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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】干渉検出
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20221201BHJP
   G06F 3/0354 20130101ALI20221201BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/041 580
G06F3/041 512
G06F3/0354 453
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018098593
(22)【出願日】2018-05-23
(65)【公開番号】P2018200691
(43)【公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-13
(31)【優先権主張番号】15/605,778
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(74)【代理人】
【識別番号】100182187
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 正之
(72)【発明者】
【氏名】ソベル, デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】シャン, ペイジュン
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0282996(US,A1)
【文献】特開平07-298370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/0354
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の同相タッチ検出ブロックと、
第1の直交位相干渉検出ブロックと、を備え、
前記第1の同相タッチ検出ブロックは、
容量センサ電極と関連付けられた結果信号を局部発振器(LO)信号と混合するように構成されたアナログ混合器と、
前記アナログ混合器の出力をデジタル信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と、
少なくとも部分的に前記デジタル信号に基づいて、前記LO信号の周波数における干渉の同相成分を決定するように構成された第1のデシメーションフィルタと、を備え、
前記第1の直交位相干渉検出ブロックは、
前記ADCからの前記デジタル信号を前記LO信号の反転されサンプリングされたバージョンと混合するように構成された第1のデジタル混合器と、
少なくとも部分的に前記第1のデジタル混合器の出力に基づいて、前記LO信号の前記周波数における前記干渉の直交成分を決定するように構成された第2のデシメーションフィルタを備える、入力装置。
【請求項2】
少なくとも部分的に、前記第1のデシメーションフィルタによって決定された前記同相成分及び前記第2のデシメーションフィルタによって決定された前記直交成分に基づいて、前記干渉を決定するように構成された干渉エンジンを更に備える、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記第1の直交位相干渉検出ブロックが、記第1のデジタル混合器の出力を前記LO信号の直交しサンプリングされたバージョンと混合するように構成された第2のデジタル混合器更に備え、
前記第2のデシメーションフィルタが、前記第2のデジタル混合器の出力信号を入力する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項4】
第1の同相タッチ検出ブロックと、
第1の直交位相干渉検出ブロックと、を備え、
前記第1の同相タッチ検出ブロックは、
容量センサ電極と関連付けられた結果信号を局部発振器(LO)信号と混合するように構成されたアナログ混合器と、
前記アナログ混合器の出力をデジタル信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と、
少なくとも部分的に前記デジタル信号に基づいて、前記LO信号の周波数における干渉の同相成分を決定するように構成された第1のデシメーションフィルタと、を備え、
前記第1の直交位相干渉検出ブロックが、
前記ADCからの前記デジタル信号を比率信号と混合するように構成されたデジタル混合器と、
少なくとも部分的に前記デジタル混合器の出力に基づいて、前記LO信号の前記周波数における前記干渉の直交成分を決定するように構成された第2のデシメーションフィルタと、を有し、
前記比率信号が、前記LO信号のサンプリングされたバージョンに対する前記LO信号の直交しサンプリングされたバージョンの比率である、力装置。
【請求項5】
前記LO信号が、矩形波を含む、請求項1に記載の入力装置。
【請求項6】
前記第1のデシメーションフィルタが、第1の時間窓中に同相成分を決定し、前記第2のデシメーションフィルタが、前記第1の時間窓中に直交成分を決定し、前記第1の同相タッチ検出ブロックが、第2の時間窓中に前記容量センサ電極の近くのユーザ入力を検出する、請求項1に記載の入力装置。
【請求項7】
容量センサ電極と関連付けられた結果信号を局部発振器(LO)信号と混合するように構成されたアナログ混合器と、前記アナログ混合器の出力をデジタル信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と、少なくとも部分的に前記デジタル信号に基づいて、前記LO信号の周波数における干渉の同相成分を決定するように構成された第1のデシメーションフィルタと、を備える第1の同相タッチ検出ブロックと、
少なくとも部分的に前記デジタル信号に基づいて、前記LO信号の前記周波数における前記干渉の直交成分を決定するように構成された第2のデシメーションフィルタを備える第1の直交位相干渉検出ブロックと、
第3のデシメーションフィルタを含む第2の同相タッチ検出ブロックと、
第4のデシメーションフィルタを含む第2の直交位相干渉検出ブロックと、
複数のフィルタ係数を計算するように構成されたフィルタ係数エンジンと、
前記第2のデシメーションフィルタと前記第4のデシメーションフィルタによって使用するために、前記複数のフィルタ係数を比率信号と混合するように構成されたデジタル混合器と、を備え、
前記比率信号が、前記LO信号のサンプリングされたバージョンに対する前記LO信号の直交しサンプリングされたバージョンの比率である、力装置。
【請求項8】
第1の容量センサ電極の近くのユーザ入力を検出するように構成された第1の同相タッチ検出ブロックと、
第1のデジタル混合器と、
第1の直交位相干渉検出ブロックと、を備え、
前記第1の同相タッチ検出ブロックは、
前記第1の容量センサ電極と関連付けられた結果信号を第1の局部発振器(LO)信号と混合するように構成されたアナログ混合器であって、前記第1のLO信号が第1の周波数を含むアナログ混合器と、
前記アナログ混合器の出力をデジタル信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)とを備え
前記第1のデジタル混合器は、前記ADCからの前記デジタル信号を前記第1のLO信号の反転されサンプリングされたバージョンと混合するように構成され、
前記第1の直交位相干渉検出ブロックは、
前記第1のデジタル混合器の出力に少なくとも部分的に基づいて、第2の周波数における干渉の同相成分と直交成分を決定するように構成された第1の複数のデシメーションフィルタを備える、入力装置。
【請求項9】
前記ADCからの前記デジタル信号に基づいて、前記第1の同相タッチ検出ブロックがユーザ入力を検出している第3の周波数における干渉の同相成分と直交成分を決定するように構成された第2の複数のデシメーションフィルタを含む第2の直交位相干渉検出ブロックを更に備える、請求項8に記載の入力装置。
【請求項10】
少なくとも前記同相成分と前記直交成分に基づいて前記干渉を決定するように構成された干渉エンジン更に備える、請求項8に記載の入力装置。
【請求項11】
前記第1の直交位相干渉検出ブロックが、更に、
前記第1のデジタル混合器の出力を前記第2の周波数を含む第2のLO信号と混合するように構成された第2のデジタル混合器と、
前記第1のデジタル混合器の前記出力を前記第2のLO信号の直交バージョンと混合するように構成された第3のデジタル混合器と、を備え、
前記第2のデジタル混合器及び前記第3のデジタル混合器が、前記第1の複数のデシメーションフィルタに接続された、請求項10に記載の入力装置。
【請求項12】
第1の容量センサ電極の近くのユーザ入力を検出するように構成された第1の同相タッチ検出ブロックと、
第1の直交位相干渉検出ブロックと、を備え、
前記第1の同相タッチ検出ブロックは、
前記第1の容量センサ電極と関連付けられた結果信号を第1の局部発振器(LO)信号と混合するように構成されたアナログ混合器であって、前記第1のLO信号が第1の周波数を含むアナログ混合器と、
前記アナログ混合器の出力をデジタル信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と、を備え、
前記第1の直交位相干渉検出ブロック
前記第1のLO信号の反転されサンプリングされたバージョンを、2の周波数を含む第2のLO信号と混合するように構成された第1のデジタル混合器と、
前記第1のLO信号の反転されサンプリングされたバージョンを、前記第2のLO信号の直交バージョンと混合するように構成された第2のデジタル混合器と、
