(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】拡散部材、面光源装置、および表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20221201BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20221201BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20221201BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20221201BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20221201BHJP
【FI】
G02B5/02 B
G02B3/00 A
F21S2/00 481
G02F1/13357
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2022033913
(22)【出願日】2022-03-04
(62)【分割の表示】P 2021061458の分割
【原出願日】2021-03-31
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2020063498
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020176216
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020217710
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】西川 麻理衣
(72)【発明者】
【氏名】大八木 康之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正浩
【審査官】中村 和正
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/030594(WO,A1)
【文献】特開2009-258666(JP,A)
【文献】特開2012-195220(JP,A)
【文献】特開2011-216271(JP,A)
【文献】特開2013-225058(JP,A)
【文献】特開2001-174804(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108039121(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/02
G02B 3/00
F21S 2/00
G02F 1/13357
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位光学要素を備え、
各単位光学要素は、直角二等辺三角形形状の底面を有する三角錐の形状を有した凹部又は凸部であり、
前記底面は、前記直角二等辺三角形形状の直角をなす頂点に対面する底辺を含み、
互いの
前記底辺が
重なるようにして
一対の単位光学要素が配置され、
複数組の前記一対の単位光学要素が、第1方向及び第2方向に配列され、
一組の前記
一対の単位光学要素の前記底辺の向きは、他の一組の前記
一対の単位光学要素の
前記底辺の向きと異なり、前記底面が異なる四つの向きで配置されるように、前記複数の単位光学要素は配置されている、拡散部材。
【請求項2】
各単位光学要素は、
前記底面における前記直角二等辺三角形形状の等辺が前記第1方向及び前記第2方向に延びるように、配置されている、請求項1に記載の拡散部材。
【請求項3】
一組の前記
一対の単位光学要素の前記底辺の向きと、当該一組の前記
一対の単位光学要素と前記第1方向に隣り合う他の一組の前記
一対の単位光学要素の前記底辺の向きは、異なり、
一組の前記
一対の単位光学要素の前記底辺の向きと、当該一組の前記
一対の単位光学要素と前記第2方向に隣り合う他の一組の前記
一対の単位光学要素の前記底辺の向きは、異なる、請求項1又は2に記載の拡散部材。
【請求項4】
対向する一対の面を備え、
前記複数の単位光学要素は、前記一対の面のうちの一方の面を構成する複数の単位光学要素と、前記一対の面のうちの他方の面を構成する複数の単位光学要素と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の拡散部材。
【請求項5】
前記単位光学要素の前記底面は、0.6mm四方の正方形よりも小さい寸法を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の拡散部材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載された拡散部材と、
前記拡散部材に入射する光を射出する光源と、を備える、面光源装置。
【請求項7】
前記光源は、前記第1方向および前記第2方向に配列され
ている、請求項6に記載の面光源装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の面光源装置を備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、拡散部材、拡散部材の製造方法、面光源装置、表示装置および誘電体多層膜に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、面状に光を発光する面光源装置を開示している。面光源装置は液晶表示装置のバックライトとして用いられてもよい。特許文献1の面光源装置は直下型であり、光源が拡散部材に正対している。直下型の面光源装置では、光源の配置に起因した明るさのむらが生じてしまう。面光源装置が薄型化すると、明るさの不均一性は顕著となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、面光源装置の薄型化を図りながら明るさの面内分布を均一化することが十分に達成できていない。本開示は、面光源装置の薄型化を図りながら明るさの面内分布を十分に均一化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示による第1の拡散部材は、
光透過性および光拡散性を有する光拡散部と、
0°の入射角で入射する特定波長の光の反射率が80%以上であり、且つ、絶対値で45°よりも大きい入射角で入射する少なくとも一部の前記特定波長の光の反射率が50%よりも小さい光反射部と、をこの順で備える。
【0006】
本開示による第2の拡散部材は、
光透過性および光拡散性を有する光拡散部と、
0°の入射角で入射する特定波長の光の透過率が0°より大きい或る入射角で入射する前記特定波長の光の透過率よりも低い光反射部と、をこの順で備える。
【0007】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記特定波長は450nmであるようにしてもよい。
【0008】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、0°の入射角で光線が前記光拡散部に入射した場合における前記光拡散部の前記光反射部に対面する側での放射強度は、0°以外の出射角にピークを有するようにしてもよい。
【0009】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、0°の入射角で光線が前記光拡散部に入射した場合における前記光拡散部の前記光反射部に対面する側での放射強度は、出射角が0°となる出射方向を含む任意の面内での角度分布において、0°以外の出射角にピークを有するようにしてもよい。
【0010】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記放射強度のピークを有する出射角の絶対値は、30°以上60°以下であるようにしてもよい。
【0011】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、0°の入射角で前記光拡散部に入射した光のうちの90%以上の光の出射角の絶対値が30°以上60°以下となるようにしてもよい。
【0012】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、
前記放射強度のピークを有する出射角の絶対値をピーク角とすると、
絶対値で0°以上前記ピーク角以下となる入射角で前記光反射部に入射する前記特定波長の光の反射率は、80%以上であるようにしてもよい。
【0013】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記光拡散部は、前記光反射部の表面をなす凹凸面として形成されていてもよい。
【0014】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記光拡散部は、前記光反射部側とは反対側を向く凹凸面を有し且つ前記光反射部と接合していてもよい。
【0015】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記光拡散部は、前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向における前記光反射部側に光拡散性を有した凹凸面を有する光学シートを含むようにしてもよい。
【0016】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記光拡散部は、前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向における前記光反射部側とは反対側に光拡散性を有した凹凸面を有する光学シートを含むようにしてもよい。
【0017】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記光拡散部は、前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向における両側に光拡散性を有した凹凸面を有する光学シートを含むようにしてもよい。
【0018】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記光拡散部は、光拡散性を有する複数の光学シートを含むようにしてもよい。
【0019】
本開示による第1及び第2の拡散部材は、前記光拡散部の前記光反射部側とは反対側に設けられた熱可塑性樹脂層を更に備えるようにしてもよい。
【0020】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂と、前記光拡散部を構成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有した低屈折率粒子と、を含むようにしてもよい。
【0021】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、
前記熱可塑性樹脂層は、前記光拡散部から離間した第1層と、前記第1層と前記光拡散部との間に位置する第2層と、を含み、
前記低屈折率粒子は、前記第1層及び前記第2層のうちの前記第2層のみに含まれていてもよい。
【0022】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記第2層の厚みは前記第1層の厚みよりも薄くなっていてもよい。
【0023】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記光拡散部は、前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向における前記光反射部側に光拡散性を有した凹凸面を有する熱可塑性樹脂層を含むようにしてもよい。
【0024】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向における前記光拡散部の両側に空隙が設けられていてもよい。
【0025】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記光拡散部は、凹凸面を含む拡散本体部と、前記凹凸面の凹凸を維持しながら前記凹凸面を被覆し反射面を形成する反射被覆部と、を有するようにしてもよい。
【0026】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、
前記光拡散部は、前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向に垂直な方向に配列された複数の要素光拡散部を含み、
前記複数の要素光拡散部の側端面は暗色に着色されていてもよい。
【0027】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、
前記光拡散部は、前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向に垂直な方向に配列された複数の要素光拡散部を含み、
隣り合う二つの要素光拡散部の境界の少なくとも一部分は、前記積層方向からの観察において、曲線を含むようにしてもよい。
【0028】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、
前記光拡散部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含み、
前記単位光学要素は、前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向に対して45°よりも大きな角度で傾斜した法線方向を有する要素面を含むようにしてもよい。
【0029】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、
前記光拡散部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含み、
前記単位光学要素は、曲面状の要素面を含むようにしてもよい。
【0030】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、
前記光拡散部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含み、
前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向からの観察において、前記単位光学要素は、0.6mm四方の正方形よりも小さい寸法を有していてもよい。
【0031】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、
前記光拡散部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含み、
前記光拡散部が配置されるべき方向を示す表示が設けられていてもよい。
【0032】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、
前記光拡散部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含み、
前記単位光学要素は、マット面として形成された要素面を含むようにしてもよい。
【0033】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、絶対値で0°以上30°以下の入射角で入射する前記特定波長の光の前記光反射部での反射率は80%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上であるようにしてもよい。
【0034】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、絶対値で0°以上45°以下の入射角で入射する前記特定波長の光の前記光反射部での反射率は80%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上であるようにしてもよい。
【0035】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、絶対値で45°以上75°以下となる或る入射角で入射する前記特定波長の光の前記光反射部での反射率、より好ましくは絶対値で50°以上60°以下となる或る入射角で入射する前記特定波長の光の前記光反射部での反射率は、50%となるようにしてもよい。
【0036】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、入射角の絶対値が45°以上75°以下となる前記特定波長の光の前記光反射部での反射率、より好ましくは入射角の絶対値が50°以上60°以下となる前記特定波長の光の前記光反射部での反射率は、前記入射角の絶対値の増加にともなって、次第に小さくなるようにしてもよい。
【0037】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、入射角の絶対値が50°以上の前記特定波長の光の前記光反射部での反射率は、前記入射角の絶対値の増加にともなって、次第に小さくなるようにしてもよい。
【0038】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記特定波長の光の前記光反射部での反射率は、前記入射角の絶対値の増加にともなって、次第に小さくなるようにしてもよい。
【0039】
本開示による第1及び第2の拡散部材において、前記光反射部は、前記光拡散部に対面するマット面を有するようにしてもよい。
【0040】
本開示による第1及び第2の拡散部材は、前記光反射部の前記光拡散部とは反対側に設けられ且つ前記光反射部とは反対側に凹凸面を有する光学要素部を、更に備えてもよい。
【0041】
本開示による第3の拡散部材は、
光透過性および光拡散性を有する光拡散部と、
0°の入射角で入射する特定波長の光の透過率が0°より大きい或る入射角で入射する前記特定波長の光の透過率よりも低い光反射部と、
前記光反射部とは反対側に凹凸面を有する光学要素部と、をこの順で備える。
【0042】
本開示による第1~第3の拡散部材において、前記凹凸面は、前記光反射部および前記光学要素部が積層された積層方向に対して25°以下の角度で傾斜した法線方向を有する要素面を含んでもよい。
【0043】
本開示による第1~第3の拡散部材において、前記光学要素部は前記光反射部と接合してもよい。
【0044】
本開示による第1~第3の拡散部材において、前記光学要素部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含んでもよい。
【0045】
本開示による第1~第3の拡散部材において、
前記光学要素部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含んでもよく、
前記単位光学要素は、前記光反射部とは反対側に突出した凸部であってもよい。
【0046】
本開示による第1~第3の拡散部材において、
前記光学要素部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含んでもよく、
前記単位光学要素は、前記光反射部および前記光学要素部が積層された積層方向に対して25°以下の角度で傾斜した法線方向を有する要素面を含んでもよく、
前記要素面は、前記凹凸面を形成してもよい。
【0047】
本開示による第1~第3の拡散部材において、
前記光学要素部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含んでもよく、
前記単位光学要素は曲面状の要素面を含み、前記要素面は前記凹凸面を形成してもよい。
【0048】
本開示による第1~第3の拡散部材において、
前記光学要素部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含んでもよく、
前記光学要素部および前記光反射部が積層された積層方向からの観察において、前記単位光学要素は、1.5mm四方の正方形よりも小さい寸法を有してもよい。
【0049】
本開示による第1~第3の拡散部材において、
前記光学要素部は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含んでもよく、
前記単位光学要素はマット面として形成された要素面を含み、前記要素面は前記凹凸面を形成してもよい。
【0050】
本開示による第1~第3の拡散部材において、
前記光学要素部は、一方向に配列された複数の単位光学要素を有してもよく、
各単位光学要素は、前記一方向と非平行な他方向に線状に延びてもよい。
【0051】
本開示による第1~第3の拡散部材において、
前記光学要素部は、一方向に配列された複数の単位光学要素を有してもよく、
各単位光学要素は、前記一方向と非平行な他方向に線状に延びてもよく、
前記単位光学要素は、前記光反射部とは反対側に突出した凸部でもよい。
【0052】
本開示による第1~第3の拡散部材において、
前記光学要素部は、一方向に配列された複数の単位光学要素を有してもよく、
各単位光学要素は、前記一方向と非平行な他方向に線状に延びてもよく、
前記単位光学要素は、前記光反射部および前記光学要素部が積層された積層方向に対して25°以下の角度で傾斜した法線方向を有する要素面を含んでもよい。
【0053】
