(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】壁つなぎ装置
(51)【国際特許分類】
E04G 5/04 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
E04G5/04 C
(21)【出願番号】P 2018231163
(22)【出願日】2018-12-10
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
(73)【特許権者】
【識別番号】512224453
【氏名又は名称】株式会社大総
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】今戸 啓二
(72)【発明者】
【氏名】由見 真治朗
【審査官】佐藤 史彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-148120(JP,A)
【文献】実開昭57-137257(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-0886209(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の壁と該建物の周囲に配設された足場との間に架け渡される棒状の架橋部材と、
前記架橋部材において前記建物の壁側の先端部分に前記架橋部材に沿って移動可能に連結された第1の挟持部材と、
前記架橋部材において前記第1の挟持部材よりも更に先端側に前記架橋部材に沿って移動できないように固定された第2の挟持部材と
、
前記架橋部材に沿って移動可能に設けられた支持部材と、該支持部材に前記第1の挟持部材を回動可能に連結するブラケットと、前記第1と第2の挟持部材の間に挟持された壁へ向けて、前記第1の挟持部材を押圧する駆動レバーとを備え、前記第1と第2の挟持部材の間に挟持された壁へ向けて、前記第1の挟持部材を押圧する駆動機構とを具備し、
前記駆動レバーは、前記支持部材に係合可能に設けられたローラを有し、かつ、アンクランプ位置とクランプ位置との間で回動可能に前記第1の挟持部材の下端部に連結されており、
前記アンクランプ位置では前記ローラは前記支持部材から離反し、前記クランプ位置では前記ローラは前記支持部材に係合し、
前記アンクランプ位置から前記クランプ位置へ前記駆動レバーを第1の挟持部材に対して回動させることによって、前記支持部材に係合する前記ローラによって、該駆動レバーが前記第1の挟持部材へ向けて付勢され、これによって
前記第1と第2の挟持部材の間に前記建物の壁を挟持し、前記第1の挟持部材を自在かぎの原理で前記架橋部材に沿って移動できないように係止することを特徴とした壁つなぎ装置。
【請求項2】
建物の壁と該建物の周囲に配設された足場との間に架け渡される棒状の架橋部材と、
前記架橋部材において前記建物の壁側の先端部分に前記架橋部材に沿って移動可能に連結された第1の挟持部材と、
前記架橋部材において前記第1の挟持部材よりも更に先端側に前記架橋部材に沿って移動できないように固定された第2の挟持部材と、
前記架橋部材に沿って移動可能に設けられた支持部材と、該支持部材に前記第1の挟持部材を回動可能に連結するブラケットと、前記第1と第2の挟持部材の間に挟持された壁へ向けて、前記第1の挟持部材を押圧する駆動レバーとを備え、前記第1と第2の挟持部材の間に挟持された壁へ向けて、前記第1の挟持部材を押圧する駆動機構とを具備し、
前記駆動レバーは、前記第1の挟持部材に係合可能に設けられたローラを有し、かつ、アンクランプ位置とクランプ位置との間で回動可能に前記支持部材の下端部に連結されており、
前記アンクランプ位置では前記ローラは前記第1の挟持部材から離反し、前記クランプ位置では前記ローラは前記第1の挟持部材に係合し、
前記アンクランプ位置から前記クランプ位置へ前記駆動レバーを前記支持部材に対して回動させることによって、前記第1の挟持部材に係合する前記ローラによって、該駆動レバーが前記支持部材へ向けて付勢され、これによって前記第1と第2の挟持部材の間に前記建物の壁を挟持し、前記第1の挟持部材を自在かぎの原理で前記架橋部材に沿って移動できないように係止することを特徴とした壁つなぎ装置。
【請求項3】
前記壁つなぎ装置は、前記架橋部材が、前記建物の壁の頂部を横断して該建物の壁と前記足場との間に延在し、前記第1の挟持部材の一端部が前記建物の壁において前記足場に対面する側面に接触し、前記第2の挟持部材が前記建物の壁の反対側の側面に接触するように配置される請求項1
または2に記載の壁つなぎ装置。
【請求項4】
前記支持部材は前記架橋部材を挿通する開口部を有しており、
前記支持部材は前記ローラによってその下端部が前記建物の壁から離反する方向に付勢され、これによって、前記駆動機構の支持部材と前記架橋部材との間に、モーメントが生じ、該モーメントによって、前記支持部材と前記架橋部材との間に垂直
抗力が発生し、その摩擦力によって前記支持部材が前記架橋部材に沿って滑り移動できないように固定されるようにした請求項
1または2に記載の壁つなぎ装置。
【請求項5】
前記開口部は、前記支持部材において、壁つなぎ装置の先端側に面した側面に形成された開口部と、壁つなぎ装置の基端側に面した側面に形成された開口部とを有しており、該2つの開口部は、その中心が前記支持部材の長手方向に互いにオフセットされている請求項
