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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】エレベータ及び巻上装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/08 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
B66B11/08 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021052711
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150217
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2021-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深本 道成
(72)【発明者】
【氏名】古井 洋治
(72)【発明者】
【氏名】今田 拓誠
(72)【発明者】
【氏名】宮下 敏
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-137156(JP,A)
【文献】特開2010-037042(JP,A)
【文献】特開2014-156308(JP,A)
【文献】特開2016-188124(JP,A)
【文献】国際公開第2017/90080(WO,A1)
【文献】特開2019-99353(JP,A)
【文献】国際公開第2006/27841(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に走行するかご及び釣合錘と、
前記かご及び前記釣合錘に接続されるかごロープと、
昇降路内に配置され、前記かごロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上装置と、
前記昇降路内の水位が前記巻上装置よりも低い第1水高さに達することを検出する第1水位検出部と、
前記昇降路内の水位が前記第1水高さよりも低い第2水高さに達することを検出する第2水位検出部と、
前記第1水位検出部が水位を検出した場合に、前記かごの走行を休止させる処理部と、を備え、
前記処理部は、前記第2水位検出部が水位を検出した場合に、前記第1水高さよりも高い非常時走行範囲で前記かごの走行を可能とする非常時運転を可能とし、
前記巻上装置の高さは、前記非常時運転のときの前記釣合錘の最上位置よりも、低く、
前記巻上装置は、前記綱車と一体的に回転するディスクと、前記綱車を制動するために、前記ディスクの回転軸方向である第1横方向で前記ディスクを挟む制動部と、前記ディスクの一部を前記第1横方向から覆う第1制動面カバーと、を備え、
前記制動部は、前記ディスクのうち前記第1制動面カバーから開放される開放領域に接触可能に、配置され、
前記巻上装置は、前記ディスクの前記開放領域の少なくとも一部と前記制動部の全体とを前記第1横方向から覆う第2制動面カバーをさらに備える、エレベータ。
【請求項2】
前記ディスクは、前記綱車に連結される、請求項1に記載のエレベータ。
【請求項3】
前記巻上装置は、前記第1横方向と直交する第2横方向から、前記ディスクの少なくとも一部を覆う外周面カバーをさらに備える、請求項1又は2に記載のエレベータ。
【請求項4】
前記外周面カバーは、上端に、上方及び前記第2横方向からそれぞれ前記ディスクの少なくとも一部を覆う上カバー部を備え
前記上カバー部は、板状に形成され、下方へ向けて前記第2横方向の外方へ行くように、配置される、請求項に記載のエレベータ。
【請求項5】
前記外周面カバーは、下端に、下方及び前記第2横方向からそれぞれ前記ディスクの少なくとも一部を覆う下カバー部を備える、請求項1~4の何れか1項に記載のエレベータ。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のエレベータに用いられる巻上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エレベータ及び巻上装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、エレベータは、かご及び釣合錘と、かご及び釣合錘に接続されるかごロープと、昇降路内の水位が基準高さに達することを検出する水位検出部と、かごの走行を制御する処理部とを備えている(例えば、特許文献1)。そして、水位検出部が水位を検出した場合に、処理部は、基準高さよりも高い範囲でかごの走行を可能としている。
【0003】
