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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20221201BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G01N21/90 C
G01N21/84 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022093359
(22)【出願日】2022-06-08
【審査請求日】2022-10-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】300074101
【氏名又は名称】株式会社レイマック
(74)【代理人】
【識別番号】100121337
【弁理士】
【氏名又は名称】藤河 恒生
(72)【発明者】
【氏名】林 祐平
(72)【発明者】
【氏名】光藤 淳
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0267451(US,A1)
【文献】特開2007-3543(JP,A)
【文献】特開2018-17631(JP,A)
【文献】特開平10-23310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
H04N 5/222 - H04N 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の発光素子を有し該複数個の発光素子から光を放射して検査対象である物品を照明する照明器と、
前記複数個の発光素子をN個(Nは2以上の自然数)のエリアに分けて該N個のエリア各々の照明期間に順次電流を供給して光を放射させる照明コントローラと、
前記照明期間と同期する撮影期間で前記物品を順次撮影するカメラと、
検査システム制御装置と、
前記カメラから前記照明コントローラに又は前記照明コントローラから前記カメラにDCの電力を供給する第1配線ケーブルと、
前記検査システム制御装置から前記カメラに又は前記検査システム制御装置から前記照明コントローラにDCの電力を供給する第2配線ケーブルと、
を備え、
前記カメラが撮影したN個の画像は、前記検査システム制御装置の中で又は該カメラの中で、画像間演算により又は画像間演算と画素間演算により1個の検査画像が再構成される検査システム。
【請求項2】
請求項1に記載の検査システムにおいて、
前記画像間演算は、画素ごとに、N個のうちから1個の前記画像の輝度が選択される演算、又は、N個のうちから複数個の前記画像の輝度が選択されて加算される演算、又は、N個のうちから複数個の前記画像の輝度が選択されて平均化される演算である検査システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の検査システムにおいて、
前記第1配線ケーブルは、前記カメラから前記照明コントローラに、前記DCの電力を供給するとともに前記照明期間を制御する信号を伝送し、
前記第2配線ケーブルは、前記検査システム制御装置から前記カメラに、前記DCの電力を供給するとともに前記撮影期間を制御する信号を伝送する検査システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の検査システムにおいて、
前記第1配線ケーブルは、前記照明コントローラから前記カメラに、前記DCの電力を供給するとともに前記撮影期間を制御する信号を伝送し、
前記第2配線ケーブルは、前記検査システム制御装置から前記照明コントローラに、前記DCの電力を供給するとともに前記照明期間を制御する信号を伝送する検査システム。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の検査システムにおいて、
前記照明器は、赤色、緑色、青色の発光素子を前記N個のエリア毎に有しており、
前記照明コントローラは、赤色、緑色、青色のうちの第1色の前記発光素子に対して前記N個のエリア各々の前記照明期間に順次電流を供給して光を放射させ、その後、前記第1色以外の第2色の前記発光素子に対して前記N個のエリア各々の前記照明期間に順次電流を供給して光を放射させ、その後、前記第1色及び第2色以外の第3色の前記発光素子に対して前記N個のエリア各々の前記照明期間に順次電流を供給して光を放射させる検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に光を照射しそれをカメラで撮影することにより物品を検査する検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場の生産ラインで生産された物品(製品)を検査ラインで検査するとき、欠陥や異物付着などの見落としがないように、照明器により物品を照明してカメラで撮影することが行われている。照明器は、照明コントローラから電流の供給を受けることにより光を放射して物品を照明する。カメラは、検査システム全体を制御する検査システム制御装置により撮影期間が制御され、その検査システム制御装置に撮影した画像を送る。照明器における照明期間は、撮影期間と同期するように、照明器コントローラがカメラにより制御されたり検査システム制御装置により制御されたりする。
