、を有した板状の部材である。一方の主面が出光面211aをなし、他方の主面が裏面211bをなしている。主面211a,211bは、典型的には、平面視矩形形状となる。主面211a,211bは、鉛直方向d1の沿って延びる一対の側縁と、鉛直方向d1に直交する水平方向d2に沿って延びる一対の側縁と、を有している。
【0064】
図4に示すように、導光板211は、鉛直方向d1における上端側に位置する入光面211dを有している。入光面211dは、補助建材7に沿うようにして水平方向d2に延びている。そして、入光面211dは、補助建材7に保持された発光体220に対面している。複数の発光体220は、入光面211dの長手方向である水平方向d2に沿って、間隔をあけて配列されている。
【0065】
図4に示すように、発光体220から射出した光は、導光板211に入射して導光板211内を進む。導光板211の主面211bには、取出要素として機能する凹部211cが設けられている。凹部211cは、導光板211内を進む光L1,L2の進行方向を変化させる。発光体220から射出した光は、導光板211に入光面211dから入射し、反射とりわけ全反射することで当該導光板211内を進む。導光板211内を進む光L1,L2は、凹部211cによって進行方向を変化させること、とりわけ散乱することで、導光板211の一対の主面211a,211bに全反射臨界角度未満の入射角度で入射して導光板211から出射することが可能となる。
【0066】
凹部211cで進行方向を変えられた光は、一対の主面211a,211bのいずれかを介して、導光板211から出射する。導光板211の出光面211aに対面して、光拡散シート212が設けられている。導光板211の出光面211aから出射した光L1,L2は、次に、この光拡散シート212に入射する。光拡散シート212は、光拡散機能を有しており、透過光に起因した輝度角度分布を整えることができる。光拡散シート212は、光学部材210の発光面210aを形成している。光拡散シート212で拡散された光は、光学部材210から射出して化粧シート6に向かう。光拡散シート212には、光拡散機能を発揮し得る種々の構成を採用することができる。光拡散シート212が有する拡散特性は、等方性であってもよいし、異方性であってもよい。
【0067】
導光板211の裏面211bに対面して、反射シート213が設けられている。反射シート213は、裏面211bから出射する光を反射して、導光板211及び光拡散シート212へ向けることができる。反射シート213を設けることで、光学部材210の発光面210aからの出射光量を増大させることができる。これにより、発光体220から射出した光の利用効率を向上させることができる。反射シート213には、光反射機能を発揮し得る種々の構成を採用することができる。反射シート213の反射特性は、正反射であってもよいし、拡散反射であってもよい。反射シート213が有する拡散反射特性は、等方性であってもよいし、異方性であってもよい。
【0068】
(ベース照明装置3)
次に、ベース照明装置3について説明する。図1および図3に示すように、ベース照明装置3は、天井CEに取り付けられ、照明光Lxを空間Sに上方から放出する。ベース照明装置3は、天井CEに固定されていてもよいし、天井CEから吊り下げられていてもよい。ベース照明装置3は、人の視覚を通した空間S内の把握を補助するものである。したがって、ベース照明装置3として、一般的な、室内照明用の器具を用いることができる。
ベース照明装置3から射出する照明光Lxは、特に限定されないが、白色系とすることで自然な照明を可能とすることができる。
【0069】
(システム制御部4)
次に、システム制御部4について説明する。図5は、本実施形態による空間演出システム1を示すブロック図である。システム制御部4は、面光源装置21~24から空間Sに射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を制御するものである。
【0070】
図3および図5の例において、システム制御部4は、面光源装置21~24の発光体220に電気的に接続されている。システム制御部4は、図示しない電源から発光体220に供給される電力を制御することで、発光体220の発光動作を制御する。発光体220の発光動作を制御することで、システム制御部4は、面光源装置21~24から空間Sに射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を制御する。
【0071】
システム制御部4は、面光源装置21~24に所期の発光動作を行わせることができるものであれば、その具体的な態様は特に限定されない。例えば、システム制御部4は、電源から発光体220に電力を供給する電気回路に組み込まれ、電気回路の回路素子の動作を制御する制御回路や、制御回路の処理に用いるデータが記憶された記憶装置などのハードウェアで構成される。システム制御部4の少なくとも一部をソフトウェアで構成してもよい。システム制御部4は、その全てが建材パネル20の外部に設けられていてもよく、あるいは、その少なくとも一部が建材パネル20の内部に設けられていてもよい。また、システム制御部4は、その一部の構成部が、他の構成部との間でネットワークを通じた通信によって連携可能であってもよい。また、システム制御部4は、その一部の構成部が、他の構成部との間で外部ネットワークを通じて通信可能な装置、例えばクラウド上のサーバやデータベース上にあってもよい。また、システム制御部4は、後述する利用状況情報を取得するため、通信装置や入出力ポート等の利用状況情報を生成する外部機器とのインターフェースを備えていてもよい。
【0072】
システム制御部4は、壁W1~W4の位置関係に応じた順序すなわちタイミングにしたがって、電源から発光体220に供給される電力を変化させることで、面光源装置21~24から空間Sに射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる。システム制御部4は、予め設定された当該変化の順序に関するデータやコマンドを外部の記憶装置または自らの記憶領域から取得し、取得されたデータやコマンドに基づいて、当該変化の順序にしたがって面光源装置21~24の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0073】
