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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20221201BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20221201BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20221201BHJP
   A61Q 1/12 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K8/19
A61Q1/02
A61Q1/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019066593
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020164462
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】592042750
【氏名又は名称】株式会社アルビオン
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝行
(72)【発明者】
【氏名】石黒 将士
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-213602(JP,A)
【文献】特開2018-199634(JP,A)
【文献】特開2013-023471(JP,A)
【文献】特開2011-111413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(C);
(A)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル
(B)粉体 25質量%以上
(C)油剤または界面活性剤
を含有し、
前記成分(B)中、球状粉体が5質量%以上である、化粧料。
【請求項2】
前記成分(C)が、炭素数12~22の飽和または不飽和脂肪酸、R-CO-O-(式において、Rは、炭素数11~21の飽和または不飽和炭化水素基を表す)の構造を有する脂肪酸エステル、R-O-(式において、Rは、炭素数12~22の飽和または不飽和炭化水素基を表す)の構造を有するグリセリルエーテルおよび炭素数12~22のアルキル基で変性されたアルキル変性ジメチルポリシロキサンからなる群から選択される、少なくとも1種である成分(C’)を含む、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記脂肪酸エステルは、脂肪酸エステル油または脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤である、請求項2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記成分(C’)は、炭素数12~22の分岐鎖を有する飽和脂肪酸、前記Rが炭素数11~21の分岐鎖を有する飽和炭化水素基である脂肪酸エステル、および炭素数12~22のアルキル基で変性されたアルキル変性ジメチルポリシロキサンからなる群から選択される、請求項2または3に記載の化粧料。
【請求項5】
前記成分(C’)は、前記脂肪酸エステル、前記脂肪酸、および前記アルキル変性ジメチルポリシロキサンのいずれか2種以上の組み合わせである、請求項2~4のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項6】
前記成分(A)に対する前記成分(C’)の混合質量比(C’)/(A)が0.1以上である、請求項2~5のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項7】
さらに、成分(D)アルコール類を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項8】
前記成分(D)が炭素数2~6の1価または2価のアルコールである、請求項に記載の化粧料。
【請求項9】
前記成分(A)の含有量が化粧料に対して0.01~5質量%である、請求項1~のいずれか1項に記載の化粧料。
【請求項10】
前記成分(C)の含有量が化粧料に対して10質量%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料に粉体が配合された粉体含有化粧料は、ファンデーションや白粉、チーク、アイシャドウ、アイブロウなどのメイクアップ化粧料やボディパウダー、制汗剤等として広く用いられている。粉体含有化粧料は、化粧料を肌に塗布した後に、肌に粉体が付着することで、化粧膜が形成され、粉体による化粧効果が発現する。したがって、粉体含有化粧料において、肌に化粧料が付着すること(優れた付着性)は非常に重要である。このような化粧料の肌への付着性向上を目的として、様々な試みがなされている。例えば、特許文献1では、配合される粉体に対してシリコーンゲルによる表面処理を行うことで、肌への付着性向上が達成されるとある。
【0003】
一方、粉体含有化粧料において、特にメイクアップ化粧料においては、形成された化粧膜が、時間がたってもその状態が維持されること(化粧持ち)が非常に重要な品質となる。化粧持ちの低下は、汗、皮脂、あるいは外部からの水や刺激(例えば、摩擦)などの外的因子により、付着した化粧料が肌への親和性を失い、または付着した化粧料の肌への親和性が弱まり、化粧料が肌から浮いたり、流れ落ちたりすることに起因する。このような化粧持ち向上についても、様々な試みがなされている。例えば、化粧持ちを良好にするために、特許文献2には、粉体固形化粧料において、含フッ素オレフィン樹脂粉体および部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物を用いる技術が開示されている。特許文献2には、含フッ素オレフィン樹脂粉体は、撥水、撥油性があり、皮膚上の汗、皮脂と混和せず良好な化粧持ちが得られるとある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2014/102862号
【文献】特開2003-238340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、粉体含有化粧料において、化粧料の肌への付着性が高く(化粧膜を形成しやすく)、さらに付着した化粧料により形成された化粧膜が長時間にわたり維持することができるという性能は、基本的性能であるため、その性能向上は使用者により常に求められるところである。
【0006】
本発明は、肌への付着性が高く(化粧膜を形成しやすく)、また、付着した化粧料により形成された化粧膜が長時間にわたり維持することができる化粧料を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明の他の目的は、化粧料を肌に塗布した際に化粧料中の粉体が滑らかに肌上に広がる、いわゆる粉きしみの少ない、化粧料を提供することにある。
【0008】
さらに、本発明の目的は、化粧料を肌に塗布して形成された化粧膜において粉浮き(粉感)が少ない化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、次の成分(A)~(C);(A)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、(B)粉体25質量%以上、(C)油剤または界面活性剤を含有する、化粧料である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、肌への付着性が高く、化粧持ちが良好な粉体含有化粧料が可能となる。さらに、本発明によれば、化粧料を肌に塗布した際に肌上での化粧料の粉きしみを感じることが少なく、また、化粧膜を形成した後の化粧料に起因する粉感を感じにくい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度45~55%RHの条件で行う。
【0012】
本発明の第一実施形態は、次の成分(A)~(C);(A)ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル、(B)粉体25質量%以上、(C)油剤または界面活性剤を含有する、化粧料である。
【0013】
上記形態により、肌への付着性が高く、化粧持ちが良好な粉体含有化粧料が可能となる。さらに、本形態によれば、化粧料を肌に塗布した際に肌上での化粧料の粉きしみを感じることが少なく、また、化粧膜を形成した後の化粧料に起因する粉感を感じにくい。
【0014】
本実施形態の化粧料が、上記効果を奏する詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように考えられる。なお、以下のメカニズムは、本発明の技術的範囲を何ら制限するものではない。
【0015】
