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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】人工芝の排水性支持台
(51)【国際特許分類】
   E01C 13/08 20060101AFI20221201BHJP
   E04F 15/00 20060101ALN20221201BHJP
【FI】
E01C13/08
E04F15/00 101Q
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021156916
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2021-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】392003225
【氏名又は名称】第一ビニール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085246
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 清一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀夫
【審査官】大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-112505(JP,A)
【文献】実開平05-028627(JP,U)
【文献】特開平07-144376(JP,A)
【文献】登録実用新案第3211083(JP,U)
【文献】特開2003-250335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00-17/00
E04F 15/00
A63C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の人工芝片がシート基材の上面部で突設されると共に該人工芝片の根部からなる多数の凸部が該シート基材の下面部に分散状態で突設されており、且つ該シート基材に、上下方向の多数の通水孔が分散状態に設けられてなる人工芝を設置部に敷設する際に用いられる人工芝の排水性支持台であって、前記人工芝を載置するための載置板部の下面部に脚部が分散状態に突設されており、該脚部の下端が前記設置部に乗ることによって、該載置板部と該設置部との間に排水路を形成でき、
該載置板部には多数の排水孔が上下方向で設けられると共に、該載置板部には嵌入凹部が分散状態で設けられており、該嵌入凹部は、前記人工芝の前記凸部の少なくとも先側凸部分としての嵌入凸部を嵌め入れることができ、
前記載置板部の上面載置部には、前記嵌入凹部を上側から覆う覆い粘着部を有する粘着テープの下面粘着部の内の該覆い粘着部の全周囲部分としての周囲粘着部を貼着させるための貼着面が設けられており、
前記貼着面に前記周囲粘着部が貼着された状態で、前記上面載置部に載置された前記人工芝の上面部を前記嵌入凹部に向けて押し付けることにより、前記嵌入凸部が前記覆い粘着部を下方向に凹状に伸び変形させ、該嵌入凸部の凸外表面が、凹状に伸び変形した前記覆い粘着部に貼着状態となり得るように構成されていることを特徴とする人工芝の排水性支持台。
【請求項2】
請求項1記載の人工芝の排水性支持台であって、
前記載置板部は、その上面が平坦面状である正方形板状を呈し且つ多数の前記排水孔が上下方向で設けられており、
該載置板部は、正方形の囲繞枠を具え、その内側の部分が、該囲繞枠の直角をなす2つの辺縁部の内の一方の辺縁部と平行し且つ略同間隔で並置される縦枠と、他方の辺縁部と平行し且つ略同間隔で並置される横枠との組み合わせによって、正方形状の単位区画が多数設けられてなる格子状に分割されており、該縦枠と該横枠の上面は前記囲繞枠の上面と面一であり、
又、正方形板状の前記載置板部は、その各辺縁部相互が、凹凸嵌合によって着脱可能に連結できるように構成されており、
前記正方形状の単位区画の所要のものには、上面が前記粘着テープの前記貼着面となる貼着部が設けられており、該貼着部は、前記一方の辺縁部と平行する長孔状の前記嵌入凹部が、前記他方の辺縁部の延長方向で並設されており、
該嵌入凹部の幅は、前記人工芝の前記嵌入凸部を嵌め入れることができるように設定されていることを特徴とする人工芝の排水性支持台。
【請求項3】