【0003】
ここで、照明コントローラは、物品を照明するのに必要な大きな電流を照明器に供給するので、一般的に、例えば特許文献1に示すように、ACコンセントからAC電源配線ケーブルを介して必要な電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-181589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、検査システムにおいて照明コントローラのためにAC電源配線ケーブルが設けられると、他の配線ケーブル(検査システム制御装置とカメラの間及びカメラ(又は検査システム制御装置)と照明コントローラの間の配線ケーブル)も有り、配線が煩雑であり、また、そのため誤配線などが起こり易い。
【0006】
本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、配線を簡素化できる検査システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の検査システムは、複数個の発光素子を有し該複数個の発光素子から光を放射して検査対象である物品を照明する照明器と、前記複数個の発光素子をN個(Nは2以上の自然数)のエリアに分けて該N個のエリア各々の照明期間に順次電流を供給して光を放射させる照明コントローラと、前記照明期間と同期する撮影期間で前記物品を順次撮影するカメラと、検査システム制御装置と、前記カメラから前記照明コントローラに又は前記照明コントローラから前記カメラにDCの電力を供給する第1配線ケーブルと、前記検査システム制御装置から前記カメラに又は前記検査システム制御装置から前記照明コントローラにDCの電力を供給する第2配線ケーブルと、を備え、前記カメラが撮影したN個の画像は、前記検査システム制御装置の中で又は該カメラの中で、画像間演算により又は画像間演算と画素間演算により1個の検査画像が再構成される。
【0008】
請求項2に記載の検査システムは、請求項1に記載の検査システムにおいて、前記画像間演算は、画素ごとに、N個のうちから1個の前記画像の輝度が選択される演算、又は、N個のうちから複数個の前記画像の輝度が選択されて加算される演算、又は、N個のうちから複数個の前記画像の輝度が選択されて平均化される演算である。
【0009】
請求項3に記載の検査システムは、請求項1又は2に記載の検査システムにおいて、前記第1配線ケーブルは、前記カメラから前記照明コントローラに、前記DCの電力を供給するとともに前記照明期間を制御する信号を伝送し、前記第2配線ケーブルは、前記検査システム制御装置から前記カメラに、前記DCの電力を供給するとともに前記撮影期間を制御する信号を伝送する。
【0010】
請求項4に記載の検査システムは、請求項1又は2に記載の検査システムにおいて、前記第1配線ケーブルは、前記照明コントローラから前記カメラに、前記DCの電力を供給するとともに前記撮影期間を制御する信号を伝送し、前記第2配線ケーブルは、前記検査システム制御装置から前記照明コントローラに、前記DCの電力を供給するとともに前記照明期間を制御する信号を伝送する。
【0011】
請求項5に記載の検査システムは、請求項1又は2に記載の検査システムにおいて、前記照明器は、赤色、緑色、青色の発光素子を前記N個のエリア毎に有しており、前記照明コントローラは、赤色、緑色、青色のうちの第1色の前記発光素子に対して前記N個のエリア各々の前記照明期間に順次電流を供給して光を放射させ、その後、前記第1色以外の第2色の前記発光素子に対して前記N個のエリア各々の前記照明期間に順次電流を供給して光を放射させ、その後、前記第1色及び第2色以外の第3色の前記発光素子に対して前記N個のエリア各々の前記照明期間に順次電流を供給して光を放射させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の検査システムによれば、配線を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る検査システムを示す概略外観図である。
図2】同上の検査システムの照明器の例を示す正面図である。
図3】同上の検査システムの照明器の例を示す回路図である。
図4】同上の検査システムの照明及び撮像のタイミングを簡略化して示す波形図である。
図5】同上の検査システムの照明コントローラの例を示すブロック図である。
図6A】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち1番目の画像を示す写真である。
図6B】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち2番目の画像を示す写真である。
