(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】データ受信装置、データ受信方法、及び送受信システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20221201BHJP
【FI】
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2019062866
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 光範
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-57326(JP,A)
【文献】特開2008-146151(JP,A)
【文献】特開2011-41131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動物体の位置、速度、加速度および車両制御情報の少なくとも一つを示す軌跡データの時系列を蓄積する記憶部と、
規定の送信周期で前記軌跡データの時系列を送信するデータ送信部とを備える送信装置から送信される前記軌跡データの時系列を受信するデータ受信部と、前記軌跡データの時系列が受信できているか否かを判断して、前記軌跡データの時系列の一部分が受信できていない場合に、受信できていない前記一部分を再度送信することを前記送信装置へ要求する制御部とを備えるデータ受信装置であって、
前記制御部は、
受信できていない前記一部分の前及び後の前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが非線形であるか否かを判断し、
前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが前記非線形であると判断した場合における、前記再度送信する前記軌跡データの時系列の時間間隔を
前記規定の送信周期のままに維持し、前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のいずれも前記非線形でないと判断した場合における前記時間間隔
を前記規定の送信周期よりも長くすることを、前記送信装置に要求する
ことを特徴とするデータ受信装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが前記非線形であると判断した場合における、前記再度送信される前記軌跡データの送信周期を、前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のいずれも前記非線形でないと判断した場合における前記送信周期よりも短くすることを、前記送信装置に要求する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ受信装置。
【請求項3】
前記制御部は、
受信できていない前記一部分が受信できるまで、再度送信することを前記送信装置へ繰り返し要求し、
前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のいずれも前記非線形でないと判断した場合において、受信できていない前記一部分の再度送信を要求する回数が増えるほど、前記再度送信する前記軌跡データの送信周期を長くすることを、前記送信装置に要求することを特徴とする請求項2に記載のデータ受信装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが前記非線形であると判断した場合における、前記再度送信される前記軌跡データの時系列の密度を、前記軌跡データの時系列が前記非線形でないと判断した場合における前記密度よりも高くすることを、前記送信装置に要求する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ受信装置。
【請求項5】
前記制御部は、
受信できていない前記一部分の前又は後の前記軌跡データの時系列を用いて、受信できていない前記一部分の後又は前の前記位置又は前記速度の少なくとも一方を推定し、
前記推定した前記位置又は前記速度の少なくとも一方と、受信できていない前記一部分の後又は前の前記軌跡データとを比較して、前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが前記非線形であるか否かを判断する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のデータ受信装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のいずれも前記非線形でないと判断した場合において、
前記移動物体の周囲に存在する障害物の位置情報を取得し、
前記障害物の位置と受信できていない前記一部分の位置とを比較して、受信できていない前記一部分において前記移動物体の非線形な挙動の要因があるか否かを判断し、
前記非線形な挙動の要因があると判断した場合における、前記再度送信する前記軌跡データの時系列の時間間隔を、前記非線形な挙動の要因がないと判断した場合における前記時間間隔よりも短くすることを、前記送信装置に要求する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のデータ受信装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のいずれも前記非線形でないと判断した場合において、
前記移動物体の周囲の道路の構造を示す道路情報を取得し、
前記道路情報に基づいて、受信できていない前記一部分において前記移動物体の非線形な挙動の要因があるか否かを判断し、
前記非線形な挙動の要因があると判断した場合における、前記再度送信する前記軌跡データの時系列の時間間隔を、前記非線形な挙動の要因がないと判断した場合における前記時間間隔よりも短くすることを、前記送信装置に要求する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のデータ受信装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のいずれも前記非線形でないと判断した場合において、
前記移動物体の周囲の信号現示を示す現示情報を取得し、
前記信号現示が遷移する時刻と前記一部分の時刻とを比較して、受信できていない前記一部分において前記移動物体の非線形な挙動の要因があるか否かを判断し、
前記非線形な挙動の要因があると判断した場合における、前記再度送信する前記軌跡データの時系列の時間間隔を、前記非線形な挙動の要因がないと判断した場合における前記時間間隔よりも短くすることを、前記送信装置に要求する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のデータ受信装置。
【請求項9】
前記制御部は、
受信できていない前記一部分の時間が予め定めた取得時間よりも長い場合、前記取得時間ごとに1つの前記軌跡データを再度送信することを要求し、
受信できた前記取得時間ごとの前記軌跡データから、受信できていない前記一部分の時間のうちで、どの取得時間で前記移動物体に非線形な挙動が発生しているかを判断し、