また、エレベータは、かごロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上装置を備えており、例えば、巻上装置は、昇降路内に配置されている。そして、巻上装置は、綱車と一体的に回転するディスクと、綱車を制動するために、ディスクの回転軸方向でディスクを挟む制動部とを備えている(例えば、特許文献2)。
【0004】
ところで、昇降路内に水が流れ込んだ後に、かご及び釣合錘が走行し、例えば、走行する釣合錘が水中に入ったり水中から出たりした場合に、水が様々な方向へ飛散する。そして、ディスクに水が付着した場合に、ディスクが制動部に対して滑ることによって、綱車を正確に制動することができない虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭51-102852号公報
【文献】特開2019-99353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、課題は、昇降路内に水が流れ込んだ状態でかごが走行する場合に、ディスクに水が付着することを抑制することができるエレベータ及び巻上装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
エレベータは、上下方向に走行するかご及び釣合錘と、前記かご及び前記釣合錘に接続されるかごロープと、昇降路内に配置され、前記かごロープが巻き掛けられる綱車を有する巻上装置と、前記昇降路内の水位が前記巻上装置よりも低い位置に達することを検出する水位検出部と、前記水位検出部が水位を検出した場合に、前記かごの走行を休止させる処理部と、を備え、前記巻上装置は、前記綱車と一体的に回転するディスクと、前記綱車を制動するために、前記ディスクの回転軸方向である第1横方向で前記ディスクを挟む制動部と、前記ディスクの一部を前記第1横方向から覆う第1制動面カバーと、を備え、前記制動部は、前記ディスクのうち前記第1制動面カバーから開放される開放領域に接触可能に、配置され、前記巻上装置は、前記ディスクの前記開放領域の少なくとも一部と前記制動部の全体とを前記第1横方向から覆う第2制動面カバーをさらに備える。
【0008】
また、エレベータにおいては、前記巻上装置は、前記第1横方向と直交する第2横方向から、前記ディスクの少なくとも一部を覆う外周面カバーをさらに備える、という構成でもよい。
【0009】
また、エレベータにおいては、前記外周面カバーは、上端に、上方及び前記第2横方向からそれぞれ前記ディスクの少なくとも一部を覆う上カバー部を備える、という構成でもよい。
【0010】
また、エレベータにおいては、前記上カバー部は、板状に形成され、下方へ向けて前記第2横方向の外方へ行くように、配置される、という構成でもよい。
【0011】
また、エレベータにおいては、前記外周面カバーは、下端に、下方及び前記第2横方向からそれぞれ前記ディスクの少なくとも一部を覆う下カバー部を備える、という構成でもよい。
【0012】
また、巻上装置は、前記のエレベータに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係るエレベータの概略図である。
図2図2は、同実施形態に係る巻上装置の正面図であって、全てのカバーが取り外された状態を示す図である。
図3図3は、同実施形態に係る巻上装置の側面図であって、全てのカバーが取り外された状態を示す図である。
図4図4は、同実施形態に係る巻上装置の平面図であって、全てのカバーが取り外された状態を示す図である。
図5図5は、同実施形態に係る巻上装置の正面図であって、一部のカバーが取り外された状態を示す図である。
図6図6は、同実施形態に係る巻上装置の側面図であって、一部のカバーが取り外された状態を示す図である。
図7図7は、同実施形態に係る巻上装置の平面図であって、一部のカバーが取り外された状態を示す図である。
図8図8は、同実施形態に係る巻上装置の正面図である。
図9図9は、同実施形態に係る巻上装置の側面図である。
図10図10は、同実施形態に係る巻上装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、エレベータ及び巻上装置における一実施形態について、図1図10を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0015】
図1に示すように、エレベータ1は、例えば、人が乗るためのかご2と、かご2に接続されるかごロープ3と、かごロープ3に接続される釣合錘4と、かごロープ3を駆動してかご2及び釣合錘4を上下方向D3に走行させる巻上装置5とを備えていてもよい。また、エレベータ1は、例えば、かご2を案内するかごレール6と、釣合錘4を案内する錘レール7と、かご2の走行速度を検出する調速機8と、エレベータ1の各部を制御する処理部9とを備えていてもよい。
