(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】キャビネットおよびそれを用いた洗面化粧台
(51)【国際特許分類】
A47B 67/02 20060101AFI20221201BHJP
A47K 1/02 20060101ALI20221201BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A47B67/02 503A
A47B67/02 502G
A47B67/02 503Z
A47K1/02 C
A47K1/02 F
F21V33/00 130
(21)【出願番号】P 2017240035
(22)【出願日】2017-12-14
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】飛田 真宏
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-077823(JP,A)
【文献】特開2016-185220(JP,A)
【文献】実開平05-031640(JP,U)
【文献】特開2011-120648(JP,A)
【文献】特開2017-098059(JP,A)
【文献】特開2017-158668(JP,A)
【文献】特開2017-169876(JP,A)
【文献】実開昭56-053950(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/00、67/02、77/02、77/04、96/02
A47K 1/00、1/02
F21V 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納棚と、前記収納棚の収納空間を開閉可能に覆う収納扉と、を備えるキャビネットであって、
前記収納棚は、底板本体と、照明ユニットと、を含む底板を備え、
前記照明ユニットは、光源モジュールと、前記底板本体に取り付けられる透光性の照明カバーを含み、
前記照明カバーは、前面部と下面部とを含み、それらは拡散剤を含有しており、
前記収納扉が閉まっている状態において、
前記光源モジュールは前記収納
扉の背後に位置し、
本キャビネットの正面視において前記照明カバーの出射面の一部
であって前記前面部の一部が露出するように構成されていることを特徴とするキャビネット。
【請求項2】
前記照明ユニットは光源モジュールを含み、
前記光源モジュールは、その光源の光軸が鉛直方向に対して本キャビネットの前方側に傾斜するよう設けられることを特徴とする請求項1に記載のキャビネット。
【請求項3】
収納棚と、前記収納棚の収納空間を開閉可能に覆う収納扉と、を備えるキャビネットであって、
前記収納棚は、底板本体と、照明ユニットと、を含む底板を備え、
前記照明ユニットは、光源モジュールと、前記底板本体に取り付けられる透光性の照明カバーを含み、
前記収納扉が閉まっている状態において、
前記光源モジュールは前記収納扉の背後に位置し、
本キャビネットの正面視において前記照明カバーの出射面の一部が露出するように構成されており、
前記底板本体は、当該底板本体の下面を構成するベース部を含み、
前記ベース部は、当該ベース部の前端から後方に延びる第1ベース部と、第1ベース部の後端側から後方側に延びる第2ベース部と、第2ベース部の後端側から下方に延びる第3ベース部と、第3ベース部の下端側から後方に延びる第4ベース部と、を含み、
前記光源モジュールは、前記第4ベース部よりも上方に位置するように前記第2ベース部に固定されることを特徴とす
るキャビネット
【請求項4】
前記光源モジュールは、前記照明カバーの前記出射面よりも上方に位置することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のキャビネット。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載のキャビネットと、
前記キャビネットより下方に設けられる洗面台と、を備えることを特徴とする洗面化粧台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビネットおよびそれを用いた洗面化粧台に関する。
【背景技術】
【0002】