より具体的には、システム制御部4は、出入口Dからの距離が短い壁W2、W4に設けられた第2の面光源装置22および第4の面光源装置24から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、出入口Dからの距離が長い壁W1、W3に設けられた第1の面光源装置21および第3の面光源装置23から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる。
【0074】
例えば、システム制御部4は、第2の面光源装置22および第4の面光源装置24から射出される光の明るさを増加させた後に、第1の面光源装置21および第3の面光源装置23から射出される光の明るさを増加させてもよい。
【0075】
また、システム制御部4は、第2の面光源装置22および第4の面光源装置24から射出される光の色を濃くした後に、第1の面光源装置21および第3の面光源装置23から射出される光の色を濃くしてもよい。
【0076】
なお、図3に示される例において、明るさの変化は、輝度計で空間Sの内部から化粧シート6の化粧面の輝度を測定し、測定された輝度の変化として検出することができる。また、色の変化は、色温度計によって空間Sの内部から化粧シート6の化粧面の色温度を測定し、測定された色温度の変化として検出することができる。より具体的には、色の変化は、JIS Z 8730:2009に記載されている色差:ΔE abの0.2よりも大きい変化として検出することができる。
【0077】
また、図5の例において、システム制御部4は、部屋すなわち空間Sの利用状況を示す利用状況情報を取得する。そして、システム制御部4は、取得された利用状況情報に示される利用状況にしたがって、面光源装置21~24から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる。
【0078】
利用状況情報としては、例えば、利用者の入室時からの経過時間を示す時間情報、部屋内の利用者の位置を示す位置情報、利用者の着席状態を示す着席情報、部屋の利用のスケジュールを示すスケジュール情報等を挙げることができる。利用状況情報を取得するための具体的な態様は特に限定されない。システム制御部4は、自らの演算機能によって利用状況情報を取得してもよいし、または、外部の検出装置で検出された利用状況情報を検出装置から取得してもよい。
【0079】
例えば、システム制御部4は、入室時にベース照明装置3を点灯させるスイッチがオンされたことを電気的に検知し、スイッチがオンされた時刻からの経過時間をタイマ機能で計測することによって時間情報を取得してもよい。また、システム制御部4は、赤外線センサやカメラによる室内の物体の検出信号を取得し、取得された検出信号に基づいて位置情報を取得してもよい。また、システム制御部4は、椅子に設けられたシートスイッチから、着席情報としてオン信号またはオフ信号を取得してもよい。また、システム制御部4は、部屋のスケジュールを管理する部屋の予約システムとの通信によってスケジュール情報を取得してもよい。
【0080】
部屋の利用状況にしたがって面光源装置21~24から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる制御の具体的な態様は特に限定されない。システム制御部4は、単一の利用状況情報に基づいて面光源装置21~24から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。または、システム制御部4は、複数の利用状況情報の組合せに基づいて面光源装置21~24から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0081】
例えば、システム制御部4は、時間情報、位置情報、および着席情報の少なくとも1つに基づいて、入室時から着席時までの期間内に、第2の面光源装置22および第4の面光源装置24から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を、目標とする明るさ、色まで変化させてもよい。そして、システム制御部4は、時間情報およびスケジュール情報の少なくとも一方に基づいて、着席時から会議開始時までの期間内に、第1の面光源装置21および第3の面光源装置23から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を、目標とする明るさ、色まで変化させてもよい。
【0082】
このように、出入口Dから近い位置W2、W4に設けられた面光源装置22、24の光の明るさ、色を変化させた後に、出入口Dから遠い位置W1、W3に設けられた面光源装置21、23の光の明るさ、色を変化させることで、利用者の視界に入り易い面光源装置21、23の光の明るさおよび色が急激に変化することによって利用者に違和感を与えることを回避することができる。違和感を回避することで、部屋内の空間Sの雰囲気を効果的に演出することができる。なお、面光源装置21~24から射出される光の明るさおよび色の変化は、連続的および段階的のいずれでもよいが、違和感をより効果的に抑えるためには、連続的であることがより好ましい。
【0083】
なお、システム制御部4は、例えば、会議開始後において、特定の位置P2に存在する特定の利用者の視界に入り易い面光源装置22、24の光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。一例として、図2には、スクリーンSCを用いてプレゼンテーションを行う利用者の位置P2が例示されている。このような利用者に対しては、視界に入り易い面光源装置22、24から射出される光の明るさ、色を、緊張感の緩和等に効果的な明るさ、色に変化させてもよい。このように、特定の利用者に向けて、視界に入り易い位置に設けられた面光源装置21~24の光の明るさ、色を積極的に変化させることで、特定の利用者に好適な空間Sの雰囲気を演出することが可能となる。
【0084】
これ以外にも、例えば、システム制御部4は、スケジュール情報等に基づいて現在の時刻が会議中および休憩中のいずれであるかを判定し、会議中である場合、利用者に活気を与えるのに効果的な例えば赤色系の光を射出するように面光源装置21~24を制御してもよい。一方、休憩中である場合、システム制御部4は、利用者に安らぎを与えるのに効果的な例えば緑色系の光を射出するように面光源装置21~24を制御してもよい。
【0085】
また、システム制御部4を空間Sの演出効果を高めるため、既述した利用状況情報以外の利用状況情報を用いてもよい。
【0086】