図6C】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち3番目の画像を示す写真である。
図6D】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち4番目の画像を示す写真である。
図6E】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち5番目の画像を示す写真である。
図6F】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち6番目の画像を示す写真である。
図6G】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち7番目の画像を示す写真である。
図6H】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち8番目の画像を示す写真である。
図6I】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち9番目の画像を示す写真である。
図6J】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち10番目の画像を示す写真である。
図6K】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち11番目の画像を示す写真である。
図6L】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち12番目の画像を示す写真である。
図6M】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち13番目の画像を示す写真である。
図6N】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち14番目の画像を示す写真である。
図6O】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち15番目の画像を示す写真である。
図6P】同上の検査システムのカメラが撮影した画像の例であって、16個の画像のうち16番目の画像を示す写真である。
図7】同上の検査システムのカメラの例を示すブロック図である。
図8A】同上の検査システムの検査画像の例であって、画素ごとに1個の画像の輝度が選択されたものである。
図8B】同上の検査システムの検査画像の例であって、画素ごとに全て(16個)の画像の輝度が選択されて加算されたものである。
図8C】同上の検査システムの検査画像の例であって、画素ごとに全て(16個)の画像の輝度が選択されて平均化されたものである。
図9】同上の検査システムの検査システム制御装置の例を示すブロック図である。
図10】本発明の実施形態に係る他の検査システムを示す概略外観図である。
図11】同上の他の検査システムの照明コントローラの例を示すブロック図である。
図12】同上の他の検査システムのカメラの例を示すブロック図である。
図13】同上の他の検査システムの検査システム制御装置の例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る検査システム1は、図1に示すように、照明器2と照明コントローラ3とカメラ4と検査システム制御装置5と第1配線ケーブル6と第2配線ケーブル7とを備えている。なお、図1においては、照明器2により物品Mを照明してカメラ4で撮影する状態を示している。図1においては、物品Mとしてコーヒーのボトルを例示しており、照明器2は物品Mの奥側に配置されて光を放射する面(正面)が手前に傾いており、カメラ4は物品Mの上側に配置されている。また、通常、検査システム制御装置5は、比較的遠くに離れている。
【0015】
照明器2は、複数個の発光素子(LEDなど)20を有している。複数個の発光素子20から光を放射して検査対象である物品Mを照明する。照明器2は、複数個の発光素子20が面状に(縦横に)配置された面照明器やライン状に配置されたライン照明器やリング状に配置されたリング照明器などが可能である。なお、図1及び後述する図2に示す照明器2は、面照明器であり、面状に縦12×横16の192個の発光素子20が配置されている。
【0016】
照明器2は、図2に示すようなN個のエリア2A~2Aに分けて電流が供給されることで、エリア2A~2Aの各々(つまり、各エリア2AJ(Jは1~Nのいずれかの自然数))毎に光が放射されるようにすることができる。なお、図2においては、破線が各エリア2AJの区切りを示し、Nを16とし、各エリア2AJの発光素子20は縦3×横4の12個としている。
【0017】