本開示による第1~第3の拡散部材において、
前記光学要素部は、一方向に配列された複数の単位光学要素を有してもよく、
各単位光学要素は、前記一方向と非平行な他方向に線状に延びてもよく、
前記単位光学要素は曲面状の要素面を含み、前記要素面は前記凹凸面を形成してもよい。
【0054】
本開示による第1~第3の拡散部材において、
前記光学要素部は、一方向に配列された複数の単位光学要素を有してもよく、
各単位光学要素は、前記一方向と非平行な他方向に線状に延びてもよく、
前記単位光学要素はマット面として形成された要素面を含み、前記要素面は前記凹凸面を形成してもよい。
【0055】
本開示による面光源装置は、
上述した本開示による第1及~第3の拡散部材のいずれかと、
前記拡散部材に入射する光を射出する光源と、を備える。
【0056】
本開示による面光源装置において、前記光源から射出する光はP偏光であるようにしてもよい。
【0057】
本開示による面光源装置において、
前記光源は、規則的に配列された複数の光源を含み、
前記光拡散部及び前記光学要素部の少なくとも一方は、前記複数の光源の配列方向と非平行な方向に配列された複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含むようにしてもよい。
【0058】
本開示による面光源装置において、
前記光拡散部及び前記光学要素部の少なくとも一方は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含み、
前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向からの観察において、前記単位光学要素の任意の方向に沿った寸法は、前記光源の当該方向に沿った寸法の三倍以下であるようにしてもよい。
【0059】
本開示による面光源装置において、
前記光源は、規則的に配列された複数の光源を含み、
前記光拡散部及び前記光学要素部の少なくとも一方は、複数の単位光学要素を有するマイクロレンズを含み、
前記単位光学要素は、前記光拡散部および前記光反射部が積層された積層方向からの観察において前記複数の光源の配列方向と非平行となる法線方向を有した要素面を含むようにしてもよい。
【0060】
本開示による面光源装置は、
前記拡散部材とは反対側から前記光源を支持する支持基板と、を更に備え、
前記拡散部材は、前記光拡散部の前記支持基板側に設けられた熱可塑性樹脂層を更に有してもよい。
【0061】
本開示による面光源装置は、
前記拡散部材とは反対側から前記光源を支持する支持基板と、を更に備え、
前記拡散部材は、前記光拡散部の前記支持基板側に設けられた熱可塑性樹脂層を更に有するようにしてもよい。
【0062】
本開示による面光源装置において、
前記熱可塑性樹脂層は前記支持基板に対面する側に凹部を設けられ、
前記光源は、前記熱可塑性樹脂層から離間して前記凹部内に位置するようにしてもよい。
【0063】
本開示による面光源装置は、
前記拡散部材とは反対側から前記光源を支持する支持基板と、
前記支持基板と前記拡散部材との間に位置するビーズと、
前記ビーズを前記支持基板に固定するバインダーと、を更に備えるようにしてもよい。
【0064】
本開示による面光源装置は、
前記拡散部材とは反対側から前記光源を支持する支持基板と、
前記支持基板と前記拡散部材との間に位置し、複数の空隙を設けられた空隙形成層と、を更に備えるようにしてもよい。
【0065】
本開示による表示装置は、上述した本開示による面光源装置のいずれかを備える。
【0066】
本開示による第1の光反射部は、
光拡散性を有した光拡散部と組み合わせて用いられる光反射部であって、
0°の入射角で入射する特定波長の光の反射率が80%以上であり、且つ、絶対値で45°よりも大きい入射角で入射する少なくとも一部の前記特定波長の光の反射率が50%よりも小さい。
【0067】
本開示による第2の光反射部は、
光拡散性を有した光拡散部と組み合わせて用いられる光反射部であって、
0°の入射角で入射する特定波長の光の透過率が0°より大きい或る入射角で入射する前記特定波長の光の透過率よりも低い。
【0068】
本開示による第1の誘電体多層膜は、
回折光学素子及びマイクロレンズの少なくとも一方と組み合わせて用いられる誘電体多層膜であって、
0°の入射角で入射する特定波長の光の反射率が80%以上であり、且つ、絶対値で45°よりも大きい入射角で入射する少なくとも一部の前記特定波長の光の反射率が50%よりも小さい。
【0069】
本開示による第2の誘電体多層膜は、
回折光学素子及びマイクロレンズの少なくとも一方と組み合わせて用いられる誘電体多層膜であって、
0°の入射角で入射する特定波長の光の透過率が0°より大きい或る入射角で入射する前記特定波長の光の透過率よりも低い。
【0070】
本開示による第1の拡散部材の製造方法は、
型及び光反射部の間に位置する樹脂組成物に電離放射線を照射し、樹脂組成物を硬化させる工程と、
前記樹脂組成物の硬化物からなり前記光反射部と積層された光拡散部から前記型を剥がす工程と、を備える。
【0071】
本開示による第2の拡散部材の製造方法は、
型および誘電体多層膜の間に位置する樹脂組成物に電離放射線を照射し、樹脂組成物を硬化させる工程と、
前記樹脂組成物の硬化物からなり前記誘電体多層膜と積層されたマイクロレンズまたは回折光学素子から前記型を剥がす工程と、を備える。
【0072】
本開示による第3の拡散部材の製造方法は、
誘電体多層膜の一方の面上に塗布された樹脂組成物を硬化させて、誘電体多層膜上に凹凸面を有した光拡散部を形成する工程と、
誘電体多層膜の他方の面上に塗布された樹脂組成物を硬化させて、誘電体多層膜上に凹凸面を有した光学要素部を形成する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0073】
本発明によれば、面光源装置の薄型化を図りながら明るさの面内分布を十分に均一化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】
図1は、一実施の形態の第1具体例を説明するための図であって、表示装置及び面光源装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の面光源装置の複数の光源を示す平面図である。
【
図4】
図4は、
図2の面光源装置に含まれ得る拡散部材の光拡散部による拡散特性を説明するためのグラフであって、放射強度の角度分布を示している。
【
図5】
図5は、
図2の面光源装置に含まれ得る拡散部材の光拡散部を示す斜視図であって、光拡散部をなす回折光学素子の光拡散特性を説明するための図である。
【
図6】
図6は、
図5の回折光学素子の光拡散特性を説明するためのグラフであって、放射強度の角度分布を示している。
【
図7】
図7は、
図2の面光源装置に含まれ得る回折光学素子を示す縦断面図である。
【
図8】
図8は、
図2の面光源装置に含まれ得る回折光学素子を示す平面図である。
【
図9】
図9は、
図2の面光源装置に含まれ得るマイクロレンズの一例を示す縦断面図である。
【
図10】
図10は、
図2の面光源装置に含まれ得るマイクロレンズの他の一例を示す縦断面図である。
【
図11】
図11は、
図2の面光源装置に含まれ得るマイクロレンズの更に他の例を示す縦断面図である。
【
図12】
図12は、
図2の面光源装置に含まれ得るマイクロレンズの更に他の例を示す縦断面図である。
【
図13A】
図13Aは、
図2の面光源装置に含まれ得るマイクロレンズの具体的構成の一例を示す平面図である。
【
図14A】
図14Aは、
図2の面光源装置に含まれ得るマイクロレンズの具体的構成の他の例を示す平面図である。
【
図15A】
図15Aは、
図2の面光源装置に含まれ得るマイクロレンズの具体的構成の一例を示す平面図である。
【
図16A】
図16Aは、
図2の面光源装置に含まれ得るマイクロレンズの具体的構成の一例を示す平面図である。
【
図17】
図17は、
図2の面光源装置に含まれ得る拡散部材の光反射部の光学特性の一例を示すグラフであって、反射率および透過率の反射角依存性を説明するためのグラフである。
【
図18】
図18は、
図2の面光源装置に含まれ得る拡散部材の光反射部の光学特性の他の例を示すグラフである。
【
図19】
図19は、
図2の面光源装置に含まれ得る光反射部の光学特性の更に他の例を示すグラフである。
【
図21】
図21は、
図2の面光源装置に含まれ得る反射構造体の一例を示す縦断面図である。
【
図23】
図23は、
図2の面光源装置に含まれ得る反射構造体の他の例を示す縦断面図である。
【
図25】
図25は、面光源装置を示す縦断面図であって、拡散部材及び面光源装置の作用を説明するための図である。
【
図26】
図26は、
図2に対応する面光源装置の縦断面図であって、拡散部材及び面光源装置の作用を説明するための図である。
【
図27】
図27は、
図2に対応する面光源装置の縦断面図であって、拡散部材及び面光源装置の作用を説明するための図である。
【
図28】
図28は、
図2に対応する面光源装置の縦断面図であって、拡散部材及び面光源装置の作用を説明するための図である。
【
図29A】
図29Aは、サンプル1に係る面光源装置の照度の面内分布を計算したシミュレーション結果である。
【
図29B】
図29Bは、サンプル2に係る面光源装置の照度の面内分布を計算したシミュレーション結果である。
【
図29C】
図29Cは、サンプル3に係る面光源装置の照度の面内分布を計算したシミュレーション結果である。
【
図29D】
図29Dは、サンプル4に係る面光源装置の照度の面内分布を計算したシミュレーション結果である。
【
図29E】
図29Eは、サンプル5に係る面光源装置の照度の面内分布を計算したシミュレーション結果である。
【
図29F】
図29Fは、サンプル6に係る面光源装置の照度の面内分布を計算したシミュレーション結果である。
【
図29G】
図29Gは、サンプル7に係る面光源装置の照度の面内分布を計算したシミュレーション結果である。
【
図30】
図30は、一実施の形態の第2具体例を説明するための図であって、
図2の面光源装置に含まれる得る拡散部材の一例を示す縦断面図である。
【
図31B】
図31Bは、
図30の拡散部材の光学要素部に含まれ得るマイクロレンズの他の一例を示す縦断面図である。
【
図33】
図33は、
図2に対応した面光源装置の縦断面図であって、拡散部材及び面光源装置の作用を説明する図である。
【
図34】
図34は、
図2に対応した面光源装置の縦断面図であって、拡散部材及び面光源装置の作用を説明する図である。
【
図35】
図35は、
図2に対応した面光源装置の縦断面図であって、拡散部材及び面光源装置の作用を説明する図である。
【
図36】
図36は、
図2に対応した面光源装置の縦断面図であって、拡散部材及び面光源装置の作用を説明する図である。
【
図37】
図37は、
図31Aに対応した光学要素部の縦断面図であって、光学要素部の作用を説明する図である。
【
図38】
図38は、
図2に対応する面光源装置の縦断面図であって、拡散部材が熱可塑性樹脂層を含む例を説明する図である。
【
図39】
図39は、
図2に対応する面光源装置の縦断面図であって、拡散部材が熱可塑性樹脂層を含む例を説明する図である。
【
図40】
図40は、
図2に対応する面光源装置の縦断面図であって、拡散部材が熱可塑性樹脂層を含む例を説明する図である。
【
図41】
図41は、
図2に対応する面光源装置の縦断面図であって、面光源装置がビーズを含む例を説明する図である。
【
図42】
図42は、
図2に対応する面光源装置の縦断面図であって、面光源装置が空隙形成層を含む例を説明する図である。
【
図43】
図43は、
図2又は
図30の拡散部材に含まれ得る光拡散部及び光学要素部の製造方法の一例を説明する側面図である。
【
図45】
図45は、
図2又は
図30の拡散部材に含まれ得る光拡散部及び光学要素部の製造方法の他の例を説明する図である。
【
図50】
図50は、
図30の拡散部材に含まれ得る光学要素部の層構成の例を説明する図である。
【
図52】
図52は、
図2又は
図30の拡散部材が複数の要素拡散部または複数の要素光学部を含む例について説明する平面図である。
【
図54】
図54は、
図2又は
図30の拡散部材が複数の要素拡散部または複数の要素光学部を含む例について説明する平面図である。
【
図55】
図55は、
図9~
図12に対応するマイクロレンズの縦断面図であって、マイクロレンズの一変形例を説明する図である。
【
図56】
図56は、実施例1に係る面光源装置の発光面上における放射強度の面内分布を示す図である。
【
図57】
図57は、実施例2に係る面光源装置の発光面上における放射強度の面内分布を示す図である。
【
図58】
図58は、実施例3に係る面光源装置の発光面上における放射強度の面内分布を示す図である。
【
図59】
図59は、実施例4に係る面光源装置の発光面上における放射強度の面内分布を示す図である。
【
図60】
図60は、実施例5に係る面光源装置の発光面上における放射強度の面内分布を示す図である。
【
図61】
図61は、実施例6に係る面光源装置の発光面上における放射強度の面内分布を示す図である。
【
図62】
図62は、比較例1に係る面光源装置の発光面上における放射強度の面内分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。また、一部の図において示された構成等が、他の図において省略されている。
【0076】
本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されない。例えば、「シート」は「フィルム」や「板」と呼ばれ得る部材も含む概念であり、呼称の違いのみにおいて区別されない。
【0077】
また、本明細書において、シート状(シート状、板状)の部材の法線方向とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材のシート面への法線方向を指す。また、「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状(フィルム状、板状)の部材を全体的且つ大局的に観察した場合において対象となるシート状部材(フィルム状部材、板状部材)の平面方向と一致する面を指す。
【0078】
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「垂直」、「同一」等の用語や長さや角度の値等は、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈する。
【0079】
なお、図面間での方向関係を明確化するため、いくつかの図面には、第1方向D1、第2方向D2及び積層方向D3を図面間で共通する方向として矢印で示している。矢印の先端側が、各方向D1,D2,D3の一側となる。例えば
図2に示すように、図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面の奥に向かう矢印を、円の中にXを設けた記号により示した。例えば
図3に示すように、図面の紙面に垂直な方向に沿って紙面から手前に向かう矢印を、円の中に点を設けた記号により示した。
【0080】
図1~
図62は、一実施の形態を説明するための図である。このうち
図1は、面光源装置20及び拡散部材40の一適用例としての表示装置10を概略的に示す斜視図である。表示装置10は、例えば動画、静止画、文字情報、或いはこれらの組み合わせで構成された映像を表示する。表示装置10は、例えば車載用の液晶表示装置として用いることができる。また、表示装置10は、室内又は屋外において、広告、プレゼンテーション、テレビジョン映像、各種情報の表示等、様々な用途にも使用され得る。
図1に示された表示装置10は、発光面20aを有する面光源装置20と、発光面20aと対向して配置された表示パネル15と、を有している。
【0081】
図2は、第1具体例としての面光源装置20を示す縦断面図である。
図2に示すように、面光源装置20は、主要な構成要素として、光源22と、光源22から射出した光の光路を調整する拡散部材40と、を有している。拡散部材40は、光源22に正対して配置されている。すなわち、拡散部材40は、シート状の部材であって、その法線方向に光源22と対面している。拡散部材40は、光源22から射出された光を拡散することによって、光源22の存在に起因した明るさのむらを効果的に解消できる。これにより、拡散部材40の出光側面40b上の各位置での照度、或いは、出光側面40bの近傍に位置する出光側面40bと平行な仮想の受光面上の各位置での照度が均一化され得る。とりわけ、本実施の形態で説明する拡散部材40には、面光源装置20の薄型化を図りながら明るさの面内分布を十分に均一化するための工夫が成されている。
【0082】
以下の説明で用いる「出光側面40bの照度」とは、「出光側面40b上での照度」または上述の「受光面上での照度」を意味するものとする。
【0083】
以下、一実施の形態における表示装置10、面光源装置20及び拡散部材40について、図示された第1具体例を参照しながら、説明していく。
【0084】
まず、表示装置10の表示パネル15ついて説明する。
図1に示すように、表示パネル15は、積層方向D3に面光源装置20と積層される。表示パネル15は、面光源装置20の発光面20aに対面して配置されている。表示パネル15は、積層方向D3における面光源装置20とは反対側を向く面として、映像が表示される表示面15aを有している。図示された例において、表示パネル15は、積層方向D3から観察して、すなわち正面方向からの平面視において、矩形形状に形成されている。
【0085】
表示パネル15は、例えば透過型の液晶表示パネルとして構成される。面光源装置20から入射した光の一部が、液晶表示パネルとしての表示パネル15透過することによって、表示面15aに映像が表示される。表示パネル15は、液晶材料を有する液晶層を含んでいる。表示パネル15の光透過率は、液晶層に印加される電界の強度に応じて変化する。
【0086】
表示パネル15の一例として、一対の偏光板と、一対の偏光板間に配置された液晶セル(液晶層)と、を有する液晶表示パネルを用いることができる。偏光板は偏光子を有する。偏光子は、入射した光を垂直な二つの偏光成分に分解する。一方の方向の偏光成分は偏光子を透過する。一方の方向に垂直な他方の方向の偏光成分は、偏光子によって吸収される。液晶セルは、一対の支持板と、一対の支持板間に配置された液晶と、を有する。液晶セルは、一つの画素を形成する領域毎に電界が印加されうるように構成されている。一例として、電界が印加された液晶セルの液晶の配向は変化する。面光源装置20から出射し、液晶セルの面光源装置20側に配置された偏光板を透過した特定方向の偏光成分は、一例として、電界印加されていない液晶セルを通過する際にはその偏光方向を90°回転させる。特定方向の偏光成分は、電界印加されている液晶セルを通過する際にはその偏光方向を維持する。一方の偏光板を透過した特定方向の偏光成分が、他方の偏光板をさらに透過するか、或いは、他方の偏光板で吸収されて遮断されるか、を液晶セルへの電界印加の有無によって制御できる。
【0087】
次に、面光源装置20について説明する。面光源装置20は、面状の光を出射する発光面20aを有している。面光源装置20は、直下型のバックライトとして構成されている。積層方向D3への投影において、発光面20aと重なる領域内に光源22が設けられている。図示された例において、表示パネル15の法線方向、表示面15aの法線方向、発光面20aの法線方向、拡散部材40の法線方向、拡散部材40に含まれる後述の光拡散部50、光反射部70及び光学要素部110の各々の法線方向、光源22を支持する後述の支持基板25の法線方向は、互いに平行である。図示された例において、これらの法線方向は、積層方向D3と一致し、正面方向とも呼ばれる。
【0088】
光源22は、光を射出する発光素子を有する。発光素子として、発光ダイオードが例示される。発光ダイオードは、LEDとも表記される。光源22として用いられる発光ダイオードの寸法は特に限定されない。光源22の像を目立たなくさせる観点から、小型の発光ダイオード、例えばミニLEDやマイクロLEDを用いられてもよい。具体的には、
図3に示された積層方向D3からの観察において四角形形状を有する光源22の一辺の長さWL1,WL2は、好ましくは0.5mm以下でもよく、より好ましくは0.2mm以下でもよい。
【0089】
光源22の発光波長は、面光源装置20の用途に応じて適宜選択され得る。例えば、面光源装置20が、青色を発光する発光素子と黄色を発光する発光素子とを有し、白色光を生成してもよい。また、面光源装置20が、青色を発光する発光素子と、緑色を発光する発光素子と、赤色を発光する発光素子と、を有し、白色光を生成してもよい。また、複数の発光素子が設けられる場合、一つの光源22が、近接配置された複数種類の発光素子を含んでもよいし、単一の発光素子のみを含んでもよい。すなわち、異なる発光波長を有した複数種類の光源22が、用いられてもよい。
【0090】
図示された具体例として、光源22は、波長が450nmの青色光を射出する発光ダイオードを発光素子として含んでもよい。この例によれば、出力の大きい発光ダイオードを光源22として用いることができる。その一方で、蛍光体等の波長を変化し得る要素を用いることで白色に発光させることも可能となる。
【0091】