正方形状の前記囲繞枠の前記2つの辺縁部の夫々から数えて偶数本目の前記縦枠と前記横枠に、その全長に亘って延長し且つ該辺縁部の外側面で開口する切断用溝部が設けられており、該切断用溝部の溝底が薄肉の切断部とされていることを特徴とする請求項2記載の人工芝の排水性支持台。
【請求項4】
正方形状の前記単位区画には、前記貼着部を構成する単位区画を除いて、該単位区画の対角点を連結する対角線枠が付加されており、縦横に隣り合う4つの単位区画の集合からなる正方形状の集合区画において、前記対角線枠は、該集合区画の角部相互を連結するように連なっていることを特徴とする請求項2又は3に記載の人工芝の排水性支持台。
【請求項5】
前記貼着面は、前記2つの辺縁部の夫々の延長方向で見て所要距離を隔てた複数に設定されており、前記粘着テープの前記下面粘着部が、該貼着面及び、該貼着面間に存する前記単位区画の上面に連続して貼着されることを特徴とする請求項2記載の人工芝の排水性支持台。
【請求項6】
前記貼着面が設けられている前記単位区画を除く前記単位区画の所要のものには、下面が前記脚部の下端と同高さ位置にある底面板が設けられており、該底面板の下面は、下面粘着部が前記設置部に貼着される粘着テープの上面貼着部の貼着面とされていることを特徴とする請求項2~5の何れかに記載の人工芝の排水性支持台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工芝を設置部に敷設する際に用いられる排水性支持台に関するものであり、より詳しくは、該人工芝と該設置部との間の排水性を良好にすると共に、敷設状態の該人工芝が強風によって捲れ上がりにくくする人工芝の排水性支持台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
天然芝面は、除草や施肥、芝刈り、水やり等の手入れを根気よく続けなければならないのに対して人工芝面は基本的に手入れが不要であることから、該人工芝面は家庭用で人気がある。該人工芝面は、シート基材の上面部に束状人工芝片を植設して構成された人工芝を地面やコンクリート面、モルタル面、アスコン面、アスファルト面に敷設して形成される。
【0003】
そして、コンクリート面やモルタル面、アスコン面、アスファルト面(以下コンクリート面等という)に人工芝を敷設する場合は、該コンクリート面等に前記人工芝面の下面部を直接当接させて行われていた。そのため、該人工芝面に降雨があった場合は、該コンクリート面等が有する勾配で水が流下はしても、濡れてジメジメした状態が続き易く、黴や藻が発生して周辺のコンクリート面等を緑色に変色させる等、人工芝面及びその周辺部分の美感を損ない、又不衛生でもあった。又、風の影響を受けやすい場所に敷設された人工芝は、強風によって捲れ上がり易い問題があった。
【0004】
前記の排水不良の問題を解消せんとする技術としては、基板部に小孔と脚部を設けた排水兼用緩衝材を用い、これを透水アスコンの上面部に敷設し、該排水兼用緩衝材の上面に人工芝を敷設する構造が特許文献1で提案されている。かかる構造によるときは、前記小孔より雨水が落下し、該落下した雨水は、前記基板部と前記透水アスコンとの間に形成された排水路で該透水アスコンより漸次流出して排水される利点があった。なお特許文献1にあっては、「排水兼用緩衝材の上面部に人工芝を敷設」と記載されており、「排水兼用緩衝材の上面部に人工芝を単に載置」とは記載されていないが、特許文献1には一貫して「人工芝を敷設」としか記載されておらず、「人工芝を排水兼用緩衝材の上面部に接着する等、固定する」ことについては一言の記載もない。そのため、特許文献1の前記構造における「排水兼用緩衝材の上面部に人工芝を敷設する」とは、「排水兼用緩衝材の上面部に人工芝を、固定手段を介することなく単に載置する」の意味と解される。
【0005】
特許文献1に係る構造には前記した排水性に関しての利点がある反面、前記排水兼用緩衝材の上面部に人工芝を単に載置するだけであったために、該構造が、風の影響を受けやすい場所で構成された場合は、人工芝が強風によって捲れ上がり易い問題があると考えられる。
【0006】
このように、敷設された人工芝マットが強風によって捲れ上がり易いという問題を解消するための手段として、特許文献2記載の人工芝マットのように、人工芝を樹脂マットにネジ部材を用いて螺合保持する手段が考えられるが、多数本のネジ部材を用いて該人工芝を樹脂マットに固定する作業には多くの手間を要して作業性が悪い問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11―117218号公報
