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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】天板付き什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 3/08 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
A47B3/08 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018207573
(22)【出願日】2018-11-02
(65)【公開番号】P2020069334
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】小田 洋一郎
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 春彦
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-108253(JP,A)
【文献】特開2017-080228(JP,A)
【文献】特開2017-140418(JP,A)
【文献】特開2004-159707(JP,A)
【文献】特開2001-161446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体と、
前記支持構造体に第1軸部回りに回動可能に支持された天板と、
前記天板を、前記天板が横臥した第1姿勢と前記天板が起立した第2姿勢との間で回動させる回動機構と、
前記天板を前記支持構造体に係止し前記天板の前記支持構造体に対する回動を拘束可能な係止部と、を有し、
前記天板は、板状の天板本体と、
前記天板本体の下面に取り付けられて前記支持構造体に前記第1軸部回りに回動可能に支持され、内部に前記係止部が収容された天板取付部と、
前記天板取付部を覆い前記天板取付部とともに前記第1軸部回りに回動するカバー部と、を有し、
前記カバー部は、前記第1姿勢となると塞がれ前記第2姿勢となると開口する開口部と、前記開口部と隣接し前記天板取付部を覆う被覆部と、を有し、
前記回動機構は、前記支持構造体に一端が前記第1軸部と平行となるように配された第2軸部回りに回動可能に支持されたリンク部と、
前記天板取付部に設けられて前記天板取付部とともに前記支持構造体に前記第1軸部回りに回動可能に支持され、前記第1軸部および前記第2軸部と直交する延設方向に延び、前記リンク部の他端を前記延設方向に沿って移動可能に支持するガイド部と、を有し、
前記リンク部は、前記一端と前記他端とを接続する接続部を有し、
前記接続部は、前記第1姿勢となると前記被覆部と重なり、前記第2姿勢となると前記被覆部と隣接して前記開口部を塞ぐように構成されていることを特徴とする天板付き什器。
【請求項2】
前記被覆部は、前記第1姿勢となると前記天板取付部と前記接続部との間に収容されていることを特徴とする請求項1に記載の天板付き什器。
【請求項3】
前記天板が前記第2姿勢から前記第1姿勢となる際に、前記被覆部を前記天板取付部と前記接続部との間に案内する案内部を有することを特徴とする請求項2に記載の天板付き什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板付き什器に関する。
【背景技術】
【0002】
脚部と、脚部に横臥した第1姿勢と起立した第2姿勢との間で回動可能に支持された天板と、を有するテーブルなどの天板付き什器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
天板は、平板状の天板本体と、天板本体に取り付けられて、脚部に回動可能に支持された天板取付部と、天板取付部を覆うカバー部と、を有している。
天板取付部の内部には、天板の回動を拘束する係止部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-121441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、天板が回動する天板付き什器では、天板取付部と脚部との位置関係が、第1姿勢の場合と第2姿勢の場合とで変わることになる。そして、カバー部には、第1姿勢となると脚部が挿入されて塞がり、第2姿勢となると脚部が抜け出て開口する開口部が形成されている。
このため、第2姿勢となると開口部から天板取付部の内部の係止部が露出してしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、天板取付部の内部に設けられた係止部の露出を防止することができる天板付き什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る天板付き什器は、支持構造体と、前記支持構造体に第1軸部回りに回動可能に支持された天板と、前記天板を、前記天板が横臥した第1姿勢と前記天板が起立した第2姿勢との間で回動させる回動機構と、前記天板を前記支持構造体に係止し前記天板の前記支持構造体に対する回動を拘束可能な係止部と、を有し、前記天板は、板状の天板本体と、前記天板本体の下面に取り付けられて前記支持構造体に前記第1軸部回りに回動可能に支持され、内部に前記係止部が収容された天板取付部と、前記天板取付部を覆い前記天板取付部とともに前記第1軸部回りに回動するカバー部と、を有し、前記カバー部は、前記第1姿勢となると塞がれ前記第2姿勢となると開口する開口部と、前記開口部と隣接し前記天板取付部を覆う被覆部と、を有し、前記回動機構は、前記支持構造体に一端が前記第1軸部と平行となるように配された第2軸部回りに回動可能に支持されたリンク部と、前記天板取付部に設けられて前記天板取付部とともに前記支持構造体に前記第1軸部回りに回動可能に支持され、前記第1軸部および前記第2軸部と直交する延設方向に延び、前記リンク部の他端を前記延設方向に沿って移動可能に支持するガイド部と、を有し、前記リンク部は、前記一端と前記他端とを接続する接続部を有し、前記接続部は、前記第1姿勢となると前記被覆部と重なり、前記第2姿勢となると前記被覆部と隣接して前記開口部を塞ぐように構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、第2姿勢となると、開口部をリンク部の接続部が塞ぐため、被覆部および接続部によって天板取付部の内部に設けられた係止部の露出を防止することができる。
【0008】
また、本発明に係る天板付き什器では、前記被覆部は、前記第1姿勢となると前記ガイド部と前記接続部との間に収容されていてもよい。
このような構成とすることにより。第1姿勢の際に被覆部に物や人が接触して変位することを防止することができる。
【0009】
また、本発明に係る天板付き什器では、前記天板が前記第2姿勢から前記第1姿勢となる際に、前記被覆部を前記ガイド部と前記接続部との間に案内する案内部を有していてもよい。