例えば、図4に示すように、システム制御部4は、利用者が装着しているウェアラブル機器との通信によって、ウェアラブル機器から利用者の脈拍、血圧を測定した健康状態測定情報を取得してもよい。この場合、システム制御部4は、取得された健康状態測定情報に基づいて、利用者が疲れているか否かを判定してもよい。そして、システム制御部4は、健康状態測定情報に示される利用者の脈拍および血圧の上昇量が閾値を超えたことで利用者が疲れていると判定した場合、利用者に癒しを与えるのに効果的な例えば緑色系または紫色系の光を射出するように面光源装置21~24を制御してもよい。
【0087】
また、図5に示すように、システム制御部4は、部屋に設置されている音響システムとの通信によって、音響システムからマイクに入力された音声情報を取得してもよい。そして、システム制御部4は、入力された音声情報に示される音量が閾値を超えた場合には、利用者に落ち着きを与えるのに効果的な例えば青色系の光を射出するように面光源装置21~24を制御してもよい。
【0088】
また、図5に示すように、システム制御部4は、部屋内に設置されている照度計から、部屋内の照度を測定した照度情報を取得してもよい。そして、システム制御部4は、照度情報に応じて面光源装置21~24の光の明るさを制御してもよい。
【0089】
(空間演出方法)
以下、空間演出システム1を適用した空間演出方法の一例について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態による空間演出方法を示す図である。図6には、横欄の面光源装置21~24毎に、縦欄の利用状況に対応した動作内容が例示されている。
【0090】
先ず、利用者の入室前に、システム制御部4は、すべての面光源装置21~24を消灯させておく。
【0091】
次いで、利用者の入室時に、システム制御部4は、すべての面光源装置21~24から空間Sに射出される光を白色に制御する。白色は、ベース照明装置3の照射光と同じ色である。このように、部屋の利用開始時における面光源装置21~24の光の色をベース照明装置3の照射光の色に合わせることで、利用者の違和感を効果的に抑制することができる。
【0092】
システム制御部4は、面光源装置21~24の白色光の明るさを、ベース照明装置3の白色光の明るさよりも暗くしてもよい。例えば、システム制御部4は、面光源装置21~24の白色光の輝度を、ベース照明装置3の白色光の輝度の10%以下に制御してもよい。これにより、面光源装置21~24の白色光を目立ち難くすることができるので、利用者の違和感を更に効果的に抑制することができる。
【0093】
次いで、利用者の着席時に、システム制御部4は、出入口Dから近い壁W2、W4に設けられた面光源装置22、24の光の色を赤紫色に変化させる。このとき、システム制御部4は、出入口Dから遠い壁W1、W3に設けられた面光源装置21、23の光の色の、赤紫色への段階的な変化を開始する。
【0094】
ここで、出入口Dを通って入室してから着席するまでの間、出入口Dから遠い壁W1、W3は、利用者の進行方向の先に位置するため利用者の視界に入り易い。もし、出入口Dから遠い壁W1、W3に設けられている面光源装置21、23の光の色を着席前に急激に赤紫色に変化させた場合、この変化が利用者の目に留まり易いことで、利用者に違和感を与える虞がある。
【0095】
これに対して、本実施形態では、入室時から着席時までの間は、出入口Dから遠い壁W1、W3に設けられている面光源装置21、23の光の色を変化させず、入室時の白色のまま維持することができる。これにより、利用者に違和感を与えることを回避することができる。
【0096】
一方、入室から着席までの間、出入口Dから近い壁W2、W4は、利用者が背にすることが多いため利用者の視界に入り難い。本実施形態では、出入口Dから近い壁W2、W4に設けられている面光源装置22、24の光の色を着席時までに目標とする赤紫色に変化させることで、利用者への違和感を回避しつつ、空間の雰囲気を迅速に演出することができる。面光源装置22、24の目標とする色の変化が完了するタイミングは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。壁W2と壁W4の調光する領域の面積比に応じて面光源装置22、24の光の色の変化の速度を変えてもよい。例えば、壁W2よりも壁W4の調光する領域の面積が小さい場合、面光源装置22を面光源装置24よりも速く光の色の変化をさせてもよい。
【0097】
次いで、会議開始の待機時に、システム制御部4は、出入口Dから近い壁W2、W4に設けられた面光源装置22、24の光の色を赤紫色に維持する。このとき、システム制御部4は、出入口Dから遠い壁W1、W3に設けられた面光源装置21、23の光の色の赤紫色への段階的な変化を継続する。面光源装置21、23の光の色の変化を開始する前に面光源装置22、24の光の色の変化を開始するため、面光源装置22、24の光が利用者に事前に少なからず作用し、その結果、面光源装置21、23の光の色の変化に利用者が違和感を覚えにくいと考えられる。
【0098】
次いで、会議開始時に、システム制御部4は、出入口Dから近い壁W2、W4に設けられた面光源装置22、24の光の色を赤紫色に維持する。このとき、システム制御部4は、出入口Dから遠い壁W1、W3に設けられた面光源装置21、23の光の色の赤紫色への段階的な変化を完了する。面光源装置21、23の目標とする色の変化が完了するタイミングは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、利用者の視界に含まれる壁W1と壁W3の割合に応じて面光源装置21、23の光の色の変化の速度を変えてもよい。例えば、利用者の視界に壁W1よりも壁W3の方が多く含まれている場合、面光源装置21を面光源装置23よりも速く光の色の変化をさせてもよい。また、壁W1と壁W3の調光する領域の面積比に応じて面光源装置21、23の光の色の変化の速度を変えてもよい。例えば、壁W1よりも壁W3の調光する領域の面積が小さい場合、面光源装置21を面光源装置23よりも速く光の色の変化をさせてもよい。
【0099】
このように、出入口Dから遠い壁W1、W3に設けられた面光源装置21、23の光の色を、一定時間をかけて徐々に変化させることで、利用者に与える違和感をさらに確実に回避することができる。
【0100】
次いで、会議中に、システム制御部4は、目的に応じて面光源装置21~24の光を調光する。例えば、システム制御部4は、既述した音声情報等に基づいて会議が紛糾していることを検知し、冷静な議論ができるように面光源装置21~24の光の色を青色系に変化させてもよい。
