(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】RPLルーティングプロトコルによるIPv6ノード移動管理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 40/12 20090101AFI20221201BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20221201BHJP
H04W 80/04 20090101ALI20221201BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20221201BHJP
【FI】
H04W40/12
H04W36/30
H04W80/04
H04W4/38
(21)【出願番号】P 2021531355
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(86)【国際出願番号】 CN2019112156
(87)【国際公開番号】W WO2020114111
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】201811476188.1
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521234722
【氏名又は名称】重▲慶▼▲郵▼▲電▼大学
【氏名又は名称原語表記】CHONGQING UNIVERSITY OF POSTS AND TELECOMMUNICATIONS
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 平
(72)【発明者】
【氏名】蒲 ▲チォン▼亘
(72)【発明者】
【氏名】尹 彦丹
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲ヂャオ▼
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0330107(US,A1)
【文献】特開2017-152906(JP,A)
【文献】特表2018-526948(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108574970(CN,A)
【文献】特表2005-527139(JP,A)
【文献】特開2005-117656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
RPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法であって、該方法は、
S1:移動ノードを有するIPv6ワイヤレスセンサーネットワークにおいて、移動ノードがその親ノードにメッセージを送信した後、親ノードがメッセージを受信し、そのリンクの受信信号強度インジケータ(Received Signal Strength Indication、RSSI)を記録し、記録したRSSIを、対応するACKフレームペイロードに配置して、移動ノードに返事し、この場合、移動ノードが双方向通信リンクのRSSIを取得し、移動ノードが一定期間内で、親ノードとメッセージのインタラクティブを行わないと、RSSIを取得するように、移動ノードがビーコンリクエストフレームを主動に送信するステップと、
S2:移動ノードが親ノードとの双方向通信リンクのRSSIを取得した後、平均値フィルタリング方法を利用して平均受信信号強度インジケータ(Average RSSI、ARSSI)を取得し、ARSSIと所定の閾値とを比較し、ARSSIが閾値より小さいと、ノードが移動しているとともに親ノードから離れていくと判定するが、この場合、移動ノードは現在のリンクをすぐ切断せず、さもなければ、ステップS1にジャンプするステップと、
S3:移動ノードは、自分が親ノードから離れていくと検出した後、周囲で新たな親ノードを見つけるように、移動マークを有する有向非巡回グラフ情報リクエスト(Directed Acyclic Graph Information Solicitation、DIS)メッセージをマルチキャストするステップと、
S4:移動ノードの周囲にある非リーフノードが、移動マークを有するDISメッセージを受信した後、各ノードが
DISメッセージのRSSI、及び分散型競争アルゴリズムに応じて、フォールバック時間を演算し、フォールバック時間に応じて、移動ノードに、マークを有する有向非巡回グラフ情報オブジェクト(Directed Acyclic Graph Information Object、DIO)メッセージを返事するステップと、