【文献】実用新案登録第3173842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、コンクリート面等に人工芝を敷設する際において、該人工芝の敷設部分の排水性を良好とし、又、敷設状態の人工芝を強風によって捲れ上がりにくくすることができ、しかも、かかる人工芝の敷設施工を施工性よく行うことを可能とする人工芝の排水性支持台の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る人工芝の排水性支持台の第1の態様は、多数の人工芝片がシート基材の上面部で突設されると共に該人工芝片の根部からなる多数の凸部が該シート基材の下面部に分散状態で突設されており、且つ該シート基材に、上下方向の多数の通水孔が分散状態に設けられてなる人工芝を設置部に敷設する際に用いられる人工芝の排水性支持台である。前記人工芝を載置するための載置板部の下面部に脚部が分散状態に突設されており、該脚部の下端が前記設置部に乗ることによって、該載置板部と該設置部との間に排水路を形成できる。該載置板部には多数の排水孔が上下方向で設けられると共に、該載置板部には嵌入凹部が分散状態で設けられており、該嵌入凹部は、前記人工芝の前記凸部の少なくとも先側凸部分としての嵌入凸部を嵌め入れることができる。前記載置板部の上面載置部には、前記嵌入凹部を上側から覆う覆い粘着部を有する粘着テープの下面粘着部の内の該覆い粘着部の全周囲部分としての周囲粘着部を貼着させるための貼着面が設けられている。そして、前記貼着面に前記周囲粘着部が貼着された状態で、前記上面載置部に載置された前記人工芝の上面部を前記嵌入凹部に向けて押し付けることにより、前記嵌入凸部が前記覆い粘着部を下方向に凹状に伸び変形させ、該嵌入凸部の凸外表面が、凹状に伸び変形した前記覆い粘着部に貼着状態となり得るように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る人工芝の排水性支持台の第2の態様は、前記第1の態様に係る人工芝の排水性支持台において、前記載置板部は、その上面が平坦面状である正方形板状を呈し且つ多数の前記排水孔が上下方向で設けられている。該載置板部は、正方形の囲繞枠を具え、その内側の部分が、該囲繞枠の直角をなす2つの辺縁部の内の一方の辺縁部と平行し且つ略同間隔で並置される縦枠と、他方の辺縁部と平行し且つ略同間隔で並置される横枠との組み合わせによって、正方形状の単位区画が多数設けられてなる格子状に分割されており、該縦枠と該横枠の上面は前記囲繞枠の上面と面一である。又、正方形板状の前記載置板部は、その各辺縁部相互が、凹凸嵌合によって着脱可能に連結できるように構成されており、前記正方形状の単位区画の所要のものには、上面が前記粘着テープの前記貼着面となる貼着部が設けられており、該貼着部は、前記一方の辺縁部と平行する長孔状の前記嵌入凹部が、前記他方の辺縁部の延長方向で並設されており、該嵌入凹部の幅は、前記人工芝の前記嵌入凸部を嵌め入れることができるように設定されていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る人工芝の排水性支持台の第3の態様は、前記第2の態様に係る人工芝の排水性支持台において、正方形状の前記囲繞枠の前記2つの辺縁部の夫々から数えて偶数本目の前記縦枠と前記横枠に、その全長に亘って延長し且つ該辺縁部の外側面で開口する切断用溝部が設けられており、該切断用溝部の溝底が薄肉の切断部とされていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る人工芝の排水性支持台の第4の態様は、前記第2又は第3の態様に係る人工芝の排水性支持台において、正方形状の前記単位区画には、前記貼着部を構成する単位区画を除いて、該単位区画の対角点を連結する対角線枠が付加されており、縦横に隣り合う4つの単位区画の集合からなる正方形状の集合区画において、前記対角線枠は、該集合区画の角部相互を連結するように連なっていることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に係る人工芝の排水性支持台の第5の態様は、前記第2の態様に係る人工芝の排水性支持台において、前記貼着面は、前記2つの辺縁部の夫々の延長方向で見て所要距離を隔てた複数に設定されており、前記粘着テープの前記下面粘着部が、該貼着面及び、該貼着面間に存する前記単位区画の上面に連続して貼着されることