(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】合成分配器
(51)【国際特許分類】
H01P 5/18 20060101AFI20221201BHJP
H01P 5/04 20060101ALI20221201BHJP
H01P 5/12 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
H01P5/18 P
H01P5/04 601A
H01P5/12 D
(21)【出願番号】P 2018144702
(22)【出願日】2018-08-01
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000166247
【氏名又は名称】古野電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】飯尾 憲一
(72)【発明者】
【氏名】岸田 武紘
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-126118(JP,A)
【文献】米国特許第05047738(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0086518(US,A1)
【文献】国際公開第2006/027828(WO,A1)
【文献】特開昭63-245102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/00-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショートスロット方向性結合器を複数接続することで、電波を合成又は分配する合成分配器であって、
それぞれの前記ショートスロット方向性結合器は、
第1結合領域を含む第1伝送路を有する第1方形導波管部と、
第2結合領域を含む第2伝送路を有する第2方形導波管部と、
前記第1結合領域と前記第2結合領域を互いにH面で接続することで、前記第1伝送路と前記第2伝送路とを接続する結合部と、
を備え、
前記第1伝送路、前記第2伝送路、及び前記結合部の上下の導体壁面がそれぞれ略面一であり、
前記第1結合領域は、上下の前記導体壁面のうち少なくとも一方の前記導体壁面に形成された第1電波調整部を有し、当該第1電波調整部は、上下方向から見たときに細長状であって長手方向が電波伝送方向に沿う形状であり、
前記第2結合領域は、上下の前記導体壁面のうち少なくとも一方の前記導体壁面に形成された第2電波調整部を有し、当該第2電波調整部は、上下方向から見たときに細長状であって長手方向が電波伝送方向に沿う形状であ
り、
前記ショートスロット方向性結合器同士の接続箇所には、第6電波調整部が形成されており、
前記第6電波調整部は、上下の前記導体壁面のうち少なくとも一方の前記導体壁面に形成されており、前記導体壁面から突出する凸形状、又は、前記導体壁面に対して凹んだ凹形状であり、
前記第6電波調整部の電波伝送方向の長さは、伝送する電波の略λ/4であることを特徴とする合成分配器。
【請求項2】
請求項1に記載の
合成分配器であって、
前記第1電波調整部は、前記導体壁面から突出する凸形状、又は、前記導体壁面に対して凹んだ凹形状であり、
前記第2電波調整部は、前記導体壁面から突出する凸形状、又は、前記導体壁面に対して凹んだ凹形状であり、
前記第1電波調整部から、当該第1電波調整部と上下方向で対向する前記導体壁面までの距離と、前記第2電波調整部から、当該第2電波調整部と上下方向で対向する前記導体壁面までの距離と、が同じであることを特徴とする
合成分配器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の
合成分配器であって、
上下方向から見たときに、前記結合部を通り、前記第1電波調整部の長手方向に平行な直線に対して、前記第1電波調整部と、前記第2電波調整部と、が線対称であることを特徴とする
合成分配器。
【請求項4】
請求項3に記載の
合成分配器であって、
前記第1電波調整部及び前記第2電波調整部は、上下の前記導体壁面の同じ側に配置されることを特徴とする
合成分配器。
【請求項5】
請求項2から4までの何れか一項に記載の
合成分配器であって、
上下方向から見たときに、前記第1電波調整部の長手方向に直交する方向を管幅方向と称したときに、
前記第1電波調整部は、前記第1結合領域の前記管幅方向の中央に配置されており、
前記第2電波調整部は、前記第2結合領域の前記管幅方向の中央に配置されていることを特徴とする
合成分配器。
【請求項6】
請求項2から5までの何れか一項に記載の
合成分配器であって、
前記結合部は、前記導体壁面から突出する凸形状、又は、前記導体壁面に対して凹んだ凹形の第3電波調整部を有し、
前記第3電波調整部は、上下の前記導体壁面のうち少なくとも一方の前記導体壁面に形成されており、
前記第3電波調整部は上下方向から見たときに細長状であり、当該第3電波調整部の長手方向は、前記第1電波調整部の長手方向と同じ方向であり、
前記第3電波調整部から当該第3電波調整部と上下方向で対向する前記導体壁面までの距離は、
前記第1電波調整部から当該第1電波調整部と上下方向で対向する前記導体壁面までの距離と異なるとともに、
