(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】人力駆動車用制御装置、人力駆動車用ドライブユニット、人力駆動車用制御方法、および、外部端末
(51)【国際特許分類】
B62M 6/45 20100101AFI20221201BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20221201BHJP
B62M 25/08 20060101ALI20221201BHJP
【FI】
B62M6/45
B62J45/00
B62M25/08
(21)【出願番号】P 2019067982
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】川崎 靖長
(72)【発明者】
【氏名】笠井 義之
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-30395(JP,A)
【文献】特開2016-22798(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200367(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0009771(US,A1)
【文献】特開2016-135674(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0029057(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0016638(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/55
B62M 6/45
B62M 25/08
B62J 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作装置の操作に応じて、人力駆動車に取り付けられる少なくとも1つのコンポーネントを制御する制御部と、
前記操作装置の操作に関連する第1動作設定、および、前記操作装置の操作に関連し、かつ、前記第1動作設定とは異なる第2動作設定、の少なくとも1つを記憶する記憶部と、を含み、
前記制御部は、
前記第1動作設定、および、前記第2動作設定が前記記憶部に記憶されている場合に、前記操作装置の操作に応じて前記少なくとも1つのコンポーネントに対して第1制御を行い、
前記第1動作設定が前記記憶部に記憶され、かつ、前記第2動作設定が前記記憶部に記憶されていない場合に前記少なくとも1つのコンポーネントに対して前記第1制御を行わない、人力駆動車用制御装置。
【請求項2】
前記操作装置は、第1操作部を含み、
前記第1操作部は、前記第1動作設定に関連する、請求項1に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項3】
前記操作装置は、さらに第2操作部を含み、
前記第2操作部は、前記第2動作設定に関連する、請求項1または2に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記操作装置の操作に関連し、かつ、前記第1動作設定、および、前記第2動作設定とは異なる第3動作設定を記憶する、請求項1から3のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項5】
前記操作装置は、さらに第3操作部を含み、
前記第3操作部は、前記第3動作設定に関連する、請求項4に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項6】
前記人力駆動車は、前記人力駆動車に推進力を付与するモータを含み、
前記第1動作設定は、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に対する前記モータの出力を行わないモードにおいて、前記操作装置の操作に応じて所定動作を行う設定である、請求項1から5のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項7】
前記第2動作設定は、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に対するモータの出力比が低いモードから前記モータの前記出力比が高いモードに切り替える設定である、請求項1から6のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1動作設定により、前記操作装置の操作に応じてモータを駆動可能なウォークモードに遷移する、請求項1から7のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ウォークモードに遷移した後、前記操作装置が操作されると前記モータを前記ウォークモードで駆動する、請求項8に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのコンポーネントは、ディレイラを含み、
前記操作装置は、第1操作部および第2操作部とは異なる、少なくとも1つの第3操作部を含み、
前記制御部は、前記第3操作部が操作されると前記ディレイラを動作させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置。
【請求項11】
請求項1から5のいずれか一項に記載の人力駆動車用制御装置と、
前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、を含む、人力駆動車用ドライブユニット。
【請求項12】
操作装置の操作に応じて、人力駆動車に取り付けられる少なくとも1つのコンポーネントを制御する制御部と、
第1動作設定、および、前記第1動作設定とは異なる第2動作設定、の少なくとも1つを記憶する記憶部と、を含む人力駆動車用制御装置による人力駆動車用制御方法であって、
前記第1動作設定、および、前記第2動作設定が前記記憶部に記憶されていると判断されると、前記制御部が前記操作装置の操作に応じて前記少なくとも1つのコンポーネントに対して前記第1動作設定に関連する制御を行うステップと、