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る人工芝の排水性支持台の第5の態様は、前記第2~第5の何れかの態様に係る人工芝の排水性支持台において、前記貼着面が設けられている前記単位区画を除く前記単位区画の所要のものには、下面が前記脚部の下端と同高さ位置にある底面板が設けられており、該底面板の下面は、下面粘着部が前記設置部に貼着される粘着テープの上面貼着部の貼着面とされていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によるときは、コンクリート面等に人工芝を敷設する場合において、該人工芝の敷設部分の排水性を良好とでき、又、敷設状態の人工芝を強風によって捲れ上がりにくくすることができ、しかも、かかる人工芝の敷設施工を施工性よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る排水性支持台を介して人工芝を設置部に設置した状態を、排水作用と共に示す斜視図である。
図2】本発明に係る排水性支持台を介して人工芝を設置部に設置した状態を、排水作用と共に示す断面図である。
図3】人工芝を説明する説明図である。
図4】嵌入凸部が嵌入凹部に向けて押し付けられることにより該嵌入凸部が粘着テープを伸び変形させる過程を説明する説明図である。
図5】排水性支持台を示す平面図である。
図6】排水性支持台を示す底面図である。
図7】排水性支持台を示す部分拡大平面図である。
図8】隣り合う排水性支持台の連結工程を説明する斜視図である。
図9】底板部を粘着テープを介して設置部に貼着した状態を示す断面図である。
図10】円筒状の脚部を切断用溝部と共に示す斜視図と断面図である。
図11】排水性支持台相互を連結するための連結凸部と連結凹部を示す斜視図である。
図12】該連結凸部と該連結凹部とを嵌合状態に連結させた断面図である。
図13】平坦面に貼着された粘着テープの上面粘着部に人工芝の凸部を押し付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0017】
図1~2において本発明に係る人工芝の排水性支持台(以下、排水性支持台という)1は、人工芝2を設置部3に敷設する際に用いられるもので、合成樹脂で一体成形されている。該人工芝2は、例えば図3に示すように、多数の束状人工芝片5がシート基材6の上面部7で突設されると共に該人工芝片5の根部9からなる多数の凸部10を該シート基材6の下面部11に有し、且つ、該シート基材6に、上下方向の多数の通水孔12が分散状態に設けられている。なお図2においては該突部10の図示を省略している。そして図1~2に示すように、該人工芝2を載置するための載置板部13の下面部15には脚部16が分散状態に突設されており、該脚部16の下端17が、図2に示すように前記設置部3に乗ることによって、該載置板部13と該設置部3との間に排水路19を形成できる。又、該載置板部13には多数の排水孔20が上下方向で設けられると共に、該載置板部13には嵌入凹部21(図4)が分散状態で設けられており、該嵌入凹部21には、図4に示すように、前記人工芝2の前記凸部10の少なくとも先側凸部分22としての嵌入凸部23を嵌め入れることができる。前記載置板部13の上面載置部27には、図4(A)(B)に示すように、前記嵌入凹部21を上側から覆う覆い粘着部29を有する粘着テープ30の下面粘着部31の内の該覆い粘着部29の全周囲部分としての周囲粘着部32を貼着させるための貼着面33が設けられている。そして、該貼着面33に該周囲粘着部32が貼着された状態で、前記上面載置部27に載置された前記人工芝2の上面部35(図1) を前記嵌入凹部21に向けて押し付けることにより、図4(C)に示すように、前記嵌入凸部23が前記覆い粘着部29を下方向に凹状に伸び変形させ、該嵌入凸部23の凸外表面36が、伸び変形した該覆い粘着部29に貼着状態となり得るように構成されている。以下、これを具体的に説明する。
【0018】
前記構成を有する人工芝2を載置するための前記載置板部13は、本実施例においては図1~2に示すように、その上面37(前記上面載置部27)が平坦面状である正方形板状を呈し且つ多数の前記排水孔20が上下方向で設けられている。
【0019】