S5:移動ノードが新たな親ノードを見つけた後、切断宛先通知オブジェクト(Disconnected Destination Advertisement Object、Disconnected DAO)メッセージを、元の親ノードに送信し、元のリンクを切断するとともに、古いルーティングテーブルを除去するようにリクエストし、そして、
元の親ノードはDAOメッセージを上位のノードに転送し、移動ノードに関連する全てのルーティングエントリを削除し、その同時に、移動ノードが接続DAO(Connected DAO)メッセージを新たな親ノードに送信し、新たな親ノードを接続するとともに、ルーティングテーブルを更新するようにリクエストし、そして、
新たな親ノードはDAOメッセージを上位のノードに転送して、完全な通信パスを構築するまでとなるステップと、
S6:
元の親ノードがキャッシュ対象となるデータを確認し、移動ノードが元のリンクを切断した後、切断過程で、移動ノードに送信されるデータがないと、今回の移動管理過程が終了し、さもなければ、元の親ノードが移動ノードに送信されるデータのために、キャッシュノードを見つけ、元の親ノードが切断DAOメッセージを受信した場合、移動ノードに送信されるデータを新たな親ノードにキャッシュし、元の親ノードが他の原因で切断DAOメッセージを受信していないと、データをネットワークのルートノードにキャッシュするステップと、
S7:元の親ノードがキャッシュノードを確認した後、即ち、データのためにキャッシュ位置を見つけた後、キャッシュノードのIPv6アドレスを、データがキャッシュされる6LoWPANメッセージのキャッシュヘッドに配置し、そして、データをキャッシュノードに転送しキャッシュするステップと、
S8:移動ノードが新たな親ノードに接続され、ネットワークルーティングテーブルを更新した後、キャッシュノードがキャッシュされたデータを移動ノードに送信し、今回の移動管理過程が終了するステップと、を有することを特徴とするRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法。
【請求項2】
ステップS1において、前記RSSIをACKフレームペイロードに配置した後、形成された改良式ACKフレームフォーマットは、フレーム制御ビット、シリアル番号、RSSI及びフレームチェックシーケンス(Frame Check Sequence、FCS)を含むことを特徴とする請求項1に記載のRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法。
【請求項3】
ステップS3において、前記移動マークを有するDISメッセージのOptionフォーマットは、タイプ説明ドメイン、長さ及び目的アドレスを含み、DIS制御メッセージにおけるOption Type=0x0Aである場合、該DIS制御メッセージが移動ノードから送信されることを示すことを特徴とする請求項1に記載のRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法。
【請求項4】
ステップS4において、前記分散型競争アルゴリズムは具体的に、候補ノードが移動マークを有するDISメッセージを受信した後、RSSIに応じてそれぞれのフォールバック時間を演算し、内蔵タイマーを起動させるとともに、自身のフォールバック時間に応じて、時間ウィンドウで競争応答を始めて、RSSIが大きいほど、フォールバック時間が小さくなり、タイマーのオーバーフロー時間が短くなり、演算式は以下の通りであり、
【数1】
なお、t
nがノードnのフォールバック時間であり、RSSI
nがノードnのRSSIであり、RSSI
maxが2つのノードの間の最大のRSSIであり、t
hが設定の最大のフォールバック時間であり、単位がマイクロ秒であることを特徴とする請求項1に記載のRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法。
【請求項5】
ステップS4において、移動ノードが新たな親ノードを見つけるように、DISメッセージをマルチキャストする場合、分散型競争アルゴリズム後で、候補の親ノードから送信されたDIOメッセージに対して移動マークを行って、採用する方法は、ノードがMAC層でDIOメッセージをパッケージする際、MACフレーム制御ドメインの第8ビットをDIOマークビットに配置することで、移動マークを有するDISメッセージのDIOメッセージをマークで応答することを特徴とする請求項1に記載のRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法。
【請求項6】