前記第2電波調整部から当該第2電波調整部と上下方向で対向する前記導体壁面までの距離とも異なることを特徴とする
合成分配器。
【請求項7】
請求項6に記載の
合成分配器であって、
上下方向から見たときに、前記第1電波調整部の長手方向に直交する方向を管幅方向と称したときに、
前記第3電波調整部は、前記結合部の前記管幅方向の中央に配置されることを特徴とする
合成分配器。
【請求項8】
請求項1から
7までの何れか一項に記載の
合成分配器であって、
前記第1電波調整部及び前記第2電波調整部の長手方向の長さは、伝送する電波の周波数の略λ/4の長さであることを特徴とする
合成分配器。
【請求項9】
請求項1から
8までの何れか一項に記載の
合成分配器であって、
前記第1結合領域に接続され、当該第1結合領域とは管長さ方向が異なる第1入出力部と、
前記第2結合領域に接続され、当該第2結合領域とは管長さ方向が異なる第2入出力部と、
前記第1結合領域と前記第1入出力部に跨って配置され、長手方向が前記第1入出力部の管長さ方向に沿う形状であり、上下の前記導体壁面のうち少なくとも一方の前記導体壁面に形成されており、前記導体壁面から突出する凸形状、又は、前記導体壁面に対して凹んだ凹形状である第4電波調整部と、
前記第2結合領域と前記第2入出力部に跨って配置され、長手方向が前記第2入出力部の管長さ方向に沿う形状であり、上下の前記導体壁面のうち少なくとも一方の前記導体壁面に形成されており、前記導体壁面から突出する凸形状、又は、前記導体壁面に対して凹んだ凹形状である第5電波調整部と、
を備えることを特徴とする
合成分配器。
【請求項10】
請求項9に記載の合成分配器であって、
前記第4電波調整部
と前記第1電波調整部
が長手方向で接続され、
前記第5電波調整部
と前記第2電波調整部
が長手方向で接続されることを特徴とする合成分配器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、電波を合成又は分配する合成分配器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数のポートを有する方向性結合器が開示されている。特許文献1の方向性結合器は、複数のポートから入力された電波を合成して1つのポートから出力する。また、方向性結合器は、1つのポートから入力された電波を分配して複数のポートから出力することもできる。
【0003】
特許文献2には、アルミニウム合金の板を切削加工して作成される高周波装置が開示されている。この高周波装置は、切削加工を行う際に、複数の導波管を形成するとともに、導波管同士の間にサーキュレータとして動作するために必要な形状を形成する。特許文献2には、切削加工により方向性結合器を作成することは記載されているが、その具体的な形状については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第2574926号公報
【文献】特開2017-92532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
方向性結合器は、所定割合で電波を合成又は分配する。この所定割合は一般的には均等であるが、入出力される電波等によっては、均等ではない所定割合で電波を合成又は分配することが望まれることもある。何れにせよ、電波を合成又は分配する割合は方向性結合器にとって重要な性能の1つである。しかし、例えば対称形状の方向性結合器であっても電波を均等に合成又は分配できない等、正確な所定割合を有する方向性結合器を作成することは困難である。また、特許文献1及び2には、これらの課題を解決する構成が記載されていない。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、電波を合成又は分配する割合が正確に所望の割合と一致するように作成されたショートスロット方向性結合器を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の合成分配器が提供される。即ち、合成分配器は、ショートスロット方向性結合器を複数接続した構成であり、電波を合成又は分配する。それぞれの前記ショートスロット方向性結合器は、第1方形導波管部と、第2方形導波管部と、結合部と、を備える。前記第1方形導波管部は、第1結合領域を含む第1伝送路を有する。前記第2方形導波管部は、第2結合領域を含む第2伝送路を有する。前記結合部は、前記第1結合領域と前記第2結合領域を互いにH面で接続することで、前記第1伝送路と前記第2伝送路とを接続する。前記第1伝送路、前記第2伝送路、及び前記結合部の上下の導体壁面がそれぞれ略面一である。前記第1結合領域は、上下の前記導体壁面のうち少なくとも一方の前記導体壁面に形成された第1電波調整部を有し、当該第1電波調整部は、上下方向から見たときに細長状であって長手方向が電波伝送方向に沿う形状である。前記第2結合領域は、上下の前記導体壁面のうち少なくとも一方の前記導体壁面に形成された第2電波調整部を有し、当該第2電波調整部は、上下方向から見たときに細長状であって長手方向が電波伝送方向に沿う形状である。前記ショートスロット方向性結合器同士の接続箇所には、第6電波調整部が形成されている。前記第6電波調整部は、上下の前記導体壁面のうち少なくとも一方の前記導体壁面に形成されており、前記導体壁面から突出する凸形状、又は、前記導体壁面に対して凹んだ凹形状である。前記第6電波調整部の電波伝送方向の長さは、伝送する電波の略λ/4である。
