(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】プログラム、方法、システム、および装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20221201BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20221201BHJP
F24F 7/10 20060101ALI20221201BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20221201BHJP
F24F 11/46 20180101ALI20221201BHJP
F24F 120/12 20180101ALN20221201BHJP
F24F 110/40 20180101ALN20221201BHJP
F24F 140/40 20180101ALN20221201BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F11/64
F24F7/10 Z
F24F11/74
F24F11/46
F24F120:12
F24F110:40
F24F140:40
(21)【出願番号】P 2022094116
(22)【出願日】2022-06-10
【審査請求日】2022-06-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113404402(CN,A)
【文献】特開2018-080905(JP,A)
【文献】特開2004-308312(JP,A)
【文献】特開2015-219003(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111411686(CN,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2010-0008316(KR,U)
【文献】特開平11-173630(JP,A)
【文献】特開平11-223370(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0040899(US,A1)
【文献】特開2019-203659(JP,A)
【文献】国際公開第2019/146121(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/241284(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/007
F24F 11/64
F24F 7/10
F24F 11/74
F24F 11/46
F24F 120/12
F24F 110/40
F24F 140/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有するコンピュータに用いられるプログラムであって、
前記プロセッサに、
居室内の風速をセンシングする1以上の風速センサから、センシングデータを取得する
ステップと、
取得した前記センシングデータを用いて、前記居室内に流れる空気の流路を作るために
給気口および排気口として複数設けられた通気デバイスの開度を制御するステップと、
前記居室内に配置され、前記空気の流路の内側における人の存在を検出するセンシングデータを取得するステップと、を実行させ、
前記通気デバイスの開度を制御するステップにおいて、前記空気の流路の内側に人の存在が検出された際に、前記通気デバイスを開く、プログラム。
【請求項2】
前記通気デバイスの開度を制御するステップでは、
複数の前記風速センサそれぞれで取得される前記センシングデータが、所定の範囲内となるように前記開度の制御量を決定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記通気デバイスの開度を制御するステップでは、
複数の前記風速センサそれぞれで取得される前記センシングデータの平均値が、所定の範囲内となるように前記開度の制御量を決定する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
プロセッサを有するコンピュータを備えたシステムが行う方法であって、
前記プロセッサが、
前記居室内の風速をセンシングする1以上の風速センサから、センシングデータを取得するステップと、
取得した前記センシングデータを用いて、前記居室内に流れる空気の流路を作るために給気口および排気口として複数設けられた通気デバイスの開度を制御するステップと、
前記居室内に配置され、前記空気の流路の内側における人の存在を検出するセンシングデータを取得するステップと、を実行し、
前記通気デバイスの開度を制御するステップでは、前記空気の流路の内側に人の存在が検出された際に、前記通気デバイスを開く、方法。
【請求項5】
居室内の風速をセンシングデータとして取得する1以上の風速センサと、
前記居室内に流れる空気の流路を作るために、給気口および排気口として複数設けられる通気デバイスと、
前記居室内に配置され、前記空気の流路の内側における人の存在を検出するセンシング手段と、
前記風速センサが取得した前記センシングデータを用いて、前記通気デバイスの開度を制御
し、前記空気の流路の内側に人の存在が検出された際に、前記通気デバイスを開く制御装置と、を備えるシステム。
【請求項6】
プロセッサを有するコンピュータを備えた通気装置であって、
前記プロセッサが、
居室内の風速をセンシングする1以上の風速センサから、センシングデータを取得するステップと、
取得した前記センシングデータを用いて、前記居室内に流れる空気の流路を作るために給気口および排気口として複数設けられた通気デバイスの開度を制御するステップと、
前記居室内に配置され、前記空気の流路の内側における人の存在を検出するセンシングデータを取得するステップと、を実行し、
