(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】超電導ケーブルの中間接続部、超電導ケーブル線路及び超電導ケーブルの中間接続方法
(51)【国際特許分類】
H01B 12/06 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
H01B12/06 ZAA
(21)【出願番号】P 2018191925
(22)【出願日】2018-10-10
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】306013120
【氏名又は名称】昭和電線ケーブルシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 達尚
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-061275(JP,A)
【文献】特開2008-226624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0067184(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 12/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーマとしてのコルゲート管同士を接続する超電導ケーブルの中間接続部であって、
突き合うように配置される前記コルゲート管の端部と、
前記コルゲート管の端部同士の外周を覆うように配置されるスリーブとを有し、
前記スリーブと前記コルゲート管とは、前記スリーブの外側から挿入されるブラインドリベットにより接合され
、
前記ブラインドリベットは、前記コルゲート管の端部において外周面で凸状に突出する山部を貫通して内周面で係合して接合される、超電導ケーブルの中間接続部。
【請求項2】
超電導層を有する超電導ケーブルと、
請求項
1記載の超電導ケーブルの中間接続部とを有し、
前記超電導層同士が前記中間接続部を跨いで接続されている、超電導ケーブル線路。
【請求項3】
フォーマとしてのコルゲート管同士を接続する超電導ケーブルの中間接続方法であって、
前記コルゲート管の端部を、互いの端部が付き合うように、スリーブ内に配置し、前記スリーブの外側からブラインドリベットを挿入して、前記スリーブと前記コルゲート管とを接合
し、
前記ブラインドリベットは、前記コルゲート管の端部において外周面で凸状に突出する山部を貫通して内周面で係合して接合される、超電導ケーブルの中間接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導ケーブルの中間接続部、超電導ケーブル線路及び超電導ケーブルの中間接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、極低温で超電導状態になる超電導線材を導体として用いた超電導ケーブルが知られている。超電導ケーブルは、大電流を低損失で送電可能な電力ケーブルとして期待されており、実用化に向けて開発が進められている。
【0003】
超電導ケーブルは、フォーマ(心材)の外周に、例えば、不織布、クラフト紙などの絶縁層が配置され、その絶縁層上に、テープ状の超電導線材を巻き付けて超電導層が設けられている。
超電導ケーブルでは、フォーマとして、フレキシブルな金属製のコルゲート管が使用され、導体中心に液体窒素の流路を設け、冷却効率を向上させる構造をとることが多い。また、大電流送電を可能とするために、超電導線材は、同心円状に多層に配置されている場合もある。なお、多層配置された超電導線材の層間には、超電導線材を押えるとともに、超電導線材間での電気絶縁をとる絶縁層が設けられる。
【0004】
超電導ケーブルは、離れた超電導応用機器同士を接続する場合等、超電導ケーブルの敷設距離が長い場合、複数の超電導ケーブル同士を接合して用いることが考えられる。
【0005】
超電導ケーブル同士を接続する場合、超電導線材による超電導層同士を接続する前に、まず、フォーマであるコルゲート管同士を接続する必要がある。
【0006】
コルゲート管において外周部分の山谷部は、管の長手方向にらせん状に形成されており、製造上、各コルゲート管の開口端部の形状は同一に形成されてないことが多い。このため、コルゲート管同士を接合する場合、互いの開口端部を突き合わせたときに、断面形状が同一にならず、コルゲート管同士を直接接続することは困難である。
【0007】
よって、コルゲート管同士を接続する際には、例えば、特許文献1のように、コルゲート管の端部のそれぞれの外周側に、フランジ部を有する継手を固着し、周方向に延びる継手のフランジ部を対峙させ、クランプを周設させて回動させることにより連通した孔同士に、ボルトを挿通してナットを係合させることで両者を結合することが考えられている。
【0008】