前記第1動作設定が前記記憶部に記憶され、かつ、前記第2動作設定が前記記憶部に記憶されていないと判断されると、前記制御部が前記少なくとも1つのコンポーネントに対して前記制御を行わないステップと、を含む、人力駆動車用制御方法。
【請求項13】
前記制御部が、前記第1動作設定により、前記操作装置の操作に応じてモータを駆動可能なウォークモードに遷移するステップをさらに含む、請求項12に記載の人力駆動車用制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の人力駆動車用制御方法を含むプログラムがインストールされ、かつ、携帯可能である、外部端末。
【請求項15】
さらに表示部を含む、請求項14に記載の外部端末。
【請求項16】
前記表示部は、タッチパネル機構を含む、請求項15に記載の外部端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用制御装置、人力駆動車用ドライブユニット、人力駆動車用制御方法、および、外部端末に関する。
【背景技術】
【0002】
乗車時に加えて、押し歩き時にもモータを駆動させることで車輪駆動に推進力を付与する人力駆動車が知られている。特許文献1は、操作スイッチの操作に応じて乗車時の乗車モードと押し歩き時のウォークモードとを切り替えられる人力駆動車の構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ユーザビリティの向上に貢献できる人力駆動車用制御装置、人力駆動車用ドライブユニット、人力駆動車用制御方法、および、外部端末を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う人力駆動車用制御装置は、操作装置の操作に応じて、人力駆動車に取り付けられる少なくとも1つのコンポーネントを制御する制御部と、前記操作装置の操作に関連する第1動作設定、および、前記操作装置の操作に関連し、かつ、前記第1動作設定とは異なる第2動作設定、の少なくとも1つを記憶する記憶部と、を含み、前記制御部は、前記第1動作設定、および、前記第2動作設定が前記記憶部に記憶されている場合に、前記操作装置の操作に応じて前記少なくとも1つのコンポーネントに対して第1制御を行い、前記第1動作設定が前記記憶部に記憶され、かつ、前記第2動作設定が前記記憶部に記憶されていない場合に前記少なくとも1つのコンポーネントに対して前記第1制御を行わない。
上記第1側面の人力駆動車用制御装置によれば、制御部は、第2動作設定が記憶部に記憶されているかに応じて制御を好適に実行する。このため、ユーザビリティが向上する。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の人力駆動車用制御装置において、前記操作装置は、第1操作部を含み、前記第1操作部は、前記第1動作設定に関連する。
上記第2側面の人力駆動車用制御装置によれば、ユーザは、第1操作部を操作することで第1動作設定に基づいた制御を実行させることができるため、ユーザビリティが向上する。
【0007】
前記第1または第2側面に従う第3側面の人力駆動車用制御装置において、前記操作装置は、さらに第2操作部を含み、前記第2操作部は、前記第2動作設定に関連する。
上記第3側面の人力駆動車用制御装置によれば、ユーザは、第2操作部を操作することで第2動作設定に基づいた制御を実行させることができるため、ユーザビリティが向上する。
【0008】
前記第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面の人力駆動車用制御装置において、前記記憶部は、前記操作装置の操作に関連し、かつ、前記第1動作設定、および、前記第2動作設定とは異なる第3動作設定を記憶する。
上記第4側面の人力駆動車用制御装置によれば、制御部が第3動作設定に基づいた制御を実行できるため、ユーザビリティが向上する。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面の人力駆動車用制御装置において、前記操作装置は、さらに第3操作部を含み、前記第3操作部は、前記第3動作設定に関連する。
上記第5側面の人力駆動車用制御装置によれば、ユーザは、第3操作部を操作することで第3動作設定に基づいた制御を実行させることができるため、ユーザビリティが向上する。
【0010】
前記第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の人力駆動車用制御装置において、前記人力駆動車は、前記人力駆動車に推進力を付与するモータを含み、前記第1動作設定は、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に対する前記モータの出力を行わないモードにおいて、前記操作装置の操作に応じて所定動作を行う設定である。
上記第6側面の人力駆動車用制御装置によれば、操作装置の操作に応じた所定動作を好適に設定できる。
【0011】
前記第1から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の人力駆動車用制御装置において、前記第2動作設定は、前記人力駆動車に入力される人力駆動力に対するモータの出力比が低いモードから前記モータの前記出力比が高いモードに切り替える設定である。
上記第7側面の人力駆動車用制御装置によれば、モータの出力比を好適に設定できる。
【0012】
前記第1から第7側面のいずれか1つに従う第8側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記第1動作設定により、前記操作装置の操作に応じてモータを駆動可能なウォークモードに遷移する。
上記第8側面の人力駆動車用制御装置によれば、押し歩きする場合にモータが駆動できるウォークモードに遷移するため、ユーザが人力駆動車を好適に押し歩きできる。
【0013】
前記第8側面に従う第9側面の人力駆動車用制御装置において、前記制御部は、前記ウォークモードに遷移した後、前記操作装置が操作されると前記モータを前記ウォークモードで駆動する。
上記第9側面の人力駆動車用制御装置によれば、押し歩きする場合に操作装置の操作に応じてモータが駆動するため、ユーザが人力駆動車を好適に押し歩きできる。