【0009】
これにより、第1電波調整部と第2電波調整部との形状に応じて、電波の伝送モードが変換される割合が変化する。従って、電波の合成割合又は分配割合が所望の割合となるように調整された方向性結合器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】第1実施形態の方向性結合器の3つの結合領域を示す平面模式図。
【
図3】第1及び第2結合領域の突出高さ/凹み深さを変化させたときの第3及び第4ポートの出力割合の変化を示すグラフ。
【
図4】第1凹部及び第2凹部が形成されている構成の方向性結合器の斜視図。
【
図5】第3結合領域の突出高さ/凹み深さを変化させたときの第3及び第4ポートの出力割合の変化を示すグラフ。
【
図6】第3凹部が形成されている構成の方向性結合器の斜視図。
【
図7】第2実施形態の方向性結合器の第1凸部及び調整機構を示す側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、
図1及び
図2を参照して、第1実施形態のショートスロット方向性結合器1について説明する。
図1は、ショートスロット方向性結合器1の斜視図である。
図2は、ショートスロット方向性結合器1の3つの結合領域を示す平面模式図である。また、以下の説明において、長さ又は方向等が同じと記載している部分では、長さ又は方向等が厳密に同じ構成を示すだけでなく、製造上の誤差及びその他の事情等で長さ又は方向等が僅かに異なっている構成も示している。
【0012】
第1実施形態のショートスロット方向性結合器1は、レーダ装置に設けられる。具体的には、円偏波を発生させる円偏波発生装置や、送信波が物標で反射した反射波(マイクロ波)を受信する受信回路等に設けられる。なお、ショートスロット方向性結合器1は、レーダ装置に限られず、高周波の信号の分配又は合成を行う装置(例えば通信装置)に設けられていても良い。
図1に示すように、ショートスロット方向性結合器1は、第1方形導波管部10と、第2方形導波管部20と、結合部30と、を備えている。
【0013】
第1方形導波管部10は、複数の平板状の導体を組み合わせることで内部空間が形成された導波管である。第1方形導波管部10の内部空間は第1伝送路11として機能し、電波を伝送することができる。電波伝送方向は管長さ方向と同じ方向である。また、第1方形導波管部10の管長さ方向の一端には第1ポート12が形成され、他端には第3ポート13が形成されている。第1ポート12及び第3ポート13は、電波が入出力される部分である。本実施形態では、第1方形導波管部10は直線状の導波管であるが、湾曲又は屈曲する部分を含んでいてもよい。この場合、管長さ方向は位置に応じて異なることとなる。
【0014】
第1方形導波管部10を管長さ方向に垂直な平面で切った断面は長方形となる。この長方形のうち長辺を構成する部分(
図1の上面及び下面)は第1方形導波管部10内に発生する磁界の向きと平行な面(H面)である。以下の説明では、これらの面を導体壁面と称し、符号100を付して説明する。
【0015】
また、第1方形導波管部10を管長さ方向に垂直な平面で切った断面の長方形のうち短辺を構成する部分(
図1の両側面)は、第1方形導波管部10内に発生する電界の向きと平行な面(E面)である。これらの2つの側面のうち内側(第2方形導波管部20側)の側面には、壁面が構成されずに開放されている部分(開放部分)が存在する。第1方形導波管部10は、この開放部分及び結合部30を介して、第2方形導波管部20に結合されている。
図2に示すように、第1方形導波管部10のうち、この開放部分から、反対側の側面までの領域を第1結合領域と称し、符号14を付して説明する。
【0016】
また、長辺同士が対向する方向(言い換えれば短辺に沿う方向)を
図1に示すように管高さ方向と称する。なお、管高さ方向を上下方向と称することもある。なお、「上下」とは、ショートスロット方向性結合器1の向きを示すものであり、ショートスロット方向性結合器1の上下方向と鉛直方向とを一致させて配置することを示すものではない。また、短辺同士が対向する方向(言い換えれば長辺に沿う方向)を
図1に示すように管幅方向と称する。
【0017】
第1方形導波管部10の導体壁面100であって、かつ、第1結合領域14である部分の一部には、第1凸部(第1電波調整部)15が形成されている。第1凸部15は、下側の導体壁面100である下面から、当該下面に対向する面である上面に向かって管高さ方向に沿って突出している部分である。以下では、第1凸部15がその周囲から突出している高さ(言い換えれば管高さ方向の長さ)を「突出高さ」と称する。
【0018】
また、第1凸部15は、直方体状である。従って、第1凸部15は、上下方向から見たとき(言い換えれば視点方向を上下方向としたとき、即ち