照明器2は、複数個の発光素子20が並列及び/又は直列に接続されている。照明器2は、図3に示すように、各エリア2A毎に、電流流入端子2Iと電流流出端子2Oが設けられるようにすることができる。なお、図3において、符号21で示すものは電流制限用の抵抗である。電流流入端子2Iと電流流出端子2Oのどちらか一方は、エリア2A~2A間で共通にすることも可能である。
【0018】
照明コントローラ3は、複数個の発光素子20をN個のエリア2A~2Aに分けて各エリア2Aの照明期間Taに順次電流Iを供給して光を放射させる。
【0019】
照明コントローラ3は、第1配線ケーブル6によりDC(直流)の電力が供給されることで動作する。照明コントローラ3では、供給されたDCの電力は、電圧がそのままで或いは昇圧又は降圧されて用いられる。
【0020】
また、照明期間Taは、後述する撮影期間Tdと同期しており、照明期間Taは、第1配線ケーブル6により伝送される照明期間Taを制御する信号(撮影期間Tdと照明期間Taの同期信号SYを含む)によって制御される。(図4参照)。照明期間Taは、予め設定され、例えば、5ミリ秒~20ミリ秒とすることができる。電流の供給は、PWMのパルス電流を用いることができる。PWMの周期Tbは、例えば、約8マイクロ秒とすることができる。PWMのパルス幅Tcは、予め設定された調光の階調に応じた時間幅である。なお、図4においては、上記の周期Tb及びパルス幅Tcは、理解し易いように、拡大して示している。
【0021】
照明コントローラ3は、その詳細な構成が特に限定されるものではないが、例えば、図5に示すように、CPU31、プログラム部32、設定値記憶部33、ワークメモリ部34、インターフェイス部35、設定部36、照明器電流供給部37を有するようにできる。照明コントローラ3では、CPU31によって、プログラム部32に記憶されたプログラムに従い、ワークメモリ部34が用いられながら各部が制御される。
【0022】
インターフェイス部35は、第1配線ケーブル6が接続される部分である。第1配線ケーブル6は、DCの電力を供給する電源線6DC、照明期間Taを制御する信号の信号線6SI、接地線6GNDを有するようにすることができ、その各々が接続される端子をインターフェイス部35に設けることができる。信号線6SIは、1本又は複数本である。
【0023】
設定部36は、設定ダイヤル36Dなどで設定された上記の照明期間Taやパルス幅Tcなどの値を設定値記憶部33に記憶させるようにできる。設定値記憶部33は、不揮発性メモリなどを用いることができる。照明器電流供給部37は、照明器2の各エリア2Aの電流流入端子2Iと電流流出端子2Oのそれぞれに接続される照明器電流流出端子37O、照明器電流流入端子37Iが設けられるようにすることができる。
【0024】
なお、照明コントローラ3と照明器2は、別体にしてコネクト部材8(配線ケーブルなど)で結合されるようにしてもよいし、又は、一体化してもよい。
【0025】
次に、カメラ4を説明する。
【0026】
カメラ4は、第1配線ケーブル6を介して照明コントローラ3にDCの電力を供給する。DCの電力は、例えば、電圧が3.3Vや5Vなどである。
【0027】
カメラ4は、それから外部に供給可能な電力は少量である。一方、照明コントローラ3は、照明器2の各エリア2Aに順次(一挙にではなく)電流Iを供給することによって、必要な電力が少なくて済む。よって、カメラ4は、照明コントローラ3への必要な電力の供給が可能となっている。
【0028】
このように、照明コントローラ3は、AC電源配線ケーブルを接続せず、カメラ4からの第1配線ケーブル6を接続するだけでよいことになる。それにより、配線を簡素化することができる。
【0029】
また、カメラ4は、第1配線ケーブル6を介して照明コントローラ3に同期信号SYを含む照明期間Taを制御する信号を送る。
【0030】
そして、カメラ4は、照明期間Taと同期する撮影期間Tdで物品Mを順次撮影する(図4参照)。つまり、カメラ4から伝送されて来た同期信号SYに同期して照明期間Taに照明器2のエリア2Aから光が放射され、カメラ4が撮影期間Tdで撮影する。なお、図4においては、撮影をオンする信号をPHで示している。
【0031】
そうすると、照明が違うだけで同じ位置から同じ物品Mを撮影したN個の画像が得られる。例えば、Nが16の場合、図6A図6Pに示すような16個の画像が得られる。なお、図6Aが照明器2のエリア2Aが光を放射したときの写真、図6Bが照明器2のエリア2Aが光を放射したときの写真、図6Cが照明器2のエリア2Aが光を放射したときの写真、図6Dが照明器2のエリア2Aが光を放射したときの写真、図6Eが照明器2のエリア2Aが光を放射したときの写真、図6Fが照明器2のエリア2Aが光を放射したときの写真、図6Gが照明器2のエリア2Aが光を放射したときの写真、図6Hが照明器2のエリア2Aが光を放射したときの写真、図6Iが照明器2のエリア2Aが光を放射したときの写真、図6Jが照明器2のエリア2A10が光を放射したときの写真、図6Kが照明器2のエリア2A11が光を放射したときの写真、図6Lが照明器2のエリア2A12が光を放射したときの写真、図6Mが照明器2のエリア2A13が光を放射したときの写真、図6Nが照明器2のエリア2A14が光を放射したときの写真、図6Oが照明器2のエリア2A15が光を放射したときの写真、図6Pが照明器2のエリア2A16が光を放射したときの写真、である。