前記第1のデジタル混合器の出力を前記ADCからの前記デジタル信号と混合するように構成された第3のデジタル混合器と、
前記第2のデジタル混合器の出力を前記ADCからの前記デジタル信号と混合するように構成された第4のデジタル混合器と、
前記ADCからの前記デジタル信号に少なくとも部分的に基づいて、前記第2の周波数における干渉の同相成分と直交成分を決定するように構成された第1の複数のデシメーションフィルタと、を備え、
前記第1の複数のデシメーションフィルタが、前記第3のデジタル混合器及び前記第4のデジタル混合器に接続された、力装置。
【請求項13】
第1の容量センサ電極の近くのユーザ入力を検出するように構成され、前記第1の容量センサ電極と関連付けられた結果信号を第1の局部発振器(LO)信号と混合するように構成されたアナログ混合器であって、前記第1のLO信号が第1の周波数を含むアナログ混合器と、前記アナログ混合器の出力をデジタル信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と、を含む第1の同相タッチ検出ブロックと、
前記ADCからの前記デジタル信号に少なくとも部分的に基づいて、第2の周波数における干渉の同相成分と直交成分を決定するように構成された第1の複数のデシメーションフィルタを備える、第1の直交位相干渉検出ブロックと、
第2の容量センサ電極の近くのユーザ入力を検出するように構成された第2の同相タッチ検出ブロックと、
第2の複数のデシメーションフィルタを含む第2の直交位相干渉検出ブロックと、
複数のフィルタ係数を決定するように構成されたフィルタ係数エンジンと、
前記第1のLO信号の反転されサンプリングされたバージョンを、前記第2の周波数を含む第2のLO信号と混合するように構成された第1のデジタル混合器と、
前記第1のLO信号の反転されサンプリングされたバージョンを、前記第2のLO信号の直交バージョンと混合するように構成された第2のデジタル混合器と、
前記第1のデジタル混合器の出力を第1のフィルタ係数と混合するように構成された第3のデジタル混合器と、
前記第2のデジタル混合器の出力を前記2のフィルタ係数と混合するように構成された第4のデジタル混合器と、をえ、
前記第1の複数のデシメーションフィルタのうちの1つ及び前記第2の複数のデシメーションフィルタのうちの1つが、前記第3のデジタル混合器の出力を使用して動作し、
前記第1の複数のデシメーションフィルタのうちの1つ及び前記第2の複数のデシメーションフィルタのうちの1つが、前記第4のデジタル混合器の出力を使用して動作する、力装置。
【請求項14】
前記第1のLO信号が、矩形波を含む、請求項8に記載の入力装置。
【請求項15】
容量センサ電極と関連付けられた結果信号を得るステップと、
アナログ混合器によって、前記結果信号を第1の周波数を含む第1の局部発振器(LO)信号と混合するステップと、
アナログデジタル変換器(ADC)によって、前記アナログ混合器の出力第1のデジタル信号変換するステップと、
第1のデジタル混合器によって、前記第1のデジタル信号を第2のデジタル信号と混合するステップと、
第1のデシメーションフィルタによって、及び前記第1のデジタル混合器の出力に基づいて、干渉の直交成分を決定するステップと、を備え
前記第2のデジタル信号が、前記第1のLO信号の反転されサンプリングされたバージョン、又は、前記第1のLO信号のサンプリングされたバージョンに対する前記第1のLO信号の直交しサンプリングされたバージョンの比率である、入力装置を動作させる方法。
【請求項16】
第2のデシメーションフィルタによって、及び前記第1のデジタル信号に基づいて、前記第1の周波数における前記干渉の同相成分を決定するステップを更に備え、
前記第2のデシメーションフィルタ、前記ADC及び前記アナログ混合器が、同相タッチ検出ブロック内にあり、
前記第2のデジタル信号が、前記第1のLO信号のサンプリングされたバージョンに対する前記第1のLO信号の直交しサンプリングされたバージョンの比率であり、
前記第1のデシメーションフィルタが、前記第1のデジタル混合器の前記出力に接続され、
前記第1のデジタル混合器と前記第1のデシメーションフィルタが、直交位相干渉検出ブロック内にある、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
第2のデシメーションフィルタによって、前記第1のデジタル信号に基づいて、前記第1の周波数における前記干渉の同相成分を決定するステップを備え、
前記第2のデシメーションフィルタ、前記ADC及び前記アナログ混合器が、同相タッチ検出ブロック内にあり、
第2のデジタル混合器によって、前記第1のデジタル混合器の前記出力を、前記第1のLO信号の直交しサンプリングされたバージョンと混合するステップを備え、
前記第2のデジタル信号が、前記第1のLO信号の反転されサンプリングされたバージョンであり、
前記第1のデシメーションフィルタが、前記第2のデジタル混合器の前記出力に接続され、
前記第1のデジタル混合器、前記第2のデジタル混合器及び前記第1のデシメーションフィルタが、直交位相干渉検出ブロック内にある、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
容量センサ電極と関連付けられた結果信号を得るステップと、
アナログ混合器によって、前記結果信号を第1の周波数を含む第1の局部発振器(LO)信号と混合するステップと、
アナログデジタル変換器(ADC)によって、前記アナログ混合器の出力を第1のデジタル信号に変換するステップと、
第1のデジタル混合器によって、前記第1のデジタル信号を第2のデジタル信号と混合するステップと、
第1のデシメーションフィルタによって、及び前記第1のデジタル混合器の出力に基づいて、干渉の直交成分を決定するステップと、
第2のデジタル混合器によって、前記第1のデジタル混合器の前記出力を第2の周波数を含む第2のLO信号と混合するステップと、
第2のデシメーションフィルタによって、及び前記第2のデジタル信号に基づいて、前記第2の周波数における前記干渉の同相成分を決定するステップと、
第3のデジタル混合器によって、前記第1のデジタル混合器の前記出力を、前記第2のLO信号の直交バージョンと混合するステップと、を更に備え、
前記第2のデジタル信号が、前記第1のLO信号の反転されサンプリングされたバージョンであり、
前記第1のデシメーションフィルタが、前記第3のデジタル混合器の前記出力に接続された、入力装置を動作させる方法。
【請求項19】
容量センサ電極と関連付けられた結果信号を得るステップと、
アナログ混合器によって、前記結果信号を第1の周波数を含む第1の局部発振器(LO)信号と混合するステップと、
アナログデジタル変換器(ADC)によって、前記アナログ混合器の出力を第1のデジタル信号に変換するステップと、
第1のデジタル混合器によって、前記第1のデジタル信号を第2のデジタル信号と混合するステップと、
第1のデシメーションフィルタによって、及び前記第1のデジタル混合器の出力に基づいて、干渉の直交成分を決定するステップと、
第2のデジタル混合器によって、前記第1のLO信号の反転されサンプリングされたバージョンを、第2の周波数を含む第2のLO信号と混合するステップと、
第3のデジタル混合器によって、前記第2のデジタル混合器の出力を前記ADCからの前記第1のデジタル信号と混合するステップと、
第2のデシメーションフィルタによって、前記第3のデジタル混合器の出力に基づいて、前記第2の周波数における前記干渉の同相成分を決定するステップと、を備え、
前記第2のデシメーションフィルタが、前記第3のデジタル混合器の前記出力に接続され、
第4のデジタル混合器によって、前記第1のLO信号の反転されサンプリングされたバージョンを、前記第2のLO信号の直交バージョンと混合するステップを備え、
前記第2のデジタル信号が、前記第4のデジタル混合器の出力であり、
前記第1のデシメーションフィルタが、前記第1のデジタル混合器の前記出力に接続された、入力装置を動作させる方法。
【請求項20】
前記干渉を、前記干渉の前記直交成分と同相成分に基づいて決定するステップを更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
記載される実施形態は、一般に、電子デバイスに関し、より具体的には、1つ以上の周波数における干渉の同相成分と直交成分の両方を決定(例えば、測定、評価)する近接センサデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
バイスタッチパッド又はタッチセンサデバイスのような近接センサデバイスを含む入力装置は、様々な電子システムに幅広く使用される。近接センサデバイスは、典型的には、しばしば面によって区分された検出領域を有し、検出領域内で、近接センサデバイスが1つ以上の入力オブジェクトの存在、位置及び/又は動きを決定する。近接センサデバイスは、電子システムのインタフェースを提供するために使用されうる。例えば、近接センサデバイスは、より大きい計算処理システムの入力装置(ノートブック又はデスクトップコンピュータに組み込まれるかその周辺装置の不透明タッチパッドなど)としてしばしば使用される。また、近接センサデバイスは、より小さい計算処理システム(携帯電話に組み込まれたタッチスクリーンなど)にしばしば使用される。近接センサデバイスはまた指、スタイ又はペンを検出するために用いられる。
【0003】
