(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-30
(45)【発行日】2022-12-08
(54)【発明の名称】コードロック
(51)【国際特許分類】
A44B 99/00 20100101AFI20221201BHJP
A44B 11/26 20060101ALI20221201BHJP
【ＦＩ】
A44B99/00 611N
A44B11/26
A44B99/00 611M
A44B99/00 601Z
【請求項の数】
5
(21)【出願番号】P 2019165652
(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公開番号】P2021040978
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】朴 憲永
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第０６３３９８６７（ＵＳ，Ｂ１）
【文献】特開２０１９－０４７９４９（ＪＰ，Ａ）
【文献】国際公開第２０１０／１０２１３１（ＷＯ，Ａ１）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ａ４３Ｃ７／００－７／０８
Ａ４３Ｃ１１／００－１１／２４
Ａ４４Ｂ１１／００－１１／２８
Ａ４４Ｂ１９／００－１９／６４
Ａ４４Ｂ９９／００
Ａ４５Ｃ１／００－１５／０８
Ａ４５Ｆ３／００－３／０４
Ａ４５Ｆ３／１２
Ｆ１６Ｇ１１／００－１１／１４
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードロック本体と、前記コードロック本体を納めるケースとからなる、コードロックであって、前記コードロック本体は、
第一開口と、第二開口と、これらの間に亘る紐の挿通路とを備えた雌部材と、
前記挿通路内に前記第一開口側から一部を入り込ませると共に、この一部に前記挿通路内に形成された雌側留付部と協働して前記挿通路に挿通された前記紐に留め付く雄側留付部を備えた雄部材とを備え、
前記紐に対する留め付けを、前記第一開口側から引き出される前記紐を支持しての前記雌部材に対する前記挿通路内への前記雄部材の一部の入り込み量を減ずる引き操作、及び、前記第二開口側から引き出される前記紐を支持しての前記雄部材に対する前記挿通路内への前記雄部材の一部の入り込み量を減ずる引き操作により解くようにしてなると共に、
前記雌部材と前記雄部材との間に、前記引き操作により蓄勢されるバネ部材を介在させてなり、
前記引き操作を行わない状態では前記バネ部材によって前記雌側留付部と前記雄側留付部とで前記紐を挟み付けるようになっており、
前記ケースは、
両端をそれぞれ前記紐の通過口とした筒状をなすと共に、その筒軸方向に沿う向きの往復動可能に前記コードロック本体側に組み合わされており、
前記ケースの往動時は前記ケースの第一係当部が前記雌部材の被係当部に係当して前記ケースと一緒に前記雌部材が前記雄部材側にガイドされて前記第一開口側から引き出される前記紐を支持しての前記引き操作がなされ、
前記ケースの復動時は前記ケースの第二係当部が前記雄部材の被係当部に係当して前記ケースと一緒に前記雄部材が前記雌部材側にガイドされて前記第二開口側から引き出される前記紐を支持しての前記引き操作がなされるようにしてなる、コードロック。
【請求項2】
前記ケースは、前記コードロック本体の全体を覆う大きさを備えてなる、請求項１に記載のコードロック。
【請求項3】
前記ケースにおける前記第一係当部と前記第二係当部との間に、前記コードロック本体の左右方向のガタつきを押さえる壁部を形成させてなる、請求項１又は請求項２に記載のコードロック。
【請求項4】
前記ケースの前記第一係当部を、前記コードロック本体を前記通過口の一方から前記ケース内に挿入しきった位置で前記雌部材の前記被係当部に突き当たる前記通過口の一方側を向いた段部としてなる、請求項１～請求項３のいずれか１項に記載のコードロック。
【請求項5】
