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特許7186046グラフィックシート及びグラフィックシートを用いた照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】グラフィックシート及びグラフィックシートを用いた照明システム
(51)【国際特許分類】
   G09F 13/04 20060101AFI20221201BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20221201BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20221201BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20221201BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
G09F13/04 J
B32B27/20 A
B32B27/30 A
B32B27/36
B32B27/00 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018181114
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020052225
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(72)【発明者】
【氏名】阿部 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 公二
【審査官】稲荷 宗良
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-085289(JP,A)
【文献】特開2010-044156(JP,A)
【文献】特開2016-170380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/04
B32B 27/20
B32B 27/30
B32B 7/023
B32B 7/022
B32B 27/36
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明フィルム基材と、
前記透明フィルム基材上に配置された、アクリル系ポリマーと白色顔料フィラーを含むレセプター層とを有し、
前記レセプター層は、前記アクリル系ポリマー100質量部に対し前記白色顔料フィラーを5質量部以上50質量部以下含み、
前記透明フィルム基材が、10MPa以上300MPa以下の降伏弾性率を有し、
シート全光線透過率が8%以上50%以下である、グラフィックシート
ただし、前記透明フィルム基材の、前記レセプター層と隣接する面に剥離処理が施されており、それにより前記透明フィルム基材を前記レセプター層から除去して、前記レセプター層の表面を露出させることができるものを除く
【請求項2】
透明フィルム基材と、
前記透明フィルム基材上に配置された、アクリル系ポリマーと白色顔料フィラーを含むレセプター層とを有し、
前記レセプター層は、前記アクリル系ポリマー100質量部に対し前記白色顔料フィラーを5質量部以上50質量部以下含み、
前記透明フィルム基材の2%引張強度が、40N/25mm以上であり、
シート全光線透過率が8%以上50%以下である、グラフィックシート、
ただし、前記透明フィルム基材の、前記レセプター層と隣接する面に剥離処理が施されており、それにより前記透明フィルム基材を前記レセプター層から除去して、前記レセプター層の表面を露出させることができるものを除く
【請求項3】
前記レセプター層は、50μm以下の厚みを有する、請求項1または2に記載のグラフィックシート。
【請求項4】
前記アクリル系ポリマーは、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのポリマーブレンドを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
【請求項5】
前記白色顔料フィラーは、酸化チタン顔料である、請求項1~のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
【請求項6】
前記透明フィルム基材は、ポリエステルフィルムである、請求項1~のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
【請求項7】
前記透明フィルム基材は、厚みが30μm以上300μm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
【請求項8】
さらに、前記レセプター層の透明フィルム基材側と反対側の表面上に印刷層を有する、請求項1~のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
【請求項9】
前記印刷層は、溶剤ベースインクの印刷層である、請求項に記載のグラフィックシート。
【請求項10】
前記印刷層は、インクジェット印刷層である、請求項またはに記載のグラフィックシート。
【請求項11】
さらに、前記透明フィルム基材の前記レセプター層側と反対側の表面上に、
微小球と非粘着性樹脂とを含む樹脂層を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のグラフィックシート。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のグラフィックスシートと、照明ユニットとを備える照明システムであって、前記グラフィックスシートが前記照明ユニットに取り付けられる、照明システム。
【請求項13】
前記グラフィックスシートが前記照明ユニットに接着層を介さずに、取り付けられている、請求項12に記載の照明システム。
【請求項14】
前記照明ユニットは、前面部に、前記グラフィックスシートが交換可能に挟持される一対の透明性板を有する、請求項12または13に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明ユニット上に取り付けて内照看板等として使用可能なグラフィックシートおよびこのグラフィックシートを用いた照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明ユニット上にグラフィックスシート等をとり付けた各種広告、案内表示、社名表示等の内照看板が室内あるいは室外で使用されている。室外でこれらの内照看板が使用される場合、日中は主に自然光のもとで照明ユニット内の内照光源を点灯せず使用され、夜は照明ユニット内の光源を点灯して使用される。また、室内でこれらの内照看板が使用される場合は、室内照明のもとで使用される場合と、照明ユニット(内照)内の光源を点灯して使用される場合とがある。
【0003】
特許文献1には、「レセプター層、前記レセプター層に印刷を施すことにより作成した印刷層、及びアクリル系白色粘着剤からなるアクリル系白色粘着剤層をこの順で含み、前記アクリル系白色粘着剤が、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、前記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して8~150質量部の白色顔料、及び芳香族ビニルモノマーを含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを含む」内照および外照のいずれでも使用できる内照看板用グラフィックス構造体が記載されている。