【0101】
次いで、会議終了後、システム制御部4は、すべての面光源装置21~24の光の色を白色に変化させる。
【0102】
次いで、退出時に、システム制御部4は、すべての面光源装置21~24の光を白色光に維持するか、または、消灯させる。
【0103】
以上説明したように、本実施形態において、面光源装置21~24は、壁W1~W4の位置関係に応じた順序にしたがって、面光源装置21~24から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる。具体的には、本実施形態においては、第2、第4の面光源装置22、24がその光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、第1、第3の面光源装置21、23がその光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる。これにより、部屋の利用者に与える違和感を回避して、空間の雰囲気を効果的に演出することができる。
【0104】
(第1の変形例)
図7は、本実施形態の第1の変形例による空間演出システム1に含まれる面光源装置22の一例を示す正面図である。以下、図7を参照して第1の変形例による空間演出システム1について説明する。
【0105】
これまでは、壁W1~W4の位置関係としての出入口Dから壁W1~W4までの距離に応じた順序にしたがって、面光源装置21~24の光の色および明るさの少なくとも一方を変化させる例について説明した。
【0106】
これに対して、第1の変形例では、壁W1~W4の位置関係としての出入口Dから壁W1~W4の繋ぎ目に位置する角部C1~C4までの距離に応じた順序にしたがって、面光源装置21~24の光の色および明るさの少なくとも一方を変化させる。
【0107】
角部C1~C4の配置は、図2に示したとおりである。具体的には、図2に示すように、第1の角部C1は、第2の壁W2の出入口Dと反対側の端部と、第3の壁W3の出入口D側の端部との繋ぎ目に位置する。第2の角部C2は、第2の壁W2の出入口D側の端部と、第4の壁W4の出入口D側の端部との繋ぎ目に位置する。第3の角部C3は、第4の壁W4の出入口Dと反対側の端部と、第1の壁W1の出入口D側の端部との繋ぎ目に位置する。第4の角部C4は、第1の壁W1の出入口Dと反対側の端部と、第3の壁W3の出入口Dと反対側の端部との繋ぎ目に位置する。
【0108】
角部C1~C4のうち、第2の角部C2は、出入口Dからの距離が最も短く、第4の角部C4は、出入口Dからの距離が最も長い。
【0109】
第1の変形例において、システム制御部4は、出入口Dからの距離が最も短い第2の角部C2における光の明るさおよび色の少なくとも一方を最初に変化させた後、出入口Dからの距離が最も長い第4の角部C4における光の明るさおよび色の少なくとも一方を最後に変化させる。
【0110】
このように出入口D側の角部C2から出入口Dと反対側の角部C4に向かう順序にしたがって光の明るさ、色を変化させるための構成例を図7に示す。
【0111】
図7の例において、出入口Dからの距離が短い第2および第4の面光源装置22、24の発光面210aは、光の明るさ及び色の変化のタイミングが異なる第2の角部C2側の第3の発光領域A3と、第1または第3の角部C1、C3側の第4の発光領域A4とを有する。また、出入口Dからの距離が長い第1および第3の面光源装置21、23の発光面210aは、光の明るさ及び色の変化のタイミングが異なる第1または第3の角部C1、C3側の第1の発光領域A1と、第4の角部C4側の第2の発光領域A2とを有する。
【0112】
システム制御部4は、第2および第4の面光源装置22、24の発光面210aのうちの出入口Dからの距離が短い第3の発光領域A3から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、出入口Dからの距離が長い第4の発光領域A4から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる。
【0113】
このような光の明るさ、色の変化は、第3の発光領域A3に対応する位置に配置された発光体220に供給される電力を変化させた後に、第4の発光領域A4に対応する位置に配置された発光体220に供給される電力を変化させることで具現化することができる。
このとき、システム制御部4は、第2および第4の面光源装置22、24の発光面210aの出入口D側の一端から出入口Dと反対側の他端に向かって、漸次または段階的に光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。これにより、違和感をさらに効果的に防止することができる。
【0114】
このようにして、第2の角部C2における光の明るさ、色を変化させた後に、第1の角部C1および第3の角部C3における光の明るさ、色を変化させることができる。
【0115】
その後、システム制御部4は、第1および第3の面光源装置21、23の発光面210aのうちの出入口Dからの距離が短い第1の発光領域A1から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、出入口Dからの距離が長い第2の発光領域A2から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる。
【0116】
このような光の明るさ、色の変化は、第1の発光領域A1に対応する位置に配置された発光体220に供給される電力を変化させた後に、第2の発光領域A2に対応する位置に配置された発光体220に供給される電力を変化させることで具現化することができる。
このとき、システム制御部4は、第1および第3の面光源装置21、23の発光面210aの出入口D側の一端から出入口Dと反対側の他端に向かって、漸次または段階的に光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。これにより、違和感をさらに効果的に防止することができる。
【0117】
このようにして、第1の角部C1および第3の角部C3における光の明るさ、色を変化させた後に、第4の角部C4における光の明るさ、色を変化させることができる。
【0118】
(空間演出方法)
以下、図7の空間演出システム1を適用した空間演出方法の一例について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態の第1の変形例による空間演出方法を示す図である。