前記ケースの前記第二係当部を、前記コードロック本体を前記通過口の一方から前記ケース内に挿入しきった位置で前記雄部材の前記被係当部に前記通過口の一方側から引っかかる突起としてなる、請求項１～請求項４のいずれか１項に記載のコードロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コードロックの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
第一開口と、第二開口と、これらの間に亘る紐の挿通路とを備えた雌部材と、前記挿通路内に前記第一開口側から一部を入り込ませると共にこの一部に前記挿通路内に形成された雌側留付部と協働して前記挿通路に挿通された前記紐に留め付く雄側留付部を備えた雄部材とを備え、前記紐に対する留め付けを、前記挿通路内への前記雄部材の一部の入り込み量を減ずる引き操作により解くようにしてなるコードロックとして、特許文献１に示されるものがある。
【0003】
この特許文献１のものはその構造上、かかる引き操作は、前記雌部材及び前記雄部材のいずれか一方のみを把持して行う必要がある。このため、かかる引き操作は直感的に行い難かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開２０１９－４７９４９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種のコードロックにおける紐に対する留め付けを解く引き操作を、コードロックのどの部分を把持しても行えるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、第一の観点から、コードロックを、
コードロック本体と、前記コードロック本体を納めるケースとからなる、コードロックであって、
前記コードロック本体は、
第一開口と、第二開口と、これらの間に亘る紐の挿通路とを備えた雌部材と、
前記挿通路内に前記第一開口側から一部を入り込ませると共に、この一部に前記挿通路内に形成された雌側留付部と協働して前記挿通路に挿通された前記紐に留め付く雄側留付部を備えた雄部材とを備え、
前記紐に対する留め付けを、前記第一開口側から引き出される前記紐を支持しての前記雌部材に対する前記挿通路内への前記雄部材の一部の入り込み量を減ずる引き操作、及び、前記第二開口側から引き出される前記紐を支持しての前記雄部材に対する前記挿通路内への前記雄部材の一部の入り込み量を減ずる引き操作により解くようにしてなると共に、
前記雌部材と前記雄部材との間に、前記引き操作により蓄勢されるバネ部材を介在させてなり、
前記引き操作を行わない状態では前記バネ部材によって前記雌側留付部と前記雄側留付部とで前記紐を挟み付けるようになっており、
前記ケースは、
両端をそれぞれ前記紐の通過口とした筒状をなすと共に、その筒軸方向に沿う向きの往復動可能に前記コードロック本体側に組み合わされており、
前記ケースの往動時は前記ケースの第一係当部が前記雌部材の被係当部に係当して前記ケースと一緒に前記雌部材が前記雄部材側にガイドされて前記第一開口側から引き出される前記紐を支持しての前記引き操作がなされ、
前記ケースの復動時は前記ケースの第二係当部が前記雄部材の被係当部に係当して前記ケースと一緒に前記雄部材が前記雌部材側にガイドされて前記第二開口側から引き出される前記紐を支持しての前記引き操作がなされるようにしてなる、ものとした。
コードロック本体と、前記コードロック本体を納めるケースとからなる、コードロックであって、
前記コードロック本体は、
第一開口と、第二開口と、これらの間に亘る紐の挿通路とを備えた雌部材と、
前記挿通路内に前記第一開口側から一部を入り込ませると共に、この一部に前記挿通路内に形成された雌側留付部と協働して前記挿通路に挿通された前記紐に留め付く雄側留付部を備えた雄部材とを備え、
前記紐に対する留め付けを、前記第一開口側から引き出される前記紐を支持しての前記雌部材に対する前記挿通路内への前記雄部材の一部の入り込み量を減ずる引き操作、及び、前記第二開口側から引き出される前記紐を支持しての前記雄部材に対する前記挿通路内への前記雄部材の一部の入り込み量を減ずる引き操作により解くようにしてなると共に、