【0004】
特許文献2には、「白色のポリエステルフィルムであり、当該フィルムの全光線透過率が30~50%の範囲であり、Lab表色系におけるb値が-4~5の範囲であり、当該フィルム表面の二次元算術平均粗さ(Ra)が21~50nmの範囲であることを特徴とする内照式電飾看板の記録材料用白色ポリエステルフィルム。」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-282471号公報
【文献】特開2013-199578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内照および外照の両方で使用される内照看板用グラフィックスシートは、外照で使用する場合と内照で使用する場合とで色濃度の差が少ないグラフィックイメージが得られることが望まれる。また、内照で使用する場合、内側に設置される照明ユニットの光源を点灯した際に光源の存在によるホットスポットがグラフィックシート画面上で目立たないことが望まれる。このため、グラフィックスシートを構成する基材フィルム層や粘着剤層を白色化することが検討されてきた。
【0007】
一方、近年、これらの内照看板で、人物の顔写真等を含む様々な広告写真画像を映し出す機会が増えている。これにともない、人物の顔写真等のグラフィック画像を銀塩写真に近い精度と色彩で再現するための鮮明性が求められている。基材フィルム層や粘着剤層を白色化して得られるグラフィックシートの白色度は内照看板のグラフィック画像の鮮明性に影響を与えるため、内照看板におけるグラフィック画像を改善するには、印刷画像のベースとなる背景画像の白色度をさらに改善することが望まれる。また、広告用途の内照看板では、短期間にグラフィック画像を取り替える必要性もあり、より簡易にグラフィックシートを取り替え可能な取り扱い易さも望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のグラフィックシートは、透明フィルム基材と、透明フィルム基材上に配置された、アクリル系ポリマーと白色顔料フィラーを含むレセプター層とを有する。レセプター層は、アクリル系ポリマー100質量部に対し白色顔料フィラーを5質量部以上50質量部以下含み、シートの全光線透過率が8%以上50%以下である。
【0009】
また、本発明の照明システムは、本発明のグラフィックシートと、照明ユニットとを有し、グラフィックスシートが照明ユニットに取り付けられているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のグラフィックシートによれば、内照看板に使用可能なグラフィックシートを提供できる。アクリル系ポリマーを有するレセプター層にアクリル系ポリマー100質量部に対し白色顔料フィラーを5質量部以上50質量部以下含むので、レセプター層に良好な白色性を付与でき、レセプター層上に印刷された印刷インクの良好な発色を発揮できる。また、透明フィルム基材上にレセプター層を有するため、グラフィックシートに剛性を付与できる。このため、取り扱い性が改善され、照明ユニット等への設置作業も容易になる。さらに、本発明のグラフィックシートと照明ユニットを組み合わせることで、内照看板として使用可能な照明システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明のグラフィックシートの実施形態の構造例を示す断面図である。
図2】本発明のグラフィックシートの実施形態の構造例を示す断面図である。
図3】本発明のグラフィックシートを用いた照明システムの実施形態の構造例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の代表的な実施形態を例示する目的でより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
【0013】
本開示において「内照看板」とは、内照および外照のいずれでも使用できる照明ユニット上にグラフィックスシート等を設置して使用されるグラフィック表示装置をいい、各種広告、案内表示、社名表示等に主に使用されるものをいう。照明ユニット内の光源を点灯して、あるいは照明ユニットの光源を点灯せず、室外の自然光や室内照明のもとで画像を表示することもできる。
【0014】
本開示において「(メタ)アクリル」とは、アクリルまたはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0015】
本開示において「グラフィックシート」とは、文字、図形、記号、着色、柄、模様その他のグラフィック印刷が施されたシートのみならず、印刷が施される前のシートを意味する。なお、「シート」はフィルムも含む概念である。
【0016】
本開示において「レセプター層」とは、印刷画像が形成されるインクを受容する層をいう。印刷が施される前のインクを受容したいない状態の層もインク受容層と呼ぶ。また、本開示において「溶剤ベース」の印刷用インクとは、非水性の印刷用インクを意味する。
【0017】
本開示において「透明」とは、可視光領域(400~700nm)における平均透過率が、約60%以上を意味する。なお、この平均透過率は、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上であってもよい。
【0018】
本開示において「全光線透過率」とは、JIS K 7361-1:1997(ISO 13468-1:1996)及びJIS K 7136:2000(ISO 14782:1999)にそれぞれ準拠して測定された値であり、例えばヘーズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製ヘーズメーターHM-150)を用いて測定することができる。
【0019】
以下、本開示の一実施形態によるグラフィックシートについて説明する。本開示のグラフィックシートは、透明フィルム基材と、透明フィルム基材上に配置された、アクリル系ポリマーと白色顔料フィラーを含むレセプター層とを有する。レセプター層の面には必要に応じてグラフィックの印刷が施される。本開示のグラフィックシートは照明ユニット上に取り付けて内照看板等として使用可能である。
【0020】
図1に、本開示の一実施形態によるグラフィックシート10の概略断面図を示す。グラフィックシート10は、少なくとも、透明フィルム基材100とレセプター層200とを有する。図2に示すように、レセプター層200上には、印刷層300が形成される。
【0021】
レセプター層は、アクリル系ポリマーと白色顔料フィラーを含む。一実施形態のレセプター層は、アクリル系ポリマー100質量部に対し白色顔料フィラーを5質量部以上50質量部以下含み、グラフィックシート全体として、全光線透過率8%以上50%以下の乳白色の半透明シートを得ることができる。この構成により、本実施形態のグラフィックシートを用いた内照看板では、内照時、外照時いずれの場合にも、乳白色のレセプター層上に印刷画像が形成されることで、鮮明な印刷画像の再現が可能になる。特にレセプター層の白色度が高い場合、人物の顔写真等の肌色の鮮明な再現が可能となる。
【0022】
一実施形態によるグラフィックシートでは、レセプター層を乳白色とすることで、グラフィックシート自体の色を乳白色にできる。レセプター層以外の白色の層を必ずしも必要としないため、フィルム基材を白色化する必要はなく、汎用性の高い透明フィルムをフィルム基材として使用できる。また、従来のように、白色粘着剤層を使用する必要性もないため、粘着剤層のないグラフィックシートとすることもできる。また、粘着剤層を備える場合であっても、粘着剤層を白色化する必要はなく、透明または白色いずれの粘着剤層も使用することができる。
