(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】容器用出口構造、容器、及び容器の使用方法
(51)【国際特許分類】
B05C 17/005 20060101AFI20221201BHJP
B65D 47/34 20060101ALI20221201BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B05C17/005
B65D47/34 200
B65D83/00 M
(21)【出願番号】P 2022124693
(22)【出願日】2022-08-04
【審査請求日】2022-08-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515161102
【氏名又は名称】株式会社アルチザンラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】柴田 和彦
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-128213(JP,A)
【文献】実開平5-54203(JP,U)
【文献】特開平7-300101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B1/00-17/08
B05C5/00-21/00
B65D83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を入口側端部から流入させ出口側端部から流出させる中空の可撓性のチューブと、
前記チューブの長手方向の一部において、前記チューブの外周を覆うとともに、前記チューブの長手方向に沿って変位可能に設けられる筒部と、
常態において前記筒部よりも前記チューブの出口側に設けられ、前記チューブを圧縮して前記チューブ内の前記流体の流路を遮断する遮断機構と、
を備え、
前記遮断機構は、流体吐出時に、前記遮断機構の圧縮力に抗して前記筒部を前記チューブの出口側に変位させることで前記流路の遮断を解除可能に構成されている容器用出口構造。
【請求項2】
一端が前記筒部に揺動可能に支持されるとともに、他端を初期位置から移動させることにより前記筒部を前記チューブの出口側に変位させるトリガー部と、
前記トリガー部に接続され、前記トリガー部の他端を前記初期位置に復帰するように付勢する弾性体と、を備える請求項1に記載の容器用出口構造。
【請求項3】
前記遮断機構は、ローラと、前記ローラに接続され、前記ローラを前記チューブに対して常時前記流路を遮断する方向に付勢する付勢手段と、を備えている請求項1又は2に記載の容器用出口構造。
【請求項4】
前記遮断機構は、一端側を前記チューブに対して常時前記流路を遮断する方向に付勢する板ばねである請求項1又は2に記載の容器用出口構造。
【請求項5】
前記流体はゲルである請求項1又は2に記載の容器用出口構造。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の容器用出口構造と、
前記容器用出口構造が取り付けられ、前記流体を収容可能な容器本体と、を備える容器。
【請求項7】
流体を入口側端部から流入させ出口側端部から流出させる中空の可撓性のチューブと、前記チューブの長手方向の一部において、前記チューブの外周を覆うとともに、前記チューブの長手方向に沿って変位可能に設けられる筒部と、常態において前記筒部よりも前記チューブの出口側に設けられ、前記チューブを圧縮して前記チューブ内の前記流体の流路を遮断する遮断機構と、を備える容器用出口構造、及び前記容器用出口構造が取り付けられ、前記流体を収容可能な容器本体を備える容器の使用方法において、
流体吐出時に、前記遮断機構の圧縮力に抗して前記筒部を前記チューブの出口側に変位させることで前記遮断機構による前記流路の遮断を解除する遮断解除工程を有する容器の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器用出口構造、容器、及び容器の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば医療分野では、超音波を検査対象に当てて検査対象から生じる反響を画像化し、得られた画像に基づいて検査を行う検査法(超音波検査)が広く用いられている。また、超音波検査を行うための超音波検査装置に関する技術も開発されている。超音波検査装置に関する技術としては、例えば下記の特許文献1に記載の技術が挙げられる。超音波検査に当たっては、一般的にプローブと接触面との間に空気が存在しないように接触面にゲル(ゼリー)を塗布する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ゲルを収容した容器において、容器下方にゲルが溜まっている場合、溜まったゲルを容器から振って取り出すのに手間がかかる。また、容器を振ってしまうとゲルに泡が混入してしまい、エコーをジャミングしてしまう問題もある。