このような構成とすることにより、第2姿勢から第1姿勢になる際に被覆部をガイド部と接続部との間に確実に収容することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、天板取付部の内部に設けられた係止部の露出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による天板付き什器の第1姿勢となった様子の一例を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態による天板付き什器の第2姿勢となった様子の一例を示す斜視図である。
図3図1の天板本体を省略した斜視図である。
図4図2の天板本体を省略した斜視図である。
図5図3のカバー部を省略した斜視図である。
図6】天板取付部の斜視図である。
図7】天板取付部の他の方向から見た斜視図である。
図8】カバー部の下面図である。
図9図8のA-A線断面図である。
図10】リンク部の斜視図である。
図11図3のB-B線に対応する断面図である。
図12図4のC-C線に対応する断面図である。
図13図3のD-D線に対応する断面図である。
図14】係止部の斜視図である。
図15】係止部の他の方向の斜視図である。
図16】可動部の斜視図である。
図17】可動部の他の方向の斜視図である。
図18】(a)は第1規制部の斜視図、(b)は(a)のE-E線断面図、(c)は(a)のF-F線断面図である。
図19図1のG方向矢視図である。
図20図1のH方向矢視図である。
図21図13に対応する操作レバーが操作された様子を示す図である。
図22図4のI-I線に対応する断面図で、第2ピンが係止溝部に入る直前の第2姿勢の直前の様子を示す図である。
図23図4のI-I線に対応する断面図で、第2ピンが係止溝部に入った第2姿勢の様子を示す図である。
図24図21に対応する操作レバーが操作された様子を示す図である。
図25図24の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態による天板付き什器について、図1乃至図25に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態による天板付き什器1は、床に設置される脚部2(支持構造体)と、脚部2に対して回動可能に支持された天板3と、天板3を脚部2に対して回動可能に支持する回動機構4と、脚部2に対する天板3の回動を拘束可能な係止部8と、係止部8による天板3の脚部2に対する回動の拘束と許容とを切り替える操作手段9と、を有するテーブルで、天板3の姿勢を切り替え可能に構成されている。
【0013】
天板3は、平板状の天板本体31と、天板本体31の一方の面に取りけられて脚部2に回動可能に支持された天板取付部6と、天板取付部6を覆うカバー部32と、を有している。
天板3は、水平方向に延びる回動軸線回りに回動可能で、図1に示す天板本体31の板面が水平面となる横臥した第1姿勢と、図2に示す天板本体31の板面が略鉛直面となる起立した第2姿勢と、に切り替え可能に構成されている。天板取付部6は、天板本体31における第1姿勢となった際の下面31aに固定されている。天板本体31は、天板取付部6とともに脚部2に対して回動可能に構成されている。
天板3は、第1姿勢となると、その上面31bで使用者が作業可能な状態となり、第2姿勢となると使用者が使用できない状態となる。天板3は、例えば天板付き什器1を収納する際に第2姿勢とするように設計されている。
【0014】
天板3の回動軸線が延びる水平方向を幅方向とし、幅方向に直交する水平方向を前後方向とする。図1および図2に示すように、天板3は、第1姿勢から第2姿勢となると、第1姿勢における前後方向の一方側の縁部3aが上側に向かい、第1姿勢における前後方向の他方側の縁部3bが下側に向かうように回動する。この前後方向における一方側を前側とし、他方側を後側とする。また、前後方向の前側を向いた際の右側を幅方向の一方側とし、左側を幅方向の他方側とする。
以下の部材、機構などの説明では、天板3が第1姿勢であるものとする。
【0015】
天板本体31は、板面が略正方形となる平板状に形成され、各縁部が幅方向および前後方向に延びる向きに配置されている。
天板本体31には、天板本体31の上で使用する電子機器のプラグを差し込み可能な電源コンセント33が取り付けられている。
電源コンセント33は、天板本体31に埋め込まれたコンセント部34と、コンセント部34に接続されてコンセント部34に電源を供給する配線35と、を有している。配線は、天板本体31の下側に引き出されている。
【0016】
脚部2は、床に設置されるベース部21と、ベース部21から上方に延びる脚柱部22と、脚柱部22の上端部に固定された天板支持部5と、を有している。
本実施形態の天板付き什器1は、1つの脚部2が天板3を支持しており、この1つの脚部2が天板3の板面の中心に接続されている。なお、ベース部21には、床を走行可能なキャスターが設けられていて、天板付き什器1が床を走行可能に構成されていてもよい。
【0017】
図1図4に示すように、回動機構4は、天板支持部5と天板取付部6との間に設けられ天板3の回動に追従するリンク部7と、天板取付部6に設けられリンク部7を前後方向に移動可能に支持するガイド部(溝部64、図11参照)と、を有している。
【0018】
(天板支持部)
図3および図4に示すように、天板支持部5は、脚柱部22の上端部に固定される底板部51と、底板部51の幅方向の両側に設けられ底板部51から上方に突出する一対の側壁部52と、を有している。
底板部51は、前後方向よりも幅方向に長く、幅方向に対称な形状となっている。底板部51は、幅方向の中央部が脚柱部22の上端部に固定されている。
【0019】
底板部51は、第1姿勢となった天板本体31とは離間している。底板部51には、天板本体31に取り付けられた電源コンセント33の配線35を保持する第1配線保持部36が設けられている。第1配線保持部36は、底板部51の上部に取り付けられて配線35を挿通した状態に保持する部材や、底板部51を貫通し配線を挿通可能な孔部などである。第1配線保持部36は、配線35を移動可能に保持している。これにより、第1配線保持部36に保持された配線35は、天板3の回動に追従して移動可能に構成されている。
第1配線保持部36に保持された配線35は、脚柱部22を伝わって床まで延ばされている。脚柱部22には、配線35を脚柱部22に沿った状態に保持する第2配線保持部37が設けられている。
【0020】
一対の側壁部52は、それぞれ壁面が幅方向を向き、前後方向に延びている。一対の側壁部52は、互いに幅方向に対称な形状となっている。
側壁部52の上端面522は、平坦な水平面となっている。側壁部52の上端面522は、天板3が第1姿勢となると、天板3に下側から当接するように構成されている。
側壁部52の後端面523は、底板部51の後端部よりも後側に突出している。側壁部52の前端面524は、底板部51の前端部よりもやや前側に突出している。側壁部52の前端面524は、高さ方向の中間部がその上下の部分よりも前側に張り出す円弧面となっている。
【0021】
図4に示すように、側壁部52の前端部分における下部側には、幅方向の中間部に前側および下側に開口する切り欠き部521が形成されている。側壁部52の前端面524における切り欠き部521の上側は、上述したように円弧面に形成され、他の切り欠き部が形成されていない。側壁部52の前端面524における切り欠き部521の上側の部分を前側円弧面525とする。