【0016】
また、本実施形態においては、かごロープ3の両端がそれぞれ昇降路X1の上部又は下部に固定され、かごロープ3がかご2のシーブ2a及び釣合錘4のシーブ4aにそれぞれ巻き掛けられることによって、かごロープ3がかご2及び釣合錘4にそれぞれ接続されている、という構成であるが、斯かる構成に限られない。例えば、かごロープ3の一端がかご2に固定され、かごロープ3の他端が釣合錘4に固定されている、という構成でもよい。
【0017】
調速機8は、例えば、かご2に接続される無端環状のガバナロープ8aと、かご2の速度を検出するために、ガバナロープ8aが巻き掛けられるガバナ車8bと、ガバナロープ8aに張力を付与するために、ガバナロープ8aに吊り下げられる張り車8cと、ガバナロープ8aを把持する把持部8dとを備えていてもよい。
【0018】
かご2は、例えば、かごレール6を挟むことによってかご2を停止させる停止部2bと、調速機8の動作を停止部2bへ伝達する伝達部2cとを備えていてもよい。そして、例えば、かご2の速度が設定速度を超えた場合に、把持部8dがガバナロープ8aを把持し、ガバナロープ8aの走行が停止されることによって、かご2の停止部2bは、作動する、という構成でもよい。
【0019】
また、エレベータ1は、例えば、昇降路X1内の水位が第1水高さに達することを検出する第1水位検出部10と、昇降路X1内の水位が第1水高さよりも低い第2水高さに達することを検出する第2水位検出部11とを備えていることが好ましい。各水位検出部10,11の構成は、昇降路X1内の水位を検出できれば、特に限定されず、各水位検出部10,11は、例えば、フロート式センサでもよく、また、例えば、電極棒式センサでもよい。
【0020】
処理部9は、例えば、巻上装置5を制御することによって、かご2の走行を制御してもよい。そして、処理部9は、例えば、ソフトシーケンス(例えば、プログラマブルロジックコントローラによるプログラム制御)の回路を備えていてもよく、また、例えば、ハードシーケンス(リレー等の有接点機器による実配線制御)の回路を備えていてもよい。
【0021】
処理部9は、例えば、水位検出部10,11の検出に基づいて、かご2の走行を制御してもよい。具体的には、処理部9は、例えば、第1及び第2水位検出部10,11が水位を検出していない場合には、正常時運転を行い、第2水位検出部11のみが水位を検出した場合には、非常時運転を行い、さらに、第1水位検出部10も水位を検出した場合には、かご2の走行を休止させる、という構成でもよい。
【0022】
ここで、処理部9の制御の一例について説明する。なお、処理部9の制御は、以下の説明に限定されない。
【0023】
<正常時運転>
第2水位検出部11が水位を検出していない正常時、即ち、昇降路X1内に水が流れ込んでいない正常時には、処理部9は、正常時運転を行う。このとき、処理部9は、操作盤(例えば、乗場に配置される乗場操作盤、かご2内に配置されるかご操作盤等)に入力された情報に基づいて、かご2の走行を制御する。なお、正常時運転の走行範囲は、最下階から最上階までの範囲である。
【0024】
<非常時運転>
昇降路X1内に水が流れ込み、水位が第2水高さまで達し、第2水位検出部11が水位を検出した非常時に、処理部9は、非常時運転を行う。そして、非常時運転においては、処理部9は、第1水高さよりも高い非常時走行範囲で、かご2の走行を可能とする。例えば、非常時運転の走行範囲は、第1水高さよりも高い階から最上階までの範囲とすることができる。
【0025】
なお、処理部9は、非常時運転中のかご2の最高速度を、正常時運転中のかご2の最高速度よりも遅くする、という構成が好ましい。特に限定されないが、例えば、非常時運転中のかご2の最高速度は、正常時運転中のかご2の最高速度の50%以下としてもよい。また、処理部9は、例えば、非常時運転中のかご2の最高加速度を、正常時運転中のかご2の最高加速度よりも遅くする、という構成が好ましい。
【0026】
また、第2水位検出部11が水位を検出した場合に、処理部9は、例えば、走行中のかご2を最寄り階に停止させて、かご2の走行を休止させてもよい。そして、手動操作による入力部(例えば、セレクトスイッチ等)に、走行許可の指示が入力された場合に、処理部9は、非常時運転を可能とする、という構成でもよい。また、第2水位検出部11が水位を検出した場合に、処理部9は、正常時運転から非常時運転に自動的に切り替える、という構成でもよい。
【0027】
<走行停止>
万が一、昇降路X1内に水がさらに流れ込むことによって、昇降路X1内が浸水し、水位が第1水高さまで達し、第1水位検出部10が水位を検出した場合には、処理部9は、例えば、走行中のかご2を最寄りの階に停止させて、かご2の走行を休止させる。これにより、昇降路X1内が浸水した場合に、かご2が水中に突入することを防止することができる。