洗面台の上方などに設置される、照明ユニットを備えるキャビネットが知られている。従来では、手元を照明するための照明ユニットを備えるキャビネットが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の目的のひとつは、より快適に利用できる、照明ユニットを備えるキャビネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様のキャビネットは、収納棚と、収納棚の収納空間を開閉可能に覆う収納扉と、を備えるキャビネットであって、収納棚は、底板本体と、照明ユニットと、を含む底板を備える。照明ユニットは、底板本体に取り付けられる透光性の照明カバーを含む。照明カバーは、底板の正面視にて出射面の少なくとも一部が露出するように構成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より快適に利用できる、照明ユニットを備えるキャビネットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係る洗面化粧台を示す斜視図である。
【
図2】
図1の上部キャビネットを示す斜視図である。
【
図3】
図2の中央底板とその周辺を示す斜視図である。
【
図4】
図2の中央底板とその周辺を示す斜視図である。
【
図5】
図2の中央底板とその周辺を示す正面図である。
【
図6】
図2の中央底板とその周辺を示す底面図である。
【
図8】変形例に係る中央底板とその周辺を示す斜視図である。
【
図9】変形例に係る中央底板の隆起部とその周辺を右側から見た図である。
【
図10】変形例に係る中央底板の隆起部とその周辺を正面から見た図である。
【
図11】変形例に係る中央底板とその周辺を示す断面図である。
【
図12】変形例に係る中央底板とその周辺を示す断面図である。
【
図13】変形例に係る中央底板とその周辺を示す断面図である。
【
図14】変形例に係る中央底板とその周辺を示す断面図である。
【0008】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。また、本明細書において、「上」、「下」、「左」、「右」はそれぞれ、洗面化粧台を利用する利用者から見た上、下、左、右をいう。また、「前」、「後」はそれぞれ、利用者から見て手前側、奥側をいう。
【0009】
図1は、実施の形態に係る洗面化粧台1を示す斜視図である。
図2は、上部キャビネット10を示す斜視図である。
図2では、上部キャビネット10の内側の構成を示すため、収納扉14を取り外した状態を示している。洗面化粧台1は、例えば洗面所に設置される。洗面化粧台1は、洗面台2と、吐水装置3と、下部キャビネット4と、バックパネル5と、上部キャビネット10と、を備える。
【0010】
下部キャビネット4は、床面に設置される。下部キャビネット4は、本実施の形態では2つの引出を有しており、例えば洗面用具や化粧品を収容できる。洗面台2は、洗面ボウル6と、カウンター7と、を含む。洗面ボウル6は、下方に窪んだ凹状に形成される。洗面ボウル6は、吐水装置3から吐水される水を受ける。カウンター7は、板状であり、本実施の形態では洗面ボウル6を取り囲むように設けられる。本実施の形態では、洗面ボウル6とカウンター7とは一体に形成されている。吐水装置3は、洗面ボウル6の後ろ側に設置される。吐水装置3は、利用者の操作に応じて吐水する。バックパネル5は、洗面台2の上方の壁面に固定される。本実施の形態では、バックパネル5の前面には、鏡が取り付けられている。
【0011】
上部キャビネット10は、バックパネル5の上方の壁面に固定される。上部キャビネット10は、収納棚12と、収納扉14で総称される中央収納扉14C、左収納扉14L、右収納扉14Rと、を含む。
【0012】
収納棚12は、背板20と、左側板22と、右側板24と、天板26と、底板28で総称される中央底板28C、左底板28L、右底板28Rと、縦仕切板30で総称される左縦仕切板30L、右縦仕切板30Rと、棚板31で総称される中央棚板31C、左棚板31L、右棚板31Rと、を含む。中央底板28C、左底板28L、右底板28Rはそれぞれ、棚板を兼ねる。
【0013】
各底板28は、背板20、左側板22、右側板24および縦仕切板30とは別体として形成される。中央底板28Cは左縦仕切板30Lと右縦仕切板30Rとの間に設けられ、左底板28Lは左側板22と左縦仕切板30Lとの間に設けられ、右底板28Rは右側板24と右縦仕切板30Rとの間に設けられる。収納棚12は、左縦仕切板30Lと右縦仕切板30Rとの間の中央収納空間32Cと、左側板22と左縦仕切板30Lとの間の左収納空間32Lと、右側板24と右縦仕切板30Rとの間の右収納空間32Rと、を有する。中央棚板31Cは左縦仕切板30Lと右縦仕切板30Rとの間に設けられ、左棚板31Lは左側板22と左縦仕切板30Lとの間に設けられ、右棚板31Rは右側板24と右縦仕切板30Rとの間に設けられる。
【0014】