4に記載の壁つなぎ装置。
【請求項6】
前記第2の挟持部材は、前記建物の壁の表面に当接可能に設けられた当接部を有する請求項1に記載の壁つなぎ装置。
【請求項7】
前記駆動レバーがアンクランプ位置にあるとき、該駆動レバーに係合して、前記支持部材に対する前記ローラの位置を一定に保持する停止部を更に具備する請求項
1に記載の壁つなぎ装置。
【請求項8】
前記駆動レバーがアンクランプ位置にあるとき、該駆動レバーに係合して、前記第1の挟持部材に対する前記ローラの位置を一定に保持する停止部を更に具備する請求項
2に記載の壁つなぎ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の解体や外壁リフォームに際して建築物の周囲に仮設される足場を建物の外壁等(以下建物の外壁と称する)とに接続する壁つなぎ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、横棒の一端側に第1挟持体と第2挟持体とを離間させて設け、この第1挟持体と第2挟持体とで建物の外壁を挟み付けて固定するようにした壁つなぎ装置が記載されている。この壁つなぎ装置では、横棒には複数の孔が長手方向に並べて形成されており、この孔と第2挟持体に形成した孔とを位置合わせして、連結ピンを挿通することによって、第2挟持体を横棒に沿って複数の位置で固定できるようにして、第1挟持体と第2挟持体との間の距離を調節できるようになっている。更に、第2の挟持体には調整用螺軸が配設されており、様々な厚さの外壁に適合できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の壁つなぎ装置は、様々な厚さの外壁に適合することができるが、第2挟持体を横棒に固定するために、第2挟持体の貫通孔と横棒の貫通孔とを位置合わせし、そこに連結ピンを挿通し、調整用螺軸を締め付けたりする固定作業がであり、かつ、固定される足場から作業者がこれら固定作業を行うことが困難である。そのため、特許文献1の壁つなぎ装置を建物の外壁と足場とに固定するために、建物側と足場側とに作業者を配置したり、或いは、作業者は足場から身を乗り出して固定作業を行わなければならない問題がある。
【0005】
本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、建物の外壁に確実に強固に固定でき、かつ、足場から1人の作業者によって容易に外壁に着脱可能な壁つなぎ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、建物の壁と該建物の周囲に配設された足場との間に架け渡される棒状の架橋部材と、前記架橋部材において前記建物の壁側の先端部分に前記架橋部材に沿って移動可能に連結された第1の挟持部材と、前記架橋部材において前記第1の挟持部材よりも更に先端側に前記架橋部材に移動できないように固定された第2の挟持部材とを具備し、
前記第1と第2の挟持部材の間に前記建物の壁を挟持し、前記第1の挟持部材を自在かぎの原理で前記架橋部材に沿って移動できないように係止するようにした壁つなぎ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作業者は、架橋部材に沿って移動可能に連結された第1の挟持部材と、架橋部に材移動できないように固定された第2の挟持部材とで建物の壁を挟持するように、架橋部材を建物の周囲に配設された足場と建物の壁との間に架け渡すように壁つなぎ装置を配置することができる。そして、第1の挟持部材を自在かぎの原理で前記架橋部材に沿って移動できないように係止することによって、壁つなぎ装置を建物の壁に強固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態による壁つなぎ装置の斜視図であり、
図1において壁つなぎ装置はアンクランプ位置にある。
【
図2】クランプ位置にある壁つなぎ装置を斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】
図2の壁つなぎ装置を側方から見た斜視図である。
【
図4】アンクランプ位置にある壁つなぎ装置の側面図である。
【
図5】クランプ位置にある壁つなぎ装置の側面図である。
【
図6】
図1の壁つなぎ装置の変形例を示した斜視図である。
【
図7】第2の実施形態による壁つなぎ装置の斜視図である。
【
図9】支持部材の部分拡大断面図であり、支持部材に形成された開口部のオフセットを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本願発明の好ましい実施形態を説明する。
図1~
図5において、壁つなぎ装置10は、建物の外側に組み立てられる足場(図示せず)を建物の外壁Wに連結する棒状の部材である架橋部材12と、該架橋部材12に対して移動可能に連結される第1の挟持部材14と、架橋部材12に対して略垂直に交差するように固定された第2の挟持部材16と、第1の挟持部材14を外壁Wに対して接近、離反するように駆動する駆動機構18とを具備している。また、第2の挟持部材16は、架橋部材12とは反対側の端部に当接部16aを有している。
【0010】