【0005】
また、使用したいときにすぐに使用できるよう容器の出口を開けたままにしておくと、ゲル中の水分が過剰に蒸発してしまって、ゲルが乾燥して固まってしまう。この場合、容器内のゲルが乾燥して使用できなくなってしまう。また、容器の出口付近にゲルが残留していると、乾いたゲルによって容器の出口を塞いでしまう可能性がある。一方で、ゲルの乾燥を防ぐために容器の出口を細くしてしまうと、ゲルを取り出す際にゲルに気泡が混入したり、ゲルが勢いよく飛び出したりしてしまうため、検査に支障を生じやすくなる。また、はちみつ、油、洗剤、マヨネーズ、又はケチャップを収容した容器など、同様の問題は日常生活において広汎に生じている。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、容器内部における流体の乾燥と容器内部への細菌の侵入を抑制することができ、容器の出口付近に残留する流体を可及的に少なくすることができる容器用出口構造及びこれを用いた容器の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様に係る容器用出口構造は、流体を入口側端部から流入させ出口側端部から流出させる中空の可撓性のチューブと、前記チューブの長手方向の一部において、前記チューブの外周を覆うとともに、前記チューブの長手方向に沿って変位可能に設けられる筒部と、常態において前記筒部よりも前記チューブの出口側に設けられ、前記チューブを圧縮して前記チューブ内の前記流体の流路を遮断する遮断機構と、を備え、前記遮断機構は、流体吐出時に、前記遮断機構の圧縮力に抗して前記筒部を前記チューブの出口側に変位させることで前記流路の遮断を解除可能に構成されている。
【0008】
本発明の容器用出口構造では、常態において、チューブの出口側が遮断機構により圧縮され、流体の流路が遮断されている。また、流体吐出時には、遮断機構の圧縮力に抗して筒部をチューブの出口側に変位させることで、流路の遮断が解除可能に構成されている。これにより、通常は流体の出口を閉鎖し、必要時にのみ流体の出口を開放することができる。従って、容器内部やチューブ内における流体の乾燥と容器内部やチューブ内への細菌の侵入を抑制することができる。
【0009】
また、チューブの外周を覆う筒部をチューブの出口側に変位させて遮断機構による流路の遮断を解除する構成としたことで、遮断機構によるチューブの圧縮を筒部にて確実に防ぐことができる。従って、チューブの内部流路を確保することで流体を確実にチューブから流出させることができる。また、流体の出口の太さを十分に確保することができる。これにより、流体としてゲル等を用いた場合において出口が細いことにより、流体が勢いよく飛び出したり、流体に気泡が混入したりしてしまうことを抑制することができる。また、筒部をもとの位置(チューブの入口側)に戻すことで遮断機構がチューブを再び圧縮する。このとき、遮断機構がチューブを圧縮してしごくため、チューブ内部に残留した流体を絞り出すことができる。これにより、チューブの出口(容器の出口)付近に残留する流体を可及的に少なくすることができる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る容器用出口構造は、第1の態様に係る容器用出口構造において、一端が前記筒部に揺動可能に支持されるとともに、他端を初期位置から移動させることにより前記筒部を前記チューブの出口側に変位させるトリガー部と、前記トリガー部に接続され、前記トリガー部の他端を前記初期位置に復帰するように付勢する弾性体と、を備えていてもよい。
【0011】