各縦仕切板30は、縦仕切板本体15と、縦型照明ユニット16と、を含む。縦仕切板本体15は、収納空間を仕切る部材である。縦型照明ユニット16は、上部キャビネット10の正面側を照らすための照明ユニットであり、縦仕切板本体15の前面に固定される。各縦型照明ユニット16は、光を照射する光源モジュール(不図示)と、光源モジュールからの光を拡散させつつ透過させる照明カバー34と、を含む。
【0015】
中央収納扉14C、左収納扉14L、右収納扉14Rはそれぞれ、中央収納空間32C、左収納空間32L、右収納空間32Rを開閉可能に覆う扉である。各収納扉14は、不図示の蝶番を介して収納棚12に取り付けられている。本実施の形態では、中央収納扉14C、左収納扉14Lは右開き、右収納扉14Rは左開き、となるよう収納棚12に取り付けられている。各収納扉14の前面には、鏡が取り付けられている。つまり、本実施の形態の上部キャビネット10は、ミラーキャビネットである。
【0016】
図3~7はそれぞれ、中央底板28Cとその周辺を示す図である。
図3は上方から見た斜視図であり、
図4は下方から見た斜視図であり、
図5は正面図であり、
図6は底面図であり、
図7は
図5のA-A線断面図である。
図3、4では、中央収納扉14Cの表示を省略している。上部キャビネット10は、照明ユニットに対する利用者の操作を検知するためのセンサ76と、センサの検知結果に基づいて照明ユニットの点消灯を制御する制御ユニット78と、をさらに含む。
【0017】
中央底板28Cは、底板本体17と、主に上部キャビネット10よりも下方を照らすための下部照明ユニット18と、を含む。底板本体17は、内部に収容空間38を有する。つまり、底板本体17は中空に形成される。収容空間38には、縦型照明ユニット16や下部照明ユニット18に関する電気部品が収容される。底板本体17は、電気部品が発する熱を放熱しやすいように、例えばアルミニウムなどの熱伝導率が高い材料によって形成される。
【0018】
底板本体17は、本実施の形態では、ベース40と、トップカバー42と、左サイドキャップ44と、右サイドキャップ46と、を含む。ベース40、トップカバー42、左サイドキャップ44および右サイドキャップ46により、上述の収容空間38が形成される。
【0019】
トップカバー42は、いずれも板状である、上板部50と、前板部52と、後板部54と、を含む。上板部50は、2つの主表面が鉛直方向を向き、平面視で(すなわち鉛直上方から見て)左右方向に長い矩形状を有する。上板部50の上面は、物を載置するための平坦な載置面50cを構成する。前板部52は、上板部50の前端側から下方に延び、正面視で(すなわち前方から見て)左右方向に長い矩形状を有する。後板部54は、上板部50の後端側から下方に延び、正面視で左右方向に長い矩形状を有する。
【0020】
上板部50は、その後端部に、載置面50cよりも上側に隆起する後端隆起部50aを有する。後端隆起部50aは、壁状に形成される。ただし、後端隆起部50aの形状は特には限定されず、例えば後端に近づくにつれて高くなる山状に形成されてもよい。また、後端隆起部50aは、上板部50の後端部の左右方向の全範囲に渡って存在する。
【0021】
また、上板部50は、その前端部にも、載置面50cよりも上側に隆起する前端隆起部50bを有する。前端隆起部50bは、壁状に形成される。ただし、前端隆起部50bの形状は、後端隆起部50aと同様に、特には限定されない。また、前端隆起部50bは、前端部の左右方向の全範囲に渡って存在する。
【0022】
後端隆起部50aおよび前端隆起部50bは、前端隆起部50bの上端のうちの左右方向において最も低い部分(以下、「前端最低部」と呼ぶ)が、後端隆起部50aの上端のうちの左右方向において最も低い部分(以下、「後端最低部」と呼ぶ)よりも、載置面50cを基準とする高さが低くなるように形成される。図示の例では、後端隆起部50aおよび前端隆起部50bはいずれも、左右方向で高さが一定となるよう形成されている。したがってこの例では、後端隆起部50aの上端の全体が後端最低部となり、前端隆起部50bの上端の全体が前端最低部となる。つまり、後端隆起部50aの全体が前端隆起部50bよりも高くなっている。
【0023】
後板部54には、ケーブルを通すための穴54aが形成されている。例えば収容空間38内に収容されている電気部品に接続されるケーブルが、この穴54aから底板本体17の外部に引き出される。
【0024】