また、ボルトナット締め以外の結合によりコルゲート管同士を接続する場合には、コルゲート管の端部にコルゲート管よりも外径の大きいリングを溶接し、そのリング同士を溶接する構成も考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のコルゲート管の接続構造を超電導ケーブルのフォーマの接続に適用する場合には、以下の問題がある。
【0011】
1)フォーマ同士の接続を溶接で行う場合、溶接部位が非常に高温になり、上層の絶縁層及び超電導層を構成する超電導ケーブルの構成材料である絶縁紙(不織布、クラフト紙など)や超電導線材の特性劣化に影響が生じる。このため、熱影響を小さくするため、フォーマ上の絶縁層及び超電導層を、フォーマ同士の接続部分から軸方向に遠ざけるように、フォーマの露出部分の余長が必要となる。
【0012】
2)フォーマの端部にリングを溶接する場合、コルゲート管の端部をツバ出ししてフランジ部を設け、このフランジ部にリングを溶接するため、リングの外径が大きくなる。
【0013】
3)リングを溶接する場合、溶接されたリングのゆがみや溶接材の盛りにより、接合部分に凹凸が生じる可能性がある。
【0014】
4)フォーマ同士の接続は、超電導ケーブルを敷設する現場で行うため、大掛かりな装置での加工を行うことが困難である。
【0015】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、超電導ケーブルの特性を劣化させることなくコンパクトな形状で容易に組みたてることができる超電導ケーブルの中間接続部、超電導ケーブル線路及び超電導ケーブルの中間接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の超電導ケーブルの中間接続部の一つの態様は、
フォーマとしてのコルゲート管同士を接続する超電導ケーブルの中間接続部であって、
突き合うように配置される前記コルゲート管の端部と、
前記コルゲート管の端部同士の外周を覆うように配置されるスリーブとを有し、
前記スリーブと前記コルゲート管とは、前記スリーブの外側から挿入されるブラインドリベットにより接合され、
前記ブラインドリベットは、前記コルゲート管の端部において外周面で凸状に突出する山部を貫通して内周面で係合して接合される構成を採る。
【0017】
本発明の超電導ケーブル線路の一つの態様は、
超電導層を有する超電導ケーブルと、
上記構成の超電導ケーブルの中間接続部とを有し、
前記超電導層同士が前記中間接続部を跨いで接続されている構成を採る。
【0018】
本発明の超電導ケーブルの中間接続方法の一つの態様は、
フォーマとしてのコルゲート管同士を接続する超電導ケーブルの中間接続方法であって、
前記コルゲート管の端部を、互いの端部が付き合うように、スリーブ内に配置し、前記スリーブの外側からブラインドリベットを挿入して、前記スリーブと前記コルゲート管とを接合し、
前記ブラインドリベットは、前記コルゲート管の端部において外周面で凸状に突出する山部を貫通して内周面で係合して接合される、ようにした。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、超電導ケーブルの特性を劣化させることなくコンパクトな形状で容易に組みたてることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明に係る一実施の形態の超電導ケーブルの中間接続部の構成を示す超電導ケーブル線路の外観図である。
【
図2】本発明に係る一実施の形態の超電導ケーブルの中間接続部の構成を示す超電導ケーブル線路の縦断面図である。
【
図3】コルゲート管同士の接続部分を模式的に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
<超電導ケーブルの中間接続部及び超電導ケーブル線路>
図1は、本発明に係る一実施の形態の超電導ケーブルの中間接続部10の構成を示す超電導ケーブル線路1の外観図であり、
図2は、本発明に係る一実施の形態の超電導ケーブルの中間接続部10の構成を示す超電導ケーブル線路1の縦断面図である。なお、
図1及び
図2では、超電導ケーブル2、3を収容する断熱管28において、超電導ケーブル2、3同士の接続部分を覆う部位を便宜上省略している。
【0023】
本実施の形態の超電導ケーブルの中間接続部10は、端部同士を接続した超電導ケーブル2、3を含む超電導ケーブル線路1に含まれる。超電導ケーブルの中間接続部10は、超電導ケーブルのフォーマ(コルゲート管20、30)同士の接続部分である。
【0024】
超電導ケーブルの中間接続部10では、一対の超電導ケーブル2、3のフォーマであるコルゲート管20、30が突き合うように配置されている。超電導ケーブルの中間接続部10は、互いに突き合うコルゲート管20、30の端部20a、30aと、端部20a、30a同士の外周を囲むスリーブ5とをブラインドリベット6により締結することにより構成される。
【0025】
超電導ケーブルの中間接続部10は、コルゲート管20、30の端部20a、30aと、スリーブ5と、ブラインドリベット6と、を有しており、少なくともこれら部材により構成されている。