前記雌部材と前記雄部材との間に、前記引き操作により蓄勢されるバネ部材を介在させてなり、
前記引き操作を行わない状態では前記バネ部材によって前記雌側留付部と前記雄側留付部とで前記紐を挟み付けるようになっており、
前記ケースは、
両端をそれぞれ前記紐の通過口とした筒状をなすと共に、その筒軸方向に沿う向きの往復動可能に前記コードロック本体側に組み合わされており、
前記ケースの往動時は前記ケースの第一係当部が前記雌部材の被係当部に係当して前記ケースと一緒に前記雌部材が前記雄部材側にガイドされて前記第一開口側から引き出される前記紐を支持しての前記引き操作がなされ、
前記ケースの復動時は前記ケースの第二係当部が前記雄部材の被係当部に係当して前記ケースと一緒に前記雄部材が前記雌部材側にガイドされて前記第二開口側から引き出される前記紐を支持しての前記引き操作がなされるようにしてなる、ものとした。
【0007】
かかる構成によれば、片手でケースの任意の位置を把持した状態で、このケースを前記往動及び復動操作することで、コードロック本体と紐との留め付け状態を解くことができる。
【0008】
前記ケースは、前記コードロック本体の全体を覆う大きさを備えたものとしておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0009】
また、前記ケースにおける前記第一係当部と前記第二係当部との間に、前記コードロック本体の左右方向のガタつきを押さえる壁部を形成させておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0010】
また、前記ケースの前記第一係当部を、前記コードロック本体を前記通過口の一方から前記ケース内に挿入しきった位置で前記雌部材の前記被係当部に突き当たる前記通過口の一方側を向いた段部としておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【0011】
また、前記ケースの前記第二係当部を、前記コードロック本体を前記通過口の一方から前記ケース内に挿入しきった位置で前記雄部材の前記被係当部に前記通過口の一方側から引っかかる突起としておくことが、この発明の態様の一つとされる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、前記ケースのどの部分を把持しても、コードロック本体における紐に対する留め付けを解く引き操作を行うことができ、かかる引き操作を直感的に行なうことが可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
【0016】
この実施の形態にかかるコードロック３は、紐２に対する留め付けを解く引き操作をコードロック３のどの部分を把持しても行えるようにしたものである。
【0017】
図１～図５は、このようなコードロック３（第一例）を結び目代替部材としてなる靴紐留め付け装置を示している。この靴紐留め付け装置は、靴１のアッパー１ａ（甲）に備えられる靴紐としての紐２（シューレース）における靴１からの延出部２ａに取り付けられて、この延出部２ａに結び目を形成させなくても、靴紐としての紐２が緩まないようにさせると共に、靴紐としての紐２を緩める操作も容易に行うことができるようにするものである。
【0018】
かかる靴紐留め付け装置は、結び目代替部材としてのコードロック３と、連繋部材４とから構成される。かかる靴紐留め付け装置と靴紐としての紐２とから留め付け装置つき靴紐を構成することができる。
【0019】
結び目代替部材としてのコードロック３は、靴紐としての紐２における靴１からの左右の延出部２ａをそれぞれ通して任意の位置でこれに留め付くようになっている。また、かかる結び目代替部材としてのコードロック３は、所定の大きさの力による前記延出部２ａに沿った移動操作によって前記延出部２ａに対する留め付けを解除すると共に、前記移動操作を停止することで前記延出部２ａに対し再び留め付くように構成されている。
【0020】
なお、本明細書において、左右は、靴１をつま先１ｃ側から見たときの左右を意味している。
【0021】