ベース40は、いずれも板状である、第1ベース部60と、第2ベース部62と、第3ベース部64と、第4ベース部66と、下垂部68と、を含む。第1ベース部60は、トップカバー42の前板部52の下端側に接続され、平面視で左右方向に長い矩形状を有する。第2ベース部62は、第1ベース部60の後端側から斜め下後方に延びる。つまり、第2ベース部62の下面62aは、斜め下前方を向くように傾斜する。第3ベース部64は、第2ベース部62の後端側から、収納扉14の下端と実質的に同じ高さまで下方に延びる。第3ベース部64は、正面視で左右方向に長い矩形状を有する。
【0025】
第4ベース部66は、第3ベース部64の下端側から後方に延びる、つまり、収納扉14の下端と実質的に同じ高さを後方に延びる。第4ベース部66の後端側は、トップカバー42の後板部54の下端側に接続される。第4ベース部66は、平面視で左右方向に長い矩形状を有する。下垂部68は、第1ベース部60と第2ベース部62との接続部分から下方に延び、正面視で左右方向に長い矩形状を有する。下垂部68の下端は、第3ベース部64の下端よりも上側に位置する。
【0026】
左サイドキャップ44は、ベース40とトップカバー42との間の左端の開口を塞ぎ、右サイドキャップ46は、右端の開口を塞ぐ。中央底板28Cと左縦仕切板30Lおよび右縦仕切板30Rとの間は、不図示のパッキンによりシールされる。
【0027】
下部照明ユニット18は、光源モジュール48と、透光性を有する照明カバー74と、を含む。照明カバー74は、左右方向に長く形成され、下垂部68と第3ベース部64との間の開口を塞ぐようにベース40に取り付けられる。これにより、照明カバー74、第2ベース部62、第3ベース部64、下垂部68、左サイドキャップ44および右サイドキャップ46によって囲まれる左右方向に長い収容空間58が形成される。つまり、照明カバー74と底板本体17との間に収容空間58が形成される。なお、図示の例では、照明カバー74は、スナップフィット方式により着脱可能に取り付けられている。照明カバー74は、拡散剤を含有し、光源モジュール48からの光を拡散させつつ透過させる。
【0028】
照明カバー74は、その長手方向(すなわち左右方向)に直交する断面形状が略U字形状であり、前面部80と、下面部82と、後面部84と、を含む。前面部80は、下垂部68よりも下側に位置する露出部80aを有する。下面部82は、その下面82aが第4ベース部66の下面66aと隣接し、かつ、下面66aと概ね面一となるように構成される。露出部80aの前面80bと、下面部82の下面82aは、光源モジュール48からの光が出射される出射面を構成する。出射面の少なくとも一部は、中央底板28Cの正面視にて露出するように構成されている。これにより、そうではない場合と比べ、光源モジュール48からの光をより多く前方に向けて出射できる。また、上述したように照明カバー74は拡散剤を含有しているため、光源モジュール48からの光の一部は、中央底板28Cの正面視にて露出する出射面の部分から、斜め上前方にも出射する。なお、図示の例では、出射面のうちの露出部80aの前面80bが、中央底板28Cの正面視にて露出する。
【0029】
光源モジュール48は、収容空間58に収容される。光源モジュール48は、基板70と、少なくとも1つの光源72と、を含む。基板70は、左右方向に細長い板状に形成される。基板70は、第2ベース部62の下面62aに固定される。上述したように、第2ベース部62の下面62aが斜め下前方を向くように傾斜しているため、基板70の主表面(実装面)70aも斜め下前方を向いている。
【0030】
光源72は、本実施の形態では、LEDである。なお、光源72は、LD(レーザダイオード)、有機または無機EL(エレクトロルミネセンス)などの他の光源であってもよい。光源72は基板70の主表面70aに実装される。上述したように基板70の主表面70aは斜め下前方を向くように傾斜している。したがって、光源72の出射面72aも斜め下前方を向いている。つまり、光源72の光軸は、鉛直方向に対して斜め前方に傾斜する。
【0031】
センサ76は、光学センサすなわち非接触センサであり、光を投光する投光部(不図示)と、投光部が投光した光の反射光を検知するための受光部(不図示)と、含む。センサ76は、その下方の検知領域90に差し出された物体(例えば利用者の指)を非接触で検知する。センサ76は、検知結果に基づく信号を制御ユニット78に送る。
【0032】
センサ76は、その少なくとも一部が収納扉14の背後に位置するように、すなわち収納扉14よりも後方で、かつ、その少なくとも一部が収納扉14の下端よりも上側に位置するように設けられる。好ましくは、センサ76は、その全体が収納扉14の背後に位置するように、すなわちその全体が収納扉14よりも後方で、かつ、その全体が収納扉14の下端よりも上側に位置するように設けられる。図示の例では、センサ76は、その全体が収納扉14の背後に位置するように設けられている。センサ76は特に、底板本体17の収容空間38内に設けられている。より具体的には、センサ76は、収容空間38内において第1ベース部60に固定されている。