図2のような平面図)において、細長状である。細長状とは、長手方向と短手方向とが認識できればよく、短手方向に対して長手方向が極端に長い必要はない。第1凸部15は、この長手方向が管長さ方向(電波伝送方向)に沿うように形成されている。なお、第1凸部15は、直方体以外の形状(例えば角部が面取りされた形状)であってもよい。ただし、第1凸部15は、上下方向から見たときに長手方向が特定できる形状であることが好ましい。また、本実施形態では、第1凸部15の長手方向の長さをLとして、伝送される電波の波長をλとした場合、
図2に示すように、L=λ/4が成り立つ。このように、第1凸部15の長手方向の長さは、伝送される電波の波長に基づいた(言い換えれば波長に整数を積算したり整数で除算したりした)値である。
【0019】
第1凸部15の製造方法は様々であるが、例えば第1凸部15以外の部分を切削することで、第1凸部15を形成してもよい。あるいは、導体壁面100に対して別部材である第1凸部15を取り付ける構成であってもよい。
図2に示すように、第1凸部15は、第1結合領域14の管長さ方向における中央に形成されている。また、第1凸部15は、第1結合領域14の管幅方向における中央に形成されている。なお、第1凸部15は、第1結合領域14の管長さ方向の中央以外に形成されていてもよいし、第1結合領域14の管幅方向の中央以外に形成されていてもよい。
【0020】
第2方形導波管部20は、当該第2方形導波管部20の管長さ方向と、第1方形導波管部10の管長さ方向と、が一致するように配置されている。第2方形導波管部20は、
図2に示すように平面視において、第1方形導波管部10と第2方形導波管部20の間に引かれた(即ち結合部30上に引かれた)所定の対称線101に対して線対称な形状である。そのため、第2方形導波管部20の形状に関する説明を簡略化する。なお、対称線101は、詳細には結合部30の管幅方向の中央を通る直線である。また、第1方形導波管部10と第2方形導波管部20は、第1方形導波管部10と第2方形導波管部20の間に配置された、管長さ方向と管高さ方向の両方に平行な平面に対して対称でもある。
【0021】
第2方形導波管部20の内部空間は第2伝送路21として機能する。第2方形導波管部20の管長さ方向の一端には第2ポート22が形成され、他端には第4ポート23が形成されている。また、第1方形導波管部10の第1結合領域14に対応する領域として、第2結合領域24が形成されている。第2結合領域24には、第2凸部(第2電波調整部)25が形成されている。また、第1方形導波管部10と第2方形導波管部20とは、共通の導体壁面100を有している。
【0022】
また、第1凸部15の突出高さと第2凸部25の突出高さは同じである。言い換えれば、下面に形成されている第1凸部15から、対向する上面の導体壁面100までの距離と、下面に形成されている第2凸部25から、対向する上面の導体壁面100までの距離と、が同じである。なお、第1凸部15及び第2凸部25は、ともに下面に形成されているが、ともに上面に形成されていてもよいし、一方が下面に形成され他方が上面に形成されていてもよい。
【0023】
結合部30は、管幅方向において、第1方形導波管部10(詳細には第1結合領域14)と第2方形導波管部20(詳細には第2結合領域24)との間に形成されている。結合部30の上面(導体壁面100)は、第1方形導波管部10の上面及び第2方形導波管部20の上面と連続しており、上下方向の位置も略同じ(即ち略面一)である。なお結合部30の下面についても同様である。従って、結合部30は、H面で第1方形導波管部10及び第2方形導波管部20と接続されている。
【0024】
また、第1方形導波管部10の内側の側面の開放部分と、第2方形導波管部20の内側の側面の開放部分と、で囲まれる領域を第3結合領域34と称する。第3結合領域34の下面には、第3凸部(第3電波調整部)35が形成されている。第3凸部35は、管長さ方向の中央であって管幅方向の中央に形成されているが、異なる位置に形成されていてもよい。また、第3凸部35は、管長さ方向及び管幅方向における長さが、第1凸部15及び第2凸部25と同じである。また、第3凸部35の長手方向は、第1凸部15及び第2凸部25の長手方向と同じである。しかし、第3凸部35の突出高さは、第1凸部15及び第2凸部25の両方の突出高さと異なる。言い換えれば、下面に形成されている第3凸部35から、対向する上面の導体壁面100までの距離は、第1凸部15及び第2凸部25における距離とは異なる。なお、第3凸部35は下面ではなく上面に形成されていてもよい。また、本実施形態では、第3凸部35は上面及び下面のうち、第1凸部15及び第2凸部25と同じ側の面に形成されているが、第1凸部15又は第2凸部25とは異なる側の面に形成されていてもよい。なお、後述の実施形態の第4凸部4、第5凸部5、及び第6凸部6についても、上記と同様に、形成される面を変更してもよい。
【0025】
ショートスロット方向性結合器1では、第1ポート12から入力された電波は、第1伝送路11に沿って伝送されるとともに、一部が結合部30を介して第2伝送路21に沿って伝送される。これにより、第1ポート12から入力された電波は第3ポート13及び第4ポート23から出力される。なお、他の1つのポートから入力された電波も同様に分配される。この分配割合は、第1ポート12から第1結合領域14までの長さと波長の関係等に依存する。
【0026】