【0028】
本明細書において、「停止」とは、例えば、走行中のかご2が止まることをいい、「休止」とは、例えば、停止した上で、操作盤に情報が入力された場合でも、かご2が走行しないことをいう。そして、かご2の走行が休止された場合に、非常状態が解消されても、自動復旧することなく、例えば、非常状態が解消されて且つ所定の手動操作を行うことによって、かご2の走行が再び可能となる、という構成としてもよい。
【0029】
このように、昇降路X1内の水位が第1水高さに達するまで、かご2を走行させることができる。一方で、非常時運転を行っている場合には、釣合錘4が水中に入ったり水中から出たりするため、水が様々な方向へ飛散する。例えば、釣合錘4が水中から出た場合には、釣合錘4から水が垂れ、また、例えば、釣合錘4が水中に入る場合には、水が跳ね上がる。
【0030】
それに対して、巻上装置5は、昇降路X1内に配置されている。そして、第1水高さは、例えば、巻上装置5の高さよりも、低くなっており、また、巻上装置5の高さは、例えば、非常時運転を行っている場合の、釣合錘4の最上位置よりも、低くなっている。したがって、非常時運転を行っている場合には、巻上装置5へ向けて水が飛散するため、巻上装置5は、非常時運転が行われた状態でも対応できる構成となっている。
【0031】
そこで、以下に、本実施形態に係る巻上装置5の構成について、図2図10を参照しながら説明する。なお、図2図4は、全てのカバー20,21,22,23,24が取り外された状態の図であり、図5図7は、一部のカバー22,23,24が取り外された状態の図である。
【0032】
図2図4に示すように、巻上装置5は、例えば、かごロープ3が巻き掛けられる綱車12と、綱車12と一体的に回転するディスク13と、綱車12を制動するために、ディスク13の回転軸方向である第1横方向D1でディスク13を挟む制動部14とを備えていてもよい。また、巻上装置5は、例えば、昇降路X1に固定される本体部15と、綱車12を回転させる駆動源(例えば、内部モータ)16とを備えていてもよい。
【0033】
綱車12の回転中心は、例えば、第1横方向D1視において、ディスク13の回転中心と同じになっていてもよい。また、ディスク13の外径は、例えば、綱車12の外径よりも大きくなっており、円環状で且つ板状に形成されていてもよい。そして、ディスク13は、例えば、制動部14に接触される一対の制動面13a,13bと、外周面13cとを備えていてもよい。
【0034】
本体部15は、例えば、昇降路X1に固定される上枠部17及び下枠部18と、上枠部17及び下枠部18に固定されるベース部19とを備えていてもよい。そして、特に限定されないが、例えば、上枠部17及び下枠部18は、かごレール6や錘レール7にそれぞれ固定されていてもよい。なお、各部17,18,19同士の固定方法は、特に限定されず、また、本体部15と昇降路X1との固定方法は、特に限定されない。
【0035】
綱車12及びディスク13は、例えば、ベース部19に回転可能に接続されており、制動部14は、例えば、ベース部19に取り付けられている、という構成でもよい。なお、制動部14の個数は、特に限定されないが、例えば、本実施形態においては、三つとしている。
【0036】
ディスク13は、例えば、第1横方向D1において、綱車12とベース部19との間に配置されていてもよい。そして、ベース部19は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1から、ディスク13の制動面13bを覆う制動面カバー部19aを備えていることが好ましい。制動面カバー部19aは、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1から、ディスク13の制動面13bの一部を覆っていてもよく、また、例えば、第1横方向D1から、ディスク13の制動面13bの全体を覆っていてもよい。
【0037】
上枠部17は、例えば、本実施形態のように、上方から、ディスク13の外周面13cを覆う上カバー部17aを備えていることが好ましい。上カバー部17aは、例えば、本実施形態のように、上方から、ディスク13の外周面13cの一部を覆っていてもよく、また、例えば、上方から、ディスク13の外周面13cの全体を覆っていてもよい。なお、上枠部17は、例えば、かごロープ3が通る凹部17b,17bを備えていてもよい。
【0038】