【0014】
前記第1から第3側面に従う第10側面の人力駆動車用制御装置において、前記少なくとも1つのコンポーネントは、ディレイラを含み、前記操作装置は、第1操作部および第2操作部とは異なる、少なくとも1つの第3操作部を含み、前記制御部は、前記第3操作部が操作されると前記ディレイラを動作させる。
上記第10側面の人力駆動車用制御装置によれば、制御部は、ユーザの操作装置の操作に応じてコンポーネントの制御を行うため、ユーザビリティが向上する。
【0015】
本発明の第11側面に従う人力駆動車用ドライブユニットにおいて、前記第1から第5側面のいずれか1つに従う人力駆動車用制御装置と、前記人力駆動車に推進力を付与するモータと、を含む。
上記第11側面の人力駆動車用ドライブユニットによれば、人力駆動車に対して好適に推進力を付与できる。
【0016】
本発明の第12側面に従う人力駆動車用制御方法は、操作装置の操作に応じて、人力駆動車に取り付けられる少なくとも1つのコンポーネントを制御する制御部と、第1動作設定、および、前記第1動作設定とは異なる第2動作設定、の少なくとも1つを記憶する記憶部と、を含む人力駆動車用制御装置による人力駆動車用制御方法であって、前記第1動作設定、および、前記第2動作設定が前記記憶部に記憶されていると判断されると、前記制御部が前記操作装置の操作に応じて前記少なくとも1つのコンポーネントに対して前記第1動作設定に関連する制御を行うステップと、前記第1動作設定が前記記憶部に記憶され、かつ、前記第2動作設定が前記記憶部に記憶されていないと判断されると、前記制御部が前記少なくとも1つのコンポーネントに対して前記制御を行わないステップと、を含む。
上記第12側面の人力駆動車用制御方法によれば、制御部は、第2動作設定が記憶部に記憶されているかに応じて制御を好適に実行する。このため、ユーザビリティが向上する。
【0017】
前記第12側面に従う第13側面の人力駆動車用制御方法において、前記制御部が、前記第1動作設定により、前記操作装置の操作に応じてモータを駆動可能なウォークモードに遷移するステップをさらに含む。
上記第13側面の人力駆動車用制御方法によれば、押し歩きする場合にモータが駆動できるウォークモードに遷移するため、ユーザが人力駆動車を好適に押し歩きできる。
【0018】
本発明の第14側面の外部端末は、前記第13側面に記載の人力駆動車用制御方法を含むプログラムがインストールされ、かつ、携帯可能である。
上記第14側面の外部端末によれば、ユーザが携帯可能であるためユーザビリティが向上する。
【0019】
前記第14側面に従う第15側面の外部端末において、さらに表示部を含む。
上記第15側面の外部端末によれば、ユーザからの視認性が向上するためユーザビリティが向上する。
【0020】
前記第15側面に従う第16側面の外部端末において、前記表示部は、タッチパネル機構を含む。
上記第16側面の外部端末によれば、ユーザが表示部を操作することができるためユーザビリティが向上する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の人力駆動車用制御装置、人力駆動車用ドライブユニット、人力駆動車用制御方法、および、外部端末によれば、ユーザビリティ向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態の人力駆動車用ドライブユニットを含む人力駆動車の側面図。
【
図2】
図1の人力駆動車の電気的な構成を示すブロック図。
【
図4】ハンドルバーに取り付けられる操作装置および外部端末の正面図。
【
図5】制御部によって実行される処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態>
図1から
図6を参照して、実施形態の人力駆動車用制御装置60について説明する。以下では人力駆動車用制御装置60を制御装置60と記載する場合がある。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力によって駆動することができる車両である。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車、および、3輪以上の車輪を有する車両も含む。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。自転車は、電気モータによって駆動力が与えられる電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、2つの車輪を有する自転車として説明する。
【0024】
図1に示されるように、人力駆動車10は、クランク12、車輪14、車体16、および、入力部22を含む。車体16は、フレーム18、および、ステアリング部20を含む。クランク12は、フレーム18に対して回転可能なクランク軸12Aを含む。車輪14は、フレーム18に支持される。車輪14は、前輪14A、および、後輪14Bを含む。フレーム18には、ステアリング部20を介して前輪14Aが取り付けられる。後輪14Bは、クランク軸12Aが回転することによって駆動される。クランク12は、駆動機構24によって、後輪14Bと連結される。駆動機構24は、クランク軸12Aに結合される第1回転体26を含む。クランク軸12Aは、第1回転体26と、一体に回転するように結合されていてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して結合されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク軸12Aが前転した場合に、第1回転体26を前転させ、クランク軸12Aが後転した場合に、第1回転体26を後転させないように構成される。第1回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構24は、第2回転体28、および、連結部材30をさらに含む。連結部材30は、第1回転体26の回転力を第2回転体28に伝達する。連結部材30は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0025】