しばしば入力装置の動作中に干渉が存在する。従って、入力装置が干渉の影響を軽減するために、入力装置が1つ以上の周波数における干渉を決定しなければならないことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、1つ以上の実施形態が、入力装置に関する。入力装置は、容量センサ電極と関連付けられた結果信号を局部発振器(LO)信号と混合するように構成されたアナログ混合器と、アナログ混合器の出力をデジタル信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)と、デジタル信号に少なくとも部分的に基づいて、LO信号の周波数における干渉の同相成分を決定するように構成された第1のデシメーションフィルタとを有する第1に同相タッチ検出ブロックと、周波数における干渉の直交成分を決定するように構成された第2のデシメーションフィルタを含む第1の直交位相干渉検出ブロックとを有する。
【0005】
一般に、1つ以上の実施形態が、入力装置に関する。入力装置は、第1の容量センサ電極の近くでユーザ入力を検出するように構成され、第1の容量センサ電極と関連付けられた結果信号を、第1の周波数を含む第1の局部発振器(LO)信号と混合するように構成されたアナログ混合器と、アナログ混合器の出力をデジタル信号に変換するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC)とを含む第1の同相タッチ検出ブロックと、ADCからのデジタル信号に少なくとも部分的に基づいて、第2の周波数における干渉の同相成分と直交成分を決定するように構成された第1の複数のデシメーションフィルタを含む第1の直交位相干渉検出ブロックとを含む。
【0006】
一般に、1つ以上の実施形態は、入力装置を動作させる方法に関する。この方法は、容量センサ電極と関連付けられた結果信号を得るステップと、アナログ混合器によって、結果信号を、第1の周波数を含む第1の局部発振器(LO)信号と混合するステップと、アナログデジタル変換器(ADC)によって、アナログ混合器の出力からの第1のデジタル信号を変換するステップと、第1のデジタル混合器によって、第1のデジタル信号を第2のデジタル信号と混合するステップと、第1のデシメーションフィルタによって、第1のデジタル混合器の出力に基づいて、干渉の直交成分を決定するステップとを含む。
【0007】
実施形態の他の態様は、以下の記述及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【0008】
この実施形態は、例によって示され、添付図面の図によって限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】1つ以上の実施形態による入力装置のブロック図である。
図2A】1つ以上の実施形態による同相タッチ検出ブロックと直交位相干渉検出ブロックのブロック図である。
図2B】1つ以上の実施形態による少なくとも複数のデシメーションフィルタを有する直交位相干渉検出ブロックのブロック図である。
図2C】1つ以上の実施形態によるフィルタ係数発生器を共用する複数のレシーバチャネルのブロック図である。
図3A】1つ以上の実施形態による同相タッチ検出ブロックと直交位相干渉検出ブロックのブロック図である。
図3B】1つ以上の実施形態による少なくとも複数のデシメーションフィルタを有する直交位相干渉検出ブロックのブロック図である。
図3C】1つ以上の実施形態によるフィルタ係数発生器を共用する複数のレシーバチャネルのブロック図である。
図4A】1つ以上の実施形態によるフローチャートである。
図4B】1つ以上の実施形態によるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明は、単に本質的に例示であり、本発明又は本発明の用途及び使用法を限定するものではない。更に、前述の技術分野、背景、概要又は以下の詳細な説明に示された任意の明示又は暗示された理論によって拘束されるものではない。
【0011】
本発明の種々の実施形態は、改善された操作性を様々な他の利点と共に促進できる入力装置及び方法を提供する。
【0012】
次に図に移ると、図1は、この実施形態が実現されうる典型的な入力装置100のブロック図である。入力装置100は、処理システム110と検出領域120を含む。入力装置100は、電子システム(単純にするために示されていない)に入力を提供するように構成されうる。電子システム(又は、電子装置)の例には、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレット、ウェブブラウザ、eブックリーダ及び携帯情報端末(PDA))、複合入力装置(例えば、物理キーボード、ジョイスティック、又はキースイッチ)、データ入力装置(例えば、リモートコントロール及びマウス)、データ出力装置(例えば、表示画面及びプリンタ)、リモート端末、キオスク、及びテレビゲーム機(例えば、ビデオゲームコンソール、携帯ゲーム機など)、通信装置(例えば、スマートフォンなどの携帯電話)、及び媒体装置(例えば、レコーダ、エディタ、及びテレビ、セットトップボックス、音楽プレーヤ、デジタル写真フレーム及びデジタルカメラなどのプレーヤ)が挙げられうる。電子システムは、入力装置に対してホストでもスレーブでもよい。
【0013】
入力装置100は、対応する電子システムの物理部分として実現されてもよく、電子システムから物理的に離れてもよい。更に、入力装置100の一部が、電子システムの一部分でもよい。例えば、決定モジュール150の全て又は一部分が、電子システムのデバイスドライバに実装されうる。入力装置100は、バスやネットワークなどの様々な有線又は無線技術を使用して、電子システムの構成要素に結合され通信できる。例示的な技術には、インターインテグレイテッドサーキット(IC)、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)、PS/2、ユニバーサルシリアルバス(USB)、Bluetooth(登録商標)、赤外線データ通信規格(IrDA)、及びIEEE 802.11や他の規格によって規定された様々な電波周波数(高周波)通信プロトコルが挙げられる。
【0014】
図1の例では、入力装置100は、検出領域120内の1つ以上の入力オブジェクト140によって提供された入力を検出するように構成された近接センサデバイス(例えば、「タッチパッド」又は「タッチセンサデバイス」)に対応できる。例示的な入力オブジェクトには、スタイラス、アクティブペン、指、指先などが挙げられる。検出領域120は、入力装置100の上、そのまわり、その中、及び/又はその近くに、入力装置100がユーザ入力(例えば、1つ以上の入力オブジェクト140によって提供された)を検出できる任意の空間を含みうる。特定の検出領域120のサイズ、形状及び位置(例えば、電子システムに対する)は、実際の実施態様により異なりうる。
【0015】
幾つかの実施形態では、検出領域120は、入力装置100の表面から空間内の1つ以上の方向に、例えば、センサの信号対雑音比(SNR)がオブジェクト検出に適したしきい値より低くなるまで延在する。例えば、この検出領域120が特定の方向に拡張する距離は、約1ミリメートル未満、数ミリメートル、数センチメートル又はそれ以上でよく、使用される検出技術のタイプ及び/又は必要な精度により異なりうる。幾つかの実施形態では、検出領域120は、入力装置100の任意の表面との非物理接触、入力装置100の入力面(例えば、タッチ面)との接触、入力装置100の入力面(例えば、タッチ面及び/又はスクリーン)との接触、何らかの大きさの印加力又は圧力と結合された入力装置100の入力面との接触、及び/又はこれらの組み合わせを含む入力を検出できる。
【0016】
様々な実施形態では、入力面は、入力装置100のハウジングの1つ以上の面によって、及び/又はそのハウジング上への投影によって提供されうる(例えば、画像として)。例えば、検出領域120は、入力装置100の入力面に投影されたときに矩形形状を有する。幾つかの態様では、入力は、検出領域120内で一次元、二次元、三次元又はそれより高次元の空間に及ぶ画像によって提供されうる。幾つかの態様では、入力は、検出領域120内で特定の軸又は平面に沿った投影によって提供されうる。更に、幾つかの態様では、入力は、画像と検出領域120内の投影との組み合わせによって提供されうる。
【0017】
入力装置100は、センサ構成要素と検出技術の様々な組み合わせを利用して、検出領域120内のユーザ入力を検出できる。検出技術の例には、静電容量、弾性、抵抗、誘導、磁気、音響、超音波、無線周波数(高周)波、及び/又は光学検出技術が挙げられる。入力装置100は、様々な検出技術を実現するように構成された1つ以上の検出要素を含みうる。
【0018】
幾つかの実施形態では、入力装置100は、抵抗検出技術を利用してユーザ入力を検出できる。例えば、検出領域120は、1つ以上のスペーサ要素によって導電性の第2層から分離された柔軟で導電性の第1層によって構成されうる。検出領域120は、第1層が第2層と接触されたときに、層を横切る1つ以上の電圧勾配を作り出すことによって、ユーザ入力を検出できる。より具体的には、柔軟な第1層を押すと、層間の電気接触を作り出すのに十分に撓み、その結果、層の間の接点を表す電圧出力が生成される。これらの電圧出力は、検出入力に関する位置情報(例えば、検出領域120内の位置を示す)を決定するために使用されうる。
【0019】
他の実施形態では、入力装置100は、誘導検出技術を利用してユーザ入力を検出できる。例えば、検出領域120は、共振コイル又は1対のコイルによって誘導されたループ電流を検出するように構成された1つ以上の検出要素を含みうる。次に、入力装置100は、電流の大きさ、位相及び周波数の組み合わせを使用して、ユーザ入力を検出できる。ループ電流の特徴を使用して、検出入力に関する位置情報を決定できる。
【0020】