【0033】
中央収納扉14Cは、その背面の下部に指を掛けて手前に引くと開く。つまり上部キャビネット10は、中央収納扉14Cが閉まっている状態において中央収納扉14Cの背面に使用者の指を掛けられるように構成されている。本実施の形態では、中央収納扉14Cのすぐ後方に位置する第1ベース部60が、その下面が中央収納扉14Cの下端よりも上側に位置するよう設けられているため、第1ベース部60の下方において中央収納扉14Cの背面に指を掛けられるようになっている。以下、中央収納扉14Cを開くときに指が掛かりうる中央収納扉14Cの背面の範囲を「指掛け範囲36」と呼ぶ。センサ76は、平面視で指掛け範囲36の後方となる位置を避けた位置に設けられる。ここで、通常、扉を開く場合、蝶番から遠い側に指を掛ける。したがって、指掛け範囲36は例えば、中央収納扉14Cの背面の下側の範囲のうち、左右方向において蝶番から遠い端部寄りの範囲、より具体的には左右方向における中央よりも蝶番から遠い側の範囲であってもよい。この場合、右開きの中央収納扉14Cでは、中央収納扉14Cの背面の下側の範囲のうち、左右方向における中央よりも左側の範囲が指掛け範囲となる。そしてセンサ76は、中央収納扉14Cの背後のうち、左右方向において蝶番に近い端部寄りの中央収納扉14Cの部分の背後に、より具体的には左右方向における中央よりも蝶番に近い側の収納扉14の部分の背後に設けられてもよい。この場合、右開きの中央収納扉14Cでは、左右方向における中央よりも右側の中央収納扉14Cの部分の背後にセンサ76が設けられる。
【0034】
センサ76は、一般的なセンサと同様に、センサ76の直近であって、当該センサ76と検知領域90との間に、非検知領域92を有する。非検知領域92は、投光部からの光が当該領域で反射して受光部に入っても、照明を制御しない領域である。センサ76は、この非検知領域92の全体が、中央収納扉14Cよりも下方に突出しないように設けられる。
【0035】
制御ユニット78は、底板本体17の収容空間38内に設けられる。制御ユニット78は特に、底板本体17の載置面50cの裏面と非接触の状態、すなわち上板部50と非接触の状態で、収容空間38内においてベース40に固定される。好ましくは、制御ユニット78は、底板本体17の前面の裏面とも非接触の状態、すなわち前板部52とも非接触の状態で、収容空間38内においてベース40に固定される。より好ましくは、制御ユニット78は、トップカバー42と非接触の状態で、収容空間38内においてベース40に固定される。図示の例では、制御ユニット78は、トップカバー42と非接触の状態で、収容空間38内において第4ベース部66に固定されている。
【0036】
制御ユニット78は、センサ76からの信号に基づいて縦型照明ユニット16および下部照明ユニット18の点灯、消灯および明るさの調整等の照明制御を行う。制御ユニット78は例えば、電源回路(不図示)と、点灯回路(不図示)と、を含む。電源回路は、商用電源からの交流電力を直流電力に変換する。点灯回路は、センサ76からの信号に応じて各照明ユニットの光源に電力を供給して点灯させたり、電力の供給を停止して消灯させたりする。
【0037】
つづいて、本実施の形態が奏する効果について述べる。本実施の形態によれば、底板本体17と、透光性を有する照明カバー74との間に収容空間58が形成され、この収容空間58に光源モジュール48が収容される。つまり、底板本体17は、光源モジュール48が収容される収容空間58を画成するためのボディを兼ねる。このため、光源モジュール48が収容される収容空間58を画成するためのボディを別途設けなくてよく、部品点数が減り、製造コストを抑えられる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、制御ユニット78などの電気部品は、載置面50cの裏面と非接触の状態で、収容空間38においてベース40に固定される。これにより、電気部品が発する熱は、主にベース40に伝わり、そこから外部に放熱されるため、載置面50cが高温になるのを抑止できる。その結果、載置面50cに載置されている物が悪影響を受けるのが抑止できる。好ましくは電気部品は、底板本体17の前面の裏面とも非接触とされる。これにより、利用者が触れる可能性がある底板本体17の載置面50cや前面が高温になるのを抑止でき、利用者がそれらに触れたときに不快な思いをするのを抑止できる。より好ましくは、電気部品は、トップカバー42と非接触とされる。これにより、電気部品が発する熱が載置面50c等に伝わりにくくなる。