入力部22は、クランク軸12Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム22A、および、クランクアーム22Aに連結されるペダル22Bを含む。クランクアーム22Aの軸方向の一端には、クランク軸12Aが連結される。クランクアーム22Aの軸方向の他端には、ペダル22Bが連結される。入力部22は、ユーザからの人力駆動力の入力を受け付ける。
【0026】
第2回転体28は、後輪14Bに連結される。第2回転体28は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体28と後輪14Bとの間には、第2ワンウェイクラッチが設けられることが好ましい。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体28が前転した場合に、後輪14Bを前転させ、第2回転体28が後転した場合に、後輪14Bを後転させないように構成される。図示される人力駆動車10において、後輪14Bは、駆動輪である。
【0027】
ステアリング部20は、フロントフォーク32、および、ハンドル部34を含む。ハンドル部34は、ステム36、および、ハンドルバー38を含む。フロントフォーク32には、ハンドルバー38がステム36を介して連結される。
【0028】
人力駆動車10は、コンポーネント70をさらに含む。コンポーネント70は、変速機72、アジャスタブルシートポスト74、サスペンション76、バッテリ78、ランプ80、および、外部端末82の少なくとも1つを含む。
【0029】
変速機72は、ディレイラ72A、および、内装変速機72Dの少なくとも1つを含む(
図2参照)。ディレイラ72Aは、フロントディレイラ72B、および、リアディレイラ72Cの少なくとも1つを含む。変速機72は、フロントディレイラ72Bのみ、リアディレイラ72Cのみ、内装変速機72Dのみ、または、フロントディレイラ72B、リアディレイラ、および、内装変速機72Dのうちの任意の組合せを含んでいてもよい。第1回転体26および第2回転体28の少なくとも1つは、複数のスプロケットを含む。第1回転体26のみ、第2回転体28のみ、または、第1回転体26および第2回転体28の両方が、複数のスプロケットを含んでいてもよい。変速機72は、第1回転体26が複数のフロントスプロケットを含む場合、フロントディレイラ72Bを含み、第2回転体28が複数のリアスプロケットを含む場合、リアディレイラ72Cを含む。
図1で示される人力駆動車10は、第1回転体26は、1枚のスプロケットを含み、第2回転体28は、複数のスプロケットを含む。変速機72が内装変速機72Dを含む場合、内装変速機72Dは、例えば、後輪14Bのハブに設けられる。
【0030】
アジャスタブルシートポスト74は、シート16Bの高さを変更するように動作する。一例では、アジャスタブルシートポスト74の動作に伴って、シートチューブ16Aに対するシート16Bの高さが変更される。サスペンション76は、前輪14Aが走行路面から受ける衝撃を緩和するフロントサスペンション、および、後輪14Bが走行路面から受ける衝撃を緩和するリアサスペンションの少なくとも1つを含む。サスペンション76は、動作パラメータとして、減衰率、ストローク量、および、ロックアウト状態の少なくとも1つを変更可能に構成される。
【0031】
バッテリ78は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ78は、フレーム18に設けられる。バッテリ78は、電気的に接続されている他の電気部品、例えば、制御装置60、および、他のコンポーネント70に電力を供給する。一例では、バッテリ78は、充電可能な二次電池を含む。バッテリ78は、例えによって制御装置60と接続される。バッテリ78は、フレーム18の外部に取り付けられてもよく、少なくとも一部がフレーム18の内部に収容されてもよい。バッテリ78は複数設けられてもよく、例えば人力駆動車用ドライブユニット50に電力を供給するバッテリと、コンポーネント70に電力を供給するバッテリとが異なっていてもよい。
【0032】
人力駆動車10は、人力駆動車用ドライブユニット50を含む。以下では、人力駆動車用ドライブユニット50をドライブユニット50と称する場合がある。ドライブユニット50は、人力駆動車10に推進力を付与するように構成されるモータ52を含む(
図2参照)。ドライブユニット50は、駆動回路をさらに含む。駆動回路は、インバータ回路を含む。モータ52は、駆動回路と同一のハウジング50Aに設けられることが好ましい。駆動回路は、バッテリ78からモータ52に供給される電力を制御する。駆動回路は、制御装置60と有線または無線によって通信可能に接続されている。駆動回路は、例えばシリアル通信によって制御装置60の制御部と通信可能である。駆動回路は、制御装置60に含まれていてもよい。駆動回路は、制御部62からの制御信号に応じてモータ52を駆動させる。
【0033】
ランプ80は、フロントランプおよびテールランプの少なくとも1つを含む。フロントランプは、例えばフロントフォーク32に取り付けられる。テールランプは、例えばシートステーに取り付けられる。
【0034】
外部端末82は、人力駆動車10に関する情報の表示、および、外部端末82以外の人力駆動車10のコンポーネント70への操作信号の出力の少なくとも1つを実行する。人力駆動車10に関する情報は、コンポーネント70の制御に関する情報を含む。外部端末82は、サイクルコンピュータ、および、スマートフォンの少なくとも1つを含む。外部端末82がスマートフォンである場合、スマートフォンは、人力駆動車10に関する情報、および、人力駆動車10のコンポーネント70への操作信号の出力の少なくとも1つが実行可能なアプリケーションを備える。外部端末82は、ユーザにより携帯可能である。外部端末82は、人力駆動車10に設けられた取付部に取り付けられる。人力駆動車10は、外部端末82が取り付け可能に構成される取付部を含む。
【0035】
人力駆動車10は、操作装置40を含む。操作装置40は、ユーザからの入力に応じてモータ52および少なくとも1つのコンポーネント70を制御するための操作信号を出力する。
【0036】
図2を参照して、人力駆動車10の電気的構成について説明する。