更に他の実施態様では、入力装置システム100は、無線周波数(RF)技術を利用してユーザ入力を検出できる。例えば、検出領域120は、RF波を受信/傍受/検出するように構成された1つ以上の検出要素を含みうる。
【0021】
入力装置システム100の幾つかの光学的実施態様では、1つ以上の検出要素は、検出領域と、したがって検出領域内の任意の入力オブジェクトの画像を生成するカメラ(例えば、赤緑青(RGB)カメラ、赤外線(IR)カメラ、紫外線(UV)カメラなど)である。
【0022】
入力装置システム100の幾つかの容量実施態様では、電圧又は電流が印加されて電界が生成される。近くの入力オブジェクトによって、電界が変化し、電圧や電流などの変化として検出されうる容量結合の検出可能な変化が生じる。
【0023】
幾つかの容量実施態様は、アレイ又は他の規則又は不規則パターンの容量検出要素を利用して電界を生成する。幾つかの容量実施態様では、別個の検出要素がオーム的に短絡されてより大きいセンサ電極が構成されうる。幾つかの容量実施態様は、均一な抵抗でよい抵抗シートを利用する。
【0024】
幾つかの容量実施態様は、センサ電極と入力オブジェクト間の容量結合の変化に基づく「自己キャパシタンス」(又は「絶対キャパシタンス」)検出方法を利用する。様々な実施形態では、センサ電極に最も近い入力オブジェクトは、センサ電極に関連付けられる電界を変化させ、従って測定容量結合が変化する。1つの実施態様では、絶対キャパシタンス検出方法は、センサ電極を基準電圧(例えば、系統接地)に対して変調することによって、またセンサ電極と入力オブジェクト間の容量結合を検出することによって作動する。
【0025】
幾つかの容量実施態様は、センサ電極間の容量結合の変化に基づく「相互キャパシタンス」(又は「トランスキャパシタンス」)検出方法を利用する。様々な実施形態では、センサ電極に最も近い入力オブジェクトが、センサ電極間の電界を変化させ、したがって測定容量結合が変化する。1つの実施態様では、相互キャパシタンス検出方法は、1つ以上のトランスミッタセンサ電極(「トランスミッタ電極」又は「トランスミッタ」とも)と1つ以上のレシーバセンサ電極(「レシーバ電極」又は「レシーバ」とも)の間の容量結合を検出することによって機能する。1つの実施態様では、相互キャパシタンス検出方法が、1つ以上のトランスミッタセンサ電極(「トランスミッタ電極」又は「トランスミッタ」とも)と1つ以上のレシーバセンサ電極(「レシーバ電極」又は「レシーバ」とも)との間の容量結合を検出することによって機能する。トランスミッタセンサ電極は、トランスミッタ信号を送信するために、基準電圧(例えば、系統接地)に対して変調される。レシーバセンサ電極は、結果信号の受信を容易にするために、基準電圧に対して実質的に一定に保持されうる。基準電圧は、実質的に一定の電圧でよく、様々な実施形態では、基準電圧は、系統接地でよい。 幾つかの実施形態では、トランスミッタセンサ電極が、両方とも変調されうる。トランスミッタ電極は、トランスミッタ信号を送信し、結果信号の受信を容易にするために、レシーバ電極に対して変調される。結果信号は、1つ以上のトランスミッタ信号及び/又は環境的干渉(例えば、他の電磁気信号)の1つ以上の発生源に対応する影響を含みうる。効果は、トランスミッタ信号、1つ以上の入力オブジェクト及び/又は環境的干渉によって引き起こされるトランスミッタ信号の変化、又は他のそのような効果でよい。センサ電極は、専用トランスミッタ又はレシーバでもよく、送信及び受信の両方を行うように構成されてもよい。相互キャパシタンス検出法を使用して取得される測定値は、相互キャパシタンス測定値と呼ばれうる。
【0026】
更に、センサ電極は、様々な形状及び/又はサイズのものでよい。同一グループ内のセンサ電極の形状及び/又はサイズは同じでも同じでなくてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、レシーバ電極が、同じ形状及び/又はサイズのものでよく、他の実施形態では、レシーバ電極が、異なる形状及び/又はサイズでよい。
【0027】
図1において、処理システム110は、入力装置100の一部として示される。処理システム110は、入力装置100のハードウェアを作動させて検出領域120の入力を検出するように構成される。処理システム110は、1つ以上の集積回路(IC)及び/又は他の回路構成要素の一部又は全てを含む。例えば、相互キャパシタンスセンサデバイスの処理システムは、トランスミッタセンサ電極によって信号を送信するように構成されたトランスミッタ回路及び/又はレシーバセンサ電極によって信号を受信するように構成されたレシーバ回路を含みうる。更に、絶対容量センサデバイス用の処理システムは、絶対容量信号をセンサ電極上で駆動するように構成されたドライバ回路及び/又はそれらのセンサ電極で信号を受け取るように構成されたレシーバ回路とを含みうる。更に、光センサ(例えば、カメラ)デバイス用の処理システムは、検出領域の画像を取得し処理するように構成された回路を含みうる。1つ以上の実施形態では、結合された容量センサデバイスと光センサデバイス用の処理システムが、前述の回路の任意の組み合わせも含みうる。幾つかの実施形態では、処理システム110は、また、ファームウェアコード、ソフトウェアコードなどの電子的可読命令を含む。
【0028】
幾つかの実施形態では、処理システム110を構成する構成要素は、入力装置100の検出要素近くなどと共に配置される。他の実施形態では、処理システム110の構成要素は、入力装置100の検出要素に近い1つ以上の構成要素及び他の場所にある1つ以上の構成要素と物理的に別である。例えば、入力装置100は、コンピューティングデバイスに結合された周辺装置でよく、処理システム110は、コンピューティングデバイスの中央処理装置及び中央処理装置と別の1つ以上のIC(多くの場合関連ファームウェアを有する)上で動作するように構成されたソフトウェアを含みうる。別の例として、入力装置100は、モバイルデバイス内に物理的に組み込まれてもよく、処理システム110は、モバイルデバイスの主処理装置の一部である回路とファームウェアを含みうる。幾つかの実施形態では、処理システム110は、入力装置100の実現に専用化される。他の実施形態では、処理システム110は、また、表示画面の動作や触覚アクチュエータの駆動などの他の機能を実行する。
【0029】
処理システム110は、処理システム110の様々な機能を処理する1組のモジュールとして実現されうる。各モジュールは、処理システム110、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの組合せの一部の回路を含みうる。様々な実施形態では、モジュールの様々な組合せが使用されうる。例えば、図1に示されたように、処理システム110は、決定モジュール150とセンサモジュール160を含みうる。決定モジュール150は、少なくとも1つの入力オブジェクトが検出領域内にあることを決定し、信号対雑音比を決定し、入力オブジェクトの位置情報を決定し、ジェスチャを識別し、ジェスチャ基づいてジェスチャ又は他の情報の組み合わせを実行するアクションを決定し、及び/又は他の操作を実行する機能を含みうる。
【0030】
センサモジュール160は、検出要素を駆動してトランミッタ信号を送信し結果信号を受信する機能を含みうる。例えば、センサモジュール160は、検出要素に結合された知覚回路を含みうる。センサモジュール160は、例えば、トランスミッタモジュールとレシーバモジュールを含みうる。トランスミッタモジュールは、検出要素の送信部に結合されたトランスミッタ回路を含みうる。レシーバモジュールは、検出要素の受信部に結合されたレシーバ回路を含むことができ、結果信号を受信する機能を含みうる。センサモジュール160は、1つ以上のカメラから検出領域120の画像を取得する機能を含みうる。
【0031】
図1は、決定モジュール150とセンサモジュール160を示すが、1つ以上の実施形態によれば代替又は追加のモジュールが存在しうる。そのような代替又は追加モジュールは、前述のモジュールの1つ以上とは別個のモジュール又はサブモジュールに対応できる。例示的な代替又は追加モジュールには、センサ電極、カメラ、及び/又は表示画面などのハードウェアを動作させるためのハードウェア操作モジュール、センサ信号や位置情報などのデータを処置するためのデータ処理モジュール、情報を報告するための報告モジュール、モード変更ジェスチャなどのジェスチャを識別するように構成された識別モジュール、及び動作モードを変更するためのモード変更モジュールが挙げられる。更に、様々なモジュールが、別個の集積回路内に組み合わされうる。例えば、第1のモジュールが、第1の集積回路内に少なくとも部分的に含まれ、別個のモジュールが、第2の集積回路内に少なくとも部分的に含まれうる。更に、シングルモジュールの部分は、複数の集積回路にわたってもよい。幾つかの実施形態では、処理システムは、全体として、様々なモジュールの動作を実行できる。
【0032】
幾つかの実施形態では、処理システム110は、1つ以上の動作を引き起こすことによって、検出領域120内のユーザ入力(又は、ユーザ入力がないこと)に直接応答する。例示的なアクションには、動作モードの変更、カーソル運動、選択、メニューナビゲーション及び他の関数などのグラフィックユーザインタフェース(GUI)動作が含まれる。幾つかの実施形態では、処理システム110は、電子システムのある部品(例えば、別個の中央処理システムが存在する場合、処理システム110と別の電子システムの中央処理システム)に対する入力(又は入力がないこと)に関する情報を提供する。幾つかの実施形態では、電子システムのある部分は、処理システム110から受け取った情報を処理して、ユーザ入力を処理し、例えば、モード変更動作及びGUI動作を含む全範囲の動作を容易にする。
【0033】