連繋部材４は、前記結び目代替部材としてのコードロック３と前記靴１のアッパー１ａとをつなぐ構成となっている。
【0022】
この実施の形態にあっては、前記連繋部材４の一端部４ａは、前記アッパー１ａにおけるタン部１ｂに接続されている。
【0023】
また、前記連繋部材４の他端部４ｂは、前記結び目代替部材としてのコードロック３に形成させた通し孔３ａに通して前記前記結び目代替部材としてのコードロック３に接続されている。
【0024】
図示の例では、連繋部材４は、帯状体（テープ）によって構成されている。連繋部材４は、前記一端部４ａとなる下端側を前記タン部１ｂに止着させると共に、結び目代替部材としてのコードロック３の外殻を構成する後述のケース１１に形成された通し孔３ａに通されて引き出されたその上端側を連繋部材４の中間部に止着させることで結び目代替部材としてのコードロック３に接続されており、これにより連繋部材４を介して結び目代替部材としてのコードロック３と靴１のアッパー１ａとがつながれている。
【0025】
図示の例では、前記通し孔３ａは、後述のケース１１の幅広面部１１ｄの一方の外側に形成された突出部に、このケース１１の後述の筒軸方向ｙに沿った通過部を形成することで構成されている。
【0026】
結び目代替部材としてのコードロック３が、靴１のはき口１ｄ側、具体的には、最上部の左右のシューレースホール１ｅの間においてタン部１ｂに接するようになった締め込み状態（図１及び図２参照）において、結び目代替部材としてのコードロック３から引き出される延出部２ａの長さは最大となって、したがって、靴１のシューレースホール１ｅを巡る靴紐としての紐２の長さは最小となって、靴紐としての紐２が最も締め込まれた状態となる。
【0027】
この締め込み状態から結び目代替部材としてのコードロック３を把持して結び目代替部材としてのコードロック３を結び目代替部材としてのコードロック３と靴１との間の延出部２ａの長さを増加させる向きに所定の大きさ以上の力で引っ張ると、結び目代替部材としてのコードロック３と延出部２ａとの留め付けを解いて結び目代替部材としてのコードロック３を延出部２ａに沿って移動させることができる（図３参照）。これにより、片手で結び目代替部材としてのコードロック３を所定の大きさの力で引っ張ることで靴紐としての紐２を緩めることができる。（緩め状態）図示の例では、後述のケース１１の第二係当部１１ｃが雄部材９の被係当部９ｉに係当して雌部材８内への雄部材９の一部の入り込み量が減じ、これによって靴紐としての紐２に対する結び目代替部材としてのコードロック３の留め付けが解除され結び目代替部材としてのコードロック３を延出部２ａに沿って靴１のつま先１ｃ側に移動させることができるようになっている。
【0028】
一方、前記緩め状態から延出部２ａのうち結び目代替部材としてのコードロック３から引き出されている部分２ｂを後述のつまみ部材５を利用して把持してこの部分２ｂを所定の大きさ以上の力で上方に引っ張ると、結び目代替部材としてのコードロック３は連繋部材４によりタン部１ｂにつながれ連繋部材４の長さ以上にタン部１ｂから離れる移動が規制されることから、移動規制後は所定の大きさ以上の力で延出部２ａに沿って結び目代替部材としてのコードロック３を移動操作した状態と同じ状態となり、このときも結び目代替部材としてのコードロック３と延出部２ａとの留め付けを解いて結び目代替部材としてのコードロック３を延出部２ａに沿って前記締め込み状態が再び作り出される位置まで上方に移動させることができる（図４参照）。これにより、緩んだ靴紐としての紐２は延出部２ａのうち結び目代替部材としてのコードロック３から引き出されている部分２ｂを片手で把持してこの部分２ｂを所定の大きさの力で上方に引っ張ることで再び締め込むことができるようになっている。
【0029】
なお、この実施の形態にあっては、前記連繋部材４の全長は、靴１のはき口１ｄ側の最上部のシューレースホール１ｅと靴１のつま先１ｃ側の最下部の前記靴紐としての紐２のシューレースホール１ｅとの間の距離の約半分となっている（図１～図４参照）。このようにした場合、前記結び目代替部材としてのコードロック３が最下部のシューレースホール１ｅ付近に位置するとき靴紐としての紐２は最も緩められ、この状態から結び目代替部材としてのコードロック３が最上部のシューレースホール１ｅ付近に位置するときに靴紐としての紐２を最も締め込ませることができる。