【0026】
超電導ケーブル2、3は、コルゲート管20、30と、コルゲート管20、30の外周に配置される絶縁層22、32と、絶縁層22、32の外周に配設される超電導層24、34とを有する。超電導層24、34の外周には、カーボン紙からなる半導電層26、36が配設されている。半導電層26、36の外周には不織布などが巻回され絶縁層がさらに配設されてもよい(図示略)。
なお、
図1及び
図2に示す超電導ケーブル2、3は、フォーマとしたコルゲート管20、30の外周に、一層の超電導層24、34を有する構成としたが、これに限らず、接続される超電導ケーブル2、3は複数層の超電導層を有する構成としてもよい。スリーブ5とともに、スリーブ5により接続され超電導ケーブル線路1を構成する超電導ケーブル2、3は、敷設時では断熱管28に収容される。
【0027】
コルゲート管20、30は、可撓性を有し超電導ケーブル2、3の長手方向に沿って延在する。コルゲート管20、30の外周面には外周面に周方向(具体的には螺旋状)に延在する山部202、302(
図3参照)及び谷部204、304(
図3参照)が設けられている。
山部202、302及び谷部204、304は、コルゲート管20、30を外周面側からみた形状であり、山部202、302は、コルゲート管20、30の外周面で凸状であり、且つ、内周面で窪み凹部202a、302aを有する(
図3参照)。谷部204、304は、コルゲート管20、30の外周面に凹状に窪み、且つ、内周面で凸状に軸心側に突出する。
コルゲート管20、30の端部20a、30aには、外周面で凸状に突出する山部202、302に、軸方向と直交するように貫通し、且つ、凹部202a、302aに連通する止着孔205、305が穿孔されている(
図3参照)。止着孔205、305には、ブラインドリベット6が挿入される。
【0028】
コルゲート管20、30は、例えば、ステンレス(SUS)等の金属により形成されている。コルゲート管20、30の内部には、液体窒素等を通過させることが可能である。コルゲート管20、30は、本実施の形態では、液体窒素等を通過させて超電導層24、34を内側から冷却する冷媒管として機能する。
【0029】
コルゲート管20、30の端部20a、30aでは、上層に位置する絶縁層22、32及び超電導層24、34がそれぞれ剥がされており、これら端部20a、30aの外周面側に配置されたスリーブ5に接続されている。コルゲート管20、30はスリーブ5とともに、コルゲート管20、30の外部に液体窒素が漏れないように水密的に接合されることが望ましい。
【0030】
絶縁層22、32は、コルゲート管20、30と、超電導層24、34との間の絶縁を確保する。本実施の形態では、絶縁層22、32は、テープ状の不織布を、コルゲート管20、30の外周に、これら外周を覆うようにスパイラル状に巻回することにより構成されている。
絶縁層22、32は、コルゲート管20、30の外周面を被覆して配置され、上の層として設けられる超電導層24、34への電気的絶縁機能を有するものであればどのように構成されてもよい。絶縁層22、32は、例えば、クラフト紙、ポリプロピレンをクラフト紙でラミネートした半合成紙及び不織布のうち少なくとも一つをコルゲート管20、30の外周面に巻き付けることにより構成されてもよい。
【0031】
超電導層24、34は、例えば、不織布により構成された絶縁層22、32の外周面に、複数のテープ状の超電導線材(超電導テープ)をスパイラル状に巻回することにより構成されている。
超電導線材は、例えば、REBayCu3Oz系(REは、Y、Nd、Sm、Eu、Gd及びHoから選択された1種以上の元素を示し、y≦2及びz=6.2~7である。)の高温超電導薄膜を備える。高温超電導薄膜は、ニッケル(Ni)、ニッケル合金、又はステンレス鋼等のテープ状の金属製の基板上に成膜された中間層上に成膜される。この超電導薄膜の表面に銀等からなる保護層を積層することにより超電導線材は作製されている。
【0032】
スリーブ5は、突き合うように配置された超電導ケーブル2、3のコルゲート管20、30の端部20a、30a同士の外周を覆うように配置されている。スリーブ5には、貫通孔502(
図3参照)が形成され、ブラインドリベット6が挿入されている。
【0033】
図3は、コルゲート管20、30同士の接続部分を示す拡大断面図である
貫通孔502は、外周面側にざぐり部502aを有することが好ましい。貫通孔502は、ブラインドリベット6が挿入された際に、ブラインドリベット6のフランジ部62がざぐり部502aに係合し、フランジ部62が、スリーブ5の外周面から突出しないように構成している。ここでは、貫通孔502のざぐり部502aは、挿入されるブラインドリベット6のフランジ部62の外周面が、スリーブ5の外周面に略面一となるように形成されている。
【0034】