例えばメーキャップ効果を高めるためには、粉体を系中に多く配合する必要がある。そして、配合された粉体が本来の化粧効果を発揮するためには、粉体が肌に付着すること、そして付着した粉体が時間経過後にも付着性を維持していることが重要である。このような粉体の付着性およびその維持効果を発現させるために、成分(A)が非常に有効であることを本発明者らは知得した。成分(A)は、肌親和性が高いため、粉体と組み合わせることで化粧料の肌への付着性を向上させるものと考えられる。また、成分(A)は、比較的撥水・撥油性に優れ、汗や水などの水性成分、皮脂などの油性成分の双方と相溶性が悪いために、化粧持ち向上の効果も発揮されると考えられる。しかしながら、成分(A)を粉体が25質量%以上、すなわち化粧料中の粉体含有量が多い系に配合した場合、化粧料の肌付着性向上および付着性の維持(化粧持ち)の効果が期待されるほど発揮されなかった。この原因として、本発明者らは、粉体が多い系では、粉体と成分(A)とが均一に系内に存在することが難しく、粉体による化粧効果が成分(A)の添加によっても適切に発揮されないためではないかと考察した。このような考察に基づいて、化粧料中に成分(C)の油剤または界面活性剤を配合することで、粉体への成分(A)の均一分散が可能となり、粉体を肌に付着させること、およびその付着維持性(化粧持ち)が向上することを見出し、さらには、粉きしみが少なく、化粧料を肌に塗布して形成された化粧膜において粉浮き(粉感)が少ないことを見出し、本発明を完成させた。
【0016】
以下、第一実施形態の化粧料に含有される各成分について説明する。
【0017】
(成分(A):ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル)
ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、下記構造を有する化合物である。
【0018】
【化1】
【0019】
ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、リン酸エステルに窒素含有アルコールが付加したリン脂質様化合物である。かような構造を有するために、肌への親和性が非常に高い一方、比較的分子量が小さいために、粉体と相互作用して粉体表面に結合しやすくなり、粉体が肌に均一に付着することを助ける役割を担うと考えられる。ゆえに、成分(A)を粉体含有化粧料に配合することで、粉体が肌に付着しやすく(化粧膜が形成しやすく)、また、粉きしみのなさや、粉感のなさ(化粧膜の均一性)といった効果が得られやすい。また、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルは、親油性、親水性のバランスがよく、撥水・撥油性に優れるため、化粧持ちの向上といった効果を付与することができる。
【0020】
成分(A)の含有量は、成分(A)の効果(特に、化粧料の付着性の向上、および化粧持ちの向上)を発現させるために、化粧料に対して0.0001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、仕上がりの粉感のなさの点からは、0.01質量%以上であることがさらに好ましく、肌への化粧料の付着、化粧持ち、化粧料塗布時の粉きしみの低減の観点からは0.1質量%以上であることがさらにより好ましい。また、成分(A)の含有量は、化粧料に対して、粉きしみ低減の観点から、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、化粧料塗布時の粉きしみの低減、化粧膜の粉感の低減の観点からは、3質量%以下であることがさらに好ましく、2.5質量%以下であることがさらにより好ましい。本発明の好適な形態は、成分(A)の含有量が、化粧料に対して0.01~5質量%である。
【0021】
なお、成分(A)を成分(B)の表面処理剤として用いてもよい。この場合、成分(B)の含有量は、(表面処理剤を含む)粉体の含有量から成分(A)の含有量を除いたものとする。
【0022】
成分(A)の成分(B)への表面処理の方法は従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒(例えば、イソプロピルアルコール(IPA)などのアルコール、イソパラフィン(例えば、IPソルベント(出光興産社製))に成分(A)と処理を施される粉体を添加し、ボールミル等で撹拌処理した後、必要に応じて乾燥し、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の表面処理粉体を得ることができる。また、成分(A)と表面処理剤である他の化合物とを同時に表面処理してもよい。
【0023】
(成分(B):粉体)
粉体は、メーキャップ効果などの化粧効果を付与するために配合される。
【0024】
粉体としては、球状、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されない。粉体としては、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、有色顔料類、複合粉体類、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末などが挙げられる。
【0025】
無機粉体類としては、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、雲母(マイカ)、合成雲母、セリサイト、合成セリサイト、タルク、(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/Kケイ素)(タルク・ケイフッ化カリウム焼成物)、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、シリカ、ガラス末などが挙げられる。
【0026】
光輝性粉体類としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン(酸化チタン被覆雲母)、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、二酸化珪素・酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダーなどが挙げられる。
【0027】
有機粉体類としては、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸粉体、N-アシルリジン、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型オルガノポリシロキサン重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸エステルおよびメタクリル酸メチルクロスポリマーなどの架橋型ポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルとポリイソプレンの複合体、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体パウダー、ポリテトラフルオロエチレン、(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマーなどが挙げられる。架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコンコポリオールクロスポリマーなどの部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型アルキル変性シリコーン、(ラウリルジメチコン・PEG)クロスポリマーなどの部分架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、例えば、INCI名称で、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等が挙げられる。
【0028】
有色顔料類としては、赤色酸化鉄(ベンガラ)、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色顔料、γ-酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄色酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒色酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をアルミニウムなどでレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などが挙げられる。タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号などが挙げられる。
【0029】
複合粉体類としては、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆チタン・マイカ、酸化亜鉛被覆チタン・マイカ、硫酸バリウム被覆チタン・マイカ、有機顔料処理チタン・マイカ、二酸化珪素・酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素などが挙げられる。
【0030】
粉体は表面処理粉体であってもよい。表面処理としては、フッ素化合物処理、シリカ処理、アルミナ処理、水酸化アルミニウム処理、シリコーン処理(メチコン処理、ハイドロゲンジメチコン処理など)、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、シラン処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属石鹸処理、アクリル樹脂処理、金属酸化物処理などが挙げられる。これらの表面処理は、単独であっても2種以上を併用してもよい。