【0119】
先ず、利用者の入室前に、システム制御部4は、すべての角部C1~C4における光を消灯させておく。
【0120】
次いで、利用者の入室時に、システム制御部4は、すべての角部C1~C4における光の色を白色に制御する。
【0121】
次いで、利用者の着席時に、システム制御部4は、出入口Dから最も近い第2の角部C2における光の色を赤紫色に変化させる。
【0122】
次いで、会議開始の待機時に、システム制御部4は、第2の角部C2の次に出入口Dから近い第1の角部C1および第3の角部C3における光の色を赤紫色に変化させる。
【0123】
次いで、会議開始時に、システム制御部4は、出入口Dから最も遠い第4の角部C4における光の色を赤紫色に変化させる。
【0124】
次いで、会議中に、システム制御部4は、目的に応じて角部C1~C4における光を調光する。
【0125】
次いで、会議終了後、システム制御部4は、すべての角部C1~C4における光の色を白色に変化させる。
【0126】
次いで、退出時に、システム制御部4は、すべての角部C1~C4における光を白色光に維持するか、または、消灯させる。
【0127】
第1の変形例によれば、出入口Dから近い壁W2、W4のうち、出入口Dにより近い角部C2における光の明るさ、色を最初に変化させ、出入口Dから遠い壁W1、W3のうち、出入口Dからより遠い第4の角部C4における光の明るさ、色を最後に変化させることができる。これにより、利用者の違和感を更に確実に回避して、空間の演出効果を更に高めることができる。
【0128】
(第2の変形例)
図9は、本実施形態の第2の変形例による空間演出システム1を示す斜視図である。これまでは、面光源装置21~24が異なる壁W1~W4に設けられている例について説明した。これに対して、第2の変形例では、同一の壁に複数の面光源装置が設けられている。
【0129】
具体的には、図9に示すように、第2の壁W2には、第2の面光源装置22に加えて、更に、第5の面光源装置25と、第6の面光源装置26とが設けられている。第5の面光源装置25は、第2の面光源装置22よりも出入口Dからの距離が短い。第6の面光源装置26は、第5の面光源装置25よりも出入口Dからの距離が短い。
【0130】
図10は、本実施形態の第2の変形例による空間演出システム1に含まれる面光源装置22、25、26を示す正面図である。図10の例において、面光源装置22、25、26は、それぞれが建材パネル20に組み込まれている。面光源装置22、25、26は、水平方向d2に沿って各建材パネル20をタイリングすることで、水平方向d2において殆ど隙間なく隣り合っている。
【0131】
図11は、本実施形態の第2の変形例による空間演出方法を示す図である。システム制御部4は、同一の壁W2の異なる位置に設けられた面光源装置22、25、26に対しても、異なる壁W1~W4に設けられた面光源装置21~24に対する発光制御と同様の発光制御を行う。
【0132】
具体的には、図11に示すように、システム制御部4は、時間の経過にしたがって、出入口Dに最も近い第6の面光源装置26から、出入口Dから最も遠い第2の面光源装置22に向かって順に、光の明るさを段階的に増加させる。なお、図11には、面光源装置22、25、26からの光の明るさが、“0”~“3”の明るさのレベルで表現されている。光の明るさは、発光体220に供給される電力、例えば電流を増加させることによって増加させることができる。
【0133】
第2の変形例においても、部屋の利用者に与える違和感を回避して、空間の雰囲気を効果的に演出することができる。また、部屋のサイズに応じてタイリングする建材パネル20の枚数を変更することで、部屋の広さに制約されずに空間を演出することができる。
【0134】
(第3の変形例)
図12は、本実施形態の第3の変形例による空間演出システム1に含まれる面光源装置22、25、26を示す正面図である。図13は、本実施形態の第3の変形例による空間演出方法を示す図である。
【0135】
図10および図11では、利用者の視界に入り難い出入口D側d21の面光源装置26から、利用者の視界に入り易い出入口Dと反対側d22の面光源装置22に向かって順に、光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化せる例について説明した。
【0136】
これに対して、第3の変形例におけるシステム制御部4は、図13に示すように、面光源装置22、25、26の発光面210aのうち、先ず、利用者の目線から上方d11に最も離れた上部発光領域221、251、261の明るさをレベル“1”まで増加させる。
【0137】
次に、システム制御部4は、面光源装置22、25、26の発光面210aのうち、下方d12において上部発光領域221、251、261に隣接する中間部発光領域222、252、262の明るさをレベル“1”まで増加させる。このとき、システム制御部4は、上部発光領域221、251、261の明るさをレベル“2”まで増加させる。
【0138】
次に、システム制御部4は、面光源装置22、25、26の発光面210aのうち、利用者の目線に最も近い下部発光領域223、253、263の明るさをレベル“1”まで増加させる。このとき、システム制御部4は、中間部発光領域222、252、262の明るさをレベル“2”まで増加させ、また、上部発光領域221、251、261の明るさをレベル“3”まで増加させる。上部発光領域221、251、261と中間部発光領域222、252、262との位置関係において、上部発光領域221、251、261は第2の光射出部すなわち第2の発光領域に相当し、中間部発光領域222、252、262は、第1の光射出部すなわち第1の発光領域に相当する。中間部発光領域222、252、262と下部発光領域223、253、263との位置関係において、中間部発光領域222、252、262は第2の光射出部すなわち第2の発光領域に相当し、下部発光領域223、253、263は第1の光射出部すなわち第1の発光領域に相当する。
【0139】
エッジライト方式の面光源装置22、25、26においては、発光体220への供給電力を増加させて導光板211の入光量を増加させることで、図13に示すように、発光体220側d11から反対側d12に向かって光の明るさを段階的に増加させることができる。
【0140】