例えば、幾つかの実施形態では、処理システム110は、入力装置100の検出要素を作動させて、検出領域120内の入力(又は、入力がないこと)を示す電気信号を生成する。処理システム110は、電子システムに提供される情報を生成する際に、電気信号に対して任意の適切な量の処理を実行できる。例えば、処理システム110は、センサ電極から得られたアナログ電気信号をデジタル化できる。別の例として、処理システム110は、フィルタリング又は他の信号調整を実行できる。更に別の例として、処理システム110は、情報が電気信号とベースラインとの差を反映するように、ベースラインを減算するか他の方法で考慮できる。更に他の例として、処理システム110は、例えば、位置情報を決定し、入力をコマンドとして認識し、手書きを認識できる。
【0034】
「位置情報」は、本明細書で使用されるとき、絶対位置、相対位置、速度、加速度及び他のタイプの空間情報を含む。一例として、「ゼロ次元」位置情報は、近/遠又は接触/非接触情報を含む。一例として、「一次元」位置情報は、軸に沿った位置を含む。一例として、「二次元」位置情報は、平面内の運動を含む。一例として、「三次元」位置情報は、空間内の瞬間又は平均速度を含む。更に他の例は、空間情報の他の表現を含む。また、例えば、ある期間にわたる位置、運動又は瞬間速度を追跡する履歴データを含む、1つ以上のタイプの位置情報に関する履歴データが、決定されかつ/又は記憶されうる。
【0035】
幾つかの実施形態では、入力装置100は、タッチスクリーンインタフェースを含み、検出領域120は、表示画面の能動領域の少なくとも一部と重なる。例えば、入力装置100は、表示画面を覆う実質的に透明なセンサ電極を含み、関連電子システム150のためのタッチスクリーンインタフェースを提供できる。表示画面は、ユーザに視覚的インタフェースを表示できる任意のタイプの動的表示装置でよく、任意のタイプの発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ、エレクトロルミネセンス(EL)又は他の表示技術を含みうる。入力装置100と表示画面は、物理要素を共有できる。例えば、幾つかの実施形態は、表示と検出に同じ電気構成要素の幾つかを利用できる。様々な実施形態において、表示装置の一以上の表示電極は、表示更新及び入力センシングの両方のために構成されてもよい。別の例として、表示画面は、処理システム110によって一部又は全体的に作動されうる。
【0036】
幾つかの実施形態では、入力装置100はタッチスクリーンインタフェースを含み、検出領域120は、表示画面のアクティブ領域の少なくとも一部と重なる。例えば、入力装置100は、表示画面を覆う実質的に透明なセンサ電極を含み、関連電子システムにタッチスクリーンインタフェースを提供できる。表示画面は、ユーザに視覚インタフェースを表示できる任意のタイプの動的表示装置でよく、また任意のタイプの発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマ、エレクトロルミネセンス(EL)、又は他の表示技術を含みうる。入力装置100と表示画面は、物理要素を共用できる。例えば、幾つかの実施形態は、表示と検出に同じ電気構成要素の幾つかを利用できる。様々な実施形態では、表示装置の1つ以上の表示電極は、表示更新と入力検出の両方のために構成されうる。別の例として、表示画面は、処理システム110によって一部分又は全体が操作されうる。
【0037】
多くの実施形態が、完全に機能する装置の文脈で述べられているが、本発明の機構が、プログラム製品(例えば、ソフトウェア)として様々な形態で配布されうることを理解されたい。例えば、本発明の機構は、電子プロセッサによって読み取り可能な情報保持媒体(例えば、処理システム110によって読み取り可能な非一時的コンピュータ読み取り可能及び/又は記録可能/書き込み可能情報保持媒体)上のソフトウェアプログラムとして実現され配布されうる。更に、本発明の実施形態は、配布を行うために使用される特定タイプの媒体にかかわらず、等しく適用される。例えば、本発明の実施形態を実行するコンピュータ可読プログラムコードの形のソフトウェア命令は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に、全体的又は部分的に、一時的又は永久的に記憶されうる。非一時的電子的読取り可能媒体の例には、様々なディスク、物理メモリ、メモリ、メモリスティック、メモリカード、メモリモジュール、又は他のコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。電子的読取り可能媒体は、フラッシュ、光学、磁気、ホログラフィ、又は任意の他の記憶技術に基づきうる。
【0038】
図1には示されてないが、処理システム、入力装置及び/又はホストシステムは、1つ以上のコンピュータプロセッサ、関連メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、キャッシュメモリ、フラッシュメモリなど)、1つ以上の記憶装置(例えば、ハードディスク、コンパクトディスク(CD)ドライブなどの光ドライブ又はデジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ、フラッシュメモリスティックなど)、並びに多数の他の要素及び機能を含みうる。コンピュータプロセッサは、命令を処理するための集積回路でよい。例えば、コンピュータプロセッサは、プロセッサの1つ以上のコア又はマイクロコアでよい。更に、1つ以上の実施形態の1つ以上の要素は、リモート位置にあり、ネットワークを介して他の要素に接続されうる。更に、本発明の実施形態は、幾つかのノードを有する分散システム上で実現されてもよく、本発明の各部分は、分散システム内に様々なノード上にあってもよい。本発明の一実施形態では、ノードは、別個の計算処理装置に対応する。あるいは、ノードは、関連物理メモリを備えたコンピュータプロセッサに対応しうる。あるいは、ノードは、共有メモリ及び/又はリソースを有するコンピュータプロセッサあるいはコンピュータプロセッサのマイクロコアに対応しうる。
【0039】
図1は、構成要素の構成を示すが、本発明の範囲から逸脱せずに他の構成が使用されうる。例えば、様々な構成要素を組み合わせて単一構成要素を作成できる。別の例として、単一構成要素によって実行される機能が、2つ以上構成要素によって実行されうる。
【0040】
図2Aは、1つ以上の実施形態による入力装置200を示す。入力装置200は、図1に関して前述された入力装置100に対応できる。図2Aに示されたように、入力装置200は、同相タッチ検出ブロック220と直交位相干渉検出ブロック222を含む。同相タッチ検出ブロック220は、図1に関して前述された検出領域120と関連付けられた少なくとも1つの容量センサ電極202に結合される。更に、同相タッチ検出ブロック220と直交位相干渉検出ブロック222は、干渉エンジン214に結合される。同相タッチ検出ブロック220、直交位相干渉検出ブロック222及び干渉エンジン214が、少なくとも部分的にレシーバチャネル299を構成する。図2Aは、単一レシーバチャネル299だけを示すが、1つ以上の実施形態では、入力装置200は、任意数のレシーバチャネルを有しうる。
【0041】
更に、同相タッチ検出ブロック220、直交位相干渉検出ブロック222及び干渉エンジン214は、図1に関して前述された処理システム110の構成要素でよい。例えば、同相タッチ検出ブロック220、直交位相干渉検出ブロック222及び干渉エンジン214はそれぞれ、図1に関して前述されたセンサモジュール160及び/又は決定モジュール150の構成要素でよい。
【0042】
1つ以上の実施形態で、同相タッチ検出ブロック220は、アナログ混合器204、アナログデジタル変換器(ADC)206、及びデシメーションフィルタ208を含む。図2Aに示されたように、同相タッチ検出ブロック220への入力は、容量センサ電極202と関連付けられた結果信号を含む。結果信号は、(i)容量センサ電極202を駆動するトランスミッタ信号(図示せず)、(ii)検出領域120内のユーザ入力(もしある場合)、及び(iii)1つ以上のソースからの干渉(もしある場合)の1つ以上の機能でよい。
【0043】
1つ以上の実施形態では、アナログ混合器204は、結果信号を局部発振器(LO)信号と混合(例えば、ダウンコンバート、復調)する。LO信号は、トランスミッタ信号と同じか実質的に同じ(即ち、位相合わせされた)周波数(f0)及び位相を有する。LO信号とトランスミッタ信号は、正弦波や矩形波などでよい。
【0044】
1つ以上の実施形態では、ADC206は、アナログ混合器204の出力からデジタル信号を生成する。ADC206は、1Mサンプル/秒を超えるサンプルレートを有しうる。 1つ以上の実施形態では、ADC206は、システム内で潜在的/有効干渉の周波数の少なくとも2倍のサンプルレートを有する。
【0045】
1つ以上の実施形態では、デシメーションフィルタ208は、ADC206からのデジタル信号に低域フィルタを適用し、ADC206からデジタル信号をダウンサンプリングする。この詳細な説明の利益を有する当業者は、デシメーションフィルタ208が、複数のフィルタ係数を使用する低域フィルタリング及びダウンサンプリングを実行できることを理解するであろう。
【0046】
1つ以上の実施形態では、同相タッチ検出ブロック220は、少なくとも2つのモードで動作する。より具体的には、同相タッチ検出ブロック220は、様々な時間窓内で異なるモードで動作できる。第1のモードで、同相タッチ検出ブロック220は、容量センサ電極202と関連付けられた検出領域120内のユーザ入力を検出できる。第1のモードの間、デシメーションフィルタ208の出力は、容量センサ電極202の近くのユーザ入力の測定値である。第2のモードで、ユーザ入力がないとき、同相タッチ検出ブロック220は、局部発振器信号とトランスミッタ信号の周波数f0における干渉の同相成分を決定できる。換言すると、第2のモードで、復調器フィルタ208の出力は、周波数f0における干渉の同相成分(I)の推定値である。