前記通気デバイスの開度を制御するステップでは、前記空気の流路の内側に人の存在が検出された際に、前記通気デバイスを開く、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建物内の換気のために、外部の空気を取り込む装置が広く用いられている。
例えば、特許文献1には、ガラリを通過して建物内部の給気ダクトに進入した風の強さに応じて、換気口の開度を自動で調整する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、先行文献1に記載の装置は、建物内部の給気ダクトに進入した風の強さに応じて換気口の開度を調整する。このため、給気ダクトに進入した風が居室内に到達する過程において、空気の流れが減衰することで、居室内に空気の流れが充分に生じないことがあった。すなわちこの装置では、居室内にいる人にとって心地よい空気の流れを維持することに改善の余地があった。
【0005】
本開示の目的は、居室内に心地よい空気の流れを維持することができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
プロセッサを有するコンピュータに用いられるプログラムである。プログラムは、コンピュータのプロセッサに、居室内の風速をセンシングする1以上の風速センサから、センシングデータを取得するステップと、取得した前記センシングデータを用いて、居室内に流れる空気の流路を作るために給気口および排気口として複数設けられた通気デバイスの開度を制御するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、居室内に心地よい空気の流れを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る通気システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す通気システムが実際に使用される住宅の内部を示す模式図である。
【
図3】
図2に示す通気デバイスを、住宅の内側から見た図である。
【
図4】
図3に示す通気デバイスにおけるルーバの開閉動作を説明する図である。
【
図5】ルーバの開閉動作の他の例を説明する図である
【
図6】
図1に示す制御サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【
図7】実施形態に係る通気システムの処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】変形例に係る通気システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図9】変形例に係る通気システムが実際に使用される住宅の内部を示す模式図である。
【
図10】変形例に係る通気システムの処理の例を示すフローチャートである。
【
図11】その他の変形例の第1例に係る通気システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図12】その他の変形例の第1例に係る通気システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図13】コンピュータの基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
<概略>
本実施形態に係る通気システム1(以下、単にシステム1という)は、建物の内部に、外部から風を取り込む装置である。具体的には、システム1は、建物の内部に設けられた居室内の風速に応じて、給気口又は排気口として機能する後述する通気デバイス50の開度を自動で調節する機能を有する。
【0011】
以下の説明では、一般住居に適用された構成を例に挙げて、システム1の構成について説明するが、この限りではない。
すなわち、システム1が適用される建物としては一般住居に限られず、オフィスビルや大型商業施設など、外部の空気を取り込むことで内部の換気を行う必要がある各種の施設にシステム1を適用することができる。
【0012】
<1 システムの全体構成>
図1は、システム1の全体構成を示すブロック図である。
図1に示すシステム1は、制御サーバ10、風速センサ20、および通気デバイス50を含み、住宅100に設けられている。
制御サーバ10、風速センサ20、および通気デバイス50は、無線通信又は有線通信により互い通信接続されている。例えば、制御サーバ10、風速センサ20、および通気デバイス50は、図示しないネットワークを介して通信接続されてもよい。
【0013】
本実施形態において、複数のハードウェアの集合により、1つの制御サーバ10の機能を実現してもよい。1つ又は複数のハードウェアに対して本実施形態に係る制御サーバ10を実現することに要する複数の機能の配分の仕方は、各ハードウェアの処理能力および/又は制御サーバ10に求められる仕様等に鑑みて適宜決定することができる。
【0014】
図1に示す制御サーバ10は、後述する通気デバイス50を制御する装置である。制御サーバ10は、ユーザからの操作指示の入力、又は各種のセンサのセンシングデータの入力を受け付け、通気デバイス50の制御量を決定する。
制御サーバ10は、決定した通気デバイス50の制御量に応じた制御信号を生成し、通気デバイス50に送信する。
制御サーバ10は、例えば、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPCにより実現してもよい。
【0015】
図1に示すように、制御サーバ10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、ストレージ16と、プロセッサ19とを備える。
入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための装置(例えばリモートコントローラ等)である。
【0016】