前記載置板部13は、より具体的には図5~8に示すように、正方形の囲繞枠39を具え、その内側の部分40が、該囲繞枠39の、互いに直角をなす2つの辺縁部の内の一方の辺縁部(以下、縦の辺縁部ともいう)41と平行し且つ略同間隔で横方向に並置される縦枠42と、他方の辺縁部(以下、横の辺縁部ともいう)43と平行し且つ略同間隔で縦方向に並置される横枠45との組み合わせによって、正方形状の単位区画46が多数設けられてなる格子状に分割されている。本実施例においては、10列の縦枠間列47と10列の横枠間列49を有しており、該縦枠42の上面50(図7)と該横枠45の上面51と前記囲繞枠39の上面52(図7)は面一である。
【0020】
換言すれば該載置板部13は、10列の縦枠間列47と10列の横枠間列49を有しており該縦枠間列47と該横枠間列49の交差部分に前記単位区画46が構成されている。正方形状の該単位区画46の辺長は略等しいが、該単位区画46の内の、前記辺縁部41,43に沿う該単位区画46Aについては、前記辺縁部41,43と直交する方向での辺長(内法)L2が、その他の単位区画46aの辺長(内法)L1よりも稍短い。
【0021】
ここで、該載置板部13の各部の寸法を例示する。該囲繞枠39の一辺の長さは500mmに設定されている。又、前記単位区画46の辺長(内法)L1(図7)は基本的には47mmであるが、前記その他の単位区画46aの前記辺縁部41,43と直交する方向での辺長(内法)L2(図7)は42mmに設定されている。そして、前記囲繞枠39、前記縦枠42、前記横枠45の平面視幅、及び、これらの上下方向厚さは共に4mmに設定されている。
【0022】
前記正方形状の単位区画46の所要のものは、上面が前記粘着テープ30(図1図4)の貼着面33を形成する貼着部53とされている。該粘着テープ30は本実施例においては、1 mm程度の厚さを有する例えば合成ゴム系粘着層を有している。
【0023】
該貼着部53は、図7に示すように、前記他方の辺縁部( 横の辺縁部) 43と平行する長孔状の前記嵌入凹部(本実施例においては上下端が開口した長孔状の貫通孔)21が、前記一方の辺縁部( 縦の辺縁部) 41の延長方向で並設されている。該嵌入凹部21の幅寸法は、本実施例においては、前記人工芝2の前記嵌入凸部(本実施例においては、図4に示す前記先側凸部分22)23の例えば1個を嵌め入れることができるように設定されており、本実施例においては5mmに設定されている。
【0024】
該貼着部53は、本実施例においては図7~8に示すように、前記横枠45と平行し且つ両端56a,56bが対向する前記縦枠42,42に連結された貼着片(例えば5mmの幅を有する)56を前記縦方向に所要間隔をおいて(例えば5mmの間隔を置いて)3本並設して構成されており、並設された該貼着片56の上面は、前記縦枠42及び前記横枠45の上面と面一であり、該面一の面は平坦状の前記貼着面33を構成している。
【0025】
前記載置板部13を構成する前記正方形状の単位区画46には、前記貼着部53を構成する単位区画46b を除いて、該単位区画46の対角点を連結する、対角線枠57aとしての仕切り枠57が付加されており、該単位区画46が補強されている。そして、図5の右下部分を拡大して示す図7に代表して示すように、縦横に隣り合う4つの単位区画46,46,46,46の集合からなる集合区画59において、前記仕切り枠57は、該集合区画59の角部60,60相互を連結するように連なっている。そして該単位区画46の該仕切り枠57の両側の部分は、前記排水孔20を構成している。
【0026】
前記貼着部53を構成する前記単位区画46bは、前記辺縁部41,43の延長方向で見て、所要距離を隔てた複数に設定されている。前記貼着部53は、より具体的には、図5において、対向する前記縦の辺縁部41,41の夫々から数えて3列目の縦枠間列47と、対向する前記横の辺縁部43, 43の夫々から数えて3列目の横枠間列49とが交差する部分に存する単位区画46bで構成されている。
【0027】
又本実施例においては図6に示すように、前記貼着部53が設けられている前記単位区画46bを除く単位区画46の所要のもの46dに、前記脚部16の下端17(図2)と同高さ位置の下面64を有する底板部61が設けられており、該下面64は、図9に示すように、下面粘着部31が前記設置部3に貼着される粘着テープ30の上面粘着部62の貼着面63とされている。より具体的には図6に示すように、該底板部61は、対向する縦の辺縁部41,41、対向する横の辺縁部43,43から数えて2列目の縦枠間列47と2列目の横枠間列49とが交差する部分に存する単位区画46dで設けられている。これによって図7に示すように、該底板部61と前記貼着部53は、角部で連なった状態で隣り合っている。該底板部61には、前記横の辺縁部43と平行する長孔65が並設されている。