第1と第2の挟持部材14、16は、架橋部材12に対して同じ側、つまり、壁つなぎ装置10を建物の外壁Wに固定したときに、下側となる方向に突出するように設けられている。また、第2の挟持部材16は、第1の挟持部材14よりも架橋部材12の先端側に固定されており、
図1~
図5では、架橋部材12の右側の端部(基端部)を作業者が保持して、該壁つなぎ装置10を操作するようになっている。
【0011】
本明細書では、第2の挟持部材16が配置されている側を壁つなぎ装置10の先端側とし、反対側を基端側とする。また、本明細書では、架橋部材12に沿う長手方向を前後方向とし、架橋部材12が水平となるように壁つなぎ装置10を配置したときに、該前後方向に対して垂直となる水平方向を横断方向とする。
【0012】
架橋部材12は、足場を建物の外壁Wに連結するのに十分な強度を有した金属製の断面が矩形の棒状部材、好ましくは中心軸線Oを有した中空の管状部材より成る。架橋部材12は、その基端部において足場に結合される。
【0013】
駆動機構18は、架橋部材12に沿って移動可能に取り付けられた支持部材20を具備している。支持部材20は概ね中空状の直方体部材から形成することができる。支持部材20の下端部には、ストッパー20aが設けられている。支持部材20は、前後方向に対面する2つの側面である基端側側面20bから先端側側面20cへ貫通する開口部が形成されている。架橋部材12は該開口部に挿通される。
【0014】
支持部材20の横断方向の側面20d、20eには一対のブラケット22a、22bが固定されている。支持部材20の側面20d、20eの一方または双方において、一対のブラケット22a、22bの下側に停止部21を設けてもよい。一対のブラケット22a、22bは、支持部材20の両側部において、該支持部材20から垂直に先端側に互いに平行に延設されている。一対のブラケット22a、22bの先端部には、横断方向に延びる回動軸24を介して、第1の挟持部材14の上端部が回動可能に連結されている。
【0015】
第1の挟持部材14の下端部には、横断方向に延びる回動軸28を介して駆動レバーを形成するレバー26が回動可能に連結される。レバー26は、一対のアーム部26a、26bと、該一対のアーム部26a、26bの基端側の端部分を互いに結合する連結部26cとを有している。アーム部26a、26bは、支持部材20の両側部において互いに平行に延在している。
【0016】
支持部材20の側面20d、20eの一方または双方に停止部21を取り付けた場合、レバー26が停止部21に当接することによって、回動軸28を中心としたレバー26のアンクランプ位置が決定される。つまり、回動軸28を通り架橋部材12の中心軸線Oに平行な中心軸線O′に対するレバー26の傾斜角φの最大値が決定される。これによって、アンクランプ位置において、支持部材20に対するローラ32の位置が一定に保持され、作業ごと壁つなぎ装置10の固定作業ごとにローラ32が異なる位置となることが防止される。
【0017】
アーム部26a、26bの間には横断方向に延びる回転軸30が設けられている。回転軸30の中心部分には、ローラ32が回転可能に取り付けられている。回転軸30は、回動軸28を中心としたレバー26の回転位置により、ローラ32が支持部材20の先端側側面20cに接離可能となるように、アーム部26a、26bに沿って位置決めされている。
【0018】
以下、本実施形態の作用を説明する。
先ず、図示するように、第1の挟持部材14が建物の外壁Wの外面WOに、そして第2の挟持部材16が外壁Wの内面WIに接触し、架橋部材12の基端側が足場の方に延びるように、壁つなぎ装置10が足場と外壁Wとの間に配置される。より詳細には、先ず、第2の挟持部材16の当接部16aが壁内面WIと接触するまで架橋部材12を基端側に引き込む。ついで、レバー26を停止部21に当接するまで上方に回転させてアンクランプ位置へ移動させる。レバー26をアンクランプ位置に保持した状態で、支持部材20を架橋部材12に沿って壁側にスライドさせ、第1の挟持部材14の先端(下端部)を外壁Wの外面WOへ当接させる。
【0019】
このとき、第1の挟持部材14が回動軸24を中心として回動すると共に、レバー26が回動軸28を中心として回動するので、第1の挟持部材14の先端(下端部)が外壁Wの外面WOへ当接するのと略同時に、ローラ32が支持部材20の先端側側面20cに当接する。この作業は、作業者が足場から行うことができる。
【0020】
次いで、作業者が、レバー26を回動軸28を中心として押し下げると、ローラ32は、支持部材20の下端部に設けられたストッパー20aに係合するまで、該レバー26と共に回動軸28を中心として下方に移動する。本明細書では、ローラ32がストッパー20aに係合した回転位置をクランプ位置と称する。
【0021】
レバー26をクランプ位置へ向けて矢印Rで示す方向に回転させる間、ローラ32が支持部材20の先端側側面20cに接触した後、更にレバー26を押し下げるように回転させると、レバー26は先端側側面20cに接するローラ32によって、壁つなぎ装置10の先端方向に付勢される。これにより、第1の挟持部材14が回動軸24を中心として回動し、
図5に示すように、その下端部が外壁Wの外面W
Oに押圧される。その後、更にレバー26を押し下げ、ローラ32がストッパー20aに係合すると、レバー26は該クランプ位置にて停止する。
【0022】