前記非線形な挙動が発生していると判断された取得時間における、前記軌跡データの時系列を再度送信することを、前記送信装置へ要求する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載のデータ受信装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが前記非線形であると判断した場合における、前記軌跡データを再度送信する時の復調制御信号の挿入タイミング又は挿入回数を調整することを、前記送信装置に要求することを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のデータ受信装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが前記非線形であると判断した場合における、送信信号の変調数及び空間多重数の少なくとも一方を減少させることを、前記送信装置に要求することを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載のデータ受信装置。
【請求項12】
移動物体の位置、速度、加速度および車両制御情報の少なくとも一つを示す軌跡データの時系列を蓄積する記憶部と、
規定の送信周期で前記軌跡データの時系列を送信するデータ送信部とを備える送信装置から送信される前記軌跡データの時系列を受信するデータ受信部と、前記軌跡データの時系列が受信できているか否かを判断して、前記軌跡データの時系列の一部分が受信できていない場合に、受信できていない前記一部分を再度送信することを前記送信装置へ要求する制御部とを備えるデータ受信装置のデータ受信方法であって、
受信できていない前記一部分の前及び後の前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが非線形であるか否かを判断し、
前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが前記非線形であると判断した場合における、前記再度送信する前記軌跡データの時系列の時間間隔を
前記規定の送信周期のままに維持し、前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のいずれも前記非線形でないと判断した場合における前記時間間隔
を前記規定の送信周期よりも長くすることを、前記送信装置に要求する
ことを特徴とするデータ受信方法。
【請求項13】
移動物体の位置、速度、加速度および車両制御情報の少なくとも一つを示す軌跡データの時系列を蓄積する記憶部と、
規定の送信周期で前記軌跡データの時系列を送信するデータ送信部とを備える送信装置と、
前記データ送信部から送信される前記軌跡データの時系列を受信するデータ受信部と、前記軌跡データの時系列が受信できているか否かを判断して、前記軌跡データの時系列の一部分が受信できていない場合に、受信できていない前記一部分を再度送信することを前記送信装置へ要求する制御部とを備える受信装置と、
を有する送受信システムであって、
前記制御部は、
受信できていない前記一部分の前及び後の前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが非線形であるか否かを判断し、
前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のうち、少なくともいずれか一つが前記非線形であると判断した場合における、前記再度送信する前記軌跡データの時系列の時間間隔を
前記規定の送信周期のままに維持し、前記軌跡データの時系列
に含まれる位置、速度、加速度および車両制御情報のいずれも前記非線形でないと判断した場合における前記時間間隔
を前記規定の送信周期よりも長くすることを、前記送信装置に要求する
ことを特徴とするデータ送受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ受信装置、データ受信方法、及び送受信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去に車両が遭遇した危険な場面に存在していた物標の軌跡を示した軌跡パターン情報から、周辺で検出された物標との衝突可能性を判断する技術が知られている(特許文献1参照)。特許文献1では、軌跡パターン情報はデータベースセンタに集められ、データベースセンタは、車両からの要求に応じて、軌跡パターン情報を車両へ無線通信により送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
データベースセンタと車両との送受信に用いる通信回線の容量が通信品質の変動等が生じた際など、通信回線能力に対して大きなトラフィックが発生すると、軌跡パターン情報の一部又は全部が受信できなくなる場合がある。この場合、物標の軌跡の一部又は全部が不明となるので、衝突可能性を判断することができない、或いは、判断できたとしてもその精度は低下してしまう。
【0005】
受信できなかった部分は再度の送信により取得することが考えられる。しかし、この再度の送信は、トラフィックを更に増大させる原因となるため、出来るだけ少なく抑えることが望ましい。本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、トラフィックの増大を抑制しつつ、軌跡の予測に必要なデータを受信することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係わるデータ受信装置は、移動物体の位置、速度、加速度および車両制御情報の少なくとも一つを示す軌跡データの時系列が受信できていない場合に、受信できていない一部分を再度送信することを送信装置へ要求する。データ受信装置は、受信できていない一部分の前後の軌跡データの時系列が非線形であるか否かを判断し、非線形であると判断した場合における、再度送信する軌跡データの時系列の時間間隔を、非線形でないと判断した場合における時間間隔よりも短くすることを、送信装置に要求する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、トラフィックの増大を抑制しつつ、軌跡の予測に必要なデータを受信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る将来軌跡予測装置(データ受信装置)及びデータ送信装置を含むデータ送受信システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るデータ受信方法を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る将来軌跡予測装置(データ受信装置)及びデータ送信装置を含むデータ送受信システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係るデータ受信方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第3実施形態に係る将来軌跡予測装置(データ受信装置)及びデータ送信装置を含むデータ送受信システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態に係るデータ受信方法を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第4実施形態に係る将来軌跡予測装置(データ受信装置)及びデータ送信装置を含むデータ送受信システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第5実施形態に係る将来軌跡予測装置(データ受信装置)及びデータ送信装置を含むデータ送受信システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図9A】
図9Aは、データ欠損部分51を有する線形な位置データの時系列の例を示す模式図である。
【
図9B】
図9Bは、
