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特許7186073日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法
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  • 特許-日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法 図1
  • 特許-日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法 図2
  • 特許-日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法 図3
  • 特許-日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法 図4
  • 特許-日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/06 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
E04F10/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018222079
(22)【出願日】2018-11-28
(65)【公開番号】P2020084626
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩史
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 賢
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 良輔
(72)【発明者】
【氏名】水谷 太朗
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-501419(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2014-0005938(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 10/00-10/10
E06B 9/00、9/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋上から外方に張り出す上部支持体と、
前記上部支持体の下方において、前記建物の壁面よりも外方に配置された下部支持体と、
前記壁面に沿って並設された複数の線材と、
前記上部支持体から吊り下げられた複数の膜材と、を備える日射遮蔽装置であって、
前記上部支持体は、前記屋上に設けられた基部と、前記基部から前記建物の外方に張り出すように延設された横材と、前記基部が上載された台車と、を備えているとともに、前記線材の上端および前記膜材の上端を固定可能であり、
前記下部支持体は、前記線材の下端および前記膜材の下端を固定可能であり、
前記線材は、前記上部支持体と前記下部支持体との間に張設されており、
前記膜材は、前記線材に側縁が支持されているとともに前記壁面と平行に設けられていることを特徴とする、日射遮蔽装置。
【請求項2】
前記膜材の側縁には、上下方向に所定の間隔で配設された複数のリングが設けられており、
前記リングには、前記線材が挿通されていることを特徴とする、請求項1に記載の日射遮蔽装置。
【請求項3】
前記膜材の上端が固定された横軸に回転力を付与して、前記膜材を巻き上げる巻上げ機を備えていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の日射遮蔽装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の日射遮蔽装置を利用した日射遮蔽構造の組立解体方法であって、
組立時においては、前記膜材の下端を前記線材に沿って下降させた後、当該膜材の下端を前記下部支持体に固定し、
解体時においては、前記膜材の下端を前記下部支持体から取り外した後、前記屋上において前記膜材を巻き上げることを特徴とする、日射遮蔽構造の組立解体方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の外壁面は、日射によって著しく温度が上昇する場合がある。外壁面の温度が上昇すると、室内温度も上昇する。室内温度が上昇すると、居住者、室内に設置された設備機器、室内に保管された物等に悪影響を及ぼすおそれがある。そのため、夏季など室内温度が上昇する場合には、空調機により室内温度を調節する。ところが、空調による温度調節は、電力を消費するため、費用がかかるとともに、資源を消費してしまう。
そのため、建物の外壁面の温度上昇を抑制することを目的として、外壁に遮熱塗料を塗装するとともに、窓面に遮熱フィルムを貼着する場合がある。