【0023】
以下、一実施形態によるグラフィックシートの主たる各構成材について具体的に説明する。
【0024】
(レセプター層)
一実施形態において、レセプター層は、アクリル系ポリマーと白色顔料フィラーを含む非粘着性の樹脂組成物である。このような樹脂組成物に含まれる樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂などが挙げられる。
【0025】
一実施形態において、レセプター層は、アクリル系樹脂を含む(メタ)アクリル系フィルムを使用することができる。(メタ)アクリル系フィルムは、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのポリマーブレンドと、白色顔料とを含む。このようなポリマーブレンドを含む(メタ)アクリル系フィルムは、高い引張強さ及び優れた伸び特性を有する。また、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーとアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとをブレンドすることにより、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーが分散剤として機能し、白色顔料の分散性を高めることができる。この結果、アクリル系ポリマー100質量部に対し約5質量部以上の比較的多量の白色顔料を略均一にレセプター層中に含むことができる。このため、レセプター層の白色度を上げ、レセプター層上に形成される印刷画像の鮮明性と隠蔽性を改善することができる。また、白色顔料の分散性が改善される結果、隠蔽性を低下させずにレセプター層の厚さを効果的に低減することができる。また、レセプター層中の白色顔料を、アクリル系ポリマー100質量部に対し約50質量部以下に調整することで、レセプター層を半透明の乳白色に維持し、内照看板としての使用を可能にする。
【0026】
ポリマーブレンドは、必要に応じて、1種または2種以上のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーと、1種または2種以上のアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとを混合して形成することもできる。
【0027】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、モノエチレン性不飽和モノマーを主成分として、これとカルボキシル基を含有するモノエチレン性不飽和モノマー(カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和モノマー)とを共重合することにより得ることができる。モノエチレン性不飽和モノマーは、ポリマーの主成分となるものであって、一般には式CH=CRCOOR(式中、Rは水素またはメチル基であり、Rは直鎖、環状または分岐状のアルキル基、フェニル基、アルコキシアルキル基、フェノキシアルキル基、ヒドロキシアルキル基、または環状エーテル基である。)で表されるものに加えて、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類も含まれる。式CH=CRCOORで表されるモノエチレン性不飽和モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの環状エーテル含有(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。モノエチレン性不飽和モノマーは、必要に応じて、1種または2種以上のモノエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。
【0028】
カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和モノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などの不飽和モノカルボン酸;イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、マレイン酸などの不飽和ジカルボン酸;ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチルアクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などを挙げることができる。
【0029】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、例えばモノエチレン性不飽和モノマーを約80質量部以上、約85質量部以上、または約90質量部以上、約99.5質量部以下、約99質量部以下、または約95質量部以下と、カルボキシル基含有モノエチレン性不飽和モノマーを約0.5質量部以上、約1質量部以上、または約5質量部以上、約20質量部以下、約15質量部以下、または約10質量部以下の割合で共重合することにより得ることができる。
【0030】
アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、モノエチレン性不飽和モノマーを主成分とし、これとアミノ基含有不飽和モノマーとを共重合することにより得ることができる。アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、白色顔料の分散剤として作用するだけではなく、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーと相互作用して、レセプター層の強度を向上する効果もある。モノエチレン性不飽和モノマーは、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様であり、必要に応じて、1種または2種以上のモノエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。
【0031】
アミノ基含有不飽和モノマーとして、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)などのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N-ジエチルアミノエチルビニルエーテルなどのジアルキルアミノアルキルビニルエーテルなどが挙げられる。他のアミノ基含有不飽和モノマーとして、ビニルピリジン、ビニルイミダゾールなどの含窒素複素環を有するビニルモノマーに代表される3級アミノ基を有するモノマー、3級アミノ基を含有するスチレン(例えば、4-(N,N-ジメチルアミノ)-スチレン、4-(N,N-ジエチルアミノ)-スチレンなど)が挙げられる。アミノ基含有不飽和モノマーは、3級アミノ基を含有する不飽和モノマーであることが好ましい。必要に応じて、1種または2種以上のアミノ基含有不飽和モノマーを使用することができる。
【0032】
アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、例えばモノエチレン性不飽和モノマーを約80質量部以上、約85質量部以上、または約90質量部以上、約99.5質量部以下、約99質量部以下、または約95質量部以下と、アミノ基含有不飽和モノマーを約0.5質量部以上、約1質量部以上、または約5質量部以上、約30質量部以下、約20質量部以下、または約10質量部以下の割合で共重合することにより得ることができる。アミノ基含有不飽和モノマーの量を上記範囲とすることにより、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーとの良好な相溶性を得ることができる。