第3の変形例によれば、利用者の目線の高さから最も離れた視界に入り難い上部発光領域221、251、261から、利用者の目線の高さに最も近い視界に入り易い下部発光領域223、253、263に向かって順に、光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させることができる。これにより、第3の変形例においても、部屋の利用者に与える違和感を回避して、空間の雰囲気を効果的に演出することができる。
【0141】
(第4の変形例)
図14は、本実施形態の第4の変形例による空間演出方法を示す図である。図14に示すように、第2の変形例と第3の変形例とを組み合わせてもよい。
【0142】
すなわち、第4の変形例においては、出入口Dに最も近く且つ利用者の目線から最も離れた最も視界に入り難い第6の面光源装置26の上部発光領域261から、出入口Dから最も遠く且つ利用者の目線の高さに最も近い最も視界に入り易い第2の面光源装置22の下部発光領域223に向かって、光の明るさを段階的に増加させる。
【0143】
これにより、第2の変形例および第3の変形例よりもさらに効果的に部屋の利用者に与える違和感を回避して、空間の雰囲気をより効果的に演出することができる。
【0144】
(第5の変形例)
図15は、本実施形態の第5の変形例による空間演出システム1を示す第1の斜視図である。図16は、本実施形態の第5の変形例による空間演出システム1を示す第2の斜視図である。
【0145】
これまでは、壁W1~W4の上端側に面光源装置21~24を設ける例について説明した。これに対して、図15に示すように、壁W1~W4の下端側に面光源装置21~24を設けてもよい。また、図16に示すように、利用者の目線の高さにより近い高さに面光源装置21~24を設けることで、演出効果を更に高めてもよい。
【0146】
第5の変形例によれば、空間の演出のバリエーションを増やすことができる。
【0147】
(第6の変形例)
図5の例では、導光板211の取出要素として、凹部211cを例示した。他の例として、図17に示すように、取出要素は、導光板211に積層された光散乱層215とすることができる。光散乱層215は、バインダーとして機能する支持層215aと、支持層215a内に分散した光散乱要素215bと、を有している。支持層215aは、可視光透過性を有した樹脂から形成され得る。光散乱要素215bは、反射、屈折、回折等によって、光散乱層215内を進行する光の進行方向を変化させる機能を有している。光散乱要素215bは、支持層215aと異なる屈折率を有していてもよいし、金属等の光反射性を有した材料によって形成されていてもよい。光散乱要素215bの具体例として、金属化合物、気体を含有した多孔質物質、金属化合物を周囲に保持した樹脂ビーズ、白色微粒子、気泡、周囲と屈折率が異なる粒子が、例示され得る。図17の例において、導光板211内を進む光L1,L2は、光散乱層215内で光散乱要素215bと衝突することで進行方向を変化させ、その後、導光板211から出射することが可能となる。
【0148】
なお、光散乱層215の支持層215aの屈折率は、導光板211の屈折率以上となっていることが好ましい。光散乱層215の支持層215aの屈折率が導光板211の屈折率よりも低いと、導光板211内を進む光L3が、導光板211と光散乱層215との界面で全反射して、光散乱層215に入射できない可能性がある。このような光L3は、入光面211dから導光板211に入射した後、導光板211内を反対面211eまで進むことになる。このような光の存在は、発光体220のエネルギー効率が低下させてしまうことになる。支持層215aの屈折率を導光板211の屈折率以上とすることで、導光板211と光散乱層215との界面での全反射を効果的に防止して、光散乱層215が取出要素としてより効果的に機能し得る。
【0149】
(第7の変形例)
さらに他の例として、図18に示すように、取出要素として機能する光散乱要素215bが、導光板本体65内に分散していてもよい。図18に示された導光板211では、導光板211内を進む光Lが、光散乱要素215bに衝突することで散乱し、導光板211から出射することができる。光散乱要素215bとしては、上述した光散乱要素215bと同様に構成され得る。
【0150】
また、導光板211は、複数種類の取出要素を含むようにしてもよい。図18に示された例において、導光板211は、光散乱要素215bを含有し、さらに、凹部211cを有している。
【0151】
さらに、導光板211の各領域での凹部211cに起因した光散乱能は、一定ではなく、異なっていてもよい。すなわち、導光板211の光散乱能が、板面に沿った各領域で変化するようにしてもよい。さらに言い換えると、導光板211の或る領域での光散乱能は、当該領域から板面に沿ってずれた他の領域での光散乱能と異なっていてもよい。導光板211のパネル面に沿った各領域での光散乱能を変化させることにより、各領域からの出射光量を調節することが可能となる。
【0152】
光散乱能は、導光板211がその内部を通過する光を散乱させる性能の強さのことである。光散乱能の程度は、一例として、JIS-K7361-1に準拠して測定されるヘイズ値[%]を用いて評価することができ、ヘイズ値[%]が高いと光散乱能が高いということになる。したがって、図示された例では、導光板211の板面への法線方向に透過する透過ヘイズ値が、導光板211の各領域で一定ではなく、異なる値を持つようになる。
ヘイズ値[%]は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM-150)を用いてJIS K7136に準拠した方法により測定することができる。
【0153】
(第8の変形例)
図19は、本実施形態の第8の変形例による空間演出方法を示す図である。図6では、部屋の利用開始時に、面光源装置21~24の光の色をベース照明装置3の光の色と同じ白色に合わせることで、面光源装置21~24の光による違和感を回避する例について説明した。
【0154】
このような面光源装置21~24とベース照明装置3との連携を更に発展させて、面光源装置21~24の光による演出効果を更に高めることも可能である。
【0155】
具体的には、図19の例において、システム制御部4は、面光源装置21~24から射出される光の明るさおよび色の少なくとも一方の変化に応じて、ベース照明装置3の照射光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させる。
【0156】