【0031】
表面処理剤の処理量は未処理粉体に対して0.1~30質量%が好ましく、より好ましくは0.5~20質量%であり、さらに好ましくは1~10質量%である。
【0032】
表面処理の方法は従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶媒に表面処理剤と処理を施される粉体粒子を添加し、ボールミル等で撹拌処理した後、必要に応じて乾燥し、水洗、濾過を繰返し、夾雑物を除去した後、乾燥、粉砕することにより、目的の表面処理粉体を得ることができる。また、表面処理剤である数種類の化合物を同時に表面処理することもでき、何れか一つの化合物で予め表面処理をしてから、更に他の化合物を表面処理することもできる。
【0033】
成分(B)は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
【0034】
中でも、成分(B)中、球状粉体が5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。球状粉体をこのような範囲で配合することで、肌への塗布性が向上し、化粧料の付着性が向上するとともに化粧持ちが一層向上し、本発明の効果が一層奏されると考えられる。また、球状粉体の成分(B)中の含有量は特に限定されるものではないが、99質量%以下であることが好ましく、固形粉末化粧料の場合、50質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることがさらにより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。なお、成分(A)を成分(B)の表面処理剤として用いた場合、成分(B)の含有量は、(表面処理剤を含む)粉体の含有量から成分(A)の含有量を除いたものとする。また、ここでいう、成分(B)の含有量とは、(表面処理剤を含む)粉体全体の量である(ただし、成分(A)を成分(B)の表面処理剤として用いた場合の成分(A)の含有量を除く)。例えば、油剤処理粉体の場合、当該表面処理剤である油剤は、成分(C)の含有量に含めるのではなく、表面処理粉体の量として成分(B)に含める。
【0035】
球状粉体における球状とは、真球状のみを意味するものではなく、楕円や略球状、表面に微細な穴や凹凸があるものでもよい。短径と長径の比率が1:1~1:2であれば球状として好ましい。
【0036】
具体的には、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等の無機粉体類、ナイロン、ポリメタクリル酸メチル、メタクリル酸メチルクロスポリマー、アクリロニトリル-メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン-メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリウレタン等の有機粉体類、酸化チタン含有シリカ、酸化亜鉛含有シリカ等の複合粉体類等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
球状粉体の平均粒子径は1~30μmが好ましい。平均粒子径は、例えば、レーザー散乱式粒度分布計(HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径(D50)として測定した値を採用する。
【0038】
球状粉体は市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、KSP-100、101、102、105、300(以上、信越化学工業社製)、ミペロン XM-220、PM-200(以上、三井化学社製)、マツモトマイクロスフェアー M-101、M-305(以上、松本油脂製薬社製)等が挙げられる。また、球状粉体として表面処理を施したものを用いても良い。表面処理剤としては、上記に挙げたものと同様である。
【0039】
成分(B)の含有量は化粧料に対して25質量%以上である。成分(B)の含有量が25質量%未満であると、粉体による化粧効果が十分に発揮されない。粉体の配合量は、化粧料に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらにより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。成分(B)の含有量の上限は特に限定されるものではないが、化粧料に対して、99質量%以下であることが好ましい。
【0040】
(C)油剤または界面活性剤
油剤としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン(ミネラルオイル)、スクワラン、スクワレン、α-オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン等の炭化水素油;アブラナ種子油、アボカド油、アルモンド油、アンズ核油、エゴマ油、オレンジ油、オリーブ油、キウイ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、セージ油、大豆油、チャ種子油、トウモロコシ油、ナタネ油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、ハトムギ油、ピーナッツ油、ひまわり油、ブドウ種子油、メドウフォーム油、ローズマリー油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ミンク油等の動植物油;トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル(デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10)、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット(テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル)、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリトリット、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、炭酸ジアルキル、トリメリト酸トリトリデシル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリベヘン酸グリセリル等の脂肪酸エステル油;オレイン酸、イソステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸;オレイルアルコール、2-オクチルドデカノール、2-デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール等の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラトリフロロプロピルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタトリフロロプロピルシクロペンタシロキサン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、オレイル変性ジメチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性ジメチルポリシロキサン、アルキル変性ジメチルポリシロキサン等のシリコーン油;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤;酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体;パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル等の液状の紫外線吸収剤;等の液状油;カカオ脂、シアバター、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、ワセリン等のペースト状の油剤;パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、(エチレン/プロピレン)コポリマー、コレステロール、フィトステロール、ステアリル変性ポリシロキサン、硬化油、ワセリン、パーム油等の固形状の油剤が挙げられる。これらの油剤の中でも、エステル油および/またはシリコーン油であることが好ましい。
【0041】
成分(C)の油剤または界面活性剤としては特に限定されるものではないが、次の条件:成分(A)100g、成分(C)300gおよびイソノナン酸イソトリデシルを300g混合し、75℃で加熱したときに、成分(A)が溶解するまたは分散する:を満たす成分(C1)を含むことが好ましい。ここで、イソノナン酸イソトリデシルは、成分(C)を溶解するための溶媒としての役割を果たす。上記条件は、成分(C)の成分(A)の分散能を示すものであり、上記条件を満たす成分(C1)を成分(C)が含むことで、成分(A)の粉体中での分散性が向上し、本発明の効果が一層向上する。このような成分としては、イソステアリン酸、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ステアリン酸、ステアリルジメチコン、ステアリン酸グリセリル、バチルアルコール、パルミチン酸などが挙げられる。