【0033】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーの配合量は、レセプター層のアクリル系ポリマー合計を100質量部としたときに、約10質量部以上、約20質量部以上、または約30質量部以上、約90質量部以下、約80質量部以下、または約70質量部以下とすることができる。
【0034】
アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの配合量は、レセプター層のアクリル系ポリマー合計全体を100質量部としたときに、約10質量部以上、約20質量部以上、または約30質量部以上、約90質量部以下、約80質量部以下、または約70質量部以下とすることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、約-60℃以上、約-50℃以上、または約-40℃以上、約120℃以下、約100℃以下、または約80℃以下である。
【0036】
いくつかの実施形態では、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は約-60℃以上、約-50℃以上、または約-40℃以上、約120℃以下、約100℃以下、または約80℃以下である。
【0037】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーとアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとのポリマーブレンドにおいて、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーのTgを0℃以上とした場合には、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのTgは0℃以下とし、前者のTgを0℃以下とした場合には後者のTgを0℃以上にすることが好ましい。高いTgを有する(メタ)アクリル系ポリマーはフィルムに高い引張強さを付与し、低いTgを有する(メタ)アクリル系ポリマーはフィルムの低温での伸び特性を良好にするため、強靭性に優れ、引張強さと伸び特性とのバランスに優れた(メタ)アクリル系フィルムを提供することができると考えられる。
【0038】
Tgが0℃以上の(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、メチルメタクリレート(MMA)、n-ブチルメタクリレート(BMA)などの、単体で重合したホモポリマーが0℃以上のTgを有するモノエチレン性不飽和モノマーを主成分として共重合させることにより得ることができる。
【0039】
Tgが0℃以下の(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば、エチルアクリレート(EA)、n-ブチルアクリレート(BA)、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)などの、単体で重合したホモポリマーが0℃以下のTgを有するモノエチレン性不飽和モノマーを主成分として共重合させることにより得ることができる。
【0040】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、各ポリマーがn種類のモノマーから共重合されているとして、FOXの式(後述する)より求めることができる。
【0041】
(メタ)アクリル系フィルムの形成において、各(メタ)アクリル系ポリマーの配合比を変化させることにより、所望の引張強さ及び伸び特性を有するフィルムを得ることができる。具体的には、Tgが0℃以上の(メタ)アクリル系ポリマーとTgが0℃以下の(メタ)アクリル系ポリマーの配合比は10:90~90:10、20:80~90:10、30:70~90:10、または50:50~90:10とすることができる。フィルムのブロッキングが生じにくいため、Tgが0℃以上の(メタ)アクリル系ポリマーを多くすることが好ましい。
【0042】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、それぞれ、一般に約1万以上、約2万以上、または約3万以上、約200万以下、約150万以下、または約100万以下とすることができる。本開示における重量平均分子量は、GPC法による標準ポリスチレンで換算した分子量を意味する。
【0043】
白色顔料の分散性及びフィルムの強靱性のバランスが良好であることから、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのいずれか一方の重量平均分子量が、約20万以上、約30万以上、または約40万以上、約200万以下、約140万以下、または約80万以下、他方の重量平均分子量が、約4万以上、約5万以上、または約6万以上、約100万以下、約80万以下、または約60万以下であることが有利である。一実施形態では、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのいずれか一方の重量平均分子量が約80万以上、約100万以上、または約120万以上である。この実施形態のレセプター層は強靭性に特に優れている。
【0044】
これらのポリマーの共重合は、ラジカル重合により行なうことが好ましく、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの公知の重合方法を用いることができる。開始剤として、過酸化ベンゾイル、ラウロイルペルオキシド、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートなどの有機過酸化物、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)などのアゾ系重合開始剤を用いることができる。開始剤の使用量は、モノマー混合物100質量部に対して、一般に約0.01質量部以上、または約0.05質量部以上、約5質量部以下、または約3質量部以下である。
【0045】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのポリマーブレンドを用いる実施形態において、白色顔料の配合量は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及びアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの合計100質量部に対して、約8質量部以上、約15質量部以上、または約25質量部以上、約150質量部以下、約100質量部以下、または約60質量部以下とすることができる。
【0046】
レセプター層中に含有する白色顔料としては、従来公知の白色顔料、例えば炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、及び酸化チタン(二酸化チタン)が挙げられる。白色顔料は単体でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの白色顔料は、球状、針状、平板状またはフレーク状などの様々な形状の粒子であってよく、分散性が良好であることから球状粒子であることが望ましい。白色顔料は、分散性をより高めるために、シラン、チタネートなどのカップリング剤で表面処理されていてもよい。
【0047】