出力装置14は、制御サーバ10から外部に情報を出力する装置である。
出力装置14としては、ユーザに対して通気システム1の稼働状態を表示するための表示装置(ディスプレイ、スピーカー等)が含まれる。
【0017】
制御サーバ10は、演算装置と記憶装置とを備えたコンピュータにより構成されている。コンピュータの基本ハードウェア構成および、当該ハードウェア構成により実現されるコンピュータの基本機能構成は後述する。制御サーバ10について、後述するコンピュータの基本ハードウェア構成およびコンピュータの基本機能構成と重複する説明は省略する。
【0018】
風速センサ20は、空気の流れ(風)の強さをセンシングするセンサである。風速センサ20には、例えば、以下に挙げる各種の風速計を採用することができる。
・熱線式風速計:センサーの先端に組み込まれた、熱によって抵抗値が変化する抵抗体を利用し、風を受けることでの熱の変化を風速に変換する構造
・ベーン式風速計:ベーン(風車)で風を受け、ベーンの回転数を風速に変換する構造
・ピトー管式風速計:ピトー管に生じる差圧を風速に変換する構造
なお、この説明では、ベーン式風速計を例に挙げて説明する。
【0019】
風速センサ20は、センシングデータを近距離無線通信などの通信規格を用いて、制御サーバ10に送信する。この際、風速センサ20は、ネットワークを介して制御サーバ10にセンシングデータを送信してもよい。
風速センサ20は、例えば数秒ごと等のような所定の計測頻度に基づいて、風速のセンシングを行う。風速センサ20は、新たなセンシングデータを取得するたびに、当該データを制御サーバ10に送信する。風速センサ20の計測頻度は任意に設定することができる。
【0020】
通気デバイス50は、建物に設けられ、外部の空気を建物の内部に取り込む装置である。通気デバイス50は、給気口又は排気口としての機能を発揮する。通気デバイス50は、建物の壁を貫くように形成された通気口を覆うように配置される。なお通気口は、建物の天井又は床に形成されてもよい。通気デバイス50が稼働することで、通気口を通過する空気の流れの量が制御される。通気デバイス50が稼働とは、後述するルーバ51の動作に伴う通気デバイス50の開閉を指す。
【0021】
通気デバイス50は、複数のルーバ51と、アクチュエータ52と、を主に備えている。
ルーバ51は羽板状を呈している。複数のルーバ51は、通気口を覆うように並べて配置されることで、通気口を遮蔽する。
ルーバ51は、アクチュエータ52の駆動に伴って動作する。複数のルーバ51それぞれの動作に伴って、互いに隣り合うルーバ51同士の間に隙間が形成される。これにより、通気デバイス50が開いた状態となり、通気口を通じて建物の外部と内部との間で空気の流れが発生する。なお、ルーバ51の動作に伴い通気デバイス50の全体において形成される隙間の大きさの程度を、通気デバイス50の開度という。
ルーバ51の動作の具体的な態様については後述する。
【0022】
アクチュエータ52は、制御サーバ10から送信された制御信号に基づいて、ルーバ51を動作させる駆動装置である。
アクチュエータ52は、ルーバ51を動作させる駆動部と、ルーバ51を支持し、モータの駆動に伴うルーバ51の動作を案内する案内部と、主に備えている。
【0023】
図2は、通気システム1が実際に使用される住宅100の内部を示す模式図である。なお、
図2では、住宅100の外観を簡略化している。
図2に示すように、住宅100の壁には、窓40と、一対の通気デバイス50A、50Bと、が設けられている。一対の通気デバイス50A、50Bは、対向する一対の壁にそれぞれ設けられている。このため、一対の通気デバイス50A、50Bは給気口および排気口として機能する。すなわち、一対の通気デバイス50A、50Bがともに開くことで、仮に窓40が閉じられている状態であっても、住宅100の居室内に空気の流路が形成される。
【0024】
図示の例では、左側の通気デバイス50Aから給気Asが居室内に進入し、居室内を主に流路Fcに沿って流れた後に、右側の通気デバイス50Bから買い部に向けて排気Exとして排気される。このように、通気デバイス50は一対あることが望ましい。これにより、空気の流れが居室内に形成されやすくなる。
【0025】
住宅100の内部には、2つの風速センサ20が設けられている。風速センサ20は、住宅100の天井に配置されている。風速センサ20は、住宅100の居室内に形成される流路Fcの内側に、流路Fcに沿って並べて配置されている。すなわち、風速センサ20は、住宅100の居室内のうち、一対の通気デバイス50における一方と他方との間に流路Fcに沿って間隔をあけて配置されている。なお、居室内において、風速センサ20の配置する場所は任意に変更することができる。
【0026】
図3は、通気デバイス50Aを、住宅100の内側から見た図(
図2におけるX方向矢視)である。
図3に示すように、壁面における窓40の上方には、壁を貫く通気口Kが形成されている。図示の例では、通気口Kは、縦方向よりも横方向に長い矩形状をなしている。なお、通気口の形状は任意に変更可能であり、例えば、通気口Kは、横方向よりも縦方向に長い矩形状をなしてもよい。また、通気口Kは、窓40の下方又は側方に設けられてもよい。
【0027】
通気デバイス50Aは、通気口Kを覆うように配置されている。通気デバイス50Aにおける複数のルーバ51が、通気口Kを覆うように、上下方向に並べて配置されている。
アクチュエータ52は、ルーバ51の近傍における壁の内部に設けられている。
なお、ルーバ51の形状および位置は、通気口Kの形状および位置に応じて変更可能である。
【0028】
図4は、通気デバイス50Aにおけるルーバ51の開閉動作を説明する図(
図2におけるY方向矢視)である。なお、この図では、アクチュエータ52の図示を省略している。また、この説明において、
図4に示すX方向を前後方向という。
【0029】