また、特許文献1には、建物の外面に沿って配置された屋外用カーテンが開示されている。屋外用カーテンは、多段的に配装された柔軟性のある耐候性素材からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3171473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の外壁面に遮熱塗料を塗装した場合であっても、温度上昇の低減効果は小さく、節電効果は限定的であった。また、定期的に塗装を行う必要があるが、大規模な建物の外壁全面に対して塗装を行うためには、大規模な足場を形成する必要がある。そのため、遮熱塗料による遮熱方法は、メンテナンスや仮設工等により、手間と費用がかかる。
また、特許文献1の屋外用カーテンは、多段的に設置するため、着脱に手間がかかる。そのため、季節に応じて取り付けたり撤去したりする場合には不向きであった。また、大規模な建物の外面を覆うように設置する場合には、多数の屋外用カーテンを多段的に設置するのは困難である。
本発明は、前記の問題点を解決することを目的とするものであり、比較的簡単な工事で安価に形成することが可能で、なおかつ、室内の温度上昇の抑制に効果的で省エネルギー化を可能とした日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明の日射遮蔽装置は、建物の屋上から外方に張り出す上部支持体と、前記上部支持体の下方において前記建物の壁面よりも外方に配置された下部支持体と、前記壁面に沿って並設された複数の線材と、前記上部支持体から吊り下げられた複数の膜材とを備えるものである。前記上部支持体は、前記屋上に設けられた基部と、前記基部から前記建物の外方に張り出すように延設された横材と、前記基部が上載された台車と、を備えているとともに、前記線材の上端および前記膜材の上端を固定可能であり、前記下部支持体は、前記線材の下端および前記膜材の下端を固定可能である。前記線材は、前記上部支持体と前記下部支持体との間に張設されており、前記膜材は、前記線材に側縁が支持されているとともに前記壁面と平行に設けられている
また、前記日射遮蔽装置を利用した日射遮蔽構造の組立解体方法は、組立時においては、前記膜材の下端を前記線材に沿って下降させた後、当該膜材の下端を前記下部支持体に固定し、解体時においては、前記膜材の下端を前記下部支持体から取り外した後、前記屋上において前記膜材を巻き上げることにより行う。
かかる日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法によれば、壁面に沿って設置された膜材により、外壁面の温度上昇を効果的に抑制することができる。膜材は、屋上から吊り下げるのみで設置できるため、仮設足場等を要することなく簡易に取り付けることができる。そのため、足場の設置や撤去に要する手間や、足場の材料費等を省略することができる。また、膜材は、線材により側部が支持されているため、風荷重等に対して安定している。また、膜材の取り付けや撤去を簡易に行うことができるため、季節毎の着脱が容易であるとともに、台風等の強風が予想される場合においても、簡易に撤去することができる。また、膜材が劣化した場合の交換も容易である。
【0006】
なお、前記膜材の側縁に上下方向に所定の間隔で配設された複数のリングが設けておけば、前記リングに前記線材が挿通することで線材により支持された膜材を簡易に設置することができる。
また、前記膜材の上端が固定された横軸に回転力を付与して、前記膜材を巻き上げる巻上げ機を備えていれば、膜材の撤去作業を簡易に行うことができる。なお、巻上げ機は、膜材毎に設置してもよいし、1台の巻上げ機を移動させて複数の膜材を順次巻き上げるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の日射遮蔽装置および日射遮蔽構造の組立解体方法によれば、上部支持体から膜材を吊下ろすのみで形成することができるため、大規模な仮設足場等を要することなく、外壁面の温度上昇の抑制に効果的な構造を簡易に形成することができる。すなわち、本発明の日射遮蔽装置は、比較的簡単な工事で安価に形成することが可能で、なおかつ、室内の温度上昇の抑制に効果的で省エネルギー化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の日射遮蔽構造の概要を示す斜視図である。
図2】日射遮蔽装置の概要を示す側面図である。
図3】線材と膜材との取付部を示す拡大図である。
図4】実施例における外壁表面温度の測定結果を示すグラフである。
図5】実施例における侵入熱量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態では、図1に示すように、建物1の外部に仮設材として日射遮蔽構造10を設置することで、夏季における外壁面(壁面11)の温度上昇を抑制する場合を例示する。建物1内の温度上昇を抑制することで、省エネルギー化を図ることができる。日射遮蔽構造10は、日射遮蔽装置2を利用して建物1の壁面11に沿って形成する。日射遮蔽構造10は、日射が強く気温が高い季節(夏季等)が始まる前、あるいは、当該季節が始まった直後に組み立て、当該季節が終了する頃に撤去するものとする。また、台風等が近付いた際にも、速やかに撤去することが可能である。
本実施形態の日射遮蔽装置2は、図2に示すように、上部支持体3と、下部支持体4と、線材5と、膜材6と、巻上げ機7とを備えている。
【0010】