白色顔料の平均一次粒径は、一般に約0.10μm以上、約0.12μm以上、または約0.15μm以上、約0.50μm以下、約0.40μm以下、または約0.30μm以下である。白色顔料の平均一次粒径を上記範囲とすることにより、白色顔料をより均一にレセプター層に分散することができる。白色顔料の平均一次粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定を用いて決定することができる体積累積粒径D50である。
【0048】
白色顔料の配合量は、レセプター層のアクリルポリマー合計100質量部に対して、約5質量部以上、約10質量部以上、または約20質量部以上とすることができ、この場合、印刷インクの良好な発色性を発揮するために必要な白色度を上げることができ、隠蔽性および印刷画像の鮮明性を得ることができる。また、白色顔料の配合量は、レセプター層のアクリルポリマー合計100質量部に対して、約50質量部以下、約40質量部以下、または約30質量部以下とすることで、レセプター層および透明フィルム基材と合わせたシート全体の透過率を内照看板に使用可能な範囲とすることができる。
【0049】
白色顔料として二酸化チタンを用いる実施形態では、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとして、芳香族ビニルモノマーに由来するモノマー単位を含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを好適に用いることができる。このようなアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、上述したアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーのうち、芳香族ビニルモノマーをポリマーの構成成分として含まないものである。芳香族ビニルモノマーには、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルアントラキノン、芳香族アミンの(メタ)アクリルアミド、水酸基含有芳香族化合物の(メタ)アクリレートなどが包含される。芳香族アミンとして、アニリン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、アミノアントラセン、アミノアントラキノンまたはこれらの誘導体が挙げられる。水酸基含有芳香族化合物として、上記芳香族アミンに対応する水酸基含有化合物が挙げられる。芳香族ビニルモノマーに由来するモノマー単位を含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、二酸化チタンの分散性を向上させるのに特に有利である。
【0050】
白色顔料は、上記アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー、及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーのいずれかからなる分散剤に分散させた着色剤の形態で、レセプター層の製造時に添加されてもよい。着色剤を調製することにより、白色顔料をレセプター層中により均一かつ容易に分散させることができる。
【0051】
分散剤としてアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを使用する場合、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、約2,000以上、約5,000以上、または約10,000以上、約200,000以下、約150,000以下、または約100,000以下であることが望ましい。分散剤のアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、ポリマーブレンドのアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーと同一であってもよく、異なっていてもよい。ポリマーブレンドのアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーを分散剤としてもよい。
【0052】
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、モノエチレン性不飽和モノマーを主成分とし、これとヒドロキシル基含有不飽和モノマーとを共重合することにより得ることができる。モノエチレン性不飽和モノマーは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート以外について、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーの場合と同様であり、必要に応じて、1種または2種以上のモノエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。
【0053】
ヒドロキシル基含有不飽和モノマーとして、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなど)、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリカプロラクトン変性物である「プラクセルF」シリーズ(ダイセル化学工業製)などが挙げられる。必要に応じて、1種または2種以上のヒドロキシル基含有不飽和モノマーを使用することができる。
【0054】
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、例えばモノエチレン性不飽和モノマーを約80質量部以上、約85質量部以上、または約90質量部以上、約99.5質量部以下、約99質量部以下、または約95質量部以下と、ヒドロキシル基含有不飽和モノマーを約0.5質量部以上、約1質量部以上、または約5質量部以上、約30質量部以下、約20質量部以下、または約10質量部以下の割合で共重合することにより得ることができる。
【0055】
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー及び/またはアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは架橋剤により架橋されていてもよい。架橋剤を用いた架橋により耐溶剤性が改善される。架橋剤として、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマーに対しては、例えばビスアミド系架橋剤(例えば、1,1’-イソフタロイル-ビス(2-メチルアジリジン))、アジリジン系架橋剤(例えば、株式会社日本触媒製ケミタイトPZ33、アビシア社製NeoCryl CX-100)、カルボジイミド系架橋剤(例えば、日清紡ケミカル株式会社製カルボジライトV-03、V-05、V-07)、エポキシ系架橋剤(例えば綜研化学株式会社製E-AX、E-5XM、E5C)、イソシアネート系架橋剤(例えば、日本ポリウレタン工業株式会社製コロネートL、コロネートHK、バイエル社製デスモジュールH、デスモジュールW、デスモジュールI)などを用いることができる。アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーに対しては、エポキシ系架橋剤(例えば綜研化学株式会社製E-AX、E-5XM、E5C)、イソシアネート系架橋剤(例えば、日本ポリウレタン工業株式会社製コロネートL、コロネートHK、バイエル社製デスモジュールH、デスモジュールW、デスモジュールI)などを用いることができる。
【0056】