スリーブ5は、超電導ケーブル2、3のコルゲート管20、30の端部20a、30aを覆う軸方向の長さを有し、且つ、コルゲート管20、30の端部20a、30aを収容可能な内径を有する。スリーブ5の内径は、コルゲート管20、30の外径と略同じであり、コルゲート管20、30が嵌まる大きさであることが好ましい。
【0035】
スリーブ5は、金属製の筒状接続管であり、本実施の形態では、コルゲート管20、30の端部20a、30aが、両端の開口から挿入されている。なお、スリーブ5は、組み合わせることにより金属製筒状体となる断面円弧状の分割体により形成されてもよい。
【0036】
ブラインドリベット6は、スリーブ5とコルゲート管20、30とに、それぞれの周壁部分の厚み方向、つまり半径方向(
図3の紙面上下方向)に架設されて、双方を締結する。ブラインドリベット6は、スリーブ5に対して、コルゲート管20とコルゲート管30とを、軸を中心にそれぞれ周方向で等間隔となる位置で締結している。
【0037】
ブラインドリベット6は、スリーブ5の外周面に掛止するフランジ部62と、フランジ部62から突出するリベット軸部64と、リベット軸部64の先端側で膨出し、コルゲート管20、30の内面側で掛止する膨出部66とを有する。
ブラインドリベット6の膨出部66は、締結対象物(本実施の形態では、コルゲート管20、30)の孔(止着孔205、305)に、締結対象物の表面側から挿入される際には、孔(止着孔205、305)の径よりも外径が小さい。膨出部66は、孔(止着孔205、305)内に挿入して締結位置(コルゲート管20、30の内周面)で位置した後、リベット軸部64が、孔(止着孔205、305)から引き抜かれることにより、外径が孔の径よりも大きくなり、締結位置(コルゲート管20、30の内周面)で掛合する。
【0038】
ブラインドリベット6は、スリーブ5の外方から半径方向内方に挿入する(矢印B)ことで、スリーブ5とコルゲート管20、30とを締結する。
【0039】
本実施の形態では、ブラインドリベット6は、スリーブ5と、コルゲート管20、30のそれぞれにおいて外側で凹状となる山部202、302とに形成された止着孔205、305に、リベット軸部64を挿入して、双方を締結している。膨出部66は、本実施の形態では、コルゲート管20、30に対して、凹部202a、302a内で掛合する。
なお、コルゲート管20、30の山部202、302はそれぞれ螺旋状に形成されているため、ブラインドリベット6は、スリーブ5とコルゲート管20とを、周方向で等間隔離れた位置で、且つ、軸方向にずれた位置で、締結する。また、ブラインドリベット6によるスリーブ5とコルゲート管30との締結位置も、同様に、周方向で等間隔離れた位置で、且つ、軸方向にずれた位置となっている。
【0040】
ブラインドリベット6は、コルゲート管20、30において山部202、302で締結されるため、フランジ部62は、スリーブ5で掛合し、膨出部66は、コルゲート管20、30の内周面で、山部202、302において内側に突出する部位の先端で掛合する。ブラインドリベット6は、リベット軸部64を介してフランジ部62と膨出部66とによりスリーブ5とコルゲート管20、30とを強固に挟持する。
【0041】
超電導ケーブル2、3の絶縁層22、32とコルゲート管20、30の外周面との間、およびスリーブ5とコルゲート管20、30の外周面との間には、段差42が形成されており、これを含む部位に充填剤が埋設され、表面が平坦な平坦部70が配設されている。
【0042】
平坦部70は段差42を含む部位に充填剤が埋設されることにより構成される。
【0043】
充填剤は、絶縁性を有する。充填剤は、本実施の形態では、塗布後に硬化するものであり、例えば、速硬化性のエポキシパテである。充填剤は、粘弾性を有する硬化剤と主剤とを混合することにより硬化する材料であることが好ましい。充填剤としては、例えば、アラルダイト(登録商標)AV/HV1580を用いてもよい。
充填剤は導電性を有するものであってもよく、その例として金属フィラーが含有された樹脂を使用しうる。
【0044】
充填剤は、段差42を含む部位に塗布されて硬化することにより、平坦な平面状態となっている。
これにより、超電導ケーブル2、3の絶縁層22、32の端部間で(スリーブ5を介して)平坦な平面が形成され、その上で、超電導線材を接続して、一対の超電導ケーブルのそれぞれの超電導層24、34を好適に設けることができる。
また、充填剤による構成される平坦部70は、ブラインドリベット6によるスリーブ5とコルゲート管20、30との接続を補強する。
【0045】
超電導ケーブル2、3のフォーマ(コルゲート管20、30)の端部がスリーブ5内に配置され、スリーブ5にブラインドリベット6を介して接合されている。
また、コルゲート管20、30の端部20a、30a近傍の絶縁層22、32(不織布による層)間はスリーブ5を介して充填剤を埋設してなる平坦部70により面一である。これらの上には超電導線材が正確に巻き付けられ、超電導層24、34の接続が確実に好適に行われる。
「超電導ケーブル線路1」とはかかる状態のものを意味し、超電導層24、34同士が中間接続部10を跨いで接続され、中間接続部10を介して電流が流れる状態のものを意味している。