【0030】
また、この実施の形態にあっては、靴紐留め付け装置は、さらに、左右の前記延出部２ａの端末をそれぞれ納めるつまみ部材５と、前記靴１の前記アッパー１ａに備えられると共に前記つまみ部材５を取り外し可能に保持する保持部材６とを備えている。
【0031】
図示の例では、つまみ部材５は、左右方向に靴紐としての紐２を通過させるスリーブ部５ａと、このスリーブ部５ａの左右方向中程の位置から側方に突き出す組み合わせ部５ｂとを有している。図示の例では、つまみ部材５のスリーブ部５ａに靴紐としての紐２を通過させた状態で靴紐としての紐２のシューレースホール１ｅに靴紐としての紐２を通し、最下部のシューレースホール１ｅに靴紐としての紐２の端末２ｃを位置させるようにしている（図１参照）。
【0032】
一方、保持部材６は、最下部のシューレースホール１ｅから引き出される靴紐としての紐２の左側の端末２ｃを通過させると共に通過後にこの左側の端末２ｃに形成させた結び目に引っかかる左側部分６ａと、最下部のシューレースホール１ｅから引き出される靴紐としての紐２の右側の端末２ｃを通過させると共に通過後にこの右側の端末２ｃに形成させた結び目に引っかかる右側部分６ｂと、左側部分６ａと右側部分６ｂとの間にあって前記つまみ部材５の組み合わせ部ｂを受容する受容部６ｃとを備えている。
【0033】
これにより、この実施の形態にあっては、前記締め込み状態においてつまみ部材５の組み合わせ部５ｂを保持部材６の受容部６ｃに受容させることで靴紐としての紐２の延出部２ａのうち、結び目代替部材としてのコードロック３から靴１のつま先１ｃ側に引き出される箇所を靴１のアッパー１ａ側と一体化させて纏めることが可能となっている。図示の例では、つまみ部材５の組み合わせ部５ｂは保持部材６の受容部６ｃに図中符号５ｃ、６ｄで示される磁気的に吸着される部材（磁石同士、あるいは磁石と強磁性材）によって吸着されるようになっている。
【0034】
次いで、図６～図２３に基づいて、前記コードロック３の第二例について、説明する。かかるコードロック３は、紐２の任意の位置に留め付け可能であり、また、この留め付け状態を雌部材８内への雄部材９の一部の入り込み量を減ずる引き操作により解除可能に構成されたものである。かかるコードロック３は、この実施の形態にあっては、前記雌部材８及び雄部材９を備えてなるコードロック本体７と、このコードロック本体７を納めるケース１１とから構成されている。
【0035】
かかる紐２は、このようにコードロック３の留め付けが可能なものであれば、その形状（丸紐、平紐など）、材質や構造（編み紐、ゴム紐、合成樹脂製の紐など）は問われない。かかるコードロック３は、典型的には、前記靴１のように、こうした紐２により絞られたり、引き締められたりする箇所を備えた各種の物品におけるこの紐２に留め付けられて、その留め付け位置を変えることでこのような箇所を絞ったり、緩めたりするように用いられる。
【0036】
前記雌部材８（ベース）は、第一開口８ａと、第二開口８ｂと、これらの間に亘る紐２の挿通路８ｃとを備えている。
【0037】
一方、前記雄部材９（スライダ)は、前記挿通路８ｃ内に前記第一開口８ａ側から一部を入り込ませると共に、この一部に前記挿通路８ｃ内に形成された雌側留付部８ｄと協働して前記挿通路８ｃに挿通された前記紐２に留め付く雄側留付部９ａを備えている。
【0038】
また、前記雌部材８と前記雄部材９との間には、前記引き操作により蓄勢されるバネ部材１０が介在されている。図示の例では、かかるバネ部材１０は、前記引き操作により蓄勢される圧縮コイルバネとなっている。
【0039】
前記紐２に対する留め付けは、前記雌部材８に対する前記挿通路８ｃ内への前記雄部材９の一部の入り込み量を減ずる引き操作により解かれるようになっている。
【0040】