このようにすれば、必要時にトリガー部の他端を手で引く等してトリガー部を操作することで、流路の遮断を解除し流体の出口を開放して、容器から流体を取り出すことができる。また、トリガー部から手を離せば、弾性体によりトリガー部の他端が自動的に初期位置に復帰するため、自動的に流路が再び遮断され、流体の出口を閉鎖することができる。従って、チューブ内や容器内部の流体の乾燥とチューブ内や容器内部への細菌の侵入を容易に防ぐことができる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る容器用出口構造は、第1の態様又は第2の態様に係る容器用出口構造において、前記遮断機構は、ローラと、前記ローラに接続され、前記ローラを前記チューブに対して常時前記流路を遮断する方向に付勢する付勢手段と、を備える態様としてもよい。
【0013】
このようにすれば、ローラの曲面でチューブに圧力を加えることができるため、平面で圧力を加える場合に比べ、狭い範囲に大きな圧力を加えることができる。従って、チューブをより強い圧力でしごくことができるため、チューブ内の流体の残留をより効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る容器用出口構造は、第1の態様又は第2の態様に係る容器用出口構造において、前記遮断機構は、一端側を前記チューブに対して常時前記流路を遮断する方向に付勢する板ばねである態様としてもよい。
【0015】
このようにすれば、板ばねの端部からチューブに圧力を加えることができるため、平面で圧力を加える場合に比べ、狭い範囲に大きな圧力を加えることができる。従って、チューブをより強い圧力でしごくことができるため、チューブ内の流体の残留をより効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る容器用出口構造は、第1の態様から第4の態様のいずれかに係る容器用出口構造において、前記流体はゲルである態様としてもよい。
【0017】
本発明の容器用出口構造はチューブの出口付近の流体の残留を可及的に少なく留めることができるため、流体としてゲルを収容する容器に特に好適に適用することができる。特に、チューブ内やチューブの出口付近に残留したゲルが乾燥して固化し、チューブを塞いでしまうという問題の発生を抑制することができる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る容器は、第1の態様から第5の態様のいずれかに係る容器用出口構造と、前記容器用出口構造が取り付けられ、前記流体を収容可能な容器本体と、を備える。
【0019】
本発明の容器用出口構造を適用した容器であれば、出口付近への流体の残留を可及的に少なく留めることができ、また容器内部の流体の乾燥と容器内部への細菌の侵入を抑制することができる。
【0020】
本発明の第7の態様に係る容器の使用方法は、流体を入口側端部から流入させ出口側端部から流出させる中空の可撓性のチューブと、前記チューブの長手方向の一部において、前記チューブの外周を覆うとともに、前記チューブの長手方向に沿って変位可能に設けられる筒部と、常態において前記筒部よりも前記チューブの出口側に設けられ、前記チューブを圧縮して前記チューブ内の前記流体の流路を遮断する遮断機構と、を備える容器用出口構造、及び前記容器用出口構造が取り付けられ、前記流体を収容可能な容器本体を備える容器の使用方法において、流体吐出時に、前記遮断機構の圧縮力に抗して前記筒部を前記チューブの出口側に変位させることで前記遮断機構による前記流路の遮断を解除する遮断解除工程を有する。
【0021】
本発明では、容器用出口構造において、常態において、チューブの出口側が遮断機構により圧縮され、流体の流路が遮断されている。また、流体吐出時には、遮断解除工程において、遮断機構の圧縮力に抗して筒部をチューブの出口側に変位させることで、流路の遮断が解除可能に構成されている。これにより、通常は流体の出口を閉鎖し、必要時にのみ流体の出口を開放することができる。従って、容器内部やチューブ内における流体の乾燥と容器内部やチューブ内への細菌の侵入を抑制することができる。
【0022】