具体的に説明すると、第1ポート12から入力された電波は、第1結合領域14に到達するまでの間においてTE10モードで伝送する。そして、第1から第3結合領域においては、電波は、TE10モードとTE20モードの両方の伝送モードで伝送する。ここで、第1ポート12から第1結合領域14までの長さを変化させることで、第1から第3結合領域における2つの伝送モードの位相差が変化する。この位相差を90°にすることで、理想的には、第3ポート13と第4ポート23では、同振幅かつ位相差が90°のTE10モードで電波が励起される。しかし、現実には、第1方形導波管部10と第2方形導波管部20との間には避けられない空間(結合部30)が存在するため、第3ポート13及び第4ポート23から均等に電波が出力されるとは限らない。
【0027】
また、例えば第3ポート13及び第4ポート23の両方から電波が入力された場合、これらの電波は合成されて第1ポート12から出力される。この場合であっても、第3ポート13から入力された電波と第4ポート23から入力された電波とが均等に合成されるとは限らない。
【0028】
このような分配割合及び合成割合はショートスロット方向性結合器1において重要な値であるため、要求に応じた分配割合及び合成割合のショートスロット方向性結合器1を製造することが望まれる。また、ショートスロット方向性結合器1の分配割合と合成割合とは基本的には同じ値となるため、以下では、要求に応じた分配割合を有するショートスロット方向性結合器1を製造する方法について説明する。
【0029】
次に、
図3及び
図4を参照して、第1結合領域14及び第2結合領域24の突出高さが、ショートスロット方向性結合器1の分配割合に及ぼす影響について説明する。
【0030】
図3は、第3凸部35の突出高さを一定としたときにおいて、第1結合領域14及び第2結合領域24のそれぞれの一部の突出高さを変化させたときの第3ポート13と第4ポート23から出力される電波の割合を示すグラフである。また、
図3では、第1結合領域14及び第2結合領域24の突出高さは同じである。また、第1結合領域14及び第2結合領域24が内部空間側に突出する方向の突出高さを正とし、外側に凹む方向の突出高さを負としてグラフを記載している。従って、突出高さが正の場合、ショートスロット方向性結合器1には、
図1に示すように、第1凸部15及び第2凸部25が形成されることとなる。また、突出高さが負の場合、ショートスロット方向性結合器1には、
図4に示すように、第1電波調整部としての第1凹部16及び第2電波調整部としての第2凹部26が形成されることとなる。なお、負の突出高さは凹み深さと称することもできる。
【0031】
図3に示すように、第1結合領域14及び第2結合領域24の突出高さが高くなるに従って、第3ポート13から出力される電波の割合が低くなるとともに、第4ポート23から出力される電波の割合が高くなる。一方、第1結合領域14及び第2結合領域24の突出高さが低くなるに従って、第3ポート13から出力される電波の割合が高くなるとともに、第4ポート23から出力される電波の割合が低くなる。
【0032】
上述したように、ショートスロット方向性結合器1には、第1方形導波管部10と第2方形導波管部20との間に避けられない隙間が存在する。そのため、第1から第3結合領域における2つの伝送モードの割合が異なることにより、第3ポート13と第4ポート23から出力される電波の割合が同じにならない。この点、第1結合領域14及び第2結合領域24の突出高さを高くすることで、TE20モードがより強く励起されるため、第4ポート23から出力される電波の割合が高くなる。一方、第1結合領域14及び第2結合領域24の突出高さを低くすることで、TE10モードがより強く励起されるため、第3ポート13から出力される電波の割合が高くなる。
【0033】
以上により、第1結合領域14及び第2結合領域24の突出高さを変化させることで、ショートスロット方向性結合器1の合成割合及び分配割合を変化させることができる。従って、要求に応じた合成割合及び分配割合を有するショートスロット方向性結合器1を製造できる。
【0034】
次に、
図5及び
図6を参照して、第3結合領域34の突出高さが、ショートスロット方向性結合器1の分配割合に及ぼす影響について説明する。
図5は、第1凸部15及び第2凸部25の突出高さを一定としたときにおいて、第3結合領域34の突出高さを変化させたときの第3ポート13と第4ポート23から出力される電波の割合を示すグラフである。第3結合領域34の突出高さが正の場合、ショートスロット方向性結合器1には、
図1に示すように、第3凸部35が形成されることとなる。また、第3結合領域34の突出高さが負の場合、ショートスロット方向性結合器1には、
図6に示すように、第3電波調整部としての第3凹部36が形成されることとなる。
【0035】
図5に示すように、第3結合領域34の突出高さが高くなるに従って、第3ポート13から出力される電波の割合が高くなるとともに、第4ポート23から出力される電波の割合が低くなる。一方、第3結合領域34の突出高さが低くなるに従って、第3ポート13から出力される電波の割合が低くなるとともに、第4ポート23から出力される電波の割合が高くなる。
【0036】
つまり、第1結合領域14及び第2結合領域24の高さに対する、第3結合領域34の相対高さに応じて、どの伝送モードが強く励起されるかが定まる。従って、第3結合領域34の突出高さのみを変化させた場合であっても、ショートスロット方向性結合器1の分配割合を変化させることができる。