光源22は、一例として、発光素子のみによって構成されてもよい。他の例として、光源22は、発光素子に加え、発光素子からの配光を調節するカバーやレンズ等の光学要素を含んでもよいし、発光素子からの光を吸収して異なる波長の光を射出する蛍光体を含んでもよい。
【0092】
光源22の配光特性は、特に限定されない。光源22の配光特性は、ランバーシアン配光でもよい。ランバーシアン配光であれば、積層方向D3に向けられた光源22からの発光強度分布において、光軸である積層方向D3において最も高いピーク強度が得られ、光軸から60°傾斜した方向においてピーク強度の半分の強度が得られる。他の例として、ピーク強度が積層方向D3以外の方向に得られてもよい。例えば、特許文献1(JP6299811B)に開示されたバッドウイング配光を、光源22の配光特性として用いてもよい。
【0093】
面光源装置20は、複数の光源22を有してもよいし、単一の光源22のみを有してもよい。光源22の数量は、面光源装置20の用途や発光面20aの面積等に応じて適宜選択される。光源22の配置に起因した明るさのむらを解消する観点から、面光源装置20に含まれる複数の光源22は、積層方向D3に垂直な面上において、規則的に配置されていることが好ましい。例えば、互いに60°傾斜する三つの方向のそれぞれに一定のピッチで配置されてなるハニカム配列や、互いに垂直な二つの方向のそれぞれに一定のピッチで配置されてなる正方配列で、複数の光源22が配列されてもよい。
【0094】
図3に示された例において、複数の光源22は、互いに垂直な第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに一定のピッチで配列されている。図示された例において、第1方向D1への配列ピッチPL1及び第2方向D2への光源22の配光ピッチPL2は同一となっている。ただし、図示された例に限られず、配列ピッチPL1及び配列ピッチPL2が異なってもよい。図示された例において、第1方向D1及び第2方向D2は、それぞれ、矩形状をなす面光源装置20及び拡散部材40の側縁とそれぞれ平行になっている。光源22の配列ピッチPL1及び配列ピッチPL2は、それぞれ、0.2mm以上10mm以下でもよい。
【0095】
また、光源22は、拡散部材40に入射する際にP偏光の光のみを射出するようにしてもよい。P偏光の光とは、拡散部材40への入射時における当該光の進行方向と、拡散部材40の入光側面40aへの法線方向と、を含む面上で振動する光のことである。光源22がP偏光の光のみを射出することで、後述する誘電体多層膜を光反射部70に利用した際に、大きな入射角で入射する光の透過率を十分に高くして、拡散部材40に所望の光学特性付与できる。これにより、拡散部材40の出光側面40bにおける照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0096】
ところで、図示された面光源装置20は、光源22及び拡散部材40に加え、光源22を支持する支持基板25を更に有している。支持基板25は、積層方向D3における拡散部材40とは反対側から複数の光源22を支持する。支持基板25は、光源22に電力を供給する回路を含んでいる。支持基板25は、シート状の部材である。支持基板25は、光を反射して拡散部材40へ向ける光反射性を有している。支持基板25の光反射性は、光源22から射出する光に対して又は面光源装置20で発光に用いられる光に対して、発揮されるものであれば特に限定されない。面光源装置20で発光に用いられる光とは、光源22から射出して波長変換された光等を含んでもよい。
【0097】
具体的な構成として、
図2に示すように、シート状の基板本体26と、基板本体26に積層方向D3における拡散部材40側から積層された反射層27と、光源22と電気的に接続した配線28と、を有している。基板本体26は、積層方向D3に垂直な方向に広がっている、基板本体26は絶縁性を有している。反射層27は、光源22から射出する光に対して又は面光源装置20で発光に用いられる光に対して、反射性を有する。反射層27での反射性は、鏡面反射とも呼ばれる正反射であってもよく、拡散反射であってもよく、さらに異方性拡散反射であってもよい。基板本体26は、拡散粒子を含有した樹脂フィルム、たとえは白色ポリエチレンテレフタレート製フィルムであってもよい。反射層27は、基板本体26上に積層された金属層であってもよいし、反射型の回折光学素子であってもよい。配線28は、はんだ等を介して、光源22の図示しない端子と電気的に接続している。基板本体26及び反射層27が絶縁性を有している場合、配線28は、基板本体26及び反射層27の間に位置していることが好ましい。
【0098】
なお、
図2に二点鎖線で示すように、光源22は封止材23で覆われてもよい。封止材23は、各光源22に対応して設けられている。
図2及び
図3に示された例において、封止材23は、光源22と同様に二次元配列される。図示された例において、光源22は、拡散部材40側を向く面および側面を封止材23によって覆われている。封止材23は、支持基板25に固定されている。光源22と配線28とが電気的に接続される部分も、封止材23によって覆ってわれていてもよい。封止材23をなす材料として、例えば、シリコーン系樹脂やエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂、オレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0099】
なお、
図2に示された例において、拡散部材40は、封止材23上に配置されている。すなわち、拡散部材40は、封止材23に支持されることで、光源22及び支持基板25から積層方向D3に離間している。封止材23は、拡散部材40に接着、粘着、溶着等により接合してもよい。なお、
図2に示された距離DXは、積層方向D3に沿った光源22と拡散部材40との離間距離である。言い換えると、距離DXは、光源22の拡散部材40側を向く面と拡散部材40の入光側面40aとの間の積層方向D3に沿った距離を指している。
【0100】
次に、拡散部材40について説明する。拡散部材40は、光拡散部50及び光反射部70をこの順番で有している。光拡散部50は、光反射部70を基準として、拡散部材40で拡散されるべき光の入光側に位置する。光反射部70は、光拡散部50を基準として、拡散部材40で拡散されるべき光の出光側に位置する。
図2に示された例において、拡散部材40はシート状である。拡散部材40は、積層方向D3に垂直な第1方向D1及び第2方向D2に広がっている。光拡散部50が拡散部材40の入光側面40aを形成している。光反射部70が拡散部材40の出光側面40bを形成している。なお、光拡散部50及び光反射部70は、互いに接合していてもよいし、単に接触しているだけであって接合していなくてもよく、さらには、互いから離間していてもよい。
【0101】
まず、光拡散部50について説明する。光拡散部50は、光源22から射出する光に対して又は面光源装置20で発光に用いられる光に対して、光透過性および光拡散性を有している。光拡散部50は、可視光に対して光透過性および光拡散性を有している。光拡散部50は、他の部材と単に重ねられた又は他の部材と接着や粘着により接合された光学シート55を含んでもよく、光学シート55でもよく、光学シート55、部材および構造体等の一部分でもよく、更には、光学シート、部材および構造体等の面であってもよい。
【0102】
光拡散部50が有する光透過性として、例えば、光拡散部50の全光線透過率が、好ましくは50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは90%以上である。光拡散部50の全光線透過率を上記範囲内とすることによって、光源22からの光の利用効率が改善される。加えて、光拡散部50を面光源装置20に適用した際に拡散部材40の出光側面40b上での照度の面内分布を効果的に均一化できる。したがって、光拡散部50は、光源22から射出する光に対して又は面光源装置20で発光に用いられる光に対して、高い透過性を有する材料を用いて作製される。なお、全光線透過率は、入射角を0度として、JIS K7361-1:1997に準拠する方法により測定された値とする。全光線透過率は、日本分光社製の紫外可視近赤外分光光度計V-7200を用いて測定された値とする。
【0103】
光拡散部50による光拡散性は、等方拡散でもよいし、異方性拡散でもよい。光拡散部50は、或る特定の角度範囲内の方向に光を拡散してもよい。特定の角度範囲は、一つでもよく、互いから離間して複数でもよい。また、光拡散部50による拡散は、透過光を拡散させることに限られず、反射光を拡散させてもよい。
【0104】
光拡散部50の光拡散性として、光拡散部50に入射した光の拡散角αは、好ましくは10°以上であり、より好ましくは15°以上であり、更に好ましくは20°以上である。また、光拡散部50に入射した光の拡散角は、好ましくは85°以下であり、より好ましくは60°以下であり、更により好ましくは50°以下である。光拡散部50の拡散角をこのような範囲内とすることによって、拡散部材40を面光源装置20に適用した際に拡散部材40の出光側面40b上での照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0105】
拡散角αとは、0°の入射角で光を光拡散部50の入光側面に入射させた場合に得られる放射強度(ワット/ステラジアン)の角度分布における半値全幅(FWHM)のことである。
図4は、0°の入射角で平行光束を光拡散部50の入射側面に入射させた場合における光拡散部50の出光側面上での放射強度の角度分布を示すグラフである。
図4のグラフにおける縦軸は放射強度の値であり、横軸は出射角度である。拡散各αに対応する放射強度の角度分布における半値全幅は、放射強度の角度分布における最大透過光強度I
maxの半分の放射強度が得られる出射角度の範囲の幅(°)のことである。
【0106】
放射強度の角度分布は、変角光度計や変角分光測色器を用いて測定され得る。拡散角αの測定には、例えば、村上色彩技術研究所社製の変角光度計(ゴニオフォトメーター)GP-200等を用いることができる。
【0107】
入射角は、光が入射するシート状等の部材の法線方向に対して入射光の進行方向がなす角度(°)を意味する。出射角とは、光が出射するシート状等の部材の法線方向に対して出射光の進行方向がなす角度(°)を意味する。
【0108】
さらに、
図5は、
図4とは異なる光拡散性であって、光拡散部50の他の好ましい光拡散特性を説明する斜視図である。
図5において、光線L51が、0°の入射角で光拡散部50に入射している。すなわち、光線L51は、光拡散部50に垂直入射している。光線L51は、光拡散部50での屈折、反射、回折等の光学作用によって拡散している。
図5に示された光拡散部50によれば、光線L51は、主として、頂点が光拡散部50上に位置し且つ底面が光拡散部50と平行に配置された円錐の頂点から底面の円周上の各位置に向かう光路を進んでいる。この例において、0°の入射角で光線が光拡散部50に入射した場合における光拡散部50の光反射部70に対面する側での放射強度は、0°以外の出射角にピークを有する。より好ましくは、0°の入射角で光線が光拡散部50に入射した場合における光拡散部50の光反射部70に対面する側での放射強度は、出射角が0°となる出射方向を含む任意の面内での角度分布において、0°以外の出射角にピークを有する。放射強度のピークを有する出射角の絶対値は、好ましくは30°以上60°以下でもよく、より好ましくは30°以上50°以下でもよく、さらに好ましくは30°以上45°以下でもよい。また、0°の入射角で光拡散部50に入射した光のうちの、90%以上の光の出射角の絶対値が、30°以上60°以下でもよい。0°の入射角で光拡散部50に入射した光のうちの、95%以上の光の出射角の絶対値が、30°以上60°以下でもよい。0°の入射角で光拡散部50に入射した光のうちの、98%以上の光の出射角の絶対値が30°以上60°以下でもよい。
【0109】
図5を参照して説明した光拡散性を光拡散部50に付与することによって、拡散部材40は、光源22の直上となる領域における照度が高くなり過ぎることを抑制し、積層方向D3に垂直な方向に光源22から離間した領域における照度を高くできる。これにより、照度の面内分布を効果的に均一化できる。とりわけ、照度の面内分布の均一化の観点から、絶対値で0°以上ピーク角以下の入射角で後述の光反射部70に入射する光の光反射部70での反射率は、好ましくは80%以上である。より好ましくは85%以上であり、更に好ましくは90%以上である。ここで、ピーク角度は、放射強度のピークを有する出射角の絶対値を意味する。
【0110】
図6の実線は、入射光の入射角が0°である場合における、
図5に示された光拡散部50の出光側面上での放射強度の角度分布を示すグラフである。
【0111】
光拡散部50は、特に限定されることなく、光透過性および光拡散性を有する種々の構成を採用することができる。光拡散部50は、透過型の回折光学素子60及びマイクロレンズ65の少なくとも一方を含んでもよい。
【0112】
回折光学素子60は、入射光に対して回折作用を及ぼす素子である。回折光学素子60は、ホログラム素子でもよい。所望する光拡散性を実現するための回折特性を有した回折光学素子は、比較的容易に設計され得る。例えば、回折光学素子60は、
図6に示された拡散特性を有し得る。
【0113】
図7は、位相変調型のホログラムとして構成された回折光学素子60を示している。位相変調型のホログラムは、位相情報を記録された凹凸面52を有している。
図7に示された凹凸面52は、多値化した位相情報を底面の高さとして記録している。位相変調型のホログラムでは、媒体の光路長差に基づく回折現象を利用している。この回折光学素子60は、積層方向D3に垂直な第1方向D1及び第2方向D2に沿って配列された複数の単位ピクセル61を有している。単位ピクセル61は、入射光に及ぼす変調量を調節する最小単位である。図示された位相型の回折光学素子60によれば、単位ピクセル61毎に異なる量で入射光の位相を変調させ得る。位相変調は、積層方向D3に沿って両側に進む光に対して及ぼすことができる。したがって、回折光学素子60は、光源22側から入射した光を回折して進行方向を曲げることができ、且つ、光反射部70側から入射した光を回折して進行方向を曲げることができる。
【0114】
図7に示された回折光学素子60では、単位ピクセル61が第3方向d3に沿って8段階の高さのいずれかに設定されている。図示された回折光学素子60では、入射光に与える位相変調量を8段階で制御できる。ただし、単位ピクセル61の段数は特に限定されない。所望の光拡散性を実現するための回折特性を確保する観点から、単位ピクセル61の一辺の長さは、好ましくは10nm以上10μm以下であり、より好ましくは50nm以上5μm以下であり、更に好ましくは100nm以上2μmである。
【0115】
回折光学素子60は、一例として、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)として作製され得る。計算機合成ホログラムは、任意の回折特性を実現する回折構造をコンピュータ上で計算することによって作製される。計算機合成ホログラムを回折光学素子として採用することによって、光源や光学系を用いた物体光及び参照光の生成や、露光によるホログラム記録材料への干渉縞の記録が不要となる。例えば所望する光拡散性を実現するための回折特性を有した凹凸面52を、コンピュータでの演算によって特定することができる。特定された構造を、例えば樹脂賦型により形成することで、計算機合成ホログラムとしての回折光学素子を、簡易な手順にて低コストで作製することができる。
【0116】
図8に示すように、一つの回折光学素子60が、複数の要素回折光学素子62を含んでもよい。
図8に示された例において、複数の要素回折光学素子62は、互いに接合している。複数の要素回折光学素子62は、互いに同一の回折特性を有してもよいし、互いに異なる回折特性を有してもよい。
【0117】
なお、光拡散部50をなす回折光学素子は、位相変調型のホログラムに限られず、振幅変調型のホログラムでもよい。また、光拡散部50をなす回折光学素子は、計算機合成ホログラムに限られず、例えば体積ホログラムでもよい。また、
図7に示された例において、回折光学素子60の凹凸面52は、積層方向D3において光反射部70とは反対側を向いている例を示したが、この例に限られず、凹凸面52は、積層方向D3において光反射部70側を向いてもよい。凹凸面52が光反射部70に接触していたとしても、凹凸面52の凹凸に起因して、凹凸面52は光拡散部50と空隙Vとの界面を形成して入射光を大きく曲げることができる。
【0118】
マイクロレンズ65は、複数の単位光学要素66を有している。
図9~
図12に示すように、単位光学要素66は、屈折や反射等によって光に進行方向を変化させる要素である。単位光学要素66は、単位形状要素、単位プリズム、単位レンズと呼ばれる要素を含む概念である。単位光学要素66は、凸部68又は凹部69として、構成される。
図9~12に示された例において、光拡散部50は本体部58を有し、凸部68としての単位光学要素66が本体部58に形成されている。ただし、後述するように、光拡散部50は、本体部58と、本体部58上に設けられた凹部69としての単位光学要素66と、を有してもよい。本体部58は、シート状である。本体部58は、積層方向D3に垂直な第1方向D1及び第2方向D2に広がっている。
図2に示された例において、本体部58は、光反射部70に接合している。
【0119】
図9~
図12に示すように、単位光学要素66は、積層方向D3に対して傾斜した要素面67を有している。要素面67によって単位光学要素66が画成されている。マイクロレンズ65は、単位光学要素66の要素面67によって形成された凹凸面52を有する。マイクロレンズ65は、この凹凸面52によって、入射光の進行方向を曲げることができる。
【0120】
凹凸面52は、積層方向D3においてどちらを向いていてもよい。
図9及び
図10において、凹凸面52は、積層方向D3において光源22の側を向いている。
図11及び
図12において、凹凸面52は、積層方向D3において光反射部70の側を向いている。凹凸面52は、光源22側から入射する光L91,L101,L111,L121の進行方向を曲げることができ、且つ、光反射部70側から入射する光L92,L102,L112,L122の進行方向を曲げることができる。とりわけ、
図9~
図12に示すように、マイクロレンズ65は、積層方向D3に対する傾斜角度が小さい方向から入射する光の進行方向を曲げ、入射時よりも積層方向D3に対する傾斜角度を大きくすることができる。すなわち、光拡散部50からの出射光の進行方向が積層方向D3に対してなす傾斜角度を、光拡散部50への入射光の進行方向が積層方向D3に対してなす傾斜角度よりも大きくすることができる。
【0121】
図9及び
図11に示された例において、光L91,L92,L111,L112が要素面67で屈折することによって、当該光の進行方向が変化している。
図10及び
図12に示された例において、光L102,L121が要素面67で反射することによって、好ましくは全反射することによって、当該光の進行方向が変化している。
図9及び
図11に示された屈折での進行方向の変化よりも、
図10及び
図12に示された反射での進行方向の変化は、大きくなりやすい。要素面67の法線方向NDが積層方向D3に対して大きく傾斜しているほど、言い換えると要素面67が積層方向D3により立ち上がっているほど、光は要素面67で反射し易くなる。より具体的には、要素面67の法線方向NDが積層方向D3に対して45°よりも大きい傾斜角度θaをなす場合、積層方向D3に対して大きく傾斜していない光が当該要素面67で反射して、当該光の進行方向が積層方向D3に対して大きく傾斜する、傾向が生じる。
【0122】
この点から、
図10及び
図12に示すように、単位光学要素66は、積層方向D3に対して45°よりも大きな傾斜角度θaで傾斜した法線方向NDを有する要素面67を含んでもよい。この要素面67は、積層方向D3に立ち上がっているため、反射、好ましくは全反射を引き起こし易くなる。すなわち、この要素面67を含む単位光学要素66によれば、反射により、好ましくは全反射により、マイクロレンズ65を透過する光の光路を大きく曲げることができる。光の進行方向を大きく調節することによって、照度の面内分布がより効果的に均一化され得る。
【0123】
マイクロレンズ65の拡散特性は、単位光学要素66の要素面67の傾斜角度θaに影響を受ける。したがって、マイクロレンズ65の断面形状は、面光源装置20や拡散部材40に要求される光学特性に基づいて、適宜調節され得る。例えば、一つの単位光学要素66に含まれる複数の要素面67の傾斜角度θaが互いに異なってもよいし、同一でもよい。マイクロレンズ65に含まれる複数の単位光学要素66が、形状、向き、大きさ等の構成において互いに異なってもよい。マイクロレンズ65に含まれる複数の単位光学要素66が、互いに同一の構成を有してもよい。
【0124】
なお、光反射部70の反射特性との組合せによって照度を均一化する観点から、単位光学要素66の配列や、更には他の部分の光学特性等に応じて、傾斜角度θaを大きくすることが好ましいこともあり、傾斜角度θaを小さくすることが好ましいこともある。例えば、後述する第2の具体例のように、光学要素部110と組合せて用いる場合、傾斜角度θaは、好ましくは25°以下であり、より好ましくは20°以下であり、更に好ましくは15°以下である。