上部支持体3は、図2に示すように、建物1の屋上12に設けられた基部31と、基部31から建物1の外側に向けて延設された横材32とを備えている。上部支持体3は、パイプ材(いわゆる単管パイプ)を組み合わせることにより形成されている。なお、上部支持体3を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、H形鋼やL形鋼等の鋼材を使用してもよい。また、上部支持体3の構成は前記の構成に限定されるものではなく、少なくとも線材5および膜材6の上端を固定することが可能となるように適宜形成すればよい。
基部31は、パイプ材を縦横に組み合わせることで直方体状(角柱状)を呈している。基部31は、屋上12上を移動するための台車33に上載されている。台車33の車輪には、輪止め等を設けるか、ロック機構(ブレーキ機構)等を設けるとよい。なお、台車33は、必要に応じて設ければよい。すなわち、基部31を建物1の躯体に固定してもよい。基部31の上部には、線材5の端部を固定するための線材固定部34と、膜材6を巻き付けるための膜用ドラム35が設けられている。膜用ドラム35の中心部には、膜材6の端部が固定された横軸が設けられている。なお、膜用ドラム35は、必ずしも基部31に固定されている必要はなく、着脱自在であってもよい。すなわち、膜材6を所定の位置に設置した後は、膜用ドラム35は上部支持体3から取り外してもよい。
横材32は、建物1の屋上12からパラペット13の上方を超えて壁面11の外方に張り出している。横材32は、パラペット13の内側に配設された支柱36によって中間部が支持されている。なお、支柱36は、必要に応じて設置すればよく、横材32の長さや基部31の配置によっては省略してもよい。横材32には、線材5を支持するための線材用滑車や、膜材6を支持するための膜材ローラーが回転可能に設けられている。なお、線材用滑車および膜材ローラーの配置や数は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
【0011】
下部支持体4は、図2に示すように、横材32(上部支持体3)の下方において、建物1の壁面11よりも外方に配置されている。本実施形態の下部支持体4は、壁面11に固定された鉄骨フレームである。なお、下部支持体4の構成は限定されるものではなく、少なくとも線材5の下端および膜材6の下端を固定することが可能であればよい。また、下部支持体4を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、単管パイプを組み合わせることにより形成してもよい。また、下部支持体4は、必ずしも壁面11に固定されている必要はなく、例えば、地面や床面に載置されていてもよい。実施形態では、下部支持体4の上面に床材41(例えば、エキスパンドメタルや足場板等)を敷設するとともに、下部支持体4の縁部(壁面と反対側の端部)に手摺り42を設置して、下部支持体4が足場または通路を構成している。なお、下部支持体4の床材41および手摺り42は必要に応じて設ければよい。
【0012】
線材5は、図2に示すように、上部支持体3と下部支持体4との間において、壁面11に沿って張設されている。線材5は、壁面11から所定の間隔をあけた位置において、壁面11と平行に設けられている。線材5には、ワイヤーロープを使用する。線材5の一方の端部(上端)は、上部支持体3に設けられた線材固定部34に固定されている。また、線材5の他方の端部(下端)は、下部支持体4に固定されている。線材5の上端および下端は、それぞれ着脱可能である。なお、線材5を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、ロープであってもよい。また、線材5を構成するワイヤーロープの仕様等は適宜決定すればよい。本実施形態では、図3に示すように、二本一組の線材5,5が所定の間隔をあけて複数組並設されている。
【0013】
膜材6は、図2に示すように、上部支持体3から吊り下げられている。膜材6は、間隔をあけて隣り合う線材5同士の間に配置されており、膜材6の側縁は当該線材5に支持されている。すなわち、図3に示すように、膜材6は、隣り合う二組の線材5の間において、壁面11から所定の間隔をあけて、壁面11と平行に設けられている。本実施形態では、建物1の南側の壁面11全体を覆うように、複数の膜材6が配設されている。膜材6は、上端が上部支持体3に設けられた膜用ドラム35の横軸に固定されていて、下端が下部支持体4に取り付けられている(図2参照)。
本実施形態の膜材6は、ポリエステル製のひもを組み合わせることにより形成されたネットからなる。なお、膜材6を構成するネットの網目の大きさは適宜決定すればよい。また、膜材6を構成する材料は限定されるものではないが、通気性を有しているのが望ましい。また、膜材6が設けられる壁面11が窓を有している場合には、建物1内から膜材6を通して外側を視認できる素材であるのが望ましい。
膜材6の側縁(左右の縁)には、上下方向に所定の間隔で配設された複数のリング8が設けられている。リング8には、線材5が挿通されている。リング8の内径は、膜材6を構成するひも(ネットの外縁を構成するひも)の外径と線材5の外径との合計よりも大きい。すなわち、膜材6は、リング8を介して線材5に係止されているとともに、線材5に沿って上下動可能に構成されている。また、リング8を構成する材料は限定されるものではなく、例えば、金属や樹脂により構成すればよい。
【0014】