【0042】
成分(C)の含有量は特に限定されるものではないが、化粧料に対して10質量%以下であることが好ましい。成分(C)の含有量が10質量%以下であることで、化粧料の肌への付着性および化粧持ちの効果が一層向上する。これは、成分(A)の効果が一層発揮されるためであると考えられる。また、成分(C)の含有量が10質量%以下で、化粧料が固形粉末化粧料である場合、本実施形態の態様であることで、化粧料を落下させた場合であっても化粧料が崩れにくく、耐衝撃性が向上する。さらに、固形粉末化粧料の場合、通常は固形形状とするために成分(C)を比較的多く配合する必要があるが、本実施形態では成分(A)が配合されていることで、成分(C)の含有量は、比較的少ない量であっても成り立つ。よって、成分(C)の含有量は、5質量%以下であってもよく、2質量%以下であってもよい。成分(C)の含有量の下限は特に限定されるものではないが、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましい。なお、成分(C)の含有量には下記成分(C’)の含有量が含まれる。
【0043】
成分(C)は、炭素数12~22の飽和または不飽和脂肪酸、R-CO-O-(式において、Rは、炭素数11~21の飽和または不飽和炭化水素基を表す)の構造を有する脂肪酸エステル、R-O-(式において、Rは、炭素数12~22の飽和または不飽和炭化水素基を表す)の構造を有するグリセリルエーテルおよび炭素数12~22のアルキル基で変性されたアルキル変性ジメチルポリシロキサンからなる群から選択される、少なくとも1種である成分(C’)を含むことが好ましい。このような成分(C’)により、本発明の効果が一層向上する。成分(C’)中に含まれる長鎖アルキル基(炭化水素基)部分が、成分(A)の粉体中での分散性を一層向上させ、本実施形態の各効果が一層向上するものと考えられる。
【0044】
炭素数12~22の飽和または不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
【0045】
-CO-O-の構造を有する脂肪酸エステル(以下、単に脂肪酸エステルとも称する)における炭素数11~21の飽和または不飽和炭化水素基としては、直鎖または分岐鎖の炭素数11~21のアルキル基、直鎖または分岐鎖の炭素数11~21のアルケニル基などが挙げられる。当該脂肪酸エステルとしては、具体的には、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸-2-エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル(デカイソステアリン酸ポリグリセリル-10)、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリトリット等の脂肪酸エステル油;グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤;ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウムなどのアシル化乳酸塩(アニオン界面活性剤)などが挙げられる。脂肪酸エステルは、本発明の効果が一層奏されることから、脂肪酸エステル油または脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤であることが好ましい。
【0046】
脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤におけるソルビタン脂肪酸エステルとしては、オレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0047】
脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤におけるグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノミリスチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、などが挙げられる。
【0048】
脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤におけるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、イソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ラウリン酸デカグリセリル、ミリスチン酸デカグリセリル、オレイン酸デカグリセリル、ステアリン酸デカグリセリル、カプリン酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸ヘキサグリセリル、ミリスチン酸ヘキサグリセリル、オレイン酸ヘキサグリセリル、ステアリン酸ヘキサグリセリル、イソステアリン酸ヘキサグリセリル、ラウリン酸ペンタグリセリル、ミリスチン酸ペンタグリセリル、オレイン酸ペンタグリセリル、ステアリン酸ペンタグリセリル、イソステアリン酸ペンタグリセリル、モノラウリン酸ポリグリセリル(6)、ミリスチン酸ポリグリセリル(6)、モノラウリン酸ポリグリセリル(10)、モノミリスチン酸ポリグリセリル(10)、モノステアリン酸ポリグリセリル(10)、モノステアリン酸ポリグリセリル(10)ポリグリセリン(10)、モノイソステアリン酸ポリグリセリル(10)、モノオレイン酸ポリグリセリル(10)、モノリノール酸ポリグリセリル(10)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル(10)などが挙げられる。
【0049】
脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤の中でも、本発明の効果が一層奏されることから、ソルビタン脂肪酸エステルであることがより好ましく、Rが飽和炭化水素基であるソルビタン脂肪酸エステルであることがさらにより好ましい。
【0050】
脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤におけるHLBは、6以下であることが好ましく、2以上5以下であることがより好ましい。HLBは、ノニオン系界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、グリフィンの式:HLB=20×Mw/M(ここで、Mは非イオン性界面活性剤の分子量、Mwは親水性部分の分子量)により求められる。
【0051】
-O-の構造を有するグリセリルエーテルとしては、グリセリン中の1位の水酸基がエーテル化されているグリセリルエーテルが挙げられる。例えば、R-O-CHCH(OH)-CHOHの構造を有するものが挙げられる。
【0052】
-O-の構造を有するグリセリルエーテルとしては、例えば、モノステアリルグリセリルエーテル(バチルアルコール)、グリセリルモノセチルエーテル(キミルアルコール)、モノオレイルグリセリルエ一テル(セラキルアルコール)、モノベヘニルグリセリルエーテル、モノイソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。市販品としては、バチルアルコールEX(日本サーファクタント工業社製)、NIKKOL キミルアルコール100(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
【0053】
アルキル変性ジメチルポリシロキサンとは、ジメチルポリシロキサンのメチル基の一部がメチル基以外のアルキル基で置換されたものであり、末端置換型、側鎖置換型のいずれであってもよい。
【0054】
例えば、アルキル変性ジメチルポリシロキサンは、下記一般式(1)または(2)で表される。
【0055】
【化2】
【0056】
【化3】
【0057】
式(1)または(2)中、R~Rは、それぞれ独立して、メチル基またはC2n+1-(nは12~22の整数である)を表し、p、q、rは各々1~1500の整数、q+rは2~2000の範囲である。ただし、RとRとが同時にメチル基になることはなく、RとRとが同時にメチル基になることはない。
【0058】
アルキル変性ジメチルポリシロキサンの平均分子量は特に限定されるものではないが、500~25000が好ましく、より好ましくは、800~15000である。アルキル変性ジメチルポリシロキサンとしては、ステアリルジメチコン、セチルジメチコンなどが挙げられる。アルキル変性ジメチルポリシロキサンは市販品を用いてもよく、市販品としては、例えばステアリルジメチコンとしてABIL WAX9800、セチルジメチコンとしてABIL WAX9801、ABIL WAX9840(いずれもゴールドシュミット社製)、DOWSIL(登録商標)2503 COSMETIC WAX(東レ・ダウコーニング社製)等が挙げられる。
【0059】