【0037】
また、第1結合領域14及び第2結合領域24が全体にわたって平坦である場合であっても、第3結合領域34の突出高さを変化させることで、ショートスロット方向性結合器1の分配割合を変化させることができる。逆に、第3結合領域34が全体にわたって平坦である場合であっても、第1結合領域14及び第2結合領域24の突出高さを変化させることで、ショートスロット方向性結合器1の分配割合を変化させることができる。
【0038】
以上により、第1結合領域14、第2結合領域24、及び第3結合領域34の何れか1つの領域について、少なくとも一部に凹部又は凸部を形成することで、製品に要求される分配割合又は合成割合を満たすショートスロット方向性結合器1を製造することができる。なお、分配割合又は合成割合は均等であってもよいし、不均等(例えば1:2)であってもよい。
【0039】
次に、
図7を参照して、第2実施形態を説明する。
図7は、第2実施形態のショートスロット方向性結合器1の第1凸部15及び調整機構15aを示す側面断面図である。なお、第2実施形態及びそれ以降の説明においては、第1実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0040】
第1実施形態では、要求に応じた高さの第1凸部15等を形成し、その後は突出高さを変更することは想定されていない。これに対し、第2実施形態では、第1凸部15等の突出高さを調整可能に構成されている。第2実施形態では、導体壁面100に切削等により凹部が形成されており、当該凹部に直方体状の第1凸部15が配置されている。また、第1凸部15は、ネジ等で構成される調整機構15aに支持されている。この構成により、ネジを回転させることで第1凸部15の支持高さを変化させることができるので、第1凸部15の突出高さを変化させることができる。
【0041】
これにより、要求される仕様に応じて調整機構15aを用いて第1凸部15の突出高さを調整することで、1つのショートスロット方向性結合器1で異なる分配割合及び合成割合を実現できる。また、
図7には、第1凸部15の突出高さを調整する調整機構15aしか記載されていないが、第2結合領域24には、第2凸部25の突出高さを調整する調整機構が配置されている。また、これらの調整機構に代えて又は加えて、第3凸部35の突出高さを調整する調整機構が配置されていてもよい。
【0042】
次に、
図8を参照して、第3実施形態を説明する。
図8は、第3実施形態の方向性結合器の平面模式図である。第3実施形態のショートスロット方向性結合器1において、第1方形導波管部10は、第1入出力部17を備える。第1入出力部17は、第1結合領域14の管長さ方向の両端にそれぞれ接続される部分である。また、第1入出力部17は、第1ポート12又は第3ポート13が形成されている部分である。第1入出力部17の管長さ方向は、第1結合領域14の管長さ方向とは異なる。具体的には、第1入出力部17の管長さ方向は外側に開く向きである。言い換えれば、第1入出力部17の管長さ方向は、第1結合領域14から当該14の管長さ方向に沿って離れるほど第3凸部35から管幅方向に離れる向きとなっている。そのため、第1結合領域14と第1入出力部17の間において、管が湾曲又は屈曲している。
【0043】
また、第1方形導波管部10には、第1結合領域14と第1入出力部17に跨るように(両方の領域上に)第4凸部4が形成されている。第4凸部4は、第1凸部15等と同様に直方体状である。
図8の平面視において、第4凸部4の長手方向は、第1入出力部17の管長さ方向と同じである。この構成により、第1結合領域14と第1入出力部17とで管長さ方向が異なる場合であっても、伝送される電波が反射しにくくなるように誘導することができる。
【0044】
なお、第4凸部4は凸形状に代えて凹形状であってもよい。また、本実施形態では第4凸部4と第1凸部15とは分離されているが、
図9の第4実施形態に示すように、第4凸部4と第1凸部15とが連続するように(長手方向で接続されるように)形成されていてもよい。更に、第4凸部4と第1凸部15とが連続するように形成される場合において、両者の突出高さを同じにすることもできる。
【0045】
第3実施形態においても第1実施形態と同様に、第1方形導波管部10と第2方形導波管部20が対称形状であるため、第2方形導波管部20の説明を簡略化する。第2方形導波管部20は、第2入出力部27を備える。第2入出力部27には、第5凸部5が形成されている。第4凸部4と第5凸部5は突出高さ(凹み深さ)が同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0046】
次に、
図10を参照して、第5実施形態の合成分配器200を説明する。第5実施形態の合成分配器200は、第1実施形態で説明したショートスロット方向性結合器1を3つ備える構成である。第5実施形態の説明では、合成分配器200に含まれるショートスロット方向性結合器1を、方向性結合部と称し、符号1a,1b,1cを付して説明する。
【0047】