ステップS4において、全ての候補ノードは、そのタイマーがオーバーフローし中断が発生するまでに、計時過程でもモニタリング状態を保持し、RSSI値の最大の候補ノード即ち移動ノードとの前のリンクの品質が最もよいノードは、最初に計時を終了し、他の候補ノードは、移動マークを有するDIOメッセージがモニタリングされた場合、計時を中断させるとともに、マークを有するDIOメッセージを移動ノードに返事せず、計時が終了するまでにマークを有するDIOメッセージがモニタリングされなかった場合、該候補ノードが移動ノードにマークを有するDIOメッセージを返事することを特徴とする請求項1に記載のRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法。
【請求項7】
ステップS4において、タイマーが終了した候補ノードは、DIOメッセージの応答権を競争して得て、まず、DIOメッセージをマークし、そして、該DIOメッセージを移動ノードにユニキャストすることを特徴とする請求項1に記載のRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法。
【請求項8】
ステップS5において、前記切断DAOメッセージのOptionフォーマットは、タイプ説明ドメイン、長さ、切断リクエストマーク及び新たな親ノードIPv6アドレスを含み、DAOメッセージのOption Type=0x0Aである場合、該DAOメッセージは切断DAOメッセージとしてマークされることで、現在のリンクを切断するようにリクエストすることを示すことを特徴とする請求項1に記載のRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法。
【請求項9】
ステップS5において、前記接続DAOメッセージのOptionフォーマットは、タイプ説明ドメイン、長さ、接続リクエストマーク及び元の親ノードIPv6アドレスを含み、DAOメッセージのOption Type=0x0Bである場合、該DAOメッセージが接続DAOメッセージとしてマークされることで、新たなリンクを構築するようにリクエストすることを示すことを特徴とする請求項1に記載のRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法。
【請求項10】
ステップS7において、キャッシュノードのIPv6アドレスを、データがキャッシュされる6LoWPANメッセージのキャッシュヘッドに配置することで形成された新たな6LoWPANキャッシュヘッドフォーマットは、ヘッドタイプ、フラグビット、ソースアドレスの長・短アドレスマークビット、目的アドレスの長・短アドレスマークビット、データパケットのソースIPv6アドレス及びデータパケット目的IPv6アドレスを含むことを特徴とする請求項1に記載のRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年12月4日にて中国特許局に提出され、出願番号が201811476188.1であり、発明の名称が「RPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークのノード移動管理方法」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は本出願に援用される。
【0002】
本発明は、ワイヤレスセンサーネットワークの技術分野に属して、RPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークのノード移動管理方法に関わる。
【背景技術】
【0003】
IPv6ワイヤレスセンサーネットワーク(Wireless Sensor Network)は、現在研究のホットスポットであり、機能が多く、配置が柔軟で、低消費且つ低コストなどの特性を有する。現在のワイヤレスセンサーネットワークはその独特な優勢で、主に軍事国防、農業環境、医療看護、スマートホーム、工業制御及び物流管理などの各業界において大幅に応用されている。近年、ワイヤレスセンサーネットワークの新たな応用需求が増えているから、静的ワイヤレスセンサーネットワークはもう、移動作業を必要とする応用環境に適用されず、従って、伝統のネットワークに移動ノードを追加するという構想が生じた。ただし、IPv6ワイヤレスセンサーネットワークでの移動性は、切替過程におけるノードの切断によるデータの紛失、応用性能に対する悪影響などのいくつかの問題を招致し、IPv6ネットワークにノード移動の管理方法を導入することは、特に重要になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、IPv6ワイヤレスセンサーネットワーク分野において、IPv6による多種の移動性技術が既に提出され、ワイヤレスセンサーネットワークにおけるノードの移動性問題を解決できるが、移動検出、移動切替の過程で、相変わらず遅延が高すぎて、インタラクティブの過程が複雑で、データの紛失という問題が存在する。