下枠部18は、例えば、本実施形態のように、下方から、ディスク13の外周面13cを覆う下カバー部18a,18bを備えていることが好ましい。例えば、下カバー部18a,18bは、第1下カバー部18aと、第1下カバー部18aよりも下方に配置される第2下カバー部18bとを備えていてもよい。各下カバー部18a,18bは、例えば、本実施形態のように、下方から、ディスク13の外周面13cの一部を覆っていてもよく、また、例えば、下方から、ディスク13の外周面13cの全体を覆っていてもよい。
【0039】
図5図7に示すように、巻上装置5は、例えば、本実施形態のように、綱車12を覆う綱車カバー20を備えていることが好ましい。また、巻上装置5は、例えば、本実施形態のように、ディスク13の制動面13aの一部を第1横方向D1から覆う第1制動面カバー21を備えていることが好ましい。
【0040】
綱車カバー20は、例えば、本実施形態のように、上方から綱車12を覆う上車カバー部20aと、第1横方向D1から綱車12を覆う第1横車カバー部20bと、第1横方向D1と直交する第2横方向D2から綱車12を覆う第2横車カバー部20c,20cと、第2横方向D2及び下方から綱車12を覆う横下車カバー部20d,20dと、下方から綱車12を覆う下車カバー部20eとを備えていることが好ましい。なお、各カバー部20a~20eは、例えば、板状に形成されていてもよい。
【0041】
綱車カバー20は、例えば、本実施形態のように、上車カバー部20aによって、上方から綱車12の一部を覆っていてもよい。また、綱車カバー20は、例えば、本実施形態のように、第1横車カバー部20bによって、第1横方向D1から、綱車12の全体を覆っていてもよく、また、例えば、第1横方向D1から、綱車12の一部を覆っていてもよい。
【0042】
また、綱車カバー20は、例えば、本実施形態のように、第2横車カバー部20c及び横下車カバー部20dによって、第2横方向D2から、綱車12の全体を覆っていてもよく、また、例えば、第2横方向D2から、綱車12の一部を覆っていてもよい。また、綱車カバー20は、例えば、本実施形態のように、横下車カバー部20d及び下車カバー部20eによって、下方から、綱車12の全体を覆っていてもよく、また、例えば、下方から、綱車12の一部を覆っていてもよい。
【0043】
第1制動面カバー21は、例えば、板状に形成される制動面カバー部21aを備えていることが好ましい。そして、制動面カバー部21aは、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1において、かごロープ3とディスク13との間に配置されていてもよい。
【0044】
第1制動面カバー21は、例えば、ディスク13の制動面13aの一部を開放するように、配置されていてもよい。例えば、制動面カバー部21aは、例えば、ディスク13の制動面13aのうち、下方の領域13dと、第2横方向D2の側方の領域13e,13eとを開放するように、配置されていてもよい。なお、ディスク13の制動面13aのうち、第1制動面カバー21に開放される領域は、開放領域13d,13eという。
【0045】
制動部14は、例えば、本実施形態のように、制動時にディスク13の開放領域13dに接触可能に、配置されていてもよい。具体的には、制動部14は、第1横方向D1視において第1制動面カバー21から離れるように、配置されていてもよい。
【0046】
図8図10に示すように、巻上装置5は、例えば、本実施形態のように、制動部14の全体を第1横方向D1から覆う第2制動面カバー22を備えていることが好ましい。また、巻上装置5は、第2横方向D2からディスク13の外周面13cを覆う外周面カバー23,23と、ディスク13よりも上方に配置される上方カバー24とを備えていることが好ましい。
【0047】
第2制動面カバー22は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1から制動部14の全体を覆う制動面カバー部22aと、第2横方向D2から制動部14を覆う横制動カバー部22b,22bと、下方から制動部14を覆う下制動カバー部22cとを備えていることが好ましい。なお、各カバー部22a~22cは、例えば、板状に形成されていてもよい。
【0048】
制動面カバー部22aは、例えば、制動部14だけでなく、ディスク13の制動面13aの下方の開放領域13dも、第1横方向D1で覆っていてもよい。これにより、第2制動面カバー22の制動面カバー部22aは、第1制動面カバー21の制動面カバー部21aと協働することによって、ディスク13の制動面13aと制動部14とを第1横方向D1から覆っている。したがって、第1横方向D1からディスク13及び制動部14へ向かう水を第1及び第2制動面カバー21,22で止めることができる。
【0049】
なお、例えば、制動面カバー部22aは、第1横方向D1視において、綱車カバー20の第1横車カバー部20bと重なっていてもよい。そして、図示していないが、巻上装置5は、例えば、制動面カバー部22aと第1横車カバー部20bとの隙間を埋める弾性体(例えば、ゴム、パッキン)を備えていてもよい。