図9Aデータ欠損部分51の再度送信に係わる位置データの時系列の例を示す模式図である。
【
図9C】
図9Cは、
図9Bデータ欠損部分52の再度送信に係わる位置データの時系列の例を示す模式図である。
【
図10A】
図10Aは、データ欠損部分51を有する非線形な位置データの時系列の例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、上記のデータ欠損部分51を複数の取得時間(53a~53d)に分割する例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
図1を参照して、第1実施形態に係る将来軌跡予測装置11(データ受信装置の一例)及びデータ送信装置12を含むデータ送受信システムの全体構成を説明する。第1実施形態に係るデータ送受信システムにおいて、データ送信装置12(以後、「送信装置」と略する。)は、移動物体の位置を示す位置データの時系列を送信する。一方、将来軌跡予測装置11(以後、「受信装置」と呼ぶ。)は、送信装置12が送信した位置データの時系列を受信し、受信した位置データの時系列に基づいて移動物体の将来の移動軌跡を予測する。
【0011】
受信装置11は例えば車両に搭載されている。一方、送信装置12は、例えば地上に配置されたサーバであっても良いし、他の車両に搭載されていても構わない。つまり、送信装置12と受信装置11との通信は、路車間通信であっても良いし、車車間通信であっても構わない。
【0012】
「移動物体」は、車両、航空機、船、歩行者を含む、2次元又は3次元において移動可能な全ての移動物体が含まれる。「位置データ」には、2次元又は3次元における移動物体の位置を示す位置情報であって、例えば、地理座標系に基づく経度、緯度、高度、及び深度の情報が含まれる。よって、受信装置11が予測する移動軌跡も2次元又は3次元における移動軌跡となる。「位置データの時系列[Time Series]」とは、移動物体の位置の時間的な変化を、連続的に、または一定間隔をおいて不連続に観測して得られた値(位置データ)の系列、すなわち一連の値である。
【0013】
受信装置11は、例えばトラフィックの増大による通信の混雑により、送信装置12が送信した位置データの時系列の一部分を受信できない場合がある。受信装置11は、位置データの時系列の一部分を受信できなかった場合、受信できていないこの一部分を再度送信することを送信装置12へ要求する。ここで、受信装置11は、再度送信を要求する前に、受信できていないこの一部分(「データ欠損部分」と呼ぶ)の時間的に前及び後の位置データの時系列が非線形であるか否かを判断する。例えば、受信装置11は、データ欠損部分よりも前の位置データの時系列、及びデータ欠損部分よりも後の位置データの時系列の双方を、同じ直線を用いて近似できるか否かを判断する。受信装置11は、同じ直線を用いて近似できれば、線形であると判断し、同じ直線を用いて近似できなければ、非線形であると判断する。
【0014】
双方が線形であれば、再度送信を要求する位置データの時系列の時間間隔を長くしても、将来の移動軌跡の予測精度への影響は小さい。位置データの時系列の時間間隔が長くなれば、再度送信されるデータ量が減り、トラフィックの増大が抑制され、データ受信に成功する確率も高くなる。これに対して、双方が非線形であれば、移動物体がデータ欠損部分において非線形な挙動を取った可能性がある。将来の移動軌跡の予測精度を高く維持する為には移動物体の非線形な挙動を正確に把握することが望ましい。そこで、受信装置11は、再度送信を要求する位置データの時系列の時間間隔を短くする。
【0015】
このように、受信装置11は、データ欠損部分の前後の位置データの時系列の線形性を判断し、線形性の判断結果に基づいて、再度送信を要求する際の位置データの時系列の時間間隔を調整する。具体的には、受信装置11は、位置データの時系列が非線形であると判断した場合における、再度送信する位置データの時系列の時間間隔を、位置データの時系列が非線形でないと判断した場合における時間間隔よりも短くする。これにより、受信装置11は、将来の移動軌跡を予測するために必要なデータだけを、送信装置12に要求することができる。よって、トラフィックの増大が抑制され、将来の移動軌跡の予測に必要なデータだけをより確実に受信することができる。
【0016】
送信装置12は、位置データの時系列を蓄積するデータベース29(記憶部)と、アンテナ31を介してデータベース29に蓄積されている位置データの時系列を移動体通信により送信するデータ送受信部27と、データ送受信部27が送信する位置データの時系列の時間間隔を制御する物体位置データ配信部28とを備える。データ送受信部27は、受信装置11からの送信要求に応じて、位置データの時系列を送信する。物体位置データ配信部28は、受信装置11から指示された位置データの時系列の時間間隔にしたがって、位置データの時系列の時間間隔を制御する。
【0017】
データベース29には、コンピュータが処理すべきデジタルデータをある期間保持する機能を備える全てのものが含まれる。例えば、コンピュータの内又は外のメモリ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、フロッピーディスク、磁気ディスク、光ディスクを適用できる。後述する軌跡データ格納部22(
図1)、信号現示記憶部33(
図5)、障害物情報記憶部34(
図5)、及び道路構造記憶部35(
図5)についても、データベース29と同様である。
【0018】
データ送受信部27及び物体位置データ配信部28は、CPU(中央処理装置)、RAM及びROMなどのメモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータを実現可能である。もちろん、ASIC(特定用途向け集積回路)等の専用のハードウェアを用意して、データ送受信部27及び物体位置データ配信部28を構成することも可能である。また、データ送受信部27及び物体位置データ配信部28を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0019】
受信装置11は、アンテナ30を介して送信装置12から送信される位置データの時系列を受信するデータ送受信部21(データ受信部)と、データ送受信部21が受信した位置データの時系列を格納する軌跡データ格納部22と、制御部(23~26)とを備える。
【0020】
制御部(23~26)は、CPU(中央処理装置)、RAM及びROMなどのメモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータを実現可能である。もちろん、ASIC(特定用途向け集積回路)等の専用のハードウェアを用意して、制御部(23~26)が備える各情報処理回路を構成することも可能である。また、制御部(23~26)が備える各情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0021】
制御部(23~26)は、送信装置12から送信される位置データの時系列が受信できているか否かを判断する。そして、制御部(23~26)は、位置データの時系列の一部分が受信できていない場合に、受信できていない一部分(データ欠損部分)を再度送信することを送信装置12へ要求する。制御部(23~26)は、再度送信を要求した位置データの時系列を受信できるまで、繰り返し、再度送信を要求する。勿論、所定の時間又は所定の回数、再度送信を要求したが、位置データの時系列を受信できなかった場合、制御部(23~26)は、再度送信の要求を終了しても構わない。
【0022】
制御部(23~26)は、データ欠損判断部24と、非線形挙動監視部25と、送信品質制御要求部26と、将来軌跡予測部23とを備える。