架橋剤の添加量は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー中のカルボキシル基、またはアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー中のアミノ基に対して、約0.01当量以上、約0.02当量以上、または約0.05当量以上、約0.5当量以下、約0.3当量以下、または約0.2当量以下とすることができる。
【0057】
レセプター層は、その他の成分として、タルク、カオリン、炭酸カルシウム、アルミニウムフレーク、フュームドシリカ、アルミナ、ナノ粒子などの充填剤、酸化防止剤、UV吸収剤、UV安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤などを含んでもよい。
【0058】
レセプター層は、例えば上記樹脂組成物を剥離ライナーに塗布及び乾燥することにより、あるいは溶融押出成形により形成することができる。例えば、上記(メタ)アクリル系フィルムを使用する実施形態では、ポリマーブレンドと、白色顔料と、その他の任意成分とを、必要に応じてトルエン、酢酸エチルなどの揮発性溶媒を用いて適切な粘度となるように混合し、ナイフコート、バーコートなどにより剥離ライナーの剥離面上に混合物を塗布し、乾燥することにより、透明フィルム基材上に形成することができる。
【0059】
レセプター層の厚さは、限定されないが、白色顔料を含有し、乳白色を有するため、レセプター層のグラフィックシート全体の全光線透過率に影響を与える。このため、グラフィックシート全体の全光線透過率を一定以上とし、内照時の画像の適切な明るさを得る観点から、約50μm以下が好ましく、約45μm以下、さらに40μm以下であることが好ましい。一方、レセプター層としての機能を維持するとともに、外照時の良好な画像品質を得るため、約10μm以上、約20μ以上、または約30μm以上とすることが有利である。
【0060】
(透明フィルム基材)
透明フィルム基材は、グラフィックシートの支持体として機能し、レセプター層のみでは得られにくい剛性を、グラフィックシートに付与できるものが好ましい。
【0061】
透明フィルム基材は、可視光域での透過率が60%以上であり、85%以上、90%以上、より好ましくは95%以上であることが好ましい。可視光透過率を85%以上とすることで、レセプター層の白色性、およびレセプター層上に形成される印刷層の色彩や明度を損なうことなく、内照看板としての画像品質を提供することができる。また、内側の照明ユニット(内照)の照明を点灯してグラフィックシートを使用する場合には、照明の照度を下げることなく明るい画面を提供できる。
【0062】
透明フィルム基材は、グラフィックシートの支持体として機能し、グラフィックシートを作業者が持ち上げたときに、容易に自重で変形や折れ曲がりが生じない程度の剛性を有することが望ましい。この場合、グラフィックシートを用いた照明ユニットの設置等の作業を行う際の作業性を良好にできる。
【0063】
いくつかの実施形態では、透明フィルム基材の厚みは、約30μm以上、約40μm以上または約50μm以上であってよい。また、透明フィルム基材の厚みは、約300μm以下、約200μm以下または約100μm以下であってよい。透明フィルム基材の厚みを上記範囲とすることで、フィルム自身の有する剛性と組み合わされて、グラフィックシート全体の形状維を容易にするとともに、適度な可とう性を付与し、グラフィックシートを照明システム上に設置したり、取り外したりする際の作業性を高める。なお、透明フィルム基材の厚みが面内で異なる場合、本開示において透明フィルム基材の厚みとは透明フィルム基材の最小厚みを指す。
【0064】
いくつかの実施形態では、透明フィルム基材の降伏弾性率は、約10MPa以上、約15MPa以上、または約20MPa以上、約300MPa以下、約250MPa以下または約200MPa以下である。透明フィルム基材の降伏弾性率を上記範囲とすることで、容易に自重で変形や折れ曲がりが生じない程度の剛性を維持できるとともに、適度な可とう性が得られるため、、内照ユニットへの取り付け作業性を改善できる。なお、降伏弾性率は、透明フィルム基材を幅15mm、長さ100mmの長方形に切断して試験片を作製し、JIS K 7127に準拠して試験片の伸び特性を、引張試験機を用いて20℃、掴み間隔50mm、引張速度300mm/分の条件で測定したときの、降伏点における弾性率と定義される。
【0065】
いくつかの実施形態では、透明フィルム基材の降伏弾性率と厚みの積は、約0.3×10N/m以上、約0.5×10N/m以上、または約1.0×10N/m以上、約5×10N/m以下、約4×10N/m以下、または約3×10N/m以下である。降伏弾性率と厚みの積は、透明フィルム基材の曲げ剛性に比例する。透明フィルム基材の降伏弾性率と厚みの積を上記範囲とすることで、容易に自重で変形や折れ曲がりが生じない程度の剛性を維持できる。
【0066】
いくつかの実施形態では、透明フィルム基材の2%引張強度は、約40N/25mm以上、約45N/25mm以上、または約50N/25mm以上である。透明フィルム基材の2%引張強度を上記範囲とすることで、容易に自重で変形や折れ曲がりが生じない程度の剛性を維持することができる。2%引張強度は、透明フィルム基材を幅25mm、長さ100mmの長方形に切断して試験片を作製し、引張試験機を用いて20℃、掴み間隔50mm、引張速度300mm/分の条件で測定したときの、2%伸びにおける引張強度と定義される。
【0067】
透明フィルム基材の材料は特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂などが挙げられる。高い降伏弾性率と強度を有し、耐候性に優れ、比較的安価であることから、透明フィルム基材としてポリエステルフィルムを用いることが有利である。
【0068】
透明フィルム基材は延伸フィルムであってもよく非延伸フィルムであってもよい。透明フィルム基材は延伸フィルム、特に2軸延伸フィルムであることが、フィルムの剛性及び引張強度を有利に高めることができる。
【0069】
透明フィルム基材は、透明性を阻害しない範囲でその他の任意成分、例えばフィラー、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを含んでもよい。
【0070】
(印刷層)
いくつかの実施形態では、レセプター層の透明フィルム基材側と反対側の表面上に印刷層を有し、この印刷層により、グラフィック画像が形成される。グラフィック画像には、制限はなく、各種広告、案内表示、社名表示に使用される、文字、図形、風景や人物等の写真画像が含まれる。印刷層の形成方法は限定されず、スクリーン印刷、インクジェット印刷、静電印刷などの種々の方法を使用できる。いくつかの実施形態では、良好な解像度、柔軟性、高速度、低コストさから、インクジェット印刷が好ましく使用できる。また、インクジェット印刷に使用されるインクとしては、耐水性、耐候性が良好で、上述するアクリルポリマーを主成分とするレセプター層に対し良好なインク定着性を持つ溶剤ベースインクが望ましく使用できる。このような溶剤インクとしては、ローランドデージー社(日本国、静岡県)の溶剤インク 「ECO-SOL MAX(製品名)」、「ECO-SOL MAX2(製品名)」や、株式会社ミマキエンジニアリング(日本国、長野県)の HSインク(製品名)、Eco-HS1インク(製品名)、ES3インク(製品名)、SS21インク(製品名)、LUS-200インク(製品名)、セイコーエプソン社(日本国、長野県)のGS3インク(製品名)、GSXインク(製品名)、HP社(米国、カルフォルニア州)のHP-Latexインク(製品名)等を使用できる。
【0071】