【0039】
また、載置面50cに物が置かれたときの衝撃で底板本体17は振動する。中でも、載置面50cを構成する上板部50は特に振動する。これに対し本実施の形態では、電気部品はベース40に固定される。これにより、載置面50cに物が置かれたときの振動が電気部品に伝わるのを抑止でき、電気部品が振動により悪影響を受けるのを抑止できる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、センサ76は、少なくとも一部が収納扉14の背後に位置するように設けられる、つまり上部キャビネット10を正面視したときに視認しにくい位置に設けられる。これにより、上部キャビネット10の美観を向上できる。好ましくは、センサ76は、その全体が収納扉14の背後に位置するように設けられる、つまり上部キャビネット10を正面視したときに視認できない位置に設けられる。これにより、上部キャビネット10の美観をさらに向上できる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、センサ76は当該センサ76とその検知領域90との間の非検知領域92が中央収納扉14Cよりも下方に突出しないように設けられるため、照明ユニットを操作するために差し出される利用者の指が非検知領域92に進入するのを抑止できる。これにより、利用者の操作を誤検知するのを抑止できる。
【0042】
また、本実施の形態によれば、センサ76は、平面視で指掛け範囲36の後方となる位置を避けた位置に設けられる。これにより、中央収納扉14Cを開くために差し出された手をセンサ76が検出して、意図せず照明ユニットが操作される事態が生じるのを抑止できる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、下部照明ユニット18の照明カバー74は、出射面の少なくとも一部が中央底板28Cの正面視にて露出するように構成されているため、そうではない場合と比べ、光源モジュール48の光源72からの光をより前方に向けて出射できる。これにより、例えばバックパネル5の鏡に対面するように椅子や車椅子に座った利用者の顔を好適に照らすことが可能となる。また、本実施の形態によれば、下部照明ユニット18の光源モジュール48は、その光源72の光軸Axが鉛直方向に対して前方側に傾斜するように設けられる。これにより、光源72からの光をより前方に向けて出射できる。
【0044】
また、本実施の形態によれば、下部照明ユニット18の照明カバー74は、拡散剤を含有し、光源モジュール48からの光を拡散させつつ透過させる。これにより、上述したように中央底板28Cの正面視にて露出する出射面から出射される光の一部は、斜め上前方にも出射される。ここで、洗面所における洗面化粧台1と天井照明(不図示)との位置関係によっては、中央収納扉14Cを開くと天井照明からの光が遮られ、収納棚12の収納空間が薄暗くなって収納物の視認性が低下する。これに対し本実施の形態によれば、上述したように下部照明ユニット18からの光の一部が斜め上前方に出射される。これにより、収納空間が明るくなり、収納物の視認性が向上する。
【0045】
また、載置面50cにこぼれた液体が底板本体17と背板20との間に液体が流れ込むと、そこに液体が溜まり、カビが発生する原因となる。また、底板28の背板20側には、底板28の収容空間38に収容される電気部品に接続されるケーブルを引き出すための引き出し穴54aが形成されているため、底板本体17と背板20との間に液体が流れ込むと、引き出し穴54aから収容空間38内に液体が浸入して電気部品に悪影響を及ぼしうる。この対策として、底板本体17と背板20との間に液体が流れ込まないようにパッキンを配置することも考えられるが、部品点数が増えるためコストが増大する。これに対し、本実施の形態によれば、底板本体17は載置面50cよりも上側に隆起する後端隆起部50aを有する。これにより、コストの増大を抑えつつ、底板本体17と背板20との間に液体が流れ込むのが抑止される。
【0046】