【0050】
これにより、例えば、綱車カバー20と第2制動面カバー22との隙間から水が浸入することを抑制することができる。また、例えば、綱車カバー20と第2制動面カバー22とが振動によって衝突することを抑制することができるため、綱車カバー20と第2制動面カバー22とによる衝突音が発生することを抑制することができる。
【0051】
下制動カバー部22cは、例えば、下方から、制動部14の一部を覆っていてもよい。そして、下制動カバー部22cは、例えば、下枠部18の第1下カバー部18aと協働することによって、制動部14の全体を下方から覆っていてもよい。これにより、下方からディスク13及び制動部14へ向かう水を、第2制動面カバー22の下制動カバー部22cと下枠部18の第1下カバー部18aとで止めることができる。
【0052】
なお、本実施形態においては、下制動カバー部22cは、下方から、制動部14の一部を覆っているが、例えば、下方から、制動部14の全体を覆っていてもよい。また、横制動カバー部22bは、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2から、制動部14の一部を覆っていてもよく、また、例えば、第2横方向D2から、制動部14の全体を覆っていてもよい。
【0053】
外周面カバー23は、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2から、ディスク13の上下方向D3の中心を覆う中央カバー部23aと、上端に配置され、上方及び第2横方向D2からそれぞれディスク13を覆う上カバー部23bと、下端に配置され、下方及び第2横方向D2からそれぞれディスク13を覆う下カバー部23cとを備えることが好ましい。
【0054】
また、外周面カバー23は、例えば、本実施形態のように、第1横方向D1から、ディスク13の制動面13a,13bを覆う制動面カバー部23d,23eを備えていることが好ましい。なお、各カバー部23a~23eは、例えば、板状に形成されていてもよい。
【0055】
外周面カバー23は、第2横方向D2から、ディスク13の一部を覆っている。そして、外周面カバー23は、制動部14及び本体部15と協働することによって、ディスク13の全体を第2横方向D2から覆っている。これにより、第2横方向D2からディスク13へ向かう水を、外周面カバー23と制動部14と本体部15とで止めることができる。
【0056】
上カバー部23bは、例えば、下方へ向けて第2横方向D2の外方へ行くように、配置されていることが好ましい。即ち、上カバー部23bは、第1横方向D1視において、上下方向D3に対して傾斜するように、配置されていることが好ましい。これにより、上カバー部23bで止めた水が第2横方向D2の外方へ流れ易くなるため、上カバー部23bで止めた水をディスク13へ向けて流れることを抑制することができる。
【0057】
なお、本実施形態においては、上カバー部23bは、上下方向D3視において、本体部15と離れて配置されているが、例えば、上下方向D3視において、本体部15と重なるように配置されていることが好ましい。これにより、上カバー部23bと本体部15との隙間から水が浸入することを抑制することができる。
【0058】
下カバー部23cは、例えば、上方へ向けて第2横方向D2の外方へ行くように、配置されていてもよい。即ち、下カバー部23cは、第1横方向D1視において、上下方向D3に対して傾斜するように、配置されていてもよい。
【0059】
なお、本実施形態においては、下カバー部23cは、上下方向D3視において、本体部15と離れて配置されているが、例えば、上下方向D3視において、本体部15と重なるように配置されていることが好ましい。これにより、下カバー部23cと本体部15との隙間から水が浸入することを抑制することができる。
【0060】
中央カバー部23aは、例えば、第1横方向D1視において、上下方向D3に沿って配置されていてもよい。また、外周面カバー23の制動面カバー部23dは、例えば、第1横方向D1から、ディスク13の制動面13aの側方の開放領域13eの一部を覆っていてもよい。また、外周面カバー23の制動面カバー部23eは、例えば、ディスク13の制動面13bのうち、本体部15から開放されている領域の一部を、第1横方向D1から、覆っていてもよい。
【0061】
上方カバー24は、例えば、板状に形成されていてもよい。そして、上方カバー24は、例えば、第1横方向D1の先端へ向けて下方へ行くように延びる第1傾斜部24aと、第2横方向D2の先端へ向けて下方へ行くように延びる第2傾斜部24bとを備えていてもよい。また、上方カバー24は、例えば、本体部15の上枠部17に取り付けられていてもよい。