【0047】
1つ以上の実施形態で、同相タッチ検出ブロック220が、周波数f0における干渉の同相成分(I)を決定できるが、同相タッチ検出ブロック220は、周波数f0における干渉の直交成分(Q)(即ち、LO信号の位相から位相直交又は90度ずれた干渉成分)を決定できない。同相成分(I)と直交成分(Q)は両方とも、周波数f0における干渉を正確に決定するために必要なことがある。従って、同相タッチ検出ブロック220からの同相成分(I)だけを使用して干渉を決定する場合、決定された干渉は、実際の干渉の信頼性の低い指示(例えば、推定値、測定値など)でありうる。これは、特に、干渉電力の大部分が直交成分(Q)内にある場合に当てはまり、したがって、干渉が同相成分(I)のみに基づいて決定される場合は当てはまらない。
【0048】
1つ以上の実施形態では、レシーバチャネル299は、直交位相干渉検出ブロック222を含む。直交位相干渉検出ブロック222は、周波数f0で干渉の直交成分(Q)を決定(例えば、測定、推定)するように構成される。更に、直交位相干渉検出ブロック222は、同相タッチ検出ブロック220と同時に動作する。換言すると、同相タッチ検出ブロック220が、第2のモードで動作し、周波数f0における干渉の同相成分を推定している間、直交位相干渉検出ブロック222は、同時に周波数f0における干渉の直交成分を推定する。
【0049】
図2Aに示されたように、直交位相干渉検出ブロック222は、1組のデジタル混合器210Aとデシメーションフィルタ212を含む。デシメーションフィルタ212は、前述されたデシメーションフィルタ208と類似でよい(例えば、同じフィルタ係数)。
【0050】
また図2Aに示されたように、1組のデジタル混合器210Aは、ADC206からのデジタル信号をLO信号の反転されサンプリングされたバージョンと混合する初期デジタル混合器を含む。例えば、LO信号がcos(2πf0t)の場合、LO信号の反転バージョンは、1/cos(2πf0t)である。これは、実質的に、アナログ混合器204によって行われたダウンサンプリング/復調を取り消す。1組のデジタル混合器210Aは、また、初期デジタル混合器の出力を、LO信号の直交(即ち、位相直交又はLO信号の位相からオフセット90度)しサンプリングされたバージョンと混合する後続デジタル混合器を含みうる。例えば、LO信号がcos(2πf0t)の場合、LO信号の直交バージョンは、cos(2πf0t+π/2)=sin(2πf0t)である。これは、実質的に、直交位相チャネルを作成する。後続デジタル混合器の出力は、デシメーションフィルタ212に通される。従って、デシメーションフィルタ212の出力は、周波数f0における干渉の直交成分(Q)の推定値である。
【0051】
1つ以上の実施形態で、レシーバチャネル299は、干渉エンジン214を含む。干渉エンジン214は、ソフトウェア、ハードウェア(即ち、回路)又はこれらの任意の組み合わせで実現されうる。干渉エンジン214は、少なくとも同相成分(I)と直交成分(Q)に基づいて、周波数f0における干渉の大きさを計算する。換言すると、干渉エンジン214は、実質的に、|I+jQ|を計算し、ここでjは虚数単位である。1つ以上の実施形態では、QのSNRはIのSNRより小さい可能性が高い。従って、干渉エンジン214は、干渉大きさの計算においてIに対するQの重みをあまり重視しなくてよい。例えば、干渉エンジン214は、|I+jkQ|を計算でき、ここで、kは、少なくともQの品質(例えば、SNR)に依存する調整可能な重み(0≦k≦1)である。干渉エンジン214は、直交位相干渉検出ブロック222の外側にあるように示されているが、1つ以上の実施形態では、干渉エンジン214は、直交位相干渉検出ブロック222の構成要素である。
【0052】
一実施形態では、入力装置200は、干渉の大きさがしきい値を超えた場合に、1つ以上の対策をとりうる。例えば、干渉の大きさが大きすぎる場合、入力装置は、センサ領域120と関連付けられた容量センサ電極を駆動するトランスミッタ信号の周波数を変更できる。
【0053】
この詳細な説明の利益を有する当業者は、図2Aに示された構成が、ADC206のシングルバーストから干渉の同相成分と直交成分の両方を推定することを可能にする。更に、図2Aに示された構成は、同相タッチ検出ブロック220内に既にある以外の追加のアナログ回路を必要としない。
【0054】
図2Bは、入力装置200の別の実施形態を示す。図2Bに示されたように、図2Aに示されたような1組のデジタル混合器210Aは、1組のデジタル混合器210Bと置き換えられた。具体的には、1組のデジタル混合器210Bが、ADC206からのデジタル信号を比率信号と混合する単一デジタル混合器を含む。比率信号は、LO信号のサンプリングバージョンに対する(即ち、これで割った)LO信号の直交及びサンプリングバージョンの比率である。例えば、LO信号がcos(2πf0t)の場合、LO信号の直交バージョンは、cos(2πf0t+π/2)=sin(2πf0t)になり、比率信号は、sin(2πf0t)/cos(2πf0t)のサンプリングバージョン=tan(2πf0t)のサンプリングバージョンになる。
【0055】
図2Cは、入力装置200の更に別の実施形態を示す。図2Cに示されたように、入力装置200は、複数のレシーバチャネル(即ち、レシーバチャネルA299A、レシーバチャネルN299N)を有する。各レシーバチャネル299A,299Nは、同相タッチ検出ブロック(例えば、同相タッチ検出ブロックA220A、同相タッチ検出ブロックN220N)と、直交位相干渉検出ブロック(例えば、直交位相干渉検出ブロックA222A、直交位相干渉検出ブロックN222N)とを含む。各同相タッチ検出ブロック220A,220Nは、本質的に、図2Aに関して前述された同相センサブロック220と同じである。例えば、各同相センサブロック220A、220Nは、デシメーションフィルタ(例えば、デシメーションフィルタ208A、デシメーションフィルタ208N)を含む。
【0056】
図2Cに示されたように、各直交位相干渉検出ブロック222A,222Nは、また、デシメーションフィルタ(例えば、デシメーションフィルタ212A、デシメーションフィルタ212N)を含む。同相タッチ検出ブロック220A、220N内のADCからのデジタル信号は、直交位相干渉検出ブロック222A,222Nのデシメーションフィルタ212A,212Nに送られる。
【0057】
更に図2Cを参照すると、入力装置200は、デシメーションフィルタのフィルタ係数を生成するフィルタ係数エンジン290を含む。フィルタ係数エンジン290によって生成されるフィルタ係数の1つ以上が、同相タッチ検出ブロック220A、220Nのデシメーションフィルタ208A、208Nに送信されうる(例えば、ブロードキャスト、マルチキャスト、ユニキャストによって)。入力装置200は、また、フィルタ係数エンジン290によって生成されたフィルタ係数の1つ以上を比率信号と混合するデジタル混合器288を含む。図2Bに関して前述されたように、比率信号は、LO信号のサンプリングバージョンに対する(即ち、によって割られた)LO信号の直交及びサンプリングバージョンの比率である。デジタル混合器288(即ち、混合フィルタ係数)の出力は、直交位相干渉検出ブロック222A、222Nのデシメーションフィルタ212A、212Nに送られる(例えば、ブロードキャスト、マルチキャスト、ユニキャストなどによって)。
【0058】
図2Cに表された構成では、図2A図2Bに示されたように、各直交位相干渉検出ブロック222A、222N内の1組のデジタル混合器は不要である。その代わりに、比率信号は、デシメーションフィルタ212A、212Nに送られる混合フィルタ係数に反映される。従って、各デシメーションフィルタ212A、212Nの出力は、やはりLO信号の周波数における干渉の直交成分の推定値である。更に、フィルタ係数は、中央位置で計算され更新され、次に複数のレシーバチャネルに送られうる。
【0059】
図3Aは、1つ以上の実施形態による入力装置300を示す。入力装置300は、図1に関して前述された入力装置100に対応できる。図3Aに示されたように、入力装置300は、同相タッチ検出ブロック320と1つ以上の直交位相干渉検出ブロック(例えば、直交位相干渉検出ブロック322、直交位相干渉検出ブロック350)を含む。同相タッチ検出ブロック320は、図1に関して前述された検出領域120と関連付けられた少なくとも1つの静電容量センサ電極302に結合される。同相タッチ検出ブロック320と直交位相干渉検出ブロック322,350は、レシーバチャネル399を少なくも部分的に構成する。図3Aは、単一のレシーバチャネル399だけを示すが、1つ以上の実施形態では、入力装置300は、任意数のレシーバチャネルを有することができる。
【0060】
更に、同相タッチ検出ブロック320と直交位相干渉検出ブロック322,350は、図1に関して前述された処理システム110の構成要素でよい。例えば、同相タッチ検出ブロック320、直交位相干渉検出ブロック322及び350はそれぞれ、図1に関して前述されたセンサモジュール160及び/又は決定モジュール150の構成要素でよい。
【0061】