より具体的には、図19に示すように、システム制御部4は、会議開始時および会議中において、ベース照明装置3の白色光の輝度を低下させる。ベース照明装置3の白色光の輝度を低下させることで、面光源装置21~24の光の明るさを積極的に増加させることによって生じ得る違和感を回避しつつ、面光源装置21~24の光が空間Sの雰囲気に与える影響を相対的に大きくすることができる。これによって、面光源装置21~24の光による演出効果を更に高めことが可能となる。
【0157】
(第9の変形例)
図20は、本実施形態の第9の変形例による空間演出システム1に含まれる面光源装置21~24の一例を示す断面図である。さらに、他の変形例として、図20に示すように、発光面210aを化粧シート6の全面に対面する大きさに形成することで、建材パネル20がボード5を有さず、また、化粧シート6が非発光領域Z2を有さず発光領域Z1のみを有するようにしてもよい。これにより、発光面210aの面積を大きくして演出効果を更に高めることが可能となる。図20に示す例に限らず、面光源装置21~24が壁の一部の領域にのみ対面するように構成されていてもよい。
【0158】
(第10の変形例)
本開示の空間演出システム1は、部屋の空間Sの演出以外の用途にも適用することができる。
【0159】
例えば、図21に示すように、空間Sは、仕切部材である正面側の第1のパーテーションPA1および側面側の第2および第3のパーテーションPA2、PA3で囲まれた机D上に位置してもよい。第1の光射出部の一例である第1の面光源装置201は、第1の位置の一例である第1のパーテーションPA1に設けられ、第2の光射出部の一例である第2および第3の面光源装置202、203は、第2の位置の一例である第2および第3のパーテーションPA2、PA3に設けられていてもよい。面光源装置201~203は、エッジライト方式の面光源装置であってもよいが、これに限定されない。そして、第1の面光源装置201は、第2および第3の面光源装置202、203が光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0160】
机の利用者は、正面のパーテーションPA1が視界に入り易い傾向にある。図21の例によれば、視界に入り易い正面のパーテーションPA1に設けられた第1の面光源装置201よりも先に、視界に入り難い側面のパーテーションPA2、PA3に設けられた第2、第3の面光源装置202、203の光の色、明るさを変化させることができる。これにより、第1の面光源装置201の光の色、明るさの変化が目立つことによる利用者の違和感を回避して、空間の雰囲気を効果的に演出することができる。
【0161】
また、例えば、図22に示すように、空間Sは、眼鏡GのレンズLの第1面S1および第2面S2の少なくとも一方に隣接する空間Sであってもよい。第1の光出射部20Aは、眼鏡GのフレームFRのうちレンズLの高さ方向hの一端に隣接する第1フレーム部FR1上に設けられ、第2の光出射部20Bは、フレームFRのうちレンズLの幅方向Wの外端に隣接する第2フレーム部FR2上に設けられていてもよい。光射出部20A、20Bは、例えば、フレーム部R1、R2に沿ってLEDチップ等の複数の発光体を設けることで構成してもよい。そして、第1の光射出部20Aは、第2の光射出部20Bが光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させた後に、光の明るさおよび色の少なくとも一方を変化させてもよい。
【0162】
図22の例によれば、空間Sの利用者の一例である眼鏡Gの使用者の視界に入り易い第1フレーム部FR1に設けられた第1の光射出部20Aよりも先に、眼鏡Gの使用者の視界に入り難い第2フレーム部FR2に設けられた第2の光射出部20Bの光の色、明るさを変化させることができる。これにより、第1の光射出部20Aの光の色、明るさの変化が目立つことによる利用者の違和感を回避して、空間の雰囲気を効果的に演出することができる。
【0163】
(第11の変形例)
図23は、本実施形態の第11の変形例による空間演出システム1を示す斜視図である。図24は、本実施形態の第11の変形例による空間演出システム1に含まれる面光源装置21~24の一例を示す断面図である。これまでは、面光源装置21~24を壁Wに設ける例について説明した。これに対して、図23および図24に示すように、面光源装置21~24を天井CEに設けるようにしてもよい。図24の例において、面光源装置21~24は、発光面210aを下方d12に向けて天井CEに配置されている。発光体220側の面光源装置21~24の端部は、第1保持フレーム71で保持され、発光体220と反対側の面光源装置21~24の端部は、第2保持フレーム72で保持されている。化粧シート6は、発光面210aに沿って発光面210aの下側に位置し、一端が第1保持フレーム71上に保持され、他端が第2保持フレーム72上に保持されている。
【0164】
導入のしやすさの観点から、天井CEはシステム天井であることが好ましい。システム天井とは、天井の仕上板と天井に設置される設備機器とを一体に組み立てる天井のことである。従来型の天井は、下地にボードを貼り、設備機器は後からセットする方式であるのに対して、システム天井は、天井面のランナーや枠に予め一体に組み立てられたボードと設備機器とをはめ込んでセットする方式である。
【0165】
天井CEには、照明用の配線が既設されていることが多いため、既存の配線を活用して低コストで面光源装置21~24を設置することができる。また、システム天井の場合には、より簡易的に面光源装置21~24を設置することができる。
【0166】
(第12の変形例)
図25Aは、本実施形態の第12の変形例による空間演出システム1に含まれる面光源装置21~24の一例を示す断面図である。これまでは、面光源装置21~24を壁Wに設ける例について説明した。これに対して、図25Aに示すように、面光源装置21~24は、空間Sと他の空間S2との間を仕切る間仕切壁200に設けてもよい。間仕切壁200は、既述した面光源装置21~24と、収納ボックス73と、支持板500と、第1壁板501と、第2壁板502とを有する。
【0167】
支持板500は、床Fから天井CEまたはその近傍まで延び、空間S側の前面500aと、空間Sに隣接する他の空間S2側の背面500bとを有する。面光源装置21~24は、支持板500の前面500aのうちの上端部側の所定範囲の領域に支持されている。
【0168】