【0062】
上方カバー24は、例えば、本実施形態のように、上下方向D3視において、外周面カバー23と重なるように、配置されていることが好ましい。これにより、上方カバー24と外周面カバー23との間から水が浸入することを抑制することができる。なお、特に限定されないが、本実施形態においては、上方カバー24の第2傾斜部24bは、上下方向D3視において、外周カバー23の上カバー部23b及び制動面カバー部23dと重なるように、配置されている。
【0063】
このように、各カバー20,21,22,23,24によって、綱車12、ディスク13及び制動部14が覆われている。したがって、昇降路X1内に水が流れ込んだ状態でかご2が走行する場合に、綱車12、ディスク13及び制動部14に水が付着することを抑制することができる。なお、各カバー20,21,22,23,24の固定方法は、特に限定されない。
【0064】
以上より、本実施形態のように、エレベータ1は、上下方向D3に走行するかご2及び釣合錘4と、前記かご2及び前記釣合錘4に接続されるかごロープ3と、昇降路X1内に配置され、前記かごロープ3が巻き掛けられる綱車12を有する巻上装置5と、前記昇降路X1内の水位が前記巻上装置5よりも低い位置に達することを検出する水位検出部(本実施形態においては、第1水位検出部)10と、前記水位検出部10が水位を検出した場合に、前記かご2の走行を休止させる処理部9と、を備え、前記巻上装置5は、前記綱車12と一体的に回転するディスク13と、前記綱車12を制動するために、前記ディスク13の回転軸方向である第1横方向D1で前記ディスク13を挟む制動部14と、前記ディスク13の一部を前記第1横方向D1から覆う第1制動面カバー21と、を備え、前記制動部14は、前記ディスク13のうち前記第1制動面カバー21から開放される開放領域13dに接触可能に、配置され、前記巻上装置5は、前記ディスク13の前記開放領域13dの少なくとも一部と前記制動部14の全体とを前記第1横方向D1から覆う第2制動面カバー22をさらに備える、という構成が好ましい。
【0065】
斯かる構成によれば、第1制動面カバー21が、ディスク13の一部を第1横方向D1から覆っており、第2制動面カバー22が、ディスク13の開放領域13dと制動部14の全体とを第1横方向D1から覆っているため、第1横方向D1からディスク13及び制動部14へ向かう水を第1及び第2制動面カバー21,22で止めることができる。これにより、昇降路X1内に水が流れ込んだ状態でかご2が走行する場合に、ディスク13に水が付着することを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記巻上装置5は、前記第1横方向D1と直交する第2横方向D2から、前記ディスク13の少なくとも一部を覆う外周面カバー23をさらに備える、という構成が好ましい。
【0067】
斯かる構成によれば、外周面カバー23が、第2横方向D2からディスク13を覆うため、第2横方向D2からディスク13へ向かう水を外周面カバー23で止めることができる。これにより、昇降路X1内に水が流れ込んだ状態でかご2が走行する場合に、ディスク13に水が付着することをさらに抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記外周面カバー23は、上端に、上方及び前記第2横方向D2からそれぞれ前記ディスク13の少なくとも一部を覆う上カバー部23bを備える、という構成が好ましい。
【0069】
斯かる構成によれば、上カバー部23bは、第2横方向D2だけでなく、上方からも、ディスク13を覆っている。これにより、第2横方向D2からだけでなく、上方からディスク13へ向かう水も外周面カバー23で止めることができる。
【0070】
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記上カバー部23bは、板状に形成され、下方へ向けて前記第2横方向D2の外方へ行くように、配置される、という構成が好ましい。
【0071】
斯かる構成によれば、上カバー部23bが下方へ向けて第2横方向D2の外方へ行くように配置されているため、上カバー部23bで止めた水が第2横方向D2の外方へ流れ易くなる。これにより、上カバー部23bで止めた水をディスク13へ向けて流れることを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態のように、エレベータ1においては、前記外周面カバー23は、下端に、下方及び前記第2横方向D2からそれぞれ前記ディスク13の少なくとも一部を覆う下カバー部23cを備える、という構成が好ましい。
【0073】