なお、側壁部52の前端面524における切り欠き部521の上側は、切り欠き部など凹部が形成されていても、その凹部が塞がれていて円弧面が形成されている。
【0022】
側壁部52には、天板取付部6を回動可能に支持する第1軸部53と、リンク部7を回動可能に支持する第2軸部54と、が設けられている。
第1軸部53は、一対の側壁部52それぞれの後端部近傍で底板部51よりも後側に突出している部分に取り付けられている。第1軸部53は、軸線531が幅方向に延びる向きで側壁部52を貫通するように設けられている。一対の側壁部52それぞれに設けられた第1軸部53は、同軸となっている。
【0023】
第2軸部54は、一対の側壁部52それぞれの前側部分で第1軸部53と間隔をあけた前側に取り付けられている。第2軸部54は、軸線541が幅方向に延びる向きで側壁部52を貫通するように設けられている。一対の側壁部52それぞれに設けられた第2軸部54は、同軸となっている。第1軸部53と第2軸部54とは、それぞれの軸線531,541が同じ高さに平行に配置されている。
【0024】
(天板取付部)
図5に示すように、天板取付部6は、長尺の部材で前後方向に延びる向きで天板本体31(図1参照)の下面31aに固定されている。天板取付部6は、幅方向に間隔をあけて2つ設けられている。幅方向の一方側の天板取付部6は、幅方向一方側の側壁部52に支持され、幅方向の他方側の天板取付部6は、幅方向の他方側の側壁部52に支持されている。なお、図5では、天板取付部6を覆うカバー部32を省略している。
【0025】
2つの天板取付部6は、幅方向に対称となる形状に形成されている。以下では、2つの天板取付部6のうちの幅方向の一方側に配置される天板取付部6を説明し、幅方向の他方側に配置される天板取付部6の説明を省略する。また、2つの天板取付部6をそれぞれ覆う2つのカバー部32、2つの天板取付部6のそれぞれの内部に配置される2つの係止部8についても幅方向に対称となる形状に形成されている。以下では、2つのカバー部32および2つの係止部8のうちの幅方向の一方側に配置されるカバー部32および係止部8を説明し、幅方向の他方側に配置されるカバー部32および係止部8の説明を省略する。
【0026】
図6および図7に示すように、天板取付部6は、長さ方向(前後方向)に直交する断面形状が下側に開口するコ字形状(C字形状)となるように形成されている。
天板取付部6は、前後方向に延びて天板本体31に固定される第1天板取付板部61と、第1天板取付板部61の幅方向の他方側の縁部から下側に延びる第2天板取付板部62と、第1天板取付板部61の幅方向の一方側の縁部から下側に延びる第3天板取付板部63と、を有している。
天板取付部6には、第1天板取付板部61、第2天板取付板部62および第3天板取付板部63に囲まれた空部615が形成されている。
第1天板取付板部61には、例えば、ネジなどの固定具で天板本体31に固定可能に構成されている。
【0027】
第2天板取付板部62および第3天板取付板部63には、第1軸部53が挿通される第1孔部621,631と、第1姿勢となると第2軸部54が係合し、第2姿勢となると離間する第1切り欠き部622,632と、が前後方向の中間部に形成されている。第1切り欠き部は、U字形状で第1姿勢となると下側に開口し、第2姿勢となると際に前側に開口している。第1切り欠き部622,632は、第1孔部621,631よりも前側に配置されている。
【0028】
第2天板取付板部62および第3天板取付板部63には、第2姿勢となるとリンク部7の接続部71の上端部(前端部)が挿入される第2切り欠き部623,633が形成されている。第2切り欠き部623,633は、V字形状で第1姿勢となると下側に開口し、第2姿勢となると前側に開口している。第2切り欠き部623,633は、第1切り欠き部622,632よりも前側に配置されている。
第2天板取付板部62および第3天板取付板部63には、操作手段9の操作ロッド94が挿通される第2孔部624,634が前端部近傍に形成されている。
【0029】
図5に示すように、天板取付部6は、第1姿勢となると、第1天板取付板部61が側壁部52の上に配置され、第2天板取付板部62が側壁部52の幅方向の他方側の面に沿って配置され、第3天板取付板部63が側壁部52の幅方向の一方側の面に沿って配置される。すなわち、第1姿勢となると、天板取付部6の内部に側壁部52の略全体が挿入される。このとき、第2天板取付板部62および第3天板取付板部63の第1切り欠き部622,632に第2軸部54が挿入された状態となる。
天板取付部6は、第2姿勢となると、第1天板取付板部61が側壁部52の後に配置され、第2天板取付板部62が側壁部52後側部分の幅方向の他方側の面に沿って配置され、第3天板取付板部63が側壁部52の後側部分の幅方向の一方側の面に沿って配置される。すなわち、第2姿勢となると、天板取付部6の内部に側壁部52の後側部分が挿入される。このとき、天板取付部6は、第2軸部54と離間している。
【0030】
図7に示すように、第2天板取付板部62には、第1切り欠き部622よりも前側に幅方向に貫通し略前後方向に延びる溝部64が形成されている。溝部64は、第2孔部624の後側に連続して設けられている。溝部64の溝幅は、第2孔部624の径よりもやや小さく設定されている。この溝部64は、リンク部7の第2ピン73が挿入され、第2ピン73をガイドするガイド部となっている。
溝部64は、前側から後側に向かって緩やかに下側に向かう方向に直線状に延びるガイド溝部641と、ガイド溝部641の後端部から後側に向かって漸次上側に向かう斜め方向に突出する係止溝部642と、を有している。ガイド溝部641と係止溝部642とは、略同じ溝幅に形成されている。
【0031】
ガイド溝部641が延びる方向は、第1姿勢となると略前後方向となり、第2姿勢となると略上下方向となる。ガイド溝部641が延びる方向は、天板3の回動とともに、第1姿勢の略前後方向から第2姿勢の略上下方向、または第2姿勢の略上下方向から第1姿勢の略前後方向に変化する。なお、ガイド溝部641が延びる方向は、天板本体31の下面31aに略沿った方向となっている。
ガイド溝部641は、天板3が回動する際に第2ピン73が移動するように構成されている。係止溝部642は、第2ピン73が挿入されると第2ピン73の天板取付部6に対する移動を拘束するように構成されている。
【0032】
(カバー部)
図3および図4に示すように、カバー部32は、天板取付部6の幅方向の両側を覆う一対のカバー側板部321と、天板取付部6の下側覆うカバー下板部322と、天板取付部6の前側を覆うカバー前板部323と、天板取付部6の後側を覆うカバー後板部324と、を有している。カバー部32は、天板本体31または天板取付部6に固定されている。
カバー側板部321と天板取付部6との間には、リンク部7の接続部71が配置されている。
カバー側板部321には、前端部近傍に上側に開口する切り欠き部321aが形成されている。切り欠き部321aは、天板取付部6の第2天板取付板部62および第3天板取付板部63に形成された第2孔部624,634と幅方向に重なる位置に配置されている。切り欠き部321aには、操作手段9の操作ロッド94が挿通される。