レバー26がクランプ位置にあるとき、第1の挟持部材14の下端部は、レバー26に作用するローラ32による付勢力によって、外壁Wの外面WOに押圧される。これによって、外壁Wは、第1の挟持部材14の下端部と、第2の挟持部材16の当接部16aとによって挟持され、壁つなぎ装置10が外壁Wに固定される。
【0023】
壁つなぎ装置10は、レバー26がクランプ位置にあるとき、第1の挟持部材14において外壁Wの外面WOに接する部分と、第2の挟持部材16の当接部16aは、概ね同じ水平線上に配置されるようになっている。両者の高さが異なっていると、架橋部材12に曲げモーメントが作用して好ましくないためである。
【0024】
更に、クランプ位置では、レバー26は基端側(
図1~
図5で右側)が先端側よりも低くなる、或いは、ローラ32の回転軸30の位置が回動軸28の位置よりも低くなるようになっている。これによって、レバー26がクランプ位置からアンクランプ位置へ向かう方向に回動する際、支持部材20は、その下端部が外壁Wから離反する方向に一旦回転しなければならなので、レバー26はクランプ位置からアンクランプ位置へ簡単に回転しないようになる。
【0025】
クランプ位置では、支持部材20はローラ32によって下端部が外壁Wから離反する方向に付勢され、これによって、支持部材20は「自在かぎ」の原理によって架橋部材12に対してロックされる。つまり、
図5において、第1の挟持部材14の下端部と第2の挟持部材16の当接部16aとによって外壁Wに作用する圧縮力をP、架橋部材12の中心軸線Oからの距離をHとすると、第1の挟持部材14の駆動機構18、特にその支持部材20と架橋部材12との間、および、第2の挟持部材16と架橋部材12との間には、モーメントM=HPが生じる。該モーメントMによって、支持部材20と架橋部材12との間に強い接触力(反力または垂直
抗力)が発生し、その摩擦力によって支持部材20は架橋部材12に沿って滑り移動することなく固定される。自在かぎの原理は、第1の挟持部材14が外面WOから受ける反力によるモーメントがレバー26およびローラ32を通じて支持部材20に伝達され、支持部材20と架橋部材12との間に生じる摩擦力が増大することを意味する。
【0026】
外壁Wとの固定を解除したい時は、作業者がレバー26の基端側の端部分または連結部26cを把持して、該レバー26を上方に矢印Rとは反対方向に回動させることによって、ローラ32が支持部材20の先端側側面20cから離反し、第1の挟持部材14が回動軸24を中心として回動し、その下端部が外壁Wの外面WOから離反する。これによって、「自在かぎの原理」で架橋部材12に対してロックされていた第1の挟持部材14が架橋部材12に対して移動可能となり、壁つなぎ装置10が外壁Wから脱離可能となる。
【0027】
足場と架橋部材12を連結する締結具を緩め、架橋部材12をその軸回りに回転させることによって、第2の挟持部材16を建物の外壁Wから脱離させることができ、架橋部材12を足場側へ引き入れることが可能となる。これにより、壁つなぎ装置10は建物の外壁Wから完全に分離され、足場側または建物側に回収可能となる。
【0028】
本実施形態によれば、壁つなぎ装置10は、架橋部材12が、建物の外壁Wの頂部を横断して該建物の外壁Wと足場(図示せず)との間に延在し、第1の挟持部材14の下端部が外壁Wにおいて前記足場に対面する側面(外面)WOに接触し、第2の挟持部材16が外壁Wの反対側の側面(内面)WIに接触するように配置される。この作業は、作業者一人で行うことが可能である。
【0029】
更に、本実施形態によれば、「自在かぎの原理」を応用することにより、工具を使用することなく、簡単かつ作業者一人で壁つなぎ装置10を建物の外壁Wに固定することができる。架橋部材12の基端部は足場に適当な締結具(図示せず)を用いて、やはり作業者一人で固定することができる。
【0030】
更に、上述のように、停止部21を設けることによって、壁つなぎ装置10を外壁Wに固定する前のレバ-26の初期の傾斜角φが一定となり、支持部材20に対するローラ32の位置が一定となるため、第1と第2の挟持部材14、16によって外壁Wを挟持する固定力または締結力は安定する。つまり、壁つなぎ装置10を外壁Wに固定する度に概ね一定となる。レバ-26の初期の傾斜角φを大きくすれば固定力または締結力は増大するものの、レバ-26を降ろす際のトルクが増大するため、壁つなぎ装置10を外壁Wに固定するためには大きな力が必要となる。逆にレバ-26の初期の傾斜角φを小さくすると固定力または締結力も小さくなる。適当なレバ-26の初期の傾斜角φは概ね30~35°程度である。
【0031】
次に、
図6を参照すると、上述の実施形態の変形例が示されている。
図1~
図5の実施形態では、クランプ状態から解除する際,レバ-26が急激に跳ね上がることで、架橋部材12とレバ-26との間で手を詰める危険性がある。そこで、
図6の実施形態では、駆動機構のレバーを屈曲させている。なお、
図6では、既述の
図1~
図5の実施形態と同様の構成要素には同じ参照番号が付されており、重複する説明は省略する。
【0032】
図6に示す壁つなぎ装置10′では、駆動機構18′のレバー26′は、一対のアーム部26′a、26′bと、該一対のアーム部26′a、26′bの基端部を互いに結合する連結部26′cとを有している。アーム部26′a、26′bは、架橋部材12へ向かって凸状に「く」の字形に屈曲し、支持部材20の両側部において互いに平行な平面内に配置されている。これにより、レバー26′の基端側の先端部、特に連結部26′cが架橋部材12から離反する。特に、アンクランプ位置でレバー26′の基端側の先端部が架橋部材12から離れるので、操作者の指や手がレバー26′と架橋部材12との間で挟まれることが防止される。