【0028】
又本実施例においては図6図10に示すように、正方形状の前記囲繞枠39の前記両辺縁部41,43の夫々から数えて偶数本目の前記縦枠42と前記横枠45に、その全長に亘って延長し且つ該辺縁部の外側面66(図8)で開口する切断用溝部67が設けられている。本実施例においては、縦方向及び横方向に、100mm間隔で配置されている。該切断用溝部67は、ナイフカッタの刃先部分を挿入させることができる細幅のものであり、その溝底部69が薄肉の切断部とされている。該切断用溝部67は前記排水性支持台1の切断箇所を特定するものであり、後述する、排水性支持台1,1相互の連結部70を避けて設定されており、該連結部では切断が行われないようになされている。
【0029】
前記載置板部13の下面15(図2図6図8)に分散状態に突設されている前記脚部16としては、前記切断用の溝部67(図7図10)を避けて突設された円形軸状の脚部16a、前記集合区画の中心部分に設けられた、上下端が開放した円筒状の脚部16b、前記底板部61としての脚部16c(図6)、後記の連結凸部76としての脚部16d、及び連結凹部形成部79としての脚部16e(図8)がある。該脚部16の突出量は、本実施例においては5mmに設定されている。なお、該円筒状の脚部16bに設けられている上下端が開放された円形孔部71は前記排水孔20として機能する(図10)。
【0030】
該脚部16は、前記載置板部13に加わる荷重を支持できる強度を有しており、該載置板部13と前記設置部3との間に形成される前記排水路19(図1~2)を安定的に保持させる。かかる構成の脚部16の内、該脚部16を前記円筒状の脚部16bとして構成した場合において前記切断用溝部67の通りに存する該円筒状の脚部16b1は、図10に示すように、その周壁部72が該切断用溝部67で部分的に切除されている。又、前記脚部16が前記底板部61(図7図8)を以って構成される場合は、該底板部61の下面(前記設置部3に乗る面)64(図6図8~9)は広い面積を有するため、前記載置板部13に加わる荷重を安定的に支持できる。本実施例においては、これらの脚部16が、前記囲繞枠39、前記縦枠42、前記横枠45の夫々の下面に略均等分散状態で設けられている。
【0031】
又、正方形板状の前記載置板部13は、その各辺縁部41,41、43,43相互を、凹凸嵌合によって着脱可能に連結できるように構成されている。図5~6,図8図11~12は、その一態様を示すものである。拡大図である図7に基づいて説明すれば、互いに直角をなす2つの前記辺縁部41,43の夫々に、前記縦の辺縁部41から横方向で見て奇数番目の縦枠42の端部73、及び、前記横の辺縁部43から縦方向で見て奇数番目の横枠45の端部75に、例えば図5図8図11に示すように、T字状を呈する連結凸部76が突設されている。そして、互いに直角をなす、対角側に存する別の2つの辺縁部(図5の左上側の部分にある2つの辺縁部41,43)の夫々には、前記連結凸部76と着脱可能に嵌合し得る下端開放の連結凹部77を有する連結凹部形成部79が設けられている(図5図8図11)。本実施例においては、図2図12に示すように、該連結凸部76の下端17、及び該連結凹部形成部79の下端17が、図12に示すように、前記設置部3に乗る。
【0032】
然して図12に示すように、一の排水性支持台1aの前記連結凸部76を、該排水性支持台1aに隣接する他の排水性支持台1bの前記連結凹部77に嵌合して連結させることにより、排水性支持台1,1を順次連結して所要面積の人工芝設置面80(図1~2、図12)を形成できる。排水性支持台1,1を順次連結して形成された人工芝設置面80には、前記貼着面33と前記貼着面63が略均等に分散状態に設けられた状態となる(図5~6、図8)。
【0033】
次に、かかる構成を有する排水性支持台1を用いて人工芝2を設置部3に敷設する作業工程を説明する。人工芝2を設置せんとする設置部( 前記コンクリート面等)3に、前記排水性支持台1を、前記脚部16の下端17を乗せて設置する。これによって図1~2に示すように、該設置部3と前記載置板部13との間に、上下高さが5mm程度の前記排水路19が形成される。そして、前記排水孔20が該排水路19に連通状態となる。この設置は、該設置部3の面積に応じて、所要枚数の前記排水性支持台1を並設して行うのであるが、その際、図12に示すように、一の排水性支持台1aの前記連結凸部76を、該排水性支持台1aに隣接する他の排水性支持台1bの前記連結凹部77に嵌合させる。これによって、排水性支持台1,1相互を順次連結する。