【0125】
さらに、
図9~
図12に二点鎖線で示すように、要素面67がいくらか湾曲してもよい。単位光学要素66が、半球状等の球の一部分の外形状を有してもよいし、回転楕円体の一部分の外形状を有してもよい。単位光学要素66が曲面状の要素面67を含む場合、反射や屈折により、マイクロレンズ65を透過する光の光路が種々の方向に曲がる。これにより、照度の面内分布をより効果的に均一化できる。また、放射強度の角度分布の変化を効果的に滑らかにできる。
【0126】
曲面状の要素面67と略同様の理由から、単位光学要素66は、マット面として形成された要素面67を含んでもよい。マット面としての要素面67は、光を種々の方向に散乱させる。これにより、照度の面内分布をより効果的に均一化できる。また、放射強度の角度分布の変化を効果的に滑らかにできる。
【0127】
マイクロレンズ65に含まれる複数の単位光学要素66は、二次元配列される。したがって、マイクロレンズ65に含まれる単位光学要素66の要素面67は、種々の方向を向く。結果として、マイクロレンズ65は、二次元配列された単位光学要素66によって、光を種々の方向に誘導できる。複数の単位光学要素66は、不規則に配列されてもよいし、或いは、規則的に配列されてもよい。複数の単位光学要素66を規則的に配列することによって、マイクロレンズ65の設計が容易となり、且つ、単位光学要素66を隙間無く敷き詰めることが容易となる。
【0128】
ここで、
図13A~
図16Bを参照して、マイクロレンズ65の複数の具体例について説明する。とりわけこれらの図に示されたマイクロレンズ65は、後述のシミュレーションの対象とした。
【0129】
まず、
図13A及び
図13Bに示された例において、複数の単位光学要素66の配列は、正方配列となっている。複数の単位光学要素66は、第1方向D1に一定のピッチで配列されている。複数の単位光学要素66は、第2方向D2にも一定のピッチで配列されている。第1方向D1への配列ピッチと、第2方向D2への配列ピッチは、同一でもよいし、異なってもよい。図示された例において、第1方向D1への配列ピッチと、第2方向D2への配列ピッチは、互いに同一で、0.1mmとなっている。
図13Bに示すように、各単位光学要素66は、円錐の底部を四方から切り取った形状を有している。
図13Aに点線で示された円錐底面の直径よりも短い配置ピッチで当該円錐が配置され、第1方向D1及び第2方向D2に隣り合う円錐が重なる部分が切り取られることによって、マイクロレンズ65が作製されている。これにより、
図13A及び
図13Bに示された例によれば、複数の単位光学要素66が隙間無く敷き詰められている。各単位光学要素66の積層方向D3への高さは、一例として、0.09mmである。図示された単位光学要素66は、円錐の側面に相当する要素面67を有している。各単位光学要素66は、積層方向D3からの観察において、光を放射状に拡散させることができる。
【0130】
次に、
図14A及び
図14Bに示された例において、複数の単位光学要素66の配列は、正方配列となっている。複数の単位光学要素66は、第1方向D1に対して±45°傾斜した二つの方向に一定のピッチで配列されている。各方向への配列ピッチは、同一であってもよいし異なっていてもよい。図示された例において、二つの方向への単位光学要素66の配列ピッチは、互いに同一で、0.1mmとなっている。
図14A及び
図14Bに示すように、単位光学要素66は、底面が正方形となる四角錐形状を有している。各単位光学要素66の積層方向D3への高さは、一例として、0.07mmとなっている。
【0131】
図15A及び
図15Bに示された例において、マイクロレンズ65は、二種類の単位光学要素66を有している。各種類の単位光学要素66は、第2方向D2と、第2方向に対して±60°傾斜した二つの方向と、に一定のピッチで配列されている。すなわち、二種類の単位光学要素66は、それぞれ、互いに対して60°傾斜した三つの方向のそれぞれに一定のピッチで配列されている。図示された単位光学要素66の配列は、ハニカム配列とも呼ばれる。各方向への配列ピッチは、同一でもよいし、異なっていてもよい。図示された例において、三つの方向への単位光学要素66の配列ピッチは互いに同一となっている。二種類の単位光学要素66の底面の形状は同一である。底面の形状は正三角形である。二種類の単位光学要素66の底面の向きは異なっている。一方の単位光学要素66を60°回転させると、一方の単位光学要素66の底面の向きは他方の単位光学要素66の底面の向きと一致する。
図15A及び
図15Bに示された例において、単位光学要素66は、底面が正三角形の三角錐の形状を有している。図示された例において、単位光学要素66の底面の高さは、一例として、0.1mmとなっている。また、単位光学要素66の高さは、一例として、0.08mmとなっている。各単位光学要素66は正三角錐形状でもよい。
【0132】
次に、
図16A及び
図16Bに示された例では、底面が同一形状である単位光学要素66が、四つの向きで配列されている。結果として、底面の形状及び向きが同一となる複数の単位光学要素66は、第1方向D1及び第2方向D2のそれぞれに一定のピッチで配列されている。二つの方向への配列ピッチは、同一でもよいし、異なっていてもよい。図示された例において、二つの各方向への配列ピッチは同一となっている。単位光学要素66は、底面が直角二等辺三角形形状となっている三角錐形状を有している。図示された例において、底面をなす直角二等辺三角形の等辺の長さは、一例として、0.1mmとなっている。単位光学要素66の高さは、一例として、0.01mmとなっている。
【0133】
図13A~
図16Bに示された四つの具体例において、単位光学要素66をなす錐体の頂点から底面への垂線は、いずれも、底面の重心を通過してもよい。
図13A~
図16Bに示された四つの具体例において、単位光学要素66は、積層方向D3において光源22側へ突出している。すなわち、単位光学要素66は、本体部58から突出する凸部68となっている。ただし、既に上述したように、単位光学要素66は、本体部58に形成された凹部69であってもよい。
【0134】
ところで、積層方向D3からの観察における単位光学要素66の寸法が大きいと、単位光学要素66の形状に起因した明るさのムラが視認されるようになる。この不具合を防止する観点から、単位光学要素66の積層方向D3に垂直な方向への最大長さは、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下である。
【0135】
また、積層方向D3からの観察における単位光学要素66の寸法が大きくなると、光源22に対して単位光学要素66を位置決めする必要が生じる。具体的には、積層方向D3に垂直な方向、例えば第1方向D1や第2方向D2において、光源22及び単位光学要素66の相対位置を位置決めする必要が生じる。このような位置決め作業は煩雑であり、製造上の負担となる。この位置決めを不要とする観点から、積層方向D3から観察した際に、互いに垂直な二方向のそれぞれにおいて、一つの単位光学要素66が、光源22を三倍した寸法よりも小さい寸法を有することが好ましい。上述したように、
図3に示された積層方向D3からの観察において四角形形状を有する光源22の一辺の長さWL1,WL2は、好ましくは0.5mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下である。この点から、積層方向D3からの観察において、単位光学要素66は、好ましくは1.5mm四方の正方形よりも小さい寸法を有し、より好ましくは0.6mm四方の正方形よりも小さい寸法を有する。ここで、一方の寸法が他方の寸法よりも小さいとは、一方の外輪郭が、少なくともいずれかの向きにおいて、他方の外輪郭上または他方の外輪郭の内側に位置することを意味している。更に好ましくは、積層方向D3からの観察において、単位光学要素66の任意の方向に沿った寸法は、光源22の当該方向に沿った寸法の三倍以下でもよい。これらの単位光学要素66を用いた拡散部材40からの出射光は、積層方向D3に垂直な方向D1,D2に沿った当該拡散部材40と光源22との相対位置に依存することなく、一定の配光特性を有するようになる。すなわち、積層方向D3に垂直な方向D1,D2に沿った拡散部材40と光源22との位置決めを行うことなく、面光源装置20を組み立てることができる。すなわち、アライメントフリーにより、拡散部材40を光源22上に配置することができる。
【0136】
このような寸法を有した単位光学要素66の配列ピッチは、0.01mm以上1.5mm以下でもよい。面光源装置20に適用した際に拡散部材40の出光側面40b上での照度の面内分布を効果的に均一化する観点から、単位光学要素66の配列ピッチは、好ましくは0.05mm以上1mm以下であり、より好ましくは0.1mm以上0.5mm以下である。
【0137】
また、
図9~
図12から理解され且つ後述するシミュレーションの特にサンプル3の結果でも実証されているように、マイクロレンズ65は、積層方向D3からの観察において、要素面67への法線方向NDに光を拡散させる。言い換えると、マイクロレンズ65は、積層方向D3から観察される要素面67の法線方向NDに光を誘導する。一方、
図2から理解され得るように、複数の光源22の配置間隔は、光源22の配列方向に沿って短くなるが、光源22の配列方向と非平行な方向に長くなる。したがって、照度の面内分布を均一化する観点において、好ましくは、単位光学要素66は、積層方向D3からの観察において複数の光源22の配列方向と非平行となる法線方向NDを有した要素面67を含む。より好ましくは、単位光学要素66は、積層方向D3からの観察において複数の光源22の配列方向に対して35°以上55°以下の角度で傾斜した法線方向NDを有して要素面67を含んでいる。このような配置によれば、単位光学要素66での反射や屈折によって、複数の光源22の配列方向と非平行な方向に光を効果的に拡散させることができる。これにより、照度の面内分布をより効果的に均一化できる。
【0138】
例えば、
図14A及び
図14Bに示された例において、単位光学要素66は四つの要素面67を有している。積層方向D3から観察した場合、四つの要素面67の法線方向NDは、いずれも、光源22の配列方向である第1方向D1及び第2方向D2に対して45°傾斜する。
図3に示すように、光源22を正方配列した場合、近接する四つの光源22の中心となる位置CP(
図3参照)が、最も暗くなりやすい。四つの光源22は、一つの配列方向D1に隣り合う二つの光源22Aと、当該二つの光源22Aにそれぞれ他の配列方向D2における一側から隣り合う他の二つの光源22Bと、を含んでいる。
図14A及び
図14Bに示された例では、この最も暗くなる傾向がある位置CPに向けて効率的に光を誘導して、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0139】
上述したように、単位光学要素66の寸法と光源22の寸法の大きさを調節しておくことで、積層方向D3に垂直な方向における光源22とマイクロレンズ65との位置決めを不要にできる。その一方で、直前で説明したように、単位光学要素66に含まれる要素面67への法線方向NDを、光源22の配列方向に対し、非平行となるように位置決めすることが有効である。この点から、拡散部材40が配置されるべき方向を示す表示42(
図1参照)を当該拡散部材40に設けてもよい。表示42は、いわゆるアライメントマークとして機能する。拡散部材40に設けられた表示42は、要素面67の法線方向NDの方向を表示してもよい。或いは、表示42は、光源22又は支持基板25に対して当該拡散部材40を配置すべき好ましい方向を表示してもよい。或いは、
図1に示すように、表示42は、拡散部材40に対して好ましい光源22の配列方向を表示してもよい。また、光源22の配列方向に関連した表示が支持基板25に設けられ、支持基板25の表示および拡散部材40の表示42に基づき、拡散部材40を光源22の配列に対して適切な向きに位置決めしてもよい。
【0140】
また、光拡散部50は、複数の光源22の配列方向と非平行な方向に配列された複数の単位光学要素66を有するマイクロレンズ65を含んでもよい。すなわち、複数の単位光学要素66の配列方向は、複数の光源22の配列方向と非平行でもよい。このような配置によれば、単位光学要素66の配列と光源22の配列との重ね合わせに起因したモアレを効果的に目立たなくすることができる。
【0141】
以上において、光拡散部50に用いられ得る回折光学素子60及びマイクロレンズ65について説明した。しかしながら、回折光学素子60及びマイクロレンズ65は、例示に過ぎず、光透過性および光拡散性の両方を有する他の要素等を、光拡散部50として用いてもよい。とりわけ上述した光透過性および光拡散性の具体的な特性を有する要素を、光拡散部50として好適に用いてもよい。他の光拡散部50の一例として、光透過性の母材と、母材中に分散した光拡散性粒子と、を有する光学シート等を、光拡散部50として用いてもよい。
【0142】
次に、光反射部70について説明する。光反射部70は、積層方向D3における光拡散部50の光源22とは反対側に位置している。光反射部70は、可視光を反射する光反射性を有している。光反射部70の反射率及び透過率は、入射角に依存して変化する。
【0143】
0°の入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での透過率は、0°より大きい或る入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での透過率よりも、小さい。すなわち、垂直入射する特定波長光の光反射部70での透過率は、少なくとも或る一つの斜め方向から入射する特定波長光の光反射部70での透過率よりも、小さい。0°の入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での反射率は、0°より大きい或る入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での反射率よりも、大きい。すなわち、垂直入射する特定波長光の光反射部70での反射率は、少なくとも或る一つの斜め方向から入射する特定波長光の光反射部70での反射率よりも、大きい。光反射部70は、選択光反射部、光透過部、選択光透過部とも表記できる。
【0144】
一例として、光反射部70は、0°の入射角で入射する特定波長の光を80%以上の反射率で反射する。光反射部70は、0°の入射角で入射する特定波長の光を20%未満の透過率で透過する。また、光反射部70は、絶対値で45°よりも大きい入射角で入射する少なくとも一部の特定波長の光を50%よりも低い反射率で反射する。光反射部70は、絶対値で45°よりも大きい入射角で入射する少なくとも一部の特定波長の光を50%以上の透過率で透過する。光反射部70は、反射率の入射角依存性を有している。また、光反射部70は、透過率の入射角依存性を有している。
【0145】
図17は、光反射部70が有する入射角に応じた反射特性および透過特性の一例を示すグラフである。
図17に示された光反射部70の特性において、光反射部70への入射角の絶対値が小さくなるにつれて、光反射部70における特定波長の光の反射率は大きくなる。入射角が絶対値で70°以上90°未満の特定波長の光の光反射部70での反射率は、70%未満でもよく、60%未満でもよく、50%未満でもよい。入射角が絶対値で60°以下である特定波長の光の光反射部70での反射率は、50%以上100%未満でもよく、80%以上100%未満でもよく、90%以上100%未満でよい。入射角が0°である特定波長の光の光反射部70での反射率は、80%以上100%未満でもよく、90%以上100%未満でもよく、95%以上100%未満でもよい。
【0146】
図17に示された光反射部70の特性において、光反射部70への入射角の絶対値が小さくなるにつれて、光反射部70における特定波長の光の透過率は小さくなる。入射角が絶対値で70°以上90°未満の特定波長の光の光反射部70での透過率は、30%以上でもよく、40%以上でもよく、50%以上でもよい。入射角が絶対値で60°以下である特定波長の光の光反射部70での透過率は、0%以上50%未満でもよく、0%以上20%未満でもよく、0%以上10%未満でもよい。入射角が0°である特定波長の光の光反射部70での透過率は、0%以上20%未満でもよく、0%以上10%未満でもよく、0%以上5%未満でもよい。
【0147】
特定波長の光とは、面光源装置20や拡散部材40の用途に応じて適宜設定できる。典型的には、光源22から射出する光又は面光源装置20で発光に用いられる光を、特定波長の光としてもよい。特定波長の光を可視光としてもよい。「可視光」とは、波長380nm以上波長780nm以下の光を意味する。光反射部の反射率は、村上色彩技術研究所社製の変角光度計(ゴニオフォトメーター)GP-200を用いて測定された値とする。光反射部の透過率は、JIS K7361-1:1997に準拠して測定された全光線透過率である。光反射部の透過率は、村上色彩技術研究所社製の変角光度計(ゴニオフォトメーター)GP-200を用いて測定された値とする。
【0148】
図18は、光反射部の光学特性の他の例を示すグラフである。
図18に示された光学特性を有する光反射部は、
図17に示された光学特性を有する光反射部と異なる。
図18は、青色光である450nmの波長を有した光についての光反射部の反射特性および透過特性を示すグラフである。
【0149】
18に示すように、入射角が絶対値で0°以上30°以下である特定波長の光の光反射部70での反射率は、80%以上でもよく、90%以上でよく、95%以上でもよい。入射角が絶対値で0°以上45°以下である特定波長の光の光反射部70での反射率は、80%以上でもよく、85%以上でもよく、90%以上でもよい。このような反射特性によれば、光拡散部50との組合せにより、光源22の直上となる領域における照度が高くなり過ぎることを効果的に防止し、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0150】
図18に示すように、入射角が絶対値で0°以上30°以下である特定波長の光の光反射部70での透過率は、20%未満でもよく、10%未満でよく、5%未満でもよい。入射角が絶対値で0°以上45°以下である特定波長の光の光反射部70での透過率は、20%未満でもよく、15%未満でもよく、10%未満でもよい。このような透過特性によれば、光拡散部50との組合せにより、光源22の直上となる領域における照度が高くなり過ぎることを効果的に防止し、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0151】
図18に示すように、絶対値で45°以上75°以下となる或る入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での反射率が50%でもよい。絶対値で50°以上60°以下となる或る入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での反射率が50%でもよい。入射角の絶対値が50°以上60°以下となる範囲で増加するにつれて、特定波長の光の光反射部での反射率が小さくなってもよい。積層方向D3に垂直な方向に光源22から離間した領域では、積層方向D3に対して傾斜した方向に進む光が比較的に多くなる。したがって、これらのような反射特性によれば、光拡散部50の拡散特性との組合せにより、光源22から離間した領域での照度を高くして、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0152】
図18に示すように、絶対値で45°以上75°以下となる或る入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での透過率が50%でもよい。絶対値で50°以上60°以下となる或る入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での透過率が50%でもよい。入射角の絶対値が50°以上60°以下となる範囲で増加するにつれて、特定波長の光の光反射部での透過率が大きくなってもよい。積層方向D3に垂直な方向に光源22から離間した領域では、積層方向D3に対して傾斜した方向に進む光が比較的に多くなる。したがって、これらのような透過特性によれば、光拡散部50の拡散特性との組合せにより、光源22から離間した領域での照度を高くして、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0153】
図19及び
図20は、光反射部の光学特性の更に他の例を示すグラフである。
図19及び
図20に示された光学特性を有する光反射部は、
図18に示された光学特性を有する光反射部と異なり、
図18に示された光学特性を有する光反射部とも異なる。
図19及び
図20は、青色光である450nmの波長を有した光についての光反射部の透過特性を示すグラフである。
【0154】
図19及び
図20に示すように、入射角が絶対値で0°以上30°以下である特定波長の光の光反射部70での透過率は、15%未満でもよく、8%未満でよく、3%未満でもよい。入射角が絶対値で0°以上45°以下である特定波長の光の光反射部70での透過率は、50%未満でもよく、40%未満でもよく、30%未満でもよい。このような透過特性によれば、光拡散部50の拡散特性との組合せにより、光源22の直上となる領域における照度が高くなり過ぎることを効果的に防止し、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0155】