他の好適な形態は、成分(C’)は、炭素数12~22の分岐鎖を有する飽和脂肪酸、Rが炭素数11~21の分岐鎖を有する飽和炭化水素基である脂肪酸エステル、および炭素数12~22のアルキル基で変性されたアルキル変性ジメチルポリシロキサンからなる群から選択される。成分(C’)がこのような成分であることで、化粧持ちが一層向上する。
【0060】
炭素数12~22の分岐鎖を有する飽和脂肪酸としては、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、2-ヘキシルデカン酸などが挙げられる。中でもイソステアリン酸が好ましい。また、Rが炭素数11~21の分岐鎖を有する飽和炭化水素基である脂肪酸エステルとしては、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、2-ヘキシルデカン酸などの脂肪酸の脂肪酸エステルが挙げられる。Rが炭素数11~21の分岐鎖を有する飽和炭化水素基である脂肪酸エステルは、脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤であることがより好ましい。すなわち、本発明の他の好適な形態は、成分(C’)が、炭素数12~22の分岐鎖を有する飽和脂肪酸、Rが炭素数11~21の分岐鎖を有する飽和炭化水素基である脂肪酸エステル系ノニオン界面活性剤、および炭素数12~22のアルキル基で変性されたアルキル変性ジメチルポリシロキサンからなる群から選択される。さらに、本発明の他の好適な形態は、成分(C’)が、炭素数12~22の分岐鎖を有する飽和脂肪酸、Rが炭素数11~21の分岐鎖を有する飽和炭化水素基であるソルビタン脂肪酸エステル、および炭素数12~22のアルキル基で変性されたアルキル変性ジメチルポリシロキサンからなる群から選択される。
【0061】
成分(C’)は、Rが炭素数11~21の分岐鎖を有する飽和炭化水素基である脂肪酸エステル、炭素数12~22の分岐鎖を有する脂肪酸、および炭素数12~22のアルキル基で変性されたアルキル変性ジメチルポリシロキサンのいずれか2種以上の組み合わせであることが好ましい。成分(C’)をこのように組み合わせて用いることで、形成される化粧膜が均一に形成され、いわゆる粉感の低減効果が一層発揮される。これは、成分(A)がより均一に分散されることで、粉体の凝集が一層低減されることに起因すると考えられる。より好適には、成分(C’)が、Rが炭素数11~21の分岐鎖を有する飽和炭化水素基である脂肪酸エステルおよび炭素数12~22の分岐鎖を有する脂肪酸の組み合わせである。具体的には、セスキイソステアリン酸ソルビタンおよびイソステアリン酸;セスキイソステアリン酸ソルビタンおよびステアリルジメチコン;イソステアリン酸およびステアリルジメチコン;セスキイソステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸およびステアリルジメチコンなどが挙げられる。
【0062】
成分(A)に対する成分(C’)の混合質量比(C’)/(A)は、0.1以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましく、0.2以上であることがさらにより好ましい。成分(C’)を成分(A)に対してこのような範囲で配合させることで、成分(A)を粉体中に十分に分散させることができ、本実施形態の各効果が一層向上することから好ましい。成分(A)に対する成分(C’)の混合質量比(C’)/(A)の上限は、好ましい順に、150以下、100以下、50以下、30以下、10以下である。
【0063】
成分(C’)の化粧料中の含有量は、本発明の効果や粉体の配合量などを考慮して、0.001~75質量%であることが好ましく、0.01~25質量%であることがより好ましく、0.3~10質量%であることがさらに好ましく、0.4~5質量%であることが特に好ましい。また、好適な形態は、成分(C’)の化粧料中の含有量は、10質量%以下であることが好ましい。成分(C’)の含有量が10質量%以下であることで、化粧料の肌への付着性および化粧持ちの効果が一層向上する。これは、成分(A)の効果が一層発揮されるためであると考えられる。
【0064】
なお、成分(C)中、全量が成分(C’)であってもよい。
【0065】
(成分(D):アルコール類)
本実施形態においては、成分(D)アルコール類をさらに含有する形態も好適である。成分(D)を配合することで、仕上がりに粉感のなさを感ずることが低減される。
【0066】
アルコール類としてはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ-ル、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、1,2-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、マルチトール、グルコシルトレハロース等の多価アルコールが挙げられる。
【0067】
中でも、効果が一層発揮されることから、成分(D)としては、炭素数2~6の1価または2価のアルコールであることが好ましく、炭素数2~6の2価のアルコールであることがより好ましい。
【0068】
成分(D)の化粧料中の含有量は、0.05~20質量%であることが好ましく、0.05~10質量%であることがより好ましく、0.1~5質量%であることがさらにより好ましい。
【0069】
(その他の成分)
上記成分の他、通常化粧料に使用される水、防腐剤、酸化防止剤、美容成分、抗菌剤、香料、キレート剤(EDTAなど)等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜含有することができる。
【0070】
本実施形態の化粧料は、ファンデーション、ルースパウダー、コンシーラー、アイカラー(アイシャドウ)、アイライナー、アイブロウ、マスカラ、チーク、口紅、リップグロス、日焼け止め化粧料、化粧用下地などのメイクアップ化粧料;ボディパウダー、制汗剤、リップクリーム、美容液や乳液をはじめとしたスキンケア化粧料などに適用可能であり、好ましくは、本願効果の発揮が一層期待される、ファンデーション、ルースパウダー、アイカラー、化粧用下地、日焼け止め化粧料、チークなどのメイクアップ化粧料である。またその使用法は、手や指で使用する方法、パフやスポンジ等に含浸させて使用する方法などが挙げられる。
【0071】
また、本発明の化粧料の剤型は、固形粉末、油性剤型、粉末型、水中油型、油中水型等いずれであってもよい。粉末が多い系では、本発明の効果が一層発揮されやすいことから、化粧料の剤型は固形粉末または粉末型であることが好ましく、本実施形態の効果が一層奏され、また、本発明の態様であることで、耐衝撃性が向上するという効果も得られることから、化粧料が固形粉末化粧料であることが好ましい。ここで、固形粉末または粉末型化粧料において、成分(B)の配合量は、70質量%以上であることが好ましい。
【実施例
【0072】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
【0073】
(実施例1~22、および比較例1、2)
下記表1に示す処方の固形粉末化粧料(ファンデーション)を調製した。
【0074】
(製造方法)
1.成分(B)を混合して混合物を得た。
2.成分(C)(成分(C’)を含む、以下同様)を75℃にて加温溶解し、成分(A)を加えて、溶解物(または分散物)を得た。
3.2.で得られた溶解物(または分散物)に成分(D)を加え、混合物を得た。
4.1.で得られた混合物に3.を加え、混合物を得た。
5.4.で得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
6.5.で得られた粉末状の化粧料を充填成形することで固形粉末状化粧料を得た。
【0075】
(ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリルの粉体への表面処理方法:表1中、ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル処理酸化チタン(粉体100質量%に対して2%処理(以下、単に~%処理と記載する))およびベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル処理マイカ(2%処理))
成分(A)をイソプロピルアルコールに加温溶解させた溶解物(または分散物)を、粉体(酸化チタンまたはマイカ)に添加し、ボールミルで攪拌処理した。その後、乾燥、粉砕処理を行って、成分(A)を表面処理した粉体を得た。
【0076】
評価1:肌への付着力の高さ
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には、各試料を肌上にウレタン製化粧塗布用マットを用いて1回伸び広げた際に、化粧料の肌への付着力の高さ(化粧膜の形成性の高さ)を評価した。
(絶対基準)
(評点):(評価結果)
3 :非常に感じる
2 :感じる
1 :やや感じる
0 :感じない
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
2点以上 : ◎
1点以上2点未満: ○
1点未満 : ×。
【0077】
評価2:化粧持ち
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には各試料を肌に適量塗布し、塗布後8時間後にその化粧持ち(=化粧効果の持続)が充分であるかどうかを評価した。