前記紐２に対する留め付けは、前記第一開口８ａ側から引き出される前記紐２を把持しての前記雌部材８に対する前記挿通路８ｃ内への前記雄部材９の一部の入り込み量を減ずる引き操作、及び、前記第二開口８ｂ側から引き出される前記紐２を把持しての前記雄部材９に対する前記挿通路８ｃ内への前記雄部材９の一部の入り込み量を減ずる引き操作により解かれるようになっている。
【0041】
この実施の形態にあっては、コードロック本体７には、雄部材９の移動中心軸ｘ（図１２参照）を挟んだ両側にそれぞれ紐２が通されるようになっている。
【0042】
前記引き操作を行わない状態では、前記バネ部材１０によって前記挿通路８ｃ内において雌側留付部７と雄側留付部９ａとによって紐２を挟み付けることができ、これにより、コードロック本体７を含むコードロック３は紐２の任意の位置に留め付けられる（図１２参照）。
【0043】
第一開口８ａ側から引き出されている紐２を把持して雌部材８に対し図１２における上側へ向けた引き操作がなされると、コードロック３の紐２に対する留め付け状態が解かれ、コードロック３は全体として図１２における上側に移動し、この上側への引き操作を止めると移動後の位置でコードロック３は再び紐２に留め付く。また、第二開口８ｂ側から引き出されている紐２を把持して雄部材９に対して図１２における下側に向けた引き操作がなされると、コードロック３の紐２に対する留め付け状態が解かれ、コードロック３は全体として図１２における下側に移動し、この下側への引き操作を止めると移動後の位置でコードロック３は再び紐２に留め付く。
【0044】
雌部材８は、雌側主体部８ｇと、脚部８ｈとを備えてなる。
【0045】
雌側主体部８ｇは、雄部材９の移動中心軸ｘ（図１２参照）に直交する向きの断面形状を、実質的に扁平筒状とするように構成されている。
【0046】
すなわち、雌側主体部８ｇは、前記移動中心軸ｘに直交する向きの寸法を大きくした一対の幅広面部８ｉと、この一対の幅広面部８ｉ間に亘る一対の厚さ側面部８ｊとを備えている。
【0047】
雌側主体部８ｇの筒一端が前記第一開口８ａとして機能し、雌側主体部８ｇの筒他端が前記第二開口８ｂとして機能するようになっている。
【0048】
雌側主体部８ｇの厚さ側面部８ｊの内面は、第二開口８ｂに近づくに連れて雌側主体部８ｇの内側の広さを狭める向きに傾斜している。図示の例では、前記移動中心軸ｘを挟んだ両側においてそれぞれ、厚さ側面部８ｊの内面に雌側留付部８ｄが形成されている。図示の例では、雌側留付部８ｄは、移動中心線ｘに実質的に平行をなす段面８ｅと、移動中心線ｘに実質的に直交する段差８ｆとを前記移動中心線ｘ方向において交互に形成させることで、厚さ側面部８ｊの内面に備えられている（図１３参照）。
【0049】
脚部８ｈは、前記移動中心軸ｘに沿って前記雌側主体部８ｇにおける前記第一開口８ａを形成する縁部から外方に突き出す帯板状を呈している。脚部８ｈの前記移動中心線ｘに直交する向きの幅は、同じ向きでの雌側主体部８ｇの幅より小さく、また、脚部８ｈは一対の幅広面部８ｉの一方に連続して前記移動中心軸ｘに沿って延び出している。これにより、脚部８ｈの両側にそれぞれ後述の被係当部８ｐが形成されている。
【0050】
また、前記脚部８ｈの延び出し端側には、突出部８ｋが形成されている。この突出部８ｋにおける第一開口８ａに向き合う側が、前記バネ部材１０のバネ一端の第一当接部８ｍとして機能するようになっている。
【0051】
図示の例では、一対の幅広面部８ｉの一方の移動中心軸ｘに沿う向きの寸法は、一対の幅広面部８ｉの他方の移動中心軸ｘに沿う向きの寸法よりも大きく、一対の幅広面部８ｉの一方はこの寸法差分、第二開口８ｂから張り出した部分８ｎを有している。
【0052】
また、図示の例では、一対の幅広面部８ｉの一方に、第二開口８ｂから第一開口８ａ側に続く案内溝８ｏが移動中心軸ｘに沿うように形成されており、この案内溝８ｏに雄部材９の後述の前部９ｃの被案内部９ｇが案内されるようになっている。
【0053】
一方、雄部材９は、雄側留付部９ａと、この雄側留付部９ａの形成側と反対側に前記バネ部材１０のバネ他端の第二当接部９ｂとを備えている。
【0054】
雄部材９は、雌部材８に入り込む前記一部となる中実な前部９ｃと、雌部材８の雌側主体部８ｇ内に実質的に入り込まない後部９ｄとを備えている。