【0034】
前記排水性支持台1をこのようにして前記設置部3に設置する際、該排水性支持台1が前記のように正方形板状を呈するため、該設置部3の形状によっては、該排水性支持台1が該形状に納まらない場合が生ずる。この場合は、所要の前記切断用溝部67(図10(B))にナイフカッタの刃先部分を挿入しその溝底部69を切断して不要部分を切除する。これによって、該設置部に見栄えよく人工芝を敷設できることとなる。
【0035】
このようにして人工芝載置面80(図12)を形成して後、図1に示すように、距離を隔てる前記貼着面63,63及び、その間に存する単位区画46の上面に、前記粘着テープ30を連続して貼着する。該貼着面33を構成する前記貼着片56(図7)は、その上面が平坦面状であるため、該貼着面33に対する前記下面貼着部31(図4(B)(C))の接着力は大きい。
【0036】
このようにして形成された前記人工芝載置面80に前記人工芝2を載置すると(図1)、図3に基づいて説明したように、前記人工芝2の前記シート基材6の下面部11には、多数の前記凸部10が分散状態に突設されているため、図4に示すように、前記嵌入凸部23の内の一部のものは前記嵌入凹部21に位置することとなる。このように人工芝2を載置した状態で該人工芝2の上面部35(図1)を前記嵌入凹部21に向けて押し付けると、図4(C)に示すように、前記覆い粘着部29を下方向に凹状に伸び変形させることができる。該凹状の伸び変形は、前記周囲粘着部32が前記貼着面33に強固に貼着されているため、該覆い粘着部29の周囲部分を該嵌入凹部21側に引き込むことなく確実に行われる。これによって、該嵌入凸部23の凸外表面36が、凹状に伸び変形した前記覆い粘着部29に貼着状態となる。このような貼着状態となることに伴う接着面積の増大による接着力の増大によって、該人工芝2を前記貼着面33に、より強固に接着できることとなる。
【0037】
ところで、例えば図13に示すように、平坦面( 前記貼着面に前記嵌入凹部21が設けられていないとした場合の平坦な面)83に下面粘着部31が貼着されている粘着テープ30の上面粘着部85に前記凸部10を押し当てても、前記凸部10の先端部86が該上面粘着部85に点状に接着された状態となるだけであるため、その接着力は弱い。これに対して、前記嵌入凸部23を前記嵌入凹部21に向けて押し付け可能となされている本発明によるときは,前記のように接着面積の増大によって接着力の増大を確保できるため、敷設状態の人工芝2を強風によって捲れ上がりにくくすることができる。
【0038】
このようにして形成された人工芝面2に降雨があった場合は、雨水は、前記通水孔12(図2)を通して前記載置板部13に達した後、前記排水孔20を通して前記排水路19に至り、前記設置部3の上面(コンクリート面等)が有する勾配で流下して排出される。その結果、従来における問題、即ち、人工芝の敷設部分に黴や藻を発生させることに伴う前記美感損傷の問題や、前記不衛生の問題を解消できることとなる。
【0039】
又、敷設された人工芝2が前記粘着テープ30を介して前記載置板部13に強固に接着されることによって、敷設状態の人工芝2が強風によって捲れ上がりにくい。本実施例においては、前記貼着面33が、前記したように人工芝設置面全体に略均等に分散状態に設けられているため、該「捲れ上がりにくい」作用効果を有効に発揮させることができる。しかも、該捲れ上がりにくい作用効果は、前記排水性支持台1を前記設置部3に設置して後、該人工芝2と前記載置板部13とを前記粘着テープ30を介して接着するだけの簡易な施工によって得られるため、人工芝2を設置部3に敷設する敷設施工を施工性よく行うことができる。
【0040】
なお、前記設置部( コンクリート面等)3に前記排水性支持台1を設置する際、図9に示すように、距離を隔てる前記底板部61の下面64及び、その間に存する単位区画の下面に前記粘着テープ30の上面粘着部62を貼着しておき、該粘着テープ30の下面粘着部31を前記設置部3に貼着する場合は、その接着力によって、強風時における、該設置部3に対する前記排水性支持台1の設置状態の安定性向上を期し得る。
【実施例2】
【0041】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0042】