【0023】
データ欠損判断部24は、受信した位置データの時系列にデータ欠損部分があるか否かを判断する。例えば、従前の位置データ間の時間差の平均値に対して、実測の位置データの時間差が上回った場合に、その上回った部分を、データ欠損部分として判断する。または、
図9Aに示すように、データ送受信部21が、100m秒毎の移動物体50の位置を示す位置データの時系列(P1f、P1b)を受信している。100m秒の時間間隔は、位置データの時系列の時間間隔の一例であって、送信装置12と受信装置11との間で予め定められている規定の送信周期である。位置データの時系列(P1f)と、位置データの時系列(P1b)との間に、100m秒よりも長い時間の位置データの時系列が存在しない領域、即ち、データ欠損部分51が生じている。データ欠損判断部24は、規定の時間間隔(例えば100m秒)よりも長い時間の位置データの時系列が存在しない領域(データ欠損部分51)が有るか否かを判断する。
【0024】
非線形挙動監視部25は、データ欠損部分の前及び後の位置データの時系列が非線形であるか否かを判断する。具体的に、
図9Aに示すように、非線形挙動監視部25は、データ欠損部分51よりも時間的に前の位置データの時系列(P1b)、及びデータ欠損部分よりも時間的に後の位置データの時系列(P1f)の双方を、同じ直線を用いて近似できるか否かを判断する。すなわち、データ欠損部分51よりも時間的に前の位置データの時系列(P1b)、及びデータ欠損部分よりも時間的に後の位置データの時系列(P1f)の双方が同じ直線上に配列されているか否かを判断する。
図9Aに示す例では、非線形挙動監視部25は、位置データの時系列(P1b、P1f)の双方を同じ直線を用いて近似できるので、非線形ではない、と判断する。一方、
図10Aに示す例では、非線形挙動監視部25は、データ欠損部分51よりも時間的に前の位置データの時系列(P1b)、及びデータ欠損部分よりも時間的に後の位置データの時系列(P1f)の双方を、同じ直線を用いて近似できない。よって、非線形挙動監視部25は、非線形である、と判断する。なお、同じ直線とは厳密に同一の直線でなくとも良く、データ欠損部分51よりも時間的に前の位置データの時系列(P1b)、及びデータ欠損部分よりも時間的に後の位置データの時系列(P1f)の双方がおおよそ同じ直線上に配列されることが判断できる程度の多少の誤差は許容される。
【0025】
例えば、非線形挙動監視部25は、
図9Aに示すデータ欠損部分51よりも時間的に前又は後の位置データの時系列(P1f、P1b)を用いて、データ欠損部分51よりも時間的に後又は前の位置を推定する。非線形挙動監視部25は、推定した位置と、データ欠損部分51よりも時間的に後又は前の位置データの時系列(P1b、P1f)とを比較する。推定した位置とデータ欠損部分51よりも時間的に後又は前の位置データの時系列(P1b、P1f)との誤差が例えば10%未満である場合、非線形挙動監視部25は、線形であると判断する。誤差が例えば10%以上である場合、非線形挙動監視部25は、非線形であると判断する。これにより、データ欠損部分51における移動物体50の非線形な挙動の有無を正確に判断することができる。
【0026】
送信品質制御要求部26は、位置データの時系列が非線形であると判断した場合における、再度送信する位置データの時系列の時間間隔を、位置データの時系列が非線形でないと判断した場合における時間間隔よりも短くすることを、送信装置12に要求する。第1実施形態において、送信品質制御要求部26は、位置データの時系列が非線形であると判断した場合における、再度送信される位置データの送信周期(位置データのサンプリング周期を含む)を、位置データの時系列が非線形でないと判断した場合における送信周期よりも短くすることを、送信装置12に要求する。位置データの送信周期よりも短くすることにより、位置データの時系列の時間間隔を短くすることができる。例えば、
図9Bに示すように、線形であると判断される場合、送信品質制御要求部26は、再度送信される位置データの送信周期を、規定の送信周期(例えば、100m秒)よりも長い、例えば200m秒に調整する。送信装置12は、送信品質制御要求部26からの200m秒の送信周期の要求にしたがって、データ欠損部分51における位置データの時系列(P2)を送信する。一方、
図10Bに示すように、非線形であると判断される場合、送信品質制御要求部26は、再度送信される位置データの送信周期を、規定の送信周期(例えば、100m秒)のままに維持する。送信装置12は、送信品質制御要求部26からの100m秒の送信周期の要求にしたがって、データ欠損部分51における位置データの時系列(P2)を送信する。
【0027】
図9A~
図9D、及び
図10A~
図10Dは、受信装置11が、例えば、合計3回、位置データの時系列を受信した例を示す。つまり、
図9A、
図10Aは最初の受信を示し、
図9B、
図10Bは第1回目の再度の受信を示し、
図9C、
図10Cは第2回目の再度の受信を示す。最初の受信において、位置データの時系列(P1f、P1b)を受信したが、データ欠損部分51が発生した。受信装置11が、データ欠損部分51について第1回目の再度送信を要求したところ、位置データの時系列(P2)を受信したが、新たなデータ欠損部分52が発生した。受信装置11が、データ欠損部分52について第2回目の再度送信を要求したところ、位置データの時系列(P3)を受信し、新たなデータ欠損部分は発生しなかった。
【0028】
このように、制御部(23~26)は、再度送信を要求した位置データの時系列を受信できるまで、繰り返し、再度送信を送信装置12に対して要求する。この結果、軌跡データ格納部22には、
図9D及び
図10Dに示すように、合計3回の受信で得られた位置データの時系列(P1f、P2、P3、P1b)がつなぎ合わせた状態で格納される。
【0029】
将来軌跡予測部23は、軌跡データ格納部22に格納された位置データの時系列(P1f、P2、P3、P1b)に基づいて移動物体50の将来の移動軌跡を予測する。例えば、オプティカルフロー法を用いて移動物体50の将来の挙動を予測することにより、将来の移動軌跡を予測する。なお、線形である場合に再度送信された位置データの時系列(P2、P3)に対する統計処理により、位置データの点数は2倍以上に補正することができる。よって、将来軌跡予測部23は、移動物体50の将来の移動軌跡を正しく予測することができる。
【0030】
図9D及び
図10Dに示すように、データ欠損部分51において移動物体50が非線形な挙動を取ったか否かに応じて、位置データの時系列の時間間隔を調整することができる。具体的には、移動物体50が非線形な挙動を取っていなければ、位置データの時系列の時間間隔を長くする。これにより、トラフィックの増大が抑制され、データ受信に成功する確率を高めることができる。一方、移動物体50が非線形な挙動を取っていれば、位置データの時系列の時間間隔を短くする。これにより、移動物体50の非線形な挙動を正確に把握して、将来の移動軌跡の予測精度を高く維持することができる。
【0031】
図2を参照して、第1実施形態に係るデータ受信方法を説明する。ステップS01において、受信装置11は、送信装置12が位置データをサンプリングする周期、及び送信装置12が位置データを送信する送信周期を100m秒に設定する。ステップS02に進み、受信装置11と送信装置12との間で通信確認作業(TCPコネクションの確立)を行う。
【0032】
ステップS03に進み、受信装置11は、送信装置12に対して、移動物体50の位置データの送信を要求する。データ送受信部21は、位置データの送信要求の信号を、移動体通信により送信装置12へ送信する。位置データには、サンプリング時刻及びその時刻における移動物体の位置を示す情報が含まれる。