【0033】
また、
図6に示す壁つなぎ装置10′は、レバー26′をアンクランプ位置に保持する保持部材34と、支持部材20から上方に突出したグリップ38とを有している。保持部材34は、一端が一対のブラケット22a、22bに溶接された一対の棒状または細長い板状の部材より成る。
図6では、一方の保持部材34のみが図示されている。保持部材34は、レバー26′のアーム部26′a、26′bの側面と接触し、保持部材34とアーム部26′a、26′bとの間に生じる摩擦力によって、レバー26′をアンクランプ位置に保持するようになっている。
【0034】
本例では、壁つなぎ装置10′を壁Wに固定するときに、グリップ38を把持して支持部材20を架橋部材12に沿って移動させることができるように、壁つなぎ装置10′の固定作業が容易になる。更に、壁つなぎ装置10′では、保持部材34によってレバ-26′をアンクランプ位置に保持することができるので、壁つなぎ装置10′を壁Wに固定するときに、第1の挟持部材14を壁Wの外側の側面に接触させる作業が容易になる。また、保持部材34はア-ム26′の初期の傾斜角φを一定に保つ停止部の役割もしている。上述のように、外壁Wに固定する前のア-ム26′の初期の傾斜角φを一定にし、支持部材20に対するローラ32の位置を一定にすることで,壁つなぎ装置19の固定作業ごとに外壁W面への固定力が概ね一定の値となる。
【0035】
図7、8に本発明の更に他の実施形態を示す。
図7、8の実施形態では、第1の挟持部材のための駆動機構は、壁つなぎ装置の先端側から操作するようになっている。
図7、8において、壁つなぎ装置100は、架橋部材102と、該架橋部材102に対して移動可能に連結される第1の挟持部材104と、架橋部材102に対して略垂直に交差するように固定された第2の挟持部材106と、第1の挟持部材104を外壁Wに対して接近、離反するように駆動する駆動機構108とを具備している。
【0036】
架橋部材102は、足場を建物の外壁Wに連結するのに十分な強度を有した金属製の断面が矩形の棒状部材、好ましくは中空の管状部材より成る。本実施形態でも、架橋部材102は、その基端部において足場に結合される。
【0037】
第1と第2の挟持部材104、106は、
図1~
図5に示した実施形態と同様に、架橋部材102に対して同じ側、つまり、壁つなぎ装置100を建物の外壁Wに固定したときに、下側となる方向に突出するように設けられている。また、第2の挟持部材106は、第1の挟持部材104よりも架橋部材102の先端側に固定されており、
図1~
図5では、架橋部材102の右側の端部(基端部)を作業者が保持して、該壁つなぎ装置100を操作するようになっている。
【0038】
第1の挟持部材104の下端部(架橋部材102とは反対側の端部)には、当接部104aと、ストッパー104bとが設けられている。当接部104aは、第1の挟持部材104の下端部において第2の挟持部材106の方へ突出している。ストッパー104bは、第1の挟持部材104の下端部において、壁つなぎ装置100の基端側に突出している。第2の挟持部材106の下端部には当接部106aが設けられている。当接部106aは、壁つなぎ装置100の基端側に突出している。
【0039】
駆動機構108は、架橋部材102に沿って移動可能に取り付けられた支持部材110を具備している。支持部材110は概ね中空状の直方体部材から形成することができる。支持部材110は、前後方向に対面する2つの側面である基端側側面110aから先端側側面110bへ貫通する開口部が形成されている。架橋部材102は該開口部に挿通される。
【0040】
支持部材110の横断方向の側面110c、110dには一対のブラケット112a、112bが固定されている。一対のブラケット112a、112bは、支持部材110の両側部において、該支持部材110から垂直に先端側に互いに平行に延設されている。一対のブラケット112a、112bの先端部には、横断方向に延びる回動軸114を介して、第1の挟持部材104の上端部が回動可能に連結されている。支持部材108の側面110c、110dの一方または双方に停止部130を設けてもよい。
図7、8では、ブラケット112aの基端部分に停止部130が設けられているように図示されているが、停止部130の位置はこれに限定されず、ブラケット112bの基端部分に設けても良いし、一対のブラケット112a、112bの双方の基端部分に設けることができる。あるいは、停止部130は、支持部材110の横断方向の側面110c、110dにおいて、ブラケット112a、112bの基端部分以外の部分に設けてもよい。
【0041】
支持部材110の下端部には、回動軸118を介して一対の腕部材116a、116bが回動可能に連結されている。腕部材116a、116bの先端部には、横断方向に延びる回転軸120によって、ローラ122が回転可能に取り付けられている。回動軸118を中心とする腕部材116a、116bの回転位置によって、ローラ122が第1の挟持部材104の基端側側面104cに接離できるように、腕部材116a、116bの長さが決定される。