ドライブユニット50は、人力駆動車用制御装置60と、人力駆動車10に推進力を付与するモータ52と、を含む。ドライブユニット50のハウジング50A内には、モータ52以外の構成が設けられていてもよく、モータ52の回転を減速して出力する減速機構、および、モータ52の回転を増速して出力する増速機構の少なくとも1つを含んでいてもよい。制御装置60は、ドライブユニット50のハウジング50A内に設けられていてもよく、ドライブユニット50のハウジング50A外に設けられていてもよい。一例では、制御装置60は、操作装置40に設けられる。
【0037】
制御装置60は、コンポーネント70、および、操作装置40と有線または無線通信可能に接続される。第1例では、制御装置60は、コンポーネント70と電力搬送通信(PLC;power line communication)線CWにより接続される。制御装置60は、操作装置40と電力搬送通信線CWで接続される。第2例では、制御装置60、コンポーネント70、および、操作装置40は、無線通信部を含む。制御装置60は、無線通信部を介して無線通信を実行する。コンポーネント70、および、操作装置40は、電力線によりドライブユニット50に給電するバッテリ78から給電されてもよく、ドライブユニット50に給電するバッテリ78と異なるバッテリから給電されてもよい。制御装置60は、制御部62を含む。制御部62は、操作装置40の操作に応じて、人力駆動車10に取り付けられる少なくとも1つのコンポーネント70を制御する。制御部62は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部62は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御装置60は、記憶部64をさらに含む。記憶部64には、各種の制御プログラム、および、各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部64は、例えば不揮発性メモリ、および、揮発性メモリを含む。記憶部64は、操作装置40の操作に関連する第1動作設定、および、操作装置40の操作に関連し、かつ、第1動作設定とは異なる第2動作設定、の少なくとも1つを記憶する。記憶部64は、操作装置40の操作に関連し、かつ、第1動作設定、および、第2動作設定とは異なる第3動作設定を記憶する。
【0038】
人力駆動車用制御装置60は、操作装置40の操作に応じて、人力駆動車10に取り付けられる少なくとも1つのコンポーネント70を制御する制御部62と、第1動作設定、および、第1動作設定とは異なる第2動作設定、の少なくとも1つを記憶する記憶部64と、を含む。
【0039】
記憶部64は、モータ52の制御のための複数のモードを記憶する。複数のモードは、入力部22に入力される人力駆動力に応じて、制御部62がモータ52を制御するアシストモードと、操作装置40に入力される操作に応じてモータ52を制御するウォークモードと、を含む。制御部62は、記憶部64に記憶される複数のモードに基づいて制御を実行する。複数のモードは、モータ52の出力を行うモードとモータ52の出力を行わないモードを含む。アシストモードは、入力部22に入力される人力駆動力に対するモータ52の出力の比率に関連する少なくとも1つのアシスト出力モードを含む。アシストモードは、好ましくは、出力の比率が異なる2以上のアシスト出力モードを含み、更に好ましくは、出力の比率が異なる3以上のアシスト出力モードを含む。アシストモードは、出力の比率がゼロになる、アシストオフモードをさらに含む。アシストモードにおいて、制御部62は、設定された出力比に応じて、入力部22に入力される人力駆動力に対するモータ52の出力が所定の比率になるようにモータ52を制御する。出力比が低いとは、人力駆動力に対してモータ52の出力が低いことを表す。出力比が高いとは、人力駆動力に対してモータ52の出力が高いことを表す。アシストオフモードにおいて、制御部62は、入力部22に入力される人力駆動力に応じたモータ52の出力制御を実行しない。モータ52の出力を行わないモードにおいて、制御部62は、入力部22に入力される人力駆動力に応じたモータ52の出力制御を実行しない。
【0040】
記憶部64が記憶する第1から第3動作設定について説明する。動作設定は、制御部62がモータ52、および、コンポーネント70をどのように制御するかに関する設定である。第1動作設定は、モータ52の制御に関する設定を含む。第1動作設定は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するモータ52の出力を行わないモードにおいて、操作装置40の操作に応じて所定動作を行う設定である。所定動作は、モータ52が人力駆動力に応じた出力を行わないモードからウォークモードへの遷移を含む。制御部62は、第1動作設定により、操作装置40の操作に応じてモータ52を駆動可能なウォークモードに遷移する。ウォークモードは、制御部62が、操作装置40の操作に応じてモータ52を駆動し、ユーザの押し歩きを補助するモードである。制御部62は、ウォークモードに遷移した後、操作装置40が操作されるとモータ52をウォークモードで駆動する。一例では、操作装置40が押下されている間にモータ52をウォークモードで動作する。ウォークモードにおけるモータ52の出力は、任意に設定される。制御部62は、予め設定されたモータ52の出力値に基づいてモータ52を動作させてもよい。制御部62は、人力駆動車10の走行に関する情報に基づいて、モータ52の出力を変化させてもよい。走行に関する情報は、人力駆動車10の車速、加速度、および、人力駆動車10の傾斜の少なくとも1つを含む。制御部62は、人力駆動車10の速度が所定速度となるようにモータの出力値を制御してもよい。ウォークモードにおいて、制御部62は、所定条件が満たされている状態で操作装置40が操作されると、モータ52をウォークモードで駆動しないように設定してもよい。所定条件の一例は、クランク12にトルクが入力された場合である。制御部62は、クランク12に所定以上のトルクが入力されている状態で操作装置40が操作されても、モータ52をウォークモードで駆動しない。人力駆動車10は、クランク12に入力されるトルクを検出するトルクセンサを含む。