【0078】
(絶対基準)
(評点):(評価)
3 :化粧持ちが良く、化粧効果が長く持続して感じられる
2 :化粧持ちが良く化粧効果も十分感じられるが、僅かに不十分である
1 :化粧持ちがやや悪く化粧効果の持続性がやや不十分である
0 :化粧持ちが非常に悪く化粧効果の持続性が不十分である
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×
評価3:使用中の粉きしみのなさ
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には、各試料を肌上にウレタン製化粧塗布用マットを用いて塗布し、化粧料が肌上で伸び広がるか(化粧料によるひっかかりを感じないか)を評価した。
【0079】
(絶対基準)
(評点):(評価結果)
3 :非常に伸び広がる
2 :伸び広がる
1 :やや伸び広がりに欠ける
0 :伸び広がりが不十分である
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
2点以上 : ◎
1点以上2点未満: ○
1点未満 : ×。
【0080】
評価4:仕上がりの粉感のなさ
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対基準にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には、各試料を肌上にウレタン製化粧塗布用マットを用いて塗布し、化粧膜を形成した後、化粧膜を鏡により外観から目視し、粉体が肌上から浮いて見えないかを評価した。
【0081】
(絶対基準)
(評点):(評価結果)
3 :全く感じない
2 :あまり感じない
1 :やや感じる
0 :感じる
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
2点以上 : ◎
1点以上2点未満: ○
1点未満 : ×。
【0082】
評価5:耐衝撃性
各試料についてプラスティック製タイルに40cmの高さから2度落下させた後、その状態を判定した(N=5)。評価は落下後、崩壊の程度を確認し以下の評価基準に従って評価し、各5サンプルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
(評価基準)
(評点):(評価結果)
3 :変化なし
2 :欠けや隙間が僅かに観察される
1 :欠けや隙間がはっきり観察される
0 :抜け、割れが発生
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×
各評価結果を表1に示す。
【0083】
【表1-1】
【0084】
【表1-2】
【0085】
(*1)VINOVEIL-BS-100P(日油社製)
(*2)TIPAQUE CR-50(石原産業社製)
(*3)KSP-100(信越化学工業社製)
(*4)NIKKOL SI-15RV(ニッコーケミカルズ社製、HLB4.5)
(*5)DOWSIL(登録商標)2503 COSMETIC WAX(東レ・ダウコーニング社製)
上記表における成分(B)において、球状粉体と記載していないものに関しては非球状粉体である。以下同様である。
【0086】
なお、実施例1~7は成分(A)の添加量を変更したものであり、実施例8は希釈用油剤のイソノナン酸イソトリデシルを配合せずとも効果が変わらないことを確認したものであり、実施例9~16は成分(C)((C’))の種類を変更したものであり、実施例17、18は球状粉体の量を変更したものであり、実施例19、20は(C’)/(A)の質量比を変更したものであり、実施例21は成分(D)を配合していないものであり、実施例22は成分(A)を粉体の表面処理剤として用いた例である。
【0087】
上記結果より、実施例の固形粉末化粧料は、肌への付着力、化粧持ち、使用中の粉きしみの無さ、および仕上がりの粉感の無さのいずれの項目にも優れたものであった。
【0088】
実施例23:固形粉末化粧料(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 1.5%
2.酸化チタン(平均粒子径:0.25μm)(成分B)(*2) 8.0%
3.メチコン3%・水酸化Al(3%)・含水シリカ5%処理酸化チタン(平均粒子径:0.030μm)(成分B)(*7) 7.0%
4.ハイドロゲンジメチコン5%処理酸化亜鉛(平均粒子径:0.025μm)(成分B)(*8) 1.5%
5.酸化亜鉛(平均粒子径:3μm)(成分B)(*9) 1.5%
6.シリカ(成分B:球状粉体)(*10) 5.0%
7.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(成分B:球状粉体)(*3) 5.0%
8.ポリメタクリル酸メチル(成分B:球状粉体)(*11) 1.0%
9.(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/Kケイ素)(*12)(成分B)5.0%
10.アモジメチコン処理マイカ(成分B)(*13) 5.0%
11.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理マイカ(成分B)
(*14) 5.0%
12.酸化鉄(成分B) 2.5%
13.マイカ(成分B) 残 量
14.イソステアリン酸(成分C’) 0.2%
15.ステアリルジメチコン(成分C’)(*5) 0.3%
16.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C) 5.5%
17.スクワラン(成分C) 0.5%
18.1,3-ブチレングリコール(成分D) 0.1%
19.グリシン 0.01%
20.ヒアルロン酸Na 0.01%
21.香料 0.05%
(*7)SMT-500SAS(テイカ社製)
(*8)MZY-505S(テイカ社製)
(*9)XZ-3000F(堺化学工業社製)
(*10)シリカマイクロビート P-1505(日揮触媒化成社製)
(*11)ケミスノー MR-5C(綜研化学社製)
(*12)ミクロマイカ MK-200K(片倉コープアグリ社製)
(*13)雲母粉 Y-2300WA3(ヤマグチマイカ社製)
(*14)SE-MA-23(三好化成社製)。
【0089】
(製造方法)
A.成分2~13、19、20を混合して混合物を得た。
B.成分14~17を75℃にて加温溶解し、成分1を加えて、溶解物(または分散物)を得た。
C.Bで得られた溶解物(または分散物)に成分18、21を加え、混合物を得た。
D.Aで得られた混合物にCを加え、混合物を得た。
E.Dで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
F.Eで得られた粉末状の化粧料を充填成形することで固形粉末化粧料を得た。
【0090】
実施例23の固形粉末化粧料は、肌への付着力、化粧持ち、使用中の粉きしみの無さ、および仕上がりの粉感の無さのいずれの項目にも優れたものであった。なお、成分(A)の含有量1.5質量%、成分(C)の含有量が6.5質量%、(C’)/(A)(質量比)=0.33、球状粉体の粉体中の含有量は11.3質量%であった。
【0091】
実施例24:固形粉末化粧料(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 2.0%
2.トリイソステアリン酸イソプロピルチタン2%・水酸化Al(2.45%)処理酸化チタン(平均粒子径:0.25μm)(成分B)(*15) 10.0%
3.ハイドロゲンジメチコン0.75%処理酸化亜鉛(平均粒子径:0.30μm)(成分B)(*16) 5.0%
4.アルミナ2.1%・ステアリン酸3.5%処理酸化チタン/ナイロン-12(平均粒子径:9μm)(成分B:球状粉体) 10.0%
5.イソステアリン酸処理酸化チタン・酸化亜鉛被覆セリサイト(成分B)(*17)
3.0%
6.シリカ(成分B:球状粉体)(*18) 2.0%
7.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(成分B:球状粉体)(*3) 5.0%
8.(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー(成分B:球状粉体)(*19) 3.0%
9. 窒化ホウ素(成分B) 10.0%
10.(フッ化/水酸化/酸化)/(Mg/Kケイ素)(成分B) 10.0%
11.酸化鉄(成分B) 2.5%
12.タルク(成分B) 10.0%
13.セリサイト(成分B) 5.0%
14.合成金雲母(成分B) 3.0%
15.マイカ(成分B) 残 量
16.セスキイソステアリン酸ソルビタン(成分C’) 0.5%
17.ステアリルジメチコン(成分C’)(*5) 0.2%
18.ミリスチン酸(成分C’) 0.8%
19.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C) 1.5%
20.ジメチコン(成分C) 1.5%
21.イソノナン酸イソトリデシル(成分C) 2.5%
22.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(成分C) 3.0%
23.1,3-ブチレングリコール(成分D) 0.1%
24.ジプロピレングリコール(成分D) 2.0%