また、本実施の形態によれば、底板本体17は、後端隆起部50aに加えて前端隆起部50bを有する。これにより、載置面50cに置かれた物の落下を抑止できる。また、載置面50cに液体がこぼれた場合に、底板本体17の前面側から液体が垂れ落ちるのが抑止される。したがって、垂れ落ちずに底板本体17の上面に溜まった液体を拭き取ればよいため、液体をこぼしたときの掃除が楽になる。また、後端隆起部50aおよび前端隆起部50bは、前端最低部の高さが後端最低部の高さよりも低くなるように形成される。これにより、隆起部間に収まりきらない量の液体が載置面50cにこぼれた場合、前端最低部から前面側に液体が流れ落ちる。つまり、前端最低部が、液体を排出するための排液部として機能する。その結果、底板本体17と背板20との間に液体が流れ込むのが抑止される。
【0047】
以上、実施の形態に係る上部キャビネット10について説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0048】
(変形例1)
実施の形態では、中央底板28Cが下部照明ユニット18を含み、中央底板28Cの底板本体17にセンサ76が収容される場合について説明したが、これに限られない。中央底板28Cに加えて、または底板28に代えて、左底板28Lまたは/および右底板28Rが下部照明ユニット18を含んでもよい。また、センサ76は、左底板28Lまたは右底板28Rに収容されてもよい。
【0049】
また、実施の形態では、収納棚12が3つの底板28を含む場合について説明したが、これに限られず、収納棚12は、1つ、2つ、または4つ以上の底板28を含んでもよい。この場合、任意の底板28が下部照明ユニット18を含んでもよい。また、任意の底板28にセンサ76が収容されてもよい。
【0050】
(変形例2)
実施の形態では、上部キャビネット10が縦型照明ユニット16と下部照明ユニット18を備える場合について説明したが、これに限られない。
【0051】
例えば、上部キャビネット10は、縦型照明ユニット16または下部照明ユニット18のうちの一方を備えなくてもよい。
図8は、変形例に係る中央底板とその周辺を示す斜視図である。この例では、上部キャビネット10は下部照明ユニット18を備えていない。センサ76は、縦型照明ユニット16に対する操作だけを検知する。縦型照明ユニット16の制御ユニットは、底板本体17内に収容されても、別の場所に収容されてもよい。
【0052】
また例えば、上部キャビネット10は、縦型照明ユニット16および下部照明ユニット18に加えて、またはこれらの少なくとも一方に代えて、別の照明ユニットを備えてもよい。この場合、センサ76により別の照明ユニットに対する点消灯の操作を検知し、制御ユニット78により別の照明ユニットの点消灯を制御してもよい。別の照明ユニットは、例えば、上部キャビネット10の上端部に設けられる上部照明ユニットであってもよい。
【0053】
(変形例3)
実施の形態の技術思想の少なくとも一部は、棚板31にも適用できる。例えば、棚板31が、後端隆起部50aと前端隆起部50bを有してもよい。この場合、棚板31にこぼれた液体が棚板31と背板20との間に流れ込むのを抑止できる。
【0054】
(変形例4)
実施の形態では、底板本体17の上板部50が、後端隆起部50aと前端隆起部50bを有する場合について説明したが、これに限られない。上板部50は、少なくとも後端隆起部50aを有していればよく、前端隆起部50bを有しない構成も考えられる。
【0055】
また、実施の形態では特に言及しなかったが、前端隆起部50bは、後端隆起部50aの後端最低部よりも低い位置に前端隆起部50bを前後に貫通する貫通孔を有してもよい。
図9は、変形例に係る中央底板28Cの隆起部とその周辺を右側から見た図である。この例では、後端隆起部50aおよび前端隆起部50bはいずれも、左右方向における高さが一定となっている。前端隆起部50bには、後端隆起部50aの上端よりも低い位置に貫通孔50dが形成されている。載置面50cにこぼれた液体は、この貫通孔50dから前面側に流れ落ちる。つまり、貫通孔50dが排液部として機能する。この場合、前端最低部と後端最低部との高低関係は問わない。
【0056】
また、実施の形態では、前端隆起部50bが上板部50の前端部の左右方向の全範囲に渡って存在する場合について説明したが、これに限られず、前端隆起部50bは一部にだけ存在するよう設けられてもよい。
図10は、変形例に係る中央底板28Cの隆起部周辺を、正面から見た図である。この例では、上板部50の前端部の左右方向における両端には、前端隆起部50bが形成されていない。載置面50cにこぼれた液体は、前端部の両端から前面側に流れ落ちる。この場合、前端最低部と後端最低部との高低関係は問わない。
【0057】
(変形例5)
下部照明ユニット18の照明カバー74の形状には様々な変形例が考えられる。
図11~14はそれぞれ、照明カバー74とその周辺を示す断面図である。
図1114はそれぞれ、
図7の照明カバー74とその周辺に対応する。
【0058】