【0042】
駆動機構108は、更に、略L字形に形成されたレバー124を有している。レバー124は、互いに略直角をなすように結合された第1と第2の脚部126、128を有している。第1の脚部126は、腕部材116a、116bに結合され、第2の脚部128は第1の脚部126から壁つなぎ装置100の先端側へ延びるように第1の脚部126に結合されている。なお、本実施形態では、レバー124と一対の腕部材116a、116bとによって、駆動レバーが形成される。
【0043】
なお、第1と第2の脚部126、128の間の交差角度は、必ずしも直角にする必要はなく、使用条件や壁つなぎ装置10の大きさ等によって適宜に決定できるが、第1と第2の脚部126、128の交差角をやや鈍角にすることで、クランプ状態にしたときに、第2の脚部128先端部の連結部材124aと架橋部材102との隙間が大きくすることができ、これによって連結部材124aと架橋部材102との間に作業者の手を挟むことが防止され、壁つなぎ装置10の安全性を高めることが可能となる。
【0044】
第1の脚部126は、腕部材116a、116bの各々に結合された一対の板部材126a、126bから形成することができる。板部材126a、126bの各々は、その一端において腕部材116a、116bに結合されている。より詳細には、板部材126a、126bの各々は、腕部材116a、116bにおいて回動軸118と回転軸120との間の部分に結合されている。好ましくは、板部材126a、126bは、それぞれ腕部材116a、116bに対して直角をなすように結合される。
【0045】
第2の脚部128は、それぞれ第1の脚部126の板部材126a、128bに結合される板部材128a、128bから形成されている。第2の脚部128の板部材128a、128bは、各々の一端、より詳細には壁つなぎ装置100の基端側の端部で、第1の脚部126の板部材126a、128bにおいて腕部材116a、116bと結合されている端部とは反対側の端部(上端部)に結合することができる。第2の脚部128の板部材128a、128bは、その先端側端部で連結部材124aによって互いに結合されている。第2の脚部128の基端側端部で両端部は、連結部材124a、124bによって互いに連結されている。先端側の連結部材124aは、レバー124を操作する際の把手またはグリップとして作用する。
【0046】
以下、本実施形態の作用を説明する。
図7、8に示すように、第1の挟持部材104が建物の外壁Wの外面W
Oに、そして第2の挟持部材106が外壁Wの内面W
Iに接触し、架橋部材102の基端側が足場の方に延びるように、壁つなぎ装置100が足場と外壁Wとの間に配置される。壁つなぎ装置100を足場と外壁Wとの間に配置する際、駆動機構108の支持部材110を架橋部材102に沿って移動させ、第1と第2の挟持部材104、106の当接部104a、106aが、外壁Wの外面Woと内面W
Iに夫々接触させるようにする。
【0047】
より詳細には、先ず、第2の挟持部材106の当接部106aが壁内面WIと接触するまで架橋部材102を基端側に引き込む。ついで、レバー124を停止部130に当接するまで上方に回転させてアンクランプ位置へ移動させる。レバー124をアンクランプ位置に保持した状態で、支持部材110を架橋部材102に沿って壁側にスライドさせ、第1の挟持部材104の下端部の当接部104aを外壁Wの外面WOへ当接させる。
【0048】
このとき、第1の挟持部材104が回動軸114を中心として回動すると共に、レバー124が回動軸118を中心として回動するので、第1の挟持部材104の先端(下端部)が外壁Wの外面WOへ当接するのと略同時に、ローラ122が第1の挟持部材104の基端側側面104cに当接する。この作業は、作業者が建物側から行うことができる。
【0049】
壁つなぎ装置100を足場と外壁Wとの間に配置したとき、駆動機構108のレバー124は、回動軸118を中心とした上方の回転位置であるアンクランプ位置にある。
【0050】
本実施形態では、次いで、壁つなぎ装置100を固定する外壁W側(建物側)の作業者が、レバー124を回動軸118を中心として押し下げると、ローラ122は、第1の挟持部材104の基端側側面104cの下端部に設けられたストッパー104bに係合するまで、該レバー124と共に回動軸118を中心として下方に移動する。本明細書では、ローラ122がストッパー104bに係合した回転位置をクランプ位置と称する。
【0051】
レバー124をクランプ位置へ向けて矢印Rで示す方向に回転させる間、ローラ122が第1の挟持部材104の基端側側面104cに接触した後、更にレバー124を回転させると、レバー124は基端側側面104cに接するローラ122によって、壁つなぎ装置100の先端方向に付勢される。これにより、第1の挟持部材104が回動軸114を中心として回動し、
図7、8に示すように、その下端部の当接部104aが外壁Wの外面W
Oを押圧される。その後、更にレバー124を押し下げ、ローラ122がストッパー104bに係合すると、レバー124は該クランプ位置にて停止する。
【0052】
レバー124がクランプ位置にあるとき、第1の挟持部材104の当接部104aは、ローラ122による付勢力によって、外壁Wの外面WOに押圧される。これによって、外壁Wは、第1の挟持部材104の当接部104aと、第2の挟持部材106の当接部106aとによって挟持され、壁つなぎ装置100が外壁Wに固定される。