そのため、IPv6ワイヤレスセンサーネットワークのノード移動の管理方法が提出され、既存のルーティングプロトコルを結合して実現される。IETF RoLLワークグループは、低消費損失ネットワークに対してRPLルーティングプロトコル(Routing Protocol for Low Power and Lossy Networks、低消費損失ネットワークルーティングプロトコル)を制定し、RoLLの、RPLルーティングプロトコルの内部メカニズムに対する設計は、静的ネットワークを対象とするから、RPLルーティングプロトコルは移動シーンによく適用できない。
【0005】
ワイヤレスセンサーネットワークの、移動性に対する支持の要求を確保するために、移動過程に、最適な親ノードを選択することによる、高遅延、切替の際のデータ紛失という問題に対して、本発明はRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークのノード移動の管理方法を提出する。
【0006】
これに鑑みて、本発明は、ノード移動の検出過程と最適な親ノードの選択過程における遅延、及びエネルギー消費低減を低減させ、エンドツーエンドのデータパケットの到着率を向上させるために、RPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法を提供する。該方法は、双方向リンクの品質指標に応じて、RPLを改良してメッセージを制御することで、移動ノードの最適な親ノードに対する選択を完成し、また、ネットワーク通信におけるデータのために、キャッシュメカニズムを設計することで、移動ノードに送信されたデータの紛失を防止する。該方法は、IPv6ワイヤレスセンサーネットワークノードに移動管理機能を具備させ、ノードの移動切替及びデータキャッシュ機能を実現し、IPv6ワイヤレスセンサーネットワークにおけるノード移動検出の精度を向上でき、移動ノードリンクの切替遅延及びノードのエネルギー消費を低減させ、ノード移動過程でのデータパケットの紛失を避け、ネットワークの確実性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を実現するために、本発明は以下の技術案を提供し、
RPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法であって、
S1:移動ノードを有するIPv6ワイヤレスセンサーネットワークにおいて、移動ノードがその親ノードにメッセージを送信した後、親ノードがメッセージを受信し、そのリンクの受信信号強度インジケータ(Received Signal Strength Indication、RSSI)を記録し、記録したRSSIを、対応するACKフレームペイロードに配置して、移動ノードに返事し、この場合、移動ノードが双方向通信リンクのRSSIを取得し、移動ノードが一定期間内で、親ノードとメッセージのインタラクティブを行わないと、RSSIを取得するように、移動ノードがビーコンリクエストフレームを主動に送信するステップと、
S2:移動ノードが親ノードとの双方向通信リンクのRSSIを取得した後、平均値フィルタリング方法を利用して平均受信信号強度インジケータ(Average RSSI、ARSSI)を取得し、ARSSIと所定の閾値とを比較し、ARSSIが閾値より小さいと、ノードが移動しているとともに親ノードから離れていくと判定するが、この場合、移動ノードは現在のリンクをすぐ切断せず、さもなければ、ステップS1にジャンプするステップと、
S3:移動ノードは、自分が親ノードから離れていくと検出した後、周囲で新たな親ノードを見つけるように、移動マークを有する有向非巡回グラフ情報リクエスト(Directed Acyclic Graph Information Solicitation、DIS)メッセージをマルチキャストするステップと、
S4:移動ノードの周囲にある非リーフノードが、移動マークを有するDISメッセージを受信した後、各ノードがリクエストメッセージのRSSI、及び分散型競争アルゴリズムに応じて、フォールバック時間を演算し、フォールバック時間に応じて、移動ノードに、マークを有する有向非巡回グラフ情報オブジェクト(Directed Acyclic Graph Information Object、DIO)メッセージを返事するステップと、