入射角が絶対値で0°以上30°以下である特定波長の光の光反射部70での反射率は、85%以上でもよく、92%以上でよく、97%以上でもよい。入射角が絶対値で0°以上45°以下である特定波長の光の光反射部70での反射率は、50%以上でもよく、60%以上でもよく、70%以上でもよい。このような反射特性によれば、光拡散部50の拡散特性との組合せにより、光源22の直上となる領域における照度が高くなり過ぎることを効果的に防止し、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0156】
図19及び
図20に示すように、絶対値で40°以上60°以下となる或る入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での透過率が50%でもよい。絶対値で45°以上55°以下となる或る入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での透過率が50%でもよい。入射角の絶対値が30°以上60°以下となる範囲で増加するにつれて、特定波長の光の光反射部での透過率が大きくなってもよい。入射角の絶対値が50°以下となる範囲で増加するにつれて、特定波長の光の光反射部での透過率が大きくなってもよい。積層方向D3に垂直な方向に光源22から離間した領域では、積層方向D3に対して傾斜した方向に進む光が比較的に多くなる。したがって、これらのような反射特性を有する光反射部70の反射特性によれば、光拡散部50の拡散特性との組合せにより、光源22から離間した領域での照度を高くして、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0157】
絶対値で40°以上60°以下となる或る入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での反射率が50%でもよい。絶対値で45°以上55°以下となる或る入射角で入射する特定波長の光の光反射部70での反射率が50%でもよい。入射角の絶対値が30°以上60°以下となる範囲で増加するにつれて、特定波長の光の光反射部での反射率が小さくなってもよい。入射角の絶対値が50°以下となる範囲で増加するにつれて、特定波長の光の光反射部での反射率が小さくなってもよい。積層方向D3に垂直な方向に光源22から離間した領域では、積層方向D3に対して傾斜した方向に進む光が比較的に多くなる。したがって、これらのような反射特性を有する光反射部70の反射特性によれば、光拡散部50の拡散特性との組合せにより、光源22から離間した領域での照度を高くして、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0158】
光反射部70は、光拡散部50と積層方向D3に重ねられる。光反射部70と光拡散部50が接着や粘着等によって接合されていない場合、例えば、光反射部70及び光拡散部50が単純に重ね置きされている場合、光反射部70は、光拡散部50に対面するマット面を有してもよい。すなわち、光反射部70の入光側面をマット面としてもよい。光反射部70にマット面を付与することによって、光反射部70と光拡散部50が貼り付いてしまうことを抑制できる。また、マット面の光散乱性によって、放射強度の角度分布の変化を効果的に滑らかにできる。
【0159】
光反射部70としては、反射率の入射角依存性および透過率の入射角依存性を有するものであれば、特に限定されない。光反射部70として、反射型の体積ホログラム、コレステリック液晶構造層、再帰反射フィルム、反射型の回折光学素子を用いることができる。とりわけ、反射特性及び透過特性の設計自由度が比較的高い誘電体多層膜が、光反射部70として好適である。また、波長依存性が低いことから、構造的に反射率の入射角依存性および透過率の入射角依存性を付与された反射構造体も、光反射部70として好適である。
【0160】
光反射部70をなす誘電体多層膜として、屈折率の異なる無機層が交互に積層された無機化合物の多層膜を用いてもよい。光反射部70をなす誘電体多層膜として、屈折率の異なる樹脂層が交互に積層された樹脂の多層膜を用いてもよい。
【0161】
無機化合物の多層膜としての誘電体多層膜は、例えば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、または湿式塗工法等により、高屈折率無機層と低屈折率無機層とを交互に積層することによって得られる。無機化合物の多層膜の厚みは0.5μm以上10μm以下でもよい。高屈折率無機層に含まれる無機化合物の屈折率は1.7以上2.5以下でもよい。高屈折率無機層に含まれる無機化合物として、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化インジウムを主成分としてもよい。高屈折率無機層に含まれる無機化合物として、前記主成分に、酸化チタン、酸化スズ、酸化セリウム等を少量含有させてもよい。低屈折率無機層に含まれる無機化合物の屈折率は1.2以上1.6以下でもよい。低屈折率無機層に含まれる無機化合物として、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等が例示される。
【0162】
樹脂の多層膜としての誘電体多層膜は、例えば熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂の層を多数含んでいる。熱可塑性樹脂は、成形性に優れる点において好ましい。樹脂層には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、熱安定剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、屈折率調整のためのドープ剤等が添加されてもよい。
【0163】
屈折率が異なる樹脂層のうち、屈折率が高い高屈折率樹脂層と屈折率が低い低屈折率樹脂層との面内平均屈折率の差は、好ましくは0.03以上でよく、より好ましくは0.05以上でもよく、さらに好ましくは0.1以上でもよい。上記面内平均屈折率の差が大ききいと、所望の反射率および透過率を容易に実現できる。
【0164】
高屈折率樹脂層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率との差は、好ましくは0.03以上でもよい。低屈折率樹脂層の面内平均屈折率と厚み方向屈折率との差は、好ましくは0.03以下でもよい。この例によれば、入射角が大きくなっても、反射ピークの反射率の低下が起こりにくい。
【0165】
高屈折率樹脂層および低屈折率樹脂層の積層数は、光反射部70に要求される反射特性や透過特性に応じて調整される。例えば、高屈折率樹脂層と低屈折率樹脂層は、交互にそれぞれ30層以上積層してもよいし、交互にそれぞれ200層以上積層してもよい。高屈折率樹脂層および低屈折率樹脂層の総積層数は、例えば600層以上でもよい。積層数が少なすぎると、十分な反射率が得られなくなる場合がある。また、積層数が上記範囲であることにより、所望の反射率および透過率を容易に得ることができる。
【0166】
誘電体多層膜を構成する樹脂の多層膜は、片面に又は両面に、厚み3μm以上のポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含有する表面層を有してもよい。表面層の厚みは5μm以上でもよい。表面層によれば、上記の樹脂の多層膜の表面が保護され得る。
【0167】
誘電体多層膜を構成する樹脂の多層膜の製造方法として、共押出法等が採用されてもよい。具体的には、特開2008-200861号公報に記載の積層フィルムの製造方法を採用してもよい。
【0168】
誘電体多層膜を構成する樹脂の多層膜としては、市販の積層フィルムを用いることができ、例えば、東レ株式会社製のピカサス(登録商標)、3M社製のESR等が挙げられる。
【0169】
次に、
図21~
図24を参照して、光反射部70をなす反射構造体71について説明する。
図21及び
図22は、それぞれ、反射構造体71の第1例を示す縦断面図又は平面図である。
図23及び
図24は、それぞれ、反射構造体71の第2例を示す縦断面図又は平面図である。なお、以下の反射構造体71の第1例および第2例の説明において、同一に構成され得る部分には同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0170】
図21及び
図22に示された反射構造体71は、透過性基板72と、透過性基板72の入光側面に設けられた第1反射層73と、透過性基板72の出光側面に設けられた第2反射層74と、を有している。透過性基板72は、少なくとも特定波長の光、例えば光源22から射出する光又は面光源装置20で発光に用いられる光に対し、光透過性を有している。透過性基板72は、好ましくは、可視光透過性を有している。透過性基板72は、例えば樹脂製フィルムによって形成される。第1反射層73及び第2反射層74は、少なくとも特定波長の光、例えば光源22から射出する光又は面光源装置20で発光に用いられる光に対し、光反射性を有している。第1反射層73及び第2反射層74は、好ましくは、可視光反射性を有している。第1反射層73及び第2反射層74は、例えば透過性基板72上に形成された金属薄膜を含む。第1反射層73及び第2反射層74での反射は、正反射であってもよいし、拡散反射であってもよいし、異方性拡散反射であってもよい。第1反射層73には、複数の第1開口73aが設けられている。同様に、第2反射層74には、複数の第2開口74aが設けられている。第1開口73a及び第2開口74aは、明るさのむらを生じさせないよう、十分小さく、十分短いピッチで配列されている。
【0171】
図21及び
図22に示すように、第1開口73a及び第2開口74aは、積層方向D3からの観察において重ならない位置に配置されている。図示された例において、第1開口73a及び第2開口74aは、積層方向D3に垂直な方向において異なる位置に配置されている。より具体的には、第1開口73a及び第2開口74aは、それぞれ、互いに同一のピッチで正方配列されているが、第1方向D1及び第2方向D2に半ピッチ分ずらして位置決めされている。
【0172】
図21に示すように、反射構造体71の第1例では、大きな入射角で入射し且つ第1反射層73の第1開口73aに入射した光L211,L212は、第2反射層74の第2開口74aに直接向かうことによって、或いは、第1反射層73及び第2反射層74で反射して第2反射層74の第2開口74aに向かうことによって、反射構造体71を透過することができる。一方、反射構造体71に小さな入射角で入射した光L213は、たとえ第1反射層73の第1開口73aに進んだとしても、第1開口73aに対面する第2反射層74で反射して積層方向D3における進行方向折り返し、反射構造体71から光拡散部50側に進み出る。また、入射角に依存せず第1反射層73に入射した光L214は、第1開口73aで反射して、再び、積層方向D3における光拡散部50側へ進む。
【0173】
次に、
図23及び
図24に示された反射構造体71は、第1例と同様に、光透過性の透過性基板72を有している。透過性基板72上の光拡散部50側には、突出要素75が分散して配置されている。突出要素75は、透過性基板72から積層方向D3における光拡散部50側に突出している。突出要素75は、第1反射層73によって被覆された先端面75aと、先端面75aに隣接して透過性基板72の入光側面まで延びる側面75bと、を有している。また、透過性基板72の入光側面のうちの突出要素75が設けられていない領域には、第2反射層74が設けられている。第1反射層73及び第2反射層74は、第1例と同様に、反射特性を有している。そして、
図23及び
図24に示された例において、突出要素75の側面75bは、積層方向D3に切り立ち、第1反射層73及び第2反射層74の間において第1方向D1及び第2方向D2に向けて露出している。
【0174】
図23に示すように、反射構造体71の第1例では、突出要素75の側面75bに入射する光L231は、反射構造体71を透過することができる。側面75bは積層方向D3に切り立っているため、側面75bに入射する光の入射角は大きくなる。一方、入射角に依存することなく、側面75b以外の第1反射層73及び第2反射層74に入射する光L232,L233は、反射して、再び、積層方向D3における光拡散部50側へ進む。
【0175】
図21~
図24に示された光反射部70をなす反射構造体71によれば、入射角が大きい光のみを透過させることができる。とりわけ、アルミニウム等の安価で普及した材料を用いて作製される第1反射層73及び第2反射層74が可視光反射性を有するので、可視光の全域に対し、入射角依存性を有した反射特性を実現することができる。
【0176】
次に、以上のような構成を有する拡散部材40を用いた面光源装置20で面状光を生成する際の作用について、主として、
図25~
図28を参照して、説明する。なお、
図25~
図28においては、矢印の方向に進む光の光量を当該矢印の太さで示している。
【0177】
図25に示すように、まず、光源22から光LP1が射出する。
図25~
図28に示された例において、光源22は青色光である波長450nmの光LP1を射出し、光反射部70は光源22から射出した光に対して上述の反射特性を有する。一般的な光源22を用いた場合、積層方向D3に向けて多量の光LP1が射出される。この光LP1は、拡散部材40の光拡散部50に入射する。光拡散部50は、光透過性および光拡散性を有している。光LP1は、光拡散部50を透過し拡散される。
【0178】
なお、光拡散部50が、
図5及び
図6に示された拡散特性を有する場合、積層方向D3に進む光LP1の多くが、積層方向D3に対して傾斜した方向に進むようになる。
【0179】
次に、
図26に示すように、光拡散部50で拡散された光LP2,LP3は、光拡散部50の光反射部70に向かう。例えば、光反射部70は、0°の入射角で入射する光を80%以上の反射率で反射し得る。その一方で、光反射部70は、絶対値で45°よりも大きい入射角で入射する少なくとも一部の光を50%の反射率で反射し得る。すなわち、光反射部70は、積層方向D3に対して非常に大きく傾斜した光LP3のみを透過させ、その他の光LP2を反射する。光源22に正対する位置とその周囲とを含む領域、すなわち光源22の直上となる領域では、多量の光が積層方向D3に対して大きく傾斜しない方向に進む傾向が生じる。この光反射部70の反射特性によれば、入射角が小さい光が多量に光反射部70を透過することを抑制できる。
【0180】
とりわけ、光拡散部50で拡散された光の放射強度ピークが現れるピーク角で光反射部70へ入射する光LP2を、光反射部70が80%以上の反射率で反射する場合、光源22の直上が明るくなること、すなわち光源22の像が感知されることを抑制できる。例えば、
図6に示された拡散特性を有する光拡散部50を用いた場合、出射角が20°~50°となる方向に多量の光が進む。そして、
図17や
図18に示された反射特性を有する光反射部70は、光拡散部50から出射角が20°~50°となる方向に出射した光を90%以上の反射率で反射する。つまり、光源22から射出して拡散部材40に進んだ光LP1の多くが少なくとも一度、光反射部70で反射される。したがって、光源22の直上領域が明るくなることを極めて効果的に抑制できる。
【0181】
次に、
図27に示すように、光反射部70で反射した光LP2は、再び光拡散部50を拡散透過し、積層方向D3に対して更に大きく傾斜した方向に進むようになる。すなわち、光反射部70で反射した光LP2は、光拡散部50を二度拡散透過することによって、積層方向D3に対して大きく傾斜した方向に進む。結果として、光拡散部50を二度拡散透過した光LP4は、積層方向D3に垂直な方向に進む。図示された例において、光LP4は第1方向D1に光源22から離間するように進む。その後、
図27に示すように、光拡散部50を二度拡散透過した光LP4は、光源22を支持する支持基板25で反射する。次に、光LP5は、積層方向D3に垂直な方向において光源22から更に離間するように進み、積層方向D3において再び拡散部材40に向かう。
【0182】
図28に示すように、次に、再び拡散部材40に向かう光LP5は、光拡散部50を拡散透過して拡散される。光拡散部50で拡散された光LP6の多くは、その後、光反射部70に向かう。このような光LP6のうちの光反射部70への入射角が大きい光は、光反射部70を透過する。一方、光反射部70への入射角が小さい光は、再度、光反射部70で反射することになる。
【0183】
以上のように、光拡散部50の光拡散透過性と光反射部70の光反射性との組合せによって、光源22の配光特性に大きく制約されることなく、光源22から射出した光を積層方向D3に直交する方向に効果的に広げることができる。これにより、光源22の存在に起因した明るさのむらを効果的に解消すること、すなわち光源22の像を効果的に目立たなくできる。このような拡散部材40の光拡散性により、面光源装置20を大幅に薄型化することも可能となる。結果として、面光源装置20の薄型化を図りながら、光反射部70の出光側となる面上の各位置での照度を効果的に均一化すること、すなわち照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0184】
ここで、本件発明者らが行ったシミュレーション結果について説明する。シミュレーションの対象は、サンプル1~7に係る面光源装置とした。シミュレーションは、Synopsys社製のLightToolsによる光線追跡シミュレーションを実施した。
【0185】
サンプル1~5については、
図25~
図28に示された面光源装置20とした。サンプル1~5に係る面光源装置20は、光源22と、光源22を支持する支持基板25と、光源22及び支持基板25と積層方向D3に対面して配置された拡散部材40と、を有するようにした。光源22は、発光ダイオードを支持基板25上に一つ配置した。支持基板25の表面での反射は、反射率95%の拡散反射とした。
【0186】
サンプル1~5に係る面光源装置20において、拡散部材40は、光拡散部50及び光反射部70を光源側からこの順番で有するようにした。サンプル1~5に係る面光源装置20の間で共通して、光反射部70は、
図17に示す反射特性及び透過特性を有する誘電体多層膜とした。サンプル1に係る面光源装置20において、光拡散部50は、
図6に示された拡散特性を有する回折光学素子60とした。サンプル2に係る面光源装置20において、光拡散部50は、
図13A及び
図13Bを参照して説明した形状、寸法、配列等の構成を有するマイクロレンズ65とした。サンプル3に係る面光源装置20において、光拡散部50は、
図14A及び
図14Bを参照して説明した形状、寸法、配列等の構成を有するマイクロレンズ65とした。サンプル4に係る面光源装置20において、光拡散部50は、
図15A及び
図15Bを参照して説明した形状、寸法、配列等の構成を有するマイクロレンズ65とした。サンプル5に係る面光源装置20において、光拡散部50は、
図16A及び
図16Bを参照して説明した形状、寸法、配列等の構成を有するマイクロレンズ65とした。
【0187】
サンプル1~5に係る面光源装置20において、拡散部材40の積層方向D3に沿った厚みは200μmとした。また、サンプル1~5に係る面光源装置20において、光源22の拡散部材40に対面する面から拡散部材40の光源22に対面する入光側面までの積層方向D3に沿った距離DX(
図2参照)を0.5mmとした。
【0188】
サンプル6は、サンプル1~5における拡散部材40を、恵和株式会社製の光拡散シート「オルパスB910」に代えた点を除き、サンプル1~5と同様とした。サンプル6に係る面光源装置において、光源の拡散部材に対面する面から光拡散シートの光源に対面する入光側面までの積層方向に沿った距離を0.5mmとした。光拡散シートの厚みは100μmとした。
【0189】
サンプル7は、サンプル1~5における拡散部材40を除いた点を除き、サンプル1~5と同様とした。つまり、サンプル7に係る面光源装置は、支持基板25と、支持基板25上に支持された光源22と、のみを有するようにした。
【0190】
サンプル1~5について、光源22を発光した状態で、支持基板25の拡散部材40に対面する面から1mm離間した位置に第1方向D1及び第2方向D2に広がる仮想面としての受光面を設定し、この受光面上の各位置での照度をシミュレーションした。照度の計算は、光源22が中心となる第1方向D1に6mm及び第2方向D2に6mmの長さを有する受光面上の領域とした。つまり、積層方向D3への投影において、6mm×6mmの面積を有した受光面の中心に光源22が位置するようにした。サンプル1~5に係る面光源装置20について計算された受光面上での照度の面内分布を、それぞれ、
図29A~
図29Eに示す。
【0191】
同様の条件で、サンプル6及び7に係る面光源装置についても、サンプル1~5と同様の受光面を設定し、受光面上での照度の面内分布を計算した。サンプル6及び7に係る面光源装置について計算された受光面上での照度の面内分布を、それぞれ、
図29F及び
図29Gに示す。
【0192】
図29A~