【0053】
壁つなぎ装置100は、レバー124がクランプ位置にあるとき、第1と第2の挟持部材104、106の当接部104a、106aは、概ね同じ水平線上に配置されるようになっている。両者の高さが異なっていると、架橋部材102に曲げモーメントが作用して好ましくないためである。
【0054】
更に、クランプ位置では、腕部材116a、116bは先端側(
図7、8で左側)が基端側よりも低くなる、或いは、ローラ122の回転軸120の位置が回動軸118の位置よりも低くなるようになっている。これによって、レバー124がクランプ位置からアンクランプ位置へ向かう方向に回動する際、支持部材110は、その下端部が外壁Wから離反する方向に一旦回転しなければならなので、レバー124はクランプ位置からアンクランプ位置へ簡単に回転しないようになる。
【0055】
クランプ位置では、支持部材110は腕部材116a、116bによって下端部が外壁Wから離反する方向に付勢され、これによって、支持部材110は既述のように「自在かぎ」の原理によって架橋部材102に対してロックされる。
【0056】
外壁Wとの固定を解除したい時は、壁つなぎ装置100を固定する外壁W側(建物側)の作業者がレバー124の先端側の端部(連結部材124a)を把持して、該レバー124を上方に矢印Rとは反対方向に回動させることによって、ローラ122が第1の挟持部材104の基端側側面104cから離反し、第1の挟持部材104が回動軸114を中心として回動し、当接部104aが外壁Wの外面WOから離反する。これによって、「自在かぎの原理」で架橋部材102に対してロックされていた支持部材110が架橋部材102に対して移動可能となり、壁つなぎ装置100が外壁Wから脱離可能となる。
【0057】
足場と架橋部材102を連結する締結具を緩め、架橋部材102をその軸回りに回転させることによって、第2の挟持部材106を建物の外壁Wから脱離させることができ、架橋部材102を足場側へ引き入れることが可能となる。これにより、壁つなぎ装置100は建物の外壁Wから完全に分離され、足場側または建物側に回収可能となる。
【0058】
本実施形態では、壁つなぎ装置100は、架橋部材102が、建物の外壁Wの頂部を横断して該建物の外壁Wと足場(図示せず)との間に延在し、第1の挟持部材104の当接部104aが外壁Wにおいて前記足場に対面する側面(外面)WOに接触し、第2の挟持部材106の当接部106aが外壁Wの反対側の側面(内面)WIに接触するように配置される。
【0059】
更に、上述のように、停止部130を設けることによって、壁つなぎ装置100を外壁Wに固定する前のレバ-124の初期の傾斜角φが一定となるため、第1の挟持部材104に対するローラ122の位置が一定となり、第1と第2の挟持部材104、106によって外壁Wを挟持する固定力または締結力は安定する(壁つなぎ装置100の固定作業ごとに外壁W面への固定力が概ね一定の値となる)。適当なレバ-124の初期の傾斜角φは概ね30~35°程度である。なお、本実施形態では、傾斜角φは、腕部材116a、116bの回転位置で定義する。
【0060】
駆動機構108のレバー124の操作は、本実施形態では、壁つなぎ装置100を固定する外壁W側(建物側)の作業者によって行うことができる。例えば、
図1~
図6に示した、第1の挟持部材14と駆動機構18の組立体と、
図7、8に示した第1の挟持部材104と駆動機構108の組立体とを準備しておけば、壁つなぎ装置を設置する現場の状況に合わせて、足場側から壁つなぎ装置10を固定するのか、或いは、建物側から壁つなぎ装置100を固定するのかを選択することが可能となる。
【0061】
更に、本実施形態によれば、「自在かぎの原理」を応用することにより、工具を使用することなく、簡単かつ作業者一人で壁つなぎ装置100を建物の外壁Wに固定することができる。架橋部材102の基端部は足場に適当な締結具(図示せず)を用いて、やはり作業者一人で固定することができる。
【0062】
既述のように、支持部材20、110には、架橋部材12、102を挿通する開口部が形成されている。この開口部は、詳細に後述するように互いにオフセットすることが好ましい。該開口部は、架橋部材12、102を挿通させるために、架橋部材12、102の直径よりも僅かに大きな直径を有しており、開口部の中心を上下方向に僅かにオフセットさせることで、「自在かぎの原理」に基づく締結力は急激に変化する。
【0063】
オフセットを設けない場合、架橋部材12、102と開口部との間の僅かな隙間のため、支持部材20、102の下端部に水平方向の力が作用すると、支持部材20、102は、その下端部が外壁Wから遠ざかるように回転する。この回転による支持部材20、102の下端部の水平方向の変位が大きすぎると、ローラ32が支持部材20の先端側側面20cから、或いは、ローラ122が第1の挟持部材104の基端側側面104cから離反してしまい、第1と第2の挟持部材14、16;104、106で外壁Wを挟持することができなくなる。
【0064】