また、チューブの外周を覆う筒部をチューブの出口側に変位させて遮断機構による流路の遮断を解除する構成としたことで、遮断機構によるチューブの圧縮を筒部にて確実に防ぐことができる。従って、チューブの内部流路を確保することで流体を確実にチューブから流出させることができる。また、流体の出口の太さを十分に確保することができる。これにより、流体としてゲル等を用いた場合において出口が細いことにより、流体が勢いよく飛び出したり、流体に気泡が混入したりしてしまうことを抑制することができる。また、筒部をもとの位置(チューブの入口側)に戻すことで遮断機構がチューブを再び圧縮する。このとき、遮断機構がチューブを圧縮してしごくため、チューブ内部に残留した流体を絞り出すことができる。これにより、チューブの出口(容器の出口)付近に残留する流体を可及的に少なくすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の容器用出口構造及びこれを用いた容器の使用方法であれば、簡易な方式にて、容器内部における流体の乾燥と容器内部への細菌の侵入を抑制することができ、容器の出口付近に残留する流体を可及的に少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る容器用出口構造において、トリガー部を初期位置とした状態を示す側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る容器用出口構造において、トリガー部を揺動位置とした状態を示す側面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る容器用出口構造において、遮断機構近傍の部分を拡大した側面図である。
【
図5】本発明の容器用出口構造を適用した容器の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る容器用出口構造、容器、及び容器の使用方法について、図面を参照して説明する。
【0026】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
本実施形態の容器1は、
図5に示すように、流体を収容する容器本体2と、容器本体2の上端に取り付けられ、容器本体2に収容された流体を吐出させるトリガー式の吐出部3と、を備えている。吐出部3の下端には容器本体2との接続のための接続部4を備えており、接続部4と容器本体2の上端とが例えばねじ接続により接続される。吐出部3には出口部5が設けられ、出口部5から流体が吐出される。容器本体2の内部には、流体が収容される。流体としては、液体、半固体、固体等特に限定されないが、例えば超音波エコー検査に使用するゲル等の流体が収容される。
【0027】
吐出部3は、後述で詳細に説明するトリガー部13を備えた容器用出口構造10を備えている。容器用出口構造10のトリガー部13を容器本体2側に引くことにより、吐出部3に設けられた不図示のポンプ部を介して容器本体2に収容された流体が吸い出され、吐出部3の出口部5から流体が吐出される。
【0028】
図1には、本実施形態に係る容器用出口構造10が示されている。容器用出口構造10は、中空の可撓性のチューブ11を備えている。チューブ11は、断面円形で、その入口側端部から、
図1中不図示の容器本体2の内部に収容された流体を内部に流入可能に構成されている。また、チューブ11の出口側端部からは、チューブ11の入口側端部から流入した流体を流出可能に構成されている。
【0029】
容器用出口構造10は、チューブ11の長手方向の一部において、チューブ11の外周を覆う筒部12を備えている。筒部12は、チューブ11の長手方向に沿って変位可能に設けられる。筒部12の材質としては、例えば後述する遮断機構17の圧縮力に抗する強度を有する材料が適宜選択され、例えば金属製とされる。
【0030】
図3に示すように、チューブ11は、長手方向の一部分において、筒部12により外周側の全周が覆われている。
図3に示される通り、筒部12は断面円形であり、チューブ11よりも大径となっている。チューブ11の外周面と筒部12との内周面との間は固定されていないため、筒部12はチューブ11に対して相対的に移動可能となっている。筒部12は例えば金属製で、チューブ11よりも厚みが薄いものとされる。
【0031】
図1に示すように、筒部12の中央部には、トリガー部13の一端が接続部14を介して揺動可能に支持されている。トリガー部13の中央部付近は、固定部15によりトリガー部13が回動可能となるように
図1中不図示の吐出部3に固定されている。接続部14による接続及び固定部15による固定は、特に限定されないが、例えばピン等により行われている。
【0032】
トリガー部13の固定部15よりも他端側には、弾性体16の一端が接続されている。弾性体16の他端は吐出部3に固定されている。トリガー部13の他端は、トリガー部13の一端(接続部14)及び固定部15よりも水平方向左側の初期位置P1に位置している。弾性体16は、トリガー部13の他端を初期位置P1に復帰するように付勢している。