図29Gは、6mm×6mmの面積を有した受光面上での照度の面内分布を示す図とともに、受光面上の第3方向D3に光源22と対面する位置を通過する第1方向D1に沿った直線上となる各位置での照度を示すグラフと、を示している。面内分布を示す図では、受光面上となる各位置での照度を色によって表現しており、色が薄い位置における照度が高くなっていた。
図29A~
図29Gに示された結果は、各サンプル内の各位置での相対照度を示しており、異なるサンプル間での照度を比較していない。
【0193】
シミュレーション結果によれば、サンプル1~5では、光源22と拡散部材40との間の隙間を、特許文献1(JP6299811B)の略2.5mmと比較して極めて短い、0.5mmとしたにもかかわらず、光源から第1方向D1及び第2方向D2にそれぞれ3mm離間した領域における照度の面内分布を良好に均一化することができた。この点から、本実施の形態による拡散部材40を面光源装置20した場合に、照度の面内分布を十分に均一化しながら面光源装置20を大幅に薄型化し得ることが確認された。また、マイクロレンズ65を用いたサンプル2~5に係る面光源装置20では、積層方向D3からの観察方向において、要素面67の法線方向NDに沿った方向へ光を効果的に誘導し得ることが確認された。
【0194】
以上に説明してきた一実施の形態において、拡散部材40は光拡散部50及び光反射部70をこの順で有している。この一実施の形態による拡散部材を面光源装置に適用した場合、光拡散部50での光透過性及び光拡散性と光反射部70での反射特性との組合せによって、光源22から射出した光を積層方向D3に直交する方向に効果的に広げることできる。これにより、面光源装置の薄型化を図りながら、光源22の存在に起因した明るさのむらを効果的に解消すること、すなわち光源22の像を効果的に目立たなくさせることができる。結果として、面光源装置20の薄型化を図りながら、拡散部材40の出光側となる出光側面40b上の各位置での照度を効果的に均一化すること、すなわち照度の面内分布を効果的に均一化することができる。
【0195】
上述した一実施の形態の第1具体例において、0°の入射角で光線が光拡散部50に入射した場合における光拡散部50の光反射部70に対面する出光側面での放射強度は出射角が0°以外となるピーク角に放射強度ピークを有する。そして、絶対値で0°以上ピーク角以下となる入射角で光反射部70に入射する特定波長の光の光反射部70での反射率は50%以上、より好ましくは80%以上となる。この例によれば、0°の入射角で光拡散部50に入射して光拡散部50で拡散された光の多くのが、光反射部70を透過することなく光反射部70で反射される。すなわち、光源22から射出した光の多くが、光反射部70で一回以上反射されて積層方向D3における進行方向を折り返すようになる。これにより、光源22から射出した光が積層方向D3に直交する方向に進むことが促進される。このように光反射部70での反射を促進することによって、照度の面内分布を均一化しながら、積層方向D3に沿った光源22と拡散部材40との距離DXを短くできる。つまり、面光源装置20の薄型化を図りながら、光源22の存在に起因した明るさのむらを効果的に解消して、照度の面内部分を効果的に均一化できる。
【0196】
上述した一実施の形態の一具体例として、特定波長を450nmとすることができる。この例においては、出力の大きい青色光を発光する発光ダイオードを光源22として用いることができる。また、蛍光体等を用いることで白色に発光させることも可能となる。
【0197】
以上において、一実施の形態の第1具体例について説明してきた。次に、
図30~
図37を参照して、一実施の形態の第2具体例について説明する。第2具体例は、拡散部材40が光学要素部110を有することにおいて、第1具体例と異なる。第2具体例は、光学要素部110以外の構成において、上述の第1具体例と同一の構成を採用し得る。以下の説明では、主として、光学要素部110について説明する。以下の第2具体例に関する説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0198】
図30に示すように、光学要素部110は、光反射部70を基準として、拡散部材40で拡散されるべき光の出光側に位置している。光学要素部110が拡散部材40の出光側面40b形成している。光反射部70及び光学要素部110は、互いに接合していてもよいし、単に接触しているだけであって接合していなくてもよく、さらには、互いから離間していてもよい。
【0199】
上述の通り、光反射部70の反射特性および透過特性は、入射角依存性を有している。光反射部70は、低入射角度の光を反射し、積層方向D3に当該光の進行方向を折り返す。光反射部70を透過した光の進行方向は、光反射部70の反射特性および透過特性により、主として、積層方向D3に対して大きく傾斜した角度範囲内の方向となる。光学要素部110は、光反射部70反射特性及び透過特性を補強する。光学要素部110は、光反射部70からの入射光の一部を反射する。この光反射部70及び光学要素部110の協働によって、照度の面内分布をより均一化できる。
【0200】
具体的な構成として、
図30に示すように、光学要素部110は凹凸面112を有している。凹凸面112は、積層方向D3における光反射部70と反対側を向いている。言い換えると、凹凸面112は、積層方向D3における出光側に向いている。光は、凹凸面112での屈折や反射により、進行方向を変化できる。光学要素部110は、他の部材と単に重ねられた又は他の部材と接着や粘着により接合された光学シート115を含んでもよく、光学シート115でもよく、光学シート115、部材および構造体等の一部分でもよく、更には、光学シート115、部材および構造体等の面でもよい。
図30に示された例において、光学要素部110は、光反射部70に接合している。
図30に示された例において、光拡散部50、光反射部70及び光学要素部110は、接合されており、一体的に取り扱いできる。
【0201】
なお、上述の光拡散部50の凹凸面52と区別するため、光拡散部50の凹凸面を第1凹凸面52と呼び、光学要素部110の凹凸面を第2凹凸面112と呼ぶこともある。光反射部70及び光学要素部110は、凹凸面以外にも名称が同一の部分や要素を含んでいる。これらの部分や要素について、光拡散部50の部分や要素に対して「第1」を付し、光学要素部110の部分や要素に対して「第2」を付すこともある。
【0202】
光学要素部110は、光透過性を有している。光学要素部110が有する光透過性として、例えば、光学要素部110の全光線透過率が、好ましくは50%以上であり、より好ましくは70%以上であり、更に好ましくは90%以上である。光学要素部110の全光線透過率を上記範囲内とすることによって、光源22からの光の利用効率が改善される。加えて、光学要素部110を面光源装置20に適用した際に拡散部材40の出光側面40b上での照度の面内分布を効果的に均一化できる。したがって、光学要素部110は、光源22から射出する光に対して又は面光源装置20で発光に用いられる光に対して、高い透過性を有する材料を用いて作製される。なお、全光線透過率は、JIS K7361-1:1997に準拠する方法により測定された値とする。
【0203】
光学要素部110は、特に限定されることなく、凹凸面112を有する種々の構成を採用できる。
図31A及び
図31Bに示すように、光学要素部110はマイクロレンズ125を含んでもよい。この例では、マイクロレンズ125が凹凸面112を形成する。単位光学要素126は、単位形状要素、単位プリズム、単位レンズと呼ばれる要素を含む概念である。単位光学要素126は、
図31Aに示すように凸部128として構成されてもよい。単位光学要素126は、
図31Bに示すように凹部129として構成されてもよい。
【0204】
図31A及び
図31Bに示された例において、光学要素部110は基部118を有している。基部118はシート状である。基部118は、積層方向D3に垂直な第1方向D1及び第2方向D2に広がっている。
図31A及び
図31Aに示された例において、基部118は光反射部70に接合している。
図31Aに示された例において、凸部128としての単位光学要素126が基部118上に設けられている。
図31Bに示された例において、凹部129としての単位光学要素126が基部118に形成されている。
【0205】
図31A及び
図31Bに示すように、単位光学要素126は、積層方向D3に対して傾斜した要素面127を有している。要素面127によって単位光学要素126が画成されている。マイクロレンズ125は、単位光学要素126の要素面127によって形成された凹凸面112を有する。マイクロレンズ125は、この凹凸面112によって、入射光の進行方向を曲げることができる。
【0206】
凹凸面112の光学特性は、単位光学要素126の要素面127の傾斜角度θbに影響を受ける。したがって、単位光学要素126の断面形状は、面光源装置20や光学要素部110に要求される光学特性に基づいて、適宜調節され得る。例えば、一つの単位光学要素126に含まれる複数の要素面127の傾斜角度θbが互いに異なってもよいし、同一でもよい。マイクロレンズ125に含まれる複数の単位光学要素126が、形状、向き、大きさ等の構成において互いに異なってもよい。マイクロレンズ125に含まれる複数の単位光学要素126が、互いに同一の構成を有してもよい。
【0207】
上述したように、光反射部70を透過した光の進行方向は、光反射部70の反射特性および透過特性により、主として、積層方向D3に対して大きく傾斜した角度範囲内の方向となる。光学要素部110は、光反射部70反射特性及び透過特性を補強する。光学要素部110は、光反射部70からの入射光の一部を反射する。この光反射部70及び光学要素部110の協働によって、照度の面内分布をより均一化できる。このような光学要素部110の機能をより有効にする観点から、要素面127の法線方向NDAが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbは、25°以下でもよく、20°以下でもよく、15°以下でもよい。傾斜角度θbは、0°より大きくてもよい。光学要素部110の上述の機能を確保する観点から、傾斜角度θbは、3°以上でもよく、5°以上でもよく、8°以上でもよい。
【0208】
なお、各要素面127が平坦でないことも想定される。要素面127の傾斜角度θbは、要素面127の積層方向D3における中心となる位置で特定されるものとする。凸部128としての要素面127については、要素面127のうちの基部118に接続する基端部と基部118から積層方向D3に最も離間した先端部との積層方向D3における中心となる位置において、傾斜角度θbを特定する。凹部129としての要素面127については、要素面127のうちの光反射部70へ積層方向D3に最も近接する基端部(最深部)と光反射部70から積層方向D3に最も離間した先端部との積層方向D3における中心となる位置において、傾斜角度θbを特定する。
【0209】
さらに、
図31A及び
図31Bに二点鎖線で示すように、要素面127がいくらか湾曲してもよい。単位光学要素126が、半球状等の球の一部分の外形状を有してもよいし、回転楕円体の一部分の外形状を有してもよい。単位光学要素126が曲面状の要素面127を含む場合、反射や屈折により、マイクロレンズ125を透過する光の光路が種々の方向に曲がる。これにより、照度の面内分布をより効果的に均一化できる。また、放射強度の角度分布の変化を効果的に滑らかにできる。
【0210】
曲面状の要素面127と略同様の理由から、単位光学要素126は、マット面として形成された要素面127を含んでもよい。マット面としての要素面127は、光を種々の方向に散乱させる。これにより、照度の面内分布をより効果的に均一化できる。また、放射強度の角度分布の変化を効果的に滑らかにできる。
【0211】
複数の単位光学要素126は、二次元配列されてもよい。すなわち、複数の単位光学要素126は、互いに非平行な二以上の方向に配列されてもよい。したがって、単位光学要素126の要素面127は、種々の方向を向く。結果として、二次元配列された単位光学要素126によって、光を種々の方向に誘導できる。複数の単位光学要素126は、不規則に配列されてもよいし、或いは、規則的に配列されてもよい。複数の単位光学要素126を規則的に配列することによって、マイクロレンズ125の設計が容易となり、且つ、単位光学要素126を隙間無く敷き詰めることが容易となる。
【0212】
光学要素部110の第2単位光学要素126の配列や形状等の構成として、既に詳述した
図13A~
図16Bに示すように、光拡散部50に含まれる第1単位光学要素66の配列や形状等の構成を採用してもよい。例えば、単位光学要素126の構成として、既に説明した
図13A~
図16Bに示された構成を採用してもよい。
図13A~
図16Bに示された四つの具体例において、単位光学要素126をなす錐体の頂点から底面への垂線は、いずれも、底面の重心を通過してもよい。なお、
図13A~
図16Bに示された四つの具体例において、単位光学要素126は、基部118に形成された凹部129となっている。しかしながら、
図13A~
図16Bに示された四つの具体例において、単位光学要素126は、積層方向D3において光源22とは反対側に基部118から突出した凸部128であってもよい。
【0213】
積層方向D3からの観察における単位光学要素126の寸法が大きいと、単位光学要素126の形状に起因した明るさのムラが視認されるようになる。この不具合を防止する観点から、単位光学要素126の積層方向D3に垂直な方向への最大長さは、好ましくは1.5mm以下であり、より好ましくは1mm以下であり、更に好ましくは0.5mm以下である。
【0214】
積層方向D3からの観察における単位光学要素126の寸法が大きくなると、光源22に対して単位光学要素126を位置決めする必要が生じ得る。この点は、上述した光源22に対して光拡散部50の単位光学要素66を位置決めする必要性と同様である。したがって、光拡散部50の単位光学要素66と同様に、光学要素部110の単位光学要素126を構成することが好ましい。すなわち、積層方向D3から観察した際に、互いに垂直な二方向のそれぞれにおいて、一つの単位光学要素126が、光源22を三倍した寸法よりも小さい寸法を有することが好ましい。例えば、積層方向D3からの観察において、単位光学要素126は、好ましくは1.5mm四方の正方形よりも小さい寸法を有し、より好ましくは0.6mm四方の正方形よりも小さい寸法を有する。更に好ましくは、積層方向D3からの観察において、単位光学要素126の任意の方向に沿った寸法は、光源22の当該方向に沿った寸法の三倍以下でもよい。
【0215】
このような寸法を有した単位光学要素126の配列ピッチは、0.01mm以上1.5mm以下でもよい。面光源装置20に適用した際に拡散部材40の出光側面40b上での照度の面内分布を効果的に均一化する観点から、単位光学要素126の配列ピッチは、好ましくは0.05mm以上1mm以下であり、より好ましくは0.1mm以上0.5mm以下である。
【0216】
光学要素部110の凹凸面112は、積層方向D3からの観察において、要素面127への法線方向NDAに光を誘導する。したがって、照度の面内分布を均一化する観点において、好ましくは、凹凸面112は、積層方向D3からの観察において複数の光源22の配列方向と非平行となる法線方向NDAを有した要素面127を含む。より好ましくは、単位光学要素126は、積層方向D3からの観察において複数の光源22の配列方向に対して35°以上55°以下の角度で傾斜した法線方向NDを有して要素面127を含んでいる。このような配置によれば、単位光学要素126での反射や屈折によって、複数の光源22の配列方向と非平行な方向に光を誘導できる。これにより、照度の面内分布をより効果的に均一化することができる。例えば、
図14A及び
図14Bに示され単位光学要素126の配列によれば、
図3に示された配列の光源22との組合せにおいて、照度の面内分布を効果的に均一化できる。上述した表示42が要素面127の法線方向NDAの方向を表示してもよい。
【0217】
また、光学要素部110は、複数の光源22の配列方向と非平行な方向に配列された複数の単位光学要素126を有してもよい。すなわち、複数の単位光学要素126の配列方向は、複数の光源22の配列方向と非平行でもよい。このような配置によれば、単位光学要素126の配列と光源22の配列との重ね合わせに起因したモアレを効果的に目立たなくすることができる。
【0218】
さらに、
図32に示すように、複数の単位光学要素126は、一次元配列されてもよい。この例において、複数の単位光学要素は一方向に配列され、各単位光学要素126は、一方向と非平行な他方向に線状に延びてもよい。例えば、
図32に示すように、各単位光学要素126は、一方向と垂直な他方向に線状に延びてもよい。各単位光学要素126は、他方向に直線状に延びてもよい。単位光学要素126の配列方向は、第1方向D1でもよく、第2方向D2でもよく、第1方向D1及び第2方向D2の両方に非平行な方向でもよい。例えば、単位光学要素126の配列方向は、第1方向D1及び第2方向D2の両方に対して25°以上65°以下傾斜していてもよいし、第1方向D1及び第2方向D2の両方に対して35°以上55°以下傾斜していてもよい。
【0219】
線状の単位光学要素126の長手方向に直交する断面での断面形状は、特に限定されず、三角形形状や五角形形状等の多角形形状でもよく、多角形形状の一以上の角を面取りした形状でもよい。線状の単位光学要素126の配列ピッチは、既に上述したように設定してもよく、具体的には、0.01mm以上1.5mm以下でもよく、0.05mm以上1mm以下でもよく、より好ましくは0.1mm以上0.5mm以下でもよい。線状の単位光学要素126のその他の構成は、上述したマイクロレンズ125を構成する単位光学要素126の構成を採用できる。例えば、線状の単位光学要素126の要素面127や傾斜角度θbは、25°以下でもよく、20°以下でもよく、15°以下でもよい。傾斜角度θbは、0°より大きくてもよい。傾斜角度θbは、3°以上でもよく、5°以上でもよく、8°以上でもよい。線状の単位光学要素126の要素面127を曲面としてもよい。線状の単位光学要素126の要素面127をマット面としてもよい。単位光学要素126は、積層方向D3からの観察において複数の光源22の配列方向に対して35°以上55°以下の角度で傾斜した法線方向NDを有して要素面127を含んでいてもよい。
【0220】
次に、以上の構成を有する拡散部材40を用いた面光源装置20で面状光を生成する際の作用について、主として、
図33~
図37を参照して、説明する。なお、
図33~
図36においては、矢印の方向に進む光の光量を当該矢印の太さで示している。
図33~
図37に示された例において、光源22は、青色光である波長450nmの光LP1を射出する。光反射部70は、光源22から射出した光に対して
図19及び
図20に示された特性を有する。
【0221】
図33に示すように、まず、光源22から光LP1が射出する。光LP1は、光拡散部50を透過し拡散される。次に、
図34に示すように、光拡散部50で拡散された光LP2,LP3は、拡散部材40の光反射部70に向かう。光反射部70は、積層方向D3に対して大きく傾斜した光LP3を透過させ、その他の光LP2を反射する傾向を持つ。光源22に正対する位置とその周囲とを含む領域、すなわち光源22の直上となる領域では、多量の光が積層方向D3に対して大きく傾斜しない方向に進む傾向が生じる。しかしながら、光反射部70によって、入射角が小さい光が多量に光反射部70を透過することを効果的に抑制できる。
【0222】
光反射部70で反射した光LP2は、
図35に示すように、再び光拡散部50を拡散透過し、積層方向D3に対して更に大きく傾斜した方向に進むようになる。光拡散部50を二度拡散透過した光LP4は、積層方向D3に垂直な方向に進み、光源22から離間する。その後、光LP4は、光源22を支持する支持基板25で反射する。支持基板25で反射した光LP5は、積層方向D3に垂直な方向において光源22から更に離間するように進み、積層方向D3において再び拡散部材40に向かう。
【0223】
図36に示すように、再び拡散部材40に向かう光LP5は、光拡散部50を拡散透過する。光拡散部50で拡散された光LP6の多くは、その後、光反射部70に向かう。光LP6のうちの光反射部70への入射角が大きい光は、光反射部70を透過する。一方、光反射部70への入射角が小さい光は、再度、光反射部70で反射する。
【0224】
以上に説明した光反射部70を透過するまでの光学作用は、上述した第1具体例で
図25~
図28を参照して説明した光学作用と同様である。すなわち、光拡散部50の光拡散透過性と光反射部70の光反射性との組合せによって、光源22の配光特性に大きく制約されることなく、光源22から射出した光を積層方向D3に垂直な方向D1、D2に効果的に広げることできる。これにより、光源22の存在に起因した明るさのむらを効果的に解消すること、すなわち光源22の像を効果的に目立たなくさせることができる。このような拡散部材40の光拡散性により、面光源装置20を大幅に薄型化することも可能となる。結果として、面光源装置20の薄型化を図りながら、光反射部70の出光側となる面上の各位置での照度を効果的に均一化すること、すなわち照度の面内分布を効果的に均一化することができる。
【0225】
次に、光反射部70を透過した光LP3、LP6は、拡散部材40の光学要素部110に入射する。