所定条件の別の例では、アジャスタブルシートポスト74またはシート16Bに入力される所定以上の重量を検出した場合である。制御部62は、アジャスタブルシートポスト74またはシート16Bに所定以上の重量が入力されている状態で操作装置40が操作されても、モータ52をウォークモードで駆動しない。人力駆動車10は、アジャスタブルシートポスト74、および、シート16Bの少なくとも1つにかかる重量を検出するための圧力感知センサを含む。第1動作設定は、以下に例示される少なくとも1つの設定をさらに含んでいてもよい。第1例は、設定されるアシスト出力モードのうち、出力の比率が高いアシスト出力モードから出力の比率が低いアシスト出力モードに切り替える設定である。第2例は、設定される出力の比率が最も低いアシスト出力モードから出力の比率がゼロであるアシストオフモードに切り替える設定である。第3例は、アシストモードがアシストオフモードに設定されている状態で、アシストモードからウォークモードに切り替える設定である。
【0041】
第2動作設定は、モータ52の制御に関する設定を含む。第2動作設定は、人力駆動車10に入力される人力駆動力に対するモータ52の出力比が低いモードからモータ52の出力比が高いモードに切り替える設定である。第2動作設定は、以下に例示される少なくとも1つの設定をさらに含んでいてもよい。第1例は、ウォークモードからアシストモードに切り替える設定である。第2例は、アシストオフモードから設定されるアシスト出力モードのうち、最も比率が低いアシスト出力モードに切り替える設定である。第3例は、設定されるアシスト出力モードのうち、出力の比率が低いアシスト出力モードから出力の比率が高いアシスト出力モードに切り替える設定である。第4例は、ウォークモードにおいて駆動するモータ52の駆動を停止する設定である。
【0042】
第3動作設定は、少なくとも1つのコンポーネント70の制御に関する設定である。少なくとも1つのコンポーネント70は、ディレイラ72Aを含む。操作装置40は、第1操作部42および第2操作部44とは異なる、少なくとも1つの第3操作部46を含む。制御部62は、第3操作部46が操作されるとディレイラ72Aを動作させる。制御部62は、ディレイラ72Aを操作して、連結部材30によって連結されるフロントスプロケットの歯数とリアスプロケットの歯数との差が変化するように制御する。連結部材30によって連結されるフロントスプロケットとリアスプロケットとの歯数の差が小さくなることで変速比が小さくなる。連結部材30によって連結されるフロントスプロケットの歯数に対するリアスプロケットの歯数の比率が大きくなることで変速比は小さくなる。連結部材30によって連結されるフロントスプロケットとリアスプロケットとの歯数の差が大きくなることで変速比が大きくなる。連結部材30によって連結されるフロントスプロケットの歯数に対するリアスプロケットの歯数の比率が小さくなることで変速比が大きくなる。第3動作設定は、以下に例示される設定の少なくとも1つを含んでいてもよい。第1例では、アジャスタブルシートポスト74を動作し、シート16Bの高さを切り替える設定である。第2例は、サスペンション76のパラメータの少なくとも1つを変更する設定である。第3例は、バッテリ78から他のコンポーネント70、および、モータ52への電力供給の実行を切り替える設定である。第4例は、ランプ80のオンとオフとを切り替える設定である。第5例は、外部端末82の動作を切り替える設定である。
【0043】
図2、および、
図3に示されるように、操作装置40は、少なくとも1つの操作部を含む。操作装置40は、第1動作設定に関連する第1操作部42を含む。好ましくは、操作装置40は、第2動作設定に関連する第2操作部44をさらに含む。好ましくは、操作装置40は、第3動作設定に関連する第3操作部46をさらに含む。操作装置40は、第1スイッチ42A、第2スイッチ44A、および、第3スイッチ46Aを含む。第1スイッチ42Aは、第1操作部42、第2操作部44、および、第3操作部46の少なくとも1つが割り当てられる。第2スイッチ44Aは、第1操作部42、第2操作部44、および、第3操作部46の少なくとも1つが割り当てられる。第3スイッチ46Aは、第1操作部42、第2操作部44、および、第3操作部46の少なくとも1つが割り当てられる。
【0044】
図4は、操作装置40、および、外部端末82が取り付けられたハンドルバー38を示す。本操作装置40は、人力駆動車10に1または複数設けられる。実施形態では、操作装置40は、ハンドルバー38に2つ設けられる。操作装置40は、第1操作装置40A、および、第2操作装置40Bを含む。第2操作装置40Bは、第4スイッチ42B、第5スイッチ44B、および、第6スイッチ46Bを含む。第4スイッチ42Bは、第1操作部42、第2操作部44、および、第3操作部46の少なくとも1つが割り当てられる。第5スイッチ44Bは、第1操作部42、第2操作部44、および、第3操作部46の少なくとも1つが割り当てられる。第6スイッチ46Bは、第1操作部42、第2操作部44、および、第3操作部46の少なくとも1つが割り当てられる。外部端末82は、さらに表示部82Aを含む。表示部82Aは、タッチパネル機構を含む。タッチパネル機構は、例えば、抵抗膜方式、または、静電容量方式が用いられる。外部端末82は、外部端末82を操作するための複数のボタン82Bを含む。
【0045】