【0033】
筒部12よりもチューブ11の出口側には、常態においてチューブ11を圧縮してチューブ11内の流体の流路を遮断する遮断機構17が設けられている。本実施形態においては、遮断機構17は、
図1中上下方向に設けられた2個のローラ18を備えている。各ローラ18には、付勢手段19が接続されており、チューブ11に対して常時流路を遮断する方向に付勢されている。即ち、
図1において、上側のローラ18は下方に付勢されており、下側のローラ18は上方に付勢されている。
【0034】
図2は、トリガー部13の他端を
図1の初期位置P1から揺動位置P2まで水平方向右側に移動させた状態を示している。トリガー部13の他端に対して弾性体16の付勢力とは反対の方向に力を付与することで、トリガー部13の他端を移動させることができる。トリガー部13の他端の移動に伴い、トリガー部13の一端は、固定部15を中心として揺動し、チューブ11の出口側(水平方向左側)に変位する。これに伴い、筒部12もチューブ11の出口側に変位する。
【0035】
トリガー部13の他端に力を付与して揺動位置P2まで移動させると、筒部12の剛性によってローラ18が付勢手段19による付勢方向とは逆方向に移動する。これにより、チューブ11がもとの断面円形の形状に戻り、流体の流路が開放される。トリガー部13の他端を移動させて揺動位置P2に位置させた状態においては、トリガー部13の他端は、トリガー部13の一端(接続部14)及び固定部15よりも水平方向右側(容器本体側)に位置している。このとき、筒部12はチューブ11の出口側端部までは覆っておらず、チューブ11の出口側端部は筒部12よりも
図2中水平方向左側に位置している。
【0036】
トリガー部13の他端への力の付与を解除すると、弾性体16の付勢力により、トリガー部13の他端が初期位置P1に復帰するように移動する。これに伴い、トリガー部13の一端もチューブ11の出口側とは反対側(水平方向右側)に変位する。これにより、筒部12もチューブ11の出口側とは反対側に変位することとなるため、遮断機構17のローラ18により再びチューブ11が圧縮され、流体の流路が遮断される。即ち、トリガー部13への力の付与を解除すると、自動的にチューブ11の出口が閉じられる。
【0037】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の容器用出口構造10では、常態において、チューブ11の出口側が遮断機構17により圧縮され、流体の流路が遮断されている。また、流体吐出時には、遮断機構17の圧縮力に抗して筒部12をチューブ11の出口側に変位させることで、流路の遮断が解除可能に構成されている。これにより、通常は流体の出口を閉鎖し、必要時にのみ流体の出口を開放することができる。従って、容器1内部やチューブ11内における流体の乾燥と容器1内部やチューブ11内への細菌の侵入を抑制することができる。
【0038】
また、チューブ11の外周を覆う筒部12をチューブ11の出口側に変位させて遮断機構17による流路の遮断を解除する構成としたことで、遮断機構17によるチューブ11の圧縮を筒部12にて確実に防ぐことができる。従って、チューブ11の内部流路を確保することで流体を確実にチューブ11から流出させることができる。また、流体の出口の太さを十分に確保することができる。これにより、流体としてゲル等を用いた場合において出口が細いことにより、流体が勢いよく飛び出したり、流体に気泡が混入したりしてしまうことを抑制することができる。また、筒部12をもとの位置(チューブ11の入口側)に戻すことで遮断機構17がチューブ11を再び圧縮する。このとき、遮断機構17がチューブ11を圧縮してしごくため、チューブ11内部に残留した流体を絞り出すことができる。これにより、チューブ11の出口(容器1の出口)付近に残留する流体を可及的に少なくすることができる。
【0039】
本実施形態の容器用出口構造10はトリガー部13と弾性体16とを備えるため、必要時にトリガー部13の他端を手で引く等してトリガー部13を操作することで、流路の遮断を解除し流体の出口を開放して、容器1から流体を取り出すことができる。また、トリガー部13から手を離せば、弾性体16によりトリガー部13の他端が自動的に初期位置P1に復帰するため、自動的に流路が再び遮断され、流体の出口を閉鎖することができる。従って、チューブ11内や容器1内部の流体の乾燥とチューブ11内や容器1内部への細菌の侵入を容易に防ぐことができる。