図4に示す例では、羽板状の部材である複数のルーバ51は、上下方向に互いに隣り合うもの同士が、前後方向に互いに異なる位置に配置されている。そして、アクチュエータ52の駆動に伴って、互いに隣り合うルーバ51のうち、前後方向の一方側に位置するルーバ51が上方に向けてスライドすることで、ルーバ51の間に隙間が形成される。この隙間を外部の空気が給気Asとして居室の内部に進入する。通気デバイス50が排気口として機能する際も同様である。
【0030】
図5は、ルーバ51の開閉動作の他の例を説明する図(
図2におけるY方向矢視)である。なお、この図では、アクチュエータ52の図示を省略している。また、この説明において、
図4に示すX方向を前後方向という。
【0031】
図5に示す例では、全てのルーバ51は前後方向Xに同じ位置に配置されている。そして、アクチュエータ52の駆動に伴って、それぞれのルーバ51が、端部(上端)を中心に回動することで、ルーバ51の間に隙間が形成される。この隙間を外部の空気が給気Asとして居室の内部に進入する。通気デバイス50が排気口として機能する際も同様である。
なお、説明したルーバ51の開閉動作はあくまで例示であり、アクチュエータ52の駆動に伴って、複数のルーバ51同士の間に隙間が形成される態様であれば、任意に変更することができる。
【0032】
<1.1 制御サーバ10の構成>
図6は、
図1に示す制御サーバ10の機能的構成を示すブロック図である。
図6に示すように、制御サーバ10は、通信部120と、入力装置13と、出力装置14と、記憶部180と、制御モジュール190とを備える。制御サーバ10に含まれる各ブロックは、例えば、バス等により電気的に接続される。
【0033】
通信部120は、制御サーバ10が他の装置と通信するための変復調処理等の処理を行う。通信部120は、制御モジュール190で生成された信号に送信処理を施し、外部(例えば、通気デバイス50)へ送信する。通信部120は、外部から受信した信号(例えば各種のセンシングデータ)に受信処理を施し、制御モジュール190へ出力する。
【0034】
入力装置13は、制御サーバ10を操作するユーザが指示を入力するための装置である。入力装置13は、例えば、入力キーの操作により指示が入力されるリモートコントローラ131等により実現される。なお、入力装置13として、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチ・センシティブ・デバイス等の他の機器を備えてもよい。
【0035】
入力装置13は、ユーザから入力される指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御モジュール190へ出力する。なお、入力装置13には、例えば、外部の入力機器から入力される電気信号を受け付ける受信ポートが含まれてもよい。
【0036】
出力装置14は、制御サーバ10を操作するユーザへ情報を提示するための装置である。出力装置14は、例えば、ディスプレイ141等により実現される。ディスプレイ141は、制御モジュール190の稼働状態を示すデータを表示する。ディスプレイ141は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。
【0037】
記憶部180は、例えば、メモリ15、およびストレージ16等により実現され、制御サーバ10が使用するデータ、およびプログラムを記憶する。記憶部180は、更に制御モデル181を記憶する。
【0038】
制御モデル181は、通気デバイス50の制御量を決定する際に使用されるモデルである。制御モデル181は、学習用データに基づき、モデル学習プログラムに従って機械学習モデルに機械学習を行わせることにより得られる。
【0039】
例えば制御モデル181は、入力される風速に関するセンシングデータに対し、通気デバイス50の開度(制御量)を出力するように学習されている。ここで、通気デバイス50の開度に基づいて、ルーバ51の動作量を設定することができる。
このとき、学習用データは、例えば、居室内の風速を入力データとし、入力された値に対して、通気デバイス50の開度を正解出力データとする。
【0040】
制御モデル181には、複数の風速のセンシングデータの入力が許容される。この際、制御モデル181は、通気デバイス50の開度として、複数の風速センサ20それぞれから、この制御の後に取得されるセンシングデータ(すなわち居室内の風速)の全てが、所定の範囲内となる開度を出力する。ここで、所定の範囲内とは、例えば、居室内にいる人が風を感知する最低限の強度より強く、居室内にいる人に支障を与えない強度であることが望ましい。
【0041】
また、制御モデル181は、通気デバイス50の開度として、複数の風速センサ20それぞれから、この制御の後に取得されるセンシングデータ(すなわち居室内の風速)の平均値が、所定の範囲内となる開度を出力してもよい。この場合には、居室内に局所的に風が弱い又は強い箇所があることが許容される。
【0042】
本実施形態に係る制御モデル181は、例えば、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数、およびパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る制御モデル181は、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であってもよいが、多層のネットワークモデル(以下、多層化ネットワークと呼ぶ)であるとする。多層化ネットワークを用いる制御モデル181は、入力層と、出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1層の中間層あるいは隠れ層とを有する。制御モデル181は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとしての使用が想定される。
【0043】