【0033】
ステップS04に進み、この送信要求の信号を受信した送信装置12は、100m秒の送信周期で移動物体の位置データを繰り返し送信する。データ送受信部21は、100m秒の送信周期で送信される移動物体の位置データを繰り返し受信する。受信した位置データの時系列は、軌跡データ格納部22に格納されると同時に、データ欠損判断部24にも転送される。
【0034】
ステップS05に進み、制御部(23~26)は、位置データの時系列を受信しているか否かを判断する。受信している場合(S05でYES)ステップS06へ進み、受信装置11は、新たな位置データの受信を中断する。ステップS07に進み、データ欠損判断部24は、受信した位置データの時系列に、
図9A又は
図10Aに示すようなデータ欠損部分51があるか否かを判断する。
【0035】
データ欠損部分51があると判断した場合(ステップS07でYES)、ステップS08に進み、非線形挙動監視部25は、データ欠損部分の前及び後の位置データの時系列が非線形であるか否かを判断する。非線形である場合(S08でYES)、ステップS09に進み、送信品質制御要求部26は、データ欠損部分51を再度送信することを送信装置12へ要求する。この時、送信品質制御要求部26は、再度送信される位置データの送信周期を、規定の送信周期(例えば、100m秒)のままに維持する。
【0036】
一方、線形である場合(S08でNO)、ステップS10に進み、現在の送信周期が1秒未満であるか否かを判断する。現在の送信周期が1秒未満である場合(S10でYES)、送信周期を更に長くしても将来軌跡の予測に与える影響は大きくないと判断できるので、ステップS11に進む。そして、ステップS11において、送信品質制御要求部26は、データ欠損部分51を再度送信することを送信装置12へ要求する。この時、送信品質制御要求部26は、再度送信される位置データの送信周期を、現在の送信周期(100m秒)に所定時間(100m秒)を加算して、送信周期を200m秒に更新する。
【0037】
一方、送信周期が1秒に達している場合(S10でNO)、送信周期をこれ以上長くすると将来軌跡の予測に与える影響を無視できないと判断できるので、ステップS12に進む。そして、ステップS12において、送信品質制御要求部26は、データ欠損部分51を再度送信することを送信装置12へ要求する。この時、送信品質制御要求部26は、再度送信される位置データの送信周期を、現在の送信周期(1秒)のまま維持する。ステップS09、S11、S12の後、ステップS02に戻り、受信装置11は、データ欠損部分51について、位置データの時系列を再度受信する。
【0038】
一方、データ欠損部分51がないと判断した場合(ステップS07でNO)、将来軌跡の予測に必要な位置データの時系列を受信できたと判断できるため、ステップS13へ進む。また、ステップS05で位置データの時系列を受信していない場合(S05でNO)、同様にして、ステップS13へ進む。
【0039】
ステップS13において、受信装置11は、送信装置12との接続を終了する。そして、ステップS14に進み、将来軌跡予測部23は、軌跡データ格納部22に格納された位置データの時系列(P1f、P2、P3、P1b)に基づいて移動物体50の将来の移動軌跡を予測する。以上の処理にて、
図2のフローチャートは終了する。
【0040】
以上説明したように、制御部(22~26)は、データ欠損部分の前及び後の位置データの時系列が非線形であるか否かを判断し、位置データの時系列が非線形であると判断した場合における、再度送信する位置データの時系列の時間間隔を、位置データの時系列が非線形でないと判断した場合における時間間隔よりも短くすることを、送信装置12に要求する。トラフィックの増大を抑制しつつ、再送品質を高めることができるので、将来の移動軌跡の予測に必要な位置データの時系列を受信することができる。
【0041】
制御部(22~26)は、位置データの時系列が非線形であると判断した場合における、再度送信される位置データの送信周期を、軌跡データの時系列が非線形でないと判断した場合における送信周期よりも短くすることを、送信装置12に要求する。送信周期よりも短くすることにより、位置データの時系列の時間間隔を短くすることができる。よって、トラフィックの増大を抑制しつつ、再送品質を高めることができるので、将来の移動軌跡の予測に必要な位置データの時系列を受信することができる。
【0042】
制御部(22~26)は、
図2に示したように、データ欠損部分が受信できるまで、再度送信することを送信装置12へ繰り返し要求する。そして、制御部(22~26)は、位置データの時系列が非線形でないと判断した場合(S08でNO)において、データ欠損部分の再度送信を要求する回数が増えるほど、再度送信する位置データの時系列の時間間隔を長くする(ステップS11)。具体的には、送信品質制御要求部26は、回数が増える度に、送信周期を100m秒ずつ長くする。送信周期を長くすることにより、再送品質が高まるため、位置データの受信に成功する確率を高めることができる。
【0043】
(第1変形例)
第1実施形態では、移動物体50の位置を示す位置データの送受信を例に取り、説明した。送信装置12及び受信装置11は、移動物体50の位置を示す位置データのみならず、移動物体50の速度を示す速度データ及び加速度を示す加速度データを送受信することもできる。或いは、位置データ、速度データ、加速度データ及び連続する車両制御情報(速度データや加速度データ等の車両状態のデータとは異なる、例えばアクセル開度、ブレーキ操作量、操舵量等の車両制御状態に関わるデータであり、以下単に車両制御情報と記載)の少なくともいずれか1つを送受信しても構わない。送信装置12及び受信装置11が送受信する、位置データ、速度データ、加速度データ及び車両制御情報の少なくともいずれか1つとそのサンプリング時刻との組合せを「軌跡データ」と呼ぶ。つまり、第1実施形態における「位置データ」を「軌跡データ」で置き換えて実施することができる。
【0044】
例えば、軌跡データに、位置データ、速度データ、加速度データ及び車両制御情報の全てが含まれる場合を考える。
【0045】
非線形挙動監視部25は、軌跡データに含まれる移動物体50の位置データ、速度データ、加速度データ及び車両制御情報のうち、いずれか1つでも非線形なデータがあれば、データ欠損部分51で移動物体50に非線形な挙動があると判断する。非線形挙動監視部25は、位置データ、速度データ、加速度データ及び車両制御情報の全てが線形である場合に限り、データ欠損部分51で移動物体50に非線形な挙動はないと判断する。これにより、例えば、データ欠損部分51での急激な速度の変化、加速度の変化および車両制御情報の変化を、移動物体50の非線形な挙動として捉えることができる。よって、将来の移動軌跡の予測に必要な軌跡データの時系列を受信することができる。なお、速度データ、加速度データおよび車両制御情報の時系列が線形であるか否かは、縦軸または横軸の一方を時間軸、他方をデータの値としてプロットした場合に、位置データと同様にデータ欠損部分の前及び後のデータの時系列が同じ直線で近似できるか否かに基づいて判定することができる。
【0046】
(第2実施形態)