【0040】
本実施形態では、遮断機構17がローラ18と付勢手段19とを備えるため、ローラ18の曲面でチューブ11に圧力を加えることができる。従って、平面で圧力を加える場合に比べ、狭い範囲に大きな圧力を加えることができる。従って、チューブ11をより強い圧力でしごくことができるため、チューブ11内の流体の残留をより効果的に抑制することができる。
【0041】
本実施形態では、流体としてゲルを使用することができる。本実施形態の容器用出口構造10は、チューブ11の出口付近の流体の残留を可及的に少なく留めることができるため、流体としてゲルを収容する容器1に特に好適に適用することができる。特に、チューブ11内やチューブ11の出口付近に残留したゲルが乾燥して固化し、チューブ11を塞いでしまうという問題の発生を抑制することができる。なお、流体としては、ゲルに限定されず、はちみつ、油、洗剤、マヨネーズ、ケチャップ等を使用することもできる。
【0042】
本実施形態の容器用出口構造10を適用した容器1であれば、出口付近への流体の残留を可及的に少なく留めることができ、また容器1内部の流体の乾燥と容器1内部への細菌の侵入を抑制することができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る容器用出口構造20について、
図4を用いて説明する。
本実施形態の基本構成は、第1実施形態と基本的に同様であるが、第1実施形態とは、ローラ18及び付勢手段19を備える遮断機構17の代わりに遮断機構27としての板ばね28が設けられている点が異なっている。よって、本実施形態においては、この異なっている部分を説明し、その他の重複するものについては説明を省略する。
なお、第1実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその重複した説明を省略する。
【0044】
図4に示すように、本実施形態においては、
図4中上下方向に遮断機構27としての2個の金属製の板ばね28が設けられている。各板ばね28は、一端側がチューブ11に対して常時流路を遮断する方向に付勢するように設けられている。各板ばね28の他端側は
図4中不図示の吐出部3に固定されている。
【0045】
容器の不使用時には、各板ばね28の一端部により、チューブ11の出口側が圧縮されるため、チューブ11の流路が遮断されている。一方、容器の使用時には、
図4中不図示の筒部12によって各板ばね28の一端側が付勢方向とは逆方向に移動される。これにより、チューブ11の出口側の圧縮が解除されて流路が開放されるため、チューブ11の出口側端部から流体を流出させることができる。容器の使用が終わったら、筒部12がもとの位置に戻るため、再び各板ばね28の一端部により、チューブ11の出口側が圧縮され、流路が閉鎖される。
【0046】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態であれば、板ばね28の端部からチューブ11に圧力を加えることができるため、平面で圧力を加える場合に比べ、狭い範囲に大きな圧力を加えることができる。従って、チューブ11をより強い圧力でしごくことができるため、チューブ11内の流体の残留をより効果的に抑制することができる。
【0047】
次に、本発明の容器用出口構造を適用した容器の使用方法について説明する。一例として、上述した
図1に示す容器用出口構造10を適用した容器1の使用方法について説明する。
容器1から流体を取り出したいとき(流体吐出時)に、遮断解除工程を行う。遮断解除工程では、遮断機構17の圧縮力に抗して筒部12をチューブ11の出口側に変位させることで遮断機構17による流路の遮断を解除する。具体的には、トリガー部13の他端を
図1の初期位置P1から
図2の揺動位置P2まで水平方向右側に移動させることによって行う。
【0048】
トリガー部13の他端の移動は、例えば操作者がトリガー部13を手で握り、トリガー部13を手で引くことによって行う。これにより、遮断機構17による遮断が解除されるとともに、流体がチューブ11の入口側端部から出口側端部に送られ、容器1の吐出部3の出口部5から流体が吐出される。
【0049】