本実施形態のグラフィックスシートは様々な方法によって製造することができる。いくつかの実施形態では、まず、透明フィルム基材を準備する。一方、アクリル系ポリマーと白色顔料フィラーを混合し、レセプター白色顔料混合溶液を調製する。なお、レセプター白色顔料混合溶液には必要に応じ分散剤や架橋剤等の添加剤を加えてもよい。このレセプター白色顔料混合溶液をナイフコーター等を用いて所定の厚みになるように透明フィルム基材表面上にコーティングする。こうして得られたレセプター層の前駆体を加熱乾燥することで透明剛性フィルム上にレセプター層を形成する。あるいは、透明剛性フィルム上にレセプター白色顔料混合溶液を溶融押出成形することにより、透明剛性フィルム上にレセプター層の前駆体を形成してもよい。
【0072】
(その他の実施形態)
いくつかの実施形態では、さらに、透明フィルム基材のレセプター層側と反対側の表面上に、微小球と非粘着性樹脂とを含む背面層を備えてもよい。レセプター層にインクジェットにより画像を印刷する場合、印刷後すぐにグラフィックシートを巻き取ったり、グラフィックシートを重ねたりする場合がある。しかし、印刷後すぐに印刷面とグラフィックシート裏面が接触すると、印刷面にブロッキングが生じたり、グラフィックシート裏面へのインク移りが問題になることがある。透明フィルム基材上に形成される背面層は、このようなブロッキングやインクが移るの防止に効果がある。
【0073】
背面層が含む微小球としては、微小球は、有機材料または無機材料からなる微粒子であり、非粘着性であることが好ましい。具体的には例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリカ、またはガラスからなる微粒子を用いることができる。形状は、ブロッキングやインク移り防止の観点から球状であることが好ましい。また、耐溶剤性の面から、この微小球は、架橋粒子であることが好ましい。また、中空の粒子も使用できる。
【0074】
微小球の体積累積粒径D50は、一般に約15μm以上、または約20μm以上、約40μm以下、または約30μm以下である。微小球の体積累積粒径D50はレーザー回折/散乱式粒度分布測定を用いて決定することができる。
【0075】
背面層が含む非粘着性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アルキド・メラミン樹脂、ブチルエーテル化尿素・ホルムアルデヒド樹脂などを挙げることができる。
【0076】
背面層における微小球と非粘着性樹脂との質量比は約45~約180:約100とすることが好ましい。微小球の添加量がこれより少ないと、微小球による突起が印刷面に食い込みやすくインプレッ
ション発生や印刷層脱落の恐れがある。一方、微小球の添加量が上記より多いと印刷層(印刷面)との接触割合が大きくなり印刷層脱落やグロス低下の恐れがある。
【0077】
背面層の厚さは特に限定されないが、透明フィルム基材表面から背面層の最も厚い部分の厚さを約10μm以上、約50μm以下、透明フィルム基材表面から背面層の最も薄い部分の厚さを約5μm以上、約40μm以下とすることができる。
【0078】
背面層は、非粘着樹脂に微小球を添加、混合した後、透明フィルム基材表面に例えばナイフコーティングなどの従来公知の方法により塗布、乾燥して得ることができる。
【0079】
(照明システム)
本開示のグラフィックスシートを、内部に光源を備えた筐体からなる照明ユニット表面にとり付けることで、内照看板として使用可能な、照明システムを得ることができる。この照明システムは、各種広告、案内表示、社名表示のほか、グラフィック表示装置として、室内あるいは室外で使用できる。照明ユニットで使用される光源は限定されず、蛍光灯、ネオン管、LED等の各種光源が使用できるが、省エネルギーおよび小型軽量化の観点で、LEDの使用が望ましい。
【0080】
図3に、LEDを光源に使用した照明システム200の一実施形態の概略的断面を示す。同図に示すように、照明システム200は、照明ユニット203を構成する筐体201の内側面(図中下側面)に多数のLEDモジュール202が配置されており、筐体201の外側面(図中上側面)に、表示部204を有する。なお、LEDモジュール202が配置される筐体201の内側面には、LEDの光をより効率良く表示面に取り出すために、反射材が形成されていてもよい。
【0081】
図3に示すように、表示部204は、上下二枚のアクリル板等の透明支持体またはシートでグラフィックシート100を挟みこんだ構成でもよく、あるいは、単一の透明支持体の上に、粘着層を介してグラフィックシート100を接着固定してもよい。上下二枚の透明支持体またはシートでグラフィックシート100を挟みこんだ構成の場合は、容易に中のグラフィックシートを取り外すことができるため、短期間での取替えを必要とする広告表示には適している。
【実施例
【0082】
以下の実施例において、本開示の具体的な実施形態を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
【0083】
以下、本明細書においては、表1に示す以下の略称を使用することがある。
【0084】
【表1】
【0085】
<アクリル系ポリマー1(AP1)(カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー)の製造>
BA32質量部、2EHA62質量部、及びAA6質量部をEtAc溶媒に溶解させ、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(商品名V-65、和光純薬工業株式会社製)0.67質量部を加えた後、窒素雰囲気下65℃で24時間反応させ、アクリル系ポリマー1(AP1)のEtAc溶液(固形分60%)を調製した。AP1の重量平均分子量(Mw)は280,000、ガラス転移温度(Tg)は-57℃であった。
【0086】
Tgは、各ポリマーがn種類のモノマーから共重合されているとして、FOXの式(下式)より求めた。以下、Tgは同様の方法で求めた。
【0087】
【数1】
(Tg:成分1のホモポリマーのガラス転移温度
Tg:成分2のホモポリマーのガラス転移温度
・・・
Tg:成分nのホモポリマーのガラス転移温度
:重合の際に添加した成分1のモノマーの質量分率
:重合の際に添加した成分2のモノマーの質量分率
・・・
:重合の際に添加した成分nのモノマーの質量分率
+X+・・・+X=1)
【0088】
<アクリル系ポリマー2(AP2)(カルボキシル基含有(メタ)アクリル系ポリマー)の製造>
BA40質量部、2EHA47質量部、VAc8質量部、及びAA5質量部を、EtAcに溶解させ、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(商品名V-65、和光純薬工業株式会社製)0.2質量部を加えた後、窒素雰囲気下65℃で24時間反応させ、アクリル系ポリマー2(AP2)のEtAc溶液(固形分40%)を調製した。AP2の重量平均分子量(Mw)は550,000、ガラス転移温度(Tg)は-58℃であった。
【0089】
<ポリマー分散剤(PD)(アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー)の製造>
MMA60質量部、BMA34質量部、及びDMAEMA6質量部を、EtAcに溶解させ、重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(商品名V-65、和光純薬工業株式会社製)0.2質量部を加えた後、窒素雰囲気下65℃で24時間反応させ、ポリマー分散剤(PD)として、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー(AP2)のEtAc溶液(固形分40%)を調製した。PDの重量平均分子量(Mw)は68,000、ガラス転移温度(Tg)は63℃であった。