制御部62は、ソフトウェアによって設定される操作装置40に含まれる操作部に対応する動作設定に基づいて、コンポーネント70を制御する。操作装置40に含まれる操作部と、コンポーネント70の動作設定と、の関係を設定可能なソフトウェアを用いる装置によって、操作装置40に含まれる操作部、コンポーネント70の動作設定と、の関係を設定する。第1例では、ソフトウェアを用いる装置は外部端末82である。第2例では、ソフトウェアを用いる装置は外部端末82とは異なる。ソフトウェアを用いる装置は、パーソナルコンピュータ、タブレット、および、スマートフォンを含む。ソフトウェアを用いる装置は、人力駆動車10に設けられる端末であり、操作装置40の操作によって、操作装置40に含まれる操作部、コンポーネント70の動作設定と、の関係を設定してもよい。ソフトウェアは、ソフトウェアを用いる装置自体に保存されていてもよく、サーバに保存されていてもよい。ソフトウェアによって動作設定を設定する操作装置40の操作部を1または複数選択する。本実施例の一例では、ソフトウェアがインストールされた外部端末82によって、第1スイッチ42Aに関連する動作設定として第1動作設定を割り当てる。設定可能な動作設定は、例えば、外部端末82の表示部82Aで確認できる。本実施例の一例では、ソフトウェアがインストールされた外部端末82によって、第2スイッチ44Aに関連する動作設定として第2の動作設定を割り当てる。本実施例の一例では、ソフトウェアがインストールされた外部端末82によって、第3スイッチ46Aに関連する動作設定として第3の動作設定を割り当てる。表1に示される設定例1から6は、操作装置40の各スイッチに対して割り当てられた第1から第3動作設定の一例を示す。設定例1から3は、第1操作装置40Aの第1スイッチ42A、第2スイッチ44A、および、第3スイッチ46Aに対して、動作設定を割り当てた例を示す。設定例4から6は、第1操作装置40Aの第1スイッチ42A、第2スイッチ44A、および、第3スイッチ46A、および、第2操作装置40Bの第4スイッチ42B、第5スイッチ44B、および、第6スイッチ46Bに対して、動作設定を割り当てた例を示す。表1に示されるように、第1から第3動作設定のすべてが操作装置40の各スイッチに割り当てられなくてもよく、すべてのスイッチに動作設定が割り当てられなくてもよい。割り当てられた各動作設定は、記憶部64に記憶される。
【0046】
【0047】
制御部62は、第1動作設定、および、第2動作設定が記憶部64に記憶されている場合に、操作装置40の操作に応じて少なくとも1つのコンポーネントに対して第1制御を行い、第1動作設定が記憶部64に記憶され、かつ、第2動作設定が記憶部64に記憶されていない場合に少なくとも1つのコンポーネント70に対して第1制御を行わない。第1制御は、第1動作設定に基づく制御である。設定例1、設定例4、および、設定例5の操作装置40は、第1動作設定、および、第2動作設定が割り当てられる。設定例1、設定例4、および、設定例5の操作装置40の第1スイッチ42Aが操作された場合、制御部62は、第1制御を実行する。設定例2、および、設定例6の操作装置40は、第1動作設定が割り当てられ、かつ、第2動作設定が割り当てられない。設定例2、および、設定例6の操作装置40は、第1スイッチ42Aが操作された場合、制御部62は、第1制御を実行しない。設定例3の操作装置40は、第1動作設定が割り当てられない。制御部62は、第1制御を実行しない。
【0048】
図5を参照して、制御部62が実行する制御の一例について説明する。
人力駆動車用制御装置60による人力駆動車用制御方法は、第1動作設定、および、第2動作設定が記憶部64に記憶されていると判断されると、制御部62が操作装置40の操作に応じて少なくとも1つのコンポーネント70に対して第1動作設定に関連する制御を行うステップと、第1動作設定が記憶部64に記憶され、かつ、第2動作設定が記憶部64に記憶されていないと判断されると、制御部62が少なくとも1つのコンポーネント70に対して制御を行わないステップと、を含む。人力駆動車用制御方法は、制御部62が、第1動作設定により、操作装置40の操作に応じてモータ52を駆動可能なウォークモードに遷移するステップをさらに含む。
【0049】
制御部62は、ステップS11において、第1操作部42が操作されたか否かを判断する。第1操作部42が操作されたと判断された場合、制御部62は、ステップS12の処理を実行する。第1操作部42が操作されていないと判断された場合、制御部62は、ステップS11の処理を再度実行する。
【0050】
制御部62は、ステップS12において、第1動作設定、および、第2動作設定が記憶部64に記憶されているか否かを判断する。第1動作設定、および、第2動作設定が記憶部に記憶されている場合、制御部62は、ステップS13の処理を実行する。第1動作設定が記憶部64に記憶され、かつ、第2動作設定が記憶部64に記憶されていないと判断した場合、制御部62は、ステップS18の処理を実行する。
【0051】
制御部62は、ステップS13において、操作装置40の操作に応じて少なくとも1つのコンポーネント70に対して第1動作設定に関連する制御を行う。一例では、第1動作設定により、操作装置40の操作に応じてモータ52を駆動可能なウォークモードに遷移する。
【0052】
制御部62は、ステップS14において、第1操作部42が操作されていないかどうかを判断する。第1操作部42が操作されていないと判断した場合、制御部62は、ステップS15の処理を実行する。第1操作部42が操作されていると判定した場合、制御部62は、ステップS14の処理を再度実行する。
【0053】
制御部62は、ステップS15において、第1操作部42が操作されているか否かを判断する。第1操作部42が操作されていると判断した場合、制御部62は、ステップS16の処理を実行する。第1操作部42が操作されていないと判断された場合、制御部62は、ステップS19の処理を実行する。
【0054】
制御部62は、ステップS16において、ウォークモードにおいてモータ52を駆動する。制御部62は、ステップS17において、第1操作部42が操作されていないかどうかを判断する。制御部62は、第1操作部42が操作されていないと判断した場合、ステップS18の処理を実行する。制御部62は、第1操作部42が操作されていると判断した場合、ステップS16の処理を実行する。
【0055】
制御部62は、ステップS18において、ウォークモードにおいてのモータの駆動を終了する。制御部62は、ステップS19において、第2操作部44が操作されたか否かを判断する。第2操作部44が操作されたと判断した場合、制御部62は、ステップS20の処理を実行する。第2操作部44が操作されていないと判断された場合、制御部62は、ステップS15の処理を再度実行する。
【0056】
制御部62は、ステップS20において、第2動作設定に関連する制御を実行する。一例では、ウォークモードからアシストモードに切り替え、第1動作設定に関連する制御を終了する。
【0057】