【0033】
図8に示すように、カバー下板部322には、前後方向の中間部に上下方向に貫通し脚部2の側壁部52(図3および図4参照)が挿入されるカバー下方開口部325が形成されている。カバー下方開口部325は、天板取付部6の内部に挿入される側壁部52が貫通するように構成されている。
カバー下板部322には、カバー下方開口部325の前側に隣接して第1カバー下板部326(被覆部)が形成され、第1カバー下板部326よりも前側にカバー前板部323と連続する第2カバー下板部327が形成されている。第2カバー下板部327は、幅方向の両側が一対のカバー側板部321それぞれと連続している。
図8および図9に示すように、第1カバー下板部326は、一対のカバー側板部321と連続しておらず、一対のカバー側板部321との間にそれぞれ隙間328が形成されている。第1カバー下板部326は、前縁部のみが第2カバー下板部327と接続され、側縁部が一対のカバー側板部321と離間し、後縁部がカバー下方開口部325に向いている。カバー部32は、弾性変形可能に構成されている。第1カバー下板部326は、前縁部を軸として上下方向に回動するように撓むことが可能となっている。第1カバー下板部326は、脚部2の側壁部52と干渉しない位置に配置されている。
【0034】
カバー部32は、天板取付部6に取り付けられていて、天板取付部6とともに第1軸部53回りに回動するように構成されている。カバー部32は、第1姿勢となると、天板取付部6の内部に挿入される側壁部52によってカバー下方開口部325の全体が塞がれる。カバー部32は、第2姿勢となると天板取付部6の内部に挿入される側壁部52の後側部分によってカバー下方開口部325の後部側(第2姿勢における下部側)が塞がれる。第2姿勢では、カバー下方開口部325の前部側(第2姿勢における上部側)は、側壁部52に塞がれていない。
【0035】
(リンク部)
図5および図10に示すように、リンク部7は、断面形状が上側に開口するコ字形状(C字形状)となる長尺に形成された接続部71と、接続部71の長さ方向の一方の端部に設けられた第1ピン72(一端)と、接続部71の長さ方向の他方の端部に設けられた第2ピン73(他端)と、を有している。
リンク部7は、幅方向に間隔をあけて2つ設けられている。2つのリンク部7は、幅方向に対称となる形状に形成されている。以下では、2つのリンク部7のうちの幅方向の一方側に配置されるリンク部7を説明し、幅方向の他方側に配置されるリンク部7の説明を省略する。
【0036】
接続部71は、前後方向に延びて板面が上下方向を向く第1接続板部711と、第1接続板部711の幅方向の他方側の縁部から上側に延びる第2接続板部712と、第1接続板部711の幅方向の一方側の縁部から上側に延びる第3接続板部713と、を有している。
第1接続板部711は、板面が略長方形状に形成されている。
第2接続板部712は、第1接続板部711よりも前後方向に長く形成され、前縁部が第1接続板部711の前縁部よりも前側に位置し、後縁部が第1接続板部711の後縁部よりも後側に突出している。
第3接続板部713は、第1接続板部711よりも前後方向に長く形成され、前縁部が第1接続板部711の前縁部とほぼ同じ位置で、後縁部が第1接続板部711の後縁部よりも後側に突出している。第3接続板部713は、前端部近傍の上部側が切り欠かれている。
【0037】
第1ピン72は、第2接続板部712および第3接続板部713の後縁部近傍を貫通するように設けられている。第1ピン72は、第1接続板部711の後縁部よりも後方に位置している。
第2ピン73は、第2接続板部712の前縁部近傍に設けられている。第2ピン73は、第2接続板部712から幅方向の一方に突出している。
【0038】
図5に示すように、リンク部7は、第2接続板部712が天板取付部6の第2天板取付板部62の幅方向の他方側に配置され、第3接続板部713が第3天板取付板部63の幅方向の一方側に配置され、第1接続板部711が第1天板取付板部61の下面と対向し第2天板取付板部62および第3天板取付板部63の下側に配置されている。第1姿勢では、接続部71は、天板取付部6に下側から被さった状態となっている。
【0039】
幅方向の一方側に配置されたリンク部7は、第2ピン73が幅方向の一方側に突出し、天板取付部6の溝部64に幅方向の他方側から挿入されている。
幅方向の他方側に配置されたリンク部7は、第2ピン73が幅方向の他方側に突出し、天板取付部6の溝部64に幅方向の一方側から挿入されている。
【0040】
第1ピン72は、第2軸部54を構成している。これにより、リンク部7は、第2軸部54(第1ピン)の軸線541回りに回動可能に構成されている。第2軸部54は、第1軸部53と同軸ではないため、リンク部7と天板3とは互いに異なる挙動の回動となる。
リンク部7は、第2軸部54の軸線541回りに回動することによって第2ピン73が溝部64のガイド溝部641に沿って延設方向に移動するように構成されている。
【0041】
図11に示すように、第1姿勢では、接続部71が前後方向に延びる姿勢となり、接続部71の第1接続板部711がカバー部の第1カバー下板部326の下側に重なって配置されている。第1接続板部711の前端部711aは、第1カバー下板部326と第2カバー下板部327との接続部分に配置されている。
【0042】
第2接続板部712および第3接続板部713は、カバー部32の第1カバー下板部326とカバー側板部321との隙間328から天板取付部6とカバー部32との間に挿入されている。
このとき、第2ピン73は、ガイド溝部641の前端部よりもやや後側となる位置に配置されている。ガイド溝部641における第2ピン73が配置される位置を第1姿勢第2ピン位置643とする。
【0043】
天板3が第1姿勢から第2姿勢に向かって回動すると、ガイド溝部641に係止された第2ピン73も天板3とともに移動するため、リンク部7は、第1ピン72を中心として回動する。天板3の第1軸部53と、リンク部7の第2軸部54と、は異なる位置に配置されているため、第2ピン73は、第2軸部54を中心に回動しながらガイド溝部641を後側(係止溝部642側)に向かって移動する。
【0044】
このとき、リンク部7の接続部71も天板取付部6およびカバー部32に対して後側に移動するため、接続部71の第1接続板部711と第1カバー下板部326とが互いに離間する。第1接続板部711は、第1姿勢における前端部(第2ピン73が設けられている側の端部)が第1カバー下板部326に沿って移動する。
【0045】
図12に示すように、天板3が第2姿勢となると、第1姿勢第2ピン位置643から後側(係止溝部642側)に移動した第2ピン73は、係止溝部642まで移動して係止溝部642に挿入される。
第2姿勢では、リンク部7は、前端部が後端部よりも上側かつ後側となる斜めの姿勢となる。第1接続板部711は、第1カバー下板部326の下側に隣接し、カバー下方開口部325の上部側(第1姿勢における前部側)を覆っている。第1接続板部711の上端部711a(第1姿勢における前端部)は、第2天板取付板部62および第3天板取付板部63の第2切り欠き部623,633に入っている。第2接続板部712および第3接続板部713は、前側部分のみが天板取付部6と幅方向に重なっていて、カバー部32と天板取付部6との間に挟まれている。