25.イガイグリコーゲン 0.10%
26.香料 0.10%
(*15)ITT-2 TiO CR-50(大東化成工業社製)
(*16)XZ-300F-LP(堺化学工業社製)
(*17)MTZE-07EX(テイカ社製)
(*18)コスメシリカCQ4(富士シリシア化学社製)
(*19)KSP-300(信越シリコーン社製)。
【0092】
(製造方法)
A.成分2~15、25を混合して混合物を得た。
B.成分16~22を75℃にて加温溶解し、成分1を加えて、溶解物(または分散物)を得た。
C.Bで得られた溶解物(または分散物)に成分23、24、26を加え、混合物を得た。
D.Aで得られた混合物にCを加え、混合物を得た。
E.Dで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
F.Eで得られた粉末状の化粧料を充填成形することで固形粉末化粧料を得た。
【0093】
実施例24の固形粉末化粧料は、肌への付着力、化粧持ち、使用中の粉きしみの無さ、および仕上がりの粉感の無さのいずれの項目にも優れたものであった。なお、成分(A)の含有量2.0質量%、成分(C)の含有量が10.01質量%、(C’)/(A)(質量比)=0.76、球状粉体の粉体中の含有量は23.3質量%であった。
【0094】
実施例25:固形粉末化粧料(白粉)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 1.5%
2.窒化ホウ素(成分B) 30.0%
3.硫酸バリウム(成分B) 5.0%
4.オキシ塩化ビスマス(成分B) 3.0%
5.メタクリル酸メチルクロスポリマー(成分B:球状粉体)(*20) 10.0%
6.炭酸カルシウム(成分B) 5.0%
7.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理タルク(成分B)
(*21) 20.0%
8.ジメチコン処理マイカ(成分B) 20.0%
9.赤色226号(成分B) 0.03%
10.赤色202号(成分B) 0.02%
11.ラウリン酸亜鉛処理タルク(成分B) 残 量
12.セスキイソステアリン酸ソルビタン(成分C’) 1.0%
13.ラウリン酸(成分C’) 0.5%
14.ジカプリン酸プロピレングリコール(成分C) 1.5%
15.ワセリン(成分C) 0.5%
16.ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル(成分C’)(*22) 0.5%
17.ジプロピレングリコール(成分D) 0.5%
18.香料 0.05%
(*20)マツモトマイクロスフェアー M-305(松本油脂製薬社製)
(*21)SE-TA-EX(三好化成社製)
(*22)コスモール168ARV(日清オイリオグループ社製)。
【0095】
(製造方法)
A.成分2~11を混合して混合物を得た。
B.成分12~16を75℃にて加温溶解し、成分1を加えて、溶解物(または分散物)を得た。
C.Bで得られた溶解物(または分散物)に成分17、18を加え、混合物を得た。
D.Aで得られた混合物にCを加え、混合物を得た。
E.Dで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
F.Eで得られた粉末状の化粧料を充填成形することで固形粉末化粧料を得た。
【0096】
実施例25の固形粉末化粧料は、肌への付着力、化粧持ち、使用中の粉きしみの無さ、および仕上がりの粉感の無さのいずれの項目にも優れたものであった。なお、成分(A)の含有量1.5質量%、成分(C)の含有量が4質量%、(C’)/(A)(質量比)=1.3、球状粉体の粉体中の含有量は10.6質量%であった。
【0097】
実施例26:粉末型化粧料(ルース/ボディパウダー)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 1.0%
2.シリカ(成分B:球状粉体)(*23) 10.0%
3.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー(成分B:球状粉体)(*3) 55.0%
4.ポリメタクリル酸メチル(成分B:球状粉体)(*24) 15.0%
5.(HDI/PPG/ポリカプロラクトン)クロスポリマー(成分B:球状粉体)
(*25) 5.0%
6.ナイロン-12(成分B:球状粉体)(*26) 5.0%
7.ポリメチルシルセスキオキサン(*27)(成分B:球状粉体) 5.0%
8.酸化鉄(成分B) 0.2%
9.マイカ(成分B) 残 量
10.イソステアリン酸(成分C’) 0.5%
11.セスキイソステアリン酸ソルビタン(成分C’) 0.5%
12.ミネラルオイル(成分C) 0.5%
13.1,3-ブチレングリコール(成分D) 0.44%
14.イザヨイバラエキス、ハマナス花エキス、ノイバラ果実エキス、ポリアクリル酸ホスホリルコリングリコール、サトザクラ花エキスの混合物(美容成分混合物)0.06%
15.香料 0.05%
(*23)ゴッドボール E2-824C(鈴木油脂工業社製)
(*24)ガンツパール GM-2800(アイカ工業社製)
(*25)CS-400(東色ピグメント社製)
(*26)ガンツパール GPA-550(アイカ工業社製)
(*27)トスパール2000B(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)。
【0098】
(製造方法)
A.成分2~9を混合して混合物を得た。
B.成分10~12を75℃にて加温溶解し、成分1を加えて、溶解物(または分散物)を得た。
C.Bで得られた溶解物(または分散物)に成分13~15を加え、混合物を得た。
D.Aで得られた混合物にCを加え、混合物を得た。
E.Dで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料(粉末型化粧料)を得た。
【0099】
実施例26の粉末状の化粧料は、肌への付着力、化粧持ち、使用中の粉きしみの無さ、および仕上がりの粉感の無さのいずれの項目にも優れたものであった。
【0100】
なお、成分(A)の含有量1.0質量%、成分(C)の含有量が1.5質量%、(C’)/(A)(質量比)=1、球状粉体の粉体中の含有量は98.0質量%であった。
【0101】
実施例27:固形粉末化粧料(アイシャドウ)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 3.0%
2.窒化ホウ素(成分B) 5.0%
3.合成金雲母(成分B) 残 量
4.トリエトキシカプリリルシラン処理タルク(成分B) 20.0%
5.シリカ(成分B:球状粉体)(*28) 9.5%
6.酸化鉄(成分B) 2.0%
7.赤226号(成分B) 1.0%
8.黄色4号(成分B) 2.0%
9.ベンガラ・酸化チタン被覆雲母(成分B) 10.0%
10.ジメチコン処理酸化チタン被覆雲母(成分B) 5.0%
11.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理酸化チタン被覆ガラス末(成分B)
10.0%
12.酸化チタン被覆合成金雲母(成分B) 5.0%
13.セスキイソステアリン酸ソルビタン(成分C’) 0.5%
14.パルミチン酸(成分C’) 2.0%
15.ベヘン酸(成分C’) 0.5%
16.ジメチコン(成分C) 1.0%
17.2-エチルヘキサン酸セチル(成分C) 3.0%
18.ワセリン(成分C) 2.0%
19.1,3-ブチレングリコール(成分D) 0.5%
20.香料 0.1%
(*28)サンスフェアNP-30(洞海化学社製)。
【0102】
(製造方法)
A.成分2~12を混合して混合物を得た。
B.成分13~18を75℃にて加温溶解し、成分1を加えて、溶解物(または分散物)を得た。
C.Bで得られた溶解物(または分散物)に成分19、20を加え、混合物を得た。
D.Aで得られた混合物にCを加え、混合物を得た。
E.Dで得られた粉末状の化粧料を充填成形することで固形粉末化粧料を得た。
【0103】
実施例27の固形粉末化粧料は、肌への付着力、化粧持ち、使用中の粉きしみの無さ、および仕上がりの粉感の無さのいずれの項目にも優れたものであった。
【0104】
なお、成分(A)の含有量3.0質量%、成分(C)の含有量が9.0質量%、(C’)/(A)(質量比)=1、球状粉体の粉体中の含有量は10.8質量%であった。
【0105】
実施例28:固形粉末化粧料(チーク)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 2.5%
2.ジメチコン処理合成金雲母(成分B) 5.0%
3.窒化ホウ素(成分B) 10.0%
4.ポリメタクリル酸メチル(成分B:球状粉体)(*29) 10.0%
5.タルク(成分B) 残 量
6.酸化鉄(成分B) 8.0%
7.赤226号(成分B) 3.0%
8.黄色4号(成分B) 1.0%
9.酸化チタン被覆雲母(成分B) 5.0%
10.セスキイソステアリン酸ソルビタン(成分C’) 0.5%
11.モノステアリン酸グリセリル(成分C’)(HLB4.0) 1.5%
12.ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール(成分C) 4.0%
13.トリイソステアリン酸ジグリセリル(成分C’)(*30)(HLB3.0)
2.0%