1つ以上の実施形態では、同相タッチ検出ブロック320は、アナログ混合器304、アナログデジタル変換器(ADC)306、及びデシメーションフィルタ308を含む。図3Aに示されたように、同相タッチ検出ブロック320への入力は、静電容量センサ電極302と関連付けられた結果信号を含む。結果信号は、少なくとも(i)容量センサ電極302を駆動するトランスミッタ信号(図示せず)、(ii)検出領域120内のユーザ入力(もしある場合)、及び(iii)1つ以上のソースからの干渉(もしある場合)の関数である。
【0062】
1つ以上の実施形態では、アナログ混合器304は、結果信号を局部発振器(LO)信号Aと混合(例えば、ダウンコンバート、復調)する。LO信号Aは、トランスミッタ信号と同じか又は実質的に同じ(即ち、と位相合わせされた)周波数(f)と位相を有する。LO信号Aとトランスミッタ信号は、正弦波、矩形波などでよい。
【0063】
1つ以上の実施形態で、ADC306は、アナログ混合器304の出力からデジタル信号を生成する。ADC306は、1Mサンプル/秒を超えるサンプルレートを有しうる。1つ以上の実施形態では、ADC306は、システム内で潜在的/有効干渉の周波数の少なくとも2倍のサンプルレートを有する。
【0064】
1つ以上の実施形態では、デシメーションフィルタ308は、ADC306からのデジタル信号に低域フィルタを適用し、ADC306からデジタル信号をダウンサンプリングする。この詳細な説明の利益を有する当業者は、デシメーションフィルタ308が、複数のフィルタ係数を使用する低域フィルタリング及びダウンサンプリングを実行できることを理解するであろう。
【0065】
1つ以上の実施形態では、同相タッチ検出ブロック320が、容量センサ電極302と関連付けられた検出領域120内のユーザ入力を検出する。換言すると、復調フィルタ308の出力は、容量センサ電極302の近くのユーザ入力の測定値である。
【0066】
1つ以上の実施形態では、レシーバチャネル399は、デジタル混合器311を含む。デジタル混合器311は、ADC306からのデジタル信号を、LO信号Aの反転されサンプリングされたバージョンと混合する。例えば、LO信号Aがcos(2πft)の場合、LO信号Aの反転バージョンは、1/cos(2πft)である。これは、実質的に、アナログ混合器304によって行われるダウンサンプリング/復調を取り消す。
【0067】
1つ以上の実施形態で、レシーバチャネル399は、直交位相干渉検出ブロック322を含む。直交位相干渉検出ブロック322は周波数fB(即ち、LO信号Aの周波数fと異なる周波数)における干渉の同相(I)及び直交成分(Q)の両方を推定するように構成される。更に、直交位相干渉検出ブロック322は、同相タッチ検出ブロック320と同時に動作する。換言すると、同相タッチ検出ブロック320が、ユーザ入力を測定/検出する際、直交位相干渉検出ブロック322は、周波数fBにおける干渉の同相成分(I)と直交成分(Q)の両方を推定する。
【0068】
図3Aに示されたように、直交位相干渉検出ブロック322は、1組のデジタル混合器316と複数(例えば、1対)のデシメーションフィルタ(例えば、デシメーションフィルタ312、デシメーションフィルタ314)を含む。デシメーションフィルタ312,314は、前述したデシメーションフィルタ308と類似(例えば、同じフィルタ係数)でよい。
【0069】
また、図3Aに示されたように、1組のデジタル混合器316は、(i)デジタル混合器311の出力を周波数fBを有するLO信号Bと混合し、その結果をデシメーションフィルタ312に送るデジタル混合器と、(ii)デジタル混合器311の出力を、LO信号Bの直交(即ち、LO信号Bの位相から位相直交又はオフセット90度)バージョンと混合し、結果をデシメーションフィルタ314に送るデジタル混合器とを含む。例えば、LO信号Bがcos(2πfBt)である場合、LO信号Bの直交バージョンは、cos(2πfBt+π/2)=sin(2πfBt)になる。従って、デシメーションフィルタ312の出力は、周波数fBにおける干渉の同相成分(I)の推定値である。更に、デシメーションフィルタ314の出力は、周波数fBにおける干渉の直交成分(Q)の推定値である。
【0070】
1つ以上の実施形態では、直交位相干渉検出ブロック322は、干渉エンジン318を含む。干渉エンジン318は、ソフトウェア、ハードウェア(即ち、回路)又はこれらの任意の組み合わせで実現されうる。干渉エンジン318は、同相成分(I)と直交成分(Q)とに基づいて周波数fBにおける干渉の大きさを計算する。換言すると、干渉エンジン318は、実質的に、周波数fBにおける|I+jQ|を計算する。1つ以上の実施形態では、干渉エンジン318は、図2Aに関して前述された干渉エンジン214と類似している。従って、干渉エンジン318は、例えば、|I+jkQ|を計算でき、ここで、IのSNRとQのSNRにより0≦k≦1である。
【0071】
1つ以上の実施形態で、レシーバチャネル399は、直交位相干渉検出ブロック350を含む。直交位相干渉検出ブロック350は、周波数fC(即ち、LO信号Aの周波数fと異なる周波数)における同相(I)及び干渉直交成分(Q)の両方を推定するように構成される。更に、直交位相干渉検出ブロック350は、同相タッチ検出ブロック320と同時に動作する。換言すると、同相タッチ検出ブロック320が、ユーザ入力を測定/検出する際、直交位相干渉検出ブロック322は、周波数fCにおける干渉の同相成分(I)と直交成分(Q)の両方を推定する。
【0072】
図3Aに示されたように、直交位相干渉検出ブロック350は、1組のデジタル混合器356と複数(例えば、1対)のデシメーションフィルタ(例えば、デシメーションフィルタ352、デシメーションフィルタ354)を含む。デシメーションフィルタ352,354は、前述したデシメーションフィルタ308と類似(例えば、同じフィルタ係数)でよい。
【0073】
また、図3Aに示されたように、1組のデジタル混合器356は、(i)デジタル混合器311の出力を周波数fCを有するLO信号Cと混合し、その結果をデシメーションフィルタ352に送るデジタル混合器と、(ii)デジタル混合器311の出力を、LO信号Cの直交(即ち、LO信号Cの位相から位相直交又はオフセット90度)バージョンと混合し、結果をデシメーションフィルタ354に送るデジタル混合器とを含む。例えば、LO信号Cがcos(2πfCt)の場合、LO信号Cの直交バージョンは、cos(2πfCt+π/2)=sin(2πfCt)になる。従って、デシメーションフィルタ352の出力は、周波数fCにおける干渉の同相成分(I)の推定値である。更に、デシメーションフィルタ354の出力は、周波数fCにおける干渉の直交成分(Q)の推定値である。
【0074】
1つ以上の実施形態では、直交位相干渉検出ブロック350は、干渉エンジン358を含む。干渉エンジン358は、ソフトウェア、ハードウェア(即ち、回路)又はこれらの任意の組み合わせで実現されうる。干渉エンジン358は、同相成分(I)と直交成分(Q)に基づいて周波数fCにおける干渉の大きさを計算する。換言すると、干渉エンジン358は、実質的に、周波数fCにおける|I+jQ|を計算する。1つ以上の実施形態では、干渉エンジン358は、図2Aに関して前述された干渉エンジン214と類似している。従って、干渉エンジン358は、例えば、|I+jkQ|を計算でき、ここで、IのSNRとQのSNRにより0≦k≦1である。
【0075】
1つ以上の実施形態では、入力装置300は、周波数fBにおける干渉の大きさか、周波数fCにおける干渉の大きさが、しきい値より小さくなる場合に、1つ以上の操作を取りうる。例えば、fCにおける干渉の大きさがきわめて小さい場合、入力装置は、容量センサ電極を駆動するトランスミッタ信号の周波数をfCに変更できる。
【0076】
この詳細な説明の利益を有する当業者は、図3Aに示された構成により、複数の周波数におけるユーザ入力検出及び干渉推定が、ADC306のシングルバーストに基づいて実行できることを理解するであろう。更に、図3Aに示された構成は、同相タッチ検出ブロック320内に既にある以外の追加のアナログ回路を必要としない。
【0077】
図3Bは、1つ以上の実施形態による追加及び/又は代替バージョンの入力装置300を示す。具体的には、デジタル混合器311と1組のデジタル混合器316は、図3Aに示されたように、2組のデジタル混合器319A,319Bと置き換えられている。初期組のデジタル混合器319Aは、LO信号Aの反転されサンプリングされたバージョンを、LO信号B及びLO信号Bの直交バージョンと混合する。例えば、LO信号Bがcos(2πfBt)の場合、LO信号Bの直交バージョンは、cos(2πfBt+π/2)=sin(2πfBt)になる。後の組のデジタル混合器319Bは、初期組のデジタル混合器319Aの出力をADC306からのデジタル信号と混合する。図3Aと同様に、デシメーションフィルタ312の出力は、周波数fBにおける干渉の同相成分(I)の推定値であり、デシメーションフィルタ354の出力は、周波数fBにおける干渉の直交成分(Q)の推定値である。
【0078】
図3Cは、1つ以上の実施形態による追加及び/又は代替バージョンの入力装置300を示す。図3Cに示されたように、入力装置300は、複数のレシーバチャネル(即ち、レシーバチャネルA399A、レシーバチャネルN399N)を有する。各レシーバチャネル399A,399Nは、同相タッチ検出ブロック(例えば、同相タッチ検出ブロックA320A、同相タッチ検出ブロックN320N)と、直交位相干渉検出ブロック(例えば、直交干渉検出ブロックA322A、直交干渉検出ブロックN322N)とを含む。各同相タッチ検出ブロック320A,320Nは、本質的に、図3Aに関して前述された同相センサブロック320と同じである。例えば、各同相センサブロック320A、320Nは、デシメーションフィルタ(例えば、デシメーションフィルタ308A、デシメーションフィルタ308N)を含む。
【0079】