【0046】
(係止部)
図11図13に示すように、係止部8は、天板取付部6の空部615に配置され天板取付部6に固定された固定部81と、天板取付部6の空部615に配置され固定部81に対して移動可能に支持された可動部82と、を有している。
固定部81および可動部82は、天板取付部6の空部615のうちの第1切り欠き部622,632よりも前側に配置されている。
【0047】
可動部82は、第2姿勢でリンク部7の第2ピン73(図12参照)を係止溝部642からガイド溝部641に移動させるための移動惹起部83(図11図12参照)と、第2姿勢で移動惹起部83に取り付けられ係止溝部642に挿入された第2ピン73を係止溝部642に押さえる第2ピン押さえ部84(図11図12参照)と、移動惹起部83と連結され第1姿勢で天板支持部5の側壁部52に形成された切り欠き部521(図13参照)に係合可能な係合部材85(図13参照)と、を有している。可動部82は、後述する操作手段9の操作によって前後方向に移動可能に構成されている。
【0048】
図11図15を参照し、固定部81は、天板取付部6の第1天板取付板部61(図11図13参照)の下側に間隔をあけて対向して配置される固定板部86と、固定板部86の上部に固定されて可動部82の移動惹起部83、第2ピン押さえ部84およびリンク部7の第2ピン73(図11図13参照)の変位方向を規制する第1規制部87と、固定板部86の上部に固定されて可動部82の係合部材85の変位方向を規制する第2規制部88と、を有している。図15に示すように、固定部81と可動部82との間には、ばね819が設けられていて、可動部82を後側に付勢している。
【0049】
固定板部86は、天板取付部6の第1天板取付板部61と平行に配置される第1固定板部861と、第1固定板部861の後側の縁部から下側に延びる第2固定板部862と、を有している。第1固定板部861は、幅方向の両縁部が天板取付部6の第2天板取付板部62および第3天板取付板部63の下部側に接合されている。本実施形態では、天板取付部6および固定板部86は金属で形成されていて、第1固定板部861と第2天板取付板部62および第3天板取付板部63とは溶接されている。
第1固定板部861には、前後方向の中間部で幅方向の他方側に開口部863が形成されている。
固定板部86の上部に固定された第1規制部87、第2規制部88および可動部82は、固定板部86、第1天板取付板部61、第2天板取付板部62および第3天板取付板部63に囲まれている。
【0050】
図16および図17に示すように、移動惹起部83は、第1固定板部861の上部に摺動可能に配置されている。移動惹起部83は、天板取付部6の第2天板取付板部62の幅方向の一方側に配置され、第2天板取付板部62に形成された溝部64の後部側と幅方向に隣接している。溝部64の後部側とは、ガイド溝部641の後部側と、係止溝部642とを示している。
移動惹起部83は、前側に配置されて操作手段9の牽引部材93が連結される連結部831と、連結部831における幅方向の他方側の後側に接続された本体部832と、を有している。
本体部832は、幅方向から見た形状が横臥した略J字形状に形成されていて、第1固定板部861に沿って配置される下側本体部833と、下側本体部833の後側の端部から上側に延びる後側本体部834と、後側本体部834の上端部から前側に延びる上側本体部835と、を有している。下側本体部833は上側本体部835よりも前後方向に長く、下側本体部833の後端部と上側本体部835の後端部とは上下方向に重なる位置に配置され、下側本体部833の前端部が上側本体部835の前端部よりも前側に位置している。
【0051】
下側本体部833と上側本体部835とは上下方向に離間している。本体部832には、下側本体部833の後側部分の上面、後側本体部834の前面、および上側本体部835の下面に囲まれて幅方向に貫通し前側に開口する変位惹起溝部836が形成されている。変位惹起溝部836は、第2天板取付板部62に形成された溝部64の後部側と幅方向に隣接していて、溝部64の後部側に係止されている第2ピン73が幅方向から挿入されるように構成されている。
【0052】
下側本体部833の上面および上側本体部835の下面は、略水平面に形成されている。後側本体部834の前面は、下部側834aが下側から上側に向かって漸次後側に向かう後方に張り出す円弧面に形成され、上部側834bが、下側から上側に向かって漸次前側に向かう傾斜面に形成されている。後側本体部834の前面の上部側834bの傾斜面を第2ピン当接面834bとする。
【0053】
下側本体部833には、変位惹起溝部836よりも前側部分に上下方向に貫通する孔部833aが形成されていて、孔部833aの内側に第2ピン押さえ部84が回動可能に配置されている。第2ピン押さえ部84の回動軸部843は幅方向に延び、下側本体部833に支持されている。下側本体部833には、孔部833aの幅方向の両側の部分に、第2ピン押さえ部84の突出ピン842(図17参照)が配置される下側に開口する切り欠き部833bが形成されている。
【0054】
第2ピン押さえ部84は、板状の第2ピン押さえ部本体841と、第2ピン押さえ部本体841から幅方向の両側に突出する突出ピン842と、を有している。
図11に示すように、第2ピン押さえ部本体841は、板面が幅方向を向く向きに配置され、前側に回動軸部843が設けられ、回動軸部843よりも後側に突出ピン842が突設されている。
上述したように、突出ピン842は、下側本体部833の下側に開口する切り欠き部833bに配置されている。突出ピン842は、切り欠き部833bの下向き面よりも上側には変位できないように構成されている。
突出ピン842は、下側本体部833に設けられたばね845(図11および図12参照)によって上側に付勢されていて、切り欠き部833bの下向き面に押し付けられている。これにより、第2ピン押さえ部84は、下側に向かって回動せず、孔部833aに挿入された状態に維持されている。なお、第2姿勢では、ばね845によって後側に付勢されている。
【0055】
図17に示すように、第2ピン押さえ部本体841は、板面が略扇形状に形成されている、第2ピン押さえ部本体841の板面の扇形の中心角は、鋭角となっている。第2ピン押さえ部本体841は、上記の中心角に対応する第1角部846の近傍に回動軸部843が設けられている。第1角部846は、R形状となっている。
第2ピン押さえ部本体841は、第1姿勢かつ操作手段9が操作されていない通常状態(ばね845に付勢されている状態)で、下側に位置し略前後方向に延びる下縁部841aと、下縁部841aの後端部から上側に向かって後側に張り出すように湾曲して延びる下側後縁部841bと、下側後縁部841bの上端部から上側に向かって漸次前側に向かう斜め方向に延びる上側後縁部841cと、上側後縁部841cの上端部から前側に延びる上縁部841dと、上縁部841dの前端部から前側に向かって漸次下側に向かう斜め方向に延びて下縁部841aと接続される前縁部841eと、を有している。上側後縁部841cは、回動軸部843を中心とする円弧面に形成されている。
【0056】