第1実施形態では、軌跡データの時系列が非線形である場合に、送信品質制御要求部26が、軌跡データのサンプリング周期を含む送信周期を、軌跡データの時系列が線形である場合よりも短くすることにより、軌跡データの時系列の時間間隔を短くする例を示した。第2実施形態では、軌跡データの時系列の密度を、軌跡データの時系列が非線形でないと判断した場合における密度よりも高くする。具体的には、送信品質制御要求部26は、軌跡データの時系列が非線形である場合における1秒あたりの軌跡データのサンプリング数(点数)を、軌跡データの時系列が線形である場合における1秒あたりの軌跡データのサンプリング数(点数)よりも高くする。軌跡データの時系列の単位時間あたりの密度を高くすることにより、軌跡データの時系列の時間間隔を短くすることができる。
【0047】
図3に示すように、第2実施形態に係るデータ送受信システムにおいて、送信装置12は、
図1の物体位置データ配信部28の代わりに、軌跡データ配信部32を備える。データベース29(記憶部)は、移動物体50の軌跡データの時系列を蓄積する。データ送受信部27は、アンテナ31を介してデータベース29に蓄積されている軌跡データの時系列を移動体通信により送信する。軌跡データ配信部32は、データ送受信部27が送信する軌跡データの時系列の時間間隔を制御する。具体的には、軌跡データ配信部32は、1秒あたりの軌跡データのサンプリング数(点数)を調整することにより、軌跡データの時系列の単位時間あたりの密度を制御する。データ送受信部27は、受信装置11からの送信要求に応じて、軌跡データの時系列を送信する。軌跡データ配信部32は、受信装置11から指示された軌跡データのサンプリング数にしたがって、軌跡データのサンプリング数を制御する。
【0048】
データ送受信部27及び軌跡データ配信部32は、CPU(中央処理装置)、RAM及びROMなどのメモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータを実現可能である。もちろん、ASIC(特定用途向け集積回路)等の専用のハードウェアを用意して、データ送受信部27及び物体位置データ配信部28を構成することも可能である。また、データ送受信部27及び物体位置データ配信部28を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0049】
受信装置11は、第1実施形態で説明した受信装置11に比べて、「位置データ」を「軌跡データ」に置き換えた点が異なる。
【0050】
非線形挙動監視部25は、第1変形例で説明したように、軌跡データに含まれる移動物体50の位置データ、速度データ及び加速度データのうち、いずれか1つでも非線形なデータがあれば、データ欠損部分51で移動物体50に非線形な挙動があると判断する。非線形挙動監視部25は、軌跡データに含まれる位置データ、速度データ及び加速度データの全てが線形である場合に限り、データ欠損部分51で移動物体50に非線形な挙動はないと判断する。これにより、例えば、データ欠損部分51での急激な速度の変化、及び加速度の変化を、移動物体50の非線形な挙動として捉えることができる。よって、将来の移動軌跡の予測に必要な軌跡データの時系列を受信することができる。
【0051】
送信品質制御要求部26は、軌跡データの時系列が非線形であると判断した場合における、再度送信する軌跡データの時系列の密度を、軌跡データの時系列が非線形でないと判断した場合における密度よりも短くすることを、送信装置12に要求する。例えば、送信品質制御要求部26は、非線形である場合、1秒間で3点以上の軌跡データの時系列の再度送信を送信装置12に要求する。これにより、軌跡データの時系列の時間間隔が短くなるので、移動物体50の非線形な挙動を正確に把握して、将来の移動軌跡の予測精度を高く維持することができる。送信品質制御要求部26は、線形である場合、1秒間で2点の軌跡データの時系列の再度送信を送信装置12に要求する。これにより、軌跡データの時系列の時間間隔が長くなるので、トラフィックの増大が抑制され、再送品質が高まるため、データ受信に成功する確率を高めることができる。
【0052】
受信装置11は、再度送信を要求した位置データの時系列を受信できるまで、繰り返し、再度送信を送信装置12に対して要求する。将来軌跡予測部23は、第1実施形態のそれと同じであり、説明を省略する。
【0053】
図4を参照して、第2実施形態に係るデータ受信方法を説明する。ステップS21において、受信装置11は、送信装置12に対して、通信確認作業(TCPコネクションの確立)を要求する。ステップS02に進み、受信装置11と送信装置12との間で通信確認作業(TCPコネクションの確立)を行う。
【0054】
ステップS03に進み、受信装置11は、送信装置12に対して、移動物体50の軌跡データの送信を要求する。データ送受信部21は、軌跡データの送信要求の信号を、移動体通信により送信装置12へ送信する。軌跡データには、サンプリング時刻及びその時刻における移動物体の位置、速度、及び加速度を示す情報が含まれる。
【0055】
ステップS04に進み、この送信要求の信号を受信した送信装置12は、規定の送信周期で移動物体の軌跡データを繰り返し送信する。データ送受信部21は、規定の送信周期で送信される移動物体の軌跡データを繰り返し受信する。
【0056】
ステップS04~ステップS08は、
図2のステップS04~ステップS08と同じ処理であり、説明を省略する。
【0057】
軌跡データの時系列が非線形である場合(S08でYES)、ステップS22に進み、送信品質制御要求部26は、データ欠損部分51を再度送信することを送信装置12へ要求する。この時、送信品質制御要求部26は、1秒間で3点以上の軌跡データの時系列の再度送信を送信装置12に要求する。一方、軌跡データの時系列が線形である場合(S08でNO)、ステップS23に進み、送信品質制御要求部26は、データ欠損部分51を再度送信することを送信装置12へ要求する。この時、送信品質制御要求部26は、1秒間で2点の軌跡データの時系列の再度送信を送信装置12に要求する。ステップS22、S23の後、ステップS02に戻り、受信装置11は、データ欠損部分51について、軌跡データの時系列を再度受信する。
【0058】
一方、データ欠損部分51がないと判断した場合(ステップS07でNO)、将来軌跡の予測に必要な位置データの時系列を受信できたため、ステップS13へ進む。また、ステップS05で位置データの時系列を受信していない場合(S05でNO)、同様にして、ステップS13へ進む。
【0059】
ステップS13~ステップS14は、
図2のステップS13~ステップS14と同じ処理であり、説明を省略する。
【0060】
(第3実施形態)
図5を参照して、第3実施形態に係る将来軌跡予測装置(データ受信装置)及びデータ送信装置を含むデータ送受信システムの全体構成を説明する。第3実施形態では、軌跡データの時系列が線形であると判断した場合(S08でNO)であっても、データ欠損部分51において移動物体50の非線形な挙動の要因がある場合には、非線形であると判断した場合(S08でYES)と同様に処理する例を説明する。
【0061】
図5を参照して、第3実施形態に係る将来軌跡予測装置(データ受信装置)及びデータ送信装置を含むデータ送受信システムの全体構成を説明する。送信装置12は、
図1の送信装置12に対して、信号現示記憶部33、障害物情報記憶部34、及び道路構造記憶部35を更に備える。信号現示記憶部33には、移動物体50の周囲の信号現示を示す現示情報が記憶されている。障害物情報記憶部34には、移動物体50の周囲に存在する障害物の位置情報が記憶されている。障害物には、車線上に存在する工事区間、駐停車車両が含まれる。道路構造記憶部35には、移動物体50の周囲の道路の構造を示す道路情報が記憶されている。道路の構造には、車線の分岐及び合流が含まれる。
【0062】
データ送受信部27は、受信装置11からの送信要求に応じて、現示情報、障害物の位置情報、及び道路情報を送信する。
【0063】