(1)前記囲繞枠39の形態は、前記した正方形枠状を呈するものの他、長方形枠状や三角形枠状等の角形枠状、その他の形態を有するものであってもよい。そしてこれらの場合も前記と同様にして、前記載置板部13に、前記人工芝2の前記凸部10の少なくとも先側凸部分22としての前記嵌入凸部23を嵌め入れることのできる多数の嵌入凹部を設けることができる。
【0043】
(2)前記人工芝の根部9からなる前記凸部10の形状や大きさは、人工芝の種類によって若干異なる。該凸部10の形態は、図3に示すものよりも稍高さの低い扁平状のものや、図3に示すものよりも大きく突出するものもある。又、該凸部10の径が図3に示すものよりも小さいものもある。
【0044】
(3)前記嵌入凹部21の形態は、前記した長孔状に構成されることの他、前記嵌入凸部23を嵌入させることのできる円形状や楕円形状等の各種形態を有する嵌入凹部21として構成できる。又該嵌入凹部21は上下端が開放された孔部として構成されることの他、前記覆い粘着部29を下方向に凹状に伸び変形させ得るものであるならば、有底の凹部として構成することもできる。
【0045】
(4)前記嵌入凸部( 前記凸部10の全体又は、該凸部10の先側凸部分)23を、前記覆い粘着部29を下方向に凹状に伸び変形させながら該嵌入凹部21に嵌め入れることができ、これによって、該嵌入凸部23の凸外表面36を、凹状に伸び変形した前記覆い粘着部29に貼着状態となし得、このような貼着状態となることに伴う接着面積の増大に伴う接着力の増大を図り得るならば、前記嵌入凹部21のサイズは限定されない。従って、該嵌入凹部21に複数の該嵌入凸部23が嵌め入ることもある。
【0046】
(5)前記囲繞枠39を、前記した正方形状等の単位区画46の集合として構成する場合は、該単位区画46に前記排水孔20が設けられるならば、該単位区画46の内側の部分に設ける前記仕切り枠57の形態や該仕切り枠57の配置状態は各種に設定できる。
【0047】
(6)前記粘着テープ30を前記上面載置部27の前記貼着面33に貼り付ける場合、該粘着テープ30を介して前記人工芝2を該上面載置部27に所要強度で接着できるならば、該粘着テープ30は該貼着面33にのみ貼着するだけであってもよい。
【0048】
(7)前記底板部61は、前記長孔等の孔部や凹部を有さない平板状に構成されることもある。
【0049】
(8)前記人工芝が、風の影響を受けない前記設置部3に敷設される場合は、該底板部61の前記下面64に前記粘着テープ30が貼着されないこともある。
【0050】
(9)前記載置板部13は、前記単位区画40の集合として構成されることの他、前記排水孔20が分散状態に設けられてなる板状に構成されることもある。
【0051】
(10)本発明に係る排水性支持台は、風の影響を受けない前記設置部3に前記人工芝を敷設するために使用される場合は、前記上面載置部27に前記粘着テープ30が貼着されないで使用されることもある。この場合も、該人工芝の敷設部分の排水性は良好に確保できる。
【符号の説明】
【0052】
1 排水性支持台
2 人工芝
3 設置部
5 人工芝片
6 シート基材
7 上面部
9 根部
10 凸部
11 下面部
12 通水孔
13 載置板部
15 下面部
16 脚部
19 排水路
20 排水孔
21 嵌入凹部
22 先側凸部分
23 嵌入凸部
25 基部側
26 縁部
27 上面載置部
29 覆い粘着部
30 粘着テープ
31 下面粘着部
32 周囲粘着部
33 貼着面
36 凸外表面
39 囲繞枠
40 内側の部分
41 一方の辺縁部
42 縦枠
43 他方の辺縁部
45 横枠
46 単位区画
56 貼着片
61 底板部
63 貼着面
67 切断用溝部
【要約】
【課題】敷設状態の人工芝とその設置部との間の排水性を良好にし、且つ、敷設状態の人工芝が強風で捲れ上がりにくくする人工芝の排水性支持台を提供する。
【解決手段】人工芝2を載置する載置板部13の下面部15に脚部16が突設されている。脚部16を設置部3に乗せると、載置板部13と設置部3との間に排水路19を形成できる。載置板部13に人工芝2を敷設して形成された人工芝面に降雨があると、雨水は、人工芝2の通水孔から載置板部13の排水孔20に至り、排水路19で排出される。載置板部13に人工芝2を敷設する際、載置板部13に設けた嵌入凹部21に、人工芝2の下面で突設されている嵌入凸部21を、人工芝の上面部を嵌入凹部21に向けて押し付けることによって嵌め入れる。この嵌め入れにより、嵌入凹部21を上側から覆う覆い粘着部が下方向に凹状に伸び変形して嵌入凹部の凸外表面に貼着される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13