S5:移動ノードが新たな親ノードを見つけた後、切断宛先通知オブジェクト(Disconnected Destination Advertisement Object、Disconnected DAO)メッセージを、元の親ノードに送信し、元のリンクを切断するとともに、古いルーティングテーブルを除去するようにリクエストし、そして、DAOメッセージを上位のノードに転送し、移動ノードに関連する全てのルーティングエントリを削除し、その同時に、移動ノードが接続DAO(Connected DAO)メッセージを新たな親ノードに送信し、新たな親ノードを接続するとともに、ルーティングテーブルを更新するようにリクエストし、そして、DAOメッセージを上位のノードに転送して、完全な通信パスを構築するまでとなるステップと、
S6:キャッシュ対象となるデータを確認し、移動ノードが元のリンクを切断した後、切断過程で、移動ノードに送信されるデータがないと、今回の移動管理過程が終了し、さもなければ、元の親ノードが移動ノードに送信されるデータのために、キャッシュノードを見つけ、元の親ノードが切断DAOメッセージを受信した場合、移動ノードに送信されるデータを新たな親ノードにキャッシュし、元の親ノードが他の原因で切断DAOメッセージを受信していないと、データをネットワークのルートノードにキャッシュするステップと、
S7:元の親ノードがキャッシュノードを確認した後、即ち、データのためにキャッシュ位置を見つけた後、キャッシュノードのIPv6アドレスを、データがキャッシュされる6LoWPANメッセージのキャッシュヘッドに配置し、そして、データをキャッシュノードに転送しキャッシュするステップと、
S8:移動ノードが新たな親ノードに接続され、ネットワークルーティングテーブルを更新した後、キャッシュノードがキャッシュされたデータを移動ノードに送信し、今回の移動管理過程が終了するステップと、を有する。
【0008】
さらに、ステップS1において、前記RSSIをACKフレームペイロードに配置したことにより形成された改良式ACKフレームフォーマットは、フレーム制御ビットと、シリアル番号と、RSSIと、フレームチェックシーケンス(Frame Check Sequence、FCS)とを含む。
【0009】
さらに、ステップS3において、前記移動マークを有するDISメッセージのOptionフォーマットは、タイプ説明ドメイン、長さ及び目的アドレスを含み、DISメッセージにおけるOption Type=0x0Aである場合、該DISメッセージが移動ノードから送信されたことを示す。
【0010】
さらに、ステップS4において、前記分散型競争アルゴリズムは具体的に、候補ノードが移動マークを有するDISメッセージを受信した後、RSSIに応じてそれぞれのフォールバック時間を演算し、内蔵タイマーを起動させるとともに、自身のフォールバック時間に応じて、時間ウィンドウで競争応答を始めて、RSSIが大きいほど、フォールバック時間が小さくなり、タイマーのオーバーフロー時間が短くなり、演算式は以下の通りであり、
【数1】
t
nがノードnのフォールバック時間であり、RSSI
nがノードnのRSSIであり、RSSI
maxが2つのノードの間の最大のRSSIであり、t
hが所定の最大の遅延時間であり、単位がマイクロ秒である。
【0011】
さらに、ステップS4において、移動ノードが新たな親ノードを見つけるように、DISメッセージをマルチキャストする場合、他のノードも相応的なDIOメッセージを送信するから、分散型競争アルゴリズムの後、候補親ノードから送信されたDIOメッセージに対して移動マークを行う必要があり、採用する方法は、ノードがMAC層でDIOメッセージをパッケージする際、MACフレーム制御ドメインの第8ビットをDIOマークビットに配置することで、移動マークを有するDISメッセージのDIOメッセージをマークし応答する。
【0012】
さらに、ステップS4において、全ての候補ノードは、そのタイマーがオーバーフローし中断が発生するまでに、計時過程でもモニタリング状態を保持し、RSSI値の最大の候補ノード(移動ノードとの前のリンクの品質が最もよいノード)は最初に計時を終了し、他の候補ノードは、移動マークを有するDIOメッセージがモニタリングされた場合、計時を中断させるとともに、マークを有するDIOメッセージを、移動ノードに返事せず、計時が終了するまでにマークを有するDIOメッセージがモニタリングされなかった場合、該候補ノードが移動ノードに、マークを有するDIOメッセージを返事する。
【0013】
さらに、ステップS4において、タイマーが終了した候補ノードは、DIOメッセージの応答権を競争して得て、まず、DIOメッセージをマークし、そして、該DIOメッセージを移動ノードにユニキャストする。該実施形態において、初期RPLプロトコルの、DIOメッセージに応答する方式と違って、該ステップにおいて、ネットワークの混雑を避けるように、Trickleタイマーをリセットしない。
【0014】