受信装置11は、
図1及び
図3の受信装置11に比べて、非線形挙動要因判断部36を更に備える点で相違する。
【0064】
非線形挙動要因判断部36は、移動物体50の周囲の道路の構造を示す道路情報を取得し、道路情報に基づいて、データ欠損部分51において非線形な挙動の要因があるか否かを判断する。例えば、非線形挙動要因判断部36は、データ欠損部分51の位置と、車線の分岐位置又は合流位置とを比較する。データ欠損部分51に車線の分岐又は合流が存在する場合、移動物体50としての車両は、車線の分岐や合流において操舵が発生した可能性がある。操舵の発生は、移動物体50の非線形な挙動に結びつくため、移動物体50の将来の移動軌跡の予測に大きな影響を与える。よって、非線形挙動要因判断部36は、データ欠損部分51に車線の分岐や合流が存在する場合、非線形な挙動の要因があると判断する。
【0065】
非線形挙動要因判断部36は、移動物体50の周囲に存在する障害物の位置情報を取得し、障害物の位置とデータ欠損部分51の位置とを比較して、データ欠損部分51において非線形な挙動の要因があるか否かを判断する。例えば、データ欠損部分51の車線上に工事区間又は駐停車車両が存在する場合、移動物体50としての車両は、工事区間又は駐停車車両を避ける為、同一車線内で車幅方向の位置が変化した可能性がある。車幅方向の位置の変化は、移動物体50の非線形な挙動に結びつくため、移動物体50の将来の移動軌跡の予測に大きな影響を与える。よって、非線形挙動要因判断部36は、データ欠損部分51に工事区間又は駐停車車両が存在する場合、非線形な挙動の要因がある判断する。
【0066】
非線形挙動要因判断部36は、移動物体50の周囲の信号現示を示す現示情報を取得し、信号現示が遷移する時刻とデータ欠損部分51の時刻とを比較して、データ欠損部分51において非線形な挙動の要因があるか否かを判断する。例えば、移動物体50としての車両がデータ欠損部分51を走行している時に信号現示が遷移した場合、移動物体50に加速又は減速が発生した可能性がある。加速又は減速の発生は、移動物体50の非線形な挙動に結びつくため、移動物体50の将来の移動軌跡の予測に大きな影響を与える。よって、非線形挙動要因判断部36は、データ欠損部分51において信号現示の遷移があった場合、非線形な挙動の要因があると判断する。
【0067】
第3実施形態において、非線形挙動要因判断部36は、道路情報、障害物の位置情報、及び現示情報のうち少なくとも1つに基づいて、データ欠損部分51において非線形な挙動の要因があるか否かを判断する。道路情報、障害物の位置情報、及び現示情報の全てについて非線形な挙動の要因が無い場合に限り、非線形挙動要因判断部36は、データ欠損部分51において非線形な挙動の要因が無いと判断する。道路情報、障害物の位置情報、及び現示情報の少なくとも1つについて非線形な挙動の要因が有る場合、非線形挙動要因判断部36は、データ欠損部分51において非線形な挙動の要因が有ると判断する。
【0068】
第3実施形態において、非線形挙動監視部25がデータ欠損部分51の前及び後の軌跡データの時系列が線形であると判断した場合に限り、非線形挙動要因判断部36は、データ欠損部分51における非線形な挙動の要因があるか否かを判断する。
【0069】
送信品質制御要求部26は、非線形挙動要因判断部36がデータ欠損部分51において非線形な挙動の要因があると判断した場合における、再度送信する軌跡データの時系列の時間間隔を、非線形な挙動の要因がないと判断した場合における時間間隔よりも短くすることを、送信装置12に要求する。なお、送信品質制御要求部26は、軌跡データの送信周期、及び、軌跡データの時系列の密度の少なくともいずれか一方を制御することにより、再度送信する軌跡データの時系列の時間間隔を制御する。
図6に示すフローチャートでは、送信品質制御要求部26が軌跡データの時系列の密度を制御する例を示す。
【0070】
図6を参照して、第3実施形態に係るデータ受信方法を説明する。
図6のフローチャートは、
図4と比べて、ステップS24を更に備える点で相違し、その他の点で共通する為、ここではステップS24についてのみ説明する。
【0071】
軌跡データの時系列が線形である場合(S08でNO)、ステップS24に進む。ステップS24において、非線形挙動要因判断部36は、道路情報、障害物の位置情報、及び現示情報のうち少なくとも1つに基づいて、データ欠損部分51において非線形な挙動の要因があるか否かを判断する。
【0072】
非線形な挙動の要因がある場合(S24でYES)、データ欠損部分51において移動物体50に非線形な挙動が発生した可能性がある。例えば、データ欠損部分51において車道上の障害物(工事区間又は駐停車車両)を避け、その後、従前の軌跡に戻っている可能性がある。この場合、
図9Aに示すように、データ欠損部分51の前及び後の軌跡データの時系列は線形である(S08でNO)が、データ欠損部分51において移動物体50に非線形な挙動が発生していた可能性がある。そこで、軌跡データの時系列が非線形である場合(S08でYES)と同様に、ステップS22へ進み、送信品質制御要求部26は、データ欠損部分51の軌跡データを再度送信することを送信装置12へ要求する。この時、送信品質制御要求部26は、軌跡データの時系列の密度を高くすることを、送信装置12へ要求する。例えば、送信品質制御要求部26は、1秒間で3点以上の軌跡データの時系列の再度送信を送信装置12に要求する。
【0073】
一方、非線形な挙動の要因がない場合(S24でNO)、データ欠損部分51において移動物体50に非線形な挙動は発生していないと判断して、ステップS23へ進む。そして、送信品質制御要求部26は、データ欠損部分51の軌跡データを再度送信することを送信装置12へ要求する。この時、送信品質制御要求部26は、軌跡データの時系列の密度を低くすること、送信装置12へ要求する。例えば、送信品質制御要求部26は、1秒間で2点の軌跡データの時系列の再度送信を送信装置12に要求する。
【0074】
非線形挙動要因判断部36は、移動物体50の周囲の障害物、道路構造、又は信号現示に基づいて、データ欠損部分51における移動物体50の非線形な挙動の要因の有無を判断する。送信品質制御要求部26は、非線形な挙動の要因があると判断した場合における、再度送信する軌跡データの時系列の時間間隔を、非線形な挙動の要因がないと判断した場合における時間間隔よりも短くする。これにより、データ欠損部分51における移動物体50の非線形な挙動を正確に推測して、将来の移動軌跡の予測に必要な軌跡データの時系列を受信することができる。
【0075】
(第4実施形態)
第4実施形態では、制御部(23~26、37)が、
図11に示すように、データ欠損部分53の時間が予め定めた取得時間よりも長い場合、データ欠損部分53を複数の取得時間(53a~53d)に分割し、どの取得時間(53a~53d)で移動物体50に非線形な挙動が発生しているかを判断する例を説明する。
【0076】
図7を参照して、第4実施形態に係る将来軌跡予測装置(データ受信装置)及びデータ送信装置を含むデータ送受信システムの全体構成を説明する。第4実施形態に関わる受信装置11は、第3実施形態(
図5)のそれに比べて、長期欠損再送要求部37を更に備える点で相違し、その他の点で共通する。第4実施形態に関わる受信装置11は、第3実施形態(
図5)のそれと同じであり、説明を省略する。
【0077】
長期欠損再送要求部37は、データ欠損判断部24により判定されたデータ欠損部分51の時間の長さが、例えば