第2ピン押さえ部本体841は、下部側が孔部833aに配置され、上部側が下側本体部833よりも上側に突出し変位惹起溝部836に配置されている。第2ピン押さえ部本体841の上部側は、幅方向から見ると、第2天板取付板部62に形成された溝部64と重なっている。
第2ピン押さえ部本体841の下縁部は、略水平面となり下側本体部833の下端部と同じ高さに配置されている。第2ピン押さえ部本体841の上縁部は、略水平面となる向きで変位惹起溝部836に配置され、上側本体部835の下面と間隔をあけて対向している。
第2ピン押さえ部本体841の上側後縁部841cは、下側本体部833よりも上側に配置され、後側本体部834よりも間隔をあけた前側に配置されている。
【0057】
第2ピン押さえ部84は、第1姿勢で下方に押圧されるとばね845を弾性変形させて回動軸部843よりも後方が下側に移動し、下部側が下側本体部833よりも下側に突出して第1固定板部861の開口部861aに配置される。なお、第2ピン押さえ部84は下側への押圧が解除されると、ばね845の復元力により上側に押され、通常状態の位置に戻るように構成されている。
【0058】
図12に示すように、第2ピン押さえ部84は、第2姿勢となると係止溝部642に挿入された第2ピン73に上側後縁部841c(第2姿勢では後側の上縁部となっている)が前側から当接している。上述したように第2姿勢では、第2ピン押さえ部84は、ばね845によって後側に付勢されているため、第2ピン73を後側に押圧し、第2ピン73が前側に移動して係止溝部642から抜け出てガイド溝部641に入り込むことを阻止している。
【0059】
図13および図16に示すように、係合部材85は、棒状の部材で前後方向に延びる向きで移動惹起部83の連結部831の幅方向の一方側の部分の後側に接続されている、係合部材85は、移動惹起部83の本体部832と幅方向に隣接している、係合部材85の後端部85aは、移動惹起部83の後端部よりも後側に突出している。
【0060】
第2規制部88は、略直方体となるブロック状の部材で、下部側に下側かつ幅方向の内側に開口する前後方向に延びる切り欠き部881が形成されている。第2規制部88は、切り欠き部881に係合部材85が配置されるように、係合部材85の上側および幅方向の一方側に配置されている。第2規制部88は、下端部が第1固定板部861に固定されていて、係合部材85と相対移動可能に構成されている。係合部材85は、切り欠き部881および第1固定板部861の上面31bに沿って前後方向に移動するように構成されている。第2規制部88は、係合部材85が前後方向に移動し、幅方向や上下方向に移動しないようにガイドしている。
【0061】
図15および図18に示すように、第1規制部87は、移動惹起部83(図15参照)の幅方向の一方側に設けられる第1側板部871と、移動惹起部83の幅方向の他方側に設けられる第2側板部872と、移動惹起部83の上部に設けられる上板部873と、移動惹起部83の連結部831の幅方向の一方側の上部および幅方向の一方側に設けられる連結部当接部874と、を有している。
【0062】
第1側板部871は、移動惹起部83と、第2規制部88および係合部材85との間に配置されている。第1側板部871および第2側板部872は、前端部分が第1固定板部861の開口部863と上下方向に重なる位置に配置されていて、前端部分に下側に突出していて第1固定板部861の開口部863に配置される突出部871a,872aがそれぞれ形成されている。
【0063】
突出部871a,872aは、それぞれ下側に向かって前後方向の寸法が小さくなる先細り形状に形成されている。突出部871a,872aは、それぞれ前側の前縁部871b,872bが上下方向に延び、後側の後縁部871c,872cが後側から前側に向かって漸次下側に向かうように傾斜していて、前縁部871b,872bの下端部と後縁部871c,872cの下端部とが接続されている。
第1側板部871の幅方向の他方側の面および第2側板部872の幅方向一方側の面には、前側部分の下部側に下側に開口する略V字形の溝部871d,872dがそれぞれ形成されている。溝部871d,872dの側面のうちの後部側となる後側面871e,872eは上下方向に延び、前部側となる前側面871f,872fが後側から前側に向かって漸次下側に延びている。
【0064】
溝部871d,872dの前側面871f,872fは、突出部871a,872aの後縁部871c,872cと連続している。溝部871d,872dの前側面871f,872fおよび突出部871a,872aの後縁部871c,872cは、第2ピン押さえ部84の突出ピン842が沿って移動するように構成されている。この溝部871d,872dの前側面871f,872fおよび突出部871a,872aの後縁部871c,872cを突出ピンガイド面871g,872gとする。
【0065】
第2側板部872は、図7に示す天板取付部6の第2天板取付板部62における溝部64の後部側が形成されている部分と平行に配置されている。上述しているが、溝部64の後部側とは、ガイド溝部641の後部側と、係止溝部642とを示している。
第2側板部872には、溝部64の後部側と同じ形状の溝部875が溝部64と幅方向に重なる位置に配置されている。第2側板部872の溝部875は、前側に開口している。第2側板部872の溝部875には、第2天板取付板部62の溝部64の後部側を移動する第2ピン73の先端部が挿入されるように構成されている。
【0066】
(操作手段)
図5に示すように、操作手段9は、天板本体31の下側に配置された操作レバー91(操作部)と、操作レバー91と係止部8の可動部82(図11図13参照)とを連携する連携部92と、を有している。
図11図13に示すように、連携部92は、天板取付部6の内部に配置され、可動部82の連結部831と連結された牽引部材93と、操作レバー91と連結された操作ロッド94と、操作ロッド94に取り付けられて牽引部材93が連結されるカム95と、を有している。
【0067】
操作レバー91は、幅方向の一方側の天板取付部6よりもさらに幅方向の一方側に間隔をあけて配置されている。
図19および図20に示すように、操作レバー91の幅方向の他方側に、保護壁部96が隣接して設けられている。
保護壁部96は、壁面が幅方向を向き前後方向に延びる壁体で、天板本体31の下側に取り付けられている。保護壁部96には、幅方向に貫通する孔部961が形成され、孔部961に操作ロッド94が挿通されている。
【0068】
図3に示すように、操作ロッド94は、丸棒状の部材で、幅方向に延びる向きに設置されている。操作ロッド94は、幅方向の一方側の天板取付部6およびカバー部32を貫通し、幅方向の他方側の天板取付部6およびカバー部32の内部に幅方向の他方側の端部が挿入されている。操作ロッド94は、カバー部32に形成された切り欠き部321a、および天板取付部6に形成された第2孔部624,634から天板取付部6およびカバー部32の内部に挿入されている。
【0069】
操作ロッド94は、幅方向の一方側の端部が幅方向の一方側の天板取付部6よりも幅方向の一方側に突出し、保護壁部96を貫通して操作レバー91と連結されている。操作レバー91は、使用者が上側に押すことで、操作ロッド94をその軸線回りに回動させるように構成されている。操作レバー91は、天板本体31に直接固定されておらず、操作ロッド94と連結されることで天板本体31の下側に配置されている。