14.スクワラン(成分C) 1.0%
15.ミツロウ(成分C) 0.5%
16.1,3-ブチレングリコール(成分D) 1.5%
17.香料 0.1%。
(*29)マツモトマイクロスフェアーM101(松本油脂製薬社製)
(*30)コスモール 43V(日清オイリオグループ社製)
(製造方法)
A.成分2~9を混合して混合物を得た。
B.成分10~15を75℃にて加温溶解し、成分1を加えて、溶解物(または分散物)を得た。
C.Bで得られた溶解物(または分散物)に成分16、17を加え、混合物を得た。
D.Aで得られた混合物にCを加え、混合物を得た。
E.Dで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
F.Eで得られた粉末状の化粧料を充填成形することで固形粉末化粧料を得た。
【0106】
実施例28の固形粉末化粧料は、肌への付着力、化粧持ち、使用中の粉きしみの無さ、および仕上がりの粉感の無さのいずれの項目にも優れたものであった。
【0107】
なお、成分(A)の含有量2.5質量%、成分(C)の含有量が9.5質量%、(C’)/(A)(質量比)=1.6、球状粉体の粉体中の含有量は11.6質量%であった。
【0108】
実施例29:固形状化粧料(油性剤型)(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 2.0%
2.酸化チタン(平均粒子径:0.25μm)(成分B)(*2) 7.0%
3.トリイソステアリン酸イソプロピルチタン2%・水酸化Al(2.45%)処理酸化チタン(平均粒子径:0.25μm)(成分B)(*15) 8.0%
4.メチコン3%・水酸化Al(3%)・含水シリカ5%処理酸化チタン(平均粒子径:0.030μm)(成分B)(*7) 15.0%
5.ハイドロゲンジメチコン0.75%処理酸化亜鉛(平均粒子径:0.30μm)(成分B)(*16) 5.0%
6.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理マイカ(成分B)
(*14) 10.0%
7.ジメチコノール・アミノプロピルトリエトキシシラン処理タルク(成分B)
(*21) 残 量
8.シリカ(成分B:球状粉体)(*31) 5.0%
9.セスキイソステアリン酸ソルビタン(成分C’) 0.5%
10.ステアリルジメチコン(成分C’)(*5) 1.0%
11.イソステアリン酸(成分C’) 1.5%
12.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C) 5.0%
13.ジメチコン(成分C) 15.0%
14.パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル(成分C) 7.0%
15.トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(成分C) 13.0%
16.1,3-ブチレングリコール(成分D) 0.5%
17.サトザクラ花エキス、ハチミツ、ハマナス花エキス、ポリクオタニウム-51、水溶性コラーゲン、ローヤルゼリーエキス、セイヨウハッカ葉エキス、トウキ根エキス、マツリカ花エキス、センチフォリアバラ花エキス、ローズマリー葉エキス、アセロラ果実エキス、トコフェロール、ヒアルロン酸Na(美容成分混合物) 1.4%
18.香料 0.1%
(*31)ゴッドボール D11-796C(鈴木油脂工業社製)
(製造方法)
A.成分2~8を混合して混合物を得た。
B.成分9~15を75℃にて加温溶解し、成分1を加えて、溶解物(または分散物)を得た。
C.Bで得られた溶解物に成分16~18を加え、混合物を得た。
D.Aで得られた混合物にCを加え、混合物を得た。
E.Dで得られた混合物を3本ローラーにて処理し、固形状の化粧料を得た。
F.Eで得られた固形状の化粧料を充填成形することで固形状化粧料を得た。
【0109】
実施例29の固形状化粧料は、肌への付着力、化粧持ち、使用中の粉きしみの無さ、および仕上がりの粉感の無さのいずれの項目にも優れたものであった。
【0110】
なお、成分(A)の含有量2.0質量%、成分(C)の含有量が43.0質量%、(C’)/(A)(質量比)=1.5、球状粉体の粉体中の含有量は9.4質量%であった。
【0111】
実施例30:固形粉末化粧料(ファンデーション)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 1.0%
2.酸化チタン(平均粒子径:0.25μm)(成分B)(*2) 3.0%
3.アルミナ2.1%・ステアリン酸3.5%処理酸化チタン/ナイロン-12(平均粒子径:9μm)(成分B:球状粉体) 12.0%
4.イソステアリン酸処理酸化チタン・酸化亜鉛被覆セリサイト(成分B)(*17)
8.0%
5.タルク(成分B) 残 量
6.トリエトキシカプリリルシラン2.0%処理セリサイト(成分B)
20.0%
7.パーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理タルク(成分B) 7.0%
8.(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー)(成分B:球状粉体)(*3) 2.0%
9.(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー(成分B:球状粉体)(*19) 3.0%
10.セスキイソステアリン酸ソルビタン(成分C’) 1.5%
11.ステアリルジメチコン(成分C’)(*5) 0.5%
12.ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(成分C) 2.5%
13.ジメチコン(成分C) 1.0%
14.イソノナン酸イソトリデシル(成分C) 2.5%
15.セラミド2、セラミド3、テアニン、グリシン、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール、加水分解コメエキス、(美容成分混合物) 0.5%
16.香料 0.1%
(製造方法)
A.成分2~9を混合して混合物を得た。
B.成分10~14を75℃にて加温溶解し、成分1を加えて、溶解物(または分散物)を得た。
C.Bで得られた溶解物(または分散物)に成分16を加え、混合物を得た。
D.Aで得られた混合物にCと成分15を加え、混合物を得た。
E.Dで得られた混合物を粉砕処理し、粉末状の化粧料を得た。
F.Eで得られた粉末状の化粧料に、揮発性溶剤(イソパラフィン)を加え、充填し、溶剤を揮発させることで固形粉末化粧料を得た。
【0112】
実施例30の固形粉末化粧料は、肌への付着力、化粧持ち、使用中の粉きしみの無さ、および仕上がりの粉感の無さのいずれの項目にも優れたものであった。
【0113】
なお、成分(A)の含有量1.0質量%、成分(C)の含有量が8.0質量%、(C’)/(A)(質量比)=2、球状粉体の粉体中の含有量は15.5質量%であった。
【0114】
実施例31:固形状化粧料(油性剤型)(口紅)
(成分) (含有量)
1.ベヘンジモニウムエチルリン酸ステアリル(成分A)(*1) 4.0%
2.レシチン0.5%処理酸化チタン(平均粒子径:0.30μm)(成分B)2.0%
3.レシチン1.0%処理タルク(成分B) 残 量
4.ベンガラ・酸化チタン被覆雲母(成分B) 10.0%
5.酸化チタン被覆雲母(成分B) 2.0%
6.シリカ(成分B:球状粉体)(*28) 3.0%
7.赤226号(成分B) 4.0%
8.黄色4号(成分B) 1.0%
9.セスキイソステアリン酸ソルビタン(成分C’) 1.0%
10.セスキオレイン酸ソルビタン(成分C’) 1.0%
12.ジイソステアリン酸ジグリセリル(成分C’)(*32) 10.0%
13.トリイソステアリン酸ジグリセリル(成分C’)(*30) 21.0%
14.ポリプロピレン(成分C) (*33) 2.0%
15.ポリエチレン(成分C)(*34) 4.5%
16.ポリブテン(成分C)(*35) 25.0%
17.(エチレン/プロピレン)コポリマー(成分C)(*36) 6.0%
18.香料 0.5%
(*32)コスモール 42V(日清オイリオグループ社製)
(*33)L-MODU S400(出光興産社製)
(*34)PERFORMALENE500(ニューフェーズテクノロジー社製)
(*35)日石ポリブテンHV-1900F(JX日鉱日石エネルギー社製)
(*36)EPSワックス(日本ナチュラルプロダクツ社製)
(製造方法)
A.成分2~8を混合して混合物を得た。
B.成分9~17を100℃にて加温溶解し、成分1を加えて、溶解物(または分散物)を得た。
C.Bで得られた溶解物(または分散物)に成分18を加え、混合物を得た。
D.Aで得られた混合物にCを加え、混合物を得た。
E.Dで得られた混合物を3本ローラーにて処理し、ペースト状の化粧料を得た。
F.Eで得られたペースト状の化粧料を90℃にて溶融充填成形することで固形状化粧料を得た。
【0115】
実施例31の固形粉末状の化粧料は、肌への付着力、化粧持ち、使用中の粉きしみの無さ、および仕上がりの粉感の無さのいずれの項目にも優れたものであった。
【0116】
なお、成分(A)の含有量4.0質量%、成分(C)の含有量が70.5質量%、(C’)/(A)(質量比)=8.25、球状粉体の粉体中の含有量は12.0質量%であった。