さらに、ステップS5において、前記切断DAOメッセージのOptionフォーマットは、タイプ説明ドメイン、長さ、切断リクエストマーク及び新たな親ノードIPv6アドレスを含み、DAOメッセージのOption Type=0x0Aである場合、該DAOメッセージが切断DAOメッセージとしてマークされることで、現在のリンクを切断するようにリクエストすることを示す。
【0015】
さらに、ステップS5において、前記接続DAOメッセージのOptionフォーマットは、タイプ説明ドメイン、長さ、接続リクエストマーク及び元の親ノードIPv6アドレスを含み、DAOメッセージのOption Type=0x0Bである場合、該DAOメッセージが接続DAOメッセージとしてマークされることで、新たなリンクを構築するようにリクエストすることを示す。
【0016】
さらに、ステップS7において、キャッシュノードのIPv6アドレスを、データがキャッシュされる6LoWPANメッセージのキャッシュヘッドに配置することで形成された新たな6LoWPANキャッシュヘッドフォーマットは、ヘッドタイプ、フラグビット、ソースアドレスの長・短アドレスマークビット、目的アドレスの長・短アドレスマークビット、データパケットのソースIPv6アドレス、及びデータパケット目的IPv6アドレスを含む。
【0017】
本発明の有益効果は以下の通りであり、
1)本発明、IPv6ワイヤレスセンサーネットワークにおけるノード移動過程のリンク切替遅延を効果的に低減でき、ネットワークリンクの安定を保証し、ネットワークの確実性を向上させる。双方向リンクのRSSI移動検出により、元のリンクを切断しない状況で、最適な親ノードを選択し、そして、改良後のDIS、DAOメッセージを介して候補ノードの遅延フォールバック及び最適な選択を完成させ、元のRPLルーティングプロトコルと適合すると同時に、移動検出、最適な選択、移動切替という過程を完成させ、IPv6ワイヤレスセンサーネットワークの移動切替過程の高遅延、高エネルギー消費という問題を効果的に解決する。
【0018】
2)本発明は、IPv6ワイヤレスセンサーネットワークにおけるメッセージのエンドツーエンドの伝送の成功率を効果的に向上でき、ネットワークの伝送の確実性を向上させる。本発明は、移動ノードに送信されるデータのために、キャッシュアルゴリズムを設計し、データがキャッシュされた6LoWPANヘッドを補正することで、移動ノードが移動切替過程中、またはリンクの切替後で、切替前のデータを正常に受信できるように保証し、データの紛失を避ける。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の目的、技術案及び有益な効果をより明らかにするために、本発明は以下の図面を提供し説明する。
【
図1】本発明に記載の移動管理方法のフロ一模式図である。
【
図2】本発明に記載のACKフレームのフォーマット図である。
【
図3】本発明に記載のRPLプロトコルのDISメッセージフレームのフォーマット図である。
【
図4】本発明に記載のRPLプロトコルの、切断DAOメッセージフレームのフォーマット図である。
【
図5】本発明に記載のRPLプロトコルの、接続DAOメッセージフレームのフォーマット図である。
【
図6】本発明に記載の6LoWPANヘッドフレームのフォーマット図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下は図面を結合し、本発明の好適な実施例を詳しく記載する。
【0021】
図1は、本発明に記載のRPLルーティングプロトコルによるIPv6ワイヤレスセンサーネットワークノード移動管理方法のフロ一模式図であり、該方法は双方向リンクのRSSIに応じて、ノードの移動を検出し、移動マークを有するDISメッセージのマルチキャスト及びフォールバックアルゴリズムにより、最適な親ノードの選択を完成し、ネットワーク通信におけるデータのために、キャッシュアルゴリズムを設計し、データを新たな親ノードまたはルートノードにキャッシュし、6LoWPANメッセージヘッドを改めて設計する。
図1に示すように、該ノード移動管理方法の具体的な実現過程は以下の通りであり、
Step1:移動ノードを有するIPv6ワイヤレスセンサーネットワークにおいて、移動ノードがその親ノードにメッセージを送信した後、親ノードがメッセージを受信し、該リンクのRSSIを記録し、そして、記録したRSSIを対応するACKフレームペイロードに配置して、移動ノードに返事し、この場合、移動ノードが双方向通信リンクのRSSIを取得する。移動ノードが一定期間内で、親ノードとメッセージのインタラクティブを行わないと、RSSIを取得するように、移動ノードがビーコンリクエストフレームを主動に送信する。
【0022】