図37に示すように、光学要素部110は、積層方向D3における光源22から離間する出光側に、凹凸面112を有している。光学要素部110への入射光の一部L371は、凹凸面112で反射する。凹凸面112での反射光L371は、積層方向D3における進行方向を折り返し、積層方向D3における光源22側へ向かう。この反射光L371は、光反射部70を透過し且つ光拡散部50を拡散透過して、支持基板25で反射する。支持基板25での反射光は、上述の反射光LP2と同様に、積層方向D3に垂直な方向において光源22から離間した位置にて、拡散部材40へ再入射できる。したがって、光学要素部110での反射により、光源22から射出した光を積層方向D3に垂直な方向に効果的に広げることできる。これにより、明るさが不十分となりやすい光源22から離間した領域での明るさを十分に確保できる。すなわち、光学要素部110での反射によって、光反射部70の反射特性を補強し、照度の面内分布の均一化を更に促進できる。
【0226】
光学要素部110への入射光の他の一部L372は、凹凸面112を通過する。光L372は、光学要素部110の凹凸面112によって形成された拡散部材40の出光側面40bから出射する。
【0227】
以上のようにして、光源22の存在に起因した明るさのむらを効果的に解消して、発光面20a上での照度を効果的に均一化できる。とりわけ、光反射部70の反射特性を光学要素部110で補強することによって、面光源装置20の薄型化を図りながら、積層方向D3に垂直な方向へ光を誘導することできる。結果として、面光源装置20の薄型化を図りながら、拡散部材40の出光側面40b上の各位置での照度を効果的に均一化すること、すなわち照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0228】
ここで、
図37を参照して、光学要素部110の光学機能について更に詳述する。
図37に示すように、本実施の形態による光学要素部110は、光反射部70とは反対側に凹凸面112を有している。
図37に示すように、光学要素部110を進む光L371、L372は、光反射部70の光学特性に起因して、積層方向D3に対して大きく傾斜した方向に進む。積層方向D3に沿った光学要素部110の断面において、凹凸面112は、積層方向D3を基準として光の進行方向と同じ側に傾斜した同側要素面127Aと、積層方向D3を基準として光の進行方向と逆側に傾斜した逆側要素面127Bと、を含んでいる。
図37に示すように、この同側要素面127Aへ入射する光L371の入射角度θxは、積層方向D3に垂直な平坦面への光L371の入射角θyよりも大きくなる。したがって、光L371は、同側要素面127Aにおいて、反射しやすくなる。このように、光学要素部110が、積層方向D3において光反射部70とは反対側に凹凸面112を有することによって、光反射部70を透過した光の一部分を反射し、光反射部70の光学特性を補強できる。これにより、拡散部材40の出光側面40b上の各位置での照度を効果的に均一化すること、すなわち照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0229】
なお、照度の面内分布の均一化を促進する観点から、凹凸面112での反射は全反射であることが好ましい。光学用途で広く用いられている透明樹脂材料の屈折率を考慮すると、要素面127への光L371の入射角が40°程度まで大きくなると全反射現象が生じやすくなる。光反射部70での反射特性および透過特性も踏まえると、要素面127の法線方向NDAが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbは、好ましくは25°以下であり、より好ましくは20°以下であり、更に好ましくは15°以下である。要素面127の傾斜角度θbをこの範囲に調整することで、拡散部材40の出光側面40b上の各位置での照度をより均一化できる。
【0230】
また、傾斜角度θbが大きくなると、反射を引き起こす同側要素面127Aに光が入射しにくくなる。この点からも、要素面127の法線方向NDAが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbは、好ましくは25°以下であり、より好ましくは20°以下であり、更に好ましくは15°以下である。要素面127の傾斜角度θbをこの範囲に調整することで、拡散部材40の出光側面40b上の各位置での照度をより均一化できる。
【0231】
図37に示された例において、単位光学要素126は凸部128である。凸部128としての単位光学要素126では、要素面127の面積の大部分が、積層方向D3における光反射部70側に位置する。したがって、光学要素部110内を進む光は、上述した逆側要素面127Bだけでなく、上述した同側要素面127Aにも入射しやすくなる。これにより、凸部128としての単位光学要素126を有した光学要素部110によれば、光学要素部110での反射が促進され、拡散部材40の出光側面40b上の各位置での照度を更に均一化できる。
【0232】
傾斜角度θbの下限を設定することによって、光学要素部110内を進む光のうち、積層方向D3に対して大きく傾斜した方向に進む光が、上述の同側要素面127Aに入射しにくくすることができる。したがって、傾斜角度θbの下限を設定することによって、凹凸面112は、光学要素部110内を進む光のうちの積層方向D3に対する傾斜角度が比較的小さい方向に進む光を選択的に反射する選択反射特性を発揮する。これにより、光学要素部110の反射によって、光反射部70の反射特性および透過特性を補強できる。すなわち、光学要素部110に入射する光は、光反射部70での光学特性に起因して、積層方向D3に対して大きく傾斜した方向に進む。そして、光学要素部110は、光反射部70内を進む光のうち、積層方向D3に対する傾斜角度が比較的小さい方向に進む光を選択的に反射する。逆に、光学要素部110は、光反射部70内を進む光のうち、積層方向D3に対する傾斜角度が比較的大きい方向に進む光を選択的に透過させる。これにより、拡散部材40の出光側面40b上の各位置での照度を更に均一化できる。このような観点から、要素面127の法線方向NDAが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbは、好ましくは3°以上であり、より好ましくは5°以上であり、更に好ましくは8°以上である。
【0233】
傾斜角度θbが上述した上限値を有する第2凹凸面112を含んだ光学要素部110との組合せにおいて、光拡散部50の第1凹凸面52は、積層方向D3に対して25°以下の傾斜角度θaで傾斜した法線方向NDを有する第1要素面67を含んでもよい。本件開示者が鋭意実験を重ねたところ、第1要素面67の法線方向NDが積層方向D3に対する傾斜角度θaは、好ましくは25°以下であり、より好ましくは20°以下であり、更に好ましくは15°以下である。また、この傾斜角度θaは、好ましくは3°以上であり、より好ましくは5°以上であり、更に好ましくは8°以上である。このような第1要素面67を有する光拡散部50と、上述した傾斜角度θbが25°以下である第2要素面127を有する光拡散部50との組合せによれば、拡散部材40の出光側面40b上の各位置での照度を更に均一化できる。
【0234】
図37に示すように、光L372が、上述の逆側要素面127Bを通過する際、逆側要素面127Bで屈折する。この光L372の出射角θzは、積層方向D3に垂直な平坦面を通過して出射すると仮定した場合の光L372Xの出射角θwよりも、小さくなる。すなわち、光学要素部110の凹凸面112は、出射光に対して集光機能を発揮する。光学要素部110の集光機能により、拡散部材40を透過した光に対する光路補正の負担が軽減される。結果として、拡散部材40を透過した光の利用効率を改善できる。また、面光源装置20に組み込まれる部材の数量や部材の厚みを低減でき、面光源装置20の薄型化に寄与し得る。
【0235】
以上に説明してきた一実施の形態の第2具体例において、拡散部材40は、光透過性および光拡散性を有する光拡散部50と、0°の入射角で入射する特定波長の光の透過率が0°より大きい或る入射角で入射する特定波長の光の透過率よりも低い光反射部70と、光反射部70とは反対側に凹凸面112を有する光学要素部110と、をこの順で有している。この一実施の形態による拡散部材40を面光源装置に適用した場合、光拡散部50での光透過性及び光拡散性と光反射部70での反射特性との組合せによって、光源22から射出した光を積層方向D3に垂直な方向に効果的に広げることできる。加えて、光学要素部110の凹凸面112が、光反射部70の反射特性を補強することによって、光を積層方向D3に垂直な方向に効果的に広げることできる。これにより、面光源装置の薄型化を図りながら、光源22の存在に起因した明るさのむらを効果的に解消すること、すなわち光源22の像を効果的に目立たなくできる。結果として、面光源装置20の薄型化を図りながら、拡散部材40の出光側となる出光側面40b上の各位置での照度を効果的に均一化すること、すなわち照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0236】
以上において、具体例を参照しながら一実施の形態を説明してきたが、これらの具体例が一実施の形態を限定しない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されてもよく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、追加等できる。
【0237】
以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した具体例と同様に構成され得る部分について、上述の具体例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0238】
図2に二点鎖線で示すように、面光源装置20は、光源22、支持基板25及び拡散部材40に加えて、更に他の部材を有することができる。面光源装置20に追加される他の部材として、波長変換シート76、光拡散シート77、反射型偏光板78等を例示できる。波長変換シート76は、例えば蛍光体を有し、光源22からの光を吸収して、吸収した光の波長とは異なる波長の光を射出する。例えば、光源22が青色光を射出し、波長変換シート76が青色光の一部を赤色光および緑色光に変換してもよい。この例によれば、光反射部70の反射特性を限られた波長域の光に対して調整すればよい。したがって、光拡散部50の拡散透過特性に対応した理想的な反射特性を光反射部70に付与しながら、面光源装置20として白色の面状光を生成できる。光拡散シート77は、面光源装置20の発光面20aでの放射強度の角度分布を滑らかに変化させることができる。反射型偏光板78は、表示パネル15で利用可能な直線偏光成分の光のみを透過し、表示パネル15で利用不可能な直線偏光成分の光を反射する。反射型偏光板で反射された光の偏光成分は、その後の光路における反射等によって、表示パネル15で利用可能な偏光成分に変化できる。
【0239】
また、
図38に示すように、拡散部材40は、積層方向D3における光拡散部50の光反射部70とは反対側に位置する熱可塑性樹脂層80を、更に有してもよい。熱可塑性樹脂層80を設けることによって、光源22を支持する支持基板25および拡散部材40の積層方向D3における相対位置を位置決めできる。熱可塑性樹脂層80は、スペーサとして機能する。また、支持基板25および拡散部材40の少なくとも一方に熱可塑性樹脂層80を接合してもよい。この場合、熱可塑性樹脂層80が光源22を被覆して保護する封止材として機能することができ、且つ、積層方向D3における支持基板25と拡散部材40との相対位置関係を効果的に安定させることができる。
【0240】
熱可塑性樹脂層80の材料としては、例えば、光透過性を有したオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて作製されてもよい。また、熱可塑性樹脂層80は、熱可塑性樹脂からなる母材と、母材中に分散した拡散粒子と、を含んでもよい。この例において、拡散部材40は、熱可塑性樹脂層80においても光拡散性を有する。さらに、熱可塑性樹脂層80が拡散性を有して光拡散部50として機能する場合、拡散部材40が、この熱可塑性樹脂層80、光反射部70及び光学要素部110を有してもよい。
【0241】
さらに、
図39に示すように、熱可塑性樹脂層80は、支持基板25に対面する側に、凹部80aを設けられてもよい。
図39に示された例によれば、光源22から射出した光L291が、熱可塑性樹脂層80および光源22の間に位置する空隙Vと、熱可塑性樹脂層80との間の界面で屈折する。これにより、光源22からの光L281を効果的に拡散させて、照度の面内分布を効果的により均一化できる。凹部80aの形状を調節することによって、光源22からの光をより効果的に拡散させることも可能である。
【0242】
さらに、
図40に示すように、熱可塑性樹脂層80は、熱可塑性樹脂からなる樹脂主部83と、光拡散部50を構成する材料の屈折率よりも低い屈折率を有した低屈折率粒子84と、を含んでもよい。この例において、光拡散部50は、樹脂主部83から突出した低屈折率粒子84に接触して、低屈折率粒子84によって積層方向D3に支持されている。この具体例によれば、熱可塑性樹脂層80の屈折率を光拡散部50の屈折率よりも十分に低減できる。上述したように、光拡散部50は、その表面に形成された凹凸面52によって、光拡散性を発揮してもよい。このような光拡散部50は、空隙Vや十分に低い屈折率を有する熱可塑性樹脂層80と隣接することによって、熱可塑性樹脂層80との界面での反射及び屈折を利用した十分な光拡散性を発現することができる。この例において、オレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて樹脂主部83を作製してもよい。また、低屈折率粒子84として、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、六フッ化アルミニウムナトリウム等の粒子を用いてもよい。
【0243】
また、
図40に示された例において、熱可塑性樹脂層80は、積層方向D3において光拡散部50から離間した第1層81と、積層方向D3において第1層81と光拡散部50との間に位置する第2層82と、を含んでもよい。低屈折率粒子84は、第1層81及び第2層82のうちの第2層82のみに含まれてもよい。この例によれば、熱可塑性樹脂層80のうちの光拡散部50と界面を形成する第2層82についてのみ、屈折率を低下させることができる。したがって、低屈折率粒子84の使用量を節約して、拡散部材40の製造を容易化でき且つ製造コストを低減できる。とりわけ、
図40に示された例において、第2層82の厚みDR2は第1層81の厚みDR1よりも薄くなっている。この例によれば、低屈折率粒子84の使用量を効果的に低下させて、拡散部材40の製造をより容易化でき且つ製造コストをより低減できる。
【0244】
さらに、
図41に示すように、面光源装置20が、支持基板25と拡散部材40との間に位置するビーズ37と、ビーズ37を支持基板25に固定するバインダー38と、を有してもよい。この例において、光拡散部50は、ビーズ37に接触して、ビーズ37によって積層方向D3に支持されている。
図41に示された例によっても、拡散部材40の光拡散部50が、空気層Vとの間に界面を形成できる。これにより、光拡散部50と空気層Vとの大きな屈折率差に起因し、光拡散部50が反射及び屈折による光拡散性を十分に発現できる。
【0245】
さらに、
図42に示すように、面光源装置20が、支持基板25と光拡散部50との間に位置する空隙形成層36を有してもよい。空隙形成層36は、複数の空隙Vを設けられている。空隙形成層36は、樹脂膜を網状にパターニングした部材であってもよいし、或いは繊維状の樹脂により形成された立体的な網状の部材であってもよい。この例において、空隙形成層36は光透過性を有していることが好ましい。また、空隙形成層36として、空隙率の高い多孔性物質を用いてもよい。この例において、光拡散部50は、空隙形成層36に接触して、空隙形成層36によって積層方向D3に支持されている。
図42に示された例によれば、拡散部材40の光拡散部50が、空隙形成層36の空隙Vとの間に界面を形成できる。これにより、光拡散部50と空隙Vとの大きな屈折率差に起因し、光拡散部50が反射及び屈折による光拡散性を十分に発現できる。
【0246】
上述してきた拡散部材40の光拡散部50は、光拡散性を発現するため凹凸面52を有してもよい。光拡散部50を、一例として、
図43に示すように、電離放射線硬化型樹脂得を用いた成形加工により作製してもよい。以下、光拡散部50の製造方法の一例について説明する。
【0247】
図43に示すように、巻き取られた基材90が繰り出されて、案内ロール101によって、型100に対面する位置に搬送される。そして、型100と基材90との間に樹脂組成物91が供給される。樹脂組成物91は、未硬化の電離放射線硬化型樹脂を含んでいる。次に、露光装置102を用いて、型100及び基材90の間に位置する樹脂組成物91に、例えば紫外線や電子線等の電離放射線を照射し、樹脂組成物91を硬化させる。その後、案内ロール101に誘導されながら、樹脂組成物91の硬化物からなり基材90と積層された光拡散部50を型100から剥がす。以上のようにして、
図43に示すように、基材90と、基材90上に形成された光拡散部50と、を有する光学シート55が得られる。この製造方法によれば、光拡散部50として、上述した凹凸面52を有する回折光学素子60やマイクロレンズ65を作製することができる。
【0248】
図43に示された製造方法では、ロールtoロールにより、光拡散部50が連続的に作製される。ただし、この例に限られず、枚葉状の光拡散部50を成形して作製してもよい。
【0249】
なお、拡散部材40の光学要素部110は第2凹凸面112を有している。第2凹凸面112を有する光学要素部110を、第1凹凸面52を有する光拡散部50と同様にして作製してもよい。
図43を参照して上述した製法にて、樹脂組成物91の硬化物からなる光学要素部110を基材90上に形成することによって、基材90と、基材90上に形成された光学要素部110と、を有する光学シート115が得られる。この製造方法によれば、光学要素部110として、上述した単位光学要素126の要素面127によって形成された第2凹凸面112を有するマイクロレンズ125を作製することができる。
【0250】
図43に示された光学シート55を用いて、拡散部材40を作製してもよい。光学シート55に用いられた基材90は、特に限定されることなく、シート状の材料を広く用いてもよい。光拡散部50との密着性の観点から、基材90として樹脂フィルムを用いてもよい。基材90を拡散部材40の一部分としてそのまま使用するのであれば、基材90には光透過性を有した材料を用いてもよい。
【0251】
さらに、基材90として、光反射部70、例えば誘電体多層膜を用いることができる。誘電体多層膜としては、比較的に柔軟性を有した、樹脂層の多層膜であることが好ましい。この場合、
図44に示すように、拡散部材40に含まれる光拡散部50は、積層方向D3における光反射部70とは反対側を向く凹凸面52を有し且つ光反射部70と接合している。この拡散部材40では、光拡散部50及び光反射部70が接合されているので、拡散部材40の取り扱い性が向上する。したがって、拡散部材40の面光源装置20への組み付けを容易化することができる。また、光拡散部50及び光反射部70が接合されているので面光源装置20を安定設置できる。
【0252】
同様に、基材90として、光反射部70、例えば誘電体多層膜を用いて、この基材90上に光学要素部110を作製してもよい。この場合、
図31A~
図32に示すように、拡散部材40に含まれる光学要素部110は、積層方向D3における光反射部70とは反対側を向く凹凸面112を有し且つ光反射部70と接合している。この拡散部材40では、光反射部70及び光学要素部110が接合されているので、拡散部材40の取り扱い性が向上する。したがって、拡散部材40の面光源装置20への組み付けを容易化できる。また、光反射部70及び光学要素部110が接合されているので面光源装置20を安定設置できる。
【0253】
さらに、光反射部70を基材90として用い、
図43を参照して説明した作製方法により基材90の一方の側に光拡散部50を形成し、更に
図43を参照して説明した作製方法により基材90の他方の側に光学要素部110を形成してもよい。光拡散部50及び光学要素部110は、いずれを先に作製してもよい。この例によれば、
図30に示すように、光拡散部50、光反射部70及び光学要素部110がこの順で積層方向D3に積層され且つ互いに接合された拡散部材40が得られる。この拡散部材40では、光拡散部50、光反射部70及び光学要素部110が接合されているので、拡散部材40の取り扱い性が向上する。したがって、拡散部材40の面光源装置20への組み付けを容易化できる。また、光拡散部50、光反射部70及び光学要素部110が接合されているので面光源装置20を安定設置できる。
【0254】
図45に示すように、エンボス加工により光拡散部50を製造することができる。
図45に示された製造方法において、まず、熱可塑性樹脂層を少なくとも成形面として含む基材90を支持台106上に載置する。次に、加熱した型105を基材90に押し付け、型105の凹凸を基材90に転写する。その後、型105を成形された基材90から離間させることで、型105の形状を転写された基材90からなる光拡散部50としての光学シート55が得られる。同様に、エンボス加工を用いることによって、型105の形状を転写された基材90からなる光学要素部110を、光学シート115として、製造してもよい。