制御部62は、ステップS21において、少なくとも1つのコンポーネント70に対して制御を行わない。ステップS21の処理の終了後、制御部62は、制御を完了する。
【0058】
本実施形態の制御装置60によれば、例えば以下のような効果が得られる。
第1動作設定と関連する第1操作部42と、第2動作設定と関連する第2操作部44とが設定されていない場合、制御部62は、第1制御を実行しない。このため、第1制御を実行中に、第1動作設定が割り当てられたスイッチへの入力が停止しないことにより第1制御が終了できなくなる可能性を低減できる。
【0059】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用制御装置、ドライブユニット、人力駆動車用制御方法、および、外部端末が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用制御装置、ドライブユニット、人力駆動車用制御方法、および、外部端末は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
・外部端末82が、制御装置60を備えていてもよい。外部端末82は、人力駆動車用制御方法を含むプログラムがインストールされ、かつ、携帯可能である。外部端末82は、制御部62、および、記憶部64を備える。記憶部64は、人力駆動車用制御方法を含むプログラムを記憶する。
【0061】
・変形例の操作装置40において、操作装置40Aの第1スイッチ42A、第2スイッチ44A、および、第3スイッチ46A、操作装置40Bの第4スイッチ42B、第5スイッチ44B、および、第6スイッチ46Bの少なくとも1つがタッチパネル機構を備えていてもよい。操作装置40が、人力駆動車10に関する情報を表示する表示部48の構成を備えていてもよい。表示部48がタッチパネル機構を備え、第1スイッチ42A、第2スイッチ44A、第3スイッチ46A、第4スイッチ42B、第5スイッチ44B、および、第6スイッチ46Bの少なくとも1つが表示部48に表示される構成としていてもよい。この場合、第1スイッチ42A、第2スイッチ44A、第3スイッチ46A、第4スイッチ42B、第5スイッチ44B、および、第6スイッチ46Bの少なくとも1つは、表示部48においてスイッチを表示する表示領域に含まれる。表示領域は、ユーザからの操作を受け付ける操作領域を含む。制御部62は、操作領域における電流、および、電圧の変化の少なくとも1つを検出することで、各スイッチに割り当てられた操作部が操作されたか否かを判断する。
図6は、変形例の操作装置40の一例を示す。
【0062】
・第2動作設定において、モータ52の出力比が最も高いモードからモータ52の出力比が最も低いモードに遷移するように設定してもよい。第2動作設定により、モータ52の出力比が最も低いモードから最も高いモードを介して最も低いモードに戻るように設定されてもよい。
・第3動作設定において、人力駆動車10に設けられるロック装置のオンまたはオフを制御する設定を加えてもよい。
【0063】
・操作装置40の操作内容と第1から第3動作設定とは、任意に設定される。例えば、第1操作部42を所定時間の間押し続ける、または、第1操作部42を所定時間の間に所定回数押下した場合に、第1動作設定を実行するように構成されていてもよい。
【0064】
・コンポーネント70は、報知装置を含んでいてもよい。報知装置は、ユーザに対して情報を報知する。報知装置が報知する情報の一例は、第2動作設定が設定されていないことによる、第1制御が実行されない情報を含む。
【0065】
・第1動作設定に関連する第1操作部42と、第2動作設定に関連する第2操作部44とが操作された場合に、どちらの動作を優先するかは、任意に設定される。一例では、制御部62は、第1動作設定に基づく制御を優先する。制御部62は、モータ52をウォークモードで動作するように設定する。別の例では、制御部62は、第2動作設定に基づく制御を優先する。制御部62は、モータ52の出力比を低いモードから高いモードに遷移する。ウォークモードでモータ52の駆動力を出力している状態で、第1動作設定が関連する第1操作部42と第2動作設定が関連する第2操作部44とが同時に操作された場合、第2動作設定に基づく制御が優先される。一例では、モータ52の出力が停止する。制御部62は、第1操作部42が操作されていない状態であると判断したのちに、第1操作部42が操作され、かつ、第2操作部44が操作されていない場合に、第1動作設定に基づく制御が実行される。
【0066】
・アシストモードの中に含まれる、人力駆動力の入力に応じたモータ52の出力を行わないモードにおいて、第1動作設定が関連する第1操作部42が操作されると、ウォークモードでモータ52を駆動してもよい。ウォークモードでモータ52の駆動力を出力している状態で、第1操作部42への操作が終了した場合、アシストモードに含まれる、人力駆動力の入力に応じたモータ52の出力を行わないモードに遷移してもよい。
【0067】
第1動作設定は、アシストモード内での出力の比率を所定の比率に低下可能な状態にする設定、および、アシストモードからウォークモードへ変更可能な状態にする設定の少なくとも1つであってもよい。第2動作設定は、アシストモード内での出力の比率を所定の比率に上昇可能な状態にする設定、および、ウォークモードからアシストモードへ変更可能な状態にする設定の少なくとも1つであってもよい。第3動作設定は、変更可能な状態から所定の出力の比率に変更、および、モードの変更を決定する設定であってもよい。制御部62は、第3操作部46が操作されると、第1動作設定、および、第2動作設定の少なくとも1つに基づいて、制御を実行する。
【0068】
・本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、その選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0069】
10…人力駆動車、40…操作装置、42…第1操作部、44…第2操作部、46…第3操作部、50…人力駆動車用ドライブユニット、52…モータ、60…人力駆動車用制御装置、62…制御部、64…記憶部、70…コンポーネント、72…変速機、72A…ディレイラ、82…外部端末、82A…表示部。