【0046】
<超電導ケーブルの中間接続方法>
超電導ケーブルの中間接続部10を製造する超電導ケーブルの中間接続方法では、まず、スリーブ5の所定位置に貫通孔502を形成する。
次いで、一対の超電導ケーブル20、30において、接続するそれぞれの端部で露出したフォーマであるコルゲート管20、30の端部20a、30aを、スリーブ5に対して、開口部の両側から挿入する。
【0047】
次いで、スリーブ5の外側からスリーブ5の貫通孔502を介してコルゲート管20、30の山部202、302に対し孔を開けて止着孔205、305を形成し、貫通孔502および止着孔205、305にブラインドリベット6を挿入する。ブラインドリベット6の締結対象物への挿入は、周知のようにリベッターを用いる。
【0048】
このとき、スリーブの貫通孔502と、コルゲート管20、30の所定の山部202、302に形成された止着孔205、305とは連続しており、その連続した各孔に、先端に膨出前状態の膨出部66が設けられた軸部64を挿入し、膨出部66をコルゲート管20、30の内側に位置させる。
次いで、リベッターを用いてこれを引き抜くことにより、膨出部66は、コルゲート管20、30の内壁面に当接して残り、ブラインドリベット6が残った状態でスリーブ5とコルゲート管20、30とが接合される。
【0049】
その後は超電導ケーブル2、3の絶縁層22、32の端部間の段差42を含む部位に対し充填剤を塗布してこれを硬化させることにより、絶縁層22、32の端部間に平坦部70を形成することができる。そして絶縁層22、32と平坦部70との上で超電導層24、34を接続することにより、超電導ケーブル線路1を構成することができる。
平坦部70を形成する場合、絶縁層22、32の外周面とスリーブ5の外周面との高さが同じときはこれら部材間にのみ充填剤を塗布し、絶縁層22、32、平坦部70およびスリーブ5で面一とするのがよい(スリーブ5の外周面は露出している。)。他方、絶縁層22、32の外周面がスリーブ5の外周面より高いときはスリーブ5上にも充填剤を塗布し、絶縁層22、32および平坦部70で面一とするのがよい(スリーブ5の外周面は平坦部70で被覆されている)。
【0050】
<まとめ>
以上の本実施の形態によれば、超電導ケーブル2、3のフォーマ同士を接続する際に、フォーマがコルゲート管20、30であっても、ブラインドリベット6により、外周面側に凸部を形成することなく好適に接合でき、上層の超電導層24、34同士を平坦な面状で好適に接合させることができる。つまり、超電導ケーブルの中間接続部10によれば、溶接等により加熱すること無く、接続できるので、超電導ケーブル2、3の特性を劣化させることがない。
【0051】
また、従来と異なり継手や、リング等を用いることがなく、接合部分を、コンパクトな形状で容易に組みたてることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、ブラインドリベット6は、コルゲート管20、30の端部20a、30aにおいて、外周面で凸状に突出する山部202、302を貫通して内周面(具体的には凹部202a、302a内)で係合して接合される。
すなわち、ブラインドリベット6は、コルゲート管20、30の内側において、膨出部66を凹部202a、302a内に位置させて、コルゲート管20、30のそれぞれの内周面から軸心側に突出しないように配置されている。
これにより超電導ケーブル線路1を敷設して使用する場合に、コルゲート管20、30内に液体窒素等の冷媒を充填して流通させるときは、ブラインドリベット6の膨出部66が、コルゲート管20、30内の冷媒の流れを阻害することがない。
よって、コルゲート管20、30内に冷媒を流通させる際の圧力損失を減少させることができ、コルゲート管20、30内に効率よく冷媒を流通させることができ、超電導ケーブル線路1を好適に使用できる。
【0053】
なお、本実施の形態の超電導ケーブル2、3では、フォーマの外周面に絶縁層を介して複数層の超電導層を設けてもよく、通常の単相ケーブルはもちろんであるが、三相同軸ケーブルでも、コンパクトな同径接続が可能となる。
【0054】
また、コルゲート管20、30の端部20a、30a同士を、短時間で容易に接続でき、使用する部材、工具も安価であり製作コストの低廉化を図ることができる。
【0055】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【符号の説明】
【0056】
1 超電導ケーブル線路
5 スリーブ
6 ブラインドリベット
10 中間接続部
20、30 コルゲート管
20a、30a 端部
22、32 絶縁層
24、34 超電導層
26、36 半導電層
28 断熱管
62 フランジ部
64 リベット軸部
66 膨出部
70 平坦部
202、302 山部
204、304 谷部
202a、302a 凹部
205、305 止着孔
502 貫通孔
502a ざぐり部