図3Cに示されたように、各直交位相干渉検出ブロック322A、322Nは、また、複数(例えば、1対)のデシメーションフィルタ(例えば、デシメーションフィルタ312A、デシメーションフィルタ312N、デシメーションフィルタ314A、デシメーションフィルタ314N)を含む。同相タッチ検出ブロック320A、320N内のADCからのデジタル信号は、直交位相干渉検出ブロック322A,322Nのデシメーションフィルタ312A,312N、314A,314Nに送られる。
【0080】
更に図3Cを参照すると、入力装置300は、デシメーションフィルタのフィルタ係数を生成するフィルタ係数エンジン390を含む。フィルタ係数エンジン390によって生成されるフィルタ係数の1つ以上は、同相タッチ検出ブロック320A、320Nのデシメーションフィルタ308A、308Nに送られる。入力装置300は、また、2組のデジタル混合器391A、391Bを含む。初期組のデジタル混合器391Aは、LO信号Aの反転されサンプリングされたバージョンを、LO信号B及びLO信号Bの直交バージョンと混合する。後続組のデジタル混合器391Bは、初期組のデジタル混合器391Aの出力を、フィルタ係数エンジン390によって生成された1つ以上のフィルタ係数と混合する。後続組のデジタル混合器391Bの出力(即ち、混合フィルタ係数)は、直交位相干渉検出ブロック322A、322Nのデシメーションフィルタ312A、312N、314A、314Nに送られる。
【0081】
図3Cに表された構成では、図3A図3Bに示されたような各直交位相干渉検出ブロック322A、322N内の1組のデジタル混合器は不要である。その代わりに、LO信号B及びLO信号Bの直交バージョンは、デシメーションフィルタ312A、312N、314A、314Nに送られる混合フィルタ係数に反映される。しかしながら、図3Cでは、フィルタ係数は、中央位置で計算され更新され、次に複数のレシーバチャネルに送られうる。
【0082】
図4Aは、1つ以上の実施形態によるフローチャートを示す。図4Aのフローチャートは、入力装置を動作させる方法を表す。図4Aのステップの1つ以上は、図2A図2Cに関して前述された入力装置200の構成要素によって実行されうる。1つ以上の実施形態で、図4Aに示されたステップの1つ以上は、省略され、繰り返され、及び/又は図4Aに示された順序とは異なる順序で実行されうる。従って、本発明の範囲は、図4Aに示されたステップの特定の配列に限定されると考えられるべきでない。
【0083】
最初に、検出領域と関連付けられた容量センサ電極から結果信号が得られる(ステップ405)。この結果信号は、トランスミッタ信号、検出領域内のユーザ入力(もしある場合)、及び/又は1つ以上のソースからの干渉の1つ以上の関数でよい。
【0084】
ステップ410で、アナログ混合器を使用して結果信号がLO信号と混合される。LO信号とトランスミッタ信号は、同じか又は実質的に同じ周波数、及び同じ位相を有する。例えば、LO信号とトランスミッタ信号は両方とも、f0の周波数を有しうる。トランスミッタ信号とLO信号は、正弦波、矩形波などでよい。結果信号をLO信号と混合すると、実質的に、結果信号がダウンコンバートされる。
【0085】
ステップ415で、ADCが、アナログ混合器の出力からデジタル信号を生成する。ADCは、1Mサンプル/秒を超えるサンプリングレートを有しうる。1つ以上の実施形態では、ADCは、システム内の潜在的/有効干渉の周波数の少なくとも2倍のサンプルレートを有する。
【0086】
ステップ420で、ADCからのデジタル信号にデシメーションフィルタが適用される。デシメーションフィルタの出力は、周波数f0(即ち、LO信号とトランスミッタ信号の周波数)における干渉の同相成分の推定値である。デシメーションフィルタ、ADC及びアナログ混合器は全て、レシーバチャネルの同相タッチ検出ブロック内にあってもよい。干渉の同相成分の推定に使用されないとき、同相タッチ検出ブロックは、容量センサ電極の近くの検出領域内のユーザ入力を測定/検出するために使用されうる。
【0087】
ステップ425で、1組のデジタル混合器(即ち、1つ以上のデジタル混合器)を使用して、ADCからのデジタル信号を、LO信号の反転されサンプリングされたバージョン、及びLO信号の直交及びサンプリングされたバージョンと混合する。例えば、1組のデジタル混合器が、図2Aに関して前述されたデジタル混合器セット210Aに対応できる。追加又は代替として、1組のデジタル混合器が、図2Bに関して前述されたデジタル混合器セット210Bに対応できる。
【0088】
ステップ430で、1組のデジタル混合器の出力にデシメーションフィルタが適用される。デシメーションフィルタの出力は、周波数f0(即ち、LO信号とトランスミッタ信号の周波数)における干渉の直交成分の推定値である。デシメーションフィルタと1組のデジタル混合器は全て、レシーバチャネルの直交位相干渉検出ブロック内にあってもよい。更に、ステップ430は、ステップ420と同時に実行されうる。
【0089】
ステップ435で、周波数f0における干渉の大きさが、干渉の同相成分(I)と干渉の直交成分(Q)から計算される。換言すると、|I+jkQ|が計算され、ここで、IのSNR及びQのSNRにより0≦k≦1である。大きさがしきい値を超える場合、入力装置は、干渉を緩和するために対抗策を実行できる。例えば、入力装置は、トランスミッタ信号の周波数を変更できる。
【0090】
図4Bは、1つ以上の実施形態によるフローチャートを示す。図4Bのフローチャートは、入力装置を動作させる方法を表す。図4Bのステップの1つ以上は、図3A図3Cに関して前述された入力装置300の構成要素によって実行されうる。1つ以上の実施形態で、図4Bに示されたステップで1つ以上が、省略され、繰り返され、及び/又は図4Bに示された順序とは異なる順序で実行されうる。従って、本発明の範囲は、図4Bに示されたステップの特定の配列に限定されると考えられるべきでない。
【0091】
最初に、検出領域と関連付けられた容量センサ電極から結果信号が得られる(ステップ450)。結果信号は、トランスミッタ信号、検出領域内のユーザ入力(もしある場合)及び1つ以上のソースからの干渉の関数である。
【0092】
ステップ455で、結果信号は、LO信号Aと混合される。混合は、アナログ混合器によって行われる。LO信号Aとトランスミッタ信号は、同じか又は実質的に同じ周波数と位相を有する。例えば、LO信号及びトランスミッタ信号は両方とも、fの周波数を有しうる。トランスミッタ信号及びLO信号Aは、正弦波や矩形波などでよい。結果信号をLO信号Aと混合すると、実質的に、結果信号がダウンコンバートされる。
【0093】
ステップ460で、ADCが、アナログ混合器の出力からデジタル信号を生成する。ADCは、1Mサンプル/秒を超えるサンプリングレートを有しうる。1つ以上の実施形態で、ADCは、システム内の潜在的/有効干渉の周波数の少なくとも2倍のサンプルレートを有する。ADC及びアナログ混合器は、レシーバチャネルの同じ同相タッチ検出ブロック内にあってもよい。この同相タッチ検出ブロックは、容量センサ電極の近くの検出領域内でユーザ入力を測定/検出するために使用されうる。
【0094】
ステップ465で、1組のデジタル混合器を使用して、ADCからのデジタル信号を、LO信号Aの反転されサンプリングされたバージョン、LO信号B、及びLO信号Bの直交バージョンと混合する。LO信号Bは、LO信号Aの周波数とは異なる周波数fBを有する。例えば、ステップ465の1組のデジタルフィルタは、図3A図3Bに関して前述された、デジタルフィルタセット316、デジタルフィルタセット319A及びデジタルフィルタセット319Bの1つ以上に対応しうる。
【0095】
ステップ470で、複数のデシメーションフィルタが、周波数fBにおける干渉の同相成分と、周波数fBにおける干渉の直交成分を推定するために使用される。複数のデシメーションフィルタと1組のデジタル混合器は、同じ直交位相干渉検出ブロック内にあってもよい。更に、ステップ470が、対応する同相タッチ検出ブロックがユーザ入力を検出/測定する際に実行されうる。
【0096】
ステップ475で、周波数fBにおける干渉の大きさが、干渉の同相成分(I)と干渉の直交成分(Q)から計算される。換言すると、|I+jkQ|が計算され、ここで、IのSNR及びQのSNRにより0≦k≦1である。大きさがしきい値より小さい場合、入力装置は、トランスミッタ信号の周波数をfからfBに変化させうる。
【0097】
したがって、本明細書に示された実施形態及び例は、本発明及びその特定の応用例を最もよく説明し、それにより当業者が本発明を作成し使用できるようにするために提示された。しかしながら、当業者は、以上の説明及び例が、単に説明と例のために提示されたことを理解するであろう。以上の説明は、網羅的でもなく本発明を開示した厳密な形態に限定するものでもない。
【0098】
本発明を限られた数の実施形態に関して述べたが、この開示の利益を有する当業者は、本明細書に開示されたような本発明の範囲から逸脱しない他の実施形態を考案できることを理解するであろう。従って、本発明の範囲は、添付された特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【符号の説明】
【0099】
200 入力装置
202 容量センサ電極
204 アナログ混合器
206 アナログデジタル変換器
208 デシメーションフィルタ
210 デジタル混合器セット
212 デシメーションフィルタ
214 干渉エンジン
220 同相タッチ検出ブロック
222 直交位相干渉検出ブロック
299 レシーバチャネル
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B