開口部の中心を上下方向に僅かにオフセットさせることによって、架橋部材12、102は支持部材20、110と直交しないで僅かに斜めに交差するようになり、架橋部材12、102を挿通したときに、支持部材20、110の下端部が外壁Wに接近するように、開口部をオフセットすれば、締結力を増大させることが可能となる。反対に、支持部材20、110の下端部が外壁Wから離反するようにすると、締結力は急激に減少し、締結できなくなる。以下に詳細なオフセット量について説明する。
【0065】
図9において、支持部材20、110は、矩形断面を有した中空部材より形成されている。支持部材20、110は、先端側側面20c、110bを提供する側面150aを形成する先端側側壁150と、基端側側面20b、110aを提供する側面152bを形成する基端側側壁152とを有している。前後方向に対面する2つの側面である基端側側面20b、110aから先端側側面20c、110bへ貫通する開口部として、基端側側壁152および先端側側壁150は開口部156、154を有している。
【0066】
図9において、先端側の開口部154と基端側の開口部156は、夫々の中心軸線O1、O2を有している。中心軸線O1、O2は、支持部材20、110の基端側側面20b、110aおよび先端側側面20c、110bに対して略垂直となっている。
【0067】
図9に示すように、開口部154、156の各々は、直径Dを有し、かつ、各々の中心軸線O1、O2が支持部材20、110の長手方向に互いに距離δを以てオフセットされている。また、支持部材の先端側側壁150および基端側側壁152は板厚tを有している。
【0068】
開口部154、156には、架橋部材12、102を提供する直径dの円柱(中実)状または円筒(中空)状の部材160(以下、単に棒部材160と記載する)が挿通される。中心軸線O1、O2は、互いに支持部材20、110の長手方向(上下方向)にオフセットされているので、棒部材160は中心軸線O1、O2に対して角度θを以て傾斜する。つまり、棒部材160の中心軸線Oは、中心軸線O1、O2に対して角度θを形成する。
【0069】
今、
図9に示すように、棒部材160が、先端側側面150aおよび基端側側面152bにおいて、開口部154、156の周縁部に接触する接点をA、Bとし、かつ、接点Aを原点として、支持部材20、110の長手方向(上下方向)にy軸、これに垂直な前後方向(
図9では左右方向)にx軸を定義する。
【0070】
このとき、接点Bの座標は、以下の式(1)により求められる。
【数1】
【0071】
今、接点Bを通過するy軸に平行な直線と架橋部材12、102の表面との交点を交点Cとする。接点Bと交点Cとの間の距離をHとすると、
【数2】
であるので、
【数3】
となる。従って、
【数4】
である。
【0072】
式(3)はθに関する方程式であるので
【数5】
とすると、
【数6】
となる。今、仮にδ=10mm、b=140mm、d=35mm、D=42mmとすると、分子にある±の符号が+の場合、ξ=0.992918、θ=6.82°となる。また、分子にある±の符号が-の場合、ξ=-0.829719、θ=146.1°となり、+の方が正解となる。従って、以下の式(5)を得る。
【数7】
【0073】
次に、
図9において、先端側側面152aに沿ってy軸に平行方向に延びる直線と架橋部材12、102の表面との交点を交点Eとする。更に、先端側側面152aに沿ってy軸に平行方向に延びる直線と、先端側側面152a内で開口部156の周縁部との交点をFとする。
図9において、交点E、Fのy座標は以下の式(6)、(7)から求めることができる
【数8】
【0074】
従って、交点E、F間の距離(隙間)εは以下の式(8)から求めることができる。
【数9】
【0075】
ここで、ε>0の場合、開口部154、156に棒部材160を挿通可能であるが、ε<0では挿通することができない。例えば、δ=10mm、b=140mm、d=35mm、D=42mm、t=10mm、θ=6.82°とすると、式(8)からε=5.55mmとなる。また、ε=0とすると、支持部材の先端側側壁150および基端側側壁152の板厚は、式(8)よりt(ε=0)=56.44mmとなる。
【符号の説明】
【0076】
10 壁つなぎ装置
12 架橋部材
14 第1の挟持部材
16 第2の挟持部材
16a 当接部
18 駆動機構
20 支持部材
20a ストッパー
20b 基端側側面
20c 先端側側面
20d 側面
20e 側面
21 停止部
22a ブラケット
22b ブラケット
24 回動軸
26 レバー
26a アーム部
26b アーム部
26c 連結部
28 回動軸
30 回転軸
32 ローラ
34 保持部材
38 グリップ
100 壁つなぎ装置
102 架橋部材
104 第1の挟持部材
104a 当接部
104b ストッパー
104c 基端側側面
106 第2の挟持部材
106a 当接部
108 駆動機構
110 支持部材
110a 基端側側面
110b 先端側側面
110c 側面
110d 側面
112a ブラケット
112b ブラケット
114 回動軸
116a 腕部材
116b 腕部材
118 回動軸
120 回転軸
122 ローラ
124 レバー
124a 連結部材
124b 連結部材
126 第1の脚部
126a 板部材
126b 板部材
128 第2の脚部
128a 板部材
128b 板部材
130 停止部
150 先端側側壁
150a 先端側側面
152 基端側側壁
152a 先端側側面
152b 基端側側面
154 開口部
156 開口部
160 棒部材