図11の例では、下面部82の前方側が、後ろ側ほど下方に位置するように直線的に傾斜する。
【0059】
図12の例では、下面部82の全体が、後ろ側ほど下方に位置するように直線的に傾斜する。また、この例では、出射面の全体が、中央底板28Cの正面視にて露出する。
【0060】
図13の例では、下面部82の全体が、後ろ側ほど下方に位置するように曲線的に傾斜する。この例では、下面部82の断面形状は、円弧状を有する。また、この例では、出射面の全体が、中央底板28Cの正面視にて露出する。
【0061】
図14の例では、前面部80は、上下方向の長さが比較的長くなるよう形成され、例えば下面部82の前後方向の長さと実質的に同じになるよう形成され、また例えば第3ベース部64の長さと実質的に同じになるよう形成される。下垂部68は、前面部80の上端部のみを隠すように比較的短く形成される。
【0062】
(変形例6)
実施の形態では、制御ユニット78が底板本体17の収容空間38内に収容される場合について説明したが、これに限られず、制御ユニット78は他の場所に配置されてもよい。例えば制御ユニット78は、縦仕切板30の縦仕切板本体15の内部に収容されてもよい。
【0063】
(変形例7)
制御ユニット78が、縦型照明ユニット16および下部照明ユニット18の両方の点消灯を制御する場合について説明したが、これに限られない。縦型照明ユニット16と下部照明ユニット18は、別々の制御ユニットにより 制御されてもよい。この場合、縦型照明ユニット16の点消灯を制御するための制御ユニットは、例えば縦仕切板30の縦仕切板本体15の内部に収容されてもよい。
【0064】
(変形例8)
実施の形態では、収容空間38に縦型照明ユニット16や下部照明ユニット18に関する電気部品が収容され、収容空間58に光源モジュール48が収容される場合について説明したが、これに限られない。
【0065】
例えば、電気部品の少なくとも一部は、例えば制御ユニット78または/およびセンサ76は、収容空間38ではなく収容空間58に収容されてもよい。なお電気部品のすべてが収容空間58に収容される場合は、底板本体17が収容空間38を有するか否かは問わない。
【0066】
また例えば、光源モジュール48は、収容空間58ではなく収容空間38に収容されてもよい。この場合、収容空間38の光源モジュール48からの光を外部に照射させるための開口が底板本体17に形成され、照明カバー74はこの開口を塞ぐように底板本体17に固定される。つまり光源モジュール48は、本変形例の場合も、照明カバー74と底板本体17との間に形成される収容空間に収容される。なおこの場合は、中央底板28Cは収容空間58を有しない。
【0067】
(変形例9)
実施の形態では、上部キャビネット10は、洗面化粧台の一部を構成し、洗面所に設置される場合について説明したが、これに限られず、キッチン、トイレ、その他の場所に設置されてもよい。
【0068】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
本発明のある態様のキャビネットは、収納棚と、収納棚の収納空間を開閉可能に覆う収納扉と、を備えるキャビネットであって、収納棚は、底板本体と、照明ユニットと、を含む底板を備える。照明ユニットは、底板本体に取り付けられる透光性の照明カバーを含む。照明カバーは、底板の正面視にて出射面の少なくとも一部が露出するように構成されている。
【0069】
この態様によると、照明ユニットからの光は、より前方に向けて出射される。
【0070】
照明ユニットは光源モジュールを含んでもよい。光源モジュールは、その光源の光軸が鉛直方向に対して本キャビネットの前方側に傾斜するよう設けられてもよい。この態様によると、光源モジュールからの光はより前方に向けて出射される。
【0071】
照明カバーは、拡散剤を含有してもよい。この態様によると、光源モジュールからの光の一部は、斜め上前方にも出射される。斜め上前方に出射された光の一部は、収納扉が開いている場合、その収納扉14にて反射して収納棚の収納空間に照射される。これにより、収納空間が明るくなり、収納物の視認性が向上する。
【0072】
底板本体は、棚板を兼ねており、物が載置されるべき載置面を有してもよい。
【0073】
キャビネットと、キャビネットより下方に設けられる洗面台と、を備えてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 洗面化粧台、 17 底板本体、 18 下部照明ユニット、 28 底板、 48 光源モジュール、 58 収容空間、 74 照明カバー、 80 前面部、 80a 露出部、 80b 前面。