【0255】
なお、
図45に示されたエンボス加工によって光拡散部50や光学要素部110を作製する場合、基材90として、最外層に熱可塑性樹脂層を有した誘電体多層膜を用いることもできる。例えば、
図46に示すように、拡散部材40に含まれる光拡散部50を、光反射部70の表面をなす凹凸面52として形成してもよい。同様に、
図31A~
図32に示すように、拡散部材40に含まれる光学要素部110を、光反射部70の表面をなす凹凸面112として形成してもよい。さらに、光反射部70を基材90として用い、
図45に示されたエンボス加工により基材90の一方の側に光拡散部50を形成し、更に
図45に示されたエンボス加工により基材90の他方の側に光学要素部110を形成してもよい。光拡散部50及び光学要素部110は、いずれを先に作製してもよい。これにより、光反射部70の一方の表面として光拡散部50が形成され、光反射部70の他方の表面として光学要素部110が形成される。これらのようにして得られた拡散部材40は、光反射部70の最外層と光拡散部50及び光学要素部110の少なくとも一方とが一体的に成形されている。このような拡散部材40によれば、拡散部材40及び面光源装置20を薄型化できる。この拡散部材40によれば、光反射部70と光拡散部50及び光学要素部110の少なくとも一方とを継ぎ目無しで一体的に成形できる。これにより、面光源装置20を安定設置できる。
【0256】
図43及び
図45を用いて説明した製造方法によれば、光拡散部50を、光反射部70とは別体の光学シート55として作製することもできる。また
図43及び
図45を用いて説明した製造方法を二回行うことで、光学シート55において、一対の主面の両面に凹凸面52が形成された光学シート55を作製することもできる。そして、得られた光学シート55を利用して、
図47~
図49に示された拡散部材40を作製してもよい。
図47に示された例において、光拡散部50は、積層方向D3における光反射部70側に光拡散性を有した凹凸面52有する光学シート55を含んでいる。
図48に示された例において、光拡散部50は、積層方向D3における光反射部70とは反対側に光拡散性を有した凹凸面52を有する光学シート55を含んでいる。
図49に示された例において、光拡散部50は、積層方向D3における両側に光拡散性を有した凹凸面52を有する光学シート55を含んでいる。さらに、光拡散部50は、複数の光学シート55を含んでもよい。複数の光学シート55は、互いに異なる構成を有してもよいし、互いに同一の構成を有してもよい。これらの具体例によれば、光拡散部50を構成する光学シート55と光反射部70との組合せを適宜調整して、面光源装置20の薄型化を図りながら、照度の面内分布を効果的に均一化できる。
【0257】
同様に、光学要素部110を光反射部70とは別体の光学シート115として作製することもできる。
図47~
図49を参照して説明した光学シート55と同様に、光学要素部110を構成する光学シート115を、光反射部70と適宜組み合わせることによって、面光源装置20の薄型化を図りながら、照度の面内分布を効果的に均一化できる。一例として
図50に示すように、光学要素部110は、積層方向D3における光反射部70とは反対側に凹凸面112を有する光学シート115を含んでもよい。
【0258】
さらに、
図44、
図46~
図49に示された層構成を有する拡散部材40は、二点鎖線で示すように、熱可塑性樹脂層80を含んでもよい。この熱可塑性樹脂層80は、光拡散部50と接合されていてもよく、光拡散部50と接合されることなく接触していてもよく、或いは、光拡散部50から積層方向D3に離間していてもよい。
【0259】
また、
図45に示されたエンボス加工によって光拡散部50を作製する場合、基材として、最外層に熱可塑性樹脂層を有した基材を用いることもできる。この場合、
図51に示すように、光拡散部50は、積層方向D3における光反射部70側に光拡散性を有した凹凸面52を有する熱可塑性樹脂層80を含む。この例によっても、光源22の配置や、光源22と拡散部材40との位置関係等を考慮して、光拡散部50を構成する光学シート55と光反射部70との組合せを適宜調整して、面光源装置20の薄型化を図りながら、照度の面内分布を効果的に均一化できる。さらに、光源22を支持する支持基板25に熱可塑性樹脂層80を接合できる。これにより、光拡散部50としても機能する熱可塑性樹脂層80を用いて光源22を保護できる。また、積層方向D3における、支持基板25と、拡散部材40の光拡散部50の凹凸面52及び光反射部70との相対位置関係を効果的に安定させることができる。
【0260】
なお、
図47~
図49及び
図51に示された拡散部材40において、光反射部70及び光拡散部50は、接着や粘着等によって接合されていてもよいし、接触しているだけで接合されていなくてもよい。さらに、光反射部70及び光拡散部50の間に空隙が形成されるようにして、光反射部70及び光拡散部50が筐体等によって保持されてもよい。
【0261】
同様に、
図50に示された拡散部材40において、光反射部70及び光学要素部110は、接着や粘着等によって接合されていてもよいし、接触しているだけで接合されていなくてもよい。さらに、光反射部70及び光学要素部110が、筐体等によって保持されることによって、相対位置を維持されてもよい。
【0262】
積層方向D3における光拡散部50の両側に空隙が設けられていてもよい。この例によれば、光拡散部50をなす光学シート55の表面での全反射により、積層方向D3に垂直な方向、例えば第1方向D1や第2方向D2へ光拡散部50内で光を導光することが可能となる。すなわち、反射損失の無い全反射によって、積層方向D3に垂直な方向へ光を誘導することができる。これにより、光源22の光を高い利用効率で使用しながら、照度の面内分布を効果的に均一化することができる。
【0263】
また、高精細な凹凸面52を有する光拡散部50を成形する場合、型100,105を大型化することが難しいこともある。この場合、
図52に示すように、光拡散部50は、積層方向D3に垂直な方向に配列された複数の要素拡散部51を有してもよい。すなわち、光拡散部50は、敷き詰められた複数の要素拡散部51によって形成されてもよい。この例において、各要素拡散部51が、
図43や
図45に示された成形によって得られる光学シート55としてもよい。
図53に示すように、要素拡散部51の側端面51aを、黒色や茶色等の暗色に着色してもよい。このような例によれば、要素拡散部51を敷き詰めることで光拡散部50を大面積化できる。また、要素拡散部51の側端面51aが暗色に着色されているので、隣り合う二つの要素拡散部51の境界Bを効果的に目立たなくできる。
【0264】
さらに、別の例として、
図54に示すように、隣り合う二つの要素拡散部51の境界Bの少なくとも一部分が、積層方向D3からの観察において、曲線を含んでもよい。このような例によれば、隣り合う二つの要素拡散部51の境界Bの少なくとも一部分を、積層方向D3からの観察において、非直線の曲線とすることによって、境界Bを目立たなくできる。とりわけ
図54に示された例において、隣り合う二つの要素拡散部51の境界Bの全長が曲線となっている。すなわち、要素拡散部51を敷き詰めることで光拡散部50を大面積化することを可能にしながら、要素拡散部51の境界Bを効果的に目立たなくできる。
【0265】
なお、
図52~
図54を参照して説明した光拡散部50に関する構成を、光学要素部110にも適用してもよい。すなわち、光学要素部110は、積層方向D3に垂直な方向に配列された複数の要素光学部111を有してもよい。光学要素部110は、敷き詰められた複数の要素光学部111によって形成されてもよい。この例において、各要素光学部111が、
図43や
図45に示された成形によって得られる光学シート115としてもよい。
図53に示すように、要素光学部111の側端面111aを、黒色や茶色等の暗色に着色してもよい。このような例によれば、要素光学部111を敷き詰めることで光学要素部110を大面積化できる。また、
図53に示すように、要素光学部111の側端面111aが暗色に着色されているので、隣り合う二つの要素光学部111の境界BXを効果的に目立たなくできる。
【0266】
図54に示すように、隣り合う二つの要素光学部111の境界BXの少なくとも一部分が、積層方向D3からの観察において、曲線を含んでもよい。このような例によれば、隣り合う二つの要素光学部111の境界BXの少なくとも一部分を、積層方向D3からの観察において、非直線の曲線とすることによって、境界BXを目立たなくできる。とりわけ
図54に示された例において、隣り合う二つの要素光学部111の境界BXの全長が曲線となっている。すなわち、要素光学部111を敷き詰めることで光学要素部110を大面積化することを可能にしながら、要素光学部111の境界BXを効果的に目立たなくできる。
【0267】
図55に示すように、光拡散部50が、凹凸面53aを含む拡散本体部53と、凹凸面53aの凹凸を維持しながら凹凸面53aを被覆し反射面を形成する反射被覆部54と、を有してもよい。反射被覆部54は、拡散本体部53の凹凸面53aに沿って薄く延びている。図示された例において、反射被覆部54の表面が、光拡散部50の凹凸面52を形成している。反射被覆部54は、例えば、金属等の薄膜とし、ハーフミラーのように入射光L551のうちの一部の光L552を透過し且つ入射光L551のうちの一部の光L553を反射する。この具体例によれば、拡散本体部53の構成に起因した拡散と、反射被覆部54によって形成された反射面での反射に起因した拡散とによって、照度の面内分布を更に効果的に均一化できる。
【0268】
また、
図32を参照して、光学要素部110が、一方向に配列された線状の単位光学要素126を含む例を示した。光拡散部50が、一方向に配列された線状の単位光学要素66を含むようにしてもよい。光拡散部50の一次元配列された複数の単位光学要素66は、上述した光学要素部110の一次元配列された複数の単位光学要素126と同様に構成され得る。また、光拡散部50に含まれる複数の単位光学要素66の配列方向は、光学要素部110に含まれる複数の単位光学要素126の配列方向と、平行でもよいし、非平行でもよいし、傾斜していてもよいし、垂直であってもよい。
【実施例】
【0269】
以下、実施例を用いて上述した一実施の形態示をより詳細に説明するが、上述した一実施の形態はこの実施例に限定されるものではない。
【0270】
実施例1~6及び比較例1の面光源装置を次のように製造した。
【0271】
<実施例1>
実施例1の面光源装置は、
図2に示された構成を有していた。実施例1の面光源装置は、光源、支持基板及び拡散部材に加えて、波長変換シート、光拡散シート、反射型偏光板を有していた。支持基板は、酸化チタンを含有した白色の反射層を有していた。支持基板の反射層での反射は、反射率95%の拡散反射とした。光源は、
図3に示すように、支持基板上に正方配列で配列した。光源の第1方向への配列ピッチは6mmとした。第1方向へ垂直な第2方向への光源の配列ピッチは6mmとした。各光源として、450nmを中心波長として青色光を射出する発光ダイオードを用いた。この発光ダイオードの平面形状は、0.2mm×0.4mmとなる長方形形状であった。発光ダイオードの側辺が第1方向及び第2方向に沿うように、発光ダイオードを支持基板25上に配置した。
【0272】
実施例1の面光源装置において、拡散部材は、
図2に示すように、光拡散部、光反射部及び光学要素部を、積層方向D3に光源側からこの順で有していた。光反射部として、東レ株式会社から入手した誘電体多層膜を用いた。この光反射部は、450nmの光に対して
図19及び
図20に示す透過特性を有していた。この光反射部の一方の面上に光学要素部を成形した。その後、光反射部の他方の面に光拡散部を成形した。光学要素部及び光拡散部は、
図43を参照して説明したように、硬化前の紫外線硬化型樹脂組成物を型と光反射部との間に供給し、型と光反射部との間で硬化させることによって、成形した。結果として、光拡散部、光反射部及び光学要素部が積層方向にこの順で接合した拡散部材が得られた。なお、実施例1の拡散部材の製造は、
図43に示されたロールtoロールの製造方法とは異なり、枚葉状にて製造した。
【0273】
拡散部材の光学要素部は、光反射部の光源とは反対側に位置していた。光学要素部は、光反射部に接合したシート状の基部と、基部上に配列された凸部としての第2単位光学要素と、を有していた。光学要素部は、
図16A及び
図16Bを参照して説明した形状や配列等の構成を有する第2単位光学要素を有していた。
図16Aに示すように、同一形状の第2単位光学要素を、底面の向きを四種類に変化させて、基部の面上に隙間無く敷き詰めて配置した。各第2単位光学要素は、三角錐形状を有し、三つの第2要素面を有していた。第2単位光学要素の第2要素面の集合として第2マイクロレンズが形成されていた。第2単位光学要素の底面は、直角二等辺三角形形状であった。第2単位光学要素の要素面は、底面をなす直角二等辺三角形形状の等辺から延び出た等辺要素面と、底面をなす直角二等辺三角形形状の底辺から延び出た底辺要素面と、を含む。底面をなす直角二等辺三角形形状の等辺をなす二辺の長さは、それぞれ、0.1mmとした。各等辺要素面への法線方向NDAが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbを16.5°とした。底辺要素面への法線方向NDAが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbを16.5°とした。
【0274】
拡散部材の光拡散部は、光反射部の光源側に位置していた。光拡散部は、光反射部に接合したシート状の本体部と、本体部上に配列された凹部としての第1単位光学要素と、を有していた。光拡散部は、
図16A及び
図16Bを参照して説明した形状や配列等の構成を有する第1単位光学要素を有していた。
図16Aに示すように、同一形状の第1単位光学要素を、底面の向きを四種類に変化させて、本体部の面上に隙間無く敷き詰めて配置した。各第1単位光学要素は、三角錐形状を有し、三つの第1要素面を有していた。第1単位光学要素の第1要素面の集合として第1マイクロレンズが形成されていた。第1単位光学要素の底面は、直角二等辺三角形形状であった。第2単位光学要素の要素面は、底面をなす直角二等辺三角形形状の等辺から延び出た等辺要素面と、底面をなす直角二等辺三角形形状の底辺から延び出た底辺要素面と、を含む。底面をなす直角二等辺三角形形状の等辺をなす二辺の長さは、それぞれ、0.1mmとした。各等辺要素面への法線方向NDが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbを16.5°とした。底辺要素面への法線方向NDが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbを16.5°とした。結果として、光拡散部の第1凹凸面は、光学要素部の第2凹凸面と、凹凸を逆にした点を除き同一に構成されていた。
【0275】
波長変換シートとして、昭和電工マテリアルズから入手可能なQF-6000を用いた。光拡散シートとして、3M社から入手可能な輝度上昇フィルムBEF(登録商標)を二枚用いた。一方の輝度上昇フィルムBEFについては、プリズムの長手方向が第1方向に延びていた。他方の輝度上昇フィルムBEFについては、プリズムの長手方向が第2方向に延びていた。反射型偏光板として、3M社から入手可能な輝度上昇フィルムDBEF(登録商標)を用いた。
【0276】
実施例1の面光源装置において、拡散部材の積層方向に沿った厚みは70μmであった。また、実施例1の面光源装置において、光源の拡散部材に対面する面から拡散部材の光源に対面する入光側面までの積層方向に沿った距離DX(
図2参照)は0.5mmであった。
【0277】
<実施例2>
実施例2の面光源装置は、実施例1の面光源装置と、第1要素面の傾斜角度θaにおいて異なり、その他において同一の構成を有していた。光拡散部の第1要素面に含まれた各等辺要素面への法線方向NDが積層方向D3に対してなす傾斜角度θaを30°とした。第1要素面に含まれた底辺要素面への法線方向NDが積層方向D3に対してなす傾斜角度θaを40°とした。
<実施例3>
実施例3の面光源装置は、実施例1の面光源装置と、第1要素面の傾斜角度θaにおいて異なり、その他において同一の構成を有していた。光拡散部の第1要素面に含まれた各等辺要素面への法線方向NDが積層方向D3に対してなす傾斜角度θaを40°とした。第1要素面に含まれた底辺要素面への法線方向NDが積層方向D3に対してなす傾斜角度θaを45°とした。
【0278】
<実施例4>
実施例4の面光源装置は、実施例1の面光源装置と、第2要素面の傾斜角度θbにおいて異なり、その他において同一の構成を有していた。光学要素部の第2要素面に含まれた各等辺要素面への法線方向NDが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbを30°とした。第2要素面に含まれた底辺要素面への法線方向NDAが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbを40°とした。
【0279】
<実施例5>
実施例5の面光源装置は、実施例1の面光源装置と、第2要素面の傾斜角度θbにおいて異なり、その他において同一の構成を有していた。光学要素部の第2要素面に含まれた各等辺要素面への法線方向NDが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbを40°とした。第2要素面に含まれた底辺要素面への法線方向NDAが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbを45°とした。
【0280】
<実施例6>
実施例6の面光源装置は、実施例1の面光源装置と、拡散部材において異なり、その他において同一の構成を有していた。実施例6の拡散部材は、光拡散部及び光反射部からなっていた。実施例6の拡散部材は光学要素部を有していなかった。実施例6の光反射部は、実施例1の光反射部と同一にした。比較例1の面光源装置において、拡散部材の積層方向に沿った厚みは55μmであった。
【0281】
<実施例7>
実施例7の面光源装置は、実施例1の面光源装置と、第2要素面の傾斜角度θbにおいて異なり、その他において同一の構成を有していた。光拡散部の第1要素面に含まれた各等辺要素面への法線方向NDが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbを5.5°とした。第1要素面に含まれた底辺要素面への法線方向NDが積層方向D3に対してなす傾斜角度θbを5.5°とした。
【0282】
<比較例1>
比較例1の面光源装置は、拡散部材を恵和株式会社製の光拡散板HBS222に代えた点を除き、実施例1の面光源装置と同様にした。光拡散板は、波長変換シートの光源側に位置していた。比較例3の面光源装置において、光源及び支持基板は、光拡散板と積層方向に対面していた。比較例1の面光源装置において、光源の光拡散板に対面する面から光拡散板の光源に対面する入光側面までの積層方向に沿った距離は0.5mmであった。
【0283】
<評価>
実施例1~7及び比較例1の面光源装置について、光源を発光した状態で、面光源装置の発光面での放射強度の分布を測定した。放射強度の測定範囲は、面光源装置の発光面のうちの第1方向に18mm及び第2方向に18mmの長さを有する正方形の評価領域とした。第3方向からの観察において評価領域の中心に一つの光源が位置するように、評価領域を設定した。実施例1~6及び比較例1の面光源装置について発光面上での放射強度の面内分布を、それぞれ、
図56~
図62に示す。
図56~
図62は、18mm×18mmの面積を有した評価領域を示す平面図である。
図56~
図62は、評価領域内の各位置の放射強度の大きさを当該位置における色の濃さによって示している。放射強度が低い位置で色を濃く表示している。
【0284】
図62に示された比較例1の面光源装置については、光源の配列に応じた放射強度分布のムラが生じており、光源の位置を明瞭に視認することができた。比較例1の面光源装置についての放射強度の面内分布に対し、実施例1~7の面光源装置についての放射強度の面内分布を、十分に均一化できた。このうち、特に実施例1及び実施例7について、明るさの分布が均一化され、光源の位置がわかりにくくなっていた。各面光源装置20における評価領域内における放射強度の最大値に対する放射強度の最小値の比(=放射強度最小値/放射強度最大値)は、実施例1で97%であり、実施例2で95%であり、実施例3で94%であり、実施例4で93%であり、実施例5で92%であり、実施例6で90%であり、実施例7で96%であり、比較例1で50%であった。
【符号の説明】
【0285】
10:表示装置、20:面光源装置、22:光源、40:拡散部材、42:表示、50:光拡散部、52:凹凸面、53:拡散本体部、53a:凹凸面、54:反射被覆部、58:本体部、65:マイクロレンズ、66:単位光学要素、67:要素面、68:凸部、69:凹部、70:光反射部、110:光学要素部、112:凹凸面、115:光学シート、118:基部、125:マイクロレンズ、126:単位光学要素、127:要素面、128:凸部、129:凹部