図19および図20に示すように、操作レバー91の下端面91aは、保護壁部96の下端面96aとほぼ同じ高さに配置されている。また、操作レバー91の前端部91bは、保護壁部96の前端部96bと前後方向にほぼ同じ位置し配置されている、操作レバー91の後端部91cは、保護壁部96の後端部96cよりも前側に配置されている。
【0070】
図13に示すように、カム95は、2つの天板取付部6それぞれの内部において、操作ロッド94に取り付けられている。カム95は、板面がその板面に沿った位置の方向の一方の端部側が他方の端部側よりも幅広となるしずく形の板状の部材で、一方の端部側の幅広部951に操作ロッド94が貫通し、他方の端部側の幅狭部952に牽引部材93が連結されている。
カム95と操作ロッド94とは固定され、相対回転しないように構成されている。カム95は、幅広部951が幅狭部952よりも前側に配置されている。
牽引部材93は、棒状の部材で、前後方向に延びる向きで2つの天板取付部6それぞれの内部に配置されている。牽引部材93は、後端部が可動部82の連結部831に幅方向に延びる軸線回りに回動可能に連結され、前端部がカム95の幅狭部952に幅方向に延びる軸線回りに回動可能に連結されている。
【0071】
図13に示す操作レバー91が操作されていない状態から、図21に示すように、操作レバー91が操作されて操作ロッド94が回動すると、カム95の幅狭部952が下側かつ前側に移動するように回動し、カム95の幅狭部952に連結された牽引部材93が前側かつ下側に引っ張られる。牽引部材93は、カム95の幅狭部952に回動可能に連結されているため、カム95の幅狭部952が下側かつ前側に移動するように回動したとしても、カム95の回動軸回りには回動せず、前後方向に延びた姿勢のままと前側に移動する。なお、牽引部材93は、カム95の回動によって若干下側に移動する。
そして、牽引部材93が前側に移動することにより、可動部82が前側に移動する。可動部82は、固定板部86に沿って前側に移動する。なお、第2姿勢では、操作レバー91が操作されると可動部82が上側に移動する。
【0072】
可動部82が前側に移動すると、係合部材85が前側に移動する。第1姿勢で側壁部52の切り欠き部521に係合している係合部材85が前側に移動すると、係合部材85が切り欠き部521から抜け出るため、天板3が回動可能な状態となる。
なお、第2姿勢で可動部82が上側に移動すると、係合部材85は上側に移動するが、第2姿勢のでは第1姿勢のように係合部材85が係止されていないため、係合部材85が移動することによって解除される係止機構はない。
【0073】
可動部82が前側に移動すると、第2ピン押さえ部84が前側に移動する。第2ピン押さえ部84は、固定部81の第1規制部87に対して前側に移動するため、突出ピン842が第1規制部87の突出ピンガイド面871g,872gに沿って移動するため、後部側が下側に回動するように構成されている。このとき、第2ピン押さえ部84は、固定板部の開口部に配置されるため、固定板部と干渉することはない。
第2姿勢では、可動部82が上側に移動すると、第2ピン押さえ部84は、前側に回動することになる。第2姿勢では、操作レバー91が操作されていないと、第2ピン押さえ部84は、後側に向かって回動するように第2ピン73を押圧しているため、操作レバー91が操作されて第2ピン押さえ部84が前側に回動すると、第2ピン押さえ部84は第2ピン73と離間する。
【0074】
可動部82が前側に移動すると、移動惹起部83が前側に移動する。
第2姿勢において、図23に示す操作レバー91が操作されていない状態から図24に示す操作レバー91が操作された状態となると、移動惹起部83が上側に移動し、移動惹起部83が係止溝部642に挿入されたリンク部7の第2ピン73を下側から当接する。図23図25は、図12と幅方向の反対側から見た断面図となっている。
このとき、図25に示すように、第2ピン73には、移動惹起部83の第2ピン当接面834bが当接されるため、第2ピン当接面834bが上側に移動することで、第2ピン73は、上側かつ後側に押され、上側かつ後側に移動しようとする。このとき、第2ピン押さえ部84は、前側に回動して第2ピン73と離間していて、第2ピン73を押圧していないため、第2ピン73は、上側かつ後側に移動可能となり、係止溝部642からガイド溝部641に移動する。これにより、天板3が回動な状態となる。
なお、第1姿勢で可動部82が前側に移動すると、移動惹起部83は前側に移動するが、リンク部7の第2ピン73は、ガイド溝部641の前端部近傍に配置されているため、移動惹起部83が第2ピン73を押すことはない。
【0075】
天板3を、第1姿勢から第2姿勢とするには、図21に示すように、操作レバー91を操作し、可動部82を前側に移動させる。これにより、係合部材85が脚部2の側壁部52の切り欠き部521から抜け出し、天板3が回動可能な状態となる。
第1姿勢の天板3の前端部を上方に持ち上げるようにして天板3を回動させる。天板3が回動すると、係合部材85は側壁部52の前側円弧面525と対向する。このため、操作レバー91操作が解除されると、係合部材85は後側に移動しようとするが、前側円弧面525に沿って移動するため前側に移動した状態に維持される。さらに天板3が回動すると、係合部材85は前側円弧面525から離れるため、操作レバー91操作が解除されていると後側(第2姿勢では下側)に移動して復元される。
【0076】
天板3が回動し、天板取付部6が回動すると、リンク部7は、第2軸部54を中心に回動する。リンク部7の第2ピン73は、第2軸部54を中心に回動し、第2天板取付板部62の溝部64を前側(第1姿勢第2ピン位置643)から後側(係止溝部642が形成されている側)に向かって移動する。
天板3が第1姿勢から第2姿勢に向かって回動して、リンク部7の第2ピン73がガイド溝部641に沿って後側(係止溝部642に向かう側)に移動すると、第2ピン73は、第2ピン押さえ部84と当接する。このとき、第2ピン73は、第2ピン押さえ部本体841の前縁部841eに前側から当接し、ガイド溝部641に沿って後側に移動しようとすることで第2ピン押さえ部本体841の前縁部841eを後側に押す。これにより、第2ピン押さえ部84は、ばね845を弾性変形させて下側に回動し、ガイド溝部641への突出(幅方向から見てガイド溝部641と重なる部分)が小さくなる。その結果、第2ピン73が第2ピン押さえ部本体841の前縁部841eおよび上縁部841dを押しながらガイド溝部641に沿ってさらに後方に移動可能となる。
このとき、ガイド溝部641は、第1姿勢における前側が第1姿勢における後側よりも上側となる略上下方向に延びた状態となっている。ここからは、ガイド溝部641の第1姿勢における前側を上側とし、第1姿勢における後側を下側として説明する。
【0077】