巻上げ機7は、図2に示すように、上部支持体3に隣接して配設されており、膜材6の上端が固定された膜用ドラム35(横軸)に回転力を付与して、膜材6を巻き上げる。本実施形態の巻上げ機7は、電力により駆動するモーターを備えていて、モーターの動力により横軸に回転力を付与する。なお、巻上げ機7は手動式であってもよい。また、本実施形態では、巻上げ機7が膜用ドラム35に対して着脱可能であり、複数の膜材6を一台の膜用ドラム35を利用して順番に巻き上げるものとするが、巻上げ機7は、膜用ドラム35と一体に形成されていて、膜材6ごとに設けられていてもよい。巻上げ機7は台車71に上載されており移動可能である。
【0015】
以下、日射遮蔽装置2を使用した日射遮蔽構造10の組立解体方法について説明する。
日射遮蔽構造10の組立時においては、膜用ドラム35に巻き付けられた膜材6の下端を線材5に沿って下降させた後、膜材6の下端を下部支持体4に固定する。同様の作業を他の膜材6に対して繰り返すことにより、壁面11全面を複数の膜材6により覆う。
日射遮蔽構造10の解体時においては、膜材6の下端を下部支持体4から取り外した後、屋上12において膜材6を巻き上げる。膜材6の巻上げは、巻上げ機7によって膜用ドラム35を回転させることにより行う。一枚の膜材6を巻き上げたら、巻上げ機7を隣に移動させて、隣接する他の膜材6を巻き上げる。同様の作業を繰り返すことにより、日射遮蔽構造10を構成する複数の膜材6の全てを巻き上げる。
【0016】
本実施形態の日射遮蔽装置2および日射遮蔽構造10の組立解体方法によれば、壁面11に沿って設置された膜材6により、外壁面(壁面11)の温度上昇を効果的に抑制することができる。
膜材6は、屋上12から線材5に沿って吊り下げるのみで設置できるため、日射遮蔽構造10を形成するための仮設足場等を別途設けることなく、簡易に形成することができる。そのため、仮設足場の設置や撤去に要する手間や、仮設足場の材料費等を省略することができる。また、膜材6は、線材5により側部が支持されているため、風荷重等に対して安定している。また、膜材6の取り付けや撤去を簡易に行うことができるため、季節毎の着脱が容易であるとともに、台風等の強風が予想される場合においても、簡易に撤去することができるため、安全性を確保できる。また、膜材6の着脱が容易なため、膜材6が劣化した場合の交換も容易である。また、巻上げ機7を利用しているため、長尺の膜材6の撤去作業を簡易に行うことができる。
さらに、上部支持体3が台車33を備えているため、不使用時には移動させることができる。また、日射遮蔽構造10が壁面11の一部を覆う場合には、季節に応じて日射遮蔽装置2を移動させて、膜材6を設置する範囲を移動させることも可能である。
【0017】
次に、建物の壁面に沿って膜材を設置することによる効果を確認した結果について説明する(実施例)。実施例では、下記ピーク時における外壁表面温度の低減効果と、室内への侵入熱量の低減効果を確認した。膜材は、建物の壁面に沿って組み立てられた仮設足場の外面に設置した。また、比較例1として、対策工がない場合(壁面に何も設置されていない場合)の外壁表面温度と侵入熱量を測定した。さらに、比較例2として、窓に遮熱フィルム、外壁に遮熱塗料を塗装した場合の外壁表面温度と侵入熱量を測定した。
【0018】
図4に示すように、対策工がない比較例1では、外気温が36℃~37℃のときに、外壁表面温度が最高56℃に達したのに対し、実施例では、40℃程度であった。一方、壁面に遮熱塗料を塗装し、窓に遮熱フィルムを設置した比較例2では、外壁表面温度が52℃程度まで上昇した。したがって、壁面に沿って、膜材を設置することで、外壁表面温度を大幅に低減(-16℃)させることが可能であるとともに、壁面に遮熱塗料を塗装し、窓に遮熱フィルムを設置する場合(-4℃)よりも効果的であることが確認できた。
また、図5に示すように、比較例1における室内への侵入熱量は、窓面と壁面においてそれぞれ28.4kWと21.5kWであったのに対し、実施例1では窓面および壁面での侵入熱量がそれぞれ0.1kWと10.3kWであった。したがって、壁面に沿って膜材を設置することで、室内への侵入熱量を大幅に低減できることが確認できた。また、比較例2では、窓面および壁面での侵入熱量がそれぞれ14.7kWと18.7kWであった。したがって、壁面に沿って膜材を設置すれば、遮熱塗料および遮熱フィルムを設置した場合よりも、効果的であることが確認できた。
【0019】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、膜材6にリング8が取り付けられている場合について説明したが、リング8は必要に応じて設置すればよい。例えば、ネット状の膜材6の網目に線材5を通す場合や、膜材6に形成された鳩目等に線材5を通す場合には、リング8は省略してもよい。
膜材6は、側端部のみが線材5によって支持されている必要はない。例えば、膜材6の中央部において、線材5によって支持されていてもよい。
前記実施形態では、二本一組の線材5が間隔をあけて配設されているものとしたが、線材5は必ずしも二本一組で配設する必要はなく、所定の間隔をあけて、一本ずつ配設してもよい。
【符号の説明】
【0020】
1 建物
10 日射遮蔽構造
11 壁面
12 屋上
2 日射遮蔽装置
3 上部支持体
31 基部
32 横材
4 下部支持体
5 線材
6 膜材
7 巻上げ機
8 リング
図1
図2
図3
図4
図5