第5実施形態の合成分配器200は、方向性結合部1aの第2ポート22に方向性結合部1bの第3ポート13を接続するとともに、方向性結合部1aの第1ポート12に方向性結合部1cの第4ポート23を接続した構成である。第5実施形態の合成分配器200では、方向性結合部1bの第1ポート12及び第2ポート22と、方向性結合部1cの第1ポート12及び第2ポート22の合計4つに入力された電波を合成して、方向性結合部1aの第3ポート13から出力することができる。また、同様に1つの電波を4つに分配することでもきる。
【0048】
3つの方向性結合部1a,1b,1cには、第1実施形態のショートスロット方向性結合器1と同様に、それぞれ第1凸部15、第2凸部25、及び第3凸部35が形成されている。これらの凸部を形成する効果は第1実施形態と同じである。
【0049】
また、第5実施形態の合成分配器200には、第6凸部6が形成されている。第6凸部6は、方向性結合部1aと方向性結合部1bの接続箇所、及び、方向性結合部1aと方向性結合部1cの接続箇所にそれぞれ形成されている。第6凸部6は、第1凸部15、第2凸部25、第4凸部4、及び第5凸部5等と同様に直方体状である。また、
図10の平面視において、第6凸部6の長手方向は、管長さ方向と同じである(言い換えれば、第4凸部4及び第5凸部5の長手方向と同じである)。また、第6凸部6の長手方向の長さLは、第1凸部15及び第2凸部25と同様に、伝送される電波の波長をλとした場合、L=λ/4が成り立つことが好ましい。
【0050】
ここで、方向性結合部同士の接続箇所の長さを短くすることで、合成分配器200のサイズを小さくすることができるが、この接続箇所において電界及び磁界の乱れが発生するため電波の出力が低下する等の問題が生じる。この点、第5実施形態では、この接続箇所に第6凸部6が形成されているため、電界及び磁界の乱れの発生を抑えることができるので、電界及び磁界の乱れを発生させることなく、合成分配器200のサイズを小さくすることができる。
【0051】
なお、第6凸部6は凸形状に代えて凹形状であってもよい。また、本実施形態では第6凸部6は、第4凸部4及び第5凸部5の両方と分離されているが、
図11の第6実施形態に示すように、第4凸部4及び第5凸部5の両方と第6凸部6とが連続するように(長手方向で接続されるように)形成されていてもよい。更に、第4凸部4、第5凸部5、及び第6凸部6が連続するように形成される場合において、全ての突出高さを同じにすることもできる。
【0052】
以上に説明したように、上記実施形態のショートスロット方向性結合器1は、第1方形導波管部10と、第2方形導波管部20と、結合部30と、を備える。第1方形導波管部10は、第1結合領域14を含む第1伝送路11を有する。第2方形導波管部20は、第2結合領域24を含む第2伝送路21を有する。結合部30は、第1結合領域14と第2結合領域24を互いにH面で接続することで、第1伝送路11と第2伝送路21とを接続する。第1伝送路11、第2伝送路21、及び結合部30の上下の導体壁面100がそれぞれ略面一である。第1結合領域14は、上下の導体壁面100のうち少なくとも一方の導体壁面100に形成された、上下方向から見たときに細長状であって長手方向が電波伝送方向に沿う形状の第1凸部15を有する。第2結合領域24は、上下の導体壁面100のうち少なくとも一方の導体壁面100に形成された、上下方向から見たときに細長状であって長手方向が電波伝送方向に沿う形状の第2凸部25を有する。
【0053】
これにより、第1凸部15と第2凸部25との形状に応じて、電波の伝送モードが変換される割合が変化する。従って、電波の合成割合又は分配割合が所望の割合となるように調整された方向性結合器を得ることができる。
【0054】
また、上記実施形態のショートスロット方向性結合器1において、第1凸部15は、導体壁面100から突出する凸形状である。第2凸部25は、導体壁面100から突出する凸形状である。第1凸部15から当該第1凸部15と上下方向で対向する導体壁面100(上面)までの距離と、第2凸部25から当該第2凸部25と上下方向で対向する導体壁面100(上面)までの距離と、が同じである。
【0055】
これにより、第1電波調整部及び第2電波調整部が簡単な構成で実現できる。
【0056】
また、上記実施形態のショートスロット方向性結合器1において、上下方向から見たときに、結合部30を通り、第1凸部15の長手方向に平行な直線(対称線101)に対して、第1凸部15と、第2凸部25と、が線対称である。
【0057】
これにより、効率的に電波を分配又は合成したり、伝送モードを適切に変換したりすることができる。
【0058】
また、上記実施形態のショートスロット方向性結合器1において、第1凸部15及び第2凸部25は、上下の導体壁面100のうち同じ側に配置される。
【0059】
これにより、第1方形導波管部10と第2方形導波管部20が更に対称的な形状となるため、上記の効果を一層確実に発揮させることができる。
【0060】
また、上記実施形態のショートスロット方向性結合器1において、上下方向から見たときに、第1凸部15の長手方向に直交する方向を管幅方向と称したときに、第1凸部15は、第1結合領域14の管幅方向の中央に配置されている。第2凸部25は、第2結合領域24の管幅方向の中央に配置されている。
【0061】