斯かる構成によれば、下カバー部23cは、第2横方向D2だけでなく、下方からも、ディスク13を覆っている。これにより、第2横方向D2からだけでなく、下方からディスク13へ向かう水も外周面カバー23cで止めることができる。
【0074】
なお、エレベータ1及び巻上装置5は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ1及び巻上装置5は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0075】
(1)上記実施形態に係る巻上装置5は、複数のカバー20,21,22,23,24及び複数のカバー部17a,18a~18b,19a,20a~20e,21a,22a~22c,23a~23eを備えている、という構成である。しかしながら、巻上装置5は、斯かる構成に限られない。例えば、巻上装置5は、複数のカバー20,21,22,23,24及び複数のカバー部17a,18a~18b,19a,20a~20e,21a,22a~22c,23a~23eのうち少なくとも一つを備えていない、という構成でもよい。
【0076】
(2)また、上記実施形態に係る巻上装置5においては、各カバー20,21,22,23,24は、一つの部材で構成されている、という構成である。しかしながら、巻上装置5は、斯かる構成に限られない。例えば、各カバー20,21,22,23,24は、複数の部材が一体となって構成されている、という構成でもよい。
【0077】
(3)また、巻上装置5は、例えば、ディスク13の第1の制動面13aの全体を、第1横方向D1から覆う第1横ディスクカバー部を備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、第1横ディスクカバー部は、複数の制動面カバー部21a,22a,23dによるカバーユニットによって構成され、第1横方向D1から、ディスク13の第1の制動面13aの全体を覆う、という構成でもよい。
【0078】
(4)また、巻上装置5は、例えば、ディスク13の全体を、第2横方向D2から覆う第2横ディスクカバー部を備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、第2横ディスクカバー部は、外周面カバー23の複数のカバー部23a,23b,23cによって構成され、第2横方向D2から、ディスク13の全体を覆う、という構成でもよい。
【0079】
(5)また、巻上装置5は、例えば、ディスク13の全体を、上方から覆う上ディスクカバー部を備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、上ディスクカバー部は、複数の上カバー部17a,23bによるカバーユニットによって構成され、上方から、ディスク13の全体を覆う、という構成でもよい。
【0080】
(6)また、巻上装置5は、例えば、ディスク13の全体を、下方から覆う下ディスクカバー部を備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、下ディスクカバー部は、複数の下カバー部18a,18b,23cによるカバーユニットによって構成され、下方から、ディスク13の全体を覆う、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0081】
1…エレベータ、2…かご、2a…シーブ、2b…停止部、2c…伝達部、3…かごロープ、4…釣合錘、4a…シーブ、5…巻上装置、6…かごレール、7…錘レール、8…調速機、8a…ガバナロープ、8b…ガバナ車、8c…張り車、8d…把持部、9…処理部、10…第1水位検出部、11…第2水位検出部、12…綱車、13…ディスク、13a…制動面、13b…制動面、13c…外周面、13d…開放領域、13e…開放領域、14…制動部、15…本体部、16…駆動源、17…上枠部、17a…上カバー部、17b…凹部、18…下枠部、18a…第1下カバー部、18b…第2下カバー部、19…ベース部、19a…制動面カバー部、20…綱車カバー、20a…上車カバー部、20b…第1横車カバー部、20c…第2横車カバー部、20d…横下車カバー部、20e…下車カバー部、21…第1制動面カバー、21a…制動面カバー部、22…第2制動面カバー、22a…制動面カバー部、22b…横制動カバー部、22c…下制動カバー部、23…外周面カバー、23a…中央カバー部、23b…上カバー部、23c…下カバー部、23d…制動面カバー部、23e…制動面カバー部、24…上方カバー、24a…第1傾斜部、24b…第2傾斜部、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向、X1…昇降路
図1
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