【0055】
前部９ｃは、雌部材８の幅広面部８ａの内面に向き合う幅広面部９ｅと、雌部材８の厚さ側面部８ｊの内面に向き合う側面部９ｆとを備えている。前部９ｃの二カ所の幅広面部９ｅの一方に、雌部材８の前記案内溝８ｏに納まる被案内部９ｇが形成されている。
【0056】
図示の例では、雄部材９は前記移動中心軸ｘに沿うように前部９ｃを配し、かつ、この前部９ｃの左右にそれぞれ紐２を通すことができるようにした状態で、雌部材８に組み合わされるようになっている。
【0057】
前部９ｃの二カ所の側面部９ｆにはそれぞれ、雄側留付部９ａとなる爪部が形成されている。この爪部は、前記移動中心軸ｘに沿う向きにおいて隣り合う爪部との間に間隔を開けて二つ形成されている。
【0058】
前部９ｃにおける後部９ｄとの連接端は、前記移動中心軸ｘに直交する面となっており、この面が前記バネ部材１０のバネ他端の第二当接部９ｂとして機能するようになっている。
【0059】
後部９ｄは、前記移動中心軸ｘに沿うように形成された一対の壁部９ｈによって構成されている。一対の壁部９ｈの一方は前部９ｃの側面部９ｆの一方に連続するように形成されており、一対の壁部９ｈの他方は前部９ｃの側面部９ｆの他方に連続するように形成されている。この一対の壁部９ｈ間に第二当接部９ｂが位置すると共に、一対の壁部９ｈ間に前記バネ部材１０としての圧縮コイルバネが納まるようになっている。
【0060】
また、雄部材９と雌部材８とを組み合わせた状態において、前記雄部材９の一対の壁部９ｈと、前記第二当接部９ｂと、前記脚部８ｈと、前記第一当接部８ｍとが協働して前記バネ部材１０の収容部を形成するようになっている。
【0061】
具体的には、雄部材９と雌部材８とは、雌部材８の雌側主体部８ｇ内に雄部材９の前記一部となる前部９ｃが位置され、雄部材９の一対の壁部９ｈ間に雌部材８の脚部８ｈの突出部８ｋが納まり、かつ、前記案内溝８ｏに前記被案内部９ｇを納めるようにして、組み合わされるようになっている。
【0062】
また、前記ケース１１は、両端をそれぞれ前記紐２の通過口１１ａとした筒状をなすと共に、前記コードロック本体７側に組み合わされてその筒軸方向ｙ（図２１参照）に沿った往復動可能となっている。図示の例では、コードロック本体７における雌部材８の第一開口８ａから延び出す紐２は、前記移動中心軸ｘを挟んだ両側においてぞれぞれ、ケース１１の一対の幅広面部１１ｄのそれぞれに形成された後述の隆起部１１ｆ間を通ってケース１１における図１２の下側の通過口１１ａからケース１１外に延び出すようになっている。また、コードロック本体７における雌部材８の第二開口８ｂから延び出す紐２はケース１１における図１２の上側の通過口１１ａからケース１１外に延び出すようになっている。
【0063】
より具体的には、前記ケース１１は、前記コードロック本体７をその内部に納めるようにしてコードロック本体７に組み合わされている。そして、この組み合わせ状態において、ケース１１を把持して図１２の下側に向けてケース１１を移動させる操作をするとケース１１と一緒に前記雄部材９が前記雌部材８側にガイドされて図１２の下側に向けて移動できるようになっており（後述の復動）、また、ケース１１を把持して図１２の上側に向けてケース１１を移動させる操作をするとケース１１と一緒に前記雌部材８が前記雄部材９側にガイドされて図１２の上側に向けて移動できるようになっている（後述の往動）。
【0064】
この実施の形態にあっては、前記ケース１１の往動時は前記ケース１１の第一係当部１１ｂが前記雌部材８の被係当部８ｐに係当して前記引き操作がなされ（図１２及び図１９参照）、
前記ケース１１の復動時は前記ケース１１の第二係当部１１ｃが前記雄部材９の被係当部９ｉに係当して前記引き操作がなされるようになっている（図１２及び図１８参照）。
前記ケース１１の復動時は前記ケース１１の第二係当部１１ｃが前記雄部材９の被係当部９ｉに係当して前記引き操作がなされるようになっている（図１２及び図１８参照）。
【0065】
また、前記ケース１１は、前記コードロック本体７の全体を覆う大きさを備えている。
【0066】