【0032】
カメラ4は、第2配線ケーブル7からDC(直流)の電力が供給されることで動作する。カメラ4では、供給されたDCの電力は、電圧がそのままで或いは昇圧又は降圧されて用いられる。また、カメラ4は、上記のように、第1配線ケーブル6を介して照明コントローラ3にDCの電力を供給するが、照明コントローラ3に供給するDCの電力の電圧は、第2配線ケーブル7から供給されたDCの電力の電圧と同じであってもよいし、昇圧又は降圧されたものであってもよい。
【0033】
また、カメラ4における撮影期間Tdは、第2配線ケーブル7により伝送される撮影期間Tdを制御する信号によって制御される。カメラ4から照明コントローラ3に伝送される同期信号SYは、撮影期間Tdに同期してカメラ4内で生成されるようにしてもよいし、第2配線ケーブル7により伝送されて来るようにしてもよい。
【0034】
また、カメラ4が撮影したN個の画像(又は後述する1個の検査画像)は、第2配線ケーブル7を介して後に詳述する検査システム制御装置5に伝送される。
【0035】
カメラ4は、その詳細な構成が特に限定されるものではないが、例えば、図7に示すように、CPU41、プログラム部42、ワークメモリ部43、第1インターフェイス部44、第2インターフェイス部45、撮像部46を有するようにできる。カメラ4では、CPU41によって、プログラム部42に記憶されたプログラムに従い、ワークメモリ部43が用いられながら各部が制御される。
【0036】
第1インターフェイス部44は、第1配線ケーブル6の上記の電源線6DC、照明期間Taを制御する信号の信号線6SI、接地線6GNDの各々が接続される端子を設けることができる。
【0037】
第2インターフェイス部45は、第2配線ケーブル7が接続される部分である。第2配線ケーブル7は、DCの電力を供給する電源線7DC、撮影期間Tdを制御する信号や画像などを伝送する信号線7SI、接地線7GNDを有するようにすることができ、その各々が接続される端子を第2インターフェイス部45に設けることができる。信号線7SIは、通常、複数本である。
【0038】
撮像部46は、撮像機構46Mにより上記の撮影期間Tdで撮影する。図6A図6Pに示したようにモノクロで撮像することができる。
【0039】
次に、検査システム制御装置5を説明する。検査システム制御装置5の中では、N個の画像は、画像間演算により又は画像間演算と画素間演算により1個の検査画像が再構成される。検査画像は、検査システム1を用いる検査者が見る画像である。なお、画像間演算とは、複数個の画像の間での演算を言い、画素間演算とは、画像を形成している隣接画素の間での演算を言う。
【0040】
画像間演算は、具体例としては、画素ごとにN個のうちから1個の画像の輝度が選択される演算とすることができる。例えば、Nが16の場合、各画素において輝度がK番目(Kは1~16のいずれかの自然数)に高い輝度が選択されるようにできる。そうすると、照明器2のN個のエリア2A~2Aで一挙に光が放射されて得られた画像と同等な図8Aに示すような1個の検査画像が再構成される。なお、Kをどの数にするかによって、様々な検査画像が取得可能である。図8Aにおいては、Kは8としている。
【0041】
また、画像間演算は、具体例としては、画素ごとにN個のうちから複数個の画像の輝度が選択されて加算される演算とすることもできる。例えば、Nが16の場合、各画素において輝度がK番目(Kは1~16のいずれかの自然数)に高い輝度からL番目(LはKよりも大きい2~16のいずれかの自然数)に高い輝度が選択されて加算されるようにできる。そのようにしても、照明器2のN個のエリア2A~2Aで一挙に光が放射されて得られた画像と同等な1個の検査画像が再構成される。なお、K及びLをどの数にするかによって、様々な検査画像が取得可能である。
【0042】
例えば、Kを1、Lを16にして各画素において全て(16個)の画像の輝度が選択されて加算されるようにすると、図8Bに示すような1個の検査画像が再構成される。
【0043】
また、画像間演算は、具体例としては、画素ごとにN個のうちから複数個の画像の輝度が選択されて平均化される演算とすることもできる。例えば、Nが16の場合、各画素において輝度がK番目(Kは1~16のいずれかの自然数)に高い輝度からL番目(LはKよりも大きい2~16のいずれかの自然数)に高い輝度が選択されて平均化されるようにできる。そのようにしても、照明器2のN個のエリア2A~2Aで一挙に光が放射されて得られた画像と同等な1個の検査画像が再構成される。なお、K及びLをどの数にするかによって、様々な検査画像が取得可能である。
【0044】
例えば、Kを1、Lを16にして各画素において全て(16個)の画像の輝度が選択されて平均化されるようにすると、図8Cに示すような1個の検査画像が再構成される。