ここで、トリガー部13には、弾性体16により、トリガー部13の他端を初期位置P1に復帰するように付勢力が付与されている。従って、操作者がトリガー部13から手を離すと、弾性体16の付勢力によりトリガー部13の他端が
図1に示す初期位置P1に復帰する。これに伴い、トリガー部13の一端もチューブ11の出口側とは反対側(水平方向右側)に変位する。これにより、筒部12もチューブ11の出口側とは反対側に変位することとなるため、遮断機構17のローラ18により再びチューブ11が圧縮され、流体の流路が遮断される。即ち、操作者がトリガー部13から手を離すと、自動的にチューブ11の出口が閉じられる。
【0050】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態の容器1の使用方法では、容器用出口構造10において、常態において、チューブ11の出口側が遮断機構17により圧縮され、流体の流路が遮断されている。また、流体吐出時には、遮断解除工程において、遮断機構17の圧縮力に抗して筒部12をチューブ11の出口側に変位させることで、流路の遮断が解除可能に構成されている。これにより、通常は流体の出口を閉鎖し、必要時にのみ流体の出口を開放することができる。従って、容器1内部やチューブ11内における流体の乾燥と容器1内部やチューブ11内への細菌の侵入を抑制することができる。
【0051】
また、チューブ11の外周を覆う筒部12をチューブ11の出口側に変位させて遮断機構17による流路の遮断を解除する構成としたことで、遮断機構17によるチューブ11の圧縮を筒部12にて確実に防ぐことができる。従って、チューブ11の内部流路を確保することで流体を確実にチューブ11から流出させることができる。また、流体の出口の太さを十分に確保することができる。これにより、流体としてゲル等を用いた場合において出口が細いことにより、流体が勢いよく飛び出したり、流体に気泡が混入したりしてしまうことを抑制することができる。また、筒部12をもとの位置(チューブ11の入口側)に戻すことで遮断機構17がチューブ11を再び圧縮する。このとき、遮断機構17がチューブ11を圧縮してしごくため、チューブ11内部に残留した流体を絞り出すことができる。これにより、チューブ11の出口(容器1の出口)付近に残留する流体を可及的に少なくすることができる。
【0052】
上記各実施形態では、遮断機構としてローラ18や板ばね28を2個設けた構成を一例として挙げて説明したが、これに限定されない。具体的には、ローラ18や板ばね28を1個設けた構成としてもよく、3個以上設けた構成としても構わない。また、遮断機構もローラ18や板ばね28を用いた態様に限定されない。例えば遮断機構としてローラ18の代わりにチューブ11側が曲面状に突出した形状のピンを用いてチューブ11を圧縮する態様などが考えられる。
【0053】
また、上記各実施形態では、断面円形のチューブ11を例示して説明したが、これに限定されない。チューブ11の断面形状としては、円形のほか、楕円形、多角形等任意の形状とすることができる。例えばチューブ11の断面形状を星形とすることもできる。この場合、星形の凹みの部分にそれぞれローラ18を配置し(計5個配置)、五方向からチューブ11を圧縮する構成とすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 容器
2 容器本体
3 吐出部
4 接続部
5 出口部
10,20 容器用出口構造
11 チューブ
12 筒部
13 トリガー部
14 接続部
15 固定部
16 弾性体
17,27 遮断機構
18 ローラ
19 付勢手段
28 板ばね
P1 初期位置
P2 揺動位置
【要約】
【課題】容器内部における流体の乾燥と容器内部への細菌の侵入を抑制することができ、容器の出口付近に残留する流体を可及的に少なくすることができる容器用出口構造及びこれを用いた容器の使用方法を提供する。
【解決手段】容器用出口構造10は、流体を入口側端部から流入させ出口側端部から流出させる中空の可撓性のチューブ11と、チューブ11の長手方向の一部において、チューブ11の外周を覆うとともに、チューブ11の長手方向に沿って変位可能に設けられる筒部12と、常態において筒部12よりもチューブ11の出口側に設けられ、チューブ11を圧縮してチューブ11内の流体の流路を遮断する遮断機構17と、を備え、遮断機構17は、流体吐出時に、遮断機構17の圧縮力に抗して筒部12をチューブ11の出口側に変位させることで流路の遮断を解除可能に構成されている。
【選択図】
図1