本実施形態に係る多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)が用いられ得る。DNNとしては、例えば、画像を対象とする畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network:CNN)を用いてもよい。
また、上記はあくまで制御モデル181の例示であり、制御モデル181としては、他の構成を備えてもよい。例えば、制御モデル181は、居室内の風速を変数とし、各変数に過去の実績から導出された係数が付された関数により記述されるルールベースのモデルであってもよい。
【0044】
制御モジュール190は、プロセッサ19が記憶部180に記憶されるプログラムを読み込み、プログラムに含まれる命令を実行することにより実現される。制御モジュール190は、制御サーバ10の動作を制御する。制御モジュール190は、プログラムに従って動作することにより、受信モジュール191と、制御量決定モジュール192と、信号生成モジュール193と、出力モジュール194としての機能を発揮する。
【0045】
受信モジュール191は、入力装置13から入力される指示、又は各種のセンサから入力されるセンシングデータを取得するための処理を行う。具体的には、例えば、受信モジュール191は、リモートコントローラ131にユーザから入力された指示を取得する。また、受信モジュール191は、風速センサ20から送信されたセンシングデータを取得する。
【0046】
制御量決定モジュール192は、通気デバイス50の制御量(ルーバ51の動作量)を決定する。具体的には、制御量決定モジュール192は、制御モデル181に風速に関するセンシングデータを入力することで、制御モデル181から出力された通気デバイス50の開度から、制御量を決定する。制御量決定モジュール192は決定した制御量を信号生成モジュール193に出力する。
【0047】
信号生成モジュール193は、制御量決定モジュール192から入力された制御量に基づいて、通気デバイス50に入力する制御信号を生成する。
【0048】
出力モジュール194は、信号生成モジュール193が生成した制御信号を、通気デバイス50に対して出力する。
出力モジュール194は、制御モジュール190の稼働状態を示すデータを、ディスプレイ141に対して出力する。
【0049】
<2 システム1の処理>
次に、通気システム1の処理について説明する。
図7は、通気システム1の処理の例を示すフローチャートである。
本説明では、ユーザからリモートコントローラ131に入力された操作指示により、通気デバイス50が開いた状態で処理を開始する。
【0050】
まず、風速センサ20は、居室内の風速をセンシングする(ステップS101)。
具体的には、複数の風速センサ20それぞれが、居室内の風速をセンシングする。風速のセンシングは、予め設定された計測頻度に従って繰り返し行われる。このため、これ以降の処理も新たなセンシングデータの取得に応じて、繰り返し行われる。
【0051】
ステップS101の後に、風速センサ20は、取得したセンシングデータを制御サーバ10に送信する(ステップS102)。
具体的には、複数の風速センサ20それぞれが、取得したセンシングデータを制御サーバ10に送信する。
【0052】
ステップS102の後に、制御サーバ10は、風速センサ20から送信されたセンシングデータを取得する(ステップS201)。
具体的には、制御サーバ10の受信モジュール191が、複数の風速センサ20から送信されたセンシングデータをそれぞれ受信する。
【0053】
ステップS201の後に、制御サーバ10は、制御信号を生成する(ステップS202)。
具体的には、制御サーバ10の制御量決定モジュール192が、制御モデル181に風速に関するセンシングデータを入力することで、制御モデル181から出力された通気デバイス50の開度から、制御量を決定する。
そして、制御サーバ10の信号生成モジュール193が、制御量決定モジュール192から入力された制御量に基づいて、通気デバイス50に入力する制御信号を生成する。この制御信号により、通気デバイス50の開度が制御される。
【0054】
ステップS202の後に、制御サーバ10は、制御信号を通気デバイス50に対して送信する(ステップS203)。
具体的には、制御サーバ10の出力モジュール194が、信号生成モジュール193が生成した制御信号を、通気デバイス50に対して出力する。
【0055】
ステップS203の後に、通気デバイス50は、制御サーバ10から送信された制御信号を受信する(ステップS301)。
【0056】
ステップS301の後に、通気デバイス50は、制御信号に基づいた制御を行う(ステップS302)。
具体的には、通気デバイス50のアクチュエータ52が制御信号に基づいて駆動して、ルーバ51を動作させることで、通気デバイス50が開く。これにより、居室内に給気と排気の流路が生成される。
以上により、システム1の処理が終了する。
【0057】
なお、通気デバイス50の制御は、居室内の風速の変化に応答するように、継続して行われることが望ましい。すなわち、外部からの突風が居室内に進入するなど、一時的に居室内の風速が強くなった際は、通気デバイス50は閉じるように制御される。また、居室内の風速が所定の範囲よりも小さくなった場合に、再度通気デバイス50が開き、外部の空気が居室内に進入する。これを繰り返すことで、居室内には、所定の範囲内の強度の風が、外部が無風になるなどの場合を除き、可能なかぎり維持される状態となる。
【0058】
<3.小括>
以上説明したように、上記実施形態に係るシステム1では、制御サーバ10が、居室内の風速をセンシングする風速センサ20からのセンシングデータを用いて、通気デバイス50の開度を制御する。このため、常に居室内の風の強度を考慮した通気デバイス50の制御が可能になり、居室内に心地よい空気の流れを維持することができる。
【0059】