図22に示すように、天板3の回動により、第2ピン73がさらに下方に移動してガイド溝部641と係止溝部642との境界部分に位置すると、第2ピン73は、第2ピン押さえ部本体841の上縁部841dと上側後縁部841cとの角部841fに当接する。このとき、第2ピン押さえ部84は、ばね845の復元力により、上縁部841dと上側後縁部841cとの角部841fが前側に向かうように回動軸部843回りに回動しようとする。これにより、図23に示すように、第2ピン73は、第2ピン押さえ部84の角部841fに押されて前側に位置する係止溝部642に挿入される。
第2ピン73は、係止溝部642に挿入されると前側の斜め上方に第2ピン押さえ部84が配置され、第2ピン押さえ部84の角部841fが当接しているため、係止溝部642から抜け出ないように構成されている。その結果、リンク部7の第2ピン73が係止溝部642に係止された状態に拘束され、天板3が第2姿勢に維持される。
【0078】
第2ピン73が係止溝部642に挿入されると、第2ピン押さえ部84の回動軸部843の軸心と、第2ピン73と当接する第2ピン押さえ部本体841の角部841fとを結ぶ直線上に第2ピン73の軸心が配置されている。また、第2ピン押さえ部84の回動軸部843の軸心と、第2ピン73と当接する第2ピン押さえ部本体841の角部841fとを結ぶ直線は、係止溝部642がガイド溝部641から突出する方向と略一致している。
これにより、第2姿勢の天板3を第1姿勢にしようとする外力によって、第2ピン73を係止溝部642からガイド溝部641に移動させる方向のモーメントが生じた際に、第2ピン73から第2ピン押さえ部84に作用する力は、第2ピン押さえ部84の回動軸部843に向かう方向であるため、第2ピン押さえ部84が回動して第2ピン73が移動することが防止される。
【0079】
第2姿勢となると、リンク部7の第1接続板部711は、第1カバー下板部326の下側に隣接し、カバー下方開口部325の上部側(第1姿勢における前部側)を覆っている。第1接続板部711の上端部(第1姿勢における前端部)は、第2天板取付板部62および第3天板取付板部63の第2切り欠き部623,633に入っていて、第1カバー下板部326の下端部よりも後側に位置している。
【0080】
天板3を、第2姿勢から第1姿勢とするには、図24に示すように、操作レバー91を上側に移動させ、可動部82を上側に移動させる。これにより、移動惹起部83および第2ピン押さえ部84が上側に移動する。
第2ピン押さえ部84は上側に移動することで、第2ピン73と離間するとともに前側に回動してガイド溝部641へ突出する部分(幅方向から見てガイド溝部641と重なる部分)が小さくなる。
移動惹起部83は上側に移動することで、第2ピン当接面834bが係止溝部642に挿入されたリンク部7の第2ピン73に下側から当接し、第2ピン73を上側に移動させる。上側に向かって押された第2ピン73は、係止溝部642に沿って移動することになるため、係止溝部642を上側かつ前側に移動する。
【0081】
このとき、第2ピン押さえ部84は、第2ピン73と離間していて、第2ピン73を押圧していないため、第2ピン73は、上側かつ前側に移動でき、係止溝部642からガイド溝部641に移動する。これにより、天板3が回動可能となる。
このとき、リンク部7の上端部(第2ピン73が設けられている側の端部)が第2ピン73の移動によって上側かつ前側に移動するため、リンク部7の第1接続板部711が上側かつ前側に移動し、上端部が第2天板取付板部62および第3天板取付板部63の第2切り欠き部623,633から出て、第1カバー下板部326の下端部よりも前側に位置した状態となる。
【0082】
天板3をその上端部が前側かつ下側に移動するように回動させる。
リンク部7は、天板3が回動して天板取付部6が回動することで第2軸部54を中心に回動し、第2ピン73がガイド溝部641を下側(後側)から上側(前側)に向かって移動する。このとき、リンク部7の第1接続板部711は、上端部が第1カバー下板部326の下端部よりも前側に位置した状態となっているため。第1接続板部は、第1カバー下板部326の前面(第1姿勢における下面)に沿って移動する。天板3が第1姿勢となると、リンク部7の第1接続板部711は、第1カバー下板部326の下側に重なって配置され、前端部が第1カバー下板部326と第2カバー下板部327との接続部分の下側に配置される。
天板3が第1姿勢となると、第2ピン73は、ガイド溝部641の第1姿勢第2ピン位置643に配置される。
【0083】
天板3が第2姿勢から第1姿勢となる際に係合部材85は、側壁部52の前側円弧面525と当接し、前側円弧面525に沿って回動する。係合部材85は、後側(下側)に付勢されていて前側に押されると前側に移動可能であるため、前側円弧面525に押されて前側に移動する、そして、天板3が第1姿勢となると、係合部材85は前側円弧面525から離れ、切り欠き部521の前側に配置されるため、後側に移動し、切り欠き部521の内部に挿入される。
これにより、天板3の回動が拘束され、天板3が第1姿勢に維持される。
【0084】
次に、上述した本実施形態による天板付き什器の作用・効果について図面を用いて説明する。
上述した本実施形態による天板付き什器1は、第2姿勢となると、カバー下方開口部325をリンク部7の接続部71が塞ぐため、第1カバー下板部326および接続部71によって天板取付部6の内部に設けられた係止部8の露出を防止することができる。
【0085】
また、第1カバー下板部326は、第1姿勢となると天板取付部6と接続部71との間に収容されることにより。第1姿勢の際に第1カバー下板部326に物や人が接触して変位することを防止することができる。
【0086】
また、天板3が第2姿勢から第1姿勢となる際に、移動惹起部83が第1カバー下板部326を天板取付部6と接続部71との間に案内することにより、第1カバー下板部326を天板取付部6と接続部71との間に確実に収容することができる。
【0087】
以上、本発明によ天板付き什器1の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記の実施形態では、第1カバー下板部326は、第1姿勢となると天板取付部6と接続部71との間に収容されるが、接続部71の外側に配置されるようにしてもよい。
【0088】
また、上記の実施形態では、天板3が第2姿勢から第1姿勢となる際に、移動惹起部83が第1カバー下板部326を天板取付部6と接続部71との間に案内するように構成されているが、このように構成されていなくてもよい。例えば、第2姿勢でも第1カバー下板部326の一部が天板取付部6と接続部71との間に配置され、第1姿勢に移動する際に第1カバー下板部326が天板取付部6と接続部71との間に挿入されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 天板付き什器
2 脚部(支持構造体)
3 天板
5 天板支持部
6 天板取付部
7 リンク部
8 係止部
31 天板本体
31a 下面
32 カバー部
53 第1軸部
54 第2軸部
64 溝部(ガイド部)
71 接続部
72 第1ピン
73 第2ピン
83 移動惹起部(案内部)
325 カバー下方開口部(開口部)
326 第1カバー下板部(被覆部)
641 ガイド溝部(移動溝部)
642 係止溝部
図1
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