Step2:移動ノードが双方向通信リンクのRSSIを取得した後、平均値フィルタリング方法を介してARSSIを取得し、ARSSIと所定の閾値とを比較し、ARSSIが閾値より小さいと、ノードが移動しているとともに親ノードから離れていくと判定するが、この場合、移動ノードは現在のリンクをすぐ切断するのではない。さもなければ、ステップStep1にジャンプする。
【0023】
Step3:移動ノードは、自分が親ノードから離れていくと検出した後、周囲で新たな親ノードを見つけるように、移動マークを有するDISメッセージをマルチキャストする。
【0024】
Step4:移動ノードの周囲にある非リーフノードは移動マークを有するDISメッセージを受信した後、各ノードがリクエストメッセージのRSSI、及び分散型競争アルゴリズムに応じて、フォールバック時間を演算し、フォールバック時間に応じて、移動ノードに、マークを有するDIOメッセージを返事する。
【0025】
即ち、非リーフノードがそれぞれのRSSIを取得し、各々ノードがRSSI及び本方法による新たに設計された分散型競争アルゴリズムに応じて、フォールバック時間を演算し、フォールバック時間に応じて、移動ノードにDIOメッセージを返事する。最大のRSSIを有するノードは最初に返事し、最初に返事するノードが最適な新たな親ノードであり、他のノードが、移動ノードに返事されたDIOメッセージがあるとモニタリングした場合、自分のフォールバック過程をキャンセルし、移動ノードにDIOメッセージを返事しない。該過程で、全てのノードは1つだけのDIOメッセージを返事し、且つTrickleタイマーをリセットしない。
【0026】
分散型競争アルゴリズムは具体的に、候補ノードが移動マークを有するDISメッセージを受信した後、RSSIに応じてそれぞれのフォールバック時間を演算し、内蔵タイマーを起動させるとともに、自身のフォールバック時間に応じて、時間ウィンドウで競争応答を始めて、RSSIが大きいほど、フォールバック時間が小さくなり、タイマーのオーバーフロー時間が短くなり、演算式は以下の通りである。
【数2】
なお、t
nがノードnのフォールバック時間であり、RSSI
nがノードnのRSSIであり、RSSI
maxが2つのノードの間の最大のRSSIであり、t
hが設定の最大のフォールバック時間であり、単位がマイクロ秒である。
【0027】
ここで、移動ノードが新たな親ノードを見つけるように、DISメッセージをマルチキャストする場合、候補ノードがDIOメッセージを送信するだけでなく、他のノードも相応的にDIOメッセージを送信するから、分散型競争アルゴリズム後、候補ノードから送信されたDIOメッセージに対して移動マーキングを行う必要があり、具体的に、ノードがMAC層でDIOメッセージをパッケージする際、MACフレーム制御ドメインの第8ビットをDIOマークビットに配置することで、移動マークを有するDISメッセージのDIOメッセージをマーク応答する。
【0028】
また、ステップS4において、全ての候補ノードは計時過程でも、そのタイマーがオーバーフローし、中断が発生するまでに、モニタリング状態を保持し、RSSI値の最大の候補ノード(移動ノードとの前のリンクの品質が一番よいノード)は最初に計時を終了させる。他の候補ノードは、移動マークを有するDIOメッセージがモニタリングされた場合、計時を中断させるとともに、マークを有するDIOメッセージを、移動ノードに返事しなく、計時が終了するまでに、マークを有するDIOメッセージがモニタリングされなかった場合、該候補ノードが移動ノードに、マークを有するDIOメッセージを返事する。
【0029】
また、ステップS4において、タイマーが終了した候補ノードは、DIOメッセージの応答権を競争して得て、まず、DIOメッセージをマーキングし、そして、該DIOメッセージを移動ノードにユニキャストする。初期RPLプロトコルの、DIOメッセージに応答する方式と違って、該ステップにおいて、ネットワークの混雑を避けるように、Trickleタイマーをリセットしない。
【0030】
Step5:移動ノードが新たな親ノードを見つけた後、切断DAOメッセージを元の親ノードに送信し、元のリンクを切断するとともに、古いルーティングテーブルを除去するようにリクエストし、そして、DAOメッセージを上位のノードに転送し、移動ノードに関連付けられた全てのルーティングエントリを削除し、その同時、接続DAOメッセージを新たな親ノードに送信し、新たな親ノードを接続するとともに、ルーティングテーブルを更新するようにリクエストし、そして、DAOメッセージを上位のノードに転送し、完全な通信パスを構築するまでである。
【0031】