これにより、第1凸部15又は第2凸部25が管幅方向の端部に配置されている構成と比較して、より確実に伝送モードを変換できる。
【0062】
また、上記実施形態のショートスロット方向性結合器1において、結合部30は、上下の導体壁面100のうち少なくとも一方の導体壁面100に形成された、上下方向から見たときに細長状であって長手方向が第1凸部15の長手方向と同じ方向であり、導体壁面100から突出する凸形状の第3凸部35を有する。第3凸部35から当該第3凸部35と上下方向で対向する導体壁面100(上面)までの距離は、第1凸部15から当該第1凸部15と上下方向で対向する導体壁面100までの距離と異なる。第2凸部25から当該第2凸部25と上下方向で対向する導体壁面100までの距離とも異なる。
【0063】
これにより、より確実に伝送モードを変換できる。
【0064】
また、上記実施形態のショートスロット方向性結合器1において、上下方向から見たときに、第3凸部35は、結合部30の管幅方向の中央に配置される。
【0065】
これにより、第3凸部35が管幅方向の端部に配置されている構成と比較して、より確実に伝送モードを変換できる。
【0066】
また、上記実施形態のショートスロット方向性結合器1において、第1凸部15及び第2凸部25の長手方向の長さは、伝送する電波の周波数帯域幅に基づく長さである。
【0067】
また、上記実施形態のショートスロット方向性結合器1において、第1凸部15及び第2凸部25の長手方向の長さは、伝送する電波の周波数の略λ/4の長さである。
【0068】
これにより、伝送する電波が変換され易いような第1凸部15及び第1凹部16を適用することができる。
【0069】
また、ショートスロット方向性結合器1は、第1入出力部17と、第2入出力部27と、第4凸部4と、第5凸部5と、を備える。第1入出力部17は、第1結合領域14に接続され、当該第1結合領域14とは管長さ方向が異なる。第2入出力部27は、第2結合領域24に接続され、当該第2結合領域24とは管長さ方向が異なる。第4凸部4は、第1結合領域14と第1入出力部17に跨って配置され、長手方向が第1入出力部17の管長さ方向に沿う形状であり、導体壁面100から突出する凸形状、又は、導体壁面100に対して凹んだ凹形状である。第5凸部5は、第2結合領域24と第2入出力部27に跨って配置され、長手方向が第2入出力部27の管長さ方向に沿う形状であり、導体壁面100から突出する凸形状、又は、導体壁面100に対して凹んだ凹形状である。
【0070】
これにより、第1結合領域14と第1入出力部17とで管長さ方向が異なる場合であっても、伝送される電波が反射しにくくなるように誘導することができる。
【0071】
また、上記実施形態のショートスロット方向性結合器1において、第4凸部4は、第1凸部15と連続するように配置される。第5凸部5は、第2凸部25と連続するように配置される。
【0072】
これにより、ショートスロット方向性結合器1の製造が容易になるとともに、電界及び磁界の乱れを抑制できる可能性がある。
【0073】
また、上記実施形態の合成分配器200は、方向性結合部1a,1b,1cを複数接続することで、電波を合成又は分配する。方向性結合部1a,1b,1c同士の接続箇所において、導体壁面100から突出する凸形状である第6凸部6が形成されている。
【0074】
これにより、方向性結合部1a,1b,1c同士の接続箇所における電界及び磁界の乱れを抑制できる。
【0075】
また、上記実施形態の合成分配器200においては、ショートスロット方向性結合器1の接続箇所において、導体壁面100から突出する凸形状、又は、導体壁面100に対して凹んだ凹形状である第6凸部6が形成されている。第6凸部6は、第4凸部4及び第5凸部5と、連続するように配置されている。
【0076】
これにより、ショートスロット方向性結合器1の製造が容易になるとともに、電界及び磁界の乱れを一層抑制できる可能性がある。
【0077】
また、上記実施形態の合成分配器200においては、第6凸部6の電波伝送方向の長さは、伝送する電波の略λ/4である。
【0078】
これにより、伝送する電波に応じた形状の第6凸部6を適用することができる。
【0079】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0080】
第1から第6実施形態に記載した特徴は、矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることができる。例えば第4実施形態と第6実施形態の特徴を組み合わせて、第1凸部15、第2凸部25、第4凸部4、第5凸部5、及び第6凸部6を全て連続させてもよい。
【0081】
第5及び第6実施形態の合成分配器200は、3つの方向性結合部1a,1b,1cを有する構成であるが、合成分配器200は、4以上の方向性結合部を有する構成であってもよい。
【0082】
上記実施形態では、ショートスロット方向性結合器1及び合成分配器200の内部は空洞であるが、内部に誘電体が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 ショートスロット方向性結合器
1a,1b,1c 方向性結合部
10 第1方形導波管部
20 第2方形導波管部
30 結合部
100 導体壁面
200 合成分配器