【0045】
画像間演算の上記の具体例は、更に様々な画素間演算を組み合わせることで1個の検査画像を再構成することも可能である。
【0046】
なお、上記の検査画像の再構成は、検査システム制御装置5の中ではなく、カメラ4の中で行うことも可能である。また、検査システム制御装置5は、表示装置に検査画像を送ったり検査システム1外のシステムとデータをやり取りしたりするなど様々な処理が可能である。
【0047】
検査システム制御装置5は、その詳細な構成が特に限定されるものではないが、例えば、図9に示すように、CPU51、プログラム部52、ワークメモリ部53、インターフェイス部54、電源部55を有するようにできる。検査システム制御装置5では、CPU51によって、プログラム部52に記憶されたプログラムに従い、ワークメモリ部53が用いられながらインターフェイス部54等が制御される。プログラム部52には、検査画像の再構成のプログラムが含まれる。
【0048】
インターフェイス部54は、第2配線ケーブル7の上記の電源線7DC、信号線7SI、接地線7GNDの各々が接続される端子を設けることができる。
【0049】
電源部55は、AC電源配線ケーブル9が接続され、AC電源から検査システム制御装置5用のDC電源が生成されて検査システム制御装置5内の各部に供給される。
【0050】
次に、本発明の実施形態に係る他の検査システム1’について説明する。この検査システム1’は、図10に示すように、照明器2と照明コントローラ3’とカメラ4’と検査システム制御装置5’と第1配線ケーブル6’と第2配線ケーブル7’とを備えている。照明器2は、上記と同様のものである。照明コントローラ3’とカメラ4’と検査システム制御装置5’と第1配線ケーブル6’と第2配線ケーブル7’はそれぞれ、上記の照明コントローラ3とカメラ4と検査システム制御装置5と第1配線ケーブル6と第2配線ケーブル7に対応するものであるが、検査システム1’は、外観的には、第2配線ケーブル7’の配線の仕方が検査システム1における第2配線ケーブル7の配線の仕方とは異なる。そのため、照明コントローラ3’とカメラ4’と検査システム制御装置5’と第1配線ケーブル6’と第2配線ケーブル7’はそれぞれ、以下の点で、照明コントローラ3とカメラ4と検査システム制御装置5と第1配線ケーブル6と第2配線ケーブル7と異なる。
【0051】
照明コントローラ3’は、第2配線ケーブル7’によりDC(直流)の電力が供給されることで動作し、第2配線ケーブル7’により伝送される照明期間Taを制御する信号によって制御される。また、照明コントローラ3’は、第1配線ケーブル6’を介してカメラ4’に同期信号SYを含む撮影期間Tdを制御する信号を送る。この同期信号SYは、照明期間Taに同期して照明コントローラ3’内で生成されるようにしてもよいし、第2配線ケーブル7’により伝送されて来るようにしてもよい。また、照明コントローラ3’は、カメラ4’が撮影したN個の画像(又は1個の検査画像)を第1配線ケーブル6’を介して受け取り、第2配線ケーブル7’を介して検査システム制御装置5’に伝送する。
【0052】
このように、照明コントローラ3’は、照明器2の各エリア2Aに順次(一挙にではなく)電流Iを供給することによって、必要な電力が少なくて済むので、AC電源配線ケーブルを接続せず、検査システム制御装置5’からの第2配線ケーブル7’を接続し、カメラ4’に向けて第1配線ケーブル6’を接続するだけでよいことになる。それにより、配線を簡素化することができる。
【0053】
照明コントローラ3’の詳細な構成は、照明コントローラ3におけるインターフェイス部35の代わりに、図11に示すように、第1インターフェイス部35Aと第2インターフェイス部35Bを有するようにできる。第1インターフェイス部35Aは、第1配線ケーブル6’が接続される部分である。第1配線ケーブル6’は、DCの電力を供給する電源線6DC’、撮影期間Tdを制御する信号や画像などを伝送する信号線6SI’、接地線6GND’を有するようにすることができ、その各々が接続される端子を第1インターフェイス部35Aに設けることができる。信号線6SI’は、通常、複数本である。
【0054】
第2インターフェイス部35Bは、第2配線ケーブル7’が接続される部分である。第2配線ケーブル7’は、DCの電力を供給する電源線7DC’、照明期間Taを制御する信号や画像などを伝送する信号線7SI’、接地線7GND’を有するようにすることができ、その各々が接続される端子を第2インターフェイス部35Bに設けることができる。信号線7SI’は、通常、複数本である。
【0055】
カメラ4’は、第1配線ケーブル6’からDC(直流)の電力が供給されることで動作する。カメラ4’が撮影したN個の画像(又は1個の検査画像)は、上記のように、第1配線ケーブル6’と第2配線ケーブル7’を介して検査システム制御装置5’に伝送される。
【0056】