また、例えばタワーマンションの住居や高層ホテルの居室のように、窓の開放が制限されている建物において円滑に換気を行うことができる。また、通気デバイス50を開閉するだけで居室内に空気の流れが形成されるので、一般的な換気装置又は空調装置と比較して、電力消費を抑えることができる。
【0060】
また、システム1では複数の風速センサ20それぞれから、制御の後に取得されるセンシングデータが、所定の範囲内となるように開度を制御する。このため、居室内のうち、風速センサ20が配置された至るところで、心地よい空気の流れを維持することができる。
【0061】
また、システム1では、複数の風速センサ20それぞれから、制御の後に取得されるセンシングデータの平均値が、所定の範囲内となるように開度を制御してもよい。この場合には、通気デバイス50の近傍など局所的な風の強さのばらつきを許容して、通気デバイス50の制御を簡易に行うことができる。
【0062】
<4.変形例>
次に、変形例に係るシステム2について説明する。この変形例では、居室内の人の存在を検出して、通気デバイス50が開く部分が、前述の実施形態とは異なっている。
以下の説明では、前述した実施形態と同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。従って、共通する構成および処理についての詳細な説明は繰り返さない。
【0063】
<4.1 システム2の全体構成>
図8は、変形例に係る通気システム2の全体構成を示すブロック図である。
図8に示すように、変形例に係るシステム2は、人感センサ30を備えている。人感センサ30は居室内に設けられ、居室内の人の存在を検出するセンサである。人感センサ30は、一対の通気デバイス50の間に形成される流路内に立ち入った人の存在を検出するように構成されてもよい。また、人感センサ30は、居室内に複数配置されてもよい。
【0064】
人感センサ30には、人の存在を検出できるセンサであれば、赤外線方式、静電方式、および超音波方式などの様々な原理を用いたセンサを採用することができる。この説明では、超音波を用いた人感センサ30を例に挙げて説明する。人感センサ30は、超音波を放射し、居室内の壁、床、天井を反射して伝わる時間の変化を検出することで、伝搬経路の変化を検出し、障害物である人の伝搬経路内の存在を検出する。
人感センサ30は、優先又は無線通信により、制御サーバ10と通信接続されている。なお、人感センサ30は、ネットワークを介して制御サーバ10と通信接続されてもよい。
【0065】
図9は、通気システム2が実際に使用される住宅100の内部を示す模式図である。
図9に示すように、人感センサ30は、住宅100の天井に設けられている。なお、人感センサ30の配置される位置は、任意に変更することができる。図示の例では、人感センサ30は、居室内の複数の箇所における人の存在を検出するように、複数の方向に向けて超音波を放射している。
また、システム2では、風速センサ20は居室内に1つ設けられている。
【0066】
<4.2 システム2の処理>
次に、通気システム2の処理について説明する。
図10は、通気システム2の処理の例を示すフローチャートである。
本説明では、通気デバイス50が閉じた状態で処理を開始する。
【0067】
まず、人感センサ30は、居室内の人の存在をセンシングする(ステップS111)。
具体的には、人感センサ30は、居室内に超音波を放射し、居室内を反射して伝わる時間の変化を検出することで、人の存在をセンシングする。人感センサ30によるセンシングは、常に行われている。
【0068】
ステップS111の後に、人感センサ30は、取得したセンシングデータを、制御サーバ10に送信する(ステップS112)。
【0069】
ステップS112の後に、制御サーバ10は、人感センサ30から送信されたセンシングデータを取得する(ステップS211)。
具体的には、制御サーバ10の受信モジュール191が、人感センサ30から送信されたセンシングデータを受信する。
【0070】
ステップS211の後に、制御サーバ10は、制御信号を生成する(ステップS212)。
具体的には、制御サーバ10の信号生成モジュール193が、通気デバイス50を開くように開度を制御する制御信号を生成する。この際の通気デバイス50の開度は、任意に設定することができる。
【0071】
ステップS212の後に、制御サーバ10は、制御信号を通気デバイス50に対して送信する(ステップS213)。
具体的には、制御サーバ10の出力モジュール194が、信号生成モジュール193が生成した制御信号を、通気デバイス50に対して出力する。
【0072】
ステップS213の後に、通気デバイス50は、制御サーバ10から送信された制御信号を受信する(ステップS311)。
【0073】
ステップS311の後に、通気デバイス50は、制御信号に基づいた制御を行う(ステップS312)。
具体的には、通気デバイス50のアクチュエータ52が、制御信号に基づいてルーバ51を動作させることで、通気デバイス50が開く。これにより、居室内に給気と排気の流路が生成される。
以上により、システム2の独自の処理が終了する。
この後、通気デバイス50が開いたことで居室内に発生した空気の流れに応答するように、前述した風速センサ20による風速のセンシング処理(
図7におけるステップS101)が行われ、それ以降の処理が順次、繰り返して行われる。
【0074】
<4.3 小括>
以上説明したように、変形例に係るシステム2では、人感センサ30により人の存在が検出された際に、通気デバイス50を開くステップを実行させる。このため、居室内の人が操作指示により通気デバイス50を開く必要が無く、ユーザの利便性を高めることができる。
【0075】
また、人感センサ30が、居室内に形成される流路内に立ち入った人の存在を検出する場合には、居室内のうち、一対の通気デバイス50の間に立ち入った人に、心地よい空気の流れを提供することができる。
【0076】