図示の例では、前記ケース１１は、扁平筒状を呈している。すなわち、前記ケース１１は、一対の幅広面部１１ｄと、一対の厚さ側面部１１ｅとを備えている。このケース１１の一対の幅広面部１１ｄの内面間の距離は、コードロック本体７の雌部材８の一対の幅広面部８ｉの外面間の距離と実質的に等しくなっている。
【0067】
一対の幅広面部１１ｄの内側にはそれぞれ、前記ケース１１における前記第一係当部１１ｂと前記第二係当部１１ｃとの間に、前記コードロック本体７の左右方向のガタつきを押さえる壁部１１ｇを形成させる隆起部１１ｆが形成されている。
【0068】
隆起部１１ｆは、一対の幅広面部１１ｄのそれぞれにおいて、その左右に形成されている。また、隆起部１１ｆは、図２１の下側に位置されるケース１１の通過口１１ａから前記筒軸方向に沿って図２１の上側に位置される通過口１１ａ側に続くように形成されると共に、この上側に位置される通過口１１ａとの間に間隔を開けた位置で終了しており、隆起部１１ｆの終端とこの上側に位置される通過口１１ａとの間に雌部材８の雌側主体部８ｇが納まる空間１１ｉを形成させている。
【0069】
この実施の形態にあっては、ケース１１における図２１の上側の通過口１１ａからコードロック本体７を前記雌部材８の脚部８ｈ及び雄部材９の後部９ｄを先にして、かつ、ケース１１の幅広面部１１ｄに雌部材８の幅広面部８ｉが向き合うと共に、ケース１１の厚さ側面部１１ｅに雄部材９の後部９ｄを構成する壁部９ｈの外面が向き合う向きで挿入すると、挿入しきった位置で、雌部材８の雌側主体部８ｇの第一開口８ａを巡る縁部が前記ケース１１の隆起部１１ｆにおける前記終端としての前記通過口１１ａの一方側を向いた段部１１ｈに突き当たるようになっている。また、雄部材９の後部９ｄは、左右の隆起部１１ｆ間に、この隆起部１１ｆの壁部１１ｇに対応する雄部材９の後部９ｄの壁部９ｈの外面を接しさせて、ガタつきなく納まるようになっている。
【0070】
すなわち、この実施の形態にあっては、前記隆起部１１ｆの終端としての前記通過口１１ａの一方側を向いた段部１１ｈが、ケース１１の前記第一係当部１１ｂとして機能するようになっている。
【0071】
また、この実施の形態にあっては、ケース１１の一対の幅広面部１１ｄの一方の内面であって、図２１の下側の通過口１１ａ側で、かつ、前記左右の隆起部１１ｆ間となる箇所に、突起１１ｊが形成されている。それと共に、雄部材９の後部９ｄを構成する一対の壁部９ｈにおける雄部材９の主体部からの突き出し端には、一対の壁部９ｈ間に亘る架橋部９ｊが形成されている。
【0072】
そして、この実施の形態にあっては、前記コードロック本体７を前記通過口１１ａの一方（図２１の上側に位置される通過口１１ａ）から前記ケース１１内に挿入しきった位置で、前記雄部材９の前記被係当部９ｉとしての前記架橋部９ｊに、前記通過口１１ａの一方側から前記第二係当部１１ｃとして前記突起１１ｊが引っかかるようになっている（図１８参照）。
【0073】
図示の例では、前記ケース１１側及び前記雄部材９側の双方又はいずれか一方が、前記ケース１１へのコードロック本体７の前記挿入にあたり前記突起１１ｊが前記被係当部９ｉとしての架橋部９ｊに突き当たったときに弾性変形して、ケース１１へのコードロック本体７のより先への挿入を許容すると共に、突起１１ｊが架橋部９ｊを乗り越えた位置での弾性復帰によって前記のように架橋部９ｊに前記突起１１ｊが引っかかるようになっている。
【0074】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施形態を含むものである。
【符号の説明】
【0075】
２ 紐
７ コードロック本体
８ 雌部材
８ｃ 挿通路
８ｐ 被係当部
９ 雄部材
９ｉ 被係当部
１１ ケース
１１ａ 通過口
１１ｂ 第一係当部
１１ｃ 第二係当部
ｙ 筒軸方向
７ コードロック本体
８ 雌部材
８ｃ 挿通路
８ｐ 被係当部
９ 雄部材
９ｉ 被係当部
１１ ケース
１１ａ 通過口
１１ｂ 第一係当部
１１ｃ 第二係当部
ｙ 筒軸方向
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】