【0090】
本実施例において使用したポリマーの組成、架橋剤、白色顔料、及び非粘着性微小球を表2に示す。
【0091】
【表2】
*)TgはFOXの式から計算した値
【0092】
<例1>
まず、白色顔料フィラーとポリマー分散剤と溶剤(MEK)とを混合して、白色顔料混合液を準備した。白色顔料フィラーとポリマー分散剤の比率は、不揮発成分比として、5:1であった。また、混合溶液中に占める不揮発成分の割合は、約66%であった。
【0093】
次に、この白色顔料混合液、アクリル系ポリマー1(AP1)、およびポリマー分散剤(PD)を混合し、レセプター白色顔料混合溶液を調製した。PD、AP1、および白色顔料フィラーの不揮発成分比は、100:50:14であった。すなわち、レセプター白色顔料混合溶液中において、アクリル系ポリマー(PD+AP1)100質量部に対する白色顔料フィラーの不揮発成分比は、9質量部であった。さらに、架橋剤(CL)をレセプター白色顔料混合溶液に、100質量部AP1に対し、不揮発成分比で架橋剤0.70質量部、加えた。レセプター白色顔料混合溶液における不揮発成分の割合は約35%であった。
【0094】
次に、透明フィルム基材として、厚み50μm、可視域透過率92.3%の透明なポリエステルフィルムを準備した。このフィルム基材の降伏弾性率は116MPa、2%引張強度は109N/25mm、基材の降伏弾性率と厚みの積は、0.58×10N/m以上であった。
【0095】
レセプター白色顔料混合溶液をナイフコータでポリエステルフィルム上にコーティングし、95℃で3分、さらに155℃で3分乾燥させた。乾燥後、厚み約44μmの半透明なレセプター層を得た。このレセプター層の外観は乳白色であり、その可視域透過率は、約30%であった。
【0096】
溶剤インクジェットプリンタ(ローランド社製XR-640)を用いて、この乳白色の半透明レセプター層上に、溶剤インク(ローランド社製 ECO-SOL MAX2)で印刷画像を形成した。印刷条件は、6色(シアン、マゼンタ、黄色、黒、ライトシアン、ライトマゼンタ)、デュアルモード、高画質モード(720dpi×1440dpi)、変更可能ドットとした。人物の顔写真画像を印刷した。印刷速度は約3m/hr、印刷温度は約40℃であった。こうして、例1のグラフィックシートを作製した。
【0097】
<例2>
例1と同様に、グラフィックシートを作製した。ただし、レセプター層の厚みを29μmとした。レセプター層の外観は乳白色であり、その透過率は約38%であった。
【0098】
<例3>
例1と同様に、グラフィックシートを作製した。ただし、レセプター白色顔料混合溶液を調製する際に使用したアクリル系ポリマーAP1をAP2に変更し、レセプター層の厚みを約38μmとした。レセプター層の外観は乳白色であり、その透過率は約30%であった。
【0099】
<例4>
例1と同様に、グラフィックシートを作製した。ただし、レセプター白色顔料混合溶液を調製する際に使用したアクリル系ポリマーをAP2に変更した。レセプター白色顔料混合溶液中において、全アクリル系ポリマー(PD+AP2)100質量部に対する白色顔料フィラーの不揮発成分比は45質量部であった。また、レセプター層の厚みを30μmとした。レセプター層の外観は乳白色であり、その透過率は約12%であった。
【0100】
<例5>
例1と同様に、グラフィックシートを作製した。ただし、レセプター白色顔料混合溶液を調製する際に使用したアクリル系ポリマーAP1をAP2に変更した。レセプター白色顔料混合溶液中において、全アクリル系ポリマー(PD+AP2)100質量部に対する白色顔料フィラーの不揮発成分比は19質量部であった。また、レセプター層の厚みを30μmとした。レセプター層の外観は乳白色であり、その透過率は約23%であった。
【0101】
<比較例1>
例3と同様に、グラフィックシートを作製した。ただし、レセプター層に白色顔料フィラーを含有させなかった。また、レセプター層の厚みを50μmとした。レセプター層の外観は透明であり、その透過率は90%であった。
【0102】
<参考例1>
高画質写真印刷に使用されている白色写真用紙「クリスピア<TM>」(エプソン社製製造)を参考例として用意した。
【0103】
<評価方法>
グラフィックスシートを以下の方法に従って評価した。評価結果を表3に示す。
【0104】
1.光学特性
画像を印刷していない、グラフィックシートを30mm角に切断し、試験片を準備した。全光線透過率をJIS K 7361-1:1997(ISO 13468-1:1996)及びJIS K 7136:2000(ISO 14782:1999)に準拠して、ヘーズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製ヘーズメーターHM-150)を用いて測定した。3回測定し平均値をシート透過率とした。
【0105】
2.内照画像品質評価
人物の顔写真の画像が印刷されたグラフィックシートを長さ150mm、幅200mmに切断して試験片を作製した。この試験片を印刷面を外側にして内照ボックス(Eye Light Table CT1201RC、アイグラフィックス株式会社)上に設置し、内照ボックスの光源(蛍光灯)をオンにした状態で、画像を目視で確認した。画像が、同じグラフィックシートを室内の蛍光灯による通常照明の下で白色紙上においた場合と同等の画像外観(色彩を含む)であった場合、「良好(Good)」と判断した。グラフィックシートを白色紙上においた場合の画像に較べ、画像外観に差異があった場合(色彩が暗い、場所による色むらがある等の場合)を「不良(Poor)」、内照ボックス内の光源の透過が不足し、画像が確認できない場合を「使用不可(Bad)」と判断した。
【0106】
3.外照画像品質評価
人物の顔写真の画像が印刷されたグラフィックシートを長さ150mm、幅200mmに切断して試験片を作製した。この試験片を内照ボックス(Eye Light Table CT1201RC、アイグラフィックス株式会社)上に設置し、内照ボックスの光源(蛍光灯)をオフにした状態、すなわち、室内の蛍光灯による通常照明の下での画像を目視で確認した。同じグラフィックシートを白色紙上においた場合と同等の画像外観(色彩を含む)であった場合、「良好(Good)」と判断した。グラフィックシートを白色紙上においた場合の画像に較べ、画像外観に差異があった場合(色彩が暗い等の場合)「不良(Poor)」と判断した。
【0107】
4.白色度評価
画像を印刷していないグラフィックシートを50mm角に切断し、試験片を準備した。この試験片を白色光沢フィルム(スリーエムジャパン株式会社製 スコッチカル(商標)JS1000A)上、および黒色光沢フィルム(スリーエムジャパン株式会社製 スコッチカル(商標)JS1500A)上にそれぞれ置き、カラーメーター(コニカミノルタ株式会社製分光光度計CM-3700d)を用いて、Y値(視感反射率)の測定を行った。光源としては、CIE標準光源D65を用い、測定角度を2度に設定した。白色光沢フィルム上で測定したY値を「白上Y値」とし、黒色光沢フィルム上で測定したY値を、「黒上Y値」とした。
【0108】
白上Y値および黒上Y値が高い程白色度は良好であり、「黒上Y値/白上Y値」が100%に近いほど隠蔽性も良好といえる。白上Y値が80以上であり、かつ黒上Y値を白上Y値で割った値「黒上Y値/白上Y値」が70%以上の場合の白色度を良好と判断できる。
【0109】
【表3】
*1)全アクリル系ポリマー100質量部に対する白色顔料フィラーの組成比(質量部)
【符号の説明】
【0110】
10 グラフィックシート
100 透明フィルム基材
200 レセプター層
300 印刷層
図1
図2
図3