また、システム2では、前述した処理と同様に、人感センサ30により、居室内に人の存在が検出されなくなった際に、通気デバイス50を閉じてもよい。この場合には、居室内の人が退室する際に、操作指示により通気デバイス50を閉じる必要が無く、ユーザの利便性を更に高めることができる。
【0077】
<5.その他の変形例>
システム1は、居室内又は建物外部に設置された、その他の各種のセンサを備えてもよい。センサとしては、例えば以下が挙げられる。
・温度センサ
・湿度センサ
・日照センサ
・輻射熱センサ
・粉塵センサ
・風速センサ(建物外部に設置)
この場合には、制御モデル181は、入力されたセンシングデータの各項目値に対して、最適な通気デバイス50の開度を出力するように学習されている。
【0078】
また、システム1は、一対の通気デバイス50A、50Bそれぞれにおける開度を互いに異ならせてもよい。
これにより、居室内の空気の流れを、より能動的に制御することができる。
【0079】
また、システム1は、通気デバイス50の領域により、空気の流れやすさを変化させてもよい。
具体的には、通気デバイス50が、例えば上下方向に並んで配置された複数のルーバ51を備える場合に、ルーバ51の位置によりその動作量を異ならせてもよい。これにより、例えば、通気デバイス50のうちの上半分の領域と、下半分と領域とで、互いに隣り合うルーバ51同士の間の隙間の大きさが異なることで、通気デバイス50の領域により、空気の流れやすさが異なることになる。これにより、通気デバイス50の全域において、複数のルーバ51の動作量を一様に設定する構成と比較して、居室内に生じさせる空気の流れに自由度を与えることができる。
【0080】
また、通気デバイス50が、上下方向および左右方向に並んで配置された複数のルーバ51を備える場合に、一部の領域についてのみルーバ51を動作させ、局所的に空気の流通を行ってもよい。例えば、壁面のうち、床の近くに配置された一方の通気デバイス50Aにおいて、居室内から見て左側の下方に位置する領域を占める複数のルーバ51のみを動作させる。そして、壁面のうち、天井の近くに配置された他方の通気デバイス50Bにおいて、居室内から見て左側の上方に位置する領域を占める複数のルーバ51のみを動作させる。これにより、居室に対して対極の位置で空気の流通が確保されることにより、居室内全体に対して効率的に空気の入れ替えを行うことができる。
【0081】
また、システム1は、風速センサ20に対して、その配置された位置に応じて、センシングデータに重み付けを行ってもよい。例えば、複数の風速センサ20のうち、平面視で居室の外側又は内側に位置する風速センサ20からのセンシングデータを制御に用いなくてもよい。また、システム1は、複数の風速センサ20から取得したセンシングデータそれぞれに対して、該当する風速センサ20の位置に応じて設定された係数を乗じるなどの数理的処理を行い、得られた居室内の風速に関する評価指標に基づいて、通気デバイス50の制御量を決定してもよい。この場合には、制御モデル181は、当該評価指標の値を入力データとし、最適な通気デバイス50の開度を出力するように学習されている。
【0082】
また、システム1の構成は変更することができる。
例えば、
図12に示すように、その他の変形例の第1例に係るシステム3では、通気デバイス50は、制御装置53を更に備えている。この場合、通気デバイス50における制御装置53Bは、
図1における制御サーバ10と同一の構成を有し、同一の機能を実現する。
【0083】
また、
図13に示すように、その他の変形例の第2例に係るシステム4では、風速センサ20は、センシングモジュール21と制御装置22とを備えている。この場合、風速センサ20における制御装置22は、
図1における制御サーバ10と同一の構成を有し、同一の機能を実現する。また、センシングモジュール21は、風速を検知するセンサ部が搭載されたハードウェア資源に相当する。
また、通気デバイス50および風速センサ20それぞれが制御装置を持ち、それぞれの制御装置が協働して、
図1における制御サーバ10としての機能を実現してもよい。
【0084】
<コンピュータの基本ハードウェア構成>
図13は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、通信IF99(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらは通信バス94により相互に電気的に接続される。
【0085】
プロセッサ91とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ91は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0086】
主記憶装置92とは、プログラム、およびプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0087】
補助記憶装置93とは、データおよびプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0088】
通信IF99とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0089】
なお、各ハードウェア構成の全部又は一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0090】
<コンピュータ90の基本機能構成>
図13に示すコンピュータ90の基本ハードウェア構成により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータ90は、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0091】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部又は一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0092】