図11に示すように、予め定めた取得時間よりも長いか否かを判断する。取得時間(53a~53d)は、例えば、車線変更、隣接車線への合流、隣接車線からの分岐又は障害物に対する移動物体50の操舵時間、或いは、信号現示の変化に対する移動物体50の加速時間又は減速時間に相当する。あるいは、所得時間は、例えば0.1Gの加速度又は減速度、又は走行レーンの遷移を観測するために必要なサンプル点数を取得できる時間であってもよい。
【0078】
長期欠損再送要求部37は、データ欠損部分51の時間が取得時間よりも長い場合、取得時間(53a~53d)ごとに所定数の軌跡データ(Pha~Phd)を再度送信することを送信装置12に対して要求する。例えば、
図11に示すように、取得時間(53a~53d)ごとに、1つの軌跡データ(Pha~Phd)の再度送信を要求する。長期欠損再送要求部37が要求する軌跡データの密度は、送信品質制御要求部26が要求する軌跡データの密度よりも低い。
【0079】
長期欠損再送要求部37は、再度送信の要求に対して受信できた取得時間(53a~53d)ごとの軌跡データ(Pha~Phd)から、データ欠損部分51の時間のうちで、どの取得時間(53a~53d)で移動物体50に非線形な挙動が発生しているかを判断する。
【0080】
長期欠損再送要求部37は、データ欠損部分51よりも後の軌跡データ(P1b)を近似する直線上に、軌跡データ(Pha~Phd)の各々が位置するか否かを判断する。
図11の例では、軌跡データ(P1b)を近似する直線上に軌跡データ(Phd、Phc、Phb)が位置するが、軌跡データPhdは、軌跡データ(P1b)の近似直線上に位置しない。更に、長期欠損再送要求部37は、データ欠損部分51よりも前の軌跡データ(P1f)を近似する直線上に、軌跡データ(Pha~Phd)の各々が位置するか否かを判断する。
図11の例では、軌跡データ(P1b)の近似直線上に、軌跡データPhaは位置していない。よって、
図11の例において、3つの取得時間(53b~53d)において移動物体50の線形な挙動が予測され、取得時間(53a)において移動物体50の非線形な挙動が予測される。そこで、長期欠損再送要求部37は、受信できた取得時間(53a~53d)ごとの軌跡データ(Pha~Phd)から、データ欠損部分51の時間のうちで、取得時間(53a)で移動物体50に非線形な挙動が発生していると判断する。
【0081】
非線形挙動監視部25は、取得時間(53a)の前の軌跡データの時系列(P1f)と、取得時間(53a)の後の軌跡データの時系列(Pha~Phd、P1b)とが非線形であるか否かを判断する。即ち、第1~第3実施形態における「データ欠損部分51」を、「取得時間(53a)」で置き換えて実施すればよい。
【0082】
非線形挙動要因判断部36は、障害物、道路の構造、又は信号現示に基づいて、取得時間(53a)において移動物体50の非線形な挙動の要因があるか否かを判断する。即ち、第3実施形態における「データ欠損部分51」を、「取得時間(53a)」で置き換えて実施すればよい。
【0083】
以上説明したように、長期欠損再送要求部37は、データ欠損部分53の時間が予め定めた取得時間よりも長い場合、データ欠損部分53を複数の取得時間(53a~53d)に分割し、どの取得時間(53a~53d)で移動物体50に非線形な挙動が発生しているかを判断する。送信品質制御要求部26は、データ欠損部分51の時間が長い場合、データ欠損部分51全体で再度送信を要求するのではなく、非線形な挙動が予測される区分(取得時間53a)について時間間隔の短い軌跡データの時系列を要求する。判断された取得時間(53a)について軌跡データの再度送信を要求することにより、再送信に係わるデータ量が削減されるので、データ受信に成功する確率を高めることができる。
【0084】
(第5実施形態)
第5実施形態では、送信装置12が軌跡データの時系列を再度送信する時の送信品質が改善されるように通信品質の設定を調整することを、制御部(23~26、38)が送信装置12に要求する例を説明する。
【0085】
図8を参照して、第5実施形態に係る将来軌跡予測装置(データ受信装置)及びデータ送信装置を含むデータ送受信システムの全体構成を説明する。第5実施形態に関わる受信装置11は、第3実施形態(
図5)のそれに比べて、QoS補正部38を更に備える点で相違し、その他の点で共通する。第5実施形態に関わる受信装置11は、第3実施形態(
図5)のそれと同じであり、説明を省略する。
【0086】
QoS(Quality of Service)補正部38は、データの送受信に用いる復調制御信号の挿入タイミング、挿入回数、及び、送信信号の変調数及び空間多重数の少なくとも一方を調整する。QoS補正部38は、軌跡データの時系列が非線形であると判断した場合、及び非線形な挙動の要因があると判断した場合における、軌跡データを再度送信する時の復調制御信号の挿入タイミング又は挿入回数を調整することを、送信装置12に要求する。例えば、復調制御信号の挿入回数を増やすことを送信装置12に要求する。復調制御信号には、3GPP (the 3rd Generation Partnership Project)団体 が規定し、広く携帯電話等の通信機に使われている標準規格案に準拠した無線システムの場合は復調基準信号(DMRS)及び位相補正信号(PT-RS信号)が含まれる。QoS補正部38は、復調制御信号の送受信時刻から挿入回数をモニターする。QoS補正部38は、再度送信を要求する回数が増えるごとに、所定の上限値に達するまで復調制御信号の挿入回数を増加させる。これにより、再度送信に係わる軌跡データを受信する確率を高めることができる。
【0087】
挿入回数が所定の上限値に達している場合、QoS補正部38は、送信信号の変調多重化数及び空間多重数の少なくとも一方を減少させ、あるいいは連送数を高めることで、符号化率を下げて冗長性を高める設定変更を送信装置12に要求する。これにより、伝送効率は下がるが、ドップラーシフト等による周波数分散やマルチパスによる遅延波が多数ある影響を解消できるため、通信エラーが改善される。よって、再度送信に係わる軌跡データを受信する確率を高めることができる。
【0088】
ここでは、先ず復調制御信号の挿入回数を増加させ、その後に、変調多重化数及び空間多重数を減少させる例を示した。しかし、復調制御信号の挿入回数の増加と、変調数及び空間多重数の減少とを、同時に実施しても構わない。あるいは、復調制御信号の挿入回数の増加と、変調数及び空間多重数の減少との順序を逆にしても構わない。
【0089】
送信装置12と受信装置11との相対速度が速い場合、又は送信装置12と受信装置11の間に位置する建物などの障害物の干渉を受ける場合、送信装置12と受信装置11との間の軌跡データの送受信が成功する確率が下がってしまう。そこで、QoS補正部38は、送信装置12が軌跡データの時系列を再度送信する時の送信品質が改善されるように通信品質の設定を調整することを、送信装置12に要求する。これにより、再度送信に係わる軌跡データを受信する確率を高めることができる。
【0090】
なお、QoS補正部38は、例えば、
図2のステップS09、S11、S12において、上記した制御を実行することができる。あるいは、QoS補正部38は、
図4及び
図6のステップS22、S23において、上記した制御を実行してもよい。
【0091】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0092】
11 受信装置(データ受信装置)
12 送信装置(データ送信装置)
21 データ送受信部(データ受信部)
23~26、36~38 制御部
27 データ送受信部(データ送信部)
29 データベース(記憶部)
50 移動物体
51、52 データ欠損部分(受信できていない一部分)
53a~53d 取得時間
P1b、P1f、P2、P3 軌跡データの時系列