Step6:キャッシュ対象となるデータを確定し、移動ノードが元のリンクを切断した後、切断過程で、移動ノードに送信されるデータがないと、今回の移動管理過程が終了し、さもなければ、元の親ノードが、移動ノードに送信されるデータのために、キャッシュノードを見つけて、元の親ノードが切断DAOメッセージを受信した場合、移動ノードに送信されるデータを、新たな親ノードにキャッシュし、元の親ノードが他の原因で、切断DAOメッセージを受信していないと、データがネットワークのルートノードにキャッシュされる。
【0032】
Step7:元の親ノードがキャッシュノードを確認した後、即ち、データのために、キャッシュ位置を見つけた後、キャッシュノードのIPv6アドレスを、データがキャッシュされた6LoWPANキャッシュヘッドに配置し、そして、データをキャッシュノードに転送しキャッシュする。
【0033】
Step8:移動ノードが新たな親ノードに接続され、ネットワークルーティングテーブルを更新した後、キャッシュノードがキャッシュされたデータを移動ノードに送信し、今回の移動管理過程が終了する。
【0034】
図2は、本発明に記載のACKフレームペイロードのフォーマット図であり、ACKフレームのフォーマットの主なコンテンツは、フレーム制御ビット、シリアル番号、RSSI、FCSであり、そのうち、RSSIの長さが8ビットである。
【0035】
図3は、本発明に記載のRPLプロトコルのDISメッセージフレームのフォーマット図であり、移動マークを有するDISメッセージには、オプションのタイプ説明ドメイン(Type)、オプションの長さ(Length)、オプションの目的アドレス(Destination Address)が含まれる。DISメッセージのOptionは、値が0x0Aであり、長さが8ビットである1つのタイプ説明ドメインを有しなければならず、Lengthは改良されたDISOptionのバイト数であり、長さが8ビットであり、Destination Addressは予備の目的アドレスビットであり、その長さが、長いアドレスまたは短いアドレスの長さにより決定される。
【0036】
図4は、本発明に記載のRPLプロトコルの切断DAOメッセージフレームのフォーマット図であり、切断DAOメッセージのOptionには、オプションのタイプ説明ドメイン(Type)、オプションの長さ(Length)、切断リクエストマーク(Disconnect Req)、及び新たな親ノードアドレス(New Parent Address)が含まれ、Type値が0x0Aであり、長さが8ビットであり、LengthはOptionのバイト数であり、長さが8ビットであり、Disconnect Reqは元の接続されたフラグビットを切断するためのリクエストであり、長さが8ビットであり、New Parent Addressは新たな親ノードIPv6のアドレスであり、その長さが、長いアドレスまたは短いアドレスの長さにより決定される。
【0037】
図5は、本発明に記載のRPLプロトコルの接続DAOメッセージフレームのフォーマット図であり、接続DAOメッセージのOptionには、オプションのタイプ説明ドメイン(Type)、オプションの長さ(Length)、切断リクエストマーク(Connect Req)、及び元の親ノードアドレス(Old Parent Address)が含まれ、Type値が0x0Bであり、長さが8ビットであり、LengthはOptionのバイト数であり、長さが8ビットであり、Connect Reqは接続リクエストフラグビットであり、長さが8ビットであり、Old Parent Addressは元の親ノードIPv6のアドレスであり、その長さが、長いアドレスまたは短いアドレスの長さにより決定される。
【0038】
図6は、本発明に記載の6LoWPANキャッシュヘッドフレームのフォーマット図であり、新たに設計された6LoWPANキャッシュヘッドには、ヘッドタイプ(HeadType)、フラグビット(F)、ソースアドレスの長・短アドレスマークビット(O)、目的アドレスの長・短アドレスマークビット(D)、データパケットのソースIPv6アドレス(Origination Address)、及びデータパケット目的IPv6アドレス(Destination Address)が含まれる。Head Typeの値が0xF0であり、長さが8ビットであり、F、O、Dの長さがそれぞれ1ビットであり、Origination Address、Destination Addressの長さが、長いアドレスまたは短いアドレスの長さにより決定される。
【0039】
最後に、以上の好適な実施例は、本発明の技術案を説明するためであり、本発明を限定しない。前記好適な実施例により、本発明を既に詳しく記載したが、当業者は、本発明の特許請求の範囲から逸脱しない上で形式及び細部で、いろんな変更をしてもよいことを理解すべきである。