制御部は、プロセッサ91が補助記憶装置93に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータ90は情報処理を行う装置として実現される。
【0093】
記憶部は、主記憶装置92、補助記憶装置93により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置92又は補助記憶装置93に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0094】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のデータベースと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をデータベース、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、データベース同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各データベースにはレコードを一意に特定するためのキーとなるカラムが設定されるが、カラムへのキーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶された特定のデータベースにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0095】
通信部は、通信IF99により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0096】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
また、前述した処理の順番については、矛盾が生じない範囲において変更可能である。
【0097】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0098】
(付記1)
プロセッサを有するコンピュータに用いられるプログラムであって、
プロセッサに、
居室内の風速をセンシングする1以上の風速センサ20から、センシングデータを取得するステップ(ステップS201)と、
取得したセンシングデータを用いて、居室内に流れる空気の流路を作るために給気口および排気口として複数設けられた通気デバイス50の開度を制御するステップ(ステップS302)と、を実行させるプログラム。
【0099】
(付記2)
通気デバイス50の開度を制御するステップ(ステップS302)では、
複数の風速センサ20それぞれで取得されるセンシングデータが、所定の範囲内となるように開度の制御量を決定する、付記1に記載のプログラム。
【0100】
(付記3)
通気デバイス50の開度を制御するステップ(ステップS302)では、
複数の風速センサ20それぞれで取得されるセンシングデータの平均値が、所定の範囲内となるように開度の制御量を決定する、付記1又は付記2に記載のプログラム。
【0101】
(付記4)
プロセッサに、
居室内に配置された、人の存在を検出する人感センサ30からセンシングデータを取得するステップ(ステップS211)を実行させ、
通気デバイス50の開度を制御するステップ(ステップS312)において、人感センサ30により人の存在が検出された際に、通気デバイス50を開く、付記1又は付記2に記載のプログラム。
【0102】
(付記5)
人感センサ30は、空気の流路の内側をセンシングするように設置される、付記1から付記4のいずれかに記載のプログラム。
【0103】
(付記6)
プロセッサを有するコンピュータを備えたシステムが行う方法であって、
コンピュータのプロセッサが、
居室内の風速をセンシングする1以上の風速センサ20から、センシングデータを取得するステップ(ステップS201)と、
取得したセンシングデータを用いて、居室内に流れる空気の流路を作るために給気口および排気口として複数設けられた通気デバイス50の開度を制御するステップ(ステップS302)と、を実行する方法。
【0104】
(付記7)
居室内の風速をセンシングデータとして取得する1以上の風速センサ20と、
居室内に流れる空気の流路を作るために、給気口および排気口として複数設けられる通気デバイス50と、
風速センサ20が取得したセンシングデータを用いて、通気デバイス50の開度を制御する制御装置10と、を備えるシステム。
【0105】
(付記8)
プロセッサを有するコンピュータを備えた通気装置であって、
プロセッサが、
居室内の風速をセンシングする1以上の風速センサ20から、センシングデータを取得するステップ(ステップS201)と、
取得したセンシングデータを用いて、居室内に流れる空気の流路を作るために給気口および排気口として複数設けられた通気デバイス50の開度を制御するステップ(ステップS302)と、を実行する装置。
【符号の説明】
【0106】
1…通気システム
2…通気システム
10…制御サーバ
12…通史IF
120…通信部
13…入力装置
131…リモートコントローラ
14…出力装置
141…ディスプレイ
15…メモリ
16…ストレージ
19…プロセッサ
190…制御部
180…記憶部
181…学習済みモデル
20…風速センサ
30…人感センサ
50…通気デバイス
51…アクチュエータ
52…ルーバ
【要約】
【課題】居室内に心地よい空気の流れを維持することができるシステムを提供する。
【解決手段】プロセッサを有するコンピュータに用いられるプログラムである。プログラムは、プロセッサに、居室内の風速をセンシングする1以上の風速センサから、センシングデータを取得するステップと、取得した前記センシングデータを用いて、居室内に流れる空気の流路を作るために給気口および排気口として複数設けられた通気デバイスの開度を制御するステップと、を実行させる。
【選択図】
図2