カメラ4’の詳細な構成は、カメラ4における第2インターフェイス部45がなく、また、第1インターフェイス部44の代わりに、図12に示すように、インターフェイス部44’を有するようにできる。インターフェイス部44’は、第1配線ケーブル6’の上記の電源線6DC’、信号線6SI’、接地線6GND’の各々が接続される端子を設けることができる。
【0057】
検査システム制御装置5’の詳細な構成は、検査システム制御装置5におけるインターフェイス部54の代わりに、図13に示すように、インターフェイス部54’を有するようにできる。インターフェイス部54’は、第2配線ケーブル7’の上記の電源線7DC’、信号線7SI’、接地線7GND’の各々が接続される端子を設けることができる。
【0058】
次に、上記検査システム1及び1’の照明器2がカラー照明の場合について説明する。この場合、カメラ4(又は4’)は、モノクロで撮像することができる。
【0059】
照明器2は、赤色、緑色、青色の発光素子20をN個のエリア2A~2A毎に有している。そして、赤色、緑色、青色の発光素子20について、エリア2A~2A毎に、電流流入端子2I~2Iと電流流出端子2O~2Oが設けられるようにすることができる。
【0060】
照明コントローラ3(又は3’)は、赤色、緑色、青色のうちの第1色の発光素子20に対してN個のエリア2A~2A各々の照明期間Taに順次電流を供給して光を放射させ、その後、前記第1色以外の第2色の発光素子20に対してN個のエリア2A~2A各々の照明期間Taに順次電流を供給して光を放射させ、その後、前記第1色及び第2色以外の第3色の前記発光素子に対してN個のエリア2A~2A各々の照明期間Taに順次電流を供給して光を放射させる。
【0061】
カメラ4(又は4’)は、上記と同様にして、撮影期間Tdで順次撮影する。検査システム制御装置5(又は5’)では、赤色、緑色、青色について上記と同様にして1個の検査画像が再構成され、更にそれら3個の検査画像が合成されるようにできる。その結果、1個のカラーの検査画像が生成されるようにできる。
【0062】
以上、本発明の実施形態に係る検査システムについて説明したが、本発明は、実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、配線の簡素化の効果は少なくなるが、検査システム1’においては、第3配線ケーブルを有するようにして、カメラ4’が撮影したN個の画像(又は1個の検査画像)を第3配線ケーブルを介して直接検査システム制御装置5’に伝送するようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0063】
1、1’ 検査システム
2 照明器
20 発光素子
21 抵抗
2A(2A~2A) エリア
2I(2I~2I) 電流流入端子
2O(2O~2O) 電流流出端子
3、3’ 照明コントローラ
31 CPU
32 プログラム部
33 設定値記憶部
34 ワークメモリ部
35 インターフェイス部
35A 第1インターフェイス部
35B 第2インターフェイス部
36 設定部
36D 設定ダイヤル
37 照明器電流供給部
37I(37I~37I) 照明器電流流入端子
37O(37O~37O) 照明器電流流出端子
4、4’ カメラ
41 CPU
42 プログラム部
43 ワークメモリ部
44 第1インターフェイス部
44’ インターフェイス部
45 第2インターフェイス部
46 撮像部
46M 撮像機構
5、5’ 検査システム制御装置
51 CPU
52 プログラム部
53 ワークメモリ部
54、54’ インターフェイス部
55 電源部
6、6’ 第1配線ケーブル
6DC、6DC’ 電源線
6SI、6SI’ 信号線
6GND、6GND’ 接地線
7、7’ 第2配線ケーブル
7DC、7DC’ 電源線
7SI、7SI’ 信号線
7GND、7GND’ 接地線
8 コネクト部材
9 AC電源配線ケーブル
(I~I) 電流
M 物品
PH 撮影をオンする信号
SY 同期信号
Ta 照明期間
Tb PWMの周期
Tc PWMのパルス幅
Td 撮影期間
【要約】
【課題】配線を簡素化できる検査システムを提供する。
【解決手段】この検査システム1は、複数個の発光素子20から光を放射して検査対象である物品Mを照明する照明器2と、複数個の発光素子20をN個のエリアに分けて各々の照明期間で順次電流を供給して光を放射させる照明コントローラ3と、照明期間と同期する撮影期間で物品Mを順次撮影するカメラ4と、検査システム制御装置5と、カメラ4から照明コントローラ3にDCの電力を供給する第1配線ケーブル6と、検査システム制御装置5からカメラにDCの電力を供給する第2配線ケーブル7と、を備え、カメラ4が撮影したN個の画像は、画像間演算により又は画像間演算と画素間演算により1個の検査画像が再構成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図6K
図6L
図6M
図6N
図6O
図6P
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13