より詳しくは、面光源装置21~24は、前方が開口された箱状の収納ボックス73内に収納された状態で、収納ボックス73とともに支持板500の前面500aに固定されている。収納ボックス73の開口部は、発光面210aに対面する化粧シート6で閉塞されている。収納ボックス73は、例えば、ねじ止め等の固定方法によって支持板500の前面500aに固定されていてもよい。取り扱い性および剛性を確保するため、支持板500は、例えば、軽鉄で構成してもよい。
【0169】
支持板500の前面500aのうち、支持板500の下端から面光源装置21~24の下端部の近傍に亘る領域には、支持板500に沿って第1壁板501が配置されている。
意匠性を確保するため、第1壁板501の外観は、化粧シート6と同じであることが望ましい。また、取扱い性を確保するため、第1壁板501は、例えば、軽量な発砲スチロール材の表面に化粧シート6を貼り付けることで構成してもよい。
【0170】
支持板500の背面500bには、支持板500に沿って第2壁板502が配置されている。第2壁板502は、他の空間S2側に露出している。第2壁板502の材質は、第1壁板501と同じであってもよい。
【0171】
図25Aでは、面光源装置21~24が収納ボックス73に収納された例について説明した。これに対して、図25Bに示すように、面光源装置21~24を収納ボックス73に収納する替わりに、面光源装置21~24の背面に、他の空間S2側に露出するように面光源装置21~24の前面側の化粧シート6と同様の化粧シート6を配置してもよい。
なお、図25Bの例では、面光源装置21~24の上端に位置する第1保持フレーム71によって、発光体220と化粧シート6,6の上端部とが保持され、面光源装置21~24の下端に位置する第2保持フレーム72によって、光学部材210および化粧シート6,6の下端部ならびに壁板501の上端部が保持されている。例えば、第2保持フレーム72が壁板501に対して着脱可能であることで、面光源装置21~24は、壁板501に対して着脱可能となっている。図25Bの例では、面光源装置21を壁板501から取り外した場合に、一方の空間S、S2側から隣接する他方の空間S2、Sの一部を視認することができる。
【0172】
また、図25Aの例では、空間S側に光を射出する面光源装置21~24のみを例示しているが、図26に示すように、更に、他の空間S2に光を射出する面光源装置21~24を支持板500の背面500bに配置してもよい。この場合、空間S側の面光源装置21~24による光の射出と、他の空間S2側の面光源装置21~24による光の射出は、システム制御部4が独立して制御してもよい。
【0173】
建物自身の壁Wとは異なり、間仕切り壁200は、所望のレイアウトで空間を仕切るために建物に後付けすることができる。このような間仕切り壁200に面光源装置21~24を設けることで、面光源装置21~24の導入の容易性を向上させることができる。
【0174】
(第13の変形例)
図27は、本実施形態の第13の変形例による空間演出システム1に含まれる面光源装置の一例を示す断面図である。図28は、本実施形態の第13の変形例による空間演出システム1に含まれる面光源装置21~24の一例を示す分解斜視図である。
【0175】
これまでは、面光源装置21~24が導光板211を備えた例について説明した。これに対して、図27および図28に示すように、光拡散シート212と反射シート213との間に、導光板211を配置する替わりに空気層216を配置してもよい。空気層216は、発光体220から射出された光を反射シート213まで導光し、また、反射シート213で反射された光を光拡散シート212まで導光する。
【0176】
また、図27および図28に示すように、発光体220よりも反射シート213側に輝度調整シート214を配置してもよい。輝度調整シート214は、発光体220から射出された光に基づいて、発光面210aの或る位置の輝度を、その位置よりも上側d11の他の位置の輝度よりも低く調整するシートである。図28の例において、輝度調整シート214は、樹脂フィルムなどの透明基材214a上に黒インクの印刷や塗布によって形成された光吸収層214bを有する。光吸収層214bは、上側d11から下側d12に向かって反射シート213に対する面積率が増加する。これにより、上側d11から下側d12に向かって光吸収率を連続的に増加させることで、光反射率を連続的に減少させることができる。
【0177】
なお、図27の例において、光拡散シート212および輝度調整シート214は、接着材24を介して、発光体220を保持する第1フレーム701と、第1フレーム701と反対の第2フレーム702とに接着されている。また、化粧シート6は、フレーム701、702を跨いで反射シート213の背面に至るように配置されている。
【0178】
第13の変形例によれば、導光板211を配置する替わりに空気層216を配置することで軽量化が可能となる。また、発光体220よりも反射シート213側に位置する輝度調整シート214によって発光面210aの或る位置の輝度をその位置よりも上側d11の他の位置の輝度よりも低く調整することで、輝度調整シート214による意匠性の低下を抑制しつつ、発光面210aの下端側の縁部での輝度を低減することができる。これにより、空間Sの雰囲気を更に効果的に高めることが可能となる。
【0179】
また、本開示の空間演出システム1は、建物の部屋以外にも、車室や船室などの移動体の部屋内の空間の演出にも適用することができる。
【0180】
なお、以上において一実施の形態に対する具体例および変形例を説明してきたが、当然に、複数の例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
【0181】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、開示の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本開示の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された本開示とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0182】
1 空間演出システム
21 第1の面光源装置
22 第2の面光源装置
23 第3の面光源装置
24 第4の面光源装置
図1
図2
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図5
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図25A
図25B
図26
図27
図28